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  • 特開-障害物検出装置のエイミング補正方法 図1
  • 特開-障害物検出装置のエイミング補正方法 図2
  • 特開-障害物検出装置のエイミング補正方法 図3
  • 特開-障害物検出装置のエイミング補正方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090760
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】障害物検出装置のエイミング補正方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230622BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60T7/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068233
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2019152872の分割
【原出願日】2019-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】菊間 信浩
(57)【要約】
【課題】パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施すること。
【解決手段】自車両に対する障害物を検出する障害物検出装置が前記障害物を適切に検出できるように検出範囲を補正する障害物検出装置のエイミング補正方法であって、前記自車両のタイヤの空気圧に基づいて走行中における前記障害物検出装置のエイミング補正の要否を判定し、前記タイヤの空気圧に異常が発生した場合、通常の補正時間よりも短い時間で前記エイミング補正を実施する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に対する障害物を検出する障害物検出装置が前記障害物を適切に検出できるように検出範囲を補正する障害物検出装置のエイミング補正方法であって、
前記自車両のタイヤの空気圧に基づいて走行中における前記障害物検出装置のエイミング補正の要否を判定し、
前記タイヤの空気圧に異常が発生した場合、通常の補正時間よりも短い時間で前記エイミング補正を実施することを特徴とする障害物検出装置のエイミング補正方法。
【請求項2】
前記エイミング補正は走行中に実施することを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置のエイミング補正方法。
【請求項3】
前記空気圧が通常の空気圧に戻ったら、次の前記エイミング補正を通常の補正時間よりも短い時間で実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の障害物検出装置のエイミング補正方法。
【請求項4】
前記タイヤの空気圧に異常が発生した場合に前記自車両の前方側が下向きとなったとき、通常の補正時間よりも短い時間で前記エイミング補正を実施することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の障害物検出装置のエイミング補正方法。
【請求項5】
前記障害物検出装置は、前記障害物を検出して前記障害物が前記自車両に衝突すると予測した場合、自動でブレーキを作動させる衝突被害軽減ブレーキ制御を実施し、
前記タイヤの空気圧に異常が発生した場合に前記自車両の前方側が下向きとなったとき、前記エイミング補正が完了するまで前記衝突被害軽減ブレーキ制御を一時的に禁止することを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置のエイミング補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置のエイミング補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の技術革新に伴い、車両に衝突被害軽減ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)センサ等の障害物検出装置が搭載されたものが提案されている。衝突被害軽減ブレーキとは、車両が障害物を検出して衝突に備える機能の総称であり、レーダーやカメラからの情報をコンピュータが解析し、運転者への警告やブレーキの補助操作などを行うシステムである。
【0003】
この種の障害物検出装置においては、センサの取付時にエイミングが実施される。エイミングとは、例えば車体公差、サスペンション公差、取り付け公差等によるセンサレイアウトの設計値からのずれを補正することをいう。
【0004】
エイミングは、通常、車両出荷に一度実施されているものの、荷物の積載等によって車両姿勢が変化する場合があるため、車両の姿勢変化に伴うセンサのずれを走行中に補正するエイミングが実施される。これを例えば「エイミングの走行補正」と呼ぶことがある。
【0005】
ところで、車両においては、タイヤの空気圧を監視するシステム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が適用されている。TPMSは、例えば、荷物の積載状態と非積載状態とで推奨タイヤ空気圧を変更するように構成されている(特許文献1参照)。特許文献1では、タイヤの空気圧に加えて車高を検出し、これらに基づいて荷物の積載の有無を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-16185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
TPMSによれば、タイヤがパンクした場合等、タイヤの急激な空気圧の変化を検出することができるものの、タイヤの変形に伴って車両姿勢が変化することにより、上記した障害物検出装置(センサ)の検出範囲にずれが生じるおそれがある。この場合、センサの検出範囲のずれによって適切に障害物を検出することができない場合が想定される。
【0008】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施することができる障害物検出装置のエイミング補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の障害物検出装置のエイミング補正方法は、自車両に対する障害物を検出する障害物検出装置が前記障害物を適切に検出できるように検出範囲を補正する障害物検出装置のエイミング補正方法であって、前記自車両のタイヤの空気圧に基づいて走行中における前記障害物検出装置のエイミング補正の要否を判定し、前記タイヤの空気圧に異常が発生した場合、通常の補正時間よりも短い時間で前記エイミング補正を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る車両制御システムの全体構成図である。
図2】本実施の形態に係るエイミングの経時変化を示すタイムチャートである。
図3】本実施の形態に係るエイミング走行補正制御フローの一例を示す図である。
図4】変形例に係るエイミング走行補正制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明が適用される車両として、自動四輪車を例にして説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明を、自動二輪車、バギータイプの自動三輪車等、他のタイプの車両に適用してもよい。
【0013】
図1を参照して、本実施の形態に係る車両制御システムについて説明する。図1は、本実施の形態に係る車両制御システムの全体構成図である。なお、車両制御システムは、以下に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。また、図1は、説明の便宜上、本開示の技術を説明するために簡略化したものであり、車両が通常備える構成については図示されていなくても備えているものとする。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両制御システム1は、エンジン制御装置2(ECM:Engine Control Module)と、横滑り防止装置3(ESC:Electronic Stability Control)と、衝突被害軽減ブレーキ装置4(AEB:Autonomous Emergency Braking)と、タイヤプレッシャーモニタリングシステム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)5と、を含んで構成される。これらの各種コントローラは、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成される。メモリには、各制御対象に応じた制御プログラム等が記憶されている。また、エンジン制御装置2、横滑り防止装置3、衝突被害軽減ブレーキ装置4、及びTPMS5は、CAN6(Controller Area Network)を介して相互に通信可能に構成される。
【0015】
エンジン制御装置2は、エンジンに関する制御を行う装置である。横滑り防止装置3は、車両の姿勢を制御する装置である。具体的に横滑り防止装置3は、突然の路面状況の変化や、危険回避などのために急激なステアリング操作をして車両姿勢が乱れた際、横滑り等の車両の不安定な挙動を抑制し、走行安定性を確保して車両の姿勢を安定させるように制御を行う装置である。横滑り防止装置3は、例えば、車両に横滑り等が発生した場合に車輪(不図示)に制動力を作用させ、車両の姿勢を制御する。なお、横滑り防止装置3は、横滑り等の発生時だけでなく、衝突被害軽減ブレーキ装置4からのブレーキ要求によっても車輪に制動力を作用させることが可能である。
【0016】
衝突被害軽減ブレーキ装置4は、障害物を検出して自車両と障害物との衝突可能性を予測して自動でブレーキを作動させる装置である。衝突被害軽減ブレーキ装置4は、車両に搭載された図示しない前方監視カメラ等のセンサから受け取った情報に基づいて、障害物との衝突の可能性に応じて、警報やブレーキ等を制御する。この場合、前方監視カメラ等のセンサを備えた衝突被害軽減ブレーキ装置は、自車両に対する障害物を検出する障害物検出装置を構成する。なお、障害物検出装置は、前方監視カメラに限らず、レーダー等のセンサを備えてもよい。詳細は後述するが、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、センサから障害物の存在、自車両から障害物までの距離、及び障害物との相対速度等を検出する。
【0017】
TPMS5は、常時タイヤ(不図示)の空気圧を監視しており、空気圧に異常が発生した場合、運転者に報知する装置である。TPMS5は、例えば、各車輪に設けられたTPMSバルブ50の出力に応じて空気圧を検出する。詳細は後述するが、TPMS5は、タイヤの空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合、タイヤがパンクした等、タイヤに何らかの異常が発生したと判定することが可能である。
【0018】
ところで、上記した衝突被害軽減ブレーキ装置4に代表される障害物検出装置においては、センサの取付時にいわゆるエイミングが実施される。エイミングとは、例えば車体公差、サスペンション公差、取り付け公差等によるセンサレイアウトの設計値からのずれを補正することをいう。すなわち、センサが障害物を適切に検出できるように検出範囲を補正することをエイミングという。
【0019】
このようなエイミングは、通常、車両出荷に一度実施されているものの、荷物の積載等によって車両姿勢が変化する場合があるため、車両の姿勢変化に伴うセンサのずれを走行中に補正するエイミングが実施される。これを例えば「エイミングの走行補正」と呼ぶことがある。
【0020】
しかしながら、車両の走行中にあっては、パンク等によってタイヤの空気圧に急激な変化が生じることがある。この場合、タイヤの変形に伴って車両姿勢が大きく変化することが想定される。このため、車両の姿勢によっては、センサの検出範囲に地面が入ってきてしまい、地面を障害物と認識してしまう結果、誤って自動ブレーキが作動するおそれがある。
【0021】
そこで、本件発明者は、TPMS5が常時監視しているタイヤの空気圧からタイヤの異常状態を推定し、その結果を障害物検出装置のエイミングに反映させることに想到した。具体的に本実施の形態では、自車両に対する障害物を検出する障害物検出装置(衝突被害軽減ブレーキ装置4)が障害物を適切に検出できるように検出範囲を補正するエイミングを実施する。障害物検出装置は、自車両のタイヤの空気圧に基づいて走行中における障害物検出装置のエイミング補正の要否を判定する。特に本実施の形態に係る障害物検出装置のエイミング補正方法では、走行中におけるタイヤの空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合、通常の補正時間よりも短い時間でエイミング補正を実施する。
【0022】
この構成によれば、走行中におけるタイヤの空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合、タイヤがパンクした等、タイヤに何かしらの異常、すなわち車両の姿勢に影響を与え得るタイヤの異常が発生したと予測することが可能である。この場合、タイヤの変形によって車両姿勢が変わるため、障害物を狙い通り検出することはできないものの、エイミングを短時間で実施することにより、早期に障害物を狙い通りに検出することが可能である。よって、パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施することが可能である。
【0023】
通常、車両出荷時には、エイミングが実施されており、走行時に荷物を載せる等して車両姿勢が変わる場合には、誤った補正をしないように走行補正を数分から数十分かけて行っている。しかしながら、本実施の形態では、タイヤの空気圧からパンク等、タイヤの異常発生を推定し、これらの異常を推定した場合、エイミングの走行補正を短時間で行うことにより、状況の改善を行っている。
【0024】
また、本実施の形態において、障害物検出装置は、障害物を検出して障害物が自車両に衝突すると予測した場合、自動でブレーキを作動させる衝突被害軽減ブレーキ制御(以下、AEB制御と呼ぶことがある)を実施する。また、本実施の形態では、走行中における空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合、走行中におけるエイミング補正が完了するまで衝突被害軽減ブレーキ制御を一時的に禁止する。
【0025】
例えば、エイミング補正が完了するまでは、障害物を誤検出するおそれがあるため、衝突被害軽減ブレーキ制御が不要に作動してしまう可能性がある。このため、本実施の形態では、エイミング補正が完了するまでは、衝突被害軽減ブレーキ制御を一時的に禁止することで、エイミング補正中に意図しないブレーキが作動することを防止できる。
【0026】
また、本実施の形態では、走行中におけるエイミング補正の補正量が所定の限界補正量を超える場合、衝突被害軽減ブレーキ制御を禁止する。そもそも、エイミング補正には、補正可能な範囲(限度)がある。したがって、補正量が補正可能な範囲(限界補正量)を超えた場合は、衝突被害軽減ブレーキ制御を禁止することで、誤作動を防止することが可能である。
【0027】
また、本実施の形態では、前輪の空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合、通常の補正時間よりも短い時間でエイミング補正を実施する。前輪の異常を検出した場合、車両前方側が下向きとなるため、地面を検知してAEBが誤作動してしまう可能性がある。このため、前輪の異常を検出した際にはエイミング補正を早めることで、早期に狙い通りのAEB制御を実現することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、後輪の空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合にエイミング補正を実施した後、後輪の空気圧が通常の空気圧に戻ったら、次のエイミング補正を通常の補正時間よりも短い時間で実施する。後輪の異常により、車両前方側が上向きとなる。この状態でエイミング補正が実施されると、車両前方側が上向きの状態で検出範囲が補正される。その後、パンク等の修理によって後輪の空気圧が正常の状態に戻ると車両姿勢が水平となる。この場合、センサの検出範囲は、地面を検出する方向に向けられているため、地面を誤検出するおそれがある。したがって、車両上向きの状態からエイミング補正した場合には、パンク修理した後のエイミング補正を短時間で実施することで、障害物の誤検出を効果的に防止できる。
【0029】
また、本実施の形態では、走行中における空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合のエイミング補正は、通常の補正時間の1/10以下の時間で実施することが好ましい。ここで、図2を参照して、通常のエイミング補正の時間と異常時のエイミング補正の時間とを比較して説明する。図2は、本実施の形態に係るエイミングの経時変化を示すタイムチャートである。図2において、横軸は時間を示し、縦軸はエイミング目標に対するずれを示している。
【0030】
図2の破線で示すように、通常時の走行補正においては、比較的時間をかけてエイミング目標までの補正を行っているため、緩やかなカーブを描いている。これに対して、異常時の走行補正では、図2の実線で示すように、通常時のおよそ1/10の時間でエイミング目標までの補正を行っているため、急激なカーブを描いている。このように、異常時における補正時間を短縮化することで、早期にエイミング補正を完了して、状況を改善することが可能である。
【0031】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るエイミング走行補正制御フローについて説明する。図3は、本実施の形態に係るエイミング走行補正制御フローの一例を示す図である。なお、以下に示す制御フローでは、特に明示が無い限り、動作(算出や判定等)の主体は、エンジン制御装置2、横滑り防止装置3、衝突被害軽減ブレーキ装置4、及びTPMS5のいずれかであるが、これに限定されない。また、制御の主体は、別体の車両制御装置(不図示)が包括的に全ての判定等を実施するように構成されてもよい。
【0032】
図3に示すように、制御が開始されると、ステップST101において、TPMS5は、タイヤの空気圧が急激に低下したか否かを判定する。具体的にTPMS5は、TPMSバルブ50の出力から空気圧の単位時間当たりの減少率を算出し、当該減少率が所定閾値より大きいか否かを判定する。タイヤの空気圧が急激に低下した、すなわち、空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値より大きい場合(ステップST101:YES)、タイヤに何らかの異常があるとしてステップST102の処理に進む。タイヤの空気圧が急激に低下していない、すなわち、空気圧の単位時間当たりの減少率が所定閾値以下である場合(ステップST101:NO)、タイヤに異常はないものとしてステップST103の処理に進む。
【0033】
ステップST102において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、速やかな走行補正を実施する。具体的に衝突被害軽減ブレーキ装置4は、通常の補正時間よりも短い時間でエイミング補正を実施する。そして、本制御を終了する。
【0034】
ステップST103において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、通常の走行補正条件が成立したか否かを判定する。ここで、通常の走行補正条件とは、車両に荷物が積載された場合等が挙げられる。通常の走行補正条件が成立した場合(ステップST103:YES)、ステップST104の処理に進む。通常の走行補正条件が成立しない場合(ステップST103:NO)、ステップST105の処理に進む。
【0035】
ステップST104において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、通常の走行補正を実施する。具体的に衝突被害軽減ブレーキ装置4は、比較的長い時間をかけて、エイミング補正を実施する。そして、本制御を終了する。
【0036】
ステップST105において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、エイミングの走行補正を実施することなく、本制御を終了する。
【0037】
次に、図4を参照して、変形例について説明する。図4は、変形例に係るエイミング走行補正制御フローを示す図である。変形例においては、空気圧が急激に低下した場合の一部処理が図3の処理と相違する。このため、主に相違点のみ説明し、共通部分の説明は適宜省略する。
【0038】
図4に示すように、ステップST101において、タイヤの空気圧が急激に低下した場合(ステップST101:YES)、ステップST106の処理に進む。
【0039】
ステップST106において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、AEB制御を一時的に禁止する。そして、ステップST102の処理に進む。
【0040】
ステップST102において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、速やかな走行補正を実施する。そして、走行補正が完了したら、ステップST107の処理に進む。
【0041】
ステップST107において、衝突被害軽減ブレーキ装置4は、AEB制御を許可する。そして、本制御を終了する。
【0042】
このように、変形例によれば、タイヤに異常が発生した場合は、AEB制御を一時的に禁止し、走行中のエイミング補正が完了してからAEB制御を許可することで、エイミング補正中にAEB制御が誤って作動することが防止される。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態では、タイヤの空気圧に異常が発生した場合にエイミング補正を通常の補正時間よりも短い時間で実施することにより、パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施することが可能である。
【0044】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、パンク等によって車両の姿勢が変化した場合のエイミングを適切に実施することができるという効果を有し、特に、障害物検出装置のエイミング補正方法に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 :車両制御システム
2 :エンジン制御装置
3 :横滑り防止装置
4 :衝突被害軽減ブレーキ装置(障害物検出装置)
5 :タイヤプレッシャーモニタリングシステム(TPMS)
6 :CAN
50 :TPMSバルブ
図1
図2
図3
図4