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  • 特開-エンボス化粧シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095981
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】エンボス化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20230629BHJP
   E04F 13/07 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
B32B27/00 E
E04F13/07 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076696
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2018194955の分割
【原出願日】2018-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 峰帆
(57)【要約】
【課題】エンボス化粧シートにおいて、建築基準法に則した実用的な不燃性を有するオレフィン系樹脂の化粧シートを提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されているエンボス化粧シートであって、前記熱可塑性樹脂基材シートが厚み85μm以下の無機充填ポリエステル系樹脂からなり、前記透明熱可塑性樹脂層が厚み60μm以下のポリプロピレン層からなり、さらに前記熱可塑性樹脂基材シートの重量が107g/m以下であり、かつ前記透明熱可塑性樹脂層の重量が54g/m以下であることを特徴とするエンボス化粧シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されているエンボス化粧シートであって、
前記熱可塑性樹脂基材シートが厚み85μm以下の無機充填ポリエステル系樹脂からなり、前記透明熱可塑性樹脂層が厚み60μm以下のポリプロピレン層からなり、
さらに前記熱可塑性樹脂基材シートの重量が107g/m以下であり、かつ前記透明熱可塑性樹脂層の重量が54g/m以下であることを特徴とするエンボス化粧シート。
【請求項2】
熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されているエンボス化粧シートであって、
前記熱可塑性樹脂基材シートが厚み35~85μmの無機充填ポリエステル系樹脂からなり、前記透明熱可塑性樹脂層が厚み30~60μmのポリプロピレン層からなり、
さらに前記熱可塑性樹脂基材シートの重量が44~107g/mであり、かつ前記透明熱可塑性樹脂層の重量が27~54g/mであることを特徴とするエンボス化粧シート。
【請求項3】
前記透明熱可塑性樹脂層が、前記熱可塑性樹脂基材シート側から、第1の樹脂を含んでなる第1の樹脂層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の樹脂層とがこの順に積層されてなることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンボス化粧シート。
【請求項4】
前記第1の樹脂層が透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含む層であり、前記第2の樹脂層が透明ポリプロピレンに紫外線吸収剤と光安定剤を含有させてなる層であることを特徴とする、請求項3に記載のエンボス化粧シート。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂基材層が、無機充填ポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のエンボス化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、エンボス化粧シートに関する。
【0002】
従来、木質系ボード類や、無機系ボード類、鋼鈑等の表面に接着剤で貼り合されて化粧板を形成するエンボス化粧シートがある。このようなエンボス化粧シートとしては、塩化ビニール樹脂を使用したものが一般的であったが、近年、焼却時の塩素発生等が問題とされ、塩化ビニール樹脂を使用しないものが要望されている。
そのような塩化ビニール樹脂の代替としては、オレフィン系の熱可塑性樹脂シートの使用が一般的である。(特許文献1)
【0003】
さて、建築基準法施工例などに規定されている「特殊建築物」や、都市計画法によって指定されている「防火地域」に使用する建築材料は、不燃材料である事が求められる。具体的には、建築基準法・同法施工令に規定されている発熱性試験(不燃材料:コーンカロリーメータ試験機にて20分加熱し、総発熱量が8MJ/m未満、最大発熱量200kW/mの超過時間が10秒未満であること)に申請・合格し、国交省の認定を通る必要がある。
【0004】
しかし、通常使われているオレフィン系樹脂は塩化ビニール樹脂と比較して燃焼エネルギーが高く、また塩化ビニール樹脂のように自己消火性も有していない。そのため、先の発熱性試験の基準をクリアする事が非常に困難である。
【0005】
過去にポリエステル系樹脂からなる単層シートで上記建築基準法に規定された不燃申請を合格しているものもあるが、単層であるが故の意匠面の単調さや、耐傷性・耐候性に劣るなどの問題点があった。
(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-328635号公報
【特許文献2】特開2003-311901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような点に着目したもので、上記建築基準法に則した十分な不燃性能を有するオレフィン系樹脂の化粧シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のエンボス化粧シートは、
熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されているエンボス化粧シートであって、前記熱可塑性樹脂基材シートが厚み85μm以下の無機充填ポリエステル系樹脂からなり、前記透明熱可塑性樹脂層が厚み60μm以下のポリプロピレン層からなり、さらに前記熱可塑性樹脂基材シートの重量が107g/m以下であり、かつ前記透明熱可塑性樹脂層の重量が54g/m以下であることを特徴とするエンボス化粧シートである。
【0009】
また、本発明のエンボス化粧シートは、
熱可塑性樹脂基材シート上に、絵柄模様層、接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層がこの順に積層されており、且つ、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されているエンボス化粧シートであって、前記熱可塑性樹脂基材シートが厚み35~85μmの無機充填ポリエステル系樹脂からなり、前記透明熱可塑性樹脂層が厚み30~60μmのポリプロピレン層からなり、さらに前記熱可塑性樹脂基材シートの重量が44~107g/mであり、かつ前記透明熱可塑性樹脂層の重量が27~54g/mであることを特徴とするエンボス化粧シートである。
【0010】
さらに、本発明のエンボス化粧シートは、
前記透明熱可塑性樹脂層が、前記熱可塑性樹脂基材シート側から、第1の樹脂を含んでなる第1の樹脂層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含んでなる第2の樹脂層とがこの順に積層されてなることを特徴とするエンボス化粧シートである。
【0011】
また、本発明のエンボス化粧シートは、前記第1の樹脂層が透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含む層であり、前記第2の樹脂層が透明ポリプロピレンに紫外線吸収剤と光安定剤を含有させてなる層であることを特徴とするエンボス化粧シートである。
【0012】
また、本発明のエンボス化粧シートは、前記熱可塑性樹脂基材層が、無機充填ポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする、エンボス化粧シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエンボス化粧シートによれば、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いても不燃性能を有することができる。
【0014】
また、本発明のエンボス化粧シートによれば、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いても不燃性能を有し、さらにエンボス加工により優れた意匠性と耐摩耗性、及び下地隠蔽性を有することができる。
【0015】
さらに本発明のエンボス化粧シートによれば、第1の樹脂層が基材シートとの接着性を担保しつつ、第2の樹脂層が層の主要部分となってその他の物性を担うなど、材料の設計の幅を広げることが可能となる。
【0016】
また、本発明のエンボス化粧シートによれば、第1の樹脂層を透明マレイン酸変性ポリプロピレンとすることで、熱可塑性樹脂基材シートとの接着性を良くすることができ、第2の層を透明ポリプロピレンと紫外線吸収剤と光安定剤のいずれか又はその複合を含んでなる層とすることで、樹脂内部の耐脆化に効果をあらわし、実用上の耐候性を得ることが可能となる。
【0017】
さらに本発明のエンボス化粧シートによれば、前記熱可塑性樹脂基材層が、無機充填ポリブチレンテレフタレート樹脂からなるため、より優れた不燃性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のエンボス化粧シートの層構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
(エンボス化粧シート1)
図1に示すように、本実施形態に係るエンボス化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材シート2上に、絵柄印刷層3、接着剤層4、及び透明熱可塑性樹脂層5がこの順に積層されて形成されている。
透明熱可塑性樹脂層5は少なくとも2層を有し、熱可塑性樹脂基材シート2の側から接着剤層4を介して、第1の樹脂層、第2の樹脂層をこの順に積層してなり、これらの層はいずれも透明熱可塑性樹脂からなる。
【0021】
また、少なくとも透明熱可塑性樹脂層5の第2の樹脂層の表面に近い側には、表面の艶の調整と立体感の付与とを行うために、エンボスが形成されている。更に、エンボスの上に表面保護層6が積層されている。また、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面側には表面活性化処理が施されており、該表面活性化処理された面にプライマー層7を設けてある。
なお、図1では概略を示すために各層を離間して表示しているが、実際には各層がそれぞれ密着している。
以下に、これらの各層について詳述する。
【0022】
(熱可塑性樹脂基材シート2)
熱可塑性樹脂基材シート2は、熱可塑性樹脂を含んでなる基材シートである。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などが用いられる。特に、ポリブチレンテレフタレートが好適に用いられる。また、上記接着剤層3との密着性を向上させるため、易接着層を設けたり、適宜コロナ処理などを施しても良い。
【0023】
着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を使用するドライカラー法、樹脂と高濃度の顔料とを溶融混練して予備分散したマスターバッチペレットを作製し、押出しホッパー内で着色のされていない通常の樹脂とドライブレンドするマスターバッチ法等を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0024】
顔料の種類も、特に限定されるものではないが、耐候性、耐熱性等を考慮すると、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また、有機顔料でも、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用することができる。顔料の色や配合比率は、隠蔽の度合いや意匠性等を鑑みて、任意に決められるものであり、特に限定されるものではない。
【0025】
本発明者の技術的検討によれば、熱可塑性樹脂基材シート2の厚みは85μm以下であればよいという知見が得られた。厚みが85μmを超えると、シート全体の有機質量が増加して不燃性能を損なう。さらに、熱可塑性樹脂基材シート2の厚みは35μm以上であるとさらに好ましい。厚みが35μm未満であると、化粧シートを貼り付ける対象物の下地由来の凹凸が化粧シートを通して表面に浮き出てしまうことがある。
【0026】
(絵柄模様層3)
絵柄模様層3は、熱可塑性樹脂基材シート2上に印刷により形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加する層である。絵柄としては、例えば、木目模様、コルク模様、石目模様、タイル模様、抽象柄等を用いることができる。
【0027】
印刷インキの顔料としては、例えば、イソインドリノンイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタンのいずれか、或いはこれらの混合物を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸nブチル、イソブタノール及びメチルイソブチルケトンを用いることができる。特に、熱可塑性樹脂基材シート2との接着性等を考慮すると、イソシアネート硬化剤と活性水素とを含んでいるバインダーが好ましい。
【0028】
また、印刷インキには、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を添加するようにしてもよい。さらに、印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、凹版印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷を用いることができる。
【0029】
(接着剤層4)
接着剤層4は、絵柄模様層3と透明熱可塑性樹脂層5とを接着する接着剤を含んでなる層である。接着剤としては、絵柄模様層3を構成する印刷インキと透明熱可塑性樹脂層5を構成する樹脂との組み合わせに応じて、ウレタン系、アクリル系、及びポリエステル系等から適宜選択する。
【0030】
(透明熱可塑性樹脂層5)
透明熱可塑性樹脂層5は、複数層からなるシート状の層である。各層は、絵柄模様層3の絵柄が透けて見える、透明な熱可塑性樹脂から形成される。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニール樹脂以外の種々の樹脂が可能である。各層の樹脂の組み合わせは、目的とする特性により、様々な組合せが可能である。層の数としては、4層以上も可能だが、押出し機の構造が複雑化し、作業の煩雑さが大きくなるため、3層までが好ましい。
【0031】
図1の例では、透明熱可塑性樹脂層5は、熱可塑性樹脂基材シート2側から、予め定めた樹脂(以下、「第1の樹脂」とも呼ぶ)を含んでなる中間層として第1の樹脂層51、及び第1の樹脂とは異なる樹脂(以下、「第2の樹脂」とも呼ぶ)を含んでなる表面層として第2の樹脂層52の2層がこの順に積層されて形成されている。
第1の樹脂及び第2の樹脂としては、例えば、エンボス化粧シート1の表面の耐傷性、耐候性、耐汚染性、耐光性、透明性、折り曲げ性、熱成形性等を考慮し、更に材料コスト等を考慮すれば、第1の樹脂は透明マレイン酸変性ポリプロピレンを含んでなる層であり、第2の樹脂は透明ポリプロピレンと紫外線吸収剤と光安定剤のいずれか、又はその複合組成物を含んでなる層であることが好ましい。
【0032】
本発明者の技術的検討によれば、透明熱可塑性樹脂層5の厚みは60μm以下であればよいという知見が得られた。厚みが60μmを超えると、シート全体の有機質量が増加して不燃性能を損なう。さらに、透明熱可塑性樹脂層5の厚みは30μm以上であればより好ましい。30μm未満であると、耐摩耗性が不充分で絵柄印刷層に達する傷が残り意匠性を阻害してしまうことがある。
【0033】
(ポリプロピレン樹脂)
本実施形態の透明熱可塑性樹脂層5に用いるポリプロピレン樹脂としては、例えば、自由末端長鎖分岐を付与したポリプロピレン樹脂(a)と、自由末端長鎖分岐を付与していないポリプロピレン樹脂(b)との混合物で、その混合物の質量平均分子量/数平均分子量として定義される分子量分布Mw/Mnが1以上5以下の範囲内にあり、かつ、その(a)と(b)の混合樹脂の、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、1%以上90%以下の範囲内にあるものを用いるようにしてもよい。
これにより、エンボス化粧シート1を鋼板基材に貼り合わせた後の折り曲げ加工において、白化や割れを抑制することができる。
【0034】
ここで、分子量分布は、分子量Miの分子がNi個存在する場合に、数平均分子量Mn=Σ(Mi×Ni)/ΣNi、質量平均分子量Mw=Σ(Ni×Mi)/Σ(Ni×Mi)の比、Mw/Mnとして定義される値である。分子量分布は、1に近いほど分子量の分布が狭く、均一性が高くなる。この分子量分布が5以下になるようにすれば、分子量を必要十分な大きさに揃えることができ、白化や割れの抑制に寄与するようになる。一般的には、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。
【0035】
また、前述の沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用である。
具体的には、試料を沸騰n-ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の質量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。詳しくは、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8g以上10g以下を入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電機ヒーターで加熱し、12時間抽出する。加熱は、冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。続いて、抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器にいれて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤し、(P/Po)×100によりアイソタクチック指数を算出する。ただし、Poは抽出前の試料質量(g)、Pは抽出後の試料質量(g)である。
【0036】
アイソタクチック指数を90%以下にすることで、ポリプロピレン結晶起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、例えば、非晶質ポリプロピレン成分(シンジオタクチックポリプロピレンやアダクチックポリプロピレン等)を一部に使う方法や、エチレンやα-オレフィン等のオレフィンモノマーを1種類以上ランダム共重合させる方法、各種ゴム成分(例えばエチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等の成分)を添加する方法を用いることができる。
【0037】
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合樹脂の溶融張力(2.0mm径のノズルキャピラリーレオメーターを用い、温度条件230℃、60mm/分で押し出し、2mm/分で引き取るときの張力)は、100mN以上500mN以下の範囲内にあることが望ましい。500mNを超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、安定した成膜ができなくなる。また100mN以下では、長鎖分岐成分が不十分となり、所望の性能を得難い。
【0038】
また、ポリプロピレン樹脂(a)と(b)との混合物の、JIS-K6760にて規定される230℃におけるメルトフローレートを5g/10min以上50g/10min以下の範囲内にすることで、分子量をある一定値以上で、かつ安定的な製膜状態を保持することができる。より好適なメルトフローレートの範囲は、10g/10min以上30g/10min以下であり、更に好ましくは10g/10min以上25g/10min以下である。
【0039】
メルトフローレートが50g/10minを超えると、Tダイによる溶融押出時に、Tダイから溶融押出された樹脂が、中央に集まろうとする効果(ネックイン)が大きくなり、Tダイから溶融押出された樹脂の端部厚みが増大してしまう。端部の厚み増大は冷却効率の低下と巾方向の厚み安定性に影響を与えるため、安定した製膜がしづらくなる。
また、5g/10minよりも低いと、溶融樹脂のドローレゾナンスが悪くなり、Tダイから出た直後の溶融樹脂の速度(初速)と冷却ロールに触れた直後の樹脂の速度とのギャップに溶融樹脂が対応できなくなってしまい、安定した製膜がしづらくなる。
【0040】
また、透明熱可塑性樹脂層5に添加する紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等から適宜選定する。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール,2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
【0041】
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を用いることができる。
【0042】
さらに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、オクタベンゾンや変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。イソシアネート添加による架橋による樹脂成分との結合を望めるため、紫外線吸収剤としては、特に、水酸基を有するものが適している。添加部数は、所望の耐候性に応じて設定すればよいが、樹脂固形分に対して0.1%以上50%以下、好ましくは1%以上30%以下とする。
【0043】
また、透明熱可塑性樹脂層5に添加する光安定剤には、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を用いることができる。
添加部数は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下とする。
【0044】
上記以外では、例えば、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等を添加してもよい。
熱安定剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3、5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]-プロピオネート、2、4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等やこれらの混合物、つまり、1種、または2種以上を組み合わせたものを用いることができる。
【0045】
また、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等を用いることができる。
さらに、ブロッキング防止剤としては、珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミド等の有機系ブロッキング防止剤等を用いることができる。また、透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、10μm以上100μm以下が好適である。
【0046】
(プライマー層7)
プライマー層7としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、これらの混合物等を使用することができる。更に、ポリオールとイソシアネートによる2液タイプにすることで、シートとプライマーの密着性およびプライマー自体の凝集力が向上する。ポリオールとしてはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4‘ジフェニルメタンジイソシアネートといった芳香族系、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートといった脂肪族系が挙げられる。反応性の早さの点、耐熱性の点で芳香族系が好ましい。
【0047】
プライマー層の厚みは1μm以上が好ましい。1μm未満となると接着剤の溶剤種によっては溶解してしまい、プライマー層が消失することから密着性が向上しない。
【0048】
プライマーに含有するシリカは、粒径1~4μm、細孔容積は0.4~2.0mL/gであれば、接着剤の吸収が良くかつプライマーの凝集力に影響しない。
シリカの含有量は、接着剤の吸収・浸透性、耐ブロッキング性を考慮して、プライマー樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下の割合とする。5重量部を下回ると接着力、耐ブロッキング性が悪く、30重量部を上回るとプライマーの層間剥離現象が見られる。
【実施例0049】
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
【0050】
(実施例1)
厚さ60μm、重量75g/mのポリブチレン系無機充填シート(大倉工業(株)製)を熱可塑性樹脂基材シート2として用い、この熱可塑性樹脂基材シート2上に、グラビア印刷法によって木目模様を印刷して絵柄模様層3を形成した。
続いて、この絵柄模様層3上に、ウレタン樹脂系接着剤を塗布し温風乾燥で接着剤層4を形成した。続いて、この接着剤層4上に、溶融した透明熱可塑性樹脂を含んでなる複数層を多軸エクストルーダーよりTダイで押し出して積層することで、透明熱可塑性樹脂層5を形成した。
【0051】
透明熱可塑性樹脂層5の第1の樹脂層51には、透明マレイン酸変性ポリプロピレン(理研ビタミン(株)製)を用い、第2の樹脂層52にはポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「IRGANOX1010」)を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN622」)を0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN326」)を0.5重量部添加した樹脂を用いた。
【0052】
同時に、導管エンボス版(版深30μm)とゴムロールとによって、熱可塑性樹脂基材シート2、絵柄模様層3、接着剤層4及び透明熱可塑性樹脂層5の積層体をニップして、エンボス加工とラミネートとを同時に行った。ここで、(第1の樹脂+第2の樹脂)の厚みは40μmとし、その時の重量は36g/mであった。
【0053】
この化粧シートのエンボス面に表面処理を施した後、トップコート樹脂としてウレタン系樹脂(東洋インキ(株)製「URV238ワニス」)に硬化剤(東洋インキ(株)製「UR150Bワニス」)を10重量部添加したものに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN326」)0.5重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN622」)を1重量部添加したものを、グラビアコートで乾燥後の塗布量が6g/mになるようにコートし、表面保護層6を得た。
【0054】
更に、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面に表面処理を施した後、この面にポリオール(東洋インキ(株)製「ラミスターEM」)100重量部に対して、シリカ10重量部を添加して含有させ、イソシアネート(東洋インキ(株)製「LPNYB硬化剤」)3重量部を加えたものをプライマー塗工液とし、グラビアコートで乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにコートしプライマー層7を得た。
【0055】
このような手順により、実施例1のエンボス化粧シート1を形成した。この時のシートの総重量は121g、有機質量は109gであった。
【0056】
(実施例2)(上台厚み上限)
(第1の樹脂+第2の樹脂)の厚みを60μm、重量を54g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0057】
(実施例3)(上台厚み下限)
(第1の樹脂+第2の樹脂)の厚みを30μm、重量を27g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0058】
(実施例4)(下台厚み上限)
ポリブチレン系無機充填シートの厚み85μm、重量107g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0059】
(実施例5)(下台厚み下限)
ポリブチレン系無機充填シートの厚み35μm、重量44g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0060】
(比較例1)(上台樹脂厚みが厚過ぎる)
(第1の樹脂+第2の樹脂)の厚みを65μm、重量を59g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0061】
(比較例2)(下台厚みが厚過ぎる)
ポリブチレン系無機充填シートの厚み90μm、重量112g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0062】
(参考例1)(上台樹脂厚みが薄過ぎる)
(第1の樹脂+第2の樹脂)の厚みを25μm、重量を23g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0063】
(参考例2)(下台厚みが薄過ぎる)
ポリブチレン系無機充填シートの厚み30μm、重量40g/mとした以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0064】
(参考例3)(上台樹脂が単層)
透明熱可塑性樹脂層5に第1の樹脂である透明マレイン酸変性ポリプロピレンを用いず、第2の樹脂であるポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「IRGANOX1010」)を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN622」)を0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製「TINUVIN326」)を0.5重量部添加した樹脂のみを用いる以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0065】
(参考例4)(熱可塑性樹脂層に耐候剤未使用)
第2の樹脂中に光安定剤・紫外線吸収剤を使用しない以外は、実施例1と同様にしてエンボス化粧シート1を形成した。
【0066】
(評価方法)
総重量の確認・有機質量の算出:100mm角の試験片を切り出し、完全燃焼前後の質量を測定することにより総重量の確認と有機質量の算出を行った。
【0067】
発熱性試験:99mm角の試験片を切り出し、コーンカロリーメータを用いた燃焼試験(20分加熱)を実施した。
【0068】
<不燃材料の基準>
・加熱開始後20分間の総発熱量が、8MJ/m以下であること。
・加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと。
・加熱開始後20分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kW/mを超えないこと。
○:不燃材料の基準を満たす。
×:不燃材料の基準を満たさない。
【0069】
耐摩耗性:12mmのMDF基材にエチレン-酢酸ビニル共重合エマルジョン型接着剤を塗布し、エンボス化粧シート1のプライマー層7側と貼り合せ化粧板を得た。
上記化粧板から120mm角のサンプルを切り出し、合板の日本農林規格記載の摩耗C試験を実施し、表面状態を確認した。
○:絵柄印刷層に達する傷は発生せず。
△:絵柄印刷層に達する傷があるが柄消失の程度はごく軽微。
×:絵柄印刷層に達する傷があり、意匠を大きく阻害する。
【0070】
耐候性評価:メタルウェザー試験機(ダイプラ・ウィンテス(株)製 ダイプラ・メタルウェザー KU-R5DC1-A)を用い、以下の試験条件で144h促進耐候性試験を行った。
試験条件:照度65mW/cm、Light(53℃、50%RH)20hのあと、Dew(30℃、95%RH)4hで1サイクル終了。散水はDewの前後に30秒。評価項目は以下の通りとした。
〇:表面のひび割れ・クラックや絵柄印刷層の変退色などの発生がない。
△:軽微なひびや変退色を確認。
×:明らかなひびや変退色を確認。
【0071】
層間密着性評価:エンボス化粧シートを1インチ巾にカットし、溶剤を用いてエンボス化粧シートの熱可塑性樹脂層を絵柄印刷層から一部剥離させた状態(図中、第1の樹脂層51と接着剤層4の界面、もしくは接着剤層4と絵柄印刷層3の界面で剥離)にした上で、テンシロンを用いて20mm/minで180°剥離試験を実施し層間密着強度を測定した。評価項目は、以下の通りとした。
〇:20N/inch以上。(実使用上十分な層間密着強度を有する)
×:20N/inch未満、もしくはジッパー剥離。
【0072】
下地隠蔽性:12mmのMDF基材にエチレン-酢酸ビニル共重合エマルジョン型接着剤を塗布し、エンボス化粧シート1のプライマー層7側と貼り合せ化粧板を得た。
化粧板の表面状態を確認した。
◎:下地の異物除去などを特に行わずとも良好な表面状態。
〇:下地由来の凹凸を拾うことなく良好な表面状態。
△:下地由来の凹凸がエンボス化粧シート越しに確認されるが、意匠への影響は軽微。
×:下地由来の凹凸がエンボス化粧シート越しに確認され、意匠を著しく阻害する。
【0073】
(評価結果)
評価結果を以下の表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
以上の評価結果から、実施例の範囲でエンボス化粧シートを作成することにより、不燃材料としての発熱性能を有しつつ、実使用上に耐えうる耐摩耗性・耐候性を備え、相関密着性・下地隠蔽性を備えたエンボス化粧シートを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1:エンボス化粧シート
2:熱可塑性樹脂基材シート
3:絵柄印刷層
4:接着剤層
5:透明熱可塑性樹脂層
51:第1の樹脂層
52:第2の樹脂層
6:表面保護層
7:プライマー層
図1