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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092405
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】水性クレンジング料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20230626BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q1/14
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207627
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 拓幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】林 優惟子
(72)【発明者】
【氏名】板子 典史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC252
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC532
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD332
4C083CC23
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】メイクへの馴染みやすさ、すすぎ性、および角栓除去効果に優れた水性クレンジング料の提供。
【解決手段】成分(A)を1~25質量%、成分(B)を1~25質量%含有し、含有量比((A)/(B))が0.1~10である水性クレンジング料。
成分(A):R-O-(PO)-[(PO)/(EO)]-H ・・・(I)
(Rは炭素数1~30の直鎖または分岐鎖のアルキル基、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20である。[(PO)/(EO)]はbモルのPOとcモルのEOがランダム状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率xが0.1≦x<1である。)
成分(B):HO―(EO)-(PO)―(EO)-H ・・・(II)
(1≦l+n≦150、1≦m≦100、質量比(EO/PO)は1/10~5/1である。EOとPOはブロック状に結合している。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)を1~25質量%、成分(B)を1~25質量%含有し、成分(B)に対する成分(A)の含有量比((A)/(B))が0.1~10である水性クレンジング料。
成分(A):式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体
R-O-(PO)-[(PO)/(EO)]-H ・・・(I)
(Rは炭素数1~30の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。aおよびbはそれぞれオキシプロピレン基の1分子あたりの平均付加モル数、cはオキシエチレン基の1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20である。[(PO) b/( EO) c] はbモルのPOとcモルのEOがランダム状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率xが0.1≦x<1である。)

成分(B):式(II)で表されるアルキレンオキシド誘導体
HO―(EO)-(PO)―(EO)-H ・・・(II)
(EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基である。lおよびnはそれぞれオキシエチレン基の1分子あたりの平均付加モル数、mはオキシプロピレン基の1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦l+n≦150、1≦m≦100である。POに対するEOの質量比(EO/PO)は1/10~5/1である。EOとPOはブロック状に結合している。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料(以下単に「メイク」と表記することもある。)等を除去するために用いられる水性クレンジング料に関する。
【背景技術】
【0002】
クレンジング料は、油分や顔料を含むメイクアップ化粧料や、皮脂等に由来する皮膚の汚れを除去する目的で用いられている。クレンジング料には、油分を含まず水系媒体からなる水性クレンジング料、油分を含む油性クレンジング料、水中油型クレンジング料および油中水型クレンジング料がある。これらの中で水性クレンジング料は、油分を含む油性クレンジング料と比較して、拭き取りまたは洗い流しを容易に行うことができ、べたつきが残りにくいという、すすぎ性の点で優れる一方、クレンジング力の点では劣るものであった。特に、水系であるために、メイクアップ化粧料や皮脂等の油性汚れが馴染むまでに時間がかかってしまうなど、速やかな洗浄が行えないことが課題であった。また、十分なクレンジング力を発揮させるために界面活性剤を多量に配合すると、すすぎにくく、べたつきが残るなどのすすぎ性の低下、過度の脱脂による肌の乾燥が生じてしまうという問題があった。
【0003】
べたつきと肌の乾燥を抑えつつクレンジング力を高める方法として、特許文献1や特許文献2に記載されるようなものが提案されており、これらのように水性クレンジング料の使用感の改善が従来よりなされてきた。
しかし、このような水性クレンジング料により効果的に皮脂等の油性汚れを洗浄することができる一方、角栓や毛穴の黒ずみ等の毛穴汚れを除去することは依然困難であった。角栓や毛穴の黒ずみ等の毛穴汚れは多くの消費者の肌悩みとして挙げられ、皮脂等の油性汚れと共にこれらの毛穴汚れも除去することができる水性クレンジング料が求められている。
ここで、角栓とは角質や皮脂が毛穴の中で凝固したものであり、これを放置するとニキビ等の肌トラブルおよび毛穴の開きや黒ずみを引き起こすなど、肌の健康と美観を損なう原因となるおそれがある。従来、角栓除去に効果のある種々の技術が開発されているが、一般的には、クレンジング料とは別に専用の角栓除去剤を用いる必要があった。そのため、クレンジング料によりメイク落としと角栓除去を兼ねることができれば洗浄工程の簡便さの観点から望ましいと言える。
このような背景から、メイクへの馴染みやすさ、すすぎ性、および角栓除去効果に優れた水性クレンジング料の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-193618号公報
【特許文献2】特開2016-132627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、メイクへの馴染みやすさ、すすぎ性、および角栓除去効果に優れた水性クレンジング料の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、下記に示す成分(A)、(B)をそれぞれ特定の含有量で含有する組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち本発明は、下記の成分(A)を1~25質量%、成分(B)を1~25質量%含有し、成分(B)に対する成分(A)の含有量比((A)/(B))が0.1~10の水性クレンジング料である。
【0008】
成分(A):式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体
R-O-(PO)-[(PO)/(EO)]-H ・・・(I)
(Rは炭素数1~30の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。aおよびbはそれぞれオキシプロピレン基の1分子あたりの平均付加モル数、cはオキシエチレン基の1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20である。[(PO) b/( EO) c] はbモルのPOとcモルのEOがランダム状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率xが0.1≦x<1である。)
【0009】
成分(B):式(II)で表されるアルキレンオキシド誘導体
HO―(EO)-(PO)―(EO)-H ・・・(II)
(EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基である。lおよびnはそれぞれオキシエチレン基の1分子あたりの平均付加モル数、mはオキシプロピレン基の1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦l+n≦150、1≦m≦100である。POに対するEOの質量比(EO/PO)は1/10~5/1である。EOとPOはブロック状に結合している。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性クレンジング料は、メイクアップ化粧料等の油性汚れに馴染みやすいのでクレンジング力が良好であり、しかも、すすぎ性に優れるので、すすぎやすく、肌にべたつきが残りにくいというクレンジング料として好適な効果を奏するだけでなく、角栓除去剤としての効果をも奏する。したがって、本発明の水性クレンジング料は、メイク落としと角栓除去を兼ねることができるので、角栓除去のために専用の角栓除去剤を用いる場合と比較して、洗浄工程が簡便となり洗浄時間の短縮化が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の水性クレンジング料は、成分(A)および成分(B)を少なくとも含有する。以下、各成分について順に説明する。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~10」は2以上10以下を表す。
本明細書において「常温」は25℃を表す。
本明細書において組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、組成物中の各成分の含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計含有量を意味する。
【0012】
〔アルキレンオキシド誘導体(成分(A))〕
成分(A)は式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体である。
R-O-(PO)-[(PO)/(EO)]-H ・・・(I)
【0013】
式(I)中のRは炭素数1~30の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。式(I)のアルキレンオキシド誘導体は、通常、アルコールを用いて製造され、式(I)中のRは式(I)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に用いられるアルコールに由来する。かかるアルコールは、炭素数1~30の直鎖または分岐鎖のアルコールであり、飽和であっても不飽和であっても良いが、好ましくは飽和アルコールである。
飽和アルコールは、炭素数1~20のものが好ましく、炭素数1~12のものがより好ましく、炭素数1~8のものが更に好ましく、炭素数1~5のものが特に好ましい。具体的に飽和アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、イソオクタデカノール、2-オクチルデカノール、2-デシルテトラデカノール等が挙げられる。
式(I)中のRの炭素数が小さすぎると、メイクへの馴染みやすさが低下することがあり、Rの炭素数が大きすぎると、塗布時にべたつきが生じることがある。
式(I)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に、これらのアルコールの1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
式(I)中のPOはオキシプロピレン基であり、EOはオキシエチレン基である。式(I)中のaおよびbはそれぞれPOの1分子あたりの平均付加モル数、cはEOの1分子あたりの平均付加モル数である。
aは1~40の数であり、5~30が好ましく、5~20がより好ましく、5~15が更に好ましい。aが小さすぎると、メイクへの馴染みやすさが低下することがあり、aが大きすぎると、塗布時にべたつき感が生じることがある。
bは1~40の数であり、5~30が好ましく、10~25がより好ましく、15~25が更に好ましい。bが小さすぎると、成分(A)が常温で固体となりハンドリング性が低下したり、べたつき感が生じたりすることがある。bが大きすぎると、水への溶解性が低下し、メイクへの馴染みやすさが低下することがある。
cは1~80の数であり、10~60が好ましく、20~50がより好ましく、20~40が更に好ましい。cが小さすぎると、メイクへの馴染みやすさが低下することがある。cが大きすぎると、結晶性が高まり常温で固体となり、メイクへの馴染みやすさが低下したり、べたつき感が生じたりすることがある。
上記a、bおよびcの総和(a+b+c)は20以上であり、好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、50以上が更に好ましい。(a+b+c)が小さすぎると、メイクへの馴染みやすさが低下することがある。また、取り扱い易さの点から、(a+b+c)は好ましくは100以下であり、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
【0015】
式(I)におけるPOおよびEOの結合部分は[(PO)/(EO)]と記載され、この記載は本発明においてbモルのPOとcモルのEOが、ブロック状ではなく、ランダム状に結合していることを示す。EOおよびPOがブロック状に結合していると、成分(A)が常温で固体となり、ハンドリング性が低下したり、べたつき感が生じたりすることがある。
【0016】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、ランダム率をxとすると、0.1≦x<1であり、好ましくは0.3≦x≦0.97、より好ましくは0.5≦x≦0.9、更に好ましくは0.6≦x≦0.9である。ランダム率xが小さすぎると、成分(A)が常温で固体の性状を示し、ハンドリング性が低下したり、すすぎ後の肌のしっとり感が低下したりすることがある。また、ランダム率xが大きすぎると、メイクへの馴染みやすさが低下したり、べたつき感が生じたりすることがある。
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体中のランダム率xは、式(I)中のPOおよびEOの1分子あたりの各平均付加モル数a、b、cから下記の式(III)により求めることができる。
x=(b+c)/(a+b+c)・・・(III)
【0017】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、炭素数が1~30である直鎖のアルコールに、アルカリ触媒下、50~160℃、0.5MPa (ゲージ圧)以下にてプロピレンオキシドを付加重合した後に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物を付加重合し、酸にて中和し、更に水分および中和塩を除去することで式(I)のアルキレンオキシド誘導体を得ることができる。
【0018】
成分(A)の含有量は、水性クレンジング料100質量%に対して、1~25質量%であり、好ましくは2~20質量%であり、より好ましくは3~15質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎると、メイク料および角栓の除去効果を十分に発揮することが困難となることがある。成分(A)の含有量が多すぎると、すすぎ性が低下し、使用後にべたつき感が生じることがある。
なお、成分(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
〔アルキレンオキシド誘導体(成分(B))〕
成分(B)は式(II)で表されるアルキレンオキシド誘導体である。
HO―(EO)-(PO)―(EO)-H ・・・(II)
【0020】
式(II)中、EOはオキシエチレン基であり、lおよびnはそれぞれEOの1分子あたりの平均付加モル数である。ただし、lおよびnはいずれも0ではない。l+nは1~150であり、好ましくは5~75であり、より好ましくは10~50であり、更に好ましくは15~35である。l+nが小さすぎると、成分(B)の水との相溶性が低下してすすぎ性が損なわれることがあり、l+nが大きすぎると、成分(B)の油との相溶性が低下してメイクへの馴染みやすさが損なわれることがある。
【0021】
式(II)中、POはオキシプロピレン基であり、mはPOの1分子あたりの平均付加モル数である。mは1~100であり、好ましくは5~75であり、より好ましくは10~50であり、更に好ましくは20~40である。mが小さすぎると、成分(B)の油との相溶性が低下してメイクへの馴染みやすさが損なわれることがあり、mが大きすぎると、成分(B)の水との相溶性が低下してすすぎ性が損なわれることがある。
【0022】
一般式(II)において、EOとPOはブロック状に結合している。
POに対するEOの質量比(EO/PO)は1/10~5/1であり、1/5~4/1が好ましく、1/3~3/1がより好ましく、1/2~5/2が更に好ましい。質量比(EO/PO)が小さすぎると、成分(B)の水との相溶性が低下してすすぎ性が損なわれることがあり、質量比(EO/PO)が大きすぎると、成分(B)の油との相溶性が低下してメイクへの馴染みやすさが損なわれることがある。
【0023】
式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、プロピレングリコールに、アルカリまたは酸触媒下、プロピレンオキシド、エチレンオキシドを順に付加重合し、酸にて中和し、更に水分および中和塩を除去することで式(II)のアルキレンオキシド誘導体を得ることができる。
【0024】
成分(B)の含有量は、水性クレンジング料100質量%に対して、1~25質量%であり、好ましくは2~20質量%であり、より好ましくは3~15質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎると、メイク料および角栓の除去効果を十分に発揮することが困難となることがある。成分(B)の含有量が多すぎると、使用後にべたつき感が生じることがある。
なお、成分(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
本発明の水性クレンジング料において、成分(B)に対する成分(A)の含有量比((A)/(B))は0.1~10であり、好ましくは0.25~4であり、より好ましくは0.5~2である。含有量比((A)/(B))が小さすぎると、メイク料および角栓の除去効果を十分に発揮することが困難となることがある。含有量比((A)/(B))が大きすぎると、すすぎ性が低下し、使用後にべたつき感が生じることがある。
【0026】
〔多価アルコール(成分(C))〕
本発明の水性クレンジング料は、使用後のかさつきを抑えしっとり感を与える観点から、多価アルコールを含有していてもよい。
本発明に用いられる多価アルコールとしては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、グリコール類、グリセリン類が例示される。
グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどを挙げることができる。
グリセリン類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどを挙げることができる。
これら多価アルコールのうちグリセリン、ジプロピレングリコールや1,2-ペンタンジオールが好ましい。
【0027】
成分(C)を用いる場合の成分(C)の含有量は、水性クレンジング料100質量%に対して、好ましくは1~25質量%であり、より好ましくは2~20質量%であり、更に好ましくは3~15質量%である。
なお、成分(C)を用いる場合は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
〔水〕
本発明の水性クレンジング料は、上記成分(A)~(C)の各成分の他に少なくとも水を含有する。水としては、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
水の含有量は、上記成分(A)および(B)との合計含有量、必要に応じて成分(C)を更に含有するときの合計含有量が、水性クレンジング料100質量%に対して、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは85~99質量%となるように適宜設定される。
【0029】
〔その他の成分〕
本発明の水性クレンジング化粧料においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前述の成分に加え、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用される添加剤を含有していてもよい。例えば、嗜好性を高める目的で、天然香料や合成香料を含有していてもよい。
天然香料は、植物の花、幹、葉、果物、果皮、根から水蒸気蒸留法などで得られる精油であり、分離された水も芳香水として使用することができる。合成香料は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、芳香族アルコール、炭化水素など特に制限はない。また他の添加剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;乳糖、ショ糖等の糖類;アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アミドエーテル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子;セラミド、コレステロール、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;キサンタンガム等の増粘性多糖類;クエン酸塩、リンゴ酸塩、食塩等の有機または無機塩類;pH調製剤としての酸、アルカリ;パラベン類;防腐剤;動植物由来のエキス;ビタミン類;アミノ酸類;色素;顔料等が挙げられる。
上記成分(A)~(C)および水を除く上記添加剤の含有量は、水性クレンジング料100質量%に対して、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下となるように適宜設定される。
【0030】
本発明の水性クレンジング化粧料は常法により製造することができる。例えば、少なくとも上記成分(A)および(B)、必要に応じて更に成分(C)や添加剤を水と混合して溶解または分散させ、水を含めた全成分の合計が100質量%となるように水で調整することによって、水性クレンジング化粧料を製造することができる。
【実施例0031】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1~5および比較例1~5〕
成分(A)および成分(A’)として表1に示す化合物1~5を用い、成分(B)および成分(B’)として表2に示す化合物6、7を用いて、表3に示す組成で配合して水性クレンジング化粧料を調製し、下記の方法により評価を行った。
なお、表1および2に記載のアルファベット等はそれぞれ式(I)および式(II)におけるアルファベット等を表す。表1中のRは、化合物1~5の製造時に用いられたアルコールを表す。
表3中の各成分の含有量は質量%を示す。また、表3に記載された共通成分は表4に示す7種の成分からなるものである。表4中のグリセリンおよびジプロピレングリコールは成分(C)に該当する。
【0032】
(a)メイクへの馴染みやすさ
20名の女性(25~40歳)をパネラーとし、ファンデーション(商品名:モイスチャー パウダー ファンデーション、株式会社ちふれ化粧品)を前腕内側部に直径2cmの円になるように均一に塗布した後、15分間乾燥させた。ファンデーション塗布部に水性クレンジングのサンプルを100mg塗布し、30秒間指で馴染ませ、ファンデーションの馴染みやすさについて下記のように判定した。更に、20名の合計点が35点以上の場合を「◎」、30~34点の場合を「○」、20~29点の場合を「△」、20点未満の場合を「×」とそれぞれ評価した。
2点:馴染みが良好であると感じた。
1点:馴染みがやや良好であると感じた。
0点:馴染みが不良であると感じた。
【0033】
(b)すすぎ性
20名の女性(25~40歳)をパネラーとし、上記(a)の評価を行った後にサンプル塗布部を流水で洗い流した。その際の流しやすさおよび流したあとの肌の状態を下記のように判定した。更に、20名の合計点が35点以上の場合を「◎」、30~34点の場合を「○」、20~29点の場合を「△」、20点未満の場合を「×」とそれぞれ評価した。
2点:すすぎやすく、肌にべたつきがないと感じた。
1点:ややすすぎにくい、または肌にややべたつきがあると感じた。
0点:すすぎにくく、肌にべたつきがあると感じた。
【0034】
(c)角栓除去効果
下記の手順で行った人工角栓の洗浄試験により角栓除去効果を評価した。
(1)表5に示した成分のうち炭以外の成分を80℃で混合した後に冷却し、炭で着色してモデル角栓のサンプルを調製した。
(2)人工皮革に上記モデル角栓を0.02g乗せ、指で塗り広げた。
(3)更に水性クレンジングのサンプルを0.1g塗布し、指で20回擦った。
(4)流水ですすいだ後、人工皮革上のモデル角栓の残留度合いを目視で観察した。
角栓除去効果の判定基準は、「モデル角栓がほとんど除去されていない」状態を1とし、「モデル角栓がほとんど残留していない」状態を10として10段階に分け、9および10の場合を「◎」、6~8の場合を「○」、3~5の場合を「△」、1および2の場合を「×」としてそれぞれ評価した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
表3に示される結果から明らかなように、実施例1~5の水性クレンジング料は、比較例1~5の水性クレンジング料と比較して、メイクへの馴染みやすさ、すすぎ性、および角栓除去効果がともに優れていた。
具体的には、成分(A)または成分(B)を含有しない比較例1および2では角栓除去効果が劣り、成分(A)の代わりに成分(A’)として化合物4を含有する比較例3ではメイクへの馴染みやすさ、および角栓除去効果がともに劣り、成分(A)の代わりに成分(A’)として化合物5を含有する比較例4および成分(B)の代わりに成分(B’)として化合物7を含有する比較例5ではすすぎ性、および角栓除去効果がともに劣っていた。
【0041】
さらに、本発明の水性クレンジング料の処方例を下記の表6に示す。なお、表6中のグリセリン、ジプロピレングリコールおよびペンチレングリコールは成分(C)に該当する。
【0042】
【表6】
【0043】
本処方例も上記実施例と同様に、メイクへの馴染みやすさ、すすぎ性、および角栓除去効果においてともに優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の水性クレンジング料は、メイクアップ化粧料や皮膚の汚れのみならず、角栓等の毛穴汚れをも除去することができるので、時短メイク落としとして好適に使用することかできる。