(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090122
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光パネル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
G02B6/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204912
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】生川 久比古
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎祐
【テーマコード(参考)】
2H038
【Fターム(参考)】
2H038CA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業性の高い光パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】ベース10と、前記ベースの上部に設けられ、第一方向および第二方向に移動可能なように構成された第一層20と、前記第一層の上部に設けられ、前記第一層に対して前記第一方向および前記第二方向に移動可能、かつ、前記第一層が前記ベースに対して移動する場合に前記第一層と一緒に移動可能なように前記第一層に連結された第二層30と、前記第二層に支持され、複数の第一光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第一アダプタ41と、前記第二層に支持され、前記複数の第一アダプタよりも前記第二方向側に配置され、複数の第二光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第二アダプタ42と、を備え、複数の前記第一アダプタのうちの少なくとも一つは、複数の前記第二アダプタのうちの一つと光接続されている、光パネル。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部と前記第一端部の反対側の第二端部とを有するベースと、
前記ベースの上部に設けられ、前記ベースに対して前記第二端部から前記第一端部に向かう第一方向および前記第一端部から前記第二端部に向かう第二方向に移動可能なように構成された第一層と、
前記第一層の上部に設けられ、前記第一層に対して前記第一方向および前記第二方向に移動可能、かつ、前記第一層が前記ベースに対して移動する場合に前記第一層と一緒に移動可能なように前記第一層に連結された第二層と、
前記第二層に支持され、複数の第一光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第一アダプタと、
前記第二層に支持され、前記複数の第一アダプタよりも前記第二方向側に配置され、複数の第二光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第二アダプタと、を備え、
複数の前記第一アダプタのうちの少なくとも一つは、複数の前記第二アダプタのうちの一つと光接続されている、
光パネル。
【請求項2】
さらに、前記ベースに対する前記第一層の移動を制限する第一ロック部と、
前記第一層に対する前記第二層の移動を制限する第二ロック部と、を備え、
前記第一ロック部および前記第二ロック部のうちの一方は、前記第一端部側において移動の制限を解除する操作が可能であり、
前記第一ロック部および前記第二ロック部のうちの他方は、前記第二端部側において移動の制限を解除する操作が可能である、
請求項1に記載の光パネル。
【請求項3】
前記第二ロック部は、前記第一方向および前記第二方向のうちの一方の方向へ所定の強さ以上の力を加えることによって移動の制限を解除可能であり、
前記第一ロック部は、前記一方の方向とは異なる方向へ力を加えることで移動の制限を解除可能であり、かつ、前記一方の方向とは反対の方向である前記第一方向または前記第二方向へ前記所定の強さの力を加えても移動の制限が解除されない、
請求項2に記載の光パネル。
【請求項4】
前記第一アダプタの数は、前記第二アダプタの数よりも多く、
前記第一アダプタは、前記第一層を前記第一方向へ移動させることで、前記第一端部の近傍に移動し、
前記第二ロック部は、前記第二層に対して前記第二方向へ前記所定の強さ以上の力を加えることによって解除可能であり、
前記第二アダプタは、前記第二層を前記第二方向へ移動させることで、前記第二端部の近傍に移動する、
請求項3に記載の光パネル。
【請求項5】
前記第二アダプタの数は、前記第一アダプタの数よりも多く、
前記第一アダプタは、前記第一層を前記第一方向へ移動させることで、前記第一端部の近傍に移動し、
前記第二ロック部は、前記第二層に対して前記第二方向へ前記所定の強さ以上の力を加えることによって解除可能であり、
前記第二アダプタは、前記第二層を前記第二方向へ移動させることで、前記第二端部の近傍に移動する、
請求項3に記載の光パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光接続部及び接続余長等を収納するトレイの両外側部にスライドレールを突出して設け、これらスライドレールを一対の支持部材上にスライド自在に載置し、上記トレイを奥側から手前側に引出し可能とした光接続部収納トレイが開示されている。
【0003】
特許文献2には、箱状のユニット本体の内部に光ファイバコードの余長や光ファイバ心線の融着部等を収納可能にしたスプライスユニットにおいて、前記ユニット本体の前面に光ファイバコード同士をコネクタ接続するための多数のアダプタが設けられたアダプタパネルを開閉自在に回動するよう連結するとともに、前記ユニット本体を少なくとも前面が開放した箱状のアウターシャーシに収納して該アウターシャーシに対し前記ユニット本体をスライド可能にし、前記ユニット本体を前記アウターシャーシに収納した状態に保持するためのロック部と、前記ユニット本体を前記アウターシャーシから引き出した際に脱落を防止するためのストッパーとを備えたことを特徴とするスプライスユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-206342号公報
【特許文献2】特開2004-361893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のデータセンタの増加等に伴い、光接続部を収納する光パネルの需要が高まっている。特許文献1および特許文献2のように、光接続部を収納するための構造は多数知られているが、さらなる作業性の向上が望まれている。
【0006】
本開示は、作業性の高い光パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る光パネルは、
第一端部と前記第一端部の反対側の第二端部とを有するベースと、
前記ベースの上部に設けられ、前記ベースに対して前記第二端部から前記第一端部に向かう第一方向および前記第一端部から前記第二端部に向かう第二方向に移動可能なように構成された第一層と、
前記第一層の上部に設けられ、前記第一層に対して前記第一方向および前記第二方向に移動可能、かつ、前記第一層が前記ベースに対して移動する場合に前記第一層と一緒に移動可能なように前記第一層に連結された第二層と、
前記第二層に支持され、複数の第一光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第一アダプタと、
前記第二層に支持され、前記複数の第一アダプタよりも前記第二方向側に配置され、複数の第二光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第二アダプタと、を備え、
複数の前記第一アダプタのうちの少なくとも一つは、複数の前記第二アダプタのうちの一つと光接続されている。
【発明の効果】
【0008】
上記開示の構成によれば、作業性の高い光パネルを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る光パネルの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光パネルの内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すA1-A1線で光パネルを切断した場合の部分断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係るベースの斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る第一層の斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る第二層の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す光パネルにおいて、第一層を第一方向側へと移動させた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すA2-A2線で光パネルを切断した場合の部分断面図である。
【
図9】
図9は、
図2に示す光パネルにおいて、第二層を第二方向側へと移動させた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すA3-A3線で光パネルを切断した場合の部分断面図である。
【
図11】
図11は、
図2に示すA4-A4線で光パネルを切断した場合の部分断面図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す光パネルにおいて、第一ロック部を解除した状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図11に示す光パネルにおいて、第二ロック部を解除した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1) 本開示の一態様に係る光パネルは、
第一端部と前記第一端部の反対側の第二端部とを有するベースと、
前記ベースの上部に設けられ、前記ベースに対して前記第二端部から前記第一端部に向かう第一方向および前記第一端部から前記第二端部に向かう第二方向に移動可能なように構成された第一層と、
前記第一層の上部に設けられ、前記第一層に対して前記第一方向および前記第二方向に移動可能、かつ、前記第一層が前記ベースに対して移動する場合に前記第一層と一緒に移動可能なように前記第一層に連結された第二層と、
前記第二層に支持され、複数の第一光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第一アダプタと、
前記第二層に支持され、前記複数の第一アダプタよりも前記第二方向側に配置され、複数の第二光コネクタそれぞれが挿抜可能なよう構成された複数の第二アダプタと、を備え、
複数の前記第一アダプタのうちの少なくとも一つは、複数の前記第二アダプタのうちの一つと光接続されている。
この構成によれば、作業性の高い光パネルを提供することが可能になる。
具体的には、第一層および第二層が第一方向および第二方向へと移動可能であることによって、第一端部側と第二端部側の両方で光コネクタと光アダプタとの光接続作業が可能になるため、作業性を向上させることができる。
【0011】
(2) 前記(1)に記載の光パネルは、
さらに、前記ベースに対する前記第一層の移動を制限する第一ロック部と、
前記第一層に対する前記第二層の移動を制限する第二ロック部と、を備え、
前記第一ロック部および前記第二ロック部のうちの一方は、前記第一端部側において移動の制限を解除する操作が可能であり、
前記第一ロック部および前記第二ロック部のうちの他方は、前記第二端部側において移動の制限を解除する操作が可能であることが好ましい。
例えば、データセンタのように、光パネルを多数収納したラックが隙間なく配列されていて、反対側へ行くためには多数のラックを回り込むように移動しなければならない場合を想定する。そのような場合において、第一方向および第二方向に移動可能な層が一層のみで、その一層の移動を制限するロック部が第一端部側および第二端部側のどちらか一方側からしか解除できないと、他方側における作業性が低下してしまう。しかし、本開示の上記構成によれば、第一端部側および第二端部側の両方でロックの解除が可能であるため、上記のデータセンタのような場所においても作業性を大きく低下させることなく、作業時以外に第一層および第二層が移動することを抑制することができる。
【0012】
(3) 前記(2)に記載の光パネルは、
前記第二ロック部は、前記第一方向および前記第二方向のうちの一方の方向へ所定の強さ以上の力を加えることによって移動の制限を解除可能であり、
前記第一ロック部は、前記一方の方向とは異なる方向へ力を加えることで移動の制限を解除可能であり、かつ、前記一方の方向とは反対の方向である前記第一方向または前記第二方向へ前記所定の強さの力を加えても移動の制限が解除されないことが好ましい。
この構成によれば、第一方向および第二方向のうちの一方の方向への所定の強さ以上の力の付加を第二ロック部の解除のための要件とすることで作業性を向上しつつ、第一ロック部の解除には上記一方の方向とは異なる方向への力の付加を要件とし、かつ、上記一方の方向とは反対の方向である第一方向または第二方向へ上記所定の強さの力を加えても移動の制限が解除されないようにすることで、例えば、第二層だけを移動させようとした際に意図せずに第一ロック部が解除され、第一層が移動してしまうというような事態が生じることを抑制できる。
【0013】
(4) 前記(3)に記載の光パネルは、
前記第一アダプタの数は、前記第二アダプタの数よりも多く、
前記第一アダプタは、前記第一層を前記第一方向へ移動させることで、前記第一端部の近傍に移動し、
前記第二ロック部は、前記第二層に対して前記第二方向へ前記所定の強さ以上の力を加えることによって解除可能であり、
前記第二アダプタは、前記第二層を前記第二方向へ移動させることで、前記第二端部の近傍に移動するように構成してもよい。
第一アダプタを第一端部の近傍に移動させるためには、第一層を第一方向へ移動させる必要がある。ここで、第一層に対して設けられた第一ロック部は、意図せずにロックが外れる可能性が第二ロック部よりも低い。よって、本開示の上記構成によれば、第二アダプタよりも数の多い第一アダプタ側において、第一アダプタから第一光コネクタが抜けてしまうというような事態が生じることを抑制できる。
【0014】
(5) 前記(3)に記載の光パネルは、
前記第二アダプタの数は、前記第一アダプタの数よりも多く、
前記第一アダプタは、前記第一層を前記第一方向へ移動させることで、前記第一端部の近傍に移動し、
前記第二ロック部は、前記第二層に対して前記第二方向へ前記所定の強さ以上の力を加えることによって解除可能であり、
前記第二アダプタは、前記第二層を前記第二方向へ移動させることで、前記第二端部の近傍に移動するように構成してもよい。
第二アダプタは第一アダプタよりも数が多いため、作業回数や作業頻度が第一アダプタよりも多いことが想定される。ここで、第二アダプタを第二端部の近傍に移動させるためには、第二層を第二方向へ移動させる必要があるが、第二層に対して設けられた第二ロック部は、第一ロック部よりも解除が容易である。よって、本開示の上記構成によれば、作業性をさらに向上させることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係る光パネルの実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号又は名称を付し、重複する説明を適宜省略する。また、各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上のものであって、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
なお、以下の説明では、「前方向」、「後方向」、「左方向」、「右方向」、「上方向」、及び「下方向」という語句を用いることがあるが、これらの方向は、説明の便宜上、設定された相対的な方向である。各図において、「F」が「前方向」であり、「B」が「後方向」であり、「L」が「左方向」であり、「R」が「右方向」であり、「U」が「上方向」であり、「D」が「下方向」である。また、以下の説明において、「左右方向」とは、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」とは、「上方向」および「下方向」を含む方向である。
【0017】
まず、
図1から
図6を参照して、本実施形態に係る光パネル1及びその構成部品の構造について説明をする。
図1は、本開示の一実施形態に係る光パネル1の斜視図である。
図2は、
図1に示す光パネル1の内部構造を示す斜視図である。具体的には、
図2は、天板60を不図示とし、第一開閉部51及び第二開閉部53を開けた状態の光パネル1を示す。
図3は、
図2に示すA1-A1線で光パネル1を切断した場合の部分断面図である。
図3では、天板60を図示している。
図4は、本開示の一実施形態に係るベース10の斜視図である。
図5は、本開示の一実施形態に係る第一層20の斜視図である。
図6は、本開示の一実施形態に係る第二層30の斜視図である。
【0018】
図1から
図3には、本実施形態に係る光パネル1が示されている。本実施形態に係る光パネル1は、
図4に示すベース10と、
図5に示す第一層20と、
図6に示す第二層30、第一アダプタ41、及び第二アダプタ42と、を構成部品として含むものである。以下では、各構成部品の構造について詳述した後に、光パネル1の構造について詳述する。
【0019】
図4に示すように、ベース10は、第一端部11と、第二端部12と、側面部13と、第一ロック部14と、上縁部15と、導出孔16と、を備えている。第一端部11は、ベース10における前方向側の端部(端辺)である。第二端部12は、ベース10における後方向側の端部(端辺)である。以下の説明では、第二端部から第一端部に向かう方向(前方向)を「第一方向」とも称する。また、第一端部から第二端部に向かう方向(後方向)を「第二方向」とも称する。
【0020】
側面部13は、ベース10の左方向側および右方向側のそれぞれの端辺から立設されている。上縁部15は、側面部13の前方向側および後方向側において、側面部13の上端からベース10の内側方向に延びるように設けられている。第一ロック部14は、第一ロック部22(
図5等参照)とともに、ベース10に対する第一層20の移動を制限する。第一ロック部14は、第一ロック部22を刺すための孔である。第一ロック部14及び22によるロック及びロックの解除については、後の段落で詳述する。導出孔16は、側面部13の前方向側および後方向側にそれぞれ設けられている。導出孔16は、光パネルの使用時において、光コネクタのケーブルを光パネル1の外部へ導出するための孔である。
【0021】
図5に示すように、第一層20は、側面部21と、第一ロック部22と、第二ロック部23と、上縁部24と、スライド板25と、スライド孔26と、取っ手27と、を備えている。側面部21は、第一層20の左方向側および右方向側のそれぞれの端辺から立設される。上縁部24は、側面部21の上端から第一層20の内側方向に延びるように設けられている。スライド板25は、側面部21と平行になるよう、上縁部24に連結されている。スライド板25は、スライドピン31(
図6参照)が挿入されるスライド孔26を有する。
【0022】
第一ロック部22は、
図4に示した第一ロック部14とともに、ベース10に対する第一層20の移動を制限する。第一ロック部22は、第一ロック部14と係合する構造を有するものであり、例えば、ナイラッチである。第一ロック部14及び22は、ベース10に対する第一層20の移動を制限することができれば、他の構成を採用してもよい。
【0023】
第二ロック部23は、第二ロック部32(
図6等参照)とともに、第一層20に対する第二層30の移動を制限する。第二ロック部32は、第二ロック部23をキャッチするローラーキャッチである。第二ロック部23は、第二ロック部32とともに第一層20に対する第二層30の移動を制限することができれば、他の構成を採用してもよい。第二ロック部32として、例えば、ボールキャッチやマグネットキャッチ等のキャッチ構造を採用してもよい。また、第一ロック部14及び22と、第二ロック部23及び32とは、同様の構造を採用してもよい。なお、第二ロック部23及び32によるロック及びロックの解除については、後の段落で詳述する。取っ手27は、第一層20の前方向側の端部に設けられている。取っ手27は、例えば、使用者が把持可能な部位であり、ベース10に対して第一層20を移動させる場合に作業がしやすいように設けられている。
【0024】
図6に示すように、第二層30は、スライドピン31と、第二ロック部32と、取っ手33と、側面部35と、を有している。側面部35は、第二層30の左方向側および右方向側のそれぞれの端辺から立設される。第二層30は、後方向側の端部において、側面部35を有さない。各側面部35には、第二層30の外側方向に突出した2つのスライドピン31が設けられている。また、側面部35の後方向側には、第二ロック部32が設けられている。第二ロック部32は、第二ロック部23に把持される構造を有する。取っ手33は、第二層30の後方向側の端部に設けられている。取っ手33は、例えば、使用者が把持可能な部位であり、第一層20に対して第二層30を移動させる場合に作業がしやすいように設けられている。
【0025】
また、第二層30上には、複数の第一アダプタ41と、複数の第二アダプタ42と、が設けられている。第一アダプタ41及び第二アダプタ42の数は、特に制限されず、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図6に示す例では、第一アダプタ41の数は24個であり、第二アダプタ42の数は4個である。よって、
図6に示す例では、第一アダプタ41の数は第二アダプタ42の数よりも多くなっているが、第二アダプタ42の数が第一アダプタ41の数よりも多くなるように構成してもよい。
【0026】
第一アダプタ41は、第二層30によって支持され、第一光コネクタが挿抜可能なように構成された光アダプタである。第二アダプタ42は、第二層30によって支持され、第二光コネクタが挿抜可能なように構成された光アダプタである。第二アダプタ42は、複数の第一アダプタ41よりも第二方向側に配置される。本例において、複数の第一アダプタ41および複数の第二アダプタ42は、それぞれ、左右方向に沿って一列に配置されているが、これに限定されない。複数の第一アダプタ41および複数の第二アダプタ42は、例えば、ジグザクに配置されたり、左右方向に沿って階段状に2列以上で配置されたり、上下方向において左右方向に沿う2列以上を設けるように配置してもよい。
【0027】
複数の第一アダプタ41のうちの少なくとも一つは、複数の第二アダプタ42のうちの一つと光接続されている。以下では、複数の第一アダプタ41のすべてが、それぞれ、複数の第二アダプタ42のうちのいずれかと光接続されているものとして説明をする。なお、各図において、第一アダプタ41と第二アダプタ42との光接続部は、図示を省略している。
【0028】
第一光コネクタおよび第二光コネクタは、特に制限されず、どのような種類の光コネクタであってもよい。第一光コネクタと、第二光コネクタは、同種のものであってもよいが、異種のものが好ましい。好ましい具体例として、第二光コネクタをMPOコネクタとし、第一光コネクタを当該MPOコネクタよりも心数の少ないLCコネクタとすることが挙げられる。この場合、第一アダプタ41はLCアダプタとなり、第二アダプタ42はMPOアダプタとなる。また、第一アダプタ41の数は、第二アダプタ42の数よりも多くなる。また、第一光コネクタをMPOコネクタとし、第二光コネクタを当該MPOコネクタよりも心数の少ないLCコネクタとしてもよい。この場合、第二アダプタ42はLCアダプタとなり、第一アダプタ41はMPOアダプタとなる。また、第一アダプタ41の数は、第二アダプタ42の数よりも少なくなる。なお、第一アダプタ41や第二アダプタ42は、複数種類のアダプタを併用してもよい。例えば、第一アダプタ41又は第二アダプタ42として、単心用のLCアダプタ、多心用のLCアダプタ、及びMPOアダプタ等を併用してもよい。もちろん第一アダプタ41の数は、第二アダプタ42の数と同じでもよい。
【0029】
以下、光パネル1について説明をする。
図3に示すように、光パネル1において、第一層20はベース10の上部に設けられている。ここで、第一層20は、ベース10に対して第一方向および第二方向に移動可能なように構成される。具体的には、第一層20は、第一ロック部14及び22によって移動を制限されていない状態において、ベース10によって支持はされているが、ベース10に対して固定されてはいない。よって、第一層20は、ベース10に対して第一方向および第二方向へと移動可能となっている。なお、ベース10の側面部13と、第一層20の側面部21とが当接することで、第一層20の左右方向への移動は制限されている。ベース10の上縁部15と、第一層20の上縁部24とが当接することで、第一層20の上下方向への移動は制限されている。
【0030】
また、
図3に示すように、光パネル1において、第二層30は第一層20の上部に設けられている。ここで、第二層30は、第一層20に対して第一方向および第二方向に移動可能なように、第一層20に連結される。具体的には、第二層30のスライドピン31が、第一方向および第二方向に移動可能な状態で、第一方向および第二方向に沿って延びるスライド孔26に挿入されている。なお、スライドピン31及びスライド孔26による構成は一例であって、第二層30が第一層20に対して第一方向および第二方向に移動可能であれば、他の構成を採用してもよい。例えば、第一層20と第二層30とをスライドレールによって連結してもよいし、第一層20の上面にガイド溝を設け、第二層の下面に当該ガイド溝に対応するローラを設けてもよいし、その他の従来公知の構成を採用してもよい。
【0031】
また、第二層30は、第一層20がベース10に対して移動する場合に第一層20と一緒に移動可能なように構成される。本実施形態に係る光パネル1において、第二層30は第一層20に載っている。そのため、第一層20が移動する場合、第二層30も第一層20と一緒に移動可能である。また、第二ロック部23及び32によって第二層30の移動が制限されている状態は、第二層30が第一層20に固定されている状態ともいえる。よって、第二ロック部23及び32によって第二層30の移動を制限することで、第二層30は、第一層20が移動する場合に第一層20とより一体的に移動可能となる。なお、第二ロック部23及び32のように、第二層30を第一層20に解除自在に固定する部材を設けた場合、第二層30は第一層20に載っていなくてもよい。
【0032】
光パネル1において、第一アダプタ41及び第二アダプタ42の光接続部は、保護板34(
図2及び
図3参照)によって覆われている。また、光パネル1において、ベース10の上縁部15には、天板60(
図1及び
図3参照)が連結されている。また、光パネル1において、ベース10の側面部13には、取付板55(
図1及び
図2参照)が連結されている。取付板55は、例えば、光パネル1を収納するラック等に光パネル1を固定するための部材である。
【0033】
また、
図1から
図3に示すように、光パネル1は、第三ロック部52を有する第一開閉部51と、第四ロック部54を有する第二開閉部53と、を備えている。第一開閉部51は、第一端部11と連結され、第一端部11を軸として回動可能な板状の部材である。第三ロック部52は、第一開閉部51が第一端部11側におけるベース10と天板60との間を塞いだ状態で、第一開閉部51をロックすることができる。第二開閉部53は、第二端部12と連結され、第二端部12を軸として回動可能な板状の部材である。第四ロック部54は、第二開閉部53が第二端部12側におけるベース10と天板60との間を塞いだ状態で、第二開閉部53をロックすることができる。第三ロック部52および第四ロック部54は、それぞれに対応する鍵を用いて、ロックおよびロックの解除が可能である。第三ロック部52および第四ロック部54を設けることにより、例えば、第三者によって誤った作業がなされることを抑制できる。
【0034】
次に、
図7から
図10を参照して、本実施形態に係る光パネル1の使用方法を説明する。
図7は、
図2に示す光パネル1において、第一層20を第一方向側へと移動させた状態を示す斜視図である。
図8は、
図7に示すA2-A2線で光パネル1を切断した場合の部分断面図である。
図9は、
図2に示す光パネル1において、第二層30を第二方向側へと移動させた状態を示す斜視図である。
図10は、
図9に示すA3-A3線で光パネル1を切断した場合の部分断面図である。なお、
図7及び
図9では天板60は図示を省略しているが、
図8及び
図10では、天板60を図示している。
【0035】
図7及び
図8は、第一ロック部14及び22によるロックを解除し、かつ、第二ロック部23及び32によって第一層20に対する第二層30の移動を制限した状態である。この状態において、使用者は、第一層20に対して力を加えることで、第一層20をベース10に対して第一方向および第二方向へと移動させることが可能である。
図7及び
図8の例では、第一層20を第一方向側へと移動させたことによって、複数の第一アダプタ41が第一端部11の近傍に移動している。これによって、第一アダプタ41に対する第一コネクタの挿抜作業が容易になる。このような使用が可能なことは、特に、1Uサイズ(高さが約44mm)のようにベース10と天板60との間が狭い光パネル1において、特に有用である。
【0036】
また、
図7及び
図8の例では、第一層20を第一方向側へと移動させたことによって、第二層30も第一層20と一緒に第一方向側へと移動している。第二ロック部23及び32によって第二層30が第一層20に固定されていること等によって、
図8の例における第一層20と第二層30の相対的な位置関係は、
図3の例と変わっていない。
【0037】
図9及び
図10は、第一ロック部14及び22によってベース10に対する第一層20の移動を制限し、かつ、第二ロック部23及び32によるロックを解除した状態である。この状態において、使用者は、第二層30に対して力を加えることで、第二層30を第一層20に対して第一方向および第二方向へと移動させることが可能である。
図9及び
図10の例では、第二層30を第二方向側へと移動させたことによって、複数の第二アダプタ42が第二端部12の近傍に移動している。これによって、第二アダプタ42に対する第二コネクタの挿抜作業が容易になる。このような使用が可能なことは、上述のように、ベース10と天板60との間が狭い光パネル1において、特に有用である。なお、第一ロック部14及び22によって第一層20がベース10に固定されているため、
図10の例におけるベース10と第一層20の相対的な位置関係は、
図3の例と変わっていない。
【0038】
次に、
図11から
図13を参照して、本実施形態に係る光パネル1における第一ロック部14及び22と、第二ロック部23及び32と、について詳述する。
図11は、
図2に示すA4-A4線で光パネル1を切断した場合の部分断面図である。
図12は、
図11に示す光パネル1において、第一ロック部14及び22を解除した状態を示す斜視図である。
図13は、
図11に示す光パネル1において、第二ロック部23及び32を解除した状態を示す斜視図である。
【0039】
図11の例では、第一ロック部22の後方向側の端部が第一ロック部14に挿入されている。この状態が、第一ロック部14及び22によって第一層20がロックされている状態、すなわち、ベース10に対する第一層20の移動が制限された状態である。ロックを解除するためには、例えば、第一ロック部22に対して第一方向側へ第一の強さ以上の力を加えればよい。第一ロック部22に対して第一方向側へ第一の強さ以上の力を加えることで、
図12に示すように第一ロック部22の後方向側の端部が第一ロック部14から抜け、ベース10に対する第一層20の移動の制限が解除される。再度ロックする場合は、第一ロック部22の後方向側の端部を第一ロック部14に挿入すればよい。このように、第一ロック部14及び22は、第一端部11側において、ロック及びロックを解除する操作が可能である。
【0040】
また、
図11の例は、第二ロック部32の先端(
図11では不図示)が第二ロック部23に把持された状態にある。この状態が、第二ロック部23及び32によって第二層30がロックされている状態、すなわち、第一層20に対する第二層30の移動が制限された状態である。ロックを解除するためには、例えば、第二ロック部32に対して第二方向側へ第二の強さ以上の力を加えればよい。例えば、第二層30を第二方向側へ引っ張る等の操作によって、第二ロック部32に対して第二方向側へ第二の強さ以上の力を加えることで、
図13に示すように第二ロック部32が第二ロック部23から抜け、第一層20に対する第二層30の移動の制限が解除される。再度ロックする場合は、例えば、第二層30を第一方向側へ押す等の操作によって、第二ロック部32が第二ロック部23と接した状態から第二ロック部32に対して第一方向側へ所定の強さ以上の力を加えればよい。このように、第二ロック部23及び32は、第二端部12側において、ロック及びロックを解除する操作が可能である。
【0041】
上述のように、本実施形態に係る光パネル1では、第二ロック部23及び32は第二ロック部32に第二方向側へ第二の強さ以上の力を加えることでロックが解除され、第一ロック部14及び22は第一ロック部22に第一方向側へ第一の強さ以上の力を加えることでロックが解除される。ここで、第一の強さの力は、第二の強さの力よりも大きい力である。よって、本実施形態に係る光パネル1では、第一ロック部22に対して第一方向側へ第二の強さの力を加えても、第一ロック部14及び22は解除されない。すなわち、第二ロック部32に対しては第二方向側、第一ロック部22に対しては第一方向側へと同じ強さで力を加え始め、徐々に加える力を大きくしていった場合、第一ロック部14及び22よりも先に第二ロック部23及び32が解除されることになる。これにより、例えば、第二層30を第二方向側へ引っ張る等の操作によって第二ロック部32に対して第二方向側へ第二の強さ以上の力を加えることで、第二ロック部23及び32が解除される一方、第一ロック部14及び22のロックは解除されない。
【0042】
なお、第一ロック部14及び22は、第一ロック部22に対して第二方向側へ第一の強さ以上の力を加えることでロックが解除されるようにしてもよい。このように構成した場合、第二ロック部23及び32は、第二ロック部32に対して第一方向側へ第二の強さ以上の力を加えることでロックが解除されるようにすることが好ましい。
【0043】
第一ロック部14及び22は、第一ロック部22に対して、第二ロック部23及び32を解除するために力を加える方向とは異なる方向に所定の力を加えることで、ロックが解除されるように構成することが好ましい。この異なる方向は、上述の例のように第二ロック部23及び32を解除するために力を加える方向と反対側の方向であってもよいし、他の方向(例えば、右方向、左方向、上方向、下方向など)であってもよい。具体的には、第一ロック部14を、側面部13を左右方向に貫通する孔とし、第一ロック部22を、左右方向において第一ロック部14に抜き差し可能なナイラッチやピンとしてもよい。このように構成した場合、当然ながら、第一ロック部22に対して、第二ロック部23及び32を解除するために力を加える方向とは反対の方向に第二の強さ以上の力を加えても、ロックは解除されない。
【0044】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。また、上記説明した各例が含む要素は、互いに組みわせることができる。
【符号の説明】
【0045】
1:光パネル
10:ベース
11:第一端部
12:第二端部
13:側面部
14:第一ロック部
15:上縁部
16:導出孔
20:第一層
21:側面部
22:第一ロック部
23:第二ロック部
24:上縁部
25:スライド板
26:スライド孔
27:取っ手
30:第二層
31:スライドピン
32:第二ロック部
33:取っ手
34:保護板
35:側面部
41:第一アダプタ
42:第二アダプタ
51:第一開閉部
52:第三ロック部
53:第二開閉部
54:第四ロック部
55:取付板
60:天板