(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096070
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 71/60 20230101AFI20230629BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230629BHJP
H10K 59/173 20230101ALI20230629BHJP
H10K 50/814 20230101ALI20230629BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20230629BHJP
【FI】
H10K71/60
H10K50/10
H10K59/173
H10K50/814
H10K71/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081461
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2021189187の分割
【原出願日】2017-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】村上 重則
(72)【発明者】
【氏名】小山田 崇人
(57)【要約】
【課題】導電部及び絶縁層を簡易な製造プロセスで形成する。
【解決手段】パターニング材400は、第1電極110の端部110Eを露出している。導電部200及び絶縁層300は、共通のパターニング材、つまり、パターニング材400によって自己整合的に形成されている。したがって、導電部200を形成するためのマスク(例えば、メタルマスク)と絶縁層300を形成するためのマスク(例えば、レジストパターン)を別々に設ける必要がない。したがって、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する第1電極の端部を露出するパターニング材を形成する工程と、
前記第1電極上及び前記パターニング材上に導電部を形成する工程と、
前記導電部上及び前記パターニング材上に絶縁層を形成する工程と、
前記導電部及び前記絶縁層を形成した後で前記パターニング材を除去する工程と、
を含む、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光装置として、有機発光ダイオード(OLED)が開発されている。OLEDは、第1電極、有機層及び第2電極を有している。第1電極は、透光性を有している。第2電極は、光反射性を有している。有機層は、第1電極と第2電極の間にある。有機層は、有機エレクトロルミネッセンスによって光を発する発光層を含んでいる。発光層は、第1電極と第2電極の間の電圧によって光を発する。
【0003】
特許文献1及び2には、OLEDの製造方法の一例について記載されている。具体的には、特許文献1及び2では、開口を有するパターニング材を基板上に形成し、基板上及びパターニング材上に導電層を形成し、導電層及びパターニング材上に有機層を形成する。開口の内側では、導電層及び有機層が基板上に積層され、開口の外側では、導電層及び有機層がパターニング材上に積層される。その後、パターニング材を、パターニング材上の導電層及び有機層とともに取り除く。この工程において、基板上の導電層及び有機層は、基板上に残る。基板上に残った導電層は、OLEDの電極として機能する。
【0004】
特許文献3には、アクティブマトリクスOLEDの一例について記載されている。このOLEDは、導電層、複数の第1電極、複数の有機層及び第2電極を有している。導電層は、マトリクス状に並ぶ複数の開口を有している。複数の第1電極のそれぞれは、複数の開口の内部のそれぞれに位置しており、導電層から電気的に絶縁している。複数の有機層のそれぞれは、複数の第1電極のそれぞれと重なっている。第2電極は、複数の開口に跨って広がっており、一部の領域で導電層に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-258020号公報
【特許文献2】特開2014-123441号公報
【特許文献3】特開2013-54979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一部のOLEDは、第1電極、導電部、絶縁層及び第2電極を備えている。第1電極は、透光性を有しており、長手方向を有している。導電部は、第1電極に接続しており、第1電極の長手方向に延伸している。導電部は、第1電極の長手方向における電圧降下を抑制するために設けられている。絶縁層は、導電部を覆っている。絶縁層は、OLEDの発光部を画定するために設けられている。導電部及び絶縁層は、可能な限り簡易な製造プロセスで形成されることが望ましい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、導電部及び絶縁層を簡易な製造プロセスで形成することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例は、
透光性を有する第1電極の端部を露出するパターニング材を形成する工程と、
前記第1電極上及び前記パターニング材上に導電部を形成する工程と、
前記導電部上及び前記パターニング材上に絶縁層を形成する工程と、
前記導電部及び前記絶縁層を形成した後で前記パターニング材を除去する工程と、
を含む、発光装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る発光装置を示す平面図である。
【
図7】
図6に示した発光装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図8】
図6に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図9】
図6に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図10】
図6に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図11】
図6に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図12】
図6に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図15】
図14に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図16】
図14に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図17】
図14に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図19】
図18に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図20】
図18に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図21】
図18に示した発光装置の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図22】
図12に示した第1電極の端部及びその周辺の電子顕微鏡像を示す図である。
【
図23】(a)は、
図11に示した導電部、絶縁層及びパターニング材の電子顕微鏡像を示す図であり、(b)は、
図12に示した導電部及び絶縁層の電子顕微鏡像を示す図である。
【
図24】パターニング材を形成するレジストのPEBの時間によって第2角θ2及び第4角度θ4(例えば、
図9)が調整可能な理由を説明するための図である。
【
図25】パターニング材400の電子顕微鏡像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る発光装置10を示す平面図である。
図2は、
図1から第2電極130を取り除いた図である。
図3は、
図2から絶縁層300を取り除いた図である。
図4は、
図3に示した第1電極110を拡大した図である。
図5は、
図1のA-A断面図である。
図6は、
図5に示した領域αを拡大した図である。説明のため、
図1から
図3では、
図4に示した導電部200が取り除かれており、
図5及び
図6に示した有機層120が取り除かれている。
【0012】
図1から
図6に示す例において、X方向は、発光部142の長手方向に沿った方向として規定されており、Y方向は、X方向に交わる方向として、より具体的にはX方向に直交する方向として規定されており、特に
図1から
図3に示す例では、発光部142の短手方向に沿っている。
【0013】
図6を用いて、発光装置10の概要について説明する。発光装置10は、基板100、第1電極110、有機層120、導電部200及び絶縁層300を備えている。基板100は、第1面102を有している。第1電極110は、基板100の第1面102上にある。第1電極110は、透光性を有している。有機層120は、第1電極110上にある。有機層120は、発光層を含んでいる。導電部200は、第1電極110の端部110Eを覆っている。絶縁層300は、導電部200を覆っている。絶縁層300は、導電部200の外側に向けて突出した突出部を有しており、特に
図6に示す例では、突出部310(第1突出部)及び突出部320(第2突出部)を有している。突出部310は、第1電極110に接しており、突出部320は、基板100に接している。
【0014】
絶縁層300の上述した突出部は、導電部200の外側に向かうにつれて突出部の厚さが薄くなるように傾斜した傾斜面を有しており、特に
図6に示す例では、突出部310が第1傾斜面312を有し、突出部320が第1傾斜面322を有している。すなわち、第1傾斜面312によって、突出部310の厚さは、導電部200の外側に向かうにつれて薄くなっており、第1傾斜面322によって、突出部320の厚さは、導電部200の外側に向かうにつれて薄くなっている。
【0015】
突出部310及び突出部320は、
図8から
図12を用いて後述するように、本発明者が新規に考案した製造プロセスを採用したときに形成される。
図8から
図12を用いて後述するように、当該プロセスを採用することによって、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【0016】
次に、
図1から
図3を用いて、発光装置10の平面レイアウトの詳細について説明する。発光装置10は、基板100、複数の第1電極110、複数の第1接続部112、第1配線114、複数の第2電極130、複数の第2接続部132及び第2配線134を備えている。
【0017】
基板100の形状は、X方向に沿った長辺及びY方向に沿った短辺を有する矩形である。ただし、基板100の形状は、この例に限定されるものではない。基板100の形状は、例えば円でもよいし、又は矩形以外の多角形であってもよい。
【0018】
複数の第1電極110は、互いに離間して位置しており、具体的には、X方向に沿って一列に並んでいる。複数の第1電極110のそれぞれは、Y方向に延伸している。
【0019】
複数の第1接続部112のそれぞれは、複数の第1電極110のそれぞれに接続している。
図3に示す例では、第1接続部112は、第1電極110と一体となっている。
【0020】
第1配線114は、複数の第1接続部112に接続している。第1配線114は、X方向に延伸している。外部からの電圧は、第1配線114及び第1接続部112を介して第1電極110に供給される。
【0021】
複数の第2電極130のそれぞれは、複数の第1電極110のそれぞれに重なっている。複数の第2電極130は、互いに離間して位置しており、具体的には、X方向に沿って一列に並んでいる。複数の第2電極130のそれぞれは、Y方向に延伸している。
【0022】
複数の第2接続部132のそれぞれは、複数の第2電極130のそれぞれに接続している。
【0023】
第2配線134は、複数の第2接続部132に接続している。第2配線134は、X方向に延伸している。外部からの電圧は、第2配線134及び第2接続部132を介して第2電極130に供給される。
【0024】
発光装置10は、発光領域140を備えている。発光領域140は、複数の発光部142及び複数の透光部144を含んでいる。複数の発光部142及び複数の透光部144は、X方向に沿って交互に並んでいる。
図5を用いて後述するように、複数の発光部142のそれぞれは、絶縁層300の開口302によって画定されている。
図1から
図3に示す例では、各発光部142は、Y方向に延伸している。複数の透光部144のそれぞれは、遮光性部材、具体的には、第2電極130及び導電部200(
図4から
図6)と重なっておらず、外部からの光は、透光部144を透過することができる。
【0025】
次に、
図4を用いて、第1電極110の平面レイアウトの詳細について説明する。発光装置10は、第1電極110及び2つの導電部200を備えている。
【0026】
第1電極110は、2つの端部110Eを有している。2つの端部110Eは、Y方向に延伸している。
【0027】
2つの導電部200は、第1電極110の2つの端部110Eとそれぞれ重なっており、Y方向に延伸している。導電部200は、第1電極110に含まれる導電材料の導電率より高い導電率を有する材料を含んでいる。したがって、導電部200は、第1電極110の補助電極として機能しており、Y方向における電圧降下を抑制することができる。
【0028】
次に、
図5を用いて、発光装置10の断面構造の詳細について説明する。発光装置10は、基板100、第1電極110、有機層120、第2電極130、導電部200及び絶縁層300を備えている。基板100は、第1面102を有している。第1電極110、有機層120、第2電極130、導電部200及び絶縁層300は、いずれも、基板100の第1面102上にある。第2面104は、第1面102の反対側にある。
【0029】
図5に示す例において、発光装置10は、ボトムエミッションとして機能している。つまり、有機層120から発せられた光は、主に基板100の第2面104から出力される。つまり、基板100の第2面104は、発光装置10の発光面として機能している。
【0030】
基板100は、透光性を有している。基板100は、例えば、ガラス又は樹脂を含んでいる。
【0031】
第1電極110は、透光性及び導電性を有している。具体的には、第1電極110は、透光性及び導電性を有する材料を含んでおり、例えば金属酸化物、具体的には例えば、ITO(Indium Tin Oxide)及びIZO(Indium Zinc Oxide)の少なくとも1つを含んでいる。これにより、有機層120からの光は、第1電極110を透過することができる。
【0032】
有機層120は、一例において、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を含んでいる。この例において、第1電極110からHIL及びHTLを介してEMLに正孔が注入され、第2電極130からEIL及びETLを介してEMLに電子が注入され、正孔及び電子は、EMLで再結合して、EMLから光が発せられる。
【0033】
第2電極130は、遮光性、より具体的には光反射性を有し、さらに導電性を有している。したがって、有機層120からの光は、第2電極130をほとんど透過することなく、第2電極130で反射される。一例において、第2電極130は、光反射性及び導電性を有する材料を含んでおり、例えば金属、具体的には例えば、Al、Ag及びMgAgの少なくとも1つを含んでいる。
【0034】
導電部200は、導電性を有しており、より具体的には、第1電極110に含まれる導電材料(例えば、酸化物半導体)の導電率より高い導電率を有する導電材料を含んでいる。したがって、導電部200は、第1電極110の補助電極として機能することができる。
【0035】
導電部200は、遮光性、より具体的には、光反射性を有している。したがって、導電部200は、有機層120から発せられて基板100の第2面104で反射した光を遮ることができる(詳細は
図7を用いて後述する。)。
【0036】
一例において、導電部200は、金属、具体的には、Al及びMoの少なくとも一つを含んでおり、より具体的には、MAM(Mo/Al/Mo)である。
【0037】
図5に示す例において、絶縁層300は、透光性を有している。したがって、外部からの光は、絶縁層300を透過することができる。一例において、絶縁層300は、無機材料、具体的には、シリコン酸化物(SiO
2)を含んでいる。
【0038】
絶縁層300は、開口302を有しており、開口302の内部では、第1電極110、有機層120及び第2電極130が発光部142を形成するように積層されている。言い換えると、絶縁層300は、発光部142を画定している。なお、
図5に示す例では、有機層120は、複数の発光部142に亘って広がっている。
【0039】
透光部144は、隣り合う発光部142の間に位置しており、遮光部材、特に
図5に示す例では第2電極130及び導電部200と重なっていない。したがって、発光装置10の外部からの光は、透光部144を透過することができる。
【0040】
発光装置10は、半透過OLEDとして機能している。具体的には、複数の発光部142から光が発せられていない場合、透光部144によって、人間の視覚では、第1面102側の物体が第2面104側から透けて見え、第2面104側の物体が第1面102側から透けて見える。さらに、複数の発光部142からの光は、第2面104側から主に出力され、第1面102側からはほとんど出力されない。複数の発光部142から光が発せられている場合、透光部144によって、人間の視覚では、第2面104側の物体が第1面102側から透けて見える。
【0041】
次に、
図6を用いて、発光装置10の断面構造の詳細についてさらに説明する。
【0042】
導電部200は、第1電極110の端部110Eを覆っており、より具体的には、第1電極110の端部110Eを跨って第1電極110の内側から外側に亘って広がっている。したがって、第1電極110は、端部110E及びその周辺において、導電部200によって覆われている。したがって、有機層120から発せられて基板100の第2面104(
図5)で反射した光が端部110E及びその周辺において第1電極110から漏れることを抑えることができる。
【0043】
絶縁層300は、導電部200を覆っている。特に
図6に示す例では、絶縁層300の幅は、導電部200の幅より広くなっており、導電部200のいずれの部分も、絶縁層300によって覆われている。より具体的には、導電部200は、端部210E及び端部220Eを有しており、端部210Eは、第1電極110に接しており、端部220Eは、端部210Eの反対側にあって基板100に接している。絶縁層300は、端部310E及び端部320Eを有しており、端部310Eは、第1電極110に接しており、端部320Eは、端部310Eの反対側にあって基板100に接している。絶縁層300の端部310Eは、導電部200の端部210Eより外側にあり、絶縁層300の端部320Eは、導電部200の端部220Eより外側にある。
【0044】
絶縁層300は、突出部310及び突出部320を有している。突出部310は、第1電極110に接しており、突出部320は、基板100に接している。
図6に示す例では、突出部310の先端は、突出部310の端部310Eとなっており、突出部320の先端は、突出部310の端部320Eとなっている。
【0045】
突出部310は、第1傾斜面312を有しており、第1傾斜面312によって、突出部310の厚さは、導電部200の外側に向かうにつれて薄くなっている。
図8から
図12を用いて後述するように、突出部310は、本発明者が新規に考案した製造プロセスを採用したときに形成される。
【0046】
突出部320は、第1傾斜面322を有しており、第1傾斜面322によって、突出部320の厚さは、導電部200の外側に向かうにつれて薄くなっている。
図8から
図12を用いて後述するように、突出部320は、本発明者が新規に考案した製造プロセスを採用したときに形成される。
【0047】
絶縁層300は、第2傾斜面314を有している。第2傾斜面314は、突出部310より内側にあって第1傾斜面312に交わっている。基板100の第1面102に対する第1傾斜面312の傾きは、基板100の第1面102に対する第2傾斜面314の傾きより小さくなっている。
図8から
図12を用いて後述するように、第1傾斜面312の傾きと第2傾斜面314の傾きの関係は、本発明者が新規に考案した製造プロセスを採用したときに生じる。
【0048】
絶縁層300は、第2傾斜面324を有している。第2傾斜面324は、突出部320より内側にあって第1傾斜面322に交わっている。基板100の第1面102に対する第1傾斜面322の傾きは、基板100の第1面102に対する第2傾斜面324の傾きより小さくなっている。
図8から
図12を用いて後述するように、第1傾斜面322の傾きと第2傾斜面324の傾きの関係は、本発明者が新規に考案した製造プロセスを採用したときに生じる。
【0049】
図6に示す例では、第2電極130の幅は、第1電極110の幅より広くなっており、第2電極130の端部130Eは、X方向において、第1電極110の端部110Eより外側にある。さらに、
図6に示す例では、絶縁層300は、第2電極130の端部130Eより外側の領域を含んでおり、したがって、絶縁層300の端部320Eは、第2電極130の端部130Eより外側にある。このようにして、第2電極130の端部130Eは、X方向において、第1電極110の端部110Eと絶縁層300の端部320Eの間にある。
【0050】
図7は、
図6に示した発光装置10の動作の一例を説明するための図である。
【0051】
図7に示す例では、有機層120から発せられた光が第1電極110及び基板100を透過して基板100の第2面104(
図5)でフレネル反射によって反射している。
図7に示す例では、この光を導電部200によって遮っている。つまり、導電部200は、第1電極110の端部110E及びその周辺において、第1電極110から光が漏れることを防いでいる。したがって、導電部200によって、発光装置10の発光面(基板100の第2面104(
図5))の反対側へ漏れる光の量を抑えることが可能になっている。
【0052】
図8から
図12までの各図は、
図6に示した発光装置10の製造方法の一例を説明するための図である。
図6に示した発光装置10は、以下のようにして製造することができる。
【0053】
まず、
図8に示すように、基板100の第1面102上に第1電極110を形成する。一例において、第1電極110は、導電層をパターニングすることによって形成することができる。なお、第1接続部112及び第2接続部132(
図1から
図3)は、第1電極110と共通の導電層をパターニングすることによって形成してもよい。
【0054】
次いで、
図9に示すように、パターニング材400を形成する。パターニング材400は、第1電極110の端部110Eを露出している。より具体的には、パターニング材400は、第1内側面410及び第2内側面420を有している。第1内側面410は、第1電極110の端部110Eより内側にある。第2内側面420は、第1電極110の端部110Eより外側にあって、第1内側面410に対向している。第1電極110の端部110Eは、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間から露出している。
【0055】
図9に示す例において、第1内側面410と第2内側面420の間の距離は、パターニング材400の下端に向かうにつれて広がっている。
【0056】
図9に示す例において、第1内側面410は、傾斜面412及び傾斜面414を有している。傾斜面414は、傾斜面412よりパターニング材400の下端に近く位置しており、第1電極110に交わっている。傾斜面412は、パターニング材400の厚さ方向に沿ってパターニング材400の下端に向かう方向から第1角度θ1で傾いており、傾斜面414は、パターニング材400の厚さ方向に沿ってパターニング材400の下端に向かう方向から第2角度θ2で傾いている。第2角度θ2は、第1角度θ1より大きくなっている。
【0057】
図9に示す例において、第2内側面420は、傾斜面422及び傾斜面424を有している。傾斜面424は、傾斜面422よりパターニング材400の下端に近く位置しており、基板100に交わっている。傾斜面422は、パターニング材400の厚さ方向に沿ってパターニング材400の下端に向かう方向から第3角度θ3で傾いており、傾斜面424は、パターニング材400の厚さ方向に沿ってパターニング材400の下端に向かう方向から第4角度θ4で傾いている。第4角度θ4は、第3角度θ3より大きくなっている。
【0058】
傾斜面414の第2角度θ2及び傾斜面424の第4角度θ4は、
図24を用いて後述するように、例えば、パターニング材400を形成するレジストのPEB(Post Exposure Bake)の時間によって調整することができる。
【0059】
次いで、
図10に示すように、基板100上、第1電極110上及びパターニング材400上に導電層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で導電部200が形成され、パターニング材400上に導電部201が形成される。つまり、導電部200は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0060】
導電部200は、導電部200がX方向に沿って広範囲に形成されることを防ぐため、言い換えると、
図11を用いて後述するように、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われるようにするため、段差被覆性に劣った堆積方法によって形成されている。特に
図10に示す例では、導電部200は、蒸着によって形成されている。
【0061】
次いで、
図11に示すように、基板100上、第1電極110上、導電部200上及びパターニング材400上に絶縁層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で絶縁層300が形成され、パターニング材400上に絶縁層301が形成される。つまり、絶縁層300は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0062】
絶縁層300は、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われるようにするため、段差被覆性に優れた堆積方法によって形成されている。特に
図11に示す例では、絶縁層300は、スパッタによって形成されている。したがって、絶縁層300は、スパッタによって堆積可能な材料、特に
図11に示す例では、無機材料からなっている。
【0063】
図10及び
図11に示す例では、導電部200及び絶縁層300は、共通のパターニング材、つまり、パターニング材400によって自己整合的に形成されている。したがって、導電部200を形成するためのマスク(例えば、メタルマスク)と絶縁層300を形成するためのマスク(例えば、レジストパターン)を別々に設ける必要がない。したがって、
図10及び
図11に示す例によれば、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【0064】
図9から
図11に示す例では、パターニング材400の第1内側面410及び第2内側面420のそれぞれの傾き、導電部200の堆積方法及び絶縁層300の堆積方法によって、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われるようにすることが可能となっている。具体的には、第1内側面410と第2内側面420の間の距離は、パターニング材400の下端に向かうにつれて広がっている。導電部200の堆積方法は、段差被覆性に劣っている。これに対して、絶縁層300の堆積方法は、段差被覆性に優れている。したがって、導電部200及び絶縁層300は、絶縁層300の幅が導電部200の幅より広くなるように堆積させることができる。このようにして、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われている。
【0065】
絶縁層300の突出部310は、第1電極110上かつパターニング材400の傾斜面414下の空間に入り込んだ絶縁層によって形成されている。したがって、基板100の第1面102に対する突出部310の第1傾斜面312の傾きは、緩やかになっており、具体的には、基板100の第1面102に対する絶縁層300の第2傾斜面314に対する傾きより小さくなっている。
【0066】
絶縁層300の突出部320は、基板100の第1面102上かつパターニング材400の傾斜面424下の空間に入り込んだ絶縁層によって形成されている。したがって、基板100の第1面102に対する突出部320の第1傾斜面322の傾きは、緩やかになっており、具体的には、基板100の第1面102に対する絶縁層300の第2傾斜面324に対する傾きより小さくなっている。
【0067】
図11に示す例では、絶縁層301は、段差被覆性によって、第1内側面410の傾斜面412及び第2内側面420の傾斜面422にも亘って広がっている。しかしながら、
図11に示す例では、絶縁層301が第1内側面410の傾斜面412を経由して第1電極110に達することを第1内側面410の傾斜面414によって防いでおり、絶縁層301が第2内側面420の傾斜面422を経由して基板100に達することを第2内側面420の傾斜面424によって防いでいる。具体的には、パターニング材400の深さ方向に対する傾斜面414の傾き(第2角度θ2に対応)は、パターニング材400の深さ方向に対する傾斜面412の傾き(第1角度θ1に対応)より大きくなっており、したがって、絶縁層301は傾斜面414に沿って広がりにくくなっている。同様にして、パターニング材400の深さ方向に対する傾斜面424の傾き(第4角度θ4に対応)は、パターニング材400の深さ方向に対する傾斜面422の傾き(第3角度θ3に対応)より大きくなっており、したがって、絶縁層301は傾斜面424に沿って広がりにくくなっている。
【0068】
次いで、
図12に示すように、パターニング材400(
図11)を除去する。これによって、導電部201及び絶縁層301(
図11)がパターニング材400とともに除去される。パターニング材400は、剥離液によって除去することができる。一例において、パターニング材400上から剥離液を噴霧することができる。他の例において、剥離液に含侵させたパターニング材400に超音波洗浄を適用してもよい。
【0069】
図11及び
図12に示す例では、剥離液は、第1電極110上かつパターニング材400の傾斜面414下の空間に入り込むことができるとともに、基板100の第1面102上かつパターニング材400の傾斜面424下の空間に入り込むことができる。特に
図11に示す例では、パターニング材400の傾斜面414及び傾斜面424は、絶縁層301によって覆われていない。したがって、剥離液は、第1電極110上かつパターニング材400の傾斜面414下の空間からパターニング材400に接することができるとともに、基板100の第1面102上かつパターニング材400の傾斜面424下の空間からパターニング材400に接することができる。
【0070】
図11及び
図12に示す例では、導電部200が剥離液に溶解することを防ぐことができる。仮に、剥離液が導電部200に接すると、特に、剥離液がアルカリを含み、かつ導電部200がAlを含むとき、導電部200が剥離液に溶解する可能性がある。これに対して、
図11に示す例では、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われている。したがって、絶縁層300によって導電部200を剥離液から遮ることができ、導電部200が剥離液に溶解することを防ぐことができる。
【0071】
図11及び
図12に示す例では、超音波洗浄の超音波による導電部200の腐食を防ぐことができる。仮に、導電部200の表面が露出していると、パターニング材400を除去するために超音波洗浄を用いたとき、導電部200が超音波洗浄の超音波によって腐食する可能性がある。これに対して、
図11に示す例では、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われている。したがって、絶縁層300によって導電部200を超音波から遮ることができ、超音波洗浄の超音波による導電部200の腐食を防ぐことができる。
【0072】
次いで、有機層120を形成する。一例において、有機層120は、蒸着又は塗布プロセスによって形成することができる。
【0073】
次いで、第2電極130を形成する。一例において、第2電極130は、蒸着、より具体的には、真空蒸着によって形成することができる。
【0074】
このようにして、
図6に示した発光装置10を製造することができる。
【0075】
以上、本実施形態によれば、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【0076】
【0077】
図13に示す例において、絶縁層300は、光吸収性を有している。したがって、絶縁層300は、有機層120から発せられて基板100の第2面104で反射した光を遮ることができる。
【0078】
一例において、絶縁層300は、シリコン窒化物(SiN)を含んでいる。この例において、絶縁層300の吸光度は、シリコン窒化物中の窒素組成比によって調整することができる。
【0079】
図14は、
図6の第1の変形例を示す図である。
図15から
図17までの各図は、
図14に示した発光装置10の製造方法の一例を説明するための図である。
【0080】
図14に示す例において、絶縁層300は、突出部310及び突出部320(
図6)を有していない。突出部310及び突出部320が不存在の理由は、
図15から
図17を用いて後述するように、パターニング材400の厚さ方向に対する第1内側面410の傾き及びパターニング材400の厚さ方向に対する第2内側面420の傾きがパターニング材400の上端から下端にかけて一定であることに起因している。
【0081】
図15から
図17を用いて、発光装置10の製造方法の一例について説明する。
【0082】
まず、実施形態の
図8と同様にして、第1電極110を形成する。
【0083】
次いで、
図15に示すように、パターニング材400を形成する。パターニング材400は、第1電極110の端部110Eを露出している。
【0084】
図15に示す例において、第1内側面410と第2内側面420の間の距離は、パターニング材400の下端に向かうにつれて広がっている。さらに、
図15に示す例では、パターニング材400の厚さ方向に対する第1内側面410の傾き及びパターニング材400の厚さ方向に対する第2内側面420の傾きは、パターニング材400の上端から下端にかけて一定である。
【0085】
次いで、
図16に示すように、基板100上、第1電極110上及びパターニング材400上に導電層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で導電部200が形成され、パターニング材400上に導電部201が形成される。つまり、導電部200は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0086】
図16に示す例では、
図10を用いて説明した理由と同様にして、導電部200は、段差被覆性に劣った堆積方法、具体的には、蒸着によって形成されている。
【0087】
次いで、
図17に示すように、基板100上、第1電極110上、導電部200上及びパターニング材400上に絶縁層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で絶縁層300が形成され、パターニング材400上に絶縁層301が形成される。つまり、絶縁層300は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0088】
図17に示す例では、
図11を用いて説明した理由と同様にして、絶縁層300は、段差被覆性に優れた堆積方法、具体的には、スパッタによって形成されている。
【0089】
図16及び
図17に示す例では、
図10及び
図11に示した例と同様にして、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【0090】
図15から
図17に示す例では、
図9から
図11に示した例と同様にして、X方向において導電部200の全体が絶縁層300によって覆われるようにすることが可能となっている。
【0091】
次いで、実施形態の
図12と同様にして、パターニング材400を除去する。次いで、実施形態と同様にして、有機層120及び第2電極130を形成する。
【0092】
このようにして、
図14に示した発光装置10を製造することができる。
【0093】
図18は、
図6の第2の変形例を示す図である。
図19から
図21までの各図は、
図18に示した発光装置10の製造方法の一例を説明するための図である。
【0094】
図18に示す例において、絶縁層300の幅は、導電部200の幅と等しくなっている。より具体的には、導電部200は、端面210S及び端面220Sを有しており、端面210Sは、第1電極110に接しており、端面220Sは、端面210Sの反対側にあって基板100に接している。絶縁層300は、端面310S及び端面320Sを有しており、端面310Sは、第1電極110側にあり、端面320Sは、端面310Sの反対側にある。導電部200の端面210Sは、絶縁層300から露出しており、特に
図18に示す例では、絶縁層300の端面310Sと揃っている。導電部200の端面220Sは、絶縁層300から露出しており、特に
図18に示す例では、絶縁層300の端面320Sと揃っている。導電部200の端面210S及び端面220Sが絶縁層300から露出している理由は、
図19から
図21を用いて後述するように、パターニング材400の第1内側面410及び第2内側面420がパターニング材400の厚さ方向に沿っていることに起因している。
【0095】
図19から
図21を用いて、発光装置10の製造方法の一例について説明する。
【0096】
まず、実施形態の
図8と同様にして、第1電極110を形成する。
【0097】
次いで、
図19に示すように、パターニング材400を形成する。パターニング材400は、第1電極110の端部110Eを露出している。
【0098】
図19に示す例において、パターニング材400の第1内側面410及び第2内側面420は、パターニング材400の厚さ方向に沿っている。
【0099】
次いで、
図20に示すように、基板100上、第1電極110上及びパターニング材400上に導電層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で導電部200が形成され、パターニング材400上に導電部201が形成される。つまり、導電部200は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0100】
図20に示す例では、導電部200の幅は、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間の距離によって規定される。
【0101】
次いで、
図21に示すように、基板100上、第1電極110上、導電部200上及びパターニング材400上に絶縁層を形成する。これによって、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間で絶縁層300が形成され、パターニング材400上に絶縁層301が形成される。つまり、絶縁層300は、パターニング材400によって自己整合的に形成されることができる。
【0102】
図21に示す例では、絶縁層300の幅は、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間の距離によって規定される。
【0103】
図20及び
図21に示す例では、
図10及び
図11に示した例と同様にして、導電部200及び絶縁層300を簡易な製造プロセスで形成することができる。
【0104】
図19から
図21に示す例では、導電部200の端面210S及び端面220Sが絶縁層300から露出する。具体的には、パターニング材400の第1内側面410及び第2内側面420は、パターニング材400の厚さ方向に沿っている。導電部200の幅及び絶縁層300の幅は、パターニング材400の第1内側面410と第2内側面420の間の距離によって、共通の幅に規定される。したがって、導電部200の端面210S及び端面220Sは、絶縁層300から露出するようになる。
【0105】
次いで、実施形態の
図12と同様にして、パターニング材400を除去する。次いで、実施形態と同様にして、有機層120及び第2電極130を形成する。
【0106】
このようにして、
図18に示した発光装置10を製造することができる。
【実施例0107】
図22は、
図12に示した第1電極110の端部110E及びその周辺の電子顕微鏡像を示す図である。
図23(a)は、
図11に示した導電部200、絶縁層300及びパターニング材400の電子顕微鏡像を示す図である。
図23(b)は、
図12に示した導電部200及び絶縁層300の電子顕微鏡像を示す図である。
【0108】
図22及び
図23に示す例では、実施形態と同様の方法で発光装置10を製造した。
【0109】
図22に示すように、導電部200は、第1電極110の端部110Eを覆っている。さらに、導電部200は、第1電極110の端部110Eを跨って第1電極110の内側から外側に亘って広がっている。絶縁層300は、導電部200を覆っている。
【0110】
図23(a)及び
図23(b)に示すように、絶縁層300は、突出部320を有している。突出部320は、第1傾斜面322を有しており、第1傾斜面322によって、突出部320の厚さは、導電部200の外側に向かうにつれて薄くなっている。絶縁層300は、第2傾斜面324を有している。基板100の第1面102に対する第1傾斜面312の傾きは、基板100の第1面102に対する第2傾斜面314の傾きより小さくなっている。
【0111】
図24は、パターニング材400を形成するレジストのPEBの時間によって第2角θ2及び第4角度θ4(例えば、
図9)が調整可能な理由を説明するための図である。
【0112】
本発明者は、パターニング材400を形成するレジストのPEBの時間によって第2角θ2及び第4角度θ4(例えば、
図9)が調整可能であること、特に、パターニング材400を形成するレジストのPEBの時間が短くなるほど第2角度θ2及び第4角度θ4(例えば、
図9)が大きくなることを見出した。本発明者は、この理由は、パターニング材400が以下のように形成されているためであると推測した。
【0113】
まず、
図24(a)に示すように、マスクMKを用いて、レジスト402を露光する。レジスト402は、レジストの塗布及びレジストのプリベークによって形成される。
図24(a)に示す例では、レジスト402は、ネガレジストである。したがって、レジスト402では露光された部分において架橋反応が生じ、レジスト402は、
図24(c)を用いて後述するように、露光された部分が残るように現像される。
【0114】
図24(a)では、露光によって架橋反応が生じる領域(反応領域)を破線で示している。
図24(a)に示すように、反応領域は、レジスト402の下端に向かうにつれて狭まっている。これは、マスクMKの開口の中心から離れるにつれて、レジスト402の下端まで達する光の量が減少するためである。特に、本発明者は、レジスト402の下端の近傍においては、レジスト402の上端及びその周辺よりも、反応領域が狭くなる傾向があると推測した。
【0115】
次いで、
図24(b)に示すように、レジスト402のPEBを実施する。
図24(b)中の黒矢印で示すように、本発明者は、PEBによって、パターニング材400の下端の近傍では、反応領域の幅が広がると推測した。つまり、PEBの時間が長くなるほど、パターニング材400の下端の近傍では、反応領域の幅が広くなる、言い換えると、露光後の第2角度θ2及び第4角度θ4(例えば、
図9)が小さくなる、と発明者は推測した。
【0116】
次いで、
図24(c)に示すように、レジスト402を現像する。現像によって、レジスト402(パターニング材400)は、傾斜面412及び傾斜面414を有するようになる。特に、傾斜面414の第2角度θ2は、
図24(b)を用いて説明したように、PEBの時間によって調整することができる。
【0117】
図25は、パターニング材400の電子顕微鏡像を示す図である。
図25(a)では、PEBの時間を175秒としてパターニング材400を形成した。
図25(b)では、PEBの時間を145秒としてパターニング材400を形成した。
図25(c)では、PEBの時間を115秒としてパターニング材400を形成した。
【0118】
図25(a)、
図25(b)及び
図25(c)に示す結果は、PEBの時間が短くなるほど第2角θ2が大きくなることを示唆している。具体的には、
図25(a)、
図25(b)及び
図25(c)では、第2角θ2(例えば、
図9)が
図25(a)から
図25(c)に向かうにつれて大きくなっている。したがって、
図25(a)、
図25(b)及び
図25(c)に示す結果は、PEBの時間が短くなるほど第2角θ2が大きくなることを示唆するといえる。
【0119】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。