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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092008
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】電子連動システム
(51)【国際特許分類】
   B61L 19/06 20060101AFI20230626BHJP
   G05B 9/03 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B61L19/06
G05B9/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206951
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】生澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】紺野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修二
【テーマコード(参考)】
5H209
【Fターム(参考)】
5H209AA09
5H209DD20
5H209GG20
5H209HH13
5H209JJ01
5H209JJ09
5H209SS01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストを増加することなく、継続的な列車運行を実現する。
【解決手段】実施形態に係る電子連動システムは、第1の駅及び第2の駅の現場装置を制御可能な電子連動装置と、前記電子連動装置と通信する監視装置と、を具備する。前記電子連動装置は、第1系及び第2系を具備する。第1系及び第2系は、前記第1の駅または前記第2の駅の前記現場装置を制御する制御部と、前記制御部が制御している制御対象を示す情報を前記監視装置に供給する通知部と、前記監視装置からの切替要求に基づいて、前記制御部の制御対象を前記第1の駅の前記現場装置と前記第2の駅の前記現場装置とで切り替える切替部と、をそれぞれ有する。前記監視装置は、報知部及び切替要求部を具備する。報知部は、前記電子連動装置の前記第1系及び前記第2系のそれぞれの制御対象を示す情報を報知する。切替要求部は、操作に応じて前記第1系または前記第2系に前記切替要求を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駅及び第2の駅の現場装置を制御可能な電子連動装置と、前記電子連動装置と通信する監視装置と、を具備する電子連動システムであって、
前記電子連動装置は、
前記第1の駅または前記第2の駅の前記現場装置を制御する制御部と、前記制御部が制御している制御対象を示す情報を前記監視装置に供給する通知部と、前記監視装置からの切替要求に基づいて、前記制御部の制御対象を前記第1の駅の前記現場装置と前記第2の駅の前記現場装置とで切り替える切替部と、をそれぞれ有する第1系及び第2系を具備し、
前記監視装置は、
前記電子連動装置の前記第1系及び前記第2系のそれぞれの制御対象を示す情報を報知する報知部と、
操作に応じて前記第1系または前記第2系に前記切替要求を送信する切替要求部と、
を具備する電子連動システム。
【請求項2】
前記電子連動装置を、前記第1の駅及び前記第2の駅にそれぞれ具備し、
ネットワークを介して前記第1の駅の前記電子連動装置及び前記第2の駅の前記電子連動装置にそれぞれ接続された前記監視装置を、前記第1の駅及び前記第2の駅にそれぞれ具備する請求項1に記載の電子連動システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記切替要求を受信した場合、自身が設置されていない他駅の前記現場装置を制御するバックアップ運転モードに移行する請求項1または2に記載の電子連動システム。
【請求項4】
前記通知部は、自身が設置されている自駅の前記現場装置を前記制御部が制御する通常モード、前記バックアップ運転モード、及び前記制御部がいずれの駅の前記現場装置も制御していない待機モードのいずれかを示す情報を前記監視装置に供給する請求項3に記載の電子連動システム。
【請求項5】
前記切替要求部は、操作に応じて、前記第1の駅の前記第1系、前記第1の駅の前記第2系、前記第2の駅の前記第1系、及び前記第2の駅の前記第2系のいずれかに前記切替要求を送信する請求項2に記載の電子連動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自身が設置されている駅(第1の駅)と、他の駅(第2の駅)の現場装置を制御する電子連動装置と、電子連動装置の状態を監視する監視装置と、を有する電子連動システムが実用化されている。現場装置は、例えば、鉄道の駅における信号機及び転てつ機などである。電子連動装置及び監視装置は、それぞれ駅毎に少なくとも1つ以上設置される。
【0003】
電子連動装置は、現場装置を連動表に基づいて制御する。これにより、列車の運行における安全性を確保しながら列車の進路を決定する。電子連動装置が故障した場合、列車の運行に多大な影響を与える。この為、電子連動装置は、第1系と第2系とを有し、第1系に異常が発生した場合、第2系を用いて現場装置を制御する並列二重系として冗長化されて構成されている。しかしながら、第1系と第2系との両方に異常が発生した場合、現場装置の制御が不可能になるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-319401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コストを増加することなく、継続的な列車運行を実現することができる電子連動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る電子連動システムは、第1の駅及び第2の駅の現場装置を制御可能な電子連動装置と、前記電子連動装置と通信する監視装置と、を具備する。前記電子連動装置は、第1系及び第2系を具備する。第1系及び第2系は、前記第1の駅または前記第2の駅の前記現場装置を制御する制御部と、前記制御部が制御している制御対象を示す情報を前記監視装置に供給する通知部と、前記監視装置からの切替要求に基づいて、前記制御部の制御対象を前記第1の駅の前記現場装置と前記第2の駅の前記現場装置とで切り替える切替部と、をそれぞれ有する。前記監視装置は、報知部及び切替要求部を具備する。報知部は、前記電子連動装置の前記第1系及び前記第2系のそれぞれの制御対象を示す情報を報知する。切替要求部は、操作に応じて前記第1系または前記第2系に前記切替要求を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る電子連動システムの構成の例について説明する為の図である。
図2図2は、一実施形態に係る電子連動装置の動作の例について説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電子連動システム1の構成例を示す説明図である。電子連動システム1は、例えば、鉄道における複数の駅に亘って設けられる。図1の例では、電子連動システム1は、複数の現場装置11、第1の電子連動装置12、第2の電子連動装置13、第1の監視装置14、及び第2の監視装置15を備える。電子連動装置及び監視装置は、それぞれ駅毎に少なくとも1つ以上設置される。例えば、第1の電子連動装置12及び第1の監視装置14は、A駅(第1の駅)2に設けられ、第2の電子連動装置13及び第2の監視装置15は、B駅(第2の駅)3に設けられている。なお、複数の現場装置11は、電子連動システム1の外部のものであってもよい。
【0009】
第1の電子連動装置12と、第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び複数の現場装置11とは、ネットワーク16を介して接続されている。また、第2の電子連動装置13と、第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び複数の現場装置11と、は、ネットワーク16を介して接続されている。さらに、第1の電子連動装置12と、第2の電子連動装置13とがネットワーク16を介して接続されて行ってもよい。
【0010】
まず、電子連動システム1の各構成について説明する。
複数の現場装置11は、例えば、鉄道の駅における信号機及び転てつ機などである。現場装置11は、第1の電子連動装置12または第2の電子連動装置13の制御に基づき動作する。
【0011】
第1の電子連動装置12は、A駅2及びB駅3の現場装置11を制御する。第1の電子連動装置12は、第1系21及び第2系22を備える。
【0012】
第1系21は、A駅2及びB駅3の現場装置11に制御信号を送信することにより、現場装置11の動作を制御する構成である。第1系21は、プロセッサ31、メモリ32、及び通信インタフェース33を備える。
【0013】
プロセッサ31は、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ31は、例えばCPUとして構成される。プロセッサ31は、メモリ32に記憶されているプログラムに基づいて種々の処理を行う。
【0014】
メモリ32は、プログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。メモリ32は、例えば、読み出し専用の不揮発性メモリであるROM、データを一時的に記憶するRAM、及びデータを記憶するストレージのいずれか、または複数を備える。メモリ32は、A駅プログラム34、及びB駅プログラム35を記憶する。また、プロセッサ31とメモリ32とは、Programmable Logic Controller(PLC)、またはApplication Specific integrated Circuit(ASIC)などのハードウエアとして構成されていてもよい。
【0015】
A駅プログラム34は、A駅2の現場装置11の動作を制御する処理をCPUに実行させる為のプログラムである。
【0016】
B駅プログラム35は、B駅3の現場装置11の動作を制御する処理をCPUに実行させる為のプログラムである。
【0017】
通信インタフェース33は、ネットワーク16を介してA駅の現場装置11、B駅の現場装置11、第1の監視装置14、及び第2の監視装置15と通信する為の通信インタフェースである。
【0018】
第2系22は、A駅2及びB駅3の現場装置11に制御信号を送信することにより、現場装置11の動作を制御する構成である。第2系22は、プロセッサ41、メモリ42、及び通信インタフェース43を備える。
【0019】
なお、第2系22の構成は、第1系21の構成と同様である。即ち、第2系22のプロセッサ41、メモリ42、及び通信インタフェース43は、第1系21のプロセッサ31、メモリ32、及び通信インタフェース33とそれぞれ同じ構成である。また、メモリ42は、メモリ32と同様にA駅プログラム34、及びB駅プログラム35を記憶する。この為、第2系22のプロセッサ41、メモリ42、及び通信インタフェース43についての詳細な説明を省略する。
【0020】
上記のように、第1の電子連動装置12は、同様の構成である第1系21と第2系22とを備える。即ち、第1の電子連動装置12は、それぞれA駅2及びB駅3の現場装置11を制御可能に構成された第1系21と第2系22とを備える二重系構成として構成される。
【0021】
第2の電子連動装置13は、A駅2及びB駅3の現場装置11を制御する。第2の電子連動装置13は、第1系51及び第2系52を備える。
【0022】
第1系51は、A駅2及びB駅3の現場装置11に制御信号を送信することにより、現場装置11の動作を制御する構成である。第1系51は、プロセッサ61、メモリ62、及び通信インタフェース63を備える。
【0023】
なお、第1系51の構成は、第1の電子連動装置12の第1系21の構成と同様である。即ち、第1系51のプロセッサ61、メモリ62、及び通信インタフェース63は、第1系21のプロセッサ31、メモリ32、及び通信インタフェース33とそれぞれ同じ構成である。また、メモリ62は、メモリ32と同様にA駅プログラム34、及びB駅プログラム35を記憶する。この為、第1系51のプロセッサ61、メモリ62、及び通信インタフェース63についての詳細な説明を省略する。
【0024】
第2系52は、A駅2及びB駅3の現場装置11に制御信号を送信することにより、現場装置11の動作を制御する構成である。第2系52は、プロセッサ71、メモリ72、及び通信インタフェース73を備える。
【0025】
なお、第2系52の構成は、第1系51の構成と同様である。即ち、第2系52のプロセッサ71、メモリ72、及び通信インタフェース73は、第1系51のプロセッサ61、メモリ62、及び通信インタフェース63とそれぞれ同じ構成である。また、メモリ72は、メモリ62と同様にA駅プログラム34、及びB駅プログラム35を記憶する。この為、第2系52のプロセッサ71、メモリ72、及び通信インタフェース73についての詳細な説明を省略する。
【0026】
上記のように、第2の電子連動装置13も、は、同様の構成である第1系51と第2系52とを備える。即ち、第2の電子連動装置13は、それぞれA駅2及びB駅3の現場装置11を制御可能に構成された第1系51と第2系52とを備える二重系構成として構成される。
【0027】
第1の監視装置14は、種々の機器の状態をオペレータに報知するとともに、オペレータによる操作に応じて種々の機器に信号を送信する。第1の監視装置14は、プロセッサ81、メモリ82、通信インタフェース83、第1の表示部84、第2の表示部85、及び操作インタフェース86を備える。
【0028】
プロセッサ81は、演算処理を実行する演算素子である。プロセッサ81は、例えばCPUとして構成される。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されているプログラムに基づいて種々の処理を行う。
【0029】
メモリ82は、プログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。メモリ82は、例えば、読み出し専用の不揮発性メモリであるROM、データを一時的に記憶するRAM、及びデータを記憶するストレージのいずれか、または複数を備える。メモリ82は、第1の監視装置14に関する種々の処理の為のプログラムを記憶する。
【0030】
通信インタフェース83は、ネットワーク16を介して第1の電子連動装置12、第2の電子連動装置、及び第2の監視装置15と通信する為の通信インタフェースである。
【0031】
第1の表示部84及び第2の表示部85は、プロセッサ81または図示されないグラフィックコントローラから供給される表示用のデータ(画面データ)に基づいて画面を表示する。第1の表示部84及び第2の表示部85は、例えばそれぞれ表示装置(ディスプレイ)を備える。
【0032】
操作インタフェース86は、操作部材の操作に基づき信号を生成する。操作部材は、オペレータにより操作されるものであり、スイッチ、マウス、トラックボール、キーボード、トラックパッド、タッチセンサなど如何なるものであってもよい。操作インタフェース86がタッチセンサとして構成されている場合、第1の表示部84と、第2の表示部85と、操作インタフェース86とが、タッチパネルとして一体に構成されていてもよい。
【0033】
第2の監視装置15は、種々の機器の状態をオペレータに報知するとともに、オペレータによる操作に応じて種々の機器に信号を送信する。第2の監視装置15は、プロセッサ91、メモリ92、通信インタフェース93、第1の表示部94、第2の表示部95、及び操作インタフェース96を備える。
【0034】
なお、第2の監視装置15の構成は、第1の監視装置14の構成と同様である。即ち、第2の監視装置15のプロセッサ91、メモリ92、通信インタフェース93、第1の表示部94、第2の表示部95、及び操作インタフェース96は、第1の監視装置14のプロセッサ81、メモリ82、通信インタフェース83、第1の表示部84、第2の表示部85、及び操作インタフェース86とそれぞれ同じ構成である。この為、第2の監視装置15のプロセッサ91、メモリ92、通信インタフェース93、第1の表示部94、第2の表示部95、及び操作インタフェース96についての詳細な説明を省略する。
【0035】
次に、電子連動システム1の各構成の動作について説明する。
まず、第1の電子連動装置12及び第2の電子連動装置13の動作について説明する。なお、上記したように、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52は、同じ機能を備える為、第1系21の動作について説明し、第1の電子連動装置12の第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52の動作の説明を省略する。
【0036】
第1の電子連動装置12は、第1系21のプロセッサ31がメモリ32のA駅プログラム34を実行することによりA駅2の現場装置11を制御する。第1の電子連動装置12は、第1系21のプロセッサ31がメモリ32のB駅プログラム35を実行することによりB駅3の現場装置11を制御する。即ち、プロセッサ31及びメモリ32は、A駅2またはB駅3の現場装置11を制御する制御部として機能する。
【0037】
第1系21のプロセッサ31は、制御対象を示す情報(装置状態情報)を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に供給する。即ち、第1系21のプロセッサ31は、A駅2の現場装置11を制御しているか、B駅3の現場装置11を制御しているか、または現場装置11を制御していない状態であるかを示す装置状態情報を、ネットワーク16を介して第1の監視装置14及び第2の監視装置15の両方に供給する。言い換えると、第1系21のプロセッサ31は、A駅プログラム34とB駅プログラム35とのどちらを実行しているかを示す装置状態情報を、ネットワーク16を介して第1の監視装置14及び第2の監視装置15の両方に供給する。即ち、プロセッサ31及びメモリ32は、制御対象を示す装置状態情報を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に供給する通知部として機能する。
【0038】
また、第1系21のプロセッサ31は、第1の監視装置14または第2の監視装置15からの切替要求に基づいて、制御対象をA駅2の現場装置11とB駅3の現場装置11とで切り替える。即ち、第1系21のプロセッサ31は、A駅2の現場装置11を制御している状態で、第1の監視装置14または第2の監視装置15から切替要求を受信した場合、B駅プログラム35を実行し、B駅の現場装置11を制御する状態に移行する。また、第1系21のプロセッサ31は、B駅3の現場装置11を制御している状態で、第1の監視装置14または第2の監視装置15から切替要求を受信した場合、A駅プログラム34を実行し、A駅の現場装置11を制御する状態に移行する。即ち、プロセッサ31及びメモリ32は、第1の監視装置14または第2の監視装置15からの切替要求に基づいて、制御対象をA駅2の現場装置11とB駅3の現場装置11とで切り替える切替部として機能する。切替要求は、電子連動装置に制御対象を切り替えることを要求する監視装置からの情報である。
【0039】
次に、第1の電子連動装置12及び第2の電子連動装置13の動作モードについて説明する。
第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52は、「通常モード」、「バックアップ運転モード」、「待機モード」のいずれかの動作モードで運用される。「通常モード」は、電子連動装置が自駅(例えば第1の電子連動装置12自身が設置されているA駅、又は、第2の電子連動装置13自身が設置されているB駅)の現場装置11を制御する動作モードである。「バックアップ運転モード」は、電子連動装置が他駅(例えば第1の電子連動装置12自身が設置されていないB駅、又は、第2の電子連動装置13自身が設置されていないA駅)の現場装置11を制御する動作モードである。「待機モード」は、電子連動装置が起動してから「通常モード」に移行するための移行途中の状態である。即ち、「待機モード」は、電子連動装置が自駅の現場装置11を制御していない動作モードである。
【0040】
第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、「通常モード」時に、A駅プログラム34を実行する。また、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、「バックアップ運転モード」時に、B駅プログラム35を実行する。また、第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52は、「通常モード」時に、B駅プログラム35を実行する。また、第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52は、「バックアップ運転モード」時に、A駅プログラム34を実行する。
【0041】
例えば、A駅の電子連動装置である第1の電子連動装置12が起動したときに、B駅の電子連動装置である第2の電子連動装置13が「通常モード」であれば、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、「通常モード」に移行する。
【0042】
また、例えば、A駅の電子連動装置である第1の電子連動装置12が起動したときに、B駅の電子連動装置である第2の電子連動装置13が「バックアップ運転モード」であれば、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、「通常モード」に移行せずに「待機モード」で動作する。また、例えば、A駅の電子連動装置である第1の電子連動装置12が起動したときに、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22の両方が「通常モード」に移行するのではなく、一方が「待機モード」に移行する構成であってもよい。
【0043】
また、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、監視装置からの切替要求を受信した場合、「バックアップ運転モード」に移行し、制御対象を他駅であるB駅3の現場装置11に切り替える。第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22は、再度監視装置からの切替要求を受信した場合、または、「バックアップ運転モード」の解除要求を受信した場合、「バックアップ運転モード」を終了し、「通常モード」に移行し、制御対象を自駅であるA駅2の現場装置11に切り替える。
【0044】
第1の電子連動装置12及び第2の電子連動装置13は、「通常モード」、「バックアップ運転モード」、及び「待機モード」のどの動作モードで動作しているかを示す情報(動作モード情報)を他の装置に供給する。例えば、第1系21のプロセッサ31は、動作モード情報を第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び他駅の電子連動装置である第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52に供給する。
【0045】
また、第1の電子連動装置12及び第2の電子連動装置13は、第1系及び第2系において現場装置11を制御することができない異常状態が発生した場合、異常状態が発生していることを示す情報(異常通知)を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に供給する。
【0046】
次に、第1の監視装置14及び第2の監視装置15の動作について説明する。
まず、第1の監視装置14及び第2の監視装置15における情報の報知に関する動作について説明する。なお、上記したように、第1の監視装置14及び第2の監視装置15は、同じ機能を備える。この為、第1の監視装置14の動作について説明し、第2の監視装置15の動作の説明を省略する。
【0047】
第1の監視装置14のプロセッサ81は、電子連動装置の第1系及び第2系のそれぞれの制御対象を示す情報をオペレータに報知する報知部として機能する。まず、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のそれぞれの通知部により供給された情報(装置状態情報及び動作モード情報)に基づいて、それぞれの制御対象及び動作モードを認識する。
【0048】
例えば、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22のそれぞれの制御対象及び動作モードを示す情報を第1の表示部84に表示させる。また、プロセッサ81は、第2の電子連動装置13の第1系21、第2系22のそれぞれの制御対象及び動作モードを示す情報を第2の表示部85に表示させる。これにより、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のそれぞれが制御している現場装置11が、A駅2の現場装置であるのかB駅3の現場装置であるのかと、動作モードとをオペレータに認識させることができる。また、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうち、いずれの現場装置11も制御していないもの(動作モードが待機モードであるもの)をオペレータに認識させることができる。
【0049】
また、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のいずれかから供給された異常通知に基づいて、現場装置11を制御することができない異常状態が発生している装置を認識する。プロセッサ81は、異常状態が発生している装置を示す情報を第1の表示部84または第2の表示部85に表示させることにより、異常状態が発生している装置をオペレータに認識させることができる。即ち、第1の監視装置14及び第2の監視装置15は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のどこで異常が発生しているかをオペレータに認識させることができる。
【0050】
次に、第1の監視装置14及び第2の監視装置15における切替要求の送信に関する動作について説明する。なお、上記したように、第1の監視装置14及び第2の監視装置15は、同じ機能を備える。この為、第1の監視装置14の動作について説明し、第2の監視装置15の動作の説明を省略する。
【0051】
また、第1の監視装置14のプロセッサ81は、操作インタフェース86の操作に応じて、電子連動装置に制御対象を切り替えることを要求する上記の切替要求を送信する切替要求部として機能する。第1の監視装置14のプロセッサ81は、操作インタフェース86の操作に応じて、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうちのいずれかに切替要求を送信する。第1の監視装置14のプロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうち、操作インタフェース86において選択された装置に対して、切替要求を送信する。また、第1の監視装置14のプロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうち、操作インタフェース86において選択された装置に対して、「バックアップ運転モード」の解除要求を送信してもよい。
【0052】
上記の構成の第1の監視装置14を操作するオペレータは、第1の表示部84及び第2の表示部85の表示を確認することにより、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうちのいずれかで異常が発生していることを認識することができる。
【0053】
例えば、第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52の両方で異常が発生しているとする。この場合、第2の監視装置15のオペレータは、B駅3の現場装置11を第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22のいずれかにより制御するように、第2の監視装置15の操作インタフェース96を操作する。即ち、オペレータは、操作インタフェース96により第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22のいずれかを選択する。第2の監視装置15のプロセッサ91は、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22の選択された方に対して切替要求を送信する。これにより、第1の電子連動装置12の第1系21及び第2系22の切替要求を受信した方は、バックアップ運転モードに移行し、他駅であるB駅3の現場装置11を制御する状態になる。例えば、第1の電子連動装置12の第2系22が切替要求を受信した場合、第1の電子連動装置12の第1系21がA駅プログラム34によりA駅2の現場装置11を制御し、第1の電子連動装置12の第2系22がB駅プログラム35によりB駅3の現場装置11を制御する状態になる。
【0054】
なお、プロセッサ81は、第1の電子連動装置12の第1系21、第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51、及び第2系52のうちのいずれかで異常が発生している場合、異常が発生している装置を切替要求を送信する対象として選択することができないように制御してもよい。
【0055】
次に、切替要求の受信によって遷移する第1の電子連動装置12及び第2の電子連動装置13の動作について説明する。
【0056】
図2は、電子連動装置の動作について説明する為のフローチャートである。本例でも、第1系21の動作について説明し、第1の電子連動装置12の第2系22、第2の電子連動装置13の第1系51及び第2系52の動作の説明を省略する。
【0057】
第1系21のプロセッサ31は、通常モードであるか否か判断する(ステップS11)。プロセッサ31は、通常モードであると判断した場合(ステップS11、YES)、自駅であるA駅2の現場装置11を制御する(ステップS12)。即ち、上記のように、プロセッサ31は、A駅プログラム34を実行し、A駅2の現場装置11を制御する。さらに、プロセッサ31は、装置状態情報及び動作モード情報を送信し(ステップS13)、後述するステップS19の処理に移行する。上記のように、プロセッサ31は、第1の電子連動装置12の第1系21が、A駅2の現場装置11を制御している状態であることを示す装置状態情報を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に送信する。また、プロセッサ31は、動作モードが通常モードであることを示す動作モード情報を、第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び第2の電子連動装置13に送信する。
【0058】
また、プロセッサ31は、通常モードではないと判断した場合(ステップS11、NO)、バックアップ運転モードであるか否か判断する(ステップS14)。プロセッサ31は、バックアップ運転モードであると判断した場合(ステップS14、YES)、他駅であるB駅3の現場装置11を制御する(ステップS15)。即ち、上記のように、プロセッサ31は、B駅プログラム35を実行し、B駅3の現場装置11を制御する。さらに、プロセッサ31は、装置状態情報及び動作モード情報を送信し(ステップS16)、後述するステップS19の処理に移行する。上記のように、プロセッサ31は、第1の電子連動装置12の第1系21が、B駅3の現場装置11を制御している状態であることを示す装置状態情報を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に送信する。また、プロセッサ31は、動作モードがバックアップ運転モードであることを示す動作モード情報を、第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び第2の電子連動装置13に送信する。
【0059】
また、プロセッサ31は、バックアップ運転モードではないと判断した場合(ステップS14、NO)、待機モードであるか否か判断する(ステップS17)。プロセッサ31は、待機モードであると判断した場合(ステップS17、YES)、装置状態情報及び動作モード情報を送信し(ステップS18)、後述するステップS19の処理に移行する。上記のように、プロセッサ31は、第1の電子連動装置12の第1系21が、いずれの現場装置11も制御していないことを示す装置状態情報を第1の監視装置14及び第2の監視装置15に送信する。また、プロセッサ31は、動作モードが待機モードであることを示す動作モード情報を、第1の監視装置14、第2の監視装置15、及び第2の電子連動装置13に送信する。
【0060】
プロセッサ31は、監視装置から切替要求を受信したか否か判断する(ステップS19)。プロセッサ31は、切替要求を受信したと判断した場合(ステップS19、YES)、受信した切替要求に基づいて、動作モードを切り替え(ステップS20)、ステップS21の処理に移行する。また、プロセッサ31は、切替要求を受信していないと判断した場合(ステップS19、NO)、現在の動作モードを維持し、ステップS21の処理に移行する。
【0061】
プロセッサ31は、処理を終了するか否か判断する(ステップS21)。例えば、プロセッサ31は、他の機器から終了指示を受信した場合、または電源が落とされた場合、処理を終了すると判断する。プロセッサ31は、処理を終了すると判断した場合(ステップS21、YES)、図2の処理を終了する。また、プロセッサ31は、処理を終了しないと判断した場合(ステップS21、NO)、ステップS11の処理に移行し、ステップS11乃至ステップS20の処理を繰り返し実行する。
【0062】
上記した構成によると、オペレータは、自駅の電子連動装置の第1系及び第2系の両方で異常が発生していることを、監視装置の報知部により認識する。自駅の電子連動装置の第1系及び第2系の両方で異常が発生していることを認識したオペレータは、他駅の電子連動装置の第1系または第2系に対して切替要求を送信するように監視装置を操作する。この結果、自駅の監視装置は、自駅の現場装置11の制御を行うことを要求する切替要求を他駅の電子連動装置の第1系または第2系に対して送信する。
【0063】
他駅の電子連動装置の第1系または第2系は、切替要求を受信した場合、通常モードまたは待機モードからバックアップ運転モードに切り替える。即ち、他駅の電子連動装置の第1系または第2系は、切替要求を受信した場合、他駅の現場装置11を制御する状態になる。これにより、自駅の電子連動装置の第1系及び第2系の両方で異常が発生している場合であっても、他駅の電子連動装置の第1系及び第2系のいずれかが自駅の現場装置11を制御することができる。
【0064】
これにより、電子連動装置にさらに第3系などを追加することなく、列車運行を継続させることが可能になる。即ち、電子連動装置にさらに第3系を追加するコスト、及び設置面積の増大などを抑制することができる。この結果、電子連動システム1は、コストを増加することなく、継続的な列車運行を実現することができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…電子連動システム、11…現場装置、12…第1の電子連動装置、13…第2の電子連動装置、14…第1の監視装置、15…第2の監視装置、16…ネットワーク、21…第1系、22…第2系、31…プロセッサ、32…メモリ、33…通信インタフェース、34…A駅プログラム、35…B駅プログラム、41…プロセッサ、42…メモリ、43…通信インタフェース、51…第1系、52…第2系、61…プロセッサ、62…メモリ、63…通信インタフェース、71…プロセッサ、72…メモリ、73…通信インタフェース、81…プロセッサ、82…メモリ、83…通信インタフェース、84…第1の表示部、85…第2の表示部、86…操作インタフェース、91…プロセッサ、92…メモリ、93…通信インタフェース、94…第1の表示部、95…第2の表示部、96…操作インタフェース。
図1
図2