(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089647
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 9/02 20060101AFI20230621BHJP
H02K 1/32 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H02K9/02 A
H02K1/32 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204267
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】横江 晴佳
(72)【発明者】
【氏名】谷山 賀浩
(72)【発明者】
【氏名】加幡 安雄
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC02
5H601DD27
5H601EE18
5H601EE25
5H601GE15
5H609BB04
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP07
5H609QQ03
5H609QQ08
5H609QQ18
5H609RR26
5H609RR33
5H609RR35
5H609RR38
5H609RR43
5H609RR69
5H609RR73
(57)【要約】
【課題】 回転電機の通風損失を低減しつつ回転子コイルを効率よく冷却すること。
【解決手段】 実施形態によれば、回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられ冷却ガスの通路となるリムダクトを有する回転子リムと、前記回転子リムの外周側に設けられ周方向に間隔をおいて配置される複数のポールと、前記複数のポールにそれぞれ設けられる回転子コイルとを備えた、回転電機の回転子において、前記リムダクトからポール間に流出する冷却ガスがそのポール間において回転子周方向に分岐して両側のポールのそれぞれの壁面に沿って外径側へ流れるように当該冷却ガスを導く通風ガイドを具備する、回転電機の回転子が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられ冷却ガスの通路となるリムダクトを有する回転子リムと、前記回転子リムの外周側に設けられ周方向に間隔をおいて配置される複数のポールと、前記複数のポールにそれぞれ設けられる回転子コイルとを備えた、回転電機の回転子において、
前記リムダクトからポール間に流出する冷却ガスがそのポール間において回転子周方向に分岐して両側のポールのそれぞれの壁面に沿って外径側へ流れるように当該冷却ガスを導く通風ガイドを具備する、回転電機の回転子。
【請求項2】
前記通風ガイドは、前記両側のポールのそれぞれの壁面と対向する当該通風ガイドの壁面との間隔が、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど広くなる形状を有する、請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項3】
前記通風ガイドは、前記両側のポールのそれぞれの壁面と対向する当該通風ガイドの壁面との間隔が、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど狭くなる形状を有する、請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項4】
前記通風ガイドは、前記両側のポールのそれぞれの壁面と対向する2つの壁面のうち、少なくとも当該回転子の回転方向側にある壁面が、複数の突起を備えている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項5】
前記複数の突起は、当該回転子の軸方向または径方向またはその両方向に向けて千鳥状となるように配置されている、請求項4に記載の回転電機の回転子。
【請求項6】
前記通風ガイドは、前記両側のポールのそれぞれの壁面と対向する当該通風ガイドの壁面との間隔が、回転子軸方向の両端部から中央部に向かうほど広くなる形状を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水車発電機等の回転電機は、冷却ガスが機内を循環する通風冷却構造を有する。水車発電機には定速機と可変速機とがあり、それぞれ構造が異なる。以下では、定速機の構造を例に説明する。
【0003】
水車発電機は、発電機と水車とから構成され、発電機は回転子と固定子とを備えている。この発電機の構成の具体例を
図11~
図13に示す。
図11は、一般的な回転電機の回転子の構成を示す縦断面図である。
図12は、同回転電機の一部の構造を示す縦断面図、
図13は、同回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図である。各図の中の符号Fは、冷却ガスの流れを示している。
【0004】
発電機100は、上部軸受51a、下部軸受51b、コレクタ52、風道カバー53等を備え、風道カバー53の内側に回転子61および固定子62が配置される。
【0005】
回転子61は、上部軸受51aと下部軸受51bとの間に、上部軸1aと下部軸1bとを有する回転子軸(シャフト)1を備え、この回転子軸に回転子スポーク3を介して回転子リム7が取り付けられている。この回転子リム7の外径側には、周方向に等間隔で複数の突極型のポール(磁極)9が配置されている。各ポール9は、磁極鉄心と回転子コイル(界磁コイル)10とから構成される。また、回転子リム7には、回転子スポーク3の内部から各ポール9へ径方向に連通するリムダクト8が軸方向および周方向に複数配置されている。
【0006】
一方、固定子62は、固定子フレーム31内に収められた固定子鉄心32、固定子コイル33、接続銅帯34等を備える。また、固定子フレーム31の外側には、冷却器(ガスクーラ)35も取り付けられている。
【0007】
このような構成の発電機100では、回転子コイル10、当該回転子コイルが巻かれた磁極鉄心を有するポール9、固定子鉄心32、固定子コイル33等が発熱するため、機内に冷却ガスを循環させて冷却する。この冷却ガスの循環は、回転子61の回転による遠心ファン効果を利用するのが一般的である。
【0008】
冷却ガスは、回転子61の遠心ファン効果により、回転子スポーク3に設けられた流入孔4から回転子スポーク3の内部に取り入れられ、回転子リム7内に設けられたリムダクト8を通じて、個々のポール9間を通り抜ける。ポール9を冷却して高温となった冷却ガスは、回転子61と固定子62との間のエアギャップGに排出される。
【0009】
エアギャップGに排出された高温の冷却ガスの一部は、エアギャップGから回転子軸方向に流出し、残りの冷却ガスは、固定子鉄心32内に設けられた固定子ダクト17を通り、固定子鉄心32の外径側にある鉄心背面36に流出し、固定子フレーム31の外径側に取り付けられた冷却器35の冷却水等と熱交換する。冷却器35との熱交換により温度が低下した冷却ガスは、固定子フレーム31の外側から回転子61側に送られ、再び回転子スポーク3に設けられた流入孔4から回転子スポーク3の内部に取り入れられて循環することになる。
【0010】
回転電機の回転子の冷却技術に関しては、効率向上を目的に、より少ない冷却ガスを用い、より効果的に冷却を行うための構造や構成の技術開発が進められている。例えば回転子の回転子スポーク内の冷却ガスの流れを整流化し、通風損失を低減する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した構成においては、冷却ガスの循環経路のうち、冷却ガスが通り抜ける個々のポール間の空間では、冷却ガスが複雑な流動となって渦などが発生する。これにより、通風損失が生じ、発電機効率が低下する。また、最も冷却が必要とされるポールに巻かれたコイル付近では、流速が遅く、冷却効果が低い。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、回転電機の通風損失を低減しつつ回転子コイルを効率よく冷却することができる回転電機の回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態によれば、回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられ冷却ガスの通路となるリムダクトを有する回転子リムと、前記回転子リムの外周側に設けられ周方向に間隔をおいて配置される複数のポールと、前記複数のポールにそれぞれ設けられる回転子コイルとを備えた、回転電機の回転子において、前記リムダクトからポール間に流出する冷却ガスがそのポール間において回転子周方向に分岐して両側のポールのそれぞれの壁面に沿って外径側へ流れるように当該冷却ガスを導く通風ガイドを具備する、回転電機の回転子が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転電機の通風損失を低減しつつ回転子コイルを効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図。
【
図2】同実施形態に係る回転電機の回転子を回転子外径側から見た側面図。
【
図3】
図1中及び
図2中に示される通風ガイドの形状を示す斜視図。
【
図4】
図1に示される構造に対する第1の変形例を示す径方向断面図。
【
図5】
図1に示される構造に対する第2の変形例を示す径方向断面図。
【
図6】第2の実施形態に係る回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図。
【
図7】
図6中に示される通風ガイドの形状を示す斜視図。
【
図8】
図7に示される構造に対する変形例を示す径方向断面図。
【
図9】第3の実施形態による通風ガイドの形状を示す斜視図。
【
図10】
図9に示される通風ガイドを含む回転子を回転子外径側から見た側面図。
【
図11】一般的な回転電機の回転子の構成を示す縦断面図。
【
図12】一般的な回転電機の一部の構造を示す縦断面図。
【
図13】一般的な回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
最初に、
図1~
図5を参照するとともに、前述した
図11及び
図12をも適宜参照して、第1の実施形態について説明する。なお、前述した
図11及び
図12と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図、
図2は、同実施形態に係る回転電機の回転子を回転子外径側から見た側面図である。また、
図3は、
図1中及び
図2中に示される通風ガイドの形状を示す斜視図である。
【0020】
第1の実施形態に係る回転電機の回転子は、基本的な構造は
図11及び
図12に示したものと同様となるが、一部の構造が
図13に示したものとは異なり、
図1~
図3に示されるように通風ガイド14が例えば通風ガイド支え15により回転子リム7に固設された構造を有する。
【0021】
図11及び
図12から理解できるように、回転子軸1には回転子スポーク機構2が固設されており、この回転子スポーク機構2は、回転子軸1を中心に放射線状に回転子軸1表面から外側に伸びた回転子スポーク3と、この回転子スポーク3の上端および下端にそれぞれ固着された端板5とから構成される。各端板5の内径側には、複数の流入孔4が配置される。回転子スポーク3の外周側には、回転子リム7が配置される。回転子リム7は、回転子軸方向に積層された複数の鋼板等により構成され、その一部に冷却ガスの通路となるリムダクト8が設けられている。回転子リム7の外周側には、複数のポール9が周方向に間隔をおいて配置され、各ポール9にはそれぞれ回転子コイル10が巻かれている。このように構成される回転子61の外側には前述した固定子62が配置されている。
【0022】
この回転電機では、機内を冷却する方法として、回転子軸1と回転子61に付随する構造物の回転に伴う遠心ファン作用により冷却ガス6を循環するラジアル通風方式が採用されており、冷却ガス6が端板5に設けられた複数の流入孔4より回転子スポーク機構2内に流入し、その後、回転子スポーク機構2内を外周方向に移動し、回転子リム7に設けられたリムダクト8を通過して各ポール9の間に流出すると同時に回転子コイル10を冷却するように構成されている。
【0023】
図1~
図3に示されるように、本実施形態に係る回転電機の回転子は、例えば通風ガイド支え15により回転子外径側から回転子リム7に取り付けられた通風ガイド14を備えている。この通風ガイド14の設置により、ポール9間に2つの流路Pが形成される。
【0024】
この通風ガイド14は、リムダクト8からポール9間に流出する冷却ガスがそのポール9間において回転子周方向に分岐して2つの流路Pにそれぞれ流入し両側のポール9のそれぞれの壁面(回転子コイル10の壁面を含む)に沿って外径側へ流れるように当該冷却ガスを導く。
【0025】
本実施形態によれば、ポール9間に通風ガイド14を設けたことにより、リムダクト8から流出する冷却ガスが、ポール9間において回転子周方向に分岐し、両側のポール9の壁面(回転子コイル10の壁面を含む)に沿って流れる。そのため、回転子コイル10を効率的に冷却することができる。また、従来の構造においては、個々のポール9間に1つの大きな空間があったため、回転子の回転に伴い冷却ガスが複雑な流動となって渦などが発生することで通風損失が生じていたが、本実施形態では、通風ガイド14の設置により、冷却ガスの流れが整流されるため、大きな渦が発生せず、通風損失を低減することができ、効率的な冷却を行うことができる。
【0026】
(第1の変形例)
図4は、
図1に示される構造に対する第1の変形例を示す径方向断面図である。
【0027】
この第1の変形例による通風ガイド14は、両側のポール9のそれぞれの壁面(回転子コイル10の壁面を含む)と対向する当該通風ガイド14の壁面との間隔が、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど広くなる形状を有するものである。
【0028】
このような通風ガイド14の設置により、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど流路Pの流路面積が大きくなることにより、冷却ガスの流速が減速するため、流路Pを通った冷却ガスが、当該回転子の回転に伴い高速で回転するエアギャップG内の冷却ガスに合流する時に発生する合流損失を低減することが可能となる。このような通風ガイド14の構造は、通風損失を減らす効果が大きいので、回転子コイル10の冷却効果が十分に得られている一方で機内の冷却ガス循環量を増加させたい場合に有効である。
【0029】
(第2の変形例)
図5は、
図1に示される構造に対する第2の変形例を示す径方向断面図である。
【0030】
この第2の変形例による通風ガイド14は、両側のポール9のそれぞれの壁面(回転子コイル10の壁面を含む)と対向する当該通風ガイド14の壁面との間隔が、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど狭くなる形状を有するものである。
【0031】
このような通風ガイド14の設置により、当該回転子の内径側から外径側に向かうほど流路Pの流路面積が小さくなることにより、冷却ガスの流速が増速し、かつ回転子コイル10側に流路幅が絞られるため、回転子コイル10の壁面に沿って冷却ガスが流れやすくなり、より効率的に回転子コイル10を冷却することができる。このような通風ガイド14の構造は、回転子コイル10の冷却効果をより向上させたい場合に有効である。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、
図6~
図9を参照して、第2の実施形態について説明する。なお、前述した各図と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0033】
図6は、第2の実施形態に係る回転電機の回転子の一部の構造を示す径方向断面図、
図7は、
図6中に示される通風ガイドの形状を示す斜視図である。
【0034】
第2の実施形態による通風ガイド14は、両側のポール9のそれぞれの壁面(回転子コイル10の壁面を含む)と対向する2つの壁面のうち、少なくとも当該回転子の回転方向側にある壁面が、複数の突起16を備えたものとなっている。
【0035】
複数の突起16が無い場合は、冷却ガスは、通風ガイド14の回転方向側の流路Pにおいて、回転子の回転により通風ガイド14の壁面側に偏った流れとなり、回転子コイル10の壁面側で剥離流れが生じるため、回転子コイル10の冷却効果の向上が妨げられる。これに対し、本実施形態においては、通風ガイド14の回転方向側の壁面に複数の突起16が設けられているので、通風ガイド14の回転方向側の流路Pにおいて、通風ガイド14の壁面側を流れる冷却ガスが複数の突起16に衝突することで乱流が促進されるとともに、通風ガイド14の壁面に対向する回転子コイル10側の壁面へ向かう冷却ガスの流れが生じ、回転子コイル10の冷却効果が向上する。
【0036】
なお、本例では、突起16の形状を三角錐形状として図示したが、そのほか、円錐形状や、他の錐体など、壁面から突出するものであれば、別の形状であってもよく、同様に回転子コイル10の冷却効果を向上させることができる。
また、本例では回転方向側にある壁面のみに、突起16を備えたが、両側に突起を設けても問題なく、回転方向遅れ側の流路Pでも回転子コイル10側の壁面へ向かう冷却ガスの流れが生じ、回転子コイル10の冷却効果が向上する。
【0037】
(変形例)
図8は、
図7に示される構造に対する変形例を示す径方向断面図である。
【0038】
この変形例による通風ガイド14は、複数の突起16が、当該回転子の軸方向または径方向またはその両方向に向けて千鳥状となるように配置されたものとなっている。
図8に図示される例では、複数の突起16が回転子径方向に向けて整列しておらず、回転子径方向に向けて千鳥状となるように配置されている。
【0039】
このように複数の突起16を千鳥状に配置したことにより、通風ガイド14の壁面側に流入する冷却ガス6が突起16間を通り抜ける間隔が狭められ、個々の突起16への衝突が増えるため、乱流がより促進され、回転子コイル10の冷却効果がより高められる。
【0040】
[第3の実施形態]
次に、
図9及び
図10を参照して、第3の実施形態について説明する。なお、前述した各図と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
図9は、第3の実施形態による通風ガイドの形状を示す斜視図、
図10は、
図9に示される通風ガイドを含む回転子を回転子外径側から見た側面図である。
【0042】
第3の実施形態による通風ガイド14は、両側のポール9のそれぞれの壁面(回転子コイル10の壁面を含む)と対向する当該通風ガイド14の壁面との間隔が、回転子軸方向の両端部から中央部に向かうほど広くなる形状を有するものとなっている。
【0043】
このような通風ガイド14の設置により、ポール9間に形成される2つの流路Pは、回転子軸方向の両端部から中央部に向かうほど流路面積が大きくなる。そのため、各ポール9の回転子軸方向の両外側を流れる冷却ガスは、ポール9間の2つの流路Pに流入してポール9間の回転子軸方向中心に向かって流れるとともに、リムダクト8から回転遠心力により流出する冷却ガスと合流して、冷却ガス流量が増加することになる。
【0044】
本実施形態によれば、ポール9の回転子軸方向の両端部から中央に向かうほど流路Pの流路面積が拡大する構造により、ポール9間の冷却ガス流量を増加させることができる。また、流路Pを流れる冷却ガスが各ポール9の回転子軸方向の両外側へ向かうことが抑制されるため、冷却ガス6の軸方向流速分布がほぼ均一となり、回転子コイル10をほぼ均一に冷却することができ、回転子コイル10の冷却効果をより向上させることができる。
【0045】
以上詳述したように、各実施形態によれば、回転電機の通風損失を低減しつつ回転子コイルを効率よく冷却することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…回転子軸、2…回転子スポーク機構、3…回転子スポーク、4…流入孔、5…端板、6…冷却ガス、7…回転子リム、8…リムダクト、9…ポール、10…回転子コイル、14…通風ガイド、15…通風ガイド支え、16…突起、F…冷却ガスの流れ、P…流路。