(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103302
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】切削装置及び切削方法
(51)【国際特許分類】
B26F 3/00 20060101AFI20240725BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B26F3/00 M
E04G23/08 E
B26F3/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007567
(22)【出願日】2023-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】593184363
【氏名又は名称】コンクリートコーリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523024185
【氏名又は名称】不二鉱材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】藤永 大樹
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】冨田 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】東元 真哲
【テーマコード(参考)】
2E176
3C060
【Fターム(参考)】
2E176AA02
2E176AA05
2E176AA14
2E176DD29
3C060AA14
3C060CE07
3C060CE23
(57)【要約】
【課題】交差する二つの壁面の間を噴射ノズルが移動する場合に、噴射ノズルと壁面との干渉を抑制することができる切削装置及び切削方法を提供する。
【解決手段】切削装置は、第1方向に延びる第1支持部と、前記第1方向に沿って移動するように前第1支持部に支持される噴射ノズルとを備え、前記第1支持部は折り曲げ可能に構成される。切削方法は、被切削物の交差する第1面及び第2面に亘ってレールを設置し、前記第1面又は前記第2面に沿う第1方向に延びる折り曲げ可能な第1支持部と、前記第1支持部に沿って移動するように、前記第1支持部に支持される噴射ノズルとを前記レールに支持させ、前記噴射ノズルから液体を噴射させて前記被切削物を切削し、前記レールに沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1支持部と、
前記第1方向に沿って移動するように前第1支持部に支持される噴射ノズルと
を備え、
前記第1支持部は折り曲げ可能に構成される
切削装置。
【請求項2】
前記第1支持部は少なくとも一つの関節を備える
請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持部が支持される第2支持部を備える
請求項1又は2に記載の切削装置。
【請求項4】
前記第2支持部が移動可能に支持されるレールを備える
請求項3に記載の切削装置。
【請求項5】
被切削物の交差する第1面及び第2面に亘ってレールを設置し、
前記第1面又は前記第2面に沿う第1方向に延びる折り曲げ可能な第1支持部と、前記第1支持部に沿って移動するように、前記第1支持部に支持される噴射ノズルとを前記レールに支持させ、
前記噴射ノズルから液体を噴射させて前記被切削物を切削し、
前記レールに沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる
切削方法。
【請求項6】
前記第1支持部を折り曲げた状態で前記被切削物を切削する
請求項5に記載の切削方法。
【請求項7】
前記第1面及び前記第2面の交差部分にて前記被切削物を切削する
請求項6に記載の切削方法。
【請求項8】
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持部が支持される第2支持部を前記第1面又は前記第2面に設置し、
前記第2支持部に沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる
請求項5から7のいずれか一つに記載の切削方法。
【請求項9】
焼却炉の内側に前記噴射ノズルが設置され、
前記焼却炉の壁は、外側に設けられる金属壁部と、内側に設けられるモルタル壁部と、前記金属壁部及び前記モルタル壁部の間に挟まれる金属製の水管とを備え、
前記モルタル壁部は前記被切削物であり、
前記噴射ノズルは前記モルタル壁部を切削する
請求項5から7のいずれか一つに記載の切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、被切削物を切削する切削装置及び切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直交する2方向にノズルを移動させる切削装置が提案されている。切削装置は、壁面に平行な一方向に延びるレールを介して、壁面に設置される。壁面の所定領域を切削後、レールに沿って移動され、壁面における未切削の領域を切削する(特許文献1参照)。切削装置はレールに沿って容易に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差する二つの壁面があり、一方の壁面から他方の壁面にノズルが移動する場合、ノズルと壁面とが干渉するおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交差する二つの壁面の間を噴射ノズルが移動する場合に、噴射ノズルと壁面との干渉を抑制することができる切削装置及び切削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る切削装置は、第1方向に延びる第1支持部と、前記第1方向に沿って移動するように前第1支持部に支持される噴射ノズルとを備え、前記第1支持部は折り曲げ可能に構成される。
【0007】
本開示においては、被切削物における交差する二つの面に沿って、第1支持部が折り曲げられる。
【0008】
本開示の一実施形態に係る切削装置は、前記第1支持部は少なくとも一つの関節を備える。
【0009】
本開示においては、第1支持部に少なくとも一つの関節が設けられ、第1支持部の折り曲げが実現される。
【0010】
本開示の一実施形態に係る切削装置は、前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持部が支持される第2支持部を備える。
【0011】
本開示においては、第2方向に噴射ノズルが移動するので、第2方向に切削範囲が拡がる。
【0012】
本開示の一実施形態に係る切削装置は、前記第2支持部が移動可能に支持されるレールを備える。
【0013】
本開示においては、例えば交差する二つの面に亘ってレールが設置された場合、被切削物に干渉することなく、二つの面の間を噴射ノズルは移動する。
【0014】
本開示の一実施形態に係る切削方法は、被切削物の交差する第1面及び第2面に亘ってレールを設置し、前記第1面又は前記第2面に沿う第1方向に延びる折り曲げ可能な第1支持部と、前記第1支持部に沿って移動するように、前記第1支持部に支持される噴射ノズルとを前記レールに支持させ、前記噴射ノズルから液体を噴射させて前記被切削物を切削し、前記レールに沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる。
【0015】
本開示においては、第1面及び第2面に沿って第1支持部が折り曲げられる。
【0016】
本開示の一実施形態に係る切削方法は、前記第1支持部を折り曲げた状態で前記被切削物を切削する。
【0017】
本開示においては、狭い空間に第1支持部及び噴射ノズルが移動する場合に、第1支持部が折り曲げられることによって、噴射ノズルを狭い空間に配置させることができる。
【0018】
本開示の一実施形態に係る切削方法は、前記第1面及び前記第2面の交差部分にて前記被切削物を切削する。
【0019】
本開示においては、第1面及び第2面に挟まれた狭い空間に噴射ノズルが配置され、噴射ノズルは第1面及び第2面の交差部分を切削する。
【0020】
本開示の一実施形態に係る切削方法は、前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持部が支持される第2支持部を前記第1面又は前記第2面に設置し、前記第2支持部に沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる。
【0021】
本開示においては、第2方向に噴射ノズルが移動するので、第2方向に切削範囲が拡がる。
【0022】
本開示の一実施形態に係る切削方法は、焼却炉の内側に前記噴射ノズルが設置され、前記焼却炉の壁は、外側に設けられる金属壁部と、内側に設けられるモルタル壁部と、前記金属壁部及び前記モルタル壁部の間に挟まれる金属製の水管とを備え、前記モルタル壁部は前記被切削物であり、前記噴射ノズルは前記モルタル壁部を切削する。
【0023】
本開示においては、被切削物であるモルタル壁部のみが切削され、水管及び金属壁部は切削されず、損傷しない。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一実施形態に係る切削装置及び切削方法にあっては、被切削物における交差する二つの面に沿って、第1支持部が折り曲げられるので、被切削物に干渉することなく、二つの面の間を噴射ノズルは移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】焼却炉の内側に設置した切削装置の略示正面図である。
【
図2】焼却炉及び切削装置の略示平面断面図である。
【
図4】切削方法を説明するための平面断面説明図である。
【
図5】切削方法を説明するための平面断面説明図である。
【
図6】切削方法を説明するための平面断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を実施の形態に係る切削装置1を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用するが、方向の定義はこれに限定されない。本実施の形態においては、焼却炉100の内壁を切削する場合について説明する。なお被切削物は焼却炉100の内壁以外でもよく、トンネル、橋桁又は焼却炉100以外の建築物等の壁でもよい。
図1は、焼却炉100の内側に設置した切削装置1の略示正面図、
図2は、焼却炉100及び切削装置1の略示平面断面図、
図3は、焼却炉100及び切削装置1の略示縦断面図である。
【0027】
焼却炉100は、例えば上下に延びる直方体状をなし、前壁101、後壁102、右壁103及び左壁104を備える。前壁101、後壁102、右壁103及び左壁104は一体的に連なる。前壁101、後壁102、右壁103及び左壁104は金属壁部100aと、耐火性を有するモルタル壁部100bと、上下に延びる複数の水管100c、100c、・・・、100cとを備える。複数の水管100cは焼却炉100の周方向に並ぶ。水管100cは金属製である。複数の水管100cは金属壁部100aの一面に溶接される。複数の水管100cを覆うように、モルタル壁部100bが金属壁部100aに設けられる。即ち、複数の水管100cはモルタル壁部100bと金属壁部100aとの間に挟まれる。モルタル壁部100bが焼却炉100の径方向内側に位置し、金属壁部100aが焼却炉100の径方向外側に位置するように、前壁101、後壁102、右壁103及び左壁104は配置される。モルタル壁部100bの劣化は継続的な焼却によって進行する。そのため、モルタル壁部100bは数年毎に除去され、打ち直される。モルタル壁部100bの除去を行うために、焼却炉100内に切削装置1が設置される。切削装置1は制御装置(図示略)によって制御される。
【0028】
切削装置1はレール2、第1支持部10、第2支持部5及び噴射ノズル14等を備える。レール2は、焼却炉100の内側において、前壁101、後壁102、右壁103及び左壁104に沿って周方向に延びる。即ち、レール2は平面視にて環状に配置される。レール2は、レール支持枠2aによって支持される。レール2には2個の移動体3、3が設けられ、各移動体3はレール2に沿って移動する。移動体3には、ストッパ(図示略)が設けられる。ユーザはストッパによって移動体3の移動を規制するか、又はストッパによる移動の規制を解除することができる。
【0029】
第2支持部5は2個の第2支持部5を備える。第2支持部5は第2支持棒6、第2チェーン7及び連結体8を有する。第2支持棒6には、第2支持棒6の長手方向に沿って第2チェーン7が取り付けられる。第2支持棒6に、第2支持棒6の長手方向に移動可能な連結体8が取り付けられる。連結体8は第2チェーン7に噛合する第2ギヤ8aを備える。
【0030】
一方の第2支持棒6の一端部と一方の移動体3とが連結部材4を介して連結され、他方の第2支持棒6の一端部と他方の移動体3とが連結部材4を介して連結される。連結部材4として、例えば2個のフックとチェーンとを備えるチェーンブロックが使用される。一方のフックが移動体3に掛止され、他方のフックが第2支持棒6の一端部に掛止される。第2支持棒6は連結部材4を介して移動体3から垂下する。第2支持棒6、即ち第2支持部5は上下方向に延びる。上下方向は第2方向に対応する。
【0031】
一方の第2支持棒6における連結体8に第2モータ9が取り付けられる。第2モータ9は連結体8の第2ギヤ8aを回転させる。例えば、
図1に示すように、2個の移動体3は後壁102に左右に離れて配置され、左側の移動体3から垂下した第2支持棒6における連結体8に第2モータ9が取り付けられる。第2モータ9の駆動によって連結体8の第2ギヤ8aは回転し、第2チェーン7上を直線的に移動する。即ち、左側の連結体8は第2支持棒6に沿って上下方向に移動する。なお右側の移動体3から垂下した第2支持棒6における連結体8にはモータが取り付けられていない。
【0032】
第1支持部10は、第1支持棒11と、第1チェーン12と、移動箱13とを備える。第1支持棒11には、第1支持棒11の長手方向に沿って第1チェーン12が取り付けられる。第1支持棒11に、第1支持棒11の長手方向に移動可能な移動箱13が取り付けられる。移動箱13は、第1モータ13aと、第1モータ13aによって駆動され、第1チェーン12に噛合する第1ギヤ13bを備える。移動箱13には噴射ノズル14が取り付けられている。第1モータ13aの駆動によって、第1ギヤ13bは第1チェーン12に噛合した状態で回転し、第1チェーン12上を直線的に移動し、移動箱13及び噴射ノズル14は第1支持棒11に沿って左右方向に移動する。噴射ノズル14は圧水を噴射しつつ移動する。
【0033】
第1支持棒11の両端部は2個の連結体8にそれぞれ連結される。第1支持棒11は第2支持棒6に対し略直交するように配置される。即ち第1支持棒11は上下方向に交差する左右方向又は前後方向に延びる。左右方向又は前後方向は第1方向に対応する。例えば、
図1に示すように、第1支持棒11は左右方向に延びる。
【0034】
前述したように、第2モータ9の駆動によって左側の連結体8は上下方向に移動する。第1支持部10と、右側の連結体8とは左側の連結体8と共に上下方向に移動する。即ち、噴射ノズル14は第2支持棒6に沿って上下方向に移動する。移動体3をレール2に沿って移動させることによって、第1支持部10、第2支持部5及び噴射ノズル14は焼却炉100の周方向に移動する。
【0035】
ユーザは制御装置に、例えば、第1支持棒11に沿う方向における噴射ノズル14の移動開始・終了時点、第2支持棒6に沿う方向における第1支持部10の開始・終了時点、噴射ノズル14から噴射される水の圧力等に関する情報を入力し、制御装置は、入力された情報に基づいて、切削装置1の駆動を制御する。
【0036】
第1支持棒11には、回転可能な少なくとも一つの関節が設けられている。本実施例においては2個の関節が、第1支持棒11の両端から所定距離離れた位置にそれぞれ設けられている。換言すれば、第1支持棒11は、第1部分11a、第2部分11b及び第3部分11cを有し、第1部分11a及び第2部分11bは第1関節11dを介して接続され、第2部分11b及び第3部分11cは第2関節11eを介して接続される。例えば、
図1に示すように、第1部分11aは左側に位置し、第3部分11cは右側に位置し、第2部分11bは左右方向中央に位置し、第1関節11dは左側に設けられ、第2関節11eは右側に設けられる。第1関節11d及び第2関節11eは上下方向を回転軸方向として、第1支持棒11に設けられている。第1関節11d及び第2関節11eによって、第1支持棒11は折り曲げることができる。なお関節は1個でもよく、3個以上でもよい。
【0037】
切削装置1による切削方法を説明する。
図4~
図6は切削方法を説明するための平面断面説明図である。例えば、
図1~
図3に示すように、初期状態において、切削装置1は後壁102の内面における左右方向中央部に対向するように設けられている。移動体3の移動はストッパによって規制されている。以下、後壁102、右壁103、前壁101及び左壁104の内面を、それぞれ、後面102a、右面103a、前面及び左面とも称する。後面102a及び右面103aを削除する場合、後面102a及び右面103aの一方は第1面に対応し、他方は第2面に対応する。
【0038】
なお右面103a及び前面を削除する場合、右面103a及び前面の一方は第1面に対応し、他方は第2面に対応し、前面及び左面を削除する場合、前面及び左面の一方は第1面に対応し、他方は第2面に対応し、左面及び後面102aを削除する場合、左面及び後面102aの一方は第1面に対応し、他方は第2面に対応する。
【0039】
初期状態において、第1支持棒11は左右方向に直線的に延びており、折り曲がっていない。噴射ノズル14は第1支持棒11に沿って左右方向に移動しつつ、圧水を噴射して、後面102aの左右方向中央部におけるモルタル壁部100bを切削する。また噴射ノズル14は上下方向に適宜移動して、上下位置を変更しつつ、モルタル壁部100bを切削する。
【0040】
左右方向及び上下方向における移動可能な範囲での切削が完了した場合、ストッパによる移動の規制を解除し、第2支持部5、第1支持部10及び噴射ノズル14をレール2に沿って移動させる。例えば、
図4に示すように、右側に移動させる。移動完了後、ストッパによって第2支持部5の移動を規制する。後面102aにおいて、未切削の右側部分の左右寸法は第1支持棒11全体の長さよりも短い。そのため、第2関節11eを支点にして第3部分11cは第1部分11a及び第2部分11bに対して前側に略直角に折り曲がり、第1支持棒11が右面103aに干渉することが回避される。なお第1部分11a及び第2部分11bは左右方向に直線的に延び、噴射ノズル14は第1部分11a及び第2部分11bを左右方向に移動し、また、第2支持棒6に沿って上下方向に移動し、モルタル壁部100bを切削する。しかし、噴射ノズル14は後面102aと右面103aとの交差部分、即ち角部分を切削できない。
【0041】
後面102aの右側部分の切削が完了した後、ユーザは、ストッパによる移動の規制を解除し、例えば
図5に示すように、噴射ノズル14を第2部分11bに位置させた状態で、第2支持部5、第1支持部10及び噴射ノズル14をレール2に沿って右側及び前側に移動させる。第1関節11d及び第2関節11eを支点にして、第2部分11bが角部分に向けて突出するように、第2部分11b及び第3部分11cは前側に折り曲がる。角部分における空間は狭いが、この折り曲げによって、第1支持棒11が右面103aに干渉することを回避し、且つ、第2部分11b、即ち噴射ノズル14を角部分に対向させることができる。移動完了後、ストッパによって第2支持部5の移動を規制する。噴射ノズル14は第2支持棒6に沿って上下方向に移動し、角部分におけるモルタル壁部100bを切削する。なお噴射ノズル14は第2部分11bに沿って、上下方向に略直交する方向に移動しつつ、角部分におけるモルタル壁部100bを切削してもよい。
【0042】
角部分におけるモルタル壁部100bの切削が完了した後、ユーザは、ストッパによる移動の規制を解除し、例えば
図6に示すように、第2支持部5、第1支持部10及び噴射ノズル14をレール2に沿って右側及び前側に更に移動させる。第1関節11dを支点にして第2部分11b及び第3部分11cは第1部分11aに対して前側に略直角に折り曲がり、第1支持棒11が右面103aに干渉することが回避される。第2部分11b及び第3部分11cは前後方向に直線的に延びる。第2部分11b又は第3部分11cに噴射ノズル14は配置される。第2部分11b、第3部分11c及び噴射ノズル14は右面103aの後側部分に対向する。移動完了後、ストッパによって第2支持部5の移動を規制する。噴射ノズル14は第2部分11b及び第3部分11cを前後方向に移動し、また、第2支持棒6に沿って上下方向に移動し、右面103aの後側部分におけるモルタル壁部100bを切削する。切削装置1は更にレール2に沿って周方向に移動し、焼却炉100の内面に設けられたモルタル壁部100b全体を切削することができる。
【0043】
実施の形態に係る切削装置1及び切削方法にあっては、焼却炉100の内面(被切削物)における交差する二つの面に沿って、第1支持部10が折り曲げられるので、焼却炉100の内面に干渉することなく、二つの面の間を噴射ノズル14は移動することができる。
【0044】
また第1支持部10に少なくとも一つの関節が設けられ、第1支持部10の折り曲げが実現される。また第2支持部5に沿う第2方向に噴射ノズル14が移動するので、第2方向に切削範囲が拡がる。
【0045】
また交差する二つの面に亘ってレール2が設置された場合、焼却炉100の内面に干渉することなく、二つの面の間を噴射ノズル14は移動することができる。また、例えば焼却炉100の後面102a(第1面)及び右面103a(第2面)に沿って第1支持部10が折り曲げられるので、第1面及び第2面の間を噴射ノズル14は干渉無しに移動することができる。
【0046】
また第1面及び第2面に挟まれた狭い空間に第1支持部10及び噴射ノズル14が移動する場合に、第1支持部10が折り曲げられることによって、噴射ノズル14を狭い空間に配置させることができる。また第1面及び第2面に挟まれた狭い空間に噴射ノズル14が配置されるので、噴射ノズル14は第1面及び第2面の交差部分、即ち角部分を切削することができる。
【0047】
モルタル壁部100bを打ち直す場合、水管100cはそのまま利用するので、水管100cを傷つけずにモルタル壁部100bを切削する必要がある。しかし、チッパーを用いて手作業で切削する場合、水管100cが傷つくおそれがある。特に水管100cには径方向外向きに突出したピンが設けられていることがあり、チッパーを用いた場合、ピンが破損する可能性が高く、作業時間も長くなりやすい。したがって、上述のように、圧水を噴射する切削装置1を使用することによって、水管100cを傷つけることなく、モルタル壁部100bのみを切削することができる。水管100c及び金属壁部100aは切削装置1から噴射される圧水によって切削されず、損傷しないので、モルタル壁部100bの打ち直し後に使用を継続することができる。
【0048】
また焼却炉100の内側には余熱が残っていることがあり、焼却炉100内ではマスクをする必要があることから、焼却炉100内での作業は作業者にとって大きな負担になるおそれがある。したがって、上述のように、制御装置によって切削装置1の駆動を制御させることによって、作業者は焼却炉100内にて長時間作業する必要がなく、作業者に対する負担を削減させることができる。
【0049】
実施の形態において、第1支持部10は左右方向又は前後方向に延び、第2支持部5は上下方向に延びるが、焼却炉100の底面、前面、天面及び後面102aにレール2が環状に設置される場合、第1支持部10は上下方向又は前後方向に延び、第2支持部5は左右方向に延びてもよい。また焼却炉100の内面にレール2を設けているが、焼却炉100の外面を切削する場合は、前記外面にレール2を設置し、前記外面を切削してもよい。
【0050】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 切削装置
2 レール
5 第2支持部
6 第2支持棒
10 第1支持部
11 第1支持棒
11a 第1部分
11b 第2部分
11c 第3部分
11d 第1関節
11e 第2関節
14 噴射ノズル
100 焼却炉
100a 金属壁部
100b モルタル壁部
100c 水管
102a 後面(第1面、第2面)
103a 右面(第1面、第2面)
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1支持部と、
前記第1方向に沿って移動するように前第1支持部に支持される噴射ノズルと、
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持
部が支持される第2支持部と、
前記第2支持部が前記第1方向に移動可能に支持されるレールと、
前記レールを移動する移動体と、前記第2支持部とを連結するチェーンブロックと
を備え、
前記第1支持部は折り曲げ可能に構成され、
前記第1方向は上下方向に交差する方向であり、
前記第2方向は上下方向である
切削装置。
【請求項2】
前記第1支持部は少なくとも一つの関節を備える
請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
前記移動体に、前記移動体の移動を規制するストッパが設けられる
請求項1又は2に記載の切削装置。
【請求項4】
被切削物の交差する第1面及び第2面に亘ってレールを設置し、
前記第1面又は前記第2面に沿う第1方向に延びる折り曲げ可能な第1支持部と、前記第1支持部に沿って移動するように、前記第1支持部に支持される噴射ノズルとを前記レールに支持させ、
前記噴射ノズルから液体を噴射させて前記被切削物を切削し、
前記レールに沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる
切削方法。
【請求項5】
前記第1支持部を折り曲げた状態で前記被切削物を切削する
請求項4に記載の切削方法。
【請求項6】
前記第1面及び前記第2面の交差部分にて前記被切削物を切削する
請求項5に記載の切削方法。
【請求項7】
前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記第2方向に移動するように前記第1支持部が支持される第2支持部を前記第1面又は前記第2面に設置し、
前記第2支持部に沿って前記第1支持部及び噴射ノズルを移動させる
請求項4から6のいずれか一つに記載の切削方法。
【請求項8】
焼却炉の内側に前記噴射ノズルが設置され、
前記焼却炉の壁は、外側に設けられる金属壁部と、内側に設けられるモルタル壁部と、
前記金属壁部及び前記モルタル壁部の間に挟まれる金属製の水管とを備え、
前記モルタル壁部は前記被切削物であり、
前記噴射ノズルは前記モルタル壁部を切削する
請求項4から6のいずれか一つに記載の切削方法。