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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092127
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】自動改札機
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230626BHJP
【FI】
G07B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207138
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和男
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA25
3E127BA45
3E127CA02
3E127CA48
3E127DA02
3E127DA17
3E127DA20
3E127DA30
3E127EA02
3E127FA03
3E127FA09
3E127FA16
3E127FA42
3E127FA43
3E127FB03
(57)【要約】
【課題】通路における旅客の通行態様によらず、適切に大人検知することが可能な改札機を提供する。
【解決手段】自動改札機は、利用者が通行する通路を規定する筐体と、照射した光を受光する複数の検出部を備える。利用者の通行方向において、複数の検出部は、通行方向の中間部近傍に配置された第1の検出部と、通路の入口近傍に配置された第2の検出部と、通路の出口近傍に配置された第3の検出部を少なくとも一つずつ含む。第1の検出部は、通路の中央線上の所定身長に相当する高さ位置を指向して光を照射する。第2の検出部は、中央線と平行で中央線と異なる第1の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置を指向して光を照射する。第3の検出部は、中央線と平行で、かつ中央線を挟んで第1の仮想線とは反対側の第2の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置を指向して光を照射する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が通行する通路を規定する筐体と、
前記筐体の上部に設けられ、前記通路における所定身長以上の利用者の有無を照射した光を受光することで検出する複数の検出部と、を備え、
前記通路における前記利用者の通行方向において、複数の前記検出部は、前記通行方向の中間部近傍に配置された第1の検出部と、前記通路の入口近傍に配置された第2の検出部と、前記通路の出口近傍に配置された第3の検出部をそれぞれ少なくとも一つずつ含み、
前記第1の検出部は、前記通路の中央線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射し、
前記第2の検出部は、前記中央線と平行で前記中央線と異なる第1の仮想線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射し、
前記第3の検出部は、前記中央線と平行で、かつ前記中央線を挟んで前記第1の仮想線とは反対側の第2の仮想線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射する
自動改札機。
【請求項2】
前記第1の仮想線は、前記中央線よりも前記筐体側に位置する
請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記第1の仮想線は、前記中央線と直交する方向における前記中央線と前記筐体との間の幅の中間もしくは当該中間よりも前記筐体側に位置し、
前記第2の仮想線は、前記中央線と直交する方向における前記中央線と前記第1の仮想線との離間距離と同一距離で前記中央線から離間する
請求項2に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記通路が一方通行である場合、前記第2の仮想線は、前記第1の仮想線と一致する
請求項2に記載の自動改札機。
【請求項5】
前記第2の検出部は、前記利用者が前記通路に進入する際に操作を行う前記筐体における部位の近傍に配置され、
前記第3の検出部は、前記通行方向において前記第1の検出部を挟んで前記第2の検出部と対称となる位置に配置される
請求項1から4のいずれか一項に記載の自動改札機。
【請求項6】
第1の回動軸まわりに回動し、前記通路の前記入口より先への前記利用者の進入を規制する入口開閉扉と、第2の回動軸まわりに回動し、前記通路の前記出口からの前記利用者の退出を規制する出口開閉扉と、をさらに備え、
前記第2の検出部は、前記通行方向において、前記第1の回動軸よりも前記入口寄りに配置され、
前記第3の検出部は、前記通行方向において、前記第2の回動軸よりも前記出口寄りに配置される
請求項5に記載の自動改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道やバスなどの交通機関では、磁気券やIC(Integrated Circuit)カードなどにより改札を行う自動改札機(以下、単に改札機という)が利用されている。改札機においては、利用者である旅客の属性として、運賃の発生する大人および小人(以下、まとめて大人等という)と、運賃の発生しない旅客である幼児とが判別されている。
【0003】
かかる判別(以下、大人検知という)は、例えば改札機を通行する旅客の身長に基づいて行われている。具体的には、旅客が改札機を通行する際、当該旅客の身長と基準値との大小関係がセンサによって検出される。一例として、旅客の属性は、当該旅客の身長が基準値以上であれば大人等となり、基準値未満であれば幼児となる。例えば、幼児と判定された場合、その他の条件に関わらず改札機が開扉される。基準値は、例えば6歳未満の旅客が幼児である場合、6歳児の平均的な身長の値として予め設定されている。
【0004】
従来において、大人検知は、改札機に設けられた反射式のセンサで行われている。かかるセンサは、例えば改札機の上部の三箇所に、旅客の通行方向に沿って間隔をあけて配置されている。旅客が通行する通路は、例えば改札機の二つの筐体に挟まれた空間として形成されている。この場合、大人検知は、二つの筐体に設けられた三組のセンサによってなされる。各組のセンサは、旅客の通行方向と略直交する方向にそれぞれ対向する位置に配置され、例えば通路の中央線上の所定高さ位置(以下、指向位置という)を指向して投光する。所定高さは、前記基準値に相当する高さである。これにより、三組のセンサで規定された三つの指向位置が旅客の通行方向に沿って間隔をあけて並んでいる。すなわち、三つの指向位置は、いずれも通路の中央線の真上に設定されている。
【0005】
このため、旅客が通路を略中央線に沿って通行した場合、各組のセンサからの投光はいずれも、指向位置の近傍で旅客に当たって反射する。これに対し、例えば、旅客が通路の中央線を挟んでいずれか一方側の筐体に寄って当該通路を通行した場合、各組のセンサからの投光のうち、一方側の筐体に設けられたセンサからの投光は、指向位置の手前で旅客に当たって反射する。その一方で、他方側の筐体に設けられたセンサからの投光は、指向位置を通過して旅客の頭上をすり抜けてしまい、旅客が通路を通行しても反射しない場合がある。例えば、いずれか一方側の筐体に寄って通路を通行する旅客がさらに、当該筐体に身体を傾けながら通行したような場合、このような状況となりやすい。この場合、各組のセンサは、いずれも大人検知が不能となる。したがって、例えば旅客が故意にいずれか一方側の筐体に寄って通路を通行した場合など、旅客の通行態様によっては大人検知をすり抜け、不正通過が看過されてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-197494号公報
【特許文献2】特開2000-99776号公報
【特許文献3】特開2011-22715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態が解決しようとする課題は、通路における旅客の通行態様によらず、適切に大人検知することが可能な改札機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の自動改札機は、筐体と、複数の検出部とを備える。前記筐体は、利用者が通行する通路を規定する。複数の前記検出部は、前記筐体の上部に設けられ、前記通路における所定身長以上の利用者の有無を照射した光を受光することで検出する。前記通路における前記利用者の通行方向において、複数の前記検出部は、前記通行方向の中間部近傍に配置された第1の検出部と、前記通路の入口近傍に配置された第2の検出部と、前記通路の出口近傍に配置された第3の検出部をそれぞれ少なくとも一つずつ含む。前記第1の検出部は、前記通路の中央線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射する。前記第2の検出部は、前記中央線と平行で前記中央線と異なる第1の仮想線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射する。前記第3の検出部は、前記中央線と平行で、かつ前記中央線を挟んで前記第1の仮想線とは反対側の第2の仮想線上の前記所定身長に相当する高さ位置を指向して前記光を照射する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す側面図。
図3】第1の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す上面図。
図4】第1の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す端面図。
図5】第1の実施形態に係る自動改札機の制御ブロックの一例を示す図。
図6】第2の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す上面図。
図7】第2の実施形態に係る自動改札機の概略的な構成を示す端面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照符号を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1から図4には、第1の実施形態に係る自動改札機(以下、単に改札機という)10の概略的な構成を示す。図1は、改札機10の概略的な構成を示す斜視図である。図2は、改札機10の概略的な構成を示す側面図である。図3は、改札機10の概略的な構成を示す上面図である。図4は、改札機10の概略的な構成を示す端面図である。図1から図4には、改札機の一例として、鉄道駅の改札口などに設置され、利用者の通行(入出場)を許可または禁止する改札業務を行う装置を示す。利用者は、鉄道を利用する旅客(乗降客)、駅構内への入出場者、駅務員、保守作業員などである。本実施形態では、利用者の一例として旅客を想定する。
【0012】
以下の説明においては、図1から図4に示すように第1の方向X、第2の方向Y、および第3の方向Zをそれぞれ定義する。これらの方向X,Y,Zは、互いに直交する方向である。また、第1の方向Xおよび第2の方向Yで規定される平面を第1面S1、第1の方向Xおよび第3の方向Zで規定される平面を第2面S2、第2の方向Yおよび第3の方向Zで規定される平面を第3面S3とそれぞれ定義する。
【0013】
図1から図4に示す例において、第1の方向Xは通路PW1の通行方向および改札機10の奥行方向、第2の方向Yは通路PW1および改札機10の幅方向、第3の方向Zは通路PW1および改札機10の高さ方向である。通路PW1は、後述するように改札機10の筐体17によって規定されて利用者が通行する空間である。また、第1面S1は、通路PW1と平行な面、端的には水平面である。第2面S2は、通路PW1と平行に第1面(水平面)S1と直交する鉛直面である。第3面S3は、第1面S1および第2面S2の両面と直交する鉛直面である。
【0014】
改札機10は、読取部11、投入部12、排出部13、開閉扉14(14a,14b)、表示部15(15a,15b)、検出部16(16a,16b,16c)、筐体17、後述する制御部18などを備えている。図3および図4に示す改札機10の例では、一対をなす二台の筐体171,172が反対向きに並んで配置され、これらの筐体171,172によって挟まれた空間に利用者の通路PW1が形成されている。改札機10は、通路PW1の通行方向が互いに逆向き(矢印A1,A2)となるように、各々の筐体17で通路PW1をそれぞれ規定する。本実施形態において、通路PW1を規定するとは、当該通路PW1の通行方向に向かって右側に筐体17が位置することに相当する。換言すれば、筐体17は、通行方向に向かって当該筐体17の左側に通路PW1を規定する。通路PW1は、矢印A1,A2で図示するように、利用者が第1の通行口E1および第2の通行口E2のいずれからも進入可能とされている。矢印A1,A2は、通路PW1における利用者の通行方向に相当する。
【0015】
ただし、双方の通行口E1,E2からの通路PW1への同時進入は、開閉扉14によって規制される。筐体171が通路PW1を規定する場合、第1の通行口E1が通路PW1の入口となり、第2の通行口E2が通路PW1の出口となる。この場合、利用者は、第1の通行口E1から進入して第2の通行口E2から退出する。すなわち、通路PW1の通行方向は、矢印A1で示す方向である。一方、筐体172が通路PW1を規定する場合、第2の通行口E2が通路PW1の入口となり、第1の通行口E1が通路PW1の出口となる。この場合、利用者は、第2の通行口E2から進入して第1の通行口E1から退出する。すなわち、通路PW1の通行方向は、矢印A2で示す方向である。
【0016】
なお、図3および図4に示す例では、改札機10の筐体171,172は、規定する通行方向が逆向きに並んで配置されているが、通行方向が同じ向きに並んで配置されてもよい。例えば図3および図4において、筐体172が図示とは逆向きに配置された場合、通路PW1は、筐体171によって規定され、矢印A1で示すように利用者が第1の通行口E1からのみ進入可能な一方通行となる。したがって、利用者は、第1の通行口E1から通路PW1に進入し、第2の通行口E2から通路PW1を退出する。
【0017】
読取部11は、媒体に記録された情報を読み取る。本実施形態において、読取部11は、媒体との無線通信により乗車情報を読み取る。媒体は、例えばIC(Integrated Circuit)チップが埋め込まれたICカードであってもよいし、スマートフォンなどの電子機器であってもよい。乗車情報としては、媒体に固有の識別情報、利用者の識別情報、および有効区間、有効期間、入場記録、出場記録などに関する各種情報が含まれる。読取部11は、読取面11aを有している。読取面11aは、読取部11において乗車情報を有する媒体が翳される面である。また、読取部11には、楕円形状の発光部11bが設けられている。
【0018】
読取面11aは、例えば樹脂などの材料によって形成されたカバー11cの表面に相当する。カバー11cは、読取部11が備えるアンテナなどを覆っている。なお、カバー11cの形状は、図示した例に限定されず、例えば楕円形状や半円形状などの他の形状であってもよい。また、読取部11は、媒体と通信可能な有効範囲(通信エリア)を有している。かかる有効範囲は、例えば読取面11aの上方に半球状に広がっている。
【0019】
なお、図1から図4に示す例において、改札機10は、上述したようにICカードなどの媒体から乗車情報を読み取る読取部11を備えている。ただし、改札機10は、ICカードなどとは別媒体から乗車情報を読み取る読取部を、読取部11に代えてもしくは加えて備えていてもよい。別媒体としては、例えば、情報コードを表示可能なスマートフォン等の電子機器、情報コードが印刷された紙券などを適用可能である。情報コードは、形状、模様、色彩、これらの組み合わせなどに乗車情報が変換された表示オブジェクトであり、例えば光学的に読み取り可能なバーコードや二次元コードなどである。
【0020】
投入部12および排出部13は、筐体17の上面部17aに設けられている。筐体17の投入部12は、例えば磁気券が投入される投入口であり、筐体17で規定される通路PW1の通行方向の手前側(上流側)、つまり入口近傍に位置している。また、投入部12は、通路PW1の通行方向において読取部11と近接して配置されている。読取部11および投入部12は、通路PW1に進入する際に、利用者が改札機10に対して操作を行う部位である。磁気券は、媒体の一例である磁気方式の乗車券である。排出部13は、例えば磁気券が排出される排出口であり、筐体17で規定される通路PW1の通行方向の奥側(下流側)、つまり出口近傍に位置している。改札機10の内部において、投入部12と排出部13との間には、磁気券に対して各種の処理を行う後述する磁気券処理部19が設けられている(図5参照)。投入部12および排出部13は、磁気券処理部19の構成要素の一部である。投入部12から投入された磁気券は、磁気券処理部19によって筐体17内を搬送されながら情報の読み取りおよび書き込み、情報の印刷、穿孔などの各種処理が施され、必要に応じて排出部13から排出される。
なお、改札機10は、読取部11のみが設けられたICカード専用機、あるいは投入部12および排出部13を含む磁気券処理部19のみが設けられた磁気券専用機などであってもよい。
【0021】
開閉扉14は、筐体17の側面部17bに配置され、筐体17に対して回動可能に支持されている。側面部17bは、筐体17における通路PW1に面する面部である。開閉扉14は、筐体17が規定する通路PW1の入口側に配置された入口開閉扉14aと出口側に配置された出口開閉扉14bを含む。入口開閉扉14aは、第1の回動軸141まわりに回動し、利用者が通路PW1に進入可能な開扉状態と進入不可能な閉扉状態のいずれかとなる。すなわち、入口開閉扉14aは、通路PW1の入口(例えば第1の通行口E1)より先への利用者の進入を規制する。出口開閉扉14bは、第2の回動軸142まわりに回動し、利用者が通路PW1から退出可能な開扉状態と退出不可能な閉扉状態のいずれかとなる。すなわち、出口開閉扉14bは、入口開閉扉14aを通過した利用者の通路PW1の出口(例えば第2の通行口E2)からの退出を規制する。
【0022】
表示部15は、異なる情報を表示する二つの表示部15a,15bを有している。これらの表示部15a,15bは、それぞれ別々の位置に配置されている。
第1の表示部15aは、筐体17の上面部17aに設けられている。図1から図4に示す例では、第1の表示部15aは、筐体17における排出部13と当該筐体17が規定する通路PW1の出口との間に配置されている。第1の表示部15aは、例えば複数の点光源を有する表示パネルなどを備え、後述する媒体制御部181での媒体に対する改札処理の結果などを表示し、利用者に周知させる。
【0023】
第2の表示部15bは、筐体17の端面部17dに設けられている。図1から図4に示す例では、第2の表示部15bは、筐体17が規定する通路PW1の入口側に位置する端面部17dに設けられている。第2の表示部15bは、例えば複数の点光源を有する表示パネル、当該表示パネルを制御する制御回路などを備え、通路PW1への進入可否などを含む通路情報を表示し、利用者に周知させる。
【0024】
筐体17は、読取部11、投入部12、排出部13、開閉扉14(入口開閉扉14a、出口開閉扉14b)、検出部16を備え、制御部18を収容する。筐体17は、改札機10の扁平矩形状の外形を規定する上面部17a、側面部17b,17c、端面部17d,17eを有している。上面部17aは、主として第1面(水平面)S1と平行な面部である。側面部17b,17cは、主として第2面(通路PW1と平行に第1面S1と直交する鉛直面)S2と平行な面部である。側面部17bは通路PW1に面する面部であり、側面部17cは側面部17bの背面部である。端面部17d,17eは、主として第3面(第1面S1および第2面S2の両面と直交する鉛直面)S3と平行な面部である。端面部17dは筐体17が規定する通路PW1の入口側の面部であり、端面部17eは当該筐体17が規定する通路PW1の出口側の面部である。
【0025】
また、筐体17は、ポール部17fを有している。ポール部17fは、改札機10の高さ方向(第3の方向Z)に筐体17を嵩上げした部分である。ポール部17fは、第2の方向Yにおける筐体17の幅、端的には側面部17b,17c間の距離よりも幅狭かつ側面部17cと略面一となるように、改札機10の奥行方向(第1の方向X)の全長に亘って上面部17aよりも突出している。
【0026】
また、筐体17は、上述したように利用者が通行する通路PW1を規定する。例えば、図3および図4に示すように、改札機10において、筐体171は、第2の方向Yに隣り合う筐体172との間で通路PW1を規定する。筐体171が通路PW1を規定する場合、当該通路PW1の通行方向は、矢印A1で示す方向である。また、筐体172は、第2の方向Yに隣り合う筐体171との間で通路PW1を規定する。筐体172が通路PW1を規定する場合、当該通路PW1の通行方向は、矢印A2で示す方向である。
【0027】
図3および図4に示す例では、双方の筐体171,172の側面部17b間の空間として通路PW1が形成されている。なお、筐体171は、隣り合う筐体172ではなく、第2の方向Yに隣り合う壁や柵などとの間で通路PW1を規定してもよい。同様に、筐体172は、隣り合う筐体171ではなく、第2の方向Yに隣り合う壁や柵などとの間で通路PW1を規定してもよい。
【0028】
通路PW1の幅(以下、通路幅という)W1は、これら側面部17b同士の第2の方向Yにおける離間距離である。図3に示す一点鎖線CL1は、通路幅W1の中間点を結んだ仮想線であり、通路PW1の中央線(以下、中央線CL1という)である。図3に示す二点鎖線CL2は、通路幅W1の半分の幅W2の中間点を結んだ仮想線(以下、等分線CL2という)である。幅W2は、中央線CL1と筐体171の側面部17bとの最短距離である。換言すれば、幅W2は、中央線CLと直交する方向(第2の方向Y)における中央線CL1と筐体171との間の幅である。図3に示す二点鎖線CL3は、通路幅W1の半分の幅W3の中間点を結んだ仮想線(以下、等分線CL3という)である。幅W3は、中央線CL1と筐体172の側面部17bとの最短距離である。換言すれば、幅W3は、中央線CLと直交する方向(第2の方向Y)における中央線CL1と筐体172との間の幅である。したがって、通路幅W1は、中央線CL1、等分線CL2、等分線CL3によって四等分されている。換言すれば、中央線CL1、等分線CL2、等分線CL3は、通路幅W1を四等分する仮想線である。
【0029】
検出部16は、通路PW1における所定身長以上の利用者の有無を検出する。検出部16は、検出結果としてかかる利用者の有無を後述する検出制御部185に付与する。検出制御部185は、検出部16が検出した利用者の有無に応じて、当該利用者、端的には旅客が運賃の発生する大人および小人(以下、まとめて大人等という)であるか、運賃の発生しない幼児であるかを判別(大人検知)する。なお、検出部16は、かかる利用者の有無を検出するとともに、当該利用者(旅客)が大人等もしくは幼児のいずれであるかを判別する形態であってもよい。
【0030】
検出部16は、筐体17の上部に配置され、検出波を送波する。図1から図4に示す例において、検出部16は、筐体17のポール部17fに配置されている。ただし、検出部16は、例えば筐体17の上面部17a、あるいは側面部17bの上部(上面部17aの近傍部位)などに配置されていてもよい。検出部16は、投光部および受光部(いずれも図示省略)を内蔵した反射型のセンサであり、投光部から照射(投光)されて被検体で反射した光を受光部で受光する。したがって、検出部16は、ポール部17fに配置された状態で、投光部および受光部をそれぞれ通路PW1に臨ませている。
【0031】
本実施形態では所定身長以上の利用者(旅客)の有無を検出するべく、検出部16は、通路PW1における所定高さ位置(以下、指向位置という)を指向して光を照射する。通路PW1における高さは、通路PW1の路面から第3の方向Zに沿った距離である。所定高さは、例えば6歳児の平均的な身長(1250mm程度)に相当する高さ(図2に示す距離H、以下、基準高さHという)である。したがって、指向位置は、通路PW1の路面から第3の方向Zに沿った基準高さHの位置として設定される。6歳児としているのは、運賃の発生しない旅客が6歳未満の幼児である場合を一例として想定しているためである。ただし、指向位置および基準高さHは、このような設定基準に限定されるものではない。
【0032】
改札機10は、検出部16を複数備えている。検出部16は、筐体17が規定する通路PW1の通行方向の異なる三箇所に配置された検出部16a,16b,16cを含んでいる。これらの検出部16a,16b,16cは、それぞれ少なくとも一つの反射型のセンサを備えている。
【0033】
本実施形態では一例として、改札機10は、通路PW1の通行方向の三箇所にそれぞれ一つずつ、三つの検出部16a,16b,16cを有している。これらの検出部16a,16b,16cは、筐体17が規定する通路PW1の通行方向に並んでいる。第1の検出部16aは、通行方向の中間部近傍に位置している。第2の検出部16bは、通行方向の手前側(上流側)、つまり入口近傍に位置している。第3の検出部16cは、通行方向の奥側(下流側)、つまり出口近傍に位置している。
【0034】
図1から図4に示す例において、第1の検出部16aは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて筐体17、端的にはポール部17fの中間部17mと重なるように配置されている。中間部17mは、ポール部17fの奥行方向(第1の方向X)、つまり通行方向の中間に相当する部位、換言すれば改札機10の奥行(図2に示す距離PL)の中間に相当する部位である。第2の検出部16bは、入口開閉扉14aの第1の回動軸141よりも通路PW1の入口寄りに配置されている。一例として、第2の検出部16bは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて読取部11と重なるように配置されている。すなわち、第2の検出部16bは、読取部11の近傍に配置されている。第3の検出部16cは、出口開閉扉14bの第2の回動軸142よりも通路PW1の出口寄りに配置されている。一例として、第3の検出部16cは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて表示部15と重なるように配置されている。ただし、これらの検出部16a,16b,16cの位置は図示位置には限定されない。
【0035】
第1の検出部16aは、通路PW1の中央線CL1上の所定身長に相当する高さ位置、つまり基準高さHを指向して光を照射する。第1の検出部16aの指向位置P1は、第1の検出部16aが存する第3面S3において、中央線CL1上の基準高さHに相当する位置である。したがって、第1の検出部16aから照射された光の始点と到達目標点とを結んだ光軸(図2から図4に示す矢印L11)は、第3面S3の面上に存在するが、第1面S1および第2面S2のいずれの面上にも存在しない。この場合、到達目標点が指向位置P1となる。指向位置P1は、通路PW1の中間点PM1の上方に位置する。中間点PM1は、通行方向における中央線CL1の長さの中間に相当する地点である。第1の検出部16aは、到達目標点である指向位置P1に向けて投光部から光を照射し、通路PW1を通行する利用者に当たって反射した光を受光部で受光する。
【0036】
第2の検出部16bは、中央線CL1と平行で中央線CL1と異なる仮想線(以下、第1の仮想線という)上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。第1の仮想線は、中央線CL1よりも通路PW1を規定する筐体17側に位置する。例えば、第1の仮想線は、中央線CL1と直交する方向(第2の方向Y)における中央線CL1と筐体17との間の幅の中間もしくは当該中間よりも筐体17側に位置する。
【0037】
第2の検出部16bの指向位置P2は、第2の検出部16bが存する第3面S3において、第1の仮想線上の基準高さHに相当する位置である。したがって、第2の検出部16bから照射された光の始点と到達目標点とを結んだ光軸(図2から図4に示す矢印L12)は、第3面S3の面上に存在するが、第1面S1および第2面S2のいずれの面上にも存在しない。この場合、到達目標点が指向位置P2となる。第2の検出部16bは、到達目標点である指向位置P2に向けて投光部から光を照射し、通路PW1を通行する利用者に当たって反射した光を受光部で受光する。図3および図4に示す例では、筐体171の第2の検出部16bに対応する第1の仮想線を等分線CL2とし、筐体172の第2の検出部16bに対応する第1の仮想線を等分線CL3としている。ただし、等分線CL2,CL3は、第1の仮想線の一例に過ぎず、第1の仮想線の位置はこれに限定されない。
【0038】
第3の検出部16bは、中央線CL1と平行で、かつ中央線CL1を挟んで第1の仮想線とは反対側の仮想線(以下、第2の仮想線という)上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。第2の仮想線は、中央線CL1と第1の仮想線との通路PW1を規定する筐体17側に位置する。例えば、第2の仮想線は、中央線CL1と直交する方向(第2の方向Y)における中央線CL1と第1の仮想線との離間距離と同一距離で中央線CL1から離間する。
【0039】
第3の検出部16cの指向位置P3は、第3の検出部16cが存する第3面S3において、第2の仮想線上の基準高さHに相当する位置である。したがって、第3の検出部16cから照射された光の始点と到達目標点とを結んだ光軸(図2から図4に示す矢印L13)は、第3面S3の面上に存在するが、第1面S1および第2面S2のいずれの面上にも存在しない。この場合、到達目標点が指向位置P3となる。第3の検出部16cは、到達目標点である指向位置P3に向けて投光部から光を照射し、通路PW1を通行する利用者に当たって反射した光を受光部で受光する。図3および図4に示す例では、筐体171の第3の検出部16cに対応する第2の仮想線を等分線CL3とし、筐体172の第3の検出部16cに対応する第2の仮想線を等分線CL2としている。ただし、等分線CL2,CL3は、第2の仮想線の一例に過ぎず、第2の仮想線の位置はこれに限定されない。
【0040】
本実施形態においては、図3および図4に示すように二台の筐体171,172が反対向きに並んで配置され、通路PW1の通行方向が互いに逆向き(矢印A1,A2)となるように、各々の筐体171,172で通路PW1がそれぞれ規定されている。これらの筐体171と筐体172は、互いの検出部16a,16b,16cが図3に示す次のような位置関係で配置されている。筐体171の第1の検出部16aは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて筐体172の第1の検出部16aと重なる。筐体171の第2の検出部16bは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて筐体172の第3の検出部10cと重なる。筐体171の第3の検出部16cは、通行方向における位置が第2の方向Yからみて筐体172の第2の検出部10bと重なる。例えば、第2の検出部16bと第3の検出部16cとは、通路PWの通行方向において第1の検出部16aを挟んで略対称となる位置に配置される。換言すれば、第2の検出部16bおよび第3の検出部16cは、通路PWの通行方向における第1の検出部16aとの離間距離(図3に示す距離Dabと距離Dac)が略一致するように配置される。離間距離Dab,Dacは、例えば、通路PWの通行方向における第1の検出部16aと第2の検出部16bおよび第3の検出部16cとの最短距離に相当する。
【0041】
このように配置されることで、改札機10において、各々の筐体171,172の第1の検出部16aが二つで一組をなす。同様に、筐体171,172において、各々の第2の検出部16bが二つで一組をなし、各々の第3の検出部16cが二つで一組をなす。本実施形態では、これら三組の検出部16によって、通路PW1における大人検知がなされる。
【0042】
ここで、筐体171における第1の検出部16aの指向位置P1をP1a、第2出部16bの指向位置P2をP2a、第3の検出部16cの指向位置P3をP3aとする。筐体172における第1の検出部16aの指向位置P1をP1b、第2出部16bの指向位置P2をP2b、第3の検出部16cの指向位置P3をP3bとする。このように区別すると、これらの指向位置は、図3に示す次のような位置関係となる。すなわち、指向位置P1aは、指向位置P1bと略一致する。指向位置P2aは、指向位置P3bと略一致する。指向位置P1cは、指向位置P2bと略一致する。
【0043】
したがって、これらの指向位置は、中央線CL1上の基準高さHに相当する位置である指向位置P1a,P1b、等分線CL2上の基準高さHに相当する位置である指向位置P2a,P3b、等分線CL3上の基準高さHに相当する位置である指向位置P3a,P2bとなる。すなわち、これらの指向位置は、通路PW1の幅方向(第2の方向Y)に対して異なる三箇所に並んでいる。指向位置P1a,P1bは、通路PW1の中間点PM1近傍、つまり中央線CL1の中間部近傍に位置する。指向位置P2a,P3bは、筐体171の読取部11の近傍、つまり筐体171で規定される通路PW1の入口(第1の通行口E1)側の読取部11の近傍に位置する。指向位置P3a,P2bは、筐体172の読取部11の近傍、つまり筐体172で規定される通路PW1の入口(第2の通行口E2)側の読取部11の近傍に位置する。このため、これらの指向位置は、筐体171の読取部11の近傍から中央線CL1の中間部近傍を経由し、筐体172の読取部11の近傍に至るような直線に沿って並んでいる。
【0044】
図5は、改札機10の制御ブロックの一例を示す図である。改札機10は、読取部11、磁気券処理部19、開閉扉14、表示部15(第1の表示部15a、第2の表示部15b)、および検出部16(第1の検出部16a、第2の検出部16b、第3の検出部16c)を備えている。制御部18は、読取部11、後述する磁気券処理部19(投入部12、排出部13)、開閉扉14、表示部15、検出部16などの各動作を制御する。制御部18は、読取部11、磁気券処理部19、開閉扉14、表示部15、および検出部16とそれぞれ制御線を介して接続される。
【0045】
読取部11は、アンテナ111と、通信制御部112と、発光部113とを備えている。通信制御部112は、アンテナ111を介した電波の発信、および図1に示す読取面11aに翳された媒体からアンテナ111を介して取得した電波に含まれる情報の復調などを行う。発光部113は、媒体の利用が可能である場合、換言すれば媒体に記録された情報(乗車情報)を読取部11が読み取り可能な状態である場合、発光状態となる。これにより、利用者は、読取部11が利用可能であることを視認できる。この状態において、読取部11は、媒体からの応答を要求する信号(捕捉コマンド)を所定周期で連続的に発信(ポーリング)する。これに対し、発光部113は、媒体の利用が不可能である場合、換言すれば媒体に記録された情報を読取部11が読み取り不可能な状態である場合、発光状態とならない(無発光状態である)。これにより、利用者は、読取部11が利用不可能であることを視認できる。
【0046】
磁気券処理部19は、投入部12、排出部13、搬送機構、磁気処理部、印刷部、穿孔部などを備えている。搬送機構は、投入部12から投入された磁気券を磁気処理の工程に従って順次搬送する。磁気処理部は、磁気券から磁気情報を読み取り、磁気券に磁気情報を書き込む。印刷部は、必要に応じて磁気券に情報を印刷する。穿孔部は、必要に応じて磁気券に穿孔を施す。
【0047】
制御部18は、媒体制御部181、表示制御部182、扉制御部183、磁気券制御部184、検出制御部185などを備えている。
【0048】
媒体制御部181は、例えば利用者の通路PW1内への進入を検出部16が検出した場合、読取部11を駆動して、媒体を受け付けて当該媒体から乗車情報を読み取る。次いで、媒体制御部181は、例えば入場時の改札処理として入場駅、入場開始時間、入場終了時間、SF残額などの媒体への書き込み、あるいは出場時の改札処理として出場駅、出場開始時間、出場終了時間、SF残額などの媒体への書き込みを行う。
【0049】
表示制御部182は、媒体制御部181で媒体に対して改札処理が行われた際、その処理結果を第1の表示部15aに表示させる。表示制御部182は、例えば入場時および出場時の改札処理の結果として、SF残額などを表示させ、利用者に周知させる。
また、表示制御部182は、通路PW1への進入可否などを含む通路情報を第2の表示部15bに表示させる。例えば本実施形態のように通路PW1が双方向に通行可能である場合、表示制御部182は、第2の表示部15bに表示させる通路情報を次のように切り換える。筐体17が通路PW1を規定している間、表示制御部182は、通路PW1への進入を許可する(通路PW1に進入可能である)ことを示す情報、例えば丸印を第2の表示部15bに表示させる。これに対し、筐体17が通路PW1を規定していない間、表示制御部182は、通路PW1への進入を許可しない(通路PW1に進入不可能である)ことを示す情報、例えばバツ印を第2の表示部15bに表示させる。
【0050】
扉制御部183は、例えば利用者の通路PW1内への進入を検出部16が検出した場合、アクチュエータなどを駆動し、入口開閉扉14aを第1の回動軸141まわりに回動させて開く。また、扉制御部183は、例えば読取部11が読み取った乗車情報が適正でない場合、アクチュエータなどを駆動し、出口開閉扉14bを第2の回動軸142まわりに回動させて閉じる。なお、扉制御部183は、検出部16の検出結果に応じて、利用者が運賃の発生しない幼児であると判定した場合、その他の条件に関わらず出口開閉扉14bを開く。
【0051】
磁気券制御部184は、磁気券処理部19を動作させて磁気券に対して各種処理を行う。磁気券制御部184は、例えば投入部12から磁気券が投入されると、磁気処理の工程に従って搬送機構で磁気券を順次搬送し、磁気処理部で情報の読み取りおよび書き込み、印刷部で情報の印刷、穿孔部で穿孔などの処理を行い、これらの処理が済んだ磁気券を必要に応じて排出部13から排出する。
【0052】
検出制御部185は、検出部16を動作させて検出波を送波させる。検出制御部185は、例えば発光素子などの投光部を駆動して光を照射(投光)させ、被検体である利用者から反射した光を受光素子などの受光部で受光させる。そして、検出制御部185は、検出部16が検出した通路PW1における所定身長以上の利用者の有無に応じて、当該利用者が大人等もしくは幼児のいずれであるかを判別する。具体的には、検出部16が指向位置からの反射光を受光している場合、検出制御部185は、利用者の身長が指向位置に相当する高さ以上であるものとして、利用者が大人等であると判定する。これに対し、検出部16が指向位置からの反射光を受光していない場合、検出制御部185は、利用者の身長が指向位置に相当する高さ未満であるものとして、利用者が幼児である、つまり大人等ではないと判定する。
【0053】
例えば、第1の検出部16a、第2の検出部16b、第3の検出部16cのいずれかが指向位置P1,P2,P3からの反射光を受光している場合、検出制御部185は、利用者が大人等であると判定可能である。図3に示す例では、通路PW1において、第1の通行口E1近傍に位置する一箇所目の指向位置P2a,P3b、中間点PM1近傍に位置する二箇所目の指向位置P1a,P1b、第2の通行口E2近傍に位置する三箇所目の指向位置P3a,P2bのうち、少なくとも一箇所で当該指向位置からの反射光を双方の筐体171,172の検出部16で受光している場合、検出制御部185は、利用者が大人等であると判定する。すなわち、改札機10において三組の検出部16のいずれかの組が反射光を受光している場合、検出制御部185は、利用者が大人等であると判定する。上述したように、三組の検出部16は、第1の検出部16aで一組、第2の検出部16bで一組、第3の検出部16cで一組である。例えば、指向位置P2a,P3b、指向位置P1a,P1b、指向位置P3a,P2bの三箇所のうち、いずれか一箇所において双方の指向位置からの反射光を受光している場合、検出制御部185は、利用者が大人等であると判定する。
【0054】
これに対し、第1の検出部16a、第2の検出部16b、第3の検出部16cのいずれでも指向位置P1,P2,P3からの反射光を受光していない場合、検出制御部185は、利用者が幼児である、つまり大人等ではないと判定可能である。図3に示す例では、通路PW1において、第1の通行口E1近傍に位置する一箇所目の指向位置P2a,P3b、中間点PM1近傍に位置する二箇所目の指向位置P1a,P1b、第2の通行口E2近傍に位置する三箇所目の指向位置P3a,P2bのうち、すべての箇所で当該指向位置からの反射光を筐体171,172の少なくとも一方の検出部16で受光していない場合、検出制御部185は、利用者が大人等ではないと判定する。すなわち、改札機10において三組の検出部16のすべての組が反射光を受光していない場合、検出制御部185は、利用者が大人等ではないと判定する。例えば、指向位置P2a,P3b、指向位置P1a,P1b、指向位置P3a,P2bの三箇所のすべての箇所において少なくとも一方の指向位置からの反射光を受光していない場合、検出制御部185は、利用者が大人等ではないと判定する。
【0055】
このように、本実施形態によれば、通路PW1の通行方向において、第1の検出部16aは中間部(中間点PM1)近傍、第2の検出部16bは入口近傍、第3の検出部16cは出口近傍にそれぞれ配置されている。また、第1の検出部16aの指向位置P1は通路PW1の中央線CL1の上方、第2の検出部16bの指向位置P2は第1の仮想線の上方、第3の検出部16cの指向位置P3は第2の仮想線の上方にそれぞれ位置している。第1の仮想線は、中央線CL1よりも当該通路PW1を規定する筐体17側に位置している。したがって、第2の検出部16bの指向位置P2を中央線CL1よりも当該通路PW1を規定する筐体17側に寄せることができる。
【0056】
利用者が通路PW1に進入する際、当該利用者は読取部11もしくは投入部12に対して操作を行う。通路PW1の通行方向において、読取部11および投入部12は近接して配置され、第2の検出部16bは読取部11の近傍に配置されている。改札機10を利用する場合、利用者は、中央線CL1よりも通路PW1を規定する筐体17に身体を寄せて読取部11もしくは投入部12に操作をし、当該通路PW1を通行する。その際、第2の検出部16bの指向位置P2が中央線CL1よりも通路PW1を規定する筐体17側に位置しているため、第2の検出部16から照射された光が筐体17に身体を寄せた利用者の頭上をすり抜けることを抑制できる。すなわち、第2の検出部16bから通路PW1を通行する利用者に向けて確実に光を照射でき、反射光を第2の検出部16bで受光できる。これにより、第2の検出部16bの指向位置P2が中央線CL1の上方に位置する場合と比べ、通路PW1における大人検知をより確実に行うことができる。
【0057】
例えば、利用者が筐体17に身体を寄せ、さらに当該筐体17に身体を傾けながら通行したような場合、大人検知をすり抜ける状況となりやすい。しかしながら、第2の検出部16bの指向位置P2を中央線CL1よりも読取部11や投入部12が操作される筐体17側とすることで、上記のように利用者が体を傾けて通行したような場合であっても、大人検知のすり抜けを抑制できる。
【0058】
また上述したとおり、第3の検出部16cの指向位置P3は第2の仮想線の上方にそれぞれ位置している。したがって、例えば、読取部11や投入部12を操作する筐体17とは反対側の筐体17に利用者が身体を寄せ、さらに当該反対側の筐体17に身体を傾けながら通行したような場合であっても、第3の検出部16cから当該利用者に向けて確実に光を照射でき、反射光を第3の検出部16cで受光できる。すなわちこの場合も、第3の検出部16cの指向位置P3が中央線CL1の上方に位置する場合と比べ、通路PW1における大人検知をより確実に行うことができる。
【0059】
したがって、本実施形態によれば、利用者が故意にいずれか一方側の筐体17に寄って通路PW1を通行した場合であっても、大人検知のすり抜けを抑制できる。すなわち、利用者の通行態様による通路PW1の不正通過が看過される事態を回避できる。
【0060】
なお、多くの場合、利用者は通路PW1の中央線CL1上を通行するため、この場合には従来と同様に、指向位置P1が中央線CL1の上方に位置する第1の検出部16aにより、さらには第2の検出部16bおよび第3の検出部16cによっても、確実に大人検知できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0062】
上述した実施形態では、図3および図4に示すように、改札機10は、通路PW1の通行方向が互いに逆向き(矢印A1,A2)となるように、各々の筐体171,172で通路PW1をそれぞれ規定する。これに代えて、図6および図7に示す第2の実施形態のように、改札機10の筐体171,172は、通行方向が同じ向きとなるように並んで配置されてもよい。以下、第2の実施形態について説明する。
【0063】
(第2の実施形態)
図6および図7には、第2の実施形態の改札機10aの概略的な構成を示す。図6は、改札機10aの概略的な構成を示す上面図である。図7は、改札機10aの概略的な構成を示す端面図である。なお、第2の実施形態において、改札機10aの基本的な構成は、図1から図5に示す第1の実施形態の改札機10と同様である。このため、第2の実施形態において、改札機10と同一もしくは類似する改札機10aの各構成については、図1から図5に示す改札機10の構成を参照し、同一符号を用いて説明を省略する。
【0064】
第2の実施形態において、筐体171の第2の検出部16bは、第1の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。筐体171の第3の検出部16bは、第2の仮想線ではなく、第1の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。
【0065】
また、筐体172の第2の検出部16bは、第1の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。筐体172の第3の検出部16bは、第2の仮想線ではなく、第1の仮想線上の所定身長に相当する高さ位置(基準高さH)を指向して光を照射する。したがって、筐体171,172の第2の検出部16bの指向位置P2および第3の検出部16cの指向位置P3は、中央線CL1よりも利用者が読取部11もしくは投入部12に操作をする筐体171側に位置している。
【0066】
すなわち、筐体171および筐体172において、第2の仮想線は第1の仮想線と一致する。図6および図7に示す例では、筐体171の第2の検出部16bおよび第3の検出部16cに対応する第1の仮想線を等分線CL2としている。また、筐体172の第2の検出部16bおよび第3の検出部16cに対応する第1の仮想線を等分線CL2としている。ただし、等分線CL2は、第1の仮想線の一例に過ぎず、第1の仮想線の位置はこれに限定されない。
【0067】
したがって、利用者が中央線CL1よりも通路PW1を規定する筐体17に身体を寄せて読取部11もしくは投入部12に操作をし、当該筐体17に身体を寄せたまま通路PW1を通行した場合であっても、第2の検出部16bに加えて第3の検出部16cでも大人検知をより確実に行うことが可能となる。このため、利用者が故意に筐体171に寄って通路PW1を通行した場合、例えば筐体171に身体を寄せ、さらに筐体171に身体を傾けながら通行したような場合であっても、大人検知のすり抜けを抑制できる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、改札機10が鉄道駅の改札口に設置される場合を想定したが、改札機の用途は、交通機関の改札業務に限定されない。例えば、オフィスビル、イベントホール、美術館や博物館などの出入口に設置される入退館ゲートとして改札機を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10,10a…改札機、11…読取部、12…投入部、13…排出部、14,14a,14b…開閉扉、15,15a,15b…表示部、16(16a,16b,16c)…検出部(第1の検出部、第2の検出部、第3の検出部)、17,171,172…筐体、17a…上面部、17b,17c…側面部、17d,17e…端面部、17f…ポール部、17m…中間部、18…制御部、19…磁気券処理部、141…第1の回動軸、142…第2の回動軸、181…媒体制御部、182…表示制御部、183…扉制御部、184…磁気券制御部、185…検出制御部、A1,A2…通路の通行方向、CL1…通路の中央線、CL2,CL3…通路幅の4分の1線(等分線)、Dab…第1の検出部と第2の検出部の離間距離、Dac…第1の検出部と第3の検出部の離間距離、E1…第1の通行口、E2…第2の通行口、H…基準高さ、L11…第1の検出部の光軸、L12…第2の検出部の光軸、L13…第3の検出部の光軸、P1,P1a,P1b…第1の検出部の指向位置、P2,P2a,P2b…第2の検出部の指向位置、P3,P3a,P3b…第3の検出部の指向位置、PL…筐体の奥行、PM1…通路の中間点、PW1…通路、S1…第1面、S2…第2面、S3…第3面、W1…通路幅、W2,W3…通路幅の半分の幅、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7