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特開2023-88011検査方法、検査装置、検査システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088011
(43)【公開日】2023-06-26
(54)【発明の名称】検査方法、検査装置、検査システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3581 20140101AFI20230619BHJP
【FI】
G01N21/3581
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202622
(22)【出願日】2021-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水内 理映子
(72)【発明者】
【氏名】久里 裕二
(72)【発明者】
【氏名】長 広明
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】野田 周平
(72)【発明者】
【氏名】森 浩樹
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB15
2G059EE02
2G059GG08
2G059HH05
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059MM01
(57)【要約】
【課題】電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を非破壊で検査する時間を短縮することが可能な検査方法、検査装置、検査システム及びプログラムを提供することにある。
【解決手段】実施形態によれば、電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査方法が提供される。検査方法は、樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたパルス波の当該樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得するステップと、取得された反射波信号に基づいて異物を含む画像を生成するステップとを具備する。複数の照射点は、生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査方法であって、
前記樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたパルス波の当該樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得するステップと、
前記取得された反射波信号に基づいて前記異物を含む画像を生成するステップと
を具備し、
前記複数の照射点は、前記生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている
検査方法。
【請求項2】
前記生成するステップは、圧縮センシング技術を適用することによって前記画像を生成する請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記電力機器の構造と前記樹脂及び当該樹脂の内部に混入している可能性がある異物の比誘電率との少なくとも一方に基づいて、前記パルス波の伝搬挙動を予測するステップとを更に具備し、
前記パルス波の照射条件は、前記予測されたパルス波の伝搬挙動に基づいて設定される
請求項1または2記載の検査方法。
【請求項4】
前記パルス波の照射条件は、前記パルス波の周波数と、前記パルス波を発振するように構成された発振装置の位置及び前記反射波を受信するように構成された受信装置の位置との少なくとも一方を含む請求項3記載の検査方法。
【請求項5】
前記取得された反射波信号に基づいて反射波形を示す波形データを生成するステップと、
前記生成された波形データに基づいて前記異物の種別を判別するステップと
を更に具備し、
前記異物の種別は、異物の界面からの反射波形を示す波形データと当該異物の周囲の樹脂からの反射波形を示す波形データとの相関性を予め学習した学習済モデルを用いて判別される
請求項1~4のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項6】
前記異物は、金属、気泡、樹脂バリ、剥離及びき裂のうちの少なくとも1つを含み、
前記パルス波は、少なくとも0.1テラヘルツ帯のテラヘルツ波を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項7】
前記パルス波を発振するように構成された発振装置及び前記反射波を受信するように構成された受信装置は、前記パルス波及び前記反射波を収束させるレンズを備えるように構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項8】
前記パルス波を発振するように構成された発振装置及び前記反射波を受信するように構成された受信装置は、前記パルス波及び前記反射波を収束させるレンズを備えないように構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項9】
電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査装置であって、
前記樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたパルス波の当該樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得する取得手段と、
前記取得された反射波信号に基づいて前記異物を含む画像を生成する生成手段と
を具備し、
前記複数の照射点は、前記生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている
検査装置。
【請求項10】
電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査システムであって、
前記樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されるパルス波を発振するように構成された発振装置と、
前記パルス波の前記樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波を受信するように構成された受信装置と、
前記受信装置によって受信された反射波に応じた反射波信号を取得する取得手段と、前記取得された反射波信号に基づいて前記異物を含む画像を生成する生成手段とを含む検査装置と
を具備し、
前記複数の照射点は、前記生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている
検査システム。
【請求項11】
電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたパルス波の当該樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得するステップと、
前記取得された反射波信号に基づいて前記異物を含む画像を生成するステップと
を実行させ、
前記複数の照射点は、前記生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査方法、検査装置、検査システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力機器は、金属によって形成される導電部(導電体)が樹脂で覆われることによって、絶縁性を維持することができるように構成されている場合が多い。
【0003】
しかしながら、上記した導電部を樹脂で覆う工程においては、当該樹脂の内部に異物が混入する場合がある。このような異物は電力機器における部分放電または絶縁破壊を引き起こし、当該電力機器の故障原因となり得る。
【0004】
このため、異物の混入に関して導電部を覆う樹脂の内部を検査することが求められている。この場合、例えば樹脂を破壊して当該樹脂の内部に異物が混入しているか否かを検査することは可能であるが、このような検査手法は、樹脂の破壊が必要であるため、破壊費用の発生または検査にかかる労力等の観点から好ましくない。このため、樹脂を破壊することなく(つまり、非破壊で)当該樹脂の内部を検査することが望ましい。
【0005】
しかしながら、導電部を覆う樹脂は厚みがあり、かつ、電力機器(製品)によって構造(例えば、樹脂の形状等)が異なるため、非破壊で当該樹脂の内部を検査することは困難である。また、異物の混入に対する対策を講じるためには樹脂の内部に混入している異物の種別を判別することが有用であるが、非破壊で当該異物の種別を判別(検査)することも困難である。特に混入異物はサイズが小さいものが多く、精密な検査が必要になる。このため、非破壊で樹脂の内部を検査する場合には、多くの時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-105649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を非破壊で検査する時間を短縮することが可能な検査方法、検査装置、検査システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査方法が提供される。前記検査方法は、前記樹脂に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたパルス波の当該樹脂の内部に混入している異物の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得するステップと、前記取得された反射波信号に基づいて前記異物を含む画像を生成するステップとを具備する。前記複数の照射点は、前記生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る検査装置の機能構成の一例を示す図。
図2】検査装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】電力機器を模式的に示す図。
図4】レンズ方式が採用されている発振装置と受信装置との位置関係の一例を示す図。
図5】レンズレス方式が採用されている発振装置及び受信装置について説明するための図。
図6】発振装置と受信装置との位置関係の他の例を示す図。
図7】検査装置の処理手順の一例を示す図。
図8】シミュレーションモデルの概要について説明するための図。
図9】第1材質及び第2材質の界面で反射した反射波の一例について説明するための図。
図10】第1材質及び第2材質の界面で反射した反射波の一例にについて説明するための図。
図11】第1材質及び第2材質の界面で反射した反射波の一例にについて説明するための図。
図12】実際の検査結果に基づく反射波形の一例を示す図。
図13】実際の検査結果に基づく反射強度の一例を示す図。
図14】圧縮センシング技術を適用することによって生成される画像の一例について説明するための図。
図15】異物からの反射波と当該異物の周囲の樹脂からの反射波とを比較した際の反射波の特性の差異について説明するための図。
図16】レンズ方式が採用されている場合に生成される画像の一例を示す図。
図17】レンズレス方式が採用されている場合に生成される画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
本実施形態に係る検査装置は、樹脂によって導電部(導電体)が覆われるように構成されている電力機器に対してパルス波を照射することにより、当該樹脂を破壊することなく、当該樹脂の内部を検査する(つまり、当該樹脂の内部に混入している異物を検出する)ために用いられる。
【0011】
なお、本実施形態においては、樹脂の内部に混入している異物の種別として、例えば金属、気泡及び樹脂バリ等を想定している。また、異物の種別は、例えば導電部と樹脂との間に生じている剥離や樹脂内に生じているき裂のような電力機器の異常(欠陥)を含む概念であってもよい。
【0012】
電力機器は、例えば遮断器、断路器、変流器または変圧器等の機器を含む。また、電力機器は、部分放電を発生する可能性がある機器であれば、例えば電力用変圧器、ガス絶縁開閉器、発電機、電動機またはリアクトル等であってもよい。このような電力機器は、電源ケーブルを介して外部から高電圧及び大電流を通電するため、絶縁性を維持するように導電部が樹脂で覆われた構成を有する。
【0013】
ここで、上記した樹脂の内部を非破壊で検査する手法としては、例えばX線または赤外線等の電磁波を用いる手法や超音波を用いる手法がある。以下、このような検査に使用されるいくつかの手法について簡単に説明する。
【0014】
まず、X線は、樹脂透過性がよいため、樹脂の内部の検査に使用することができる。しかしながら、X線は金属に対して透過性が低いため、金属が埋め込まれている構造体の場合には、適切な検査を行うことができない可能性がある。なお、例えばX線CT装置を用いた検査(X線CT検査)によれば金属が埋め込まれていても樹脂の内部を検査(観察)することは可能であるが、大型の電力機器の場合は一般的なX線CT装置では検査することができない。大型の電力機器に対応可能なX線CT装置も存在するが、このようなX線CT装置は特殊仕様であり、当該X線CT装置を用いた検査は現実的でない。また、X線を用いる場合には放射線管理も必要となる。
【0015】
更に、異物の混入に対する対策を講じるためには樹脂の内部に混入している異物の種別を判別することが有用であるが、当該異物の種別を判別するという観点からすれば、X線を使用した場合には、密度の違いにより、樹脂の内部に混入している金属及び気泡等を判別することは可能であると考えられる。しかしながら、樹脂バリのような密度が近いもの同士を区別して検出することはできない。
【0016】
次に、赤外線(を用いたサーモグラフィ)に関しては、簡便に樹脂の内部の情報を得ることが可能であるが、樹脂が厚く(例えば、3mm以上)なると当該情報を得ることが難しくなる。また、赤外線の場合には、分解能が低いため、小さな異物を検出することは困難である。また、異物の種別については熱伝導差で判別することになるため、赤外線を用いて異物の種別を判別するのは困難である。
【0017】
また、超音波は、比較的簡易に、高い分解能で樹脂の内部の情報を得ることができる。しかしながら、超音波は樹脂中での減衰が大きく、一般的な手法では厚い樹脂(例えば、10mm以上)の検査は困難である。また、超音波は空気中での減衰も大きいため、検査時には例えば水浸やゲルを介する必要があり、煩雑である。異物の種別については、超音波の反射率や物質中での伝搬速度が物質によって異なる性質を利用すれば判別可能である。特に、電力機器(樹脂)の表層部の異物に関しては、超音波を用いた検査は有効な手法である。
【0018】
なお、上記したX線、赤外線及び超音波以外では、高周波数帯の電磁波(例えば、テラヘルツ波)を用いることが考えられる。テラヘルツ波は、樹脂透過性のよい電磁波であり、厚みのある樹脂(例えば、60mm程度)であっても内部に混入している異物を検出することができる。また、走査機構等を設けた場合には、大型の電力機器に対応する(つまり、大型の電力機器の樹脂の内部を検査する)ことも可能である。更に、異物の種別は、テラヘルツ波の透過特性が物質によって異なる性質を利用することによって判別することができる可能性がある。
【0019】
そこで、本実施形態においては、上記したテラヘルツ波を用いて電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する検査装置について説明する。なお、本実施形態における樹脂の内部の検査には、当該樹脂の内部に混入している異物(例えば金属、気泡及び樹脂バリ等)を検出すること及び上記した剥離や亀裂が生じている(つまり、電力機器に欠陥が生じている)ことを検出すること等が含まれる。更に、樹脂の内部の検査には、当該樹脂の内部に混入している異物の種別を判別することが含まれていてもよい。
【0020】
図1は、本実施形態に係る検査装置の機能構成の一例を示す。図1に示す検査装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはサーバ装置等の情報処理装置(電子機器)である。
【0021】
図1に示すように、検査装置10は、発振装置(発振機)20及び受信装置(受信器)30と接続される。本実施形態において、検査装置10、発振装置20及び受信装置30は、検査システムを構成する。
【0022】
発振装置20は、電力機器(導電部を覆う樹脂)に対して所定のパルス波(テラヘルツ波)を照射するために用いられる照射装置としての機能を有し、例えば検査装置10からの指示に応じて当該テラヘルツ波を発振するように構成されている。なお、発振装置20によって発振されるテラヘルツ波は、例えば0.05~10THzの範囲に該当する周波数帯の電磁波であるものとする。
【0023】
上記したように発振装置20から発振されたテラヘルツ波が樹脂に照射された場合、当該テラヘルツ波は、例えば樹脂の内部に混入している異物(の界面)において反射する。受信装置(検波装置)30は、このような反射波を受信(検波)するように構成されている。受信装置30は、受信された反射波を電気信号に変換することによって当該反射波に応じた反射波信号を生成する。この反射波信号には、受信装置30によって受信された反射波の強度(信号強度)、当該反射波の強度のピーク値及び当該ピークに到達した時間(以下、ピーク到達時間と表記)等が含まれる。
【0024】
なお、本実施形態において電力機器に照射されるテラヘルツ波(つまり、発振装置20によって発振されるテラヘルツ波)の計測光遅延時間は例えば160secである。なお、この計測光遅延時間を光路長に換算した場合は48mmとなる。反射型使用時測定可能厚さは24mm(往復48mm、屈折率1.0)である。テラヘルツ波形取得速度は1000波形/秒である。なお、イメージング時の取得速度は1000ピクセル/秒である。サンプリング間隔は0.1psecである。テラヘルツ波発振帯域は2.0THzより大きい。
【0025】
なお、発振装置20には高出力型または広帯域型等の種類があるが、当該発振装置20の種類については、テラヘルツ波が照射される樹脂の材質等(つまり、検査対象)に応じて適切なものが使用されればよい。
【0026】
図1に示す検査装置10は、伝搬挙動予測部11、反射波信号取得部12、波形データ生成部13、画像生成部14、深さ算出部15、判別部16及び出力部17を含む。
【0027】
伝搬挙動予測部11は、例えば電力機器の構造と樹脂及び当該樹脂の内部に混入している可能性がある異物の比誘電導率との少なくとも一方に基づいて、電力機器において導電部を覆う樹脂の内部を検査する際のテラヘルツ波の伝搬挙動を予測する。上記した検査時における発振装置20によって発振されるテラヘルツ波(つまり、樹脂に照射されるテラヘルツ波)の周波数や発振装置20の位置及び受信装置30の位置は、伝搬挙動予測部11による予測結果に基づいて設定される。
【0028】
反射波信号取得部12は、上記した受信装置30において生成された反射波信号を当該受信装置30から取得する。
【0029】
波形データ生成部13は、反射波信号取得部12によって取得された反射波信号に基づいて、反射波の波形(以下、反射波形と表記)を示す波形データを生成する。具体的には、波形データ生成部13は、反射波信号に含まれる反射波の強度、当該反射波の強度のピーク値及びピーク到達時間等が反映された波形データを生成する。
【0030】
画像生成部14は、反射波信号取得部12によって取得された反射波信号に基づいて画像(例えば、平面画像)を生成する。具体的には、画像生成部14は、反射波信号に基づいて3次元画像データを生成する。なお、3次元画像データは、例えば3次元空間の直交座標系の座標値毎に反射波信号に含まれる反射波の強度等に相当する画素値を含む。画像生成部14は、この3次元画像データに基づいて異物が含まれる画像を生成する。具体的には、画像生成部14は、3次元空間の座標値(x,y,z)のうち、いずれか1つの座標軸の値を固定した平面画像を生成する。例えばZ軸の座標値を固定した場合、画像生成部14は、固定されたZ軸の座標値におけるXY平面に関する平面画像を生成することができる。
【0031】
深さ算出部15は、反射波信号取得部12によって取得された反射波信号に基づいて樹脂の内部に混入している異物の深さを算出する。なお、異物の深さは、テラヘルツ波が照射される樹脂の表面から当該異物までの距離であり、反射波信号に含まれるピーク到達時間(遅延時間)及び樹脂の屈折率に基づいて算出される。なお、樹脂の屈折率は、例えば予め計測されて検査装置10の内部で保持されているものとする。
【0032】
判別部16は、反射波信号取得部12によって取得された反射波信号を解析することによって得られる異物の種別に応じて値が異なる指標に基づいて、樹脂の内部に混入している異物の種別を判別する。本実施形態においては、例えば波形データ生成部13によって生成される波形データ上に現れる指標(特性)を利用して異物の種別が判別されるものとする。
【0033】
出力部17は、波形データ生成部13によって生成された波形データ、画像生成部14によって生成された画像、深さ算出部15によって算出された異物の深さ及び判別部16によって判別された異物の種別等を出力する。
【0034】
図2は、図1に示す検査装置10のハードウェア構成の一例を示す。検査装置10は、CPU101、不揮発性メモリ102、RAM103及び通信デバイス104等を備える。また、検査装置10は、CPU101、不揮発性メモリ102、RAM103及び通信デバイス104を相互に接続するバス105を有する。
【0035】
CPU101は、検査装置10内の各コンポーネントの動作を制御するためのプロセッサである。CPU101は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサで構成されていてもよい。CPU101は、不揮発性メモリ102からRAM103にロードされる様々なプログラムを実行する。本実施形態において、CPU101によって実行されるプログラムには、検査プログラム103aが含まれる。
【0036】
なお、上記した図1に示す伝搬挙動予測部11、反射波信号取得部12、波形データ生成部13、画像生成部14、深さ算出部15、判別部16及び出力部17の一部または全ては、例えばCPU101(つまり、検査装置10のコンピュータ)が検査プログラム103aを実行すること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。この検査プログラム103aは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して頒布されてもよいし、ネットワークを通じて検査装置10にダウンロードされても構わない。
【0037】
ここでは上記した各部11~17の一部または全てがソフトウェアによって実現されるものとして説明したが、当該各部11~17の一部または全ては、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成によって実現されてもよい。
【0038】
不揮発性メモリ102は、補助記憶装置として用いられる記憶媒体である。RAM103は、主記憶装置として用いられる記憶媒体である。図2においては、不揮発性メモリ102及びRAM103のみが示されているが、検査装置10は、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の他の記憶装置を備えていてもよい。
【0039】
通信デバイス104は、外部機器との有線通信または無線通信を実行するように構成されたデバイスである。
【0040】
図2においては省略されているが、検査装置10は、例えばマウスまたはキーボードのような入力装置及びディスプレイのような表示装置を更に備えていてもよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る検査装置10において樹脂の内部を検査する原理について説明する。
【0042】
図3は、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向によって規定されている3次元空間に配置された電力機器40を模式的に示している。図3に示すように、電力機器40は、金属材料から構成される導電部41及び当該導電部41を覆う樹脂(絶縁体)42から構成されている。なお、図3においては、便宜的に、導電部41及び樹脂42の一部のみが示されている。
【0043】
樹脂42は、例えばフィラーを含むエポキシ樹脂によって形成されている。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられてもよい。また、樹脂42の硬化剤としては、酸無水物系が用いられてもよい。フィラーとしては、例えばシリカが用いられる。なお、ここで説明した樹脂42は一例であり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂の代わりにジシクロペンタジエン等が用いられてもよい。
【0044】
上記したように電力機器40における樹脂42には異物43が混入されている場合があり、当該異物43は、金属、気泡及び樹脂バリ等を含む。
【0045】
次に、上記した電力機器40(樹脂42)に対して照射されるテラヘルツ波を発振する発振装置20及び当該電力機器40からのテラヘルツ波の反射波を受信する受信装置30について説明する。
【0046】
図4は、例えば電力機器40と空気との界面に対して垂直方向からテラヘルツ波を照射する場合の発振装置20と受信装置30との位置関係を示している。
【0047】
この場合、発振装置20から発振されたテラヘルツ波の一部はビームスプリッタ51によって反射されるが、当該ビームスプリッタ51によって反射されないテラヘルツ波はビームスプリッタ51を透過する。ビームスプリッタ51を透過したテラヘルツ波は、レンズ52によって収束される。収束されたテラヘルツ波は、電力機器40に到達する。電力機器40(樹脂42の内部に混入している異物43の界面)で反射されたテラヘルツ波の一部(反射波)は、ビームスプリッタ51で屈折し、受信装置30によって受信される。
【0048】
図4においてはレンズ52を備える発振装置20及び受信装置30(つまり、レンズ方式が採用されている発振装置20及び受信装置30)について説明したが、発振装置20及び受信装置30は、図5に示すようにレンズ52を備えない(つまり、レンズレス方式を採用した)構成であってもよい。
【0049】
また、図6は、例えば電力機器40と空気との界面に対して垂直ではない角度からテラヘルツ波を照射する場合の発振装置20及び受信装置30との位置関係を示している。
【0050】
この場合、発振装置20は、当該発振装置20によって発振されたテラヘルツ波が所定の角度を設けて電力機器40に照射される位置に配置される。所定の角度とは、例えば電力機器40と空気との界面に対して垂直ではない角度である。このように発振装置20から発振されたテラヘルツ波は、電力機器40に到達する。電力機器40(樹脂42の内部に混入している異物43の界面)で反射されたテラヘルツ波(反射波)は、受信装置30によって受信される。
【0051】
例えば図4において説明した位置関係で発振装置20及び受信装置30を使用した場合には、ビームスプリッタ51の影響により、理論上75%のテラヘルツ波の損失がある。
【0052】
一方、図6に示す位置関係で発振装置20及び受信装置30を使用した場合には、ビームスプリッタ51を介さずに受信装置30がテラヘルツ波(の反射波)を受信することが可能であるため、当該ビームスプリッタ51による損失を低減し、反射波の受信能力(検出能力)を向上させることができる。
【0053】
また、図6においてはレンズ方式を採用した発振装置20及び受信装置30を想定しているが、図6に示す発振装置20及び受信装置30は、レンズレス方式を採用していてもよい。
【0054】
なお、検査装置10による検査における反射波の強度等は、電力機器40に対して照射されるテラヘルツ波の角度によって異なるし、発振装置20及び受信装置30においてレンズ方式及びレンズレス方式のいずれの方式が採用されているかによっても異なる。このため、上記した電力機器40に対して照射されるテラヘルツ波の角度(垂直入射または斜入射)や発振装置20及び受信装置30において採用される方式(レンズ方式またはレンズレス方式)等については、電力機器40(製品)に応じて、適宜、選択可能であるものとする。
【0055】
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施形態に係る検査装置10の処理手順の一例について説明する。
【0056】
本実施形態においては受信装置30によって受信された反射波に応じた反射波信号(受信装置30によって生成された反射波信号)に基づいて樹脂42の内部を検査するところ、当該反射波の強度等は、例えばテラヘルツ波の周波数帯や当該テラヘルツ波が照射される角度等によって異なると考えられる。
【0057】
このため、伝搬挙動予測部11は、電力機器40における樹脂42の内部を検査する前に、事前に当該樹脂42におけるテラヘルツ波の伝搬挙動(または反射挙動)を予測(シミュレーション)する(ステップS1)。
【0058】
以下、伝搬挙動予測部11によるテラヘルツ波の伝搬挙動の予測(処理)について説明する。テラヘルツ波の伝搬挙動の予測には、例えば対象物と電磁場(電磁界)との相互作用を解析する電磁界解析における時間領域差分法(FDTD:Finite-Difference Time-Domain method)を使用することができる。この場合、例えば電磁界解析上で、異物の混入を考慮したシミュレーションモデルを構築し、当該シミュレーションモデルにおいてテラヘルツ波の発振点(発振位置)及び当該テラヘルツ波の反射波の受信点(受信位置)を設定する。
【0059】
ここで、図8を参照して、上記したシミュレーションモデルの概要について説明する。図8に示すシミュレーションモデルによれば、例えば樹脂42に相当する第1材質61と異物43に相当する第2材質62とが定義されている。更に、第1材質61には、任意の周波数帯のテラヘルツ波(球面波)を発振する発振点63及び当該テラヘルツ波の第1材質61と第2材質62との界面からの反射波を受信する受信点64が設定されている。
【0060】
なお、図8に示す例では、上記した図4において説明したように第1材質61及び第2材質62に対して垂直方向からテラヘルツ波が照射される垂直入射における当該テラヘルツ波の伝搬挙動を予測する場合を示しているが、発振点63及び受信点64の位置(設定)を変更することで、第1材質61及び第2材質62に対して垂直ではない角度からテラヘルツ波が照射される斜入射における当該テラヘルツ波の伝搬挙動を予測することも可能である。
【0061】
このようなシミュレーションモデルによれば、テラヘルツ波の周波数帯、発振点及び受信点を変更しながら当該受信点において受信される当該テラヘルツ波の反射波の強度(当該反射波に対応する電界値)を当該テラヘルツ波の伝搬挙動として予測することによって、例えば電力機器40(樹脂42)が複雑な構造(形状)を有している場合等であっても、有用な(つまり、最大の)反射波の強度を得ることができるテラヘルツ波の照射条件を選定することができる。
【0062】
また、図9図11を参照して、上記したシミュレーションモデルにおける第1材質61及び第2材質62の界面からの反射波について説明する。
【0063】
図9は、例えば0.1THz帯のテラヘルツ波が発振点63から発信された場合において受信点64において受信された入射波及び反射波を示している。すなわち、図9においては、上記したシミュレーションモデルに設定された発振点63及び受信点64との位置関係から、発振点63において発振されたテラヘルツ波が入射波として受信点64において直接受信された後に、第1材質61及び第2材質62の界面からの反射波が当該受信点64において受信されたことが示されている。
【0064】
また、図10は、図9に示す反射波形を拡大して示している。具体的には、図10においては、第2材質62の比誘電率を変化させることによってシミュレーションモデルにおいて予測される反射波形71~74が示されている。なお、第1材質61及び第2材質62の各々の比誘電率は、図11に示している。
【0065】
図10に示す反射波形71は、第1材質61及び比誘電率が1である第2材質62の界面からの反射波の波形である。反射波形72は、第1材質61及び比誘電率が2である第2材質62の界面からの反射波の波形である。反射波形73は、第1材質61及び比誘電率が4である第2材質62の界面からの反射波の波形である。反射波形74は、第1材質61及び比誘電率が5である第2材質62の界面からの反射波の波形である。なお、図11に示すように第1材質61の比誘電率は3であるものとする。
【0066】
この場合、図10に示す反射波形71~74の振幅が反射波の強度に相当し、当該反射波の強度の大小を第2材質62の比誘電率を用いて表現すると、1>5>2>4となる。
【0067】
なお、第1材質61及び第2材質62の界面におけるテラヘルツ波の反射係数(以下、単に第2材質62の反射係数と表記)Rは、以下の式(1)において計算することができる。
【数1】
【0068】
式(1)におけるZは第1材質61の特性インピーダンスであり、Zは第2材質62の特性インピーダンスである。また、式(1)におけるεは比誘電率であり、μは透磁率である。なお、式(1)においては、便宜的に、透磁率μを1としている。
【0069】
このような式(1)によれば、例えば第1材質61の比誘電率及び第2材質62の比誘電率を適用することによって、当該第2材質62の反射係数を計算することができる。
【0070】
上記した式(1)を用いて計算された比誘電率が異なる第2材質62の各々の反射係数は、以下の式(2)の通りである。
【数2】
【0071】
なお、式(2)におけるRは比誘電率が1である第2材質62の反射係数であり、Rは比誘電率が2である第2材質62の反射係数であり、Rは比誘電率が4である第2材質62の反射係数であり、Rは比誘電率が5である第2材質62の反射係数である。
【0072】
式(2)によれば、上記した各比誘電率に対応する反射波形71~74の振幅(つまり、反射波の強度)の大小関係が第2材質62の反射係数の絶対値の大小関係と概ね一致していることがわかる。なお、図10に示すように、第1材質61の比誘電率と第2材質62の比誘電率との大小関係が異なると、反射波は反転する。
【0073】
なお、上記したシミュレーションの結果では、誘電率によって反射波の強度や波形に違いが表れるが、実際の検査(測定)でも同様の傾向が確認されている。具体的には、図12は、実際の検査結果に基づく反射波形の一例を示している。図12においては、例えば樹脂板の下に異物43に相当する各材質(金属、気泡及び樹脂バリ)を配置し、当該樹脂板の上面からテラヘルツ波を照射する(つまり、検査を行う)ことによって得られた反射波形が示されている。なお、図13は、図12に示す検査結果に基づく反射波の強度(反射強度)を示している。なお、図13の比率は、金属(Al板)からの反射波の強度を100%としたときの他の材質からの反射波の強度の割合を示している。図13によれば、金属、気泡、樹脂バリの順に反射波の強度が低くなることが示されている。
【0074】
上記したように反射波の強度は樹脂42(第1材質61)及び異物43(第2材質62)の比誘電率によって変化するため、当該樹脂42及び当該樹脂42の内部に混入している可能性がある異物43の材質(比誘電率)を予め把握しておくことにより、より正確なテラヘルツ波の伝搬挙動を予測することができる。すなわち、本実施形態においては、樹脂42及び異物43の材質を考慮したテラヘルツ波の照射条件を選定するようにしてもよい。
【0075】
上記したようにステップS1においては、電力機器40の構造(例えば、導電部41及び樹脂42の形状等)と、樹脂42及び当該樹脂42の内部に混入している可能性がある異物43の比誘電率(材質)との少なくとも一方に基づいて、テラヘルツ波の伝搬挙動が予測されるものとする。
【0076】
再び図7に戻ると、ステップS1において予測されたテラヘルツ波の伝搬挙動に基づいて選定された照射条件が設定される(ステップS2)。なお、ステップS2において設定される照射条件には、例えばテラヘルツ波の周波数帯と、上記したテラヘルツ波の伝搬挙動の予測における発振点63及び受信点64に基づく発振装置20及び受信装置30の位置(テラヘルツ波が照射される角度)とが含まれるが、当該テラヘルツ波の周波数帯と発振装置20及び受信装置30の位置との少なくとも一方のみが含まれていてもよい。
【0077】
なお、ステップS2の処理が実行された場合、当該ステップS2において設定された照射条件に含まれる周波数帯のテラヘルツ波を発振するように検査装置10から発振装置20に指示される。また、例えば発振装置20及び受信装置30の位置を自動的に調整する機構(以下、位置調整機構と表記)が設けられている場合には、ステップS2において設定された照射条件に含まれる発振装置20及び受信装置30の位置に基づいて当該発振装置20及び受信装置30の位置を自動的に調整(移動)するようにしてもよい。なお、位置調整機構が設けられていない場合には、ステップS2において設定された照射条件に含まれる発振装置20及び受信装置30の位置を検査装置10(検査システム)の管理者が確認し、当該管理者が手動で発振装置20及び受信装置30の位置を調整するようにしてもよい。
【0078】
ここで、本実施形態における発振装置20及び受信装置30(テラヘルツ装置)には、走査機構が構築されており、上記した電力機器40において導電部41を覆う樹脂42の内部を検査する場合に電力機器40の例えば上面(XY平面)を走査することができるものとする。このような構成によれば、電力機器40(樹脂42)の上面に対して設定されている複数の照射点に基づいて順次テラヘルツ波が照射されることにより、当該樹脂42の内部に混入している異物43の界面からの反射波を樹脂42の広範囲にわたって受信することができる。なお、発振装置20がレンズ方式を採用している場合は、当該電力機器40(樹脂42)の深さ方向(Z軸方向)に焦点を順次変えながらテラヘルツ波を照射するようなことも可能である。
【0079】
ステップS2において照射条件が設定されると、発振装置20は、当該照射条件に従ってテラヘルツ波を発振しながら、走査機構により電力機器40の上面を走査する。これにより、受信装置30は、電力機器40(樹脂42)の全体から反射波を受信する。
【0080】
この場合、反射波信号取得部12は、受信装置30によって受信された反射波に応じた反射波信号を当該受信装置30から取得する(ステップS3)。ステップS3において取得される反射波信号には、樹脂42の内部の状態に応じた反射波の強度、当該反射波の強度のピーク値及びピーク到達時間等が含まれる。なお、反射波信号にはノイズが含まれている可能性があるため、反射波信号取得部12は、当該ノイズレベルを下げるために当該反射波信号に対して加算平均処理等の信号処理を実行してもよい。
【0081】
波形データ生成部13は、ステップS3において取得された反射波信号に含まれる反射波の強度、当該反射波の強度のピーク値及びピーク到達時間等に基づいて波形データを生成する(ステップS4)。
【0082】
画像生成部14は、ステップS3において取得された反射波信号に基づいて電力機器40において導電部41を覆う樹脂42の3次元画像データを生成することができる。画像生成部14は、生成された3次元画像データに基づいて、樹脂42の画像を生成する(ステップS5)。
【0083】
ここで、樹脂42の画像(例えば、平面画像)は複数の画素から構成され、当該複数の画素の各々には、上記したように発振装置20及び受信装置30が電力機器40の上面を走査することによって当該樹脂42(電力機器40)に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたテラヘルツ波の反射波に応じた反射波信号の各々に対応する画素値が割り当てられている。換言すれば、異物43を視認することができる程度の鮮明度を有する樹脂42の画像(3次元画像データ)を生成するためには、画像を構成する複数の画素に対して多数の照射点を密に(つまり、狭い間隔で)設定する必要がある。
【0084】
しかしながら、上記したように設定された多数の照射点の各々にテラヘルツ波を順次照射して樹脂42の内部を検査するためには時間がかかる。
【0085】
このため、本実施形態においては、ステップS5において画像を生成する際に画像処理を取り入れることにより、上記した照射点(つまり、反射波の観測点)の数の削減を実現する。ここでは、画像処理として圧縮センシング技術に基づく処理が実行される(つまり、圧縮センシング技術を適用することによって画像を生成する)ものとする。なお、圧縮センシング技術とは、例えば必要とする数よりも少ない数のデータから対象となるデータを復元する技術である。本実施形態において圧縮センシング技術を適用した場合には、例えば画像を構成する複数の画素に対して疎に設定された照射点に対してテラヘルツ波を照射することによって得られる少ない数の反射波信号(に基づいて生成される画像)から未知の反射波信号を導出し、当該導出された反射波信号を利用して画像を復元(生成)することができる。復元のためには、予め密な照射点で取得した画像と疎な照射点の画像を変換するための係数(観測行列と呼ぶ)を設定しておく必要がある。この行列を正しく設定することで、疎な画像から密な画像への変換が可能となる。
【0086】
ここで、図13を参照して、本実施形態において圧縮センシング技術を適用することによって生成される画像の一例について説明する。
【0087】
まず、図13に示す元画像81は、画像生成部14によって生成される画像(つまり、出力部17によって出力される画像)を構成する複数の画素に対して密に設定された照射点に対してテラヘルツ波を照射することによって得られる反射波信号に基づいて生成された画像である。元画像81は鮮明な画像であり、当該元画像81中の異物43を容易に視認することができる。なお、元画像81においては、例えば0.5mm×0.5mmのピッチで照射点が設定されている場合を想定している。
【0088】
次に、第1間引き画像82は、元画像81と比較して照射点の数を75%削減し、残りの25%の照射点に対してテラヘルツ波を照射することによって得られる反射波信号に基づいて生成された画像である。すなわち、第1間引き画像82は照射点のピッチが1mm×1mmとなっている。第1間引き画像82は元画像81と比べて照射点(つまり、反射波信号)の数が削減されているため、当該第1間引き画像82の鮮明度は元画像81よりも低下している。しかしながら、第1間引き画像82(の生成に用いられた反射波信号)に対して圧縮センシング技術を適用した場合には、第1復元画像83を得ることができる。第1復元画像83は第1間引き画像82よりも鮮明度が向上している。
【0089】
また、第2間引き画像84は、元画像81と比較して照射点の数を96%削減し、残りの4%の照射点に対してテラヘルツ波を照射することによって得られる反射波信号に基づいて生成された画像である。すなわち、第2間引き画像84は照射点のピッチが2mm×2mmとなっている。第2間引き画像84は第1間引き画像82よりも照射点の数が更に削減されているため、当該第2間引き画像84の鮮明度は第1間引き画像82よりも更に低下している。しかしながら、第2間引き画像84(の生成に用いられた反射波信号)に対して圧縮センシング技術を適用した場合には、第2復元画像85を得ることができる。第2復元画像85は第2間引き画像84よりも鮮明度が向上している。
【0090】
更に、第3間引き画像86は、元画像81と比較して照射点の数を99%削減し、残りの1%の照射点に対してテラヘルツ波を照射することによって得られる反射波信号に基づいて生成された画像である。すなわち、第3間引き画像86は照射点のピッチが5mm×5mmとなっている。第3間引き画像86は第2間引き画像84よりも照射点の数が更に削減されているため、当該第3間引き画像86の鮮明度は第2間引き画像84よりも更に低下している。しかしながら、第3間引き画像86(の生成に用いられた反射波信号)に対して圧縮センシング技術を適用した場合には、第3復元画像87を得ることができる。第3復元画像87は第3間引き画像86よりも鮮明度が向上している。
【0091】
上記した図13に示す第1復元画像83及び第2復元画像85によれば元画像81と同様に異物43を容易に視認可能であるため、本実施形態において圧縮センシング技術を適用する場合には、元画像81(つまり、画像を構成する複数の画素に対して密に設定された照射点)と比べて、当該照射点を96%まで削減することができると考えられる。
【0092】
すなわち、本実施形態においては、圧縮センシング技術を適用することによって、例えば画像を構成する複数の画素に対して照射点を疎に設定(つまり、当該照射点を削減)したとしても、異物43を認識(把握)するために有用な画像を得ることができる。なお、画像を構成する複数の画素に対して照射点を疎に設定するとは、例えば元画像81を得るために設定される照射点の数よりも少ない数の照射点を設定する(つまり、元画像81を得るために設定される照射点よりも広い間隔で照射点を設定する)ことを意味する。
【0093】
なお、第3復元画像87は元画像81と比較すると鮮明度は低い(不明瞭である)が、異物43の種別によっては当該異物43を視認することが可能である。このため、樹脂42の内部に混入している異物43が比較的容易に視認することができると想定されるものであれば、元画像81を得るために設定される照射点の99%を削減しても構わない。
【0094】
図7に示すステップS5においては平面画像(XY平面の画像)が生成される場合を想定しているが、当該ステップS5においては断層画像(XZ平面またはYZ平面の画像)が生成されても構わない。
【0095】
次に、深さ算出部15は、ステップS3において取得された反射波信号に基づいて樹脂42に混入している異物43の深さを算出する(ステップS6)。この場合、異物43の深さは、反射波信号に含まれるピーク到達時間(テラヘルツ波の計測光遅延時間)及び樹脂42の屈折率に基づいて算出される。
【0096】
なお、図7においては、ステップS5及びS6の処理がステップS3において取得された反射波信号に基づいて実行されるものとして説明したが、当該処理はステップS4において生成された波形データに基づいて実行されてもよい。また、ステップS6の処理は、ステップS5において生成された画像(例えば、断層画像)を考慮して実行されてもよい。
【0097】
次に、判別部16は、ステップS4において生成された波形データに基づいて、樹脂42の内部に混入している異物43の種別を判別する(ステップS7)。
【0098】
以下、ステップS7の処理について説明する。テラヘルツ波は、上記したように材質の誘電率によって伝搬挙動や反射挙動が異なり、例えば金属では全反射する。本実施形態においては、このような特徴(特性)を利用することにより、非破壊で樹脂42の内部に混入している異物43の種別(材質)を判別(推定)する。
【0099】
ここで、図15は、異物(または欠陥)からの反射波(以下、第1反射波と表記)と、当該異物の周囲の樹脂(異物のない周囲樹脂)からの反射波(以下、第2反射波と表記)とを比較した際の当該第1及び第2反射波の特性の差異について説明するための図である。なお、図15に示す第1及び第2反射波は、実際に樹脂(の内部)を検査した結果として得られた反射波である。
【0100】
図15においては、反射波形特性、時間遅延特性及び周波数特性の各特性に関する第1及び第2反射波の差異が示されており、当該差異の程度に応じて〇、△及び×が付されている。なお、〇は特性に差異があることを表しており、×は特性に差異がない(または極めて小さい)ことを表しており、△は〇と×との間に相当する程度の差異があることを表している。
【0101】
まず、図15に示す反射波形特性の差異について説明する。ここで示した図は、テラヘルツの反射波形を示しており、横軸は時間、縦軸は反射波強度である。異物が金属である場合にはテラヘルツ波を全反射するため、第1反射波の振幅は第2反射波よりも大きくなる。また、第1及び第2反射波の振幅差は、異物の深さ周囲で幅広く(数ps区間で)生じる。したがって、異物が金属である場合には、反射波形特性において第1及び第2反射波に差異があるといえる。
【0102】
異物が気泡である場合は、反射率は小さいが周囲の樹脂との誘電率差からわずかな振幅差が生じている。したがって、異物が気泡である場合には、反射波形特性において第1及び第2反射波に差異があるといえる。
【0103】
異物が樹脂バリである場合は、周囲の樹脂との誘電率差は小さいが、周囲の樹脂が一様かつ平坦であるのに対し、樹脂バリの位置では界面が存在するため、わずかな振幅差が生じている。また、この振幅差には、樹脂バリの樹脂中でしわが寄ったような形状も影響していると考えられる。ただし、この振幅差は上記した異物が金属である場合及び異物が気泡である場合に比べると小さいため、異物が樹脂バリである場合の反射波形特性における第1及び第2反射波の差異は△と評価されている。
【0104】
次に、図15に示す時間遅延特性の差異について説明する。ここで示した図は、第1反射波と第2反射波との時間差の相関を示しており、横軸は時間、縦軸の値は相関を示す。異物が金属である場合及び異物が気泡である場合は、時間遅延差が0で当該異物と周囲の樹脂との相関が最大となっているため、時間遅延差は殆どない(つまり、時間遅延特性において第1及び第2反射波には差異がない)。一方、異物が樹脂バリである場合には、明確な時間遅延差が生じている(つまり、時間遅延特性において第1及び第2反射波に差異がある)。
【0105】
最後に、図15に示す周波数特性の差異について説明する。ここでは、0.05~2.5THz帯間での異物(第1反射波)と周囲の樹脂(第2反射波)との相関を周波数特性として示している。異物が金属である場合には、第1反射波と第2反射波とで差異を確認することができないため、周波数特性における第1及び第2反射波の差異はないといえる。異物が気泡である場合、一部の低周波成分で第1反射波と第2反射波との差異が確認されるため、周波数特性における第1及び第2反射波の差異は△と評価されている。更に、異物が樹脂バリである場合には、特に1THz帯までの低周波成分において第1反射波と第2反射波との明確な差異を確認することができるため、周波数特性における第1及び第2反射波の差異があるといえる。
【0106】
本実施形態においては、上記したような特徴(特性)を把握した上で、所定の異物判別アルゴリズムを用いることによって、異物の種別の判別を実現する。
【0107】
上記した異物判別アルゴリズムにおいては、例えば実際に樹脂を検査した結果(波形データ)のランダムサンプリングにより複数の波形データを抽出して相関フィルタ(異物のない周囲の樹脂の情報を有するフィルタ)を作成し、当該相関フィルタをシフト移動させながら畳み込み処理を実行することによって、各領域内での振幅差や位相差の整合性を図る。これによれば、相関フィルタと最もかけ離れた領域を異物が混入している箇所(または欠陥箇所)として検知することができる。この場合、異物が混入している箇所からの反射波を示す波形データ(つまり、異物に関する振幅、位相差及び周波数特性等)を識別機に入力することによって、周囲の樹脂(からの反射波を示す波形データ)との相関性に基づいて当該物の種別を判別することができる。なお、この波形データが入力される識別機としては、上記した各異物の界面からの反射波を示す波形データと当該異物の周囲からの反射波を示す波形データとの相関性(に基づく異物の種別)を予め学習した学習済モデルを用いることができる。
【0108】
ステップS7の処理が実行されると、出力部17は、例えばステップS4において生成された波形データ、ステップS5において生成された画像、ステップS6において算出された異物43の深さ及びステップS7において判別された異物43の種別を、電力機器40において導電部41を覆う樹脂42の内部の検査結果として出力する(ステップS8)。
【0109】
具体的には、ステップS8において、波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別は、例えば検査装置10に備えられる表示装置に出力されて当該表示装置に表示される。これによれば、検査装置10を使用する検査者は、波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別を視認することによって、樹脂42の内部に混入している異物43を容易に把握することができる。
【0110】
なお、上記した波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別の表示態様としては、種々のものが考えられる。具体的には、例えば波形データ及び画像は同一の画面上に並べて表示されてもよいし、異物43の深さ及び異物43の種別は画像に重畳するように表示されてもよい。更に、波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別は、適宜、加工されて表示されてもよい。この場合、例えば画像から異物43の位置(輝度値及び面積値等)を抽出し、当該異物43(または当該異物43の種別)を容易に視認することが可能な態様で画像を表示するようにしてもよい。
【0111】
ここでは波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別が表示装置に表示されるものとして説明したが、当該波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別は、更に解析処理等を実行するために外部のサーバ装置に出力(送信)されても構わない。
【0112】
また、ステップS8において出力される検査結果には、波形データ、画像、異物43の深さ及び異物43の種別のうちの少なくとも1つが含まれていればよい。
【0113】
なお、図7においては省略されているが、上記した電力機器40において導電部41を覆う樹脂42に混入している異物43の界面からの反射波はテラヘルツ波の周波数帯に応じて異なることが考えられるため、ステップS3~S7の処理は、特定周波数帯毎に実行されてもよい。具体的には、例えば0.05~1THzの範囲で細分化(分割)した周波数帯毎にステップS3~S7の処理を実行するようにしてもよい。
【0114】
また、例えばステップ4において生成された波形データ及びステップS5において生成された画像に基づいて樹脂42の内部に異物が混入しているか否かを判定し、当該樹脂42の内部に異物が混入していると判定された場合にステップS6及びS7の処理が実行される構成であってもよい。
【0115】
上記したように本実施形態においては、樹脂42に対して設定された複数の照射点に基づいて照射されたテラヘルツ波(パルス波)の当該樹脂42の内部に混入している異物43の界面からの反射波に応じた反射波信号を取得し、当該反射波信号に基づいて当該異物43を含む画像を生成し、当該複数の照射点は当該生成される画像を構成する複数の画素に対して疎に設定されている。
【0116】
本実施形態においては、このような構成により、照射点(つまり、検査時にテラヘルツ波が照射される回数)を削減することができるため、電力機器40において導電部41を覆う樹脂42の内部を非破壊で検査する時間(以下、単に検査時間と表記)を短縮することができる。
【0117】
なお、上記したように複数の照射点が疎に設定される場合、圧縮センシング技術を適用することによって上記した元画像と同程度に異物を視認可能な復元画像を生成することができるが、照射点を疎に設定したとしても異物を視認可能な画像を生成することが可能であれば、圧縮センシング技術に類似する技術または当該圧縮センシング技術以外の技術が適用されても構わない。
【0118】
また、本実施形態においては、電力機器40の構造と樹脂42及び当該樹脂42の内部に混入している可能性がある異物43の比誘電率との少なくとも一方に基づいてテラヘルツ波(パルス波)の伝搬挙動を予測し、当該予測されたテラヘルツ波の伝搬挙動に基づいて当該テラヘルツ波の照射条件が設定される。本実施形態においては、このような構成により、電力機器40に対して適切な照射条件を設定して樹脂42の内部を検査することができるため、例えば精度の低い反射波信号が取得される可能性を低減することができる。すなわち、本実施形態においては、効率的な検査を実施することができ、結果として検査時間を短縮することができる。
【0119】
なお、上記したテラヘルツ波の照射条件には、例えば当該テラヘルツ波の周波数帯と、当該テラヘルツ波を発振するように構成された発振装置20の位置及び当該テラヘルツ波の反射波を受信するように構成された受信装置30の位置との少なくとも一方が含まれるが、他の条件(例えば、テラヘルツ波の強度等)が含まれていてもよい。
【0120】
また、本実施形態においては、受信装置30から取得される反射波信号に基づいて反射波形を示す波形データを生成し、当該生成された波形データに基づいて樹脂42の内部に混入している異物43の種別を判別するが、当該異物43の種別は、当該波形データと当該異物の周囲の樹脂からの反射波形を示す波形データとの相関性を予め学習した学習済モデルを用いて判別されてもよい。本実施形態においては、このような構成により、非破壊で樹脂42の内部に混入している異物43の種別を判別することができ、当該判別結果(異物43の種別)を当該樹脂42の品質チェック、当該樹脂42に異物が混入した原因の分析及び当該異物43の混入に対する対策等に利用することができる。
【0121】
なお、本実施形態においては、例えば0.05~10THzの範囲に該当する周波数帯のテラヘルツ波を用いるものとして説明したが、具体的には、0.075~0.125THz帯のテラヘルツ波を利用することが好ましい。更に、樹脂42の内部に混入している異物43または欠陥が例えば金属、気泡、樹脂バリ、剥離及びき裂のうちの少なくとも1つである場合、0.1THz帯のテラヘルツ波は、反射波信号に基づいて生成される画像において当該異物43を好適に可視化することが可能である。このため、本実施形態においては、0.075~0.125THz帯の中でも特に0.1THz帯のテラヘルツ波を利用するとよい。すなわち、本実施形態においてテラヘルツ波の照射条件に含まれるテラヘルツ波の周波数帯としては、他の周波数帯に比較して0.1THz帯が優先的に選択される。ただし、上記したテラヘルツ波の伝搬挙動の予測結果によっては、0.1THz帯以外の周波数帯がテラヘルツ波の照射条件に含まれても構わない。
【0122】
また、本実施形態における発振装置20及び受信装置30は、レンズ方式(テラヘルツ波及び当該テラヘルツ波の反射波を収束させるレンズを備える構成)を採用していてもよいし、レンズレス方式(テラヘルツ波及び当該テラヘルツ波の反射波を収束させるレンズを備えない構成)を採用していてもよいが、当該発振装置20及び受信装置30がレンズ方式を採用している場合には、強度が高い反射波を受信することができるため、例えば図16に示すような異物43を容易に視認することができる画像を生成することができる。すなわち、レンズ方式によれば、反射波に応じた反射波信号に基づく検査精度を向上させることができる。
【0123】
一方、発振装置20及び受信装置30がレンズレス方式を採用している場合には、反射波の強度が低下するため、図17に示すように画像中の異物43に対する視認性は低下する。しかしながら、レンズレス方式によれば、焦点合わせ等の作業が不要であるため、検査時間の短縮に寄与することができる。
【0124】
上記したように発振装置20及び受信装置30において採用されるレンズ方式及びレンズレス方式はそれぞれ利点が異なるため、検査対象(電力機器40)に応じて適切な方式が選択されればよい。
【0125】
なお、本実施形態においては反射波信号のノイズレベルを下げるために当該反射波信号に対して複数回の加算平均処理を実行する場合があるが、検査時間を短縮するために、当該加算平均処理の回数を低減してもよい。
【0126】
本実施形態においては電力機器40にテラヘルツ波を照射するものとして主に説明したが、本実施形態におけるパルス波として超音波を用いることも可能である。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0128】
10…検査装置、11…伝搬挙動予測部、12…反射波信号取得部、13…波形データ生成部、14…画像生成部、15…深さ算出部、16…判別部、17…出力部、20…発振装置、30…受信装置、40…電力機器、41…導電部、42…樹脂、43…異物、51…ビームスプリッタ、52…レンズ、101…CPU、102…不揮発性メモリ、103…RAM、103a…検査プログラム、104…通信デバイス。
図1
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