(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095816
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】樹脂フィルム、接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20230629BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230629BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20230629BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230629BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20230629BHJP
C08L 25/08 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
B32B27/00 B
B32B15/08 J
C08L101/00
C08L21/00
C08L25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203588
(22)【出願日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2021211474
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】川原 良介
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA14X
4F071AA22
4F071AA43X
4F071AA51
4F071AA69X
4F071AA75X
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4F071AF04Y
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4F100AK01A
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4F100YY00A
4J002AC142
4J002BB001
4J002BB042
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4J002BP012
4J002CE001
4J002CF001
4J002CF092
4J002CH001
4J002CH071
4J002CK022
4J002CL082
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造される樹脂フィルム、並びに、該樹脂フィルムを用いた接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムであって、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下であり、水接触角が70°以下である樹脂フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムであって、
20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下であり、
水接触角が70°以下である
ことを特徴とする樹脂フィルム。
【請求項2】
前記樹脂フィルムを構成する樹脂全体に占める前記熱可塑性エラストマーの含有量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマーを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
前記スチレン系エラストマーは、ハードセグメント含有量が35重量%以上であることを特徴とする請求項3記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
表面粗さRzが3.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂は、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂フィルム。
【請求項9】
熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムであって、
20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下であり、
水接触角が70°以下であり、
前記樹脂フィルムを構成する樹脂全体に占める前記熱可塑性エラストマーの含有量が10重量%以下であり、
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマーを含有し、
前記スチレン系エラストマーは、ハードセグメント含有量が35重量%以上であり、
表面粗さRzが3.0μm以下であり、
前記熱可塑性樹脂は、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有し、
前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有し、
前記熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することを特徴とする樹脂フィルム。
【請求項10】
請求項1又は9記載の樹脂フィルムに接着剤層が直接積層していることを特徴とする接着剤層付き樹脂フィルム。
【請求項11】
請求項10記載の接着剤層付き樹脂フィルムと銅箔を含むことを特徴とする銅張積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム、接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられる配線基板として、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)がある。フレキシブルプリント基板は、絶縁性のベースフィルム上に銅箔を積層した銅張積層板(CCL)を用い、例えば、銅箔のエッチング処理等を行うことにより銅配線を形成し、銅配線の保護を目的として更にカバーレイフィルムを貼り合わせること等により作製される。銅張積層板に用いられるベースフィルムには、一般的にポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)等が用いられている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-188339号公報
【特許文献2】特開2016-205967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の分野ではより大容量のデータをより高速に送受信することが求められ、いわゆる第5世代移動通信システム(5G)の実用化も進められており、これに伴い、伝送信号の高周波数化が進められている。しかしながら、高周波数化により、伝送信号の減衰量(「伝送損失」という)が大きくなるという問題が生じている。銅張積層板に用いられるベースフィルムとしても、このような伝送損失を抑えることができ、伝送信号が高周波数化した場合にも好適に使用できる新たなフィルムが求められている。
【0005】
本発明は、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造される樹脂フィルム、並びに、該樹脂フィルムを用いた接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示1は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムであって、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下であり、水接触角が70°以下である樹脂フィルムである。
本開示2は、前記樹脂フィルムを構成する樹脂全体に占める前記熱可塑性エラストマーの含有量が10重量%以下である、本開示1の樹脂フィルムである。
本開示3は、前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーを含有する、本開示1又は2の樹脂フィルムである。
本開示4は、前記スチレン系エラストマーが、ハードセグメント含有量が35重量%以上である、本開示3の樹脂フィルムである。
本開示5は、表面粗さRzが3.0μm以下である、本開示1、2、3又は4の樹脂フィルムである。
本開示6は、前記熱可塑性樹脂が、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有する、本開示1、2、3、4又は5の樹脂フィルムである。
本開示7は、前記熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有する、本開示1、2、3、4、5又は6の樹脂フィルムである。
本開示8は、前記熱可塑性樹脂が、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する、本開示1、2、3、4、5、6又は7の樹脂フィルムである。
本開示9は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムであって、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下であり、水接触角が70°以下であり、前記樹脂フィルムを構成する樹脂全体に占める前記熱可塑性エラストマーの含有量が10重量%以下であり、前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマーを含有し、前記スチレン系エラストマーは、ハードセグメント含有量が35重量%以上であり、表面粗さRzが3.0μm以下であり、前記熱可塑性樹脂は、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有し、前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有し、前記熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する、樹脂フィルムである。
本開示10は、本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の樹脂フィルムに接着剤層が直接積層している、接着剤層付き樹脂フィルムである。
本開示11は、本開示10の接着剤層付き樹脂フィルムと銅箔を含む、銅張積層板である。
以下、本発明を詳述する。
【0007】
伝送損失は周波数に比例して大きくなるため、伝送信号が高周波数化すると、伝送損失が大きくなることは避けられない問題である。高周波数帯(例えば、1~80GHz付近)での伝送損失を抑えるためには、例えば、銅張積層板に用いられるベースフィルムとして、高周波数帯での誘電特性に優れたフィルムを用いることが考えられる。即ち、伝送損失は、周波数に加えて、導通部分の周辺に存在する絶縁性部分の誘電率Dk及び誘電正接Dfにも影響されるため、高周波数帯において誘電率Dk及び/又は誘電正接Dfが小さいフィルムを用いることで、伝送損失を抑えることが期待される。
【0008】
本発明者らは、熱可塑性樹脂を含有する樹脂フィルムにおいて、20GHzでの誘電正接Dfを一定値以下に調整することを検討した。また、このような樹脂フィルムは、製膜性が不充分であったことから、本発明者らは、更に熱可塑性エラストマーを配合し、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することを検討した。
しかしながら、このような樹脂フィルムは、接着剤との密着性が不充分であり、樹脂フィルム上に銅箔を積層して銅張積層板を作製したり、銅張積層板から配線基板を作製したりする際に剥がれが生じることがあった。
これに対し、本発明者らは、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂フィルムにおいて、20GHzでの誘電正接Dfを一定値以下に調整し、かつ、水接触角を一定値以下に調整することを検討した。本発明者らは、このような樹脂フィルムであれば、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを含有する。
本発明の樹脂フィルムは、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下である。これにより、本発明の樹脂フィルムは、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができる。上記20GHzでの誘電正接Dfは0.001以下であることが好ましい。
上記20GHzでの誘電正接Dfの下限は特に限定されず、小さいほど好ましい。上記20GHzでの誘電正接Dfの好ましい下限は0.0001である。
なお、20GHzでの誘電正接Dfは、例えば、PNAネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー社製)等を用い、JIS R1641に準拠して、40mm角のフィルム状のサンプルについて25℃、20GHzで空洞共振法により測定することができる。
【0010】
上記20GHzでの誘電正接Dfを上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂の種類、物性、含有量等を調整する方法、上記熱可塑性エラストマーの種類、物性、含有量等を調整する方法、樹脂フィルムの表面粗さを小さくする方法が好ましい。
【0011】
本発明の樹脂フィルムは、水接触角が70°以下である。これにより、本発明の樹脂フィルムは、表面の極性が高くなり、接着剤との密着性が向上する。上記水接触角は60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。上記水接触角の下限は特に限定されない。
なお、水接触角は、例えば、接触角計DropMaster 100及び固液界面解析装置DropMaster 300(いずれも協和界面科学社製)等を用い、JIS R3257の基板ガラス表面のぬれ性試験方法に準拠して、23℃、湿度50%でθ/2法にて求めることができる。より詳細には、例えば、1μmの水滴を樹脂フィルムの表面へ滴下し、5秒後の水接触角を測定する。
なお、本明細書において水接触角とは、後述するように樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施した際に導入された極性官能基が徐々に樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまうことを考慮して、樹脂フィルムの製造(製膜、及び、必要に応じて表面処理)直後ではなく、製造から3日後の樹脂フィルムについて測定した水接触角を意味する。
【0012】
上記水接触角を上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂の種類、物性、含有量等を調整する方法、上記熱可塑性エラストマーの種類、物性、含有量等を調整する方法、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施して表面の極性を高める方法が好ましい。上記表面処理はコロナ処理に限定されず、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等が挙げられる。
【0013】
なかでも、上記熱可塑性エラストマーの含有量を比較的低く抑えつつ、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施して表面の極性を高める方法がより好ましい。
樹脂フィルムの上記20GHzでの誘電正接Dfを上記範囲に調整するためには、20GHzでの誘電正接Dfが比較的小さい熱可塑性樹脂を用いることが考えられる。しかしながら、このような熱可塑性樹脂は、極性官能基が少ない傾向にあるため、樹脂フィルムの表面の極性が低くなって、上記水接触角が上記範囲よりも大きくなり、接着剤との密着性が不充分となる。
ここで、樹脂フィルムの表面の極性を高めて上記水接触角を小さくするためには、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施し、樹脂フィルムの表面に極性官能基を導入することが考えられる。しかしながら、上記熱可塑性エラストマーは、樹脂フィルム中での流動性が高いため、樹脂フィルムが上記熱可塑性エラストマーを含有する場合には、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施したとしても、導入された極性官能基が徐々に樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまい、表面の極性が充分に高くならない。
これに対し、上記熱可塑性エラストマーの含有量を比較的低く抑えつつ、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施して表面の極性を高める方法によれば、上記熱可塑性エラストマーの含有量を比較的低く抑えることで、導入された極性官能基が樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまうことを抑えることができる。その結果、樹脂フィルムの表面の極性を充分に高めて、上記水接触角を上記範囲に調整することができる。
【0014】
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、樹脂フィルムの上記20GHzでの誘電正接Df及び上記水接触角を上記範囲に調整できればよいが、20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂が上記20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂を含有することで、樹脂フィルムは、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失をより抑えることができる。上記20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂は、20GHzでの誘電正接Dfが0.0012以下であることがより好ましく、0.001以下であることが更に好ましい。
上記20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂の20GHzでの誘電正接Dfの下限は特に限定されず、小さいほど好ましい。上記20GHzでの誘電正接Dfが0.0015以下の熱可塑性樹脂の20GHzでの誘電正接Dfの好ましい下限は0.0001である。
なお、熱可塑性樹脂の20GHzでの誘電正接Dfは、樹脂フィルムの20GHzでの誘電正接Dfと同様にして測定することができる。このときの40mm角のフィルム状のサンプルは、例えば、熱可塑性樹脂を熱プレスすることにより厚み50μmのフィルムを作製し、40mm角にカットすることで得ることができる。
【0015】
上記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂が上記ガラス転移温度(Tg)が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有することで、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。なお、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい理由としては、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施した際に、導入された極性官能基が樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまうことをより抑えることができるためと考えられる。上記ガラス転移温度(Tg)は75℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。
上記ガラス転移温度(Tg)の上限は特に限定されないが、樹脂フィルムの押出成形を良好に行う観点から、400℃以下であることが好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。
ガラス転移温度(Tg)は、例えば次のように測定することができる。ガラス転移温度(Tg)は動的粘弾性測定装置DVA-200(アイティー計測制御社製)を用い、昇温速度10℃/min、測定周波数10Hz、測定温度領域30~300℃で引張モードにて測定した際、tanδが極大値(ピーク)を示す温度である。非晶性の樹脂であれば最も高温領域のtanδのピークを示す温度、結晶性樹脂であれば結晶性のピークを除いた2番目の高温領域のtanδのピークを示す温度がガラス転移温度に該当する。
【0016】
上記熱可塑性樹脂は、融点(Tm)が270℃以上の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂が上記融点(Tm)が270℃以上の熱可塑性樹脂を含有することで、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができる。上記融点(Tm)は280℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが更に好ましい。
上記融点(Tm)の上限は特に限定されないが、樹脂フィルムの押出成形を良好に行う観点から、400℃以下であることが好ましく、360℃以下であることが更に好ましい。
融点(Tm)は、例えば次のように測定することができる。融点(Tm)は動的粘弾性測定装置DVA-200(アイティー計測制御社製)を用い、昇温速度10℃/min、測定周波数10Hz、測定温度領域30~300℃で引張モードにて測定した際、tanδが極大値(ピーク)を示す温度である。また、tanδが複数存在する場合は最も高温領域のtanδのピークを示す温度が該当する。
【0017】
上記熱可塑性樹脂は特に限定されないが、上記20GHzでの誘電正接Df、上記ガラス転移温度(Tg)、上記融点(Tm)等が上記範囲を満たす観点から、例えば、液晶ポリマー(LCP)、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記20GHzでの誘電正接Df、上記ガラス転移温度(Tg)、上記融点(Tm)等が好ましい範囲となりやすいことから、環状ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。更に、環状ポリオレフィン樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂がより好ましい。
【0018】
上記液晶ポリマー(LCP)は、ある特定の温度範囲で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーであることが好ましい。
上記液晶ポリマー(LCP)は特に限定されず、例えば、液晶性芳香族ポリエステル樹脂、液晶性芳香族ポリエステルアミド樹脂、これら液晶性芳香族ポリエステル樹脂又は液晶性芳香族ポリエステルアミド樹脂を同一分子鎖中に部分的に含むポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの液晶ポリマー(LCP)は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記液晶性芳香族ポリエステル樹脂は特に限定されず、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂が挙げられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は特に限定されず、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸、これらの置換体又は誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、得られる液晶性芳香族ポリエステル樹脂の物性を調整しやすいことから、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸が好ましい。
【0020】
また、上記液晶性芳香族ポリエステル樹脂としては、上述したような芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族又は脂環式ジカルボン酸と、芳香族、脂環式又は脂肪族ジオールとからなるポリエステル樹脂も挙げられる。
上記芳香族又は脂環式ジカルボン酸は特に限定されず、上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、これらの置換体又は誘導体等が挙げられる。上記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の炭素数8~12のジカルボン酸、これらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、得られる液晶性芳香族ポリエステル樹脂の物性を調整しやすいことから、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0021】
上記芳香族、脂環式又は脂肪族ジオールは特に限定されず、上記芳香族ジオールとしては、例えば、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、これらの置換体又は誘導体等が挙げられる。上記脂環式ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、アダマンタンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。上記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、これらの誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、重合時の反応性に優れ、得られる液晶性芳香族ポリエステル樹脂の物性を調整しやすいことから、ハイドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニルが好ましい。
【0022】
上記液晶性芳香族ポリエステルアミド樹脂は特に限定されず、例えば、上述したような芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンとからなるポリエステルアミド樹脂が挙げられる。
上記芳香族ヒドロキシアミンは特に限定されず、例えば、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、4-アミノ-1-ナフトール、5-アミノ-1-ナフトール、8-アミノ-2-ナフトール、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル、これらの置換体又は誘導体等が挙げられる。上記芳香族ジアミンは特に限定されず、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、これらの置換体又は誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0023】
また、上記液晶性芳香族ポリエステルアミド樹脂としては、上述したような芳香族ヒドロキシカルボン酸と、上述したような芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンと、上述したような芳香族又は脂環式ジカルボン酸と、上述したような芳香族、脂環式又は脂肪族ジオールとからなるポリエステルアミド樹脂も挙げられる。
【0024】
上記液晶ポリマー(LCP)の流動開始温度は特に限定されないが、好ましい下限は270℃、好ましい上限は400℃であり、より好ましい下限は280℃、より好ましい上限は380℃である。上記流動開始温度が上記範囲内であれば、高耐熱性と成形性とを兼ね備えた樹脂となる。
なお、流動開始温度は、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマー(LCP)を溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度である。
【0025】
上記液晶ポリマー(LCP)の溶融粘度は特に限定されないが、上記流動開始温度より30℃高い温度において、径0.5mm及び長さ10mmのキャピラリーを使用し、せん断速度1000秒-1で測定した溶融粘度の好ましい下限は10Pa・s、好ましい上限は600Pa・sである。上記溶融粘度が上記範囲内であれば、高耐熱性と成形性とを兼ね備えた樹脂となる。
【0026】
上記液晶ポリマー(LCP)の溶融張力は特に限定されないが、上記流動開始温度より30℃高い温度において、径0.5mm及び長さ10mmのキャピラリーを使用し、引取速度42m/分で測定した溶融張力の好ましい下限は1mN、好ましい上限は20mNである。上記溶融張力が上記範囲内であれば、高耐熱性と成形性とを兼ね備えた樹脂となる。
なお、溶融張力は、例えば、キャピログラフ(東洋精機製作所社製)等を用いて測定できる。
【0027】
上記液晶ポリマー(LCP)の市販品として、例えば、JX液晶社製の商品名ザイダー(登録商標)、東レ社製のシベラス(登録商標)、ポリプラスチックス社製の商品名ラペロス等が挙げられる。
【0028】
上記環状ポリオレフィン樹脂は特に限定されず、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等が挙げられる。
【0029】
上記シクロオレフィンポリマー(COP)とは、主鎖及び側鎖のうちの一方又は両方に環状オレフィンに由来する構成単位を有するポリマーである。
上記環状オレフィンは特に限定されず、多環式の環状オレフィンであってもよく、単環式の環状オレフィンであってもよい。
上記多環式の環状オレフィンは特に限定されず、例えば、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン等のノルボルネン化合物が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン化合物も挙げられる。更に、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン等も挙げられる。
上記単環式の環状オレフィンは特に限定されず、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロドデカトリエン等が挙げられる。
上記シクロオレフィンポリマー(COP)は1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記シクロオレフィンコポリマー(COC)とは、上述したような環状オレフィンに由来する構成単位と、エチレン、α-オレフィン等の非環状オレフィンに由来する構成単位とを有するポリマーである。
上記α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素数3~20の直鎖状α-オレフィンが挙げられる。また、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン等の炭素数4~20の分岐状α-オレフィンも挙げられる。
上記シクロオレフィンコポリマー(COC)は1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0031】
上記シクロオレフィンポリマー(COP)及び上記シクロオレフィンコポリマー(COC)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、好ましい下限は130℃、好ましい上限は190℃であり、より好ましい下限は140℃であり、更に好ましい下限は150℃である。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。
【0032】
上記シクロオレフィンポリマー(COP)の市販品として、例えば、日本ゼオン社製の商品名ZEONOR(登録商標)、JSR社製の商品名ARTON(登録商標)等が挙げられる。上記シクロオレフィンコポリマー(COC)の市販品として、例えば、ポリプラスチックス社製の商品名TOPAS(登録商標)(ノルボルネンとエチレンとが共重合したシクロオレフィンコポリマー)、三井化学社製の商品名APEL(登録商標)等が挙げられる。
【0033】
上記パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)とは、テトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン、C2F4)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体である。
上記パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、好ましい下限は70℃、好ましい上限は110℃であり、より好ましい下限は80℃であり、更に好ましい下限は100℃である。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。上記パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)は1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
上記パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)の市販品として、AGC社製のFluon+TM EA-2000(登録商標)等が挙げられる。
【0035】
上記ポリフェニレンエーテル(PPE)とは、芳香族ポリエーテルの重合体である。上記ポリフェニレンエーテル(PPE)には、ポリマーアロイとしてポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド等が含有されていてもよい。
上記ポリフェニレンエーテル(PPE)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、好ましい下限は100℃、好ましい上限は220℃であり、より好ましい下限は130℃である。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。
上記ポリフェニレンエーテル(PPE)は1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0036】
上記ポリフェニレンエーテル(PPE)の市販品として、例えば、SABIC社製のノリル、旭化成社製のザイロン、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユピエース等が挙げられる。
【0037】
上記ポリスチレン(PS)樹脂とは、スチレンに由来する構成単位を有する重合体又は共重合体である。上記ポリスチレン(PS)樹脂は、上記スチレンに由来する構成単位に加えて、更に、例えばエチレン、ブチレン、マレイミド化合物、アクリレート化合物等に由来する構成単位等の他の構成単位を有していてもよい。
上記ポリスチレン(PS)樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、好ましい下限は80℃、好ましい上限は120℃であり、より好ましい下限は90℃、より好ましい上限は110℃である。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。
上記ポリスチレン(PS)樹脂は1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記ポリスチレン(PS)樹脂の市販品として、例えば、PSジャパン社製のGPPS 679、HIPS AGI02等が挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂フィルムは、上記熱可塑性樹脂に加えて更に上記熱可塑性エラストマーを含有することで、押出成形等によって良好に製造される樹脂フィルムとなる。
なお、樹脂フィルムの上記20GHzでの誘電正接Dfを上記範囲に調整するためには、上述したような20GHzでの誘電正接Dfが比較的小さい熱可塑性樹脂を用いることが考えられるが、このような熱可塑性樹脂のみからなる樹脂フィルムは、製膜性が不充分となるため、押出成形等によって良好に製造できないことがある。
上記熱可塑性エラストマーは特に限定されず、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、ゴム弾性を示す樹脂であればよく、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等が挙げられる。なかでも、上記20GHzでの誘電正接Dfが上記範囲を満たしやすいことから、スチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のエラストマーが好ましく、スチレン系エラストマーがより好ましい。
【0040】
上記スチレン系エラストマーは特に限定されないが、ハードセグメントとしての芳香族アルケニル重合体ブロック(A)と、ソフトセグメントとしての共役ジエン重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体であることが好ましい。
【0041】
上記芳香族アルケニル重合体ブロック(A)とは、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位を有するブロックを意味する。
上記芳香族アルケニル重合体ブロック(A)は、芳香族アルケニル化合物に由来する繰り返し単位を主な構成成分としたブロックであればよく、エチレン等の他の化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
上記芳香族アルケニル重合体ブロック(A)としては、ポリアルキルスチレン、ポリハロゲン化スチレン、ポリハロゲン置換アルキルスチレン、ポリアルコキシスチレン、ポリカルボキシアルキルスチレン、ポリアルキルエーテルスチレン、ポリアルキルシリルスチレン、ポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
上記ポリアルキルスチレンは特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリt-ブチルスチレン等が挙げられる。
上記ポリハロゲン化スチレンは特に限定されず、例えば、ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリフルオロスチレン等が挙げられる。
上記ポリハロゲン置換アルキルスチレンは特に限定されず、例えば、ポリクロロメチルスチレン等が挙げられる。
上記ポリアルコキシスチレンは特に限定されず、例えば、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレン等が挙げられる。
上記ポリカルボキシアルキルスチレンは特に限定されず、例えば、ポリカルボキシメチルスチレン等が挙げられる。
上記ポリアルキルエーテルスチレンは特に限定されず、例えば、ポリビニルベンジルプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ポリアルキルシリルスチレンは特に限定されず、例えば、ポリトリメチルシリルスチレン等が挙げられる。
【0043】
上記共役ジエン重合体ブロック(B)とは、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を有するブロックを意味する。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
上記スチレン系エラストマーのハードセグメント含有量(芳香族アルケニル重合体ブロック(A)の含有量)は特に限定されないが、好ましい下限は30重量%、好ましい上限は60重量%である。上記ハードセグメント含有量が30重量%以上であれば、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施した際に、導入された極性官能基が樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまうことをより抑えることができ、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。上記ハードセグメント含有量が60重量%以下であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができる。上記ハードセグメント含有量のより好ましい下限は35重量%、より好ましい上限は50重量%である。
【0045】
上記スチレン系エラストマーは、水素添加体であってもよい。上記スチレン系エラストマーの水素添加率は特に限定されないが、95%以上であることが好ましく、96%以上であることがより好ましい。上記水素添加率の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
【0046】
上記スチレン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましい下限は10万、好ましい上限は100万であり、より好ましい下限は15万、より好ましい上限は50万である。上記重量平均分子量が上記範囲内であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができ、また、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。
【0047】
上記スチレン系エラストマーとして、具体的には例えば、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。なかでも、成形性の観点から、SEPS及びSEBSが好ましい。
【0048】
上記オレフィン系エラストマーは特に限定されないが、ハードセグメントとしてのオレフィン重合体ブロック(C)と、ソフトセグメントとしてのエチレン-プロピレンゴムブロック(D)とを有するブロック共重合体であることが好ましい。
【0049】
上記オレフィン重合体ブロック(C)は特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
【0050】
上記エチレン-プロピレンゴムブロック(D)は特に限定されず、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)等が挙げられる。
【0051】
上記熱可塑性エラストマーの含有量は特に限定されず、上記熱可塑性樹脂及び上記熱可塑性エラストマーの種類(特に上記熱可塑性樹脂の種類)に応じて調整すればよいが、上記水接触角を上記範囲に調整するためには上記熱可塑性エラストマーの含有量を比較的低く抑えることが好ましい。
本発明の樹脂フィルムを構成する樹脂全体に占める上記熱可塑性エラストマーの含有量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記熱可塑性エラストマーの含有量が1重量%以上であれば、樹脂フィルムを押出成形等によって良好に製造することができる。上記熱可塑性エラストマーの含有量が30重量%以下であれば、樹脂フィルムの上記20GHzでの誘電正接Dfが好ましい範囲となりやすく、また、樹脂フィルムにコロナ処理等の表面処理を施した際に、導入された極性官能基が樹脂フィルムの内部に潜り込んでしまうことをより抑えることができ、上記水接触角が好ましい範囲となりやすい。上記熱可塑性エラストマーの含有量のより好ましい下限は2重量%、より好ましい上限は20重量%であり、更に好ましい下限は3重量%、更に好ましい上限は10重量%である。
【0052】
本発明の樹脂フィルムは、必要に応じて、更に、難燃剤、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、可塑剤、造核剤、透明化剤、帯電防止剤、滑剤等の添加剤を含有してもよい。
【0053】
本発明の樹脂フィルムの層構造は特に限定されず、単層フィルムであってもよいし、多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合、本発明の樹脂フィルムは、表層と基材層とを有することが好ましい。これにより、例えば、表層及び基材層にそれぞれ別の性能を付与する等により、樹脂フィルム全体としての性能をより向上させることができる。
本発明の樹脂フィルムは、上記表層と上記基材層とを有する場合、上記表層と上記基材層とをそれぞれ少なくとも1つ有していればその層構造は特に限定されず、上記基材層の片面のみに上記表層を有する二層構造であってもよく、上記基材層の両面に上記表層を有する三層構造であってもよい。また、本発明の樹脂フィルムは、四層以上の構造であってもよい。なかでも、上記基材層の両面に上記表層を有することが好ましい。
【0054】
本発明の樹脂フィルムは、上記表層と上記基材層とを有する場合、更に、反応型相溶化剤を含有してもよい。
上記反応型相溶化剤を含有することで、上記表層と上記基材層との間の層間強度が高くなる。なお、上記反応型相溶化剤は、上記表層に配合されてもよく、上記基材層に配合されてもよい。
上記反応型相溶化剤は特に限定されず、例えば、三井化学社製のアドマーQ、三洋化成社製のユーメックス、三井化学社製のタフマーM、住友化学社製のボンドファースト、旭化成社製のタフテックM、日油社製のモディパーC1430G、日本触媒社製のエポクロスRPS-1005等が挙げられる。なかでも、日本触媒社製のエポクロスRPS-1005が好ましい。
【0055】
上記反応型相溶化剤の含有量は特に限定されないが、上記表層又は上記基材層における好ましい下限が1重量%、好ましい上限が10重量%であり、より好ましい下限が3重量%、より好ましい上限が5重量%である。上記反応型相溶化剤の含有量が上記範囲内であれば、上記表層と上記基材層との間の層間強度がより高くなる。
【0056】
本発明の樹脂フィルムは、上記表層と上記基材層とを有する場合、上記表層と上記基材層との間に他の層を有していてもよいが、上記表層と上記基材層との間に他の層を有さないことが好ましい。即ち、上記表層と上記基材層とが、他の層を介することなく直接積層されていることが好ましい。
上記他の層は特に限定されず、例えば、接着剤層等が挙げられる。接着剤層は一般的に高周波数帯での誘電正接Dfが大きいため、上記表層と上記基材層との間に接着剤層等の他の層を有さないことで、樹脂フィルムは、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失をより抑えることができる。
なお、例えば、上記表層と上記基材層とをそれぞれ別々に作製し、接着剤層を用いることなく直接積層(単純積層)した場合には、上記表層と上記基材層との間の層間強度が低くなり、剥離しやすくなることがある。これに対し、接着剤層を用いなくとも、例えば、上記表層と上記基材層とに同じ樹脂を配合するとともに共押出成形により樹脂フィルムを製造することで、上記表層と上記基材層との間の密着性を高め、層間強度を上げることができる。
【0057】
本発明の樹脂フィルムの表面粗さは特に限定されないが、十点平均粗さRzの好ましい上限が3.0μmである。上記表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが3.0μm以下であれば、樹脂フィルムの上記20GHzでの誘電正接Dfが好ましい範囲となりやすい。上記表面粗さ(十点平均粗さ)Rzのより好ましい上限は2.0μmであり、更に好ましい上限は1.0μmである。
なお、表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、例えば、表面粗さ測定装置SJ-201(Mitutoyo社製)等を用い、JISB0601 1994に準拠して、測定速度0.5mm/s、カットオフ値λc0.8にて測定することができる。
【0058】
上記表面粗さ(十点平均粗さ)を上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、樹脂フィルムを押出成形等により製造する際、押出された溶融樹脂の冷却ロールの表面粗さ、引取り速度、冷却温度、冷却方式等を調整する方法が好ましい。
【0059】
本発明の樹脂フィルム全体としての厚みは特に限定されないが、好ましい下限は20μm、好ましい上限は250μmであり、より好ましい下限は30μm、より好ましい上限は150μmである。
【0060】
本発明の樹脂フィルムの用途は特に限定されないが、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造されることから、配線基板、特にフレキシブルプリント基板を作製するための銅張積層板に用いられるベースフィルムとして好適に用いられる。
本発明の樹脂フィルムに接着剤層が直接積層している接着剤層付き樹脂フィルムもまた、本発明の一つである。本発明の接着剤層付き樹脂フィルムは、接着剤層を備えることにより銅箔等の他の部材と一体化することが可能であり、本発明の樹脂フィルムを備えることにより伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができる。また、本発明の樹脂フィルムと接着剤層との間に他の層を有さないので、接着剤との密着性に優れる本発明の樹脂フィルムの特長が発揮され、かつ、他の層によって生じる伝送損失の増加が抑制される。
また、本発明の接着剤層付き樹脂フィルムと銅箔を含む銅張積層板もまた、本発明の一つである。
【0061】
本発明の樹脂フィルムを製造する方法は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂と上記熱可塑性エラストマーとを用いた押出成形により樹脂フィルムを製造する方法が好ましい。また、このとき、樹脂フィルムに上述したようなコロナ処理等の表面処理を施すことがより好ましい。
なお、本発明の樹脂フィルムが上記表層と上記基材層とを有する場合、本発明の樹脂フィルムの製造方法としては、上記表層と上記基材層とをそれぞれ別々に作製し、接着剤層を用いることなく直接積層(単純積層)したり、接着剤層を用いて積層したりする方法を採用してもよい。
【発明の効果】
【0062】
本発明によれば、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造される樹脂フィルム、並びに、該樹脂フィルムを用いた接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0064】
(実施例1)
(1)樹脂フィルムの製造
熱可塑性樹脂であるポリスチレン(PS)(PSジャパン社製のGPPS 679)85重量%と、熱可塑性エラストマーであるSEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、JSR社製の商品名DYNARON(登録商標) 8903P)15重量%とを混合し、樹脂組成物を得た。
樹脂組成物を押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30-28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出して製膜した後、100Wにて2回コロナ処理を行い、単層の樹脂フィルム(厚み50μm)を得た。
なお、シリンダー温度、及び、金型温度は、いずれも、結晶性樹脂(LCP、PBT又はPET)の場合は該樹脂の融点より20℃高い温度、非晶性樹脂(PS、PPE又はCOP)の場合は該樹脂のガラス転移温度より100℃高い温度に設定した。混合樹脂の場合は、各樹脂についてのこれらの温度のうち、最も高い温度に設定した。スクリュー回転数を10rpmに設定した。押出された溶融樹脂を冷却ロール(温度80℃)により引取り速度3m/分で引取りながら冷却して製膜した。
【0065】
使用した材料について以下に示す。
・ポリスチレン(PS)(PSジャパン社製のGPPS 679)、ガラス転移温度100℃、20GHzでの誘電正接Df0.0007)
・SEBS(1)(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、JSR社製の商品名DYNARON 8903P、ハードセグメント含有量35重量%)
【0066】
(2)樹脂フィルムの20GHzでの誘電正接Dfの測定
PNAネットワークアナライザー(キーサイトテクノロジー社製)を用い、JIS R1641に準拠して、実施例及び比較例と同様にして別途作製した40mm角のフィルム状のサンプルについて25℃、20GHzで空洞共振法により誘電正接Dfを測定した。
【0067】
(3)樹脂フィルムの水接触角の測定
接触角計DropMaster 100及び固液界面解析装置DropMaster 300(いずれも協和界面科学社製)を用い、JIS R3257の基板ガラス表面のぬれ性試験方法に準拠して、23℃、湿度50%でθ/2法にて、製造(製膜、及び、必要に応じて表面処理)から72時間後の樹脂フィルムの水接触角を求めた。より詳細には、例えば、1μmの水滴を樹脂フィルムの表面へ滴下し、5秒後の水接触角を測定した。
【0068】
(4)樹脂フィルムの表面粗さ(十点平均粗さ)Rzの測定
表面粗さ測定装置SJ-201(Mitutoyo社製)を用い、JIS B06011994に準拠して、測定速度0.5mm/s、カットオフ値λc0.8にて樹脂フィルムの表面粗さ(十点平均粗さ)Rzを測定した。
【0069】
(実施例2~13)
樹脂フィルムの組成、及び、表面処理を表1に示すように変更したこと、並びに、実施例7においては冷却ロールを凹凸を有するエンボスロールとしたこと、実施例11及び12においては冷却ロールを表面平滑性のより高い鏡面ロールとしたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂フィルムを得た。なお、実施例13では、m-PPEとLCPとの1:1(重量比)の混合樹脂を用いた。
【0070】
使用した材料について以下に示す。
・変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)(SABIC社製の商品名ノリル(登録商標)、ガラス転移温度130℃、20GHzでの誘電正接Df0.0006)
・シクロオレフィンポリマー(COP)(日本ゼオン社製の商品名ZEONEX(登録商標)、ガラス転移温度156℃、20GHzでの誘電正接Df0.0004)
・液晶ポリマー(LCP)(JX液晶社製の商品名ザイダー(登録商標)、融点280℃)
【0071】
・SEBS(2)(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、クレイトンポリマー社製の商品名HSBC G1657、ハードセグメント含有量13重量%)
・SEBS(3)(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、JSR社製の商品名DYNARON 9901P、ハードセグメント含有量55重量%)
【0072】
(比較例1~8)
樹脂フィルムの組成、及び、表面処理を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂フィルムを得た。
【0073】
使用した材料について以下に示す。
・ポリブチレンテレフタレート(PBT)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製の商品名ノバデュラン、融点220℃、20GHzでの誘電正接Df0.007)
・ポリエチレンテレフタレート(PET)(ベルポリエステル プロダクツ社製の商品名ペルペット、融点260℃、20GHzでの誘電正接Df0.03)
【0074】
・SEBS(4)(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、クレイトンポリマー社製の商品名HSBC G1652、ハードセグメント含有量30重量%)
【0075】
<評価>
実施例及び比較例で得られた樹脂フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0076】
(1)樹脂フィルムの製膜性
実施例及び比較例において樹脂フィルムを製膜した際、樹脂フィルムを製膜し良好に巻き取ることができた場合を〇、巻き取ることはできたが搬送時に外部からの応力によって破断してしまった場合を△、巻き取りが困難であった場合を×とした。
【0077】
(2)伝送損失(20GHz)の測定
樹脂フィルムの両面に接着剤付き銅箔を180℃でラミネートし、200℃で1時間アニールすることで銅張積層板(CCL)を作製した。得られた銅張積層板(CCL)に対してスルホール加工、メッキ処理、及び、エッチング処理を行い、マイクロストリップラインを作製した。これを測定サンプルとした。ベクトルネットワークアナライザーN5230A(アジレント・テクノロジー社製)及び測定用プローブB90-122391(ズース・マイクロテック社製)を用い、インピーダンス値50Ωにて測定サンプルの伝送損失(20GHz)を測定した。
伝送損失(20GHz)の値が2.0dB以下の場合を◎、2.0dBを超えて4.0dB未満の場合を〇、4.0dB以上、5.0dB未満の場合を△、5.0dB以上の場合を×とした。
なお、伝送損失(20GHz)の値が4.0dB未満であれば、高周波数帯での伝送損失が抑えられる。
【0078】
(3)接着剤との密着性の評価
樹脂フィルムを製造(製膜、及び、必要に応じて表面処理)してから3日後、樹脂フィルムの片面に接着剤付き銅箔を160℃で40分間ラミネートことで片面銅張積層板(CCL)を作製した。接着剤としては、エポキシ系接着剤(ニッカン工業社製、SAFV)を用いた。片面銅張積層板(CCL)の樹脂フィルムを50mm/minの速度で引き剥がして180°方向剥離力を測定した。
剥離力が3.5N/cm以上の場合を◎、2.0N/cm以上、3.5N/cm未満の場合を〇、2.0N/cm未満の場合を×とした。
なお、剥離力が2.0N/cm以上であれば、樹脂フィルム上に銅箔を積層して銅張積層板を作製したり、銅張積層板から配線基板を作製したりする際に剥がれが生じない程度に、樹脂フィルムと接着剤との密着性が得られているといえる。
【0079】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、伝送信号が高周波数化した場合にも伝送損失を抑えることができ、接着剤との密着性にも優れ、押出成形等によって良好に製造される樹脂フィルム、並びに、該樹脂フィルムを用いた接着剤層付き樹脂フィルム、及び、銅張積層板を提供することができる。