(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087247
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20230616BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20230616BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D75/62 A
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201528
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 隆行
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC07
3E064BC08
3E064BC16
3E064BC18
3E064HM00
3E064HN06
3E064HN13
3E064HP01
3E064HP02
3E067AA03
3E067AB01
3E067AB81
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB16A
3E067BB18A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA05
3E067CA06
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB02
3E067EB04
3E067EB06
3E067EB17
3E067EE59
3E067FA01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】本開示は、切断中の引裂線が開封誘導線に沿って低抵抗で進行しやすく且つ開封後の開封口を使用者の指で摘まみやすくすることにより、容易な口開きが実現可能な包装袋を説明する。
【解決手段】包装袋は、表側シート及び裏側シートを備える。表側シートには、第1の主誘導線及び第2の主誘導線と、補助誘導線群とが設けられている。裏側シートには、第3の主誘導線が設けられている。補助誘導線群は、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延びる第1の補助誘導線及び第2の補助誘導線と、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第2の主誘導線から第1の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第1の補助誘導線及び第2の補助誘導線と交差する第3の補助誘導線とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って延びる一対の第1の側縁及び第2の側縁を含む表側シート及び裏側シートと、
前記表側シート及び前記裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、前記表側シート及び前記裏側シートを前記第1の側縁においてシールするように構成された第1のシール部と、
前記表側シート及び前記裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、前記表側シート及び前記裏側シートを前記第2の側縁においてシールするように構成された第2のシール部とを備え、
前記表側シートには、
前記第1のシール部と前記第2のシール部との間において前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って延び、且つ、前記第1の方向において並ぶように配置された第1の主誘導線及び第2の主誘導線と、
前記第1のシール部の近傍に位置し、且つ、前記第1の方向において前記第1の主誘導線及び前記第2の主誘導線の間に位置する補助誘導線群とが設けられており、
前記裏側シートには、前記第1のシール部と前記第2のシール部との間において前記第2の方向に沿って延び、且つ、前記表側シート及び前記裏側シートの積層方向から見て前記第1の主誘導線及び前記第2の主誘導線の間に位置する第3の主誘導線が設けられており、
前記補助誘導線群は、
前記第1のシール部から前記第2のシール部に向かうにつれて前記第1の主誘導線から前記第2の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、且つ、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続する第1の補助誘導線と、
前記第1のシール部から前記第2のシール部に向かうにつれて前記第1の主誘導線から前記第2の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続し、且つ、前記第1の補助誘導線よりも前記第2のシール部側に位置する第2の補助誘導線と、
前記第1のシール部から前記第2のシール部に向かうにつれて前記第2の主誘導線から前記第1の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続し、且つ、前記第1の補助誘導線及び前記第2の補助誘導線と交差する第3の補助誘導線とを含む、包装袋。
【請求項2】
前記第3の主誘導線は、前記表側シート及び前記裏側シートの積層方向から見て前記補助誘導線群と重なり合っている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点には、前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との間に前記第3の補助誘導線を分断する第1の壁部が設けられており、且つ、前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点には、前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との間に前記第2の補助誘導線を分断する第2の壁部が設けられているか、又は、
前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点には、前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との間に前記第1の補助誘導線を分断する第1の壁部が設けられており、且つ、前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点には、前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との間に前記第3の補助誘導線を分断する第2の壁部が設けられている、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記表側シートには、前記第2のシール部の近傍に位置し、且つ、前記第1の方向において前記第1の主誘導線及び前記第2の主誘導線の間に位置する別の補助誘導線群が設けられており、
前記別の補助誘導線群は、
前記第2のシール部から前記第1のシール部に向かうにつれて前記第1の主誘導線から前記第2の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、且つ、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続する第4の補助誘導線と、
前記第2のシール部から前記第1のシール部に向かうにつれて前記第1の主誘導線から前記第2の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続し、且つ、前記第4の補助誘導線よりも前記第1のシール部側に位置する第5の補助誘導線と、
前記第2のシール部から前記第1のシール部に向かうにつれて前記第2の主誘導線から前記第1の主誘導線に向かうように前記第2の方向に対して斜めに延び、前記第1の主誘導線と前記第2の主誘導線とを接続し、且つ、前記第4の補助誘導線及び前記第5の補助誘導線と交差する第6の補助誘導線とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点及び前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点は、前記表側シート及び前記裏側シートの積層方向から見て、前記第3の主誘導線を跨いで異なる側に位置している、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第1の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点及び前記第2の補助誘導線と前記第3の補助誘導線との交点は、前記表側シート及び前記裏側シートの積層方向から見て、前記第3の主誘導線と略重なり合っている、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記第1のシール部には、引裂開始部が設けられており、
前記裏側シートには、
前記第3の主誘導線のうち前記第1のシール部側の端部又は当該端部の近傍から前記第1のシール部側に向けて延びる、第1の規制誘導線と、
前記第3の主誘導線のうち前記第1のシール部側の端部又は当該端部の近傍から前記第1のシール部側に向けて延びる、第2の規制誘導線とが設けられており、
前記第1の規制誘導線及び前記第2の規制誘導線は、前記第1のシール部から前記第2のシール部に向かうにつれて互いに近づくように延びており、
前記引裂開始部は、前記第1の規制誘導線及び前記第2の規制誘導線で囲まれた領域に位置している、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記表側シート及び前記裏側シートは、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム又は未延伸フィルムによって構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記表側シート及び前記裏側シートは、所定のカット方向に直線カット性を有するフィルムによって構成されており、
前記第1の主誘導線、前記第2の主誘導線及び前記第3の主誘導線は、前記カット方向に沿って延びている、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は、内容物(例えば、食品、化粧品、薬品等)を内部に密封保存するように構成された包装袋を開示している。当該包装袋は、一対のシートの周縁がヒートシールされたヒートシール部を含む。一対のシートには、一対の側縁の間を横断するように延びる開封誘導線が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-037979号公報
【特許文献2】特開2001-240074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、切断中の引裂線が開封誘導線に沿って低抵抗で進行しやすく且つ開封後の開封口を使用者の指で摘まみやすくすることにより、容易な口開きが実現可能な包装袋を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
包装袋の一例は、第1の方向に沿って延びる一対の第1の側縁及び第2の側縁を含む表側シート及び裏側シートと、表側シート及び裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、表側シート及び裏側シートを第1の側縁においてシールするように構成された第1のシール部と、表側シート及び裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、表側シート及び裏側シートを第2の側縁においてシールするように構成された第2のシール部とを備える。表側シートには、第1のシール部と第2のシール部との間において第1の方向に交差する第2の方向に沿って延び、且つ、第1の方向において並ぶように配置された第1の主誘導線及び第2の主誘導線と、第1のシール部の近傍に位置し、且つ、第1の方向において第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する補助誘導線群とが設けられている。裏側シートには、第1のシール部と第2のシール部との間において第2の方向に沿って延び、且つ、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する第3の主誘導線が設けられている。補助誘導線群は、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、且つ、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続する第1の補助誘導線と、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第1の補助誘導線よりも第2のシール部側に位置する第2の補助誘導線と、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第2の主誘導線から第1の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第1の補助誘導線及び第2の補助誘導線と交差する第3の補助誘導線とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る包装袋によれば、切断中の引裂線が開封誘導線に沿って低抵抗で進行しやすく且つ開封後の開封口を使用者の指で摘まみやすくすることにより、容易な口開きが実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】
図4は、
図1の包装袋における開封誘導線近傍を拡大して示す図である。
【
図7】
図7は、
図1の包装袋の補助誘導線群において、切断中の引き裂き線が進行する様子を説明するための図である。
【
図8】
図8は、包装袋の他の例における補助誘導線群を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。ただし、
図2においては、包装袋1を背面側から見ているため、左右が逆転している。
【0009】
[包装袋の構成]
まず、
図1~
図3を参照して、包装袋1の構成について説明する。包装袋1は、表側シート2と、裏側シート3と、再封止具4とを備える。
【0010】
表側シート2は、可撓性を有する略矩形状のシートである。表側シート2は、
図1に例示されるように、上縁2Tと、下縁2Bと、左側縁2L(第1の側縁)と、右側縁2R(第2の側縁)とを含む。上縁2Tと下縁2Bとは共に、左右方向(第2の方向、X方向)に沿って延びており、左右方向と直交する上下方向(第1の方向、Y方向)において互いに対向している。左側縁2Lと右側縁2Rとは共に、上下方向に沿って延びており、左右方向において互いに対向している。表側シート2の表面で且つ上縁2T寄りの領域には、表側誘導線群20が設けられている(詳しくは後述する)。表側シート2の厚みは、例えば50μm~200μm程度であってもよい。
【0011】
裏側シート3は、可撓性を有する略矩形状のシートである。裏側シート3は、
図2に例示されるように、上縁3Tと、下縁3Bと、左側縁3L(第1の側縁)と、右側縁3R(第2の側縁)とを含む。上縁3Tと下縁3Bとは共に、左右方向に沿って延びており、上下方向において互いに対向している。左側縁3Lと右側縁3Rとは共に、上下方向に沿って延びており、左右方向において互いに対向している。裏側シート3の表面で且つ上縁3T寄りの領域には、裏側誘導線群30が設けられている(詳しくは後述する)。裏側シート3の厚みは、例えば50μm~200μm程度であってもよい。
【0012】
表側シート2及び裏側シート3は、
図3に例示されるように、基材層10と、中間層11と、シーラント層12とが包装袋1の外側から内側に向けてこの順に積層されたものである。基材層10と、中間層11と、シーラント層12とは、互いに接着剤(図示せず)を介して接着されていてもよい。表側シート2及び裏側シート3の積層構造は、
図3に例示される形態に限定されず、内容物の種類、求められる気密性の程度などに応じて、種々の材質の層を用いることができる。
【0013】
基材層10としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布などを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムが所定の機械的強度や寸法安定性を発現するのであれば、その材料、材質、製造方法等について特に限定されない。
【0014】
例えば、プラスチックフィルムが、一軸延伸されたフィルムからなるものであってもよいし、二軸延伸されたフィルムからなるものであってもよいし、未延伸フィルム(無配向フィルムともいう)からなるものであってもよい。延伸されたフィルムを用いる場合、当該フィルムを構成する樹脂分子の配向が所定の方向に沿いやすいため、主誘導線M1~M3の延在方向がフィルムの配向方向と沿った状態となることにより、包装袋1の引き裂きが容易に行えるようになる。また、未延伸フィルムを用いる場合、フィルム面内のどの方向でも引き裂きが進行しやすいので、主誘導線M1~M3の延在方向にかかわらず包装袋1の引き裂きが容易に行えるようになる。
【0015】
プラスチックフィルムの表面にアルミニウム等の金属の蒸着層が形成されていてもよい。紙としては、例えば、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などが挙げられる。紙が有する機械的強度や製袋適正に基づいて、基材層10に用いる紙を適宜決めてもよい。上述のフィルムの1つを単独で、又は2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
中間層11は、例えば、表側シート2及び裏側シート3の諸物性を向上させる目的で配置される。諸物性とは、例えば、剛性、落下強度、突き刺し強度、気体(例えば、水蒸気、酸素ガスなど)のバリア性、美粧性などが挙げられる。剛性、落下強度、突き刺し強度等を向上させる場合、中間層11を、例えば、ナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどにより構成してもよい。水蒸気のバリア性を向上させる場合、中間層11を、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルムなどにより構成してもよい。無機酸化物は、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシュウム、酸化カリウム、酸化錫、酸化ナトリウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムなどの金属の酸化物であってもよい。このうち、生産性及び価格を考慮して、無機酸化物として酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを選択してもよい。美粧性を向上させる場合、中間層11を、例えば、アルミニウム蒸着層を有したポリエステルフィルムなどで構成してもよい。
【0017】
シーラント層12は、熱により溶融して他のシートに融着するように構成されている。すなわち、シーラント層12は、ヒートシール可能に構成されている。シーラント層12は、例えば、ポリオレフィン系樹脂により構成されていてもよい。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどが挙げられる。シーラント層12の材料として上記の樹脂が用いられる場合には、上記の樹脂が押出機によって膜状に成形させることでシーラント層12が構成される。シーラント層12は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0018】
接着剤としては、例えばドライラミネート用接着剤を用いてもよい。接着剤の種類としては、例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。接着剤としてドライラミネート用接着剤を用いる場合には、2つの層をドライラミネート法にて貼り合わせてもよい。
【0019】
包装袋1は、互いのシーラント層12同士が向かい合うように表側シート2と裏側シート3とが互いに重ね合わされた状態で、表側シート2の周縁部と裏側シート3の周縁部とがヒートシールされて構成されている。すなわち、
図1及び
図2に例示されるように、包装袋1の周縁部にはシール部5が設けられている。表側シート2と裏側シート3との間のうちヒートシールされていない領域には、被収容物が収容される収容空間Vが構成されている(
図3参照)。
【0020】
シール部5は、上側シール部5Tと、下側シール部5Bと、左側シール部5L(第1のシール部)と、右側シール部5R(第2のシール部)とを含む。上側シール部5Tは、所定の幅を有し、上縁2T,3Tに沿って右側縁2R,3Rの上端と左側縁2L,3Lの上端との間を延びている。下側シール部5Bは、所定の幅を有し、下縁2B,3Bに沿って右側縁2R,3Rの下端と左側縁2L,3Lの下端との間を延びている。。左側シール部5Lは、所定の幅を有し、左側縁2L,3Lに沿って上縁2T,3Tの左端と下縁2B,3Bの左端との間を延びている。右側シール部5Rは、所定の幅を有し、右側縁2R,3Rに沿って上縁2T,3Tの右端と下縁2B,3Bの右端との間を延びている。
【0021】
左側シール部5L及び右側シール部5Rにはそれぞれ、引裂開始部6L,6Rが設けられている。引裂開始部6L,6Rは、これらから包装袋1の引き裂きが開始されることにより、切断中の引裂線をスムーズに主誘導線M1~M3に誘導する機能を有する。
図1及び
図2に示される例では、引裂開始部6L,6Rは、表側シート2及び裏側シート3を貫通する微小な貫通孔が多数形成されてなる傷痕群である。引裂開始部6L,6Rの他の例は、ホームベース形状(不等辺五角形状)を呈する切欠溝(ノッチ)であってもよいし、I字状を呈する切欠溝(ノッチ)であってもよいし、V字状を呈する切欠溝(ノッチ)であってもよい。引裂開始部6R,6Lの他の例は、所定の領域において表側シート2及び裏側シート3からシーラント層12よりも外側の層を取り除くことによって形成された易開封加工部(薄肉部)であってもよい。引裂開始部6L,6Rは、上下方向において、略同じ高さに位置していてもよい。
【0022】
再封止具4は、包装袋1の開封後に、再封止と再開封とを繰り返し行える機能を有する。再封止具4は、種々の公知の構造を適宜採用してもよい。再封止具4は,例えば、帯状の突起部と帯状の溝部が嵌合することによって繰り返し密封することが可能な合成樹脂製のファスナーであってもよいし、粘着シールであってもよい。再封止具4は、主誘導線M1~M3の近傍で且つ主誘導線M1~M3よりも下側シール部5B側に位置している。再封止具4は、左右方向に沿って延びている。
【0023】
[表側誘導線群及び裏側誘導線群の詳細]
ここで、
図1~
図6を参照して、表側誘導線群20及び裏側誘導線群30の詳細について説明する。
【0024】
表側誘導線群20は、
図1及び
図4に例示されるように、主誘導線21(第1の主誘導線)と、主誘導線22(第2の主誘導線)と、補助誘導線群23と、補助誘導線群24(別の補助誘導線群)とを含む。
【0025】
主誘導線21,22は、
図3に例示されるように、表側の基材層10から中間層11に達する溝であり、表側シート2を完全には切断しておらず、ハーフカット線とも呼ばれる。主誘導線21,22は、例えば、トムソン刃などの刃物によって形成されてもよいし、レーザ加工によって形成されてもよい。レーザ加工による場合には、より均一な深さの溝とすることができる。レーザビームは、例えば、連続波発振(CW:Continuous Wave)レーザであってもよいし、パルス発振レーザであってもよい。レーザの種類は、例えば、炭酸ガスレーザであってもよい。
【0026】
主誘導線21,22は、左側シール部5Lと右側シール部5Rとの間において、表側シート2の表面を左右方向に沿って延びている。主誘導線21,22は、直線状を呈していてもよい。主誘導線21,22は、上下方向において並ぶように配置されている。
図1及び
図4の例では、主誘導線21は、主誘導線22よりも上側シール部5T側に位置している。
【0027】
図1及び
図4に例示されるように、主誘導線21,22は、左側縁2L,3L又はその近傍から右側縁2R,3R又はその近傍に至るまで、表側シート2の表面を左右方向に沿って延びていてもよい。すなわち、主誘導線21,22の左端は、左側縁2L,3Lに到達していてもよいし、左右方向において左側縁2L,3Lよりも内側に位置していてもよい。主誘導線21,22の右端は、右側縁2R,3Rに到達していてもよいし、左右方向において右側縁2R,3Rよりも内側に位置していてもよい。
【0028】
補助誘導線群23及び補助誘導線群24は、上下方向において主誘導線21,22の間に位置している。補助誘導線群23は、左右方向において、左側シール部5Lの内側で且つ左側シール部5Lの近傍に位置している。補助誘導線群24は、左右方向において、右側シール部5Rの内側で且つ右側シール部5Rの近傍に位置している。補助誘導線群23及び補助誘導線群24は、主誘導線21,22と同様の手法で形成されてもよい。
【0029】
補助誘導線群23は、
図4及び
図5に例示されるように、補助誘導線23A(第1の補助誘導線)と、補助誘導線23B(第2の補助誘導線)と、補助誘導線23C(第3の補助誘導線)とを含む。
【0030】
補助誘導線23Aは、左側シール部5Lから右側シール部5Rに向かうにつれて主誘導線21から主誘導線22に向かうように、左右方向に対して斜めに延びている。補助誘導線23Aは、直線状を呈していてもよい。
図5に例示されるように、補助誘導線23Aの一端は、交点P1において主誘導線21に連結されている。補助誘導線23Aの他端は、交点P2において主誘導線22に連結されている。すなわち、補助誘導線23Aは、主誘導線21と主誘導線22とを接続している。
【0031】
補助誘導線23Bは、
図4及び
図5に例示されるように、左側シール部5Lから右側シール部5Rに向かうにつれて主誘導線21から主誘導線22に向かうように、左右方向に対して斜めに延びている。補助誘導線23Aは、直線状を呈していてもよい。補助誘導線23Bの一端は、
図5に例示されるように、交点P3において主誘導線21に連結されている。交点P3は、交点P1よりも左側シール部5L側に位置している。補助誘導線23Bの他端は、交点P4において主誘導線22に連結されている。交点P4は、交点P2よりも左側シール部5L側に位置している。すなわち、補助誘導線23Aは、補助誘導線23Aよりも右側シール部5R側に位置するように、主誘導線21と主誘導線22とを接続している。
【0032】
補助誘導線23Cは、
図4及び
図5に例示されるように、左側シール部5Lから右側シール部5Rに向かうにつれて主誘導線22から主誘導線21に向かうように、左右方向に対して斜めに延びている。補助誘導線23Cは、直線状を呈していてもよい。補助誘導線23Cの一端は、
図5に例示されるように、交点P5において主誘導線22に連結されている。交点P5は、交点P2,P4よりも左側シール部5L側に位置している。補助誘導線23Cの他端は、交点P6において主誘導線22に連結されている。交点P6は、交点P1,P3よりも右側シール部5R側に位置している。すなわち、補助誘導線23Aは、補助誘導線23A,23Bと交差するように、主誘導線21と主誘導線22とを接続している。
【0033】
図5に例示されるように、表側シート2と裏側シート3とが重ね合わされる積層方向(以下、積層方向という。)から見たときに、補助誘導線23Aと補助誘導線23Cとの交点Q1は、後述する主誘導線31よりも下側シール部5B側に位置していてもよい。積層方向から見たときに、補助誘導線23Bと補助誘導線23Cとの交点Q2は、後述する主誘導線31よりも上側シール部5T側に位置していてもよい。すなわち、積層方向から見たときに、交点Q1及び交点Q2は、主誘導線31を跨いで異なる側に位置していてもよい。
【0034】
図5及び
図6に例示されるように、交点Q1において、補助誘導線23Aは、補助誘導線23Cによって分断されていてもよい。すなわち、交点Q1において、補助誘導線23Cの両側には、補助誘導線23Aを分断する壁部W1(第1の壁部)が設けられていてもよい。
【0035】
壁部W1は、例えば、補助誘導線23Aのうち交点Q1よりも主誘導線21側の部分と、補助誘導線23Aのうち交点Q1よりも主誘導線22側の部分とを別々に刃物でハーフカットすることにより、形成されてもよい。壁部W1は、例えば、まず補助誘導線23Aをレーザ加工して、その後に、補助誘導線23Aを通過するように補助誘導線23Cをレーザ加工することにより、形成されてもよい。レーザ加工の場合、レーザビームによって基材層10が焼き飛ばされながら溝が構成されるので、補助誘導線23Aの後に補助誘導線23Cを形成することで、交点Q1において補助誘導線23Cの両側に盛り上がりが生じ、壁部W1が生成される。
【0036】
図5に例示されるように、交点Q2において、補助誘導線23Cは、補助誘導線23Bによって分断されていてもよい。すなわち、交点Q2において、補助誘導線23Bの両側には、補助誘導線23Cを分断する壁部W2(第2の壁部)が設けられていてもよい。壁部W2は、壁部W1と同様の手法で形成されてもよい。
【0037】
補助誘導線群24は、
図4に例示されるように、補助誘導線24A(第4の補助誘導線)と、補助誘導線24B(第5の補助誘導線)と、補助誘導線24C(第6の補助誘導線)とを含む。補助誘導線群24は、上下方向に延びる仮想軸に関して、補助誘導線群23と線対象であってもよい。この場合、補助誘導線24Aは補助誘導線23Aに対応し、補助誘導線24Bは補助誘導線23Bに対応し、補助誘導線24Cは補助誘導線23Cに対応する。そのため、補助誘導線群24の詳細については省略する。
【0038】
裏側誘導線群30は、
図2及び
図4に例示されるように、主誘導線31(第3の主誘導線)と、規制誘導線群32と、規制誘導線群33とを含む。
【0039】
主誘導線31は、
図3に例示されるように、表側の基材層10から中間層11に達する溝であり、表側シート2を完全には切断しておらず、ハーフカット線とも呼ばれる。主誘導線31は、主誘導線21,22と同様の手法で形成されてもよい。
【0040】
主誘導線31は、
図2及び
図4に例示されるように、左側シール部5Lと右側シール部5Rとの間において、裏側シート3の表面を左右方向に沿って延びている。主誘導線31は、直線状を呈していてもよい。主誘導線31は、積層方向から見たときに、上下方向において主誘導線21と主誘導線22との間に位置している。
【0041】
主誘導線31の左端部は、積層方向から見たときに、補助誘導線群23と重なり合っていてもよい。すなわち、
図5に例示されるように、主誘導線31の左端は、交点Q2よりも左側シール部5L側に位置していてもよいし、交点Q1よりも左側シール部5L側に位置していてもよい。主誘導線31の右端部は、
図2及び
図4に例示されるように、積層方向から見たときに、補助誘導線群24と重なり合っていてもよい。すなわち、主誘導線31の右端は、補助誘導線24Aと補助誘導線24Cとの交点よりも右側シール部5R側に位置していてもよい。
【0042】
規制誘導線群32は、
図2及び
図4に例示されるように、主誘導線31の左端よりも左側シール部5L側に位置している。規制誘導線群32は、主誘導線21,22と同様の手法で形成されてもよい。規制誘導線群32は、規制誘導線32A(第1の規制誘導線)と、規制誘導線32B(第2の規制誘導線)とを含む。
【0043】
規制誘導線32A,32Bは、積層方向から見たときに、引裂開始部6Lを囲むように延びている。規制誘導線32Aは、上下方向において、規制誘導線32Bよりも上側シール部5T側に位置している。規制誘導線32A,32Bは、例えば、左側縁2L又はその近傍から主誘導線31の左端部又はその近傍に至るまで、裏側シート3の表面を左右方向に沿って延びていてもよい。すなわち、規制誘導線32A,32Bの左端は、左側縁2L,3Lに到達していてもよいし、左右方向において左側縁2L,3Lよりも内側に位置していてもよい。規制誘導線32A,32Bの右端は、主誘導線31の左端部に到達していてもよいし、左右方向において主誘導線31の左端部の周囲の近傍に位置していてもよい。
【0044】
規制誘導線32A,32Bは、例えば、左側シール部5Lから右側シール部5Rに向かうにつれて互いに近づくように延びる部分を含んでいてもよい。規制誘導線32A,32Bは、例えば、屈曲又は湾曲しながら延びていてもよいし、直線状に延びていてもよい。
【0045】
規制誘導線群33は、
図2及び
図4に例示されるように、主誘導線31の右端よりも右側シール部5R側に位置している。規制誘導線群33は、主誘導線21,22と同様の手法で形成されてもよい。規制誘導線群33は、規制誘導線33Aと、規制誘導線33Bとを含む。規制誘導線群33は、上下方向に延びる仮想軸に関して、規制誘導線群32と線対象であってもよい。この場合、規制誘導線33Aは規制誘導線32Aに対応し、規制誘導線33Bは規制誘導線32Bに対応する。そのため、規制誘導線群33の詳細については省略する。
【0046】
[包装袋の開封方法]
続いて、
図4及び
図7を参照して、包装袋1を開封する方法を説明する。押し切りによって包装袋1を開封する場合には、例えば、右利きの使用者が左手で包装袋1の本体部分を持ち、右手で左上部を摘まんだ状態で、右手を体から離れる方向に押し出す。一方、引き切りによって包装袋1を開封する場合には、例えば、右利きの使用者が左手で包装袋1の本体部分を持ち、右手で左上部を摘まんだ状態で、右手を体に近づける方向に引き寄せる。
【0047】
そうすると、引裂開始部6Lを起点として包装袋1の引き裂きが開始され、表側引裂線及び裏側引裂線が引裂開始部6Lから右側に向けて延びていく。
図4及び
図7の例では、主誘導線31の左端が交点Q1よりも左側シール部5L側に位置しているので、裏側シート3においては、裏側引裂線は、規制誘導線32A又は規制誘導線32Bに到達し、規制誘導線32A上又は規制誘導線32B上と、主誘導線31上とを進行した後、右側縁2R,3Rに至る。
【0048】
表側シート2においては、表側引裂線は、補助誘導線23A又は補助誘導線23Cに到達し、補助誘導線23A上又は補助誘導線23C上を進行した後、交点Q1に到達する。ここで、積層方向から見たときに、交点Q1は、上下方向において主誘導線31よりも下側に位置している。そのため、押し切りをしている場合には、表側シート2のうち交点Q1よりも上側の断片が、裏側シート3のうち主誘導線31よりも下側の部分に接触する。そのため、引き裂きにより包装袋1から分離しつつある断片に比較的大きな抵抗力が作用することとなる。したがって、表側引裂線は、補助誘導線23C上を交点Q2に向けて進行する傾向にある(
図7(a)の矢印Ar1参照)。この際、交点Q1において、補助誘導線23Cの両側に壁部W1が存在しているので、表側引裂線は、補助誘導線23C上をより進行しやすい傾向にある。
【0049】
一方、引き切りをしている場合には、表側シート2のうち交点Q1よりも上側の断片が、裏側シート3のうち主誘導線31よりも下側の部分に接触しない。加えて、引き切りにより包装袋1から分離しつつある断片には、下に向かう力が作用しやすい。そのため、壁部W1において多少の抵抗は生ずるものの、表側引裂線は、壁部W1を越えて補助誘導線23A上に沿って進行する傾向にある(
図7(a)の矢印Ar2参照)。その後、表側引裂線は、主誘導線22に到達し、主誘導線22上を進行した後、右側縁2R,3Rに至る。これにより、包装袋1が開封され、主誘導線22に対応する表側引裂線と、主誘導線31に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
【0050】
これに対し、表側引裂線が交点Q2に到達した場合について、説明する。ここで、積層方向から見たときに、交点Q2は、上下方向において主誘導線31よりも上側に位置している。そのため、押し切りをしている場合には、裏側シート3のうち主誘導線31よりも上側の断片が、表側シート2のうち交点Q2よりも下側の部分に接触しない。加えて、押し切りにより包装袋1から分離しつつある断片には、上に向かう力が作用しやすい。そのため、壁部W2において多少の抵抗は生ずるものの、表側引裂線は、壁部W2を越えて補助誘導線23C上に沿って進行する傾向にある(
図7(b)の矢印Ar3参照)。その後、表側引裂線は、主誘導線21に到達し、主誘導線21上を進行した後、右側縁2R,3Rに至る。これにより、包装袋1が開封され、主誘導線21に対応する表側引裂線と、主誘導線31に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
向にある。
【0051】
一方、引き切りをしている場合には、裏側シート3のうち主誘導線31よりも上側の断片が表側シート2のうち交点Q2よりも下側の部分に接触する。そのため、引き裂きにより包装袋1から分離しつつある断片に比較的大きな抵抗力が作用することとなる。したがって、表側引裂線は、補助誘導線23B上を主誘導線22上に向けて進行する傾向にある(
図7(b)の矢印Ar4参照)。この際、交点Q2において、補助誘導線23Bの両側に壁部W2が存在しているので、表側引裂線は、補助誘導線23B上をより進行しやすい傾向にある。その後、表側引裂線は、主誘導線22に到達し、主誘導線22上を進行した後、右側縁2R,3Rに至る。これにより、包装袋1が開封され、主誘導線22に対応する表側引裂線と、主誘導線31に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
【0052】
[作用]
以上の例によれば、表側引裂線が各交点に到達すると、引き裂きにより包装袋から分離しつつある断片に作用する抵抗に応じて、断片に作用する抵抗が小さくなる誘導線に沿って表側引裂線が進行する傾向にある。そのため、使用者が軽い力で包装袋1を開封しうる。そして、包装袋1の開封後には開封口に段差が生ずるので、使用者が開封口を指で摘まみやすくなる。したがって、開封口の口開きを容易に行うことが可能となる。
【0053】
以上の例によれば、表側引裂線が主誘導線21又は主誘導線22に到達した後は、主誘導線21又は主誘導線22上を進行する。同様に、裏側引裂線が主誘導線31に到達した後は、主誘導線31上を進行する。そのため、開封口が主誘導線に沿った直線状となるので、開封後の包装袋1において、美観に優れた開封口を有する包装袋1を提供することが可能となる。
【0054】
以上の例によれば、主誘導線31の左端部は、積層方向から見たときに、補助誘導線群23と重なり合っていてもよい。この場合、表側引裂線が補助誘導線群23の誘導線に沿って誘導されるのと略同時又はそれよりも前に、裏側引裂線が主誘導線31に沿って誘導される。そのため、表側引裂線が各交点Q1,Q2に到達すると、主誘導線31に対応する裏側引裂線を基準にして、断片に作用する抵抗が小さくなる誘導線に沿って表側引裂線が進行する傾向にある。すなわち、各交点Q1,Q2に到達した後の表側引裂線がどの誘導線に沿って進行するかの基準が単一となる。したがって、表側引裂線が各交点Q1,Q2を通過して特定の誘導線に沿って進行している際に、裏側引裂線が不意に上下にぶれて、表側引裂線による引裂部分と裏側引裂線による引裂部分とが干渉してしまい、断片に作用する抵抗が大きくなるといった事態が生じ難くなる。その結果、使用者がより軽い力で包装袋1を開封することが可能となる。
【0055】
以上の例によれば、交点Q1において、補助誘導線23Aの両側には、補助誘導線23Aを分断する壁部W1が設けられていてもよい。また、交点Q2において、補助誘導線23Bの両側には、補助誘導線23Cを分断する壁部W2が設けられていてもよい。この場合、表側引裂線は、壁部W1,W2によって分断されていない側の誘導線に沿って進行しやすくなる。そのため、表側引裂線が各交点Q1,Q2を通過する際に、断片に作用する抵抗が大きくなる誘導線の側に表側引裂線が不意に進行してしまうことが抑制される。したがって、使用者がより軽い力で包装袋1を開封することが可能となる。
【0056】
以上の例によれば、補助誘導線群23と同様に構成された補助誘導線群24が、上下方向において主誘導線21,22の間で且つ右側シール部5Rの近傍に位置していてもよい。この場合、包装袋1の両側に補助誘導線群23,24が存在する。そのため、左側シール部5Lと右側シール部5Rとのどちらの側から包装袋1を開封しても、開封口の口開きを容易に行うことが可能となる。
【0057】
以上の例によれば、積層方向から見たときに、交点Q1及び交点Q2は、主誘導線31を跨いで異なる側に位置していてもよい。この場合、表側引裂線の進行の態様に応じて、各交点Q1,Q2において、表側引裂線及び裏側引裂線による引裂部分が大きな抵抗又は小さな抵抗として断片に作用しうる。そのため、表側引裂線が各交点Q1,Q2を通過する際に、断片に作用する抵抗が大きくなる誘導線の側に表側引裂線が不意に進行してしまうことが抑制される。したがって、使用者がより軽い力で包装袋1を開封することが可能となる。
【0058】
以上の例によれば、左側シール部5Lに引裂開始部6Lが設けられていてもよい。この場合、引裂開始部6Lにより、軽い力で簡単に包装袋1の引き裂きを開始することが可能となる。
【0059】
以上の例によれば、規制誘導線32A,32Bは、積層方向から見たときに、引裂開始部6Lを囲むように延びており、左側シール部5Lから右側シール部5Rに向かうにつれて互いに近づくように延びる部分を含んでいてもよい。この場合、引裂開始部6Lから引き裂きを開始することにより、裏側引裂線をスムーズに主誘導線31に誘導することが可能となる。
【0060】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0061】
(1)表側誘導線群20は、補助誘導線群23,24の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0062】
(2)補助誘導線群23は、4本以上の補助誘導線によって構成されていてもよい。補助誘導線群23が4本以上の補助誘導線によって構成されている場合、左右方向において最も内側に位置する3本の補助誘導線によって交点Q1,Q2が形成されるように、各補助誘導線が主誘導線21,22の間を斜めに延びていてもよい。補助誘導線群24も同様に、4本以上の補助誘導線によって構成されていてもよい。
【0063】
(3)交点Q1において、補助誘導線23Aの両側には、補助誘導線23CDCを分断する壁部W1が設けられていてもよい。交点Q2において、補助誘導線23Cの両側には、補助誘導線23Bを分断する壁部W2が設けられていてもよい。壁部W1,W2が設けられていなくてもよい。
【0064】
(3)
図8に例示されるように、交点Q1,Q2が、積層方向から見たときに、主誘導線31と略重なり合っていてもよい。この場合、表側引裂線が交点Q1,Q2間を進行する際に、表側引裂線及び裏側引裂線が略重なり合いながら各誘導線を進行するので、断片に作用する抵抗がより小さくなる。そのため、使用者がより軽い力で包装袋1を開封することが可能となる。
【0065】
(4)表側シート2及び裏側シート3は、所定のカット方向に直線カット性を有するフィルムによって構成されていてもよい。例えば、所定の一方向に配向性を有する樹脂フィルム(例えば、一軸延伸フィルムの一種)であってもよいし、所定の一方向に対して他方向の配向性が大きく異なる樹脂フィルム(例えば、二軸延伸フィルムの一種)であってもよい。表側シート2及び裏側シート3が所定のカット方向に直線カット性を有するフィルムによって構成されている場合、主誘導線21,22,31は、当該フィルムの直線カット方向に沿って延びていてもよい。この場合、引き裂きによって表側シート2及び裏側シート3に生ずる引裂線が主誘導線から外れ難くなる。そのため、開封口が主誘導線に沿った直線状となるので、包装袋1の引き裂きが容易に行えるようになると共に、引き裂きの方向性を安定化させることが可能となる。
【0066】
[他の例]
例1.包装袋の一例は、第1の方向に沿って延びる一対の第1の側縁及び第2の側縁を含む表側シート及び裏側シートと、表側シート及び裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、表側シート及び裏側シートを第1の側縁においてシールするように構成された第1のシール部と、表側シート及び裏側シートが互いに重ね合わされた状態で、表側シート及び裏側シートを第2の側縁においてシールするように構成された第2のシール部とを備える。表側シートには、第1のシール部と第2のシール部との間において第1の方向に交差する第2の方向に沿って延び、且つ、第1の方向において並ぶように配置された第1の主誘導線及び第2の主誘導線と、第1のシール部の近傍に位置し、且つ、第1の方向において第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する補助誘導線群とが設けられている。裏側シートには、第1のシール部と第2のシール部との間において第2の方向に沿って延び、且つ、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する第3の主誘導線が設けられている。補助誘導線群は、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、且つ、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続する第1の補助誘導線と、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第1の補助誘導線よりも第2のシール部側に位置する第2の補助誘導線と、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて第2の主誘導線から第1の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第1の補助誘導線及び第2の補助誘導線と交差する第3の補助誘導線とを含む。
【0067】
この場合、例えば第1のシール部側から包装袋の引き裂きを開始して、表側シートにおける引裂線(以下、「表側引裂線」ともいう。)が第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点に到達すると、引き裂きにより包装袋から分離しつつある断片に作用する抵抗に応じて、表側引裂線は、第1の補助誘導線又は第3の補助誘導線に沿って誘導される。表側引裂線が第1の補助誘導線に沿って誘導されると、表側引裂線は、第2の主誘導線に至り、そのまま第2の主誘導線に沿って進行しやすくなる。一方、裏側シートにおける引裂線(以下、「裏側引裂線」ともいう。)は、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する第3の主誘導線に沿って進行しやすくなる。そのため、第2の主誘導線に対応する表側引裂線と、第3の主誘導線に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
【0068】
表側引裂線が第3の補助誘導線に沿って誘導されると、表側引裂線は、第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点に到達する。表側引裂線が当該交点に到達した場合も、断片に作用する抵抗に応じて、表側引裂線は、第1の補助誘導線又は第3の補助誘導線に沿って誘導される。表側引裂線が第2の補助誘導線に沿って誘導されると、表側引裂線は、第2の主誘導線に至り、そのまま第2の主誘導線に沿って進行しやすくなる。一方、裏側引裂線は、第3の主誘導線に沿って進行しやすくなる。そのため、第2の主誘導線に対応する表側引裂線と、第3の主誘導線に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
【0069】
これに対し、表側引裂線が第3の補助誘導線に沿って誘導されると、表側引裂線は、第1の主誘導線に至り、そのまま第1の主誘導線に沿って進行しやすくなる。一方、裏側引裂線は、第3の主誘導線に沿って進行しやすくなる。そのため、第1の主誘導線に対応する表側引裂線と、第3の主誘導線に対応する裏側引裂線との間に、段差が生ずる。
【0070】
以上のように、表側引裂線が各交点に到達すると、断片に作用する抵抗が小さくなる誘導線に沿って表側引裂線が進行する傾向にある。そのため、使用者が軽い力で包装袋を開封しうる。そして、包装袋の開封後には開封口に段差が生ずるので、使用者が開封口を指で摘まみやすくなる。したがって、開封口の口開きを容易に行うことが可能となる。
【0071】
例2.例1の包装袋において、第3の主誘導線は、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て補助誘導線群と重なり合っていてもよい。この場合、表側引裂線が補助誘導線群の誘導線に沿って誘導されるのと略同時又はそれよりも前に、裏側引裂線が第3の主誘導線に沿って誘導される。そのため、表側引裂線が各交点に到達すると、第3の主誘導線に対応する裏側引裂線を基準にして、断片に作用する抵抗が小さくなる誘導線に沿って表側引裂線が進行する傾向にある。すなわち、各交点に到達した後の表側引裂線がどの誘導線に沿って進行するかの基準が単一となる。したがって、表側引裂線が各交点を通過して特定の誘導線に沿って進行している際に、裏側引裂線が不意に上下にぶれて、表側引裂線による引裂部分と裏側引裂線による引裂部分とが干渉してしまい、断片に作用する抵抗が大きくなるといった事態が生じ難くなる。その結果、使用者がより軽い力で包装袋を開封することが可能となる。
【0072】
例3.例1又は例2の包装袋において、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点には、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との間に第3の補助誘導線を分断する第1の壁部が設けられており、且つ、第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点には、第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との間に第2の補助誘導線を分断する第2の壁部が設けられているか、又は、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点には、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との間に第1の補助誘導線を分断する第1の壁部が設けられており、且つ、第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点には、第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との間に第3の補助誘導線を分断する第2の壁部が設けられていてもよい。この場合、表側引裂線は、壁部によって分断されていない側の誘導線に沿って進行しやすくなる。そのため、表側引裂線が各交点を通過する際に、断片に作用する抵抗が大きくなる誘導線の側に表側引裂線が不意に進行してしまうことが抑制される。したがって、使用者がより軽い力で包装袋を開封することが可能となる。
【0073】
例4.例1~例3のいずれかの包装袋において、表側シートには、第2のシール部の近傍に位置し、且つ、第1の方向において第1の主誘導線及び第2の主誘導線の間に位置する別の補助誘導線群が設けられており、別の補助誘導線群は、第2のシール部から第1のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、且つ、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続する第4の補助誘導線と、第2のシール部から第1のシール部に向かうにつれて第1の主誘導線から第2の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第4の補助誘導線よりも第1のシール部側に位置する第5の補助誘導線と、第2のシール部から第1のシール部に向かうにつれて第2の主誘導線から第1の主誘導線に向かうように第2の方向に対して斜めに延び、第1の主誘導線と第2の主誘導線とを接続し、且つ、第4の補助誘導線及び第5の補助誘導線と交差する第6の補助誘導線とを含んでいてもよい。この場合、包装袋の両側に補助誘導線群及び別の補助誘導線群が存在する。そのため、第1のシール部と第2のシール部とのどちらの側から包装袋を開封しても、例1の包装袋の作用効果を得ることが可能となる。
【0074】
例5.例1~例4のいずれかの包装袋において、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点及び第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点は、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て、第3の主誘導線を跨いで異なる側に位置していてもよい。この場合、表側引裂線の進行の態様に応じて、各交点において、表側引裂線及び裏側引裂線による引裂部分が大きな抵抗又は小さな抵抗として断片に作用しうる。そのため、表側引裂線が各交点を通過する際に、断片に作用する抵抗が大きくなる誘導線の側に表側引裂線が不意に進行してしまうことが抑制される。したがって、使用者がより軽い力で包装袋を開封することが可能となる。
【0075】
例6.例1~例4のいずれかの包装袋において、第1の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点及び第2の補助誘導線と第3の補助誘導線との交点は、表側シート及び裏側シートの積層方向から見て、第3の主誘導線と略重なり合っていてもよい。この場合、表側引裂線が交点間を進行する際に、表側引裂線及び裏側引裂線が略重なり合いながら誘導線を進行するので、断片に作用する抵抗がより小さくなる。そのため、使用者がより軽い力で包装袋を開封することが可能となる。
【0076】
例7.例1~例6のいずれかの包装袋において、第1のシール部には、引裂開始部が設けられており、裏側シートには、第3の主誘導線のうち第1のシール部側の端部又は当該端部の近傍から第1のシール部側に向けて延びる、第1の規制誘導線と、第3の主誘導線のうち第1のシール部側の端部又は当該端部の近傍から第1のシール部側に向けて延びる、第2の規制誘導線とが設けられており、第1の規制誘導線及び第2の規制誘導線は、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて互いに近づくように延びており、引裂開始部は、第1の規制誘導線及び第2の規制誘導線で囲まれた領域に位置していてもよい。この場合、引裂開始部により、軽い力で簡単に包装袋の引き裂きを開始することが可能となる。また、引裂開始部は第1の規制誘導線及び第2の規制誘導線で囲まれた領域に位置しており、第1の規制誘導線及び第2の規制誘導線が、第1のシール部から第2のシール部に向かうにつれて互いに近づくように延びているので、引裂開始部から引き裂きを開始することにより、裏側引裂線をスムーズに第3の主誘導線に誘導することが可能となる。
【0077】
例8.例1~例7のいずれかの包装袋において、表側シート及び裏側シートは、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム又は未延伸フィルムによって構成されていてもよい。
【0078】
例9.例1~例8のいずれかの包装袋において、表側シート及び裏側シートは、所定のカット方向に直線カット性を有するフィルムによって構成されており、第1の主誘導線、第2の主誘導線及び第3の主誘導線は、カット方向に沿って延びていてもよい。この場合、引き裂きによって表側シート及び裏側シートに生ずる引裂線が主誘導線から外れ難くなる。そのため、開封口が主誘導線に沿った直線状となるので、包装袋の引き裂きが容易に行えるようになると共に、引き裂きの方向性を安定化させることが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1…包装袋、2…表側シート、2L…左側縁(第1の側縁)、2R…右側縁(第2の側縁)、3…裏側シート、3L…左側縁(第1の側縁)、3R…右側縁(第2の側縁)、5L…左側シール部(第1のシール部)、5R…右側シール部(第2のシール部)、6L,6R…引裂開始部、20…表側誘導線群、21…主誘導線(第1の主誘導線)、22…主誘導線(第2の主誘導線)、23…補助誘導線群、23A…補助誘導線(第1の補助誘導線)、23B…補助誘導線(第2の補助誘導線)、23C…補助誘導線(第3の補助誘導線)、24…補助誘導線群(別の補助誘導線群)、24A…補助誘導線(第4の補助誘導線)、24B…補助誘導線(第5の補助誘導線)、24C…補助誘導線(第6の補助誘導線)、30…裏側誘導線群、31…主誘導線(第3の主誘導線)、32…規制誘導線群、32A…規制誘導線(第1の規制誘導線)、32B…規制誘導線(第2の規制誘導線)、33…規制誘導線群、Q1,Q2…交点、W1…壁部(第1の壁部)、W2…壁部(第2の壁部)。