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特開2023-98945細菌感染及びウイルス感染を診断するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098945
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】細菌感染及びウイルス感染を診断するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6837 20180101AFI20230704BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20230704BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230704BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230704BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230704BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20230704BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
G01N33/53 M
G01N33/543 575
C12N15/09 200
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061560
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2018556471の分割
【原出願日】2017-06-05
(31)【優先権主張番号】62/346,962
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLACKBERRY
2.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カトリ, ピューベシュ
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー, ティモシー イー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細菌感染及びウイルス感染を診断するための方法を提供する。
【解決手段】患者における感染を診断するための方法であって、a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択されるステップと;b)各バイオマーカーの前記発現レベルを、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析して、ウイルス感染又は細菌感染を決定するステップと、を含む方法である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における感染を診断するための方法であって、
a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの前記第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、DDX60、HESX1、OASL、LAX1、IFIT5、KCTD14、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;
b)各バイオマーカーの前記発現レベルを、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析して、ウイルス感染又は細菌感染を決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのバイオマーカーが、SIGLEC1及びSLC12A9を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのバイオマーカーの前記発現レベルが、少なくとも0.80の受信者動作特性曲線下面積をもたらす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
バイオマーカーの前記第1のセットが、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、IFI27、JUP、及びLAX1のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的試料が、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオマーカーの前記レベルが、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、前記バイオマーカーの前記レベルに基づき計算するステップをさらに含み、前記患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、前記患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
COCONUT正規化を使用して、データを正規化するステップをさらに含み、COCONUT正規化が、
a)複数のコホートに由来するデータを、健常構成要素及び罹患構成要素へと分離することと;
b)共変量を用いずに、ComBat共正規化を使用して、前記健常構成要素を共正規化することと;
c)前記健常構成要素について、各データセットのComBat推定パラメータを得ることと;
d)前記ComBat推定パラメータを、前記罹患構成要素へと適用することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオマーカーの前記レベルを測定するステップが、蛍光、化学発光、又は電気信号の検出を介するマイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、デジタルドロップレットPCR(ddPCR)、固体ナノ小胞検出、RNAスイッチ活性化、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)を含む1又は複数の方法を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
炎症を有する患者を診断及び処置する方法であって、
a)前記患者の生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;
b)第1に、各バイオマーカーの前記発現レベルを、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についての前記バイオマーカーの前記基準値範囲と比較した、前記バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びに前記バイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、前記患者が感染を有することを指し示し、前記非感染対照対象と比較した、前記バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、前記患者が感染を有さないことを指し示すステップと;
c)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルをさらに解析して、細菌感染又はウイルス感染を決定するステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの前記第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記患者についての敗血症メタスコアを計算するステップをさらに含み、非感染対照対象についての前記基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、前記患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての前記基準値範囲内の敗血症メタスコアが、前記患者が非感染性の炎症性状態を有することを指し示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が感染を有すると診断される場合、前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップをさらに含み、前記患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、前記患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオマーカーの前記レベルが、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記非感染性の炎症性状態が、全身性炎症反応症候群(SIRS)、自己免疫障害、外傷性損傷、及び手術からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、ヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオマーカーの前記レベルを測定するステップが、蛍光、化学発光、又は電気信号の検出を介するマイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、デジタルドロップレットPCR(ddPCR)、固体ナノ小胞検出、RNAスイッチ活性化、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)を含む1又は複数の方法を実施することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーのレベルを測定するための薬剤を含むキットであって、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの前記第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、DDX60、HESX1、OASL、LAX1、IFIT5、KCTD14、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、キット。
【請求項19】
バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルを測定するための薬剤をさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
マイクロアレイをさらに含む、請求項18又は19に記載のキット。
【請求項21】
前記マイクロアレイが、IFI27ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、JUPポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、LAX1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、HK3ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TNIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GPAA1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びCTSBポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記マイクロアレイが、CEACAM1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ZDHHC19ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C9orf95ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GNA15ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、BATFポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C3AR1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、KIAA1370ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TGFBIポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、MTCH1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、RPGRIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びHLA-DPB1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
各バイオマーカーの検出レベルを敗血症と相関させるための指示書を含む、電子形態又は紙形態の情報をさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項24】
感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータが、
a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーのレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの前記第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、前記患者に由来する前記生物学的試料におけるバイオマーカーであるOAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15DDX60、HESX1、OASL、LAX1、IFIT5、KCTD14、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;
b)前記バイオマーカーの各々の前記レベルを解析し、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;
c)前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、前記バイオマーカーの前記レベルに基づき計算するステップであり、前記患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、前記患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;
d)前記患者の前記診断に関する情報を表示するステップと
を含むステップを実施する方法。
【請求項25】
前記生物学的試料が、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法を実施するための診断システムであって、
a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;
b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、前記ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、前記ストレージコンポーネントに保存された前記命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;
c)前記患者の前記診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントと
を含む診断システム。
【請求項27】
前記ストレージコンポーネントが、前記細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含む、請求項26に記載の診断システム。
【請求項28】
炎症を有する患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータが、
a)前記患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;
b)前記バイオマーカーの各々の前記レベルを解析し、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;
c)前記患者についての敗血症メタスコアを計算するステップであり、非感染対照対象についての前記基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、前記患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての前記基準値範囲内の敗血症メタスコアが、前記患者が非感染性の炎症性状態を有することを指し示す、ステップと;
d)前記敗血症メタスコアが、前記患者が感染を有することを指し示す場合に、前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、前記患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、前記患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;
e)前記患者の前記診断に関する情報を表示するステップと
を含むステップを実施する方法。
【請求項29】
前記生物学的試料が、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法を実施するための診断システムであって、
a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;
b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、前記ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、前記ストレージコンポーネントに保存された前記命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;
c)前記患者の前記診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントと
を含む診断システム。
【請求項31】
前記ストレージコンポーネントが、前記敗血症メタスコア及び前記細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含む、請求項30に記載の診断システム。
【請求項32】
患者における感染を診断及び処置するための方法であって、
a)前記患者に由来する生物学的試料を得るステップと;
b)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの、任意のセットの発現レベルを測定するステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの前記第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの前記第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、DDX60、HESX1、OASL、LAX1、IFIT5、KCTD14、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;
c)各バイオマーカーの前記発現レベルを、非感染対照対象のそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのウイルス応答遺伝子の前記基準値範囲と比較した示差的発現が、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての細菌応答遺伝子の前記基準値範囲と比較した示差的発現が、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと
を含む方法。
【請求項33】
ウイルス応答遺伝子及び細菌応答遺伝子の前記セットが、
a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;
b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;
c)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;
d)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;
e)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;
f)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;
g)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;
h)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;
i)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセット
からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記生物学的試料が、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記バイオマーカーの前記レベルが、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、前記バイオマーカーの前記レベルに基づき計算するステップをさらに含み、前記患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者がウイルス感染を有することを指し示し、前記患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、前記患者が細菌感染を有することを指し示す、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;各バイオマーカーの前記発現レベルを、前記バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についての前記バイオマーカーの前記基準値範囲と比較した、前記バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びに前記バイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、前記患者が感染を有することを指し示し、前記非感染対照対象と比較した、前記バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、前記患者が感染を有さないことを指し示すステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;
b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;
c)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;
d)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;
e)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;
f)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;
g)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;
h)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びに
i)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセット
からなる群から選択される、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するための薬剤を含むキット。
【請求項39】
マイクロアレイをさらに含む、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータが、
a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップであり、前記少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、ウイルス応答遺伝子のセットが、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、STAT1からなる群から選択される、1又は複数の遺伝子を含み、細菌応答遺伝子のセットが、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、CYBRD1からなる群から選択される、1又は複数の遺伝子を含む、ステップと;
b)ウイルス応答遺伝子の前記セット、及び細菌応答遺伝子の前記セットの前記発現レベルを解析し、非感染対照対象についてのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;
c)前記患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、ウイルス応答遺伝子の前記セット、及び細菌応答遺伝子の前記セットの前記発現レベルに基づき計算するステップと;
d)前記患者の前記診断に関する情報を表示するステップと
を含むステップを実施する、コンピュータ実施方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法を実施するための診断システムであって、
a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;
b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、前記ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、前記ストレージコンポーネントに保存された前記命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;
c)前記患者の前記診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントと
を含む、診断システム。
【請求項42】
前記バイオマーカーの前記発現レベルを測定するステップが、前記少なくとも2つのバイオマーカーの各々について、生物学的試料に存在するmRNA、又はこれに由来するポリヌクレオチドの量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、適用が、参照により本明細書に組み込まれる2016年6月7日に出願された米国仮出願第62/346,962号の利益を主張する。
【0002】
連邦政府による後援を受けた調査研究又は開発に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所により与えられた第AI109662号及び同第AI057229号の契約に基づく政府助成によりなされた。米国連邦政府は、本発明において、一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は一般に、細菌感染及びウイルス感染を診断するための方法に関する。特に、本発明は、急性炎症を有する患者が、細菌感染を有するのか、ウイルス感染を有するのかを識別しうるバイオマーカーの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
感染についての、早期の正確な診断は、患者の転帰を改善し、抗生剤耐性を軽減することの鍵である。細菌敗血症による死亡率は、抗生剤が遅延する1時間ごとに、8%ずつ増大するが、抗生剤を、細菌感染を伴わない患者に施すことは、罹患率及び抗微生物剤耐性を増大させる。入院の状況における不適切な抗生剤処方の割合は30~50%と推定されるが、診断の改善により促進されると予想される2,3。驚くべきことに、疑われる腸チフスのために抗生剤を施される患者のうちの95%は、培養が陰性である。現在のところ、感染の存在及び種類を広く決定しうる至適のポイントオブケア診断法は存在しない。そこで、米国政府は、「細菌感染と、ウイルス感染とを迅速に識別する、ポイントオブニーズ(point-of-need)診断検査」を要望する、National Action Plan for Combating Antibiotic-Resistant Bacteriaを制定した
【0005】
新たなPCRベースの分子的診断法は、病原体を、血液培養物から直接プロファイリングしうるが、このような方法は、血液における、十分な数の病原体の存在に依拠する。さらに、PCRベースの分子的診断法は、個別の範囲の病原体の検出に限定されている。結果として、宿主の遺伝子応答をプロファイリングする分子的診断法に対する関心が、ますます高まりつつある。これらの分子的診断法は、感染の存在を、炎症はあるが、非感染の患者と比較して識別しうる診断法であって、中でも、本発明者らによる、11遺伝子の「敗血症メタスコア」(Sepsis MetaScore:SMS)(複数のコホートにわたり検証されている)などの診断法9,10を含む。他の研究グループは、ウイルス感染と対比した細菌感染など、感染の種類を識別しうる遺伝子セットに焦点を当てている11~13。Tsalikらは、3つのクラス全て(すなわち、非感染患者及び細菌性疾病を有する患者又はウイルス性疾病を有する患者)を識別するモデルについて記載したが、このモデルは、122のプローブの測定を要請した14。本発明者らはこれまでにも、ウイルス感染に対する一般的な応答を説明するが臨床適用には多すぎる遺伝子(396)を含有する「メタウイルス署名」について説明している15。総じて、この分野では、多大な将来性が示されているが、宿主遺伝子の発現による感染の診断法は、未だ臨床へと実用化されていない。
【0006】
これらのバイオマーカー研究、並びに敗血症及び急性感染における、他の多数のゲノムワイド発現研究からのデータが公表されており、さらなる研究のために、NIH Gene Expression Omnibus(GEO)、及びEBI ArrayExpressなどの公表データベースに委託されている。これらのデータは、大部分が、バイオマーカーの発見及びバリデーションのいずれにも使用されうる、未利用の資源である。本発明者らは、本発明者らによる、遺伝子の発現についての統合型マルチコホート解析が、敗血症、特異的な種類のウイルス感染15、及び活動性の結核16についての頑健な診断ツールをもたらすことを既に示した。さらに、これらのデータはまた、新規の宿主遺伝子の発現による診断法のための基準設定ツール及びバリデーションツールとしても有用である17。しかし、研究間の技術的差違が、コホート間の診断スコアの直接的比較を不可能とするので、これまで公表データにおけるこのようなバリデーションは、少なくとも2つの目的のクラス(すなわち、クラス間の直接的比較が可能なクラス)を含有するコホートだけに限定されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
細菌感染とウイルス感染とを識別しうる高感度で高特異度の診断検査が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、急性炎症を有する患者が、細菌感染を有するのか、ウイルス感染を有するのかを決定しうるバイオマーカーの使用に関する。これらのバイオマーカーは、感染の予後診断、診断、又は処置のモニタリングにおいて、単独で使用することもでき、1又は複数のさらなるバイオマーカー又は関与性の臨床的パラメータと組み合わせて使用することもできる。
【0009】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断するために使用される分類を案出する方法であって、(a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;(b)バイオマーカーの発現レベルを使用して、患者における細菌感染又はウイルス感染の存在又は確率を決定しうる、分類アルゴリズム又は生成アルゴリズムを案出するステップと;(c)アルゴリズムを適用して、患者を、細菌感染若しくはウイルス感染を有するか、又は細菌感染若しくはウイルス感染を有する可能性が高いと診断するステップとを含む方法を対象とする。
【0010】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断するための方法であって、少なくとも2つの遺伝子の発現レベルを解析するステップであり、この場合、少なくとも2つの遺伝子が、ウイルス感染又は細菌感染を予測し、少なくとも2つの遺伝子の発現レベルが、ウイルス感染又は細菌感染を予測するための曲線下面積で、少なくとも0.80の曲線下面積をもたらす、ステップと;患者を、細菌感染又はウイルス感染を有すると診断するステップとを含む方法を対象とする。
【0011】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断及び処置するための方法であって、(a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;(b)生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBの発現レベルを測定するステップと;(c)各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1の発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者がウイルス感染を有することを指し示し、バイオマーカーであるHK3、TNIP1、GPAA1、CTSBの発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;(d)患者がウイルス感染を有すると診断される場合は、有効量の抗ウイルス剤を、患者へと投与するか、又は患者が細菌感染を有すると診断される場合は、有効量の抗生剤を、患者へと投与するステップとを含む方法を対象とする。
【0012】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0013】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0014】
任意の実施形態では、方法は、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0015】
任意の実施形態では、方法は、COCONUT正規化を使用して、データを正規化するステップを含みうる。
【0016】
任意の実施形態では、患者は、ヒトでありうる。
【0017】
任意の実施形態では、複数のバイオマーカーのレベルを測定するステップは、マイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(serial analysis of gene expression:SAGE)を実施することを含みうる。
【0018】
一実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断及び処置する方法であって、(a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;(b)生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;(c)第1に、各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのバイオマーカーの基準値範囲と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びにバイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、患者が感染を有さないことを指し示すステップと;(d)患者が感染を有すると診断される場合は、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBの発現レベルをさらに解析するステップであり、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1の発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者がウイルス感染を有することを指し示し、バイオマーカーであるHK3、TNIP1、GPAA1、CTSBの発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;(e)投与するか、又は患者が細菌感染を有すると診断される場合は、有効量の抗生剤を、患者へと投与するステップとを含む方法を対象とする。
【0019】
任意の実施形態では、方法は、患者についての敗血症メタスコアを計算するステップを含むことが可能であり、この場合、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す。
【0020】
任意の実施形態では、方法は、患者が感染を有すると診断される場合、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0021】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0022】
任意の実施形態では、非感染性の炎症性状態を、全身性炎症反応症候群(SIRS)、自己免疫障害、外傷性損傷、及び手術の群から選択することができる。
【0023】
任意の実施形態では、患者は、ヒトでありうる。
【0024】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルを測定するステップは、マイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)を実施することを含みうる。
【0025】
一実施形態では、本発明は、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのレベルを測定するための薬剤を含むキットを対象とする。
【0026】
任意の実施形態では、キットは、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルを測定するための薬剤を含みうる。
【0027】
任意の実施形態では、キットは、マイクロアレイを含みうる。
【0028】
任意の実施形態では、マイクロアレイは、IFI27ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、JUPポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、LAX1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、HK3ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TNIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GPAA1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びCTSBポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0029】
任意の実施形態では マイクロアレイは、CEACAM1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ZDHHC19ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C9orf95ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GNA15ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、BATFポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C3AR1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、KIAA1370ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TGFBIポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、MTCH1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、RPGRIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びHLA-DPB1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0030】
任意の実施形態では、キットは、各バイオマーカーの検出レベルを敗血症と相関させるための指示書を伴う、電子形態又は紙形態の情報を含みうる。
【0031】
一実施形態では、方法は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、(a)患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;c)患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;(d)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する、コンピュータ実施を対象とする。
【0032】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0033】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実施するための診断システムであって、a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;(c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む、診断システムを対象とする。
【0034】
任意の実施形態では、ストレージコンポーネントは、細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含みうる。
【0035】
一実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、a)患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;c)患者についての敗血症メタスコアを計算するステップであり、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す、ステップと;d)敗血症スコアが、患者が感染を有することを指し示す場合に、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;e)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する方法を対象とする。
【0036】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0037】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実施するための診断システムであって、a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む診断システムを対象とする。
【0038】
任意の実施形態では、ストレージコンポーネントは、敗血症メタスコア及び細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含みうる。
【0039】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断及び処置するための方法であって、a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;b)生物学的試料における、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するステップであり、ウイルス応答遺伝子のセットが、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、STAT1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含み、細菌応答遺伝子のセットが、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、CYBRD1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含むステップと;c)各バイオマーカーの発現レベルを、非感染対照対象のそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、ウイルス応答遺伝子の示差的発現を、基準値と比較するステップとを含む方法を対象とする。
【0040】
任意の実施形態では、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットを、a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;c)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;d)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;e)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;f)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;16g)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;h)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びにi)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットの群から選択することができる。
【0041】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0042】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0043】
任意の実施形態では、方法は、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0044】
任意の実施形態では、方法は、生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのバイオマーカーの基準値範囲と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びにバイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、患者が感染を有さないことを指し示すステップとを含みうる。
【0045】
一実施形態では、本発明は、(a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;(b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;b)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;c)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;d)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;e)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;f)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;g)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びにh)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットの群から選択される、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するための薬剤を含むキットを対象とする。
【0046】
任意の実施形態では、キットは、マイクロアレイを含みうる。
【0047】
一実施形態では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、a)生物学的試料におけるウイルス応答遺伝子のセット及び細菌応答遺伝子のセットの、生物学的試料における発現レベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップであり、ウイルス応答遺伝子のセットが、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、STAT1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含み、細菌応答遺伝子のセットが、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、CYBRD1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含むステップと;b)ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを解析し、非感染対照対象についてのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;c)患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルに基づき計算するステップと;(d)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する方法を対象とする。
【0048】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実施するための診断システムであって、a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む診断システムを対象とする。
【0049】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断するための方法であって、(a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーであり、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルを測定するステップと;(b)各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析して、ウイルス感染又は細菌感染を決定するステップとを含む方法を含む。
【0050】
任意の実施形態では、方法は、患者がウイルス感染を有すると診断される場合は、有効量の抗ウイルス剤を、患者へと投与するか、又は患者が細菌感染を有すると診断される場合は、有効量の抗生剤を、患者へと投与するステップを含みうる。
【0051】
任意の実施形態では、少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルは、少なくとも0.80の曲線下面積をもたらしうる。
【0052】
任意の実施形態では、バイオマーカーの第1のセットは、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのうちの少なくとも1つを含むことが可能であり、バイオマーカーの第2のセットは、IFI27、JUP、及びLAX1のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0053】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0054】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0055】
任意の実施形態では、方法は、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0056】
任意の実施形態では、方法は、COCONUT正規化を使用して、データを正規化するステップを含むことが可能であり、COCONUT正規化は、(a)複数のコホートに由来するデータを、健常構成要素及び罹患構成要素へと分離することと;(b)共変量を用いずに、ComBat共正規化を使用して、健常構成要素を共正規化することと;(c)健常構成要素について、各データセットのComBat推定パラメータを得ることと;(d)ComBat推定パラメータを、罹患構成要素へと適用することとを含む。
【0057】
任意の実施形態では、患者は、ヒトでありうる。
【0058】
任意の実施形態では、複数のバイオマーカーのレベルを測定するステップは、マイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)を実施することを含みうる。
【0059】
一実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断及び処置する方法であって、(a)患者の生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;(b)第1に、各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのバイオマーカーの基準値範囲と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びにバイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、患者が感染を有さないことを指し示すステップと;(c)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルをさらに解析して、細菌感染又はウイルス感染を決定するステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップとを含む方法を含みうる。
【0060】
任意の実施形態では、方法は、患者についての敗血症メタスコアを計算するステップを含むことが可能であり、この場合、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す。
【0061】
任意の実施形態では、方法は、患者が感染を有すると診断される場合、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0062】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0063】
任意の実施形態では、非感染性の炎症性状態を、全身性炎症反応症候群(SIRS)、自己免疫障害、外傷性損傷、及び手術の群から選択することができる。
【0064】
任意の実施形態では、患者は、ヒトでありうる。
【0065】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルを測定するステップは、マイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、又は遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)を実施することを含みうる。
【0066】
一実施形態では、方法は、患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーのレベルを測定するための薬剤を含むキットであって、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、キットを対象とする。
【0067】
任意の実施形態では、キットは、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルを測定するための薬剤を含みうる。
【0068】
任意の実施形態では、キットは、マイクロアレイを含みうる。
【0069】
任意の実施形態では、マイクロアレイは、IFI27ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、JUPポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、LAX1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、HK3ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TNIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GPAA1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びCTSBポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0070】
任意の実施形態では、マイクロアレイは、CEACAM1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ZDHHC19ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C9orf95ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GNA15ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、BATFポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C3AR1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、KIAA1370ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TGFBIポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、MTCH1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、RPGRIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びHLA-DPB1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含みうる。
【0071】
任意の実施形態では、キットは、各バイオマーカーの検出レベルを敗血症と相関させるための指示書を有する、電子形態又は紙形態の情報を含みうる。
【0072】
一実施形態では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、(a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーのレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、患者に由来する生物学的試料におけるバイオマーカーであるOAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;(b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;(c)患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;(d)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する方法を対象とする。
【0073】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0074】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実行する診断システムであって、(a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;(b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;(c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む診断システムを対象とする。
【0075】
任意の実施形態では、ストレージコンポーネントは、細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含みうる。
【0076】
一実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、(a)患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルについての値を有する、入力された患者データを受け取るステップと:(b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;(c)患者についての敗血症メタスコアを計算するステップであり、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す、ステップと;(d)敗血症スコアが、患者が感染を有することを指し示す場合に、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;(e)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する方法を対象とする。
【0077】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0078】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実行する診断システムであって、(a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;(b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;(c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む診断システムを対象とする。
【0079】
任意の実施形態では、ストレージコンポーネントは、敗血症メタスコア及び細菌/ウイルスメタスコアを計算するための命令を含みうる。
【0080】
一実施形態では、本発明は、患者における感染を診断及び処置するための方法であって、(a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;(b)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの、任意のセットの発現レベルを測定するステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、バイオマーカーの第1のセットが、TSPO、EMR1、NINJ2、ACPP、TBXAS1、PGD、S100A12、SORT1、TNIP1、RAB31、SLC12A9、PLP2、IMPA2、GPAA1、LTA4H、RTN3、CETP、TALD01、HK3、ACAA1、CAT、DOK3、SORL1、PYGL、DYSF、TWF2、TKT、CTSB、FLII、PROS1、NRD1、STAT5B、CYBRD1、PTAFR、及びLAPTM5のうちの少なくとも1つを含み、バイオマーカーの第2のセットが、OAS1、IFIT1、SAMD9、ISG15、HERC5、DDX60、HESX1、IFI6、MX1、OASL、LAX1、IFIT5、IFIT3、KCTD14、OAS2、RTP4、PARP12、LY6E、ADA、IFI44L、IFI27、RSAD2、IFI44、OAS3、IFIH1、SIGLEC1、JUP、STAT1、CUL1、DNMT1、IFIT2、CHST12、ISG20、DHX58、EIF2AK2、XAF1、及びGZMBのうちの少なくとも1つを含む、ステップと;(c)各バイオマーカーの発現レベルを、非感染対照対象のそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのウイルス応答遺伝子の基準値範囲と比較した示差的発現が、患者がウイルス感染を有することを指し示し、細菌応答遺伝子の、非感染対照対象についての基準値範囲と比較した示差的発現が、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップとを含む方法を対象とする。
【0081】
任意の実施形態では、ウイルス応答遺伝子及び細菌応答遺伝子のセットを、(a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;(b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;(c)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;(d)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;(e)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;(f)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;(g)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;(h)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びに(i)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットの群から選択することができる。
【0082】
任意の実施形態では、生物学的試料は、全血液又は末梢血単核細胞(PBMC)を含みうる。
【0083】
任意の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、感染対象又は非感染対象についての時間を一致させた基準値と比較することができる。
【0084】
任意の実施形態では、方法は、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、バイオマーカーのレベルに基づき計算するステップを含むことが可能であり、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0085】
任意の実施形態では、方法は、生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのバイオマーカーの基準値範囲と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びにバイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、患者が感染を有さないことを指し示すステップとを含みうる。
【0086】
一実施形態では、方法は、(a)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;(b)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;(c)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;(d)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;(e)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;(f)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;(h)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びに(i)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットから選択される、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するための薬剤を含むキットを対象とする。
【0087】
任意の実施形態では、キットは、マイクロアレイを含みうる。
【0088】
一実施形態では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、(a)患者の生物学的試料における少なくとも2つのバイオマーカーの発現レベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップであり、少なくとも2つのバイオマーカーが、高発現レベルが細菌感染を指し示すバイオマーカーの第1のセット、及び高発現レベルがウイルス感染を指し示すバイオマーカーの第2のセットの一方又は両方から選択され、ウイルス応答遺伝子のセットが、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、STAT1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含み、細菌応答遺伝子のセットが、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、CYBRD1の群から選択される、1又は複数の遺伝子を含む、ステップと;(b)ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを解析し、非感染対照対象についてのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;(c)患者についての細菌/ウイルスメタスコアを、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルに基づき計算するステップと;(d)患者の診断に関する情報を表示するステップとを実施する方法を対象とする。
【0089】
一実施形態では、本発明は、コンピュータ実施方法を実施する診断システムであって、(a)データを保存するためのストレージコンポーネントであり、そこに保存された患者の診断を決定するための命令を有する、ストレージコンポーネントと;(b)データを処理するためのコンピュータプロセッサーであり、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている、コンピュータプロセッサーと;(c)患者の診断に関する情報を表示するためのディスプレイコンポーネントとを含む診断システムを対象とする。
【0090】
本明細書の本開示を念頭に、当業者は、本発明のこれらの実施形態及び他の実施形態に、たやすく想到するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1A図1A及び1Bは、細菌/ウイルスメタスコアのための発見データセット(図1A)及び直接的バリデーションデータセット(図1B)についての、サマリー受信者動作特性(ROC:receiver operating characteristic)曲線を示す図である。サマリーROC曲線を、黒で示し、95%信頼区間を、ダークグレーで示す。
図1B図1A及び1Bは、細菌/ウイルスメタスコアのための発見データセット(図1A)及び直接的バリデーションデータセット(図1B)についての、サマリー受信者動作特性(ROC:receiver operating characteristic)曲線を示す図である。サマリーROC曲線を、黒で示し、95%信頼区間を、ダークグレーで示す。
図2】COCONUT共正規化全血液発見データセットについての、細菌/ウイルススコアを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、図2から除外する。全ての全血液発見データセットにわたるグローバルAUCは、0.92である。データセット(ダークグレー=細菌、ライトグレー=ウイルス)、個々の遺伝子レベル、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。点線は、可能なグローバル閾値を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。ハウスキーピング遺伝子(POLG、ATP6V1B1、及びPEG10)は、COCONUT正規化後において、データセットにわたり予測される不変性を示す。
図3A図3A~3Cは、COCONUTにより共正規化された公表遺伝子発現データであって、組入れ基準に適ったデータにわたる、統合型抗生剤判定モデル(IADM)を示す図である。図3Aは、IADMの概略図を示す。
図3B図3A~3Cは、COCONUTにより共正規化された公表遺伝子発現データであって、組入れ基準に適ったデータにわたる、統合型抗生剤判定モデル(IADM)を示す図である。図3Bは、COCONUT共正規化データにおけるIADMについての、スコアの分布及びカットオフを示す。
図3C図3A~3Cは、COCONUTにより共正規化された公表遺伝子発現データであって、組入れ基準に適ったデータにわたる、統合型抗生剤判定モデル(IADM)を示す図である。図3Cは、診断についての混同行列を示す。細菌感染の感度:94.0%;細菌感染の特異度:59.8%;ウイルス感染の感度:53.0%;ウイルス感染の特異度:90.6%である。
図4A図4A~4Eは、ターゲティングNanoStringによる遺伝子発現データであって、マイクロアレイで調べられていないGPSSSIコホート(全N=96例;このうち、SIRS=36例、細菌敗血症=49例、ウイルス敗血症=11例)に由来する、SIRS/敗血症を有する小児に由来する遺伝子発現データを示す図である。図4Aは、生物の種類による、感染患者の概要を示す。
図4B図4A~4Eは、ターゲティングNanoStringによる遺伝子発現データであって、マイクロアレイで調べられていないGPSSSIコホート(全N=96例;このうち、SIRS=36例、細菌敗血症=49例、ウイルス敗血症=11例)に由来する、SIRS/敗血症を有する小児に由来する遺伝子発現データを示す図である。図4B及び4Cは、SMS及び細菌/ウイルスメタスコアについてのROC曲線を示す。
図4C図4A~4Eは、ターゲティングNanoStringによる遺伝子発現データであって、マイクロアレイで調べられていないGPSSSIコホート(全N=96例;このうち、SIRS=36例、細菌敗血症=49例、ウイルス敗血症=11例)に由来する、SIRS/敗血症を有する小児に由来する遺伝子発現データを示す図である。図4B及び4Cは、SMS及び細菌/ウイルスメタスコアについてのROC曲線を示す。
図4D図4A~4Eは、ターゲティングNanoStringによる遺伝子発現データであって、マイクロアレイで調べられていないGPSSSIコホート(全N=96例;このうち、SIRS=36例、細菌敗血症=49例、ウイルス敗血症=11例)に由来する、SIRS/敗血症を有する小児に由来する遺伝子発現データを示す図である。図4Dは、IADMについての、スコアの分布及びカットオフを示す。
図4E図4A~4Eは、ターゲティングNanoStringによる遺伝子発現データであって、マイクロアレイで調べられていないGPSSSIコホート(全N=96例;このうち、SIRS=36例、細菌敗血症=49例、ウイルス敗血症=11例)に由来する、SIRS/敗血症を有する小児に由来する遺伝子発現データを示す図である。図4Eは、IADMについての混同行列を示し、細菌感染の感度:89.7%;細菌感染の特異度:70.0%;ウイルス感染の感度:54.5%;ウイルス感染の特異度:96.5%である。
図5A図5A及び5Bは、敗血症メタスコア(SMS)は、病原体の種類を、単独では決定できないことを示す図である。図5Aにおける概略図は、判定モデルをどのように構築するのかを指し示す。
図5B図5A及び5Bは、敗血症メタスコア(SMS)は、病原体の種類を、単独では決定できないことを示す図である。図5Bは、ウイルス感染を有する患者と対比した、細菌感染を有する患者におけるSMSの分布を示す。11のデータセットのうち、SMS分布が、細菌感染とウイルス感染との間で有意差を示したデータセットは、3つだけであった。
図6】マルチコホート解析、及び細菌-ウイルスメタ署名の発見のためのワークフローの概略図である。
図7A】発見データセットにわたる、細菌/ウイルスメタスコアにおける遺伝子についてのフォレストプロットを示す図である。x軸は、細菌感染試料と、ウイルス感染試料との、標準化された平均値の差違であって、ヘッジによるg量として計算された差違を、log2スケールで表す。黒四角のサイズは、研究における平均値の標準誤差と反比例する。箱髭は、95%信頼区間を表す。ライトグレーのダイアモンドは、所与の遺伝子についての、全体的な組合せによる平均値差違を表す。ダイアモンドの幅は、全体的な組合せによる平均値差違についての95%信頼区間を表す。
図7B】発見データセットにわたる、細菌/ウイルスメタスコアにおける遺伝子についてのフォレストプロットを示す図である。x軸は、細菌感染試料と、ウイルス感染試料との、標準化された平均値の差違であって、ヘッジによるg量として計算された差違を、log2スケールで表す。黒四角のサイズは、研究における平均値の標準誤差と反比例する。箱髭は、95%信頼区間を表す。ライトグレーのダイアモンドは、所与の遺伝子についての、全体的な組合せによる平均値差違を表す。ダイアモンドの幅は、全体的な組合せによる平均値差違についての95%信頼区間を表す。
図8】発見データセットについての、サマリーROCのパラメータである、アルファ及びベータの、ランダム効果によるメタ解析についてのフォレストプロットを示す図である。アルファは、正比例直線からの距離を大まかに制御し(高アルファ=高AUC)、ベータは、実際のROC曲線の歪度を制御する(ベータ=0とは、歪度が存在しないことを意味する)。
図9】バリデーションデータセットについての、サマリーROCのパラメータである、アルファ及びベータの、ランダム効果によるメタ解析についてのフォレストプロットを示す図である。アルファは、正比例直線からの距離を大まかに制御し(高アルファ=高AUC)、ベータは、実際のROC曲線の歪度を制御する(ベータ=0とは、歪度が存在しないことを意味する)。
図10】全N=75例(39例:LPS、36例:インフルエンザウイルス)の、in vitroにおいて、LPS又はインフルエンザウイルスで刺激された、単球由来の樹状細胞である、GSE53166における、細菌/ウイルスメタスコアのROCを示す図である。
図11】COCONUT共正規化についての概略図である。ライトグレーは、健常(「H」)を指し示し、ミディアムグレーは、ウイルス(「V」)を意味し、ダークグレーは、細菌(「B」)を意味する。異なるクロスハッチングは、異なるバッチ効果を指し示すことを意図する。正式な数学的詳細については、「方法」を参照されたい。
図12A図12A及び12Bは、全血液発見データセットのデータを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、図12A及び12Bから除外する。図12Aは、生データを示す。
図12B図12A及び12Bは、全血液発見データセットのデータを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、図12A及び12Bから除外する。図12Bは、COCONUT共正規化データを示す。COCONUT共正規化は、対照患者について、各遺伝子が、同じ位置及びスケールにあるように再設定した。データセット内の遺伝子の分布は、変化しない(データセット内の、疾患と対比した健常についてのT統計の中央値差違は、全ての遺伝子及び全てのデータセットにわたり、範囲を(-1×10-13,1×10-13)として、0である)。ハウスキーピング遺伝子であるATP6V1B1は、疾患に関して予測される不変性を呈示し、正規化後におけるデータセットにわたり不変である。疾患により誘導されることが予測される遺伝子、例えば、CEACAM1は、健常対照にわたる不変性を呈示するが、疾患状態では、データセット間で変動しうる。上方の有色バーは、データセットを指し示し、下方の有色バーは、疾患クラスを指し示す。
図13】全血液バリデーションデータセットのCOCONUT共正規化についてのグローバルROCにおいて、細菌/ウイルススコアを示す図である。全ての全血液バリデーションデータセットにわたるグローバルAUCは、0.93である。データセット(ダークグレーのバイオリン=細菌、ライトグレーのバイオリン=ウイルス)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。点線は、可能なグローバル閾値を示す。ハウスキーピング遺伝子(POLG、ATP6V1B1、及びPEG10)は、COCONUT正規化後において、データセットにわたり予測される不変性を示す。
図14】共正規化されていない全血液発見データセットについてのグローバルROCにおいて、細菌/ウイルススコアを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、図14から除外する。全ての全血液発見データセットにわたるグローバルAUCは、0.93である。データセット(ダークグレーのバイオリン=細菌、ライトグレーのバイオリン=ウイルス)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。ハウスキーピング遺伝子であるPOLG、ATP6V1B1、及びPEG10の、高度に変動する位置及びスケールに注目されたい。
図15】共正規化されていない全血液バリデーションデータセットについてのグローバルROCにおいて、細菌/ウイルススコアを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、図15から除外する。データセット(ダークグレーのバイオリン=細菌、ライトグレーのバイオリン=ウイルス)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。ハウスキーピング遺伝子であるPOLG、ATP6V1B1、及びPEG10の、高度に変動する位置及びスケールに注目されたい。
図16】PBMCバリデーションデータセットのCOCONUT共正規化についてのグローバルROCにおいて、細菌/ウイルススコアを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、別個に検討する。全てのPBMCバリデーションデータセットにわたるグローバルAUCは、0.92である。データセット(ダークグレーのバイオリン=細菌、ライトグレーのバイオリン=ウイルス)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。点線は、可能なグローバル閾値を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。ハウスキーピング遺伝子(POLG、ATP6V1B1)は、COCONUT正規化後において、データセットにわたり予測される不変性を示す。
図17】共正規化されていないPBMCバリデーションデータセットについてのグローバルROCにおいて、細菌/ウイルススコアを示す図である。PBMCデータセットは、全血液と異なる遺伝子レベルを有することが予測されるため、別個に検討する。データセット(ダークグレーのバイオリン=細菌、ライトグレーのバイオリン=ウイルス)、個々の遺伝子レベル、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。ハウスキーピング遺伝子であるPOLG及びATP6V1B1の、高度に変動する位置及びスケールに注目されたい。
図18】ランダムに選び出された2つの遺伝子の対10,000についての、全ての発見データセットにわたる、平均値AUCの分布を示す図である。
図19A図19A~19Dは、COCONUT共正規化データにおける、敗血症メタスコアに対する年齢の効果を示す図である。図19Aは、病原体の種類が、SMSにおける年齢差を駆動しているのかどうかについて評価するように、病原体の種類ごとに、SMSと対比した年齢を示す。図19Bは、病原体の種類ごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、最高齢では、SMSも、到達可能な、異なる最大値を有しうることを示す。図19Cは、データセットごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、年齢とSMSとの関係が、データセットに依存しないことを裏付ける。図19A~19Cは、感染患者試料だけを組み入れ、図19Dは、年齢にわたり、ベースラインを示すことに加えて、健常SIRS試料及び非感染性SIRS試料のいずれも示す。全ての場合において、GSE25504の年齢データは、それらの手稿において、およそ、2週間±1週間単位で与えられる平均値年齢に従いランダムに分布して、データ密度を示す。全ての年齢=0は、年齢=1/365として再設定した。
図19B図19A~19Dは、COCONUT共正規化データにおける、敗血症メタスコアに対する年齢の効果を示す図である。図19Aは、病原体の種類が、SMSにおける年齢差を駆動しているのかどうかについて評価するように、病原体の種類ごとに、SMSと対比した年齢を示す。図19Bは、病原体の種類ごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、最高齢では、SMSも、到達可能な、異なる最大値を有しうることを示す。図19Cは、データセットごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、年齢とSMSとの関係が、データセットに依存しないことを裏付ける。図19A~19Cは、感染患者試料だけを組み入れ、図19Dは、年齢にわたり、ベースラインを示すことに加えて、健常SIRS試料及び非感染性SIRS試料のいずれも示す。全ての場合において、GSE25504の年齢データは、それらの手稿において、およそ、2週間±1週間単位で与えられる平均値年齢に従いランダムに分布して、データ密度を示す。全ての年齢=0は、年齢=1/365として再設定した。
図19C図19A~19Dは、COCONUT共正規化データにおける、敗血症メタスコアに対する年齢の効果を示す図である。図19Aは、病原体の種類が、SMSにおける年齢差を駆動しているのかどうかについて評価するように、病原体の種類ごとに、SMSと対比した年齢を示す。図19Bは、病原体の種類ごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、最高齢では、SMSも、到達可能な、異なる最大値を有しうることを示す。図19Cは、データセットごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、年齢とSMSとの関係が、データセットに依存しないことを裏付ける。図19A~19Cは、感染患者試料だけを組み入れ、図19Dは、年齢にわたり、ベースラインを示すことに加えて、健常SIRS試料及び非感染性SIRS試料のいずれも示す。全ての場合において、GSE25504の年齢データは、それらの手稿において、およそ、2週間±1週間単位で与えられる平均値年齢に従いランダムに分布して、データ密度を示す。全ての年齢=0は、年齢=1/365として再設定した。
図19D図19A~19Dは、COCONUT共正規化データにおける、敗血症メタスコアに対する年齢の効果を示す図である。図19Aは、病原体の種類が、SMSにおける年齢差を駆動しているのかどうかについて評価するように、病原体の種類ごとに、SMSと対比した年齢を示す。図19Bは、病原体の種類ごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、最高齢では、SMSも、到達可能な、異なる最大値を有しうることを示す。図19Cは、データセットごとに、SMSと対比したlog10(年齢)を示すことから、年齢とSMSとの関係が、データセットに依存しないことを裏付ける。図19A~19Cは、感染患者試料だけを組み入れ、図19Dは、年齢にわたり、ベースラインを示すことに加えて、健常SIRS試料及び非感染性SIRS試料のいずれも示す。全ての場合において、GSE25504の年齢データは、それらの手稿において、およそ、2週間±1週間単位で与えられる平均値年齢に従いランダムに分布して、データ密度を示す。全ての年齢=0は、年齢=1/365として再設定した。
図20A図20A及び20Bは、COCONUT共正規化の前(図20B)及び後(図20A)における、全ての全血液データ(発見全血液データ及びバリデーション全血液データの両方)にわたり、敗血症メタスコアを示す図である。グローバルAUCは、COCONUT共正規化の後において、0.86(95%CI:0.84~0.89)である。データセット(ライトグレーのバイオリン=非感染性炎症、ダークグレーのバイオリン=感染/敗血症)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。点線は、可能なグローバル閾値を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。図20Aの、COCONUT正規化の後における、ハウスキーピング遺伝子であるPOLG、ATP6V1B1、及びPEG10の不変性に注目すると共に、図20Bの、正規化の前における、ハウスキーピング遺伝子の、高度に変動する位置及びスケールにも注目されたい。
図20B図20A及び20Bは、COCONUT共正規化の前(図20B)及び後(図20A)における、全ての全血液データ(発見全血液データ及びバリデーション全血液データの両方)にわたり、敗血症メタスコアを示す図である。グローバルAUCは、COCONUT共正規化の後において、0.86(95%CI:0.84~0.89)である。データセット(ライトグレーのバイオリン=非感染性炎症、ダークグレーのバイオリン=感染/敗血症)、及びハウスキーピング遺伝子(グレースケール)によるスコア分布を示す。点線は、可能なグローバル閾値を示す。各バイオリンの幅は、所与のデータセット内の、スコアの分布に対応する。各バイオリン内の、垂直方向のバーは、第25~第75百分位数にわたり、中央の白抜きダッシュは、平均値スコアを示す。図20Aの、COCONUT正規化の後における、ハウスキーピング遺伝子であるPOLG、ATP6V1B1、及びPEG10の不変性に注目すると共に、図20Bの、正規化の前における、ハウスキーピング遺伝子の、高度に変動する位置及びスケールにも注目されたい。
図21A図21A及び21Bは、COCONUTにより共正規化された公表遺伝子発現データであって、健常対照を含むデータにわたる、IADMを示す図である。組み入れたデータセット(及び使用したスコアのカットオフ)は、図3A~3Cにおけるデータセットと同じである。図21Aは、COCONUT共正規化データにおけるIADMについての、スコアの分布及びカットオフを示す。
図21B図21A及び21Bは、COCONUTにより共正規化された公表遺伝子発現データであって、健常対照を含むデータにわたる、IADMを示す図である。組み入れたデータセット(及び使用したスコアのカットオフ)は、図3A~3Cにおけるデータセットと同じである。図21Bは、診断についての混同行列を示す。細菌感染の感度:94.2%;細菌感染の特異度:68.5%;ウイルス感染の感度:53.0%;ウイルス感染の特異度:94.1%である。「SIRS」とは、非感染性炎症を指す。
図22】感度を94.0%とし、特異度を59.8%とする診断検査について、有病率と対比したNPV及びPPVを示す図である。赤直線は、実際の感染症例率についての大まかな推定値としての有病率を15%とするときに、98.3%のNPVを示す。
図23A図23A~23Dは、GSE63990データセット(急性呼吸器感染を有する成人)についての結果を示す図である。図23A及び23Bは、敗血症メタスコア及び細菌/ウイルスメタスコアについてのROC曲線を示す。
図23B図23A~23Dは、GSE63990データセット(急性呼吸器感染を有する成人)についての結果を示す図である。図23A及び23Bは、敗血症メタスコア及び細菌/ウイルスメタスコアについてのROC曲線を示す。
図23C図23A~23Dは、GSE63990データセット(急性呼吸器感染を有する成人)についての結果を示す図である。図23Cは、IADMについての、スコアの分布及びカットオフを示す。
図23D図23A~23Dは、GSE63990データセット(急性呼吸器感染を有する成人)についての結果を示す図である。図23Dは、IADMについての混同行列を示し、細菌感染の感度:94.3%;細菌感染の特異度:52.2%;ウイルス感染の感度:52.2%;ウイルス感染の特異度:94.3%である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
そうでないことが指し示されない限りにおいて、本発明の実施は、当技術分野の範囲内にある、薬理学、化学、生化学、組換えDNA法、及び免疫学の従来の方法を援用するであろう。このような技法は、文献において、完全に説明されている。例えば、J.E.Bennett、R.Dolin、及びM.J.Blaser、「Mandell,Douglas,and Bennett’s Principles and Practice of Infectious Diseases」(Saunders、8版、2014);J.R.Brown 「Sepsis:Symptoms,Diagnosis and Treatment」(Public Health in the 21st Century Series、Nova Science Publishers,Inc.、2013);「Sepsis and Non-infectious Systemic Inflammation:From Biology to Critical Care」(J.Cavaillon、C.Adrie編、Wiley-Blackwell、2008);「Sepsis:Diagnosis,Management and Health Outcomes」(「Allergies and Infectious Diseases」、N.Khardori編、Nova Science Pub Inc.、2014);「Handbook of Experimental Immunology」、I~IV巻(D.M.Weir及びC.C.Blackwell編、Blackwell Scientific Publications);A.L.Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers,Inc.、増補最新版);Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(3版、2001);「Methods In Enzymology」(S.Colowick及びN.Kaplan編、Academic Press,Inc.)を参照されたい。
【0093】
前出であれ、後出であれ、本明細書で引用される、全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
I.定義
【0094】
本発明についての記載では、以下の用語を援用し、下記に指し示される通りに定義することを意図する。
【0095】
本明細書及び付属の特許請求の範囲で使用される、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈により、そうでないことが明らかに指示されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「あるバイオマーカー」に対する言及は、2つ又はこれを超えるバイオマーカーなどの混合物を含む。
【0096】
特に、所与の数量に言及する場合の「約」という用語は、±5パーセントの偏差を包含することを意図する。
【0097】
本明細書で使用される曲線下面積(AUC)という用語は、受信者動作特性曲線(ROC曲線)下の面積を指すように理解される。
【0098】
本発明の文脈における「バイオマーカー」とは、感染を有する患者から採取された試料において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は非感染対象)から採取された同等の試料と比較して示差的に発現するポリヌクレオチドなどの生物学的化合物を指す。バイオマーカーは、核酸、検出及び/又は定量化されうる、核酸、ポリヌクレオチド、又はオリゴヌクレオチドの断片でありうる。バイオマーカーは、遺伝子又は遺伝子のRNA転写物に由来するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、IFI27、JUP、LAX1、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、STAT1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、CYBRD1、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1を含むがこれらに限定されないポリヌクレオチドを含む。
【0099】
「ウイルス応答遺伝子」とは、ウイルス感染を有する患者から採取された試料において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は非感染対象)から採取された同等の試料と比較して示差的に発現する遺伝子を指す。ウイルス応答遺伝子は、IFI27、JUP、LAX1、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、及びSTAT1を含むがこれらに限定されない。
【0100】
「細菌応答遺伝子」とは、細菌感染を有する患者から採取された試料において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は非感染対象)から採取された同等の試料と比較して示差的に発現する遺伝子を指す。細菌応答遺伝子は、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、及びCYBRD1を含むがこれらに限定されない。
【0101】
「敗血症応答遺伝子」とは、敗血症又は感染を有する患者から採取された試料において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は非感染対象)から採取された同等の試料と比較して示差的に発現する遺伝子を指す。敗血症応答遺伝子は、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1を含むがこれらに限定されない。
【0102】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指し、最小の長さに限定されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などが、定義の中に含まれる。定義により、全長タンパク質及びそれらの断片の両方が包含される。用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、ヒドロキシル化、酸化なども含む。
【0103】
本明細書では、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」という用語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドである、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含むように使用される。この用語は、分子の一次構造だけを指す。したがって、用語は、三本鎖DNA、二本鎖DNA、及び一本鎖DNAのほか、三本鎖RNA、二本鎖RNA、及び一本鎖RNAも含む。この用語はまた、ポリヌクレオチドのメチル化及び/又はキャッピングなどによる修飾のほか、非修飾形態も含みうる。より詳細には、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)と、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)と、プリン塩基又はピリミジン塩基のNグリコシド又はCグリコシドである、他の任意の種類のポリヌクレオチドとを含む。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸分子」という用語の間では、長さの区別は意図されておらず、これらの用語は、互換的に使用される。
【0104】
「示差的に発現した」という語句は、例えば、感染(例えば、ウイルス感染又は細菌感染)を有する患者から採取された試料に存在するバイオマーカーの数量及び/又は頻度の、対照の対象又は非感染対象と比較した差違を指す。例えば、バイオマーカーは、感染(例えば、ウイルス感染又は細菌感染)を有する患者の試料において、対照の対象の試料と比較して、高レベル又は低レベルで存在するポリヌクレオチドでありうる。代替的に、バイオマーカーは、感染(例えば、ウイルス感染又は細菌感染)を有する患者の試料において、対照の対象の試料と比較して、高頻度又は低頻度で検出されるポリヌクレオチドでありうる。バイオマーカーは、数量、頻度、又はこれらの両方との関係で、示差的に存在しうる。
【0105】
1つの試料におけるポリヌクレオチドの量が、他の試料におけるポリヌクレオチド量と統計学的に有意に異なる場合、ポリヌクレオチドは、2つの試料の間で示差的に発現する。例えば、他の試料に存在するより、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約150%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約500%、少なくとも約700%、少なくとも約900%、若しくは少なくとも約1000%多く存在するか、又は1つの試料において検出可能であり、他の試料において検出可能でない場合、ポリヌクレオチドは、2つの試料において示差的に発現する。
【0106】
代替的に、又は加えて、敗血症を患う患者の試料において、ポリヌクレオチドを検出する頻度が、対照試料におけるより、統計学的に有意に大きいか又は小さい場合、ポリヌクレオチドは、2つの試料セットにおいて、示差的に発現する。例えば、試料の1つのセットにおいて、試料の他のセットにおけるより、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約150%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約500%、少なくとも約700%、少なくとも約900%、又は少なくとも約1000%高頻度又は低頻度で検出される場合、ポリヌクレオチドは、2つの試料セットにおいて示差的に発現する。
【0107】
「類似性値」とは、比較される2つのものの間の類似性の程度を表す数である。例えば、類似性値は、特異的な表現型関連バイオマーカーを使用する、患者の発現プロファイルと、1若しくは複数の対照試料におけるバイオマーカーについての基準値範囲、又は基準発現プロファイルとの全体的な類似性(例えば、「ウイルス感染」発現プロファイル又は「細菌感染」発現プロファイルとの類似性)を指し示す数でありうる。類似性値は、相関係数などの類似性計量として表すこともでき、患者試料におけるバイオマーカーのレベルと、対照試料におけるバイオマーカーのレベル又は基準発現プロファイルとの、発現レベルの差違、又は発現レベルの差違の合計として単純に表すこともできる。
【0108】
本明細書では、「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、診断、予後診断、処置、又は治療が所望される、任意の哺乳動物対象、特に、ヒトを指すように、互換的に使用される。他の対象は、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどを含みうる。場合によって、本発明の方法は、実験動物、獣医学的適用、疾患についての動物モデルであって、マウス、ラット、及びハムスターを含む齧歯動物;並びに霊長動物を含むがこれらに限定されない動物モデルの案出において使用される。
【0109】
本明細書で使用される「生物学的試料」とは、対象から単離された組織、細胞、又は体液の試料であって、例えば、血液、バフィーコート、血漿、血清、血液細胞(例えば、末梢血単核細胞(PBMC))、糞便、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ液、皮膚試料、皮膚、呼吸器、腸、及び尿生殖路の外分泌物、涙液、唾液、母乳、臓器、生検、及び、また、in vitroにおける細胞培養物構成要素であって、培養培地における細胞及び組織、例えば、組換え細胞の増殖から得られる条件培地を含むがこれらに限定されない細胞培養物構成要素、並びに細胞構成要素による試料を含むがこれらに限定されない試料を指す。
【0110】
バイオマーカーの「被験量」とは、被験試料に存在するバイオマーカーの量を指す。被験量は、絶対量(例えば、μg/ml)の場合もあり、相対量(例えば、シグナルの相対強度)の場合もある。
【0111】
バイオマーカーの「診断量」とは、対象の試料におけるバイオマーカーの量であって、感染(例えば、ウイルス感染又は細菌感染)についての診断と符合する量を指す。診断量は、絶対量(例えば、μg/ml)の場合もあり、相対量(例えば、シグナルの相対強度)の場合もある。
【0112】
バイオマーカーの「対照量」は、バイオマーカー被験量に対して比較される、任意の量又は量の範囲でありうる。例えば、バイオマーカーの対照量は、感染(例えば、ウイルス感染又は細菌感染)を伴わない人におけるバイオマーカーの量でありうる。対照量は、絶対量(例えば、μg/ml)の場合もあり、相対量(例えば、シグナルの相対強度)の場合もある。
【0113】
「抗体」という用語は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体調製物のほか、ハイブリッド抗体分子、改変抗体分子、キメラ抗体分子、及びヒト化抗体分子のほか、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら(1991)、Nature、349:293~299;及び米国特許第4,816,567号を参照されたい);F(ab’)断片及びF(ab)断片;Fv分子(非共有結合的ヘテロ二量体、例えば、Inbarら(1972)Proc Natl Acad Sci USA、69:2659~2662;及びEhrlichら(1980)Biochem、19:4091~4096を参照されたい);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら(1988)Proc Natl Acad Sci USA、85:5879~5883を参照されたい);二量体及び三量体の抗体断片構築物;ミニボディー(例えば、Packら(1992)Biochem、31:1579~1584;Cumberら(1992)J Immunology、149B:120~126を参照されたい);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら(1988)Nature、332:323~327;Verhoeyanら(1988)Science、239:1534~1536;及び1994年9月21日に公表された英国特許公開第2,276,169号を参照されたい);並びにこのような分子から得られる、任意の機能的な断片であって、親抗体分子の特異的結合特性を保持するこのような断片を含む調製物を包含する。
【0114】
本発明における使用に想定される「検出用部分」又は「検出用標識」は、放射性同位体、フルオレセイン、フィコエリトリン、Cy-3、Cy-5、アロフィコシアニン、DAPI、テキサスレッド、ローダミン、オレゴングリーン、ルシファーイエローなど、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、ハナギンチャク(Cerianthus)属オレンジ蛍光タンパク質(cOFP)などの蛍光染料、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータ-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシンB-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacZ(β-ガラクトシダーゼをコードする)、及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)、ベータ-グルクロニダーゼ(gus)、胎盤由来アルカリホスファターゼ(PLAP)、分泌型胎児由来アルカリホスファターゼ(SEAP)、又はホタルルシフェラーゼ若しくは細菌ルシフェラーゼ(LUC)を含むがこれらに限定されない。酵素タグを、それらのコグネイト基質と共に使用する。用語はまた、蛍光強度が公知である、色コード入りマイクロスフェア(例えば、Luminex(Austin、TX)製のxMAP(エックスマップ)技術によるマイクロスフェアを参照されたい);例えば、異なる比及び組合せの量子ドット色を含有する、量子ドットナノ結晶を含有するマイクロスフェア(例えば、Life Technologies(Carlsbad、CA)製のQdot(キュードット)ナノ結晶);ガラスでコーティングされた金属ナノ粒子(例えば、Nanoplex Technologies,Inc.(Mountain View、CA)製のSERSナノタグを参照されたい);バーコード材料(例えば、Nanoplex Technologies,Inc.製のナノバーコード(Nanobarcodes)など、ミクロン未満のサイズのストライプ入り金属ロッドを参照されたい);有色バーコードを伴うコード入りマイクロ粒子(例えば、Vitra Bioscience、vitrabio.com製のセルカード(CellCard)を参照されたい);及びデジタル式ホログラフコード画像を伴う、ガラス製マイクロ粒子(例えば、Illumina(San Diego、CA)製のCyVeraマイクロビーズを参照されたい)も含む。本発明の実施と関連する標準手順の多くと同様に、当業者は、使用しうる、さらなる標識について承知しているであろう。
【0115】
「分類子の案出」とは、入力変数を使用して、2つ又はこれを超える状態を識別することが可能な、アルゴリズム又は分類子を生成することを指す。
【0116】
本明細書で使用される「診断」は、一般に、対象が、所与の疾患、障害、又は機能不全により影響される可能性が高いのかどうかについての決定を含む。当業者は、存在、非存在、又は量が、疾患、障害、又は機能不全の存在又は非存在を指し示す、1又は複数の診断指標、すなわち、バイオマーカーに基づき診断を下すことが多い。
【0117】
本明細書で使用される「予後診断」とは、一般に、臨床状態又は疾患の、蓋然性のある経過及び転帰についての予測を指す。患者についての予後診断は通例、疾患の、好適であるか、又は好適ではない、経過又は転帰を指し示す、疾患の因子又は症状を査定することによりなされる。「予後診断」という用語は、状態の経過又は転帰を、100%の精度で予測する能力を、必ずしも指すわけではないことが理解される。実際、当業者は、「予後診断」という用語が、ある特定の経過又は転帰が生じる確率の上昇;すなわち、所与の状態を呈示する患者において、状態を呈示しない個体と比較して、経過又は転帰が生じる可能性が高いことを指すことを理解するであろう。
【0118】
「実質的に精製された」とは、それらの天然環境から除去され、単離又は分離され、天然で会合している他の構成要素を、少なくとも約60%含まず、好ましくは、約75%含まず、最も好ましくは、約90%含まない核酸分子又はタンパク質を指す。
II.本発明を実行する方式
【0119】
本発明について詳細に記載する前に、特定の製剤又は工程パラメータは、当然ながら、変動しうるので、本発明は、このような製剤又は工程パラメータに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語法は、本発明の特定の実施形態だけについて記載することを目的とするものであり、限定的であることを意図するものではないこともまた理解されたい。
【0120】
本発明の実施では、本明細書で記載される方法及び材料と同様又は同等である、多数の方法及び材料を使用しうるが、本明細書では、好ましい材料及び方法について記載する。
【0121】
本発明は、感染を診断するために使用されうるバイオマーカーの発見(実施例1を参照されたい)に基づく。特に、本発明は、急性炎症を有する患者が、抗生剤による処置から利益を得る細菌感染を有するのか、抗ウイルス剤による処置から利益を得るウイルス感染を有するのかを決定するのに使用されうるバイオマーカーの使用に関する。本発明のさらなる理解のために、同定されたバイオマーカー、並びに感染の診断及び処置において、それらを使用する方法に関する、より詳細な考察を、下記に提示する。
A.バイオマーカー
【0122】
本発明の実施において使用されうるバイオマーカーは、遺伝子又は遺伝子のRNA転写物に由来するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、ウイルス感染を有する患者において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又はウイルス感染を有さない、非感染対象)と比較して示差的に発現する「ウイルス応答遺伝子」であり、IFI27、JUP、LAX1、OAS2、CUL1、ISG15、CHST12、IFIT1、SIGLEC1、ADA、MX1、RSAD2、IFI44L、GZMB、KCTD14、LY6E、IFI44、HESX1、OASL、OAS1、OAS3、EIF2AK2、DDX60、DNMT1、HERC5、IFIH1、SAMD9、IFI6、IFIT3、IFIT5、XAF1、ISG20、PARP12、IFIT2、DHX58、及びSTAT1などであるがこれらに限定されない「ウイルス応答遺伝子」;細菌感染を有する患者において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は細菌感染を有さない非感染対象)と比較して示差的に発現する「細菌応答遺伝子」であり、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、SLC12A9、ACPP、STAT5B、EMR1、FLII、PTAFR、NRD1、PLP2、DYSF、TWF2、SORT1、TSPO、TBXAS1、ACAA1、S100A12、PGD、LAPTM5、NINJ2、DOK3、SORL1、RAB31、IMPA2、LTA4H、TALDO1、TKT、PYGL、CETP、PROS1、RTN3、CAT、及びCYBRD1などであるがこれらに限定されない「細菌応答遺伝子」;並びに敗血症又は感染を有する患者において、対照の対象(例えば、陰性の診断がなされた人、正常対象若しくは健常対象、又は敗血症を有さない非感染対象)と比較して示差的に発現する「敗血症応答遺伝子」であり、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1などであるがこれらに限定されない「敗血症応答遺伝子」を含むポリヌクレオチドを含む。
【0123】
一態様では、本発明は、患者における感染を診断する方法を含む。方法は、a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;b)生物学的試料における、ウイルス感染と関連する示差的発現を示す、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌感染と関連する示差的発現を示す、細菌応答遺伝子のセット発現レベルを測定するステップと;c)ウイルス応答遺伝子及び細菌応答遺伝子の発現レベルを、それぞれの基準値範囲と共に解析するステップとを含む。
【0124】
生物学的試料におけるバイオマーカーのレベルを解析する場合、基準値範囲は、感染を伴わない、1又は複数の対象(例えば、健常対象又は非感染対象)についての、1又は複数の試料において見出される、1又は複数のバイオマーカーのレベルを表しうる。代替的に、基準値は、ウイルス感染又は細菌感染を有する、1又は複数の対象についての、1又は複数の試料において見出される、1又は複数のバイオマーカーのレベルを表しうる。ある特定の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、非感染対象又は感染対象についての時間を一致させた基準値範囲と比較する。
【0125】
ある特定の実施形態では、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットは、a)IFI27、JUP、及びLAX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにHK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBを含む細菌応答遺伝子のセット;b)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;c)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;d)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;e)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;f)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;g)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;h)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;i)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;並びにj)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットからなる群から選択される。
【0126】
診断される患者から得られる生物学的試料は、全血液又は血液細胞(例えば、PBMC)であることが典型的であるが、発現したバイオマーカーを含有する体液、組織、又は細胞を含有する任意の試料でありうる。本明細書で使用される「対照」試料とは、罹患していない体液、組織、又は細胞などの生物学的試料を指す。すなわち、対照試料は、正常対象又は非感染対象(例えば、ウイルス感染、細菌感染、敗血症、又は炎症を有さないことが公知の個体)から得られる。生物学的試料は、患者から、従来の技法により得ることができる。例えば、血液は、静脈穿刺により得ることができ、固形組織試料は、当技術分野で周知の方法に従う手術法により得ることができる。
【0127】
ある特定の実施形態では、バイオマーカーのパネルを、感染の診断のために使用する。任意のサイズのバイオマーカーパネルを、発明を実施するのに使用することができる。感染を診断するためのバイオマーカーパネルは、少なくとも3つのバイオマーカー及び最大で30のバイオマーカーであって、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30のバイオマーカーなど、これらの間の任意の数のバイオマーカーを含むことが典型的である。ある特定の実施形態では、本発明は、少なくとも3つ、若しくは少なくとも4つ、若しくは少なくとも5つ、若しくは少なくとも6つ、若しくは少なくとも7つ、若しくは少なくとも8つ、若しくは少なくとも9つ、若しくは少なくとも10、若しくは少なくとも11、又はこれを超えるバイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを含む。小規模のバイオマーカーパネルが通例、廉価であるが、大規模なバイオマーカーパネル(すなわち、30バイオマーカーを超える)は、詳細な情報を提供する利点を有し、これもまた、本発明を実施するのに使用することができる。
【0128】
ある特定の実施形態では、本発明は、感染を診断するためのバイオマーカーのパネルであって、IFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBからなる群から選択される遺伝子又は遺伝子のRNA転写物に由来するヌクレオチド配列を含む、1又は複数のポリヌクレオチドを含むパネルを含む。別の実施形態では、バイオマーカーのパネルは、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1からなる群から選択される遺伝子又は遺伝子のRNA転写物に由来するヌクレオチド配列を含む、1又は複数のポリヌクレオチドをさらに含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される、ウイルス感染と、細菌感染とを識別するためのバイオマーカーを、対象における炎症が、感染又は炎症の非感染性発生源(例えば、外傷性損傷、手術、自己免疫疾患、血栓症、又は全身性炎症反応症候群(SIRS))により引き起こされているのかどうかを識別することが可能な、さらなるバイオマーカーと組み合わせる。第1の診断検査を使用して、急性炎症が、感染性発生源により引き起こされたのか、非感染性発生源により引き起こされたのかを決定し、炎症の発生源が感染である場合、第2の診断検査を使用して、感染が、それぞれ、抗ウイルス剤又は抗生剤による処置から利益を得る、ウイルス感染であるのか、細菌感染であるのかを決定する。
【0130】
一実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断及び処置する方法であって、a)患者に由来する生物学的試料を得るステップと;b)生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルを測定するステップと;c)第1に、各バイオマーカーの発現レベルを、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と共に解析するステップであり、非感染対照対象についてのバイオマーカーの基準値範囲と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、及びC3AR1の発現レベルの上昇、並びにバイオマーカーであるKIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の発現レベルの低下が、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象と比較した、バイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1の示差的発現の非存在が、患者が感染を有さないことを指し示すステップと;d)第2に、患者が感染を有すると診断される場合、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBの発現レベルを解析するステップであり、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1の発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者がウイルス感染を有することを指し示し、バイオマーカーであるHK3、TNIP1、GPAA1、CTSBの発現レベルの、対照の対象についての、バイオマーカーの基準値範囲と比較した上昇が、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;e)患者がウイルス感染を有すると診断される場合は、有効量の抗ウイルス剤を、患者へと投与するか、又は患者が細菌感染を有すると診断される場合は、有効量の抗生剤を、患者へと投与するステップとを含む方法を含む。
【0131】
別の実施形態では、方法は、患者についての敗血症メタスコアを計算するステップをさらに含み、この場合、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す。
【0132】
別の実施形態では、方法は、患者が感染を有すると診断される場合、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップをさらに含み、この場合、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す。
【0133】
別の実施形態では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を処置する方法であって、a)本明細書で記載される方法に従い、患者の診断に関する情報を受け取るステップと;b)患者が、ウイルス感染を有すると診断された場合に、治療有効量の抗ウイルス剤を投与するか、又は患者が、細菌感染を有すると診断された場合に、有効量の抗生剤を投与するステップとを含む方法を含む。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される方法により、ウイルス感染を有すると診断された患者に、広域スペクトル抗ウイルス剤、抗ウイルスワクチン、ノイラミニダーゼ阻害剤(例えば、ザナミビル(Relenza)及びオセルタミビル(Tamiflu))、ヌクレオシド類似体(例えば、アシクロビル、ジドブジン(AZT)、及びラミブジン)、アンチセンス抗ウイルス剤(例えば、ホスホロチオエートによるアンチセンス抗ウイルス剤(例えば、サイトメガロウイルス網膜炎のためのホミビルセン(Vitravene))、モルホリノによるアンチセンス抗ウイルス剤)、ウイルス脱穀阻害剤(例えば、インフルエンザのためのアマンタジン及びリマンタジン、ライノウイルスのためのプレコナリル)、ウイルス侵入阻害剤(例えば、HIVのためのFuzeon)、ウイルスアセンブリー阻害剤(例えば、リファンピシン)、又は免疫系を刺激する抗ウイルス剤(例えば、インターフェロン)など、治療有効量の抗ウイルス剤を投与する。例示的な抗ウイルス剤は、アバカビル、アシクロビル(Aciclovir、Acyclovir)、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ(固定用量薬)、バラビル、シドフォビル、コンビビル(固定用量薬)、ドルテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エコリエベル、ファムシクロビル、固定用量の組合せ(抗レトロウイルス薬)、ホミビルセン、フォサンプレナビル、フォスカルネット、フォスフォネット、融合阻害剤、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、III型インターフェロン、II型インターフェロン、I型インターフェロン、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル、ニタゾキサニド、ヌクレオシド類似体、ノルビル(Novir)、オセルタミビル(Tamiflu)、PEGインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、ソフォスブビル、スタブジン、相乗作用増強剤(抗レトロウイルス薬)、テラプレビル、テノホビル、テノホビルジソプロシキル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル(Valtrex)、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル(Relenza)、又はジドブジンを含む。
【0135】
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される方法により、細菌感染を有すると診断された患者に、治療有効量の抗生剤を投与する。抗生剤は、広域スペクトル抗生剤、殺菌性抗生剤、又は静菌性抗生剤を含みうる。例示的な抗生剤は、アミカシン、Amikin、ゲンタマイシン、Garamycin、カナマイシン、Kantrex、ネオマイシン、Neo-Fradin、ネチルマイシン、Netromycin、トブラマイシン、Nebcin、パロモマイシン、Humatin、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン(Bs)及びTrobicinなどのアミノグリコシド;ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、リファキシミン、及びXifaxanなどのアンサマイシン;ロラカルベフ及びLorabidなどのカルバセフェム;エルタペネム、Invanz、ドリペネム、Doribax、イミペネム/シラスタチン、Primaxin、メロペネム、Merremなどのカルバペネム;セファドロキシル、Duricef、セファゾリン、Ancef、セファロチン、Cefalotin又はCephalothin、Keflin、セファレキシン、Keflex、セファクロル、Distaclor、セファマンドール、Mandol、セフォキシチン、Mefoxin、セフプロジル、Cefzil、セフロキシム、Ceftin、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、Maxipime、セフタロリンフォサミル、Teflaro、セフトビプロール、Zefteraなどのセファロスポリン;テイコプラニン、Targocid、バンコマイシン、Vancocin、テラバンシン、Vibativ、ダルババンシン、Dalvance、オリタバンシン、Orbactivなどの糖ペプチド;クリンダマイシン、Cleocin、リンコマイシン、Lincocinなどのリンコサミド;ダプトマイシン、Cubicinなどのリポペプチド;アジスロマイシン、Zithromax、Sumamed、Xithrone、クラリスロマイシン、Biaxin、ジリスロマイシン、Dynabac、エリスロマイシン、Erythocin、Erythroped、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、Tao、テリスロマイシン、Ketek、スピラマイシン、Rovamycineなどのマクロリド;アズトレオナム、Azactamなどのモノバクタム;フラゾリドン、Furoxone、ニトロフラントイン、Macrodantin及びMacrobidなどのニトロフラン;リネゾリド、Zyvox、VRSA、ポシゾリド、ラデゾリド、トレゾリドなどのオキサゾリジノン;ペニシリンV、Veetids(Pen-Vee-K)、ピペラシリン、Pipracil、ペニシリンG、Pfizerpen、テモシリン、Negaban、チカルシリン、Ticarなどのペニシリン;アモキシリン/クラブラン酸、Augmentin、アンピシリン/スルバクタム、Unasyn、ピペラシリン/タゾバクタム、Zosyn、チカルシリン/クラブラン酸、Timentinなど、ペニシリンの組合せ;バシトラシン、コリスチン、Coly-Mycin-S、ポリミキシンBなどのポリペプチド;シプロフロキサシン、Cipro、Ciproxin、Ciprobay、エノキサシン、Penetrex、ガチフロキサシン、Tequin、ゲミフロキサシン、Factive、レボフロキサシン、Levaquin、ロメフロキサシン、Maxaquin、モキシフロキサシン、Avelox、ナリジクス酸、NegGram、ノルフロキサシン、Noroxin、オフロキサシン、Floxin、Ocuflox、トロバフロキサシン、Trovan、グレパフロキサシン、Raxar、スパルフロキサシン、Zagam、テマフロキサシン、Omnifloxなどのキノロン/フルオロキノロン;アモキシリン、Novamox、Amoxil、アンピシリン、Principen、アズロシリン、カルベニシリン、Geocillin、クロキサシリン、Tegopen、ジクロキサシリン、Dynapen、フルクロキサシリン、Floxapen、メズロシリン、Mezlin、メチシリン、Staphcillin、ナフシリン、Unipen、オキサシリン、Prostaphlin、ペニシリンG、Pentidsなど、マフェニド、Sulfamylon、スルファセタミド、Sulamyd、Bleph-10、スルファジアジン、Micro-Sulfon、銀スルファジアジン、Silvadene、スルファジメトキシン、Di-Methox、Albon、スルファメチゾール、Thiosulfil Forte、スルファメトキサゾール、Gantanol、スルファニリミド、スルファサラジン、Azulfidine、スルフイソキサゾール、Gantrisin、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、コトリモキサゾール、TMP-SMX、Bactrim、Septra、スルホンアミドクリソイジン、Prontosilなどのスルホンアミド;デメクロサイクリン、Declomycin、ドキシサイクリン、Vibramycin、ミノサイクリン、Minocin、オキシテトラサイクリン、Terramycin、テトラサイクリン、Sumycin、Achromycin V、及びSteclinなどのテトラサイクリン;クロファジミン、Lamprene、ダプソン、Avlosulfon、カプレオマイシン、Capastat、サイクロセリン、Seromycin、エタンブトール、Myambutol、エチオナミド、Trecator、イソニアジド、I.N.H.、ピラジナミド、Aldinamide、リファンピシン、Rifadin、Rimactane、リファブチン、Mycobutin、リファペンチン、Priftin、及びストレプトマイシンなどのマイコバクテリアに対する薬物;アルスフェナミン、Salvarsan、クロラムフェニコール、Chloromycetin、ホスホマイシン、Monurol、Monuril、フシジン酸、Fucidin、メトロニダゾール、Flagyl、ムピロシン、Bactroban、プラテンシマイシン、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、Synercid、チアンフェニコール、チゲサイクリン、Tigacyl、チニダゾール、Tindamax Fasigyn、トリメトプリム、Proloprim及びTrimpexなど、他の抗生剤を含む。
B.バイオマーカーの検出及び測定
【0136】
試料におけるバイオマーカーは、当技術分野で公知である、任意の適切な方法により測定しうることが理解される。バイオマーカーの発現レベルの測定は、直接的な場合もあり、間接的な場合もある。例えば、RNA又はタンパク質の存在度レベルは、直接定量化することができる。代替的に、バイオマーカーの量は、cDNA、増幅されたRNA、若しくはDNAの存在レベルを測定するか、又はバイオマーカーの発現レベルを指し示す、RNA、タンパク質、若しくは他の分子(例えば、代謝物)の数量若しくは活性を測定することにより、間接的に決定することもできる。試料におけるバイオマーカーを測定するための方法には、多くの適用がある。例えば、1又は複数のバイオマーカーを測定して、感染の診断の一助とすることもでき、対象に適する処置を決定することもでき、処置に対する、対象における応答をモニタリングすることもでき、in vivo又はin vitroにおけるバイオマーカーの発現をモジュレートする治療用化合物を同定することもできる。
バイオマーカーポリヌクレオチドの検出
【0137】
一実施形態では、バイオマーカーの発現レベルは、バイオマーカーのポリヌクレオチドレベルを測定することにより決定する。特異的なバイオマーカー遺伝子の転写物レベルは、生物学的試料に存在するmRNA、又はこれに由来するポリヌクレオチドの量から決定することができる。ポリヌクレオチドは、マイクロアレイ解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ノーザンブロット、遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)、RNAスイッチ、及び固体ナノ小胞の検出を含むがこれらに限定されない、様々な方法により検出及び定量化することができる。例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Draghici、「Data Analysis Tools for DNA Microarrays」、Chapman and Hall/CRC、2003;Simonら、「Design and Analysis of DNA Microarray Investigations」、Springer、2004;「Real-Time PCR:Current Technology and Applications」、Logan、Edwards、及びSaunders編、Caister Academic Press、2009;「Bustin A-Z of Quantitative PCR」(IUL Biotechnology、5号)、International University Line、2004;Velculescuら(1995)Science、270:484~487;Matsumuraら(2005)Cell.Microbiol.、7:11~18;「Serial Analysis of Gene Expression(SAGE):Methods and Protocols」(Methods in Molecular Biology)、Humana Press、2008を参照されたい。
【0138】
一実施形態では、マイクロアレイを使用して、バイオマーカーのレベルを測定する。マイクロアレイ解析の利点は、バイオマーカーの各々の発現を、同時に測定することができ、マイクロアレイは、特定の疾患又は状態(例えば、敗血症)のための診断用発現プロファイルをもたらすように、特別にデザインしうることである。
【0139】
マイクロアレイは、ポリヌクレオチド配列を含むプローブを選択し、次いで、このようなプローブを、固体支持体又は固体表面へと固定化することにより調製する。例えば、プローブは、DNA配列、RNA配列、又はDNA及びRNAによるコポリマー配列を含みうる。プローブのポリヌクレオチド配列はまた、DNA及び/若しくはRNAの類似体、又はこれらの組合せも含みうる。例えば、プローブのポリヌクレオチド配列は、全長ゲノムDNAの場合もあり、ゲノムDNAの部分的断片の場合もある。プローブのポリヌクレオチド配列はまた、合成オリゴヌクレオチド配列など、合成されたヌクレオチド配列でもありうる。プローブ配列は、in vivoにおいて酵素的に合成することもでき、in vitroにおいて(例えば、PCRにより)酵素的に合成することもでき、in vitroにおいて、非酵素的に合成することもできる。
【0140】
本発明の方法で使用されるプローブは、多孔性の場合もあり、非多孔性の場合もある、固体支持体へと固定化することが好ましい。例えば、プローブは、ポリヌクレオチドの3’端又は5’端において、ニトロセルロース又はナイロンによる膜又はフィルターへと共有結合的に接合させたポリヌクレオチド配列でありうる。当技術分野では、このようなハイブリダイゼーションプローブが周知である(例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(3版、2001を参照されたい)。代替的に、固体支持体又は固体表面は、ガラス、ケイ素、又はプラスチック表面でありうる。一実施形態では、表面にDNA若しくはDNA模倣体の集団、又は、代替的に、RNA若しくはRNA模倣体の集団など、ポリヌクレオチドの集団を固定化した固相からなるプローブのマイクロアレイとのハイブリダイゼーションのレベルを測定する。固相は、非多孔性材料の場合もあり、任意選択で、ゲルなどの多孔性材料、又はTipChip(チップチップ)(Axela、Ontario、Canada)などの多孔性ウェハーの場合もある。
【0141】
一実施形態では、マイクロアレイは、各々が、本明細書で記載されるバイオマーカーのうちの1つを表す結合(例えば、ハイブリダイゼーション)部位又は「プローブ」の順序付けられたアレイを伴う支持体又は表面を含む。マイクロアレイは、アドレス可能なアレイであることが好ましく、位置的にアドレス可能なアレイであることがより好ましい。より詳細には、アレイの各プローブは、各プローブの識別(すなわち、配列)を、アレイにおける(すなわち、支持体又は表面における)その位置から決定しうるように、固体支持体における、公知の、所定の位置に配置することが好ましい。各プローブは、単一の部位において、固体支持体へと、共有結合的に接合させることが好ましい。
【0142】
マイクロアレイは、多数の方式で作ることができるが、これらのうちのいくつかを、下記に記載する。しかし、作製されると、マイクロアレイは、ある特定の特徴を共有する。アレイは、複製可能であり、所与のアレイの複数のコピーを作製し、互いと容易に比較することを可能とする。マイクロアレイは、結合(例えば、核酸ハイブリダイゼーション)条件下で安定な材料から作ることが好ましい。マイクロアレイは、一般に小規模であり、例えば、0.1cm~25cmの間であるが、例えば、スクリーニングアレイでは、大型のアレイもまた、使用することができる。マイクロアレイにおける、所与の結合部位又は結合部位の固有のセットは、細胞における単一の遺伝子の産物と(例えば、特異的なmRNA、又はmRNAに由来する、特異的なcDNAと)に特異的に結合する(例えば、これとハイブリダイズする)ことが好ましいであろう。しかし、一般に、他の類縁又は類似の配列も、所与の結合部位と交差ハイブリダイズするであろう。
【0143】
上記で言及した通り、特定のポリヌクレオチド分子が特異的にハイブリダイズする「プローブ」は、相補的なポリヌクレオチド配列を含有する。マイクロアレイのプローブは、1,000ヌクレオチドを超えないヌクレオチド配列からなることが典型的である。一部の実施形態では、アレイのプローブは、10~1,000ヌクレオチドのヌクレオチド配列からなる。一実施形態では、プローブのヌクレオチド配列は、10~200ヌクレオチドの長さの範囲にあり、複数の異なるプローブが、生物のこのような種のゲノムと相補的であり、したがって、これとハイブリダイズし、ゲノムの全部又は一部にわたり、順に並ぶことが可能な配列を伴って存在するように、生物の1つの種のゲノム配列である。他の実施形態では、プローブは、10~30ヌクレオチドの長さの範囲、10~40ヌクレオチドの長さの範囲、20~50ヌクレオチドの長さの範囲、40~80ヌクレオチドの長さの範囲、50~150ヌクレオチドの長さの範囲、80~120ヌクレオチドの長さの範囲にあるか、又は60ヌクレオチドの長さである。
【0144】
プローブは、生物のゲノムの一部に対応する、DNA又はDNA「模倣体」(例えば、誘導体及び類似体)を含みうる。別の実施形態では、マイクロアレイのプローブは、相補的RNA又はRNA模倣体である。DNA模倣体は、DNAとの特異的なワトソン-クリック様ハイブリダイゼーション、又はRNAとの特異的なハイブリダイゼーションが可能なサブユニットから構成されたポリマーである。核酸は、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格(例えば、ホスホロチオエート)において修飾することができる。
【0145】
DNAは、例えば、ゲノムDNA又はクローニングされた配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により得ることができる。PCRプライマーは、ゲノムの公知の配列であって、ゲノムDNAの特異的な断片の増幅を結果としてもたらす配列に基づき選び出すことが好ましい。当技術分野で周知のコンピュータプログラムは、Oligo(オリゴ)バージョン5.0(National Biosciences)など、要請される特異性及び最適の増幅特性を伴うプライマーをデザインするのに有用である。マイクロアレイにおける各プローブは、10塩基~50,000塩基の間の長さであり、通例、20塩基~200塩基の間の長さであることが典型的である。当技術分野では、PCR法が周知であり、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Innisら編、「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press Inc.、San Diego、Calif.(1990)において記載されている。当業者には、ロボット制御システムが、核酸の単離及び増幅に有用であることが明らかであろう。
【0146】
代替法として、ポリヌクレオチドプローブを作出するのに好ましい手段は、例えば、N-ホスホネート化学反応又はホスホルアミダイト化学反応を使用する、合成ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの合成による手段である(Froehlerら、Nucleic Acids Res.、14:5399~5407(1986);McBrideら、Tetrahedron Lett.、24:246~248(1983))。合成配列は、典型的には、約10~約500塩基の間の長さであり、より典型的には、約20~約100塩基の間であり、最も好ましくは、約40~約70塩基の間の長さである。一部の実施形態では、合成核酸は、イノシンなどであるがこれらに限定されない非天然塩基を含む。上記で言及した通り、核酸類似体を、ハイブリダイゼーションのための結合部位として使用することができる。適切な核酸類似体の例は、ペプチド核酸(例えば、Egholmら、Nature、363:566~568(1993);米国特許第5,539,083号を参照されたい)である。
【0147】
プローブは、結合エネルギー、塩基組成、配列の複雑性、交差ハイブリダイゼーションの結合エネルギー、及び二次構造を考慮に入れるアルゴリズムを使用して選択することが好ましい。2001年1月25日に公開された、Friendら、国際公開第01/05935号;Hughesら、Nat.Biotech.、19:342~7(2001)を参照されたい。
【0148】
当業者はまた、陽性対照プローブ、例えば、標的ポリヌクレオチド分子における配列と相補的であり、ハイブリダイズ可能であることが公知のプローブと、陰性対照プローブ、例えば、標的ポリヌクレオチド分子における配列と相補的でなく、ハイブリダイズ可能でないことが公知のプローブとを、アレイに組み入れるべきことも察知するであろう。一実施形態では、陽性対照を、アレイの外周に沿って合成する。別の実施形態では、陽性対照を、アレイにわたる対角線状に合成する。さらに別の実施形態では、各プローブの逆相補体を、プローブの位置の隣で合成して、陰性対照として用いる。さらに別の実施形態では、生物の他の種に由来する配列を、陰性対照又は「スパイクイン」対照として使用する。
【0149】
プローブは、例えば、ガラス、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、ゲル、ケイ素、又は他の多孔性材料若しくは非多孔性材料から作りうる、固体支持体又は固体表面へと接合させる。核酸を表面へと接合させるための1つの方法は、Schenaら、Science、270:467~470(1995)により一般に記載されている通り、ガラス製のプレートにプリントすることによる方法である。COCONUT法は、cDNAのマイクロアレイを調製するために、とりわけ有用である(参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、DeRisiら、Nature Genetics、14:457~460(1996);Shalonら、Genome Res.、6:639~645(1996);及びSchenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、93:10539~11286(1995)もまた参照されたい)。
【0150】
マイクロアレイを作るための第2の方法は、高密度のオリゴヌクレオチドアレイを作製する。in situにおける合成のためのフォトリソグラフィー技法を使用して、表面の規定された位置において、規定された配列と相補的な、何千ものオリゴヌクレオチドを含有するアレイを作製すること(参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Fodorら、1991、Science、251:767~773;Peaseら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、91:5022~5026;Lockhartら、1996、Nature Biotechnology、14:1675;米国特許第5,578,832号;同第5,556,752号;及び同第5,510,270号を参照されたい)ための技法、又は規定されたオリゴヌクレオチドの迅速な合成及び沈着のための他の方法(参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Blanchardら、Biosensors & Bioelectronics、11:687~690)が公知である。これらの方法を使用する場合、公知の配列のオリゴヌクレオチド(例えば、60マー)を、誘導体化されたスライドガラスなどの表面において、直接合成する。通例、作製されるアレイは冗長であり、RNA 1つ当たり、複数のオリゴヌクレオチド分子を伴う。
【0151】
マイクロアレイを作るための他の方法、例えば、マスキングによる方法(参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Maskos及びSouthern、1992、Nuc.Acids.Res.20:1679~1684)もまた、使用することができる。原則として、任意の種類のアレイ、例えば、ナイロンハイブリダイゼーション膜におけるドットブロット(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、3版、2001を参照されたい)を使用しうるであろう。しかし、当業者により認識される通り、ハイブリダイゼーション容量が小さくなるため、極めて小型のアレイが、好ましいことが多いであろう。
【0152】
マイクロアレイはまた、例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Blanchard、米国特許第6,028,189号;Blanchardら、1996、Biosensors and Bioelectronics、11:687~690;Blanchard、1998、「Synthetic DNA Arrays」、「Genetic Engineering」、20巻、J.K.Setlow編、Plenum Press、New York、111~123頁により記載されている方法及びシステムを使用する、オリゴヌクレオチド合成のためのインクジェットプリンティングデバイスの手段により製造することもできる。詳細には、このようなマイクロアレイにおけるオリゴヌクレオチドプローブは、炭酸プロピレンなど、高表面張力溶媒の「マイクロ液滴」における個々のヌクレオチド塩基を、逐次的に沈着させることにより、アレイにおいて、例えば、スライドガラスにおいて合成する。マイクロ液滴は、小規模容量(例えば、100pL又はこれ未満、より好ましくは、50pL又はこれ未満)を有し、マイクロアレイにおいて、互いから分離され(例えば、疎水性ドメインにより)て、アレイエレメント(すなわち、異なるプローブ)の位置を規定する、球形の表面張力ウェルを形成する。このインクジェット法により製造されたマイクロアレイは、典型的に、高密度であり、好ましくは、1cm当たり、少なくとも約2,500の異なるプローブの密度を有する。ポリヌクレオチドプローブは、ポリヌクレオチドの3’端又は5’端において、支持体へと、共有結合的に接合させる。
【0153】
マイクロアレイ解析により測定しうるバイオマーカーポリヌクレオチドは、自然発生の核酸分子のほか、合成核酸分子を含む、RNA又はRNAに由来する核酸(例えば、cDNA、又はRNAポリメラーゼプロモーターを組み込むcDNAに由来する増幅RNA)を発現させうる。一実施形態では、標的ポリヌクレオチド分子は、全細胞RNA、ポリ(A)メッセンジャーRNA(mRNA)又はその画分、細胞質mRNA、又はcDNAから転写されたRNA(すなわち、cRNA;例えば、1999年10月4日に出願された、Linsley及びSchelter、米国特許出願第09/411,074号、又は米国特許第5,545,522号、同第5,891,636号、又は同第5,716,785号を参照されたい)を含むがこれらに限定されないRNAを含む。当技術分野では、全RNA及びポリ(A)RNAを調製するための方法が周知であり、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(3版、2001)において、一般に記載されている。RNAは、目的の細胞から、チオシアン酸グアニジニウムに続く、CsClによる遠心分離(Chirgwinら、1979、Biochemistry、18:5294~5299)、シリカゲルベースのカラム(例えば、RNeasy(RNイージー)(Qiagen、Valencia、Calif.)又はStrataPrep(ストラタプレップ)(Stratagene、LaJolla、Calif.))を使用して抽出することもでき、Ausubelら編、1989、「Current Protocols In Molecular Biology」、III巻、Green Publishing Associates,Inc.、John Wiley & Sons,Inc.、New York、13.12.1~13.12.5頁において記載されている通り、フェノール及びクロロホルムを使用して抽出することもできる。ポリ(A)RNAは、例えば、オリゴdTセルロースを伴う選択により選択することもでき、代替的に、オリゴdTでプライミングした、全細胞RNAの逆転写により選択することもできる。当技術分野で公知の方法、例えば、ZnClを伴うインキュベーションにより、RNAを断片化して、RNAの断片を作出することができる。
【0154】
一実施形態では、全RNA、mRNA、又はこれらに由来する核酸を、感染又は炎症を有する患者から採取された試料から単離する。特定の細胞において発現が低度であるバイオマーカーポリヌクレオチドは、正規化法を使用して、エンリッチすることができる(Bonaldoら、1996、Genome Res.、6:791~806)。
【0155】
上記で記載した通り、バイオマーカーポリヌクレオチドは、1又は複数のヌクレオチドにおいて、検出可能に標識することができる。当技術分野で公知の任意の方法を使用して、標的ポリヌクレオチドを標識することができる。この標識付けは、RNAの全長に沿って、標識を、一様に組み込むことが好ましく、標識付けは、高効率で実行することがより好ましい。例えば、ポリヌクレオチドは、オリゴdTでプライミングした逆転写により標識化することができる。ランダムプライマー(例えば、9マー)を、逆転写において使用して、標識されたヌクレオチドを、ポリヌクレオチドの全長にわたり、一様に組み込むことができる。代替的に、ポリヌクレオチドを増幅するために、ランダムプライマーを、PCR法又はT7プロモーターベースのin vitro転写法と共に使用することもできる。
【0156】
検出用標識は、発光標識でありうる。例えば、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識、及び比色標識を、発明を実施するのに使用することができる。使用されうる蛍光標識は、フルオレセイン、ホスホル、ローダミン、又はポリメチン染料の誘導体を含むがこれらに限定されない。使用されうる化学発光標識は、ルミノールを含むがこれらに限定されない。加えて、FluorePrime(フルオルプライム)(Amersham Pharmacia、Piscataway、N.J.)、Fluoredite(フルオレダイト)(Miilipore、Bedford、Mass.)、FAM(ABI、FosterCity、Calif.)、及びCy3又はCy5(Amersham Pharmacia、Piscataway、N.J.)などの蛍光ホスホルアミダイトを含むがこれらに限定されない、市販の蛍光標識も使用することができる。代替的に、検出用標識は、放射性標識化ヌクレオチドでありうる。
【0157】
一実施形態では、患者試料に由来するバイオマーカーポリヌクレオチド分子を、基準試料の、対応するポリヌクレオチド分子と、示差的に標識する。基準は、正常生物学的試料(すなわち、対照試料、例えば、感染又は炎症を有さない対象に由来する血液又はPBMC)又は基準生物学的試料(例えば、ウイルス感染又は細菌感染を有する対象に由来する血液又はPBMC)に由来するポリヌクレオチド分子を含みうる。
【0158】
標的ポリヌクレオチド分子が、アレイの相補的なポリヌクレオチド配列、好ましくは、その相補的なDNAを配置した、特異的なアレイ部位に特異的に結合するか、又はこれと特異的にハイブリダイズするように、核酸ハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件を選び出す。配置した二本鎖プローブDNAを含有するアレイを、変性条件にかけて、DNA一本鎖としてから、標的ポリヌクレオチド分子と接触させることが好ましい。一本鎖プローブDNA(例えば、合成オリゴデオキシリボ核酸)を含有するアレイは、標的ポリヌクレオチド分子と接触させる前に、例えば、自己相補的配列のために形成されるヘアピン又は二量体を除去するように、変性させる必要がありうる。
【0159】
最適なハイブリダイゼーション条件は、プローブ及び標的核酸の長さ(例えば、200塩基を超えるポリヌクレオチドと対比したオリゴマー)及び種類(例えば、RNA又はDNA)に依存するであろう。当業者は、オリゴヌクレオチドが短くなるにつれて、望ましいハイブリダイゼーション結果のため、比較的一様な溶融温度を達成するように、それらの長さを調整することが必要となりうることを察知するであろう。核酸に特異的な(すなわち、厳密な)ハイブリダイゼーション条件についての一般的パラメータは、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(3版、2001)、及びAusubelら、「Current Protocols In Molecular Biology」、2巻、Current Protocols Publishing、New York(1994)において記載されている。Schenaらによる、cDNAマイクロアレイに典型的なハイブリダイゼーション条件は、5倍濃度のSSC+0.2%のSDSにおける、65℃で4時間にわたるハイブリダイゼーションに続く、25℃で、低厳密性の洗浄緩衝液(1倍濃度のSSC+0.2%のSDS)における洗浄に続く、25℃で、高厳密性の洗浄緩衝液(0.1倍濃度のSSC+0.2%のSDS)において、10分間にわたる洗浄(Schenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、93:10614(1993))である。有用なハイブリダイゼーション条件は、例えば、Tijessen、1993、「Hypridization With Nucleic Acid Probes」、Elsevier Science Publishers B.V.;及びKricka、1992、「Nonisotopic Dna Probe Techniques」、Academic Press、San Diego、Califにおいてもまた提示されている。特に好ましいハイブリダイゼーション条件は、プローブの平均値溶融温度である温度又はこれに近い温度(例えば、51℃以下であり、より好ましくは、21℃以下である)で、1MのNaCl、50mMのMES緩衝液(pH6.5)、0.5%のサルコシンナトリウム、及び30%のホルムアミドにおけるハイブリダイゼーションを含む。
【0160】
蛍光標識された遺伝子産物を使用する場合、マイクロアレイの各部位における蛍光発光は、走査共焦点レーザー顕微鏡法により、検出することが好ましい。一実施形態では、使用される2つのフルオロフォアの各々について、適切な励起線を使用する個別の走査を実行する。代替的に、2つのフルオロフォアに特異的な波長で、検体の同時的な照射を可能とするレーザーを、使用することができ、2つのフルオロフォアからの発光を、同時に解析することができる(全ての目的で、参照によりその全体において組み込まれる、Shalonら、1996、「A DNA microarray system for analyzing complex DNA samples using two-color fluorescent probe hybridization」、Genome Research、6:639~645を参照されたい)。アレイは、コンピュータ制御型のXYステージ及びミクロン範囲の対物レンズを伴うレーザー式蛍光スキャナーで走査することができる。2つのフルオロフォアの逐次的励起は、マルチライン、混合型のガスレーザーにより達成し、発光は、波長で分離し、2本の光電子増倍管により検出する。蛍光レーザー走査デバイスについては、Schenaら、Genome Res.、6:639~645(1996)、及び本明細書で引用される、他の参考文献において記載されている。代替的に、Fergusonら、Nature Biotech.、14:1681~1684(1996)により記載されている光ファイバーバンドルを使用して、mRNAの存在レベルを、多数の部位において、同時にモニタリングすることができる。代替的に、シグナル強度の低下を測定することにより、増幅を追跡するように、プローブを、フルオロフォアで標識し、標的を、消光剤で測定することもできる。
【0161】
ある特定の実施形態では、本発明は、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセット、並びに/又は敗血症応答遺伝子のセットの遺伝子の発現を検出するための、複数のプローブを含むマイクロアレイを含む。
【0162】
一実施形態では、マイクロアレイは、IFI27ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、JUPポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、LAX1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、HK3ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TNIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GPAA1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びCTSBポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。
【0163】
別の実施形態では、マイクロアレイは、CEACAM1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ZDHHC19ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C9orf95ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GNA15ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、BATFポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C3AR1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、KIAA1370ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TGFBIポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、MTCH1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、RPGRIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びHLA-DPB1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0164】
ポリヌクレオチドはまた、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼ保護アッセイ、RNAフィンガープリンティング、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、Qベータレプリカーゼ、等温増幅法、鎖置換増幅、転写ベースの増幅系、ヌクレアーゼ保護(S1ヌクレアーゼ保護アッセイ又はRNアーゼ保護アッセイ)、SAGEのほか、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、国際公開第88/10315号及び同89/06700号、並びに国際出願PCT/US87/00880及びPCT/US89/01025において開示されている方法を含むがこれらに限定されない、他の方法によっても解析することができる。
【0165】
当業者に公知である従来のノーザンハイブリダイゼーション法に従い、RNA転写物のサイズを確認するか、その代りに試料中のスプライシングされたRNA転写物及びmRNAの相対量を同定するのに、標準的なノーザンブロットアッセイを使用することができる。ノーザンブロットでは、RNA試料を、変性条件下のアガロースゲルにおける電気泳動により、まず、サイズで分離する。次いで、RNAを、膜へと転写し、架橋させ、標識されたプローブとハイブリダイズさせる。非同位体の放射性標識化プローブ、又は放射能の特異性が高度な放射性標識化プローブであって、ランダムプライミング、ニック翻訳、又はPCR作出型DNAプローブ、in vitro転写型RNAプローブ、及びオリゴヌクレオチドを含むプローブを使用することができる。加えて、部分的相同性だけを伴う配列(例えば、異なる種に由来するcDNA、又はエクソンを含有しうるゲノムDNA断片)を、プローブとして使用することができる。標識化プローブ、例えば、全長DNA、一本鎖DNA、又はこれらのDNA配列の断片を含有する放射性標識化cDNAは、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、又は少なくとも100連続ヌクレオチドの長さでありうる。プローブは、当業者に公知の、多くの異なる方法のうちのいずれかにより標識化することができる。これらの研究に最も一般に援用される標識は、放射性元素、酵素、紫外光へと曝露されると蛍光発光する化学物質、及び他の標識である。多数の蛍光材料が公知であり、標識として活用することができる。これらは、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルー、及びルシファーイエローを含むがこれらに限定されない。特定の検出用材料は、ヤギにおいて調製され、イソチオシアン酸を介してフルオレセインとコンジュゲートさせた、抗ウサギ抗体である。タンパク質もまた、放射性エレメント又は酵素で標識することができる。放射性標識は、現在利用可能なカウンティング手順のうちのいずれかにより検出することができる。使用されうる同位体は、H、14C、32P、35S、36Cl、35Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、及び186Reを含むがこれらに限定されない。酵素標識も同様に有用であり、現在活用されている、比色法、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、又は気体定量法のうちのいずれかにより検出することができる。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアン酸、グルタルアルデヒドなどの架橋分子との反応により、選択された粒子とコンジュゲートさせる。当業者に公知の任意の酵素を活用することができる。このような酵素の例は、ペルオキシダーゼ、ベータ-D-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、及びアルカリホスファターゼを含むがこれらに限定されない。代替的な標識化材料及び標識化法の開示についての例として、米国特許第3,654,090号、同第3,850,752号、及び同第4,016,043号が参照される。
【0166】
ヌクレアーゼ保護アッセイ(リボヌクレアーゼ保護アッセイ及びS1ヌクレアーゼアッセイの両方を含む)を使用して、特異的なmRNAを検出及び定量化することができる。ヌクレアーゼ保護アッセイでは、アンチセンスプローブ(標識化された、例えば、放射性標識化されるか、又は非同位体で標識化された)は、溶液において、RNA試料とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、一本鎖の、ハイブリダイズしなかったプローブ及びRNAは、ヌクレアーゼにより分解する。アクリルアミドゲルを使用して、保護された残りの断片を分離する。溶液によるハイブリダイゼーションは、膜ベースのハイブリダイゼーションより効率的であり、ブロットハイブリダイゼーションの最大である20~30μgと比較して、最大で100μgの試料RNAに適合しうることが典型的である。
【0167】
最も一般的な種類のヌクレアーゼ保護アッセイである、リボヌクレアーゼ保護アッセイは、RNAプローブの使用を要請する。S1ヌクレアーゼを含有するアッセイでは、オリゴヌクレオチド及び他の一本鎖DNAプローブだけを使用することができる。一本鎖のアンチセンスプローブは、ヌクレアーゼによるプローブ:標的ハイブリッド体の切断を防止するように、標的RNAと完全に相同であることが典型的である。
【0168】
細胞試料におけるRNAの存在度を決定するのに、遺伝子発現の逐次分析法(SAGE)もまた使用することができる。例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Velculescuら、1995、Science、270:484~7;Carulli、ら、1998、Journal of Cellular Biochemistry Supplements、30/31:286~96を参照されたい。SAGE解析は、検出のための特殊なデバイスを要請せず、多数の転写産物の発現を同時に検出するのに好ましい解析法のうちの1つである。まず、polyARNAを、細胞から抽出する。次に、ビオチニル化オリゴ(dT)プライマーを使用して、RNAを、cDNAへと転換し、4つの塩基を認識する制限酵素(アンカリング酵素:AE)で処理する結果として、3’末端においてビオチン基を含有するAE処理断片をもたらす。次に、AE処理断片を、結合のために、ストレプトアビジンと共にインキュベートする。結合したcDNAを、2つの画分へと分け、次いで、各画分を、異なる二本鎖オリゴヌクレオチドアダプター(リンカー)A又はBへと連結する。これらのリンカーは、(1)アンカリング酵素の作用により形成された突出部分の配列と相補的な配列を有する、突出一本鎖部分;(2)タグ付け酵素(TE)として用いられるIIS型制限酵素(認識部位から20bpを超えずに離れた所定の位置で切断する)の配列を認識する5’側ヌクレオチド;及び(3)PCR特異的プライマーを構築するのに十分な長さのさらなる配列から構成される。タグ付け酵素を使用して、リンカーを連結したcDNAを切断すると、短鎖配列タグの形態で存在する、リンカーを連結したcDNA配列部分だけが残存する。次に、2つの異なる種類のリンカーに由来する、短鎖配列タグのプールを、互いと連結するのに続き、リンカーA及びBに特異的なプライマーを使用するPCR増幅を行った。結果として、増幅産物が、リンカーA及びBに結合した、2つの隣接する配列タグ(二重タグ)による無数の配列を含む混合物として得られる。増幅産物を、アンカリング酵素で処理し、遊離二重タグ部分を、標準的な連結反応において、鎖へと連結する。次いで、増幅産物をクローニングする。クローンのヌクレオチド配列の決定を使用して、一定の長さの連続二重タグの読取りを得ることができる。次いで、各タグに対応するmRNAの存在を、クローンのヌクレオチド配列及び配列タグについての情報から同定することができる。
【0169】
バイオマーカーの発現プロファイルを決定するのに、定量的逆転写酵素PCR(qRT-PCR)もまた使用することができる(例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0048542A1号を参照されたい)。RT-PCRによる遺伝子の発現プロファイリングにおける第1のステップは、RNA鋳型の、cDNAへの逆転写に続く、PCR反応における、その指数関数的増幅である。2つの最も一般に使用される逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルスの逆転写酵素(AMV-RT)及びモロニーマウス白血病ウイルスの逆転写酵素(MLV-RT)である。逆転写ステップは、発現プロファイリングの状況及び目標に応じて、特異的プライマー、ランダムヘキサマー、又はオリゴdTプライマーを使用してプライミングすることが典型的である。例えば、抽出されたRNAは、製造元の指示書に従い、GeneAmp RNA PCRキット(Perkin Elmer、Calif.、USA)を使用して、逆転写させることができる。次いで、導出されたcDNAは、その後のPCR反応における鋳型として使用することができる。
【0170】
PCRステップは、様々な、熱安定性のDNA依存性DNAポリメラーゼを使用しうるが、5’-3’ヌクレアーゼ活性は有するが、3’-5’プルーフリーディングエンドヌクレアーゼ活性は欠く、Taq DNAポリメラーゼを援用することが典型的である。したがって、TAQMAN PCRは、その標的単位複製配列に結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解する、Taqポリメラーゼ又はTthポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を活用することが典型的であるが、同等な5’ヌクレアーゼ活性を伴う、任意の酵素を使用することができる。2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、PCR反応に典型的な単位複製配列を作出する。2つのPCRプライマーの間に配置されたヌクレオチド配列を検出するように、第3のオリゴヌクレオチド又はプローブをデザインする。プローブは、Taq DNAポリメラーゼ酵素により伸長不可能であり、レポーターである蛍光染料及び消光剤である蛍光染料で標識する。2つの染料を、プローブにおける通りに、一体に近接して配置すると、レポーター染料からの任意のレーザー誘導性発光は、消光染料により消光される。増幅反応時に、Taq DNAポリメラーゼ酵素は、プローブを、鋳型依存的に切断する。結果として得られるプローブ断片は、溶液において解離し、放出されたレポーター染料からのシグナルは、第2のフルオロフォアの消光効果から遊離する。合成される新たな分子の各々につき、レポーター染料の分子1つずつが解放され、消光を解除されたレポーター染料の検出は、データの定量的解釈のための基盤をもたらす。
【0171】
TAQMAN RT-PCRは、例えば、ABI PRISM 7700配列検出システム(Perkin-Elmer-Applied Biosystem、Foster City、Calif.、USA)、又はLightcycler(Roche Molecular Biochemicals、Mannheim、Germany)など、市販の装置を使用して実施することができる。代替物は、cobas Liat(Roche Molecular Diagnostics、Pleasanton、Calif.、USA)又はGeneXpertシステム(Cepheid、Sunnyvale、Calif.、USA)などのサンプルトゥーアンサー(sample-to-answer:STA)で、ポイントオブニーズのデバイスを含むがこれらに限定されない。当業者は、本発明は、列挙されたデバイスに限定されず、TAQMAN-PCRには、他のデバイスも使用しうることを察知するであろう。好ましい実施形態では、5’ヌクレアーゼ手順を、ABI PRISM 7700配列検出システムなど、リアルタイム定量的PCRデバイスにおいて行う。システムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラ、及びコンピュータからなる。システムは、計器を作動させ、データを解析するためのソフトウェアを含む。5’ヌクレアーゼアッセイデータは、当初、Ct又はサイクル閾値として表す。蛍光値は、全てのサイクルにおいて記録し、増幅反応におけるこの時点までに増幅された産物の量を表す。蛍光シグナルを、統計学的に有意なものとして、最初に記録する時点は、サイクル閾値(Ct)である。標準的な熱サイクリングの代替法は、連続熱勾配による増幅、又は終点検出を伴う等温増幅、及び当業者に公知の他のデバイスを含むがこれらに限定されない。誤差及び試料間のばらつきの効果を最小化するため、RT-PCRは通例、内部標準物質を使用して実施する。理想的な内部標準物質は、異なる組織間で、一定のレベルで発現し、実験処理の影響を受けない。遺伝子の発現パターンを正規化するのに最も頻繁に使用されるRNAは、ハウスキーピング遺伝子である、グリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)及びベータ-アクチンのmRNAである。
【0172】
RT-PCR法の、より近年の変化形は、二重標識化蛍光発生プローブ(すなわち、TAQMANプローブ)により、PCR産物の蓄積を測定する、リアルタイム定量的PCRである。リアルタイムPCRは、各標的配列に対する内部競合物質を正規化のために使用する定量的競合的PCR、及び試料中に含有される正規化遺伝子又はRT-PCRのためのハウスキーピング遺伝子を使用する定量的比較PCRのいずれにも適合性である。さらなる詳細については、例えば、Heldら、Genome Research、6:986~994(1996)を参照されたい。
【0173】
代替法は、デジタル式カウンティング法を使用する、PCR産物の検出である。これらの代替法は、デジタルドロップレットPCR及び固体ナノ小胞によるPCR産物の検出を含むがこれらに限定されない。これらの方法では、目的の産物のカウントを、ハウスキーピング遺伝子のカウントに照らして正規化することができる。当業者に公知の、PCRによる検出の他の方法も使用することができ、本発明は、列挙した方法に限定されない。
バイオマーカーデータの解析
【0174】
患者が、外傷性損傷、手術、自己免疫疾患、血栓症、又は全身性炎症反応症候群(SIRS)など、非感染性発生源から生じる炎症を有するのか、感染を有するのかを査定し、患者が、感染を有すると診断された場合は、患者が、ウイルス感染を有するのか、細菌感染を有するのかを決定することを含む、感染の種類を診断するために、バイオマーカーデータは、バイオマーカーを同定し、被験発現プロファイルと、基準発現プロファイルとの間で観察されるバイオマーカーレベルの差違の統計学的有意性を決定する様々な方法により解析することができる。ある特定の実施形態では、患者データを、多変量線形判別分析(LDA)、受信者動作特性(ROC)解析、主成分分析(PCA)、アンサンブルデータマイニング法、マイクロアレイ有意性解析(SAM)、細胞特異的マイクロアレイ有意性解析(csSAM)、密度正規化事象のスパニングツリープログレッション分析(spanning-tree progression analysis of density-normalized event:SPADE)、及び多次元タンパク質同定技術(MUDPIT)解析を含むがこれらに限定されない、1又は複数の方法により解析する。(例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Hilbe(2009)、「Logistic Regression Models」、Chapman & Hall/CRC Press;McLachlan(2004)、「Discriminant Analysis and Statistical Pattern Recognition」、Wiley Interscience;Zweigら(1993)、Clin.Chem.、39:561~577;Pepe(2003)、「The statistical evaluation of medical tests for classification and prediction」、New York、NY:Oxford;Singら(2005)、Bioinfomatics、21:3940~3941;Tusherら(2001)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、98:5116~5121;Oza(2006)、「Ensemble data mining」、NASA Ames Research Center、Moffett Field、CA、USA;Englishら(2009)、J.Biomed.Inform.、42(2):287~295;Zhang(2007)、Bioinformatics、8:230;Shen-Orrら(2010)、Journal of Immunology、184:144~130;Qiuら(2011)、Nat.Biotechnol、29(10):886~891;Ruら(2006)、J.Chromatogr.A.、1111(2):166~174;Jolliffe、「Principal Component Analysis」、(Springer Series in Statistics、2版、Springer、NY、2002);Korenら(2004)、IEEE Trans Vis Comput Graph、10:459~470を参照されたい。)
C.キット
【0175】
さらに別の態様では、本発明は、対象における感染を診断するためのキットであって、本発明のバイオマーカーを検出するのに使用しうるキットを提供する。例えば、キットを使用して、ウイルス感染又は細菌感染を有する患者、及び健常対象又は非感染対象の試料において示差的に発現する、本明細書で記載されるバイオマーカーのうちの、任意の1又は複数を検出することができる。キットは、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するための、1又は複数の薬剤と;感染を有することが疑われるヒト対象から単離された生物学的試料を保持するための容器と;薬剤を、生物学的試料における、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルを測定するための、生物学的試料又は生物学的試料の一部と反応させるための指示書とを含みうる。薬剤は、個別の容器にパッケージングすることができる。キットは、イムノアッセイ、PCR、又はマイクロアレイ解析を実施するための、1又は複数の対照基準試料及び試薬をさらに含みうる。
【0176】
一実施形態では、キットは、ウイルス感染を、細菌感染から識別するための、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのレベルを測定するための薬剤を含む。
【0177】
別の実施形態では、キットは、炎症が、感染源により引き起こされるのか、非感染源により引き起こされるのかを識別するためのバイオマーカーであるCEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルを測定するための薬剤をさらに含む。
【0178】
ある特定の実施形態では、キットは、複数のバイオマーカーポリヌクレオチドを解析するためのマイクロアレイをさらに含む。一実施形態では、マイクロアレイは、IFI27ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、JUPポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、LAX1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、HK3ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TNIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GPAA1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びCTSBポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。
【0179】
別の実施形態では、キットは、CEACAM1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ZDHHC19ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C9orf95ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、GNA15ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、BATFポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、C3AR1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、KIAA1370ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、TGFBIポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、MTCH1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、RPGRIP1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、及びHLA-DPB1ポリヌクレオチドとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイをさらに含む。
【0180】
キットは、キットに含有される組成物のための、1又は複数の容器を含みうる。組成物は、液体形態の場合もあり、凍結乾燥させることもできる。組成物に適する容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックを含む、様々な材料から形成することができる。キットはまた、感染を診断する方法についての指示書を含有する添付文書も含みうる。
【0181】
本発明のキットには、多数の適用がなされる。例えば、キットを使用して、対象が、感染を有するのか、外傷性損傷、手術、自己免疫疾患、血栓症、又は全身性炎症反応症候群(SIRS)など、非感染性発生源から生じる、他の何らかの炎症性状態を有するのかを決定することができる。患者が、感染を有すると診断された場合は、キットを使用して、感染の種類(すなわち、ウイルス感染又は細菌感染)をさらに決定することができる。別の例では、キットを使用して、急性炎症を有する患者を、例えば、広域スペクトル抗生剤で処置すべきなのか、抗ウイルス剤で処置すべきなのかを決定することができる。別の例では、キットを使用して、感染を有する患者の処置の有効性をモニタリングすることができる。さらなる例では、キットを使用して、処置の効果を決定するように、in vitro又はin vivoの動物モデルにおいて、バイオマーカーのうちの1又は複数の発現をモジュレートする化合物を同定することができる。
D.感染の診断についての診断システム及びコンピュータ化法
【0182】
さらなる態様では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法を含む。コンピュータは、患者に由来する生物学的試料における、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの、一方又は両方の発現レベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;遺伝子のセットの発現レベルを解析するステップと;遺伝子のセットの発現レベルに基づき、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、細菌/ウイルスメタスコアの値が、患者が、ウイルス感染又は細菌感染を有するのかどうかを指し示すステップと;患者の診断に関する情報を表示するステップとを含むステップを実施する。
【0183】
ある特定の実施形態では、入力された患者データは、a)IFI27、JUP、及びLAX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにHK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBを含む細菌応答遺伝子のセット;b)OAS2及びCUL1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSLC12A9、ACPP、STAT5Bを含む細菌応答遺伝子のセット;c)ISG15及びCHST12を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにEMR1及びFLIIを含む細菌応答遺伝子のセット;d)IFIT1、SIGLEC1、及びADAを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPTAFR、NRD1、PLP2を含む細菌応答遺伝子のセット;e)MX1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにDYSF、TWF2を含む細菌応答遺伝子のセット;f)RSAD2を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにSORT1及びTSPOを含む細菌応答遺伝子のセット;g)IFI44L、GZMB、及びKCTD14を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにTBXAS1、ACAA1、及びS100A12を含む細菌応答遺伝子のセット;h)LY6Eを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにPGD及びLAPTM5を含む細菌応答遺伝子のセット;i)IFI44、HESX1、及びOASLを含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにNINJ2、DOK3、SORL1、及びRAB31を含む細菌応答遺伝子のセット;j)OAS1を含むウイルス応答遺伝子のセット、並びにIMPA2及びLTA4Hを含む細菌応答遺伝子のセットからなる群から選択される、ウイルス応答遺伝子のセット、及び細菌応答遺伝子のセットの発現レベルについての値を含む。
【0184】
別の実施形態では、本発明は、感染を有することが疑われる患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、a)患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、及びCTSBのレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;c)バイオマーカーの発現レベルに基づき、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;d)患者の診断に関する情報を表示するステップとを含むステップを実施する方法を含む。
【0185】
ある特定の実施形態では、入力された患者データは、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1を含む敗血症応答遺伝子のセットの発現レベルについての値をさらに含み、この場合、コンピュータ実施方法は、患者についての敗血症メタスコアを計算するステップをさらに含み、この場合、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す。
【0186】
別の実施形態では、本発明は、炎症を有する患者を診断するためのコンピュータ実施方法であって、コンピュータが、a)患者に由来する生物学的試料における、バイオマーカーであるIFI27、JUP、LAX1、HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB、CEACAM1、ZDHHC19、C9orf95、GNA15、BATF、C3AR1、KIAA1370、TGFBI、MTCH1、RPGRIP1、及びHLA-DPB1のレベルについての値を含む、入力された患者データを受け取るステップと;b)バイオマーカーの各々のレベルを解析し、バイオマーカーのそれぞれの基準値範囲と比較するステップと;c)患者についての敗血症メタスコアを計算するステップであり、非感染対照対象についての基準値範囲を超える敗血症メタスコアが、患者が感染を有することを指し示し、非感染対照対象についての基準値範囲内の敗血症メタスコアが、患者が、非感染性の炎症性状態を有することを指し示す、ステップと;d)敗血症スコアが、患者が感染を有することを指し示す場合に、患者についての細菌/ウイルスメタスコアを計算するステップであり、患者についての正の細菌/ウイルスメタスコアは、患者がウイルス感染を有することを指し示し、患者についての負の細菌/ウイルスメタスコアは、患者が細菌感染を有することを指し示す、ステップと;患者の診断に関する情報を表示するステップとを含むステップを実施する方法を含む。
【0187】
さらなる態様では、本発明は、記載される、コンピュータ実施方法を実施するための診断システムを含む。診断システムは、プロセッサー、ストレージコンポーネント(すなわち、メモリ)、ディスプレイコンポーネント、及び汎用コンピュータに存在することが典型的な、他の構成要素を含有するコンピュータを含む。ストレージコンポーネントは、プロセッサーによりアクセス可能な情報であって、プロセッサーにより実行されうる命令と、プロセッサーにより検索される場合もあり、操作される場合もあり、保存される場合もあるデータとを含む情報を保存する。
【0188】
ストレージコンポーネントは、患者の診断を決定するための命令を含む。例えば、ストレージコンポーネントは、本明細書で記載される(実施例1を参照されたい)、細菌/ウイルスメタスコア及び/又は敗血症メタスコアを計算するための命令を含む。加えて、ストレージコンポーネントは、多変量線形判別分析(LDA)、受信者動作特性(ROC)解析、主成分分析(PCA)、アンサンブルデータマイニング法、細胞特異的マイクロアレイ有意性解析(csSAM)、又は多次元タンパク質同定技術(MUDPIT)解析を実施するための命令をさらに含みうる。コンピュータプロセッサーは、ストレージコンポーネントとカップリングされており、患者データを受け取り、1又は複数のアルゴリズムに従い、患者データを解析するために、ストレージコンポーネントに保存された命令を実行するように構成されている。ディスプレイコンポーネントは、患者の診断に関する情報を表示する。
【0189】
ストレージコンポーネントは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、USBフラッシュドライブ、書き込み可能メモリ、及びリードオンリーメモリなど、プロセッサーによりアクセス可能な情報を保存することが可能な任意の種類のストレージコンポーネントでありうる。プロセッサーは、Intel Corporation製のプロセッサーなど、任意の周知のプロセッサーでありうる。代替的に、プロセッサーは、ASICなど、専用のコントローラーでもありうる。
【0190】
命令は、プロセッサーにより直接的に実行される命令(マシンコードなど)又はプロセッサーにより間接的に実行される命令(スクリプトなど)の任意のセットでありうる。この点で、本明細書では、「命令」、「ステップ」、及び「プログラム」という用語を、互換的に使用することができる。命令は、プロセッサーにより直接処理するためのオブジェクトコード形態で保存することもでき、スクリプト、又はオンデマンドで解釈されるか、若しくはあらかじめコンパイルされた、独立のソースコードモジュールのコレクションを含む、他の任意のコンピュータ言語で保存することもできる。
【0191】
データは、命令に従い、プロセッサーにより、検索することもでき、保存することもでき、改変することもできる。例えば、診断システムは、任意の特定のデータ構造により限定されないが、データは、コンピュータのレジスター、複数の異なるフィールド及びレコードを有する表としてのリレーショナルデータベース、XML文書、又はフラットファイルに保存することができる。データはまた、二進値、ASCII、又はUnicodeなどであるがこれらに限定されない、任意のコンピュータ-で読取り可能なフォーマットにフォーマットすることもできる。さらに、データは、数、記載的テキスト、専売特許のコード、ポインター、他のメモリ(他のネットワーク位置を含む)に保存されたデータ、又は関与性のデータを計算するのに、関数により使用される情報など、関与性の情報を同定するのに十分な、任意の情報を含みうる。
【0192】
ある特定の実施形態では、プロセッサー及びストレージコンポーネントは、同じ物理的筐体内に格納される場合もあり、格納されない場合もある、複数のプロセッサー及びストレージコンポーネントを含みうる。例えば、ある命令及びデータは、取外し可能なCD-ROMに保存することができ、他の命令及びデータは、リードオンリーのコンピュータチップ内に保存することができる。命令及びデータの一部又は全部は、プロセッサーから物理的に遠隔ではあるが、プロセッサーにより依然としてアクセス可能な位置に保存することができる。同様に、プロセッサーは、実際、並列的に演算する場合もあり、並列的に演算しない場合もある、プロセッサーのコレクションを含みうる。
【0193】
一態様では、コンピュータは、1又は複数のクライアントコンピュータと通信するサーバーである。各クライアントコンピュータは、サーバーと同様に、プロセッサー、ストレージコンポーネント、及び命令により構成することができる。各クライアントコンピュータは、個人使用を意図するパーソナルコンピュータであって、中央演算装置(CPU)、ディスプレイ(例えば、プロセッサーにより処理された情報を表示するモニター)、CD-ROM、ハードドライブ、ユーザー入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、又はマイクロフォン)、スピーカー、モデム及び/又はネットワークインターフェースデバイス(電話、ケーブル、又は他の形)、並びにこれらの要素を互いと接続し、これらの要素が、互いと通信しあう(直接的又は間接的に)ことを可能とするために使用される構成要素の全てなど、パーソナルコンピュータにおいて通常見出される、全ての内部構成要素を有するパーソナルコンピュータでありうる。さらに、本明細書で記載されるシステム及び方法に従うコンピュータは、命令を処理し、人間及び他のコンピュータへとデータを送信し、これらからデータを送信することが可能な任意のデバイスであって、ローカルの保存能力を欠くネットワークコンピュータを含むデバイスを含みうる。
【0194】
クライアントコンピュータは、フルサイズのパーソナルコンピュータを含みうるが、システム及び方法の多くの態様は、インターネットなどのネットワークを介して、サーバーと、無線でデータを交換することが可能なモバイルデバイスと接続して使用する場合に、特に、有利である。例えば、クライアントコンピュータは、Blackberry phone、Apple製のiPhone、Android、又は他のインターネット対応型セルフォンなど、無線機器対応型PDAでありうる。このような点で、ユーザーは、小型のキーボード、キーパッド、タッチスクリーン、又は他の任意のユーザー入力手段を使用して、情報を入力しうる。コンピュータは、無線信号を受信するためのアンテナを有しうる。
【0195】
サーバーと、クライアントコンピュータとは、直接的通信、及びネットワークを介するなどの間接的通信が可能である。少数のコンピュータだけを使用しうるが、典型的なシステムが、各異なるコンピュータが、ネットワークの異なるノードにある、多数の接続されたコンピュータを含みうることを察知されたい。ネットワーク及び介在するノードは、デバイスと、通信プロトコールとの、多様な組合せであって、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、セルフォンネットワーク、1又は複数の企業に専用の通信プロトコールを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、及びHTTPを含む組合せを含みうる。このような通信は、モデム(例えば、ダイアルアップ又はケーブル)、ネットワーク、及び無線インターフェースなど、データを、他のコンピュータへと送信し、他のコンピュータから送信することが可能な、任意のデバイスにより容易とすることができる。サーバーは、ウェブサーバーでありうる。
【0196】
上記で言及した通り、ある特定の利点は、情報を送信又は受信する場合に得られるが、システム及び方法の他の態様は、情報の、いかなる特定の送信方式にも限定されない。例えば、一部の態様では、情報は、ディスク、テープ、フラッシュドライブ、DVD、又はCD-ROMなどのメディアを介して送ることができる。他の態様では、情報は、非電子フォーマットで送信することができ、システムへと、手動で入力することができる。なおさらに、ある機能は、サーバーにおいて生じ、他の機能は、クライアントにおいて生じることが指し示されるが、システム及び方法の多様な態様は、単一のプロセッサーを有する単一のコンピュータにより実施することができる。
【実施例0197】
III.実験
下記は、本発明を実行するための、特定の実施形態の例である。例は、例示的な目的だけで提示されるものであり、いかなる形でも、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0198】
使用される数(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するように、努力を払っているが、ある程度の実験の誤差及び偏差は、当然ながら、許容すべきである。
【0199】
実施例1
統合型宿主遺伝子発現診断法を介する、細菌感染及びウイルス感染についての頑健な分類
序説
ここでは、本発明者らは、細菌感染を、ウイルス感染から弁別する能力を加えることにより、敗血症メタスコア(SMS)の診断力を改善しようとした。したがって、感染の種類を弁別するための新たなバイオマーカーを導出するために、本発明者らは、本発明者らによるマルチコホート解析フレームワークを、臨床マイクロアレイコホートへと適用して、宿主応答を、細菌感染及びウイルス感染と比較した。本発明者らは、複数のコホート間で、遺伝子発現データを共正規化し、複数のコホート間における診断スコアの直接的比較を可能とする、新たな方法をさらに開発した。最後に、本発明者らは、敗血症メタスコアと、新たな細菌/ウイルス診断法とを、任意の発生源に由来する急性炎症を有する患者が、基礎細菌感染を有するのかどうかを決定しうる、統合型抗生剤判定モデル(IADM)組み合わせた。
【0200】
結果
7遺伝子の細菌/ウイルスメタスコアの導出
本発明者らが既に公表した11遺伝子のSMSは、細菌感染とウイルス感染とを、信頼できる形で識別できず、大半は、細菌感染及びウイルス感染を有する患者間のスコア分布の有意でない差違を示す(図5A及び5B)。ウイルス感染に対する、保存的宿主遺伝子の応答を既に示していたので15、本発明者らは、細菌感染と対比したウイルス感染についての分類子が、診断モデルの改善を可能とすると仮定した。したがって、本発明者らは、ウイルス感染及び/又は細菌感染を有する患者について研究する、遺伝子発現マイクロアレイコホートについての体系的検索を実施した。本発明者らは、ウイルス感染及び細菌感染の両方を伴う、N>5の患者を含む、8つのコホート11、18~26(全血液及びPBMCの両方)を同定した(表1A)。8つのコホートは、小児及び成人、内科患者及び外科患者、複数の感染部位を有する患者を含む、426例の患者試料(142例のウイルス感染及び284例の細菌感染)から構成される。本発明者らは、既に記載した通りに、8つのコホートに対して、マルチコホート解析を実施した(図67、15、16、27。本発明者らは、リーブワンデータセットアウト(leave-one-dataset-out)によるラウンドロビン解析における、>2倍である効果量、及び<1%であるFDRの有意性閾値を設定した。しかし、いずれの組織型も、結果にバイアスをかけないことを確保するために、本発明者らは、PBMCコホート及び全血液コホートのいずれについての別個の解析においてもまた、効果量が>1.5倍である遺伝子だけをさらに選択した。この工程は、72の、有意に示差的に発現する遺伝子を結果としてもたらした(補表1)。次いで、貪欲法による順方向検索を使用して、診断に最適化された遺伝子セットを見出す結果として、7つの遺伝子もたらした(ウイルス感染が高度である:IFI27、JUP、LAX1;細菌感染が高度である:HK3、TNIP1、GPAA1、CTSB;図7A~7B)。予測される通り、これらの7つの遺伝子に基づく「細菌/ウイルスメタスコア」は、発見コホートの8つ全てにおいて、ウイルス感染を、細菌感染から、頑健に識別した(サマリーROCのAUC=0.97、95%CI=0.89~0.99、図1A図8)。
【0201】
本発明者らは、次に、細菌感染とウイルス感染と(合計341例の試料、138例の細菌感染、203例のウイルス感染)を直接比較する、6つの残りの独立の臨床コホート13、14、28~30において、7つの遺伝子のセットについて調べ、0.91である、サマリーROCのAUCを見出した(95%CI=0.82~0.96)(表1B、図1B図9)。署名の一般化可能性についての試験として、本発明者らは、in vitroにおいて、LPS又はインフルエンザウイルスで刺激された細胞を、細菌/ウイルスメタスコアにより分離しうるのかどうかについてもまた調べた(GSE5316631、N=75、AUC=0.99)(図10)。
【0202】
COCONUT共正規化を介するグローバルバリデーション
細菌感染又はウイルス感染について研究したマイクロアレイコホートは、多数公表されているが、これらの両方について研究したマイクロアレイコホートは、公表されていないため、細菌性疾病と、ウイルス性疾病とを分離するための診断力の直接的(データセット内の)推定は不可能である。これらのコホートにわたり、遺伝子スコアを適用し、比較するために、データセット間のバッチ効果を除去しながら、罹患患者についての診断に対して、無バイアスを維持しうる、新たな方法が必要とされた。ここで、本発明者らは、疾患試料の無バイアス補正を得るのに、健常対照に対して、ComBat32による経験的ベイズ正規化法(本発明者らが、下記の節及び図11で、COmbat CO-Normalization Using conTrol法、又は「COCONUT」法と呼ぶ方法)を使用する、新たな種類のアレイ正規化をデザインし、実行した。各遺伝子が、各データセット内の、疾患と対照との間で、同じ分布を保持しながら、ハウスキーピング遺伝子が、COCONUT共正規化の後で、疾患及びコホートの両方にわたり不変であることは、重要なことである(図12A及び12B)。方法は、全ての健常試料が、同じ分布から導出されることを前提とし、異なる免疫細胞型は、著明に異なるベースラインの遺伝子発現分布を有するので、本発明者らは、全血液試料と、PBMC試料とを分ける。COCONUT共正規化を使用して、本発明者らは、細菌/ウイルスメタスコアは、グローバルAUC発見コホートにおいて、0.92(95%CI:0.89~0.96)を有することを示すことが可能であった(図2;前正規化データ:図14)。次いで、本発明者らは、この方法を適用して、組入れ基準に適い、全血液を使用する、全ての公表マイクロアレイコホート(対照患者を含む、4つの直接的バリデーションコホートに加えて、細菌感染又はウイルス感染は査定したが、これらの両方は査定しなかった、20のコホート33~49を含む;N=143+897=1,040)において、細菌/ウイルスメタスコアを検定し、これらのデータにわたり、全ROCのAUC=0.93(95%CI:0.91~0.94)を示した(表2、図13;前正規化データ:図15)。広範にわたる感染の種類(グラム陽性、グラム陰性の、非定型菌、一般呼吸器ウイルス、及びデング熱ウイルス)及び重症度(軽度の感染~敗血症性ショック)を含むデータの、広範な臨床的多様性は、特に、顕著である。こうして、本発明者らは、全てのコホートにわたり、単一のカットオフ(水平方向の点線として示される)を確立することが可能であった。最後に、本発明者らは、同じ手順を、利用可能なPBMCバリデーションコホートに対しても、別個に実施した(6つのコホート50~54;N=259、グローバルAUC=0.92(95%CI:0.87~0.97、図16;前正規化データ:図17)。COCONUT共正規化を使用する、3つのグローバルROCのAUC(発見全血液=0.92、バリデーション全血液=0.93、バリデーションPBMC=0.92)は全て、直接的バリデーションコホートのサマリーAUC(0.91)にほぼ匹敵し、このレベルの診断力において、高度の信頼性をもたらした。
【0203】
補表4は、発見データセットにおいて、貪欲法によるフォワードアルゴリズムを反復することにより得られる、71の遺伝子セットから選択される、2つの遺伝子の全ての組合せについての細菌/ウイルスメタスコアを示す。71の遺伝子セットに由来する2つの遺伝子の全ての組合せは、得られた、0.80を超えるか又はこれと同等な(≧0.80)平均値AUCを示す。これと比較して、図18は、1万(10,000)の、ランダムに選び出された、2つの遺伝子による対について、発見データセットにおける平均値AUCの分布を示すが、0.80を超えるか又はこれと同等なAUCが、偶然だけでは到達可能ではないことを示す。図18に例示する通り、ランダムに選び出された2つの遺伝子の対は、0.2を超え(>0.20)、0.80未満(<0.80)であることにより境界づけられる平均値AUCの正規分布を結果としてもたらす。補表4において提示される2つの遺伝子の組合せであって、AUCが、0.80と同等であるか又はこれを超える(≧0.80)組合せは、感染が、ウイルス感染であるのか、細菌感染であるのかについて、臨床的に有用な決定を下す。
【0204】
統合型抗生剤判定モデル
鍵となる臨床的必要は、抗生剤の迅速かつ妥当な投与が、患者転帰の改善に鍵となるので、炎症の徴候及び症状を有する患者が、基礎細菌感染を有するのかどうかを診断することである。SMSも、細菌/ウイルスメタスコアも、単独では、(1)非感染性炎症、(2)細菌性疾病、及び(3)ウイルス性疾病の3つのクラス全てを、頑健に識別できない。したがって、臨床的関与性を増大させるために、本発明者らは、まず、本発明者らが既に記載したSMSを適用して、感染の存在について調べ、次いで、感染についての検査が陽性である試料を、細菌/ウイルスメタスコアにより調べる、「統合型抗生剤判定モデル」(IADM)について調べた(図3A)。上記の通り、IADMのための検査特徴を、コホートにわたり、同時に確立する唯一の方法は、COCONUT共正規化を使用することである。しかし、本発明者らは、COCONUTにより共正規化されたデータにおけるSMSが、健常患者若しくは感染患者、又はこれらの両方の間の年齢による差違の影響を強く受けることを見出した(図19A及び19B)。したがって、本発明者らは、乳児(<1歳の小児)に焦点を当てたコホートを、IADMから除外する結果として、合計20のコホート(N=1,057)をもたらした。結果として得られる、利用可能なデータにわたるSMSについてのグローバルAUCは、0.86(95%CI:0.84~0.89)(補表2;図20A及び20B)であった。本発明者らは、感染についてのSMS感度に、95%のグローバル閾値を設定し、細菌感染についての細菌/ウイルスメタスコア感度に、95%のグローバル閾値を設定した。これは、細菌感染について、それぞれ、94.0%及び59.8%であり、ウイルス感染について、それぞれ、53.0%及び90.6%である、全体的な感度及び特異度をもたらした(図3A~3C)。健常患者を、非感染クラスに組み入れても、全体的な感度及び特異度は、大部分変化しなかった(図21A及び21B)。したがって、IADMにおける、細菌感染についての全陽性尤度比及び全陰性尤度比は、2.34(LR+)及び0.10(LR-)であり、プロカルシトニンについての近年のメタ解析は、0.29(95%CI:0.22~0.38)の陰性LRを示した55。本発明者らは、これらの検査特徴について、有病率と対比したNPV及びPPVをプロットしたが、有病率を15%とするときの、細菌感染についてのNPV及びPPVは、98.3%及び29.2%である(図22)。
【0205】
非感染性SIRS患者、並びに細菌性疾病及びウイルス性疾病の両方を有する患者は含むが、健常対照は含まず、グローバルな計算へのその加算を除外するデータセット(GSE6399014)が、1つだけ存在した。したがって、本発明者らは、検査閾値を局所的に導出したIADMについて調べた。本発明者らは、それぞれ、94.3%及び52.2%である、全細菌感染感度及び全細菌感染の特異度を見出した(図21A及び21B)。
NanoStringによるバリデーション
【0206】
最後に、本発明者らは、ターゲティングNanoString nCounter56遺伝子発現アッセイを使用して、Genomics of Pediatric SIRS and Septic Shock Investigators(GPSSSI)コホート(全N=96例:36例のSIRS、49例の細菌敗血症、及び11例のウイルス性敗血症患者;図4A~4E)の、敗血症を有する小児に由来する個別の全血液試料において、これらの結果を検証した。GPSSSIコホートはまた、データセットであるGSE66099によっても活用されたが、ここでプロファイリングされた小児は、マイクロアレイを介してプロファイリングされていないので、発見データセットの部分ではない。NanoStringによるバリデーションコホートでは、SMSのAUCは、0.81(GSE66099におけるAUC:0.80)であった。同様に、細菌/ウイルスメタスコアのAUCは、0.84(GSE66099におけるAUC:0.83)であった。したがって、新たな患者において、ターゲティング遺伝子発現アッセイで調べた場合、マイクロアレイのAUCは保存された。同じIADMを適用したところ、感度及び特異度は、それぞれ、細菌感染について、89.7%及び70.0%であり、ウイルス感染について、54.5%及び96.5%であった。
【0207】
考察
急性感染についての良好な診断は、入院状況及び外来状況のいずれにおいても必要とされる。病勢が弱い外来状況では、細菌感染を、ウイルス感染から弁別しうる、簡易診断でも、適切な抗生剤使用の一助とするのに十分でありうる。病勢が強い状況では、非感染性炎症の原因を除外する重要性が大きくなるので、抗生剤処方のための判定モデルは、非感染(非健常)症例を組み入れなければならない。したがって、信頼できる診断は、3つの症例全て(非感染性炎症、細菌感染、及びウイルス感染)を識別する必要がある。ここでは、8つのコホートに由来する426例の試料を使用して、本発明者らは、独立のコホート(1,299例の患者から構成された、合計で30のコホート)における、極めて広範な臨床条件にわたり、細菌感染を、ウイルス感染から、正確に弁別しうる、7つだけの遺伝子のセットを導出した。本発明者らは、本発明者らによる、かつての敗血症メタスコア(感染の存在又は非存在を識別する)を、この新たな細菌/ウイルスメタスコア(感染の種類を決定する)と、単一の統合型抗生剤判定モデルへとカップリングすることにより、本発明者らは、どの患者が抗生剤から利益を得るのかを、高精度で決定しうることをさらに裏付ける。最後に、本発明者らは、マイクロアレイに依拠しない場合でも、署名が診断力を保持することを示す、ターゲティングNanoStringアッセイを、独立の試料において使用して、7つの遺伝子のセット及びIADMの両方の診断力を確認した。
【0208】
IADMは、陰性尤度比(0.10)が小さく、推定NPVが大きいことから、それが、除外検査として、潜在的に有効であることを意味する。30の研究に由来する3,244例の患者を組み入れた、プロカルシトニンについてのメタ解析が、0.29(95%CI:0.22~0.38)の全推定陰性尤度比を結果としてもたらした55ことは、注目すべきである。したがって、IADMによる陰性尤度比は、プロカルシトニンによる推定値より、著明に小さい。さらに、これらの検査特徴は、患者についての知見を前提とせず、このような検査の、実際の臨床的有用性についての推定値であるに過ぎない。既往歴及び身体検査、バイタルサイン、及び検査室値の全てもまた、診断の一助となるであろう。これらの注記を踏まえてもなお、ICU患者を、院内感染についてスクリーニングする、近年の効率的判定モデルは、細菌感染及びウイルス感染を正確に診断しうる、IADMなどの検査が、費用効果的であり得る57ことを示唆した。最終的には、新たな診断法の費用効果性及び臨床的有用性を確立する、介入的試験だけが可能となるであろう。
【0209】
本発明者らは、NanoStringアッセイを使用して、GPSSSIコホートに由来する小児科敗血症患者において、本発明者らによる診断について検証した。NanoStringは、高度に正確であり、複数の遺伝子の発現レベルを、一度に測定するために有用なツールであるが、臨床適用にはまた、遅過ぎる可能性も高い(アッセイ1回当たり4~6時間)。したがって、アッセイは、本発明者らによる遺伝子セットが、ターゲティング測定において頑健であることを確認するが、検査所要時間を改善するには、さらなる作業が必要とされるであろう。迅速なマルチプレックス化qPCRに基づく最終市販品の可能性は、複数存在する。しかし、この技術的難関は、臨床的関与性を獲得するために、全ての遺伝子発現による感染の診断法が克服しなければならないことである。
【0210】
いくつかの研究グループが、宿主の遺伝子発現に基づき、感染を診断するためのモデルを公表しているが、いずれのグループも、いまだ、臨床における実用には至っていない。かつての大半の分類子は、複数の独立のコホートでは調べられなかったか、有用な診断に必要な、迅速なプロファイリングを可能とするには、遺伝子が多過ぎたが、又はこれらの両方であった。例えば、Suarezらは、10遺伝子の、K近傍法による分類子を創出したが、それらの公表されたデータセット(GSE60244)以外では、この分類子について調べなかった13。Tsalikらは、複数の回帰モデルに基づく、122プローブ(120遺伝子)の分類子を創出したが、GEOコホートの外部で、この分類子について調べたとき、新たな各データセットにおいて、自らによる回帰係数を再トレーニングした14。このようなモデルの再トレーニングは、これらのバリデーション回数に対して、強力な、上方へのバイアスをもたらす(最終的なモデルは、局所的に再トレーニングしないとする)か、又は新たな各臨床施設が、実施の前に、モデルをトレーニングするように、大規模なプロスペクティブコホートを集めなければならないことを示唆する。他の研究グループは、敗血症についての遺伝子発現分類子を作成したが、ウイルス感染を弁別するためのモデルを組み入れなかった7、9、10。本発明者らの新たなIADMは、広範な疾患の種類及び重症度にわたり頑健であるが、ウイルス感染に対する感度が比較的小さい。遺伝子発現以外のバイオマーカーもまた、感染の診断に使用されている。プロカルシトニンは、敗血症診断状況において広範に研究されているが、非感染個体と、ウイルス感染を有する個体とを識別できない58。タンパク質パネルアッセイは、細菌感染を、ウイルス感染から弁別することが示されているが、非感染性炎症を有する患者を弁別できない59、60。したがって、これらの分類子の全ては、さらなるプロスペクティブ検査及び直接的比較で、より明らかとなる、一定の長所及び短所を有する。
【0211】
本研究における本発明者らの目標は、新たなバイオマーカーを同定することであり、必ずしも、新たな生物学ではなかったが、バイオマーカーセットが、生物学的妥当性を有することは、やはり重要である。細菌/ウイルスメタスコアにおける7つの遺伝子のうち、6つは既に、感染又は白血球の活性化と連関している。IFI27及びJUPのいずれもが、単一コホートによるゲノムワイド発現研究において、ウイルス感染に応答して誘導されることが示されているのに対し52,61、TNIP1及びCTSBは、細菌感染に対する、NF-kBによる応答及び壊死性応答をモジュレートするのに重要であることが示されている62,63。最後に、LAX1(ウイルス感染において上方調節される)が、T細胞及びB細胞の活性化に関与64しているのに対し、HK3は、好中球の分化経路において、手段的である65。したがって、これらの転写物の、感染の種類についてのバイオマーカーとしての役割は、新規のものであるが、前例がないわけではない。
【0212】
ここでは、本発明者らは、新たな方法であるCOCONUTに依拠して、本発明者らによるモデルを、このモデルなしには、新たな診断法の基準設定には使用できない、1クラスのコホートの膨大なプールにわたり、直接比較した。COCONUTは、全ての対照が、同じ分布に由来することを前提とする、すなわち、各対照群における遺伝子は、遺伝子群から経験的に学習されるバッチパラメータにより、同じ平均値及び分散を有するように再設定される。この方法は、コホート間の、マイクロアレイ処理及びバッチ処理の差違を補正して、単一の閾値を伴うグローバルROC曲線の創出を可能とする。これは、異なるコホートでは、単一のカットオフにより、同じ検査特徴を達成しえないので、複数のバリデーションROC曲線についての単純な報告より「実際的な」、診断力についての尺度である16。COCONUT共正規化データから得られる最も重要なことは、細菌/ウイルスメタスコア及びIADMのいずれもが、コホート内の一対一の比較からのサマリーAUCと同様な全AUCにより、極めて広範な感染の種類及び重症度にわたり、診断力を保持することである。
【0213】
総じて、本発明者らは、本発明者らが実証した、マルチコホートの解析パイプラインを利用して、感染の診断を改善するための、高度に頑健なモデルを導出した。新たな方法を使用して、本発明者らは、多数の独立のマイクロアレイコホートにおいて、このモデルについて検証することが可能であった。本発明者らはまた、小児科敗血症患者において、ターゲティングNanoStringアッセイの使用についても検証した。IADMはなお、迅速な検査時間並びにプロスペクティブの介入試験についての最適化を経る必要があるが、宿主ゲノムの分子プロファイリングが、将来における臨床的ツールキットの一部となることは明らかであると考えられる。
【0214】
当業者は、細菌/ウイルスメタスコアに対する代替法を使用して、細菌感染とウイルス感染とを識別することが可能な分類子を開発しうることを理解するであろう。当技術分野で公知である、任意の機械学習法を使用して、分類子を案出することができる。分類子を案出する方法は、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、並びにランダムフォレスト及び勾配ブースティング木などの決定木など、多数のアルゴリズムから作成されたアンサンブルアルゴリズムを含みうる。分類は、レイヤーに配置された多数のノードを含むニューラルネットワークであって、第1のレイヤーにおけるノードからの出力を、次のレイヤーにおけるノードのための入力として使用するニューラルネットワークを使用して案出することができる。代替的に、分類は、空間における点としての例であって、別個の類型の例を、可能な限り大きなクリアギャップにより分けるようにマッピングした例についての表示である、サポートベクターマシンモデルを使用して案出することができる。次いで、新たな例を、同じ空間へとマッピングし、新たな例が、ギャップのどちら側に位置するのかに基づき、類型への帰属を予測する。当業者は、任意の数の機械学習アルゴリズムを使用して、細菌感染とウイルス感染とを識別することが可能な分類を開発しうることを理解するであろう。
【0215】
方法
体系的検索及びマルチコホート解析
本発明者らは、検索項目:bact[ワイルドカード]、vir[ワイルドカード]、感染、敗血症、SIRS、ICU、院内、発熱、肺炎を使用して、公表ヒトマイクロアレイゲノムワイド発現研究のために、NIH GEO及びEBI ArrayExpressにおける体系的検索を実施した。抄録をスクリーニングして、全ての研究:(1)非臨床的な研究、(2)全血液若しくはPBMC以外の組織を使用して実施した研究、又は(3)臨床時間についてマッチさせていない患者を比較した研究を除外した。
【0216】
全てのマイクロアレイデータは、標準化された方法を使用して、生データ(入手可能な場合)から再正規化した。Affymetrix製のアレイは、gcRMA(完全マッチプローブを伴うアレイ上の)又はRMAを使用して再正規化した。Illumina製のアレイ、Agilent製のアレイ、GE、及び他の市販のアレイは、正規-指数バックグランウド補正に続く、四分正規化を介して再正規化した。カスタムアレイは、再正規化しなかった。データを、log2変換し、固定効果モデルを使用して、各研究内の遺伝子に対するプローブを集約した。各研究内では、異なる型のマイクロアレイでアッセイされたコホートを、独立のコホートとして扱った。
【0217】
本発明者らは、既に記載された7、15、16、27通りに、マルチコホートによるメタ解析を実施した。略述すると、ヘッジによるg量を使用して、遺伝子を集約し、ダーシモニアン-レアドによるランダム効果モデルをメタ解析に使用するのに続き、ベンジャミニ-ホッホバーグによる多重仮説補正を使用した66。正の効果量は、遺伝子が、ウイルス感染患者において、より高度に発現したことを指し示し、負の効果量は、遺伝子が、細菌感染患者において、より高度に発現したことを指し示すように、研究内の細菌感染を有する患者を、ウイルス感染を有する患者と比較した。
【0218】
細菌感染と、ウイルス感染との示差的発現において高度に保存的な遺伝子のセットを見出すために、本発明者らは、細菌感染を有する患者と、ウイルス感染を有する患者とを直接比較した、全てのコホートを選択した。共感染(すなわち、細菌及びウイルスの両方の感染)を記録された患者は、除外した。コホートは、各群に>5例ずつの患者を、メタ解析に組み入れることを要請された。PBMCコホート及び全血液コホートの両方を組み入れた。重要な遺伝子は、LOO法によるラウンドロビン解析において、効果量が>2倍であり、FDRが<1%の遺伝子であった。しかし、最終的な遺伝子セットにおいて、いずれの組織型も表されることを確保するために、本発明者らは、PBMCコホート及び全血液コホートについての、個別のメタ解析もまた実施し、いずれかの組織型において、効果量が<1.5倍である、全ての遺伝子を、別個に除外した。残りの遺伝子は、有意であると考えた。
【0219】
7遺伝子のセットの導出
高度に診断的な遺伝子のセットを見出すために、メタ解析による重要な遺伝子を、既に記載された、貪欲法による順方向検索にかけた。略述すると、このアルゴリズムは、ゼロの遺伝子で始まり、新たな遺伝子が、何らかの閾値を超える発見AUCを改善できなくなるまで、各サイクルにおいて、発見コホートにおいて、診断のためのAUCを、最も大きく改善する1つずつの遺伝子を加える。結果として得られる遺伝子を使用して、「細菌」応答遺伝子の幾何平均値を減じ、各セットにおける遺伝子数の比を乗じた、「ウイルス」応答遺伝子の幾何平均値として計算される、単一の「細菌/ウイルスメタスコア」を計算する。次いで、ROC曲線を使用して、結果として得られる連続スコアを、診断力について調べることができる。
【0220】
さらなる遺伝子セットの導出
さらなる診断遺伝子セットを同定するために、本発明者らは、アルゴリズムの終結部において、結果として得られる診断遺伝子セットを、可能な重要遺伝子のセットから除外し、アルゴリズムを再度走らせる、再帰的な、貪欲法による順方向検索を実行した。第1の遺伝子セットを、さらなるバリデーションのために採取したが、他の遺伝子セットも、発見コホートにおける性能が同様であることに言及した(補表3)。
【0221】
7遺伝子のセットについての直接的バリデーション
結果として得られる遺伝子セットをまず、残りの公表遺伝子発現コホートであって、細菌感染をウイルス感染と直接比較するが、メタ解析に使用するには小さ過ぎるコホートにおいて検証した。本発明者らによるメタ解析を完遂した後で、2つのコホート(GSE6024413及びGSE6399014)を公表して、バリデーションに使用した。一般化可能性を示すために、本発明者らは、単球由来の樹状細胞において、LPSへの曝露を、インフルエンザへの曝露と比較する、1つの大きなin vitroデータセットもまた検討したが、臨床研究と同じ分布に由来しないと予測されるので、サマリーAUCには組み入れなかった。
【0222】
サマリーROC曲線
発見コホート及びバリデーションコホートのいずれについても、ケスター及びバンチンクスによる方法67及び既に記載されている方法16に従い、サマリーROC曲線を構築した。略述すると、各ROC曲線について、線形指数モデルを作成し、全サマリーROC曲線パラメータを推定するように、ランダム効果モデルを使用して、これらの個々の曲線のパラメータを集約する。アルファパラメータは、AUC(特に、直線の、正比例直線からの距離)を制御し、ベータパラメータは、ROC曲線の歪度を制御する。サマリーAUCの信頼区間は、メタ解析における、アルファ及びベータの標準誤差から推定する。
【0223】
COCONUT共正規化
細菌感染又はウイルス感染を有するが、これらの両方は伴わない患者をプロファイリングした、多数の公表マイクロアレイコホートが存在する。これらのコホートにわたり、遺伝子スコアを比較できれば有利であろうが、異なる各マイクロアレイは、各遺伝子について、バックグランウドの測定値が大きく異なり、同じ種類のマイクロアレイを使用する研究の間でも、大きなバッチ効果が存在するため、いまだ可能とはなっていない。これらのデータを使用するために、本発明者らは、これらのコホートを、(1)最終的な分類に影響を及ぼしうるバイアスを導入せず(すなわち、正規化プロトコールは、診断に対して盲検的であり);(2)研究内で、遺伝子の分布に変化がなく;(3)正規化の後に、遺伝子が、研究間で、同じ分布を示すように共正規化する必要があった。これらの特徴を伴う方法であれば、本発明者らによる遺伝子スコアを計算し、複数の研究にわたり比較することを可能とし、したがって、その一般化可能性について広く調べることを可能とするであろう。
【0224】
ComBatによる経験的ベイズ正規化法32は、交差プラットフォームによる正規化に頻用されるが、疾患状態にわたり、同等な分布を前提とするため、本発明者らによる所望の基準には、決定的に不足する。そこで、本発明者らは、異なるコホートに由来する対照試料を共正規化して、これらの同じコホートに由来する罹患試料の直接的比較を可能とする、ComBat法の改変形を案出した。本発明者らは、この方法を、COmbat Co-Normalization Using conTrol又は「COCONUT」と呼ぶ。COCONUTは、1つの明確な前提であって、異なるコホートに由来する対照/健常患者が、同じ分布を表すことを強いるという前提を立てる。略述すると、全てのコホートを、健常構成要素と、罹患構成要素とに分ける。健常構成要素を、共変量を用いずにComBat共正規化にかける。各データセットの、健常構成要素について、ComBat推定パラメータ
【化1】

を得、次いで、罹患構成要素へと適用する(図10)。これは、全てのコホートの罹患構成要素が、同じバックグランウド分布に由来するが、それらの健常構成要素からの相対的距離を保持することを強いる(浮動小数点演算のために、COCONUT後に異なるのは、データセット内のT統計だけである)。COCONUTはまた、疾患の分類(すなわち、細菌感染又はウイルス感染)についての先験的な知見も要請せず、したがって、本発明者らがあらかじめ指定した基準を満たすことは、重要なことである。COCONUT法は、他の入手可能なデータと共にプールするために、健常/対照患者が、データセットに存在することを要請する、重要な要件を有する。COCONUT法はまた、健常/対照患者を、同じ分布に置くので、このような前提が妥当である場合(すなわち、同じ組織型内、同じ種間など)に限り使用される。
【0225】
ComBatモデル及びCOCONUT法
Johnsonらにより記載される通り、ComBatモデルは、まず、遺伝子発現についての最小二乗法モデルを解き、次いで、解かれた経験的ベイズ推定子を繰り返し使用して、結果として得られるパラメータを縮約することにより、各遺伝子の位置及びスケールについて補正する32。形式的には、各遺伝子の発現レベルYijg(バッチiにおける試料jについての遺伝子gの)を、全体的な遺伝子発現α、回帰係数をβとする、試料条件Xについてのデザイン行列、相加的バッチ効果及び相乗的バッチ効果であるγig及びδig、並びに誤差項εijgから構成される:
ijg=α+Xβ+γig+δigεijg
とする。
【0226】
最小二乗回帰を使用する推定パラメータにより、Yijgを、新たな項であるZijg(式中、
【化2】

は、εijgの標準偏差である):
【数1】

へと標準化する。
【0227】
こうして、標準化されたデータは、
【化3】

[式中、
【化4】


に従い分布する。
【0228】
ガンマの逆数を、標準無情報事前分布とする。残りのハイパーパラメータは、元の参考文献で見出される導出及び解により、経験的に推定する32。次いで、推定バッチ効果である
【化5】


を使用して、標準化データを、経験的ベイズによりバッチ調整された、最終的な出力
【化6】


【数2】

へと調整する。
【0229】
本発明者らによる、この方法(COCONUT)の改変形では、上記の全てを、改変を伴わずに、元の方法に従い実施する。しかし、COCONUT改変法は、各データセットにおける、健常/対照患者だけに適用する(すなわち、Yは、健常患者試料だけについての行列である)。推定パラメータ
【化7】

を全て求め、罹患患者試料だけからなる行列D(Yと同じ方式で順序づけなければならない):
【数3】

【数4】

へと、直接適用する。
【0230】
こうして、本発明者らは、罹患試料Dのバッチ補正形であって、健常対照の間の差違は補正するが、各Yに対して、各亜行列Dを変化させない、バッチ補正形を得ることができる。
【0231】
グローバルROC
本発明者らは、COCONUT共正規化を使用して、(1)全ての発見コホートについて調べ、(2)細菌性疾病又はだけウイルス性疾病だけを含有するバリデーションコホートであってもなお、全てのバリデーションコホートについて調べた。本発明者らは、上記で記載した理由で、これを、PBMCデータ及び全血液データについて別個に行った。共正規化の後で、個々のコホートについての分布を、併せてプロットして、直接的比較を可能とした。各プロットについて、本発明者らは、(1)各データセットについてのスコアの分布、(2)診断検査内の各遺伝子についての、正規化された遺伝子発現レベル、及び(3)メタ解析に基づくクラスの間で差違を示さないことが予測されるハウスキーピング遺伝子を示す。健常患者は、これらのプロットから除外した。しかし、COCONUT共正規化の後で、コホート内の健常患者と、罹患患者との間で、遺伝子の分布が変化しないことを示すために、本発明者らはまた、標的遺伝子及びハウスキーピング遺伝子の両方を伴う、両方の患者型を伴うプロットも示した(図11)。メタ解析において、効果量が最小であり、分散が最小である遺伝子を、ハウスキーピング遺伝子として選択した。
【0232】
各比較のために、単一のグローバルROCのAUCを計算し、単一の閾値を設定して、実際の検査の診断性能についての推定を可能とした。細菌感染の偽陰性(すなわち、抗生剤が必要とされる場合に、抗生剤を施さないことの推奨)は、重大となりうるので、90%の細菌感染の感度を近似するように、ウイルス感染と対比した細菌感染についてのカットオフについての閾値を設定した。
【0233】
統合型抗生剤判定モデル
SMSは、重度の急性感染を有する患者を、他の発生源に由来する炎症を有する患者から弁別しうるが、感染の種類を識別できない(図5A及び5B)。そこで、本発明者らは、11遺伝子のSMSに続き、7遺伝子の細菌/ウイルスメタスコアを適用する、統合型抗生剤判定モデル(IADM)について調べた。こうして、IADMモデルは、(1)患者が感染を有するのかどうかを同定し、(2)患者が感染を有する場合、どの種類の感染が存在するのか(細菌なのか、ウイルスなのか)を同定する。本発明者らは、非感染性炎症を有する患者を伴う、十分なバリデーションコホートであって、健常対照もまた組み入れたバリデーションコホートを同定することが可能でなかったので、グローバルROCの構築において、発見コホート及びバリデーションコホートの両方を使用した。COCONUT共正規化を使用して、組み入れた全てのコホートにわたり、グローバル閾値を設定し、グローバル閾値を、各個別のデータセットへと適用して、非感染性炎症を有する患者、細菌感染を有する患者、及びウイルス感染を有する患者を適正に識別するIADMの能力について調べた。健常患者は、共正規化手順で使用したので、診断クラスとして組み入れなかった。IADMはまた、健常対照は有さないが、(1)非感染性SIRS患者、並びに(2)細菌感染及びウイルス感染の両方を有する患者の両方を組み入れた、全てのコホートにも別個に適用した。
【0234】
陽性予測値及び陰性予測値(PPV及びNPV)は、有病率に依存するが、ここで使用されるデータの有病率は、入院状況における感染の有病率に合致しないので、本発明者らは、統合型抗生剤判定モデルにより達成される、細菌感染についての感度及び特異度に基づき、PPV曲線及びNPV曲線を計算した。形式的には、NPV=特異度×(1-有病率)/((1-感度)×有病率+特異度×(1-有病率));PPV=感度×有病率/(感度×有病率+(1-特異度)×(1-有病率))である。
【0235】
NanoStringによるバリデーション
最後に、ターゲティングNanoString56デジタル式マルチプレックス遺伝子定量化アッセイを使用して、Genomics of Pediatric SIRS and Septic Shock Investigators試験18~22の、個別の患者(すなわち、マイクロアレイを介してプロファイリングされていない患者)に由来する、96例の試料について調べた。18の遺伝子は、いずれのハウスキーピング遺伝子にも再正規化されなかった。SMS及び細菌/ウイルスメタスコア遺伝子のいずれについてもアッセイし、IADMの診断性能を計算した。
【0236】
全ての解析は、R統計の計算言語(バージョン3.1.1)で行った。マルチコホートメタ解析を再試行するためのコードは、既に寄託されており、khatrilab.stanford.edu/sepsisにおいて入手可能である。
【0237】
【表1】

【0238】
【表2】

【0239】
【表3】


【0240】
【表4】
【0241】
【表5】
【0242】
【表6】














【0243】
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67. Kester, A.D. & Buntinx, F.Meta-analysis of ROC curves. Med Decis Making 20, 430-439 (2000).
【0244】
本発明の好ましい実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれに様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法。
【外国語明細書】