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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103785
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】施工管理システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/06 20060101AFI20240725BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E02D13/06
E02D7/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092333
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2020169836の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】沼田 茂己
(72)【発明者】
【氏名】中島 昌矢
(72)【発明者】
【氏名】本橋 悠
(72)【発明者】
【氏名】倉上 真典
(72)【発明者】
【氏名】岡畑 潤
(57)【要約】
【課題】打設位置に合った仕様の杭を打設することを支援する。
【解決手段】複数の打設位置に対する杭の打設を管理する施工管理システムであって、読取部から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を第1格納部から読み取り、打設対象位置に関連付けられた前記第2仕様情報を第2格納部から読み取り、読み取った前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とを比較する比較部と、前記比較部による比較結果を出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の打設位置に対する杭の打設を管理する施工管理システムであって、
前記杭を識別する識別情報を含む杭特定情報がコード化されたコード情報が複数の杭のそれぞれに表示されており、前記杭に割り当てられた前記杭特定情報と、当該杭の仕様の情報である第1仕様情報とを前記杭ごとに関連付けて格納する第1格納部と、
前記打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め前記打設位置ごとに関連付けて格納する第2格納部と、
前記複数の打設位置の中から前記杭を打設する打設位置である打設対象位置を選択する選択部と、
前記杭の打設前であって前記選択部によって前記打設対象位置が選択された後において、前記コード情報を読み取り、読み取った前記コード情報から前記杭特定情報を出力する読取部と、
前記読取部から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を前記第1格納部から読み取り、前記打設対象位置に関連付けられた前記第2仕様情報を前記第2格納部から読み取り、読み取った前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果を出力する出力部と、
を備える施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、軟弱な地盤を改良する方法として地盤に複数の杭を打設することで杭基礎を構築する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-160683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地盤に複数の杭を打設する場合には、施工計画書に従って、予め決められた複数の位置(以下、「打設位置」という。)のそれぞれに対して、その打設位置に合った仕様の杭を打設する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、打設位置に合った仕様の杭を打設することを支援する施工管理システム及び施工管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、複数の打設位置に対する杭の打設を管理する施工管理システムであって、前記杭を識別する識別情報を含む杭特定情報がコード化されたコード情報が複数の杭のそれぞれに表示されており、前記杭に割り当てられた前記杭特定情報と、当該杭の仕様の情報である第1仕様情報とを前記杭ごとに関連付けて格納する第1格納部と、前記打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め前記打設位置ごとに関連付けて格納する第2格納部と、前記複数の打設位置の中から前記杭を打設する打設位置である打設対象位置を選択する選択部と、前記杭の打設前であって前記選択部によって前記打設対象位置が選択された後において、前記コード情報を読み取り、読み取った前記コード情報から前記杭特定情報を出力する読取部と、前記読取部から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を前記第1格納部から読み取り、前記打設対象位置に関連付けられた前記第2仕様情報を前記第2格納部から読み取り、読み取った前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とを比較する比較部と、前記比較部による比較結果を出力する出力部と、を備える施工管理システムである。
【0007】
(2)上記(1)の施工管理システムであって、前記選択部によって選択された前記打設対象位置と、前記読取部から出力される前記杭特定情報と、を関連付けた打設履歴情報を登録する履歴登録部を更に備えてもよい。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の施工管理システムであって、2つ以上の前記杭が施工される前記打設位置に対しては、当該打設位置に対して打設すべき前記2つ以上の前記杭の前記第2仕様情報と、前記2つ以上の前記杭のうちどの杭を何番目に打設するかを示す打設順の情報と、を関連付けて前記第2格納部に格納されており、前記比較部は、前記読取部によって前記コード情報が読み取られた前記杭を、前記打設対象位置に施工されたとみなし、前記選択部によって選択された前記打設対象位置が前記2つ以上の前記杭が施工される前記打設位置である場合には、前記打設対象位置に対して施工する前記杭の前記第2仕様情報を前記打設対象位置に対応付けられた前記打設順に従って前記第2格納部から読み取ってもよい。
【0009】
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかの施工管理システムであって、前記杭特定情報は、前記杭が施工される物件を特定する物件情報を更に含んでもよい。
【0010】
(5)本発明の一態様は、複数の打設位置に対する杭の打設を管理する施工管理方法であって、前記杭を識別する識別情報を含む杭特定情報がコード化されたコード情報が複数の杭のそれぞれに表示されており、前記杭に割り当てられた前記杭特定情報と、当該杭の仕様の情報である第1仕様情報とを前記杭ごとに関連付けて第1格納部に格納し、前記打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め前記打設位置ごとに関連付けて第2格納部に格納し、前記複数の打設位置の中から前記杭を打設する打設位置である打設対象位置を選択し、前記杭の打設前であって前記打設対象位置が選択された後において、読取部によって前記コード情報を読み取り、読み取った前記コード情報から前記杭特定情報を出力し、前記読取部から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を前記第1格納部から読み取り、前記打設対象位置に関連付けられた前記第2仕様情報を前記第2格納部から読み取り、読み取った前記第1仕様情報と前記第2仕様情報とを比較して、比較結果を出力する、施工管理方法である。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、打設位置に合った仕様の杭を打設することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る施工管理システムの概略構成図である。
図2】本実施形態に係るコード情報が印字されたラベルの一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る第1格納部に格納される情報の一例をテーブル形式で示した図である。
図4】本実施形態に係る登録画面の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る第2格納部に格納される情報の一例をテーブル形式で示した図である。
図6】本実施形態における現場用端末装置320の概略構成図である。
図7】本実施形態に係る施工画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る施工管理システムのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る施工管理システム及び施工管理方法を、図面を用いて説明する。
【0014】
本実施形態に係る施工管理システム及び施工管理方法は、複数の打設位置に対する杭の打設を管理するものであり、各打設位置に合った仕様(杭の寸法、形、材質など)の杭を打設することを支援する。ここで、杭の打設とは、施工現場において予め決められた打設位置に対して一つ以上の杭(製造済み)を埋設することであり、本実施形態では施工ともいう。なお、一つの打設位置に対して一つの杭を打設する場合もあれば、二つ以上の杭を打設する場合もある。例えば、一つの打設位置に対して二つの杭を打設する場合には、打設位置に最初に打設する杭を「下杭」と称し、次に下杭の上に打設(建て込み)する杭を「上杭」と称する場合がある。例えば、一つの打設位置に対して三つの杭を打設する場合には、打設位置に最初に打設する杭を「下杭」と称し、その下杭の上に打設(建て込み)する杭を「中杭」と称し、最後に中杭の上に打設(建て込み)する杭を「上杭」と称する場合がある。なお、以下の説明において、この上杭、中杭、下杭などのどの位置に杭を埋設するかの情報を「区分」と称する場合がある。
【0015】
まず、本実施形態に係る施工管理システム1の概要について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る施工管理システム1の概略構成図である。
【0016】
施工管理システム1は、工場用デバイスユニット100、施工管理装置200、及び現場用デバイスユニット300を備える。
【0017】
工場用デバイスユニット100は、杭を製造する杭製造工場に設けられる。工場用デバイスユニット100は、コード情報発行部110及び工場用端末装置120を備える。
【0018】
コード情報発行部110は、杭ごとのコード情報を発行する。杭製造工場では、製造依頼に基づいて杭を製造し、製造した各杭に対して、コード情報発行部110が発行されるコード情報を表示させる。コード情報は、杭を識別する識別情報を含む杭特定情報がコード化された情報である。杭特定情報は、製造された杭ごとに割り当てられる識別情報を含み、この識別情報の他に、杭が施工される物件を特定する物件情報を更に含んでもよい。
例えば、コード情報は、バーコードなどの一次元コードであってもよいし、QRコード(登録商標)などの二次元コードであってもよい。コード情報を表示させるとは、コード情報を杭に表示させればよく、コード情報が杭に直接印字されてもよいし、コード情報が印字されたラベルが杭に貼付されてもよい。
【0019】
図2は、コード情報が印字されたラベルの一例である。図2に示すラベルには、コード情報と、現場作業従事者Sなどの現場で作業を行う者が目視でどのような仕様の杭かを把握できる情報(以下、「把握情報」という。)と、が印字されている。このラベルは、杭製造現場において杭ごとに貼付される。把握情報は、杭の仕様の情報であるが、杭の仕様の情報のすべてを含む必要はなく、例えば、寸法及び区分など主要な情報だけを含んでもよい。
【0020】
一例として、コード情報発行部110は、利用者から操作されると、杭特定情報を生成して、その杭特定情報を工場用端末装置120に送信あるいは入力する。また、コード情報発行部110は、生成した杭特定情報がコード化されたコード情報を発行する。なお、コード情報発行部110は、発行したコード情報が印字されたラベルを発行してもよい。
また、コード情報発行部110とは別の装置がラベルを発行してもよい。
【0021】
工場用端末装置120は、杭製造工場での利用者が使用する装置であり、通信ネットワークNを介して施工管理装置200に接続されている。ここで、通信ネットワークNは、無線通信の伝送路(例えば、無線LAN)であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワークNは、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネット及び専用回線又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワークNは、省電力広域ネットワーク(LPWAN:Low-power Wide-area)を用いてもよいし、短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)、WiFi(登録商標)、BLE等を用いてもよい。
【0022】
工場用端末装置120では、製造した杭の仕様を含む情報(以下、「管理情報」という。)と、その製造した杭に対して表示させた杭特定情報と、を関連付けて格納している。
一例として、杭の仕様とは、区分、杭の杭径、厚さ、材質、杭長、継手の種類や継手の有無などの情報である。ここで、杭は、鋼管部と羽根部とを有する構成が一般的である。したがって、このような杭の場合には、杭の仕様として、鋼管部と羽根部のそれぞれにおいて、杭の杭径、厚さ、材質のそれぞれが設定されてもよい。継手の種類には、無溶接継手や溶接継手がある。例えば、「1」が無溶接継手であることを示し、「2」が溶接継手であることを示す。
【0023】
なお、製造した杭の仕様の情報は、工場用端末装置120の操作部(不図示)から入力されてもよいし、製造依頼から抽出されてもよい。また、工場用端末装置120は、管理情報として、杭の仕様とは別に、杭に使用された鋼材などのロット番号、ミルシートに記載されている情報、工程内検査の結果の情報、杭の製造日などの品質に関わる情報(以下、「品質情報」という。)も杭特定情報に対して関連付けて格納してもよい。工場用端末装置120は、製造した杭のすべてにおいて、杭特定情報と、その特定情報に関連付けられた管理情報とを関連付けた情報(以下、「製造情報」という。)を、通信ネットワークNを介して施工管理装置200に送信する。
【0024】
施工管理装置200は、サーバ装置210と登録端末220とを有する。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ReadOnly Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0025】
サーバ装置210は、例えば、管理業務者Mが管理する装置である。サーバ装置210は、第1格納部211、第2格納部212及び情報処理部213を備える。なお、第1格納部211及び第2格納部212は、それぞれ個別な記憶装置であってもよいし、同一の記憶装置であってもよい。
【0026】
第1格納部211には、杭に表示されている杭特定情報と、当該杭の仕様の情報である第1仕様情報とが杭ごとに関連付けて格納されている。図3は、第1格納部211に格納される情報の一例をテーブル形式で示した図である。
【0027】
図3に示す例では、第1仕様情報は、区分、鋼管部と羽根部のそれぞれの杭径,厚さ,材質、継手の種類、継手の位置(上端か下端か)、杭長の各項目の情報である。ただし、これに限定されず、第1仕様情報の項目は、任意の設定可能である。なお、第1格納部211に格納される杭特定情報と第1仕様情報とは、工場用端末装置120により送信された製造情報から抽出された情報である。ただし、第1格納部211には、少なくとも杭特定情報と第1仕様情報とが関連付けられた情報が格納されていればよく、品質情報が杭特定情報に関連付けられて格納されてもよい。さらに、第1仕様情報の項目の種類は、製造情報に含まれている杭の仕様情報の項目の種類と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
第2格納部212には、各打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報が予め打設位置ごとに関連付けて格納されている。ここで、第2格納部212に格納される打設位置と、その打設位置に対応する第2仕様情報とは、例えば、登録端末220によって第2格納部212に格納される。第2仕様情報の項目は、例えば区分、鋼管部と羽根部のそれぞれの杭径、厚さ、材質、継手の種類、継手の位置(上端か下端か)、杭長の各項目の情報である。
【0029】
情報処理部213は、工場用デバイスユニット100や現場用デバイスユニット300と通信ネットワークNを介して情報を送受する。例えば、情報処理部213は、工場用端末装置120が送信された製造情報から杭特定情報と第1仕様情報とを抽出して第1格納部211に格納する。
【0030】
登録端末220は、第2格納部212に対して、打設位置と、その打設位置に対する第2仕様情報とを打設位置ごとに登録する。例えば、登録端末220は、取得部221、表示部222、操作部223、及び登録部224を備える。
【0031】
取得部221は、外部から杭伏図を取得する。杭伏図の取得方法には特に限定されないが、例えば取得部221は、外部から通信ネットワークNを介して杭伏図を取得してもよいし、スキャナ等によって杭伏図を取り込んでもよい。
【0032】
表示部222は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0033】
操作部223は、管理業務者Mによって操作されるものであり、例えばタッチパネル、キーボード等に代表されるハードウェアキー、マウス等のポインティングデバイスである。
【0034】
登録部224は、取得部221で取得した杭伏図において打設位置を特定する。ここで、登録部224は、取得部221で取得した杭伏図に対して、公知の画像処理を適用して打設位置を認識することにより打設位置を特定してもよい。また、登録部224は、取得部221で取得した杭伏図を表示部222に表示し、その表示された杭伏図に対して、管理業務者Mによる操作部223の操作に基づいて打設位置が指定されることで各打設位置を特定してもよい。
【0035】
また、管理業務者Mは、操作部223を操作することで各打設位置に対する第2仕様情報を登録端末220に入力する。登録部224は、特定した各打設位置を示す情報(以下、「杭番号」という。)と、操作部223によって入力された第2仕様情報とを関連付けて第2格納部212に格納する。また、登録部224は、打設位置ごとに杭符号を設定してもよい。杭符号とは、一つの打設位置に対して全ての杭が打設された後の杭全体(以下、「杭セット」という。)の仕様を表す情報である。下杭と上杭の2つの杭が打設される場合には、杭セットの仕様とは、上杭の仕様(第2仕様情報)、下杭の仕様(第2仕様情報)、及び下杭と上杭の各本数(本数/セット数)などの情報である。換言すれば、杭符号とは、一つの打設位置に打設する杭の組み合わせを示す情報である。したがって、複数の施工位置に同じ杭符号が割り当てられた場合には、その複数の施工位置のそれぞれに打設する杭の仕様及び組み合わせは、原則、すべての同じである。
【0036】
また、登録部224は、2つ以上の杭が打設される打設位置に対しては、当該打設位置に対して打設すべき2つ以上の杭の第2仕様情報と、その2つ以上の杭のうちどの杭を何番目に打設するかを示す打設順の情報(以下、「打設順情報」という。)と、を関連付けて第2格納部212に格納してもよい。例えば、打設順情報とは、上杭、中杭、下杭などの情報であってもよいし、打設する順番の番号であってもよい。
【0037】
図4は、登録部224が各打設位置に対する第2仕様情報を第2格納部212に登録するための登録画面M1の一例である。図4に示す登録画面M1は、表示部222に表示され、大別して3つの表示領域R1~R3を有する。ただし、登録画面M1の表示領域の数は、特に限定されず、一つであってもよいし、二つ以上であってもよい。
【0038】
管理業務者MがアップロードボタンB1をクリックして杭伏図を登録端末220にアップロードするとその杭伏図が表示領域R1に表示される。そして、例えば、管理業務者Mは、表示領域R1に表示された杭伏図において、打設位置に対応する位置を操作部223によってクリックすることで登録部224に対して打設位置を特定させる。登録部224は、表示領域R1に表示されている杭伏図において、特定した各打設位置が視認できるように第1の色で色付けした所定の形(例えば、円形)のアイコンを各打設位置上に表示し、その打設位置を識別する杭番号を各打設位置の近傍に表示し、打設位置と杭番号とを1対1で関連付ける。
【0039】
表示領域R2は、一つの打設位置に打設する杭セットの仕様を登録するための画面である。管理業務者Mは、表示領域R2に表示されている行追加ボタンB2を押下し、追加された行に対して、操作部223によって杭符号と杭セットの仕様情報とを入力する。そして、管理業務者Mは、杭符号と杭セットの仕様情報との入力が終了すると登録ボタンB3を押下する。これにより、登録部224は、追加した行に入力された杭符号と杭セットの仕様情報とを1対1で関連付けて第2格納部212に格納する。なお、杭符号は、管理業務者Mによって入力されるのではなく、行追加ボタンB2が押下されることによって自動入力されてもよい。なお、表示領域R2では、入力した杭セットが杭工事全体でいくつ使用されるかを示すセット数を設定可能である。なお、表示領域R2における杭仕様の入力は、手入力ではなく、登録部224が施工計画書などから杭情報を読み込むことで入力し格納部223に登録してもよい。
【0040】
表示領域R3は、杭番号と、その杭番号が示す打設位置に打設すべき杭の仕様、すなわち第2仕様情報とを関連付けるための領域である。管理業務者Mは、操作部223によって各杭番号に対して、杭番号が示す打設位置に打設する杭全体の仕様を示す杭符号を入力する。そして、管理業務者Mは、各杭番号に対する杭符号の入力が終了すると登録ボタンB4を押下する。これにより、登録部224は、各杭番号と杭符号と関連付けて第2格納部212に格納する。ここで、杭符号と杭セットの仕様情報とは1対1で関連付けられているため、杭番号と杭符号とを関連付けることは、杭番号(打設位置)と第2仕様情報とを関連付けることになる。
【0041】
図5は、登録端末220によって第2格納部212に格納される情報の一例をテーブル形式で示した図である。第2格納部212には、杭仕様テーブルと杭番号テーブルがある。
【0042】
図5(a)は、杭仕様テーブルを示す一例である。杭仕様テーブルには、表示領域R2によって登録された杭符号と杭セットの仕様情報とが関連付けられている。ここで、例えば、杭セットの仕様情報は、第1仕様情報と同じ種類の項目を有しており、例えば、杭符号P1が上杭と下杭とからなる杭セットの仕様情報が関連付けられている場合には、その杭セットの仕様情報とは、上杭と下杭の各第2仕様情報が杭符号に関連付けられている。
なお、杭仕様テーブルには、杭セットのセット数や(本数/セット数)の情報が関連付けられてもよい。
【0043】
図5(b)は、杭番号テーブルを示す一例である。杭番号テーブルには、表示領域R3によって登録された杭番号と杭符号とが関連付けられている。本実施形態では、第2格納部212において、杭仕様テーブルと杭番号テーブルが格納されることで、各打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め打設位置ごとに関連付けられる。なお、杭仕様テーブルと杭番号テーブルとは、一つのテーブルとしてまとめられてもよいし、杭符号を省略して、杭番号と杭セットの仕様情報とが直接関連付けられてもよい。
【0044】
現場用デバイスユニット300は、例えば、杭工事の現場において用いられ、事前に登録されている杭の登録仕様(第2仕様情報)と、打設しようとする杭の実仕様(第1仕様情報)との不一致をチェックする。この現場用デバイスユニット300は、現場での杭施工前において、現場作業従事者Sによって選択された打設位置(以下、「打設対象位置」という。)に対して、現場作業従事者Sが打設する杭に表示されたコード情報を現場用デバイスユニット300で読み取ることによってその杭の第1仕様情報を第1格納部211から読み出し、その第1仕様情報が、第2格納部212に格納されている打設対象位置の第2仕様情報と異なる場合には現場用デバイスユニット300からエラーが出力される。
一例として、現場用デバイスユニット300は、読取部310及び現場用端末装置320を備える。
【0045】
読取部310は、杭に表示されたコード情報を読み取り、読み取ったコード情報から杭特定情報を現場用端末装置320に出力する。コード情報がバーコードである場合には、読取部310は、バーコードリーダである。
【0046】
現場用端末装置320は、サーバ装置210と通信ネットワークNを介して情報を送受する。例えば、現場用端末装置320は、現場の現場作業従事者Sなどのユーザが携帯(装着を含む)可能な装置であり、スマートデバイスであることが望ましい。例えば、現場用端末装置320は、ウェアラブル端末又は携帯情報端末である。ウェアラブル端末の一例としては、撮像機能を有するとともに表示画面上にデジタル情報を表示する機能を有するスマートグラス又はスマートウォッチである。携帯情報端末の一例としては、スマートフォン又はタブレット端末である。ただし、現場用端末装置320は、ユーザによって携帯(装着を含む)可能なスマートデバイスに限定されず、例えば、現場において設置されてもよい。
【0047】
図6は、本実施形態における現場用端末装置320の概略構成図である。図6に示すように、現場用端末装置320は、表示部321、操作部322及び制御部323を備える。
【0048】
表示部321は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイである。
【0049】
操作部223は、例えば、現場の現場作業従事者Sによって操作されるものであり、タッチパネル、キーボード等に代表されるハードウェアキー、マウス等のポインティングデバイスである。
【0050】
制御部323は、選択部330、比較部331、出力部332及び履歴登録部333を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により構成される。
【0051】
選択部330は、複数の打設位置の中から杭を打設する打設位置である打設対象位置を選択する。例えば、選択部330は、操作部322からの信号に基づいて、予め登録されている複数の打設位置の中から打設対象位置を選択する。
【0052】
比較部331は、読取部310から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を第1格納部211から読み取り、打設対象位置に関連付けられた第2仕様情報を第2格納部212から読み取り、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較する。
【0053】
ここで、比較部331は、読取部310によってコード情報が読み取られた杭を、打設対象位置に打設されたとみなす。したがって、比較部331は、第1仕様情報と第2仕様情報とを比較するにあたって、選択部330によって選択された打設対象位置が2つ以上の杭が打設される打設位置である場合には、打設対象位置に対して打設する杭の第2仕様情報を打設対象位置に対応付けられた打設順情報に従って第2格納部212から読み取る。
【0054】
出力部332は、比較部331による比較結果を出力する。例えば、出力部332は、比較部331による比較結果、第1仕様情報と第2仕様情報とが一致しない場合には比較結果としてエラーを表示部321に出力してもよい。出力部332は、人の視覚、聴覚及び触覚の少なくともいずれかに訴えかける態様でエラーを出力する。人の視覚に訴えかえる態様として、表示部321にエラー表示してもよいし、エラーを示す表示灯を点灯させてもよい。人の聴覚に訴えかえる態様として、エラーを示す音を出力してもよい。人の触覚に訴えかえる態様として、現場用端末装置320を振動させてもよい。
【0055】
なお、出力部332は、比較部331による比較結果、第1仕様情報と第2仕様情報とが一致した場合には、比較結果として一致したことを示す情報を人の視覚、聴覚及び触覚の少なくともいずれかに訴えかける態様で出力してもよい。その場合には、当然、エラーではないことをわかるように、エラーを示す音とは異なる音を出力したり、エラーを示す表示とは異なる表示を出力したり、エラーを示す振動とは異なる振動を出力したりする。
【0056】
履歴登録部333は、選択部330によって選択された打設対象位置と、読取部310から出力された杭特定情報と、を関連付けた打設履歴情報を登録する。一例として、履歴登録部333は、打設履歴情報を現場用端末装置320内に登録するとともに、サーバ装置210に登録する。その際、履歴登録部333は、読取部310でコード情報を読み取った時刻又は読取部310から杭特定情報を取得した時刻を施工日時として杭特定情報に関連付けて登録してもよい。すなわち、履歴登録部333は、施工日時を打設履歴情報に含めて登録してもよい。
【0057】
以下において、現場用端末装置320を用いた施工管理方法を、図7を用いて説明する。図7は、現場用端末装置320に表示される表示画面(以下、「施工画面」という。)M2の一例を示す図である。
【0058】
杭工事を開始する場合には、現場作業従事者Sは、現場用端末装置320を起動する。
現場用端末装置320が起動すると、現場用端末装置320は、第2格納部212に格納されている情報を読み取り、表示部321に施工画面M2を表示する。この施工画面M2は、大別して4つの表示領域R11~R14を有する。ただし、施工画面M2の表示領域の数は、特に限定されず、一つであってもよいし、二つ以上であってもよい。
【0059】
表示領域R11には、杭伏図において、特定した各打設位置が視認できるように所定の形(例えば、円形)で色付けし、その色付けした各打設位置に対して、その打設位置を識別する杭番号を付された杭伏図が表示される。すなわち、表示領域R11は、表示領域R1と同様の杭伏図が表示されてもよい。
【0060】
表示領域R12には、表示領域R11で表示されている各打設位置における杭番号と杭符号との組み合わせが表示される。また、表示領域R12には、表示領域R11で表示されている杭番号の打設位置に対して、何本の杭が打設されたかを示す情報(表示領域R12に示す「本数」)を表示してもよい。
【0061】
表示領域R13には、選択部330によって選択された打設対象位置に打設する杭セットの仕様情報が杭符号とともに表示される。さらに、表示領域R13には、打設対象位置に打設した杭の本数(施工本数)が打設履歴情報に基づいて表示されてもよい。
【0062】
表示領域R14には、打設履歴情報が表示される。
【0063】
現場作業従事者Sは、表示領域R11に表示されている杭伏図を確認し、どの打設位置に杭を打設するかを判断する。そして、現場作業従事者Sは、杭を打設すると判断した打設位置を操作部223によって押下する。一例として、現場作業従事者Sは、表示領域R11に表示されている杭伏図上において杭を打設すると判断した打設位置を操作部223によって押下するか、又は、表示領域R12に表示されている杭番号のうち杭を打設すると判断した打設位置の杭番号を操作部223によって押下する。これにより、選択部330は、操作部223からの信号に基づいてユーザによって押下された打設位置を特定し、その特定した打設位置を打設対象位置として選択する。
【0064】
選択部330によって打設対象位置が選択されると、読取部310によるコード情報の読み取りが可能となる。現場作業従事者Sは、現場に積まれている複数の杭の中から、打設対象位置に打設すべき杭をラベルを確認しながら選び出し、選び出した杭に表示されているコード情報を読取部310で読み取る。読取部310によってコード情報が読み取られると、読取部310から現場用端末装置320へ杭特定情報が送信され、その杭特定情報が表示欄Hに表示される。表示欄Hに表示される杭特定情報は、読取部310によるコード情報の読み取りが行われるごとに更新される。すなわち、読取部310が直前に読み取ったコード情報に対応する杭特定情報が表示欄Hに表示される。
【0065】
現場用端末装置320は、読取部310から杭特定情報を取得したことを契機として、又は、杭特定情報を取得した後に登録ボタンB11が押下されたことを契機として、その杭特定情報に関連付けられた第1仕様情報を第1格納部211から読み取る。また、現場用端末装置320は、打設対象位置に関連付けられた第2仕様情報を第2格納部212から読み取る。そして、現場用端末装置320は、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較し、一致しなければエラーを出力する。エラーが出力されなければ、または一致したことを示す情報が現場用端末装置320から出力されれば、施工計画書通りの仕様の杭が選択されていることになるため、現場作業従事者Sは、読取部310で読み取ったコード情報が表示された杭を打設対象位置に対して施工するように作業を進める。
【0066】
現場用端末装置320は、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較し、一致していれば、表示領域R14に対して打設履歴情報を表示し、且つ、その打設履歴情報を現場用端末装置320内の記憶装置及びサーバ装置210に格納する。なお、現場用端末装置320は、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報との比較結果に関わらず、施工画面M2に設けられた不図示の完了ボタンが押下された場合に、現在選択されている打設対象位置と、直前に読取部310で読み取られたコード情報に対応する杭特定情報(表示欄Hに表示されている杭特定情報)と、施工日時とを打設履歴情報として現場用端末装置320内の記憶装置及びサーバ装置210に格納(登録)してもよい。なお、現場用端末装置320は、打設履歴情報として登録された杭を、地盤に打設されたものとみなす。
【0067】
ここで、打設対象位置に2つ以上の杭が打設される場合には、その打設対象位置の杭番号には、複数の第2仕様情報が関連付けられている。このような場合には、現場用端末装置320は、打設順情報に基づいて今打設すべき杭の第2仕様情報を決定する。例えば、打設対象位置において2つの杭を打設する場合には、まず、現場用端末装置320は、打設対象位置の杭番号に関連付けられた複数の第2仕様情報のうち、「下杭」の第2仕様情報を第2格納部212から読み取る。ただし、現場用端末装置320は、打設履歴情報を確認してこの「下杭」がすでに打設済みである場合には、「上杭」の第2仕様情報を第2格納部212から読み取る。一例として、現場用端末装置320は、打設履歴情報を確認して打設対象位置にすでに一つの杭が打設済みである場合には、「下杭」がすでに打設済みであるとして、「上杭」の第2仕様情報を第2格納部212から読み取る。このように、現場用端末装置320は、打設対象位置が選択された場合には、その打設対象位置の打設履歴情報を参照して次にどの仕様の杭を打設するのかを打設順情報をもとに判定する。
これにより、一つの打設位置に対して複数の杭が打設される場合であっても、打設位置に合った仕様の杭を打設することができる。
【0068】
なお、現場用端末装置320は、表示領域R11の杭伏図において、全ての杭の打設が完了した打設位置には、その旨の表示を行ってもよい。例えば、現場用端末装置320は、表示領域R11の杭伏図において、全ての杭の打設が完了した打設位置には、上記アイコンを第1の色から第2の色で変更してもよい。
【0069】
次に、施工管理システム1を用いた施工管理方法の流れについて説明する。図8は、施工管理システム1のシーケンス図である。
【0070】
ある施工現場の杭工事に必要な杭の数や種類、打設位置などは、予め作成された施工計画書によって決定されている。したがって、杭工事の監理を行う管理業務者Mは、施工計画書に従って、どの仕様の杭をいくつ製造するか等の情報を含む製造依頼の情報を、施工管理装置200から杭製造工場に設けられている工場用端末装置120に対して送信させる(ステップS101)。
【0071】
杭製造工場では、製造依頼を応諾すると工場用端末装置120で受信した製造依頼の情報に基づいて杭を製造し(ステップS102)、コード情報発行部110は、製造された杭ごとに杭特定情報を生成し、その生成した杭特定情報がコード化されたコード情報を発行する(ステップS103)。発行されたコード情報は、各杭に表示される(ステップS104)。
【0072】
工場用端末装置120は、製造した全ての杭の仕様を含む管理情報と、その製造した杭に対して表示させた杭特定情報と、を関連付けた製造情報を格納する(ステップS105)。また、工場用端末装置120は、製造情報を、通信ネットワークNを介してサーバ装置210に送信する(ステップS106)。
【0073】
サーバ装置210は、工場用端末装置120が送信された製造情報のうち、杭特定情報と、その特定情報に関連付けられた第1仕様情報と、を抽出して第1格納部211に格納する(ステップS107)。
【0074】
登録端末220は、外部から杭伏図を取得し、管理業務者Mによる操作によって、杭伏図における各打設位置を特定し、特定した各打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め打設位置ごとに関連付けて第2格納部212に格納する(ステップS108)。なお、ステップS107及びステップS108の処理の順番は、特に限定されず、例えば、ステップS108、ステップS107の順番で処理が実行されてもよい。
【0075】
ステップS107及びステップ108の処理が終了すると、サーバ装置210は、管理業務者Mによる操作により、出荷依頼を工場用端末装置120に送信する(ステップS109)。工場用端末装置120で出荷依頼を受信すると、杭製造工場で製造した複数の杭が杭製造工場から現場へ出荷される(ステップS110)。出荷された杭は、現場での納品確認の後、現場の所定の領域に積み上げられる。
【0076】
現場用端末装置320は、現場作業従事者Sの操作に基づいて打設対象位置を選択すると(ステップS112)、読取部310によるコード情報の読み取りを可能にする。読取部310は、杭に表示されているコード情報を読み取ると、杭特定情報を現場用端末装置320に出力する。
【0077】
現場用端末装置320は、読取部310から杭特定情報を取得すると、その杭特定情報に関連付けられた第1仕様情報を第1格納部211から読み取る(ステップS114)。
また、現場用端末装置320は、打設対象位置に関連付けられた第2仕様情報を第2格納部212から読み取る(ステップS115)。そして、現場用端末装置320は、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較する比較処理を実行し(ステップS115)、一致しなければ表示部321に比較結果としてエラー表示する(ステップS116)。また、現場用端末装置320は、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較し、一致していれば、現在選択されている打設対象位置と、直前に読取部310から出力された杭特定情報と、施工日時とを打設履歴情報として登録する(ステップS117)。ステップS111からステップS117の処理は、すべての打設位置のそれぞれにおいて実行される。
【0078】
以上、説明したように、本実施形態の施工管理システム1は、複数の打設位置に対する杭の打設を管理する。そして、施工管理システム1は、杭に割り当てられた杭特定情報と、当該杭の仕様の情報である第1仕様情報とを前記杭ごとに関連付けて格納する第1格納部211と、前記打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を予め前記打設位置ごとに関連付けて格納する第2格納部212と、を備える。さらに、施工管理システム1は、複数の打設位置の中から打設対象位置を選択する選択部330と、杭の打設前であって選択部330によって打設対象位置が選択された後において、コード情報を読み取り、読み取ったコード情報から杭特定情報を出力する読取部310と、読取部310から出力された杭特定情報に関連づけられた第1仕様情報を前記第1格納部211から読み取り、打設対象位置に関連付けられた第2仕様情報を第2格納部212から読み取り、読み取った第1仕様情報と第2仕様情報とを比較する比較部331と、比較部331による比較結果を出力する出力部332と、を備える。
【0079】
このような構成によれば、打設位置に合った仕様の杭を打設することを支援することができる。また、打設位置に合った正しい仕様の杭を打設することができる。
【0080】
また、本実施形態の施工管理システム1は、選択部330によって選択された打設対象位置と、前記読取部310から出力される前記杭特定情報と、を関連付けた打設履歴情報を登録する履歴登録部333を更に備える。
【0081】
このような構成によれば、打設位置と杭特定情報とが紐づけられるため、トレーサビリティを確保することができる。さらに、打設履歴情報として施工日時を記録しているため、現場になくても杭工事の進捗管理を行うことができ、進捗管理の見える化に寄与する。
【0082】
また、杭製造工場や第1格納部211では、杭特定情報を用いて杭ごとの仕様や製造情報を管理している。これにより、杭のトレーサビリティが可能となる。一方、第2格納部212では、杭特定情報では管理しておらず、各打設位置とその打設位置に施工する杭の仕様とを管理している。当然、杭特定情報で管理してもよいが、どの打設位置にどの杭特定情報の杭を打設するかを第2格納部212に登録してしまうと、現場では現場作業従事者Sが複数の杭の中から、決められた杭特定情報の杭を探さなければならず、多大な時間を要することが想定され杭工事の効率が低下する。
【0083】
トレーサビリティの観点からは、複数の杭が同一の仕様であっても、その複数の杭に対して異なる杭特定情報が割り当てそれらを区別する必要があるが、打設位置に合った仕様の杭を打設するという観点からは、杭の仕様が合っていればどの杭を打設してもよくそれらを区別する必要はない。したがって、本実施形態の第2格納部212では、杭特定情報では管理しておらず、各打設位置とその打設位置に施工する杭の仕様とを管理することで、打設位置に合った正しい仕様の杭を施工でき、且つ、トレーサビリティの確保と杭工事の効率化との双方を達成している。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0085】
(変形例1)本実施形態において、現場用端末装置320は、通信ネットワークNを介して工場用端末装置120と情報を送受してもよい。例えば、現場用端末装置320は、通信ネットワークNを介して工場用端末装置120に直接、杭の出荷依頼を行ってもよい。
一例として、現場用端末装置320は、操作部223への操作に応じて、杭製造工場へ出荷依頼する杭の仕様や本数を選択可能な機能を有する。なお、出荷依頼の情報は、サーバ装置210にも送信されてもよい。現場において、地盤の状況によって異なる仕様の杭が必要になったり、杭の追加が必要になったりする場合がある。このような場合には、現場から直接出荷依頼を杭製造工場に行うことで出荷依頼の効率化を図ることができる。
【0086】
(変形例2)本実施形態において、現場用端末装置320は、第2格納部212に格納されている情報を編集可能であってもよい。例えば、施工途中で、ある打設位置に対して打設する杭の仕様や杭の本数を変更する場合がある。この場合には、第2格納部212に格納されている情報、例えば、打設位置に対して打設すべき杭の仕様の情報である第2仕様情報を編集する必要がある。したがって、現場作業従事者Sは、現場用端末装置320を用いて第2格納部212に格納されている情報を編集してもよい。この場合において、現場用端末装置320やサーバ装置210は、編集履歴を記録してもよい。また、現場作業従事者Sは、現場用端末装置320を用いて第2格納部212に格納されている情報を編集する申請を施工管理装置200に送信してもよい。この申請には、編集内容も含まれている。そして、施工管理者Mは、サーバ装置210や登録端末220上で申請内容を確認し、許可した場合にのみ、第2格納部212に格納されている情報が編集されてもよい。
【0087】
(変形例3)上記実施形態において、杭の出荷確認時や納品確認時に目視や紙ベースでの確認ではなく、現場用デバイスユニット300を用いて出荷確認や納品確認を行ってもよい。例えば、現場作業従事者Sは、納品されたすべての杭のコード情報を読み取ることで納品確認を行ってもよい。一例として、サーバ装置210には、出荷依頼データや出荷実績等の照合元データが予め登録されている。現場作業従事者Sは、杭の出荷確認や納品確認を行う際には、現場用端末装置320を操作して出荷又は納品されたすべての杭のコード情報を読み取る。現場用端末装置320は、読み取った杭のコード情報と、サーバ装置210に登録されている照合元データとを照合する。そして、現場用端末装置320は、照合の結果、照合元データとして登録されている全ての杭のコード情報を読み込んだ場合には、出荷や納品が問題なく行われたと判定してもよい。一方、現場用端末装置320は、照合の結果、照合元データとして登録されている全ての杭のコード情報を読み込んでない場合や照合元データとして登録されていない杭のコード情報を読み込んだ場合には、出荷や納品に問題があると判定してもよい。
【0088】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0089】
また、明細書に記載の「…部」の用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 施工管理システム
200 施工管理装置
210 サーバ装置
211 第1格納部
212 第2格納部
300 現場用デバイスユニット
310 読取部
320 現場用端末装置
330 選択部
331 比較部
332 出力部
333 履歴登録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8