IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 正達國際光電股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-ディスプレイのカバーガラス 図1
  • 特開-ディスプレイのカバーガラス 図2
  • 特開-ディスプレイのカバーガラス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090687
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ディスプレイのカバーガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/34 20060101AFI20230622BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C03C17/34 Z
G09F9/00 313
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022201074
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】63/290,879
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514115320
【氏名又は名称】正達國際光電股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鍾 志明
(72)【発明者】
【氏名】林 幸樵
(72)【発明者】
【氏名】▲藍▼ 育昌
(72)【発明者】
【氏名】林 韋廷
【テーマコード(参考)】
4G059
5G435
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC04
4G059AC22
4G059EA13
4G059EB03
4G059GA04
4G059GA12
5G435AA01
5G435GG43
5G435HH05
5G435HH18
5G435KK02
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 本発明はディスプレイのカバーガラスを得ることにある。
【解決手段】 本発明が提供するディスプレイのカバーガラスは、第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、第1平板と第2平板との間は夾角を有し、第1平板は第1表示領域を有し、第2平板は第2表示領域を有し、第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、第1ポイントと第2ポイントの視角差が10~60度であるとき、第1ポイントと第2ポイントの色差値はΔE≦17である。これにより、第1平板と第2平板の2つの異なる表示領域にナビゲーションインターフェースなどの運転情報と操作インターフェースが別々に表示され、乗り物を運転する使用者にとって、情報を読むことや操作インターフェースの使用がより明解になり得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、前記第1平板と前記第2平板との間は夾角を有し、前記第1平板は第1表示領域を有し、前記第2平板は第2表示領域を有し、前記第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、前記第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、前記第1ポイントと前記第2ポイントの視角差が10~60度であるとき、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値はΔE≦17である、ディスプレイのカバーガラス。
【請求項2】
前記第1ポイントはL1値、a1値及びb1値を有し、前記第2ポイントはL2値、a2値及びb*2値を有し、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値ΔEは、√(L1-L2)+(a1-a2)+(b1-b2)≦17という式を満足する、請求項1に記載のディスプレイのカバーガラス。
【請求項3】
第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、前記第1平板と前記第2平板との間は夾角を有し、前記第1平板は第1表示領域を有し、前記第2平板は第2表示領域を有し、前記第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、前記第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、前記第1ポイントと前記第2ポイントの視角差が10~50度であるとき、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値はΔE≦7である、ディスプレイのカバーガラス。
【請求項4】
前記第1ポイントはL1値、a1値及びb1値を有し、前記第2ポイントはL2値、a2値及びb2値を有し、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値ΔEは、√(L1-L2)+(a1-a2)+(b1-b2)≦7という式を満足する、請求項3に記載のディスプレイのカバーガラス。
【請求項5】
第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、前記第1平板と前記第2平板との間は夾角を有し、前記第1平板は第1表示領域を有し、前記第2平板は第2表示領域を有し、前記第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、前記第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、前記第1ポイントと前記第2ポイントの視角差が10~40度であるとき、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値はΔE≦4である、ディスプレイのカバーガラス。
【請求項6】
前記第1ポイントはL1値、a1値及びb1値を有し、前記第2ポイントはL2値、a2値及びb2値を有し、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値ΔEは、√(L1-L2)+(a1-a2)+(b1-b2)≦4という式を満足する、請求項5に記載のディスプレイのカバーガラス。
【請求項7】
第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、前記第1平板と前記第2平板との間は夾角を有し、前記第1平板は第1表示領域を有し、前記第2平板は第2表示領域を有し、前記第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、前記第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、前記第1ポイントと前記第2ポイントの視角差が10~30度であるとき、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値はΔE≦4である、ディスプレイのカバーガラス。
【請求項8】
前記第1ポイントはL1値、a1値及びb1値を有し、前記第2ポイントはL2値、a2値及びb2値を有し、前記第1ポイントと前記第2ポイントの色差値ΔEは、√(L1-L2)+(a1-a2)+(b1-b2)≦4という式を満足する、請求項7に記載のディスプレイのカバーガラス。
【請求項9】
前記夾角は120~175度の間である、請求項1~8のいずれか1項に記載のディスプレイのカバーガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス製品に関し、特にディスプレイのカバーガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子化、デジタル化及びタッチ制御化技術の進歩や需要の増加に伴い、各種のデジタル情報をディスプレイで使用者の目の前に表示してタッチ制御操作が行われるようになり、様々な応用分野に拡大し続けている。例えば液晶スクリーン、タブレットやノートパソコンなどの個人が娯楽で見たり聞いたりするための従来の用途や、スマートフォン、スマートウォッチなどの個人の通信やポータブルデバイス用などもあり、また最近では自動車など、様々な乗り物のダッシュボード、制御パネルや表示パネルにまで徐々に広がりを見せている。そのうち、ディスプレイのカバープレートは、ディスプレイを保護するだけでなく、防汚、防眩、反射防止などの機能も提供しており、ディスプレイにとって非常に重要な部材となっている。特に乗り物の運転における使用シーンでは、乗り物の運転席の周辺環境、使用者の安全や造形の美しさなどの要素を考慮する必要があるため、特別な設計がなされることが多い。
【0003】
従来の乗り物用ディスプレイは、例えばナビゲーションインターフェース、走行情報インターフェース、操作インターフェースなどの各種の情報やインターフェースを大型のディスプレイで表示したうえで、ディスプレイ表面のカバーガラスによって操作や見る際の視野角を広げている。しかし、使用者にとっては、運転過程でディスプレイ上のすべての情報を見たり操作したりする場合、同一ディスプレイに表示される情報量が多すぎて互いに妨げになるほか、使用者が運転過程で情報を視認しようとして気を取られてしまう状況が生じやすかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ディスプレイのカバーガラスを提供することを目的としており、それは、情報と操作インターフェースを別々に表示する2つの表示面を提供でき、且つ使用者が同一の視角から2つの表示面を見た場合に、どちらにも良好な視認性を持たせ得るというものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明が提供するディスプレイのカバーガラスは、第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、第1平板と第2平板との間は夾角を有し、第1平板は第1表示領域を有し、第2平板は第2表示領域を有し、第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、第1ポイントと第2ポイントの視角差が10~60度であるとき、第1ポイントと第2ポイントの色差値はΔE≦17である。
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明が提供するディスプレイのカバーガラスは、第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、第1平板と第2平板との間は夾角を有し、第1平板は第1表示領域を有し、第2平板は第2表示領域を有し、第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、第1ポイントと第2ポイントの視角差が10~50度であるとき、第1ポイントと第2ポイントの色差値はΔE≦7である。
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明が提供するディスプレイのカバーガラスは、第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、第1平板と第2平板との間は夾角を有し、第1平板は第1表示領域を有し、第2平板は第2表示領域を有し、第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、第1ポイントと第2ポイントの視角差が10~40度であるとき、第1ポイントと第2ポイントの色差値はΔE≦4である。
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明が提供するディスプレイのカバーガラスは、第1平板と第2平板を有するガラス基体を含み、第1平板と第2平板との間は夾角を有し、第1平板は第1表示領域を有し、第2平板は第2表示領域を有し、第1表示領域には任意の第1ポイントが設定されており、第2表示領域には任意の第2ポイントが設定されており、第1ポイントと第2ポイントの視角差が10~30度であるとき、第1ポイントと第2ポイントの色差値はΔE≦4である。
【発明の効果】
【0009】
第1平板と第2平板上の第1表示領域と第2表示領域を利用することで、2つの異なる表示領域にナビゲーションインターフェースなどの運転情報と操作インターフェースが別々に表示されるため、乗り物を運転する使用者にとっては、情報を読むことや操作インターフェースの使用がより明解になり得る。さらに、第1平板と第2平板との間に夾角があるため、使用者が情報を見る際の見る距離と、制御インターフェースを操作する際の操作距離を同時に満足することができ、運転時の安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例におけるディスプレイのカバーガラスの立体図である。
図2】本発明の実施例におけるディスプレイのカバーガラスの側面図である。
図3】本発明の実施例におけるディスプレイのカバーガラスの第1平板と第2平板のそれぞれにおいて、異なる視角で色差を測定する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を参照されたい。本発明が提供するディスプレイのカバーガラス10は、ガラス基体20を含み、ガラス基体20は第1平板22と第2平板24を有し、第1平板22と第2平板24との間は夾角θを有し、第1平板22は第1表示領域222を有し、第2平板24は第2表示領域242を有し、第1表示領域222には任意の第1ポイントP1が設定されており、第2表示領域242には任意の第2ポイントP2が設定されている。ディスプレイのカバーガラス10の各種実施例は、例えば電車、自動車、トラック、バスなどのような陸上の乗り物や、ヨット、船舶、潜水艦などの水上の乗り物、さらには飛行機、ジェット機、ヘリコプターなどの空中の乗り物など、様々なタイプの乗り物に使用可能であり、また様々な家電製品、作業機械や建築部材などにも使用することができる。
【0012】
ガラス基体20の種類は特に限定されず、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラスやアルミノケイ酸塩ガラスなどでよいが、好適にはソーダ石灰ガラスである。また、使用上の安全を考慮し、ガラス基体には強化ガラスを使用するのが好ましく、ガラスの強化処理には化学強化法を用いることができ、例えばガラスを高温に加熱した硝酸カリウム溶液に浸漬して、ガラス表面のナトリウムと溶液中のカリウムをイオン交換させると、ガラス表面のイオン半径の小さいナトリウムイオンがイオン半径の大きいカリウムイオンに置き換わるため、ガラス表面の強度を数倍向上させることができる。
【0013】
第1平板22と第2平板24はガラス基体20に一体成形されており、第1平板22と第2平板24との間の夾角θは、例えば加熱後に金型でプレス加工して成形するか、又は加熱後に真空引きによって金型にガラスを密着させて成形するなど、様々な方法で湾曲成形して作ることができる。本実施例では、夾角θは120~175度の間であり、第1平板22と第2平板24の夾角θが120~175度の間である側は使用時に使用者が見るのに提供される前側とし、もう一方の反対側は使用時に固定ユニットと組み立ててディスプレイに貼り合わせる後側としている。
【0014】
第1表示領域222と第2表示領域242は各種の情報やインターフェースを表示することができ、第1表示領域222及び第2表示領域242の使用時における後側は、それぞれ2つの異なるディスプレイに貼り合わせることができる。その2つのディスプレイは、2つのタッチパネル式ディスプレイか、2つの非タッチパネル式ディスプレイか、又は1つがタッチパネル式ディスプレイ、もう1つが非タッチパネル式ディスプレイであり得る。1つの好ましい例として、第1表示領域222の後側を1つの非タッチパネル式ディスプレイと貼り合わせ、第2表示領域242の後側はもう1つのタッチパネル式ディスプレイと貼り合わせて、第1表示領域222によってナビゲーションインターフェース又は情報表示インターフェースなどを表示させることができ、第2表示領域242は制御インターフェース又は操作インターフェースなどを表示させることができ、この場合、使用者は分離された情報とインターフェースを利用することで、より明解に情報を見たり操作したりすることができる。さらに、第1平板22と第2平板24間の夾角θの設計により、第1平板22上の第1表示領域222と使用者との間の見る距離を適度に保たせることができ、同時に、第2平板24上の第2表示領域242と使用者との間の距離をすぐ手が届く距離に近づけることができ、これにより使用者が乗り物を運転する過程で第2表示領域にタッチして制御や操作を行いやすくなる。
【0015】
第1表示領域222の面積は第1平板22の面積以下であり、第2表示領域242の面積は第2平板24の面積以下である。一般的に、第1表示領域222及び第2表示領域242は、第1平板22及び第2平板24の後側面にスプレーコーティングか又はプリントする方法で第1平板22及び第2平板24上に形成される。即ち、第1平板22及び第2平板24の後側面の外周領域に黒色のインクを塗布し、中央の第1表示領域222及び第2表示領域242の透視性は保持させることにより、第1平板22及び第2平板24上に第1表示領域222と第2表示領域242が形成される。1つの好ましい実施例では、第1平板22の大きさは300~450ミリメートル、第2平板24の大きさは300~450ミリメートルであり、且つ第1表示領域222の面積は第2表示領域242の面積よりも大きい。
【0016】
第1平板22には任意の第1ポイントP1が設定されており、第2平板24には任意の第2ポイントP2が設定されており、視角差とは、同じ位置から第1ポイントP1を観察したときの角度と、第2ポイントP2を観察したときの角度との間の差値をいう。色差値ΔEは、国際照明委員会(International Commission on Illumination,CIE)が採用するCIE1976L色差計算式によって計算される。そのうち、L*は明度、即ち色の明暗の強度を表し、その数値は0~100であり、Lが0に近いほど色は暗くなり、Lが100に近いほど色は明るくなる。aとbは色相、即ち色あいを表し、aは赤/緑軸で、正値は赤、負値は緑であり、bは黄/青軸で、正値は黄、負値は青である。2つのポイントとの色差値ΔEは、√(ΔL+(Δa+(Δb=ΔEという計算式により求める。
【0017】
第1平板22上の第1ポイントP1と第2平板24に設定した任意の第2ポイントP2の異なる視角差における色差値ΔEの測定と計算については、光学検出器(HMT MFS-630、宏明科技)を用いて、図3に示すように、固定位置から角度10、20、30、40、50、60度を測定して第1平板22上に6つのポイントを取った後、それぞれのL値、a値及びb値を取得し、さらに同じ固定位置から角度10、20、30、40、50、60度を測定して第2平板24上に6つのポイントを取った後、それぞれのL値、a値及びb値を取得し、次に第1平板22上の各ポイントで取得した数値と、第2平板24上の各ポイントで取得した数値により、視角差に従って色差値ΔEの計算を行った。
【0018】
視角差10~30度とは、即ち第1平板22上の角度10度を測定した測定ポイントを第1ポイントP1とし、第2平板24上の角度30度を測定した測定ポイントを第2ポイントP2とするものであり、上述の計算式に従って第1ポイントP1と第2ポイントP2の間の色差値ΔEを算出した。視角差10~40度とは、即ち第1平板22上の角度10度を測定した測定ポイントを第1ポイントP1とし、第2平板24上の角度40度を測定した測定ポイントを第2ポイントP2とするものであり、上述の計算式に従って第1ポイントP1と第2ポイントP2の間の色差値ΔEを算出した。視角差10~50度とは、第1平板22上の角度10度を測定した測定ポイントを第1ポイントP1とし、第2平板24上の角度50度を測定した測定ポイントを第2ポイントP2とするものであり、上述の計算式に従って第1ポイントP1と第2ポイントP2の間の色差値ΔEを算出した。視角差10~60度とは、第1平板22上の角度10度を測定した測定ポイントを第1ポイントP1とし、第2平板24上の角度60度を測定した測定ポイントを第2ポイントP2とするものであり、上述の計算式に従って第1ポイントP1と第2ポイントP2の間の色差値ΔEを算出した。
【0019】
以下の第1平板と第2平板のうちの任意の2つの視角の色差値ΔEの試験において使用したディスプレイのカバーガラスは、以下の製造工程に従い、異なるロットの完成品を取ったものであり、それぞれの番号を例1~例11としたうえで、上述の方法に従って色差値ΔEを取得した。例1~例11の製造工程と条件の概要は以下の通りである。
【0020】
平板ガラスをガラス基体として使用したが、平板ガラスはコーニング(Corning)、日本板硝子(Nippon Sheet Glass)又はAGC(Asahi Glass Company)から購入可能である。最初に、平板ガラスを適当な大きさや形状にカットしてから、ガラス基体を湾曲成形して、ガラス基体を2つの所定角度を有する第1平板と第2平板に成形し、湾曲成形したガラス基体を表面研磨して、高温で湾曲成形した際にガラス基体の表面に生じた白ボケ現象を取り除いた。表面研磨は選択可能な工程である。次に、ガラス基体に穿孔を行うか又はCNC加工機を用いて開孔処理を行った。開孔処理の後、初期成形したガラス基体を420℃に溶融した硝酸カリウム塩に150分浸し、取り出して180分冷却して、化学強化処理を行った。次に、化学強化処理が完了したガラス基体にスプレーコーティングか又はプリントを行い、第1平板と第2平板を形成した。
【0021】
最後に、第1平板及び第2平板の表面にARコーティングとAFコーティングの処理を行った。一般的に、ARコーティングとAFコーティングは、例えばスパッタリング(Sputtering)や蒸着(Evaporation)など、各種のフィルムコーティング技術を利用して実施できる。本工程では蒸着方法を採用して第1平板と第2平板にARコートとAFコートを順にプレーティングした。ARコートのプレーティングは、蒸着装置(LD-1300 BSD、LP-1600 BSD又はLP-1800 BSD、龍翩真空科技)を使用し、電子ビーム加熱式の真空蒸着を行った。最初に、支持フレームによってガラス基体を蒸着源上に固定し、さらにガラス基体と蒸着源との間にシャッターを架設した。支持フレームのフレーム体は傘型であり、直径は1.3~2.3メートル、弧度は20~30度とし、ガラス基体は支持フレームの外輪位置に間隔を空けて固定した。蒸着源は、酸化ケイ素(SiO)、酸化ニオブ(Nb)又は加水分解性フッ素含有ケイ素化合物であり、蒸着されるガラス基体と蒸着源との間の高さ距離は1~2メートルとした。シャッターの造形は、円形、角丸三角形、紡錘形、葉形でよく、膜の厚みを均一にさせて第1平板と第2平板に同時に成形するために、シャッターは第1平板と第2平板に対応する2つの円形、角丸三角形、紡錘形、葉形シャッターを組み合わせてなるものでよく、蒸着過程中、支持フレームは毎分10~30回転(rpm)の速度で回転させた。上述の設定が完了した後、10-~10-Torrまで約40分真空引きし、高圧電力によりタングステンコイルに電子を発生させたうえで、加速電極により電子を引き出し、曲げ磁石(Bending magnet)によって電子ビームを270度湾曲させて、るつぼ内の金属又は金属酸化物に当たるよう誘導し、その金属又は金属酸化物を部分的に溶融させた。使用した電圧は-4~-10キロボルト(kV)、蒸着時間は約20~40分であり、30分が最適である。この時の内部温度は25~250℃に維持でき、60~120℃が最適である。最後に内部圧力を約30分かけて戻し、蒸着作業を完了した。高真空下(10-~10-Torr)では金属又は金属酸化物の融点と沸点が近いため蒸発しやすく、金属又は金属酸化物の蒸気流が発生する。蒸気流がガラス基体に接触すると、表面に金属又は金属酸化物の分子が堆積する。加速電圧の出力調整により加熱温度を調整することができ、これにより薄膜の堆積速度をコントロールする。また、薄膜の堆積の厚さと蒸着速度は水晶振動子(Quartz crystal)によって精確に制御することができるほか、複数のるつぼを設備に設置することで、真空を破らない環境における多層金属薄膜の連続的な成長が可能になる。
【0022】
上述の蒸着工程により、第1層が厚さ10~20ナノメートルの酸化ニオブ(Nb)、第2層が厚さ60~70ナノメートルの酸化ケイ素(SiO)、第3層が厚さ10~20ナノメートルの酸化ニオブ(Nb)、第4層が厚さ190~200ナノメートルの酸化ケイ素(SiO)、第5層が厚さ20~30ナノメートルの酸化ニオブ(Nb)、第6層が厚さ10~20ナノメートルの酸化ケイ素(SiO)、第7層が厚さ50~60ナノメートルの酸化ニオブ(Nb)、第8層が厚さ60~70ナノメートルの酸化ケイ素(SiO)の合計8層を順に第1平板と第2平板の表面に均一に形成した。ARコーティングが完了した後、加水分解性フッ素含有ケイ素化合物を使用して、上述の蒸着装置と設定により、1層の厚さが5~10ナノメートルのAFコートをARコート上に形成した。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の試験結果が示す通り、視角差が10~30度の間では、例1~例11の第1ポイントP1と第2ポイントP2における色差値△Eはいずれも4以下であった。好適には、△Eは3未満、2未満又は1未満であり得る。視角差が10~40度の間では、例1~例11の第1ポイントP1と第2ポイントP2における色差値△Eはいずれも4以下であった。好適には、△Eは3未満又は2未満であり得る。視角差が10~50度の間では、例7、8、10の第1ポイントP1と第2ポイントP2における色差値△Eはいずれも7以下であった。好適には、△Eは6未満であり得る。視角差が10~60度の間では、例7、8、9の第1ポイントP1と第2ポイントP2における色差値△Eはいずれも17以下であった。好適には、△Eは16未満であり得る。
【0025】
従って、本発明が提供するディスプレイのカバーガラス10は、1つのガラス基板上で異なる角度の2つの表示面を提供することができ、且つ同じ位置の視角から2つの表示面の異なる情報をはっきりと見ることができ、2つの表示面にナビゲーションインターフェースなどの運転情報と操作インターフェースが別々に表示されるため、乗り物を運転する使用者にとっては、情報を読むことや操作インターフェースの使用がより明解になり得る。加えて、2つの表示面の間に夾角があるため、使用者が情報を見る際の見る距離と、制御インターフェースを操作する際の操作距離を同時に満足することができ、運転時の安全性が高まる。
【0026】
なお、上記の図に基づく詳細な記述は、本発明の技術内容と特徴を説明するために提供した実施形態に過ぎず、本発明の当業者が本発明の技術内容と特徴を理解したうえで、本発明の精神から逸脱することなく行う各種の簡単な修飾や置換又は構成要素の加減は、いずれも本発明が開示する特許請求の範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0027】
10 ディスプレイのカバーガラス
20 ガラス基体
22 第1平板
222 第1表示領域
24 第2平板
242 第2表示領域
θ 夾角
P1 第1ポイント
P2 第2ポイント
図1
図2
図3
【外国語明細書】