(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010298
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】レーンロープ用フロート
(51)【国際特許分類】
A63K 3/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A63K3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111557
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 昭洋
(57)【要約】
【課題】
プール内にいる人が、手で握ったり、腕を掛けるなどして休憩し易いレーンロープ用フロートを提供する。
【解決手段】
筒状部200を介してロープRに取り付けられてプールの各レーンを区画し、合成樹脂材料から形成されるレーンロープ用フロート100であって、身体の一部を支持可能な凹状支持部120が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部を介してロープに取り付けられてプールの各レーンを区画し、合成樹脂材料から形成されるレーンロープ用フロートであって、
身体の一部を支持可能な凹状支持部が形成されていることを特徴とするレーンロープ用フロート。
【請求項2】
前記レーンロープ用フロートの外径は、外側の最も外径が大きな最大径部よりも、前記凹状支持部が形成された中央側の方が小さいことを特徴とする請求項1に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項3】
軟質の合成樹脂材料を用いてブロー成形されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項4】
前記筒状部は、硬質材料と、前記硬質材料よりも軟質の軟質材料から構成されており、
前記軟質材料は、前記ロープに面する側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項5】
前記筒状部は、硬質材料と、前記硬質材料よりも軟質の軟質材料から構成されており、
前記軟質材料は、前記ロープに面する側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項6】
前記筒状部は、軟質材料から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項7】
前記筒状部は、軟質材料から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項8】
前記筒状部の両端には、回転抑止部材が取り付けられており、
前記回転抑止部材は、前記筒状部を構成する材料よりも軟質の軟質材料から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーンロープ用フロート。
【請求項9】
前記筒状部の両端には、回転抑止部材が取り付けられており、
前記回転抑止部材は、前記筒状部を構成する材料よりも軟質の軟質材料から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のレーンロープ用フロート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プール等に設置されるレーンロープ用のフロートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な種類のレーンロープ用フロートが知られているが、例えば、特許文献1に開示されているレーンロープ用フロートは、全体が円柱形で、中心部にロープを挿通させる筒状部と、ロープと平行に突出する複数の翼板と、翼板を囲むように連結された外周壁と、を備えている。そして、各レーンのプール内にいる人によって立てられた波は、レーンロープ用フロート内部に取り入れられて、翼板や外周壁によって消波されているのである。
【0003】
ただ、この特許文献1に開示されているレーンロープ用フロートは、外側が外周壁で囲まれた円柱形状をしているので、手で握ったり、腕を掛けることが難しく、プール内で泳ぐ人や、プール内を歩く人や、プール内で遊ぶ人などのプール内にいる人が、レーンロープ用フロートを掴むなどして休憩することが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記問題に鑑み、本願発明は、プール内にいる人が、手で握ったり、腕を掛けるなどして休憩し易いレーンロープ用フロートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係るレーンロープ用フロートは、筒状部を介してロープに取り付けられてプールの各レーンを区画し、合成樹脂材料から形成されるレーンロープ用フロートであって、身体の一部を支持可能な凹状支持部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、プール内にいる人は、凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けて、簡単に休むことができるのである。
【0008】
更に、本願発明の請求項2に係るレーンロープ用フロートは、前記レーンロープ用フロートの外径は、外側の最も外径が大きな最大径部よりも、前記凹状支持部が形成された中央側の方が小さいことを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けた際に、手や腕が凹状支持部から外れにくく、凹状支持部は安定してプール内にいる人を支持できる。
【0010】
更に、本願発明の請求項3に係るレーンロープ用フロートは、軟質の合成樹脂材料を用いてブロー成形されたことを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、レーンロープ用フロートが変形し易く、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。
【0012】
更に、本願発明の請求項4に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部は、硬質材料と、前記硬質材料よりも軟質の軟質材料から構成されており、前記軟質材料は、前記ロープに面する側に配置されていることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと筒状部との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【0014】
更に、本願発明の請求項5に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部は、硬質材料と、前記硬質材料よりも軟質の軟質材料から構成されており、前記軟質材料は、前記ロープに面する側に配置されていることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと筒状部との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【0016】
更に、本願発明の請求項6に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部は、軟質材料から構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと筒状部との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【0018】
更に、本願発明の請求項7に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部は、軟質材料から構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと筒状部との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【0020】
更に、本願発明の請求項8に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部の両端には、回転抑止部材が取り付けられており、前記回転抑止部材は、前記筒状部を構成する材料よりも軟質の軟質材料から構成されていることを特徴とする。
【0021】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと回転抑止部材との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【0022】
更に、本願発明の請求項9に係るレーンロープ用フロートは、前記筒状部の両端には、回転抑止部材が取り付けられており、前記回転抑止部材は、前記筒状部を構成する材料よりも軟質の軟質材料から構成されていることを特徴とする。
【0023】
上記特徴によれば、プール内にいる人が凹状支持部を手で握ったり、腕を掛けやすい。さらに、上記特徴によれば、ロープと回転抑止部材との摩擦が大きくなることから、レーンロープ用フロートが、ロープの周りの動き(具体的には、レーンロープ用フロートがロープの周りを回転すること、及び、レーンロープ用フロートがロープの長尺方向に横ズレすること)を抑止できる。その結果、各レーンを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロートにつかまって休むことが出来る。
【発明の効果】
【0024】
本願発明のレーンロープ用フロートによれば、プール内にいる人が、手で握ったり、腕を掛けるなどして休憩し易い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願発明の実施形態1にかかるレーンロープ用フロートの全体斜視図である。
【
図2】(a)はレーンロープ用フロートの側面図、(b)はレーンロープ用フロートの正面図である。
【
図3】(a)は、
図2(a)のA―A断面図、(b)は、
図3(a)の端部周辺の拡大断面図である。
【
図4】本願発明の実施形態2にかかるレーンロープ用フロートの全体斜視図である。
【
図5】(a)はレーンロープ用フロートの側面図、(b)はレーンロープ用フロートの正面図である。
【
図6】(a)は、
図5(a)のB―B断面図、(b)は、
図6(a)の端部周辺の拡大断面図である。
【
図7】ロープに実施形態1のレーンロープ用フロート及び実施形態2のレーンロープ用フロートを取り付けた平面図である。
【
図8】(a)は、
図7のC―C断面図、(b)は、
図8(a)のレーンロープ用フロートの端部周辺を拡大した断面図である。
【
図9】本願発明の実施形態3にかかるレーンロープ用フロートの全体斜視図である。
【
図11】(a)は、
図10のD―D断面図、(b)は、
図11(a)の端部周辺の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0026】
100 レーンロープ用フロート
120 凹状支持部
200 筒状部
R ロープ
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0028】
<実施形態1>
まず、
図1から
図3に本願発明の実施形態1にかかるレーンロープ用フロート100を示す。なお、
図1はレーンロープ用フロート100の全体斜視図、
図2(a)はレーンロープ用フロート100の側面図、
図2(b)はレーンロープ用フロート100の正面図、
図3(a)は、
図2(a)のA―A断面図、
図3(b)は、
図3(a)の端部周辺の拡大断面図である。
【0029】
レーンロープ用フロート100は中空状の略円柱体であり、中心にロープRを挿通可能な筒状部200を備え、周囲が外壁101で囲まれている。レーンロープ用フロート100の内部は中空状なので、レーンロープ用フロート100は水面に浮くことができる。また、レーンロープ用フロート100は左右対称の形状をしており、重心がレーンロープ用フロート100の中心に位置している。また、レーンロープ用フロート100は、合成樹脂材料を用いてブロー成形されている。そして、レーンロープ用フロート100を構成する合成樹脂材料として、EVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレン、LDPE(低密度ポリエチレン)、L―LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー、スチレン系エラストマー、又は、シリコン等を利用しているが、これに限定されず、レーンロープ用フロート100が弾性変形できるのであれば、任意の合成樹脂材料を適宜採用することができる。なお、レーンロープ用フロート100は、合成樹脂材料を用いてブロー成形されているが、これに限定されず、レーンロープ用フロート100は射出成形によって製造されてもよい。
【0030】
また、レーンロープ用フロート100は、最も外径L1が大きな外側の最大径部110と、外径L1よりも外径L2が小さな中央側の凹状支持部120とを備えている(L1>L2)。凹状支持部120は、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けて支持出来るように凹形状となっている。また、中央側の凹状支持部120よりも外径が大きな最大径部110が設けられているため、プール内にいる人が凹状支持部120を手で握ったり、腕を掛けた際に、手や腕が凹状支持部120から外れにくく、凹状支持部120は安定してプール内にいる人を支持できる。さらに、外側を最大径部110にすることで、レーンロープ用フロート100を手でつかんだ際や体を掛けて沈み込んだ際でも、レーンロープ用フロート100の外側の端部の少なくとも一部が、水面より上側に出るように構成した。また、凹状支持部120と最大径部110との境界部である、最大径部110の内端111は、外端112よりも曲率半径が大きく滑らかなので、凹状支持部120を手で握ったり、腕を掛けた際に、手や腕が内端111に当たっても痛くないようになっている。
【0031】
なお、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けやすいように、凹状支持部120の横幅L3は、100~150mm(ミリメートル)となっている。また、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けやすいように、円柱状の凹状支持部120の外径、すなわち直径L2は、40~60mm(ミリメートル)となっている。また、凹状支持部120の外壁101の表面は凹凸状になっているので、手指や腕が滑りにくくなっている。さらに、凹状支持部120の外壁101表面の凹凸形状は、滑らかな凹凸なので、手で握りやすく、手も痛くない。また、表面の凹凸形状により、凹状支持部120の強度が向上し、凹状支持部120を手で握って潰れても、元の形状に戻りやすい。
【0032】
また、レーンロープ用フロート100にプール内にいる人の手または足等が衝突した際に、レーンロープ用フロート100の最大径部110や凹状支持部120が弾性変形して怪我を防止するために、レーンロープ用フロート100は柔らかい軟質の合成樹脂材料で構成されている。また、レーンロープ用フロート100は柔らかい軟質の合成樹脂材料でブロー成形されているので、レーンロープ用フロート100が変形し易く、プール内にいる人が凹状支持部120を手で握ったり、腕を掛けやすい。また、レーンロープ用フロート100はブロー成形されており、レーンロープ用フロート100の肉厚は、外側(最大径部110)よりも凹状支持部120の方が厚くなっている。さらに、凹状支持部120は肉厚なので変形しにくい。また、レーンロープ用フロート100はブロー成形により、中空で内部が密閉された状態なので、変形しても元の形状に復元し易い。
【0033】
なお、レーンロープ用フロート100が弾性変形し易く、レーンロープ用フロート100にプール内にいる人の手または足等が衝突しても怪我を効果的に防ぐために、デュロメータタイプAにより測定したレーンロープ用フロート100の硬度が、10~95の範囲であると最適である。また、上述したレーンロープ用フロート100の硬度は、試験片として成形後のレーンロープ用フロート100の一部を切り出し、その試験片の硬度を、JIS K6253-3に準拠するデュロメータタイプAにより測定したものである。
【0034】
また、筒状部200はレーンロープ用フロート100の中心に位置しており、両側の端部210がレーンロープ用フロート100の前後面に露出している。この筒状部200は、ロープRを挿通可能なように、両側の端部210にわたり直線状に延出している。さらに、
図3(b)に示すように、筒状部200は、ロープRに面する内側の軟質層220と、軟質層220の外側を覆う硬質層230とを備える。この軟質層220と硬質層230は、両側の端部210にわたり延出している。そして、軟質層220は、ロープRの周囲を囲むように筒状に構成され、軟質の合成樹脂材料で形成されている。軟質層220を構成する軟質の合成樹脂材料としては、EVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレン、LDPE(低密度ポリエチレン)、L―LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー、スチレン系エラストマー、又は、シリコン等を利用しているが、これに限定されず、硬質層230を構成する合成樹脂材料よりも軟質であれば、任意の合成樹脂材料で構成してもよい。また、デュロメータタイプAにより測定した軟質層220の軟質材料の硬度が、10~95の範囲であると最適である。
【0035】
また、硬質層230を構成する硬質の合成樹脂材料としては、HDPE(高密度ポリエチレン)等を利用しているが、これに限定されず、軟質層220を構成する合成樹脂材料よりも硬質であれば、任意の合成樹脂材料で構成してもよい。また、デュロメータタイプAにより測定した硬質層230の硬質材料の硬度が、10~95の範囲であると最適である。なお、上述した軟質層220及び硬質層230の硬度は、試験片として成形後の軟質層220又は硬質層230の一部を切り出し、その試験片の硬度を、JIS K6253-3に準拠するデュロメータタイプAにより測定したものである。
【0036】
<実施形態2>
次に、本願発明の実施形態2にかかるレーンロープ用フロート100Aを
図4から
図6に示す。
図4はレーンロープ用フロート100Aの全体斜視図、
図5(a)はレーンロープ用フロート100Aの側面図、
図5(b)はレーンロープ用フロート100Aの正面図、
図6(a)は、
図5(a)のB―B断面図、
図6(b)は、
図6(a)の端部周辺の拡大断面図である。また、本実施形態2にかかるレーンロープ用フロート100Aは、
図1から
図4に示す実施形態1にかかるレーンロープ用フロート100と、凹状支持部120Aの構成が異なるだけで、他の構成は実施形態1にかかるレーンロープ用フロート100と同一なので、詳細な説明は省略する。
【0037】
レーンロープ用フロート100Aは、最も外径L1が大きな外側の最大径部110Aと、外径L1よりも外径L4が小さな凹状支持部120Aとを備えている(L1>L4)。凹状支持部120Aは、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けて支持出来るように凹形状となっている。また、凹状支持部120Aの断面は、中心が凹んだ滑らかな湾曲状となっているので、プール内にいる人が凹状支持部120Aを手で握ったり、腕を掛けやすい。また、レーンロープ用フロート100Aは左右対称の形状をしており、重心がレーンロープ用フロート100Aの中心に位置している。なお、凹状支持部120Aは、
図1に示す凹状支持部120よりも径が太くなっており、手で握るよりも、腕を掛けやすくなっている。そして、凹状支持部120Aは、腕を掛けるだけでなく、枕のようにして、首や頭を掛けて使用することができる。
【0038】
なお、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けやすいように、凹状支持部120Aの横幅L5は、100~150mm(ミリメートル)となっている。また、プール内にいる人が手で握ったり、腕を掛けやすいように、略円柱状の凹状支持部120Aの最も径が小さい部分の外径、すなわち直径L4は、80~100mm(ミリメートル)となっている。
【0039】
また、レーンロープ用フロート100Aは、実施形態1のレーンロープ用フロート100と同様に、中空状の円柱体であり、中心にロープRを挿通可能な筒状部200Aを備え、周囲が外壁101Aで囲まれている。筒状部200Aは、実施形態1のレーンロープ用フロート100の筒状部200と同じ構成であり、ロープRに面する内側の軟質層220Aと、軟質層220Aの外側を覆う硬質層230Aとを備える。
【0040】
では次に、
図7及び
図8に、実施形態1のレーンロープ用フロート100及び実施形態2のレーンロープ用フロート100AをロープRに取り付けた状態を示す。なお、
図7は、ロープRに実施形態1のレーンロープ用フロート100及び実施形態2のレーンロープ用フロート100Aを取り付けた平面図、
図8(a)は、
図7のC―C断面図、
図8(b)は、
図8(a)のレーンロープ用フロート100の端部210周辺を拡大した断面図である。
【0041】
図7に示すように、プールの各レーンMを区画するように、プールに張られた長尺状のロープRに、レーンロープ用フロート100及びレーンロープ用フロート100Aを交互に取り付ける。具体的には、
図8に示すように、レーンロープ用フロート100の筒状部200と、隣接するレーンロープ用フロート100Aの筒状部200AにロープRを挿通させる。隣接するレーンロープ用フロート100の端部210とレーンロープ用フロート100Aの端部210Aは、互いに当接している。そして、各レーンMを泳ぐプール内にいる人は、レーンロープ用フロート100の凹状支持部120やレーンロープ用フロート100Aの凹状支持部120Aを手で握ったり、腕を掛けて、簡単に休むことができるのである。なお、隣接するレーンロープ用フロートの外側の端部(最大径部付近)側を同じ形状にしているので、意匠的に綺麗な印象を与えている。また、凹状支持部(120、120A)は、プール内にいる人の身体の一部として手や腕を支持しているが、これに限定されず、凹状支持部(120、120A)は、プール内にいる人が休むことができるように、プール内にいる人の身体の任意の箇所を支持してもよい。なお、レーンロープ用フロートを取り付ける対象として、ロープRを利用しているが、これに限定されず、ワイヤーなど、レーンロープ用フロートを取り付けることが出来るのであれば、任意の部材を利用してもよい。
【0042】
また、手で握った時の力や腕を掛けたときのプール内にいる人の体重により、レーンロープ用フロート(100、100A)には力がかかるので、ロープRが筒状部200の軟質層(220、220A)に食い込むように強く当接する。この軟質層(220、220A)は、軟質の軟質材料から構成されているので、ロープRと軟質層(220、220A)との摩擦が大きくなることから、ロープRが軟質層(220、220A)に対して相対的に回転することを防止でき、レーンロープ用フロート(100、100A)が、ロープRの周りを回転することを抑止できる。また、レーンロープ用フロート(100、100A)がロープRの長尺方向に横ズレすることを抑止できる。その結果、各レーンMを泳ぐプール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロート(100、100A)につかまって休むことが出来る。
【0043】
なお、軟質層(220、220A)の外側には、硬質層(230、230A)が配置されている。そのため、レーンロープ用フロート(100、100A)に力がかかった際に、外側の硬質層(230、230A)が、内側の軟質層(220、220A)の過度な変形を抑えることができる。その結果、軟質層(220、220A)とロープRはしっかりと強く当接できるため、レーンロープ用フロート(100、100A)の回転をより効果的に抑止できる。
【0044】
なお、プール内にいる人によりレーンロープ用フロート100に力がかけられてない時は、ロープRと軟質層(220、220A)は接触しているものの、両者の間の摩擦力は強くないので、ロープRが軟質層(220、220A)に対して相対的に回転でき、レーンロープ用フロート(100、100A)が、ロープRの周りを回転できる。また、
図7及び
図8では、レーンロープ用フロート100とレーンロープ用フロート100Aを交互にロープRに取り付けているが、これに限定されず、レーンロープ用フロート100又はレーンロープ用フロート100Aの一方のみをロープRに取り付けるなど、レーンロープ用フロート100とレーンロープ用フロート100AのロープRへの取り付け態様は、任意であってもよい。
【0045】
なお、レーンロープ用フロート(100、100A)の筒状部(200、200A)は、軟質層(220、220A)と硬質層(230、230A)を備えているが、これに限定されず、筒状部(200、200A)は硬質層(230、230A)を備えておらず、筒状部(200、200A)は軟質層(220、220A)のみを備える、つまり、筒状部(200、200A)全体が軟質材料から構成されてもよい。その場合であっても、ロープRと筒状部(200、200A)の内面との摩擦が大きくなるため、ロープRが軟質層(220、220A)に対して相対的に回転することを防止でき、レーンロープ用フロート(100、100A)が、ロープRの周りを回転することを抑止できる。例えば、筒状部(200、200A)全体が、軟質材料のLDPE(低密度ポリエチレン)によりブロー成形された場合は、HDPE(高密度ポリエチレン)と比べて、ロープRの表面に巻いてある薄い膜との抵抗が増えるため、レーンロープ用フロート(100、100A)がロープRの長尺方向に横ズレしたり、ロープRの周りを回転することを防止できる。また、筒状部(200、200A)の内面に凹凸を設けることで、プール内にいる人の体重がレーンロープ用フロート(100、100A)にかかった際、筒状部(200、200A)とロープR(又は、ワイヤーなど)との抵抗が増すため、レーンロープ用フロート(100、100A)がロープRの長尺方向に横ズレしたり、ロープRの周りを回転することを防止できる。
【0046】
<実施形態3>
次に、本願発明の実施形態3にかかるレーンロープ用フロート100Bを
図9から
図11に示す。
図9はレーンロープ用フロート100Bの全体斜視図、
図10は、レーンロープ用フロート100Bの側面図、
図11(a)は、
図10のD―D断面図、
図11(b)は、
図11(a)の端部周辺の拡大断面図である。また、本実施形態3にかかるレーンロープ用フロート100Bは、
図1から
図4に示す実施形態1にかかるレーンロープ用フロート100と、軟質層を備えていない点と、回転抑止部材300Bを備えた点で異なるが、他の構成は実施形態1にかかるレーンロープ用フロート100と同一なので、詳細な説明は省略する。
【0047】
レーンロープ用フロート100Bは、実施形態1と同じ構成であるが、レーンロープ用フロート100Bの筒状部200Bは、軟質層を備えていない。そして、筒状部200Bは、両側の端部210Bにわたり直線状に延出する硬質層230Bから構成されており、硬質層230BはロープRを挿通させることが出来る。また、筒状部200Bの両側の端部210Bには、回転抑止部材300Bが取り付けられている。
【0048】
この回転抑止部材300Bは、筒状部200Bを構成する合成樹脂材料(
図11では、硬質層230Bを構成する硬質材料)よりも軟質の合成樹脂材料で構成されており、
図11(b)に示すように、筒状差込部310Bと端部320Bを備える。筒状差込部310Bは、内部にロープRを挿通可能なように筒状に構成されると共に、筒状部200Bの硬質層230B内側に差し込んで取り付けることが出来る。そして、回転抑止部材300Bの筒状差込部310Bを、筒状部200Bの端部210B側から硬質層230B内側に差し込むと、回転抑止部材300Bの端部320Bが、筒状部200Bの端部210Bに当接するので、回転抑止部材300Bが、それ以上、筒状部200Bに差し込まれない。
【0049】
回転抑止部材300Bを構成する軟質の軟質材料としては、EVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレン、LDPE(低密度ポリエチレン)、L―LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー、スチレン系エラストマー、又は、シリコン等を利用しているが、これに限定されず、筒状部200Bを構成する合成樹脂材料よりも軟質であれば、任意の合成樹脂材料で構成してもよい。また、デュロメータタイプAにより測定した回転抑止部材300Bの硬度が、10~95の範囲であると最適である。
【0050】
そして、レーンロープ用フロート100BをロープRに取り付けた際は、ロープRが回転抑止部材300Bの筒状差込部310B及び筒状部200B内を挿通した状態となる。プール内にいる人が、レーンロープ用フロート100Bにつかまって休んだ際は、手で握った時の力や腕を掛けたときのプール内にいる人の体重により、レーンロープ用フロート100Bには力がかかるので、ロープRが回転抑止部材300Bの筒状差込部310Bに食い込むように強く当接する。この回転抑止部材300Bの筒状差込部310Bは、軟質の軟質材料から構成されているので、ロープRと回転抑止部材300Bとの摩擦が大きくなることから、ロープRが回転抑止部材300Bに対して相対的に回転することを防止でき、レーンロープ用フロート100BがロープRの周囲を回転することを抑止できる。その結果、プール内にいる人は、安定した体勢で、レーンロープ用フロート100Bにつかまって休むことが出来る。また、ロープRとの接触面は摩耗するため、メンテナンスが必要となる場合があるが、筒状部200Bとは別体の回転抑止部材300Bを取り替えるだけで対応できるため、メンテナンスが容易である。
【0051】
なお、筒状部200Bと回転抑止部材300Bの筒状差込部310Bとの間の摩擦力は、ロープRと回転抑止部材300Bの筒状差込部310Bとの間の摩擦力よりも強くなっている。そのため、レーンロープ用フロート100Bに力がかかった際に、レーンロープ用フロート100Bが回転抑止部材300Bの周囲で回転してしまうことを防止できる。
【0052】
なお、本願発明のレーンロープ用フロートが取り付けられるロープは、プールの外壁に取付けるフックをレーンロープ用フロートに異常な荷重がかかった際にワイヤー(ロープ)切れる前に壁から外れるように設けているため、ワイヤー(ロープ)が切れてしまうのを防ぐことができる。また、本願発明のレーンロープ用フロートは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。