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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098681
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H03H9/02 K
H03H9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206651
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021214106
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 正明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信孝
(72)【発明者】
【氏名】楠木 孝男
(72)【発明者】
【氏名】植田 貴博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正彦
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA03
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108GG03
5J108GG15
5J108GG16
5J108GG17
5J108JJ04
(57)【要約】
【課題】計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される圧電デバイスを提供する。
【解決手段】水晶振動子1は、水晶素子5と、実装基体11と、蓋体13と、感温素子7と、を有している。実装基体11は、凹部R1を有している。凹部R1の底面には水晶素子5が実装されている。蓋体13は、凹部R1を塞いでいる。感温素子7は、水晶素子5よりも蓋体13の側に位置している部分を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、
前記凹部を塞いでいる蓋体と、
前記圧電素子よりも前記蓋体の側に位置している部分を有している感温素子と、
を有している圧電デバイス。
【請求項2】
前記感温素子は、前記蓋体の、前記実装基体の側の第1面に重なっている感温膜を有している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記感温膜は、平面透視において前記凹部に重複する部分を有している
請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記感温膜は、平面透視において前記凹部の外側に位置する部分を有している
請求項2又は3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記感温素子は、前記蓋体の、前記実装基体の側の面に実装されているチップ型の素子である
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記感温素子は、前記凹部の壁部に実装されているチップ型の素子である
請求項1に記載の圧電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子及び水晶発振器等の圧電デバイスが知られている(例えば下記特許文献参照)。このような圧電デバイスは、圧電素子と、圧電素子を保持しているパッケージとを有している。圧電素子は、圧電体(例えば水晶ブランク)と、圧電体に重なる2つの励振電極と、2つの励振電極から引き出されている2つの引出電極とを有している。2つの引出電極は、例えば、パッケージが有しているパッドと導電性の接合材によって接合されることによって、パッケージに対する圧電素子の実装に寄与する。
【0003】
上記のような圧電デバイスとして、サーミスタ等の感温素子を有しているものが知られている。感温素子が検出した温度は、例えば、温度変化に起因する圧電素子の特性変化を補償することに利用される。
【0004】
感温素子は、パッケージに実装されている。例えば、特許文献1では、パッケージは、第1凹部と、当該第1凹部とは反対側に開口する第2凹部とを有している。圧電素子は、第1凹部に収容されて、第1凹部の底面に実装される。また、第1凹部は、蓋体によって塞がれて密閉される。感温素子は、チップ型の部品であり、第2凹部に収容されて、第2凹部の底面に実装される。具体的には、感温素子の2つの端子と、第2凹部の底面に位置している2つのパッドとが導電性の接合材によって接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-211340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される圧電デバイスが提供されることが待たれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る圧電デバイスは、圧電素子と、凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、前記凹部を塞いでいる蓋体と、前記圧電素子よりも前記蓋体の側に位置している部分を有している感温素子と、を有している。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、例えば、計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る水晶振動子を示す分解斜視図。
図2図1の水晶振動子を示す他の分解斜視図。
図3図1のIII-III線における断面図。
図4図4(a)及び図4(b)は感温素子の外部電極に係る変形例を示す平面図。
図5図5(a)、図5(b)及び図5(c)は感温素子の位置に係る変形例を示す断面図。
図6】感温素子の形状に係る変形例を示す斜視図。
図7】第2実施形態に係る水晶振動子の断面図。
図8】第3実施形態に係る水晶振動子の断面図。
図9】パッケージにおける配線の具体例を示す斜視図。
図10】パッケージにおける配線の他の具体例を示す斜視図。
図11】パッケージにおける配線の更に他の具体例を示す平面図。
図12】実施形態に係る水晶振動子の利用例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。従って、例えば、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。図面同士において同一の部材の寸法比率も一致しない。また、細部の図示が省略されることがあり、一部の形状が誇張されて図示されることがある。ただし、上記は、実際の寸法比率が図面のとおりとされてもよいこと、及び図面から形状及び寸法比率等の特徴が抽出されてよいことを否定するものではない。
【0011】
図面には、便宜上、直交座標系D1-D2-D3を付すことがある。実施形態に係る圧電デバイスは、いずれの方向が上下方向又は水平方向とされてもよい。ただし、便宜上、+D3側を上方とした表現をすることがある。また、平面視又は平面透視は、特に断りが無い限り、D3方向に平行に見ることを指す。
【0012】
相対的に後に説明される態様(実施形態及び変形例)の説明においては、基本的に、先に説明された態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項は、先に説明された態様と同様とされたり、類推されたりしてよい。先に説明された態様の説明は、矛盾等が生じない限り、後に説明される態様に援用されてよい。複数の態様において、互いに対応する部材については、便宜上、相違点があっても同一の符号を付すことがある。
【0013】
平面形状の縁部を指す用語としての「辺」は、一般に、多角形の縁部(換言すれば直線)を指すが、実施形態の説明では、便宜上、多角形でなくてもよい形状の縁部(例えば曲線状であってもよい縁部)に用いられることがある。同様に、「長辺」及び「短辺」は、一般に、長方形の辺を指すが、実施形態の説明では、便宜上、長方形でなくてもよい形状(ただし、4つの縁部を概念できる形状)の縁部若しくは縁部に類する部位に用いられることがある。「平行」は、通常、直線同士の距離が一定である関係を指すが、実施形態の説明では、便宜上、直線でなくてよい線(例えば曲線)同士の距離が一定である関係に用いられることがある。矩形又は矩形状というとき、特に断りが無い限り、角部が面取りされているなど、厳密に正方形又は狭義の長方形でなくてもよいものとする。矩形以外の多角形についても同様である。
【0014】
<第1実施形態>
(水晶振動子の概要)
図1は、第1実施形態に係る水晶振動子1(以下、「水晶」の語を省略することがある。)の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1とは反対側から水晶振動子1を見た分解斜視図である。図3は、図1のIII-III線における断面図である。
【0015】
振動子1は、例えば、表面実装されるチップ型の電子部品である。具体的には、振動子1の形状は、全体として、概略、薄型(D3方向の寸法がD1方向の寸法及びD2方向の寸法よりも小さい形状)の直方体状とされている。そして、直方体の下面には、4隅に層状の4つの端子3が設けられている。4つの端子3と、回路基板53(後述する図12参照)の不図示のパッドとが導電性の接合材(例えばはんだ)によって接合されることによって、振動子1は、回路基板53に固定されるとともに電気的に接続される(すなわち、実装される。)。
【0016】
振動子1は、水晶素子5と、感温素子7(図2及び図3)と、これらの素子(5及び7)を保持するパッケージ9(符号は図3)とを有している。水晶素子5は、例えば、4つの端子3のうち2つを介して交流電圧が印加されることによって振動する。この振動は、例えば、信号の強度(例えば電圧又は電流)が一定の周波数で振動する発振信号の生成に利用される。発振信号の周波数は任意である。感温素子7は、4つの端子3のうち他の2つを介して温度に応じた信号を出力する。この信号は、例えば、温度変化に対する水晶素子5の特性変化を補償することに利用される。
【0017】
パッケージ9は、振動子1の外郭を構成しており、上述した端子3を有している。また、パッケージ9は、例えば、凹部R1を有している実装基体11と、凹部R1を塞ぐ蓋体13とを有している。水晶素子5は、凹部R1に収容される。そして、凹部R1の上面開口が蓋体13によって塞がれることによって、密閉空間が構成され、水晶素子5が封止される。密閉空間は、真空状態とされている、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入されている。また、実装基体11は、その下面に上述の4つの端子3を有している。水晶素子5は、凹部R1の底面に実装される。これにより、水晶素子5は、2つの端子3と電気的に接続されている。
【0018】
感温素子7は、水晶素子5と蓋体13との間に位置する部分を有している。具体的には、図示の例では、感温素子7は、蓋体13の下面(蓋体下面13b)に重なっている膜状素子(例えば薄膜サーミスタ)によって構成されており、これにより、水晶素子5と蓋体13との間に位置している。感温素子7と2つの端子3との電気的接続は、例えば、凹部R1の上面開口の周囲において感温素子7と実装基体11とが接続されることによって実現される。
【0019】
ここで、パッケージ9は、その下面に位置する端子3によって回路基板53(図12)に実装される。従って、回路基板53に実装されている他のデバイスの熱は、回路基板53を介してパッケージ9の下面側から伝わりやすい。その結果、例えば、感温素子7が、水晶素子5に対して凹部R1の底面側に位置していたり、パッケージ9の下面に位置していたりすると、計測温度が過剰に外部の熱の影響を受け、水晶素子5の温度から計測温度が乖離する可能性がある。本実施形態にように、感温素子7が水晶素子5に対して蓋体13の側に位置することによって、上記のような現象が生じる蓋然性を低減することが可能である。
【0020】
以上が第1実施形態に係る振動子1の概要である。以下では、概略、下記の順で振動子1について説明する。
1.水晶素子5
2.パッケージ9(感温素子7に係る部分を除く。)
3.感温素子7(パッケージ9の感温素子7に係る部分を含む。)
4.変形例
5.第1実施形態のまとめ
【0021】
(1.水晶素子)
水晶素子5は、例えば、水晶ブランク15(換言すれば圧電体)と、水晶ブランク15に重なっている2以上(図示の例では1対)の導体パターン17(図示の例では第1導体パターン17A及び第2導体パターン17Bの2つ)とを有している。1対の導体パターン17によって水晶ブランク15に電圧が印加されることによって水晶ブランク15が振動する。これにより、水晶素子5は、既述の機能を発揮する。水晶素子5の具体的な構成は、種々のものとされてよい。例えば、水晶素子5の構成は、公知の種々のものとされてよい。
【0022】
なお、水晶ブランク15は、エッチングによって作製される態様において、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、側面等に傾斜面(別の観点では結晶面)を有していることがある。実施形態の説明では、そのような傾斜面の存在については基本的に無視する。寸法等の説明において、厳密性が要求される場合においては、その説明は、合理性を欠いたり、矛盾が生じたりしない限り、傾斜面を無視して運用されてもよいし、傾斜面を考慮して運用されてもよい。例えば、水晶ブランク15のD1方向の長さというとき、当該長さは、水晶ブランク15の上面又は下面の長さ(結晶面を除いた長さ)であってもよいし、平面透視における最大長さ(結晶面を考慮した長さ)であってもよい。
【0023】
図示の例では、水晶素子5は、いわゆるATカット型の水晶素子とされている。ATカット型の水晶素子5において、水晶ブランク15は、概略、板状の形状を有している。また、1対の導体パターン17は、板状の水晶ブランク15の両方の主面(板形状の最も広い面。板形状の表裏。)に重なる1対の励振電極19と、1対の励振電極19から引き出されている1対の引出電極21とを有している。
【0024】
1対の励振電極19は、水晶ブランク15に電圧を印加することに寄与する。ATカット型においては、水晶ブランク15に交流電圧が印加されることによって、いわゆる厚み滑り振動が生じる。1対の引出電極21は、水晶素子5の実装に寄与する。より詳細には、図示の例では、1対の引出電極21と後述する1対のパッド25とが1対の接合材29(図3)によって接合されることによって、水晶素子5は、パッケージ9に対して電気的に接続されるとともに固定され、さらに、片持ち梁状に支持される。
【0025】
図示の例以外の水晶素子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。屈曲振動を利用する音叉型の素子。輪郭すべり振動を利用するCTカット若しくはDTカットの素子。厚み滑り振動を利用する、ATカット以外のカット角(例えばBTカット)の素子。SAW(surface acoustic wave)を利用する素子。なお、このような素子も、例えば、圧電体(例えば水晶)と、圧電体を励振する2以上の励振電極と、2以上の励振電極から引き出されている2以上の引出電極と、を有している。SAWを利用する素子においては、圧電体の層は、他の材料からなる層と重なっていてもよい。
【0026】
なお、本実施形態の説明では、便宜上、特に断り無く、水晶素子5がATカット型のものであることを前提とした表現をすることがある。
【0027】
図示の例のように、板状の水晶ブランク15と、水晶ブランク15の両方の主面に重なる1対の励振電極19と、1対の励振電極19から引き出される1対の引出電極21とを有する水晶素子5(ATカット型とは限らない。)において、水晶ブランク15、励振電極19及び引出電極21のより具体的な構成(平面形状等)は適宜に設定されてよい。
【0028】
例えば、水晶ブランク15、励振電極19及び引出電極21の形状は、水晶素子5の両面のいずれが実装側(-D3側)とされてもよい構成とされていてもよいし、そのような構成とされていなくてもよい(図示の例)。例えば、水晶素子5は、D1方向(図示の例では水晶素子5の長手方向)に延びる不図示の中心線に対して概略180°回転対称の構成とされていてもよいし、そのような構成とされていなくてもよい(図示の例)。
【0029】
また、例えば、水晶ブランク15の平面形状は、矩形状(図示の例)、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形とされてよい。また、水晶ブランク15の平面形状は、多角形の任意の数の辺(例えば矩形状の1辺、2辺、3辺又は4辺)を外側に曲線状に膨らませた形状とされてもよい。また、水晶ブランク15の平面形状は、一部に突起又は切欠きを有する形状であってもよい。また、例えば、水晶ブランク15の平面形状は、D1方向を長手方向とする形状(D1方向の最大長さがD2方向の最大長さよりも長い形状)であってもよいし、そのような区別ができない形状であってもよい。
【0030】
また、例えば、水晶ブランク15の厚さは、一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。後者の例としては、特に図示しないが、以下のものを挙げることができる。1対の励振電極19と重なって励振される中央の領域(メサ部)が、その外周の領域よりも厚い、いわゆるメサ型。上記とは逆に、1対の励振電極19と重なって励振される中央の領域(逆メサ部)が外周の領域よりも薄い、いわゆる逆メサ型。1対の励振電極19と重なって励振される振動部と、当該振動部の縁部の一部(例えば1辺、2辺又は3辺)に隣接し、振動部よりも厚く、1対の引出電極21が位置する固定部と、を有するもの。外周部において外周縁に近づくほど薄くなるベベル型。
【0031】
また、例えば、励振電極19の平面形状は、水晶ブランク15の平面形状(又は上述したメサ部、逆メサ部若しくは振動部の平面形状。本段落において、以下、同様。)に対して、類似する形状であってもよいし(図示の例)、そのような形状でなくてもよい。前者としては、例えば、水晶ブランク15の平面形状-励振電極19の平面形状が、矩形状-矩形状、円形状-円形状、又は楕円形状‐楕円形状である態様を挙げることができる。後者としては、例えば、水晶ブランク15の平面形状-励振電極19の平面形状が、矩形状-円形状、矩形状-楕円形状、又は楕円形状-矩形状である態様を挙げることができる。励振電極19の平面形状が水晶ブランク15の平面形状に類似するか否かに関わらず、水晶ブランク15の平面形状についての既述の説明は、矛盾等が生じない限り、励振電極19の平面形状に援用されてよい。
【0032】
また、例えば、1対の引出電極21は、励振電極19から水晶ブランク15の一端側へ引き出されている。より詳細には、例えば、既に触れたように、特に符号を付さないが、各引出電極21は、励振電極19から延びる配線部と、配線部を介して励振電極19と接続されているパッド状の端子部とを有している。端子部は、パッド25に接合される部分である。
【0033】
厚み滑り振動を利用する水晶素子5においては、水晶ブランク15の厚さ(本段落においては、特に断りがない限り、励振電極19が重なっている部分における厚さ。)は、発振信号の周波数を決定する因子となっている。例えば、公知のように、ATカットの水晶素子においては、基本的には、f=1.67×n/tの関係が成り立つ。ここで、fは周波数(MHz)、nは利用される振動の次数、t(mm)は厚さである。水晶素子5は、基本波モードを利用するものであってもよいし、オーバートーンモードを利用するものであってもよい。既述のように、発振信号の周波数は任意であり、ひいては、水晶ブランク15の厚さも任意である。例えば、水晶ブランク15の厚さは、5μm以上、10μm以上、30μm以上又は50μm以上とされてよく、また、200μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0034】
ATカット型の水晶ブランク15の最大厚さは、既述の説明から理解されるように、上記の周波数を規定する厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。いずれにせよ、水晶ブランク15の最大厚さは任意である。ATカット型又は他の型の水晶ブランク(若しくは水晶素子)の最大厚さは、例えば、30μm以上、50μm以上又は100μm以上とされてよく、また、300μm以下、200μm以下、100μm以下又は50μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0035】
導体パターン17の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)若しくは銀(Ag)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。導体パターン17は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。導体パターン17は、例えば、その面積全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0036】
(2.パッケージ(感温素子に係る部分を除く))
パッケージ9は、振動子1の外郭を構成しており、その外形は、概ね薄型の直方体状である。パッケージ9(振動子1)の寸法は任意である。振動子1が比較的小さいものである場合の例を挙げると、平面視における長手方向又は短手方向(D1方向又はD2方向)の長さは、0.6mm以上2.0mm以下である。厚さ(D3方向の長さ)は、0.2mm以上1.5mm以下である。
【0037】
パッケージ9は、既述のように、実装基体11と、蓋体13とを有している。実装基体11は、例えば、絶縁基体23と、絶縁基体23に位置している種々の導体とを有している。種々の導体は、例えば、既述の端子3、水晶素子5が実装される2つのパッド25(図1及び図3)、パッケージ9内の電気的接続に寄与する複数の配線27(図3)を含んでいる。複数の配線27は、例えば、2つのパッド25と2つの端子3とを接続する2つの配線27を含んでいる。
【0038】
以下におけるパッケージ9の説明は、概略、下記の順で行う。
2.1.絶縁基体23
2.2.実装基体11の導体(実装基体11と蓋体13との接合に係るものを除く)
2.3.接合材29
2.4.蓋体13
2.5.実装基体11と蓋体13との接合
【0039】
(2.1.絶縁基体)
絶縁基体23の形状、寸法及び材料は任意である。絶縁基体23は、実装基体11の大部分を構成しており、その外形(凹部R1を無視した形状)は、概略、薄型の直方体状である。凹部R1は、絶縁基体23の上面(+D3側の面)に開口している。特に図示しないが、平面視において、絶縁基体23の角部は、平面又は曲面によって面取りされていたり、凹部(キャスタレーション)を有していたりしてもよい。
【0040】
絶縁基体23は、凹部R1を有しているから、凹部R1の底面を構成している基板部23aと、凹部R1の壁部を構成している枠部23bとを有していると捉えられてよい。なお、絶縁基体23は、基板部23aと枠部23bとを積層して作製されてもよいし、そのような製造方法とは異なる製造方法によって作製されてもよい。前者としては、例えば、枠部23bとなる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートに凹部R1となる開口を形成し、開口が形成された上記セラミックグリーンシートと、基板部23aとなる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートとを積層して焼成する方法が挙げられる。後者としては、例えば、1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートにプレスによって凹部R1を形成して焼成する方法が挙げられる。後者の製造方法から理解されるように、基板部23a及び枠部23b(別の観点では互いに異なる絶縁層)は、絶縁基体23の形状及び/又は絶縁基体23内の導体層に基づいて概念される便宜上のものであってよい。
【0041】
基板部23aは、例えば、概略、平板状である。換言すれば、基板部23aは、第1基板面23cと、その反対側に面している第2基板面23dとを有しており、両面は互いに平行な平面状である。第1基板面23cは、凹部R1の底面を構成している。第2基板面23dは、パッケージ9の下面を構成している。基板部23aの平面形状は、例えば、絶縁基体23の外形が直方体状であることに対応して矩形状である。すなわち、基板部23aは、平面視において、互いに対向する1対の長辺と、互いに対向する1対の短辺とを有している。なお、長辺と短辺との長さの比は任意である。基板部23aの厚さも任意である。
【0042】
枠部23bは、例えば、基板部23aの上面の縁部に沿って延びている。枠部23bの平面視における外縁の形状は、例えば、基板部23aの外縁と概ね一致する形状である。枠部23bの内縁の形状(平面視における凹部R1の形状)は、例えば、枠部23bの外縁の4辺と概ね平行な4辺を有する矩形状である。枠部23bは、例えば、一定の厚さを有している。枠部23bの外周面及び内周面は、例えば、D3方向に概ね平行である。ただし、図示の例とは異なり、例えば、枠部23bの内周面は、上方(+D3側)ほど凹部R1の径が大きくなるように傾斜していてもよい。なお、そのような傾斜の有無に関わらず、実施形態の説明で言及される平面視における凹部R1の形状及び寸法は、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、凹部R1の上面開口(枠部23bの上面(枠部上面23e)の内縁)のものであってもよいし、凹部R1の底面のものであってもよい。
【0043】
枠部23bの厚さ(凹部R1の深さ)は、例えば、水晶素子5及び感温素子7の厚さ等に応じて適宜に設定されてよい。例えば、凹部R1の深さ(又は第1基板面23cから蓋体下面13bまでの高さ。以下、本段落において同じ。)は、水晶素子5及び感温素子7の合計厚さ(両者の間の間隔は含まない。厚さが一定でない場合は例えば最大厚さ)の1.2倍以上、1.5倍以上、2倍以上又は3倍以上とされてよく、また、10倍以下、5倍以下、3倍以下又は2倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。上記の下限及び/又は上限は、水晶素子5の単体の厚さとの比較における凹部R1の深さに援用されてもよい。
【0044】
枠部23bの幅(内周面から外周面までの長さ)は任意である。本実施形態においては、後に詳述するように、感温素子7と電気的に接続される接続電極31(図1及び図3)が枠部23bの上面(枠部上面23e)に設けられる。従って、枠部23b(及び/又は枠部上面23e)の幅は、従来のパッケージに比較して、広くされていてもよい。また、当該幅は、従来と同様の大きさとされていてもよい。この場合は、例えば、枠部上面23eに重なる封止材33(符号は図3)の幅を従来よりも狭くすることによって、枠部上面23eに接続電極31を配置するための領域が確保されてよい。
【0045】
枠部23b及び/又は枠部上面23eの幅(一定でない場合は、最大幅若しくは接続電極31が位置する辺の幅)は、例えば、基板部23aの長手方向又は短手方向の長さに対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよく、また、1/3以下、1/4以下又は1/5以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0046】
凹部R1の平面視における大きさは、例えば、水晶素子5の平面視における大きさを考慮して適宜に設定されてよい。必要に応じて、感温素子7の平面視における大きさが考慮されてもよい。例えば、平面視において、凹部R1の長手方向(D1方向)の径(高さ方向の位置等によって異なる場合は例えば最大径)は、水晶素子5の長手方向の径(例えば最大径)に対して、1.05倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上又は1.5倍以上とされてよく、また、2倍以下、1.5倍以下又は1.3倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0047】
なお、凹部R1の平面視における形状は、図示の例とは異なり、矩形状でなくてもよい。別の観点では、枠部上面23eにおいて、内縁は外縁に平行でなくてもよい。例えば、水晶素子が振動用の腕又は実装用の腕を有する態様を想定する。このとき、平面視において、枠部上面23eは、腕と水晶素子の他の部位との間に挿入される凸部を有していてもよい。このような凸部は、例えば、感温素子7に接続される接続電極31の配置領域を確保することに寄与し得る。
【0048】
絶縁基体23(基板部23a及び枠部23b)の材料は任意であり、例えば、セラミックとされてよい。セラミックの具体的な種類は任意であり、例として、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)、窒化アルミニウム(AlN)、及びLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)を挙げることができる。もちろん、絶縁基体23の材料は、セラミック以外の材料であってもよいし、複数種類の材料を含む複合材料であってもよい。
【0049】
(2.2.実装基体の導体(実装基体と蓋体との接合に係るものを除く))
既述のように、実装基体11は、4つの端子3、2つのパッド25及び配線27を有している。
【0050】
4つの端子3は、例えば、基板部23aの第2基板面23dに重なる層状(パッド状)の導体(例えば金属)によって構成されている。端子3の位置、形状及び寸法は任意である。例えば、4つの端子3は、第2基板面23dの4隅に位置している。なお、このようにいうとき、平面視において、各端子3は、第2基板面23dの互いに交差する2つの縁部(長辺及び短辺)から離れていてもよいし、離れていなくてもよい(図示の例)。また、4隅に位置しているか否かは、基板部23aの寸法、端子3の寸法、基板部23aの縁部と端子3の縁部との距離等に基づいて合理的に判断されてよい。後述するパッド25等についても同様である。
【0051】
水晶素子5に接続される2つの端子3と、感温素子7に接続される2つの端子3との位置関係は任意である。例えば、前者の2つの端子3は、基板部23aの長手方向の一方側(-D1側)に位置し、後者の2つの端子3は、基板部23aの長手方向の他方側(+D1側)に位置してよい。また、例えば、前者の2つの端子3は、1対の対角に位置し、後者の2つの端子3は、他の1対の対角に位置してよい。
【0052】
2つのパッド25は、例えば、基板部23aの第1基板面23cに重なる層状(パッド状)の導体(例えば金属)によって構成されている。パッド25の位置、形状及び寸法は任意である。例えば、2つのパッド25は、基板部23aの中央よりも基板部23aの長手方向の一端側(-D1側)に位置しているとともに、基板部23aの短手方向に並んでいる。より詳細には、2つのパッド25は、凹部R1の底面の4隅のうち、長手方向の一方側に位置する2つの隅に位置している。
【0053】
複数の配線27のそれぞれは、適宜な構成とされてよい。例えば、各配線27は、以下のいずれか1つを含んでいてよい。絶縁基体23(基板部23a及び/又は枠部23b)を厚さ方向(D3方向)に貫通するビア導体。絶縁基体23(基板部23a及び/又は枠部23b)の表面(上面、下面及び/又は側面)に重なる層状導体(層状配線)。絶縁基体23の内部(例えば基板部23aと枠部23bとの境界)に位置し、D1-D2平面(第1基板面23c)に沿っている(例えば平行な)層状導体。なお、絶縁基体23の側面に重なる層状導体は、キャスタレーション(凹部)の内面に配置された層状導体を含む。
【0054】
図3に例示されているパッド25と端子3とを接続する配線27は、基板部23aを貫通するビア導体のみによって構成されている。水晶素子5(2つのパッド25)と接続される2つの端子3の双方が基板部23aの長手方向の一方側に位置する態様において、図3に示されていないパッド25と端子3とを接続する配線27も同様とされてよい。また、水晶素子5と接続される2つの端子3が基板部23aの1対の対角に位置するか否かに関わらず、水晶素子5と接続される2つの配線27は、図示以外の態様とされて構わない。
【0055】
なお、ビア導体と導体層(配線27を構成するものだけでなく、パッド25、端子3、接続電極31等を含む。)との接続部において、材料等の観点から見たときに、導体層の上面又は下面とビア導体の下端面又は上端面とが接合されていてもよいし、ビア導体が導体層を貫通していてもよいし、そのような区別が不可能であってもよい。以下では、便宜上、いずれの態様であっても、ビア導体が導体層の上面又は下面に接合されているという捉え方を前提とした表現をすることがある。
【0056】
導体層(端子3、パッド25及び配線27)は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。また、導体層は、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0057】
ビア導体(配線27)の具体的な構成は、種々の構成とされてよい。例えば、ビア導体は、中実(内部に空洞がない態様)であってもよいし(図示の例)、中空状であってもよい。また、ビア導体は、その全体が同じ材料によって構成されていてもよいし、内部と外周面とが異なる材料によって構成されていてもよい。また、例えば、ビア導体は、直柱状であってもよいし、テーパ状であってもよいし、適宜な位置にフランジを有していてもよい。
【0058】
上述した各種の導体(導体層、ビア導体、端子3、パッド25及び配線27)の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)若しくはプラチナ(Pt)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。
【0059】
(2.3.接合材)
水晶素子5とパッド25とを接合する導電性の接合材29は、例えば、導電性接着剤である。導電性接着剤は、特に図示しないが、絶縁性のバインダーと、当該バインダーに分散されている導電性フィラー(導電性粉末)とを有している。バインダーは、有機材料(例えば樹脂、より詳細には熱硬化性樹脂)であってもよいし、無機材料であってもよい。樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂とされてよい。導電性フィラーの材料は、例えば、金属とされてよい。金属は、例えば、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル若しくは鉄、又はこれらの1つ以上を主成分とする合金とされてよい。
【0060】
(2.4.蓋体)
蓋体13の形状、寸法及び材料は、凹部R1を塞ぐことができる限り、任意である。図示の例では、蓋体13は、概略、平板状の部材である。その平面形状は、概略、枠部23bの平面形状と同じであり、すなわち、矩形状である。別の観点では、蓋体13の外縁は、枠部23bに沿って(例えば平行に)延びている。平面透視において、蓋体13の外縁は、例えば、その全体が枠部23b(より詳細には枠部上面23e)の内縁に対して外側に位置している。また、平面透視において、蓋体13の外縁の一部又は全部は、枠部23bの外縁に対して、一致していてもよいし(図示の例)、内側に位置していてもよいし、外側に位置していてもよい。
【0061】
蓋体13の材料は、導電材料(例えば金属)、絶縁材料又は両者の組み合わせとされてよい。金属は、例えば、鉄、ニッケル若しくはコバルト、又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金(例えばコバール)とされてよい。なお、実施形態の説明では、便宜上、蓋体13の材料が金属である態様を前提とした表現をすることがある。絶縁材料は、無機材料(例えばセラミック)であってもよいし、有機材料(例えば樹脂)であってもよい。
【0062】
(2.5.実装基体と蓋体との接合)
実装基体11(枠部23b)と蓋体13との接合方法は、凹部R1を密閉できる限り、種々の方法とされてよい。図示の例では、実装基体11と蓋体13との間に封止材33(符号は図3)が介在して両者を接合している。より詳細には、図示の例では、シーム溶接が行われる態様が示されている。この態様では、封止材33は、例えば、枠部23bの上面に重なっている第1金属層35と、導電性の蓋体13の下面に重なっている第2金属層37とを有している。そして、第1金属層35及び第2金属層37が互いに重なっている状態で、これらの金属層に電圧及び圧力が印加されることによって(換言すれば金属層が加熱及び加圧されることによって)両者が溶接される。
【0063】
なお、封止材33は、その一部又は全部が実装基体11又は蓋体13の一部と捉えられても構わない。例えば、第1金属層35は、実装基体11の一部と捉えられてもよい。第2金属層37は、蓋体13の一部として捉えられてもよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、実装基体11及び蓋体13とは別個の部材として封止材33を捉えた表現をすることがある。
【0064】
導電性の蓋体13(及び/又は封止材33(第1金属層35及び/又は第2金属層37)。以下、本段落において同様。)は、特に図示しないが、基準電位が付与される端子3に対して配線27を介して接続されてよい。基準電位が付与される端子3は、例えば、感温素子7と接続される2つの端子3の1つであってよい。蓋体13と端子3とを接続する経路と、感温素子7と端子3とを接続する経路とは少なくとも一部同士が共用されてよい。なお、感温素子7は、基準電位を利用しないものであってもよい。この場合において、導電性の蓋体13は、例えば、電気的に浮遊状態とされたり、基準電位用の不図示の端子3が追加されることによって基準電位が付与されたりしてよい。
【0065】
第1金属層35及び第2金属層37の材料は任意である。例えば、第2金属層37の材料は、ろう材とされ、第1金属層35は、第2金属層37の濡れ性を向上させる材料とされてよい。このような態様における具体的な材料も任意である。例えば、第2金属層37の材料は、銀ロウ又は金錫とされてよい。第1金属層35の材料は、例えば、タングステン又はモリブデンからなる層の表面にニッケルメッキ及び金メッキが順次施された構成とされてよい。なお、第2金属層37の材料としてろう材が用いられている態様においては、ここでのシーム溶接は、ろう付けと捉えられてもよい。
【0066】
実装基体11と蓋体13との接合方法は、上記以外の種々の方法とされてもよい。
【0067】
例えば、封止材33は、金属(別の観点では導電材料)に限定されず、絶縁材料であってもよい。そのような材料としては、例えば、ガラスが挙げられる。換言すれば、ガラス封止が行われてもよい。ガラスの具体的な種類としては、例えば、鉛系若しくは鉛フリー系の低融点ガラスが挙げられる。鉛フリー系としては、例えば、ビスマス系又は錫系が挙げられる。低融点ガラスのガラス転移温度は、例えば、200℃以上500℃以下である。
【0068】
また、例えば、溶接及びろう付けとは異なり、溶融を伴わずに接合が行われてもよい。別の観点では、第2金属層37は、ろう材でなくてよい。例えば、第1金属層35と第2金属層37との接合は、拡散接合(別の表現では金属間直接接合)であってもよい。より詳細には、例えば、第1金属層35及び第2金属層37の互いに重なる面に所定の処理(例えば研磨及び/又は活性化処理)を施し、これらの金属層を融点未満の温度条件化で加圧してよい。加熱は、行われてもよいし、行われなくてもよく、また、シーム溶接とは異なり、通電は必須ではない。
【0069】
また、例えば、シーム溶接(又は他の溶接)が行われる態様において、ろう材(上記の説明では第2金属層37)は用いられなくてもよい。例えば、金属性の蓋体13が直接に第1金属層35に溶接されてよい。又は、第2金属層37が上記に例示した材料(ろう材)とは異なる材料によって構成されてもよい。
【0070】
また、例えば、導電性又は絶縁性の封止材33を加熱する方法は、通電以外の種々の方法とされてよい。例えば、加熱は、振動子1を炉に配置することによって行われてもよいし、超音波の照射によって行われてもよいし、レーザー光の照射によって行われてもよいし、これらの組み合わせによって行われてもよい。
【0071】
封止材33(別の観点では第1金属層35及び/又は第2金属層37。以下、特に断りが無い限り、本段落及び次段落において同様。)の平面視における形状及び寸法は、平面透視において枠部上面23eとの重複領域が枠状(環状)をなすように設定されている。例えば、封止材33は、平面透視において、枠部上面23eに収まる形状及び寸法を有している。図示の例では、封止材33(別の観点では第1金属層35)の外縁は、枠部上面23eの外縁に一致している。また、封止材33(別の観点では第2金属層37)の外縁は、蓋体下面13bの外縁に一致している。ただし、封止材33の外縁の一部又は全部は、枠部上面23e及び/又は蓋体下面13bの外縁に一致していなくてもよい。
【0072】
既述のように、枠部上面23eには感温素子7と接続される接続電極31が設けられる。従って、少なくとも接続電極31の配置位置においては、封止材33は、枠部上面23eの内縁から離れている。別の観点では、例えば、少なくとも接続電極31の配置位置においては、封止材33の幅(内縁から外縁までの長さ)は、枠部上面23eの幅よりも狭くされている。接続電極31の配置位置以外においては、封止材33の内縁は、枠部上面23eの内縁から離れていてもよいし(図示の例)、枠部上面23eの内縁に一致していてもよい。換言すれば、接続電極31の配置位置以外においては、封止材33の幅は、枠部上面23eの幅に対して、狭くてもよいし、同等であってもよい。
【0073】
封止材33が導電性の場合においては、封止材33は、例えば、2つの接続電極31から離れている(図示の例)。ただし、封止材33は、2つの接続電極31のうち1つと枠部上面23e上においてつながっていてもよい。この場合、2つの接続電極31のうち1つ(別の観点では感温素子7の2つの外部電極7bの1つ)は、例えば、基準電位が付与されるものであってよい。また、絶縁性の封止材33は、2つの接続電極31の一方又は双方に対して接触していてよい。
【0074】
1つの接続電極31と導電性の封止材33(例えば第1金属層35)とがつながっている態様において、両者は、互いに異なる材料によって構成されていてもよいし、互いに同一の材料によって一体的に形成されていてもよい。後者の態様において、1つの接続電極31及び第1金属層35は、その厚さ及び平面形状から区別可能でなくてもよい。例えば、第1金属層35が、平面透視において、枠部上面23eの1辺の全長かつ全幅に重なっており、その一部の領域が1つの接続電極31として利用されてもよい。
【0075】
これまでの説明からも理解されるように、封止材33は、全周に亘って一定の幅で延びていてもよいし(図示の例)、幅を変化させながら延びていてもよい。後者の態様としては、例えば、枠部上面23eが有する4辺のうち、各辺においては幅が一定で、辺同士で幅が異なる態様が挙げられる。この場合、例えば、接続電極31が配置される辺における封止材33の幅が、接続電極31が配置されない辺における封止材33の幅よりも狭くされてよい。また、封止材33が幅を変化させながら延びる他の態様としては、例えば、各辺において、幅が変化する態様が挙げられる。より具体的には、例えば、接続電極31の配置領域及びその周囲においてのみ幅が狭くなる態様が挙げられる。
【0076】
封止材33の幅の具体的な大きさは任意である。例えば、封止材33の幅(例えば最小幅)は、枠部上面23eの幅(周方向に関して上記の封止材33の幅と同じ位置における幅)に対して、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、4/5以下、3/4以下、2/3以下又は1/2以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、枠部上面23eの幅に関して先に例示した下限及び/又は上限の任意のものと、封止材33の幅に関する上記の下限及び/又は上限の任意のものとが組み合わされてもよい。
【0077】
封止材33の厚さは、例えば、その全周に亘って一定である。封止材33の厚さの具体的な値は任意である。例えば、封止材33の厚さは、水晶素子5(又は水晶ブランク15)の厚さ(最小厚又は最大厚)に対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。第1金属層35の厚さは、例えば、10μm以上30μm以下とされてよく、また、当該範囲よりも厚くされても構わない。第2金属層37の厚さは、例えば、10μm以上40μm以下とされてよく、また、当該範囲よりも厚くされても構わない。
【0078】
(3.感温素子(パッケージの感温素子に係る部分を含む))
以下において、感温素子7の説明は、概略、下記の順に行う。
3.1.感温素子7の構成の概要
3.2.感温素子7の構成と図面との対応関係
3.3.感温素子7の位置、形状及び寸法
3.4.外部電極7b(後述)の位置、形状及び寸法
3.5.パッケージ9の感温素子7に係る部分
【0079】
(3.1.感温素子の構成の概要)
既述のように、本実施形態では、感温素子7は、膜状の素子によって構成されている。このような膜状の感温素子7の種類(別の観点では温度の検出原理)は任意である。例えば、感温素子7は、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対又はダイオードであってよい。各種の温度センサの具体的な構成も任意である。なお、実施形態の説明では、便宜上、特に断り無く、感温素子7がサーミスタである態様を例に取った表現をすることがある。
【0080】
なお、感温素子7が、膜状の素子であって、チップ型の感温素子でないことは、技術常識に基づいて合理的に判断されてよい。例えば、感温素子7は、成膜対象(蓋体13)に重なる1以上の層によって構成されており、一方で、チップ型の感温素子は、パッケージングされている構成が接合材(例えばバンプ)によって実装される。別の観点では、感温素子7の絶対的な厚さ、又は蓋体13の厚さ等に対する相対的な厚さは、必ずしも極めて薄いことを要しない。
【0081】
特に図示しないが、感温素子7がサーミスタである態様を例に取り、その具体的な構成が種々のものとされてよいことについて述べる。
【0082】
サーミスタは、例えば、基本的な構成要素として、温度により抵抗値が変化する抵抗膜を有している。抵抗膜の材料は、例えば、酸化物(例えば複合酸化物)又は窒化物(例えば複合窒化物)とされてよい。酸化物又は窒化物は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)及びクロム(Cr)の1つ以上を含んでよい。抵抗膜は、例えば、単一の材料からなる1層の膜のみを有していてもよいし、互いに異なる材料からなる2層以上の膜を有していてもよい。また、抵抗膜は、平面視において、その全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0083】
上記の抵抗膜は、導電性又は絶縁性を有する蓋体下面13bに絶縁膜を介して重なっていてもよいし、絶縁性を有する蓋体下面13bに直接的に重なっていてもよい。絶縁膜は、例えば、抵抗膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有している。絶縁膜の材料は任意であり、例えば、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、両者の組み合わせであってもよい。無機材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)及び窒化ケイ素(Si)が挙げられる。有機材料としては種々の樹脂(例えばエポキシ系樹脂又はシリコーン系樹脂)が挙げられる。絶縁膜は、例えば、単一の材料からなる1層の膜のみを有していてもよいし、互いに異なる材料からなる2層以上の膜を有していてもよい。また、絶縁膜は、平面視において、その全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0084】
また、抵抗膜は、パッケージ9によって構成される空間(別の観点では凹部R1の内部)に露出していてもよいし、絶縁性の被覆膜によって覆われていてもよい。被覆膜は、例えば、抵抗膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有している。被覆膜は、例えば、抵抗膜又は後述する電極を保護することに寄与してよい。被覆膜の材料は任意である。例えば、前段落における絶縁膜の材料の説明は、被覆膜に援用されてよい。
【0085】
抵抗膜は、適宜な配置及び形状の1対の印加電極によって電圧が印加されてよい。例えば、1対の印加電極は、平面視において抵抗膜の長手方向(又は短手方向)の両端に位置し、抵抗膜に対して長手方向(又は短手方向)に電圧を印加してよい。この態様において、1対の印加電極のうち少なくとも抵抗膜に接続される部分は、抵抗膜の下面(蓋体13側)に重なっていてもよいし、抵抗膜の上面に重なっていてもよい。また、1対の印加電極は、抵抗膜を厚さ方向に挟んで対向し、抵抗膜に対して厚さ方向に電圧を印加してもよい。1対の印加電極は、抵抗膜の上面又は下面に重なるとともに、互いに噛み合っている1対の櫛歯電極であってもよい。
【0086】
印加電極のうち抵抗膜の上面(蓋体13とは反対側の面)に重なっていない部分が存在する場合は、当該部分は、例えば、導電性又は絶縁性を有する蓋体下面13bに既述の絶縁膜(又は他の絶縁膜)を介して重なっていてもよいし、絶縁性を有する蓋体下面13bに直接的に重なっていてもよい。後述する外部電極7b及び中継導体についても同様である。導電性の蓋体13は、印加電極として利用可能である。また、導電性の蓋体13は、印加電極に対して、直接に重なり、又は他の導体層を介して間接に重なり、印加電極に電圧を印加する配線として利用可能である。ただし、実施形態の説明では、便宜上、蓋体13が、印加電極又は配線としては利用されない態様を前提とした表現をすることがある。
【0087】
印加電極の材料は任意である。例えば、印加電極の材料の少なくとも一部は、導体パターン17及び実装基体11の種々の導体(3、25、27、31及び35等)の材料の少なくとも一部と同じであってもよいし、異なっていてもよい。いずれにせよ、既述の導体パターン17及び実装基体11の種々の導体の材料の説明(金属の具体例、異なる材料の層の有無、異なる材料の領域の有無等)は、印加電極の材料の説明に援用されてよい。後述する外部電極7b及び中継導体の材料も同様である。
【0088】
(3.2.感温膜の構成と図面との対応関係)
上記の説明から理解されるように、感温素子7は、種々の構成(例えば、抵抗膜、絶縁膜、被覆膜及び印加電極)を有してよい。図2及び図3(並びに他の図面)においては、以下のように、感温素子7の構成が示されている。
【0089】
図2及び図3(並びに他の図面)において、感温素子7は、感温膜7aと、1対の外部電極7bとを有している。感温膜7aは、例えば、1対の外部電極7bを介して電圧が印加される。また、別の観点では、感温膜7aは、温度に応じた強度の信号を1対の外部電極7bの少なくとも一方から出力する。
【0090】
感温膜7aは、例えば、上記のサーミスタを例に取った説明から理解されるように、温度検出に直接的に寄与する機能部(例えばサーミスタでは抵抗膜)のみを有していてもよいし、当該機能部に重なる絶縁膜、被覆膜、印加電極及び/又は次段落で述べる中継導体を有していてもよい。
【0091】
外部電極7bは、例えば、感温素子7がサーミスタである態様を例に取ると、抵抗膜に直接的に電圧を印加する(抵抗膜に直接に接している)印加電極の一部又は全部であってもよいし、印加電極と電気的に接続されている電極であってもよい。後者の態様において、外部電極7bは、例えば、印加電極と一部同士が互いに重なることによって直接的に印加電極と接続されていてもよいし、中継導体(例えば印加電極及び外部電極7bの双方と異なる導体層)を介して間接的に印加電極と接続されていてもよい。
【0092】
また、別の観点では、1対の外部電極7bは、図1及び図2において、その全体が示されていると捉えられてもよいし、一部が示されていると捉えられてもよい。後者の場合において、上記一部は、例えば、被覆膜によって覆われている1対の外部電極7bのうち、被覆膜から露出している部分であってよい。また、上記一部は、1対の外部電極7bのうちパッケージ9との接続に寄与する部分が抽出されて(1対の外部電極7bの他の部分も露出しているが、図面では図示が省略されて)示されていると捉えられてもよい。
【0093】
具体例を挙げると、例えば、感温素子7は、既述のように、平面視における所定方向(例えば機能部(抵抗膜)が延びている方向)の両側において機能部に重なる1対の印加電極を有していてよい。この場合において、図2に例示されている1対の外部電極7bは、例えば、1対の印加電極のうち一部(露出部分又は抽出部分)であってもよいし、1対の印加電極と直接に又は間接に接続されている1対の端子であってもよい。
【0094】
また、例えば、感温素子7は、既述のように、抵抗膜を厚さ方向に挟んでいる1対の印加電極を有してよい。この場合において、図2に例示されている1対の外部電極7bは、1対の印加電極の一部(露出部分又は抽出部分)であってもよいし、1対の印加電極と直接に又は間接に接続されている1対の端子であってもよい。前者の態様において、1対の外部電極7bは、一方の印加電極の平面視における端部と、他方の印加電極の平面視における端部とであってよい。
【0095】
また、例えば、感温素子7は、既述のように、1対の印加電極として、1対の櫛歯電極を有してよい。図2に例示されている1対の外部電極7bは、1対の櫛歯電極を含む1対の導体パターンの一部(露出部分又は抽出部分)であってもよいし、1対の櫛歯電極と直接に又は間接に接続されている1対の端子であってもよい。より詳細には、1対の櫛歯電極は、例えば、互いに対向する1対のバスバーと、各バスバーから他方のバスバーへ延びる複数の電極指とを有してよい。上記の1対の導体パターンの一部は、例えば、1対のバスバーから延びる部分であってよい。また、上記の1対の端子は、例えば、1対のバスバーに直接又は間接に接続されていてよい。
【0096】
なお、平面視において、感温素子7の形状と1対(若しくは2対以上)の櫛歯電極の配置との関係は任意である。例えば、図2の例のように感温素子7の少なくとも一部(図2の例においては全部)が長手方向及び短手方向を有する形状(本段落において第1形状という。)である場合においては、1対のバスバーが長手方向に延び、複数の電極指が短手方向に延びるように1対の櫛歯電極が配置されてよい。感温素子7が複数の第1形状を有している態様においては、各第1形状に1対の櫛歯電極が設けられてよい。
【0097】
(3.3.感温素子の位置、形状及び寸法)
感温素子7の位置(蓋体13における位置。以下、特に断りが無い限り、同様。)、形状及び寸法は任意である。なお、感温素子7の位置、形状及び寸法の説明は、矛盾等が生じない限り、感温膜7aの位置、形状及び寸法に援用されてもよい。感温膜7aの位置、形状及び寸法は、上記のサーミスタの例から理解されるように、感温膜7aが機能部(サーミスタでは抵抗膜)のみからなる態様では機能部の位置、形状及び寸法であり、また、感温膜7aが他の部分(絶縁膜、被覆膜、印加電極及び/又は中継導体)を含む態様では、機能部及び他の部分の全体の位置、形状及び寸法である。ただし、感温素子7の位置、形状及び寸法の説明は、矛盾等が生じない限り、感温膜7aが機能部以外の他の部分を含む態様において、機能部、又は機能部及びその直上の他の部分の組み合わせの、位置、形状及び寸法に援用されてもよい。
【0098】
後述する変形例からも理解されるように、感温素子7は、蓋体下面13bの任意の領域に位置してよい。例えば、平面透視したとき、感温素子7は、凹部R1(別の観点では枠部上面23eの内側)に収まっていてもよいし(図2及び図3の例)、凹部R1の外側に位置していてもよいし(後述する図6の例)、凹部R1及びその外側に跨っていてもよい。換言すれば、平面透視において、感温素子7は、凹部R1に重複する部分を有していてもよいし、有していなくてもよく、また、凹部R1の外側に重複する部分を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0099】
また、平面透視において、感温素子7が凹部R1に重複する態様において、感温素子7は、凹部R1の幾何中心に重複していてもよいし、重複していなくてもよい。また、感温素子7の凹部R1又は凹部R1の幾何中心に対する重複の有無に関わらず、感温素子7の幾何中心は、凹部R1の幾何中心に対して、概ね一致していてもよいし、一致していなくてもよい。例えば、幾何中心同士の距離が凹部R1の最小径の1/5以下の場合は、両者は一致していると捉えられてよい。
【0100】
平面透視において感温素子7が凹部R1に重複する部分を有する態様において、その重複する広さは任意である。例えば、感温素子7が凹部R1に重複する面積は、凹部R1の面積に対して、1/5以上、1/3以上、1/2以上、2/3以上、4/5以上、また、1倍以下、4/5以下、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。さらに、感温素子7は、凹部R1の全体に重複してもよい。また、本段落の下限及び/又は上限は、平面透視において、凹部R1の任意の方向(例えば長手方向又は短手方向)において、凹部R1の長さ(例えば最大長さ)に対して感温素子7が重複する長さ(例えば最大長さ)に援用されてもよい。
【0101】
以上の凹部R1との対比における感温素子7の位置及び広さの説明(凹部R1に重複するか否か、幾何中心が一致するか否か、及び凹部R1の面積に対する重複面積等)は、凹部R1の語を水晶素子5の語又は励振電極19の語に置換して、水晶素子5又は励振電極19との対比における感温素子7の位置及び広さの説明に援用されてよい。
【0102】
図示の例では、感温素子7は、平面透視において、概略、その全体が凹部R1の全体と重なっている。すなわち、平面透視において、感温素子7(より詳細には感温膜7a)は、凹部R1の形状及び寸法と同じ形状及び寸法を有している。従って、平面視における凹部R1の形状及び寸法に関する既述の説明は、感温膜7aの平面形状に援用されてよい。また、平面透視において、感温素子7は、凹部R1の全体と重なっていることから、水晶素子5の全体及び励振電極19の全体にも重なっている。さらに、平面透視において、感温素子7の幾何中心は、概ね、凹部R1の幾何中心、水晶素子5の幾何中心及び励振電極19の幾何中心に対して、一致している、又は比較的近い。
【0103】
もちろん、図示の例とは異なり、平面透視において、感温素子7の形状及び寸法は、凹部R1の形状及び寸法と異なっていてもよい。例えば、感温素子7は、平面透視において、凹部R1よりも小さい矩形状とされてよい。このとき、矩形の長手方向は、凹部R1の長手方向及び短手方向のいずれと同じであってもよい。また、矩形は、正方形であっても構わない。また、平面透視において、感温膜7aは、その全周に亘って枠部上面23eから離れていてもよい。
【0104】
さらに、平面透視において、感温素子7の形状は、凹部R1の形状と同じであるか否かを問わず、矩形状以外の形状であっても構わない。矩形状以外の形状としては、例えば、円形状、楕円状及び矩形以外の多角形が挙げられる。これらの形状は、数学でいう凸集合の境界線のような形状ということができる。また、この他、感温素子7の形状は、L字状又はU字状のように、凸集合の境界線からは逸脱した形状であっても構わない。
【0105】
感温素子7は、その領域全体に亘って概ね一定の厚さを有していてもよいし、互いに厚さが異なる複数の領域を有していてもよい。感温素子7の上面は、例えば、平面状であってもよいし、曲面状であってもよいし、凹凸を有する形状であってもよい。凹凸を有する形状としては、高さが互いに異なる複数の平面を有する形状が挙げられる。このような形状としては、例えば、抵抗膜及び/又は中継導体の有無がこれらを覆う被覆膜の上面に現れた形状が挙げられる。
【0106】
感温素子7の具体的な厚さは任意である。例えば、感温素子7の最大厚さ又は平均厚さは、水晶ブランク15の最小厚さ、平均厚さ又は最大厚さに対して、1/300以上、1/200以上、1/100以上、1/50以上、1/30以上、1/10以上、1/5以上又は1/2以上であってよく、また、2倍以下、1倍以下、1/5以下、1/10以下又は1/100以下であってよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、感温素子7の厚さは、例えば、0.05μm以上、0.1μm以上、1μm以上、5μm以上又は10μm以上とされてよく、また、100μm以下、50μm以下又は10μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0107】
感温素子7と水晶素子5との第1距離(例えば最短距離又は平均距離)の値は任意である。例えば、当該第1距離は、水晶素子5の厚さ、又は水晶素子5と凹部R1の底面との距離(例えば最短距離又は平均距離)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
【0108】
既述のように、水晶素子は、板形状のものに限定されず、音叉型等の種々のものとされてよい。この場合において、感温素子は、水晶素子の特定の部位に対向するように位置、形状及び寸法が設定されていてもよい。例えば、水晶素子が、基部と、基部から延びる振動用の腕とを有している態様において、感温素子は、振動用の腕に対向し、かつ基部に対向しない長尺形状を有していてもよい。
【0109】
(3.4.外部電極の位置、形状及び寸法)
1対の外部電極7bは、例えば、蓋体13のうち、平面透視において枠部上面23eと重複する領域に位置している。これにより、蓋体13が凹部R1に被せられた状態で、1対の外部電極7bと、枠部上面23eに位置する1対の接続電極31とが対向し、両者が接続される。
【0110】
平面透視において、1対の外部電極7bは、枠部上面23e内の任意の領域に位置してよい。例えば、各外部電極7bは、枠部上面23eの4辺のうち、1辺に収まっていてもよいし(図示の例)、2辺以上に亘って延びていてもよい。なお、以下の説明では、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、1つの外部電極7bは、1辺に収まっていると捉えられてよい。
【0111】
また、例えば、1つの外部電極7bは、枠部上面23eの4辺のうちの、長辺及び短辺のいずれに位置していてもよい。また、2つの外部電極7bは、互いに同じ1辺に位置していてもよいし(図2の例)、互いに異なる2辺に位置していてもよい(後述する図4(a)及び図4(b)参照)。上記の互いに異なる2辺は、互いに対向する2辺であってもよいし、互いに交差する2辺であってもよい。
【0112】
また、例えば、枠部上面23eの1辺に収まる1つの外部電極7bは、1辺の長さ方向の任意の領域に位置してよい。例えば、1つの外部電極7bは、1辺の全体に位置してもよいし(後述する図4(b)参照)、1辺の一部に位置してもよい(図2及び後述する図4(a)の例)。後者の態様において、1つの外部電極7bは、1辺の端部側に位置してもよいし(図示の例)、1辺の中央側に位置してもよい。
【0113】
平面透視したとき、1対の外部電極7bは、例えば、封止材33(別の観点では第2金属層37)よりも内側に位置している。より詳細には、例えば、1対の外部電極7bは、例えば、導電性の封止材33(別の観点では第1金属層35及び/又は第2金属層37)から離れている(図示の例)。ただし、1対の外部電極7bの1つは、蓋体下面13b(枠部上面23e)において導電性の封止材33とつながっていてもよい。この場合、上記1つの外部電極7bは、例えば、基準電位が付与されるものであってよい。また、1対の外部電極7bの1つ又は双方は、絶縁性の封止材33に対して、接触していてもよいし、非接触であってもよい。
【0114】
1つの外部電極7bと導電性の封止材33(例えば第2金属層37)とがつながっている態様において、両者は、互いに異なる材料によって構成されていてもよいし、互いに同一の材料によって一体的に形成されていてもよい。後者の態様において、1つの外部電極7b及び第2金属層37は、その厚さ及び平面形状から区別可能でなくてもよい。例えば、第2金属層37が平面透視で枠部上面23eの1辺の全長かつ全幅に亘る広さを有しており、その一部の領域が1つの外部電極7bとして利用されてもよい。
【0115】
平面透視したとき、1対の外部電極7bは、上記のように封止材33よりも内側に位置している限り、枠部上面23e内において、幅方向(内縁から外縁への方向)の任意の領域に位置してよい。例えば、1対の外部電極7bは、枠部上面23eの幅方向中央よりも内側に位置していてもよいし、幅方向中央に重なっていてもよいし、枠部上面23eの内縁に重なっていてもよいし、枠部上面23eの内縁から外側に離れていてもよい。外部電極7bは、枠部上面23eの内縁よりも内側に位置する部分を有していてもよい。
【0116】
既述の位置の説明からも理解されるように、平面視における外部電極7bの形状及び寸法は任意である。例えば、外部電極7bの平面形状は、枠部上面23eの1辺に位置する矩形状であってもよいし(図示の例)、枠部上面23eの4辺のうちの2辺に沿う概略L字状であってもよいし、枠部上面23eの4辺のうちの3辺に沿う概略U字状であってもよい。また、1辺に位置する外部電極7bの形状は、矩形状に限定されず、他の形状(例えば、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形状等)であってもよい。
【0117】
また、例えば、枠部上面23eの内縁の1辺の長さに対する1つの外部電極7bの長さは、1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。また、例えば、枠部上面23eの幅に対する外部電極7bの幅は、1/3未満であってもよいし、1/3以上であってもよい。
【0118】
既述のように、感温膜7aの構造は、種々のものとされてよい。例えば、機能部(サーミスタでは抵抗膜)に電圧を印加する印加電極と外部電極7bとの間には両者を電気的に接続する中継導体が介在してよい。さらに、印加電極、中継導体及び外部電極7bの少なくとも2つは、絶縁体を介して立体交差してもよいし、印加電極と外部電極7bとの間に2以上(例えば2層以上)の中継導体が介在してもよい。このことから理解されるように、外部電極7bの位置、形状及び寸法は、感温膜7a(機能部)の位置、形状及び寸法に関わらずに、任意の位置、形状及び寸法とされてよい。
【0119】
例えば、各外部電極7bは、感温膜7a(機能部)の配置領域に収まっていてもよいし、収まっていなくてもよい。前者の態様における外部電極7bの感温膜7aに対する具体的な位置も任意である。例えば、外部電極7bは、感温膜7aの縁部に隣接する領域に位置していてもよいし、感温膜7aの縁部から離れた領域に位置していてもよい(後述する図5(a)参照)。また、外部電極7bが感温膜7aの配置領域の外側に位置する部分を有する態様において、外部電極7bは、感温膜7aに重なる位置から任意の位置へ延びたり、任意の領域に位置して中継導体を介して感温膜7aと接続されたりしてよい。なお、このような態様において、感温膜7aは、平面透視において、枠部上面23eから内側に離れた領域(例えば水晶素子5又は励振電極19と重複する領域)に位置していてもよい。
【0120】
図1図3に示す例では、平面透視したとき、2つの外部電極7bは、パッケージ9の長手方向において、パッケージ9の中央に対して、2つのパッド25が位置する側とは反対側(+D1側)に位置している。より詳細には、2つの外部電極7bは、枠部上面23eの4辺のうち、+D1側の短辺に共に位置している。また、2つの外部電極7bは、+D1側の短辺において、当該短辺が延びる方向の両側に互いに離れて位置している。また、2つの外部電極7bは、枠部上面23eの内側の縁部に重なっている。
【0121】
外部電極7bの厚さは任意である。ただし、図1図3の例では、平面状の蓋体下面13bと平面状の枠部上面23eとの間にて、接続電極31と外部電極7bとが互いに対向して接合されるから、外部電極7bの厚さは、封止材33の厚さ未満である。なお、枠部上面23eにおいて、接続電極31の配置領域を第1金属層35の配置領域よりも低くすることなどによって、外部電極7bの厚さは、封止材33の厚さ以上とすることも可能である。外部電極7bの厚さを、第2金属層37の厚さよりも薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。なお、本段落における外部電極7bの厚さの説明は、接続電極31の厚さに援用されてよい。このとき、第2金属層37の語は、第1金属層35の語に置換されてよい。
【0122】
(3.5.パッケージの感温素子に係る部分)
既に触れたように、パッケージ9(実装基体11)は、2つの外部電極7bと接続される接続電極31を有している。接続電極31と外部電極7bとは互いに対向して接合される。平面透視したとき、接続電極31と外部電極7bとは概ね一致してもよいし、重複しつつも互いにずれていてもよい。いずれにせよ、平面透視における外部電極7bの位置、形状及び寸法に関する既述の説明は、矛盾等が生じない限り、平面透視における接続電極31の位置、形状及び寸法に援用されてよい。
【0123】
2つの接続電極31は、2つの配線27を介して2つの端子3と電気的に接続されている。配線27が種々の構成とされてよいことについては既に述べた。図3に例示されている接続電極31と端子3とを接続する配線27は、枠部23b及び基板部23aを貫通するビア導体のみによって構成されている。2つの接続電極31と接続される2つの端子3の双方が基板部23aの長手方向の一方側に位置する態様において、図3に示されていない接続電極31と端子3とを接続する配線27も同様とされてよい。また、2つの接続電極31と接続される2つの端子3が基板部23aの1対の対角に位置するか否かに関わらず、2つの接続電極31と接続される2つの配線27は、図示以外の態様とされて構わない。
【0124】
接続電極31の材料も任意である。例えば、接続電極31の材料は、パッケージ9の種々の導体(3、25及び/又は27)の材料と同じであってもよいし、封止材33(例えば第1金属層35)の材料と同じであってもよい。いずれにせよ、パッケージ9の種々の導体の材料及び/又は封止材33の材料の説明は、接続電極31の材料に援用されてよい。
【0125】
外部電極7bと接続電極31との接合方法は種々の方法とされてよい。例えば、両者は、その間に介在する導電性の接合材(不図示)によって接合されてよい。導電性の接合材は、導電性接着剤であってもよいし、金属材料であってもよい。金属材料は、はんだ(鉛フリーはんだを含む。以下、同様。)であってもよいし、ろう材であってもよい。また、外部電極7b及び接続電極31は、金属間直接接合によって接合されてもよい。接続電極31及び外部電極7bの接合方法は、第1金属層35及び第2金属層37の接合方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0126】
外部電極7bと接続電極31との接合は、例えば、封止材33によって実装基体11と蓋体13とを接合する封止工程の前に行われてよい。封止工程において外部電極7b及び接続電極31(並びに接合材が介在する場合は接合材)における温度は、例えば、両者を接合する導電性接着剤の耐熱温度未満、又は両者を接続する金属材料(はんだ若しくはろう材。外部電極7b自体及び/又は接続電極31自体であってもよい。次段落において同様。)の溶融温度未満とされる。ただし、金属材料は、溶融して再度接着されても構わない。
【0127】
上記とは異なり、外部電極7bと接続電極31との接合は、封止材33によって実装基体11と蓋体13とを接合する封止工程と同時に行われてもよい。例えば、封止工程のときの熱によって、外部電極7bと接続電極31との間の導電性接着剤が硬化したり、外部電極7bと接続電極31との間の金属材料(外部電極7b及び接続電極31の少なくとも一方に接合されていない状態のもの)が溶融されたりしてもよい。また、第2金属層37の材料と同一の材料によって第2金属層37と一体的に形成される外部電極7bが封止工程において接続電極31と接合されてよいことは明らかである。
【0128】
なお、封止工程の後に、外部電極7bと接続電極31とを接合することも可能である。例えば、封止工程において外部電極7b及び接続電極31における温度は、例えば、両者を接続する金属材料の溶融温度未満とされる。その後、超音波の照射等によって外部電極7b及び接続電極31を加熱したり、適宜な器具によって蓋体13を局所的に加圧したりしてよい。
【0129】
(4.変形例)
以下、第1実施形態の変形例について、概略、下記の順で説明を行う。
4.1.外部電極7bに係る変形例(図4(a)及び図4(b))
4.2.感温膜7aに係る変形例(図5(a)~図5(c)及び図6
【0130】
(4.1.外部電極に係る変形例)
図4(a)及び図4(b)は、変形例に係る感温素子7A又は7Bが位置している蓋体下面13bを示す平面図である。
【0131】
既述のように、外部電極7b(別の観点では接続電極31)の位置、形状及び寸法は種々のものとされてよい。図4(a)及び図4(b)は、図1図3に例示した外部電極7bの位置、形状及び寸法とは異なる例を示す図となっている。具体的には、以下のとおりである。なお、特に図示しないが、変形例に係る外部電極7bと接続される接続電極31の位置、形状及び寸法は、変形例に係る外部電極7bの位置、形状及び寸法と概略同様である。
【0132】
図4(a)に示す例では、2つの外部電極7bは、矩形状(換言すれば4つの縁部を概念できる形状)の感温膜7aの互いに異なる2つの縁部(辺)に隣接している。別の観点では、平面透視したとき、2つの外部電極7bは、矩形状(換言すれば4つのセグメント(辺)を概念できる形状)の枠部上面23eにおいて互いに異なる2つの辺に重複している。より詳細には、2つの外部電極7bは、感温膜7a又は枠部上面23eの2つの短辺に位置している。また、2つの外部電極7bは、短辺が延びる方向(D2方向)において互いに反対側に位置している。
【0133】
図4(b)に示す例では、2つの外部電極7bは、図4(a)に示す例と同様に、感温膜7a(別の観点では枠部上面23e)の互いに異なる2つの辺(より詳細には2つの短辺)に位置している。ただし、各外部電極7bは、各辺の長さ(枠部上面23eにおいては内周側を基準とした長さ)の大部分(例えば8割以上。図示の例では全部)に亘っている。
【0134】
(4.2.感温膜に係る変形例)
図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、変形例に係る水晶振動子1C、1D及び1Eの一部を示す断面図である。これらの図は、図3の上方部分に対応している。
【0135】
既述のように、感温膜7aの位置、形状及び寸法は種々のものとされてよい。図5(a)~図5(c)は、図1図3に例示した位置、形状及び寸法とは異なる例を示す図となっている。具体的には、以下のとおりである。
【0136】
なお、図5(a)~図5(c)では、2つの外部電極7bの位置に関しては、実施形態と同様に、枠部上面23eの+D1側の辺に2つの外部電極7bが位置する態様を例に取る。ただし、これまでの説明からも理解されるように、2つの外部電極7bの位置は任意であり、例えば、図4(a)及び図4(b)に例示した位置、又はこれに類似する位置であっても構わない。
【0137】
図5(a)に示す例では、感温素子7Cの感温膜7aは、平面透視したときに凹部R1の外側に位置する部分を有している。より詳細には、感温膜7aは、蓋体下面13bの全面に重なっている。上記に伴い、パッケージ9Cの封止材33Cは、感温膜7aを介して蓋体下面13bと接合されている。
【0138】
感温膜7aが凹部R1の外側に位置する部分を有する態様(後述する図5(b)及び図6の変形例も含む。)において、当該部分の広さは任意である。例えば、平面透視において、凹部R1の外側に位置する部分(及び/又は枠部上面23eに重複する部分)の面積は、枠部上面23eの面積に対して、1/5以上、1/3以上、1/2以上、2/3以上、4/5以上又は1倍であってよい。前記説明において、面積の語は、枠部上面23eの幅方向における長さの語に置換されてもよい。
【0139】
前段落の説明において、凹部R1の語は、水晶素子5の語に置換されてもよい。この場合において、枠部上面23eの語は、水晶素子5の外縁から枠部上面23eの内縁又は外縁までの領域の語に置換されてよい。さらに、前段落の説明において、凹部R1の語は、励振電極19の語に置換されてもよい。この場合において、枠部上面23eの語は、励振電極19の外縁から水晶素子5の外縁まで領域の語、又は励振電極19の外縁から枠部上面23eの内縁若しくは外縁までの領域の語に置換されてよい。
【0140】
なお、封止材33Cは、導電材料(例えば金属)であってもよいし、絶縁材料(例えばガラス)であってもよい。前者の態様においては、感温膜7aは、機能部(サーミスタでは抵抗膜)と封止材33Cとの間に絶縁性の被覆膜を有していてよい。後者の態様においては、感温膜7aは、被覆膜を有していてもよいし、有していなくてもよい。図5(a)において、封止材33Cは、1層の材料として表現されている。ただし、封止材33Cは、実施形態と同様に、第1金属層35及び第2金属層37を含んでいても構わない。
【0141】
図5(b)に示す例では、感温素子7Dの感温膜7aは、図5(a)に示す例と同様に、平面透視したときに凹部R1の外側に位置する部分を有している。ただし、感温素子7Dにおいては、感温膜7aは、蓋体下面13bの全面に重なっておらず、蓋体下面13bの一部に重なっている。より詳細には、感温膜7aの外縁(例えばその全部)は、蓋体下面13b(別の観点では枠部上面23e)の外縁よりも内側に位置している。なお、図5(b)に示すパッケージ9Dにおいて、実装基体11Dと蓋体13との接合は、実施形態と同様に、感温膜7a(感温素子7D)の外周で行われてもよいし(図示の例)、図5(a)の例と同様に、感温膜7aを介して行われてもよい。
【0142】
図5(b)に示す感温素子7Dは、感温膜7aの厚さが封止材33の厚さよりも厚い態様の例ともなっている。このような態様において、枠部上面23eは、接続電極31の配置領域が、封止材33の配置領域よりも低くなっていてもよい(凹部R1の底面側に位置していてもよい。)。これにより、感温膜7aの厚みに起因して凹部R1の密閉性が低下する蓋然性が低減される。
【0143】
なお、枠部上面23eにおいて、接続電極31の配置領域を封止材33の配置領域よりも低くする方法は種々の方法とされてよい。例えば、凹部R1の形成と同様に、封止材33の配置領域にセラミックグリーンシートが積層されることによって当該領域が相対的に高くされたり、又は接続電極31の配置領域がプレスによって相対的に低くされたりしてよい。また、接続電極31の配置領域に対して研磨、研削、切削又はレーザー加工を施すことによって当該領域が相対的に低くされてもよい。
【0144】
図5(c)に示す例では、感温素子7Eの感温膜7aは、実施形態と同様に、平面透視したときに、その概ね全体が凹部R1の全体に重複する。ただし、感温膜7aは、蓋体下面13bが有している凹部(符号省略)に収容されている。感温膜7aの厚さは、蓋体下面13bの凹部の深さに対して、小さくてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、厚くてもよい。なお、この変形例は、凹部R1の全体に亘る広さを有する感温膜7aだけでなく、蓋体13の外縁よりも内周側に全体が位置している種々の広さの感温膜7aに適用可能である。
【0145】
なお、パッケージ9Eにおいて、蓋体13Eと実装基体11との接合は、例えば、実施形態又は他の変形例と同様に行われてよい。ただし、例えば、感温膜7aが蓋体13Eの凹部に収容されることによって、実施形態に比較して、感温膜7aの-D3側の面が+D3側に位置する。その結果、例えば、図5(b)の例のように、枠部上面23eのうち接続電極31の配置領域を封止材33の配置領域よりも低くする蓋然性が低減される。
【0146】
図6は、変形例に感温素子7Fを示す斜視図である。
【0147】
既述のように、感温膜7aの平面形状は種々の形状とされてよく、矩形状等に限定されない。感温素子7Fにおいては、感温膜7aの平面形状は、枠状(環状)とされている。換言すれば、感温膜7aは、蓋体13の1つ以上の縁部(別の観点では枠部上面23eの1つ以上の辺)に沿って(例えば平行に)延びる形状である。縁部に沿って延びる形状は、必ずしも環状でなくてもよい。例えば、感温膜7aは、矩形状の蓋体13の1辺のみに沿っていてもよいし、2辺のみに沿っていてもよいし(L字状であってもよいし)、3辺のみに沿っていてもよいし(U字状であってもよいし)、4辺に沿っているものの途中で途切れていてもよい(C字状であってもよい。)。
【0148】
感温素子7Fの感温膜7aは、蓋体13の1つ以上の縁部に沿って延びる1つ以上のセグメント(符号省略)を有していると捉えられてもよい。各セグメントは、概略矩形状である。別の観点では、各セグメントは、一定の幅で延びている。また、各セグメントは、1つの縁部の略全体(例えば8割以上の長さ)に亘って延びている。もちろん、これまでの説明からも理解されるように、各セグメントにおいて、平面形状は矩形状以外であってもよいし、幅は変化してもよいし、長さは1つの縁部の長さよりも短くてもよい。複数のセグメントの形状及び寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0149】
蓋体13の1つ以上の縁部に沿って延びる感温膜7aは、平面透視において、凹部R1に重複していてもよいし、重複していなくてもよい。図6の例では、感温膜7aが凹部R1に重複しない(又は重複面積が比較的小さい)態様が想定されている。例えば、感温膜7aの内縁は、平面透視において凹部R1の縁部に概ね一致する。なお、図6の感温膜7aは、図5(a)及び図5(b)の例と同様に、平面透視において凹部R1の外側に位置する部分を有する態様の一例である。
【0150】
蓋体13の縁部に沿っている形状の感温膜7aを平面透視したとき、凹部R1の、感温膜7aと重複しない領域(感温膜7aに囲まれた領域)の広さ、感温膜7aと凹部R1とが重複する領域の広さ、感温膜7aの、凹部R1と重複しない領域(凹部R1よりも外側の領域)の広さは任意である。例えば、平面透視したとき、感温膜7aの、凹部R1よりも外側の領域の面積は、感温膜7a全体の面積に対して、1/2以上、2/3以上、4/5以上又は1倍であってよい。当該説明において、面積の語は、感温膜7a(セグメント)の幅の語に置換されてもよい。また、例えば、平面透視したとき、凹部R1の、感温膜7aに囲まれた領域の面積は、凹部R1全体の面積に対して、1/2以上、2/3以上、4/5以上又は1倍であってよい。当該説明において、面積の語は、平面透視したときの任意の方向(例えば長手方向又は短手方向)における凹部R1の長さ(例えば最大長さ)の語に置換されてもよい。本段落における説明において、凹部R1の語は、水晶素子5の語又は励振電極19の語に置換されてもよい。
【0151】
既述のように、感温膜7aの構成(例えば印加電極の形状等)は種々のものとされてよい。このことは、感温素子7Fにおいても同様である。例えば、感温素子7は、感温膜7aが含む1以上のセグメント(辺)が延びる方向の両端において電圧が印加されるものであってもよいし、感温膜7aの厚さ方向に電圧が印加されるものであってもよいし、1対以上の櫛歯電極によって電圧が印加されるものであってもよい。櫛歯電極が設けられる態様においては、例えば、各セグメントに1対の櫛歯電極が設けられてよい。この場合、例えば、1対の櫛歯電極は、1対のバスバーがセグメントの長手方向に延びる向きで配置されてよい。
【0152】
既述のように、2つの外部電極7bの位置、形状及び寸法は、平面透視において枠部上面23eに重複する部分を有する限り、任意のものとされてよい。図6の例では、2つの外部電極7bは、矩形の枠状の感温膜7aの1対の対角に位置している。また、その形状は、感温膜7aのセグメント(辺)の幅と同様の長さを有する正方形とされている。もちろん、2つの外部電極7bは、1対の対角以外の領域(例えば図2又は図4(b)を参照)に位置していてもよいし、正方形以外の形状(例えば正方形以外の矩形状又は円形状)であってもよい。
【0153】
平面透視したとき、蓋体13の1つ以上の縁部に沿って延びる感温膜7aは、図5(a)の例と同様に封止材33に重複していてもよいし、図5(b)の例と同様に封止材33と重複していなくてもよい。図6では、前者の態様が例示されている。なお、ここでは、便宜上、第2金属層37が蓋体13に位置している態様が示されている。これまでの説明からも理解されるように、封止材33は絶縁材料(例えばガラス)であってもよいし、蓋体13と実装基体11との接合前において実装基体11のみに位置していてもよい。
【0154】
(5.第1実施形態のまとめ)
以上のとおり、圧電デバイス(水晶振動子1)は、圧電素子(水晶素子5)と、実装基体11と、蓋体13と、感温素子7と、を有している。実装基体11は、凹部R1を有している。凹部R1の底面には水晶素子5が実装されている。蓋体13は、凹部R1を塞いでいる。感温素子7は、水晶素子5よりも蓋体13の側に位置している部分を有している。
【0155】
従って、例えば、既述のように、感温素子7が凹部R1の底面側からの熱の影響を過剰に受ける蓋然性が低減される。その結果、計測温度が水晶素子5の温度に追従することが期待される。
【0156】
感温素子7は、蓋体13の、実装基体11の側の第1面(蓋体下面13b)に重なっている感温膜7aを有していてよい。
【0157】
この場合、例えば、感温素子7は、蓋体13に固定されていることから、水晶素子5を実装基体11に実装した後、かつ感温素子7を(蓋体13を介して)実装基体11に固定する前に、実装基体11を介して水晶素子5の検査を行ったり、周波数特性の調整のためにレーザー光によって励振電極19を削ったりすることができる。従って、例えば、上記検査によって水晶素子5及び実装基体11が不良品であると判定されても、感温素子7が無駄にならない。また、例えば、レーザー光によって感温素子7が削られることがない。感温素子7と蓋体13とが別であると、レーザー光等によって周波数調整をした後、感温素子7を実装基体11に固定したときと、蓋体13を実装基体11に固定したときとの双方において周波数特性が変化する可能性があり、ひいては、周波数特性の変化が大きくなる可能性がある。しかし、両者の固定が共になされることから、周波数特性の変化が低減されることが期待される。以上のように周波数調整が容易化されることによって、例えば、生産性が向上する。さらに、感温素子7が感温膜7aを有する構成であることから、感温素子7がチップ型である態様(そのような態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、振動子1の薄型化が容易である。また、蓋体13を実装基体11に接合する過程において、感温素子7の側面に対する実装基体11等の意図されていない接触が生じる蓋然性も低減される。蓋体13及び感温素子7に基準電位が付与される態様において、蓋体13に感温素子7が設けられていることから、両者に基準電位を付与するための端子3及び配線27の共通化が容易である。
【0158】
感温膜7aは、平面透視において凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)に重複する部分を有していてよい。例えば、感温膜7aは、平面透視において、凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)の面積の1/3以上、1/2以上又は全部に重複していてよい(図1図5(c)参照)。
【0159】
この場合、例えば、感温膜7aが凹部R1内の気体を介して水晶素子5の温度を検出可能な態様において、計測温度が水晶素子5の温度に追従しやすくなる。また、例えば、枠部上面23eの上に感温膜7aの面積を確保する必要性が低減されるから、凹部R1を封止する構成(例えば封止材33)と感温膜7aとの構造的な干渉を避けることが容易化される。その結果、例えば、感温膜7aの構成が簡素化される。
【0160】
感温膜7aは、平面透視において凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)の外側に位置する部分を有していてよい。例えば、感温膜7aは、平面透視において、枠部上面23eの面積の1/5以上、1/3以上、1/2以上又は全部に重複していてよい(図5(a)、図5(b)及び図6参照)。
【0161】
この場合、例えば、図5(a)及び図5(b)のように感温膜7aが凹部R1に重複する領域からその外側に広がっている態様においては、感温膜7aの面積を確保しやすい。その結果、例えば、振動子1の平面視における小型化に有利である。また、例えば、図6のように感温膜7aが凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)に重複しない態様においては、例えば、感温膜7aと水晶素子5との接触を避けることができる。別の観点では、振動子1の薄型化に有利である。また、凹部R1内が真空であるなど、水晶素子5と感温膜7aとの間の空間の断熱性が高い態様においては、枠部23bを介して水晶素子5の温度と感温膜7aの温度とが同等になりやすい。ひいては、計測温度が水晶素子5の温度に追従しやすくなる。
【0162】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る水晶振動子201を示す断面図である。この図は、第1実施形態の図3に対応している。
【0163】
第1実施形態では、感温素子7は、膜状の素子とされたのに対して、第2実施形態では、感温素子207は、チップ型の素子とされている。そして、感温素子207は、導電性の接合材41によって蓋体13に実装されている。このような態様においても、第1実施形態と同様に、感温素子207は、水晶素子5よりも蓋体13側に位置している。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、振動子1が実装される回路基板53からの熱が感温素子207に及ぼす影響が低減される。具体的には、例えば、以下のとおりである。
【0164】
感温素子207の具体的な構成は任意である。例えば、感温素子207は、感温素子7と同様に、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対又はダイオード等の種々の原理のものとされてよい。また、例えば、感温素子207の機能部(例えばサーミスタでは抵抗体)は、外部(凹部R1内の空間)に露出していてもよいし、封止部によって覆われていてもよい。封止部の材料は任意であり、例えば、ガラス、セラミック又は樹脂等の絶縁材料とされてよい。
【0165】
図示の例では、感温素子207は、素子本体207aと、2つの素子端子207b(1つのみ図示)とを有している。素子本体207aは、前段落から理解されるように、例えば、少なくとも機能部を含み、さらに、機能部を覆う封止部を有していてもよい。素子本体207aの形状は、例えば、概略、薄型の直方体状(より詳細には図示の例では板形状)とされてよい。2つの素子端子207bは、例えば、素子本体207aの蓋体13側(+D3側)の面に位置している。このようにいうとき、素子端子207bは、例えば、素子本体207aの+D3側の面に重なる層状導体であってもよいし、少なくとも、素子本体207aの+D3側の面において露出している部分を有する導体(必ずしも層状導体とは限らない。)であってもよい。
【0166】
素子本体207a(感温素子7)の平面透視における位置、形状及び寸法については、矛盾等が生じない限り、平面透視において凹部R1内に収まる感温膜7aの位置、形状及び寸法の説明が援用されてよい。例えば、素子本体207aは、凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)に対して、その全体に重複してもよいし、その一部に対して重複してもよい。素子本体207aの幾何中心は、凹部R1(又は水晶素子5若しくは励振電極19)の幾何中心に対して一致してもよいし、一致しなくてもよい。
【0167】
素子本体207aの厚さ及び厚さ方向(D3方向)における位置は任意である。例えば、素子本体207aの厚さは、水晶素子5(又は水晶ブランク15)の厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。また、素子本体207aと水晶素子5との距離及び素子本体207aと蓋体13との距離それぞれは、水晶素子5と凹部R1の底面(第1基板面23c)との距離に対して、短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。
【0168】
素子端子207bの位置、形状及び寸法は、素子端子207bと蓋体下面13b(より詳細にはそのうちの凹部R1に対向する領域)とを接合材41によって接合可能である限り、任意のものとされてよい。例えば、一般的なチップ型の感温素子は、長手方向の両端に2つの素子端子を有している。各端部の素子端子は、下面(ここでは+D3側の面)のみに重なっている、又は各端部の全体(他の端部側を除く5面)に重なっている。素子端子207bは、そのような構成とされて構わない。
【0169】
図示の例では、2つの素子端子207bは、素子本体207aの長手方向(短手方向とすることも可能である。)の一方側(+D1側)の縁部(D2方向に延びる縁部。短辺)に隣接して、当該縁部に沿って(例えば平行に)並んでいる。そして、素子本体207aは、2つの素子端子207bが2つの接合材41(1つのみ図示)によって蓋体下面13bに接合されることによって、片持ち梁状に支持されている。図示の例では、素子端子207bは、素子本体207aの蓋体13側(+D3側)の面に重なる第1部分のみを有している。素子端子207bは、上記第1部分に加えて、他の面(+D1側、+D2側、-D2側及び/又は-D3側)の面に重なる部分を有していてもよい。
【0170】
2つの素子端子207bの実装基体11に対する位置は任意である。例えば、2つの素子端子207bは、平面透視において、凹部R1の所定方向(例えば長手方向又は短手方向)の端部に位置していてもよいし、上記端部から比較的離れて(例えば上記所定方向の中央)に位置していてもよい。前者の場合において、2つの素子端子207bは、4隅のうちの任意の2つの隅に位置していてもよいし、4隅から離れて位置していてもよい。
【0171】
図示の例では、2つの素子端子207bは、平面透視において、凹部R1の幾何中心に対して、引出電極21(パッド25)が位置する側とは反対側(+D1側)に位置しており、より詳細には、凹部R1の+D1側の2つの隅に位置している。もちろん、図示の例とは異なり、2つの素子端子207bは、平面透視において、凹部R1の幾何中心に対して、引出電極21(パッド25)が位置する側(-D1側)に位置していてもよいし、さらに、凹部R1の-D1側の2つの隅に位置していてもよい。
【0172】
パッケージ209は、感温素子207を蓋体下面13bに実装可能に構成されている。その具体的な構成は任意である。図示の例では、蓋体13は、少なくとも蓋体下面13b(例えば蓋体13全体)が絶縁材料によって構成されている。そして、蓋体下面13bには、導体パターン39が重なっている。導体パターン39は、特に符号を付さないが、例えば、接合材41が接合される第1部位と、接続電極31と接合される第2部位と、両者を接続する配線部とを有していてよい。導体パターン39の具体的な形状、寸法及び材料は任意である。
【0173】
接合材41の材料は任意である。例えば、接合材41の材料は、接合材29と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、接合材41は、導電性接着剤であってもよいし、はんだであってもよい。導体パターン39と接続電極31との接合については、外部電極7bと接続電極31との接合の説明が援用されてよい。
【0174】
図7では、蓋体13と実装基体11とを接合する封止材として、図5(a)で示した封止材33Cの符号が示されている。ただし、封止材は、導電材料及び絶縁材料のいずれであってもよいし、実装基体11側の材料及び蓋体13側の材料(例えば第1金属層35及び第2金属層37)を有するものであってもよい。
【0175】
以上のとおり、圧電デバイス(水晶振動子201)は、圧電素子(水晶素子5)と、実装基体11と、蓋体13と、感温素子207と、を有している。感温素子207は、水晶素子5よりも蓋体13の側に位置している部分(図示の例では感温素子207の全体)を有している。従って、例えば、既述のように、感温素子207が凹部R1の底面側からの熱の影響を過剰に受ける蓋然性が低減される。その結果、計測温度が水晶素子5の温度に追従することが期待される。
【0176】
また、感温素子207は、蓋体13の、実装基体11の側の面(蓋体下面13b)に実装されているチップ型の素子であってよい。
【0177】
この場合、例えば、既に流通している感温素子207を振動子201に利用することが可能になる。また、例えば、膜状の感温素子7が蓋体13に保持される態様と同様に、水晶素子5を実装基体11に実装した後、かつ蓋体13を実装基体11に接合する前の検査によって水晶素子5及び実装基体11が不良品と判定されたときに、蓋体13及び感温素子207が無駄にならない。
【0178】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る水晶振動子301を示す断面図である。この図は、第2実施形態の図7に対応している。
【0179】
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、チップ型の感温素子207が水晶素子5よりも蓋体13の側に位置する。ただし、第2実施形態では、感温素子207が蓋体13に実装されたのに対して、第3実施形態では、感温素子207は、凹部R1の壁部(枠部23b)に実装されている。具体的には、例えば、以下のとおりである。
【0180】
第3実施形態のパッケージ309において、実装基体311は、凹部R1の壁部に段差部を有している。換言すれば、枠部23bは、蓋体13が接合される上面よりも低い位置に蓋体13側に面している面(符号省略)を有している。この面には、接続電極31が位置している。そして、感温素子207は、素子端子207bと接続電極31とが接合材41によって接合されることによって、凹部R1の壁部に実装されている。
【0181】
なお、枠部23bは、基板部23aに重なる第1枠部23baと、第1枠部23baに重なる第2枠部23bbとを有していると捉えられてもよい。第2枠部23bbは、第1枠部23baに対して、周方向の少なくとも一部において、内縁側の幅が減じられている。第1実施形態における基板部23a及び枠部23bの説明から理解されるように、第1枠部23ba及び第2枠部23bbは、互いに重ねられることによって作製されてもよいし、そのような製造方法とは異なる製造方法(例えばプレス)によって作製されてもよい。
【0182】
素子本体207a(感温素子7)の平面透視における位置、形状及び寸法については、矛盾等が生じない限り、第2実施形態と同様に、平面透視において凹部R1内に収まる感温膜7aの位置、形状及び寸法の説明が援用されてよい。素子本体207aの厚さ及び厚さ方向(D3方向)における位置については、第2実施形態における説明が援用されてよい。
【0183】
素子端子207bの平面視における位置、形状及び寸法については、例えば、第1実施形態における外部電極7bの平面視における位置、形状及び寸法の説明が援用されてよい。ただし、この援用においては、例えば、平面透視において、第1枠部23baの上面の内縁の位置が、第1実施形態の説明における枠部上面23eの内縁の位置に相当するものと捉えられてよい。
【0184】
以上のとおり、圧電デバイス(水晶振動子301)は、圧電素子(水晶素子5)と、実装基体311と、蓋体13と、感温素子207と、を有している。感温素子207は、水晶素子5よりも蓋体13の側に位置している部分(図示の例では感温素子207の全体)を有している。従って、例えば、既述のように、感温素子207が凹部R1の底面側からの熱の影響を過剰に受ける蓋然性が低減される。その結果、計測温度が水晶素子5の温度に追従することが期待される。
【0185】
また、感温素子207は、凹部R1の壁部(枠部23b)に実装されているチップ型の素子であってよい。
【0186】
この場合、例えば、第2実施形態と同様に、既に流通している感温素子207を振動子201に利用できる。また、蓋体13の構成を従来と同様とすることができる。
【0187】
<パッケージにおける配線の具体例>
これまでに述べたとおり、パッド25及び接続電極31の平面視における配置位置は任意であり、また、パッド25に接続される端子3と接続電極31に接続される端子3との平面視における位置関係も任意である。配線27は、パッド25、接続電極31及び端子3の配置に応じて種々の構成とされてよく、さらに、パッド25、接続電極31及び端子3の配置が特定のものである場合においても、種々の構成とされてよい。以下では、パッド25、接続電極31及び端子3の配置が特定のものである場合における配線27の構成の具体例を示す。なお、以下の説明で参照する図面では、便宜上、層状導体に隠れて見えないビア導体を、点線で示さずに、実線で示すことがある。
【0188】
図9は、配線27の具体例を示す斜視図である。この図は、図1の一部に相当している。
【0189】
図9の例では、2つのパッド25に接続される2つの端子3が第2基板面23dの2つの対角に位置しているとともに、2つの接続電極31に接続される2つの端子3が他の2つの対角に位置している。また、図9の例では、図1の例と同様に、2つのパッド25は、第1基板面23cの長手方向の一方側(-D1側)に位置し、短手方向(D2方向)に並んでいる。2つの接続電極31は、第1基板面23cの長手方向の他方側(+D1側)に位置し、短手方向(D2方向)に並んでいる。
【0190】
2つのパッド25のうち一方(図9の例では-D1側かつ-D2側のパッド25A)と端子3とを接続する配線27Aは、基板部23aを厚さ方向に貫通するビア導体27bによって構成されている。ビア導体27bは、一端がパッド25Aに接続され、他端が、-D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。2つのパッド25のうち他方(図9の例では-D1側かつ+D2側のパッド25B)と端子3とを接続する配線27Bは、パッド25Bから長手方向の他方側(+D1側)へ延びる層状導体27aと、層状導体27aに重なる位置にて基板部23aを厚さ方向に貫通するビア導体27bによって構成されている。層状導体27aは、第1基板面23cに重なっている。ビア導体27bは、一端が層状導体27aに接続され、他端が、+D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つのパッド25は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0191】
2つの接続電極31のうち一方(図9の例では+D1側かつ-D2側の接続電極31A)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Aに接続され、他端が、+D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。2つの接続電極31のうち他方(図9の例では+D1側かつ+D2側の接続電極31B)と端子3とを接続する配線27Dは、接続電極31から第1金属層35(別の観点では封止材33。以下、図9図11の説明において、矛盾等が生じない限り、同様。)へ延びる層状導体27cと、第1金属層35と、第1金属層35に重なる位置にて基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。層状導体27cは、枠部上面23eに重なっている。ビア導体27dは、一端が第1金属層35に接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つの接続電極31は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0192】
なお、配線27Bの層状導体27aは、一部又は全部が枠部23bと重なっていても構わない(基板部23aと枠部23bとの間に位置していても構わない。)。配線27Dの層状導体27cが延びる方向及び形状等は任意である。図9の例では、層状導体27cは、+D1側(枠部23bの外縁の短辺側)に延びている。図示の例とは異なり、層状導体27cは、例えば、+D2側(枠部23bの外縁の長辺側)へ延びてもよい。また、層状導体27cは、接続電極31のD2方向の長さと同じ長さを有しつつ、+D1側へ延びてもよい。層状導体27cの材料及び/又は厚さは、接続電極31及び/又は第1金属層35の材料及び/又は厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。層状導体27cは、材料、厚さ及び平面形状等の観点において、接続電極31及び/又は第1金属層35と、明瞭に区別できなくても構わない。配線27Dのビア導体27dに加えて、又は代えて、キャスタレーションの内面に配置された層状導体が用いられてもよい。
【0193】
接続電極31Bと接続される端子3は、例えば、基準電位が付与されるものとされてよい。図9の実装基体11の凹部R1が導電性の蓋体13によって塞がれる場合において、第1金属層35は、第2金属層37を介して蓋体13に基準電位を付与することに寄与してよい。もちろん、これまでにも述べたように、蓋体13は、導電性でなくてもよいし、基準電位が付与されなくてもよい。また、接続電極31Bは、基準電位以外の電位が付与されても構わない。
【0194】
図10は、配線27の他の具体例を示す斜視図である。この図は、図9と同様の図である。
【0195】
図10の例では、配線27Dの構成のみが図9の例と異なっている。配線27Dは、第1金属層35を含んでいない。別の観点では、接続電極31Bは、第1金属層35と電気的に接続されていない。具体的には、配線27Dは、接続電極31Bから-D1側へ延びる層状導体27cと、層状導体27cに重なるビア導体27dとによって構成されている。ビア導体27bは、一端が層状導体27cに接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。
【0196】
図9及び図10の配線27の具体例によれば、例えば、平面視において電位が変化する配線27を封止材33よりも内側に位置させることが容易である。その結果、例えば、配線27を封止したり、配線27を電磁気的にシールドしたりすることが容易化される。
【0197】
図11は、配線27の更に他の具体例を示す平面図である。この図は、実装基体11Aの平面図であり、実装基体11Aに実装された水晶素子5も図示されている。
【0198】
この例では、2つの接続電極31(別の観点では2つの外部電極7b)は、実施形態とは逆に、第1金属層35(別の観点では封止材33)よりも外側に位置している。そのような態様が可能であることは、例えば、図5(a)の封止材33Cが感温膜7aを介して蓋体13と接合されている態様から明らかである。蓋体下面13b及び封止材33が絶縁性の態様においては、外部電極7b(又は外部電極7bと機能部とを接続する中継導体)のみを封止材33の内側から封止材33の外側へ延ばしてもよい。1つの接続電極31(+D1側の接続電極31)は、実施形態と同様に、第1金属層35とつながっていてもよいし(図示の例)、つながっていなくてもよい。
【0199】
図11の例においても、図9の例と同様に、2つのパッド25に接続される2つの端子3が第2基板面23dの2つの対角に位置しているとともに、2つの接続電極31に接続される2つの端子3が他の2つの対角に位置している。2つのパッド25の位置は、図1等を参照して説明したとおりである。図11の例において、配線27A及び27Bは、図9の例におけるものと同様である。
【0200】
2つの接続電極31のうち一方(図11の例では-D1側に位置する接続電極31C)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Cに接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。2つの接続電極31のうち他方(図11の例では+D1側に位置する接続電極31D)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Dに接続され、他端が、+D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つの接続電極31は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0201】
なお、図11の例では、接続電極31Dと第1金属層35とが接続されている。従って、配線27Dのビア導体27dの上端は、接続電極31Dと共に第1金属層35に接続されていてもよいし(図示の例)、接続電極31Dのみに接続されていてもよいし、第1金属層35のみに接続されていてもよい。配線27C及び/又は27Dのビア導体27dに加えて、又は代えて、キャスタレーションの内面に配置された層状導体が用いられてもよい。接続電極31Dと接続される端子3は、例えば、基準電位が付与されるものとされてよい。もちろん、これまでにも述べたように、接続電極31Dは、基準電位以外の電位が付与されても構わない。
【0202】
図11の配線27の具体例によれば、例えば、電位が異なる配線27が交差することを避けやすい。その結果、配線27同士の電気的な干渉が低減される。ひいては、振動子の特性が向上する。
【0203】
<水晶振動子の利用例>
図12は、水晶振動子1の利用例を示す模式図である。なお、便宜上、第1実施形態の符号を用いるが、ここでの説明は、他の実施形態及び変形例に適用されてよい。
【0204】
図12の下段の断面図に示すように、振動子1は、例えば、回路基板53に実装されて利用される。より詳細には、既述のとおり、互いに対向する端子3と回路基板53の上面の不図示のパッドとが両者の間の導電性の接合材(符号省略)によって接合される。なお、振動子1は、回路基板53以外の基体に実装されても構わない。例えば、振動子1は、基板の概念からは乖離した形状を有する基体(例えばパッケージを構成する基体)に実装されてもよい。なお、ここでの説明において、回路基板53の語は、矛盾等が生じない限り、その上位概念としての基体の語に置換されてよい。
【0205】
回路基板53に実装された振動子1は、絶縁性の封止材55によって封止されていてもよいし(図示の例)、封止されていなくてもよい。封止材55の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂には絶縁性(あるいは導電性)のフィラーが混ぜられていてもよい。封止材55の物性(例えば断熱性及び剛性)は適宜に設定されてよい。封止材55は、例えば、振動子1の上面及び側面を覆いつつ、回路基板53の上面に接合されている。封止材55は、振動子1と回路基板53との間に介在していていもよいし、介在していなくてもよい。封止材55は、図示の例とは異なり、振動子1の上面を覆っていなくてもよい。封止材55は、振動子1と共に、回路基板53に実装された他の電子部品を封止していてもよい。
【0206】
回路基板53は、例えば、配線板(例えばプリント配線板)と、配線板に実装又は内蔵された1以上の電子要素とを有している。電子要素としては、例えば、集積回路素子(IC:Integrated Circuit)、キャパシタ、インダクタ及び抵抗体が挙げられる。そして、回路基板53は、図12の上段に示すように、1以上の電子要素によって構成された種々の回路(53a~53d)を有している。なお、便宜上、「回路」と称するが、種々の回路の一部又は全部は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されても構わない。回路基板53が有している回路は、例えば、以下のとおりである。
【0207】
発振回路53aは、交流電流を水晶素子5に印加して発振信号を生成する。温度補償回路53b(図12では「補償回路」と略して表記)は、感温素子7が検出した検出温度に応じた信号を発振回路53aに入力することによって、温度に起因する水晶素子5の周波数特性の変化を補償する。より詳細には、感温素子7は、温度に応じた信号レベル(例えば電圧又は電流)を有するアナログ信号を出力する。A/D回路53dは、感温素子7からのアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。換算回路53cは、A/D回路53dからのデジタル信号の値を温度に換算して補償回路53bに出力する。なお、振動子1と回路基板53(別の観点では回路基板53が有する回路のうち少なくとも発振回路53a)との組み合わせは、発振器53として捉えられてよい。
【0208】
以上の実施形態及び変形例において、水晶振動子1、1C、1D、1E、201及び301それぞれは、圧電デバイスの一例である。水晶素子5は圧電素子の一例である。
【0209】
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0210】
圧電体は、水晶に限定されない。例えば、圧電体は、他の単結晶であってもよいし、多結晶からなるもの(例えばセラミック)であってもよい。なお、水晶に適宜なドーパントが添加されたものは水晶の一種であるものとする。
【0211】
圧電デバイスは、水晶振動子(圧電振動子)に限定されない。例えば、圧電デバイスは、圧電素子(例えば水晶素子)に加えて、圧電素子に電圧を印加して発振信号を生成する集積回路素子(IC:Integrated Circuit)を有する発振器であってもよい。また、圧電デバイスは、発振信号の生成に寄与するものではなくてもよい。例えば、圧電デバイスは、ジャイロセンサであってもよい。また、圧電デバイスは、圧電素子、感温素子及びIC以外の電子素子を備えていてもよい。
【0212】
上記から理解されるように、圧電デバイスが有するパッド(例えばパッド25及び接続電極31)の数及び外部端子(例えば端子3)の数は任意であり、また、複数のパッド及び複数の外部端子の接続関係も任意である。例えば、発振器においては、圧電素子及び感温素子は、圧電デバイスの外部端子ではなく、ICに電気的に接続されてよい。
【0213】
圧電デバイスにおいて、圧電素子をパッケージングするパッケージの構造は、適宜な構成とされてよい。例えば、パッケージは、上面及び下面に凹部を有する断面H型のものであってもよい。この場合、下面の凹部には、例えば、上記のICが実装されてよい。また、パッケージは、恒温槽を有していてもよい。また、圧電デバイスは、表面実装されるものでなくてもよく、例えば、スルーホール実装されるものであってもよい。圧電デバイスが表面実装型か否かに関わらず、パッケージの外部端子(実施形態では端子3)は、層状でなくてもよく、例えば、ピン状とされてよい。
【0214】
圧電素子の実装基体に対する実装態様は、種々のものとされてよい。例えば、圧電素子は、2つの引出電極に接合される2つの導電性の接合材によって両端支持されてもよい。また、例えば、圧電素子は、1つの引出電極に導電性の接合材が接合されるとともに、1つの引出電極にボンディングワイヤが接合されてもよい。また、圧電素子の一端又は両端を支持するための接合材として、引出電極の領域とは異なる領域に接合される絶縁性(導電性とすることも可能)の接合材が用いられてもよい。
【0215】
第3実施形態(図8)のように、凹部の壁部に位置する感温素子は、第1実施形態のように感温膜を有する感温素子とされてもよい。この場合であっても、感温膜が圧電素子よりも蓋体側に位置する部分を有することによって、例えば、凹部の底面側の温度が計測温度に及ぼす影響が低減される。このような感温膜は、凹部の壁部の内周面に重なっていてもよいし、第3実施形態における接続電極31と同様に、第1枠部23baの上面(ただし、水晶素子5よりも上方に位置する。)に重なっていてもよい。
【0216】
実施形態の説明では、感温素子が圧電素子よりも蓋体の側に位置することによって、凹部の底面側の温度が計測温度に及ぼす影響が低減され、計測温度が圧電素子の温度に追従しやすくなる効果について特に着目した。ただし、そのような効果は、必ずしも奏されなくてもよい。そのような効果が奏されなくても、感温素子が圧電素子よりも蓋体の側に位置することによって種々の効果が奏され得る。例えば、設計の自由度が向上する(技術の豊富化が図られる。)。また、例えば、感温素子が蓋体に固定される態様(第1実施形態及び第2実施形態)においては、第1実施形態の説明で述べたように、圧電素子を実装基体に実装した後、かつ蓋体を実装基体に固定する前の検査又は加工が感温素子に及ぼす影響が低減される。
【0217】
本開示からは以下の概念を抽出可能である。
(概念1)
圧電素子と、
凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、
前記凹部を塞いでいる蓋体と、
前記圧電素子よりも前記蓋体の側に位置している部分を有している感温素子と、
を有している圧電デバイス。
(概念2)
前記感温素子は、前記蓋体の、前記実装基体の側の第1面に重なっている感温膜を有している
概念1に記載の圧電デバイス。
(概念3)
前記感温膜は、平面透視において前記凹部に重複する部分を有している
概念2に記載の圧電デバイス。
(概念4)
前記感温膜は、平面透視において前記凹部の外側に位置する部分を有している
概念2又は3に記載の圧電デバイス。
(概念5)
前記感温素子は、前記蓋体の、前記実装基体の側の面に実装されているチップ型の素子である
概念1に記載の圧電デバイス。
(概念6)
前記感温素子は、前記凹部の壁部に実装されているチップ型の素子である
概念1に記載の圧電デバイス。
【符号の説明】
【0218】
1…水晶振動子(圧電デバイス)、5…水晶素子(圧電素子)、7…感温素子、11…実装基体、13…蓋体、R1…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12