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特開2023-89710着色層形成用組成物および光学フィルム
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  • 特開-着色層形成用組成物および光学フィルム 図1
  • 特開-着色層形成用組成物および光学フィルム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089710
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】着色層形成用組成物および光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/02 20060101AFI20230621BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230621BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230621BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20230621BHJP
【FI】
C09D201/02
G02B5/20 101
G02B5/22
C09D7/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204386
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森永 貴大
【テーマコード(参考)】
2H148
4J038
【Fターム(参考)】
2H148BD21
2H148BH12
2H148BH13
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA19
2H148CA23
2H148CA24
4J038EA011
4J038GA01
4J038JA34
4J038JA71
4J038JB16
4J038JB18
4J038JB25
4J038JB27
4J038JB31
4J038JB39
4J038JC38
4J038KA06
4J038KA08
4J038MA07
4J038NA03
4J038NA14
4J038PA19
4J038PB08
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】不要な添加剤を添加することなく、耐光性及び耐熱性を向上できる着色層形成用組成物および光学フィルムを提供する。
【解決手段】色素(A)と、樹脂(B)と、溶剤(C)と、を含有し、樹脂(B)が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)を有し、かつ、樹脂(B)中における官能基(a)の当量が0.1g/mol以上20g/mol以下であり、かつ、ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーをさらに含有しないことを特徴とする、着色層形成用組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(A)と、樹脂(B)と、溶剤(C)と、を含有し、
前記樹脂(B)が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)を有し、かつ、
前記樹脂(B)中における官能基(a)の当量が0.1g/mol以上20g/mol以下であり、かつ、
ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーを含有しないことを特徴とする、着色層形成用組成物。
【請求項2】
前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の着色層形成用組成物。
【請求項3】
透明基材と、前記透明基材の一方面に形成された、請求項1または2に記載の着色層形成用組成物の硬化膜からなる着色層と、を有する光学フィルム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の着色層形成用組成物を溶液成膜方法により成膜した硬化膜からなる、光学フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色層形成用組成物および光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等は赤、青、緑の三原色の光の組み合わせでカラー画像を表示する。しかし、これらのディスプレイでは、三原色発光体からの発光に余分な光が含まれるため、その不要な波長の光をカットするために光学フィルタが使用される。
【0003】
このような光学フィルタでは、特定の波長の光を吸収できる化合物(色素)が用いられている。例えば、特許文献1では、ジピロメテン化合物を含有する組成物を用いることで、特定波長の光を吸収して、色純度を高めるという手法が記載されている。ジピロメテン錯体化合物は、波長500nm付近の光を吸収する色素として有用である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/044802号
【特許文献2】特許第4617029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術で用いられるような選択吸収性を有する色素は、耐光性などが悪く、信頼性を担保した構成としては不十分で、信頼性が改善されなければ実用化は困難であった。また、耐光性を改善するためにラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーなどの各種添加剤を添加する場合があるが、この場合には、耐熱試験等で添加剤がブリードアウトして外観異常を起こすなどの不具合を生じることがあった。
【0006】
上述の事情を踏まえ、本発明は、不要な添加剤を添加することなく、耐光性及び耐熱性を向上できる着色層形成用組成物および光学フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らによる鋭意検討の結果、着色層に一定量の官能基を含有させることで、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の一局面は、色素(A)と、樹脂(B)と、溶剤(C)と、を含有し、前記樹脂(B)が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)を有し、かつ、樹脂(B)中における官能基(a)の当量が0.1g/mol以上20g/mol以下であり、かつ、ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーを含有しない着色層形成用組成物である。
【0009】
また、前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の実施形態としては、上記の着色層形成用組成物を塗工および乾燥した着色層と、前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、を有する光学フィルムである。また、別の実施形態としては、上記の着色層形成用組成物を溶液成膜方法により成膜した光学フィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不要な添加剤を添加することなく、耐光性及び耐熱性を向上できる着色層形成用組成物および光学フィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光学フィルムの断面図
図2】本発明の第2の実施形態に係る光学フィルムの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。全ての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一又は相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[光学フィルム]
以下、本発明の一実施形態に係る光学フィルムについて、図1に基づき詳細に説明する。
【0015】
本発明の光学フィルム1は、図1に示すような着色層10と、透明基材20と、を有する。
【0016】
光学フィルム1の厚さは、例えば、10~140μmが好ましく、15~120μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。光学フィルム1の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。光学フィルム1の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより軽量にできるだけでなく、表示装置の薄型化に有利である。
【0017】
≪着色層≫
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物を乾燥させた膜である。本発明の着色層形成用組成物は、色素(A)と、樹脂(B)と、溶剤(C)と、を含有する。
【0018】
着色層10の厚さは、例えば、0.5~10μmが好ましい。着色層10の厚さが上記下限値以上であると、着色層10の外観に異常を発生させることなく色素を含有でき、色素の光吸収性により反射特性や色再現性を向上させることができる。着色層10の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。着色層10の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
【0019】
<色素(A)>
色素(A)は、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造、インジゴ構造のいずれかを有する化合物、又はその金属錯体を含有することが好ましい。特に、ポルフィリン構造やピロメテン構造、フタロシアニン構造を有する金属錯体や、スクアリリウム構造を有する化合物を用いることが、信頼性に優れるため、より好ましい。色素(A)は、これらの化合物又はその金属錯体を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0020】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)を有し、かつ、樹脂(B)中における官能基(a)の当量が0.1g/mol以上20g/mol以下である。ビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)が上記の範囲にあることで、光による色素の劣化を好適に抑制し、光学フィルムの耐光性を向上することができる。
【0021】
ここで、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の双方又はいずれか一方を意味するものとする。
【0022】
官能基(a)が光による色素の劣化を抑制する理由は明らかではないが、樹脂の自動酸化によって生じる色素劣化の原因物質を、官能基(a)が効率的に捕捉するからと考えられる。官能基(a)を上記の当量で有する樹脂(B)を用いることにより、ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーを添加することなく、色素の劣化を抑制できる。
【0023】
樹脂(B)は、溶剤(C)に溶解し、かつ、乾燥後に固化するものであれば公知の材料を適宜用いることができる。この時、樹脂(B)を構成する材料として、官能基(a)を持たない樹脂と官能基(a)を有する樹脂を混合物としてもよいし、官能基(a)を有する樹脂のみで構成してもよい。
【0024】
樹脂(B)を混合物とする場合に、官能基(a)を持たない樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。また、塗工および乾燥後に反応させることも可能であり、その場合には、ポリウレタン、エポキシ樹脂など 使用できる。
【0025】
官能基(a)を有する樹脂としては、各種官能基を持ったモノマー、オリゴマーを用いることができる。ビニル基を有するモノマーとしてはスチレン、酢酸ビニルなど、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、メタクリル酸メチルやペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
【0026】
官能基(a)を有するオリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
【0027】
また、官能基(a)を側鎖に有するポリマーであってもよい。上記のようなポリマーは公知の方法で作製することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するアクリル樹脂にグリシジルメタクリレートを反応させることで得ることができる。
【0028】
<溶剤(C)>
溶剤(C)としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール又はフェネトール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン又はエチルシクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n-ペンチル又はγ-ブチロラクトン等が挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、メチルセロソルブ、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブ又はセロソルブアセテート等が挙げられる。溶剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
溶剤(D)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量の20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。溶剤(D)の含有量が上記下限値以上であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。溶剤(D)の含有量が上記上限値以下であると、着色層を形成するための時間を短縮できる。
【0030】
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物を含有することで、耐光性及び耐熱性を向上させ、反射抑制と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上でき、発光素子を長寿命化でき、色再現性を向上できる。
【0031】
≪透明基材≫
透明基材20は、着色層10の一方の面に位置し、光学フィルム1を形成するシート状部材である。
【0032】
透明基材20としては、透光性を有する樹脂フィルムを採用することができる。透明基材20の形成材料としては、透明樹脂や無機ガラスを利用できる。透明樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリアクリレートとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(PET)、トリアセチルセルロースからなるフィルム(TAC)、ポリメチルメタクリレートからなるフィルム(PMMA)、PETを除くポリエステルからなるフィルムを好適に利用できる。
【0033】
透明基材20の厚さは、特に限定されないが、例えば、10~100μmが好ましい。透明基材20の透過率としては、例えば、90%以上であることが好ましい。
【0034】
透明基材20には、紫外線吸収能を付与してもよい。透明基材20の原料となる樹脂に、紫外線吸収剤を添加することで、透明基材20に紫外線吸収能を付与できる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
透明基材20に紫外線吸収能を付与する場合、紫外線遮蔽率は、85%以上であることが好ましい。ここで、紫外線遮蔽率は、JIS L1925に準拠して測定される値であり、下記式(1)により算出される。
紫外線遮蔽率(%)=100-波長290~400nmの紫外線の平均透過率(%) ・・・(1)
【0037】
≪その他≫
本発明の光学フィルムにはその他の層として機能層を設けてもよい。光学フィルムは、機能層を有することで、種々の機能を発揮できる。機能層の機能としては、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、酸素バリア機能、帯電防止機能、防汚機能、強化機能、紫外線吸収機能(紫外線吸収能)等が挙げられる。機能層は、単層であってもよく、複数の層であってもよい。機能層は、1種の機能を有していてもよく、2種以上の機能を有していてもよい。
【0038】
機能層の厚さは、例えば、0.04~25μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.2~15μmがさらに好ましい。機能層の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1に種々の機能を付与しやすい。機能層の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
【0039】
[光学フィルムの製造方法]
本実施形態の光学フィルム1は、従来公知の方法により製造できる。例えば、透明基材20の一方の面に着色層形成用組成物を塗布し、乾燥して着色層形成用組成物を固化することにより着色層10を得る。
【0040】
[その他の実施形態]
光学フィルムは、図2に示すように、着色層のみの自立フィルムを基材とする光学フィルム2であってもよい。この場合に用いられる樹脂(B)としては、上述した化合物を賞することができる。光学フィルム2は、自立膜を維持できる強度を有していればよい。光学フィルム2の製造方法としては、従来公知の溶液成膜方法により製造できる。
【0041】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ等も含まれる。
【実施例0042】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1~6、比較例1~3]
以下の実施例及び比較例では、表1に示す着色層形成用組成物を用いて光学フィルムを作製した。作製した光学フィルムについて、特性を評価した。
【0044】
[着色層の形成]
(着色層形成用組成物 使用材料)
着色層の形成に用いる着色層形成用組成物の使用材料としては、以下のものを用いた。
なお、色材の吸収極大波長、半値幅、及び規定波長範囲での最小透過率波長は、硬化塗膜での特性値である。
【0045】
<色素(A)>
Dye-1:下記式(2)で表されるピロメテンコバルト錯体染料(吸収極大波長493nm、半値幅26nm)。
【化1】
【0046】
<樹脂(B)>
・ポリメチルメタクリレート(PMMA、和光純薬(株)、平均分子量10万)
・メチルメタクリレート(MMA、関東化学(株))
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、新中村化学(株):A-DPH)
・ポリマー1:メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体に、グリシジルメタクリレートを付加したポリマー(平均分子量:3.2万、メタクリロイル基当量:8.7g/mol)
【0047】
<溶剤(C)>
・MEK:メチルエチルケトン
【0048】
<添加剤(E)>
・D1781:一重項酸素クエンチャー、ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II)、製品コードD1781(東京化成工業(株)製)
【0049】
(透明基材)
透明基材としては、下記のものを用いた。
・TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製、TG60UL、基材厚60μm)
【0050】
(着色層の形成)
実施例1~5および比較例1~3については透明基材上に、着色層形成用組成物を塗布し、90℃のオーブンで120秒間乾燥させ、乾燥後の膜厚が5.0μmとなるよう着色層を形成し光学フィルムを得た。
【0051】
実施例6は、PET基材上に着色層形成用組成物を塗布し、90℃のオーブンで10間乾燥させ、乾燥後の膜厚が100μmとなるよう着色層を形成した。その後、PET基材から着色層を剥離して、光学フィルムを得た。
【0052】
[フィルム特性評価]
<耐光性試験>
得られた光学フィルムの耐光性試験として、キセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製、X75)を用い、キセノンランプ照度60W/m(300nm~400nm)、試験機内温度45℃・湿度50%RH条件にて120時間試験し、試験前後に自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率測定を行い、波長範囲470nm~530nmにて試験前の最小透過率を示す波長での試験前後透過率差ΔTを算出した。透過率差はゼロに近い方が良好であり、ΔTが15より小さいものを「○」、ΔTが15以上のものを「×」とした。
【0053】
<耐熱性試験>
得られた光学フィルムの耐熱性試験として、90℃にて500時間試験し、試験前後で目視にて外観評価を行った。試験後に外観に変化がないものを「○」、白化など外観に変化があったものを「×」とした。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の評価結果より、比較例1では樹脂(B)がビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)を持たないため、耐光性が悪い。また、比較例2では樹脂(B)中のビニル基、(メタ)アクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも一種の官能基(a)が多すぎるため耐光性が悪く、かつ、低分子成分が多いため耐熱試験後に外観が変化した。比較例3では、添加剤の一重項酸素クエンチャーの効果により耐光性は良好であったが、耐熱試験後に白化した。実施例1~6は耐光性、耐熱性ともに良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ディスプレイに用いる光学フィルタ等に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1,2 光学フィルム
10 着色層
20 透明基材
図1
図2