(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099298
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】基板処理装置とそれを含む基板接合システム及びそれを用いた基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230705BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183937
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192566
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョン マン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヨン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ウム、ヨン チェ
(57)【要約】
【課題】基板処理装置とそれを含む基板接合システム及びそれを用いた基板処理方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基板の表面にイオンとラジカルを供給して水酸基(-OH)形成のための環境を造成し、イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングしながら、ラジカルのみ供給することにより、基板表面全体に均一に水酸基(-OH)を形成して均一度を確保することができる技術を開示する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面に対する水酸基(-OH)生成の環境を造成する環境造成ステップと、
上部プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給し、イオンブロッカーを介してイオン(Ion)はフィルタリングし、ラジカル(Radical)は拡散させる選択的ラジカル提供ステップと、
前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成して水酸基の均一度を調節する水酸基均一度調節ステップと、を含むことを特徴とする、基板処理方法。
【請求項2】
前記環境造成ステップは、
下部プラズマ空間を活性化させ、上部プラズマ空間を不活性化させることを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記環境造成ステップは、
下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する下部プラズマ空間活性化ステップと、
前記下部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成するラジカル及びイオン生成ステップと、
基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、前記イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節する基板表面粗さ調節ステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記下部プラズマ空間活性化ステップは、
上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を不活性化させることを特徴とする、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板表面粗さ調節ステップは、
前記イオンを介して基板表面に対する粗さを調節して、前記基板表面の水酸基(-OH)形成のための環境を造成することを特徴とする、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記環境造成ステップは、
キャリアガスを供給して生成されたラジカルとイオンに対する基板表面への拡散を支援する拡散支援ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記選択的ラジカル提供ステップは、
上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する上部プラズマ空間活性化ステップと、
前記上部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成するラジカル及びイオン生成ステップと、
前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは拡散させるラジカル拡散ステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記ラジカル拡散ステップは、
前記上部プラズマ空間上のラジカルとイオンを前記イオンブロッカーの拡散空間に流入させるラジカル及びイオン流入ステップと、
前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは基板表面に向かって拡散させるイオンフィルタリングステップと、を含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記イオンフィルタリングステップは、
前記イオンブロッカーは、イオンの極性による移動方向の特性を用いてイオンをフィルタリングすることを特徴とする、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記選択的ラジカル提供ステップは、
上部プラズマ空間の活性化と共に、前記下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記選択的ラジカル提供ステップは、
キャリアガスを供給して生成されたラジカルに対する基板表面への拡散を支援する拡散支援ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記水酸基均一度調節ステップは、
前記環境造成ステップを介して水酸基(-OH)が生成された前記基板表面の一部領域を除いた残りの領域に水酸基(-OH)を生成して、前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項13】
基板表面に水酸基(-OH)を生成するためのプラズマ処理が行われる処理空間を提供するプロセスチャンバと、
前記処理空間上の上部プラズマ空間と下部プラズマ空間を選択的に活性化させるプラズマ活性化手段と、
前記処理空間に配置され、前記基板を支持する基板支持手段と、
前記処理空間へプロセスガスを含む1種以上のガスを供給するガス供給手段と、
前記プロセスチャンバの処理空間の上部に配置され、上部プラズマ空間を区画し、イオンはフィルタリングし、ラジカルは拡散させるイオンブロッカーと、
前記プラズマ活性化手段を介して上部プラズマ空間と下部プラズマ空間に対する選択的な活性化を制御して、基板表面に対する水酸基(-OH)生成の環境を造成し、前記基板表面に対する水酸基(-OH)生成の均一度を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする、基板処理装置。
【請求項14】
前記イオンブロッカーは、
前記上部プラズマ空間のガスが流入するガス流入孔が設けられた上部プレートと、
前記上部プレートの下部に形成される拡散空間と、
前記拡散空間のガスを前記処理空間へ拡散させるガス排出孔が設けられた下部プレートと、を含み、
前記上部プレートのガス流入孔と前記下部プレートのガス排出孔は、仮想の延長孔が互いにずれるように配置されたことを特徴とする、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記イオンブロッカーは、
イオンの極性による移動方向の特性を用いて前記拡散空間上のイオンが前記下部プレートによってフィルタリングされることを特徴とする、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記ガス供給手段は、
前記処理空間へキャリアガスを供給することを特徴とする、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記プラズマ活性化手段は、
前記上部プラズマ空間を活性化させる上部プラズマ活性化部と、
前記下部プラズマ空間を活性化させる下部プラズマ活性化部と、を含むことを特徴とする、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記制御手段は、
下部プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節した後、上部プラズマ空間を活性化させ、前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングしながら、ラジカルは前記基板表面に向かって拡散させて前記基板表面の全領域に対する水酸基(-OH)の生成を制御することを特徴とする、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項19】
プラズマ処理によって基板表面に水酸基(-OH)を生成する請求項13に記載の基板処理装置と、
プラズマ処理された基板表面を洗浄処理する洗浄装置と、
表面に水酸基(-OH)が形成された基板を接合させる基板接合装置と、
前記基板処理装置、前記洗浄装置、及び前記基板接合装置へ基板を移送する整列装置と、を含むことを特徴とする、基板接合システム。
【請求項20】
上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を不活性化させ、下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する下部プラズマ空間活性化ステップと、
前記下部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成する下部空間ラジカル及びイオン生成ステップと、
基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節して水酸基(-OH)生成の環境を造成する基板表面粗さ調節ステップと、
前記上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する上部プラズマ空間活性化ステップと、
前記上部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成する上部空間ラジカル及びイオン生成ステップと、
生成されたラジカル及びイオンをイオンブロッカーの拡散空間へ拡散させる拡散ステップと、
前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは基板表面に向かって拡散させるイオンフィルタリングステップと、
前記基板表面の残りの領域に水酸基(-OH)を生成して前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成して均一度を調節する水酸基均一度調節ステップと、を含むことを特徴とする、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置とそれを含む基板接合システム及びそれを用いた基板処理方法に係り、より詳細には、基板の表面にイオンとラジカルを供給して水酸基(-OH)形成環境を造成し、イオンブロッカーを介してイオンをフィルタリングしながらラジカルのみを供給することにより、基板表面全体に均一に水酸基(-OH)を形成して均一度を確保することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高密度集積化のために三次元積層技術が適用されている。三次元積層技術は、二次元的集積化技術に比べて単位面積当たりの集積度を飛躍的に向上させるか或いは配線の長さを減らすことにより、チップの性能を向上させることができる。その上、異種素子間の結合によって新しい特性を発揮することもできる。
【0003】
三次元積層技術は、概略的にC2C(Chip to Chip)、C2W(Chip to Wafer)、W2W(Wafer to Wafer)方式がある。
【0004】
W2W積層方式は、ウェーハとウェーハとを積層した後、ダイシング(Dicing)過程によってチップを製造する方式である。ボンディング工程の数がC2C方式又はC2W方式に比べて画期的に減少することにより、量産に有利であるという利点を持つ。
【0005】
従来では、様々な技術的制限などの理由により、半導体製造工程においてC2C積層方式を適用して三次元積層半導体を製作したが、量産性及び歩留まりを考慮して次第にW2W積層方式を適用する傾向に変化している。
【0006】
特に、メモリ半導体などの単純積層によって集積度向上のみを考慮するよりは、三次元積層によるチップ性能の向上を図ろうとする場合、W2W積層方式がより効果的な選択であり得る。
【0007】
プラズマ基板処理によるハイブリッドボンディング(Hybrid Bonding)を適用する場合、基板表面に対するプラズマ処理工程中にイオン(Ion)の影響により基板表面に水酸基(-OH)の生成と破壊が繰り返し起こる。
【0008】
最終的にプラズマ処理が完了した基板表面には、全体的に水酸基(-OH)が不均一に形成されたり、基板表面に生成された水酸基(-OH)の量が少なくなったりする現象が発生する。
【0009】
このように基板表面に対する全体的な水酸基(-OH)分布が不均一であるため、以後、基板接合の際に全体的に均一に共有結合が形成されないという問題がある。また、基板表面に生成された水酸基(-OH)の量が不十分であるため、十分な共有結合を形成することができず、全体的に基板接合の結合力が弱くなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、基板表面に対する環境の造成後、イオンはフィルタリングし、ラジカルのみを供給することにより、基板表面全体に均一に水酸基(-OH)を形成して均一度を確保することができる方案を提示しようとする。
【0011】
特に、従来技術の場合、基板表面に対するプラズマ処理工程中にイオン(Ion)の影響により基板上面に水酸基(-OH)の生成と破壊が繰り返し起こることにより、最終的にプラズマ処理が完了した基板表面に水酸基(-OH)が均一でないという問題を解決しようとする。
【0012】
また、基板表面に対する全体的な水酸基(-OH)の分布が不均一であるため、基板接合の際に全体的に均一に共有結合が形成されないという問題を解決しようとする。
【0013】
さらに、基板表面に生成された水酸基(-OH)の量が不十分であるため、十分な共有結合を形成することができず、全体的に基板接合の結合力が弱くなるという問題を解決しようとする。
【0014】
本発明の目的は、上述したものに限定されず、上述していない本発明の他の目的及び利点は、以降の説明から理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明による基板処理方法の一実施形態は、プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面に対する水酸基(-OH)生成の環境を造成する環境造成ステップと、上部プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給し、イオンブロッカーを介してイオン(Ion)はフィルタリングし、ラジカル(Radical)を拡散させる選択的ラジカル提供ステップと、前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成して水酸基の均一度を調節する水酸基均一度調節ステップと、を含むことができる。
【0016】
好ましくは、前記環境造成ステップは、下部プラズマ空間を活性化させ、上部プラズマ空間を不活性化させることができる。
【0017】
一例として、前記環境造成ステップは、下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する下部プラズマ空間活性化ステップと、前記下部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成するラジカル及びイオン生成ステップと、基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、前記イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節する基板表面粗さ調節ステップと、を含むことができる。
【0018】
また、前記下部プラズマ空間活性化ステップは、上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を不活性化させることができる。
【0019】
ここで、前記基板表面粗さ調節ステップは、前記イオンを介して基板表面に対する粗さを調節して、前記基板表面の水酸基(-OH)形成のための環境を造成することができる。
【0020】
さらに、前記環境造成ステップは、キャリアガスを供給して生成されたラジカル及びイオンに対する基板表面への拡散を支援する拡散支援ステップをさらに含むことができる。
【0021】
一例として、前記選択的ラジカル提供ステップは、上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する上部プラズマ空間活性化ステップと、前記上部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成するラジカル及びイオン生成ステップと、前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは拡散させるラジカル拡散ステップと、を含むことができる。
【0022】
好ましくは、前記ラジカル拡散ステップは、前記上部プラズマ空間上のラジカルとイオンを前記イオンブロッカーの拡散空間に流入させるラジカル及びイオン流入ステップと、前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは基板表面に向かって拡散させるイオンフィルタリングステップと、を含むことができる。
【0023】
ここで、前記イオンフィルタリングステップでは、前記イオンブロッカーは、イオンの極性による移動方向の特性を用いてイオンをフィルタリングすることができる。
【0024】
また、前記選択的ラジカル提供ステップは、上部プラズマ空間の活性化と共に、前記下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させるステップをさらに含むことができる。
【0025】
さらに、前記選択的ラジカル提供ステップは、キャリアガスを供給して生成されたラジカルに対する基板表面への拡散を支援する拡散支援ステップをさらに含むことができる。
【0026】
一例として、前記水酸基均一度調節ステップは、前記環境造成ステップを介して水酸基(-OH)が生成された前記基板表面の一部領域を除いた残りの領域に水酸基(-OH)を生成して、前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成することができる。
【0027】
また、本発明による基板処理装置の一実施形態は、基板表面に水酸基(-OH)を生成するためのプラズマ処理が行われる処理空間を提供するプロセスチャンバと、前記処理空間上の上部プラズマ空間と下部プラズマ空間を選択的に活性化させるプラズマ活性化手段と、前記処理空間に配置され、前記基板を支持する基板支持手段と、前記処理空間へプロセスガスを含む1種以上のガスを供給するガス供給手段と、前記プロセスチャンバの処理空間の上部に配置されて上部プラズマ空間を区画し、イオンはフィルタリングし、ラジカルは拡散させるイオンブロッカーと、前記プラズマ活性化手段を介して上部プラズマ空間と下部プラズマ空間に対する選択的な活性化を制御して、基板表面に対する水酸基(-OH)生成の環境を造成し、前記基板表面に対する水酸基(-OH)生成の均一度を制御する制御手段と、を含むことができる。
【0028】
一例として、前記イオンブロッカーは、前記上部プラズマ空間のガスが流入するガス流入孔が設けられた上部プレートと、前記上部プレートの下部に形成される拡散空間と、前記拡散空間のガスを前記処理空間へ拡散させるガス排出孔が設けられた下部プレートと、を含み、前記上部プレートのガス流入孔と前記下部プレートのガス排出孔は、仮想の延長孔が互いにずれるように配置されることができる
【0029】
ここで、前記イオンブロッカーは、イオンの極性による移動方向の特性を用いて前記拡散空間上のイオンが前記下部プレートによってフィルタリングされることができる。
【0030】
また、前記ガス供給手段は、前記処理空間へキャリアガスを供給することができる。
【0031】
さらに、前記プラズマ活性化手段は、前記上部プラズマ空間を活性化させる上部プラズマ活性化部と、前記下部プラズマ空間を活性化させる下部プラズマ活性化部と、を含むことができる。
【0032】
一例として、前記制御手段は、下部プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節した後、上部プラズマ空間を活性化させ、前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングしながら、ラジカルは前記基板表面に向かって拡散させることにより、前記基板表面の全領域に対する水酸基(-OH)の生成を制御することができる。
【0033】
また、本発明による基板接合システムの一実施形態は、プラズマ処理によって基板表面に水酸基(-OH)を生成する上記の基板処理装置と、プラズマ処理された基板表面を洗浄処理する洗浄装置と、表面に水酸基(-OH)が形成された基板を接合させる基板接合装置と、前記基板処理装置、前記洗浄装置、及び前記基板接合装置へ基板を移送する整列装置と、を含むことができる。
【0034】
さらに、本発明による基板処理方法の好適な一実施形態は、上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を不活性化させ、下部プラズマ活性化部を介して下部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する下部プラズマ空間活性化ステップと、前記下部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成する下部空間ラジカル及びイオン生成ステップと、基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して前記基板表面に対する粗さを調節して水酸基(-OH)生成の環境を造成する基板表面粗さ調節ステップと、前記上部プラズマ活性化部を介して上部プラズマ空間を活性化させながら、ガス供給手段を介してプロセスガスを供給する上部プラズマ空間活性化ステップと、前記上部プラズマ空間上でラジカルとイオンを生成する上部空間ラジカル及びイオン生成ステップと、生成されたラジカル及びイオンをイオンブロッカーの拡散空間へ拡散させる拡散ステップと、前記イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルは基板表面に向かって拡散させるイオンフィルタリングステップと、前記基板表面の残りの領域に水酸基(-OH)を生成して前記基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を生成して均一度を調節する水酸基均一度調節ステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0035】
このような本発明によれば、基板表面に全体的に均一に十分な量の水酸基(-OH)を形成させることができる。
【0036】
特に、基板表面に対するプラズマ処理工程中にイオン(Ion)の影響により基板の上面に水酸基(-OH)の生成と破壊が繰り返し起こることにより、最終的にプラズマ処理が完了した基板表面に水酸基(-OH)が均一に分布できず、十分な量の水酸基(-OH)を生成することができないという問題を解決することにより、基板接合の際に全体的に均一に共有結合を形成させることができる。
【0037】
さらに、前処理工程を介して基板表面の粗さを調節して水酸基(-OH)の安定的な生成を図る環境を造成し、その後、イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカルのみ基板表面に向かって拡散させることにより、基板表面上に水酸基(-OH)が形成されていない空領域に均一に水酸基(-OH)が分布するように水酸基の均一度を調節することができる。
【0038】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない他の効果は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明が適用されるハイブリッドボンディング(Hybrid Bonding)の概念を示す。
【
図2】本発明による基板接合システムの一実施形態を示す。
【
図3】本発明による基板処理装置の一実施形態を示す。
【
図4】本発明による基板処理装置のイオンブロッカーの一実施形態を示す。
【
図5】本発明による基板処理装置のイオンブロッカーの一実施形態を示す。
【
図6】本発明による基板処理方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図7】本発明による基板処理方法の水酸基形成のための環境造成過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【
図8】基板処理方法の水酸基形成のための環境造成過程の一例を示す。
【
図9】基板処理方法の水酸基形成のための環境造成過程の一例を示す。
【
図10】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【
図11】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【
図12】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【
図13】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【
図14】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【
図15】本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施形態によって限定又は制限されるものではない。
【0041】
本発明、本発明の動作上の利点、及び本発明の実施によって達成される目的を説明するために、以下では、本発明の好適な実施形態を例示し、これを参照して説明する。
【0042】
まず、本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定するものではなく、単数の表現は、文脈上明らかに別段の意味を有しない限り、複数の表現を含むことができる。また、本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0043】
本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0044】
本発明は、ハイブリッドボンディング(Hybrid Bonding)を用いた基板接合工程におけるプラズマ処理によって基板表面上に水酸基(-OH)を形成する際に基板表面全体に均一に水酸基(-OH)を生成して水酸基の均一度(Uniformity)を確保するための基板処理技術を提示する。
【0045】
図1は、本発明が適用されるハイブリッドボンディング(Hybrid Bonding)の概念を示す。
【0046】
プラズマ処理の際に、シリコン基板の接合面に対する表面エネルギーを増加させて界面間の共有結合を誘導することができる。シリコン基板の表面の疎水性(Hydrophobic)特性をプラズマ処理によって親水性(Hydrophilile)に変えれば、基板の表面に水酸基(-OH)の生成を誘導することができる。
【0047】
プラズマ処理後、基板の表面に対するリンス工程を行って水酸基(-OH)の生成を活性化させ、不純物を洗浄することができる。
【0048】
このような工程を行った2つの基板の面を対向させて接合するが、酸素(O)の共有結合による脱水反応を介して2つの基板面が接合できる。このような共有結合による接合は、弱い結合力を有するので、高温加熱工程を介して共融(Eutectic)/TLP/拡散(Diffusion)/フュージョンボンディング(Fusion bonding)などを誘導し、金属配線ラインの熱膨張による金属結合でより強い結合力を持つ。
【0049】
このようなプラズマ処理による基板表面の水酸基(-OH)の生成において、基板表面全体における水酸基(-OH)の均一な分布と十分な水酸基(-OH)の生成量は、以後、共有結合による結合力の確保に相当重要な要因となる。
【0050】
従って、本発明では、基板表面に全体的に水酸基(-OH)を均一に分布させて生成しながら、基板表面に水酸基(-OH)が十分に生成できる方案を提示する。
【0051】
以下、本発明による実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【0052】
図2は、本発明による基板接合システムの一実施形態を示す。
【0053】
基板接合システム1は、クリーンルーム20内に配置される基板処理装置10、洗浄装置50、整列装置60、及び基板接合装置70を含むことができる。また、基板接合システム1は、クリーンルーム20の一側に備えられるカセットステージ30をさらに含むことができる。
【0054】
例示的な実施形態において、クリーンルーム20は、内部空間を有する直方体状のルームからなり、粒子状物質及び異物が遮断された空間を形成して所定の範囲の清浄度を維持することができる。
【0055】
カセットステージ30は、ウェーハが貯蔵される空間を提供することができる。複数のウェーハを収納することが可能なキャリアC(FOUP)は、カセットステージ30の支持プレート32上に支持できる。キャリアC内に収納されたウェーハは、移送ロボット22によってクリーンルーム20の内部へ移送できる。
【0056】
整列装置60は、ウェーハWのフラット部P(又はノッチ)を感知してウェーハWを整列させることができる。整列装置60によって整列されたウェーハは、移送ロボット22によって基板処理装置10、洗浄装置50、基板接合装置70へ移送できる。
【0057】
洗浄装置50は、基板処理装置10によってプラズマ処理されたウェーハ基板の表面を洗浄することができる。洗浄装置50は、スピンコーターを用いて前記ウェーハ基板の表面にDIウォーターをコーティングすることができる。DIウォーターは、ウェーハ基板の表面を洗浄するだけでなく、ウェーハ基板の表面に水酸基(-OH)がよく結合されるようにして、ハイブリッドボンディング(Hybrid Bonding)をさらに容易に形成することができる。
【0058】
基板接合装置70は、下部チャック構造物及び上部チャック構造物を含むことができる。上部チャック構造物は第1ウェーハを固定し、下部チャック構造物は第2ウェーハを固定することができる。
【0059】
上部チャック構造物と下部チャック構造物のうちのいずれか一方又は両方は、昇降可能であって、第1ウェーハと第2ウェーハを加圧しながら接合させることができる。一例として、上部チャック構造物と下部チャック構造物にはプッシュロッドが配置されることにより、プッシュロッドの昇降を介してウェーハ基板の中心部から外郭へ第1ウェーハと第2ウェーハとの接合が行われ得る。或いは、上部チャック構造物と下部チャック構造物には、空気又はガス注入を介して膨張する加圧手段が配置されることにより、加圧手段の膨張動作を介してウェーハ基板の中心部から外郭へ第1ウェーハと第2ウェーハとの接合が行われてもよい。
【0060】
また、基板接合システム1は、接合されたウェーハ基板を熱処理するためのアニール装置(図示せず)をさらに含むことができる。また、基板接合システム1は、接合されたウェーハ基板のうち、いずれか一つのウェーハ基板の表面をグラインドするためのグラインダー(図示せず)をさらに含むことができる。
【0061】
図3に示されている本発明による基板処理装置の一実施形態を参照して基板処理装置10について検討する。
【0062】
基板処理装置10は、プロセスチャンバ100、基板支持部110、イオンブロッカー200、ガス供給手段300、プラズマ活性化手段などを含むことができる。
【0063】
基板支持部110は、プロセスチャンバ100内でウェーハWを支持することができる。基板支持部110は、ウェーハが装着される基板ステージを含むことができる。
【0064】
例示的な実施形態において、基板処理装置10は、誘導結合型プラズマ(ICP、induced coupled plasma)プロセスチャンバ100内に配置された半導体ウェーハWなどの基板の表面にプラズマを照射して基板の表面に水酸基(-OH)を形成するための装置であり得る。ここで、基板処理装置10によって生成されたプラズマは、誘導結合型プラズマに限定されず、例えば、容量結合型プラズマ、マイクロ波型プラズマであり得る。
【0065】
プロセスチャンバ100は、ウェーハW上にプラズマ処理プロセスを行うための密閉された処理空間120を提供することができる。プロセスチャンバ100は、円筒形の真空チャンバーであり得る。プロセスチャンバ100は、アルミニウムやステンレススチールなどの金属を含むことができる。プロセスチャンバ100は、プロセスチャンバ100の上部を覆うカバー102を含むことができる。カバー102は、プロセスチャンバ100の上部を密閉させることができる。
【0066】
プロセスチャンバ100の側壁には、ウェーハWの出入りのためのゲート(図示せず)が設置される。ゲートを介してウェーハWを基板支持部110の基板ステージ上に対してロード及びアンロードさせることができる。
【0067】
プロセスチャンバ100の下部には排気ポート104が設置され、排気ポート104には排気管を介して排気部106が接続される。排気部106は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含むことにより、プロセスチャンバ100内部の処理空間を所望の真空度の圧力に調節することができる。また、プロセスチャンバ100内に発生したプロセス副産物及び残余プロセスガスを排気ポート104を介して排出することができる。
【0068】
プラズマ活性化手段は、上部プラズマ空間150を活性化させる上部プラズマ活性化部130と、下部プラズマ空間160を活性化させる下部プラズマ活性化部140と、を含むことができる。
【0069】
上部プラズマ活性化部130は、上部電極131、ソースRF電源133、ソースRF整合器135などを含むことができる。
【0070】
上部電極131は、下部電極と対向するようにプロセスチャンバ100の外側の上部に配置できる。一例として、上部電極131はカバー102上に配置できる。これとは異なり、上部電極131はプロセスチャンバ100の上部に形成されてもよい。
【0071】
上部電極131は、高周波(RF)アンテナを含むことができる。前記アンテナは、平面コイル形状を有することができる。カバー102は、円板状の誘電体窓(dielectric window)を含むことができる。前記誘電体窓は、誘電物質を含むことができる。例えば、前記誘電体窓は、アルミニウム酸化物(Al2O3)を含むことができる。前記誘電体窓は、前記アンテナからのパワーをプロセスチャンバ100の内部へ伝達する機能を有することができる。
【0072】
例えば、上部電極131は、らせん状又は同心円状のコイルを含むことができる。前記コイルは、プロセスチャンバ100のプラズマ空間で誘導結合されたプラズマ(inductively coupled plasma)を発生させることができる。ここで、前記コイルの個数や配置などは、必要に応じて適宜変更できる。
【0073】
上部プラズマ活性化部130は、上部電極131にプラズマソースパワーを印加することができる。例えば、上部プラズマ活性化部130は、プラズマソースエレメントであって、ソースRF電源133及びソースRF整合器135などを含むことができる。ソースRF電源133は高周波(RF)信号を発生させることができる。ソースRF整合器135は、ソースRF電源133から発生したRF信号のインピーダンスをマッチングして、上部電極131のアンテナコイルを用いて発生させるプラズマを制御することができる。
【0074】
下部プラズマ活性化部140は、上部電極141、バイアスRF電源143、バイアスRF整合器145などを含むことができる。
【0075】
下部電極141は、基板支持部110の内部に配置される。
【0076】
下部プラズマ活性化部140は、下部電極141にバイアスソースパワーを印加することができる。例えば、下部プラズマ活性化部140は、バイアスエレメントであって、バイアスRF電源143及びバイアスRF整合器145を含むことができる。下部電極141は、プロセスチャンバ100内で発生したプラズマ原子又はイオンを引き付けることができる。バイアスRF電源143は、高周波(RF)信号を発生させることができる。バイアスRF整合器145は、下部電極141に印加されるバイアス電圧及びバイアス電流を調節してバイアスRFのインピーダンスをマッチングさせることができる。バイアスRF電源143とソースRF電源133は、制御手段(図示せず)の同調器を介して互いに同期化又は非同期化され得る。
【0077】
前記制御手段は、前記プラズマ活性化手段を制御して上部プラズマ空間150及び下部プラズマ空間160を選択的に活性化させることができる。
【0078】
前記制御手段は、上部プラズマ活性化部130及び下部プラズマ活性化部140に接続され、これらの動作を制御することができる。前記制御手段は、マイクロコンピュータ及び各種インターフェースを含み、外部メモリ又は内部メモリに保存されるプログラム及びレシピ情報に基づいてプラズマ処理装置10の動作を制御することができる。
【0079】
特に、前記制御手段は、下部プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して基板表面に対する粗さを調節した後、上部プラズマ空間を活性化させ、イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングしながら、ラジカルは基板表面に向かって拡散させて前記基板表面の全領域に対する水酸基(-OH)の生成を制御することができる。
【0080】
このような制御手段の動作については、以後、具体的な実施形態を介して考察する。
【0081】
イオンブロッカー200は、プロセスチャンバ100内の上部空間に配置されて上部プラズマ空間150を区画することができる。一例として、イオンブロッカー200の上部に上部プラズマ空間150を形成させ、基板の上部に下部プラズマ空間160を形成させることができる。
【0082】
図4及び
図5は、本発明による基板処理装置のイオンブロッカーに対する一実施形態を示すが、以下、
図4及び
図5を参照してイオンブロッカー200を説明する。
【0083】
イオンブロッカー200は、上部プレート210と下部プレート250とを含み、上部プレート210と下部プレート250との間に設けられる拡散空間230を含むことができる。
【0084】
上部プレート210には、上部プラズマ空間のガスを拡散空間230へ流入させる貫通孔であって、ガス流入孔211が複数設けられ、下部プレート250には、拡散空間230上のガスを下部プラズマ空間へ拡散させる貫通孔であって、ガス排出孔251が複数設けられる。
【0085】
上部プレート210に設けられた複数のガス流入孔211と下部プレート250に設けられた複数のガス排出孔251は、仮想の延長線が互いにずれるように配置される。つまり、上部プレート210のガス流入孔211に対する仮想の延長孔は、下部プレート250の上面と遭遇して閉塞され、かつ、下部プレート250のガス排出孔251に対する仮想の延長孔は、上部プレート210の下面と遭遇して閉塞される。
【0086】
このようなイオンブロッカー200の構造によってイオンをフィルタリングしながら、ラジカルは基板表面へ拡散させることができるが、イオンブロッカー200の動作については、以後、実施形態によってより詳細に説明する。
【0087】
上部プレート210のガス流入孔211と下部プレート250のガス排出孔251は、その個数や配置形態などが必要に応じて様々に変形することができる。
【0088】
基板処理装置10は、プロセスチャンバ100の内部へプラズマガスを供給するためのガス供給手段300を含むことができる。
【0089】
ガス供給手段300は、プロセスガス(Process Gas)を供給することができ、また、プロセスガス以外にもキャリアガス(Carrier Gas)を供給することができる。プロセスガスとしては、プラズマ処理される対象基板の特性に応じてN2、O2などのガスが選択できる。キャリアガスは、プロセスガスと反応せず、且つ基板の上面と反応しない気体であって、Arなどの不活性ガスなどを含むことができる。
【0090】
ガス供給手段300は、流量制御器(FRC:Flow rate controller)を含むことにより、プロセスガスとキャリアガスの供給量を調節することができる。一例として、流量制御器(FRC:Flow rate controller)は、質量流量制御器(MFC:Mass Flow Controller)を含むことができる。
【0091】
また、本発明では、上述した本発明による基板処理装置を介して基板表面の全領域に対して均一に水酸基(-OH)を生成して均一度(Uniformity)を確保するための基板処理方法を提示する。
【0092】
図6は、本発明による基板処理方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【0093】
プラズマ空間を活性化させ、プロセスガスを供給して基板表面に対する水酸基(-OH)生成の環境を造成することができる。好ましくは、上部プラズマ空間は、不活性化状態に維持しながら下部プラズマ空間のみを活性化させ、プロセスガス(Process Gas)を供給(S100)することができる。
【0094】
プロセスガスの供給によって下部プラズマ空間上でラジカル(Radical)とイオン(Ion)が生成でき、ラジカルを介して基板表面の一部領域に水酸基(-OH)を生成しながら、イオンを介して基板表面の粗さを調節して水酸基形成のための環境を造成(S200)することができる。
【0095】
そして、上部プラズマ空間を活性化させながらプロセスガスを供給(S300)することにより、イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングしながら、ラジカルのみ基板表面に提供(S400)することができる。
【0096】
イオンブロッカーを介してイオンは基板表面に到達せず、ラジカルのみ到達することにより、基板表面上で水酸基が形成されていない残りの領域に水酸基(-OH)を生成することができる。
【0097】
このように基板表面の全領域に均一に水酸基(-OH)を形成させることにより、十分な水酸基(-OH)の量が確保されるとともに、基板表面の全体的な水酸基(-OH)の均一度を調節(S500)することができる。
【0098】
本発明による基板処理方法について、より具体的な実施形態によってさらに詳細に検討する。
【0099】
まず、基板表面に対する水酸基形成のための環境を造成する過程に関連して、
図7は、本発明による基板処理方法の水酸基形成のための環境造成過程に対する一実施形態のフローチャートを示し、
図8及び
図9は、基板処理方法の水酸基形成のための環境造成過程に対する一例を示す。
【0100】
制御手段は、下部プラズマ活性化部140を制御して電力を供給するとともに、ガス供給手段300を介してプロセスガス(Process Gas)PGを供給(S110)することができる。下部プラズマ活性化部140によって下部プラズマ空間160を活性化(S120)させることができる。そして、供給されたプロセスガスPGを介して下部プラズマ空間160でラジカルとイオンが生成できる。
【0101】
図8を参照すると、制御手段を介して、上部プラズマ活性化部130が電力供給を遮断して上部プラズマ空間150は不活性化状態を維持しながら、下部プラズマ活性化部140が電力を供給して下部プラズマ空間160は活性化できる。
【0102】
ガス供給手段300を介して供給されたプロセスガスPGは、基板表面に向かって拡散して下部プラズマ空間160に到達し、下部プラズマ空間160でラジカルRとイオンIが生成できる(S130)。
【0103】
さらに、制御手段は、ガス供給手段300を介してプロセスガスと共にキャリアガスをさらに供給することにより、プロセスガスPGをより円滑に基板表面に向かって供給することもできる。また、キャリアガスを介してプロセスガスの拡散速度を制御することもできる。
【0104】
生成されたラジカルRとイオンIによって基板Wの表面処理(S210)が行われる。例えば、
図9に示すように生成されたラジカルRを介して基板Wの表面に水酸基(-OH)が生成され、イオンIも基板Wの表面に到達するので、イオンIによって生成された一部の水酸基(-OH)は破壊される。したがって、基板W表面の部分的な一部領域A1でのみ水酸基(-OH)が維持される。
【0105】
また、イオンIが基板W表面の一部領域A2に到達することにより、基板W表面の粗さが調節される。ここで、基板W表面の粗さが調節された一部領域A2は、以後、水酸基(-OH)がより安定して形成できる環境を提供することができる。
【0106】
このように下部プラズマ空間160を活性化させながら、プロセスガスPGを供給することにより、基板W表面の一部領域に水酸基(-OH)が形成されるとともに、基板W表面の粗さを調節(S220)して、よりスムーズかつ安定した水酸基(-OH)形成のための環境を造成することができる。
【0107】
次に、基板表面の全領域に均一に水酸基を形成させる過程に関連して、
図10は本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程に対する一実施形態のフローチャートを示し、
図11~
図15は、本発明による基板処理方法の基板表面全体に水酸基を均一に形成させる過程の一例を示す。
【0108】
制御手段は、上部プラズマ活性化部130を制御して電力を供給するとともに、ガス供給手段300を介してプロセスガス(Process Gas)を供給(S310)することができる。上部プラズマ活性化部130によって上部プラズマ空間150を活性化(S320)させることができる。そして、供給されたプロセスガスを介して上部プラズマ空間150でラジカルとイオンが生成される。
【0109】
図11を参照すると、制御手段は、上部プラズマ活性化部130の制御によって電力を供給して上部プラズマ空間150を活性化させることができる。また、制御手段は、ガス供給手段300を制御してプロセスガスを供給することにより、上部プラズマ空間でラジカルRとイオンIを生成することができる。
【0110】
上部プラズマ空間150で生成されたラジカルRとイオンIは、イオンブロッカー200に流入し、イオンブロッカー200を介してイオンIはフィルタリング(S310)し、ラジカルRのみ基板Wの表面に向かって拡散(S420)させることができる。
【0111】
図12及び
図13を参照すると、上部プラズマ空間150で生成されたラジカルRとイオンIは、イオンブロッカー200の上部プレート210に設けられたガス流入孔211を通過して拡散空間230へ流入する。このとき、イオンIは、極性による移動方向の特性により直進するので、上部プラズマ空間150のイオンIのうち、移動方向がガス入口孔211と一致しないイオンIは、上部プレート210によって一次的にフィルタリングできる。
【0112】
上部プラズマ空間150のイオンIのうち、移動方向がイオンブロッカー200のガス流入孔211と一致するイオンIは、拡散空間230へラジカルRと共に流入する。
【0113】
イオンブロッカー200の拡散空間230に存在するラジカルRは、下部プレート250に設けられたガス排出孔251を通過して基板Wの表面に向かって拡散する。このとき、イオンブロッカー200の拡散空間230に流入したイオンIは、移動方向が上部プレート210のガス流入孔211と一致するので、下部プレート250に設けられたガス排出孔251とはずれる。したがって、拡散空間230に流入したイオンIは、下部プレート250に設けられたガス排出孔251によって二次的にフィルタリングされる。
【0114】
さらに、制御手段は、ガス供給手段300を介してプロセスガスと共にキャリアガスをさらに供給することにより、ラジカルRをより円滑に基板表面に向かって供給するとともに、イオンIの移動速度をより速く調節することにより、様々な要因によりイオンIの移動方向が変化する状況を防止することができる。
【0115】
その上、制御手段は、下部プラズマ活性化部140を介して下部プラズマ空間160も一緒に活性化させることもできる。
【0116】
ラジカルRを基板W表面に向かって拡散させることにより、ラジカルRが基板Wに到達して水酸基を形成(S510)することができる。
【0117】
図14及び
図15を参照すると、イオンブロッカー200を介してイオンIはフィルタリングされ、ラジカルRのみ基板Wの表面に向かって拡散して基板Wの表面に水酸基(-OH)が生成される。このとき、先立って基板W表面の一部領域A1には水酸基(-OH)が形成された状態であるので、残りの一部領域A2に水酸基(-OH)を生成することができる。また、基板W表面の粗さ調節による環境造成によって、残りの一部領域A2上にさらに安定かつ効果的に水酸基(-OH)が生成できる。
【0118】
このような過程を介して基板W表面の全領域に均一に分布しながら十分な量の水酸基(-OH)を形成することにより、水酸基の均一度を調節(S520)することができる。
【0119】
上述した本発明によって、基板表面に全体的に均一に十分な量の水酸基(-OH)を形成させることができる。
【0120】
特に、基板表面に対するプラズマ処理工程中にイオン(Ion)の影響により基板上面に水酸基(-OH)の生成と破壊が繰り返し起こることにより、最終的にプラズマ処理が完了した基板表面に水酸基(-OH)が均一に分布できず、十分な量の水酸基(-OH)を生成することができないという問題を解決することにより、基板接合の際に全体的に均一に共有結合を形成させることができる。
【0121】
さらに、前処理工程を介して基板表面の粗さを調節して水酸基(-OH)の安定的な生成を図る環境を造成し、以後、イオンブロッカーを介してイオンはフィルタリングし、ラジカル(Radical)のみ基板表面に向かって拡散させることにより、基板表面上に水酸基(-OH)が形成されていない空領域に均一に水酸基(-OH)が分布するように水酸基の均一度を調節することができる。
【0122】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、種々の修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に記載の実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、これらの実施形態によって本発明の技術思想が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0123】
1 基板接合システム
10 基板処理装置
50 洗浄装置
60 整列装置
70 基板接合装置
100 プロセスチャンバ
110 基板支持部
130 上部プラズマ活性化部
140 下部プラズマ活性化部
150 上部プラズマ空間
160 下部プラズマ空間
200 イオンブロッカー
210 上部プレート
211 ガス流入孔
230 拡散空間
250 下部プレート
251 ガス排出孔
300 ガス供給手段