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  • 特開-天板構造 図1
  • 特開-天板構造 図2
  • 特開-天板構造 図3A
  • 特開-天板構造 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000889
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】天板構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/18 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
A47B96/18 D
A47B96/18 H
A47B96/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101955
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 卓司
(72)【発明者】
【氏名】平間 啓佑
(57)【要約】
【課題】外観を損なわずに、天板の端部を保護可能な天板構造を提供すること。
【解決手段】天板構造1は、板状の天板2と、天板2の端部2aの下側で天板2の縁24の延びる方向に沿って配置される框3と、を備え、框3は、端部2aの下側を支持する支持部30と、支持部30の上下方向に延びる外側端面33から延び、端部2aの天板端面23を覆うように立ち上がる立ち上がり部35と、を有し、立ち上がり部35の上端は、天板端面23の上部まで延びる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の天板と、
前記天板の端部の下側で前記天板の縁の延びる方向に沿って配置される框と、を備え、
前記框は、前記端部の下側を支持する支持部と、
前記支持部の上下方向に延びる支持部端面から延び、前記端部の天板端面を覆うように立ち上がる立ち上がり部と、を有し、
前記立ち上がり部の上端は、前記天板端面の上部まで延びる、天板構造。
【請求項2】
前記天板端面の上端は、傾斜した面取り部を有し、
前記立ち上がり部の上端側は、前記面取り部の下端に接している、請求項1に記載の天板構造。
【請求項3】
前記立ち上がり部は、
前記天板端面に沿って延びるカバー部と、
前記カバー部の上端側から前記天板端面に向かって傾斜し、上部が前記天板端面における前記面取り部の下側に当接する傾斜部と、を有し、
前記面取り部と、前記傾斜部の先端との間に、溝部が形成される、請求項2に記載の天板構造。
【請求項4】
前記支持部は、断面視略四角形のホロー構造により構成され、前記天板の下面に接する支持部上面部を有し、
前記立ち上がり部及び前記支持部上面部における前記立ち上がり部側の部分と、前記天板端面及び前記天板の前記端部の下側の面との間に、断面視略L字型の隙間が配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の天板構造。
【請求項5】
前記支持部の下面における前記支持部端面の下端部側に形成され、上方に向かって窪んで形成される水返し溝を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の天板構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、天板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンカウンターや流し台等に設けられる板状の天板は、天板の縁の下方に配置される框によって支持されている。天板は、框よりもわずかに外側に突出している場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-104082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天板の端部が突出していることにより、天板の端部に衝撃が加わる機会が多くなる。このため、外観を損なわずに、天板の端部を保護する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、板状の天板と、前記天板の端部の下側で前記天板の縁の延びる方向に沿って配置される框と、を備え、前記框は、前記端部の下側を支持する支持部と、前記支持部の上下方向に延びる支持部端面から延び、前記端部の天板端面を覆うように立ち上がる立ち上がり部と、を有し、前記立ち上がり部の上端は、前記天板端面の上部まで延びる、天板構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態のキッチンユニットを示す斜視図である。
図2】本実施形態の天板構造の側断面図である。
図3A】他の実施形態の天板構造の側断面図である。
図3B】さらに他の実施形態の天板構造の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の天板構造1は、キッチンユニット10に用いられる。図1に示すように、キッチンユニット10は、キッチンカウンター11と、キャビネット12と、を有する。キッチンユニット10は、キャビネット12の上にキッチンカウンター11が支持されて構成される。
【0008】
キッチンカウンター11は、炊事の際に食器や食材を洗浄したり、食材を加熱調理したりする作業台である。キッチンカウンター11は、後述する天板構造1が設けられ、天板2にシンク111、加熱調理器112が配置されて構成される。
【0009】
シンク111は、上部が開口した凹部を有し、蛇口111aから吐水される湯水を排水可能な設備である。加熱調理器112は、鍋を加熱して調理するためのコンロを有する。
【0010】
キャビネット12は、キッチンカウンター11の下部に配置され、キッチンカウンター11を支持する。キャビネット12は、概ね略直方体に形成されている。キャビネット12の内部には、物品を収容可能な収納空間が形成され、複数の内壁や棚板等で区切られている。
【0011】
天板構造1は、天板2及び天板2を安定して保持するための天板2の周囲の部材の配置によって構成される。図2に示すように、天板構造1は、天板2と、框3と、溝部4と、隙間5と、裏打材6と、を有する。本明細書において、外側とは、天板2の外縁側、及び天板2の外縁から離れる側を意味する。内側とは、天板2の中心側を意味する。
【0012】
天板2は、図1に示すように、平面視略長方形で、薄い略直方体の板状の形状を有する。天板2は、上面21と、下面22と、天板端面23と、長縁24と、短縁25と、を有する。上面21は、キッチンユニット10に配置された状態で上側に位置し、略水平方向に延びる面である。下面22は、上面21に対向して下側に延びる面である。長縁24は、天板2の長手方向に沿って一対配置される外側の縁である。短縁25は、天板2の短手方向に沿って一対配置される外側の縁である。天板2は、例えばセラミック製である。
【0013】
天板端面23は、上面21と下面22とを接続し、上下方向に延びる面である。天板端面23は、面取り部230を有する。面取り部230は、天板端面23の上端に配置され、板状の天板の角が傾斜するように削られて形成される。面取り部230は、天板2の上面21から、天板端面23に向かって外側に下り傾斜している。
【0014】
框3は、天板2の端部2aの下側で、天板2の長縁24に沿って配置される長尺の部材である。框3は、支持部30と、立ち上がり部35と、水返し溝36と、プリント部37と、を有する。框3は、アルミニウムで構成される。
【0015】
支持部30は、断面視略四角形のホロー構造により構成され、天板2の端部2aの下側を支持する。支持部30は、支持部上面部31と、支持部30の下面としての支持部下面部32と、支持部端面としての外側端面33と、内側端面34と、を有する。支持部上面部31は、ホロー構造の上面を構成する面であり、天板2の下面22に接する。支持部下面部32は、ホロー構造の下面を構成する面であり、支持部上面部31に対向して配置される。外側端面33は、支持部30の上下方向に延びる端面のうち、天板2の外縁側に位置する面である。内側端面34は、外側端面33に対向して上下方向に延びる面である。内側端面34は、外側端面33よりも天板2の短縁25の幅方向における中心側に位置し、後述する裏打材6と接する。外側端面33及び内側端面34は、ともに、支持部上面部31及び支持部下面部32を接続する。
【0016】
立ち上がり部35は、支持部30の外側端面33における上端から上方へ延び、天板端面23を覆うように立ち上がる。立ち上がり部35の上端は、天板端面23の上部まで延びている。立ち上がり部35の上端側の一部は、面取り部230の下端に接している。立ち上がり部35は、カバー部351と、傾斜部352と、を有する。
【0017】
カバー部351は、天板端面23に沿って、天板端面23と略平行に延びる平坦な面である。カバー部351と天板端面23との間には、後述する隙間5が形成されている。カバー部351は、支持部30の外側端面33から連続し、外側端面33と面一で上方へ延びている。
【0018】
傾斜部352は、カバー部351の上端側から天板端面23に向かって傾斜する部分である。傾斜部352は、三角断面部3521と、先端部3522と、を有する。三角断面部3521は、カバー部351の上端で略水平方向に延ばす仮想線3521aと、カバー部351の外側の面から天板端面23に向かって傾斜する直線的な表面3521bと、カバー部351の内側の面を、表面3521bの上端まで延ばした仮想線3521cとの間で形成される断面視略三角形の部分である。先端部3522は、上部が天板2の面取り部230の下端に当接する。先端部3522は、三角断面部3521の天板端面23に対向する部分から天板端面23に当接するまで内側へ突出する部分である。先端部3522は、上側では、三角断面部3521の上端から下方に下がる上部曲面3522aを有する。先端部3522は、下側では、カバー部351の内側の端部から、上方に上がる下部曲面3522bを有する。
【0019】
水返し溝36は、支持部下面部32における外側端面33の下端部側に形成され、框3の長い手方向に沿って延びる。水返し溝36は、外側端面33及び支持部下面部32の下端から上方に向かって窪んで形成される凹部であり、下方が開放された断面視略コの字状に形成されている。
【0020】
プリント部37は、立ち上がり部35及び外側端面33の外側面に施された印刷面である。プリント部37は、アルマイト加工で着色される。
【0021】
溝部4は、天板2の面取り部230と、立ち上がり部35における傾斜部352の先端部3522との間に形成される。溝部4は、断面視略V字状の小さな凹部である。溝部4は、天板2の外側に向かって下り傾斜した面取り部230と、先端部3522の上部曲面3522aとが天板2の上面21よりもわずかに低い位置で接触することで形成される。溝部4には、天板2の色及び框3の色に合うように調色された着色接着剤41が充填される。
【0022】
隙間5は、框3と天板2との間に形成され、断面視略L字型の形状を有する。隙間5の断面視略L字型のうち、長辺にあたる部分は、立ち上がり部35におけるカバー部351の内側面と、天板2の端部2aにおける天板端面23との間に形成される。隙間5の断面視略L字型のうち、短辺にあたる部分は、支持部上面部31の立ち上がり部35側の部分と、天板の端部2aにおける下面22と、の間に形成される。隙間5には、天板2と框3とを接着する接着剤51が充填される。
【0023】
裏打材6は、天板2の裏面に配置され、天板2を補強する板である。裏打材6は裏打材上面部61と、裏打材下面部62と、裏打材端面63と、を有する。裏打材上面部61は、天板2の下面22に接着される。裏打材下面部62は、裏打材上面部61に対向する面であり、キャビネット12に支持される。裏打材端面63は、支持部30の内側端面34に接着される。裏打材6は、例えば、木材や中質繊維板(MDF)等により構成される。
【0024】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。天板構造1を、板状の天板2と、天板2の端部2aの下側で天板2の長縁24の延びる方向に沿って配置される框3と、を含んで構成した。框3を、天板2の端部2aの下側を支持する支持部30と、支持部30の上下方向に延びる外側端面33から延び、天板2の端部2aの天板端面23を覆うように立ち上がる立ち上がり部35と、を含んで構成し、立ち上がり部35の上端を、天板端面23の上部まで延びるように形成した。立ち上がり部35が天板2の端部2aにおける天板端面23の上部まで延びているので、天板2を容易に保護することができる。立ち上がり部35は上部まで延びているが、天板2の上面21を覆っていないので、キッチンユニット10の上部から見た場合に、平面視で立ち上がり部35が目立つこともなく、良好な外観が得られる。
【0025】
本実施形態によれば、天板端面23の上端を、傾斜した面取り部230を含んで構成し、立ち上がり部35の上端側を、面取り部230の下端に接するように構成した。立ち上がり部35を天板端面23の上端まで延ばすように構成するにあたり、立ち上がり部35の上端を天板端面23の上端と完全に同一の高さまで到達させることは、製造工程の都合や素材の性質の観点から難しい場合がある。立ち上がり部35を面取り部230の下端に接するように配置することで、立ち上がり部35を天板端面23の上端近傍ぎりぎり近くまで延ばすことが可能となるととともに、天板端面23が面取り部230を有することで、天板2の角が欠けたり、施工者や使用者が角に当たったりするなどの不都合を回避することができる。
【0026】
本実施形態によれば、立ち上がり部35を、天板端面23に沿って延びるカバー部351と、カバー部351の上端側から天板端面23に向かって傾斜し、上部が天板端面23における面取り部230の下側に当接する傾斜部352と、を含んで構成した。面取り部230と、傾斜部352の先端との間に、溝部4を形成した。立ち上がり部35を天板端面23の上部まで延ばすと、面取り部230と傾斜部352との間に溝部4が形成される。この溝部に例えば着色接着剤41を充填することで、上方から見た天板2の端部2aの外観を良好なものとすることができる。
【0027】
本実施形態によれば、支持部30を、断面視略四角形のホロー構造により構成し、天板2の下面22に接する支持部上面部31を含んで構成し、立ち上がり部35及び支持部上面部31における立ち上がり部35側の部分と、天板端面23及び天板2の端部2aの下面22との間に、断面視略L字型の隙間5を配置した。
天板端面23と立ち上がり部35及び支持部上面部31の立ち上がり部35側の部分と天板2の下面22との間に略L字型の隙間5が形成されることで、天板2に接着剤を塗布して框3と接着した場合に、接着剤の剰余の部分が隙間5に充填されるので、天板2と框3との接着を正確に行うことができる。天板端面23は必ずしも完全に平坦な面を有しているとは限らず、素材によっては表面に凸凹が形成されている場合もある。しかし、立ち上がり部35と天板2の端部2aとの間に隙間5が形成されていることで、天板2の素材により形状のばらつきを吸収することが可能になる。
【0028】
本実施形態によれば、支持部30の支持部下面部32における外側端面33の下端部側に形成され、上方に向かって窪んで形成される水返し溝36を含んで構成した。水返し溝36により、仮にキッチンカウンター11で使用した水が、天板2の上面から框3の立ち上がり部35、支持部30の外側端面33を伝って落ちたとしても、外側端面33の下端から支持部下面部32の方へ回り込むことを防止することができる。
【0029】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。図3A及び図3Bに示すように、天板2の厚さ及び支持部30A,30Bの高さは、適宜変更可能である。図3Aに示す天板2Aは、上記実施形態で説明した図2に示す天板2よりも厚く、支持部30Aの高さは、図2に示す支持部30よりも低い。図3Bに示す天板2Bは、図3Aに示す天板2Aよりも厚く、図3Bに示す支持部30Bの高さは、図3Aに示す支持部30Aよりも低い。天板や支持部の厚さ、高さは限定されない。図3A及び図3Bでは、天板構造の厚さは同一になっている。この場合、天板の厚さに応じて支持部の高さを変えることで、天板構造の厚さを変えずに天板の端面を保護することができる。一方、天板構造全体の厚さも適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 天板構造、 2 天板、 2a 端部、 3 框、 4 溝部、 5 隙間、 23 天板端面、 30 支持部、 31 支持部上面部、 33 外側端面(支持部端面)、 35 立ち上がり部、 36 水返し溝、 230 面取り部、 351 カバー部、 352 傾斜部

図1
図2
図3A
図3B