(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099937
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】超音波画像処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230707BHJP
A61N 7/02 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A61B8/14
A61N7/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000213
(22)【出願日】2022-01-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】720007925
【氏名又は名称】ソニア・セラピューティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅村 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 晋
(72)【発明者】
【氏名】潮崎 育美
【テーマコード(参考)】
4C160
4C601
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
4C601DE08
4C601DE12
4C601EE09
4C601EE10
4C601FF11
4C601FF16
4C601JB28
4C601JC06
4C601JC11
(57)【要約】
【課題】本発明は、治療用超音波に基づく気泡が発生している領域を明確に示すことを目的とする。
【解決手段】コントローラ22は、超音波プローブ16から異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、超音波プローブ16で受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する。コントローラ22は、複数の受信信号を加算合計して高調波受信信号を生成する。コントローラ22は、複数の受信信号のうちの1つである基本波受信信号を取得する。コントローラ22は、高調波受信信号の値と、基本波受信信号の値との相違を表す比較値を求める。コントローラ22は、高調波受信信号または基本波受信信号が示す処理対象画素が、キャビテーション領域を示すか、通常領域を示すかを、比較値に基づいて判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブから異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、前記超音波プローブで受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する受信処理と、
複数の前記受信信号を合成して高調波受信信号を生成する合成処理と、
前記高調波受信信号の値と、複数の前記受信信号のうちの1つである基本波受信信号の値との相違を表す比較値を求める比較処理と、を実行するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記高調波受信信号または前記基本波受信信号が示す超音波画素が、キャビテーション領域を示すか、通常領域を示すかを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理は、
前記基本波受信信号の値に対して前記高調波受信信号の値が所定程度を上回ることを、前記超音波画素に対応する前記比較値が示すときに、前記超音波画素が前記キャビテーション領域を示すと判定する処理を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波画像処理装置において、
複数の前記受信信号は、360°/Mの位相差を持たせて前記超音波プローブから順次送信されたM通りの超音波に基づいて、前記超音波プローブで受信された複数の反射超音波に基づく信号であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波画像処理装置において、
前記比較値は、前記基本波受信信号の値に対する前記高調波受信信号の値の比に基づく値であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波画像処理装置において、
前記超音波プローブは、
各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を有することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波画像処理装置において、
各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタを備え、
前記判定処理は、
前記フィルタによって高調波成分を減衰させた各前記受信信号に基づく処理であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超音波画像処理装置において、
前記コントローラは、
前記キャビテーション領域と前記通常領域とを異なる態様で表示する画像データを、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号に基づいて生成することを特徴とする超音波画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像処理装置に関し、特に、治療用超音波を用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度焦点式超音波療法を用いた治療装置が広く用いられている。この治療装置は、HIFU照射装置あるいはHIFU照射システムと称され(High Intensity Focused Ultrasound)、治療部位に超音波を照射して組織を壊死させる。
【0003】
一般に、HIFU照射装置は、椀状の面に配置された複数の超音波振動子を備えている。複数の超音波振動子は、それぞれから発せられた超音波が一点に照射され焦点を形成するように配置されている。治療の際には、焦点の位置が治療部位に合わせられ超音波が照射される。照射位置の確認には、超音波画像上に焦点を表す超音波診断装置が用いられる。
【0004】
以下の特許文献1には、Bモード画像(断層画像)を表示する超音波診断装置を用いて焦点の位置を観測する超音波治療装置が記載されている。この装置では、組織に影響のない弱いレベルの超音波が治療用の超音波振動子から発せられると共に、超音波イメージングプローブによる超音波の送受信によって断層画像が表示される。被検体の組織の音響特性は組織の温度変化に応じて変化するため、断層画像には焦点の位置が輝度の強弱によって示される。
【0005】
以下の特許文献2には、本願発明に関連する技術として、マイクロバブル系造影剤により散乱されて生じるエコー成分を、送信パルスの非線形伝播により生ずる成分から峻別して映像化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-71069号公報
【特許文献2】国際公開第2005/087109号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、生体組織の患部に治療用超音波を照射すると、キャビテーションによって照射箇所に気泡(空洞)が生じる。従来のHIFU照射装置を用いた治療では、治療用超音波が患部に照射されたことの確認が、キャビテーションによって発生する気泡の位置の観測と、患者の生体組織の観測とによって行われていた。気泡の位置の観測は、例えば、超音波プローブから患部に向けて超音波を送信し、気泡の周囲から発生する高調波を超音波プローブで受信するハーモニックイメージングによって行われる。また、患者の生体組織の観測は、超音波プローブによる超音波の送受信によってBモード画像を取得することで行われる。しかし、生体組織には、超音波の伝搬特性が不連続となっている高強度散乱体が存在する場合がある。従来の技術ではハーモニックイメージングを用いた確認方法では、高強度散乱体に基づくノイズが画像に現れてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、治療用超音波に基づく気泡が発生している領域を明確に示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超音波プローブから異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、前記超音波プローブで受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する受信処理と、複数の前記受信信号を合成して高調波受信信号を生成する合成処理と、前記高調波受信信号の値と、複数の前記受信信号のうちの1つである基本波受信信号の値との相違を表す比較値を求める比較処理と、を実行するコントローラを備え、前記コントローラは、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号が示す超音波画素が、キャビテーション領域を示すか、通常領域を示すかを判定する判定処理を実行し、 前記判定処理は、前記基本波受信信号の値に対して前記高調波受信信号の値が所定程度を上回ることを、前記超音波画素に対応する前記比較値が示すときに、前記超音波画素が前記キャビテーション領域を示すと判定する処理を含むことを特徴とする。
【0010】
望ましくは、複数の前記受信信号は、360°/Mの位相差を持たせて前記超音波プローブから順次送信されたM通りの超音波に基づいて、前記超音波プローブで受信された複数の反射超音波に基づく信号である。
【0011】
望ましくは、前記比較値は、前記基本波受信信号の値に対する前記高調波受信信号の値の比に基づく値である。
【0012】
望ましくは、前記超音波プローブは、各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を有する。
【0013】
望ましくは、各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタを備え、前記判定処理は、前記フィルタによって高調波成分を減衰させた各前記受信信号に基づく処理である。
【0014】
望ましくは、前記コントローラは、前記キャビテーション領域と前記通常領域とを異なる態様で表示する画像データを、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号に基づいて生成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、治療用超音波に基づく気泡が発生している領域を明確に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】治療用超音波とイメージング超音波の各時間波形を概念的に示す図である。
【
図3】キャビテーション領域判別処理を示すフローチャートである。
【
図4】基本波受信信号および高調波受信信号のパワーの周波数スペクトラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示されている同一の事項については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係るHIFU照射装置1の構成が示されている。HIFU照射装置1は、HIFU振動子ユニット10、超音波プローブ16、カップリング袋18、超音波送受信部20、コントローラ22、HIFU駆動部24および表示装置26を備えている。
【0019】
HIFU振動子ユニット10は、開口が下方に向けられた容器形状の筐体12と、筐体12に固定された複数の超音波振動子14を備えている。複数の超音波振動子14は、例えば上に凸の湾曲面状に配置され、各超音波振動子14が超音波を発したときに、筐体12の下方の治療基準点Pで、超音波の強度が強められるように筐体12に固定されている。すなわち、各超音波振動子14は、治療基準点Pに焦点を形成するように筐体12に固定されている。
【0020】
超音波プローブ16は、筐体12の下方、かつ、治療基準点Pの上方の位置で超音波が送受信されるように、筐体12に取り付けられている。本実施形態では、筐体12の頂点部を超音波プローブ16が上下方向に貫通し、超音波を送受信する先端部が下方に向けられている。超音波プローブ16の先端部には、複数のイメージング超音波振動子28が配置されている。超音波プローブ16は、上下方向に移動自在であってもよい。また、超音波プローブ16は、長手方向の軸を中心に回転自在であってもよい。
【0021】
HIFU振動子ユニット10の下方には、各超音波振動子14と患者との間、および超音波プローブ16と患者との間の音響インピーダンスを整合させるカップリング袋18が設けられている。カップリング袋18は、水等の液体が充填された袋であってよい。
【0022】
コントローラ22は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ等であってよい。コントローラ22には、ユーザがHIFU照射装置1を操作するための操作機器(図示せず)が接続されている。操作機器は、マウス、表示装置26と一体化されたタッチパネル、スイッチ、キーボード等を含んでよい。
【0023】
HIFU駆動部24は、各超音波振動子14を駆動して超音波を発生させる電気回路を含んでよい。HIFU駆動部24は、コントローラ22の制御に応じて、各超音波振動子14に超音波を発生させる。また、HIFU駆動部24は、コントローラ22の制御に応じて、各超音波振動子14が発生する超音波の強度を調整する。
【0024】
超音波送受信部20は、超音波プローブ16が備える複数のイメージング超音波振動子28に電気信号を出力し、イメージング超音波振動子28から出力された電気信号を取得する電気回路を含む。超音波送受信部20は、コントローラ22の制御に応じて、次のような処理を実行する。すなわち、超音波送受信部20は、超音波プローブ16にイメージング超音波を送信させ、送信されるイメージング超音波によるビーム(超音波ビーム)を走査させる。超音波ビームは、筐体12の最上部から上下に伸びる中心軸Aを含む観測面で走査される。超音波送受信部20は、超音波ビームが向けられた方向から到来する反射超音波を超音波プローブ16に受信させ、超音波ビームが向けられた各方向から受信された反射超音波に基づく受信信号を取得し、コントローラ22に出力する。
【0025】
コントローラ22は、観測面で得られた受信信号に基づいて超音波データを生成する。超音波データは、患者の生体組織で高調波成分が発生した領域(キャビテーション領域)を示す照射領域データ、または、患者の生体組織に対して取得されたBモード画像(断層画像)を示すBモード画像データであってよい。
【0026】
なお、超音波送受信部20は、超音波プローブ16に平面波を発生させてもよい。この場合、超音波プローブ16に配列された複数のイメージング超音波振動子28から同時にイメージング超音波が送信される。超音波送受信部20は、各イメージング超音波振動子28で受信された反射超音波に基づく各受信信号を取得し、コントローラ22に出力する。コントローラ22は、複数のイメージング超音波振動子28に対応する複数の受信信号に基づいて超音波データを生成する。
【0027】
治療用の超音波がHIFU振動子ユニット10から患者に照射される前には、例えば、以下のような位置決め処理が実行される。HIFU駆動部24は、各超音波振動子14に、治療時よりも強度が小さい超音波を送信させる。超音波送受信部20は、コントローラ22の制御によって、観測面で超音波プローブ16に超音波ビームを走査させ、超音波データとしてBモード画像データを取得し、コントローラ22に出力する。コントローラ22は、Bモード画像を表示装置26に表示させる。施術者としてのユーザは、表示装置26に表示されたBモード画像を参照して、HIFU振動子ユニット10から送信される超音波の焦点と患部の位置との相違を確認する。
【0028】
ユーザは、焦点の位置と患部の位置との相違が許容範囲内でないときは、超音波プローブ16およびHIFU振動子ユニット10の位置または姿勢を変更する。ユーザは、焦点の位置と患部の位置とが一致していることを確認した後に、コントローラ22に対して治療のための操作を行う。コントローラ22は、ユーザによる操作に応じてHIFU駆動部24を制御する。HIFU駆動部24は、コントローラ22による制御に応じて、治療に必要な強度を有する治療用超音波を各超音波振動子14に送信させる。これによって、焦点において生体組織が焼灼され、治療が施される。
【0029】
HIFU照射装置1は、治療用超音波を患者に照射しながら、治療用超音波が照射された照射領域を示す画像を、Bモード画像に重ねて表示装置26に表示する照射領域表示処理を実行する。ここで、2つの画像を重ねて表示する処理は、一方の画像を透かして他方の画像が見通せるように画像データを合成して新たな画像データを生成し、その新たな画像データに基づく画像を表示する処理であってよい。
図2には、照射領域表示処理が実行される際に、HIFU振動子ユニット10から送信される治療用超音波30と、超音波プローブ16から送信されるイメージング超音波38の時間波形が概念的に示されている。
【0030】
治療用超音波30は、強レベル超音波32と、強レベル超音波32に続く弱レベル超音波34とを含む強弱超音波パルス36から構成される。強弱超音波パルス36は、時間経過と共にHIFU振動子ユニット10から繰り返し送信される。時間軸上で隣接する強弱超音波パルス36の間には、照射休止期間40が設けられており、照射休止期間40では、治療用超音波30の送信が停止される。
【0031】
HIFU振動子ユニット10から強弱超音波パルス36が送信されると、焦点において生体組織が焼灼される。強レベル超音波32が生体組織に照射される共に、生体組織からは気泡が発生し、弱レベル超音波34の照射によって気泡が発生した状態が維持される。
【0032】
図2に示される例では、照射休止期間40の間、超音波プローブ16からは、3回に亘って超音波データ生成用のイメージング超音波38が送信される。第2回目に送信される第2イメージング超音波38-2は、第1回目に送信される第1イメージング超音波38-1に対して位相が120°だけ遅れている。第3回目に送信される第3イメージング超音波38-3は、第2イメージング超音波38-2に対して位相が120°だけ遅れている。
【0033】
各イメージング超音波38は生体組織内で反射する。強弱超音波パルス36によって発生した気泡の周囲で各イメージング超音波38が反射する際には、高調波が発生する。したがって、生体組織から反射する反射超音波には、基本波に加えて気泡に起因する高調波が含まれる。一般に、発生する気泡の量が多い程、発生する高調波の強度が大きくなる。
【0034】
図1に戻って、HIFU照射装置1が各イメージング超音波38に対する反射波を受信する処理について説明する。超音波プローブ16は、第1イメージング超音波38-1~第3イメージング超音波38-3に対する第1反射超音波~第3反射超音波を受信し、それぞれ、第1受信信号~第3受信信号を超音波送受信部20に出力する。超音波送受信部20は、第1受信信号~第3受信信号に対する増幅等を行い、コントローラ22に出力する。
【0035】
コントローラ22は、第1受信信号~第3受信信号を加算合計(合成)した高調波受信信号を生成する。第1イメージング超音波38-1~第3イメージング超音波38-3の位相関係によって、第1受信信号~第3受信信号を加算合計した信号では、基本波成分が抑制される。
【0036】
超音波プローブ16から送信されるイメージング超音波が超音波ビームを形成する場合、コントローラ22は、超音波ビームが向けられた各方向から到来した第1反射超音波~第3反射超音波に対して高調波受信信号を生成する。コントローラ22は、各方向に対して生成された高調波受信信号に基づいて照射領域データを生成する。照射領域データは、ハーモニックイメージングに基づく照射領域画像を示す画像データに相当する。照射領域画像は、イメージング超音波が送信された領域のうち気泡が発生したキャビテーション領域と気泡が発生していない通常領域とを示す。
【0037】
コントローラ22は、第1受信信号~第3受信信号のうち1つを基本波受信信号とし、基本波受信信号からBモード画像を生成する。例えば、コントローラ22は、超音波ビームが向けられた各方向から到来した第2反射超音波に基づいて、各方向についての基本波受信信号を生成し、各方向へのBモード画像の画素データを各基本波受信信号から生成し、各方向について生成された画素データに基づいてBモード画像データを生成する。なお、Bモード画像データの元となる反射超音波は、第1反射超音波であってもよいし、第3反射超音波であってもよい。すなわち、第1受信信号が基本受信信号とされてもよいし、第3受信信号が基本受信信号とされてもよい。
【0038】
なお、超音波プローブ16から送信されるイメージング超音波が平面波を形成する等、必ずしも超音波ビームを形成しない場合、コントローラ22は、超音波プローブ16が備える各イメージング超音波振動子28で受信された第1反射超音波~第3反射超音波に対して高調波受信信号を生成する。すなわち、コントローラ22は、複数のイメージング超音波振動子28のそれぞれについて高調波受信信号を生成する。コントローラ22は、複数のイメージング超音波振動子28に対して生成された複数チャネルの高調波受信信号に基づいて照射領域データを生成する。また、コントローラ22は、各イメージング超音波振動子28で受信された第1反射超音波~第3反射超音波のうちの1つに基づいて、Bモード画像データを生成する。すなわち、コントローラ22は、複数のイメージング超音波振動子28のそれぞれについて基本波受信信号を取得する。
【0039】
上記では、超音波データ生成用のイメージング超音波を3回に亘って送信する処理について説明した。イメージング超音波は、2回または4回以上に亘って送信されてもよい。イメージング超音波をM回に亘って送信する場合、時間軸上で隣接するイメージング超音波の位相差が360°/Mとされる。あるいは、送信順序とは無関係に、θ+i・360°/M(θは任意の位相、iは0~M-1の整数)の位相が、M個のイメージング超音波に割り当てられるように各イメージング超音波の位相が設定されてもよい。
【0040】
コントローラ22は、第1受信信号~第M受信信号を加算合計して高調波受信信号を生成する。また、コントローラ22は、第1反射超音波~第M反射超音波のうちの1つに基づいて基本波受信信号を生成し、基本波受信信号からBモード画像を生成する。
【0041】
コントローラ22は、照射領域データおよびBモード画像データに基づいて、Bモード画像に照射領域画像を重ねた画像(Bモード照射領域画像)を表示装置26に表示させる。
【0042】
コントローラ22は、フレーム時間間隔(フレームレートの逆数)で、照射領域データおよびBモード画像データを生成する。コントローラ22は、時間経過と共に順次、Bモード照射領域画像を表示装置26に表示させる。
【0043】
本実施形態に係るHIFU照射装置1が実行するキャビテーション領域判別処理について説明する。生体組織には、超音波の伝搬特性が不連続となっている高強度散乱体が存在する場合がある。そのため、高調波受信信号をそのまま用いた照射領域画像には、高強度散乱体に基づくノイズが現れてしまうことがある。これによって、照射領域画像に気泡の像が現れているのか、ノイズが現れているのかをユーザが判断することが困難な場合があった。
【0044】
そこで、本実施形態に係るHIFU照射装置1は、キャビテーション領域判別処理を実行する。すなわち、HIFU照射装置1は、照射領域画像、Bモード照射領域画像またはBモード画像の各画素がキャビテーション領域を示す画素であるか、通常領域を示す画素であるかを判定する。HIFU照射装置1は、例えば、キャビテーション領域を示す画素と、通常領域を示す画素とが異なる態様で表示されるように、照射領域画像、Bモード照射領域画像またはBモード画像を表示する。HIFU照射装置1は、例えば、キャビテーション領域を示す画素と、通常領域を示す画素とが異なる色彩や異なる輝度となるように、照射領域画像、Bモード照射領域画像またはBモード画像を表示してよい。
【0045】
図3には、キャビテーション領域判別処理を示すフローチャートが示されている。
図2を参照して説明したように、コントローラ22は、HIFU振動子ユニット10に治療用超音波を送信させると共に、超音波プローブ16に3回に亘って、1つの超音波ビームの方向にイメージング超音波を送信させ、第1反射超音波~第3反射超音波を受信させる。コントローラ22は、第1反射超音波~第3反射超音波に応じて生成された第1受信信号~第3受信信号を加算合計して、高調波受信信号を生成する(S11)。また、第1受信信号~第3受信信号のうち、予め定められた受信信号を基本波受信信号として取得する(S12)。
【0046】
1つの超音波ビームの方向について取得された高調波受信信号および基本波信号のそれぞれからは、超音波プローブ16から生体組織に進行する方向(深さ方向)に配列される複数の画素の各画素値が取得される。ステップS13~S18を一巡する処理は、深さ方向に配列される複数の画素から順に選択される1つの処理対象画素について実行される。
【0047】
コントローラ22は、深さ方向に配列される複数の画素のうち、順に選択される1つである処理対象画素について、処理対象画素情報を取得する(S13)。処理対象画素情報は、高調波受信信号が処理対象画素に対して示す値Ph(高調波受信信号値Ph)と、基本波受信信号が処理対象画素に対して示す値P1(基本波受信信号値P1)とを対応付けた情報(Ph,P1)である。高調波受信信号値Phおよび基本波受信信号値P1は、処理対象画素から浅い方向に配列された他の1つ若しくは複数の画素、深い方向に配列された他の1つ若しくは複数の画素、または、浅い方向および深い方向に配列された他の複数の画素と、処理対象画素について移動平均をとった値であってもよい。
【0048】
コントローラ22は、処理対象画素に対して比較値Cを求める(S14)。ここで、比較値Cは、基本波受信信号値P1に対する高調波受信信号値Phの比である。コントローラ22は、C=Ph/P1として比較値Cを求める。
【0049】
コントローラ22は、比較値Cが予め定められた閾値Tより大きいか否かを判定する(S15)。ここで、閾値Tは、コントローラ22に接続された操作機器をユーザが操作することによって、コントローラ22に読み込まれた値であってよい。また、閾値Tは、治療用超音波を送信していないときにおける基本波受信信号値P10に対する高調波受信信号値Ph0の比から、T=Ph0/P10として求められてもよい。
【0050】
比較値Cが閾値Tよりも大きいときは(S16)、コントローラ22は、処理対象画素に対してキャビテーション領域処理を施す。キャビテーション領域処理は、例えば、処理対象画素がキャビテーション領域を示す画素であることを示すフラグ情報F=1を、処理対象画素情報(Ph,P1)に付加して、領域識別画素情報(Ph,P1,F(=1))を生成する処理であってよい。
【0051】
比較値Cが閾値T以下であるときは、コントローラ22は、処理対象画素に対して通常領域処理を施す(S17)。通常領域処理は、例えば、処理対象画素が通常領域を示す画素であることを示すフラグ情報F=0を、処理対象画素情報(Ph,P1)に付加して、領域識別画素情報(Ph,P1,F(=0))を生成する処理であってよい。
【0052】
比較値Cと閾値Tとの比較に基づいて、処理対象画素がキャビテーション画素を示すか否かを判定することができる原理については後述する。
【0053】
コントローラ22は、1つの超音波ビームの方向について取得された高調波受信信号および基本波信号について、総ての画素に対してステップS13~S17の処理が実行されたか否かを判定する(S18)。コントローラ22は、総ての画素に対してステップS13~S17の処理が実行されていないときは、ステップS13の処理に戻り、深さ方向に配列される複数の画素から、次の処理対象画素情報を取得する(S13)。コントローラ22は、総ての画素に対してステップS13~S17の処理が実行されたと判定したときは、1つの超音波ビームの方向についてのステップS11~S18の処理を終了する。コントローラ22は、走査によって変化する超音波ビームの方向にそれぞれについて、ステップS11~S18の処理を実行する。
【0054】
コントローラ22は、1フレーム分(1枚の画像分)の領域識別画素情報(Ph,P1,F)を取得するごとに、1フレーム分の領域識別画素情報(Ph,P1,F)に基づいて、照射領域データ、Bモード照射領域画像データまたはBモード画像データを生成する。これらの画像データでは、キャビテーション領域を示す画素と、通常領域を示す画素とが異なる表示態様とされる。例えば、コントローラ22は、領域識別画素情報(Ph,P1,F)に含まれるフラグ情報Fが1であるときは、高調波受信信号値Phまたは基本波受信信号値P1に対し、キャビテーション領域に割り当てられた色彩を割り当てる。また、コントローラ22は、領域識別画素情報(Ph,P1,F)に含まれるフラグ情報Fが0であるときは、高調波受信信号値Phまたは基本波受信信号値P1に対し、通常領域に割り当てられた色彩を割り当てる。
【0055】
上記では、1つの超音波ビームの方向について取得された高調波受信信号および基本波信号について、ステップS13~S17の処理を実行する実施形態について説明した。ステップS13~S17の処理は、1フレーム分の複数の基本波受信信号および複数の基本波受信信号について実行してもよい。例えば、超音波プローブ16から平面波のイメージング超音波を送信する場合、複数のイメージング超音波振動子28に対して複数の高調波受信信号が同時に取得され、複数の基本波受信信号が同時に取得される。そのため、1フレーム分の複数の画素のそれぞれについてステップS13~S17の処理が実行されてよい。この場合、ステップS13~S18を一巡する処理は、1フレーム、すなわち、1枚の観測面に配列される複数の画素から順に選択される1つの処理対象画素について実行される。この場合、高調波受信信号値Phおよび基本波受信信号値P1は、処理対象画素と処理対象画素の周辺の画素について移動平均をとった値であってもよい。
【0056】
このように、本実施形態に係るHIFU照射装置1が備えるコントローラ22は、超音波画像処理装置を構成する。コントローラ22は、複数の受信信号を取得する受信処理を実行する。受信処理は、超音波プローブ16から異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、超音波プローブ16で受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する処理である。
【0057】
コントローラ22は、複数の受信信号を加算合計(合成)して高調波受信信号を生成する合成処理を実行する。コントローラ22は、複数の受信信号のうちの1つである基本波受信信号を取得する。コントローラ22は、さらに、高調波受信信号の値と、基本波受信信号の値との相違を表す比較値Cを求める比較処理を実行する。
【0058】
コントローラ22は、高調波受信信号または基本波受信信号が示す処理対象画素(超音波画素)が、キャビテーション領域を示すか、通常領域を示すかを判定する判定処理を実行する。この判定処理は、基本波受信信号の値に対して高調波受信信号の値が所定程度を上回ることを、処理対象画素に対応する比較値Cが示すときに、超音波画素がキャビテーション領域を示すと判定する処理を含む。
【0059】
また、複数の受信信号は、360°/Mの位相差を持たせて超音波プローブ16から順次送信されたM通りの超音波に基づいて、超音波プローブ16で受信された複数の反射超音波に基づく信号である。
【0060】
コントローラ22が実行する処理によれば、Bモード照射領域画像を表示装置26に表示する際には、キャビテーション領域と通常領域とが異なる態様によって表示される。これによって、治療用超音波に基づく気泡が発生している領域が明確に示される。
【0061】
キャビテーション領域判別処理の原理について説明する。
図4には、基本波受信信号および高調波受信信号のパワー(単位時間当たりのエネルギー)の周波数スペクトラムが示されている。この周波数スペクトラムは、超音波ビームを形成するイメージング超音波を超音波プローブ16から生体組織に送信し、超音波プローブ16で反射超音波を受信したという条件下におけるものである。
【0062】
超音波プローブ16から生体組織に送信されるイメージング超音波の中心周波数fは2MHzである。超音波プローブ16は、受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を有している。本実施形態における超音波プローブ16は、周波数1.5fより高域周波数帯で、超音波プローブ16から出力される信号を減衰させる。
【0063】
図4には、キャビテーション領域で発生した反射超音波に基づく基本波受信信号の周波数スペクトラム50と、高調波受信信号の周波数スペクトラム52が実線で示されている。また、通常領域で発生した反射超音波に基づく基本波受信信号の周波数スペクトラム54と、高調波受信信号の周波数スペクトラム56が破線で示されている。各周波数スペクトラムは、シミュレーションによって求められたものである。
図4に示されている縦軸の値は、基本波受信信号の単位周波数帯域幅当たりのパワーの最大値を0dBとして規格化されている。
【0064】
位相を120°ずつ異ならせて、3回に亘って異なるタイミングでイメージング超音波46を送信した場合、高調波受信信号には少なくとも周波数1.5fの成分と、周波数3fの成分が現れることが知られている。また、
図4から確認されるように、キャビテーション領域に対して求められる比較値Cの方が、通常領域に対して求められる比較値Cよりも大きくなる。
【0065】
そこで、キャビテーション領域判別処理では、比較値Cが所定の閾値Tより大きい処理対象画素がキャビテーション領域を表す画素であると判定され、比較値Cが所定の閾値T以下である処理対象画素が通常領域を表す画素であると判定される。
【0066】
キャビテーション領域に対して求められた比較値Cの方が、通常領域に対して求められた比較値Cよりも大きくなるという傾向(領域依存傾向)は、周波数1.5fよりも低域側の周波数帯域で顕著である。本実施形態に係るHIFU照射装置1では、超音波プローブ16の周波数特性を利用することで、領域依存傾向が顕著となっている。なお、超音波プローブ16の周波数特性を利用せずに、超音波プローブ16とは別に設けられたフィルタの周波数特性によって、領域依存傾向を顕著にしてもよい。この場合、超音波送受信部20は、受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタを有してよい。
【符号の説明】
【0067】
1 HIFU照射装置、10 HIFU振動子ユニット、12 筐体、14 超音波振動子、16 超音波プローブ、18 カップリング袋、20 超音波送受信部、22 コントローラ、24 HIFU駆動部、26 表示装置、28 イメージング超音波振動子、30 治療用超音波、32 強レベル超音波、34 弱レベル超音波、36 強弱超音波パルス、38,38-1~38-3 イメージング超音波、40 照射休止期間。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブから異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、前記超音波プローブで受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する受信処理と、
複数の前記受信信号を合成して高調波受信信号を生成する合成処理と、
複数の前記受信信号のうちの1つである基本波受信信号の値に対する、前記高調波受信信号の値の比に基づく比較値を求める比較処理と、を実行するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記高調波受信信号または前記基本波受信信号が示す超音波画素が、キャビテーション領域を示すか通常領域を示すかを、前記比較値に基づいて判定する判定処理と、
前記キャビテーション領域と前記通常領域とを異なる態様で表示する画像データを、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号に基づいて生成する処理と、を実行し、
前記判定処理は、前記比較値が所定の閾値よりも大きいときに、前記超音波画素が前記キャビテーション領域を示すと判定する処理を含み、
複数の前記受信信号は、360°/Mの位相差を持たせて前記超音波プローブから順次送信されたM通りの超音波に基づいて、前記超音波プローブで受信された複数の反射超音波に基づく信号であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波画像処理装置において、
HIFU照射装置に備えられ、
前記閾値は、
前記生体組織に治療用超音波が送信されていないときにおける、前記基本波受信信号の値に対する前記高調波受信信号の値の比であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の超音波画像処理装置において、
前記超音波プローブは、
各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を有することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の超音波画像処理装置において、
各前記受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタを備え、
前記判定処理は、
前記フィルタによって高調波成分を減衰させた各前記受信信号に基づく処理であることを特徴とする超音波画像処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
一般に、生体組織の患部に治療用超音波を照射すると、キャビテーションによって照射箇所に気泡(空洞)が生じる。従来のHIFU照射装置を用いた治療では、治療用超音波が患部に照射されたことの確認が、キャビテーションによって発生する気泡の位置の観測と、患者の生体組織の観測とによって行われていた。気泡の位置の観測は、例えば、超音波プローブから患部に向けて超音波を送信し、気泡の周囲から発生する高調波を超音波プローブで受信するハーモニックイメージングによって行われる。また、患者の生体組織の観測は、超音波プローブによる超音波の送受信によってBモード画像を取得することで行われる。しかし、生体組織には、超音波の伝搬特性が不連続となっている高強度散乱体が存在する場合がある。従来の技術ではハーモニックイメージングを用いた確認方法では、高強度散乱体に基づくノイズが画像に現れてしまうことがある。これによって、画像に気泡の像が現れているのか、ノイズが現れているのかをユーザが判断することが困難な場合があった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、超音波プローブから異なる位相およびタイミングで送信され、生体組織で反射し、前記超音波プローブで受信された複数の超音波に基づく複数の受信信号を取得する受信処理と、複数の前記受信信号を合成して高調波受信信号を生成する合成処理と、複数の前記受信信号のうちの1つである基本波受信信号の値に対する、前記高調波受信信号の値の比に基づく比較値を求める比較処理と、を実行するコントローラを備え、前記コントローラは、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号が示す超音波画素が、キャビテーション領域を示すか通常領域を示すかを、前記比較値に基づいて判定する判定処理と、前記キャビテーション領域と前記通常領域とを異なる態様で表示する画像データを、前記高調波受信信号または前記基本波受信信号に基づいて生成する処理と、を実行し、前記判定処理は、前記比較値が所定の閾値よりも大きいときに、前記超音波画素が前記キャビテーション領域を示すと判定する処理を含み、複数の前記受信信号は、360°/Mの位相差を持たせて前記超音波プローブから順次送信されたM通りの超音波に基づいて、前記超音波プローブで受信された複数の反射超音波に基づく信号であることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
望ましくは、HIFU照射装置に備えられ、前記閾値は、前記生体組織に治療用超音波が送信されていないときにおける、前記基本波受信信号の値に対する前記高調波受信信号の値の比である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
コントローラ22は、高調波受信信号または基本波受信信号が示す処理対象画素(超音波画素)が、キャビテーション領域を示すか通常領域を示すかを、比較値Cに基づいて判定する判定処理を実行する。この判定処理は、処理対象画素に対応する比較値Cが所定の閾値よりも大きいときに、超音波画素がキャビテーション領域を示すと判定する処理を含む。