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特開2023-87814情報処理装置、予測方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023087814
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、予測方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230619BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202299
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔樹
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129CC16
2F129CC19
2F129DD34
2F129DD39
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF63
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】車両を目的地まで案内する際に、車両の搭乗者の行動目的に応じた案内を行うことが可能な情報処置装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、情報取得部と、予測部と、を備える。情報取得部は、車両の目的地を示す第1の情報と、車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する。予測部は、第1の情報、第2の情報及び第3の情報に少なくとも基づき、車両の搭乗者の行動目的を予測する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部と、
前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記車両の過去の走行履歴に含まれる前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報と、前記過去の走行履歴に含まれる前記車両が前記目的地に滞在した時間の長さを示す第4の情報と、の入力に応じて前記行動目的を出力するように学習された学習済の予測モデルを有している請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記目的地までの案内経路として、前記行動目的に応じた案内経路を取得する経路取得部と、
前記案内経路を出力する出力部と、
をさらに備える請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記経路取得部は、前記案内経路を取得する際に、前記車両の目的地が前記搭乗者の生活圏内に存在するかを判定して得られた判定結果を参照する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記経路取得部は、前記案内経路を取得する際に、前記案内経路として取得された過去の案内経路と、当該過去の案内経路が取得された際に前記車両が実際に走行した走行経路と、の間のずれに相当する予測誤差を参照する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得し、
前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測方法。
【請求項7】
コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、
車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部、及び、
前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の目的地までの経路の案内において利用可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の目的地までの経路を案内する装置として、例えば、特許文献1に開示されているような案内装置が従来知られている。
【0003】
具体的には、特許文献1には、案内装置において、車両の行動実績から当該車両の運転手の生活圏を推定するとともに、当該車両の現在地が当該生活圏内でありかつ混雑が発生していない場合に、当該車両の現在地から目的地までの経路として、当該生活圏内での運転実績が豊富な地元の運転手により高頻度で利用される抜け道等の経路を当該車両の運転手に提案する観点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-148476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、車両を目的地まで案内する際に、例えば、レジャー及びビジネス等のような、当該車両の搭乗者の行動目的を考慮する観点について特に開示等されていない。そのため、特許文献1に開示された構成によれば、車両を目的地まで案内する際に、当該車両の搭乗者の行動目的にそぐわない案内が行われてしまう場合がある、という課題が生じている。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、車両を目的地まで案内する際に、当該車両の搭乗者の行動目的に応じた案内を行うことが可能な情報処置装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載の発明は、情報処理装置であって、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部と、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部と、を備える。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、予測方法であって、車両の目的地を示す第1の情報と、前前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得し、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部、及び、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部として前記コンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る音声出力システムの構成例を示す図。
図2】音声出力装置の概略構成を示すブロック図。
図3】サーバ装置の概略構成の一例を示す図。
図4】予測モデルの学習時に行われる処理の一例を説明するための図。
図5】学習済の予測モデルを用いて行われる処理の概要を説明するための図。
図6】サーバ装置において行われる処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの好適な実施形態では、情報処理装置は、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部と、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部と、を備える。
【0012】
上記の情報処理装置は、情報取得部と、予測部と、を備える。情報取得部は、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する。予測部は、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する。これにより、車両を目的地まで案内する際に、当該車両の搭乗者の行動目的に応じた案内を行うことができる。
【0013】
上記の情報処理装置の一態様では、前記予測部は、前記車両の過去の走行履歴に含まれる前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報と、前記過去の走行履歴に含まれる前記車両が前記目的地に滞在した時間の長さを示す第4の情報と、の入力に応じて前記行動目的を出力するように学習された学習済の予測モデルを有している。
【0014】
上記の情報処理装置の一態様では、前記情報処理装置は、前記目的地までの案内経路として、前記行動目的に応じた案内経路を取得する経路取得部と、前記案内経路を出力する出力部と、をさらに備える。
【0015】
上記の情報処理装置の一態様では、前記経路取得部は、前記案内経路を取得する際に、前記車両の目的地が前記搭乗者の生活圏内に存在するかを判定して得られた判定結果を参照する。
【0016】
上記の情報処理装置の一態様では、前記経路取得部は、前記案内経路を取得する際に、前記案内経路として取得された過去の案内経路と、当該過去の案内経路が取得された際に前記車両が実際に走行した走行経路と、の間のずれに相当する予測誤差を参照する。
【0017】
本発明の他の実施形態では、予測方法は、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得し、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する。これにより、車両を目的地まで案内する際に、当該車両の搭乗者の行動目的に応じた案内を行うことができる。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムは、車両の目的地を示す第1の情報と、前記車両が走行する時間帯を示す第2の情報と、前記車両が走行する曜日を示す第3の情報と、を取得する情報取得部、及び、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に少なくとも基づき、前記車両の搭乗者の行動目的を予測する予測部として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の情報処理装置を実現することができる。このプログラムは記憶媒体に記憶して使用することができる。
【実施例0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
[システム構成]
(全体構成)
図1は、実施例に係る音声出力システムの構成例を示す図である。本実施例に係る音声出力システム1は、音声出力装置100と、サーバ装置200とを有する。音声出力装置100は、車両Veに搭載される。サーバ装置200は、複数の車両Veに搭載された複数の音声出力装置100と通信する。
【0021】
音声出力装置100は、基本的に車両Veの搭乗者であるユーザに対して、経路探索処理や経路案内処理などを行う。例えば、音声出力装置100は、ユーザにより目的地等が入力されると、車両Veの位置情報や指定された目的地に関する情報などを含むアップロード信号S1をサーバ装置200に送信する。サーバ装置200は、地図データを参照して目的地までの経路を算出し、目的地までの経路を示す制御信号S2を音声出力装置100へ送信する。音声出力装置100は、受信した制御信号S2に基づいて、音声出力によりユーザに対する経路案内を行う。
【0022】
また、音声出力装置100は、ユーザとの対話により各種の情報をユーザに提供する。例えば、音声出力装置100は、ユーザが情報要求を行うと、その情報要求の内容又は種類を示す情報、及び、車両Veの走行状態に関する情報などを含むアップロード信号S1をサーバ装置200に供給する。サーバ装置200は、ユーザが要求する情報を取得、生成し、制御信号S2として音声出力装置100へ送信する。音声出力装置100は、受信した情報を、音声出力によりユーザに提供する。
【0023】
(音声出力装置)
音声出力装置100は、車両Veと共に移動し、案内経路に沿って車両Veが走行するように、音声を主とした経路案内を行う。なお、「音声を主とした経路案内」は、案内経路に沿って車両Veを運転するために必要な情報をユーザが少なくとも音声のみから把握可能な経路案内を指し、音声出力装置100が現在位置周辺の地図などを補助的に表示することを除外するものではない。本実施例では、音声出力装置100は、少なくとも、案内が必要な経路上の地点(「案内地点」とも呼ぶ。)など、運転に係る様々な情報を音声により出力する。ここで、案内地点は、例えば車両Veの右左折を伴う交差点、その他、案内経路に沿って車両Veが走行するために重要な通過地点が該当する。音声出力装置100は、例えば、車両Veから次の案内地点までの距離、当該案内地点での進行方向などの案内地点に関する音声案内を行う。以後では、案内経路に対する案内に関する音声を「経路音声案内」とも呼ぶ。
【0024】
音声出力装置100は、例えば車両Veのフロントガラスの上部、又は、ダッシュボード上などに取り付けられる。なお、音声出力装置100は、車両Veに組み込まれてもよい。
【0025】
図2は、音声出力装置100の概略構成を示すブロック図である。音声出力装置100は、主に、通信部111と、記憶部112と、入力部113と、制御部114と、センサ群115と、表示部116と、マイク117と、スピーカ118と、車外カメラ119と、車内カメラ120と、を有する。音声出力装置100内の各要素は、バスライン110を介して相互に接続されている。
【0026】
通信部111は、制御部114の制御に基づき、サーバ装置200とのデータ通信を行う。通信部111は、例えば、後述する地図DB(DataBase)4を更新するための地図データをサーバ装置200から受信してもよい。
【0027】
記憶部112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部112には、音声出力装置100が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、経路案内を音声により行うためのアプリケーションプログラム、音楽を再生するためのアプリケーションプログラム、音楽以外のコンテンツ(テレビ等)を出力するためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部112は、制御部114の作業メモリとしても使用される。なお、音声出力装置100が実行するプログラムは、記憶部112以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0028】
また、記憶部112は、地図データベース(以下、データベースを「DB」と記す。)4を記憶する。地図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを記憶している。地図DB4は、制御部114の制御に基づき、通信部111が地図管理サーバから受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0029】
入力部113は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ等である。表示部116は、制御部114の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。マイク117は、車両Veの車内の音声、特に運転手の発話などを集音する。スピーカ118は、運転手などに対して、経路案内のための音声を出力する。
【0030】
センサ群115は、外界センサ121と、内界センサ122とを含む。外界センサ121は、例えば、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどの車両Veの周辺環境を認識するための1又は複数のセンサである。内界センサ122は、車両Veの測位を行うセンサであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、又はこれらの組合せである。なお、センサ群115は、制御部114がセンサ群115の出力から車両Veの位置を直接的に又は間接的に(即ち推定処理を行うことによって)導出可能なセンサを有していればよい。
【0031】
車外カメラ119は、車両Veの外部を撮影するカメラである。車外カメラ119は、車両の前方を撮影するフロントカメラのみでもよく、フロントカメラに加えて車両の後方を撮影するリアカメラを含んでもよく、車両Veの全周囲を撮影可能な全方位カメラであってもよい。一方、車内カメラ120は、車両Veの車内の様子を撮影するカメラであり、少なくとも運転席周辺を撮影可能な位置に設けられる。
【0032】
制御部114は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、音声出力装置100の全体を制御する。例えば、制御部114は、センサ群115の1又は複数のセンサの出力に基づき、車両Veの位置(進行方向の向きも含む)を推定する。また、制御部114は、入力部113又はマイク117により目的地が指定された場合に、当該目的地までの経路である案内経路を示す経路情報を生成し、当該経路情報と推定した車両Veの位置情報と地図DB4とに基づき、経路案内を行う。この場合、制御部114は、経路音声案内をスピーカ118から出力させる。また、制御部114は、表示部116を制御することで、再生中の音楽の情報、映像コンテンツ、又は現在位置周辺の地図などの表示を行う。
【0033】
なお、制御部114が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部114が実行する処理は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部114が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。このように、制御部114は、プロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
図2に示す音声出力装置100の構成は一例であり、図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地図DB4を記憶部112が記憶する代わりに、制御部114が通信部111を介して経路案内に必要な情報をサーバ装置200から受信してもよい。他の例では、音声出力装置100は、スピーカ118を備える代わりに、音声出力装置100とは別体に構成された音声出力部と電気的に又は公知の通信手段によって接続することで、当該音声出力部から音声を出力させてもよい。この場合、音声出力部は、車両Veに備えられたスピーカであってもよい。さらに別の例では、音声出力装置100は、表示部116を備えなくともよい。この場合、音声出力装置100は、表示に関する制御を全く行わなくともよく、有線又は無線により、車両Ve等に備えられた表示部と電気的に接続することで、当該表示部に所定の表示を実行させてもよい。同様に、音声出力装置100は、センサ群115を備える代わりに、車両Veに備え付けられたセンサが出力する情報を、車両VeからCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0035】
(サーバ装置)
サーバ装置200は、音声出力装置100から受信する目的地等を含むアップロード信号S1に基づき、車両Veが走行すべき案内経路を示す経路情報を生成する。そして、サーバ装置200は、その後に音声出力装置100が送信するアップロード信号S1が示すユーザの情報要求及び車両Veの走行状態に基づき、ユーザの情報要求に対する情報出力に関する制御信号S2を生成する。そして、サーバ装置200は、生成した制御信号S2を、音声出力装置100に送信する。
【0036】
図3は、サーバ装置200の概略構成の一例を示す図である。サーバ装置200は、主に、通信部211と、記憶部212と、制御部214とを有する。サーバ装置200内の各要素は、バスライン210を介して相互に接続されている。
【0037】
通信部211は、制御部214の制御に基づき、音声出力装置100などの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部212は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部212は、サーバ装置200が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部212は、地図DB4を含んでいる。
【0038】
制御部214は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置200の全体を制御する。また、制御部214は、記憶部212に記憶されたプログラムを実行することで、音声出力装置100とともに動作し、ユーザに対する経路案内処理や情報提供処理などを実行する。例えば、制御部214は、音声出力装置100から通信部211を介して受信するアップロード信号S1に基づき、案内経路を示す経路情報、又は、ユーザの情報要求に対する情報出力に関する制御信号S2を生成する。そして、制御部214は、生成した制御信号S2を、通信部211により音声出力装置100に送信する。また、制御部214は、車両Veの搭乗者の行動目的を予測する際に用いる予測モデル214aを有している。予測モデル214aは、例えば、ニューラルネットワークを用いて構築されているとともに、後述のような手法を用いて学習された学習済のモデルとして構築されている。
【0039】
[予測モデル]
図4は、予測モデルの学習時に行われる処理の一例を説明するための図である。
【0040】
制御部214は、車両Veの過去の走行履歴に係る情報である走行履歴情報SRJを音声出力装置100から取得するとともに、当該取得した走行履歴情報SRJに含まれる情報を用いて予測モデル214aを学習させる。
【0041】
具体的には、制御部214は、例えば、走行履歴情報SRJの中から、当該車両Veの目的地を示す情報JT11と、当該車両Veが当該目的地に滞在(到達)した時間帯を示す情報JT12と、当該車両Veが当該目的地に滞在(到達)した曜日を示す情報JT13と、当該車両Veが当該目的地に滞在した時間の長さを示す情報JT14と、を抽出する。そして、制御部214は、情報JT11~JT14の入力に応じ、予め設定された複数の行動目的の中から、車両Veの搭乗者の行動目的としての蓋然性が最も高い一の行動目的BMTが選択及び出力されるように、予測モデル214aを学習させる(図4参照)。
【0042】
情報JT11は、例えば、自宅及び商業施設等のような、車両Veの目的地となった場所の概要を示す情報であればよい。
【0043】
情報JT12は、例えば、車両Veが目的地に滞在(到達)した時間帯が昼間及び夜間のうちのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0044】
情報JT13は、例えば、車両Veが目的地に滞在(到達)した曜日が平日及び休日のうちのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0045】
情報JT14は、例えば、車両Veが当該目的地に滞在した時間が短時間及び長時間のうちのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0046】
なお、本実施例においては、予測モデル214aにより選択され得る複数の行動目的として、例えば、「勤務」、「帰宅」及び「レジャー」が含まれている。そのため、このような場合においては、「勤務」、「帰宅」及び「レジャー」のうちのいずれか1つが行動目的BMTとして予測モデル214aから出力されればよい。
【0047】
図5は、学習済の予測モデルを用いて行われる処理の概要を説明するための図である。
【0048】
一方、制御部214は、車両Veの現在の運転状況を示す情報である運転状況情報DSJを音声出力装置100から取得する。
【0049】
なお、運転状況情報DSJには、例えば、車両Veの目的地、当該車両Veの方位、当該車両Veの速度、当該車両Veの位置の周辺の交通情報(速度規制及び渋滞情報等を含む)、現在の日付、及び、現在の時刻等のような、音声出力装置100の各部の機能に基づいて取得可能な少なくとも1つの情報が含まれていればよい。また、運転状況情報DSJには、マイク117により得られた音声、車外カメラ119により撮影された画像、及び、車内カメラ120により撮影された画像のうちのいずれかが含まれていてもよい。また、運転状況情報には、通信部111を通じてサーバ装置200から受信した情報が含まれていてもよい。
【0050】
また、制御部214は、音声出力装置100から取得した運転状況情報DSJに含まれる情報と、前述の手法により学習された学習済の予測モデル214aと、を用い、当該車両Veの搭乗者の行動目的を予測する。
【0051】
具体的には、制御部214は、例えば、運転状況情報DSJの中から、当該車両Veの目的地を示す情報JH11と、当該車両Veが当該目的地へ向かって走行する時間帯を示す情報JH12と、当該車両Veが当該目的地へ向かって走行する曜日を示す情報JH13と、を抽出する。そして、制御部214は、学習済の予測モデル214aに対して情報JH11~JH13を入力することにより、運転状況情報DSJが取得された車両Veの搭乗者の行動目的の予測結果に相当する行動目的BMHを取得する(図5参照)。
【0052】
情報JH11は、例えば、自宅及び商業施設等のような、車両Veの目的地となる場所の概要を示す情報であればよい。車両Veの目的地は、例えば、車両Veの搭乗者による音声出力装置100等の操作に応じて決定されたものであればよい。または、車両Veの目的地は、例えば、予測モデル214aとは異なる推定モデル等の推定結果に応じて決定されたものであってもよい。
【0053】
情報JH12は、例えば、車両Veが目的地へ向かって走行する時間帯が昼間及び夜間のうちのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0054】
情報JH13は、例えば、車両Veが目的地へ向かって走行する曜日が平日及び休日のうちのいずれであるかを特定可能な情報であればよい。
【0055】
なお、本実施例によれば、前述の行動目的BMTが出力されるように予測モデル214aが学習された場合において、「勤務」、「帰宅」及び「レジャー」のうちのいずれか1つが行動目的BMHとして予測モデル214aから出力される。
【0056】
そのため、制御部214は、例えば、情報JH11により示される目的地がオフィスビルであり、情報JH12により示される時間帯が昼間であり、かつ、情報JH13により示される曜日が平日である場合には、行動目的BMHとして「勤務」を取得する。また、制御部214は、例えば、情報JH11により示される目的地が自宅であり、情報JH12により示される時間帯が夜間であり、かつ、情報JH13により示される曜日が平日である場合には、行動目的BMHとして「帰宅」を取得する。また、制御部214は、例えば、情報JH11により示される目的地が商業施設であり、情報JH12により示される時間帯が昼間であり、かつ、情報JH13により示される曜日が休日である場合には、行動目的BMHとして「レジャー」を取得する。
【0057】
なお、以上に述べたような行動目的BMHを取得するための処理は、予測モデル214aを用いて行われるものに限らず、例えば、ルールベースのアルゴリズム、テーブル、及び、所定の関数等のうちの少なくともいずれか1つを用いて行われるものであってもよい。
【0058】
また、本実施例によれば、制御部214は、情報JH11~JH13と、当該情報JH11~JH13のいずれとも異なる他の情報と、を予測モデル214aに入力して行動目的BMHを取得するようにしてもよい。具体的には、制御部214は、情報JH11~JH13と、車両Veの目的地における予定滞在時間を示す情報と、を予測モデル214aに入力して行動目的BMHを取得するようにしてもよい。また、制御部214は、情報JH11~JH13と、車両Veの目的地が当該車両Veの搭乗者の生活圏内に存在する否かを示す情報と、を予測モデル214aに入力して行動目的BMHを取得するようにしてもよい。
【0059】
[案内経路の取得]
制御部214は、例えば、車両Veにおいて経路案内が開始された際に、記憶部212に格納されている地図DB4と、通信部211において受信した当該車両Veの運転状況情報と、に基づき、当該車両Veの現在地から目的地までの経路として、行動目的BMHに応じた案内経路MRを取得する。
【0060】
具体的には、制御部214は、例えば、行動目的BMHとして「勤務」を取得した場合には、車両Veまでの現在地から目的地までの到着時間が最も短くなるような案内経路MRAを取得する。また、制御部214は、例えば、行動目的BMHとして「帰宅」を取得した場合には、事故が多発している地点を(可能な限り)回避するような案内経路MRBを取得する。また、制御部214は、例えば、行動目的BMHとして「レジャー」を取得した場合には、道幅の狭い道を(可能な限り)回避するような案内経路MRCを取得する。
【0061】
制御部214は、前述のように取得した案内経路MRを通信部211から音声出力装置100へ送信するための処理を行う。そして、このような処理に応じ、案内経路MRに応じた案内音声がスピーカ118から出力される。
【0062】
なお、本実施例によれば、制御部214は、行動目的BMHに応じた案内経路MRを取得する際に、車両Veの目的地が当該車両Veの搭乗者の生活圏内に存在するかを判定して得られた判定結果HTKを参照するようにしてもよい。すなわち、本実施例の制御部214は、行動目的BMH及び判定結果HTKに応じた案内経路MRを取得するものであってもよい。
【0063】
また、本実施例によれば、制御部214は、行動目的BMHに応じた案内経路MRを取得する際に、車両Veの搭乗者の行動目的に応じた経路として取得された過去の案内経路と、当該過去の案内経路が取得された際に当該車両Veが実際に走行した走行経路と、の間のずれに相当する予測誤差YGSを参照するようにしてもよい。すなわち、本実施例の制御部214は、行動目的BMH及び予測誤差YGSに応じた案内経路MRを取得するものであってもよい。予測誤差YGSは、例えば、過去に案内経路MRXが取得された場合に、車両Veが実際に走行した走行経路が当該案内経路MRXに完全に一致していれば0%となるような値である。また、予測誤差YGSは、例えば、過去に案内経路MRXが取得された場合に、車両Veが実際に走行した走行経路が当該案内経路MRXから外れるに従って大きくなるような値である。
【0064】
また、本実施例によれば、行動目的BMHに応じた案内経路として、案内経路MRA、MRB及びMRC以外の経路が取得されるものであってもよい。具体的には、本実施例によれば、行動目的BMHに応じた案内経路として、右折を(可能な限り)回避するような経路が取得されるものであってもよい。
【0065】
また、本実施例によれば、制御部214は、行動目的BMHに応じた案内経路MRを取得する際に、走行履歴情報SRJを参照することにより、当該行動目的BMHに応じた案内経路として予め設定されている経路とは異なる経路を取得するようにしてもよい。具体的には、制御部214は、例えば、行動目的BMHとして「レジャー」を取得した際の案内経路が案内経路MRAに予め設定されている場合に、走行履歴情報SRJに含まれる過去の走行経路等を参照することにより、当該行動目的BMHに応じた案内経路として案内経路MRCを取得するようにしてもよい。また、このような場合において、制御部214は、行動目的BMHとして「レジャー」を取得した際の案内経路を案内経路MRCに再設定してもよい。
【0066】
[処理フロー]
続いて、サーバ装置200において行われる処理のうち、学習済の予測モデルを用いた処理について説明する。図6は、サーバ装置において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【0067】
まず、サーバ装置200の制御部214は、車両Veの現在の運転状況を示す運転状況情報DSJを音声出力装置100から取得する(ステップS11)。
【0068】
次に、制御部214は、ステップS11により取得した運転状況情報DSJの中から、予測モデル214aに入力する情報を抽出する(ステップS12)。このような処理によれば、車両Veの目的地を示す情報と、当該車両Veが当該目的地へ向かって走行する時間帯を示す情報と、当該車両Veが当該目的地へ向かって走行する曜日を示す情報と、が運転状況情報の中から抽出される。
【0069】
続いて、制御部214は、ステップS12において抽出した情報を予測モデル214aに入力することにより、運転状況情報DSJが取得された車両Veの搭乗者の行動目的の予測結果に相当する行動目的BMHを取得する(ステップS13)。
【0070】
続いて、制御部214は、ステップS13により取得した行動目的BMHに応じた案内経路MRを取得する(ステップS14)。
【0071】
最後に、制御部214は、案内経路MRを通信部211から音声出力装置100へ送信(出力)させるための制御を行う。このような制御に応じ、通信部211は、案内経路MRを音声出力装置100へ送信(出力)する(ステップS15)。そして、このような処理に応じ、案内経路MRに応じた案内音声が生成されるとともに、当該生成された案内音声がスピーカ118から出力される。
【0072】
本実施例によれば、制御部214は、予測部、情報取得部及び経路取得部としての機能を有する。また、本実施例によれば、通信部211は、出力部としての機能を有する。
【0073】
以上に述べたように、本実施例によれば、車両の搭乗者の行動目的を予測モデル214aにより予測し、当該行動目的に応じた案内経路を取得し、当該取得した案内経路に応じた音声案内を行うことができる。そのため、本実施例によれば、車両を目的地まで案内する際に、当該車両の搭乗者の行動目的に応じた案内を行うことができる。
【0074】
なお、本実施例によれば、例えば、制御部114が予測部及び経路取得部としての機能を有し、通信部111または制御部114が情報取得部としての機能を有するとともに、スピーカ118が出力部としての機能を有する場合に、図6の一連の処理と略同様の処理を音声出力装置100において行うことができる。
【0075】
上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0076】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0077】
100 音声出力装置
200 サーバ装置
111、211 通信部
112、212 記憶部
113 入力部
114、214 制御部
115 センサ群
116 表示部
117 マイク
118 スピーカ
119 車外カメラ
120 車内カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6