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特開2023-9257眼科情報処理装置、眼科撮影装置、眼科情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009257
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】眼科情報処理装置、眼科撮影装置、眼科情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183987
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2018243153の分割
【原出願日】2018-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】安 光州
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 正博
(72)【発明者】
【氏名】木川 勉
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA09
4C316AA10
4C316AA21
4C316AB02
4C316AB04
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316AB19
4C316FA18
4C316FA20
4C316FB21
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】解析に適した被検眼の画像を効率的に取得するための新たな技術を提供する。
【解決手段】眼科情報処理装置は、取得部と、判定部とを含む。取得部は、被検眼に対してOCTを実行することに得られた被検眼の撮影画像を取得する。判定部は、撮影画像におけるBスキャン方向の輝度プロファイルをBスキャン方向に交差する方向に積算した積算プロファイルデータの勾配に基づいて、撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することに得られた前記被検眼の撮影画像を取得する取得部と、
前記撮影画像におけるBスキャン方向の輝度プロファイルを前記Bスキャン方向に交差する方向に積算した積算プロファイルデータの勾配に基づいて、前記撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する判定部と、
を含む、眼科情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、所定の解析処理の実行前に、前記撮影画像が前記解析エラー画像であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、瞬きの有無を判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、固視ずれの有無を判定する
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部により前記解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して所定の解析処理を実行する解析部を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置。
【請求項6】
前記被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより前記撮影画像を取得する撮影部と、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の眼科情報処理装置と、
を含む
眼科撮影装置。
【請求項7】
前記判定部により前記取得部により取得された前記撮影画像が前記解析エラー画像ではないと判定されたとき、前記撮影部を制御して前記被検眼の再撮影を実行する制御部を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の眼科撮影装置。
【請求項8】
被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られた前記被検眼の撮影画像を取得する取得ステップと、
前記撮影画像におけるBスキャン方向の輝度プロファイルを前記Bスキャン方向に交差する方向に積算した積算プロファイルデータの勾配に基づいて、前記撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する判定ステップと、
を含む、眼科情報処理方法。
【請求項9】
前記判定ステップは、前記取得ステップにおいて取得された撮影画像が所定の判定基準を満たすか否かを判定し、前記所定の判定基準を満たすと判定された撮影画像が前記解析エラー画像であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項8に記載の眼科情報処理方法。
【請求項10】
前記判定ステップは、瞬きの有無を判定する
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の眼科情報処理方法。
【請求項11】
前記判定ステップは、固視ずれの有無を判定する
ことを特徴とする請求項8~請求項10のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項12】
前記判定ステップにおいて前記解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して所定の解析処理を実行する解析ステップを含む
ことを特徴とする請求項8~請求項11のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項13】
前記判定ステップにおいて前記撮影画像が前記解析エラー画像ではないと判定されたとき、前記被検眼の再撮影を実行する制御ステップを含む
ことを特徴とする請求項8~請求項12のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項8~請求項13のいずれか一項に記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科情報処理装置、眼科撮影装置、眼科情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザー光源等からの光ビームを用いて被測定物体の形態を測定したり画像化したりする光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)が注目を集めている。OCTは、X線CT(Computed Tomography)のような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野や生物学分野における応用の展開が期待されている。例えば、眼科分野においては、眼底や角膜等の画像を形成する装置が実用化されている。このようなOCTを用いた装置(OCT装置)は被検眼の様々な部位(眼底や前眼部)の観察に適用可能である。また、高精細な画像を取得できることから、様々な眼科疾患の診断に応用されている。
【0003】
OCTにより得られた画像等の計測結果やその解析結果は、生活習慣病や、緑内障等の眼疾患の早期発見及び早期診断に有用であるため、例えば、健診(検診)等においてOCT装置を用いた検査が実施される。ところが、OCT計測に要する時間や装置の操作者の技量等の影響で解析に適さない計測結果等の混入が事後的に判明し、再計測等によって健診等の作業効率が低下することがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、被検眼の断層像のボリュームデータの連続性を判定し、表示部に表示された判定結果を参照した操作者からの指示で再撮影を行うことが可能な装置が開示されている。
【0005】
例えば、特許文献2には、取得された被検眼の画像を表示モニタに表示し、表示された画像を見た検者が操作部を介して指示することで再撮影が可能な状態に移行する眼科撮影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-110656号公報
【特許文献2】特開2011-97998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、眼科撮影装置により取得された被検眼のOCT画像等の撮影画像の良否の判断基準は、取得された撮影画像が眼疾患の早期発見及び早期診断のための解析に適するか否かの判断基準と異なる。すなわち、良画像であると判断された撮影画像が解析に適さない場合や、良画像ではないと判断された撮影画像が解析に適する場合などがある。このような判断基準の違いに起因して、不要な再計測作業を発生させる可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、解析に適した被検眼の画像を効率的に取得するための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の1つの態様は、被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することに得られた前記被検眼の撮影画像を取得する取得部と、前記撮影画像におけるBスキャン方向の輝度プロファイルを前記Bスキャン方向に交差する方向に積算した積算プロファイルデータの勾配に基づいて、前記撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する判定部と、を含む、眼科情報処理装置である。
【0010】
実施形態の別の態様は、前記被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより前記撮影画像を取得する撮影部と、上記の眼科情報処理装置と、を含む眼科撮影装置である。
【0011】
実施形態の更に別の態様は、被検眼に対して光コヒーレンストモグラフィを実行することにより得られた前記被検眼の撮影画像を取得する取得ステップと、前記撮影画像におけるBスキャン方向の輝度プロファイルを前記Bスキャン方向に交差する方向に積算した積算プロファイルデータの勾配に基づいて、前記撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する判定ステップと、を含む、眼科情報処理方法である。
【0012】
実施形態の更に別の態様は、コンピュータに、上記の眼科情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、解析に適した被検眼の画像を効率的に取得するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図2】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図3】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図4】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図5】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図6】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図7】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図8】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図9】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図10】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図11】実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
図12】実施形態に係る眼科撮影装置の動作例を表すフローチャートである。
図13】実施形態に係る眼科撮影装置の動作例を表すフローチャートである。
図14】実施形態に係る眼科撮影装置の動作例を表すフローチャートである。
図15】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図16】実施形態に係る眼科撮影装置の動作を説明するための概略図である。
図17】実施形態に係る眼科システムの構成の一例を表す概略図である。
図18】実施形態に係る眼科システムの構成の一例を表す概略図である。
図19】実施形態に係る眼科情報処理装置の構成の一例を表す概略図である。
図20】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作例を表すフローチャートである。
図21】実施形態に係る眼科情報処理装置の動作例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係る眼科情報処理装置、眼科撮影装置、眼科情報処理方法、及びプログラムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0016】
実施形態に係る眼科情報処理装置は、被検眼を撮影することにより得られた撮影画像を取得し、撮影画像に対して所定の解析処理を実行する前に、取得された撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。解析エラー画像は、将来的に所定の解析処理を施しても解析エラーとなる可能性が高い画像、又は所定の解析処理の結果の信頼性が低くなる可能性が高い画像である。これにより、被検眼を撮影した直後に、取得された撮影画像に対する解析の適否を判定して再撮影(再計測)の要否を判断することが可能になるため、解析に適した画像を効率的に取得することができるようになる。また、撮影画像の良否を判定基準とすることなく、解析に適するか否かの判定基準に基づいて撮影画像に対する解析の適否を判定することが可能になるため、不要な再撮影作業の発生を抑制することができる。
【0017】
実施形態に係る眼科情報処理方法は、実施形態に係る眼科情報処理装置においてプロセッサ(コンピュータ)により実行される処理を実現するための1以上のステップを含む。実施形態に係るプログラムは、プロセッサに実施形態に係る眼科情報処理方法の各ステップを実行させる。
【0018】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0019】
以下では、被検眼の撮影画像が、被検眼に対してOCTを実行することにより得られたOCTデータに基づいて形成されるOCT画像である場合について説明する。しかしながら、実施形態に係る被検眼の撮影画像は、眼底カメラ、走査型レーザー検眼装置(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)、スリットランプ検眼鏡、又は手術用顕微鏡等の眼科撮影装置により取得された画像であってよい。
【0020】
以下では、実施形態に係る被検眼の撮影画像は、眼底像である場合について説明する。しかしながら、実施形態に係る被検眼の撮影画像は、前眼部像であってよい。
【0021】
この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
【0022】
実施形態に係る眼科撮影装置は、実施形態に係る眼科情報処理装置の機能を実現する。実施形態に係る眼科撮影装置は、OCT計測が可能なOCT装置、眼底カメラ、走査型レーザー検眼鏡、スリットランプ検眼鏡、手術用顕微鏡等の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態に係る眼科撮影装置は、眼科測定装置、及び眼科治療装置の少なくとも1つを更に含む。いくつかの実施形態に係る眼科測定装置は、眼屈折検査装置、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、及びマイクロペリメータの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態に係る眼科治療装置は、レーザー治療装置、手術装置、及び手術用顕微鏡の少なくとも1つを含む。
【0023】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る眼科撮影装置は、OCT装置と眼底カメラとを含む。また、以下の実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。
【0024】
以下では、被検眼の眼底に対するOCT計測が可能な眼科撮影装置を例に説明するが、実施形態に係る眼科撮影装置は、被検眼の前眼部に対してOCT計測が可能であってよい。いくつかの実施形態では、測定光の焦点位置を変更するレンズを移動することで、OCT計測の範囲や計測部位を変更する。いくつかの実施形態では、1以上のアタッチメント(対物レンズ、前置レンズ等)を加えることで、眼底に対するOCT計測と、前眼部に対するOCT計測と、眼底及び前眼部を含む全眼球に対するOCT計測とが可能な構成である。いくつかの実施形態では、眼底計測用の眼科撮影装置において、対物レンズと被検眼との間に前置レンズを配置することで平行光束にされた測定光を被検眼に入射させることで前眼部に対するOCT計測を行う。
【0025】
<構成>
〔光学系〕
図1に示すように、眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼Eの正面画像を取得するための光学系や機構が設けられている。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系や機構の一部が設けられている。OCTを実行するための光学系や機構の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、被検者の顔を支持するための部材(顎受け、額当て等)や、OCTの対象部位を切り替えるためのレンズユニット(例えば、前眼部OCT用アタッチメント)等の任意の要素やユニットが眼科撮影装置1に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、レンズユニットが手動で被検眼Eと後述の対物レンズ22との間に挿脱されるように構成される。いくつかの実施形態では、後述の制御部210からの制御を受け、レンズユニットが被検眼Eと後述の対物レンズ22との間に自動で挿脱されるように構成される。
【0026】
[眼底カメラユニット]
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、キャプチャ画像等の正面画像である。観察画像は、近赤外光を用いた動画撮影により得られる。キャプチャ画像は、フラッシュ光を用いた静止画像である。更に、眼底カメラユニット2は、被検眼Eの前眼部Eaを撮影して正面画像(前眼部像)を取得することができる。
【0027】
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
【0028】
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef又は前眼部Ea)を照明する。被検眼Eからの観察照明光の戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過する。ダイクロイックミラー55を透過した戻り光は、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像される。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカスは、眼底Ef又は前眼部Eaに合致するように調整される。
【0029】
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像される。
【0030】
LCD(Liquid Crystal Display)39は固視標や視力測定用視標を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。
【0031】
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。固視位置の例として、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑から大きく離れた部位(眼底周辺部)の画像を取得するための固視位置などがある。いくつかの実施形態に係る眼科撮影装置1は、このような固視位置の少なくとも1つを指定するためのGUI(Graphical User Interface)等を含む。いくつかの実施形態に係る眼科撮影装置1は、固視位置(固視標の表示位置)をマニュアルで移動するためのGUI等を含む。
【0032】
移動可能な固視標を被検眼Eに呈示するための構成はLCD等の表示装置には限定されない。例えば、光源アレイ(発光ダイオード(LED)アレイ等)における複数の光源を選択的に点灯させることにより、移動可能な固視標を生成することができる。また、移動可能な1以上の光源により、移動可能な固視標を生成することができる。
【0033】
また、眼科撮影装置1には、1以上の外部固視光源が設けられてもよい。1以上の外部固視光源の1つは、被検眼Eの僚眼に固視光を投射することが可能である。僚眼における固視光の投射位置は、変更可能である。僚眼に対する固視光の投射位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更することができる。外部固視光源による固視位置は、LCD39を用いた被検眼Eの固視位置と同様であってよい。例えば、複数の外部固視光源を選択的に点灯させることにより、移動可能な固視標を生成することができる。また、移動可能な1以上の外部固視光源により、移動可能な固視標を生成することができる。
【0034】
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系のアライメントに用いられるアライメント指標を生成する。LED51から出力されたアライメント光は、絞り52及び53並びにリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eに投射される。アライメント光の角膜反射光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行できる。
【0035】
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。フォーカス光学系60は、撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱可能である。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカスやオートフォーカスを実行できる。
【0036】
ダイクロイックミラー46は、撮影用光路とOCT用光路(干渉光学系の光路)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。OCT用光路(測定光の光路)には、OCTユニット100側からダイクロイックミラー46側に向かって順に、コリメータレンズユニット40、光路長変更部41、光スキャナー42、OCT合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45が設けられている。
【0037】
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用光路の長さを変更する。この光路長の変更は、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、コーナーキューブと、これを移動する機構とを含む。
【0038】
光スキャナー42は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナー42は、OCT用光路を通過する測定光LSを偏向する。光スキャナー42は、測定光LSを1次元的又は2次元的に偏向することが可能である。
【0039】
1次元的に偏向する場合、光スキャナー42は、所定の偏向方向に所定の偏向角度範囲で測定光LSを偏向するガルバノスキャナーを含む。2次元的に偏向する場合、光スキャナー42は、第1ガルバノスキャナーと、第2ガルバノスキャナーとを含む。第1ガルバノスキャナーは、干渉光学系(OCT光学系)の光軸に直交する水平方向に撮影部位(眼底Ef又は前眼部Ea)をスキャンするように測定光LSを偏向する。第2ガルバノスキャナーは、干渉光学系の光軸に直交する垂直方向に撮影部位をスキャンするように、第1ガルバノスキャナーにより偏向された測定光LSを偏向する。光スキャナー42による測定光LSの走査態様としては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。
【0040】
OCT合焦レンズ43は、OCT用の光学系のフォーカス調整を行うために、測定光LSの光路に沿って移動される。OCT合焦レンズ43は、被検眼Eの眼底Ef又はその近傍に測定光LSの焦点位置を配置するための第1レンズ位置と、被検眼Eに照射される測定光LSを平行光束にするための第2レンズ位置とを含む移動範囲で移動可能である。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
【0041】
[OCTユニット]
OCTユニット100の構成の一例を図2に示す。OCTユニット100には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す干渉信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0042】
光源ユニット101は、一般的なスウェプトソースタイプの眼科装置と同様に、出射光の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源を含んで構成される。波長掃引型光源は、共振器を含むレーザー光源を含んで構成される。光源ユニット101は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
【0043】
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ103は、例えばループ状にされた光ファイバ102に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ102内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
【0044】
偏波コントローラ103により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0045】
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、光路長変更部114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。光路長変更部114は、例えば、コーナーキューブと、コーナーキューブを移動する移動機構とを含み、移動機構によるコーナーキューブを参照光LRの入射方向に移動可能である。それにより参照光LRの光路長が変更される。
【0046】
光路長変更部114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ119によりアッテネータ120に導かれて光量が調整され、光ファイバ121によりファイバカプラ122に導かれる。
【0047】
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれてコリメータレンズユニット40により平行光束に変換され、光路長変更部41、光スキャナー42、OCT合焦レンズ43、ミラー44及びリレーレンズ45を経由する。リレーレンズ45を経由した測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに入射する。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。被検眼Eからの測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
【0048】
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、所定の分岐比(例えば1:1)で干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124を通じて検出器125に導かれる。
【0049】
検出器125は、例えば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器125は、その検出結果(干渉信号)をDAQ(Data Acquisition System)130に送る。DAQ130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長掃引型光源により所定の波長範囲内で掃引(走査)される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、クロックKCに基づき、検出器125の検出結果をサンプリングする。DAQ130は、サンプリングされた検出器125の検出結果を演算制御ユニット200に送る。演算制御ユニット200は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算制御ユニット200は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
【0050】
なお、図1及び図2に示す構成においては、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更するための光路長変更部41と、参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更するための光路長変更部114の双方が設けられている。しかしながら、光路長変更部41及び114の一方だけが設けられていてもよい。また、これら以外の光学部材を用いて、参照光路長と測定光路長との差を変更することも可能である。
【0051】
[演算制御ユニット]
演算制御ユニット200は、DAQ130から入力される検出信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様である。
【0052】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3、及びOCTユニット100の各部を制御する。
【0053】
眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15、及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、撮影合焦レンズ31の移動制御、OCT合焦レンズ43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、光スキャナー42の動作制御などを行う。
【0054】
表示装置3の制御として、演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0055】
OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光路長変更部114の移動制御、アッテネータ120の動作制御、偏波コントローラ103、118の動作制御、検出器125の動作制御、DAQ130の動作制御などを行う。
【0056】
演算制御ユニット200は、例えば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、例えばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0057】
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100、及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
【0058】
〔制御系〕
図3に、眼科撮影装置1の制御系の構成例を示す。図3において、眼科撮影装置1に含まれる構成要素の一部が省略されている。
【0059】
演算制御ユニット200は、制御部210を含み、眼底カメラユニット2、表示装置3、及びOCTユニット100の各部を制御する。
【0060】
(制御部)
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。
【0061】
(主制御部)
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科撮影装置1の各部を制御する。例えば、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A及び43A、イメージセンサ35及び38、LCD39、光路長変更部41、光スキャナー42、及び光学系の移動(移動機構150)などを制御する。さらに、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、光路長変更部114、アッテネータ120、偏波コントローラ103及び118、検出器125、DAQ130などを制御する。
【0062】
例えば、主制御部211は、手動又は自動で設定された固視位置に対応するLCD39の画面上の位置に固視標を表示する。また、主制御部211は、LCD39に表示されている固視標の表示位置を(連続的に又は段階的に)変更することができる。それにより、固視標を移動することができる(つまり、固視位置を変更することができる)。固視標の表示位置や移動態様は、マニュアルで又は自動的に設定される。マニュアルでの設定は、例えばGUIを用いて行われる。自動的な設定は、例えば、データ処理部300により行われる。
【0063】
合焦駆動部31Aは、撮影光学系30の光軸方向に撮影合焦レンズ31を移動させるとともに、照明光学系10の光軸方向にフォーカス光学系60を移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。いくつかの実施形態では、合焦駆動部31Aは、撮影合焦レンズ31を移動させる機構と、フォーカス光学系60を移動させる機構とを個別に有する。合焦駆動部31Aは、フォーカス調整を行うときなどに制御される。
【0064】
合焦駆動部43Aは、測定光路の光軸方向にOCT合焦レンズ43を移動させる。それにより、測定光LSの合焦位置が変更される。例えば、OCT合焦レンズ43を第1レンズ位置に移動させることにより、測定光LSの合焦位置を眼底Ef又はその近傍に配置することができる。例えば、OCT合焦レンズ43を第2レンズ位置に移動させることにより、測定光LSの合焦位置を遠点位置に配置して測定光LSを平行光束にすることができる。測定光LSの合焦位置は、測定光LSのビームウェストの深さ位置(z位置)に相当する。
【0065】
移動機構150は、例えば、少なくとも眼底カメラユニット2(光学系)を3次元的に移動する。典型的な例において、移動機構150は、少なくとも眼底カメラユニット2をx方向(左右方向)に移動するための機構と、y方向(上下方向)に移動するための機構と、z方向(奥行き方向、前後方向)に移動するための機構とを含む。x方向に移動するための機構は、例えば、x方向に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構とを含む。y方向に移動するための機構は、例えば、例えば、y方向に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構とを含む。z方向に移動するための機構は、例えば、z方向に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。各移動機構は、パルスモータ等のアクチュエータを含み、主制御部211からの制御を受けて動作する。
【0066】
移動機構150に対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとフォーカス調整が実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。いくつかの実施形態では、参照光の光路長(よって、測定光の光路と参照光の光路との間の光路長差)を変更するために移動機構150の制御を行うように構成される。
【0067】
マニュアルアライメントの場合、光学系に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるようにユーザが後述のユーザインターフェイス240に対して操作することにより光学系と被検眼Eとを相対移動させる。例えば、主制御部211は、ユーザインターフェイス240に対する操作内容に対応した制御信号を移動機構150に出力することにより移動機構150を制御して光学系と被検眼Eとを相対移動させる。
【0068】
オートアライメントの場合、光学系に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように主制御部211が移動機構150を制御することにより光学系と被検眼Eとを相対移動させる。いくつかの実施形態では、主制御部211は、光学系の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、かつ、被検眼Eに対する光学系の距離が所定の作動距離になるように制御信号を移動機構150に出力することにより移動機構150を制御して光学系と被検眼Eとを相対移動させる。ここで、作動距離とは、対物レンズ22のワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、光学系を用いた測定時(撮影時)における被検眼Eと光学系との間の距離に相当する。
【0069】
主制御部211は、眼底カメラユニット2等を制御することにより眼底撮影及び前眼部撮影を制御する。また、主制御部211は、眼底カメラユニット2及びOCTユニット100等を制御することによりOCT計測を制御する。主制御部211は、OCT計測を行う前に複数の予備的な動作を実行可能である。予備的な動作としては、アライメント、フォーカス粗調整、偏波調整、フォーカス微調整などがある。複数の予備的な動作は、所定の順序で実行される。いくつかの実施形態では、複数の予備的な動作は、上記の順序で実行される。
【0070】
なお、予備的な動作の種別や順序はこれに限定されるものではなく、任意である。例えば、被検眼Eが小瞳孔眼であるか否か判定するための予備動作(小瞳孔判定)を予備的な動作に加えることができる。小瞳孔判定は、例えば、フォーカス粗調整と光路長差調整との間に実行される。いくつかの実施形態では、小瞳孔判定は、以下の一連の処理を含む:被検眼Eの正面画像(前眼部像)の取得する処理;瞳孔に相当する画像領域を特定する処理;特定された瞳孔領域のサイズ(径、周長など)を求める処理;求められたサイズに基づき小瞳孔眼か否か判定する処理(閾値処理);小瞳孔眼であると判定された場合に絞り19を制御する処理。いくつかの実施形態では、瞳孔サイズを求めるために瞳孔領域を円近似または楕円近似する処理を更に含む。
【0071】
フォーカス粗調整は、スプリット指標を用いたフォーカス調整である。なお、あらかじめ取得された眼屈折力と撮影合焦レンズ31の位置とを関連付けた情報と、被検眼Eの屈折力の測定値とに基づいて撮影合焦レンズ31の位置を決定することにより、フォーカス粗調整を行うこともできる。
【0072】
フォーカス微調整は、OCT計測の干渉感度に基づいて行われる。例えば、被検眼EのOCT計測により取得された干渉信号の干渉強度(干渉感度)をモニタすることにより、干渉強度が最大となるようなOCT合焦レンズ43の位置を求め、その位置にOCT合焦レンズ43を移動させることにより、フォーカス微調整を実行することができる。
【0073】
光路長差調整においては、被検眼Eにおける所定の位置が深さ方向の計測範囲の基準位置になるように制御される。この制御は、光路長変更部41、114の少なくとも一方に対して行われる。それにより、測定光路と参照光路との間の光路長差が調整される。光路長差調整により基準位置を設定しておくことで、波長掃引速度の変更を行うだけで深さ方向の所望の計測範囲に対して精度よくOCT計測を行うことができるようになる。
【0074】
偏波調整においては、測定光LSと参照光LRとの干渉効率を最適化するために参照光LRの偏光状態が調整される。
【0075】
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、前眼部像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
【0076】
また、記憶部212には、眼科撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0077】
制御部210は、画像形成部230と、データ処理部300とを制御することが可能である。
【0078】
(画像形成部)
画像形成部230は、検出器125からの検出信号をDAQ130でサンプリングすることにより得られたサンプリングデータに基づいて、被検眼EのOCT画像(画像データ)を形成する。画像形成部230により形成されるOCT画像には、Aスキャン画像、Bスキャン画像(断層像)、Cスキャン画像などがある。この処理には、従来のスウェプトソースタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、分散補償、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。他のタイプのOCT装置の場合、画像形成部230は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
【0079】
画像形成部230は、例えば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
【0080】
(データ処理部)
データ処理部300は、被検眼Eの撮影やOCT計測により取得されたデータを処理する。例えば、データ処理部300は、画像形成部230により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。具体的には、データ処理部300は、画像の輝度補正等の各種補正処理を実行する。また、データ処理部300は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施すことが可能である。
【0081】
データ処理部300は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Ef又は前眼部Eaの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部300は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
【0082】
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数のスキャンラインに沿って得られた複数の断層像を、スキャンラインの位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
【0083】
データ処理部300は、取得された3次元データセット(ボリュームデータ、スタックデータ等)に各種のレンダリングを施すことで、任意断面におけるBモード画像(縦断面像、軸方向断面像)、任意断面におけるCモード画像(横断面像、水平断面像)、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成することができる。Bモード画像やCモード画像のような任意断面の画像は、指定された断面上の画素(ピクセル、ボクセル)を3次元データセットから選択することにより形成される。プロジェクション画像は、3次元データセットを所定方向(z方向、深さ方向、軸方向)に投影することによって形成される。シャドウグラムは、3次元データセットの一部(たとえば特定層に相当する部分データ)を所定方向に投影することによって形成される。Cモード画像、プロジェクション画像、シャドウグラムのような、被検眼の正面側を視点とする画像を正面画像(en-face画像)と呼ぶ。
【0084】
データ処理部300は、OCTにより時系列に収集されたデータ(例えば、Bスキャン画像データ)に基づいて、網膜血管や脈絡膜血管が強調されたBモード画像や正面画像(血管強調画像、アンギオグラム)を構築することができる。例えば、被検眼Eの略同一部位を反復的にスキャンすることにより、時系列のOCTデータを収集することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、データ処理部300は、略同一部位に対するBスキャンにより得られた時系列のBスキャン画像を比較し、信号強度の変化部分の画素値を変化分に対応した画素値に変換することにより当該変化部分が強調された強調画像を構築する。更に、データ処理部300は、構築された複数の強調画像から所望の部位における所定の厚さ分の情報を抽出してen-face画像として構築することでOCTA像を形成する。
【0086】
データ処理部300により生成された画像(例えば、3次元画像、Bモード画像、Cモード画像、プロジェクション画像、シャドウグラム、OCTA像)もまたOCT画像に含まれる。
【0087】
更に、データ処理部300は、OCT計測により得られた干渉光の検出結果を解析してフォーカス微調整制御における測定光LSのフォーカス状態を判定する。例えば、主制御部211は、合焦駆動部43Aを所定のアルゴリズムにしたがって制御しつつ、反復的なOCT計測を行う。データ処理部300は、OCT計測により繰り返し取得される干渉光LCの検出結果を解析することで、OCT画像の画質に関する所定の評価値を算出する。データ処理部300は、算出された評価値が閾値以下であるか否か判定する。いくつかの実施形態では、フォーカス微調整は、算出される評価値が閾値以下になるまで継続される。すなわち、評価値が閾値以下であるとき測定光LSのフォーカス状態が適正であると判断され、フォーカス微調整は、測定光LSのフォーカス状態が適正であると判断されるまで継続される。
【0088】
いくつかの実施形態では、主制御部211は、上記のような反復的なOCT計測を行って干渉信号を取得しつつ、逐次に取得される干渉信号の強度(干渉強度、干渉感度)をモニタする。更に、このモニタ処理を行いながら、OCT合焦レンズ43を移動させることにより、干渉強度が最大となるようなOCT合焦レンズ43の位置を探索する。このようなフォーカス微調整によれば、干渉強度が最適化されるような位置にOCT合焦レンズ43を導くことができる。
【0089】
また、データ処理部300は、OCT計測により得られた干渉光の検出結果を解析して、測定光LS及び参照光LRの少なくとも一方の偏波状態を判定する。例えば、主制御部211は、偏波コントローラ103、118の少なくとも一方を所定のアルゴリズムにしたがって制御しつつ、反復的なOCT計測を行う。いくつかの実施形態では、主制御部211は、アッテネータ120を制御して、参照光LRの減衰量を変更する。データ処理部300は、OCT計測により繰り返し取得される干渉光LCの検出結果を解析することで、OCT画像の画質に関する所定の評価値を算出する。データ処理部300は、算出された評価値が閾値以下であるか否か判定する。この閾値はあらかじめ設定される。偏波調整は、算出される評価値が閾値以下になるまで継続される。すなわち、評価値が閾値以下であるとき測定光LSの偏波状態が適正であると判断され、偏波調整は、測定光LSの偏波状態が適正であると判断されるまで継続される。
【0090】
いくつかの実施形態では、主制御部211は、偏波調整においても干渉強度をモニタすることが可能である。
【0091】
実施形態に係るデータ処理部300は、画像形成部230又はデータ処理部300によって形成された画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。それにより、一定の判定基準で再撮影(再取得、再計測)の要否を自動で判定することが可能である。
【0092】
図4図11に、実施形態に係るデータ処理部300の説明図を示す。図4は、実施形態に係るデータ処理部300の構成例のブロック図を表す。図5は、図4の瞬き判定部331の構成例のブロック図を表す。図6及び図7は、瞬き判定部331の動作説明図を表す。図8は、図4の乳頭判定部332、中心窩判定部333、及び解析領域判定部334の動作説明図を表す。図9は、図4の判定画像生成部335の動作説明図を表す。図10は、図4の判定器340の構成例のブロック図を表す。図11は、図4の固視ずれ判定部351の構成例のブロック図を表す。
【0093】
データ処理部300は、後述の分類部320において、取得された画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを当該所定の解析処理の実行前に判定する。このようなデータ処理部300は、プロジェクション画像形成部310と、分類部(分類プロセッサ)320と、解析部360とを含む。
【0094】
プロジェクション画像形成部310は、上記したプロジェクション画像を形成する。分類部320は、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像を、当該プロジェクション画像に対して解析部360により実行される解析処理に適した画像又は解析処理に適さない画像のいずれかに分類する。解析処理に適した画像は、例えば、当該解析処理の結果が有用な画像である。分類部320は、分類対象の画像が解析エラー要因を含むか否かを判定することにより、当該画像に対する解析処理の結果が有用であるか否かを分類することが可能である。解析部360は、分類部320により所定の解析処理に適する画像として分類されたプロジェクション画像に対して当該解析処理を実行する。
【0095】
(プロジェクション画像形成部)
プロジェクション画像形成部310は、公知の手法で被検眼Eの眼底Ef(又は前眼部Ea)のプロジェクション画像を形成する。例えば、プロジェクション画像形成部310は、被検眼Eの眼底Ef(又は前眼部Ea)のボリュームデータをz方向に投影することにより眼底Ef(又は前眼部Ea)のプロジェクション画像を形成する。
【0096】
(分類部)
分類部320は、分類対象の画像が所定の解析エラー要因だけでなくその他の解析エラー要因を含むか否かを判定するための判定基準(分類基準)に従って、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像を分類する。このような分類部320は、2以上の判定基準のそれぞれに基づいて順次にプロジェクション画像に対する判定処理を行うことが可能である。
【0097】
実施形態に係る分類部320は、分類対象の画像が所定の解析エラー要因を含むか否かを判定するための所定の判定基準と、分類対象の画像が所定の解析エラー要因以外の解析エラー要因を含むか否かを判定するための判定基準とに従って、プロジェクション画像に対する判定処理を行う。所定の解析エラー要因の例として、瞬き、特徴部位の特定失敗(未検出)、解析範囲のずれ、固視ずれなどがある。所定の解析エラー要因以外の解析エラー要因の例として、z方向の基準位置が適正ではないときの撮影画像に発生する撮影部位の折り返しの他に、統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因などがある。
【0098】
分類部320は、前処理部(プリプロセッサ)330と、判定器340と、後処理部(ポストプロセッサ)350とを含む。前処理部330及び後処理部350は、分類対象の画像が所定の解析エラーを含むか否かを判定するための判定基準に従って、プロジェクション画像に対する判定処理を行う。判定器340は、分類対象の画像が所定の解析エラー要因以外の解析エラー要因を含むか否かを判定するための判定基準に従って、プロジェクション画像に対する判定処理を行う。前処理部330は、プロジェクション画像が瞬き、特徴部位の特定失敗、及び解析範囲のずれのいずれかの解析エラー要因を含むか否かを判定する。いくつかの実施形態に係る特徴部位は、乳頭と、中心窩とを含む。判定器340は、プロジェクション画像が撮影部位の折り返しや統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含むか否かを判定する。後処理部350は、プロジェクション画像が解析エラー要因として固視ずれを含むか否かを判定する。
【0099】
前処理部330は、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像に対して判定処理を行う。判定器340は、前処理部330によって解析に適すると判定されたプロジェクション画像に対して判定処理を行う。後処理部350は、判定器340によって解析に適すると判定されたプロジェクション画像に対して判定処理を行う。
【0100】
前処理部330による判定処理によって、発生頻度が高く、撮影画像に明確に描出される解析エラー要因を含む解析エラー画像を後述の解析部360による解析処理の対象から外すことができる。判定器340による判定処理によって、その他の多様な解析エラー要因を含む解析エラー画像を後述の解析部360による解析処理の対象から外すことができる。後処理部350による判定処理によって、前処理部330及び判定器340では解析エラー画像であると判定されなかったプロジェクション画像に対し、所定の解析エラー要因(特に、局所的な解析エラー要因)を含む解析エラー画像を後述の解析部360による解析処理の対象から外すことができる。
【0101】
(前処理部)
図4に示すように、前処理部330は、瞬き判定部331と、乳頭判定部332と、中心窩判定部333と、解析領域判定部334と、判定画像生成部335とを含む。
【0102】
(瞬き判定部)
瞬き判定部331は、プロジェクション画像が被検眼の瞬きに起因する解析エラー要因を含むか否かを判定する。
【0103】
瞬き判定部331は、図5に示すように、プロファイルデータ生成部331Aと、勾配算出部331Bと、勾配判定部331Cとを含む。
【0104】
プロファイルデータ生成部331Aは、Bスキャン方向(例えば、図6のプロジェクション画像IMGのx方向)の輝度プロファイルを、Bスキャン方向に交差(直交)する積算方向DR(例えば、図6のプロジェクション画像IMGのy方向)に積算した積算プロファイルデータ(図7)を生成する。
【0105】
いくつかの実施形態では、プロファイルデータ生成部331Aは、プロジェクション画像形成部310により生成されたプロジェクション画像の画像データからBスキャン方向の輝度プロファイルを特定し、特定された複数のBスキャン方向の輝度プロファイルを積算方向DRに積算することにより積算プロファイルデータを生成する。
【0106】
いくつかの実施形態では、プロファイルデータ生成部331Aは、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより取得された各Aラインの反射強度プロファイルからBスキャン方向の輝度プロファイルを生成する。例えば、反射強度プロファイルにおける所定の層領域(又は、z方向の全層領域)に対応する反射強度値を積算することによりAスキャン位置の輝度値を求め、Bスキャン方向にデータセットを形成することで、Bスキャン方向の輝度プロファイルが生成される。プロファイルデータ生成部331Aは、生成された複数のBスキャン方向の輝度プロファイルを積算方向DRに積算することにより積算プロファイルデータを生成する。
【0107】
勾配算出部331Bは、x方向の1以上の位置(画素位置、スキャン位置)における積算プロファイルの勾配を算出する。図7に例示するように、横軸にx方向の位置を表し、縦軸に積算値を表すと、積算プロファイルは、x方向の各位置における積算値を表す。
【0108】
いくつかの実施形態では、勾配算出部331Bは、x方向(Bスキャン方向)のすべての位置において積算プロファイルの勾配を算出する。いくつかの実施形態では、勾配算出部331Bは、所定の間隔をあけたBスキャン方向の2以上の位置における積算プロファイルの勾配を算出する。
【0109】
勾配判定部331Cは、瞬きに起因するアーチファクトが描出される位置において積算プロファイルの勾配が急峻になることに着目して、勾配算出部331Bにより算出された勾配から瞬きの有無を判定する。例えば、勾配判定部331Cは、勾配算出部331Bにより算出された2以上の位置における勾配の代表値を特定する。勾配判定部331Cは、特定された代表値が所定の閾値以上であるとき瞬きが発生した画像であると判定し、特定された代表値が所定の閾値未満であるとき瞬きが発生していない画像であると判定する。代表値として、勾配の絶対値の最大値、勾配の絶対値の平均値、勾配の絶対値の中央値、勾配の絶対値の最頻値などがある。
【0110】
また、勾配判定部331Cは、積算プロファイルの勾配が急峻になるほど固視ずれの可能性が高くなることに着目して、勾配算出部331Bにより算出された勾配から固視ずれの有無を判定することが可能である。この場合も、勾配判定部331Cは、勾配算出部331Bにより算出された2以上の位置における勾配の代表値が所定の閾値以上であるとき固視ずれが発生した画像であると判定し、特定された代表値が所定の閾値未満であるとき固視ずれが発生していない画像であると判定する。
【0111】
(乳頭判定部)
乳頭判定部332は、プロジェクション画像における乳頭(視神経乳頭)に相当する領域を特定する処理を行い、乳頭に相当する領域が特定されたか否かを判定する。
【0112】
いくつかの実施形態では、乳頭判定部332は、眼底Efの断層像又は3次元画像を解析して乳頭に相当する領域を特定することにより、プロジェクション画像において乳頭に相当する領域が特定されたか否かを判定する。例えば、乳頭判定部332は、眼底Efの断層像又は3次元画像を解析して網膜の孔部(切れ目、欠損部位)を検出し、視神経乳頭の形状を求める。乳頭の形状は、例えば、断層像等を解析して視神経乳頭及びその近傍の網膜表面に相当する画像領域として特定される。乳頭判定部332は、このような乳頭の形状が特定されたとき、図8に示すように、断層像等における孔部の描出領域の中心位置(重心位置)に対応したプロジェクション画像IMG1の位置を乳頭位置P1として特定することが可能である。
【0113】
いくつかの実施形態では、乳頭判定部332は、プロジェクション画像等の眼底Efの正面画像を解析して乳頭に相当する領域が特定されたか否かを判定する。例えば、乳頭判定部332は、プロジェクション画像等の輝度情報に基づいて視神経乳頭の輪郭部を特定し、特定された輪郭部の中心位置(重心位置)を乳頭位置として特定することが可能である。いくつかの実施形態では、乳頭の輪郭部の形状が円形(楕円形)であることを利用して輪郭部が特定される。いくつかの実施形態では、眼底Efの断層像の形状を解析することにより輪郭部が特定される。いくつかの実施形態では、眼底Efにおける所定の径以上の血管の分布(走行状態)に基づいて特定された探索領域内で視神経乳頭の輪郭部の特定処理が実行される。
【0114】
いくつかの実施形態では、乳頭判定部332は、被検眼Eが左眼であるか右眼であるかを加味して、乳頭に相当する領域が特定されたか否かを判定する。例えば、被検眼が左眼であればフレームの左側端部近傍に視神経乳頭が描出されている可能性があり、被検眼が右眼であればフレームの右側端部近傍に視神経乳頭が描出されている可能性がある。従って、乳頭判定部332は、例えば記憶部212に記憶されている被検眼情報(被検眼Eが左眼であるか右眼であるかを示す情報)に基づいて特定された探索領域内で視神経乳頭に相当する領域の特定処理を行うことが可能である。
【0115】
(中心窩判定部)
中心窩判定部333は、プロジェクション画像における中心窩に相当する領域を特定する処理を行い、中心窩に相当する領域が特定されたか否かを判定する。
【0116】
いくつかの実施形態では、中心窩判定部333は、眼底Efの断層像又は3次元画像を解析して黄斑部に相当する領域を特定することにより、プロジェクション画像において中心窩に相当する領域が特定されたか否かを判定する。
【0117】
いくつかの実施形態では、中心窩判定部333は、干渉光学系により得られた干渉光LCの検出結果に基づいて、被検眼Eの黄斑部に相当する領域を特定する。いくつかの実施形態では、中心窩判定部333は、干渉光LCの検出結果に基づいて眼底Efの形態を特定することにより、被検眼Eの黄斑部に相当する領域を特定する。例えば、中心窩判定部333は、画像形成部230により形成された被検眼Eの断層像(Bスキャン画像)から、網膜の断面形状や網膜の厚さを解析することにより黄斑部に相当する領域を特定することが可能である。また、中心窩判定部333は、被検眼Eの3次元画像に基づいて、3次元画像中の被検眼Eの黄斑部に相当する領域を特定することが可能である。
【0118】
いくつかの実施形態では、中心窩判定部333は、プロジェクション画像等の眼底Efの正面画像を解析して中心窩に相当する領域が特定されたか否かを判定する。例えば、中心窩判定部333は、プロジェクション画像における黄斑部に相当する領域を特定する処理を行い、中心窩に相当する領域が特定されたか否かを判定する。中心窩判定部333は、黄斑部に相当する領域が特定されたとき、図8に示すように、プロジェクション画像IMG1における当該領域の中心位置(重心位置)を中心窩位置Q1として特定することが可能である。
【0119】
いくつかの実施形態では、中心窩判定部333は、眼底Efの正面画像に基づいて黄斑部に相当する領域を特定し、特定された領域の中心部を中心窩に相当する領域として特定する。中心窩判定部333は、正面画像において所定の閾値以下の輝度を有する画素群を黄斑部に相当する領域を特定することが可能である。また、中心窩判定部333は、正面画像において乳頭判定部332により特定された視神経乳頭の位置を基準に正面画像中の黄斑部に相当する領域を特定することが可能である。
【0120】
(解析領域判定部)
解析領域判定部334は、後述の解析部360による解析処理の対象となる解析領域の位置が適正であるか否かを判定する。解析領域は、注目部位を基準に自動又は手動で設定可能である。注目部位として、乳頭判定部332により特定された乳頭位置、中心窩判定部333により特定された中心窩位置などがある。解析領域は、注目部位を中心とする所定サイズの領域である。いくつかの実施形態では、解析領域の形状は、矩形、円形、又はユーザ等により指定された領域が除外された任意の形状である。いくつかの実施形態では、解析領域は、互いに分離した2以上の領域である。
【0121】
いくつかの実施形態では、解析領域判定部334は、所定の解析有効範囲内に解析領域があるか否かを判定することにより、解析領域の位置が適正であるか否かを判定する。所定の解析有効範囲は、光スキャナー42によって偏向される測定光LSによるスキャン範囲であってよい。解析領域判定部334は、解析領域の全部が解析有効範囲内にあるとき、解析領域の位置が適正であると判定し、解析領域の少なくとも一部が解析有効範囲外にあるとき、解析領域の位置が適正ではないと判定する。
【0122】
例えば、図8に示すように、解析領域判定部334は、乳頭判定部332により特定された乳頭位置P1を中心とした所定サイズの解析領域PR1と中心窩判定部333により特定された中心窩位置Q1を中心とした所定サイズの解析領域QR1について、双方の解析領域の位置が適正であるか否かを判定する。すなわち、解析領域判定部334は、解析領域PR1及び解析領域QR1の双方の全部が解析有効範囲内にあるとき、解析領域の位置が適正であると判定し、解析領域PR1及び解析領域QR1の少なくとも一部が解析有効範囲外にあるとき、解析領域の位置が適正ではないと判定する
【0123】
(判定画像生成部)
判定画像生成部335は、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像に解析情報を付加した判定画像を生成する。解析情報の付加の例として、画像データに解析情報をタグとして付与する態様、解析情報を画像に重畳する態様などがある。本明細書において、判定画像は、プロジェクション画像の一種である。
【0124】
解析情報の例として、被検眼の画像の測定結果、被検眼の画像の解析結果などがある。解析情報は、当該画像に関する情報を含んでもよい。当該画像に関する情報の例には、被検者の情報、被検眼情報、被検眼の画像を取得した装置の識別情報、被検眼の画像を取得した取得機関(施設)に関する情報、被検眼の画像を解析する解析機関(施設)に関する情報などがある。
【0125】
いくつかの実施形態では、判定画像生成部335は、記憶部212に記憶された情報に基づいて判定画像に解析情報を付加することにより判定画像を生成する。いくつかの実施形態では、判定画像生成部335は、データ処理部300によるプロジェクション画像の解析結果に対応した情報を解析情報として当該プロジェクション画像に付加することにより判定画像を生成する。いくつかの実施形態では、判定画像生成部335は、図示しない解析情報生成部により生成された解析情報をプロジェクション画像に付加することにより判定画像を生成する。
【0126】
判定画像生成部335は、瞬き判定部331、乳頭判定部332、中心窩判定部333、及び解析領域判定部334のすべてにおいて解析に適すると判定されたプロジェクション画像に対して、上記の解析情報を付加する。
【0127】
例えば、判定画像生成部335は、図9に示すように、解析情報をプロジェクション画像IMG1に付加した判定画像IMG2を生成する。図9では、解析情報は、乳頭判定部332により特定された乳頭位置P1を表す情報、中心窩判定部333により特定された中心窩位置Q1を表す情報、解析領域判定部334により特定された解析領域PR1、QR1を表す情報を含む。
【0128】
(判定器)
判定器340は、判定画像生成部335により生成された判定画像(プロジェクション画像)が撮影部位の折り返しや統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0129】
例えば、判定器340は、判定画像のフレームの4端(上端、下端、左端、右端)のうちいずれか2端に交差するように撮影部位の折り返し位置の軌跡が描出されているか否かを判定することにより、当該判定画像が解析エラー要因として撮影部位の折り返しを含む解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0130】
例えば、判定器340は、過去に取得された2以上の被検眼の画像(複数の被検者の眼の撮影画像、当該撮影画像に基づいて過去に形成されたプロジェクション画像)に基づいて、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像に対して判定処理を行うことにより、当該判定画像が統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。この場合、判定器340は、上記のように軌跡を検出することなく、当該判定画像が解析エラー要因として撮影部位の折り返しを含む解析エラー画像であるか否かを判定することが可能である。
【0131】
いくつかの実施形態では、判定器340は、過去に取得された2以上の被検眼の画像を解析することにより解析エラー画像であるか否かを判定するための判定基準を特定する。判定器340は、特定された判定基準に従って、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像に対して判定処理を行う。
【0132】
いくつかの実施形態では、判定器340は、過去に取得された2以上の被検眼の画像(複数の被検者の眼の撮影画像、当該撮影画像に基づいて過去に形成されたプロジェクション画像)を訓練データとして機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像に対して判定処理を行う。訓練データは、当該プロジェクション画像を解析することにより得られた解析情報が付加された判定画像(プロジェクション画像)(図9)を含んでよい。
【0133】
以下、判定器340が、学習済みモデルを用いて判定画像に対する判定処理を行う場合について説明する。
【0134】
実施形態に係る学習済みモデルは、CPU及びメモリを備えるコンピュータ(プロセッサ)において用いられる。判定器340の機能は、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)により実現される。すなわち、CPUがメモリに記憶された学習済みモデルからの指令に従って、入力層である後述の特徴量抽出部341の畳み込み層341Aに入力された判定画像の画素値に対し、畳み込みニューラルネットワークにおける学習済みの重み付け係数と応答関数等に基づく演算を行い、出力層である後述の分類器342から判定結果を出力するように動作する。このような構成を有する判定器340は、判定画像の解像度を段階的に落としつつ局所的な相関パターンを抽出し、抽出された相関パターンに基づいて判定結果を出力することができる。
【0135】
図10に、実施形態に係る判定器340の構成例のブロック図を示す。
【0136】
判定器340は、特徴量抽出部341と、分類器342とを含む。特徴量抽出部341は、入力された判定画像IMG3に対して、所定の画像領域ごとに特徴量の抽出とダウンサンプリング(フィルタリング)とを繰り返して当該判定画像の特徴量を抽出する。分類器342は、特徴量抽出部341により抽出された特徴量に基づいて解析エラー画像であるか否かを示す出力情報を生成し、生成された出力情報に基づいて判定画像が解析エラー画像であるか否かを示す情報(例えば、PASS/FAIL)を出力する。
【0137】
特徴量抽出部341は、畳み込み層(Convolution Layer)とプーリング層(Pooling Layer)とを含むユニットが多段接続された複数のユニットを含む。各ユニットでは、畳み込み層の出力にプーリング層の入力が接続される。最初の段の畳み込み層の入力には、判定画像において対応する画素の画素値が入力される。後段の畳み込み層の入力は、前段のプーリング層の出力に接続される。
【0138】
図10では、特徴量抽出部341は、2段に接続された2つのユニットを含む。すなわち、特徴量抽出部341は、畳み込み層341Aとプーリング層341Bとを含むユニットの後段に、畳み込み層341Aとプーリング層341Bとを含むユニットが接続される。プーリング層341Bの出力は、畳み込み層341Aの入力に接続される。
【0139】
分類器342は、全結合層(Fully Connected Layer)342A、342Aを含み、全結合層342Aの出力は全結合層342Aの入力に接続される。
【0140】
特徴量抽出部341及び分類器342において、接続された2つの層のニューロン間では学習済みの重み付け係数が割り当てられる。各ニューロンは、入力される1以上のニューロンからの重み付け係数を加味した演算結果に対し、応答関数を用いて演算を行い、得られた演算結果を次の段のニューロンに出力する。
【0141】
重み付け係数は、過去に取得された2以上の被検眼の画像(複数の被検者の眼の撮影画像、当該撮影画像に基づいて過去に形成されたプロジェクション画像)を訓練データとして公知の機械学習を行うことにより更新される。既存の重み付け係数は、過去に取得された2以上の被検眼の画像を訓練データとする機械学習により更新される。すなわち、この実施形態では、過去に取得された被検眼の画像を解析することにより解析情報を取得し、取得された解析情報を被検眼の画像に付加した判定画像を生成し、判定画像を含む訓練データを用いて機械学習を行うことにより、被検眼の画像以外の被検眼の撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定するための学習済みモデルを生成する。機械学習には、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、強化学習(reinforecement learning)などがある。いくつかの実施形態では、転移学習(transfer lerning)によって重み付け係数の更新が行われる。
【0142】
判定器340は、VGG16、VGG19、InceptionV3、ResNet18、ResNet50等の公知の層構造を有していてよい。分類器342は、Random Forestやサポートベクターマシン(Support Vector Machined:SVM)等の公知の構成を有していてよい。
【0143】
(後処理部)
図4に示すように、後処理部350は、固視ずれ判定部351を含む。
【0144】
(固視ずれ判定部)
固視ずれ判定部351は、プロジェクション画像が被検眼の固視ずれに起因する解析エラー要因を含むか否かを判定する。
【0145】
固視ずれ判定部351は、図11に示すように、特徴領域特定部351Aと、固視ずれ検出部351Bとを含む。
【0146】
特徴領域特定部351Aは、プロジェクション画像を解析することにより眼底Efにおける特徴領域を特定する。特徴領域には、特徴部位を含む領域、血管などがある。特徴部位には、視神経乳頭、中心窩などの所定の部位、又は疾患部位などがある。
【0147】
固視ずれ検出部351Bは、特徴領域特定部351Aにより特定された特徴領域に基づいて固視ずれの有無を検出する。例えば、固視ずれ検出部351Bは、特徴領域特定部351Aにより特定された血管領域を解析することにより、所定方向に所定の閾値以上の位置ずれを含む領域の有無を検出する。固視ずれ検出部351Bは、当該領域が検出されたとき固視ずれが発生したことを検出し、当該領域が検出されなかったとき固視ずれが発生していないことを検出する。
【0148】
いくつかの実施形態では、固視ずれ判定部351は、判定器340と同様に、過去に取得された2以上の被検眼の画像を訓練データとして機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて、プロジェクション画像が固視ずれに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。例えば、固視ずれ判定部351の機能は、図10に示す構成と同様の畳み込みニューラルネットワークにより実現される。
【0149】
以上のように、分類部320は、プロジェクション画像形成部310により形成されたプロジェクション画像を、当該プロジェクション画像に対して解析部360により実行される解析処理に適した画像又は解析処理に適さない画像のいずれかに分類する。
【0150】
なお、分類部320は、プロジェクション画像に対して上記の判定処理を行う場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。分類部320は、被検眼の正面画像に対して上記の判定処理を行うことができる。正面画像の例として、プロジェクション画像の他に、Cスキャン画像(Cモード画像)、シャドウグラム、撮影光学系30により取得された眼底画像などがある。Cスキャン画像は、画像形成部230又はデータ処理部300において、眼底Efに対応する断面上の画素を3次元データセットから選択することにより取得される。シャドウグラムは、画像形成部230又はデータ処理部300において、3次元データセットの一部を所定方向に投影することによって取得される。
【0151】
(解析部)
解析部360は、固視ずれ判定部351により固視ずれに起因する解析エラー要因を含まないと判定されたプロジェクション画像に対して、所定の解析処理を行うことができる。所定の解析処理には、被検眼Eにおける所定の部位(組織、病変部)の特定;指定された部位間の距離(層間距離)、面積、角度、比率、密度の算出;指定された計算式による演算;所定の部位の形状の特定;これらの統計値の算出;計測値、統計値の分布の算出;これら解析処理結果に基づく画像処理などがある。所定の組織には、血管、視神経乳頭、中心窩、黄斑などがある。所定の病変部には、白斑、出血などがある。
【0152】
以上のように機能するデータ処理部300は、例えば、前述のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
【0153】
(ユーザインターフェイス)
図3に示すように、ユーザインターフェイス240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼科撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。例えば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0154】
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0155】
データ処理部300は、実施形態に係る「眼科情報処理装置」の一例である。OCT画像、プロジェクション画像、判定画像は、実施形態に係る「撮影画像」の一例である。プロジェクション画像形成部310は、実施形態に係る「取得部」の一例である。分類部320は、実施形態に係る「判定部」の一例である。判定器340は、実施形態に係る「第1判定部」の一例である。前処理部330は、実施形態に係る「第2判定部」の一例である。乳頭判定部332及び中心窩判定部333の少なくとも一方は、実施形態に係る「特徴部位判定部」の一例である。解析領域判定部334は、実施形態に係る「領域判定部」の一例である。後処理部350は、実施形態に係る実施形態に係る「第3判定部」の一例である。OCTユニット100、画像形成部230(及び/又はデータ処理部300)は、実施形態に係る「撮影部」の一例である。
【0156】
[動作]
第1実施形態に係る眼科撮影装置1の動作について説明する。
【0157】
図12図14に、第1実施形態に係る眼科撮影装置1の動作例を示す。図12図14は、第1実施形態に係る眼科撮影装置1の動作例のフローチャートを表す。記憶部212には、図12図14に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部211は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図12図14に示す処理を実行する。
【0158】
(S1:アライメント)
主制御部211は、アライメントを実行する。
【0159】
すなわち、主制御部211は、アライメント光学系50を制御して、被検眼Eにアライメント指標を投影させる。このとき、被検眼Eには、LCD39による固視標も投影される。主制御部211は、例えばイメージセンサ35により取得された受光像に基づいて特定された光学系の移動量に基づいて移動機構150を制御し、被検眼Eに対して光学系を当該移動量だけ相対的に移動させる。主制御部211は、この処理を繰り返し実行させる。
【0160】
(S2:調整用断層像を取得)
主制御部211は、LCD39の所定位置にOCT計測用の固視標を表示させる。主制御部211は、眼底Efにおける光学系の光軸の位置に対応するLCD39の表示位置に固視標を表示させることが可能である。
【0161】
続いて、主制御部211は、OCTユニット100を制御してOCT仮計測を実行させ、深さ方向の計測範囲の基準位置を調整するための調整用断層像を取得させる。具体的には、主制御部211は、光スキャナー42を制御することにより、光源ユニット101から出射された光L0に基づいて生成された測定光LSを偏向し、偏向された測定光LSで被検眼Eの所定部位(例えば眼底)をスキャンさせる。測定光LSのスキャンにより得られた干渉光の検出結果は、クロックKCに同期してサンプリングされた後、画像形成部230に送られる。画像形成部230は、得られた干渉信号から被検眼Eの断層像(OCT画像)を形成する。
【0162】
(S3:深さ方向の基準位置を調整)
続いて、主制御部211は、深さ方向(z方向)の計測範囲の基準位置を調整する。
【0163】
例えば、主制御部211は、ステップS2において得られた断層像における所定の部位(例えば、強膜)をデータ処理部300に特定させ、特定された所定の部位の位置に対して深さ方向に所定の距離だけ離れた位置を計測範囲の基準位置として設定する。また、測定光LSと参照光LRの光路長が略一致するようにあらかじめ決められた所定の位置が計測範囲の基準位置として設定されてもよい。
【0164】
(S4:フォーカス調整、偏波調整)
次に、主制御部211は、フォーカス調整制御及び偏波調整制御を実行する。
【0165】
例えば、主制御部211は、合焦駆動部43Aを制御してOCT合焦レンズ43を所定の距離だけ移動させた後、OCTユニット100を制御してOCT計測を実行させる。主制御部211は、上記のように、OCT計測により得られた干渉光の検出結果に基づいて測定光LSのフォーカス状態をデータ処理部300に判定させる。データ処理部300による判定結果に基づいて測定光LSのフォーカス状態が適正ではないと判断されたとき、主制御部211は、再び合焦駆動部43Aの制御を行い、フォーカス状態が適正であると判断されるまで繰り返す。
【0166】
また、例えば、主制御部211は、偏波コントローラ103、118の少なくとも一方を制御して光L0及び測定光LSの少なくとも一方の偏波状態を所定の量だけ変更した後、OCTユニット100を制御してOCT計測を実行させ、取得された干渉光の検出結果に基づくOCT画像を画像形成部230に形成させる。主制御部211は、上記のように、OCT計測により得られたOCT画像の画質をデータ処理部300に判定させる。データ処理部300による判定結果に基づいて測定光LSの偏波状態が適正ではないと判断されたとき、主制御部211は、再び偏波コントローラ103、118の制御を行い、偏波状態が適正であると判断されるまで繰り返す。
【0167】
(S5:OCT撮影)
続いて、主制御部211は、OCTユニット100を制御してOCT撮影を実行させる。ステップS5の詳細については後述する。
【0168】
(S6:次?)
ステップS5に続いて、主制御部211は、OCT撮影を継続するか否かを判定する。主制御部211は、操作部240Bに対するユーザの操作内容又はあらかじめ設定された動作モードの内容に応じてOCT撮影を継続するか否かを判定する。
【0169】
OCT撮影を継続すると判定されたとき(S6:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS7に移行する。OCT撮影を継続しないと判定されたとき(S6:N)、眼科撮影装置1の動作は終了である(エンド)。
【0170】
(S7:アライメント?)
ステップS6においてOCT撮影を継続すると判定されたとき(S6:Y)、主制御部211は、OCT撮影の前にアライメントを再実行するか否かを判定する。主制御部211は、操作部240Bに対するユーザの操作内容、あらかじめ設定された動作モードの内容、又は図示しない検出手段により検出された被検眼Eと光学系との位置関係に応じて再アライメントを実行するか否かを判定する。
【0171】
アライメントを再実行すると判定されたとき(S7:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS1に移行する。アライメントを再実行しないと判定されたとき(S7:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0172】
図12のステップS5では、以下のような処理が行われる。
【0173】
(S11:プロジェクション画像を形成)
ステップS5では、まず、主制御部211は、OCTユニット100を制御してOCT計測を実行させる。当該OCT計測により取得された干渉光の検出結果は、DAQ130においてサンプリングされ、干渉信号として記憶部212等に保存される。
【0174】
続いて、主制御部211は、プロジェクション画像形成部310を制御することにより被検眼Eのプロジェクション画像を形成させる。
【0175】
(S12:瞬き判定処理)
続いて、主制御部211は、瞬き判定部331を制御することにより、ステップS11において形成されたプロジェクション画像に対する瞬き判定処理を実行させる。
【0176】
(S13:瞬きあり?)
ステップS11において形成されたプロジェクション画像がステップS12における瞬き判定処理により瞬きに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S13:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS14に移行する。
【0177】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S13:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS15に移行する。
【0178】
(S14:表示)
ステップS13においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S13:Y)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0179】
いくつかの実施形態では、ステップS14からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、瞬きに起因する解析エラー要因の発生を抑えるように撮影条件が変更される(例えば、撮影レート、撮影タイミングの変更)。
【0180】
(S15:乳頭判定処理)
ステップS13においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S13:N)、主制御部211は、乳頭判定部332を制御することにより、ステップS13において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する乳頭判定処理を実行させる。
【0181】
(S16:乳頭を特定?)
プロジェクション画像がステップS15における乳頭判定処理により乳頭の未検出に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S16:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS17に移行する。
【0182】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S16:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS18に移行する。
【0183】
(S17:表示)
ステップS16においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S16:N)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0184】
いくつかの実施形態では、ステップS17からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、乳頭の未検出に起因する解析エラー要因の発生を抑えるように撮影条件が変更される(例えば、撮影部位、光量、受光感度の変更)。
【0185】
(S18:中心窩判定処理)
ステップS16においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S16:Y)、主制御部211は、中心窩判定部333を制御することにより、ステップS16において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する中心窩判定処理を実行させる。
【0186】
(S19:中心窩を特定?)
プロジェクション画像がステップS18における中心窩判定処理により中心窩の未検出に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S19:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS20に移行する。
【0187】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S19:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS21に移行する。
【0188】
(S20:表示)
ステップS19においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S19:N)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0189】
いくつかの実施形態では、ステップS19からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、中心窩の未検出に起因する解析エラー要因の発生を抑えるように撮影条件が変更される(例えば、撮影部位、光量、受光感度の変更)。
【0190】
(S21:解析領域判定処理)
ステップS19においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S19:Y)、主制御部211は、解析領域判定部334を制御することにより、ステップS19において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する解析領域判定処理を実行させる。
【0191】
(S22:解析領域はスキャン範囲内?)
プロジェクション画像がステップS21における解析領域判定処理により解析領域の位置に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S22:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS23に移行する。
【0192】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S22:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS24に移行する。
【0193】
(S23:表示)
ステップS22においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S22:N)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0194】
いくつかの実施形態では、ステップS23からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、解析領域の位置に起因する解析エラー要因の発生を抑えるように撮影条件が変更される(例えば、固視位置、スキャン範囲、スキャン位置の変更)。
【0195】
(S24:判定画像を生成)
ステップS22においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S22:Y)、主制御部211は、判定画像生成部335を制御することにより、ステップS22において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に基づいて判定画像を生成させる。例えば、判定画像生成部335は、図9に示すように、プロジェクション画像に、当該プロジェクション画像を解析することにより得られた解析情報を重畳した判定画像を生成する。
【0196】
(S25:判定器を用いた判定処理)
続いて、主制御部211は、判定器340を制御することによりステップS24において生成された判定画像が解析エラー画像であるか否かを判定する判定処理を実行させる。
【0197】
判定器340は、上記した構成によって、入力された判定画像が解析エラー画像であるか否かの判定結果に対応した出力情報を出力することができる。出力情報は、判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたことを示すパス情報、及び、入力された判定画像が解析エラー画像であると判定されたことを示すファイル情報を含む。
【0198】
(S26:パス?)
判定器340からの出力情報に基づいて判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S26:N)、眼科撮影装置1の動作はステップS27に移行する。
【0199】
判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S26:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS28に移行する。
【0200】
(S27:表示)
ステップS26において判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S26:N)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0201】
いくつかの実施形態では、ステップS27からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、撮影条件が変更される。
【0202】
(S28:固視ずれ判定処理)
ステップS26において判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S26:Y)、主制御部211は、固視ずれ判定部351を制御することにより、ステップS26において解析エラー画像ではないと判定された判定画像に対する固視ずれ判定処理を実行させる。
【0203】
(S29:固視ずれ?)
判定画像がステップS28における固視ずれ判定処理により固視ずれに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S29:Y)、眼科撮影装置1の動作はステップS30に移行する。
【0204】
判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S29:N)、眼科撮影装置1はステップS5の処理を終了する(エンド)。
【0205】
(S30:表示)
ステップS29において判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S29:Y)、主制御部211は、表示部240Aを制御することにより解析に適さないことを示す情報と、再撮影を行うことを示す情報とを表示させる。その後、眼科撮影装置1の動作はステップS5に移行する。
【0206】
いくつかの実施形態では、ステップS30からステップS5に移行したときのOCT再撮影では、固視ずれに起因する解析エラー要因の発生を抑えるように撮影条件が変更される(例えば、固視位置、撮影レート、撮影タイミングの変更)。
【0207】
以上の処理を実行することで、図15に示すような解析エラー要因を含まないと判定された判定画像IMG10と、図16に示すような解析エラー要因(撮影部位の折り返し)を含むと判定された判定画像IMG11とを、解析処理前に分類することが可能になる。
【0208】
主制御部211は、解析部360を制御することにより、ステップS29において解析エラー画像ではないと判定された判定画像に対して所定の解析処理を実行させる。それにより、解析処理が施される被検眼の撮影画像の解析エラーを未然に防止して、解析に適した被検眼の画像を効率的に取得することができるようになる。
【0209】
[第2実施形態]
第1実施形態では、実施形態に係る眼科情報処理装置が適用された眼科撮影装置による撮影画像の取得の直後に、解析に適した画像であるか否か(解析結果の有用性)を判定(推定、予測)する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
【0210】
第2実施形態では、実施形態に係る眼科情報処理装置は、眼科撮影装置とは別個に設けられ、1以上の眼科撮影装置により取得された撮影画像に対して上記の解析エラー画像の判定処理を実行することができる。以下、第1実施形態との相違点を中心に、第2実施形態について説明する。
【0211】
図17に、第2実施形態に係る眼科システムの第1構成例のブロック図を示す。
【0212】
第1構成例に係る眼科システム400は、眼科撮影装置410~410(Nは2以上の整数)と、眼科情報処理装置420とを含む。眼科情報処理装置420は、ネットワーク430を介して、眼科撮影装置410~410)に接続されている。ネットワーク430は、有線又は無線のネットワーク(LAN、WAN)であってよい。
【0213】
眼科情報処理装置420は、眼科撮影装置410~410のいずれかと通信可能である。
【0214】
いくつかの実施形態では、眼科撮影装置410~410のいずれかは、眼科情報処理装置420に対してリクエストを送信し、当該リクエストが承認された眼科撮影装置は、眼科情報処理装置420に対してデータを送信する。送信されたデータには、眼底Ef又は前眼部Eaの撮影画像としてのOCT画像の画像データが含まれる。
【0215】
いくつかの実施形態では、眼科情報処理装置420は、眼科撮影装置410~410のいずれかに対してリクエストを送信し、当該リクエストを承認した眼科撮影装置からのデータを受信する。受信されたデータには、眼底Ef又は前眼部Eaの撮影画像としてのOCT画像の画像データが含まれる。
【0216】
図18に、第2実施形態に係る眼科システムの第2構成例のブロック図を示す。
【0217】
第2構成例に係る眼科システム400は、眼科撮影装置410と、眼科情報処理装置420とを含む。眼科情報処理装置420は、所定の通信路を介して眼科撮影装置410と接続されている。いくつかの実施形態では、眼科情報処理装置420は、ネットワークを介して眼科撮影装置410とピアツーピア接続される。
【0218】
眼科情報処理装置420は、眼科撮影装置410と通信可能である。
【0219】
いくつかの実施形態では、眼科撮影装置410は、眼科情報処理装置420に対してリクエストを送信し、当該リクエストが承認された眼科撮影装置410は、眼科情報処理装置420に対してデータを送信する。送信されたデータには、撮影画像の画像データが含まれる。
【0220】
いくつかの実施形態では、眼科情報処理装置420は、眼科撮影装置410に対してリクエストを送信し、当該リクエストを承認した眼科撮影装置410からのデータを受信する。受信されたデータには、撮影画像の画像データが含まれる。
【0221】
眼科撮影装置410~410、及び眼科撮影装置410は、図1図3に示す眼科撮影装置1とほぼ同様の構成を有している。第2実施形態では、図1図3に示す眼科撮影装置1の機能のうち、データ処理部300の機能の一部が眼科情報処理装置420により実現される。
【0222】
図19に、第2実施形態に係る眼科情報処理装置420の構成例のブロック図を示す。図19において、図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0223】
眼科情報処理装置420は、取得部421と、分類部320と、解析部360と、制御部422とを含む。分類部320は、図4と同様に、前処理部330と、判定器340と、後処理部350とを含む。
【0224】
取得部421は、眼科撮影装置410~410又は眼科撮影装置410とのインターフェイス処理を行う。すなわち、取得部421は、眼科撮影装置410~410又は眼科撮影装置410との間で所定の通信プロトコルに従って通信を行い、眼科撮影装置410~410又は眼科撮影装置410から撮影画像の画像データを含む通信データを受信する。取得部421は、受信された通信データに含まれる画像データを受信することで、眼科撮影装置により撮影された被検眼の撮影画像(OCT画像)を取得する。
【0225】
制御部422は、制御部210と同様に、プロセッサを含み、眼科情報処理装置420の各部を制御する。制御部422は、制御部210と同様に、主制御部と、記憶部とを含む。
【0226】
また、制御部422は、表示制御部として、眼科情報処理装置420の外部に接続された表示部440の表示制御を行うことができる。表示部440は、表示部240Aと同様の機能を有する。
【0227】
[動作]
第2実施形態に係る眼科情報処理装置420の動作について説明する。
【0228】
図20及び図21に、第2実施形態に係る眼科情報処理装置420の動作例を示す。図20及び図21は、第2実施形態に係る眼科情報処理装置420の動作例のフローチャートを表す。制御部422の記憶部には、図20及び図21に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御部422の主制御部は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図20及び図21に示す処理を実行する。
【0229】
(S41:OCT画像を取得)
制御部422は、取得部421を制御することにより、眼科撮影装置410~410のいずれか又は眼科撮影装置410からOCT画像の画像データを含む通信データを受信させる。例えば、制御部422は、取得部421による通信インターフェイス処理によって、眼科撮影装置410~410のいずれか又は眼科撮影装置410から送信された通信データを受信し、受信された通信データからOCT画像(プロジェクション画像)の画像データを抽出する。
【0230】
いくつかの実施形態では、取得部421は、受信された通信データからOCT画像を形成する。例えば、取得部421は、通信データから干渉光LCの検出データを抽出し、図4に示す画像形成部230及びデータ処理部300のように、抽出された検出データからOCT画像を形成する。
【0231】
(S42:瞬き判定処理)
続いて、制御部422は、ステップS12と同様に、瞬き判定部331を制御することにより、ステップS41において形成されたプロジェクション画像に対する瞬き判定処理を実行させる。
【0232】
(S43:瞬きあり?)
ステップS41において取得されたプロジェクション画像がステップS42における瞬き判定処理により瞬きに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S43:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS44に移行する。
【0233】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S43:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS45に移行する。
【0234】
(S44:表示)
ステップS43においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S43:Y)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS43において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0235】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0236】
(S45:乳頭判定処理)
ステップS43においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S43:N)、制御部422は、ステップS15と同様に、乳頭判定部332を制御することにより、ステップS43において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する乳頭判定処理を実行させる。
【0237】
(S46:乳頭を特定?)
プロジェクション画像がステップS45における乳頭判定処理により乳頭の未検出に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S46:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS47に移行する。
【0238】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S46:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS48に移行する。
【0239】
(S47:表示)
ステップS46においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S46:N)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS43において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0240】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0241】
(S48:中心窩判定処理)
ステップS46においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S46:Y)、制御部422は、ステップS18と同様に、中心窩判定部333を制御することにより、ステップS46において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する中心窩判定処理を実行させる。
【0242】
(S49:中心窩を特定?)
プロジェクション画像がステップS48における中心窩判定処理により中心窩の未検出に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S49:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS50に移行する。
【0243】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S49:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS51に移行する。
【0244】
(S50:表示)
ステップS49においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S49:N)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS49において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0245】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0246】
(S51:解析領域判定処理)
ステップS49においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S49:Y)、制御部422は、ステップS21と同様に、解析領域判定部334を制御することにより、ステップS49において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に対する解析領域判定処理を実行させる。
【0247】
(S52:解析領域はスキャン範囲内?)
プロジェクション画像がステップS51における解析領域判定処理により解析領域の位置に起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S52:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS53に移行する。
【0248】
プロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S52:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS54に移行する。
【0249】
(S53:表示)
ステップS52においてプロジェクション画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S52:N)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS52において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0250】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0251】
(S54:判定画像を生成)
ステップS52においてプロジェクション画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S52:Y)、制御部422は、ステップS24と同様に、判定画像生成部335を制御することにより、ステップS52において解析エラー画像ではないと判定されたプロジェクション画像に基づいて判定画像を生成させる。例えば、判定画像生成部335は、図9に示すように、プロジェクション画像に、当該プロジェクション画像を解析することにより得られた解析情報を重畳した判定画像を生成する。
【0252】
(S55:判定器を用いた判定処理)
続いて、制御部422は、ステップS25と同様に、判定器340を制御することによりステップS54において生成された判定画像が解析エラー画像であるか否かを判定する判定処理を実行させる。
【0253】
(S56:パス?)
判定器340からの出力情報に基づいて判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S56:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS57に移行する。
【0254】
判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S56:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS58に移行する。
【0255】
(S57:表示)
ステップS56において判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S56:N)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS56において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0256】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0257】
(S58:固視ずれ判定処理)
ステップS56において判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S56:Y)、制御部422は、ステップS28と同様に、固視ずれ判定部351を制御することにより、ステップS56において解析エラー画像ではないと判定された判定画像に対する固視ずれ判定処理を実行させる。
【0258】
(S59:固視ずれ?)
判定画像がステップS58における固視ずれ判定処理により固視ずれに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像であると判定されたとき(S59:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS60に移行する。
【0259】
判定画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき(S59:N)、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0260】
(S60:表示)
ステップS59において判定画像が解析エラー画像であると判定されたとき(S59:Y)、制御部422は、表示部440を制御することにより解析に適さないことを示す情報を表示させる。いくつかの実施形態では、ステップS59において解析エラー画像であると判定されたプロジェクション画像に、解析に適さないことを示す情報を付加する。
【0261】
その後、眼科情報処理装置420の動作はステップS61に移行する。
【0262】
(S61:次のOCT画像?)
続いて、制御部422は、次のOCT画像があるか否かを判定する。制御部422は、図示しない操作部に対するユーザの操作内容、又はあらかじめ設定された判定処理対象のOCT画像の数に応じて画像の判定処理を継続するか否かを判定する。
【0263】
次のOCT画像があると判定されたとき(S61:Y)、眼科情報処理装置420の動作はステップS41に移行する。次のOCT画像がないと判定されたとき(S61:N)、眼科情報処理装置420の動作は終了である(エンド)。
【0264】
制御部422は、解析部360を制御することにより、ステップS59において解析エラー画像ではないと判定された判定画像に対して所定の解析処理を実行させる。それにより、解析処理が施される被検眼の撮影画像の解析エラーを未然に防止して、解析に適した被検眼の画像を効率的に取得することができるようになる。特に、健診(健診)等において取得された多数のOCT画像に対して、一定の判定基準で解析エラー画像を解析処理の対象から外すことができ、解析に適した被検眼の画像を効率的に取得することができるようになる。
【0265】
[効果]
実施形態に係る眼科情報処理装置、眼科撮影装置、眼科情報処理方法、及びプログラムについて説明する。
【0266】
実施形態に係る眼科情報処理装置(データ処理部300、眼科情報処理装置420)は、取得部(プロジェクション画像形成部310、取得部421)と、判定部(分類部320)とを含む。取得部は、被検眼(E)の撮影画像(OCT画像、判定画像、プロジェクション画像)を取得する。判定部は、取得部により取得された撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0267】
このような構成によれば、被検眼の撮影画像が解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを一定の判定基準で判定することが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0268】
いくつかの実施形態では、判定部は、撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを所定の解析処理の実行前に判定する。
【0269】
このような構成によれば、解析処理を行う前に被検眼の撮影画像が解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定することにより解析処理の対象から外すことが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0270】
いくつかの実施形態では、判定部は、過去に取得された2以上の被検眼の撮影画像に基づいて、取得部により取得された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する第1判定部(判定器340)を含む。
【0271】
このような構成によれば、被検眼の撮影画像が統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定することができるので、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0272】
いくつかの実施形態では、第1判定部は、2以上の被検眼の撮影画像を訓練データとして機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて、取得部により取得された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0273】
このような構成によれば、被検眼の撮影画像が統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを、簡素な構成で、且つ高い精度で判定することができるので、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0274】
いくつかの実施形態では、訓練データは、当該撮影画像を解析することにより得られた解析情報が付加された画像を含む。
【0275】
このような構成によれば、解析情報が付加された画像を含む訓練データを用いて機械学習を行って学習済みモデルを作成するようにしたので、付加された解析情報も判定基準に追加されるようになり、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0276】
いくつかの実施形態では、判定部は、取得部により取得された撮影画像が所定の判定基準を満たすか否かを判定する第2判定部(前処理部330)を含み、第1判定部は、第2判定部により所定の判定基準を満たすと判定された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0277】
このような構成によれば、第1判定部による判定処理の前に、第2判定部において所定の判定基準を満足しない撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0278】
いくつかの実施形態において、第2判定部は、撮影画像に基づいて瞬きの有無を判定する瞬き判定部(331)を含む。
【0279】
このような構成によれば、第1判定部による判定処理の前に、第2判定部において瞬きに起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0280】
いくつかの実施形態では、第2判定部は、撮影画像において所定の特徴部位が特定されたか否かを判定する特徴部位判定部(乳頭判定部332、中心窩判定部333)を含む。
【0281】
このような構成によれば、第1判定部による判定処理の前に、第2判定部において特徴部位の未検出に起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0282】
いくつかの実施形態では、第2判定部は、撮影画像において検出された所定の特徴部位を基準に特定された画像領域(解析領域)が所定の解析有効領域(光スキャナー42によるスキャン範囲)内であるか否かを判定する領域判定部(解析領域判定部334)を含む。
【0283】
このような構成によれば、第1判定部による判定処理の前に、第2判定部において解析対象の領域が所定の解析有効領域外であることに起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0284】
いくつかの実施形態では、判定部は、撮影画像に基づいて固視ずれの有無を判定する第3判定部(固視ずれ判定部351)を含み、第3判定部は、第1判定部により解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して固視ずれの有無を判定する。
【0285】
このような構成によれば、第1判定部による判定処理の後に、第3判定部において固視ずれに起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0286】
いくつかの実施形態は、判定部により解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して所定の解析処理を実行する解析部(360)を含む。
【0287】
このような構成によれば、解析処理に供される被検眼の撮影画像が解析エラー画像であるか否かを解析処理の前に実行し、解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して解析処理を実行することができるため、被検眼の撮影画像に対して効率的に解析処理を実行することが可能な眼科情報処理装置を提供することができる。
【0288】
いくつかの実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、被検眼を撮影することにより撮影画像を取得する撮影部(OCTユニット100、画像形成部230(及び/又はデータ処理部300))と、上記のいずれかに記載の眼科情報処理装置と、を含む。
【0289】
このような構成によれば、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能な眼科撮影装置を提供することができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、判定部により取得部により取得された撮影画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき、撮影部を制御して被検眼の再撮影を実行する制御部(210)を含む。
【0291】
このような構成によれば、解析に適した画像ではないと判定されたときに、被検眼の再撮影を実行して撮影画像を再取得することが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能な眼科撮影装置を提供することができる。
【0292】
いくつかの実施形態では、判定部により取得部により取得された撮影画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき、判定部による判定結果に対応した情報を表示手段(表示部240A)に表示させる制御部(210)を含む。
【0293】
このような構成によれば、解析に適した画像ではないと判定されたときに、表示手段にその旨を表示することが可能になるため、検者等のユーザに注意を喚起し、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能な眼科撮影装置を提供することができる。
【0294】
いくつかの実施形態に係る眼科情報処理方法は、被検眼の撮影画像を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【0295】
このような方法によれば、被検眼の撮影画像が解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを一定の判定基準で判定することが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0296】
いくつかの実施形態では、判定ステップは、過去に取得された2以上の被検眼の撮影画像に基づいて、取得ステップにおいて取得された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する第1判定ステップを含む。
【0297】
このような方法によれば、解析処理を行う前に被検眼の撮影画像が解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定することにより解析処理の対象から外すことが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0298】
いくつかの実施形態では、第1判定ステップは、2以上の被検眼の撮影画像を訓練データとして機械学習を行うことにより得られた学習済みモデルを用いて、取得ステップにおいて取得された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0299】
このような方法によれば、被検眼の撮影画像が統計的又は経験的に解析に適さないと判断された解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定することができるので、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0300】
いくつかの実施形態では、訓練データは、当該撮影画像を解析することにより得られた解析情報が付加された画像を含む。
【0301】
このような方法によれば、解析情報が付加された画像を含む訓練データを用いて機械学習を行って学習済みモデルを作成するようにしたので、付加された解析情報も判定基準に追加されるようになり、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0302】
いくつかの実施形態では、判定ステップは、取得ステップにおいて取得された撮影画像が所定の判定基準を満たすか否かを判定する第2判定ステップを含み、第1判定ステップは、第2判定ステップにおいて所定の判定基準を満たすと判定された撮影画像が解析エラー画像であるか否かを判定する。
【0303】
このような方法によれば、第1判定ステップにおける判定処理の前に、第2判定ステップにおいて所定の判定基準を満足しない撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0304】
いくつかの実施形態では、第2判定ステップは、瞬きの有無を判定する判定処理、撮影画像において所定の特徴部位が特定されたか否かを判定する判定処理、及び撮影画像において検出された所定の特徴部位を基準に特定された画像領域が所定の解析有効領域内であるか否かを判定する判定処理の少なくとも1つを判定する。
【0305】
このような方法によれば、第1判定ステップにおける判定処理の前に、第2判定ステップにおいて瞬きに起因する解析エラー要因、特徴部位の未検出に起因する解析エラー要因、又は解析領域が解析有効範囲外にあることに起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0306】
いくつかの実施形態では、判定ステップは、撮影画像に基づいて固視ずれの有無を判定する第3判定ステップを含み、第3判定ステップは、第1判定ステップにおいて解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して固視ずれの有無を判定する。
【0307】
このような方法によれば、第1判定ステップにおける判定処理の後に、第3判定ステップにおいて固視ずれに起因する解析エラー要因を含む撮影画像を分類することができるので、判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0308】
いくつかの実施形態では、判定ステップにおいて解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して所定の解析処理を実行する解析ステップを含む。
【0309】
このような方法によれば、解析処理に供される被検眼の撮影画像が解析エラー画像であるか否かを解析処理の前に実行し、解析エラー画像ではないと判定された撮影画像に対して解析処理を実行することができるため、被検眼の撮影画像に対して効率的に解析処理を実行することが可能になる。
【0310】
いくつかの実施形態は、被検眼を撮影することにより撮影画像を取得する撮影画像取得ステップを含む。
【0311】
このような方法によれば、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能な眼科情報処理方法を提供することができる。
【0312】
いくつかの実施形態は、判定ステップにおいて撮影画像が解析エラー画像ではないと判定されたとき、被検眼の再撮影を実行する制御ステップを含む。
【0313】
このような方法によれば、解析に適した画像ではないと判定されたときに、被検眼の再撮影を実行して撮影画像を再取得することが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0314】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、上記のいずれかに記載の眼科情報処理方法の各ステップを実行させる。
【0315】
このようなプログラムによれば、被検眼の撮影画像が解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを一定の判定基準で判定することが可能になるため、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得することが可能になる。
【0316】
いくつかの実施形態に係る学習済みモデルの生成方法は、過去に取得された被検眼の画像を解析することにより解析情報を取得する解析情報取得ステップと、解析情報を被検眼の画像に付加した判定画像を生成する判定画像生成ステップと、判定画像を含む訓練データを用いて機械学習を行うことにより、上記の被検眼の画像以外の被検眼の撮影画像が所定の解析エラー要因を含む解析エラー画像であるか否かを判定するための学習済みモデルを生成するモデル生成ステップと、を含む。
【0317】
このような生成方法によれば、解析に適した被検眼の撮影画像を効率的に取得するための判定処理に利用することができる学習済みモデルを生成することが可能になる。
【0318】
<その他>
上記の実施形態において、前処理部330における判定処理の順序に限定されるものではない。前処理部330における判定処理の順序は適宜変更してよい。
【0319】
上記の実施形態における前処理部330では、特徴部位として乳頭及び中心窩を例に説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。例えば、特徴部位として上記の一方、又は疾患部位等の新たな部位を追加して判定を行ってよい。
【0320】
上記の実施形態において、判定器340による判定処理において固視ずれに起因する解析エラー要因を含む解析エラー画像を分類することができる場合、後処理部350において固視ずれ判定部351による判定処理を行わなくてもよい。
【0321】
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0322】
いくつかの実施形態では、上記の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。このようなプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD-ROM/DVD-RAM/DVD-ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
【符号の説明】
【0323】
1、410、410~410 眼科撮影装置
100 OCTユニット
210 制御部
230 画像形成部
240A、440 表示部
300 データ処理部
310 プロジェクション画像形成部
320 分類部
330 前処理部
331 瞬き判定部
332 乳頭判定部
333 中心窩判定部
334 解析領域判定部
335 判定画像生成部
340 判定器
350 後処理部
351 固視ずれ判定部
360 解析部
400 眼科システム
420 眼科情報処理装置
E 被検眼
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