(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087415
(43)【公開日】2023-06-23
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/22 20060101AFI20230616BHJP
B65D 1/42 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
B65D1/22
B65D1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201776
(22)【出願日】2021-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】前川 政貴
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】三田 とも子
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033AA09
3E033BA15
3E033BA16
3E033CA02
3E033CA20
3E033DA08
3E033DD01
3E033FA02
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】容器を落下させた際の角部の変形を抑制した容器を提供する。
【解決手段】容器1は、開口Aを有する容器であり、容器1を或る面に載置するように構成された底面10と、底面10の周縁から上方に立設して開口Aを画定する側壁部20とを備える。側壁部20は、第1の側壁21及び第2の側壁23を有し、第1の側壁21及び第2の側壁23と底面10とによって角部1aが画定される。容器1は、当該容器を角部1aから或る面に対して落下させた際に底面10の周縁の一辺と或る面との為す角度が少なくとも30度~45度である場合に角部1aが或る面に接触するように、構成されている。容器1では、角部1aには第1の補強部41が設けられ、且つ、第1の補強部41の周りには第2の補強部42が設けられる。第1及び第2の補強部41,42の厚みは、第1及び第2の側壁21,23のうち第2の補強部42を除く通常側壁部20aの厚みよりも厚い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有する容器であって、
前記容器を或る面に載置するように構成された底面と、
前記底面の周縁から上方に立設して前記開口を画定する側壁部と、
を備え、
前記側壁部は、互いに交差する方向に延びる第1の側壁及び第2の側壁を有し、
前記第1の側壁及び第2の側壁と前記底面とによって角部が画定され、
前記容器は、当該容器を前記角部から前記或る面に対して落下させた際に前記底面の前記周縁の一辺と前記或る面との為す角度が少なくとも30度~45度である場合に前記角部が前記或る面に接触するように、構成されており、
前記角部には第1の補強部が設けられ、且つ、前記第1の補強部の周りには第2の補強部が設けられ、
前記第1の補強部及び前記第2の補強部の厚みは、前記第1の側壁及び第2の側壁のうち前記第2の補強部を除く通常側壁部の厚みよりも厚い、容器。
【請求項2】
前記容器は、当該容器を前記角部から前記或る面に対して落下させた際に前記底面の前記周縁の一辺と前記或る面との為す角度が少なくとも30度~45度である場合に、前記第2の補強部が前記或る面に接触しないように、構成されている、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2の補強部は、前記第1の補強部の周縁の少なくとも半分以上を覆う、
請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1の補強部は略三角形形状を呈しており、前記第2の補強部は、前記第1の補強部の略三角形形状の2辺に沿って設けられている、
請求項1~3の何れか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記第2の補強部は、前記第1の補強部から外側に向かう幅が5mm以上15mm以下である、
請求項1~4の何れか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記第1の補強部及び前記第2の補強部は、前記容器の内側において他の部分より肉厚であり、且つ、前記容器の外側において前記通常側壁部と面一となるように形成されている、
請求項1~5の何れか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記底面及び前記側壁部の少なくとも一方は、前記第1及び第2の補強部と前記通常側壁部及び底面との間に設けられるテーパ部を更に有し、
前記テーパ部は、前記第1及び第2の補強部から前記通常側壁部及び前記底面に向かって厚みが漸減する、
請求項1~6の何れか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記通常側壁部の厚みは、0.40mmよりも薄く、
前記第1の補強部及び前記第2の補強部の厚みが0.45mmよりも薄い、
請求項1~7の何れか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、収納凹部を有する容器本体と、収納凹部を開閉する蓋体とを備えた樹脂性の容器が開示されている。この容器は、例えば、バターやマーガリンなどの食品を収容する容器として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器は、短期間での使用で廃棄されてしまうことから、容器に使用されるプラスチックの量を減らすことが求められている。そこで、容器の側壁や底面等を薄くすることが行われており、例えば、側壁の厚さを0.5mm程度とした製品が市販されている。しかしながら、更なるプラスチック使用量の削減が求められており、容器の側壁等の更なる薄型化が望まれている。一方、側壁の更なる薄型化を進めると、バターやマーガリン等を収容した容器が角部から落下した際、角部に生じるひずみが大きくなってしまい、角部に変形が生じてしまうことがある。このため、側壁の薄型化は進めつつ、角部の変形を抑制した容器が望まれている。
【0005】
本発明は、容器を落下させてしまった際の角部の変形を抑制した容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一側面として、上方に開口を有する容器に関する。この容器は、容器を或る面に載置するように構成された底面と、底面の周縁から上方に立設して開口を画定する側壁部と、を備える。側壁部は、互いに交差する方向に延びる第1の側壁及び第2の側壁を有し、第1の側壁及び第2の側壁と底面とによって角部が画定される。容器は、当該容器を角部から或る面に対して落下させた際に底面の周縁の一辺と或る面との為す角度が少なくとも30度~45度である場合に角部が或る面に接触するように、構成されている。この容器では、角部には第1の補強部が設けられ、且つ、第1の補強部の周りには第2の補強部が設けられ、第1の補強部及び第2の補強部の厚みは、第1の側壁及び第2の側壁のうち第2の補強部を除く通常側壁部の厚みよりも厚い。
【0007】
この容器では、角部から落下した際に落下面(或る面)に接触する角部に肉厚の第1の補強部を設けると共に、第1の補強部の周りに、更に肉厚の第2の補強部を設けている。本発明者らの検討によれば、落下した際に直接接触する角部のみを補強しても角部の変形を十分に抑制することが難しかったものの、第1の補強部の周りに更に第2の補強部を設けることで角部の変形を大幅に改善できることが確認できた。よって、このような構成の容器によれば、容器を角部から落下させてしまった際の角部の変形を抑制することができる。
【0008】
上記の容器は、当該容器を角部から或る面に対して落下させた際に底面の周縁の一辺と或る面との為す角度が少なくとも30度~45度である場合に、第2の補強部が或る面に接触しないように、構成されていることが好ましい。このように、容器が落下した際に落下面に接触しない部分を第2の補強部として第1の補強部による補強をサポートさせることにより、容器を角部から落下させてしまった際の角部の変形をより確実に抑制することができる。
【0009】
上記の容器において、第2の補強部は、第1の補強部の周縁の少なくとも半分以上を覆うことが好ましい。この場合、第1の補強部による補強を第2の補強部で確実にサポートして、容器を角部から落下させてしまった際の角部の変形をより確実に抑制することができる。
【0010】
上記の容器において、第1の補強部は略三角形形状を呈しており、第2の補強部は、第1の補強部の略三角形形状の2辺に沿って設けられていてもよい。この場合、第1の補強部による補強を第2の補強部で確実にサポートして、容器を角部から落下させてしまった際の角部の変形をより確実に抑制することができる。
【0011】
上記の容器において、第2の補強部は、第1の補強部から外側に向かう幅が5mm以上15mm以下であってもよい。この場合、第2の補強部による第1の補強部のサポートをより確実に行うことが可能となる。
【0012】
上記の容器において、第1の補強部及び第2の補強部は、容器の内側において他の部分より肉厚であり、且つ、容器の外側において通常側壁部と面一となるように形成されていてもよい。この場合、容器の外側における凹凸部分を減らすことができるため、容器外観の美感を向上することができる。
【0013】
上記の容器において、底面及び側壁部の少なくとも一方は、第1及び第2の補強部と通常側壁部及び底面との間に設けられるテーパ部を更に有してもよく、テーパ部は、第1及び第2の補強部から通常側壁部及び底面に向かって厚みが漸減していてもよい。この場合、第2の補強部と底面及び側壁部(通常側壁部)との間で厚みが急激に変化してしまう凹凸形状を無くしてスムーズな内面形状とすることが可能となる。また、テーパ部を設けることで、第1及び第2の補強部で吸収した落下時の衝撃をよりスムーズに側壁部等に伝えることができるため、落下の際の容器の破損等を低減することが可能となる。
【0014】
上記の容器において、通常側壁部の厚みは、0.40mmよりも薄く、第1の補強部及び第2の補強部の厚みが0.45mmよりも薄くてもよい。この場合、側壁部を薄くしつつ、容器を落下させた際の角部の変形を抑制した容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容器を落下させてしまった際の角部の変形を抑制した容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る容器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す容器のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す容器のIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す容器の角部を含む領域Sの拡大平面図である。
【
図7】
図7は、実施例及び比較例の試験における容器(底面)と落下面との為す角度を示す図である。
【
図8】
図8は、比較例3に係る容器の角部を示す斜視図である。
【
図9】
図9の(a)及び(b)は、比較例1及び2に係る容器を、角部を含む側辺から或る面Tに角度45度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図10】
図10は、比較例3に係る容器を、角部を含む側辺から或る面Tに角度45度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図11】
図11は、実施例1に係る容器を、角部を含む側辺から或る面Tに角度45度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図12】
図12の(a)及び(b)は、比較例1及び2に係る容器を、角部から或る面Tに角度30度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図13】
図13は、比較例3に係る容器を、角部から或る面Tに角度30度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図14】
図14は、実施例1に係る容器を、角部から或る面Tに角度30度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図15】
図15の(a)及び(b)は、比較例1及び2に係る容器を、角部から或る面Tに角度60度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図16】
図16は、比較例3に係る容器を、角部から或る面Tに角度60度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図17】
図17は、実施例1に係る容器を、角部から或る面Tに角度60度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
【
図18】
図18は、実施例及び比較例に係る容器毎の塑性ひずみ0.1以上の面積値を示す図である。
【
図19】
図19に、シミュレーションによる解析上の映像と実際の映像とを対比した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る容器について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る容器を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す容器を上方から視た平面図である。
図3は、
図2に示す容器のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、
図2に示す容器のIV-IV線に沿った断面図である。
図1~
図4に示すように、容器1は、底面10、側壁部20、フランジ30、及び、嵌合部35を備えている。容器1は、平面視において、四隅が丸みを帯びている略長方形の形状を有している。容器1は、例えば、デザートカップ、飲料カップ、又は、バターやマーガリン、クリームチーズなどを収容する薄肉容器として使用することができる。容器1の内容積は、例えば、280cc以上であり、280~400ccであってもよい。
【0019】
底面10は、平面視において、四隅が丸みを帯びている略長方形の形状を有している。底面10の短辺10a,10bの長さ(
図2における長さLa)は、例えば、3~12cmであり、5~10cm又は6~8.5cmであってもよい。底面10の長辺10c,10dの長さ(
図2における長さLb)は、例えば、5~15cmであり、7~12cm又は8~10.5cmであってもよい。短辺10a,10b及び長辺10c,10dが底面10の周縁を構成する。また、底面10の厚さは、例えば、0.3~0.6mmであり、0.4~0.5mmであってもよい。底面10の厚さが0.3mm以上であることで、後膨れを抑制できる傾向にあるとともに落下耐性を確保することができる。他方、底面10の厚さが0.6mm以下であることで、軽量化が図られる。なお、底面10の下方には、落下時の衝撃等を緩衝する緩衝部材は設けられておらず、底面10が容器1を載置する面T(或る面、
図7を参照)に対して載置できるようなフラットな面となっている。
【0020】
側壁部20は、底面10の周縁から上方に立設して開口Aを画定する周壁部分であり、互いに対向する第1の側壁21,22と、互いに対向する第2の側壁23,24とを有する。第1の側壁21,22は、底面10の短辺10a,10bそれぞれから立ちあがった壁部であり、第2の側壁23,24は、底面10の長辺10c,10dそれぞれから立ち上がった壁部である。第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24は、底面10から遠ざかるにしたがって容器1の開口Aが拡大するように傾斜している。第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の底面10側の下方部分は、丸みを帯びた形状であってもよい(
図3及び
図4を参照)。なお、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24は、底面10に対して実質的に鉛直方向に延びていてもよい。第1の側壁21,22と第2の側壁23,24とは互いに交差する方向に延びるように形成されている。
【0021】
また、側壁部20には、第1の側壁21,22と第2の側壁23,24との間に、曲面側壁部25~28を設けてもよい。曲面側壁部25~28を設けることにより、容器1の全体が丸みを帯びた形状とすることができる。
【0022】
第1の側壁21,22,第2の側壁23,24、及び曲面側壁部25~28の厚さは、例えば、0.25~0.4mmであり、0.3~0.35mmであってもよい。各側壁の厚さが0.25mm以上であることで、側壁としての落下耐性を確保することができる。他方、各側壁の厚さが0.4mm以下であることで、軽量化が図られ、また使用するプラスチック量の低減を図ることができる。第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の厚さは、全体として上述した範囲の厚さであるが、後述する補強部と重なる領域の厚さについてはこの限りではなく、詳細については後述する。第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24において、後述する補強部以外の部分を通常側壁部20aと称することもある。
【0023】
上述したように非常に薄い側壁部20を有する容器1は、後述するように、例えば、超臨界流体を用いた成形方法により形成することができる。超臨界流体を用いて成形を行うことにより、底面10や側壁部20等の肉厚が薄い容器を容易に形成することができる。超臨界流体を用いた成形方法で製造した場合、目視で確認できるレベルの気泡の発生は抑制されることが多いが、目視で確認できない大きさの気泡(マイクロボイド)が形成されることがある。このようなマイクロボイドは、例えば、容器1を切断し、切断面を顕微鏡で観察することで確認できる。マイクロボイドの直径は、10~200μmであってもよい。容器1の1mm2当たりのマイクロボイドの数は、10~10000個であってもよい。マイクロボイドの数は、切断面の顕微鏡観察画像中の気泡の数を数えることにより測定できる。目視で確認できる気泡の直径の下限値は、一般的に、200μmであると言われている。
【0024】
フランジ30は、容器1の開口Aを画定する開口端部であり、平面視において、四隅が丸みを帯びている略長方形の枠形状を有している。フランジ30は、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の上端に連なって形成されており、各側壁よりも外側に突出するように構成されている。これにより、容器1に強度を付与して、容器1の開口Aの形を崩れないようにしている。
【0025】
嵌合部35は、フランジ30と共に容器1の開口Aを画定する開口端部であり、フランジ30に沿って設けられている。嵌合部35は、容器1に蓋(不図示)が嵌合される際に、蓋をガイドすると共に蓋との嵌合を行う部分である。
【0026】
容器1では、容器1を何れかの角部1aから落下させた際に角部1aの変形を抑制するための構成40が更に設けられている。
図5は、容器1の角部1aを含む領域Sの拡大図である。
図6は、容器1の角部1aの斜視図である。変形を抑制する構成40は、角部1aに設けられた第1の補強部41と、第2の補強部42と、テーパ部43とを備えている。容器1の各角部1aは、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24と底面10とによって画定される部分であり、図に示す例では、各曲面側壁部25~28の底面10側に設けられている。容器1は、容器1を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10e(短辺10a,10b又は長辺10c,10dの何れか)と或る面Tとの為す角度が少なくとも30度~45度である場合に角部1aが或る面Tに接触するように、構成されている(
図7を参照)。なお、このような変形を抑制する構成40は、容器1の底面10側の4つの角部1aに設けられているが、以下ではそのうちの1つを説明する。但し、他の3つの角部1aも同様の構成である。
【0027】
第1の補強部41は、容器1の角部1aに設けられた略三角形状の部分であり、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aよりも厚みが厚い部分である。第1の補強部41の厚みは、例えば0.35mm~0.45mmであり、一例として0.40mmである。また、第1の補強部41の厚みは、通常側壁部20aの厚みの1倍超1.8倍以下であってもよく、1.1倍以上1.7倍以下であってもよく、1.1倍以上1.5倍以下であってもよい。第1の補強部41は、容器1を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が少なくとも30度~45度である場合に角部1aにある第1の補強部41が或る面Tに接触するように、構成されている。なお、第1の補強部41は、容器1を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が1度又は15度~65度である場合に角部1aにある第1の補強部41が或る面Tに接触するように、構成されていてもよい。
【0028】
第2の補強部42は、第1の補強部41の周りに設けられた部分であり、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aよりも厚みが厚い部分である。第2の補強部42の厚みは、第1の補強部41と同様に、例えば0.35mm~0.45mmであり、一例として0.40mmである。また、第2の補強部42の厚みは、通常側壁部20aの厚みの1倍超1.8倍以下であってもよく、1.1倍以上1.7倍以下であってもよく、1.1倍以上1.5倍以下であってもよい。なお、第2の補強部42の厚みは、第1の補強部41の厚みと同じであってもよい。第2の補強部42は、第1の補強部31の周縁の少なくとも半分以上を覆い、一例としては、第1の補強部41の略三角形形状の2辺41a,41bに沿って設けられており、底面10側から第1の補強部41を覆うように形成されている。第2の補強部42は、例えば、第1の側壁21の下部から底面10にかけて設けられる部分と、第2の側壁23の下部から底面10にかけて設けられる部分とを有している。また、第2の補強部42は、第1の補強部41から外側に向かう幅が5mm以上15mm以下であってもよく、一例として、10mmである。第2の補強部42の幅を上記の範囲又は値とすることにより、第1の補強部41の補強をサポートすることができる。
【0029】
第2の補強部42(の外周面)は、容器1を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が少なくとも30度~45度である場合に、或る面Tに接触しないような位置に構成されている。即ち、容器1では、角部1aから容器1を落下させた際に直接、落下面に触れない部分も肉厚として補強し、これにより、第1の補強部41による補強をサポートするように構成されている。なお、第2の補強部42は、容器1を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が1度又は15度~65度である場合に、或る面Tに接触しないように、構成されていてもよい。
【0030】
テーパ部43は、第1の補強部41と第2の補強部42とを取り囲む部分であり、より詳細には、第1の補強部41と第2の補強部42とを全周に亘って取り囲む。テーパ部43は、第1の補強部41及び第2の補強部42と、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aや底面10との間に設けられている。テーパ部43は、第1の補強部41及び第2の補強部42から通常側壁部20a及び底面10に向かって厚みが漸減するように傾斜して構成されている。テーパ部43の傾斜角は、例えば側壁に平行に延びる面に対して45度の傾斜であってもよい。
【0031】
このような角部1aの変形を抑制する構成40は、上述したように、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aよりも厚い第1の補強部41、第2の補強部42及びテーパ部43を備えている。第1の補強部41、第2の補強部42及びテーパ部43において通常側壁部20aよりも厚くなる部分は、例えば、容器1の内側に設けられている。言い換えると、容器1の外側においては、第1の補強部41(角部1a)、第2の補強部42及びテーパ部43は、側壁の通常側壁部20aより厚くなるものでなくてもよく、例えば、通常側壁部20aと面一となっている。但し、この形態に限定されるものではなく、容器1の外側において第1の補強部41等が通常側壁部20aより厚くなっていてもよい。
【0032】
次に、容器1の製造方法について説明する。容器1は以下の工程を経て製造される。
(A)樹脂材料と超臨界流体とを含む溶融樹脂組成物を調製する工程。
(B)溶融樹脂組成物を金型のキャビティ内に射出する工程。
(C)上記(B)工程後、キャビティを保圧するとともに冷却する工程。
(D)容器を金型から回収する工程。
(A)工程から(D)工程の一連の工程は、例えば、MuCell射出成形機(「MuCell」はTrexel.Co.Ltdの登録商標)を使用して実施できる(例えば、特許第6085729号や特許第6430684号を参照)。
【0033】
[(A)工程]
まず、樹脂材料と超臨界流体とを含む溶融樹脂組成物を調製する。樹脂材料として、熱可塑性樹脂が挙げられ、その具体例はポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂である。熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、好ましくは15g/10分以上であり、より好ましくは20~40g/10分であり、更に好ましくは25~36g/10分である。この値が15g/10分以上であることで、ショートショットの発生を抑制できる傾向にあり、他方、40g/10分以下であることで、落下耐性に優れる容器を製造できる傾向にある。なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1:2014に記載の方法に準拠し、温度230℃及び荷重2.16kgの条件で測定された値を意味する。ショートショットは、キャビティの流動末端にまで樹脂材料が至らない現象を意味する。
【0034】
従来の射出成形で薄肉容器を成形するには、ショートショット防止のために流動性の高い(MFRの値が大きい)樹脂を選定する必要があった。しかし、流動性の高い樹脂材料は分子量が比較的小さく、強度が低い傾向にあるため、優れた落下耐性の薄肉容器を製造しにくかった。これに対し、本実施形態においては、MFRの値が比較的小さい樹脂材料であっても、超臨界流体と併用することで、溶融樹脂組成部の流動性を高めることができる。これにより、ショートショットの抑制と優れた強度(例えば、座屈強度及び落下耐性)を両立することができる。
【0035】
超臨界流体として二酸化炭素を使用する場合、樹脂材料100質量部に対して1~4質量部、好ましくは2~3質量部の超臨界状態の二酸化炭素を添加して溶融樹脂組成物を調製する。二酸化炭素の量が2質量部以上であることで、成形ショット毎の充填圧のばらつきを小さくできるとともに、二酸化炭素の添加による溶融樹脂組成物の粘度低下により、ショートショットの発生を抑制することができる。他方、二酸化炭素の量が3質量部以下であることで、発泡性が損なわれてしまい、均一な気泡層を形成できずムラができてしまったり、または、十分な軽量化を実現することができない場合がある。
【0036】
超臨界流体として窒素を使用する場合、樹脂材料100質量部に対して0.5~1.5質量部の超臨界状態の窒素を添加して溶融樹脂組成物を調製する。窒素の量が0.5質量部以上であることで、成形ショット毎の充填圧のばらつきを小さくできるとともに、窒素の添加による溶融樹脂組成物の粘度低下により、ショートショットの発生を抑制することができる。これに加え、超臨界状態の窒素に起因する発泡を促すことで成形体の内部に空隙を形成することができる。他方、窒素の量が1.5質量部以下であることで、発泡性が損なわれてしまい、均一な気泡層を形成できずムラができてしまったり、または、十分な軽量化を実現することができない場合がある。
【0037】
溶融樹脂組成物の温度(スクリューシリンダ温度)は、樹脂材料の融点又はMFRに応じて設定すればよい。ポリプロピレン樹脂を使用する場合、この温度は210~250℃程度であることが好ましい。ポリエチレン樹脂を使用する場合、この温度は220~260℃程度であることが好ましい。この温度が下限値以上であることで、キャビティ内において樹脂が流動しやすく、他方、上限値以下であることで、樹脂の焦げ付きを抑制できる傾向にある。
【0038】
溶融樹脂組成物は、樹脂材料及び超臨界流体以外の成分を含んでもよい。すなわち、溶融樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、フィラー、着色剤、スリップ剤、帯電防止剤などを更に含んでもよい。
【0039】
[(B)工程]
(A)工程で調製した溶融樹脂組成物を容器1に対応する金型のゲートを通じてキャビティ内に射出する。この際、底面10に対応する側をゲート部とし、フランジ30及び嵌合部35に対応する側を流動末端部として、射出成形を行ってもよい。このような流動経路で溶融樹脂組成物をキャビティ内に導入すると、ゲート部側は所定の圧力を維持しやすなり、底面10や第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24等を薄肉に形成しやすくなる。また、角部1a等において、第1の補強部41、第2の補強部42及びテーパ部43等の厚肉部分を容易に形成することができる。
【0040】
(B)工程での溶融樹脂組成物の射出速度は、100~400mm/秒であることが好ましく、150~200mm/秒であることがより好ましい。射出速度が100mm/秒以上であることで、流動末端まで樹脂を到達させやすく、ショートショットの発生を抑制できる傾向がある。他方、射出速度が400mm/秒以下であることで、成形体にバリ不良が発生することを抑制できる傾向にある。なお、本実施形態に係る容器の製造方法では、射出速度を多段的に設定してもよく、射出速度の初速を250~350mm/秒とし、二段目速度を50~150mm/秒に減速してもよい。このように減速することで、金型の転写性を向上したり、成形途中での固化を防止したりすることができる。
【0041】
[(C)工程]
(C)工程では、上記(B)工程後、キャビティを保圧すると共に冷却する。射出後にかける保圧の条件としては、保圧力が20~50MPaであってもよく、一例として30MPaである。また、保圧時間は0.5~1.5秒であり、一例として1.0秒である。このような保圧により、底面10、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24等では、超臨界流体である二酸化炭素や窒素等が発泡しない。
【0042】
[(D)工程]
(D)工程では、上記(C)工程後、金型内の成形体の温度が30~60℃程度に下がった時点で、成形体(容器1)を金型から回収する。これにより、容器1を得ることができる。本実施形態においては、(C)工程で保圧を実施するため、容器1には目視で確認できるような大きな空隙があまり形成されない。但し、容器1内にマイクロベント等が形成される点は前述した通りである。
【0043】
なお、容器1は、上述した超臨界流体を用いた成形方法ではなく、超臨界流体を用いない通常の射出成形方法で作製してもよい。このような成形方法自体は公知の方法であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0044】
以上、本実施形態によれば、角部1aから落下した際に或る面Tに接触する角部1aに肉厚の第1の補強部41を設けると共に、第1の補強部41の周りに、更に肉厚の第2の補強部42を設けている。本発明者らの検討によれば、落下した際に直接接触する角部のみを補強しても角部の変形を十分に抑制することが難しかったものの、第1の補強部41の周りに更に第2の補強部42を設けることで角部1aの変形を大幅に改善できることが確認できた(詳細は以下の実施例を参照)。よって、このような構成の容器1によれば、容器1を何れかの角部1aから落下させてしまった際の角部1aの変形を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る容器1は、当該容器を角部1aから或る面Tに対して落下させた際に底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が少なくとも30度~45度である場合に、第2の補強部42が或る面Tに接触しないように、構成されている。このように、容器1が落下した際に或る面Tに接触しない部分を第2の補強部42として第1の補強部41による補強をサポートさせることにより、容器1を角部1aから落下させてしまった際の角部1aの変形をより確実に抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る容器1では、第2の補強部42は、第1の補強部41の周縁の少なくとも半分以上を覆う。これにより、第1の補強部41による補強を第2の補強部42で確実にサポートして、容器1を角部1aから落下させてしまった際の角部1aの変形をより確実に抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る容器1では、第1の補強部41は略三角形形状を呈しており、第2の補強部42は、第1の補強部41の略三角形形状の2辺に沿って設けられている。この場合、第1の補強部41による補強を第2の補強部42で確実にサポートして、容器1を角部1aから落下させてしまった際の角部1aの変形をより確実に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る容器1では、第2の補強部42は、第1の補強部41から外側に向かう幅が5mm以上15mm以下である。この場合、第2の補強部42による第1の補強部41のサポートをより確実に行うことが可能となる。
【0049】
また、本実施形態に係る容器1では、第1の補強部41及び第2の補強部42は、容器1の内側において他の部分より肉厚であり、且つ、容器1の外側において通常側壁部と面一となるように形成されている。この場合、容器1の外側における凹凸部分を減らすことができるため、容器外観の美感を向上することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る容器1では、底面10及び側壁部20の少なくとも一方は、第1及び第2の補強部41,42と通常側壁部及び底面10との間に設けられるテーパ部43を更に有している。テーパ部43は、第1及び第2の補強部41,42から通常側壁部及び底面10に向かって厚みが漸減している。この場合、第2の補強部42と底面10及び側壁部20(通常側壁部)との間で厚みが急激に変化してしまう凹凸形状を無くしてスムーズな内面形状とすることが可能となる。また、テーパ部43を設けることで、第1及び第2の補強部41,42で吸収した落下時の衝撃をよりスムーズに側壁部20等に伝えることができるため、落下の際の容器1の破損等を低減することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る容器1では、一例として、側壁部20の通常側壁部20aの厚みは、0.40mmよりも薄く、第1の補強部41及び第2の補強部42の厚みが0.45mmよりも薄くてもよい。この場合、側壁部20を薄くしつつ、容器1を落下させた際の角部1aの変形を抑制した容器を提供することができる。
【実施例0052】
以下、本発明について実施例及び比較例に基づいて説明する。以下の実施例及び比較例は、所定構造の容器に対して、3Dモデル図を作成し、そのモデル図を用いた構造解析CAEにて、落下衝撃シミュレーションを行い、各構成の容器の強度を確認したものである。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
まず、
図1~
図4に示す構成の容器を実施例1として設定した。この容器は、
図5及び
図6に示す構成40を備えており、第1の補強部41、第2の補強部42及びテーパ部43を備えた構成であった。第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aの厚みは0.35mmであり、第1の補強部41及び第2の補強部42の厚みは0.40mmであった。テーパ部43は、側壁に平行な面に対して45度の傾斜であり、第2の補強部42側の厚みが0.40mmであり、外側の厚みが0.35mmであった。
【0054】
(比較例1)
図1~
図4に示す構成の容器のうち、角部の変形を抑制する構成40を備えない容器を比較例1とした。比較例1の容器では、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aの厚みは0.47mmであった。
【0055】
(比較例2)
図1~
図4に示す構成の容器のうち、角部の変形を抑制する構成40を備えない容器を比較例2とした。比較例2の容器では、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aの厚みは0.35mmであった。
【0056】
(比較例3)
図1~
図4に示す構成の容器のうち、角部の変形を抑制する構成40を備えない容器を比較例3とした。比較例3の容器では、第1の側壁21,22及び第2の側壁23,24の通常側壁部20aの厚みは0.35mmであった。但し、比較例3に係る容器では、
図8に示すように、容器の角部に第1の補強部41に相当する厚肉部のみを設け、第2の補強部42及びテーパ部43に相当する部分は設けない構成とした。なお、比較例3における第1の補強部41は、後述する
図10、
図13及び
図16の角部における三角形形状の部分に相当する。
【0057】
なお、実施例1及び比較例1~3の容器の想定重量(g)及び減量化比(%)は以下とした。
(想定重量)
実施例1:10.10g
比較例1:12.63g
比較例2: 9.88g
比較例3: 9.93g
・想定重量:各種のモデル図から算出した体積値と比重から、重量を算出した値。
比重は、材質がポリプロピレン(PP)を想定して、0.90g/cm3を設定した。
【0058】
(減量化率)
実施例1:基準重量より20.0%を減量
比較例1:(基準重量)
比較例2:基準重量より21.8%を減量
比較例3:基準重量より21.4%を減量
・減量化率:比較例1を基準として、どの程度減量化できたかの値。
【0059】
このような実施例1に係る容器及び比較例1~3に係る容器を、
図7に示すように、底面10の周縁の一辺10eと或る面Tとの為す角度が30度、45度、60度となる3種類の落下条件で落下させた場合のシミュレーション解析を行った。但し、角度が45度の試験では、角部を含む側辺を或る面Tに落下接触させる試験とした。即ち、角度45度の試験では、側辺の両端に位置する2つの角部が或る面Tに落下接触するようにした。また、角度が30度と60度の試験では、1つの角部のみが或る面Tに落下接触させる試験とした。なお、シミュレーションの条件としては、以下を用いた。
・落下高さ800mm相当の初速度を与えて、剛体壁に衝突
・内容物はマーガリン300gを想定。
【0060】
図9及び
図10は、比較例1~3に係る容器を、角部を含む側辺から或る面Tに角度45度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図11は、実施例1に係る容器を、角部を含む側辺から或る面Tに角度45度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図12及び
図13は、比較例1~3に係る容器を、角部から或る面Tに角度30度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図14は、実施例1に係る容器を、角部から或る面Tに角度30度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図15及び
図16は、比較例1~3に係る容器を、角部から或る面Tに角度60度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図17は、実施例1に係る容器を、角部から或る面Tに角度60度で落下接触させた場合の容器の塑性ひずみのコンター図である。
図18は、実施例及び比較例に係る容器毎の塑性ひずみ0.1以上の面積値を示す図である。
【0061】
図9~
図17に示すように、実施例1に示す容器では、いずれの角度で落下した場合でもその落下による塑性ひずみが比較例1~3に係る容器の場合よりも抑えられる傾向にあることが確認できた。また、以下の表1に
図18で示す塑性ひずみ0.1以上の面積値(mm
2)を示す。この強度評価は、解析アプリケーション(ANSYS製LS-DYNA R11.0)を用いた落下衝撃試験にて行った。その落下衝撃試験より得られた結果から、塑性ひずみ0.1以上の面積値を算出し、相対評価を実施した。
【0062】
【0063】
表1、
図11、
図14及び
図17から明らかなように、実施例1に係る容器では、比較例1~3に係る容器に比べて塑性ひずみが生じる面積を大幅に抑制することができた。即ち、角部等から容器を落下させた際に角部が変形されることを大幅に抑制できることを確認した。また、実施例1では、比較例1に比べて側壁の厚さを大幅に低減している、即ちプラスチックの資料を削減しつつ、角部の変形を抑制できていることが確認できた。
【0064】
なお、
図19に、上述したシミュレーションによる解析上の映像と、実際の映像とを対比したものを示す。これは、シミュレーションによる解析の妥当性を評価するものである。両者の比較から明らかなように、シミュレーションによる解析上の映像と実際の映像とにおいて、角部の変形の仕方が略等しくなっていることが明らかである。つまり、上述したシミュレーションによる解析が適切であることが分かる。なお、第1の補強部41のみを設けた比較例3では、補強部が角部のみに設けられているため補強が十分ではなく、実施例1に比べて強度が弱いことが分かる。
1…容器、1a…角部、10…底面、20…側壁部、20a…通常側壁部、21,22…第1の側壁、23,24…第2の側壁、41…第1の補強部、41a,41b…2辺、42…第2の補強部、43…テーパ部、A…開口、T…或る面。