(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098133
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214694
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 慶宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】関 健太
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605DD16
5H605EC01
5H605EC04
5H605EC05
5H605EC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータユニットのハウジング内部への水分の侵入を抑制する。
【解決手段】モータユニットは、モータと、制御部と、ハウジングと、シール部材と、を備え、ハウジングは、制御部を軸方向一方側から覆うカバー31を含み、カバー31は、軸方向に貫通する貫通孔300を有し、制御部は、貫通孔300に通されてカバー31の軸方向一方側に突出するコネクタ部を有し、シール部材は、貫通孔300の内縁とコネクタ部との間をシールし、カバー31の軸方向一方側の表面は、軸方向他方側に凹む溝部32を有し、溝部32の一端は、貫通孔300と繋がる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転可能なロータおよび前記ロータと径方向に対向するステータを有するモータと、
前記モータを制御する制御部と、
前記モータおよび前記制御部を収容するハウジングと、
シール部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記制御部を軸方向一方側から覆うカバーを含み、
前記カバーは、軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記制御部は、前記貫通孔に通されて前記カバーの軸方向一方側に突出するコネクタ部を有し、
前記シール部材は、前記貫通孔の内縁と前記コネクタ部との間をシールし、
前記カバーの軸方向一方側の表面は、軸方向他方側に凹む溝部を有し、
前記溝部の一端は、前記貫通孔と繋がる、モータユニット。
【請求項2】
前記溝部は、前記貫通孔から延びて前記カバーの外縁部に達する、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記表面の前記外縁部は、軸方向他方側に凹み、前記溝部の底面に対して面一である、請求項2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記外縁部のうち少なくとも前記溝部に繋がる部分は、前記貫通孔から前記外縁部に向かって軸方向他方側に傾斜する、請求項2または3に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記表面は、複数の前記溝部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項6】
複数の前記溝部は、第1方向に延びる第1溝部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2溝部と、を含む、請求項5に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記カバーは、複数の前記貫通孔を有し、
複数の前記溝部は、一方の前記貫通孔と他方の前記貫通孔とを繋ぐ連絡溝部を含む、請求項5または6に記載のモータユニット。
【請求項8】
複数の前記溝部は、前記貫通孔から放射状に延びる放射状溝部を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記表面は、前記貫通孔の外周部にシール配置部を有し、
前記シール配置部は、軸方向他方側に凹み、
前記シール部材は、前記シール配置部から、前記貫通孔の内縁と前記コネクタ部との間に延びる、請求項1~8のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記モータおよび前記制御部を径方向外側から覆い、軸方向一方側が開口されたハウジング本体を含み、
前記カバーは、前記ハウジング本体の開口を軸方向一方側から塞ぎ、
前記ハウジング本体の軸方向一方側の端部は、軸方向他方側に凹む凹部を有し、
前記カバーの前記表面と反対の裏面は、軸方向他方側に突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記凹部の内側に配置され、
前記凹部の内側において、前記凸部と前記凹部との間には、接着剤が配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項11】
前記溝部の幅は、1.0mm以上3.0mm以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項12】
前記溝部の深さは、0.5mm以上1.5mm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータユニットは、ハウジングを備える。ハウジングは、ハウジング本体と、カバーと、を有する。ハウジング本体は、モータを収容する。カバーは、ハウジング本体の開口を塞ぐ。(たとえば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハウジングのカバーには、外部端子と接続されるコネクタ部を外部に引き出すため、貫通孔が形成される場合がある。カバーに貫通孔が形成される構成では、貫通孔を介して、ハウジングの内部に水分が侵入する可能性がある。
【0005】
本発明は、ハウジング内部に水分が侵入するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータユニットは、中心軸を中心に回転可能なロータおよびロータと径方向に対向するステータを有するモータと、モータを制御する制御部と、モータおよび制御部を収容するハウジングと、シール部材と、を備える。ハウジングは、制御部を軸方向一方側から覆うカバーを含む。カバーは、軸方向に貫通する貫通孔を有する。制御部は、貫通孔に通されてカバーの軸方向一方側に突出するコネクタ部を有する。シール部材は、貫通孔の内縁とコネクタ部との間をシールする。カバーの軸方向一方側の表面は、軸方向他方側に凹む溝部を有する。溝部の一端は、貫通孔と繋がる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータユニットによれば、ハウジング内部に水分が侵入するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータユニットの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るハウジング本体を上側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るカバーを下側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るカバーとハウジング本体およびコネクタ部との間のシール構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカバーを上側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るカバーを上側から見た平面図である。
【
図7】
図7は、変形例1に係るカバーの外縁部の形状を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、変形例2に係るカバーを上側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
本明細書では、モータ1の中心軸CAが延びる方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向一方側を上側と定義し、軸方向他方側を下側と定義する。ただし、この上下の定義がモータユニット100の使用時の向きおよび位置関係を限定するものではない。
【0011】
また、本明細書では、中心軸CAを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、径方向のうち、中心軸CAに近づく方向を単に「径方向内側」と呼び、中心軸CAから離れる向方向を単に「径方向外側」と呼ぶ。さらに、中心軸CAを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
<1.モータユニットの概略構成>
図1は、実施形態に係るモータユニット100の分解斜視図である。
【0013】
本実施形態に係るモータユニット100は、モータ1と、制御部2と、ハウジング3と、を備える。ハウジング3は、モータ1および制御部2を収容する。
【0014】
モータ1は、ロータ11およびステータ12を有する。ロータ11は、中心軸CAを中心に回転可能である。ステータ12は、ロータ11と径方向に対向する。具体的には、ステータ12は、ロータ11の径方向外側に配置される。ステータ12は、ロータ11を回転させる。また、モータ1は、シャフト10を有する。シャフト10は、中心軸CAに沿って軸方向に延びる。シャフト10は、不図示の軸受により回転可能に支持される。シャフト10は、モータ1の回転軸を形成する。
【0015】
ロータ11は、ロータコアおよびロータマグネットを有する(符号省略)。ロータコアは、軸方向に延びる円筒状である。ロータコアは、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることによって形成される。シャフト10は、ロータコアに圧入される。これにより、ロータコアは、シャフト10と共に回転可能である。ロータマグネットは、ロータコアの径方向外側面に複数固定される。複数のロータマグネットは、周方向に配列される。
【0016】
ステータ12は、ステータコア、インシュレータおよびコイルを有する(符号省略)。ステータコアは、中心軸CAを中心とする環状である。ステータコアは、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることによって形成される。ロータ11は、ステータコアの径方向内側に配置される。
【0017】
インシュレータは、ステータコアの少なくとも一部を覆う。インシュレータは、樹脂などを用いた絶縁部材である。コイルは、インシュレータを介してステータコアに導線が巻かれることによって形成される。コイルは、制御部2に接続される。
【0018】
制御部2は、電子部品が実装される回路基板20を有する。回路基板20は、側基板201と、上基板202と、を含む。側基板201は、径方向を向く面を実装面として有し、モータ1の径方向外側に配置される。上基板202は、軸方向を向く面を実装面として有し、モータ1の上側に配置される。ただし、これに限定されない。側基板201および上基板202のうち、一方の実装部品を他方に実装し、一方を省略してもよい。また、側基板201および上基板202のうち、一方を複数設置して他方を省略してもよい。
【0019】
側基板201は、ステータ12のコイルに接続される。すなわち、側基板201は、モータ1に接続される。側基板201は、モータ1に駆動電力を供給する駆動回路などを実装面に有する。側基板201は、ステータ12に駆動電力を供給する。
【0020】
上基板202は、側基板201に接続される。たとえば、上基板202は、マイコンのような制御装置を実装面に有する。また、上基板202は、ロータ11の回転位置を検出するセンサ(不図示)を実装面に有する。上基板202の制御装置は、センサの出力に基づき、側基板201の駆動回路を制御する。言い換えると、上基板202は、モータ1への駆動電力の供給を制御する。さらに言い換えると、制御部2は、モータ1を制御する。
【0021】
また、制御部2は、コネクタ部21を有する。コネクタ部21は、回路基板20から上側に延びるコネクタピン211を有する。コネクタピン211は、後述するカバー31を貫通して上側に突出する。また、コネクタ部21は、コネクタピン211を保持するピン保持部212を有する。さらに、コネクタ部21は、上側に向かって筒状に延びる筒部213を有する。筒部213は、カバー31の上側において、コネクタピン211を囲う。言い換えると、筒部213は、コネクタピン211と共に、カバー31を貫通して上側に突出する。さらに言い換えると、コネクタ部21は、カバー31を貫通して上側に突出する。
【0022】
たとえば、制御信号および供給電力などの入出力を行う外部端子(不図示)は、筒部213の内側に挿入され、コネクタピン211に接続される。外部端子は、筒部213に対して着脱可能である。
【0023】
<2-1.ハウジングの概略構成>
ハウジング3は、ハウジング本体30を含む。ハウジング本体30は、有底筒状である。具体的には、ハウジング本体30は、ハウジング底部301およびハウジング底部301の外縁部から上側に延びるハウジング筒部302を有する。モータ1および制御部2は、ハウジング筒部302の径方向内側に配置される。すなわち、ハウジング本体30は、モータ1および制御部2を径方向外側から覆う。また、ハウジング本体30は、上部(軸方向一方側)が開口される。
【0024】
ハウジング3は、カバー31を含む。カバー31の上側を向く面は「表面」に相当し、以下の説明では単に表面と呼ぶ。カバー31の表面と反対の面は「裏面」に相当し、以下の説明では単に裏面と呼ぶ。
【0025】
カバー31は、径方向に広がる板状部材である。カバー31は、ハウジング本体30の開口3aを上側(軸方向一方側)から塞ぐ。すなわち、カバー31は、制御部2を上側(軸方向一方側)から覆う。
【0026】
カバー31は、ハウジング本体30の上端部3011と軸方向に重なる部分を有する。すなわち、カバー31は、ハウジング筒部302の上端部3011と軸方向に重なる部分を有する。カバー31は、ハウジング本体30の上端部3011の全域と軸方向に重なる。そして、カバー31は、ハウジング本体30の上端部3011に固定される。
【0027】
<2-2.ハウジングのシール構造>
図2は、実施形態に係るハウジング本体30を上側から見た平面図である。
図2では、凹部30aの形成位置にドット柄を付し、凹部30aの形成位置を明確にする。
図3は、実施形態に係るカバー31を下側から見た斜視図である。
【0028】
図4は、実施形態に係るカバー31とハウジング本体30およびコネクタ部21との間のシール構造を模式的に示す断面図である。
図4には、カバー31とハウジング本体30の上端部3011との間のシール構造が示される。また、
図4には、カバー31の貫通孔300とコネクタ部21との間のシール構造が示される。なお、
図4では、図面の上下方向が軸方向であり、図面の左右方向が径方向である。
【0029】
ハウジング本体30の上側(軸方向一方側)の端部である上端部3011は、下側(軸方向他方側)に凹む凹部30aを有する。すなわち、ハウジング筒部302は、上端部3011に凹部30aを有する。ハウジング本体30の凹部30aは、軸方向から見て、一つながりの環状である。また、カバー31の裏面は、下側(軸方向他方側)に突出する凸部31aを有する。カバー31の凸部31aは、軸方向から見て、一つながりの環状である。カバー31の凸部31aは、全域にわたって、ハウジング本体30の凹部30aと軸方向に重なる。
【0030】
そして、凸部31aは、凹部30aの内側に配置される。さらに、凹部30aの内側において、凸部31aと凹部30aとの間には、接着剤5が配置される。接着剤5としては、たとえば、シリコン系の接着剤が使用される。凹部30aの内側に凸部31aを配置することにより、ハウジング本体30とカバー31との隙間がラビリンス状に蛇行する。すなわち、ハウジング3の径方向外側から径方向内側への水分の侵入経路がラビリンス状に蛇行する。これにより、ハウジング本体30とカバー31との隙間から水分が侵入することを抑制できる。
【0031】
また、カバー31は、軸方向に貫通する貫通孔300を有する。コネクタ部21は、貫通孔300を介して、カバー31の下側から上側に引き出される。すなわち、制御部2は、貫通孔300を通されてカバー31の上側(軸方向一方側)に突出するコネクタ部21を有する。
【0032】
なお、カバー31は、コネクタ部21と同数の貫通孔300を有する。たとえば、コネクタ部21の個数は2つである。この例では、貫通孔300の個数が2つとなる。すなわち、カバー31は、複数の貫通孔300を有する。2つのコネクタ部21は、互いに異なる貫通孔300を通される。
【0033】
モータユニット100は、シール部材4を備える。シール部材4は、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間をシールする。これにより、コネクタ部21と貫通孔300との間からの水分の侵入を抑制できる。たとえば、シール部材4として、シリコン系の接着剤が使用される。ただし、これに限定されない。Oリングなどの環状パッキンがシール部材4として使用されてもよい。
【0034】
ここで、カバー31の表面は、貫通孔300の外周部にシール配置部310を有する。カバー31の表面は、貫通孔300の外周部の全周にわたってシール配置部310を有する。すなわち、シール配置部310は、軸方向から見て、一つながりの環状であり、貫通孔300を囲う。また、シール配置部310は、下側(軸方向他方側)に凹む。
【0035】
シール配置部310の表面上には、少なくとも一部のシール部材4が配置される。すなわち、シール部材4の一部は、シール配置部310の表面に接着される。そして、シール部材4は、シール配置部310から、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間に延びる。これにより、シール部材4のうち、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間の部分は、シール配置部310の表面上の部分と繋がる。その結果、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間にシール部材4を滞留させ易くなる。言い換えると、シール部材4が垂れ落ちてしまうことを抑制できる。
【0036】
<3.カバーの表面構造>
<3-1.実施形態>
図5は、実施形態に係るカバー31を上側から見た斜視図である。
図6は、実施形態に係るカバー31を上側から見た平面図である。
【0037】
カバー31の表面(軸方向一方側の表面)は、下側(軸方向他方側)に凹む溝部32を有する。溝部32の一端は、貫通孔300と繋がる。言い換えると、カバー31の表面は、貫通孔300と繋がる溝部32を有する。さらに言い換えると、カバー31の表面は、貫通孔300から延びる溝部32を有する。たとえば、溝部32は、直線状に延びる。
【0038】
なお、貫通孔300には、カバー31の下側から上側に向かってコネクタ部21が通される。この構成では、溝部32は、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間に繋がる。ここで、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間は、シール部材4によってシールされる。したがって、貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間がシール部材4でシールされることにより、溝部32がシール部材4に繋がる。
【0039】
カバー31の表面に溝部32を設けることにより、シール部材4およびその周辺に付着した水滴が溝部32を介して流れる。これにより、シール部材4およびその周辺に水滴が溜まり難くなり、シール部材4の劣化を抑制できる。すなわち、シール部材4によるシール効果が低下することを抑制できる。その結果、カバー31で覆われた制御部2に水分が侵入することを抑制でき、モータ1の動作不良を抑制できる。
【0040】
たとえば、溝部32の幅は、1.0mm以上3.0mm以下である。また、溝部23の深さは、0.5mm以上1.5mm以下である。これにより、溝部23において水滴が流れ易くなる。
【0041】
また、溝部32は、貫通孔300から延びてカバー31の外縁部311に達する。言い換えると、溝部32の一端は、貫通孔300に繋がり、溝部32の一端と反対の他端は、外縁部311に繋がる。さらに言い換えると、溝部32は、貫通孔300から離れる方向に延びる。なお、外縁部311は、カバー31のうち径方向外側の端部である。
【0042】
貫通孔300から延びる溝部32が外縁部311に達することにより、シール部材4の水滴を外縁部311に誘導できる。すなわち、シール部材4の水滴をシール部材4から離れる方向に誘導できる。シール部材4の水滴がシール部材4から離れることにより、その水滴がシール部材4に再度付着することを抑制できる。
【0043】
また、カバー31の表面の外縁部311は、下側(軸方向他方側)に凹み、溝部32の底面と面一である。言い換えると、カバー31の表面のうち、溝部32の底面を構成する部分部分と外縁部311とが面一である。さらに言い換えると、溝部32と外縁部311との境界には段差が存在しない。これにより、溝部32のうち貫通孔300に繋がる一端から外縁部311までが水滴の流路となるが、その流路は平坦であり、凹凸することなく延びる。
【0044】
溝部32の底面と外縁部311とを面一にすることにより、溝部32を流れる水滴が外縁部311で堰き止められることを抑制できる。言い換えると、溝部32において水滴が外縁部311に向かってスムーズに流れる。これにより、溝部32に水滴が残り難くなる。その結果、溝部32の水滴がシール部材4に再度付着することをより抑制できる。
【0045】
また、カバー31の表面は、複数の溝部32を有する。具体的には、複数の貫通孔300のそれぞれに複数の溝部32が繋がる。これにより、シール部材4およびその周辺に付着した水滴を流すための流路が増える。その結果、シール部材4およびその周辺に水滴が溜まることをより抑制できる。
【0046】
複数の溝部32は、第1方向に延びる第1溝部321と、第1方向と交差する第2方向に延びる第2溝部322と、を含む(
図6参照)。
図6において、第1方向はX方向であり、第2方向はY方向である。すなわち、第1溝部321および第2溝部322は、互いに直交する方向に延びる。各貫通孔300には、第1溝部321および第2溝部322の両方が繋がる。各貫通孔300には、複数の第1溝部321が繋がり、かつ、複数の第2溝部322が繋がる。
【0047】
なお、第1溝部321の一端は、貫通孔300に繋がり、第1溝部321の他端は、外縁部311に繋がる。同様に、第2溝部322の一端は、貫通孔300に繋がり、第2溝部322の他端は、外縁部311に繋がる。
【0048】
複数の溝部32が第1溝部321と第2溝部322とを含むことにより、モータユニット100の組付け方向(すなわち、カバー31の向き)にかかわらず、いずれかの溝部32を介して水滴が流れる。すなわち、モータユニット100の組付け方向にかかわらず、シール部材4およびその周辺に水滴が溜まることを抑制できる。
【0049】
たとえば、第2溝部322が鉛直方向に延びるようにモータユニット100が組付けられる場合には(
図6参照)、第2溝部322によって効率的に水滴を流すことができる。第1溝部321が鉛直方向に延びるようにモータユニット100が組付けられる場合には(図示せず)、第1溝部321によって効率的に水滴を流すことができる。
【0050】
また、複数の溝部32は、一方の貫通孔300と他方の貫通孔300とを繋ぐ連絡溝部323を含む。連絡溝部323の一端は、一方の貫通孔300に繋がり、連絡溝部323の他端は、他方の貫通孔300に繋がる。より具体的には、連絡溝部323の一端は、一方の貫通孔300の内縁とコネクタ部21との間に繋がり、連絡溝部323の他端は、他方の貫通孔300の内縁とコネクタ部21とに間に繋がる。連絡溝部323は、一方の貫通孔300から他方の貫通孔に向かって直線状に延びる。また、連絡溝部323の個数は複数である。
【0051】
たとえば、モータユニット100は、一方および他方の各貫通孔300が鉛直方向に並ぶように組付けられ、一方の貫通孔300の下側に他方の貫通孔300が配置される場合がある。なお、水滴は、上から下に流れる。
【0052】
この例において、連絡溝部323が存在しない場合には、上側に位置する貫通孔300の下側部分およびその周辺に水滴が付着しても、その水滴が流れ難い。一方で、連絡溝部323が存在する場合には、連絡溝部323を介して、上側に位置する貫通孔300の下側部分およびその周辺に付着した水滴を流すことができる。
【0053】
すなわち、複数の溝部32が連絡溝部323を含む構成では、位置的に水滴が溜まり易いシール部材4が存在しても、そのシール部材4の水滴が連絡溝部323を介して流れる。これにより、モータユニット100の組付け方向にかかわらず、シール部材4に水滴が溜まることをより抑制できる。
【0054】
なお、カバー31の表面は、軸方向から見て、一方の貫通孔300と他方の貫通孔300との中間に位置する中間溝部324をさらに有する。中間溝部324は、溝部32と同様、下側(軸方向他方側)に凹み、直線状に延びる。中間溝部324は、連絡溝部323を横切り、外縁部311のうち一方側の部分から、一方側と反対の他方側の部分に達する。すなわち、中間溝部324の一端は、外縁部311の一方側の部分に繋がり、中間溝部324の他端は、外縁部311の他方側の部分に繋がる。
【0055】
連絡溝部323を横切る中間溝部324を設けることにより、連絡溝部323を流れる水滴を中間溝部324に導入し、外縁部311に流すことができる。これにより、連絡溝部323に水滴が残ることを抑制できる。
【0056】
<3-1.変形例1>
図7は、変形例1に係るカバー31の外縁部311の形状を模式的に示す断面図である。
図7は、カバー31のうち溝部32の形成部分を溝部32の延伸方向に沿って切断した断面に相当する。
図7では、図面の左から右に向かう方向が貫通孔300(不図示)から外縁部311に向かう方向に相当する。
【0057】
変形例1では、上記実施形態と同様、溝部32のうち貫通孔300に繋がる一端から外縁部311までが水滴の流路となる。ただし、変形例1では、その流路は平坦ではない。
【0058】
具体的には、外縁部311のうち少なくとも溝部32に繋がる部分は、貫通孔300から外縁部311に向かって下側(軸方向他方側)に傾斜する。たとえば、外縁部311は、溝部32に繋がるか否かにかかわらず、全周にわたって下側に傾斜する。ただし、これに限定されない。外縁部311のうち溝部32に繋がる部分だけが下側に傾斜してもよい。
【0059】
また、たとえば、外縁部311は、下側に向かって曲線状に傾斜する。言い換えると、外縁部311の表面は、下側に傾斜する曲面である。ただし、これに限定されない。図示しないが、外縁部311は、下側に向かって直線状に傾斜してもよい。また、外縁部311は、下側に向かって階段状に傾斜してもよい。
【0060】
外縁部311が下側に向かって傾斜する構成では、外縁部311に誘導された水滴が外縁部311から落ち易くなる。言い換えると、外縁部311に誘導された水滴が外縁部311で堰き止められることを抑制できる。その結果、溝部32に水滴が残り難くなるので、溝部32の水滴がシール部材4に再度付着することをより抑制できる。
【0061】
<3-2.変形例2>
図8は、変形例2に係るカバー31を上側から見た平面図である。
【0062】
変形例2では、複数の溝部32は、貫通孔300から放射状に延びる放射状溝部325を含む。たとえば、複数の溝部32は、連絡溝部323に加え、放射状溝部325を含む。また、カバー31の表面は、中間溝部324を有する。すなわち、変形例2では、カバー31の表面は、第1溝部321および第2溝部322に代えて、放射状溝部325を有する。
【0063】
放射状溝部325は、各貫通孔300に繋がる。すなわち、放射状溝部325は、各貫通孔300から放射状に延びる。放射状溝部325の一端は、貫通孔300に繋がり、放射状溝部325の他端は、外縁部311に繋がる。
【0064】
変形例2では、モータユニット100の組付け方向(すなわち、カバー31の向き)にかかわらず、いずれかの溝部32を介して水滴が流れる。すなわち、モータユニット100の組付け方向にかかわらず、シール部材4およびその周辺に水滴が溜まることをより抑制できる。
【0065】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、たとえば、自動車などの車両のハンドル操作の補助に用いられる電動式パワーステアリング装置に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 モータ
2 制御部
3 ハウジング
3a 開口
4 シール部材
5 接着剤
11 ロータ
12 ステータ
21 コネクタ部
30 ハウジング本体
30a 凹部
31 カバー
31a 凸部
32 溝部
100 モータユニット
300 貫通孔
310 シール配置部
311 外縁部
321 第1溝部
322 第2溝部
323 連絡溝部
325 放射状溝部
3011 上端部
CA 中心軸