(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009477
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/12 20060101AFI20230113BHJP
B41F 15/36 20060101ALI20230113BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20230113BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B41F15/12 A
B41F15/36 A
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112814
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊行
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聖弥
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】山内 仁史
【テーマコード(参考)】
2C035
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FD01
2C035FD19
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319BB05
5E319CD04
5E319CD29
5E319CD35
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】マガジンの各棚段に収納されているマスクの中から印刷に用いるマスクを自動的に引き出す。
【解決手段】印刷装置は、所定の印刷パターンが形成されたマスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷部と、マスクを収納可能な複数の棚段を有するマガジンの棚段に収納されたマスクに付与されたコードを読み取り可能な読取部と、コードが読み取られた棚段の位置と、読み取られたコードが示す情報とを対応付けてマガジン内マスク情報を生成する制御部とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷パターンが形成されたマスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷部と、
前記マスクを収納可能な複数の棚段を有するマガジンの前記棚段に収納された前記マスクに付与されたコードを読み取り可能な読取部と、
前記コードが読み取られた前記棚段の位置と、読み取られた前記コードが示す情報とを対応付けてマガジン内マスク情報を生成する制御部と、を備える、
印刷装置。
【請求項2】
前記マガジンから前記印刷部へ前記マスクを移送するマスク移送部と、
前記マガジンを載せて、前記マスク移送部が移送対象のマスクを前記マガジンから引き出すことができる位置に昇降する昇降部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記昇降部を昇降させて、前記マガジンの各棚段に収納された前記マスクに付与された前記コードを、前記読取部を通じて読み取る、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記コードが示す情報は、前記マスクの種類を示す情報であり、
前記制御部は、
前記マガジンにおける、前記印刷部において印刷に使用する種類のマスクが収納されている棚段を、前記マガジン内マスク情報に基づいて特定し、
特定した前記棚段の前記マスクを前記マスク移送部が引き出すことができる位置に前記昇降部を昇降させる、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記マガジンの各棚段に対応する発光部、をさらに備え、
前記制御部は、前記棚段における前記マスクの有無に応じて、前記棚段に対応する前記発光部の発光を制御する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記マスクが収納されていない前記棚段に対応する前記発光部を点灯させ、
前記コードの読み取りに成功した前記マスクが収納されている前記棚段に対応する前記発光部を消灯させる、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、印刷に使用された後の前記マスクが収納されている前記棚段に対応する前記発光部を点滅させる、
請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記コードの読み取りに失敗した前記マスクが収納されている前記棚段に対応する前記発光部を点滅させる、
請求項5又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記マガジンの複数の棚段は、印刷に使用される前の前記マスクが収納される未使用エリアと、印刷に使用された後の前記マスクが収容される使用済みエリアとに分割され、
前記制御部は、前記未使用エリアにおいて、
前記マスクが収納されていない前記棚段に対応する前記発光部を点灯させ、
前記コードの読み取りに成功した前記マスクが収納されている前記棚段に対応する前記発光部を消灯させる、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記使用済みエリアにおいて、
前記マスクが収納されていない前記棚段に対応する前記発光部を消灯させ、
前記マスクが収納されている前記棚段に対応する前記発光部を点滅させる、
請求項8に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、次のスクリーン印刷装置が開示される。制御部は、段情報をマスク交換部に与え、マスク交換部はマガジンの段情報で指定された段からマスク(例えばスクリーンマスク又はメタルマスク)を印刷エリアへ取り出す。カメラは、このマスクの画像を得てマスク認識回路に出力する。制御部は、マスク認識回路に上記段に収納されているはずのマスクの種類を指示する。マスク認識回路は、制御部に指示されたマスクの種類に対応する開口部のデータと、カメラの画像とを比較し、一致又は不一致を判別する。この判別結果が一致であれば、印刷エリアのマスクは印刷に適切と解釈され、この判別結果が不一致であれば、印刷エリアのマスクは印刷に不適切と解釈される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される方法は、マスクの開口部を撮影するために、マスクをマガジンの段から印刷エリアに引き出す必要があり、マガジンの段に収納されている状態でマスクの種類を認識することができない。したがって、特許文献1に開示される方法では、マガジンの各段に収納されているマスクの中から、印刷に用いるマスクを自動的に引き出すことができない。
【0005】
本開示の目的は、マガジンの各段に収納されているマスクの中から、印刷に用いるマスクを自動的に引き出すことができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る印刷装置は、所定の印刷パターンが形成されたマスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷部と、前記マスクを収納可能な複数の棚段を有するマガジンの前記棚段に収納された前記マスクに付与されたコードを読み取り可能な読取部と、前記コードが読み取られた前記棚段の位置と、読み取られた前記コードが示す情報とを対応付けてマガジン内マスク情報を生成する制御部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、印刷装置は、マガジンの各段に収納されているマスクの中から、印刷に用いるマスクを自動的に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係るマスクチェンジャを備えた印刷装置の斜視図
【
図2】本実施の形態に係る印刷装置の一部透視斜視図
【
図4】本実施の形態に係るマスクチェンジャにおける筐体の透視斜視図
【
図5】本実施の形態に係るマスクチェンジャにおける筐体の透視側面図
【
図6】本実施の形態に係るコードリーダ及び光学センサの位置を示す一部透視斜視図
【
図7】本実施の形態に係るマスクにおける二次元コードの位置を示す斜視図
【
図8】本実施の形態に係る印刷装置の制御部を示すブロック図
【
図9】本実施の形態に係るマガジン内マスク情報の一例を示す図
【
図10】本実施の形態に係るLEDボタンと第1モード及び第2モードとの関係を説明するための図
【
図11】本実施の形態に係る第1モードの場合におけるマスク認識部の処理を示すフローチャート
【
図12】本実施の形態に係る第2モードにおけるマスク認識部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(本実施の形態)
<印刷装置の構成>
図1から
図3を参照して印刷装置11の概要について説明する。印刷装置11は、スクリーン印刷装置と読み替えられてもよい。
図1は、本実施の形態に係るマスクチェンジャ15を備えた印刷装置11の斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る印刷装置11の一部透視斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る印刷装置11の透視側面図である。
【0012】
印刷装置11は、印刷部13と、マスクチェンジャ15と、を備える。
【0013】
印刷部13は、マスク27を用いて、印刷対象物としての基板KB(
図2参照)の上面に、半田ペーストPst(
図2参照)を印刷する。マスク27は、スクリーンマスク又はメタルマスクと読み替えられてもよい。印刷部13は、当該印刷部13を覆う印刷部カバー17と、基板搬送保持部21と、を有する。基板搬送保持部21は、基板KBを搬送すると共に、印刷位置にて基板KBを保持する。
【0014】
マスクチェンジャ15は、印刷部13の後部に隣接して設けられ、印刷部13にて使用されるマスク27をマガジン25から印刷部13に搬入したり、印刷部13にて使用されたマスク27を印刷部13からマガジン25に搬出したりする。なお、マスクチェンジャ15の詳細については後述する。
【0015】
マスクチェンジャ15の筐体23の後面側の上部に、例えば印刷部13で何らかのエラーが発生した場合等に警報音を発生させる発報部が設けられてよい。発報部は、例えばLED等を備えたタッチパネル31であってよい。ただし、発報部は、これに限定されず、例えば印刷装置11の印刷部カバー17または筐体23上に設けられたランプといった他の報知手段であってもよい。
【0016】
次に、
図2および
図3を参照して、印刷装置11の内部構造について説明する。
【0017】
印刷部13において、基板搬送保持部21の上方に、マスクガイド33が設けられる。
印刷部13において、マスクガイド33の上方に、マスク保持部35が配置される。マスク保持部35の上方に、印刷ヘッド37、スクレイパユニット39、マスク上面クリーナ41、及び、気体吹付け部43が設けられる。加えて、マスク保持部35の上方に、左右(X軸方向)に沿って配置された2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれと、前後左右の4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれとが設けられる。
【0018】
2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれ、及び、4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれは、マスクガイド33の左右に設けられた前後方向ガイド部(図示しない)が有する垂直部に固定して設けられる。加えて、2つのマスク保持部昇降シリンダ45のそれぞれは、マスク保持部35においてY軸方向に延びる左右の2つの直線部分の中間部の上方に設けられる。加えて、4つのマスク保持部押さえシリンダ47のそれぞれは、マスク保持部35の四隅又はその近傍の上方に設けられる。
【0019】
マスク保持部35の下方に、マスク移動機構49及びカメラ51と、マスク下面クリーナ53とが設けられる。
【0020】
気体吹付け部43は、印刷工程の実行によりマスク27がペーストPstで汚れる前にマスク27の上面をクリーニングするマスククリーナとして機能する。マスク27がペーストPstで汚れる前の例として、マスク27の使用前、あるいは、マスク27に最初のペーストPstが供給される前が挙げられる。気体吹付け部43は、マスク27が搬送されるマスクガイド33の上方に、マスク27の搬送方向(Y軸方向)に対してほぼ直行して交差する横方向(つまりX軸方向)に延びた管状部55と、管状部55の一端側に繋がるバルブ部57とを備える。管状部55は、2つの前後方向ガイド部(図示しない)のそれぞれの後端側に、2つの前後方向ガイド部のそれぞれを跨ぐようにして設けられる。
【0021】
マスク下面クリーナ53は、マスク下面クリーナガイド(図示しない)によって、マスクガイド33の下方の領域を、Y軸方向に移動自在に設けられる。マスク下面クリーナ53は、移動ベース連結部(図示しない)によって、マスク移動機構49の移動ベース59と連結され、移動ベース59と一体となってY軸方向に移動してマスク27の下面をクリーニングする。マスク下面クリーナ53は、移動ベース59によってY軸方向に移動されない場合、マスク搬送位置の前方のクリーナ待機位置に位置して待機する(
図2参照)。マスク下面クリーナ53は、上述したマスク下面クリーナガイド(図示しない)に設けられた下面クリーナ昇降部(図示しない)によって、マスクガイド33に対して(すなわち搬送位置に設置されたマスク27に対して)昇降自在となっている。
【0022】
マスク移動機構49は、マスクチェンジャ15が備えるマガジン25と所定のマスク搬送位置との間でマスク27を移動させる機能を有する。具体的に、マスク移動機構49は、マガジン25に収納されたマスク27を引き出して印刷部13内の所定のマスク搬送位置までマスク27を移動させる。また、マスク移動機構49は、所定のマスク搬送位置に位置するマスク27を移動させて、マガジン25内に戻す(収納する)。マスク移動機構49は、X軸方向に延びて設けられた移動ベース59、及び、移動ベース59に設けられた昇降アクチュエータ61によって昇降自在な、引出しプレート63を備える。なお、マスク移動機構49は、マガジン25から印刷部13へマスク27(搬入マスク)を移送する、及び、印刷部13からマガジン25へマスク27(搬出マスク)を移送するマスク移送部と読み替えられてもよい。
【0023】
<マスチェンジャの構成>
図4および
図5を参照して、マスクチェンジャ15について説明する。
図4は、本実施の形態に係るマスクチェンジャ15における筐体23の透視斜視図である。
図5は、本実施の形態に係るマスクチェンジャ15における筐体23の透視側面図である。
図5(a)は、マガジン25がマスク供給位置である供給空間SP1に位置した場合の筐体23の透視斜視図である。
図5(b)は、マガジン25がマガジン供給位置である作業空間SP2に位置した場合の筐体23の透視斜視図である。
【0024】
マスクチェンジャ15は、筐体23と、マガジン25と、昇降機65と、タッチパネル31と、を備えて構成される。昇降機65は、移動部の一例である。
【0025】
マガジン25は、前後方向に開口した略直方体形状を有する。マガジン25の内部には、上下方向に並んだ複数の棚段26が設けられる。複数の棚段26のそれぞれに、マスク27が水平姿勢で載置(収納)される。マガジン25には、基板KBの品種に応じた異なる複数種類(複数枚)のマスク27のそれぞれが収納される。このように、マガジン25は、マスク27をY軸方向に挿抜自在に収納可能な構成となっている。
【0026】
マスクチェンジャ15は、作業者がマスク27の供給作業を行うための開口部29を有する。マスクチェンジャ15における筐体23の内部空間SPは、
図2および
図3に示すように、上方空間が供給空間SP1となっており、下方空間が作業空間SP2となっている。
【0027】
供給空間SP1は、マガジン25に収納されたマスク27をマスク通過開口71を介して印刷部13に供給する場合に、マガジン25が位置する空間である。作業空間SP2は、マガジン25又はマガジン25に収納された1枚以上のマスク27を作業者が供給する場合に、マガジン25が位置する空間である。
【0028】
筐体23における作業空間SP2にアクセス可能な位置に、開口部29が形成される。また、筐体23の前面側に、マスク通過開口71が設けられる。マスク通過開口71は、供給空間SP1が印刷部13の内部(つまり、印刷部カバー17の内部)と連通するように設けられる。また、マスク通過開口71は、マスク27が前後方向に通過可能な大きさを有する。
【0029】
図3に示すマスク移動機構49は、マガジン25のいずれかの棚段26(
図6及び
図7参照)に収納された、印刷部13に搬入するマスク27(搬入マスクと称する)を、マスク通過開口71から前方へ引き出して所定のマスク搬送位置まで搬送する。また、マスク移動機構49は、マスク搬送位置に搬送されたマスク27(搬出マスクと称する)を、マスク通過開口71からマガジン25(詳細にはマガジン25のいずれかの棚段26)に収納する(戻す)。
【0030】
昇降機65は、略矩形状に形成され、マガジン25の底面を下方から支持する昇降体73と、X軸方向に延びて昇降体73を支持する昇降体支持部75と、昇降体支持部75の一端側に設けられたナット部77と、ナット部77に螺合して上下方向に延びたボール螺子79と、ボール螺子79を回転駆動させる昇降体昇降モータ81とにより構成される。
【0031】
昇降機65は、昇降体昇降モータ81の作動によりボール螺子79が所定の方向に回転し、この回転によりナット部77に連結されて一体的に構成された昇降体支持部75が昇降する。これにより、昇降機65は、昇降体支持部75に連結された昇降体73と、昇降体73が支持するマガジン25とを、供給空間SP1と作業空間SP2との間にわたって昇降させる。すなわち、昇降機65は、作業者により筐体23の開口部29から搬入されたマガジン25を、筐体23の開口部29が設けられた作業空間SP2と、その開口部29から離れた供給空間SP1との間で移動させるマガジン25の移動(昇降)機構として機能する。つまり、昇降機65は、マガジン供給位置Mgspと任意のマスク供給位置Mssp1との間でマガジン25を移動(昇降)させることができる。
【0032】
昇降体73は、昇降体昇降モータ81の作動方向(すなわち、ボール螺子79の回転方向)に応じて上昇又は下降する。昇降体73が筐体23内における作業空間SP2の下降限度位置(つまり、
図5(b)に示すマガジン供給位置)にある場合、作業者は、開口部29からマガジン25を筐体23内に入れて、昇降体73の上面に載置できる。また、昇降体73が下降限度位置にある場合、作業者は、昇降体73に載置されたマガジン25を開口部29から取り出すことができる。
【0033】
昇降機65は、昇降体昇降モータ81を駆動させて、マガジン供給位置にてセットされたマガジン25を載せた昇降体73を上昇させる。このとき、昇降機65は、搬入マスク83がマスク通過開口71から取り出すことができる所定の作業高さHsとなるように、昇降体73の移動量を調整する。所定の作業高さHsは、マスク通過開口71を通じてマスク移動機構49がマガジン25に収納された搬入マスク83を取り出し可能な高さであってよい。
図5(b)は、搬入マスク83が所定の作業高さHsに位置した状態を示している。なお、所定の作業高さHsの位置は、マスク供給位置Mssp1に等しくてよい。
【0034】
<コードリーダ、光学センサ及び二次元コード>
図6及び
図7を参照して、コードリーダ87、光学センサ85及び二次元コード86の位置について説明する。
図6は、本実施の形態に係るコードリーダ87及び光学センサ85の位置を示す一部透視斜視図である。
図7は、本実施の形態に係るマスク27における二次元コード86の位置を示す図である。
【0035】
図6に示すように、光学センサ85は、印刷部13における、マガジン25に収納されたマスク27の印刷部13側の側面に対して光を照射可能な位置に設けられる。例えば、光学センサ85は、マガジン25を搭載した昇降体73を最も下降させた状態(例えば下降限度位置)において、マガジン25の最も上段の棚段26に収納されたマスク27の印刷部13側の側面に対して光を照射可能な位置に設けられる。光学センサ85は、光を照射してその反射光の有無を検出することにより、マガジン25の各棚段26にマスク27が収納されているか否かを検出する。
【0036】
図6に示すように、コードリーダ87は、印刷部13における、マガジン25に収納されたマスク27の印刷部13側の側面を撮像可能な位置に設けられる。例えば、コードリーダ87は、マガジン25を搭載した昇降体73を最も下降させた状態において、マガジン25の最も上段の棚段26に収納されたマスク27の印刷部13側の側面を撮像可能な位置に設けられる。すなわち、コードリーダ87と光学センサ85とは、ほぼ同じ高さの位置に設けられてよい。
【0037】
図7に示すように、二次元コード86は、マスク27の印刷部13側の側面であって、棚段26に収納された状態のマスク27のX軸方向において
図6に示すコードリーダ87と対向する位置に付与される。二次元コード86の例として、QRコード(登録商標)が挙げられる。この場合、コードリーダ87は、QRコードリーダであってよい。なお、マスク27には、二次元コード86に代えて、バーコードが付与されてもよいし、一意に識別可能な数字又は文字の列が付与されてもよい。二次元コード又はバーコードは、コードが印刷された粘着テープなどをマスク27の側面に貼付することによって、マスク27に固着されてよい。または、二次元コード又はバーコードは、コードが印刷されたマグネットシートをマスク27の側面に貼付することによって、マスク27に固着されてよい。
【0038】
これにより、マガジン25を搭載した昇降体73を最も下降させた状態から上昇させることで、光学センサ85は、マガジン25の各棚段26におけるマスク27の有無を検出することができ、コードリーダ87は、マガジン25の各棚段26に収納されたマスク27の二次元コード96を読み取ることができる。なお、コードリーダ87は、二次元コード86に代表されるコードを読み取り可能な読取部と読み替えられてもよい。
【0039】
二次元コード86は、マスク27毎に異なるものであってよい。制御部93は、二次元コード86とマスク27の種類との対応関係を示す情報を予め保持してよい。これにより、コードリーダ87によってマスク27の二次元コード86を読み取ることにより、制御部93は、そのマスク27の種類を認識することができる。
【0040】
<制御部の構成>
次に、
図8を参照して、本実施の形態に係る印刷装置11の制御部93について説明する。
図8は、本実施の形態に係る印刷装置11の制御部93を示すブロック図である。
【0041】
印刷装置11が備える制御部93は、基板搬送保持制御部95と、マスク搬送設置制御部97と、印刷動作制御部99と、撮像制御部101と、昇降機制御部105と、を含んで構成される。
【0042】
制御部93は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されて、印刷部13が備えるメモリ(図示しない)と協働して、各種処理及び制御を行う。具体的には、制御部93はメモリに保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0043】
基板搬送保持制御部95は、所定の基板搬送位置まで基板KBを搬送し、基板搬送保持部21によって搬送された基板KBを保持する。また、基板搬送保持制御部95は、カメラ51により撮像された基板KBの撮像画像に基づいて、所定の基板搬送位置で保持された基板KBがマスク27のマスク搬送位置に対して位置ずれがあると判定した場合、保持された基板KBの位置合わせを行う。
【0044】
マスク搬送設置制御部97は、マスク移動機構49を制御してマガジン25に収納されたマスク27(搬入マスク)を取り出し、所定のマスク搬送位置までマスク27を搬送して保持する。詳細には、マスク搬送設置制御部97は、移動ベース駆動モータ107による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、昇降アクチュエータ61による引出しプレート63の昇降制御と、張力付与シリンダ(図示しない)によるマスク設置位置に位置したマスク27への張力付与制御等を実行する。
【0045】
印刷動作制御部99は、印刷ヘッド37を駆動させて、マスク27の下面と接触する基板KBへのペーストPstの印刷動作制御を行う。詳細には、印刷動作制御部99は、スキージベース駆動モータ109によるスキージベース(図示しない)のY軸方向への移動制御と、スキージ昇降駆動部111によるスキージの昇降制御とを実行する。
【0046】
撮像制御部101は、基板搬送保持部21によって所定の基板搬送位置にて保持された基板KBの上面と、マスク搬送位置に設置されたマスク27の下面とのそれぞれをカメラ51で撮像するための制御を実行する。詳細には、撮像制御部101は、移動ベース駆動モータ107による移動ベース59のY軸方向への移動制御と、移動ベース59に沿ったカメラ51のX軸方向への移動制御と、カメラ51が備える下方撮像カメラ(図示しない)の下方の領域に位置する基板KBの上面の撮像制御と、カメラ51が備える上方撮像カメラ(図示しない)の上方の領域に位置するマスク27の下面の撮像制御とを実行する。
【0047】
マスク認識部102は、光学センサ85及びコードリーダ87を制御して、マガジン25の各棚段26におけるマスク27の有無及びマスク27の種類を認識し、マガジン内マスク情報103を生成する。なお、マガジン内マスク情報103の詳細については後述する(
図9参照)。
【0048】
昇降機制御部105は、昇降体昇降モータ81を駆動させて、昇降機65によるマガジン25の昇降を制御する。
【0049】
報知の一例としてのタッチパネル31は、制御部93との間で電気的に接続される。タッチパネル31は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electroluminescence)等の表示装置と、入力装置とによって構成されたユーザインターフェースである。
【0050】
タッチパネル31は、作業者による入力操作を受け付け可能であり、入力操作を電気信号に変換して印刷装置11における制御部93に出力する。
【0051】
次に、印刷装置11におけるマスクの供給動作手順例について説明する。作業者は、スクリーン印刷に必要な1枚以上のマスク27が事前に収納されたマガジン25を、マスクチェンジャ15の作業空間SP2の昇降体73上に載置するマガジン供給作業を行う。
【0052】
制御部93は、マガジン供給作業完了後に作業者により外カバーが閉じられると、昇降機制御部105により昇降機65を駆動させて、マスク認識部102により、マガジン25に対応するマガジン内マスク情報103を生成する。なお、マガジン内マスク情報103の生成処理の詳細については後述する(
図11参照)。
【0053】
制御部93は、搬入マスク27が収納された棚段26の高さがマスク通過開口71に対応する所定の作業高さHsになるようにマガジン25を上昇させる。
【0054】
制御部93は、マガジン25の上昇制御後に、マスク移動機構49を駆動させて、マスク通過開口71を介して搬入マスク83を取り出し、所定のマスク搬送位置まで搬送する。具体的には、制御部93は、マスク搬送設置制御部97により移動ベース駆動モータ107を駆動させて、移動ベース59を後方(マスクチェンジャ15側)に移動させる。
【0055】
制御部93は、移動ベース59に取り付けられた引出しプレート63の上面にX軸方向に並んで設けられた2つのマスク移動用係合突起(図示しない)と、マガジン25に収納された搬入マスク27の前縁側に設けられた2つの係合孔(図示しない)とを係合させる。
【0056】
制御部93は、2つのマスク移動用係合突起と2つの係合孔とが係合した状態で、移動ベース駆動モータ107を駆動させて、マガジン25内からマスク通過開口71を通過して搬入マスク27を印刷部13の内部に引き出し、搬入マスク27が前方に位置する所定のマスク搬送位置に位置するまで移動させる。これにより、制御部93は、マガジン25内から搬入マスク27を取り出し、所定のマスク搬送位置まで搬送できる。
【0057】
なお、移動ベース59により搬送中の搬入マスク27は、その左右の両辺が前後方向に沿って設けられた一対のガイド部の段差(ガイド)によって案内されるので、まっすぐに前方方向へ引き出される。
【0058】
<マガジン内マスク情報>
図9を参照して、マガジン内マスク情報103について説明する。
図9は、本実施の形態に係るマガジン内マスク情報103の一例を示す図である。
【0059】
マガジン内マスク情報103は、マスクチェンジャ15にセットされたマガジン25内の各棚段26に収納されたマスク27に関する情報を含む。
【0060】
マガジン内マスク情報103は、項目として、棚段26の番号と、当該棚段26にマスク27が収納されているか否かを示すマスク有無と、当該棚段26に収納されているマスクの種類を示すマスク種類とを有する。なお、本実施の形態では、棚段26の番号を上から順に、1、2、3、…として説明するが、棚段26の番号はこれに限られず、例えば、下から順に、1、2、3、…としてもよい。
【0061】
図9に示すマガジン内マスク情報103の1行目は、1番目の棚段26(棚段「1」)に、マスク27が収納されており(マスク有無「有」)、そのマスク27の種類は「マスクA」(マスク種類「マスクA」)であることを示す。
図9に示すマガジン内マスク情報103の2行目は、2番目の棚段26(棚段「2」)に、マスク27が収納されていない(マスク有無「無」)ことを示す。
【0062】
<第1モード及び第2モード>
図10を参照して、本実施の形態に係る第1モード及び第2モードについて説明する。
図10は、本実施の形態に係るLEDボタン19と第1モード及び第2モードとの関係を説明するための図である。
【0063】
図10に示すように、マスクチェンジャ15のマガジン25を搬入及び搬出するための開口部29の横に、マガジン25の棚段26と1対1で対応するLEDボタン19が設けられる。例えば、マガジン25の棚段26の数が10である場合、10個のLEDボタン19が設けられる。
【0064】
LEDボタン19は、点灯、消灯、点滅によって、対応する棚段26の状態を示す。制御部93は、第1モードと第2モードとを有し、LEDボタン19の表示態様は、第1モードと第2モードとによって異なってよい。なお、LEDボタン19は、発光部と読み替えられてもよい。
【0065】
第1モードは、
図10(a)に示すように、マガジン25の各棚段26のすべてを未使用マスク27の搬入及び使用済みマスク27の搬出の両方に使用するモードである。
【0066】
第1モードにおいて、LEDボタン19は、次の(A1)から(A3)の状態を示してよい。
【0067】
(A1)点灯しているLEDボタン19は、当該LEDボタン19に対応する棚段26にマスク27が収納されていないことを示す。これにより、作業者は、点灯しているLEDボタン19に対応する棚段26にマスク27をセット可能であることを認識できる。
【0068】
(A2)消灯しているLEDボタン19は、当該LEDボタン19に対応する棚段26に未使用マスクが収納されていることを示す。これにより、作業者は、消灯しているLEDボタン19に対応する棚段26に対して特に何もしなくてよいことを認識できる。
【0069】
(A3)点滅しているLEDボタン19は、当該LEDボタン19に対応する棚段26に、使用済みマスク27が収納されている又は二次元コード86の読み取りに失敗したマスク27が収納されていることを示す。これにより、作業者は、点滅しているLEDボタン19に対応する棚段26のマスク27を取り出す必要があることを認識する。なお、作業者は、マスク27を取り出した後、点滅しているLEDボタン19を押下する。押下されたLEDボタン19は、点滅から点灯に変化する。これにより、マスク27が取り出されたことを制御部93に認識させることができる。
【0070】
第2モードは、
図10(b)に示すように、マガジン25の棚段26を、未使用マスク27の搬入に用いる未使用エリア88と、使用済みマスク27の搬出に用いる使用済みエリア89とに分けて使用するモードである。例えば、上から1段目から6段目を未使用エリア88とし、7段目から10段目を使用済みエリア89とする。この場合、印刷部13は、使用済みマスク27を、使用済みエリア89の何れかの棚段26に搬出し、未使用エリア88の棚段26には搬出しない。
【0071】
第2モードの未使用エリア88において、LEDボタン19の点灯及び消灯は、上述した第1モードの場合と同様であってよい。
【0072】
第2モードの使用済みエリア89において、LEDボタン19は、次の(B1)から(B2)の状態を示してよい。
【0073】
(B1)消灯しているLEDボタン19は、当該LEDボタン19に対応する棚段26に使用済みマスク27が収納されていないことを示す。これにより、作業者は、消灯しているLEDボタン19に対応する棚段26に対して特に何もしなくてよいことを認識できる。
【0074】
(B2)点滅しているLEDボタン19は、当該LEDボタン19に対応する棚段26に使用済みマスク27が収納されていることを示す。これにより、作業者は、点滅しているLEDボタン19に対応する棚段26の使用済みマスク27を取り出す必要があることを認識する。
【0075】
なお、制御部93は、作業者から、第1モードと第2モードの切り替えを受け付ける操作画像を、タッチパネル31等に表示してもよい。また、制御部93は、第2モードにおける未使用エリア88又は使用済みエリア89として使用する棚段26の段数を受け付ける操作画面を、タッチパネル31等に表示してもよい。
【0076】
また、上述したLEDボタン19の点灯、点滅、消灯が示す棚段26の状態は一例であり、LEDボタン19の点灯、点滅、消灯は、上述と異なる棚段26の状態を示すように定められてもよい。
【0077】
<第1モードの処理フロー>
図11を参照しながら、第1モードの場合におけるマスク認識部102の処理について説明する。
図11は、本実施の形態に係る第1モードの場合におけるマスク認識部102の処理を示すフローチャートである。なお、マスク認識部102の処理は、制御部93の処理に読み替えられてもよい。
【0078】
マスク認識部102は、昇降体73を初期位置(例えば下降限度位置)に移動させる(S11)。
【0079】
マスク認識部102は、変数nに1を代入する(S12)。
【0080】
マスク認識部102は、光学センサ85を制御して、n番目の棚段26のマスク27の有無をセンシングする(S13)。
【0081】
マスク認識部102は、光学センサ85の検出結果に基づいて、n番目の棚段26にマスク27が有るか否かを判定する(S14)。
【0082】
n番目の棚段26にマスク27が無い場合(S14:NO)、マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を点灯させ、マガジン内マスク情報103の棚段nのマスク有無の項目に「無」をセットする(S15)。そして、マスク認識部102は、処理をステップS22に進める。
【0083】
n番目の棚段26にマスク27が有る場合(S14:YES)、マスク認識部102は、コードリーダ87を制御して、n番目の棚段26のマスク27に付与されている二次元コード86を読み取る(S16)。
【0084】
マスク認識部102は、二次元コード86の読み取りに成功したか否かを判定する(S17)。
【0085】
二次元コード86の読み取りに失敗した場合(S17:NO)、マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を点滅させ(S18)、処理をステップS22に進める。
【0086】
二次元コード86の読み取りに成功した場合(S17:YES)、マスク認識部102は、n番目の棚段26のマスク27は未使用であるか否かを判定する(S19)。例えば、マスク認識部102は、一度も印刷部13に搬入されていないマスク27を未使用と判定し、印刷部13から搬出されてきたマスク27を使用済みと判定する。
【0087】
n番目の棚段26のマスク27が使用済みである場合(S19:NO)、マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を点滅させ(S18)、処理をステップS22に進める。
【0088】
n番目の棚段26のマスク27が未使用である場合(S19:YES)、マスク認識部102は、マガジン内マスク情報103において、棚段nのマスク有無の項目に「有」をセットし、棚段nのマスク種別の項目に、二次元コード86が示すマスク種別をセットする(S20)。二次元コード86とマスク種別との対応関係を示す情報は、制御部93の所定のメモリに予め格納されてよい。
【0089】
マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を消灯させる(S21)。
【0090】
ステップS22として、マスク認識部102は、マガジン25内のすべての棚段26について処理を完了したか否かを判定する(S22)。
【0091】
まだ未処理の棚段26が残っている場合(S22:NO)、マスク認識部102は、変数nに1を加算し、昇降体73を棚段26の1つ分上昇させる(S23)。そして、マスク認識部102は、処理をステップS13に戻す。
【0092】
すべての棚段26について処理を完了した場合(S22:YES)、マスク認識部102は、本処理を終了する。
【0093】
上述の処理により、マガジン25内の各棚段26におけるマスク27の有無及びマスク種別を示す情報が、マガジン内マスク情報103にセットされる。印刷部13は、マガジン内マスク情報103のマスク種別を参照して、マガジン25の何れの棚段26に何れのマスク種別のマスク27が収納されているかを認識できる。よって、作業者が、マガジン25の何れの棚段26に何れのマスク種別のマスク27を収納したとしても、印刷部13は、マガジン内マスク情報103を参照して、印刷に用いるマスク種別のマスク27をマガジン25から自動的に引き出すことができる。従来のようにマガジン25の何れの棚段26に何れのマスク種別のマスク27を収納すべきかを作業者に指示する場合、作業者によるマスク27の収納ミスが発生し得るところ、本実施の形態によれば、このようなミスは発生しないので、作業効率が向上する。
【0094】
また、作業者は、各棚段26に対応するLEDボタン19の状態を見て、マガジン25の各棚段26におけるマスク27の有無を、印刷装置11の外から認識できる。
【0095】
また、二次元コード86の読み取りに失敗したマスク27又は使用済みマスク27が収納されている棚段26に対応するLEDボタン19は点滅するので、作業者は、LEDボタン19が点滅している棚段26のマスク27を取り出せばよいことを一目で認識できる。なお、作業者は、マスク27を取り出した場合、そのマスク27を取り出した棚段26に対応するLEDボタン19を押下する。これにより、制御部93は、作業者によってマスク27が取り出された棚段26を認識できる。この場合、マスク認識部102は、マガジン内マスク情報103における、このマスク27が取り出された棚段26に対応するマスク有無を「無」に変更し、マスク種別を「N/A」に変更してよい。
【0096】
また、マスク27が収納されていない棚段26に対応するLEDボタン19は点灯するので、作業者は、LEDボタン19が点灯している棚段26にマスク27をセット可能であることを一目で確認できる。また、未使用マスク27が収納されている棚段26に対応するLEDボタン19は消灯するので、作業者は、LEDボタン19が消灯している棚段26のマスク27は取り出さなくてよいことを一目で確認できる。
【0097】
<第2モードの処理フロー>
図12を参照しながら、第2モードの場合におけるマスク認識部102の処理について説明する。
図12は、本実施の形態に係る第2モードにおけるマスク認識部102の処理を示すフローチャートである。
【0098】
マスク認識部102は、昇降体73を初期位置(例えば下降限度位置)に移動させる(S31)。
【0099】
マスク認識部102は、変数nに1を代入する(S32)。
【0100】
マスク認識部102は、n番目の棚段26が未使用エリア88に属するか否かを判定する(S33)。
【0101】
n番目の棚段26が未使用エリア88に属する場合(S33:YES)、マスク認識部102は、
図11に示すステップS13~S21の処理を実行し(S34)、処理をステップS39に進める。
【0102】
n番目の棚段26が使用済みエリア89に属する場合(S33:NO)、マスク認識部102は、次の処理を実行する。
【0103】
マスク認識部102は、光学センサ85を制御して、n番目の棚段26のマスク27の有無をセンシングする(S35)。
【0104】
マスク認識部102は、光学センサ85の検出結果に基づいて、n番目の棚段26にマスク27が有るか否かを判定する(S36)。
【0105】
n番目の棚段26にマスク27が有る場合(S36:YES)、マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を点滅させ(S37)、処理をステップS39に進める。
【0106】
n番目の棚段26にマスク27が無い場合(S36:NO)、マスク認識部102は、n番目の棚段26に対応するLEDボタン19を消灯させ(S38)、処理をステップS39に進める。
【0107】
ステップS39として、マスク認識部102は、マガジン25内のすべての棚段26について処理を完了したか否かを判定する(S39)。
【0108】
まだ未処理の棚段26が残っている場合(S39:NO)、マスク認識部102は、変数nに1を加算し、昇降体73を棚段26の1つ分上昇させる(S40)。そして、マスク認識部102は、処理をステップS33に戻す。
【0109】
すべての棚段26について処理を完了した場合(S39:YES)、マスク認識部102は、本処理を終了する。
【0110】
これにより、使用済みエリア89において、使用済みマスク27が収納されている棚段26に対応するLEDボタン19は点滅し、使用済みマスク27が収納されていない棚段26に対応するLEDボタン19は消灯する。よって、作業者は、点滅しているLEDボタン19に対応する棚段26から使用済みマスク27を取り出せばよいことを一目で認識できる。なお、作業者は、使用済みマスク27を取り出した場合、その使用済みマスク27を取り出した棚段26に対応するLEDボタン19を押下する。これにより、制御部93は、作業者によって使用済みマスク27が取り出された棚段26を認識できる。この場合、マスク認識部102は、マガジン内マスク情報103における、この使用済みマスク27が取り出された棚段26に対応するマスク有無を「無」に変更し、マスク種別を「N/A」に変更してよい。
【0111】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現することができる。
【0112】
<表現1>
本開示の一態様に係る印刷装置11は、所定の印刷パターンが形成されたマスク27を用いて基板KBに半田ペーストを印刷する印刷部13と、マスク27を収納可能な複数の棚段26を有するマガジン25の棚段26に収納されたマスク27に付与されたコード(例えば二次元コード86)を読み取り可能な読取部(例えばコードリーダ87)と、コードが読み取られた棚段26の位置と、読み取られたコードが示す情報とを対応付けてマガジン内マスク情報103を生成する制御部93と、を備える。
これにより、制御部93は、マガジン内マスク情報103を参照して、マガジン25の各棚段26におけるマスク27に関する情報を認識できる。
【0113】
<表現2>
表現1において、印刷装置11は、マガジン25から印刷部13へマスク27を移送するマスク移送部(例えばマスク移動機構49)と、マガジン25を載せて、マスク移送部が移送対象のマスク27をマガジン25から引き出すことができる位置に昇降する昇降部(例えば昇降体73)と、をさらに備え、制御部93は、昇降部を昇降させて、マガジン25の各棚段26に収納されたマスク27に付与されたコードを、読取部を通じて読み取ってよい。
これにより、制御部93は、読取部の移動機構を新たに設けることなく、マガジン25の昇降部を活用して、マガジン25の各棚段26に収納されているマスク27のコードを読取部に読み取らせることができる。
【0114】
<表現3>
表現2において、コードが示す情報は、マスク27の種類を示す情報であり、制御部93は、マガジン25における、印刷部13において印刷に使用する種類のマスク27が収納されている棚段26を、マガジン内マスク情報103に基づいて特定し、特定した棚段26のマスク27をマスク移送部が引き出すことができる位置に昇降部を昇降させてよい。
これにより、制御部93は、マガジン内マスク情報103を参照して、マスク移送部を制御して、印刷に使用するマスク種別のマスク27をマガジン25から自動的に引き出すことができる。よって、従来のようにマガジン25の何れの棚段26に何れのマスク種別のマスク27を収納すべきかを作業者に指示する場合と比較して、作業者の収納ミスが発生しないので、作業効率が向上する。
【0115】
<表現4>
表現1において、印刷装置11は、マガジン25の各棚段26に対応する発光部(例えばLEDボタン19)をさらに備え、制御部93は、棚段26におけるマスク27の有無に応じて、棚段26に対応する発光部の発光を制御してよい。
これにより、作業者は、発光部の発光に応じて、当該発光部に対応する棚段26におけるマスク27の有無を印刷装置11の外から認識できる。
【0116】
<表現5>
表現4において、制御部93は、マスク27が収納されていない棚段26に対応する発光部を点灯させ、コードの読み取りに成功したマスク27が収納されている棚段26に対応する発光部を消灯させてよい。
これにより、作業者は、点灯している発光部に対応する棚段26にはマスク27が収納されておらず、消灯している発光部に対応する棚段26にはコードの読み取りに成功したマスク27が収納されていることを印刷装置11の外から認識できる。
【0117】
<表現6>
表現5において、制御部93は、印刷に使用された後のマスク27が収納されている棚段26に対応する発光部を点滅させてよい。
これにより、作業者は、点滅している発光部に対応する棚段26には印刷に使用された後のマスク27が収納されていることを印刷装置11の外から認識できる。
【0118】
<表現7>
表現5又は6において、制御部93は、コードの読み取りに失敗したマスク27が収納されている棚段26に対応する発光部を点滅させてよい。
これにより、作業者は、点滅している発光部に対応する棚段26にはコードの読み取りに失敗したマスク27が収納されていることを印刷装置11の外から認識できる。
【0119】
<表現8>
表現4において、マガジン25の複数の棚段26は、印刷に使用される前のマスク27が収納される未使用エリア88と、印刷に使用された後のマスク27が収容される使用済みエリア89とに分割され、制御部93は、未使用エリア88において、マスク27が収納されていない棚段26に対応する発光部を点灯させ、コードの読み取りに成功したマスク27が収納されている棚段26に対応する発光部を消灯させてよい。
これにより、作業者は、未使用エリア88において、点灯している発光部に対応する棚段26には未使用マスク27が収納されておらず、消灯している発光部に対応する棚段26にはコードの読み取りに成功した未使用マスク27が収納されていることを印刷装置11の外から認識できる。
【0120】
<表現9>
表現8において、制御部93は、使用済みエリア89において、マスク27が収納されていない棚段26に対応する発光部を消灯させ、マスク27が収納されている棚段26に対応する発光部を点滅させてよい。
これにより、作業者は、使用済みエリア89において、消灯している発光部に対応する棚段26には使用済みマスク27が収納されておらず、点滅している発光部に対応する棚段26には使用済みマスク27が収納されていることを印刷装置11の外から認識できる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の技術は、複数のマスクを使用可能な印刷装置に有用である。
【符号の説明】
【0123】
11 印刷装置
13 印刷部
15 マスクチェンジャ
17 印刷部カバー
19 LEDボタン
21 基板搬送保持部
23 筐体
25 マガジン
26 棚段
27 マスク
29 開口部
31 タッチパネル
33 マスクガイド
35 マスク保持部
37 印刷ヘッド
39 スクレイパユニット
41 マスク上面クリーナ
43 気体吹付け部
45 マスク保持部昇降シリンダ
47 シリンダ
49 マスク移動機構
51 カメラ
53 マスク下面クリーナ
55 管状部
57 バルブ部
59 移動ベース
61 昇降アクチュエータ
63 引出しプレート
65 昇降機
71 マスク通過開口
73 昇降体
75 昇降体支持部
77 ナット部
79 ボール螺子
81 昇降体昇降モータ
85 光学センサ
86 二次元コード
87 コードリーダ
88 未使用エリア
89 使用済みエリア
93 制御部
95 基板搬送保持制御部
97 マスク搬送設置制御部
99 印刷動作制御部
101 撮像制御部
102 マスク認識部
103 マガジン内マスク情報
105 昇降機制御部
107 移動ベース駆動モータ
109 スキージベース駆動モータ
111 スキージ昇降駆動部
KB 基板
Mgsp マガジン供給位置
Mssp1 マスク供給位置
Pst 半田ペースト
SP 内部空間
SP1 供給空間
SP2 作業空間