特開 2023-95553 発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023095553

(43)【公開日】2023-07-06

(54)【発明の名称】発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法

(51)【国際特許分類】

   B29C 44/36 20060101AFI20230629BHJP

   B29C 39/24 20060101ALI20230629BHJP

   B29C 44/00 20060101ALI20230629BHJP

   B29B 7/88 20060101ALI20230629BHJP

【ＦＩ】

B29C44/36

B29C39/24

B29C44/00 A

B29B7/88

【審査請求】未請求

【請求項の数】13

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021211512

(22)【出願日】2021-12-24

(71)【出願人】

【識別番号】000002174

【氏名又は名称】積水化学工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100207756

【弁理士】

【氏名又は名称】田口 昌浩

(74)【代理人】

【識別番号】100129746

【弁理士】

【氏名又は名称】虎山 滋郎

(72)【発明者】

【氏名】小野 裕一朗

(72)【発明者】

【氏名】梶田 倫生

(72)【発明者】

【氏名】藪下 法康

【テーマコード（参考）】

4F201

4F204

4F214

【Ｆターム（参考）】

4F201AA42

4F201AB02

4F201AC05

4F201AG20

4F201BA01

4F201BC02

4F201BC37

4F201BK61

4F201BK70

4F201BK74

4F201BQ50

4F201BQ57

4F204AA42

4F204AB02

4F204AC05

4F204AG20

4F204AJ08

4F204EA01

4F204EB01

4F204EF02

4F204EF23

4F204EK13

4F204EK27

4F214AA42

4F214AB02

4F214AC05

4F214AG20

4F214AJ08

4F214UA01

4F214UB01

4F214UD13

4F214UD27

4F214UF02

4F214UF23

(57)【要約】      （修正有）

【課題】発泡剤を液体に安定して添加することが可能な発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法を提供する。
【解決手段】液体ポンプ４０によって供給され、かつ液体流路３０を流れる液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加装置１０であって、液体流路を流れる液体Ｌ１の圧力計３１と、発泡剤Ｅを収容する発泡剤容器１１、と発泡剤容器から供給された発泡剤を流す発泡剤流路１２と、発泡剤加圧ポンプ８０と、発泡剤流路を流れる発泡剤の圧力計９０と、発泡剤流路と液体流路との接続を開閉によって制御して液体に対する発泡剤の添加を開閉によって制御する開閉弁５０と、開閉弁よりも上流側の発泡剤流路に、発泡剤の流量を調整する流量調整機構６０と、発泡剤流路圧力計によって測定された発泡剤圧力ＥＰが、液体流路圧力計により測定された液体圧力ＬＰよりも高いときに、開閉弁を開弁する制御部５１とを備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

液体ポンプによって供給され、かつ液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加装置であって、
前記液体流路を流れる前記液体の液体圧力を測定する液体流路圧力計と、
前記発泡剤を収容する発泡剤容器と、
前記発泡剤容器から供給された前記発泡剤を流す発泡剤流路と、
前記発泡剤流路における前記発泡剤圧力を所定圧力まで加圧する発泡剤加圧ポンプと、
前記発泡剤流路を流れる前記発泡剤の発泡剤圧力を測定する発泡剤流路圧力計と、
前記発泡剤流路と前記液体流路との接続を開閉によって制御し、前記液体に対する前記発泡剤の添加を開閉によって制御する開閉弁と、
前記開閉弁よりも上流側の前記発泡剤流路に、前記発泡剤の流量を調整する流量調整機構と、
前記発泡剤流路圧力計によって測定された前記発泡剤圧力が、前記液体流路圧力計により測定された前記液体圧力よりも高いときに、前記開閉弁を開弁する制御部とを備える、発泡剤添加装置。

【請求項2】

前記流量調整機構は、前記開閉弁よりも上流側の発泡剤流路に流れる前記発泡剤の流量を開閉によって制御する第２開閉弁である、請求項１に記載の発泡剤添加装置。

【請求項3】

前記発泡剤加圧ポンプは、前記発泡剤圧力が前記液体圧力よりも予め決められた高い圧力となるように加圧する、請求項１又は２に記載の発泡剤添加装置。

【請求項4】

前記制御部は、前記開閉弁を開弁する制御をした後、予め決められた時間経過後に前記開閉弁を閉弁する制御をする、請求項１～３のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項5】

前記発泡剤加圧ポンプは、前記発泡剤を連続的に加圧するポンプである、請求項１～４のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項6】

前記発泡剤加圧ポンプは、アキシャルポンプ及びギアポンプのいずれかである、請求項１～５のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項7】

前記液体ポンプの駆動を検知するポンプ駆動検知部を更に備え、
前記ポンプ駆動検知部によって、前記液体ポンプが上死点又は下死点に達したことを検知した際に、前記制御部は、前記開閉弁を開弁する制御をする、請求項１～６のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項8】

前記液体は、ポリオール又はポリイソシアネートを含む、請求項１～７のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項9】

前記液体は、フィラーを含有する、請求項１～８のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項10】

前記発泡剤は、二酸化炭素を含む、請求項１～９のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置。

【請求項11】

請求項１～１０のいずれか１項に記載の発泡剤添加装置を備える、吹付用発泡機。

【請求項12】

液体ポンプによって供給され、かつ液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加方法であって、
発泡剤容器に収容された発泡剤を発泡剤流路に供給する工程と、
前記発泡剤流路を流れる前記発泡剤の発泡剤圧力を発泡剤流路圧力計で測定する工程と、
前記液体流路を流れる前記液体の液体圧力を液体流路圧力計で測定する工程と、
前記発泡剤流路における前記発泡剤圧力を発泡剤加圧ポンプで所定圧力まで加圧する工程と、
前記発泡剤流路と前記液体流路との接続を開閉弁の開閉によって制御し、前記液体に対する前記発泡剤の添加を前記開閉弁の開閉によって制御する工程と、
前記開閉弁よりも上流側の前記発泡剤流路に設けられた流量調整機構によって、前記発泡剤の流量を調整する工程とを含み、
前記発泡剤の添加を開閉弁の開閉によって制御する工程において、前記発泡剤流路圧力計によって測定された前記発泡剤圧力が、前記液体流路圧力計により測定された前記液体圧力よりも高いときに、制御部が前記開閉弁を開弁する制御する、発泡剤添加方法。

【請求項13】

請求項１２に記載の発泡剤添加方法により、液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させる工程を含む、発泡体製造方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、建築物や構造物の屋根、壁面、床等に、現場にてポリオールとイソシアネートを混合させ、その混合物を吹き付けて発泡させることにより、ポリウレタンフォームを形成する施工方法が広く知られている。ポリウレタンフォームの施工性を補助する方法として、例えば、ポリオールとイソシアネートの２成分を混合するとき、第３成分として発泡剤を添加する方法（以下「フロス法」という。）が広く知られている。フロス法では、例えばポリオール又はイソシアネートを供給するための液体流路に接続される発泡剤流路が設けられ、タンクなどから発泡剤流路を介して、発泡剤としての二酸化炭素などを液体流路内のポリオール又はイソシアネートに添加させる発泡剤添加装置が一般的に使用されている。発泡剤添加装置において二酸化炭素などの発泡剤が添加されたポリオール又はイソシアネートは、さらにイソシアネート又はポリオールと混合されたうえで外部に向けて吐出される。

【0003】

発泡剤添加装置の液体流路内における液体は、加圧状態で供給されることが一般的であり、発泡剤は、液体流路内の液体圧力よりも高い圧力に加圧されたうえで液体流路に添加することで、液体に安定して混合させることができる。そこで、液体流路内の液体圧力と発泡剤流路内の発泡剤圧力を測定し、発泡剤圧力が液体圧力よりも高いときに開閉弁を開弁して発泡剤を液体に添加する制御がされる装置が使用されている（例えば、特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第６３９５５５６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

従来の発泡剤添加装置においては、発泡剤を添加する条件として、発泡剤圧力が液体圧力よりも高いことが必要である。そして、発泡剤の液体への添加は、液体流路内の液体圧力を検知しつつ、液体圧力と発泡剤圧力との差圧を発泡剤添加の駆動力にして、発泡剤の添加を制御している。液体圧力と発泡剤圧力との差圧を発泡剤添加の駆動力にする制御では、夏場など高温下において、発泡剤圧力が高くなった場合、発泡剤容器から発泡剤を液体に添加する添加量を制御する開閉弁まで流路が繋がっているため、液体圧力よりも高圧である発泡剤が過剰に添加されやすくなり、発泡剤の添加量の調整が困難であった。

【0006】

そこで、本発明は、夏場など高温下における過剰添加などが生じずに、発泡剤を液体に安定して添加することが可能な発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、以下の［１］～［１３］を要旨とする。
［１］液体ポンプによって供給され、かつ液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加装置であって、前記液体流路を流れる前記液体の液体圧力を測定する液体流路圧力計と、前記発泡剤を収容する発泡剤容器と、前記発泡剤容器から供給された前記発泡剤を流す発泡剤流路と、前記発泡剤流路における前記発泡剤圧力を所定圧力まで加圧する発泡剤加圧ポンプと、前記発泡剤流路を流れる前記発泡剤の発泡剤圧力を測定する発泡剤流路圧力計と、前記発泡剤流路と前記液体流路との接続を開閉によって制御し、前記液体に対する前記発泡剤の添加を開閉によって制御する開閉弁と、前記開閉弁よりも上流側の前記発泡剤流路に、前記発泡剤の流量を調整する流量調整機構と、前記発泡剤流路圧力計によって測定された前記発泡剤圧力が、前記液体流路圧力計により測定された前記液体圧力よりも高いときに、前記開閉弁を開弁する制御部とを備える、発泡剤添加装置。
［２］前記流量調整機構は、前記開閉弁よりも上流側の発泡剤流路に流れる前記発泡剤の流量を開閉によって制御する第２開閉弁である、［１］に記載の発泡剤添加装置。
［３］前記発泡剤加圧ポンプは、前記発泡剤圧力が前記液体圧力よりも予め決められた高い圧力となるように加圧する、［１］又は［２］に記載の発泡剤添加装置。
［４］前記制御部は、前記開閉弁を開弁する制御をした後、予め決められた時間経過後に前記開閉弁を閉弁する制御をする、［１］～［３］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［５］前記発泡剤加圧ポンプは、前記発泡剤を連続的に加圧するポンプである、［１］～［４］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［６］前記発泡剤加圧ポンプは、アキシャルポンプ及びギアポンプのいずれかである、［１］～［５］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［７］前記液体ポンプの駆動を検知するポンプ駆動検知部を更に備え、前記ポンプ駆動検知部によって、前記液体ポンプが上死点又は下死点に達したことを検知した際に、前記制御部は、前記開閉弁を開弁する制御をする、［１］～［６］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［８］前記液体は、ポリオール又はポリイソシアネートを含む、［１］～［７］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［９］前記液体は、フィラーを含有する、［１］～［８］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［１０］前記発泡剤は、二酸化炭素を含む、［１］～［９］のいずれかに記載の発泡剤添加装置。
［１１］［１］～［１０］のいずれかに記載の発泡剤添加装置を備える、吹付用発泡機。
［１２］液体ポンプによって供給され、かつ液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させるための発泡剤添加方法であって、発泡剤容器に収容された発泡剤を発泡剤流路に供給する工程と、前記発泡剤流路を流れる前記発泡剤の発泡剤圧力を発泡剤流路圧力計で測定する工程と、前記液体流路を流れる前記液体の液体圧力を液体流路圧力計で測定する工程と、前記発泡剤流路における前記発泡剤圧力を発泡剤加圧ポンプで所定圧力まで加圧する工程と、前記発泡剤流路と前記液体流路との接続を開閉弁の開閉によって制御し、前記液体に対する前記発泡剤の添加を前記開閉弁の開閉によって制御する工程と、前記開閉弁よりも上流側の前記発泡剤流路に設けられた流量調整機構によって、前記発泡剤の流量を調整する工程とを含み、前記発泡剤の添加を開閉弁の開閉によって制御する工程において、前記発泡剤流路圧力計によって測定された前記発泡剤圧力が、前記液体流路圧力計により測定された前記液体圧力よりも高いときに、制御部が前記開閉弁を開弁する制御する、発泡剤添加方法。
［１３］［１２］に記載の発泡剤添加方法により、液体流路を流れる液体に対して発泡剤を添加させる工程を含む、発泡体製造方法。

【発明の効果】

【0008】

本発明においては、夏場など高温下における過剰添加などが生じずに、発泡剤を液体に安定して添加することが可能な発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明の第１の実施形態に係る発泡剤添加装置を示す模式図（その１）である。

【図2】本発明の第１の実施形態に係る吹付用発泡機を示す模式図である。

【図3】本発明の第１の実施形態に係る発泡剤添加方法を示すフローチャートである。

【図4】本発明の第１の実施形態に係る発泡剤添加装置を示す模式図（その２）である。

【図5】本発明の第２の実施形態に係る発泡剤添加装置を示す模式図（その１）である。

【図6】本発明の第２の実施形態に係る発泡剤添加装置を示す模式図（その２）である。

【図7】本発明の第２の実施形態に係る発泡剤添加方法を示すフローチャート

【図8】本発明のその他の実施形態に係る発泡剤添加装置を示す模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

［第１の実施形態］
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
第１の実施形態に係る発泡剤添加装置１０は、図１に示すように、液体流路３０に流れる液体Ｌ１に、発泡剤Ｅを混合するための装置である。

【0011】

＜液体＞
液体Ｌ１は、特に限定されないが、発泡体の原料であるフォーム原料が好ましい。発泡剤添加装置１０は、フォーム原料である液体Ｌ１に、発泡剤Ｅを混合することで発泡体を製造できる。発泡体は、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームなどが挙げられる。したがって、液体Ｌ１としては、これら発泡体の原料となり得るものであればよい。発泡体は、上記した中では、製造容易性、硬化速度、発泡性などの観点から、ポリウレタンフォームが好ましい。また、ポリウレタンフォームは硬質ポリウレタンフォームであることがさらに好ましい。硬質ポリウレタンフォームを使用することで、自己接着性、断熱性、機械強度などが良好となりやすい。

【0012】

ポリウレタンフォームを形成するためのウレタン樹脂組成物は、一般的に、ポリオールを含む１液と、ポリイソシアネートを含む２液とを混合することで調製される。ウレタン樹脂組成物は、該組成物に混合される発泡剤Ｅにより発泡され、かつ硬化されることでポリウレタンフォームが形成される。発泡剤Ｅは、１液及び２液のいずれかに混合させればよいが、安定性などの観点から１液に混合させることが好ましい。すなわち、発泡剤添加装置１０は、ポリオール及びポリイソシアネートのいずれかを含む液体（１液又は２液）に、液体状の発泡剤Ｅを混合させることが好ましいが、ポリオールを含む液体（１液）に発泡剤Ｅを混合させることがより好ましい。
ポリオールを含む液体（１液）は、ポリオールに加えて、触媒、及び整泡剤を含有するポリオール組成物であることが好ましく、また、発泡剤をさらに含有してもよい。なお、このように１液（ポリオール組成物）に予め含有される発泡剤は、上記した発泡剤Ｅと区別するために、「内添発泡剤」ともいう。

【0013】

また、ポリウレタンフォームを形成するためのウレタン樹脂組成物は、フィラーを含有してもよい。ウレタン樹脂組成物がフィラーを含有することで、得られるポリウレタンフォームの難燃性が向上する。ポリオール及びポリイソシアネートのいずれかを含む液体（１液又は２液）に、フィラーを混合させることが好ましいが、ポリオールを含む液体（１液）にフィラーを混合させることがより好ましい。
フィラーは、液状の原料組成物において固体分として含まれるものであり、一般的に原料組成物において粒状、粉状として存在する成分である。
フィラーは、常温（２３℃）、常圧（１気圧）において、固体であり、かつ液状の原料組成物において溶解しない成分であればよい。
フィラーとしては、固体難燃剤及び沈降防止剤などが挙げられる。固体難燃剤としては、赤燐系難燃剤、ホウ素含有難燃剤、臭素含有難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物及び針状フィラー等が挙げられ、赤燐系難燃剤、ホウ素含有難燃剤及び臭素含有難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも１つであることが好ましい。

【0014】

また、ポリオール組成物は、硬化触媒、整泡剤、フィラー以外にも、難燃剤（固体難燃剤、液状難燃剤）、酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料などの各種添加剤を含むことができる。

【0015】

＜発泡剤＞
内添発泡剤としては、特に限定されないが、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）、ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）、炭化水素、ジエチルエーテルなどが使用できる。内添発泡剤に使用されるハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）としては、例えば、炭素数が３～６個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができ、好ましくは炭素数３又は４であり、より好ましくは炭素数３である。ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよい。ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）としては、例えば炭素数１～４程度のハイドロフルオロカーボンが挙げられ、ハイドロフルオロカーボンは塩素原子を有してもよい。炭化水素としては、炭素数２～５の炭化水素が挙げられる。炭素数２～５の炭化水素は、炭素数３、４の炭化水素が好適であり、また、プロパンとブタン類とを主成分とするＬＰＧなども使用できる。

【0016】

一方で、発泡剤Ｅは、フロス法による発泡に使用できる発泡剤であればよく、室温（２３℃）、常圧（１気圧）で気体となる発泡剤であればよく、好ましくは常圧下で沸点が０℃未満となるものである。発泡剤Ｅは、特に限定されないが、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）、二酸化炭素などが挙げられる。なお、フロス法は、常温、常圧で気体となる発泡剤Ｅを、ポリオールを含む液体（１液）などのフォーム原料に混合させて発泡させるものである。なお、ポリオールを含む液体は、発泡剤（内添発泡剤）を予め含有することがあるが、そのような場合、発泡剤Ｅは発泡性、施工性を改善するための発泡助剤としての機能を有する。

【0017】

本発明において、発泡剤Ｅとしては、二酸化炭素を使用することが好ましい。二酸化炭素は、後述する加圧により液体状態で液体Ｌ１に混合させることができ、それにより、液体Ｌ１に対する混合性が向上する。また、二酸化炭素を使用することで環境負荷が低くなる。ただし、二酸化炭素は、超臨界又は亜臨界状態で液体Ｌ１に混合されてもよい。
発泡剤Ｅとして二酸化炭素を使用する場合、二酸化炭素単独で使用してもよいが、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）と二酸化炭素との混合ガスを使用してもよい。

【0018】

（発泡剤添加装置）
以下、発泡剤添加装置１０についてより詳細に説明する。
発泡剤添加装置１０は、液体流路圧力計３１と、発泡剤容器１１と、発泡剤流路１２と、発泡剤加圧ポンプ８０と、発泡剤流路圧力計９０と、開閉弁５０と、流量調整機構６０と、制御部５１とを備える。発泡剤添加装置１０は、液体流路３０を流れる液体Ｌに対して発泡剤Ｅを添加させるための装置である。

【0019】

液体流路３０には、液体ポンプ４０が接続され、ドラム缶などの容器（図示せず）に充填された液体Ｌ１が液体ポンプ４０により液体流路３０に供給されて送出される。
液体ポンプ４０は、容積式又は非容積式のいずれでもよいが、容積式ポンプであることが好ましい。容積式ポンプは、往復式、回転式ポンプのいずれでもよいが、シール機構が駆動部側にあるシリンジポンプ及びシール機構がシリンダ側にあるプランジャーポンプ等の往復式ポンプが好ましい。また、容積式は、可変容量式でもよいし、定容量式でもよい。
液体ポンプ４０は、ポンプの種類によって、シリンダ、ギア、ベーン、プランジャなどの各種駆動部を回転又は直線運動などにより周期的に駆動することで流体の吐出を繰り返し行う。例えば、シリンジポンプは、シリンダが下死点と上死点との間で繰り返し直線運動をする。

【0020】

液体流路３０に流される液体Ｌ１は、吐出圧に加圧された状態で流される。液体流路３０には、液体流路圧力計３１が接続され、液体流路圧力計３１により液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰが測定される。液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰは、作業安定性の観点から、５～１０ＭＰａであることが好ましい。液体流路圧力計３１は、測定された液体圧力ＬＰを制御部５１へ送信する。

【0021】

発泡剤容器１１は、発泡剤Ｅを収容する。発泡剤容器１１としては、耐圧容器が使用され、例えば公知のガスボンベを使用すればよい。発泡剤容器１１は、発泡剤Ｅを加圧状態で収納するとよい。また、発泡剤容器１１は、ヒーター（図示せず）を備えてもよく、ヒーターによって加温することで、発泡剤容器１１の内部圧力は上昇し、それにより、発泡剤加圧ポンプ８０による加圧の負担を低減することができ、発泡剤Ｅを高い圧力に加圧された状態で発泡体流路１２に送出しやすくなる。

【0022】

発泡剤流路１２は、上記の通り、発泡剤容器１１から発泡剤Ｅを液体流路３０に供給する経路である。発泡剤流路１２は、クーラントなどで構成される流路冷却装置（図示せず）を備えてもよく、それにより、発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅを冷却することができる。発泡剤流路１２において発泡剤Ｅを冷却することで発泡剤Ｅが気化されにくくなり、液体状態で液体Ｌに混合しやすくなる。発泡剤流路１２内部の温度は－２０～２０℃の範囲に維持することが好ましい。

【0023】

発泡剤流路１２には、発泡剤流路圧力計９０が設けられる。発泡剤流路圧力計９０は、発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰが測定される。発泡剤流路圧力計９０は、測定された発泡剤圧力ＥＰを制御部５１へ送信する。

【0024】

発泡剤流路１２には、発泡剤加圧ポンプ８０が設けられる。発泡剤加圧ポンプ８０は、制御部５１と接続され、発泡剤流路１２における開閉弁５０の上流側に設けられる。発泡剤加圧ポンプ８０は、発泡剤流路１２における発泡剤圧力ＥＰを、液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰより高圧である所定圧力まで加圧する。
具体的には、発泡剤加圧ポンプ８０は、発泡剤圧力ＥＰが液体圧力ＬＰよりも予め決められた高い圧力となるように加圧する。ここで、予め決められた高い圧力とは、使用する発泡剤Ｅ及び液体Ｌ１の種類、性状及び量などにより設定される値をいい、適宜設定することができる値である。予め決められた高い圧力として設定される値は、例えば、発泡剤圧力ＥＰが液体圧力ＬＰよりも０．０５～５．００ＭＰａ高く設定する。
発泡剤加圧ポンプ８０としては、開閉弁５０を介して、液体流路３０に一定圧力で発泡剤Ｅを供給することを可能とする観点から、安定した圧力で発泡剤Ｅを加圧し供給できるポンプであることが好ましく、発泡剤を連続的に加圧するポンプであることがより好ましく、中でも、アキシャルポンプ及びギアポンプのいずれかであることが好ましい。

【0025】

発泡剤加圧ポンプ８０は、制御部５１により制御されるとよい。制御部５１は、液体流路圧力計３１から受信した液体圧力ＬＰと、発泡剤流路圧力計９０から受信した発泡剤圧力ＥＰとを比較し、発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰを、液体流路３０を流れる液体Ｌ１の圧力ＬＰより高圧となるように加圧するように発泡剤加圧ポンプ８０を制御する。また、制御部５１は、発泡剤圧力ＥＰが規定値に到達すると、後述する通り流量調整機構６０を閉弁するので、そのタイミングで発泡剤加圧ポンプ８０から開閉弁５０への発泡剤Ｅの供給を停止するように制御するとよい。なお、制御部５１は、停止された発泡剤加圧ポンプ８０については、流量調整機構６０を開弁するタイミングで再駆動させるとよい。
以上のように、発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰを制御することで、下流側に設けられている開閉弁５０に安定して発泡剤Ｅを供給することを可能とする。

【0026】

発泡剤流路１２には、流量調整機構６０が設けられる。流量調整機構６０は、一実施形態において、図１に示すように、開閉弁５０よりも上流側であり、発泡剤加圧ポンプ８０の下流側である発泡剤流路１２に備える構成とするとよい。流量調整機構６０は、発泡剤流路１２における発泡剤Ｅの流量を調整する。流量調整機構６０は、開閉弁５０よりも上流側の発泡剤流路１２に流れる発泡剤Ｅの流量を開閉によって制御する第２開閉弁とすることができる。流量調整機構６０は、第２開閉弁が開弁することで発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅが過剰になることを抑制し、液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対して発泡剤Ｅを安定して供給する。一方、流量調整機構６０は、第２開閉弁が閉弁することで、開閉弁５０に向けての発泡剤Ｅの供給を停止する。第２開閉弁は、例えば電磁弁で構成される。

【0027】

発泡剤流路１２において、発泡剤加圧ポンプ８０及び流量調整機構６０の下流側に、開閉弁５０が設けられる。開閉弁５０は、発泡剤流路１２と液体流路３０との接続を開閉によって制御し、液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの添加を開閉によって制御する。開閉弁５０は、開弁することで発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅを液体Ｌ１に対して供給する。一方、開閉弁５０は、閉弁することで液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの供給を停止する。開閉弁５０は、例えば電磁弁で構成される。

【0028】

流量調整機構６０及び開閉弁５０には、流量調整機構６０の開弁又は閉弁、及び開閉弁５０の開弁又は閉弁を制御する制御部５１が接続される。制御部５１は、発泡剤流路圧力計９０から発泡剤圧力ＥＰ、及び液体流路圧力計３１から液体圧力ＬＰを受信し、受信した発泡剤圧力ＥＰ及び液体圧力ＬＰに応じて、流量調整機構（第２開閉弁）６０及び開閉弁５０により発泡剤流路１２に流れる発泡剤Ｅの流量を調整する制御を行う。制御部５１は、発泡剤圧力ＥＰが液体圧力ＬＰよりも高いときに、開閉弁５０を開弁する制御を行う。また、制御部５１は、さらに開閉弁５０の制御とともに流量調整機構６０も制御する。

【0029】

具体的には、初期動作では、開閉弁５０が閉弁され、かつ流量調整機構６０が開弁された状態で、発泡剤加圧ポンプ８０が駆動され発泡剤圧力ＥＰが上昇させられるが、制御部５１は、発泡剤圧力ＥＰが規定値まで上昇したことを検知すると、制御部５１から制御信号が流量調整機構６０及び開閉弁５０に送出される。その制御信号に基づいて、流量調整機構６０を閉弁し、開閉弁５０を開弁して発泡剤Ｅを液体流路３０に供給する。そして、開閉弁５０を開弁する制御をした後、予め決められた時間が経過すると、開閉弁５０を閉弁する。その後、流量調整機構６０を開弁した後、発泡剤加圧ポンプ８０の駆動により、発泡剤圧力ＥＰを規定値まで上昇させ、その後、以上の動作が繰り返される。なお、規定値とは、液体圧力ＬＰに対して、発泡剤圧力ＥＰが、上記した予め決められた所定の値圧力が高くなるように設定した値である。
以上の制御により、発泡剤Ｅが液体圧力ＬＰよりも予め決められた高い圧力で、予め決められた時間液体流路３０に供給されるので、一定量の発泡剤Ｅを液体流路３０に供給することができる。
また、流量調整機構６０が設けられ、かつ以上の制御がなされることで、発泡剤容器１１、さらには、発泡剤加圧ポンプ８０が液体流路３０に直接繋がることが防止されるので、夏場などにおいて発泡剤容器１１や発泡剤流路１２などにおいて必要以上に加圧された発泡剤Ｅが、過剰に液体流路３０に供給されることを防止できる。

【0030】

また、制御部５１は、さらに、液体流路圧力計３１で測定した液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰを受信し、液体圧力ＬＰが所定値よりも低い場合には、開閉弁５０を開弁しないように制御してもよい。このような制御部５１の制御によって、液体圧力ＬＰが所定値よりも低い場合に開閉弁５０を開弁しないことで、液体流路３０を流れる液体Ｌ１が少量である場合の発泡剤Ｅの添加を防ぐことができる。液体圧力ＬＰが所定値よりも低い場合としては、発泡剤添加装置１０の起動時、停止時、及び液体流路３０が詰まっているとき等が挙げられる。液体圧力ＬＰの所定値は、液体ポンプ４０の脈動の振れよりも低い値とすることが好ましく、例えば、３ＭＰａと設定すればよい。

【0031】

液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの供給量は、液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの添加時における体積割合で、０．０５～５．０％であることが好ましく、０．１～４．５％であることがより好ましく、０．１５～４．０％であることがさらに好ましい。発泡剤Ｅの供給量を上記範囲内とすることで、ポリオールなどに適切な量の発泡剤を含有させることが可能になり、ポリウレタンフォームを適切に発泡できる。なお、液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの供給量は、使用する発泡剤Ｅによって調整することが好ましく、例えば、発泡剤Ｅが二酸化炭素の場合は０．２～２．０％であることが好ましく、発泡剤Ｅがハイドロフルオロオレフィンと二酸化炭素との混合ガスの場合は０．４～３．５％であることが好ましい。

【0032】

（吹付用発泡機）
吹付用発泡機１は、図２に示すように、上記した発泡剤添加装置１０を備える。本実施形態における吹付用発泡機１は、ポリウレタンフォームを形成するための装置である。ただし、本発明において吹付用発泡機は、ポリウレタンフォームを形成するための装置に限定されず、他のフォームを形成するための装置であってもよい。ポリウレタンフォームは、上記のとおり硬質ポリウレタンフォームが好ましい。また、吹付用発泡機１は、現場吹付用発泡機であり、ポリウレタンフォームを施工する施工現場に持ち込まれて、施工現場にてポリウレタンフォームを形成するための装置である。

【0033】

吹付用発泡機１は、発泡剤添加装置１０に加え、さらに上記した液体流路３０（以下、第１の液体流路３０ともいう）及び液体ポンプ４０（以下、第１の液体ポンプ４０ともいう）を備える。また、吹付用発泡機１は、上記液体Ｌ１とは別の液体Ｌ２が流される第２の液体流路３２と、第２の液体流路３２に液体Ｌ２を送出する液体ポンプ４２（以下、第２の液体ポンプ４２ともいう）とを備える。第１及び第２の液体ポンプ４０，４２は、ドラム缶などの液体容器（図示せず）に接続され、液体容器から吸引した液体Ｌ１，Ｌ２を第１及び第２の液体流路３０，３２それぞれに送出する。

【0034】

ポリウレタンフォームは、上記のとおり、ポリオールを含む１液と、ポリイソシアネートを含む２液とを混合させ、発泡かつ硬化させることで形成できる。第１の液体流路３０に流される液体Ｌ１は、１液又は２液のうちの一方であり、第２の液体流路３２に流される液体Ｌ２は１液又は２液のうちの他方であるが、液体Ｌ１がポリオールを含む１液であり、液体Ｌ２がポリイソシアネートを含む２液であることが好ましい。

【0035】

吹付用発泡機１は、スプレーガン７０を備える。スプレーガン７０は、吐出部７０Ａと混合部７０Ｂを備える。混合部７０Ｂでは、第１及び第２の液体流路３０、３５が合流される。第１及び第２の液体流路３０，３２に流される１液と２液は、混合部７０Ｂで混合され、その混合物（ウレタン樹脂組成物）が吐出部７０Ａより噴射される。この際、ウレタン樹脂組成物は、建築物や構造物の屋根、壁面、床等の施工対象面に吹き付けられるとよい。噴射されたウレタン樹脂組成物は、発泡かつ硬化してポリウレタンフォームとなる。ポリウレタンフォームは、例えば断熱材として使用される。

【0036】

以上の吹付用発泡機１では、発泡剤添加装置１０を用いて発泡剤Ｅを適切に混合した液体Ｌ１を、ポリウレタンフォームの原料として使用しているので、発泡性、吹き付け性が良好なポリウレタンフォームを形成できる。

【0037】

［発泡剤添加方法］
本実施形態における発泡剤添加装置１０における発泡剤Ｅの液体Ｌ１への発泡剤添加方法を、図３のフローチャートにより詳細に説明する。なお、以下では、発泡剤Ｅが二酸化炭素である場合を具体例として、圧力、温度などを説明するが、発泡剤Ｅが他の物質である場合には、その物質の性状に応じて圧力、温度など設定すればよい。なお、図３のフローチャートは、発泡剤添加方法を説明するための図であり、発泡剤添加方法が図３に示すステップ順に進行するわけではない。

【0038】

ステップＳ１において、発泡剤容器１１に収容された発泡剤Ｅを発泡剤流路１２に供給する。発泡剤流路１２に供給された発泡剤Ｅの温度は、－２０～２０℃の範囲に維持することが好ましい。また、発泡剤流路１２内部の開閉弁５０へ向けての発泡剤圧力ＥＰは、５～１２ＭＰａの範囲になるように調整されることが好ましい。

【0039】

ステップＳ２において、発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰを発泡剤流路圧力計９０で測定する。得られた発泡剤圧力ＥＰは、制御部５１に送信される。

【0040】

また、ステップＳ３において、液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰを液体流路圧力計３１で測定する。得られた液体圧力ＬＰは、制御部５１に送信される。

【0041】

ステップＳ４において、発泡剤流路１２における発泡剤圧力ＥＰを発泡剤加圧ポンプ８０で所定圧力まで加圧する。具体的には、制御部５１が液体流路圧力計３１で測定した液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰ、及び、発泡剤流路圧力計９０で測定した発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰを受信する。そして、液体圧力ＬＰ及び発泡剤圧力ＥＰを受信した制御部５１によって、液体圧力ＬＰ及び発泡剤圧力ＥＰを比較し、発泡剤圧力ＥＰが液体圧力ＬＰより所定値以上の高圧となるように発泡剤加圧ポンプ８０を制御する。

【0042】

また、ステップＳ５において、開閉弁５０よりも上流側の発泡剤流路１２に設けられた流量調整機構６０によって、上流側の発泡剤流路１２に流れる発泡剤Ｅの流量を調整する。具体的には、流量調整機構６０を開弁又は閉弁することでとすることで開閉弁５０よりも上流側の発泡剤流路１２に流れる発泡剤Ｅの流量を制御する。

【0043】

ステップＳ６では、液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの添加を開閉弁５０の開閉によって制御する。
発泡剤Ｅの添加を開閉弁５０の開閉によって制御する工程において、液体圧力ＬＰ及び発泡剤圧力ＥＰを受信した制御部５１によって、液体圧力ＬＰ及び発泡剤圧力ＥＰを比較し、発泡剤圧力ＥＰが液体圧力ＬＰよりも所定値以上高いときに、開閉弁５０を開弁する制御する。

【0044】

［発泡体製造方法］
本発明の第１の実施形態に係る発泡剤添加装置１０を用いることで発泡体の形成することができる。本実施形態におけるポリウレタンフォームの製造方法は、上記のステップＳ１～ステップＳ６の工程を含み、さらに、発泡剤添加装置１０で液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対して発泡剤Ｅを添加させた液体Ｌ１と、液体Ｌ２とを吹付用発泡機１で混合して調製した混合物を吐出装置から吐出する工程を含む。具体的には、以下の工程（１）～（７）を含む。
（１）発泡剤容器１１に収容された発泡剤Ｅを発泡剤流路１２に供給する工程
（２）発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの発泡剤圧力ＥＰを発泡剤流路圧力計９０で測定する工程
（３）液体流路３０を流れる液体Ｌ１の液体圧力ＬＰを液体流路圧力計３１で測定する工程
（４）発泡剤流路１２における発泡剤圧力ＥＰを発泡剤加圧ポンプ８０で所定圧力まで加圧する工程
（５）開閉弁５０よりも上流側の発泡剤流路１２に設けられた流量調整機構６０によって、発泡剤Ｅの流量を調整する工程
（６）液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの添加を開閉弁５０の開閉によって制御する工程
（７）発泡剤添加装置１０で液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対して発泡剤Ｅを添加させた液体Ｌ１と、液体Ｌ２とを吹付用発泡機１で混合して調製した混合物を吐出装置から吐出する工程

【0045】

以上のように、本実施形態においては、流量調整機構６０を備えることで、液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対して発泡剤Ｅを安定して供給することができる。例えば、夏場など高温下において、発泡剤圧力ＥＰが高くなった場合であっても、流量調整機構６０により過剰の発泡剤Ｅを液体Ｌ１に添加することを防止することができる。また、発泡剤Ｅが液体圧力ＬＰよりも予め決められた高い圧力で、予め決められた時間液体流路３０に供給されるので、一定量の発泡剤Ｅを液体流路３０に供給することができる。
なお、本実施形態における流量調整機構６０は、第２開閉弁である例を説明したが、発泡剤Ｅの流量を調整できる限り、他の機構であってもよい。流量調整機構６０が第２開閉弁でなくとも、流量調整機構６０により流量が調整できれば、発泡剤Ｅが、過剰に液体流路３０に供給されることを防止できる。
なお、流量調整機構６０として第２開閉弁以外を使用する場合には、例えば、上記の構成において流量調整機構６０を閉弁する代わりに、発泡剤の流量が相対的に少なくなる第１の量に調整するするとよく、流量調整機構６０を開弁する代わりに発泡剤の流量が第１の量よりも大きくなる第２の量に調整するとよい。

【0046】

なお、以上の説明では、流量調整機構６０は、図１に示す通り、開閉弁５０よりも上流側であり、発泡剤加圧ポンプ８０の下流側である発泡剤流路１２に備える構成について説明したが、流量調整機構６０は、図４に示す通り、開閉弁５０よりも上流側であり、かつ発泡剤加圧ポンプ８０の上流側である発泡剤流路１２に備える構成としてもよい。
本構成においても、発泡剤容器１１が液体流路３０に直接繋がることが防止されるので、夏場などの高温下において発泡剤容器１１や発泡剤流路１２などにおいて必要以上に高圧となった発泡剤Ｅが、過剰に液体流路３０に供給されることを防止できる。
ただし、流量調整機構６０は、図１に示す構成を有することで、発泡剤加圧ポンプ８０より下流側で、かつ開閉弁５０により近くなるので、安定して制御することが可能となる。

【0047】

［第２の実施形態］
次に、本発明の第２の実施形態について詳細に説明する。第２の実施形態において、第１の実施形態と相違する点は、図５及び図６に示すように、液体ポンプ４０に、ポンプ駆動検知部４１を備える構成とする点である。以下、第２の実施形態について、第１の実施形態との相違点を説明する。また、説明を省略する部分は、第１の実施形態と同様である。また、以下の説明では、上記第１の実施形態と同一の構成を有する部材には同一の符号を付す。

【0048】

本実施形態における液体ポンプ４０には、ポンプ駆動検知部４１が設けられている。ポンプ駆動検知部４１は、液体ポンプ４０の駆動を検知する。ポンプ駆動検知部４１は、検知した液体ポンプ４０の駆動に関するポンプ駆動情報ＤＩを制御部５１に送信する。
液体ポンプ４０は、往復又は回転運動などにより、駆動部を周期的に駆動させるが、ポンプ駆動検知部４１は、その周期において駆動部がどの位置に駆動しているかを検知できる。例えば、シリンジポンプなどの往復式ポンプでは、下死点又は上死点の間を往復運動するが、ポンプ駆動検知部４１は、ポンプの駆動部がその往復運動においてどの位置に駆動されているかを検知できる。回転ポンプでも、同様に、駆動部が回転運動のどの位置に駆動されているかを検知できればよい。
ポンプ駆動検知部４１としてはセンサーを使用する。具体的なセンサーとしては、液体ポンプ４０の駆動部の駆動位置を距離として測定するレーザー距離センサー、及び液体ポンプ４０の駆動部が一定の位置（例えば、上死点又は下死点など）に到達したことを検知する位置センサーなどが挙げられる。

【0049】

制御部５１は、ポンプ駆動検知部４１から液体ポンプ４０のポンプ駆動情報ＤＩを受信し、発泡剤圧力ＥＰ及び液体圧力ＬＰに加えて液体ポンプ４０の駆動状況に応じて、開閉弁５０及び流量調整機構６０を開弁又は閉弁する制御を行う。具体的には、発泡剤圧力ＥＰが規定値まで上昇し、かつ液体ポンプ４０における駆動位置が予め定められた位置（所定位置）となった際に、開閉弁５０を開弁する制御を行い、合わせて流量調整機構６０を閉弁する制御を行う。開閉弁５０の開弁により、液体流路３０には、第１の実施形態と同様に一定量の発泡剤Ｅが供給される。
液体ポンプ４０は、上記の通り周期的に駆動するが、液体ポンプ４０の駆動部の位置（駆動位置）が所定位置となった際に開閉弁５０が開弁すると、その周期の同じタイミングにおいて、発泡剤Ｅが液体Ｌ１に供給されることになる。ここで、液体ポンプ４０は、周期の同じタイミングにおいてはほぼ同じ挙動（すなわち、ほぼ同じ圧力及び同じ流量）で液体Ｌを液体流路３０に供給するので、そのタイミングで所定量（すなわち、一定量）の発泡剤Ｅが液体流路３０に対して供給されると、液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの供給が安定する。
すなわち、本実施形態では、液体ポンプ４０の駆動部が予め定められた位置（所定位置）となった際に開閉弁５０を開弁する制御をすることで、液体Ｌ１に対する発泡剤Ｅの安定供給が可能になる。
また、所定位置となった際に開閉弁５０を開弁し、その後閉弁する制御を行うことで、第１の実施形態と同様に開閉弁５０の開閉は、繰り返されることになる。また、流量調整機構（第２開閉弁）６０についても、第１の実施形態と同様に、閉開が繰り返されるように制御されるとよい。
すなわち、発泡剤圧力ＥＰが規定値まで上昇したことを検知し、かつ駆動位置が所定位置に駆動することを示すポンプ駆動情報ＤＩを受信すると、制御部５１から制御信号が流量調整機構６０及び開閉弁５０に送出される。その制御信号に基づいて、流量調整機構６０を閉弁し、開閉弁５０を開弁して発泡剤Ｅを液体流路３０に供給するとよい。そして、その後は、第１の実施形態と同様に制御が行われるとよい。

【0050】

上記所定位置は、特に限定されないが、液体ポンプ４０がシリンジポンプなどの往復式ポンプでは、上死点、下死点、又はこれらの間の特定の位置のいずれでもよいが、上死点又は下死点のいずれかであることが好ましい。上死点又は下死点に到達すると、その後、液体流路３０に供給される液体Ｌ１の圧力が低下する。したがって、所定位置を上死点又は下死点とすると、その圧力が低下したタイミングで発泡剤Ｅが供給されることになり、液体Ｌ１に発泡剤Ｅを混合させやすくなる。
また、上記所定位置は、往復式ポンプでは、駆動部が上死点から下死点へ到達し、その後、下死点から上死点へ到達する１周期の間に１箇所である必要はなく、２箇所以上でもよく、例えば上死点及び下死点の両方を所定位置に設定しておいてもよい。
また、上記所定位置は、回転式ポンプでは、同様に、例えば、回転周期（０～３６０°）のうち、いずれかの特定の位置であるｎ°（ただし、ｎは０～３６０のうちのいずれか）の位置を所定位置に設定しておけばよい。

【0051】

制御部５１は、液体ポンプ４０の駆動部が１周期ごとに開閉弁５０を１回開弁するように制御してよいし、２周期ごとに開閉弁５０を１回開弁するように制御してもよいし、ｎ周期（ｎは３以上の整数）ごとに開閉弁５０を１回開弁するように制御してもよい。また、制御部５１は、液体ポンプ４０の駆動部が１周期のうちに開閉弁５０を複数回開弁するように制御してもよく、例えば、半周期に１回開弁するように制御してもよい。
なお、１周期ごとに１回開弁するとは、例えば、上死点を所定位置に設定する場合には、上死点に到達する毎に開弁することを意味する。下死点の場合も同様である。
また、例えば、上死点と下死点の間の特定の位置を上記所定位置とする場合には、駆動部が所定位置となった場合のいずれの場合も、開閉弁５０を開弁する必要はなく、駆動部が上死点から下死点、又は下死点から上死点に移動する際の何れかにおいて開弁するように制御するとよい。
さらに、駆動部が複数ある複動型（例えば、複動型プランジャポンプ）においては、開閉弁は、いずれか１つの駆動部の駆動に基づいて制御されてもよいし、複数の駆動部の駆動に基づいて制御されてもよい。複数の駆動部の駆動に基づいて制御される場合には、例えば、各駆動部の駆動部が所定位置に配置されるごとに開弁してもよい。

【0052】

本実施形態の発泡剤添加装置１０における発泡剤Ｅの液体Ｌ１への発泡剤添加方法を図７のフローチャートに示す。
図７のフローチャートにおいては、液体ポンプ４０の駆動をポンプ駆動検知部４１で検知する工程（ステップＳ１０）をさらに含む。
ステップＳ１０において、液体ポンプ４０の駆動をポンプ駆動検知部４１で検知する工程は、液体流路３０を流れる液体Ｌ１を加圧するための液体ポンプ４０の駆動部の駆動位置をポンプ駆動検知部４１によって検知し、検知した液体ポンプ４０の駆動に関するポンプ駆動情報ＤＩを得る。ポンプ駆動検知部４１としては、液体ポンプ４０の駆動部の駆動位置を継続して測定することが可能なレーザーアプリセンサーであることが好ましい。得られたポンプ駆動情報ＤＩは、制御部５１に送信される。
そして、発泡剤Ｅの添加を開閉弁５０の開閉によって制御する工程（ステップＳ６）において、ポンプ駆動検知部４１によって検知された液体ポンプ４０の駆動状況に応じて、制御部５１が開閉弁５０を開弁する制御を合わせて行う。具体的には、発泡剤圧力ＥＰが規定値まで上昇したことを検知し、かつポンプ駆動検知部４１から液体ポンプ４０のポンプ駆動情報ＤＩを制御部５１が受信し、液体ポンプ４０における駆動部の駆動位置が予め定められた位置（所定位置）となった際に、開閉弁５０を開弁する制御を行うことが好ましい。

【0053】

以上のように、本実施形態においては、液体ポンプ４０の駆動を検知するポンプ駆動検知部４１を備えることで、液体ポンプ４０の駆動状況を検知し、液体ポンプ４０の駆動状況に応じた制御とする。このように、液体流路３０内の液体圧力に応じる制御ではなく、液体ポンプ４０の駆動状況に応じた制御とすることで、液体ポンプ４０の脈動の影響を受けることなく、液体流路３０を流れる液体Ｌ１に対して発泡剤Ｅを安定して供給することができる。

【0054】

［その他の実施形態］
以上のように第１及び第２の実施形態を示して説明した発泡剤添加装置、吹付用発泡機、発泡剤添加方法及び発泡体製造方法は、本発明の一例であり、本発明は、上記実施形態の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な改良及び変更が可能であり、構成要素を適宜加えてもよい。
例えば、発泡剤添加装置１０は、図８に示すように、発泡剤加圧ポンプ８０と開閉弁５０との間に、発泡剤流路１２を流れる発泡剤Ｅの逆流を防止する逆止弁５２を備える構成とすることができる。

【符号の説明】

【0055】

１ 吹付用発泡機
１０ 発泡剤添加装置
１１ 発泡剤容器
１２ 発泡剤流路
３０ 液体流路（第１の液体流路）
３１ 液体流路圧力計
３２ 第２の液体流路
４０ 液体ポンプ（第１の液体ポンプ）
４１ ポンプ駆動検知部
４２ 液体ポンプ（第２の液体ポンプ）
５０ 開閉弁
５１ 制御部
５２ 逆止弁
６０ 流量調整機構
７０ スプレーガン
７０Ａ 吐出部
７０Ｂ 混合部
８０ 発泡剤加圧ポンプ
９０ 発泡剤流路圧力計
Ｅ 発泡剤
Ｌ１、Ｌ２ 液体

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】