(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092670
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】車両用ヘッドライト周辺構造
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20230627BHJP
B60R 19/50 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B60Q1/04 A
B60R19/50 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207826
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】影山 良達
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA18
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA01
3K339GA02
3K339GB03
3K339GC01
3K339GC04
3K339HA01
3K339HA28
(57)【要約】
【課題】バンパとヘッドライトとの見切り線の精度向上および衝撃発生時のヘッドライトの破損回避が可能な車両用ヘッドライト周辺構造を提供する。
【解決手段】バンパ102は、車両外側に露出するバンパ本体106と、ヘッドライトユニット104を露出させる開口108とを有する。ヘッドライトユニット104は、車体に接続される基部114と、開口108から露出するレンズ部110と、基部114のうちレンズ部110の上方および下方それぞれの箇所から車両前方に突出する上側ライト凸部120および下側ライト凸部124を有する。バンパ102はさらに、開口108の周囲に上側バンパ凹部142および下側バンパ凹部146を有する。上側ライト凸部120および下側ライト凸部124は、レンズ部110側の外面が、対応する上側バンパ凹部142および下側バンパ凹部146の内面に接触する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に取り付けられたヘッドライトユニットと、該ヘッドライトユニットに覆いかぶさるようにして該車体に取り付けられたバンパとを備えた車両用ヘッドライト構造において、
前記バンパは、
車両外側に露出するバンパ本体と、
前記バンパ本体の所定箇所に開けられ前記ヘッドライトユニットを露出させる開口とを有し、
前記ヘッドライトユニットは、
前記車体に接続された基部と、
前記基部から前記開口に向かって突出し該開口から露出するレンズ部と、
前記基部のうち前記レンズ部の周囲の箇所から車両前方に突出する複数のライト凸部とを有し、
前記複数のライト凸部は、少なくとも前記レンズ部の上方および下方それぞれに設けられていて、
前記バンパはさらに、前記開口の周囲に前記複数のライト凸部に対応して設けられた複数のバンパ凹部を有し、
前記複数のライト凸部は、該ライト凸部の前記レンズ部側の外面が、対応する前記バンパ凹部の内面に接触することを特徴とする車両用ヘッドライト周辺構造。
【請求項2】
前記複数のライト凸部は、前記基部から先細りの形状に突出していて、
前記バンパ凹部は、深さ方向の中央よりも入口側で前記ライト凸部に接触することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドライト周辺構造。
【請求項3】
前記バンパ凹部は、前記ヘッドライトユニット側の入口が矩形になっていて、
前記ライト凸部は、突出方向の中央における上下の幅が前記バンパ凹部の入口の上下の幅と同等になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ヘッドライト周辺構造。
【請求項4】
前記複数のライト凸部の少なくとも1つは、前記レンズ部の車幅方向内側に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用ヘッドライト周辺構造。
【請求項5】
前記ヘッドライトユニットはさらに、前記基部のうち前記レンズ部の周囲の箇所に取り付けられたホルダ部材を有し、
前記複数のライト凸部は、前記ホルダ部材に設けられていて、
前記ホルダ部材の複数のライト凸部と前記基部との間に所定の間隙が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用ヘッドライト周辺構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヘッドライト周辺構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のバンパは、車体に取り付けるときにボルトやクリップ等が使用されている。バンパは、衝撃吸収ができるようある程度の柔らかさを有していて、ボルトを締結するときに過度のトルクがかかると変形するおそれがある。そのため、バンパの取付作業は、ヘッドライトとの位置関係に影響が出ないよう調節しながら行う必要があった。
【0003】
例えば、特許文献1は、車両用灯具に関する技術であって、バンパ2に囲まれたヘッドランプ1が開示されている。特許文献1では、
図2に示されているように、ヘッドランプ1のアウターレンズ6の下縁近傍に、バンパ2を保持するためのバンパ保持部62が設けられている。特許文献1では、バンパ保持部62をランプハウジング5から突出する支持ロッド60で支えることで、バンパ2の取付けを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、ヘッドランプ1の下側のみにおいてバンパ2を支えているため、バンパ2とヘッドランプ1との位置合わせが不十分になることも考えられる。また、軽衝突などが起こった場合に、バンパ2とヘッドランプ1とが干渉することもあるため、そのような場合にヘッドランプ1の破損を回避する手段の検討も求められる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、バンパとヘッドライトとの見切り線の精度向上および衝撃発生時のヘッドライトの破損回避が可能な車両用ヘッドライト周辺構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用ヘッドライト周辺構造の代表的な構成は、車体の前部に取り付けられたヘッドライトユニットと、ヘッドライトユニットに覆いかぶさるようにして車体に取り付けられたバンパとを備えた車両用ヘッドライト構造において、バンパは、車両外側に露出するバンパ本体と、バンパ本体の所定箇所に開けられヘッドライトユニットを露出させる開口とを有し、ヘッドライトユニットは、車体に接続された基部と、基部から開口に向かって突出し開口から露出するレンズ部と、基部のうちレンズ部の周囲の箇所から車両前方に突出する複数のライト凸部とを有し、複数のライト凸部は、少なくともレンズ部の上方および下方それぞれに設けられていて、バンパはさらに、開口の周囲に複数のライト凸部に対応して設けられた複数のバンパ凹部を有し、複数のライト凸部は、ライト凸部のレンズ部側の外面が、対応するバンパ凹部の内面に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バンパとヘッドライトとの見切り線の精度向上および衝撃発生時のヘッドライトの破損回避が可能な車両用ヘッドライト周辺構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る車両用ヘッドライト周辺構造の概要を示す図である。
【
図2】
図1(a)のヘッドライト構造を車両前方から正対して見た図である。
【
図3】
図2のヘッドライトユニットおよびバンパをそれぞれ示した図である。
【
図4】
図2のヘッドライト構造のA-A断面図である。
【
図5】
図2のヘッドライト構造のB-B断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施例に係る車両用ヘッドライト周辺構造の概要を示す図である。
【
図7】
図6(a)のヘッドライトユニットのC-C断面図である。
【
図8】
図6(a)のホルダ部材の変形例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両用ヘッドライト周辺構造は、車体の前部に取り付けられたヘッドライトユニットと、ヘッドライトユニットに覆いかぶさるようにして車体に取り付けられたバンパとを備えた車両用ヘッドライト構造において、バンパは、車両外側に露出するバンパ本体と、バンパ本体の所定箇所に開けられヘッドライトユニットを露出させる開口とを有し、ヘッドライトユニットは、車体に接続された基部と、基部から開口に向かって突出し開口から露出するレンズ部と、基部のうちレンズ部の周囲の箇所から車両前方に突出する複数のライト凸部とを有し、複数のライト凸部は、少なくともレンズ部の上方および下方それぞれに設けられていて、バンパはさらに、開口の周囲に複数のライト凸部に対応して設けられた複数のバンパ凹部を有し、複数のライト凸部は、ライト凸部のレンズ部側の外面が、対応するバンパ凹部の内面に接触することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、ヘッドライトユニットの各ライト凸部がバンパの各バンパ凹部のレンズ部側に接触することで、バンパの位置を規制し、レンズ部の周囲におけるバンパとの見切り線を精度よく形成することができる。特に、上記構成であれば、レンズ部に対して上側と下側とにライト凸部およびバンパ凹部を設けているため、ヘッドライトユニットの重量による上下方向のゆがみによる見切り線の精度低下を、効率よく防ぎ、かつ修正することが可能になる。
【0012】
また、上記構成では、ヘッドライトユニットとバンパとを直接的に締結等させないため、締結時の外力による歪みの発生を防ぐことができ、これによってもレンズ部の周囲の見切り線を精度よく形成し、かつ見切り線を修正しやすくすることができる。
【0013】
上記の複数のライト凸部は、基部から先細りの形状に突出していて、バンパ凹部は、深さ方向の中央よりも入口側でライト凸部に接触する。
【0014】
上記構成によれば、ライト凸部の先端側とバンパ凹部の底との間に隙間が形成される。そのため、軽衝突時等によってバンパに衝撃が加えられた場合に、バンパ凹部がライト凸部に干渉する機会を減らし、ヘッドライトユニットの破損を抑えることができる。
【0015】
上記のバンパ凹部は、ヘッドライトユニット側の入口が矩形になっていて、ライト凸部は、突出方向の中央における上下の幅がバンパ凹部の入口の上下の幅と同等になっている。
【0016】
上記構成によれば、ライト凸部とバンパ凹部とを効率よく接触させることで、バンパの位置を規制し、レンズ部の周囲の見切り線を精度よく形成することが可能になる。
【0017】
上記の複数のライト凸部の少なくとも1つは、レンズ部の車幅方向内側に設けられている。
【0018】
上記構成によれば、レンズ部の車幅方向内側においてもヘッドライトユニットとバンパとの位置合わせを行うことが可能になるため、レンズ部の周囲の見切り線を精度よく形成することが可能になる。
【0019】
上記のヘッドライトユニットはさらに、基部のうちレンズ部の周囲の箇所に取り付けられたホルダ部材を有し、複数のライト凸部は、ホルダ部材に設けられていて、ホルダ部材の複数のライト凸部と基部の間に所定の間隙が形成されている。
【0020】
上記構成によれば、独立した部品であるホルダ部材にライト凸部を設けることで、ライト凸部とバンパとの接触具合の調節が容易になり、また、ヘッドライトユニットの基部を異なる車種間で共通化してその汎用性を高めることが可能になる。さらに、ホルダ部材にライト凸部を設けることで、仮に軽衝突等によってバンパがライト凸部に干渉したとしても、その衝撃をホルダ部材が受けることで、ヘッドライトユニットの基部の破損を抑えることができる。
【0021】
さらに、上記構成では、ホルダ部材のライト凸部とヘッドライトユニットの基部との間に間隙が形成されていることで、軽衝突時等によってバンパがホルダ部材に干渉した場合に、ホルダ部材がヘッドライトユニットの基部に干渉する機会を減らし、ヘッドライトユニットの基部の破損を抑えることができる。
【実施例0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る車両用ヘッドライト周辺構造(以下、ヘッドライト構造100)の概要を示す図である。
図1(a)は、車両の左側のヘッドライト構造100を示した斜視図である。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0024】
ヘッドライト構造100は、バンパ102とヘッドライトユニット104とを含んで構成されている。バンパ102は、本実施例ではフロントバンパとして実施されていて、車体の前部の構造物にヘッドライトユニット104に覆いかぶさるようにして取り付けられる。なお、バンパ102は、ヘッドライトユニット104に対して直接には固定されない。
【0025】
バンパ本体106は、バンパ102のうち車両外側に露出する部位である。開口108は、ヘッドライトユニット104のレンズ部110を露出させる部位であり、バンパ本体106の車幅方向の両端近傍の箇所を車両前後方向に貫通するよう開けた状態に形成されている。バンパ本体106の車両外側には、開口108を囲うようにガーニッシュ118が取り付けられる。
【0026】
図1(b)は、
図1(a)のバンパ102を取り外してヘッドライトユニット104を露出させた図である。
【0027】
ヘッドライトユニット104は、基部114およびレンズ部110を含んで構成されている。基部114は、ヘッドライトユニット104の主要な部位であり、固定部116a~116dなどの複数の固定部によって車体に取り付けられている。レンズ部110は、光源の前方を覆う透明な構造物であり、基部114から開口108に向かって突出し、開口108から露出する。
【0028】
ヘッドライトユニット104には、バンパ102の位置決めを行う部位として、上側ライト凸部120、122および下側ライト凸部124、126が設けられている。上側ライト凸部120、122および下側ライト凸部124、126は、車両前方に突出する部位であり、基部114のうちレンズ部110の周囲のフランジ部128に設けられている。
【0029】
上側ライト凸部120、122は、フランジ部128のうちレンズ部110の上側に車幅方向に2つ並んで設けられている。下側ライト凸部124、126は、レンズ部110の下側に車幅方向に2つ並んで設けられている。
【0030】
図2は、
図1(a)のヘッドライト構造100を車両前方から正対して見た図である。ヘッドライト構造100を車両前方から見た場合、ヘッドライトユニット104のうちレンズ部110の周囲はバンパ本体106で囲まれた状態になり、フランジ部128(
図1(b)参照)はバンパ本体106で覆い隠された状態になる。
【0031】
図3は、
図2のヘッドライトユニット104およびバンパ102をそれぞれ示した図である。
図3(a)は、
図2のヘッドライトユニット104を車両前方から正対して見た図である。
【0032】
上側ライト凸部120は、車幅方向に延びる中央部130と、中央部130の左右両端側にて上下に延びる上下リブ132、134とを有した構成になっている。下側ライト凸部124は、車幅方向に広がる天面部136と、天面部136の左右両端側から下方に延びる側壁リブ138、140とを有した構成になっている。
【0033】
図3(b)は、
図2のバンパ102の開口108の周辺を車両後方から正対して見た図である。バンパ102のうち、開口108の周囲には、上述した上側ライト凸部120等の複数のライト凸部が挿し込まれる部位として、上側バンパ凹部142等の複数のバンパ凹部が設けられている。
【0034】
開口108の上側には、上側ライト凸部120、122に対応して、上側バンパ凹部142、144が車幅方向に並んで設けられている。開口108の下側には、下側ライト凸部124、126に対応して、下側バンパ凹部146、148が車幅方向に並んで設けられている。これらバンパ凹部は、車両後側であるヘッドライトユニット104側の入口が矩形になった窪みとして形成されている。
【0035】
図4は、
図2のヘッドライト構造100のA-A断面図である。
図4(a)は、
図2のヘッドライト構造100の上側ライト凸部120から下側ライト凸部124にわたるA-A断面図である。
【0036】
上側ライト凸部120は、レンズ部110側である下側の外面が、上側バンパ凹部142の内面に接触する。また、下側ライト凸部124は、レンズ部110側である上側の外面が、下側バンパ凹部146の内面に接触する。この構成によって、ヘッドライトユニット104は、上側ライト凸部120、122および下側ライト凸部124、126によって、開口108の周囲を上下から把持した状態になっている。
【0037】
上記のヘッドライトユニット104によれば、上側ライト凸部120、122および下側ライト凸部124、126を利用してバンパ102の位置を規制し、レンズ部110の周囲におけるバンパ102との見切り線を精度よく形成することができる。特に、この構成であれば、レンズ部110に対して上側と下側とに各ライト凸部および各バンパ凹部を設けているため、ヘッドライトユニット104の重量による上下方向のゆがみによる見切り線の精度低下を、効率よく防ぎ、修正することが可能になる。
【0038】
本実施例では、ヘッドライトユニット104とバンパ102とを直接的に締結等させないため、締結時の外力によるバンパ102の歪みの発生を抑えることができる。この構成によっても、ヘッドライトユニット104の周囲の見切り線を精度よく形成し、かつ見切り線を修正しやすくすることができる。
【0039】
図4(b)は、
図4(a)の上側ライト凸部120の周辺の拡大図である。上側ライト凸部120は、基部114のフランジ部128から先細りの形状に突出している。そして、上側バンパ凹部142は、深さ方向の寸法D1の中央よりも入口側の範囲で上側ライト凸部120に接触する構成になっている。
【0040】
この構成によって、上側ライト凸部120の先端側と上側バンパ凹部142の底との間に隙間S1が形成されている。また、上側ライト凸部120の上下それぞれにも、バンパ102とヘッドライトユニット114との間に間隙S2、S3が形成されている。これによって、軽衝突時等によってバンパ102に衝撃が加えられた場合に、上側バンパ凹部142が上側ライト凸部120に干渉する機会を減らし、ヘッドライトユニット104の破損を抑えることができる。
【0041】
図5は、
図2のヘッドライト構造100のB-B断面図である。上述したように、上側ライト凸部120の先端と、上側バンパ凹部142の底との間には、車両前後方向に隙間S1が形成されている。同様に、上側ライト凸部122の先端と、上側バンパ凹部144の底との間にも、車両前後方向に隙間S4が形成されている。この構成によって、軽衝突時等によってバンパ102に車両前方から衝撃が加えられた場合に、上側バンパ凹部142、144が上側ライト凸部120、122に干渉する機会を減らし、ヘッドライトユニット104の破損を抑えることができる。
【0042】
図3(b)に示したように、上側バンパ凹部142は、ヘッドライトユニット104側の入口が、上下に延びる短辺h1と、車幅方向に延びる長辺h2とを有する矩形になっている。そして、
図4(b)に示すように、上側ライト凸部120の突出方向の中央付近における上下の幅W1は、上側バンパ凹部142の入口の上下の幅、すなわち短辺h1と同等の寸法になっている。
【0043】
上記構成によって、上側ライト凸部120は、突出方向の中央から先端側が上側バンパ凹部142に挿し込まれ、当該先端側が上側バンパ凹部142に効率よく接触することが可能になっている。よって、ヘッドライトユニット104は、バンパ102の位置を規制し、レンズ部110の周囲におけるバンパ102との見切り線を精度よく形成することが可能になっている。
【0044】
なお、上側ライト凸部120の車幅方向の幅は、上側バンパ凹部142の長辺h2よりも狭い寸法に設定することができる。この構成によって、上側ライト凸部120の車幅方向両側それぞれにおいて、上側バンパ凹部142の内壁との間に隙間を形成することができる。この構成によっても、軽衝突時等において、上側バンパ凹部142から上側ライト凸部120に衝撃が伝わる可能性を減らすことができる。
【0045】
(第2実施例)
図6は、本発明の第2の実施例に係る車両用ヘッドライト周辺構造(以下、ヘッドライト構造200)の概要を示す図である。
図6(a)は、ヘッドライト構造200が有するヘッドライトユニット202を示した斜視図である。
図6以降では、上記実施例にて既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
【0046】
ヘッドライトユニット202は、ホルダ部材204を有して構成されている。ホルダ部材204は、ヘッドライト本体206とは独立した樹脂製の部材であって、上側ライト凸部208などの複数のライト凸部が設けられている。ホルダ部材204は、基部114のうちレンズ部110の周囲のフランジ部128に、ボルト等を使用して取り付けられる。
【0047】
ホルダ部材204は、上側ライト凸部208、210、下側ライト凸部212、214、外側ライト凸部216、218、および内側ライト凸部220、222を有している。
【0048】
上側ライト凸部208、210は、レンズ部110の上側に車幅方向に2つ並んで設けられている。下側ライト凸部212、214は、レンズ部110の下側に車幅方向に2つ並んで設けられている。
【0049】
外側ライト凸部216、218は、レンズ部110の車幅方向外側に上下方向に2つ並んで設けられている。内側ライト凸部220、222は、レンズ部110の車幅方向内側に上下方向に2つ並んで設けられている。
【0050】
図6(b)は、ヘッドライト構造200が有するバンパ224の開口108の周辺を車両後方から正対して見た図である。
【0051】
バンパ224のうち、開口108の上側には、上側ライト凸部208、210(
図6(a)参照)に対応して、上側バンパ凹部226、228が車幅方向に並んで設けられている。開口108の下側には、下側ライト凸部212、214に対応して、下側バンパ凹部230、232が車幅方向に並んで設けられている。
【0052】
開口108の車幅方向外側には、外側ライト凸部216、218に対応して、外側バンパ凹部234、236が上下方向に並んで設けられている。開口108の車幅方向内側には、内側ライト凸部220、222に対応して、内側バンパ凹部238、240が上下方向に並んで設けられている。
【0053】
図6(a)の上側ライト凸部208、210は、レンズ部110側である下側の外面が上側バンパ凹部226、228の内面に接触する。下側ライト凸部212、214は、レンズ部110側である上側の外面が下側バンパ凹部230、232の内面に接触する。
【0054】
外側ライト凸部216、218は、レンズ部110側である内側の外面が外側バンパ凹部234、236の内面に接触する。内側ライト凸部220、222は、レンズ部110側である外側の外面が内側バンパ凹部238、240の内面に接触する。
【0055】
上記構成によって、ヘッドライトユニット202は、ホルダ部材204の各ライト凸部によって、バンパ224のうち開口108の周囲を上下および左右から把持することが可能になっている。
【0056】
上記のヘッドライトユニット202によっても、上下および左右の各ライト凸部を利用してバンパ224の位置を規制し、レンズ部110の周囲におけるバンパ224との見切り線を精度よく形成することができる。この構成によって、当該ヘッドライト構造200によっても、ヘッドライトユニット202の重量による上下方向のゆがみによる見切り線の精度低下を効率よく防ぎ、かつ修正することが可能になる。
【0057】
本実施例では、ヘッドライト本体206とは別部品のホルダ部材204に各ライト凸部を設けることで、各ライト凸部とバンパ224との接触具合の調節が容易に行えるようになっている。加えて、ホルダ部材204を別部材にしていることで、ヘッドライト本体206を異なる車種間で共通化してその汎用性を高めることも可能になっている。
【0058】
さらに、ホルダ部材204に各ライト凸部等を設けることで、仮に軽衝突等によってバンパ224が各ライト凸部に干渉したとしても、その衝撃をホルダ部材204が受けることで、ヘッドライト本体206の破損を抑えることができる。
【0059】
図7は、
図6(a)のヘッドライトユニット202のC-C断面図である。上側ライト凸部208は、ホルダ部材204の前面から先細りの形状に突出している。上側バンパ凹部226は、バンパ224に設けた開口とガーニッシュ118との間の空間として形成されている。
【0060】
本実施例では、上側ライト凸部208の先端側において、上側ライト凸部208と上側バンパ凹部226の底との間に隙間S5が形成されている。また、ホルダ部材204の上側ライト凸部208と、ヘッドライト本体206の前面との間に車両前後方向の隙間S6が形成されている。
【0061】
上記隙間S5、S6を設けることによって、軽衝突時等によってバンパ224に衝撃が加えられた場合に、上側バンパ凹部226が上側ライト凸部208に干渉する機会を減らすと共に、ホルダ部材204の上側ライト凸部208がヘッドライト本体206に干渉する機会を減らしている。この構成によって、ヘッドライト本体206の破損を抑えることが可能になる。
【0062】
図8は、
図6(a)のホルダ部材204の変形例(ホルダ部材250)を示した斜視図である。ホルダ部材250は、
図6(a)のホルダ部材204のうち、外側ライト凸部216、218を含むレンズ部110の車幅方向外側の部位を省略した構成になっている。
【0063】
ホルダ部材250によっても、上側ライト凸部208、210、下側ライト凸部212、214、および内側ライト凸部220、222を利用して、バンパ224(
図7参照)の位置決めを好適に行い、レンズ部110の周囲におけるバンパ224との見切り線を精度よく形成することが可能になっている。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100…ヘッドライト構造、102…バンパ、104…ヘッドライトユニット、106…バンパ本体、108…開口、110…レンズ部、114…基部、116a~116d…固定部、118…ガーニッシュ、120、122…上側ライト凸部、124、126…下側ライト凸部、128…フランジ部、130…中央部、132、134…上下リブ、136…天面部、138、140…側壁リブ、142、144…上側バンパ凹部、146、148…下側バンパ凹部、h1…短辺、h2…長辺、S1~S6…隙間、200…ヘッドライト構造、202…ヘッドライトユニット、204…ホルダ部材、206…ヘッドライト本体、208、210…上側ライト凸部、212、214…下側ライト凸部、216、218…外側ライト凸部、220、222…内側ライト凸部、224…バンパ、226、228…上側バンパ凹部、230、232…下側バンパ凹部、234、236…外側バンパ凹部、238、240…内側バンパ凹部、250…ホルダ部材