(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009478
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】無線通信システム、及び、無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 40/22 20090101AFI20230113BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230113BHJP
H04W 40/12 20090101ALI20230113BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20230113BHJP
【FI】
H04W40/22
H04W16/28
H04W40/12
H04W16/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112815
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】荒新 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 努
(72)【発明者】
【氏名】新海 宗太郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD42
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】複数の中継器がより良い通信品質にて無線中継を行うことができる。
【解決手段】無線通信システムは、基地局及び複数の中継器を備え、基地局は、基地局と中継器とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報を生成し、中継器は、経路情報において現在時刻に対応する時間帯に示される経路に基づいて、接続先とする他の中継器を決定し、決定した他の中継器に向けて無線通信のための指向性ビームを設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局及び複数の中継器を備える無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記基地局と前記中継器とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報を生成し、
前記中継器は、
前記経路情報において、ある時刻に対応する時間帯に示される前記経路に基づいて、接続先とする他の中継器を決定し、
決定した前記他の中継器に向けて無線通信のための指向性ビームを設定する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局は、
前記各中継器から各指向性ビームの通信品質を示す通信品質情報を取得し、
取得した前記通信品質情報に基づいて前記経路情報を生成する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記中継器は、
互いに異なる方向の各指向性ビームの通信品質を測定し、その測定結果に基づいて前記通信品質情報を生成する、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記基地局は、
前記経路情報の生成において、前記基地局と前記中継器とを結ぶ複数の経路の候補のうち、ある時間帯において通信品質が最も高い経路の候補を、その時間帯の経路に設定する、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記指向性ビームの通信品質の測定は、前記指向性ビームを設定した無線通信のSNR(Signal to Noise Ratio)及び通信速度のうちの少なくとも1つの測定を含む、
請求項3又は請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
基地局及び複数の中継器が無線通信を行う無線通信方法であって、
前記基地局は、
前記基地局と前記中継器とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報を生成し、
前記各中継器は、
前記経路情報において、ある時刻に対応する時間帯に示される前記経路に基づいて、接続先とする他の中継器を決定し、
決定した前記他の中継器に向けて無線通信のための指向性ビームを設定する、
無線通信方法。
【請求項7】
前記基地局は、
前記各中継器から各指向性ビームの通信品質を示す通信品質情報を取得し、
取得した前記通信品質情報に基づいて前記経路情報を生成する、
請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項8】
前記中継器は、
互いに異なる方向の各指向性ビームの通信品質を測定し、その測定結果に基づいて前記通信品質情報を生成する、
請求項7に記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記基地局は、
前記経路情報の生成において、前記基地局と前記中継器とを結ぶ複数の経路の候補のうち、ある時間帯において通信品質が最も高い経路の候補を、その時間帯の経路に設定する、
請求項8に記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記指向性ビームの通信品質の測定は、前記指向性ビームを設定した無線通信のSNR(Signal to Noise Ratio)及び通信速度のうちの少なくとも1つの測定を含む、
請求項8又は請求項9に記載の無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、及び、無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線装置の少なくとも一部を無線通信の中継装置として利用する技術が知られる。特許文献1には、次の内容が開示される。すなわち、第1の無線装置は、第2の無線装置との通信リンクが切断された場合、通信リンクが切断されていない第3の無線装置に第2の無線装置に対するビームフォーミングトレーニングシーケンス要求を送信し、第3の無線装置から取得したビームフォーミングトレーニングシーケンスの結果に基づいて、第3の無線装置を、通信リンクが切断された第2の無線装置への中継装置として利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、第1の無線装置は、第2の無線装置との通信リンクが切断されたことを検知した場合に、第3の無線装置を、第2の無線装置への中継装置として利用を開始する。よって、第1の無線装置と第2の無線装置との通信リンクは維持されているものの通信品質(例えば通信速度)が低い場合、その通信品質が低い状態のままで通信が継続されてしまう。
【0005】
本開示の目的は、複数の無線装置がより良い通信品質にて無線中継を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、基地局及び複数の中継器を備える無線通信システムであって、前記基地局は、前記基地局と前記中継器とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報を生成し、前記中継器は、前記経路情報において、ある時刻に対応する前記時間帯に示される前記経路に基づいて、接続先とする他の中継器を決定し、決定した前記他の中継器に向けて無線通信のための指向性ビームを設定する、無線通信システムを提供する。
【0007】
本開示は、基地局及び複数の中継器が無線通信を行う無線通信方法であって、前記基地局は、前記基地局と前記中継器とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報を生成し、前記各中継器は、前記経路情報において、ある時刻に対応する前記時間帯に示される前記経路に基づいて、接続先とする他の中継器を決定し、決定した前記他の中継器に向けて無線通信のための指向性ビームを設定する、無線通信方法を提供する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の無線装置がより良い通信品質にて無線中継を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す概念図
【
図2】本実施の形態に係る基地局の構成例を示すブロック図
【
図3】本実施の形態に係る中継器の構成例を示すブロック図
【
図4】本実施の形態に係る基地局が行う処理の一例を示すフローチャート
【
図5】本実施の形態に係る中継器が行う処理の一例を示すフローチャート
【
図6】
図5の中継通信処理の詳細を示すフローチャート
【
図7A】中継器20Jの経路候補情報の一例を示す図
【
図7B】中継器20Iの経路候補情報の一例を示す図
【
図7C】中継器20Eの経路候補情報の一例を示す図
【
図7D】中継器20Aの経路候補情報の一例を示す図
【
図8A】中継器20Aの通信品質情報の一例を示す図
【
図8B】中継器20Dの通信品質情報の一例を示す図
【
図8C】中継器20Bの通信品質情報の一例を示す図
【
図8D】中継器20Hの通信品質情報の一例を示す図
【
図8E】中継器20Eの通信品質情報の一例を示す図
【
図8F】中継器20Gの通信品質情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(本実施の形態)
<無線通信システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す概念図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る無線通信システム1は、基地局10と、複数の中継器20A~20Kとを含んで構成される。なお、本実施の形態では、中継器を区別する場合、中継器20A、中継器20Bのように数字の後にアルファベットを付した符号を用い、中継器を区別しない場合、中継器20のように数字のみの符号を用いる。
【0014】
基地局10は、インターネット4に接続すると共に、中継器20Aに無線接続する。中継器20A~20Kは、それぞれ、無線信号が到達可能な範囲に位置する他の中継器20と無線接続が可能である。
【0015】
これにより、例えば
図1に示すように、無線通信可能な端末30が、無線信号が到達可能な範囲に位置する中継器20Jに無線接続し、インターネット4上のあるサーバ40を宛先としてダウンロード要求(以下、DL要求と称する)を送信すると、当該DL要求は次のようにサーバ40へ届けられる。すなわち、中継器20Jと基地局10とを結ぶ経路(中継経路)に含まれる複数の中継器20がDL要求を転送し、DL要求が基地局10に届けられる。そして、基地局10は、そのDL要求をインターネット4上のサーバ40宛てに転送する。
【0016】
また、サーバ40から送信される、DL要求に対応するデータ(以下、DLデータと称する)は次のように端末30へ届けられる。すなわち、サーバ40から送信されたDLデータは基地局10に届けられる。そして、基地局10と中継器20Jとを結ぶ経路に含まれる複数の中継器20がDLデータを転送し、DLデータが中継器20Jに届けられる。中継器20Jは、そのDLデータを端末30へ送信する。
【0017】
ここで、中継器20Jから基地局10までの経路J1が、中継器20J、中継器20H、中継器20D、中継器20A、基地局10によって構成されるとする。この場合、例えば、中継器20J、中継器20H、中継器20Dが配置されている道路において、18時から19時の時間帯に頻繁に車両5の渋滞が発生し、これらの車両5が中継器20J、中継器20H、中継器20Dのいずれかに無線接続する場合、経路J1の通信トラフィックが増大し、中継器20Jと基地局10との間のDL要求及びDLデータの通信速度が低下し得る。
【0018】
そこで、本実施の形態の無線通信システム1は、時間帯ごとに通信品質の高い経路を自動的に選択する。例えば、18時から19時の時間帯において、中継器20J、中継器20H、中継器20D、中継器20A、基地局10の経路J1の通信品質が低下することが過去の測定によって予め推定される場合、18時から19時の時間帯において、中継器20Jから基地局10までの経路を、通信品質が比較的良好である中継器20J、中継器20G、中継器20E、中継器20B、中継器20A、基地局10の経路J2に切り替える。これにより、18時から19時において、中継器20Jと基地局10との間のDL要求及びDLデータの通信速度の低下を抑制できる。
【0019】
中継器20は、ビームフォーミング機能により指向性ビームを設定して、他の中継器20と無線通信を行ってよい。中継器20は、無線接続先を切り替える場合、指向性ビームの方向を、切り替え先の他の中継器20が位置する方向に変更する。各中継器20が指向性ビームの方向を切り替えることにより、無線通信システム1は、経路を切り替えることができる。以下、詳細に説明する。
【0020】
<中継器及び基地局の構成>
図2は、本実施の形態に係る基地局10の構成例を示すブロック図である。なお、基地局10は、経路を制御する経路制御マスタ又は経路制御装置といった他の用語に読み替えられてもよい。
【0021】
基地局10は、プロセッサ11、メモリ12、無線インタフェース13、ネットワークインタフェース14、及び、アンテナ15を含んで構成される。
【0022】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成される。プロセッサ11は、基地局10の各部12~15の動作を全体的に統括するための制御処理を行う。
【0023】
メモリ12は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はフラッシュメモリ等を含んでいてよく、プロセッサ11によって実行される各種プログラムや各種データを格納している。
【0024】
無線インタフェース13は、アンテナ15を通じて中継器20又は端末30と無線通信を行うためのインタフェースである。無線インタフェース13は、無線通信に対応した通信回路を含む。無線通信は、ミリ波通信(例えばWiGig)であってよい。ただし、無線通信に用いられる電波の波長は、ミリ波帯に限られず、どのような波長帯域であってもよい。また、無線インタフェース13は、ミリ波通信に限られず、LTE(Long Term Evolution)、4G、5G、Wi-Fi(登録商標)といった無線通信に対応してもよい。
【0025】
ネットワークインタフェース14は、インターネット4と通信を行うためのインタフェースである。ネットワークインタフェース14は、有線通信又は無線通信に対応した通信回路を含む。
【0026】
アンテナ15は、ビームフォーミング機能による指向性ビームを用いた無線通信が可能なアンテナである。指向性ビームを用いた無線通信には、ミリ波通信が含まれる。アンテナ15は、複数のアンテナ素子によって構成されるアレイアンテナであってもよい。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る中継器20の構成例を示すブロック図である。なお、中継器20は、無線装置又は無線中継装置といった他の用語に読み替えられてもよい。
【0028】
中継器20は、プロセッサ21、メモリ22、上り無線インタフェース23、下り無線インタフェース24、上りアンテナ25、及び、下りアンテナ26を含んで構成される。なお、本実施の形態において、「上り」は、基地局10に近づく方向(経路)を意味し、「下り」は、基地局10から遠ざかる方向(経路)を意味する。
【0029】
プロセッサ21は、例えばCPU、MPU、DSP、あるいはFPGAを用いて構成される。プロセッサ21は、中継器20の各部22~26の動作を全体的に統括するための制御処理を行う。
【0030】
メモリ22は、ROM、RAM、又はフラッシュメモリ等を含んでいてよく、プロセッサ21によって実行される各種プログラムや各種データを格納している。
【0031】
上り無線インタフェース23は、上りアンテナ25を通じて上りの中継器20又は基地局10と無線通信を行うためのインタフェースである。上り無線インタフェース23は、無線通信に対応した通信回路を含む。無線通信は、ミリ波通信であってよい。ただし、無線通信に用いられる電波の波長は、ミリ波帯に限られず、どのような波長帯域であってもよい。また、無線インタフェース13は、LTE、4G、5G、Wi-Fiといった無線通信規格に対応してもよい。
【0032】
下り無線インタフェース24は、下りアンテナ26を通じて下りの中継器20又は端末30と無線通信を行うためのインタフェースである。下り無線インタフェース24は、無線通信に対応した通信回路を含む。無線通信は、ミリ波通信であってよい。ただし、無線通信に用いられる電波の波長は、ミリ波帯に限られず、どのような波長帯域であってもよい。また、無線インタフェース13は、LTE、4G、5G、Wi-Fiといった無線通信規格に対応してもよい。
【0033】
上りアンテナ25は、指向性ビームを用いた無線通信が可能なアンテナである。上りアンテナ25は、複数のアンテナ素子によって構成されるアレイアンテナであってよい。
【0034】
下りアンテナ26は、指向性ビームを用いた無線通信が可能なアンテナである。下りアンテナ26は、複数のアンテナ素子によって構成されるアレイアンテナであってよい。
【0035】
上り無線インタフェース23及び下り無線インタフェース24は、ビームフォーミング機能により、所望の方向に指向性ビームを向けることができる。予め定められた各方向の指向性ビームは、識別情報の一例であるBFIDによって識別されてよい。例えば、
図3は、水平面における各指向性ビーム50の方向を示し、最も左に振った指向性ビーム50と、最も右に振った指向性ビーム50との間の角度を32分割し、それぞれの角度の指向性ビーム50にBFIDを割り当てる。例えば、最も左に振った指向性ビーム50にBFID「0」を、左右に振らない指向性ビーム50にBFID「16」を、最も右に振った指向性ビーム50にBFID「31」を割り当てる。上り無線インタフェース23、及び、下り無線インタフェース24は、BFIDを設定することにより、指向性ビームの方向を設定することができる。
【0036】
<無線通信方法>
図4は、本実施の形態に係る基地局10が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
基地局10は、各中継器20から通信品質情報110を受信する(ステップS11)。なお、通信品質情報110の詳細については後述する(
図8A~
図8F参照)。
【0038】
基地局10は、経路情報120の更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS12)。経路情報120の更新タイミングの例として、所定の時刻となったタイミング、所定の期間が経過したタイミング、又は、基地局10の管理者から指示されたタイミングなどが挙げられる。なお、経路情報120の詳細については後述する(
図9参照)。
【0039】
経路情報120の更新タイミングでない場合(ステップS12:NO)、基地局10は、処理をステップS15に進める。
【0040】
経路情報120の更新タイミングである場合(ステップS12:YES)、基地局10は、ステップS11にて受信した各中継器20の通信品質情報110に基づいて、経路情報120を更新する(ステップS13)。そして、基地局10は、更新した経路情報120を各中継器20へ配信し(ステップS14)、処理をステップS15に進める。
【0041】
ステップS15として、基地局10は、端末30からDL要求を受信したか否かを判定する(ステップS15)。基地局10は、端末30からDL要求を受信していない場合(ステップS15:NO)、処理をステップS11に戻す。
【0042】
基地局10は、端末30からDL要求を受信した場合(ステップS15:YES)、DL要求に対応するDLデータを、インターネット4上のDL要求先のサーバ40から受信し、経路情報120に基づいて、そのDLデータを中継器20へ転送する(ステップS16)。
【0043】
基地局10は、端末30からのDL要求に関する処理を完了し(ステップS17)、処理をステップS11に戻す。
【0044】
以上の処理により、基地局10は、経路情報120を各中継器20へ配信すると共に、端末30から受信したDL要求をサーバへ送信し、そのサーバから受信したDLデータを、中継器20を通じて端末30へ送信することができる。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る中継器20が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
中継器20は、基地局10から経路情報120を受信した場合、当該経路情報120をメモリ22に保持する(ステップS31)。
【0047】
中継器20は、端末30又は下り中継器20からDL要求を受信したか否かを判定する(ステップS32)。
【0048】
端末30又は下り中継器20からDL要求を受信していない場合(ステップS32:NO)、中継器20は、処理をステップS35に進める。
【0049】
端末30又は下り中継器20からDL要求を受信した場合(ステップS32:YES)、中継器20は、中継通信処理を実施する(ステップS33)。なお、中継通信処理の詳細については後述する(
図6参照)。そして、中継器20は、端末30からのDL要求に関する処理を完了し、処理をステップS31に戻す。
【0050】
ステップS35として、中継器20は、通信品質情報110の更新タイミングであるか否かを判定する(ステップS35)。通信品質情報110の更新タイミングの例として、所定の時刻となったタイミング、所定の期間が経過したタイミング、又は、中継器20の管理者から指示されたタイミングなどが挙げられる。
【0051】
通信品質情報110の更新タイミングでない場合(ステップS35:NO)、中継器20は、処理をステップS31に戻す。
【0052】
通信品質情報110の更新タイミングである場合(ステップS35:YES)、中継器20は、無線通信中であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0053】
無線通信中である場合(ステップS36:YES)、中継器20は、一定時間待機した後(ステップS37)、処理をステップS31に戻す。なお、中継器20は、一定時間待機した後(ステップS37)、処理をステップS36に戻してもよい。
【0054】
無線通信中でない場合(ステップS36:NO)、中継器20は、各BFIDの指向性ビームによる他の中継器20との接続テストを実施し、各BFIDの通信品質を測定する(ステップS38)。
【0055】
中継器20は、ステップS38の測定結果に基づいて、当該測定時刻における通信品質情報110を生成する(ステップS39)。
【0056】
中継器20は、その生成した通信品質情報110を基地局10へ送信し(ステップS40)、処理をステップS37に戻す。
【0057】
以上の処理により、中継器20は、更新タイミングにおいて各BFIDの通信品質を測定し、その測定結果を含む通信品質情報110を基地局10へ送信することができる。
【0058】
図6は、
図5の中継通信処理(ステップS33)の詳細を示すフローチャートである。
【0059】
中継器20は、下り中継器20(又は端末30)から接続要求を受信し(ステップS51)、下り中継器20(又は端末30)と無線接続を確立する(ステップS52)。
【0060】
中継器20は、経路情報120の中から、現在時刻を含む時間帯に対応付けられている経路を特定する(ステップS53)。なお、中継器20は、現在時刻に代えて、接続要求を受信した時刻を用いてもよい。
【0061】
中継器20は、その特定した経路に示される上り中継器20(又は基地局10)に接続要求を送信し(ステップS54)、上り中継器20(又は基地局10)と無線接続を確立する(ステップS55)。このとき、中継器20は、無線接続先の上り中継器20の方向に向かう指向性ビームに割り当てられているBFIDを選択してよい。
【0062】
中継器20は、下り中継器20(又は端末30)から受信したDL要求を上り中継器20(又は基地局10)へ転送する。あるいは、中継器20は、上り中継器20(又は基地局10)から受信したDLデータを下り中継器20(又は端末30)へ転送する(ステップS56)。
【0063】
中継器20は、下り中継器20(又は端末30)から通信終了要求を受信する(ステップS57)。
【0064】
中継器20は、DLデータ転送中の通信品質を測定し、その測定結果に基づいて通信品質情報110を生成する(ステップS58)。
【0065】
中継器20は、その生成した通信品質情報110を基地局10へ送信する(ステップS59)。
【0066】
中継器20は、上り中継器20及び下り中継器20との無線接続を解除し(ステップS60)、本処理(つまり
図5のステップS33の処理)を終了する。
【0067】
以上の処理により、各中継器20は、経路情報120に基づいて各時間帯において通信品質の良い経路を特定し、その特定した経路を構成するように無線接続を行い、端末30と基地局10との間でDL要求及びDLデータを転送することができる。
【0068】
<経路候補情報>
図7Aは、中継器20Jの経路候補情報100の一例を示す図である。
図7Bは、中継器20Iの経路候補情報100の一例を示す図である。
図7Cは、中継器20Eの経路候補情報100の一例を示す図である。
図7Dは、中継器20Aの経路候補情報100の一例を示す図である。
【0069】
経路候補情報100は、基地局10に接続する中継器20Aと、端末30が接続された中継器20とを結ぶ少なくとも1つの経路の候補を示す情報を含む。基地局10は、各中継器20と基地局10との間の経路候補情報100を保持してよい。
【0070】
図7Aに示す経路候補情報100は、中継器20Jに端末30が接続された場合の少なくとも1つの経路の候補を含む。例えば、
図7Aにおいて、経路J1は、基地局10から、中継器20A、中継器20D、中継器20H、中継器20Jの順にDLデータを中継し、中継器20Jに接続された端末30にDLデータを送信可能であること、又は、それとは逆の経路にて端末30から基地局10にDL要求を送信可能であることを示す。
【0071】
図7Bに示す経路候補情報100は、中継器20Iに端末30が接続された場合の少なくとも1つの経路の候補を含む。例えば、
図7Bにおいて、経路I1は、基地局10から、中継器20A、中継器20B、中継器20E、中継器20F、中継器20Iの順にDLデータを中継し、中継器20Iに接続された端末30にDLデータを送信可能であること、又は、それとは逆の経路にて端末30から基地局10にDL要求を送信可能であることを示す。
【0072】
図7Cに示す経路候補情報100は、中継器20Eに端末30が接続された場合の少なくとも1つの経路の候補を含む。例えば、
図7Cにおいて、経路E1は、基地局10から、中継器20A、中継器20B、中継器20Eの順にDLデータを中継し、中継器20Eに接続された端末30にデータを送信可能であること、又は、それとは逆の経路にて端末30から基地局10にDL要求を送信可能であることを示す。
【0073】
図7Dに示す経路候補情報100は、中継器20Aに端末30が接続された場合の少なくとも1つの経路の候補を含む。例えば、
図7Dにおいて、経路A1は、基地局10から、中継器20Aにデータを中継し、中継器20Aに接続された端末30にDLデータを送信可能であること、又は、それとは逆の経路にて端末30から基地局10にDL要求を送信可能であることを示す。
【0074】
<通信品質情報>
図8Aは、中継器20Aの通信品質情報110の一例を示す図である。
図8Bは、中継器20Dの通信品質情報110の一例を示す図である。
図8Cは、中継器20Bの通信品質情報110の一例を示す図である。
図8Dは、中継器20Hの通信品質情報110の一例を示す図である。
図8Eは、中継器20Eの通信品質情報110の一例を示す図である。
図8Fは、中継器20Gの通信品質情報110の一例を示す図である。
【0075】
通信品質情報110は、ある時刻での中継器20における各指向性ビームの通信品質を示す情報を含む。基地局10は、各中継器20の通信品質情報110を保持してよい。
【0076】
通信品質情報110は、項目として、BFID、接続先、SNR(Signal to Noise Ratio)点数、及び、速度点数を有してよい。
【0077】
BFIDは、上述した通り、互いに異なる方向の指向性ビームを識別するためのIDである。
【0078】
接続先は、BFIDが示す指向性ビームによって無線接続された他の中継器20を示す。
【0079】
SNR点数は、接続先が示す他の中継器20と、BFIDが示す指向性ビームによって無線通信を行った際のSNRに基づいて算出された点数である。SNR点数は、SNRが高いほど小さく、SNRが低いほど大きくてよい。すなわち、SNR点数が小さいほど通信品質は高く、SNR点数が大きいほど通信品質は低くてよい。
【0080】
速度点数は、接続先が示す他の中継器20と、BFIDが示す指向性ビームによって無線通信を行った際の通信速度に基づいて算出された点数である。速度点数は、通信速度が速いほど小さく、通信速度が遅いほど大きくてよい。すなわち、速度点数が小さいほど通信品質は高く、速度点数が大きいほど通信品質は低くてよい。
【0081】
SNR及び通信速度は、通信品質の指標を得るためのパラメータの一例であり、通信品質の指標を得るために、これらと異なるパラメータが用いられてもよい。例えば、RSSI(Received signal strength indication)、SINR(signal-to-interference noise ratio)、エラー発生率といったパラメータが用いられてもよい。
【0082】
<<13時の通信品質について>>
例えば、基地局10は、13時における経路J1の通信品質の指標を、次のように算出してよい。経路J1は、
図7Aの経路候補情報100に示されるように、中継器20A、中継器20D、中継器20H、中継器20Jによって構成される。
【0083】
図8Aに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Aが中継器20Dに接続可能なBFID「0」、「1」、「2」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「1」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0084】
図8Bに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Dが中継器20Hに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0085】
図8Dに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Hが中継器20Jに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0086】
基地局10は、経路J1の通信品質の指標を、それぞれの中継器20のSNR点数及び点数速度の合計として算出する。上記の場合、基地局10は、13時における経路J1の通信品質の指標を「6」と算出する。
【0087】
例えば、13時における経路J2の通信品質の指標を、次のように算出する。経路J2は、
図7Aの経路候補情報100に示されるように、中継器20A、中継器20B、中継器20E、中継器20G、中継器20Jによって構成される。
【0088】
図8Aに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Aが中継器20Bに接続可能なBFIDは「31」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「2」である。
【0089】
図8Cに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Bが中継器20Eに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0090】
図8Eに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Eが中継器20Gに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0091】
図8Fに示す13時の通信品質情報110によれば、中継器20Gが中継器20Jに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0092】
上記の場合、基地局10は、13時における経路J2の通信品質の指標を「9」と算出する。
【0093】
ここで、13時において、経路J1の通信品質の指標「6」と、経路J2の通信品質の指標「9」とを比較すると、経路J1の通信品質の指標の方が小さい。つまり、13時において、経路J1の方が、経路J2よりも通信品質が高い。
【0094】
そこで、基地局10は、経路情報120(
図9参照)の13時から14時の時間帯における、中継器20Jに端末30が接続された場合の中継器20Jと基地局10との間の経路として、経路J1を設定する。これにより、無線通信システム1は、13時から14時の時間帯において、中継器20Jと基地局10とを結ぶ複数の経路の候補のうち、経路全体において通信品質が最も高い経路J1を設定することができる。
【0095】
<<18時の通信品質について>>
例えば、18時における経路J1の通信品質の指標を、次のように算出してよい。経路J1は、
図7Aの経路候補情報100に示されるように、中継器20A、中継器20D、中継器20H、中継器20Jによって構成される。
【0096】
図8Aに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Aが中継器20Dに接続可能なBFID「0」、「1」、「2」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「1」であり、そのときのSNR点数は「90」、速度点数は「90」である。
【0097】
図8Bに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Dが中継器20Hに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「90」、速度点数は「90」である。
【0098】
図8Dに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Hが中継器20Jに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「90」、速度点数は「90」である。
【0099】
上記の場合、基地局10は、18時における経路J1の通信品質の指標を「540」と算出する。
【0100】
例えば、18時の場合における経路J2の通信品質の指標を、次のように算出してよい。経路J2は、
図7Aの経路候補情報100に示されるように、中継器20A、中継器20B、中継器20E、中継器20G、中継器20Jによって構成される。
【0101】
図8Aに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Aが中継器20Bに接続可能なBFIDは「31」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0102】
図8Cに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Bが中継器20Eに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0103】
図8Eに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Eが中継器20Gに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0104】
図8Fに示す18時の通信品質情報110によれば、中継器20Gが中継器20Jに接続可能なBFID「15」、「16」、「17」のうち、通信品質が最も良いBFIDは「16」であり、そのときのSNR点数は「1」、速度点数は「1」である。
【0105】
上記の場合、基地局10は、18時における経路J2の通信品質の指標を、「8」と算出する。
【0106】
ここで、18時において、経路J1の通信品質の指標「540」と、経路J2の通信品質の指標「8」とを比較すると、経路J2の通信品質の指標の方が小さい。つまり、18時において、経路J2の方が経路J1よりも通信品質が高い。
【0107】
そこで、基地局10は、経路情報120(
図9参照)の18時から19時の時間帯における、中継器20Jに端末30が接続された場合の中継器20Jと基地局10との間の経路として、経路J2を設定する。これにより、無線通信システム1は、18時から19時の時間帯において、中継器20Jと基地局10とを結ぶ複数の経路の候補のうち、経路全体において通信品質が最も高い経路J2を設定することができる。
【0108】
<経路情報>
図9は、経路情報120の一例を示す図である。
【0109】
経路情報120は、基地局10と各中継器20とを結ぶ複数の経路の候補のうち、各時間帯において経路全体での通信品質が最も高い経路の候補を示す情報である。経路の候補は、経路候補情報100に示される。
【0110】
図9に示す経路情報120は、
図7Aの経路候補情報100に示す基地局10と中継器20Jとの間の経路の候補(経路J1~経路Jn(ただしnは2以上の整数))のうち、13時から14時の時間帯において、経路J1が、通信品質が最も高いことを示す。また、
図9に示す経路情報120は、
図7Aの経路候補情報100に示す基地局10と中継器20Jとの間の経路の候補(経路J1~経路Jn)のうち、18時から19時の時間帯において、経路J2が、通信品質が最も高いことを示す。
【0111】
基地局10は、
図5のステップS38で行われた、各BFIDの指向性ビームによる接続テストによって集計されたSNR点数及び速度点数に基づいて、通信品質の最も高い経路を決定してよい。
【0112】
なお、経路情報120は、通信品質が最も高い経路の候補に限らず、例えば、各時間帯において、通信品質が2番目又は3番目に高い経路の候補を示す情報を有してもよい。この場合、基地局10又は各中継器20は、通信品質が最も高い経路の候補にて通信に失敗した場合、通信品質が2番目又は3番目に高い経路の候補にて通信を行うようにしてもよい。これにより、無線通信システム1の可用性及び信頼性を向上させることができる。
【0113】
(本開示のまとめ)
本開示の内容は以下のように表現することができる。
【0114】
<表現1>
本開示の無線通信システム1は、基地局10及び複数の中継器20を備える。基地局10は、基地局10と中継器20とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報120を生成する。中継器20は、経路情報120において、ある時刻に対応する時間帯に示される経路に基づいて、接続先とする他の中継器20を決定し、決定した他の中継器20に向けて無線通信のための指向性ビーム50を設定する。
これにより、各中継器20は、経路情報120に示される時間帯ごとに適切な経路を構成又は再構成するよう、指向性ビーム50を設定する。よって、基地局10と中継器20とを結ぶ適切な経路が時間帯ごとに構成又は再構成され、基地局10と中継器20との間のデータ通信が適切に行われる。
【0115】
<表現2>
表現1に記載の無線通信システム1において、基地局10は、各中継器20から各指向性ビーム50の通信品質を示す通信品質情報110を取得し、取得した通信品質情報110に基づいて経路情報120を生成してよい。
これにより、基地局10は、通信品質情報110に基づいて、時間帯ごとに、基地局10と中継器20とを結ぶ通信品質が最も良い経路を示す経路情報120を生成することができる。
【0116】
<表現3>
表現2に記載の無線通信システム1において、中継器20は、互いに異なる方向の各指向性ビーム50の通信品質を測定し、その測定結果に基づいて通信品質情報110を生成してよい。
これにより、中継器20は、互いに異なる方向の各指向性ビーム50(本実施の形態における各BFID)の通信品質を示す通信品質情報110を生成することができる。加えて、基地局10は、通信品質情報110に基づいて、時間帯ごとに、通信品質を考慮した指向性ビーム50を用いて無線接続される各中継器20によって構成される経路を示す経路情報120を生成することができる。
【0117】
<表現4>
表現3に記載の無線通信システム1において、基地局10は、経路情報120の生成において、基地局10と中継器20とを結ぶ複数の経路の候補のうち、ある時間帯において通信品質が最も高い経路の候補を、その時間帯の経路に設定してよい。
これにより、経路情報120には、時間帯ごとに、通信品質が最も高い経路が設定される。よって、基地局10と中継器20とを結ぶ通信品質が最も高い経路が時間帯ごとに構成又は再構成され、基地局10と中継器20との間のデータ通信の通信品質が維持向上し得る。
【0118】
<表現5>
表現3又は4に記載の無線通信システム1において、指向性ビームの通信品質の測定は、指向性ビームを設定した無線通信のSNR(Signal to Noise Ratio)及び通信速度のうちの少なくとも1つの測定を含んでよい。
これにより、基地局10は、中継器20間のSNR及び通信速度のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、各経路の候補の通信品質を比較し、通信品質が最も高い経路を特定することができる。
【0119】
<表現6>
基地局10及び複数の中継器20が無線通信を行う本開示の無線通信方法において、記基地局10は、基地局10と中継器20とを結ぶ時間帯別の経路を示す経路情報120を生成し、各中継器20は、経路情報120において、ある時刻に対応する時間帯に示される経路に基づいて接続先とする他の中継器20を決定し、決定した他の中継器20に向けて無線通信のための指向性ビーム50を設定する。
これにより、各中継器20は、経路情報120に示される時間帯ごとに適切な経路を構成又は再構成するよう、指向性ビーム50を設定する。よって、基地局10と中継器20とを結ぶ適切な経路が時間帯ごとに構成又は再構成され、基地局10と中継器20との間のデータ通信が適切に行われる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示の技術は、複数の無線装置が無線中継を行う通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 無線通信システム
4 インターネット
5 車両
10 基地局
11 プロセッサ
12 メモリ
13 無線インタフェース
14 ネットワークインタフェース
15 アンテナ
20、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20I、20J、20K 中継器
21 プロセッサ
22 メモリ
23 上り無線インタフェース
24 下り無線インタフェース
25 上りアンテナ
26 下りアンテナ
30 端末
40 サーバ
50 指向性ビーム
100 経路候補情報
110 通信品質情報
120 経路情報