(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094620
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】変換装置及び変換方法
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20230628BHJP
H02S 10/40 20140101ALN20230628BHJP
【FI】
G01J1/42 J
H02S10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034000
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2021209572の分割
【原出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒須 敬太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔英
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】松岡 遼
【テーマコード(参考)】
2G065
5F251
【Fターム(参考)】
2G065AA01
2G065AA02
2G065AA03
2G065AA04
2G065AA15
2G065AB04
2G065AB05
2G065BA10
2G065BC16
2G065BC31
2G065BC33
2G065BC35
2G065DA01
2G065DA10
2G065DA11
5F251BA05
5F251JA01
(57)【要約】
【課題】光の強度を測定するセンサを用いなくても、光の強度を測定することを可能とする変換装置及び変換方法を提供する。
【解決手段】 変換装置は、太陽電池セルの発電電力の値を取得する取得部と、所定変換係数に基づいて前記発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルの発電電力の値を取得する取得部と、
所定変換係数に基づいて前記発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換する制御部と、を備える、変換装置。
【請求項2】
前記所定変換係数は、前記所望波長帯毎に異なる、請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記所定変換係数は、前記発電電力の値を前記所望波長帯の光の強度に変換する時期毎に異なる、請求項1又は請求項2に記載の変換装置。
【請求項4】
前記所定変換係数は、前記発電電力の値を前記所望波長帯の光の強度に変換する地域毎に異なる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項5】
太陽電池セルの発電電力の値を取得するステップAと、
所定変換係数に基づいて前記発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換するステップBと、を備える、変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換装置及び変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体リズムが太陽光によって補正されることが知られており、生体リズムが睡眠に影響を与えることが知られている。例えば、太陽光の強度を測定することによって、睡眠の深度を評価する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上述したように、太陽光の強度(例えば、照度)は、睡眠の深度の評価に加えて、様々な利用シーンが想定される。例えば、利用シーンとしては、天日干し、日焼け、動物の育成、植物の育成、メンタルヘルスなどが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した利用シーンは、太陽光を前提としてものであるため、太陽光の強度を測定するセンサの利用が想定され得る。同様に、上述した利用シーンは、太陽光を前提としてものであるため、太陽電池装置の利用も想定され得る。
【0006】
このような背景下において、発明者等は、鋭意検討の結果、太陽電池装置の利用によって、光の強度を測定するセンサを省略し得ることを見出した。すなわち、発明者等は、センサの省略によって、部品点数の削減、省スペース化などを図ることを見出した。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、光の強度を測定するセンサを用いなくても、光の強度を測定することを可能とする変換装置及び変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の一態様は、太陽電池セルの発電電力の値を取得する取得部と、所定変換係数に基づいて前記発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換する制御部と、を備える、変換装置である。
【0009】
開示の一態様は、太陽電池セルの発電電力の値を取得するステップAと、所定変換係数に基づいて前記発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換するステップBと、を備える、変換方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光の強度を測定するセンサを用いなくても、光の強度を測定することを可能とする変換装置及び変換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るウェアラブル端末100を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る変換装置300を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る波長を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る所定変換係数を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る所定変換係数を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る所定変換係数を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る実験結果を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る実験結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0013】
[実施形態]
(ウェアラブル端末)
以下において、実施形態に係るウェアラブル端末について説明する。ウェアラブル端末は、後述する変換装置が搭載されるシステムの一例に過ぎないことに留意すべきである。
【0014】
図1に示すように、ウェアラブル端末100は、表示部110と、太陽電池セル(以下、PV(Photovoltaic)セル)120と、本体部130と、クリップ140と、を有する。ウェアラブル端末100は、スマートフォン等の端末200と通信可能に構成されてもよい。特に限定されるものではないが、通信方式は、Bluetooth(登録商標)であってもよい。
【0015】
表示部110は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどのディスプレイによって構成される。表示部110は、タッチパネル方式のディスプレイであってもよい。
【0016】
PVセル120は、太陽光などの光に応じて発電をするセルである。PVセル120は、屈曲可能に構成されたセルであってもよい。PVセル120は、透明なセルであってもよい。PVセル120が透明である場合には、PVセル120は、表示部110の表面に配置されてもよい。
【0017】
本体部130は、後述する変換装置300を内蔵する。本体部130は、PVセルの発電電力を蓄積する二次電池を有してもよい。本体部130の表面には、PVセル120及び表示部110が配置されてもよい。本体部130の裏面には、クリップ140が配置されてもよい。
【0018】
クリップ140は、ウェアラブル端末100をユーザに装着するための部材である。特に限定されるものではないが、クリップ140は、ユーザの衣服、ベルト、バッグなどに装着されてもよい。
【0019】
(変換装置)
以下において、実施形態に係る変換装置について説明する。変換装置300は、上述したウェアラブル端末100に内蔵されてもよい。
【0020】
図2に示すように、変換装置300は、通信部310と、測定部320と、制御部330と、を有する。
【0021】
通信部310は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、EEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。特に限定されるものではないが、通信部310は、端末200と通信を実行してもよい。
【0022】
測定部320は、電力センサによって構成される。実施形態では、測定部320は、PVセル120の発電電力の値を取得する取得部を構成する。特に限定されるものではないが、測定部320は、電流センサによって構成され、PVセル120の発電電流[mA]を測定してもよい。以下においては、測定部320が電流値[mA]を取得するケースについて例示する。
【0023】
制御部330は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0024】
実施形態では、制御部330は、所定変換係数に基づいて発電電力の値(実施形態では、電流値[mA])を所望波長帯の光の強度に変換する制御部を構成する。所定変換係数は、発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換するための係数であり、発電電力の値と所望波長帯の光の強度との相関関係に基づいて特定可能である。所定変換係数の詳細については後述する。
【0025】
特に限定されるものではないが、光の強度は、光の伝搬方向に垂直な単位面積を単位時間に通過するエネルギーによって表されてもよい。光の強度は、[mW]で表されてもよく、[dBm]で表されてもよい。光の強度は、エネルギーが加味された値であればよく、光のエネルギーと読み替えられてもよく、光量子束密度[μmol]と読み替えられてもよく、分光感度と読み替えられてもよい。
【0026】
実施形態では、紫外線などの不可視光が所望波長帯として用いられるが、可視光のみが所望波長帯として用いられる場合には、光の強度は、光束[lm]、光量[lm・s]、照度[lx]、光度[cd]、輝度[cd/m2]などであってもよい。
【0027】
(波長)
以下において、実施形態に係る波長について説明する。ここでは、PVセル120の発電に寄与する光の波長帯が350nm-1,100nmであるケースについて例示する。
【0028】
図3に示すように、350nm-1,100nmの波長帯において、日射強度は波長帯毎に異なる。日射強度の単位は、[kW/m
2]で表されてもよく、[MJ/m
2]で表されてもよい。なお、
図3に示す日射強度の分布は一例に過ぎず、太陽の高さなどの要因によって日射強度の分布は異なっていてもよい。
【0029】
ここで、PVセル120の発電電力は、350nm-1,100nmの全波長帯について得られる値であるため、PVセル120の発電電力を所望波長帯の光の強度を変換する場合には、所望波長帯毎に異なる所定変換係数を用いることが好ましい。例えば、所望波長帯が350-500nmであるケースで用いる所定変換係数は、所望波長帯が400-600nmであるケースで用いる所定変換係数と異なることが好ましい。
【0030】
このような知見を踏まえて、例えば、所定変換係数は、以下に示すように設定されてもよい。
【0031】
(所定変換係数)
以下において、実施形態に係る所定変換係数について説明する。具体的には、PVセル120の発電電力の電流値と所望波長帯の光の強度との関係、すなわち、電流値を光の強度に変換する所定変換係数について説明する。
【0032】
第1オプションでは、
図4に示すように、所定変換係数は、所望波長帯毎に異なってもよい。例えば、所望波長帯が波長帯Aであるケースで用いる所定変換係数は、所望波長帯が波長帯Bであるケースで用いる所定変換係数と異なっていてもよい。このようなケースにおいて、所望波長帯毎に異なる所定変換係数は、制御部330に予め記憶されてもよい。
【0033】
第2オプションでは、
図5に示すように、所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する時期毎に異なってもよい。特に限定されるものではないが、時期は、月によって表されてもよく、季節によって表されてもよい。例えば、電流値を光の強度に変換する時期が時期Aであるケースで用いる所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する時期が時期Bであるケースで用いる所定変換係数と異なっていてもよい。このようなケースにおいて、時期毎に異なる所定変換係数は、制御部330に予め記憶されてもよい。
【0034】
第2オプションにおいて、ウェアラブル端末100は、衛星測位システムから信号を受信する機能を有しており、衛星測位システムから時刻情報を受信し、受信された時刻情報に基づいて時期を特定してもよい。衛星測位システムは、GNSS(Global Navigation Satellite System)と称されてもよい。衛星測位システムは、GPS(Global Positioning System)を含んでもよく、GLONASSを含んでもよく、みちびきを含んでもよい。ウェアラブル端末100は、端末200から時期を特定する情報を受信してもよい。
【0035】
第3オプションでは、
図6に示すように、所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する地域毎に異なってもよい。特に限定されるものではないが、地域は、緯度によって区分けされる地域によって表されてもよく、地理区分(例えば、アジア、オセアニア、北米、中南米、ヨーロッパ、ロシア、中東・北アフリカ、アフリカなど)によって表されてもよい。例えば、電流値を光の強度に変換する地域が地域Aであるケースで用いる所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する地域が地域Bであるケースで用いる所定変換係数と異なっていてもよい。このようなケースにおいて、地域毎に異なる所定変換係数は、制御部330に予め記憶されてもよい。
【0036】
第3オプションにおいて、ウェアラブル端末100は、衛星測位システムから信号を受信する機能を有しており、衛星測位システムから位置情報を受信し、受信された位置情報に基づいて地域を特定してもよい。衛星測位システムは、GNSSと称されてもよい。衛星測位システムは、GPSを含んでもよく、GLONASSを含んでもよく、みちびきを含んでもよい。ウェアラブル端末100は、端末200から地域を特定する情報を受信してもよい。
【0037】
第4オプションでは、第1オプション~第3オプションの中から選択された2以上のオプションが組み合わされてもよい。
【0038】
(作用及び効果)
実施形態では、制御部330は、所定変換係数に基づいてPVセル120の発電電力の値を所望波長帯の光の強度に変換する。このような構成によれば、光の強度を測定するセンサを用いなくても、PVセル120の発電電力の値を用いることによって、光の強度を適切に測定することができる。ひいては、部品点数の削減、省スペース化などを図ることができる。
【0039】
実施形態では、所定変換係数は、所望波長帯毎に異なってもよい。このような構成によれば、所望波長帯毎の光の強度を測定するセンサが必要とされず、PVセル120の発電電力の値を用いることによって、所望波長帯毎の光の強度を適切に測定することができる。
【0040】
実施形態では、所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する時期毎に異なってもよい。このような構成によれば、太陽の高さが時期毎に異なることに起因して、PVセル120の発電電力の値と所望波長帯の光の強度との関係が変わり得るケースを想定した場合であっても、所望波長帯毎の光の強度を適切に測定することができる。
【0041】
実施形態では、所定変換係数は、電流値を光の強度に変換する地域毎に異なってもよい。このような構成によれば、太陽の高さが地域毎に異なることに起因して、PVセル120の発電電力の値と所望波長帯の光の強度との関係が変わり得るケースを想定した場合であっても、所望波長帯毎の光の強度を適切に測定することができる。
【0042】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。変更例1では、上述した実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0043】
具体的には、実施形態では、変換装置300がウェアラブル端末100に内蔵されるケースについて例示した。これに対して、変更例1では、変換装置300が適用されるシステムのバリエーションについて説明する。
【0044】
変更例1では、変換装置300は、PVセルを有するウェアラブル端末に適用されてもよく、PVセルを有する太陽電池装置を含むシステムに適用されてもよい。ここで、太陽電池装置は、屋外に設置される定置型の太陽電池装置が想定されてもよい。例えば、変換装置300が適用されるシステムは、以下に示すシステムを含んでもよい。
【0045】
第1に、システムは、天日干しで食品を作るシステムであってもよい。所望波長帯は、天日干しに影響を与える帯域であってもよい。このようなケースにおいて、PVセルの発電電力の値から変換された光の強度を記録することによって、食品の味に対する光の強度の影響の調査が実施されてもよい。PVセルの発電電力の値から変換された光の強度が適正範囲から外れた場合に、食品の制作者にアラートが出力されてもよい。
【0046】
第2に、システムは、日焼けに関するシステムであってもよい。所望波長帯は、UV(Ultra-Violet)帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、PVセルの発電電力の値から変換された光の強度が閾値を超えた場合に、各種のアラートを出力してもよい。アラートは、紫外線の浴びすぎを警告するアラート、日焼け止めの効果が低下したタイミングを知らせるアラートを含んでもよい。システムは、日焼けを希望するユーザに対して、適切な日光浴時間を推薦してもよく、日焼けを希望しないユーザに対して、適切な日焼け対策を推薦してもよい。
【0047】
第3に、システムは、ビタミンDに関するシステムであってもよい。所望波長帯は、PVセルの発電に寄与する全波長帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、適量のビタミンDを生成する日光浴時間を推薦してもよい。
【0048】
第4に、システムは、動物(例えば、は虫類)の育成に関するシステムであってもよい。所望波長帯は、PVセルの発電に寄与する全波長帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、動物が適切なUV光を浴びているか監視してもよい。なお、PVセルの発電電力を用いて、動物の体温が適温に保たれてもよい。
【0049】
第5に、システムは、植物の育成に関するシステムであってもよい。所望波長帯は、PVセルの発電に寄与する全波長帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、植物が適切な日光を浴びているか監視してもよい。PVセルの発電電力の値から変換された光の強度に基づいて、適切な植物が推薦されてもよい。
【0050】
第6に、システムは、メンタルヘルスに関するシステムであってもよい。所望波長帯は、PVセルの発電に寄与する全波長帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、睡眠、疲労、心労などに応じて、適切な日光浴時間を推薦してもよい。
【0051】
第7に、システムは、メンテナンスに関するシステムであってもよい。所望波長帯は、UV帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、橋梁、ビルなどの建造物に対するUV帯の照射量を監視するとともに、建造物の再塗装を促すアラートを出力してもよい。
【0052】
第8に、システムは、熱中症予防に関するシステムであってもよい。所望波長帯は、PVセルの発電に寄与する全波長帯であってもよい。このようなケースにおいて、システムは、屋外作業又は屋外活動を行うユーザに対して、熱中症の予防を促すアラートを出力してもよい。
【0053】
[実験]
以下において、実験について説明する。実験では、PVセル120の発電に寄与する波長帯(350-1,100nm)とその一部の波長帯との相関関係について確認した。
【0054】
第1に、全波長帯(350-1,100nm)の光の強度を測定可能であり、全波長帯の一部の波長帯の光の強度を測定可能である光センサを準備した。第2に、全波長帯(350-1,100nm)の光の強度を光センサによって測定し、全波長帯の一部である第1波長帯(350-500nm)の光の強度を光センサによって測定し、全波長帯の一部である第2波長帯(400-600nm)の光の強度を光センサによって測定した。第3に、全波長帯の光の強度と第1波長帯の光の強度との相関関係を計算し、全波長帯の光の強度と第2波長帯の光の強度との相関関係を計算した。
【0055】
全波長帯の光の強度と第1波長帯の光の強度との相関関係については、
図7に示す通りである。
図7に示すように、相関関係を表す決定係数(R2)が極めて高い値となることが明らかとなった。同様に、全波長帯の光の強度と第2波長帯の光の強度との相関関係については、
図8に示す通りである。
図8に示すように、相関関係を表す決定係数(R2)が極めて高い値となることが明らかとなった。
【0056】
ここで、
図7において、「傾き」は、全波長帯の光の強度に対する第1波長帯の光の強度の相関関係を表す係数である。同様に、
図8において、「傾き」は、全波長帯の光の強度に対する第2波長帯の光の強度の相関関係を表す係数である。PVセル120の変換損失などの影響を受けるものの、全波長帯の光の強度は、PVセル120の発電電力を表す指標として用いることが可能である。すなわち、
図7及び
図8に示す「傾き」は、上述した所定変換係数と同等であると考えてもよい。このような前提下において、以下に示す知見が得られた。
【0057】
第1に、全波長帯の光の強度に対する第1波長帯の光の強度の相関関係を表す傾きは、全波長帯の光の強度に対する第2波長帯の光の強度の相関関係を表す傾きと異なることが明らかになった。すなわち、所定変換係数は、所望波長帯毎に異なることが好ましいことが明らかになった。
【0058】
第2に、夏場(例えば、6-8月)の傾きは、冬場(例えば、12-1月)の傾きより相対的に大きいことが明らかになった。言い換えると、太陽の高さが所定変換係数に影響を与えることが予想される。すなわち、所定変換係数は、時期毎に異なることが好ましいことが明らかになった。
【0059】
第3に、傾きが時期毎に異なることから太陽の高さが所定変換係数に影響を与えることが予想される。従って、所定変換係数は、地域毎に異なることが好ましいことが明らかになったといえる。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0061】
上述した開示では特に触れていないが、所望波長帯は、PVセル120の発電に寄与する波長帯の全てであってもよく、PVセル120の発電に寄与する波長帯の一部であってもよい。
【0062】
上述した開示では、PVセル120が太陽光によって発電を行うケースについて主として説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。PVセル120は、照明装置から出射される光によって発電を行ってもよい。
【0063】
上述した開示では特に触れていないが、所定変換係数は、所望波長帯の光の強度の測定結果とPVセルの発電電力の測定結果との相関関係の学習によって特定されてもよい。このような学習において、上述したウェアラブル端末100を用いる必要はなく、学習のために準備された環境において、所望波長帯の光の強度が光センサによって測定され、PVセルの発電電力の電流値が電流センサによって測定されてもよい。学習は、所望波長帯毎に実行されてもよく、時期毎に実行されてもよく、地域毎に実行されてもよい。学習は、AI(Artificial Intelligence)に代表される深層学習であってもよい。
【0064】
上述した開示では特に触れていないが、変換装置300が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0065】
或いは、変換装置300が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
100…ウェアラブル端末、110…表示部、120…PVセル、130…本体部、140…クリップ、200…端末、300…変換装置、310…通信部、320…測定部、330…制御部