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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101113
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】管理装置及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004852
(22)【出願日】2023-01-17
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 龍太郎
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522AA03
3F522AA04
3F522BB01
3F522BB03
3F522BB33
3F522CC01
3F522DD04
3F522DD23
3F522DD32
3F522EE15
3F522EE19
3F522GG04
3F522GG05
3F522GG46
3F522GG47
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK05
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】ピッキングされた物品の保管エリアを、作業者による作業を煩雑にさせることなく特定して管理し得る構成を提供する。
【解決手段】各物品が保管される保管エリアごとに当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機が設置される。そして、作業者Mが所定の作業指示に従って物品を搬送車Dに積み込む際に、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コードが読取処理により読み取られると、この物品情報が読み取られたタイミングでビーコン発信機から発信されるビーコン信号がビーコン受信部17により受信される。そして、ビーコン受信部17により受信されたビーコン信号が同じタイミングで読取処理により読み取られた物品情報と上記指示情報等とに関連付けられて記憶部12に記憶される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類又は2種類以上の物品がそれぞれ保管される複数の保管エリアを搬送車とともに巡回する作業者が所定の作業指示にて指示される物品を前記搬送車に積み込むピッキング作業を管理する管理装置であって、
前記保管エリアごとに当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機が設置され、
前記作業者が前記所定の作業指示に従って前記物品を前記搬送車に積み込む際に、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コードを光学的に読み取り可能な読取部と、
前記読取部により前記情報コードから前記物品情報が読み取られたタイミングで前記ビーコン発信機から発信される前記ビーコン信号を受信するビーコン受信部と、
前記ビーコン受信部により受信された前記ビーコン信号が同じタイミングで前記読取部により読み取られた前記物品情報と前記所定の作業指示を特定可能な指示情報とに関連付けられて記憶される記憶部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記所定の作業指示にて指示される全ての物品について前記情報コードが前記読取部により読み取られると、当該所定の作業指示に関して前記記憶部に記憶される情報を作業完了情報として外部機器に送信する作業完了情報送信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記作業者を特定する作業者特定情報が前記読取部によって読み取られると、当該作業者特定情報が以降に読み取られる前記物品情報に関連付けられて前記記憶部に記憶されることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記所定の作業指示の作業内容に関する情報を取得する取得部と、
前記所定の作業指示ごとに、前記取得部により取得された情報と前記記憶部に記憶される情報とに基づいて、前記所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を報知可能な報知部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記ビーコン受信部により受信された前記ビーコン信号が前回受信されたビーコン信号と変わるごとに、前回受信されたビーコン信号から特定される前記保管エリアについて前記所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定し、
前記報知部は、前記判定部により前記所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われていないと判定されることで、所定の報知を行うことを特徴とする請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記ビーコン発信機は、太陽光発電部を備えて、当該太陽光発電部からの電力供給を受けて前記ビーコン信号を発信することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の管理装置と、
前記記憶部に記憶される情報を前記管理装置から取得して管理する管理サーバと、
を備えることを特徴とする管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の保管エリアにそれぞれ保管される物品についてなされるピッキング作業を管理する管理装置及び管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が作業指示書に従って指定された保管エリアにて保管されている各種の物品(部品)をピッキングするピッキング作業やそれらの物品を組み付ける組付作業等を管理することで、正しく作業が行われているかを確認するシステムが多く採用されている。
【0003】
このようなピッキング作業等を管理するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示されるトレーサビリティシステムが知られている。このトレーサビリティシステムでは、複数の部品を種別毎に収容保持する各部品棚(保管エリア)と作業台との間にいる作業者が、その頭に装着されたHMDを利用して製造検査指示書の情報を読み取ることでHMDの視野に表示された製造指示内容を視認して作業を行う。その作業中には、製造検査指示書に従った組付対象部品を収容した部品棚の指示ランプが点滅作動し、HMDの視野にそのピッキング指示内容が表示される。この作業時に、HMDのカメラにより指示ランプと一体化された電子ペーパに表示されたQRコード(登録商標)が読み取られることで、ピッキング作業が指示通りに行われていることが記録され、その後、ピッキングされた部品の組み付け作業に関する情報がHMDの視野に表示されることで、指示通りの組み立て作業を実施することができる。そして、作業に使用した工具に付されたQRコードがHMDのカメラにより読み取られることで、正しい部品が組み付けられたか否かも含めた製造情報が記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-091135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、各種の物品(部品)が保管される保管エリアが複数点在してそれらを巡回して指示通りの物品をピッキングしてから組立作業エリア等に搬送するなど、各種の物品の保管エリア(ピッキング作業エリア)と組立作業エリアとが異なる場合がある。このような場合、上述のようなシステムでは、どの物品をピッキングできたかを把握できても、その物品をどの保管エリアでピッキングしたかを把握できないという問題がある。
【0006】
このような問題に対して、例えば、ピッキング作業時にその物品が保管される保管エリアを特定する情報が記録される情報コードを読み取ることで、保管エリア(ピッキング作業エリア)を特定することはできる。しかしながら、ピッキング作業ごとに対応する保管エリアを特定するための読取作業等を行わなければならないため、作業が煩雑になるという問題があり、ピッキング物品数や保管エリアの数が多くなるほどこの問題が顕著になる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ピッキングされた物品の保管エリアを、作業者による作業を煩雑にさせることなく特定して管理し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
1種類又は2種類以上の物品(P11,P21,P31,P32,P41,P42)がそれぞれ保管される複数の保管エリア(S1~S4)を搬送車(D)とともに巡回する作業者(M)が所定の作業指示にて指示される物品を前記搬送車に積み込むピッキング作業を管理する管理装置(10)であって、
前記保管エリアごとに当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機(B1~B4)が設置され、
前記作業者が前記所定の作業指示に従って前記物品を前記搬送車に積み込む際に、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コード(C11,C21,C31,C32,C41,C42)を光学的に読み取り可能な読取部(11,13)と、
前記読取部により前記情報コードから前記物品情報が読み取られたタイミングで前記ビーコン発信機から発信される前記ビーコン信号を受信するビーコン受信部(17)と、
前記ビーコン受信部により受信された前記ビーコン信号が同じタイミングで前記読取部により読み取られた前記物品情報と前記所定の作業指示を特定可能な指示情報とに関連付けられて記憶される記憶部(12)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、各物品が保管される保管エリアごとに当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機が設置される。そして、作業者が所定の作業指示に従って物品を搬送車に積み込む際に、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コードが読取部により読み取られると、この物品情報が読み取られたタイミングでビーコン発信機から発信されるビーコン信号がビーコン受信部により受信される。そして、ビーコン受信部により受信されたビーコン信号が同じタイミングで読取部により読み取られた物品情報と所定の作業指示を特定可能な指示情報とに関連付けられて記憶部に記憶される。
【0010】
これにより、ビーコン信号から保管エリアを特定できるため、記憶部にて関連付けられて記憶されるビーコン信号、物品情報、指示情報に基づいて、どの物品がどの保管エリアでピッキングされているか作業指示ごとに把握することができる。特に、作業者によって情報コードを読み取る作業(ピッキングする物品を特定するための作業)がなされる際に受信されるビーコン信号を利用して保管エリアを特定できるので、作業者が保管エリア(ピッキング作業エリア)を特定するための作業を別途行う必要もない。したがって、ピッキングされた物品の保管エリアを、作業者による作業を煩雑にさせることなく特定して管理することができる。
【0011】
請求項2の発明では、所定の作業指示にて指示される全ての物品について情報コードが読取部により読み取られると、当該所定の作業指示に関して記憶部に記憶される情報が作業完了情報として作業完了情報送信部により外部機器に送信される。これにより、複数の管理装置を管理する管理サーバなどの外部機器は、上記作業完了情報を受信することで、どの作業指示に従ったピッキング作業が完了しているかについて容易に把握することができる。
【0012】
請求項3の発明では、作業者を特定する作業者特定情報が読取部によって読み取られると、当該作業者特定情報が以降に読み取られる物品情報に関連付けられて記憶部に記憶される。これにより、ピッキングされた物品の保管エリアだけでなく、ピッキング作業を行った作業者をも容易に特定することができる。
【0013】
請求項4の発明では、所定の作業指示ごとに、取得部により取得された所定の作業指示の作業内容に関する情報と記憶部に記憶される情報とに基づいて、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定部により判定され、この判定部による判定結果が報知部により報知される。これにより、判定部による報知を受けた作業者やその作業を管理する管理者等は、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか容易に認識することができる。
【0014】
請求項5の発明では、ビーコン受信部により受信されたビーコン信号が前回受信されたビーコン信号と変わるごとに、前回受信されたビーコン信号から特定される保管エリアについて所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定部により判定され、判定部により所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われていないと判定されることで、報知部により所定の報知が行われる。
【0015】
これにより、受信されたビーコン信号が前回受信されたビーコン信号と変わるごと、すなわち、移動元の保管エリアから移動先の保管エリアに移動するごとに、移動元の保管エリアについて所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定される。このため、例えば、移動元の保管エリアで作業指示にて指示された物品を積み忘れた場合には、移動先の保管エリアにて物品の積み込みを開始した際に上記所定の報知が行われるので、当該報知を受けた作業者は、移動元の保管エリアで積み込みミスがあったことを容易に把握でき、直ちにその解消を図ることができる。
【0016】
請求項6の発明では、ビーコン発信機は、太陽光発電部を備えて、当該太陽光発電部からの電力供給を受けてビーコン信号を発信する。これにより、ビーコン発信機の電池交換等の作業が不要になるため、本願発明に係る管理装置を採用する管理システムに関して、メンテナンス作業の負荷を軽減することができる。
【0017】
請求項7の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏する管理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る管理装置及び管理システムの概要を説明する説明図である。
図2】ピッキング作業を行う各保管エリアを説明する説明図である。
図3図1の管理装置の電気的構成を例示するブロック図である。
図4】第1実施形態において管理装置の制御部により実行されるピッキング作業管理処理の流れを示すフローチャートである。
図5】生成されたピッキング作業データを例示する説明図である。
図6】第2実施形態において管理装置の制御部により実行されるピッキング作業管理処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る管理装置及び管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る管理装置10は、複数の保管エリア(保管場所)を搬送車(台車)Dとともに巡回する作業者Mが指示された物品(部品)を搬送車Dに積み込むピッキング作業を管理するための管理装置である。各保管エリアには、ピッキング作業対象となる1種類又は2種類以上の物品がそれぞれ保管されている。そして、本実施形態に係る管理システム1は、1又は2以上の管理装置10と管理装置10から取得したピッキング作業等を利用して統括的な管理を行う管理サーバ2とを備えるように構成されている。管理サーバ2は、直接又はアクセスポイント等を介して社内LANなどの所定のネットワークに接続された各管理装置10とそれぞれ通信することで、各管理装置10から取得したピッキング作業に関するデータ等を集約・保管するように機能する。さらに、管理サーバ2は、各ピッキング作業を統括的に管理する管理者等からの要求に応じて、各作業者によるピッキング作業の進捗状況等を画面表示等して報知するように機能する。
【0020】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1工場内での第1工程及び第2工程に設けられる第1保管エリアS1及び第2保管エリアS2と第2工場内での第3工程及び第4工程に設けられる第3保管エリアS3及び第4保管エリアS4とがピッキング作業等を管理する保管エリアとして採用されている。
【0021】
第1保管エリアS1には、第1工程での所定の作業によって準備された物品P11を含めた複数種類の物品がそれぞれ所定数保管されている。第2保管エリアS2には、第2工程での所定の作業によって準備された物品P21を含めた複数種類の物品がそれぞれ所定数保管されている。第3保管エリアS3には、第3工程での所定の作業によって準備された物品P31及び物品P32を含めた複数種類の物品がそれぞれ所定数保管されている。第4保管エリアS4には、第4工程での所定の作業によって準備された物品P41及び物品P42を含めた複数種類の物品がそれぞれ所定数保管されている。
【0022】
作業者Mは、ピッキング作業内容が指示された所定の作業指示である作業指示書に従って、搬送車Dを押しながら各保管エリアを巡回して、それぞれの保管エリアにて指示された物品を搬送車Dに積み込むピッキング作業を行う。図1では、作業者Mが、第1保管エリアS1に保管されていた物品P11と第2保管エリアS2に保管されていた物品P21と第3保管エリアS3に保管されていた物品P31及び物品P32と第4保管エリアS4に保管されていた物品P41を積み込んだ搬送車Dを指示された荷置きSbに運んでいる状態を例示している。
【0023】
本実施形態では、各物品には、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コードが付されている。例えば、図1からわかるように、各物品P11には、当該物品P11を特定可能な物品情報が記録される情報コードC11がそれぞれ付され、各物品P21には、当該物品P21を特定可能な物品情報が記録される情報コードC21がそれぞれ付されている。また、各物品P31には、当該物品P31を特定可能な物品情報が記録される情報コードC31がそれぞれ付され、各物品P32には、当該物品P32を特定可能な物品情報が記録される情報コードC32がそれぞれ付されている。また、各物品P41には、当該物品P41を特定可能な物品情報が記録される情報コードC41がそれぞれ付され、各物品P42には、当該物品P42を特定可能な物品情報が記録される情報コードC42がそれぞれ付されている。
【0024】
なお、各物品P11に付される情報コードC11は、全て同じ情報が記録されるように生成されてもよいし、当該物品P11を他の種別の物品P21と区別して特定するための種別情報と同じ種別の他の物品P11と区別するための固有の情報との双方が記録されるように生成されてもよい。他の情報コードも同様に生成することができる。また、本実施形態では、各物品に付される情報コードとして、QRコードが採用されているが、これに限らず、例えば、バーコードやバーコード等の一次元コードやデータマトリックスコード、マキシコード等の他のコード種別の二次元コードが採用されてもよい。
【0025】
そして、各保管エリアには、当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機が設置されている。具体的には、図2に示すように、第1保管エリアS1には、当該第1保管エリアS1を特定可能な第1ビーコン信号を発信するビーコン発信機B1が設置され、第2保管エリアS2には、当該第2保管エリアS2を特定可能な第2ビーコン信号を発信するビーコン発信機B2が設置されている。また、第3保管エリアS3には、当該第3保管エリアS3を特定可能な第3ビーコン信号を発信するビーコン発信機B3が設置され、第4保管エリアS4には、当該第4保管エリアS4を特定可能な第4ビーコン信号を発信するビーコン発信機B4が設置されている。
【0026】
各ビーコン発信機は、その設置される保管エリアで積み込み作業する場所がビーコン受信可能範囲に含まれ、かつ、互いのビーコン受信可能範囲が重ならないように、例えば、各物品が保管される保管棚に設置することができる。また、荷置きSb内の所定の位置には、当該荷置きSbであることを示す荷置き情報を記録した情報コード(図示略)が付されるとともに、当該荷置きSbを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機Bbが設置されている。なお、図2では、各ビーコン発信機におけるビーコン受信可能範囲を一点鎖線にて概略的に図示している。
【0027】
各ビーコン発信機B1~B4,Bbは、BLE(Bluetooth Low Energy)通信規格に準拠するビーコン信号(ビーコン発信機を特定可能な固有のビーコンIDが付与された信号)を発信可能であって、図略のビーコン発信用のスイッチをON状態に操作することで、それぞれ固有のビーコン信号を定期的に発信するように構成されている。
【0028】
次に、管理装置10の主要構成について、図1及び図3を参照して説明する。
図1に示すように、管理装置10は、作業者Mによって携帯されてピッキング作業時に所定の情報を読み取る携帯型の情報処理端末として構成されている。この管理装置10は、把持容易な略平板状の筐体によって外郭が構成されて、その筐体内には、管理装置10全体を制御する制御部11が設けられている。この制御部11は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部12とともに情報処理装置を構成している。記憶部12には、QRコードなどの情報コードを光学的に読み取る読取処理を実行するためのプログラムや無線タグを非接触通信にて読み取る読取処理を実行するためのプログラムに加えて、後述するピッキング作業管理処理を実行するためのプログラム等が制御部11により実行可能に予め格納されている。
【0029】
管理装置10は、図3に示すように、制御部11及び記憶部12に加えて、撮像部13、表示部14、操作部15、報知部16、ビーコン受信部17、通信部18などを備えている。
【0030】
撮像部13は、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成されるもので、制御部11により制御されて、筐体に設けられる読取口を介して撮像した撮像画像データを制御部11に出力するように構成されている。この撮像部13により読取口を介して情報コードが撮像されることで、制御部11にてその情報コードの撮像画像データから情報を読み取るための読取処理がなされる。なお、この読取処理を行う制御部11及び撮像部13は、「読取部」の一例に相当し得る。
【0031】
表示部14は、公知のタッチパネル型の表示装置として構成されており、液晶表示器等の公知の表示デバイスとして構成される表示部と、この表示部の表示画面に重ねられて当該表示画面に対して押圧操作(接触)している範囲を操作面として検出可能な透明性の操作パネルとを備えている。この表示部14は、制御部11によって表示部の表示内容が制御される。
【0032】
操作部15は、上記操作パネルと筐体の側面等に設けられる1又は2以上のキーとを備えるように構成されることで、タッチパネルの操作面に対するタッチ操作やキー操作に応じた信号を制御部11に出力するように構成される。
【0033】
報知部16は、LEDなどの発光部やスピーカ、ブザー、バイブレータ等を備えており、制御部11によって発光部の発光状態やスピーカの音声ガイダンス、ブザーの鳴動状態、バイブレータの振動等が制御されることで、ピッキング作業結果等に応じた報知を行うように構成されている。
【0034】
ビーコン受信部17は、制御部11により制御されて、所定のタイミングにて受信したビーコン信号に応じた信号を制御部11に出力するように構成されている。
【0035】
通信部18は、管理サーバ2などの外部機器との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0036】
このように構成される管理装置10では、制御部11にてなされるピッキング作業管理処理において、作業者Mが搬送車Dに積み込む物品の情報コードを読み取ったタイミングで受信したビーコン情報等を関連付けて記憶部12に記憶することで、ピッキング作業するための処理を行う。
【0037】
以下、本実施形態において制御部11にてなされるピッキング作業管理処理について、作業指示書に従って、物品P11、物品P21、物品P31、物品P32、物品P41を搬送車Dに積み込むピッキング作業を例に、図4に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0038】
作業者Mによる所定の操作によって作業指示書の情報(所定の作業指示を特定可能な指示情報)が取得されることで制御部11にてピッキング作業管理処理が開始されると、図4のステップS101に示す撮像処理がなされ、読取口を介して情報コードを撮像部13にて撮像するための処理がなされる。そして、ステップS103に示す読取処理にて、撮像された情報コードをデコード(解読)するための処理がなされて、情報コードの読み取りが成功するまでステップS105に示す判定処理にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。なお、上記指示情報は、作業指示書に付されたQRコード等を上記読取処理にて読み取ることで取得されてもよいし、通信部18を介して管理サーバ2等の外部機器から受信されることで取得されてもよい。
【0039】
そして、第1保管エリアS1に搬送車Dを移動させた作業者Mが、第1保管エリアS1に保管される物品P11を搬送車Dに積み込む際に当該物品P11の情報コードC11に読取口を向けることで、撮像された情報コードC11に記録される物品情報の読み取りに成功する(S105でYes)。
【0040】
上述のように物品P11の物品情報が読み取られると、ステップS107に示すビーコン信号受信処理がなされ、ビーコン受信部17にて受信されたビーコン信号が制御部11に対して出力される。作業者Mは第1保管エリアS1にいるため、ビーコン発信機B1から発信された第1ビーコン信号が、物品P11の物品情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得される。
【0041】
続いて、ステップS109に示す記憶処理がなされ、受信されたビーコン信号が同じタイミングで読み取られた物品情報及び上記指示情報や物品情報が読み取られた読取時刻等とともに関連付けられて、記憶部12に記憶される。その後、荷置き情報が読み取られていない場合には、ピッキング作業が完了していないとして(S111でNo)、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0042】
そして、第1保管エリアS1から第2保管エリアS2に搬送車Dともに移動し作業者Mが、第2保管エリアS2に保管される物品P21を搬送車Dに積み込む際に当該物品P21の情報コードC21に読取口を向けることで、撮像された情報コードC21に記録される物品情報の読み取りに成功する(S105でYes)。これにより、ビーコン発信機B2から発信された第2ビーコン信号が、物品P21の物品情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得され(S107)、この第2ビーコン信号と物品P21の物品情報及び上記指示情報や読取時刻等とが関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0043】
続いて、第2保管エリアS2から第3保管エリアS3に搬送車Dともに移動し作業者Mが、第3保管エリアS3に保管される物品P31を搬送車Dに積み込む際に当該物品P31の情報コードC31に読取口を向けることで、撮像された情報コードC31に記録される物品情報の読み取りに成功する(S105でYes)。これにより、ビーコン発信機B3から発信された第3ビーコン信号が、物品P31の物品情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得され(S107)、この第3ビーコン信号と物品P31の物品情報及び上記指示情報や読取時刻等とが関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0044】
その後、作業者Mは、次の保管エリアに移動せずに、第3保管エリアS3に保管される物品P32を搬送車Dに積み込む際に当該物品P32の情報コードC32に読取口を向けることで、撮像された情報コードC32に記録される物品情報の読み取りに成功する(S105でYes)。これにより、ビーコン発信機B3から発信された第3ビーコン信号が、物品P32の物品情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得され(S107)、この第3ビーコン信号と物品P32の物品情報及び上記指示情報や読取時刻等とが関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0045】
そして、第3保管エリアS3から第4保管エリアS4に搬送車Dともに移動し作業者Mが、第4保管エリアS4に保管される物品P41を搬送車Dに積み込む際に当該物品P41の情報コードC41に読取口を向けることで、撮像された情報コードC41に記録される物品情報の読み取りに成功する(S105でYes)。これにより、ビーコン発信機B4から発信された第4ビーコン信号が、物品P41の物品情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得され(S107)、この第4ビーコン信号と物品P41の物品情報及び上記指示情報や読取時刻等とが関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0046】
上述のように、各保管エリアを巡回しながら指定された物品を搬送車Dに積み込むピッキング作業を行うことで、記憶部12には、図5に示すようなピッキング作業データが生成される。なお、図5では、第1ビーコン信号として「0001」、第2ビーコン信号として「0002」、第3ビーコン信号として「0003」、第4ビーコン信号として「0004」、物品P11の物品情報として「A-0011」、物品P21の物品情報として「B-0021」、物品P31の物品情報として「C-0031」、物品P32の物品情報として「C-0032」、物品P41の物品情報として「D-0041」、指示情報として、「2212060001」が採用される場合を例に図示している。
【0047】
作業者Mは、指示された各物品を搬送車Dに積み終えて荷置きSbまで移動して、その荷置きSb内に配置される情報コードに読取口を向けることで、撮像された情報コードに記録される荷置き情報の読み取りに成功する(S105でYes)。これにより、ビーコン発信機Bbから発信されたビーコン信号が、荷置き情報を読み取ったタイミングでビーコン受信部17にて受信されて取得され(S107)、このビーコン信号と荷置き情報及び上記指示情報や読取時刻等とが関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0048】
上述のように荷置き情報が読み取られている場合には、ピッキング作業が完了しているとして(S111でYes)、ステップS113に示す作業完了情報送信処理がなされる。この処理では、上記指示情報に関して記憶部12に記憶される情報(図5にて例示されるピッキング作業データや荷置き情報等)が、作業完了情報として通信部18を介して管理サーバ2に送信されて、本ピッキング作業管理処理が終了する。
【0049】
上記作業完了情報を管理装置10から受信した管理サーバ2では、その作業完了情報から特定される作業指示書についてピッキング作業が完了したことをリアルタイムに把握することができる。このため、管理サーバ2では、各管理装置10からそれぞれ受信した作業完了情報を集約・保管することで、管理者等に対して、各作業者によるピッキング作業の進捗状況等を必要に応じて報知することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置10では、各物品が保管される保管エリアごとに当該保管エリアを特定可能なビーコン信号を発信するビーコン発信機が設置される。そして、作業者Mが所定の作業指示に従って物品を搬送車Dに積み込む際に、当該物品を特定可能な物品情報が記録される情報コードが読取処理により読み取られると(S103)、この物品情報が読み取られたタイミングでビーコン発信機から発信されるビーコン信号がビーコン受信部17により受信される(S107)。そして、ビーコン受信部17により受信されたビーコン信号が同じタイミングで読取処理により読み取られた物品情報と上記指示情報等とに関連付けられて記憶部12に記憶される(S109)。
【0051】
これにより、ビーコン信号から保管エリアを特定できるため、管理装置10単体で、記憶部12にて関連付けられて記憶されるビーコン信号、物品情報、指示情報に基づいて、どの物品がどの保管エリアでピッキングされているか作業指示ごとに把握することができる。管理装置10から作業完了情報を受信した管理サーバ2でも同様に把握することができる。特に、作業者Mによって情報コードを読み取る作業(ピッキングする物品を特定するための作業)がなされる際に受信されるビーコン信号を利用して保管エリアを特定できるので、作業者Mが保管エリア(ピッキング作業エリア)を特定するための作業を別途行う必要もない。したがって、ピッキングされた物品の保管エリアを、作業者Mによる作業を煩雑にさせることなく特定して管理可能な管理装置10及び管理システム1を実現することができる。
【0052】
本実施形態の第1の変形例として、ピッキング作業管理処理開始の際に、上記指示情報に加えて、その作業指示の具体的な作業内容に関する作業内容情報(どの保管エリアでどの物品をピッキングするかの情報等)が、情報コードの読み取り又は管理サーバ2からの受信等によって取得されてもよい。これにより、管理装置10は、読み取るべき情報コードを把握できるので、単に荷置き情報が読み取られた場合ではなく、積み込むべき全ての物品の情報コードの物品情報及び荷置き情報が読み取られる場合に、上記指示情報に関して記憶部12に記憶される情報を作業完了情報として通信部18を介して管理サーバ2に送信することができる。このようにしても、これにより、複数の管理装置10を管理する管理サーバ2は、上記作業完了情報を受信することで、どの作業指示に従ったピッキング作業が完了しているかについて容易に把握することができる。なお、作業完了情報を管理サーバ2に送信するための処理(作業完了情報送信処理)を行う制御部11及び通信部18は、「作業完了情報送信部」の一例に相当し得る。
【0053】
本実施形態の第2の変形例として、作業者Mを特定する作業者特定情報が記録された情報コードである作業者コードを作業者Mごとに用意して、ピッキング作業管理処理の開始時に撮像部13にて撮像した作業者コードから読み取った作業者特定情報を物品情報等に関連付けて記憶部12に記憶するようにしてピッキング作業データを生成してもよい。また、ピッキング作業中に作業者Mが変わる場合でも、その変わったタイミングで作業者コードから読み取った作業者特定情報を以降に読み取った物品情報等に関連付けて記憶部12に記憶するようにしてピッキング作業データを生成してもよい。これにより、ピッキングされた物品の保管エリアだけでなく、ピッキング作業を行った作業者Mをも容易に特定することができる。
【0054】
本実施形態の第3の変形例として、上記ピッキング作業管理処理では、物品情報が読み取られるごとに、その物品情報を同じタイミングで受信されたビーコン情報等とともに通信部18を介して管理サーバ2に送信してもよい。これにより、管理サーバ2では、管理者等に対して、各作業者によるピッキング作業の進捗状況等を逐次リアルタイムで報知することができる。例えば、上記第2の変形例のように作業者特定情報が取得される場合には、その作業者特定情報も含めて管理サーバ2に送信することで、管理者等は、管理サーバ2による報知によって、どの作業者Mがどの保管エリアにて作業しているかリアルタイムに把握することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る管理装置及び管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、ピッキング作業管理処理開始の際に、上記指示情報に加えて、その作業指示の具体的な作業内容に関する作業内容情報(どの保管エリアでどの物品をピッキングするかの情報等)が取得されることを前提に、各保管エリア単位でピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定する。本実施形態では、上述した指示情報及び作業内容情報は、ピッキング作業管理処理開始前に、制御部11にてなされる作業内容情報等取得処理により、作業指示書に予め付された情報コードを撮像部13にて撮像して読み取られることで取得されて記憶部12に記憶される。なお、上記作業内容情報等取得処理等を行う制御部11及び撮像部13は、所定の作業指示の作業内容に関する情報を取得する「取得部」の一例に相当し得る。また、上述した指示情報及び作業内容情報は、作業内容情報等取得処理を行う制御部11により制御された通信部18を介して管理サーバ2等の外部機器から受信されることで取得されてもよい。この場合、上記作業内容情報等取得処理等を行う制御部11及び通信部18は、所定の作業指示の作業内容に関する情報を取得する「取得部」の一例に相当し得る。
【0057】
以下、本実施形態において制御部11にてなされるピッキング作業管理処理について、作業指示書に従って、上述した物品P11、物品P21、物品P31、物品P32、物品P41等を搬送車Dに積み込むピッキング作業を例に、図6に示すフローチャートを参照して詳述する。
【0058】
上述のように指示情報及び作業内容情報が取得されることで制御部11にてピッキング作業管理処理が開始されると、図6のステップS101に示す撮像処理がなされ、読取口を介して情報コードを撮像部13にて撮像するための処理がなされる。作業者Mが、各保管エリアを巡回しながら指示された物品を搬送車Dに積み込む際に、当該物品の情報コードを撮像することで、その情報コードから物品情報が読み取られたタイミングでビーコン受信部17にてビーコン信号が受信される(S107)。
【0059】
続いて、ステップS115に示す判定処理にて、積み込んだ物品が指示された物品であるか否かについて判定される。ここで、上述のように取得した作業内容情報に基づいて、上述のように読み取った物品情報が同じタイミングで読み取ったビーコン信号に関連付けられるべきものであれば、積み込んだ物品が指示された物品であると判定される(S115でYes)。例えば、上記記作業内容情報から第3保管エリアS3にて物品P31又は物品P32をピッキングする指示が把握される場合に、情報コードC31から物品情報を読み取ったタイミングで第3ビーコン信号を受信していると、積み込んだ物品が指示された物品であると判定される。なお、ステップS115の判定処理を行う制御部11は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0060】
一方、上述の場合に、情報コードC31,C32と異なる情報コードから物品情報を読み取ったタイミングで第3ビーコン信号を受信していると、積み込んだ物品が指示された物品でないと判定される(S115でNo)。この場合には、ステップS117に示す第1報知処理がなされ、指示された物品と異なる物品が積み込まれていることを示す第1の報知情報が報知部16を利用して報知されて、読み取った物品情報等が記憶部12に記憶されることなく、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0061】
具体的には、上記第1報知処理では、上記第1の報知情報として、報知部16におけるLEDによる所定の発光状態やスピーカによる所定の音声ガイダンス、ブザーによる所定の鳴動状態、バイブレータによる所定の振動等を利用して、上記第1の報知情報を報知することができる。また、上記第1報知処理では、例えば、報知部として機能する表示部14による画面表示を利用して上記第1の報知情報を報知してもよく、さらに、積み込むべき物品に関する情報等を表示部14による画面表示を利用して報知してもよい。
【0062】
上記第1の報知情報の報知を受けた作業者Mは、情報コードを読み取った物品がピッキング対象外であることを容易に把握できるので、誤った物品が搬送車Dに積み込まれることを防止することができる。なお、積み込んだ物品が指示された物品であると判定される場合に(S115でYes)、その旨を報知部16を利用して報知してもよく、このような報知を受けた作業者Mは、正しい物品を積み込んだことを容易に把握することができる。
【0063】
上述のように積み込んだ物品が指示された物品であると判定される場合には(S115でYes)、ステップS119に示す判定処理にて、上述のように受信したビーコン信号が前回受信したビーコン信号に一致するか否かについて判定される。ここで、例えば、第3ビーコン信号を受信している状態で前回も第3ビーコン信号を受信している場合など、受信したビーコン信号が前回受信したビーコン信号に一致する場合には(S119でYes)、保管エリアを移動していないとして、上記ステップS109以降の処理がなされる。
【0064】
一方、例えば、第4ビーコン信号を受信している状態で前回では第3ビーコン信号を受信している場合など、受信したビーコン信号が前回受信したビーコン信号に一致しない場合には(S119でNo)、作業者Mが移動元の保管エリアから移動先の保管エリアに移動していると判定される。この場合には、ステップS121に示す判定処理にて、前回受信したビーコン信号に関連付けられて記憶部12に記憶される物品情報に関して、上述のように取得した作業内容情報に基づいて、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定される。すなわち、移動元の保管エリアで正しいピッキング作業が行われているか否かについて判定される。なお、ステップS119,S121の判定処理を行う制御部11は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0065】
例えば、前回と異なる第4ビーコン信号を受信している状態で、上記作業内容情報から第3保管エリアS3にて物品P31及び物品P32をピッキングすることが把握される場合に、第3ビーコン信号に情報コードC31から読み取られた物品情報と情報コードC32から読み取られた物品情報とが関連付けられて記憶部12に記憶されていると、移動元となる第3保管エリアS3でピッキング作業が正しく行われていると判定される(S121でYes)。この場合には、後述する第2報知処理を行うことなく、上記ステップS109以降の処理がなされる。
【0066】
一方、上述の場合に、第3ビーコン信号に情報コードC31から読み取られた物品情報のみが関連付けられて記憶部12に記憶されていると、移動元の保管エリアでピッキング作業が正しく行われていないと判定される(S121でNo)。この場合には、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、所定の報知として、移動元の保管エリアでピッキング作業が正しく行われていないことを示す第2の報知情報が報知部16を利用して報知される。
【0067】
具体的には、上記第2報知処理では、上記第2の報知情報として、報知部16におけるLEDによる所定の発光状態やスピーカによる所定の音声ガイダンス、ブザーによる所定の鳴動状態、バイブレータによる所定の振動等を利用して、上記第2の報知情報を報知することができる。また、上記第2報知処理では、例えば、報知部として機能する表示部14による画面表示を利用して上記第2の報知情報を報知してもよく、さらに、積み込み忘れた物品に関する情報等を表示部14による画面表示を利用して報知してもよい。
【0068】
上述した第2報知処理がなされた後、ステップS125に示す記憶処理にて、受信されたビーコン信号が同じタイミングで読み取られた物品情報及び上記指示情報や物品情報が読み取られた読取時刻等とともに関連付けられて記憶部12に記憶された後、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0069】
上記第2の報知情報の報知を受けた作業者Mは、移動元の保管エリアでピッキング作業が正しく行われていないことを容易に把握できるので、移動元の保管エリアに戻って正しい物品を積み直すことで、直ちにその解消を図ることができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る管理装置10では、所定の作業指示ごとに、取得された所定の作業指示の作業内容に関する情報と記憶部12に記憶される情報とに基づいて、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定され、この判定結果が報知部16等により報知される。これにより、判定結果に応じた報知を受けた作業者Mは、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか容易に認識することができる。
【0071】
なお、上記報知は、通信部18を介して管理サーバ2に対してなされてもよく、この場合には、管理者等は、管理サーバ2にて画面表示等を利用して上記判定結果等に関する情報が報知されることで、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか容易に認識することができる。
【0072】
特に、ビーコン受信部17により受信されたビーコン信号が前回受信されたビーコン信号と変わるごとに(S119でNo)、前回受信されたビーコン信号から特定される保管エリアについて所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定され、所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われていないと判定されることで(S121でNo)、報知部16等により上記第2報知処理が行われる。
【0073】
これにより、受信されたビーコン信号が前回受信されたビーコン信号と変わるごと、すなわち、移動元の保管エリアから移動先の保管エリアに移動するごとに、移動元の保管エリアについて所定の作業指示に従ったピッキング作業が正しく行われているか否かについて判定される。このため、例えば、第3保管エリアS3(移動元の保管エリア)で作業指示にて指示された物品を積み忘れた場合には、第4保管エリアS4(移動先の保管エリア)にて物品の積み込みを開始した際に上記所定の報知が行われるので、当該報知を受けた作業者Mは、第3保管エリアS3で積み込みミスがあったことを容易に把握でき、直ちにその解消を図ることができる。
【0074】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)各保管エリアに設置されるビーコン発信機として、例えば、ソーラー発電式のソーラービーコン発信機が採用されてもよい。すなわち、ビーコン発信機は、太陽光発電部等を備えて、当該太陽光発電部等からの電力供給を受けてビーコン信号を発信するように機能する。これにより、ビーコン発信機の電池交換等の作業が不要になるため、本願発明に係る管理装置10を採用する管理システム1に関して、メンテナンス作業の負荷を軽減することができる。
【0075】
(2)ピッキング作業時に読み取るべき情報コードに記録される物品情報がその物品固有の情報ではなくその種類で共通の情報である場合(例えば、ピッキング対象が所定規格のねじであって当該所定規格のねじに共通の物品情報が採用される場合)には、情報コードは、物品自体に付されることに限らず、例えば、物品が保管される保管棚の指定された表示位置等に付されてもよい。
【0076】
(3)管理装置10は、各作業者がそれぞれ携帯して利用することに限らず、例えば、搬送車Dに対して装着された状態で利用されてもよい。
【0077】
(4)本発明は、上述した工場間での工程ごとのピックアップ作業を管理するための管理装置及び管理システムに採用されることに限らず、例えば、倉庫内や店舗内などの所定の作業管理エリア内を巡回してピックアップを行う作業を管理するための管理装置及び管理システムに採用されてもよい。
【0078】
1…管理システム
2…管理サーバ
10…管理装置
11…制御部(読取部,作業完了情報送信部,取得部,判定部)
12…記憶部
13…撮像部(読取部,取得部)
14…表示部(報知部)
16…報知部
17…ビーコン受信部
18…通信部(作業完了情報送信部,取得部)
B1~B4,Bb…ビーコン発信機
C11,C21,C31,C32,C41,C42…情報コード
D…搬送車
M…作業者
P11,P21,P31,P32,P41,P42…物品
S1~S4…保管エリア
Sb…荷置き
図1
図2
図3
図4
図5
図6