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特開2024-104274情報処理システム、情報処理システムの制御方法、制御プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104274
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理システムの制御方法、制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240726BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168691
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023008262
(32)【優先日】2023-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】立花 緋理
(72)【発明者】
【氏名】長坂 優志
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 貴朗
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】指示者からの指示または介入を受けた対象者からの報告内容の理解を容易化する。
【解決手段】情報処理システム(100)は、対象者に生じた事象に関する事象情報と、該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得部(212)と、前記事象情報と前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付け部(213)と、前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御部(215)と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得部と、
前記事象情報と、前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付け部と、
前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記事象は、前記所定期間内に複数回生じており、
前記報告情報は、前記事象の各々が生じた順序を示す時系列情報を含み、
前記提示制御部は、前記事象情報および前記行動情報と共に、前記時系列情報を提示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記事象の各々に対応する前記事象情報および前記行動情報の複数の組合せを統計的に解析した解析結果に基づいて、該事象の各々の発生との関連性が高い関連行動を特定する特定部をさらに備え、
前記提示制御部は、前記関連行動を示す情報を提示する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記特定部は、前記解析結果を用いて前記事象が発生する傾向に関する情報をさらに特定し、
前記提示制御部は、前記傾向に関する情報を提示する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記報告情報が前記指示者に提示され得る状態となったことを前記対象者に通知する通知部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記事象は、前記対象者の身体的または精神的な自覚症状である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
医療関係者または医療機関である前記指示者に用いられる情報処理装置と、
前記医療関係者による診察を受けた、または前記医療機関において診察を受けた患者である前記対象者に用いられる端末装置と、を備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得ステップと、
前記事象情報と前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付けステップと、
前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御ステップと、
を含む情報処理システムの制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記取得部、前記関連付け部、および前記提示制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、指示者と、指示者から指示を受ける対象者との間のコミュニケーションを支援する情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、膝手術前の患者からの回答に基づいて将来の膝手術に関連する患者の満足度を決定し、外科医に予測満足度値を知らせるための外科医レポートを含む電子文書を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-500709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指示者は、指示を与えた対象者からの報告を受け取り、該対象者の状態を理解する。しかし、対象者からの報告内容を指示者が容易に理解できるとは限らない。対象者からの報告内容を指示者がよく理解できていない場合、指示者は対象者の状態の変化を見誤る可能性がある。
【0005】
対象者と指示者とが自由に会話可能な状況であれば、対象者の報告内容を指示者が理解できるまで口頭で訊くことが可能であるが、対象者からの報告内容を指示者が一方的に受け取る場合、対象者に繰り返し訊くことはお互いにとって煩雑である。
【0006】
例えば、対象者が患者であり、指示者がその患者に医学的介入を行った医師である場合、患者は医師に対して、医学的介入後の自身の症状、身体的または精神的な状態について報告する。この報告から、医師は、患者に対して行った医学的介入による効果(または影響)、および予後の良否を判断する。しかし、患者からの報告内容は、重要な事象に関連する報告内容が、該事象との関連性が乏しい情報に埋もれていたり、時系列が曖昧であったりするため、医師にとって、必ずしも理解しやすいものではない。
【0007】
本開示の一態様は、指示者からの指示または介入を受けた対象者からの報告内容の理解を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理システムは、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得部と、前記事象情報と前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付け部と、前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御部と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理システムの制御方法は、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得ステップと、前記事象情報と前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付けステップと、前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御ステップと、を含む。
【0010】
本開示の各態様に係る情報処理システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、指示者からの指示または介入を受けた対象者からの報告内容の理解を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】情報処理システムの概要を説明するための概念図である。
図2】医療者に提示される報告情報の表示例を示す図である。
図3】報告情報に含まれるシェーマ図の一例を示す図である。
図4】報告情報として選択され得るシェーマ図の例を示す図である。
図5】情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図6】情報処理装置の表示部に表示される報告情報の表示例を示す図である。
図7】報告情報および電子カルテの表示例を示す図である。
図8】端末装置において表示される画面の一例を示す図である。
図9】端末装置において表示される画面の別の例を示す図である。
図10】端末装置において表示される画面のさらに別の例を示す図である。
図11】端末装置において表示される報告情報の例を示す図である。
図12】端末装置において表示されるシェーマ図の例を示す図である。
図13】患者が感じた痛みと当該痛みに関連する行動との関連度を示すグラフである。
図14】情報処理システムで行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図15】端末装置3において表示される画面の一例を示す図である。
図16】実施形態2に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図17】端末装置の概観の一例を示す図である。
図18図17に示す端末装置の別の面を示す図である。
図19】端末装置の別の例を示す図である。
図20】情報処理装置の表示部に表示される情報の表示例を示す図である。
図21】実施形態3に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図22】実施形態4に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<情報処理システム100の概要>
以下、本開示の一実施形態について、説明する。まず、本開示の情報処理システム100の概要について図1を用いて説明する。図1は、情報処理システム100の概要を説明するための概念図である。
【0014】
情報処理システム100は、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する。また、情報処理システム100は、事象情報と対象者が指示または介入を与えられてから事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、をそれぞれ関連付けて記録する。さらに、情報処理システムは、行動情報および時間情報を含む報告情報を指示者に提示する。
【0015】
情報処理システム100は、対象者によって端末装置3に入力された情報に基づき、管理装置2が、対象者に生じた事象と当該事象が生じたときの対象者の行動等の関連する情報とを関連付けた報告情報(サマリ)を作成し、指示者に提示するシステムである。指示者は、情報処理装置1を用いて報告情報を閲覧することで、診察と診察との間に対象者に生じた事象と該事象に関連する情報とを把握することができる。
【0016】
一例として、指示者は医療関係者または医療機関であり、対象者は、医療関係者による診察を受けた、または医療機関において診察を受けた患者である。また、情報処理装置1は、医療関係者が用いる装置、または医療機関において用いられる装置であり、端末装置3は、患者が用いる装置である。以下の説明では、指示者が医療関係者または医療機関であり、対象者が患者である場合を例に挙げて説明する。また、以下の説明では、医療関係者および医療機関を「医療者」と総称する。
【0017】
本開示に係る情報処理システム100では、予め患者に対して報告情報を作成するための情報の入力を要求するための条件が設定される(図1のS1)。予め設定された条件に該当すると、情報処理システム100では、患者に対して定型のフォーマットで患者自身の状態を問いかけ、患者による報告情報を作成するための情報の入力を要求する(図1のS12)。これにより、情報処理システム100は、治療を行った後に患者に生じた事象および該事象に関わる行動等の情報を取得する(図1のS13)。また、取得した各情報を関連付けて報告情報を作成し(図1のS14~S16)、医療者に提示する。これにより、医療者は診察と診察との間における患者の状態および当該状態の変遷を把握することができる。また、患者の状態を示す情報は定型のフォーマットで収集されるため、医療者側の確認の負担を低減することができる。
【0018】
<報告情報>
まず、情報処理システム100において用いられる報告情報(サマリ)について説明する。報告情報とは、管理装置2が作成し、医療者が用いる情報処理装置1に表示することで医療者に対して報告される情報であり、患者毎に作成される情報である。報告情報は、患者によって端末装置3に入力され、管理装置2に送信され、管理装置2において記録される。報告情報には、診察後の患者自身に生じた事象に関する事象情報と、当該事象に関連する行動を示す行動情報と、当該事象並びに行動が生じたタイミングまたは診察後から事象並びに行動が生じるまでの経過時間を示す時間情報とが関連付けられている。また、報告情報には、含まれる情報の順序を示す時系列情報も含まれている。また、報告情報において、ある事象を示す事象情報には、当該事象に関連する患者の関連行動および当該関連行動の事象への関連度を示す情報が関連付けられていてもよい。本実施形態では、経過時間の開始時点と医療者が患者への指示を行った時点とが一致する場合について説明するが、これに限られない。時間情報によって示される経過時間は、医療者による指示が行われた時点の直後からの期間であってもよいし、指示が行われた時点から一定期間が経過した後の期間(例えば、指示を受けた翌日からの期間)であってもよい。
【0019】
その他、報告情報には、医療者が診察時に患者に対して行った説明、指示、医療行為などの治療行為の内容、および診察を行ったタイミング等の情報も含まれてよい。
【0020】
報告情報に含まれる事象情報とは、対象者(患者)に生じた事象を示す情報である。対象者に生じた事象とは、例えば対象者の身体的または精神的な自覚症状である。具体的には、身体的な自覚症状とは、身体の痛み、怪我、または発熱等の症状であり、精神的な自覚症状とは、例えば不安感等の症状である。事象情報には、身体的な自覚症状および精神的な自覚症状の両方を示す情報が含まれていてもよい。例えば、事象情報には、身体的な自覚症状として痛みを感じること、および精神的な自覚症状として痛みにより不安を感じることを示す情報が含まれていてもよい。
【0021】
例えば、患者に生じた事象が、該患者が痛みを感じたことであれば、事象情報は、患者が痛みを感じたこと、痛みを感じる部位、痛みを感じる姿勢、および痛みの程度を示す情報である。また、患者が違和感を覚えるのであれば、事象情報は、違和感の内容(胸がむかむかする等)を示す情報であってよい。
【0022】
また、事象情報には、生じた事象に対する視覚的評価スケール(VAS:Visual Analogue Scale)に基づく評価が含まれていてもよい。例えば、報告情報に、患者が痛みを感じたという事象を示す事象情報が含まれる場合、当該事象情報には、患者が感じた痛みの程度および当該痛みによる不安の程度を示す評価値(痛みVASおよび不安VAS)がそれぞれ含まれていてもよい。
【0023】
報告情報に含まれる行動情報とは、事象が生じる前、または生じた時点で患者が行っていた行動を示す情報である。例えば、行動情報は、歩く、走る、階段を昇降する、座る、立つ、寝転ぶ、起き上がる、および自転車をこぐといった患者の動作、並びに服薬を行う、または服薬をやめるといった事項であってよい。また、患者が感じた痛みが怪我によるものであれば、怪我の原因となった行動(転ぶ、ぶつける等)が行動情報として記録されてよい。
【0024】
事象情報および行動情報は、時間情報に基づき、事象または行動が生じた時系列(順序)を示す時系列情報と共に記録される。事象情報および行動情報は、時間情報に基づき、時系列順に記録されると表現することもできる。これにより、各情報間の因果関係の把握がより容易となる。
【0025】
図2は、医療者に提示される報告情報の表示例を示す図である。患者に生じた事象に関する説明は、文章形式で記録される。例えば、図2の符号Mまたは符号Nで示すように、報告情報が医療者に提示される場合、患者が感じた症状を説明する情報が文章形式で表示される。これにより、医療者は患者に生じた事象および当該事象に関連する行動の把握が容易となる。また、各情報には、当該情報を入力した入力者を示す情報がさらに関連付けられてもよい。入力者は、例えば診察に関する情報と入力した医師または看護師等の医療関係者、および事象情報等を入力した患者であってよい。
【0026】
報告情報に、患者が痛みを感じることを示す事象情報が記録される場合、患者が痛みを感じる部位を示す情報は、シェーマ図に入力される形で記録されていてもよい。図3は、報告情報に含まれるシェーマ図の一例を示す図である。患者は端末装置3に入力を行うことで、自身が痛みを感じるときの姿勢を再現するように図3のシェーマ図における各部を動かすことができる。例えば、図3に示すシェーマ図は、患者が利用するスマートフォン等の端末装置3のディスプレイに表示され、患者によるドラッグ等の操作に伴い図3の丸で示す関節部分等が動くことで、患者の指定する姿勢を再現することができる。例えば、患者が左ひじを曲げたときに痛みを感じるのであれば、図3の符号Qに示す丸をドラッグすることで、ひじを曲げた姿勢を表すように図3のシェーマ図の形状を変化させることができる。また、患者は、自身のスマートフォンである端末装置3のディスプレイに表示された図3に示すシェーマ図の端末装置3に入力を行うことで、自身が痛みを感じる部位を選択することができる。例えば、患者は、左ひじに痛みを感じるのであれば、図3に示すシェーマ図に含まれる丸のうち、符号Qに示す丸を選択することで、自身が痛みを感じる部位を選択することができる。
【0027】
シェーマ図を用いて患者が痛みを感じた部位を記録する場合、当該シェーマ図に基づき、患者が痛みを感じた部位を示す情報に加え、膝の伸展、屈曲、内旋および外旋などの痛みを感じる動作を示す情報と、各部位の角度情報とが関連付けられて記録されてもよい。これにより、患者が痛みを感じる部位および状況をより詳細に記録することができる。
【0028】
図4は、報告情報として選択され得るシェーマ図の例を示す図である。情報処理システム100では、図4に示すように、予め複数の姿勢を示すシェーマ図を用意して患者に選択させる、または選択された画像を微調整させることで、該患者が痛みを感じるときの部位および姿勢を特定してもよい。例えば、患者が直立状態でお辞儀をしたときに痛みを感じる場合、図4の符号Rに示す図を選択することで、自身が痛みを感じるときの姿勢を選択することができる。または、患者が足元に落ちたものを拾うときに痛みを感じる場合、図4の符号Sに示す図を選択することで、自身が痛みを感じるときの姿勢を選択することができる。
【0029】
また、報告情報に、患者が痛みを感じることを示す事象情報が記録される場合、日常生活において、どのような姿勢をとるとどの部位が痛むかが記録されていてもよい。または、患者が怪我したことを示す事象情報が記録される場合、該患者が怪我したときの状況と痛みを感じる部位とが記録されてもよい。その他、初診の前に患者から痛みを感じる部位に関する情報を取得および記録しておき、初診の説明時に医療者が当該記録を用いて説明を行ってもよい。さらに、報告情報として記録された痛みを感じる部位に関する情報を、診察を受けた医療機関とは別の医療機関に提出し、患者がセカンドオピニオンを受けるために使用されてもよい。
【0030】
また、報告情報には、長期間のスコアおよび短期間のスコアがそれぞれ記録されていてもよい。長期間のスコアとは、例えば診察後の複数回の診察をまたぐ期間中における痛みのスコアの変動を示す情報であってよい。また、短期間のスコアとは、例えば診察と診察との間の期間中における痛みのスコアの変動を示す情報であってよい。
【0031】
報告情報としては、痛みに関する情報だけでなく、患者が医師に伝えたい不安、相談事項、行った自主トレーニング、および服薬等に関する情報も含まれていてよい。例えば、処方された薬を示す情報と当該薬を服薬したことを示す情報と服薬したタイミングまたは処方された薬を全て飲み終えたタイミングを示す時間情報とが関連付けられて記録されていてもよい。薬に関する情報が報告情報として記録される場合、患者が診察後数日で飲み終えた薬と長期間(例えば1週間または1ヶ月間等)継続して服薬した薬とが区別されて記録されていてもよい。
【0032】
また、患者が診察後に自主トレーニングを行うよう指示を受けた場合、当該患者が自主トレーニングを行ったこと、行った自主トレーニングの内容、および自主トレーニングを行ったタイミングを示す情報が関連付けられて記録されていてもよい。その他、患者によって医者に特に見てほしい情報が選択されている場合、選択された情報を要確認情報として記録してもよい。
【0033】
<情報処理システム100の構成>
以下、情報処理システム100の構成について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る情報処理システム100の構成を示すブロック図である。図5に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置1、管理装置2、および端末装置3を備える。
【0034】
(情報処理装置1)
情報処理装置1は、患者に報告情報の入力を要求する通知を行うタイミングの条件を設定し、管理装置に送信する。また、情報処理装置1は、管理装置2から受信した報告情報を表示し、情報処理装置1の操作者である医療者に当該報告情報を閲覧させる。一例として、情報処理装置1は、医療者が患者に説明を行うときに用いるコンピュータ、タブレット端末、またはスマートフォン等の装置である。図5に示すように、情報処理装置1は通信部11、入力部12、制御部13、および表示部14を備える。情報処理装置1は、管理装置2と一体の装置であってもよい。
【0035】
通信部11は、管理装置2と通信を行うための通信モジュールである。入力部12は、例えばキーボードまたはタッチパネル等であり、医師からの入力を受け付ける。表示部14は、例えば画像を表示可能なディスプレイであり、制御部13の制御に従い報告情報を表示する。
【0036】
制御部13は、情報処理装置1において行われる各処理を実行する。制御部13は患者に報告情報の入力を要求する通知を行う条件を指定する通知条件を設定し、管理装置2に送信する。通知条件は、予め設定されていてもよいし、医療者による入力部12への入力に基づき、患者ごとに設定されてもよい。
【0037】
通知条件は、例えば時間に基づく条件または患者の行動等に基づく条件である。時間に基づく条件とは、例えば来院後1日、3日、5日経過、リハビリ予定日の1日前、リハビリ通院後1日経過、服薬開始1日後、服薬終了予定日、次回来院予定日の1週間前、または今回来院と次回来院予定との間の中間日などであってよい。
【0038】
患者の行動等に基づく条件とは、例えば自主トレーニングの記録を患者がつけた直後、自主トレーニングの記録を患者がつけた1日後、端末装置3のGPSあるいはセルラ通信基地局からの情報により患者の外出を検知した場合、または患者の帰宅を検知した場合などであってよい。設定された通知条件は、予め診察時に医療者から患者に伝えられる、または患者の端末装置3から閲覧可能であってよい。
【0039】
診察を行った後、診察時に提示された説明等の情報、および患者に入力を要求する通知を行うタイミングの条件を示す通知条件を管理装置に送信する。
【0040】
また、制御部13は、通信部11を介して、報告情報が記録されたことを示す通知を受信してもよい。これにより、医療者は通知された報告情報を任意のタイミングで確認することができる。例えば、医療者は情報処理装置1を用いて、複数回記録された報告情報を患者の診察前または診察時にまとめて確認してもよい。報告情報が記録されるたびに確認することは医療者にとって負担が大きい。ここで、任意のタイミングでの報告情報の確認を可能とすることで、医療者への負担を減らすことができる。
【0041】
制御部13は、医療者による入力部12への入力に基づき、管理装置2に報告情報の閲覧を要求する。制御部13は、通信部11を介して、報告情報の閲覧を要求することを示す情報と、閲覧対象の報告情報に対応する患者を識別可能な識別情報とを管理装置2に送信する。制御部13は、管理装置2から、患者の報告情報を受信し、表示部14に表示させることで医療者に閲覧させる。
【0042】
図6は、情報処理装置1の表示部14に表示される報告情報の表示例を示す図である。図6に示すように、制御部13は、患者の報告情報として、例えば患者が痛みを感じたことを示す事象情報(図6の符号T)、および患者が痛みを感じる直前にソファから立ったことを示す行動情報(図6の符号U)等を含む情報を表示する。また、制御部13は、患者が感じた不安を示すメモ(図6の符号V)、および患者が感じた痛みを示す値を示すグラフ(図6の符号W)等を表示してもよい。
【0043】
また、制御部13は、より詳細に報告情報を表示してもよい。具体的には、制御部13は、図2に示すような形式で、医療行為などの治療行為を行ったタイミング、服薬をしている期間、痛み等患者に生じた事象情報、および事象が生じる直前の行動を示す行動情報を、時系列順に表示部14に表示させる。
【0044】
制御部13は、問診に反映しやすい文章形式で事象情報に含まれる説明を表示させる。例えば、図2の符号Mおよび符号Nに示すように、制御部13は、ある患者に生じた事象の説明として、「服薬をやめてから腫れた感じ」および「信号で走った後刺すような痛み」を表示する。これにより、医療者は、患者の患部が腫れた時期および患者が痛みを感じるときの状況等について正確に把握することができる。
【0045】
また、表示した事象のいずれかが選択された場合、制御部13は、選択された事象の説明と当該事象に関連する情報、例えば事象が生じた時点または事象が生じる直前の行動情報、または事象に関連性が高い行動情報を強調表示する。これにより、医療者は、事象が生じた時期および事象に関連する行動が行われた時期と各情報の関連性を容易に把握することができる。
【0046】
また、制御部13は、長期間(複数回の外来をまたぐ期間)のスコアおよび短期間(例えば図2の符号Pで示す期間)のスコアをそれぞれ取得し、選択的に表示してもよい。さらに、制御部13は、各事象における不安の程度を示す評価値および痛みの程度を示す評価値を示す情報を取得し、より値の大きい情報がより強調されるように表示してもよい。値の大きさは、不安の程度を示す評価値および痛みの程度を示す評価値の合計、またはこれらの値を用いた演算によって特定された値に基づき判断されてよい。また、シェーマ図を用いた形式で痛みに関する情報が記録されている場合、制御部13は当該シェーマ図を含む情報を表示してもよい。
【0047】
その他、制御部13は、入力者に応じて表示方法を統一して表示してもよい。例えば、図2に示すように、制御部13は、医師による入力を黒塗りつぶし、コメディカルによる入力を斜線、患者による入力を破線で表示してもよい。これにより、医療者は、入力者が誰かを把握することが容易となる。また、表示すべきカテゴリが選択される入力が行われた場合、制御部13は、選択されたカテゴリに該当する情報のみを表示するフィルタリング機能を有していてもよい。例えば、制御部13は、医師、コメディカル、および患者のうち、選択された入力者によって入力された情報のみを表示してもよい。
【0048】
また、患者が服薬を行ったことを示す情報、自主トレーニングを行ったことを示す情報、および医師に伝えたい不安に関する情報等、痛みに関する情報以外の情報が報告情報に含まれる場合、制御部13は、これらの情報も追加して表示してよい。
【0049】
例えば、制御部13は、患者が服薬した薬を示す情報および当該薬の服薬期間を表示してもよい。また、制御部13は、数日程度の短期間で服薬が終了した薬と長期間継続して服薬した薬とを区別して表示してもよい。
【0050】
制御部13は、患者が行った自主トレーニングに関する記録を表示してもよい。例えば、制御部13は、患者が自主トレーニングを行った具体的な日付を図示してもよいし、数日中何日行ったかのみ示してもよいし、カレンダー上に自主トレーニングを行った日をチェックするなどして表示してもよい。
【0051】
また、患者によって特に医療者に確認してほしい情報が選択されている場合、制御部13は、当該情報を強調して表示してもよい。情報処理装置1は、特に強調度の高い情報を、医療者による入力部12への操作に基づき、指定された数まで表示数を制限するなどのフィルタ機能を備えていてもよい。これにより、患者が大量の情報を入力したとしても、患者が特に確認してほしいと希望している情報のうちの幾つかを特定して表示することで、医療者の確認の負担を低減できる。
【0052】
さらに、制御部13は、報告情報と電子カルテとを同一画面で表示させてもよい。これにより、電子カルテに記載した診療記録と報告情報の双方を同時に見ることを容易化する。図7は、報告情報および電子カルテの表示例を示す図である。例えば、制御部13は、図7に示すように、ディスプレイを2分割したフォーマットで、右もしくは左半分に報告情報(図7の符号X)を表示させ、反対側に電子カルテの情報(図7の符号Y)を表示部14に表示させる。制御部13は、入力部12への入力に基づき、報告情報として表示された情報をコピーし、電子カルテに反映させてもよい。また、制御部13はサマリ(報告情報)の内の患者主訴を示す情報と客観情報となる測定値等の情報とをSOAP形式(subjective、objective、assessment、plan)に転記しやすい形式で提示してもよい。これにより、報告情報から電子カルテへの情報転記が容易となる。
【0053】
(端末装置3)
端末装置3は、予め設定された条件に基づいて、患者による該患者に生じた事象および該事象に関連する行動等の情報の入力を促し、これらに関連する情報を取得し、取得した情報を管理装置2に送信する。端末装置3は、例えば患者が用いるスマートフォン、コンピュータ、またはタブレット端末等の情報処理装置である。
【0054】
図5に示すように、端末装置3は、通信部31、入力部32、制御部33および表示部34を備える。通信部31は、管理装置2と通信を行うための通信モジュールである。入力部32は、例えばキーボードまたはタッチパネル等であり、患者からの入力を受け付ける。表示部34は、例えば画像を表示可能なディスプレイであり、制御部33の制御に従い報告情報を表示する。
【0055】
制御部33は、情報処理装置1において行われる各処理を実行する。具体的には、制御部33は、予め設定された条件に基づいて、患者に生じた事象の入力を促す通知を受信する。当該通知を受信すると、制御部33は、直近の期間を指定した質問を表示し、患者に事象に関する情報の入力を促す。
【0056】
図8は、端末装置3において表示される画面の一例を示す図である。図8に示すように、当該画面には、「伝える」項目として、患者が医療者に対して報告を行うためのGUIが表示される。図8には、端末装置3の画面に、「痛み・しびれを伝える」、「自主トレを報告する」および「相談したいことをメモ」という3つのGUIが表示される例を示している。これらのGUIの役割については後述する。また、端末装置3の画面には、患者が診断を振り返ることを要求するためのGUIが表示されてもよい。図8には、「診断を振り返る」、「やらないでほしいいこと」、および「やってほしいこと」という3つのGUIが表示される例を示している。患者によって「診断を振り返る」というGUIが選択された場合、患者が医療者から受けた診断の結果および指示等の内容を示す情報が表示される。患者によって「やらないでほしいこと」というGUIが選択された場合、診断に関連して、患者がすべきではない行動および運動に関する情報が表示される。患者によって「やってほしいこと」というGUIが選択された場合、診断に関連して、患者がすべき行動および運動に関する情報が表示される。
【0057】
また、図8の符号Bで示す領域に表されるように、制御部33は、患者の診察から5日間における患部の状態を問い合わせるメッセージを表示する。このとき制御部33は、通知内容の応答として期待される入力を受け付け可能な画面を強調して表示してもよい。例えば、制御部33は、図8の符号Aに示すように、「痛み・しびれを伝える」と記載されている領域を強調表示してもよい。
【0058】
「痛み・しびれを伝える」と記載されている領域に示される選択肢が選択された場合、制御部33は、選択された領域に記載された内容に関連する質問項目を表示し、患者に生じた事象の入力を受け付ける。患者への質問項目は、診察時に医療者によって診断された患者の症状に応じて設定されてよい。例えば、診察時に患者が膝の痛みを訴えていた場合、端末装置3において患者に対して行われる質問は、膝の痛みに関する質問であってよい。
【0059】
図9は、端末装置3において表示される画面の別の例を示す図である。図9の符号Cに示すように、制御部33は、痛みが生じた状況、痛みの種類、痛みの程度(VAS等)および痛みが生じた日時に関する質問を表示する。制御部33は、表示した質問のうち少なくとも2つ以上の情報の入力を受け付ける。患者は、表示された質問事項に対する回答として、これらの情報を入力することができる。
【0060】
図10は、端末装置3において表示される画面のさらに別の例を示す図である。情報の取得が完了すると、制御部33は、入力された内容に基づいたメッセージを表示する。入力された情報は、問診に反映しやすく、患者にとっても確認しやすい文章形式のメッセージとして表示される。例えば、質問に対して、「信号で走ったとき」、「刺すような痛み」、および「痛みレベルは4.5」を示す回答が入力された場合、図10の符号Dに示すように、「信号で走ったときに、刺すような痛みがありました。痛みは継続しています。痛みレベルは4.5でした。」というメッセージを表示する。
【0061】
情報の取得が完了すると、制御部33は、入力された情報を管理装置2に送信する。これにより、入力された情報は、患者の報告情報として管理装置2に記録される。管理装置2において報告情報が作成され、情報処理装置1に送信可能な状態となると、端末装置は管理装置2から、報告情報の作成が完了し、情報処理装置1への当該報告情報の送信が可能となったことを示す完了通知を受信する。図10の符号Eに示すように、制御部33は、通信部31を介して完了通知を受信すると、報告情報の作成が完了し、情報処理装置1への当該報告情報の送信が可能となったことを示すメッセージを表示する。これにより、患者は自身の入力した情報が医療者に提示され得る状況になったことを認識することができる。
【0062】
図11は、端末装置3において表示される報告情報の例を示す図である。制御部33は、患者が入力した情報に基づき作成された報告情報を患者自身が確認することを可能としてもよい。具体的には、制御部33は、報告情報の作成が完了した旨のメッセージを表示した後、患者によって報告情報の閲覧を要求する入力が行われた場合、管理装置2に報告情報の閲覧を要求する。管理情報から報告情報を受信すると、制御部33は、図11に示すように、患者が入力した情報に基づき作成された報告情報を表示する。これにより、患者は自身が入力した情報を確認することができる。
【0063】
また、制御部33は、患者の入力に基づき、医者による確認を特に希望する情報の選択を受け付け、他の情報と共に管理装置2に送信してもよい。
【0064】
図12は、端末装置3において表示されるシェーマ図の例を示す図である。患者が痛みを感じたことを示す情報を入力した場合、制御部33は、シェーマ図を使って痛みに関する情報を取得してもよい。具体的には、制御部33は、図12に示すようなシェーマ図を表示し、患者による入力に基づき当該シェーマ図の姿勢の調整および痛みを感じる部位の指定を受け付ける。制御部33は、入力された姿勢を示すシェーマ図に基づき、痛みを感じる部位の詳細な位置を示す情報に加え、膝の伸展、屈曲、内旋、外旋などの動作および角度を示す情報を特定し、これらの情報含めて管理装置2に送信する。これにより、患者は、実際に痛みが生じた角度を再現した図を確認しながら痛みに関する情報を入力することができる。
【0065】
または、制御部33は、図4に示すような複数の姿勢を示す図を表示し、患者に選択させることで該患者が痛みを感じる姿勢を特定してもよい。または、制御部33は、シェーマ図に痛みを感じる部位のみの入力を受け付けて管理装置2に送信してもよい。この場合、患者は痛みを感じる部位を入力する操作を行うだけで痛みに関する情報を記録させることができるため、煩雑な操作を行う必要がない。
【0066】
制御部13が受け付ける患者からの報告は、図9に示すような選択肢が選択されることによる回答によって取得されてもよいし、自由記述による回答によって取得されてもよい。例えば、制御部13は、患者による入力部32への入力に基づくテキスト形式で患者からの報告を取得してもよい。または、制御部13は、OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識)を用いて患者による手書きのメモ等から報告を取得してもよい。
【0067】
また、制御部33は、患者が行った自主トレーニングの記録および相談事項などの入力を受け付けてもよい。例えば、図8に示す「自主トレを報告する」と記載された領域が選択された場合、制御部33は、患者が行った自主トレーニングの内容、行った時間、および自主トレーニングを行った後に生じた違和感等の情報の入力を受け付け、これらの情報を管理装置2に送信する。また、図8に示す「相談したいことをメモ」と記載された領域が選択された場合、制御部33は、患者による医療者への相談事項の入力を受け付け、管理装置2に送信する。
【0068】
(管理装置2)
管理装置2は、情報処理装置1および端末装置3を用いて入力された報告情報と患者とを関連付けて記憶および管理する装置である。管理装置2は、情報処理装置1からの要求に応じて患者に報告情報を閲覧させることが可能である。
【0069】
図5に示すように、管理装置2は、制御部21、通信部22、および記憶部23を備える。記憶部23は、管理装置2において用いられる各種情報を記憶している。図5に示すように、記憶部23は、少なくとも報告情報231を患者毎に記憶している。報告情報231には、事象情報232、行動情報233、時間情報234、および時系列情報235が含まれ、各情報は関連付けられて記憶されている。通信部22は、管理装置2が情報処理システム100の他の装置と通信を行うための通信モジュールである。管理装置2は、通信部22を介してさらに他の装置と通信可能であってもよい。
【0070】
制御部21は、管理装置2において行われる各処理を実行する。図5に示すように、管理装置2の制御部21は、判定部211、取得部212、関連付け部213、提示制御部215、特定部214、および通知部216を備える。
【0071】
判定部211は、情報処理装置1から、患者による報告情報の入力を促す条件を示す条件通知を受信する。判定部211は、当該患者の状況が、設定された条件に該当するまで待機する。患者の状況が設定された条件に該当した場合、判定部211は、患者による報告情報の入力を促す通知を端末装置3に送信する。例えば、ある患者に対して設定された条件が「診察から5日後」である場合、当該患者が診察を受けた日から5日後に、患者による報告情報の入力を促す通知を送信する。
【0072】
取得部212は、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、関連付けて取得する。具体的には、取得部212は、端末装置3において入力された患者に生じた事象を示す事象情報および該事象に関連する行動等の情報を、通信部22を介して受信する。取得部212が取得する情報には、事象情報、行動情報および時間情報として、例えば痛みが生じた状況、痛みの種類、痛みの程度および痛みを感じた日時のうち少なくとも2つ以上の情報が含まれる。
【0073】
関連付け部213は、事象情報と対象者が指示または介入を与えられてから事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、をそれぞれ関連付ける。関連付け部213は、事象情報と行動情報と時間情報とを取得部212から取得する。関連付け部213は、これらの情報を入力した患者を特定する。関連付け部213は、該患者に対して診察時に行われた行為、診察後に患者に生じた事象、当該事象が生じる前における患者の行動、当該事象が生じた時点における患者の行動、および各事項の診察時からの経過時間を関連付けた報告情報(サマリ)を作成する。
【0074】
関連付け部213が作成する報告情報には、当該患者に対して行った医療行為などの治療行為の内容、当該治療行為を行ったタイミング、服薬をしている期間、事象情報、行動情報、および時間情報等の情報が含まれる。
【0075】
また、関連付け部213は、ある事象が所定期間内に複数回生じている場合、当該事象を示す事象情報に、当該事象が生じた時系列を示す時系列情報をさらに関連付けて記録してもよい。また、関連付け部213は、長期(複数回の外来をまたぐ期間)のスコア、および短期(外来と外来の間)のスコアをそれぞれ評価し、各スコアを報告情報に含めて記録してもよい。
【0076】
報告情報に、痛みを感じたことを示す事象情報が含まれる場合、関連付け部213は、不安の程度を示す評価値および痛みの程度を示す評価値を記録してもよい。また、関連付け部213は、各情報と、それぞれの情報を入力した入力者とを関連付けて記録してもよい。
【0077】
その他、関連付け部213は、痛みに関する事象情報だけでなく、医師に伝えたい不安または相談等の情報も報告情報として記録してもよい。例えば、関連付け部213は、患者が診察後数日で飲み終えた薬と継続して服薬を続ける薬とを区別して記録してもよい。また、関連付け部213は、患者が自主トレーニングを行ったことを示す事象情報と、当該トレーニングを行ったタイミングを示す時間情報とを関連付けて記録してもよい。
【0078】
また、端末装置3を操作する患者によって、医者に特に見てほしい情報が選択された旨の情報を取得した場合、関連付け部213は、選択された情報が要確認情報であることを示す情報を関連付けて記録してもよい。
【0079】
また、痛みに関する情報としてシェーマ図を用いた情報を取得した場合、関連付け部213は、当該シェーマ図に基づき、患者が痛みを感じた部位を示す情報に加え、膝の伸展、屈曲、内旋および外旋などの痛みを感じる動作を示す情報と、各部位の角度情報とを共に記録してもよい。これにより、さらに詳細に痛みに関する記録を残すことができる。
【0080】
特定部214は、事象の各々に対応する事象情報および行動情報の複数の組合せを統計的に解析した解析結果に基づいて、該事象の各々の発生との関連性が高い関連行動を特定する。具体的には、特定部214は、患者の事象情報と患者の行動情報とを取得する。特定部214は、事象情報と行動情報との組み合わせを統計的に解析し、患者に生じた事象との関連性が高い行動(関連行動)を特定する。特定部214は、患者に生じた事象を示す情報と当該事象と関連する行動を示す情報とを含むデータセットによって学習された学習済み推定モデルを用いて、事象情報を入力データとし、当該事象情報に関連性の高い行動情報を出力データとして解析を行ってよい。患者が痛みを感じるという事象を示す事象情報と複数の行動を示す行動情報が報告情報として記録されている場合、特定部214は、患者が痛みを感じることに関連する該患者の関連行動を特定する。例えば、患者が痛みを感じるという事象に対して、「階段昇降」、「かがむ」、「走る」、および「起き上がる」という行動を関連行動として特定する。特定部214は、事象情報に関連性の高い関連行動を特定すると、当該事象情報と関連行動とを関連付けて患者の報告情報として記憶部23に記憶する。
【0081】
また、特定部214は、事象が発生する傾向に関する情報をさらに特定する。図13は、特定部214において特定された、患者が感じた痛みと当該痛みに関連する行動との関連度を示すグラフである。特定部214は、事象情報に関連性の高い複数の関連行動のうち、いずれの関連行動が最も事象の発生に関連するかを特定する。例えば、図13に示すように、患者が痛みを感じるという事象に対して関連行動として「階段昇降」、「かがむ」、「走る」、および「起き上がる」が関連付けられ、それぞれの行動の痛みとの関連度が記録されていてもよい。また、図13に示すように、最も痛みの発生に関連度が高い行動が「階段昇降」である場合、特定部214は、当該患者は階段昇降を行うと痛みを感じる傾向にあることを特定し、痛みを示す事象情報に、特定した傾向を示す情報を関連付けて記憶部23に記憶させてもよい。
【0082】
以上のように、関連付け部213が事象情報と当該事象情報に関連する情報、例えば行動情報および時間情報を関連付ける。また、特定部214は、当該事象情報に関連度の高い行動情報および事象の発生の傾向に関する情報をさらに関連付けて記憶部23に記憶させる。これにより、患者の報告情報が作成される。報告情報の作成が完了すると、特定部214は、報告情報の作成が完了したことを示す情報を通知部216に出力する。
【0083】
提示制御部215は、行動情報および時間情報を含む報告情報を提示する。具体的には、提示制御部215は、通信部22を介して情報処理装置1からの報告情報の閲覧を要求する情報、および閲覧対象の患者の識別情報を受信する。提示制御部215は、当該情報を受信すると、識別情報に基づき閲覧対象の患者の報告情報を特定し、情報処理装置1に送信する。これにより、情報処理装置1において患者の報告情報に含まれる各情報が医療者に提示される。医療者に提示される報告情報の具体例については、既に述べたためここでの説明を省略する。
【0084】
また、提示制御部215は、事象情報および行動情報と共に、時系列情報を提示する。報告情報には、事象情報および行動情報に加えて、時間情報が含まれる。提示制御部215は、これらの情報を情報処理装置1に送信することで、情報処理装置1において各情報が時系列順に提示される。
【0085】
また、提示制御部215は、関連行動を示す情報を提示してもよい。事象情報に、当該事象情報に関連する関連行動を示す情報が関連付けられている場合、情報処理装置1に送信される報告情報には、これらの情報の関連付けが含まれる。この場合、情報処理装置1において、ある事象情報と、当該事象情報に関連する関連行動を示す情報とが関連付けられて提示される。
【0086】
また、提示制御部215は、(特定部214が特定した)傾向に関する情報を提示してもよい。事象情報に、事象の発生の傾向に関する情報が関連付けられている場合、情報処理装置1に送信される報告情報には、これらの情報の関連付けが含まれる。この場合、情報処理装置1において、ある事象情報と、当該事象が生じる傾向に関する情報とが関連付けられて提示される。
【0087】
通知部216は、報告情報の作成が完了したことを示す通知を情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、当該通知を受信すると、患者の報告情報を医療者が情報処理装置1を用いて閲覧することを可能とする。また、通知部216は、報告情報が指示者に提示され得る状態となったことを対象者(患者)に通知する。具体的には、通知部216は、報告情報の作成が完了し、情報処理装置1への当該報告情報の送信が可能となったことを示す完了通知を、報告情報を送信した患者の端末装置3に送信する。
【0088】
<情報処理システム100で行われる処理の流れの一例>
以下、図14を参照して、情報処理システム100で行われる処理の流れを説明する。図14は、情報処理システム100で行われる処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0089】
まず、情報処理装置1の制御部13は、医療者による入力部12への入力に基づき、患者に報告情報の入力を要求する通知を行う条件を設定する(S1)。制御部13は、通信部11を介して管理装置2に当該条件を示す条件情報を送信する。管理装置2は、条件情報を受信すると、報告情報の入力を要求される対象である患者を識別可能な識別情報と共に、当該条件を記憶する。
【0090】
その後、管理装置2の判定部211は、患者の状況が設定された条件に該当するか否かを判定する(S11)。判定部211は患者の状況が設定された条件に該当する(S11でYES)まで判定を繰り返す。
【0091】
S11でYESとなった場合、患者が用いる端末装置3に、患者に生じた事象を示す事象情報および該事象に関連する行動を示す行動情報等の入力を要求する通知を送信する(S12)。例えば、設定された条件が「患者が診察を受けてから5日後」である場合、判定部211は、当該患者が診察を受けてから5日後に当該通知を送信する。
【0092】
端末装置3の制御部33は、通信部31を介して管理装置2から当該通知を受信すると、図8に示すような、患者に対して各情報の入力を促すメッセージを表示する。
メッセージを確認した患者により、各情報の入力を行うことが承諾された旨の入力が行われる(例えば図8の符号Aに示す選択肢が選択される)と、制御部33は、例えば図9に示すような画面を表示し、患者による事象情報および行動情報等の入力を受け付ける(S21)。制御部33は、入力された事象情報と行動情報とを関連付けて、事象が生じた時間を示す時間情報と共に管理装置2に送信する。
【0093】
管理装置2の取得部212は、端末装置3から事象情報と行動情報とを関連付けて取得し(S13:取得ステップ)、関連付け部213に出力する。
【0094】
関連付け部213は、取得した事象情報と行動情報と、および事象情報と時間情報と、をそれぞれ関連付け(S14:関連付けステップ)、事象情報、行動情報、および時間情報を含む報告情報を作成し、患者を特定可能な識別情報と共に記録する。
【0095】
特定部214は、関連付け部213が作成した報告情報に基づき、事象情報によって示される事象に関連する行動である関連行動を特定し(S15)、報告情報にさらに関連付けて記録する。これにより、管理装置2において患者の報告情報が作成される(S16)。
【0096】
報告情報の作成が完了すると、通知部216は、報告情報の作成が完了したことを示す通知を情報処理装置1に送信する。
【0097】
報告情報の作成が完了したことを情報処理装置1に通知した後、通知部216は、報告情報が指示者に提示され得る状態となったことを対象者(患者)に通知する(S17)。具体的には、通知部216は、報告情報の作成が完了し、情報処理装置1への当該報告情報の送信が可能となったことを示す完了通知を、報告情報を送信した患者の端末装置3に送信する。端末装置3の制御部33は、当該通知を受信すると、報告情報が医療者に報告可能となったことを示すメッセージを表示する(S22)。
【0098】
情報処理装置1は、報告情報の作成が完了したことを示す通知を受信すると、患者の報告情報を医療者が情報処理装置1を用いて閲覧することを可能とする。具体的には、情報処理装置1の制御部13は、当該通知を受信した後、医療者による患者の報告情報の閲覧を要求する操作を受け付けると(S2でYES)、管理装置2へ患者の報告情報の閲覧を要求する情報を送信する。
【0099】
管理装置2の提示制御部215は、当該情報を受信すると、患者の報告情報を情報処理装置1に送信することで、行動情報および時間情報を含む報告情報を医療者に提示する(S18:提示制御ステップ)。情報処理装置1の制御部13は、患者の報告情報を受信すると、図2または図6に示すように、当該報告情報を表示する(S3)。また、制御部13は、医療者による入力に基づき、報告情報に含まれる各情報を選択的に、または一部の情報を強調して表示する。以上のようにして、医療者は患者の報告情報を閲覧することができる。
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0100】
<情報処理システム100A>
図16は、本開示の実施形態2に係る情報処理システム100Aの構成を示すブロック図である。図16に示すように、情報処理システム100Aは、情報処理装置1A、管理装置2A、端末装置3A、中継装置4、入力装置5、および記録装置6を備える。
【0101】
医療関係者が用いるシステムには、記録されるデータをより詳細化し、適切な形式で出力する要求が存在する。
【0102】
例えば、患者に関するデータを外部に提出するとき、所定のフォーマットに合わせてファイルを作成および提出する必要がある場合がある。例えば、医療機関から厚生労働省に診療報酬請求状況および診療の内容に関するデータを提出する場合には、指定された情報を含むデータを所定の形式で提出する必要がある。このような提出データのフォーマットは、一般的に電子カルテに記憶されている形式や普段医師が閲覧するような形式とは異なる場合が多く、医療関係者が適切なファイルを作成しようとすると手間がかかる。
【0103】
さらに、医師等が外来と外来との間における患者の状態をより詳細および簡単に把握することへの要望が存在する。例えば、1回の医師の診察と次回の診察の間の患者の状態に関する情報は、患者が説明しない限り医師が把握できない可能性がある。患者は、診察時に外来間の自身の状態を詳細に説明できない可能性がある。また、患者の状態について1回の診察で説明すると医師および患者のどちらにとっても負担になる。
【0104】
ここで、本開示に係る実施形態2に係る情報処理システム100Aは、医療関係者の加算・定期報告を補助することが可能なシステムである。情報処理システム100Aにおいて、端末装置3Aは、患者が感じた痛みまたは不安等を、患者に対して複雑な操作を要求することなく報告することが可能である。また、情報処理システム100Aにおいて、管理装置2Aは、患者から報告された情報、該患者の電子カルテデータ、および患者の医療報酬の請求に関する情報等を統合し、適切な形式のデータを作成する。また、管理装置2Aは、作成したデータを情報処理システム100A外の外部装置200または情報処理装置1Aに送信する。
【0105】
外部装置200は、情報処理システム100A外の装置であり、例えば情報処理システム100Aを利用する病院が診療報酬に関係する情報を報告する先の省庁等に設けられる装置であってよい。また、情報処理システム100Aにおいて管理装置2Aは、患者に関する情報を統合し、統合して作成したデータを医師が用いる情報処理装置1Aに送信し、当該データを医師に閲覧させてもよい。このように、情報処理システム100Aは、患者による報告の頻度向上、および患者に関する情報の医師または外部への報告を補助することが可能である。以下、情報処理システム100Aの各部の構成および効果について説明する。
【0106】
<端末装置3A>
端末装置3Aは、患者に関する情報を取得し、取得した情報を中継装置4または入力装置5に送信する装置である。端末装置3Aは、通信部31、入力部32、制御部33、および表示部34を備えるが、図16では図示を省略する。端末装置3Aは、病院の院内に設けられる入力装置5と近距離無線通信を行うことが可能である。端末装置3Aは、入力装置5と通信が確立している間、例えば患者が外来またはリハビリのために来院している間は、入力装置5との間で情報の授受を行う。端末装置3Aは、入力装置5と通信が確立していない間、例えば患者が病院の外に位置している間、中継装置4とインターネット回線等を介した通信を行うことが可能である。
【0107】
(中継装置4との通信)
端末装置3Aは、院外では中継装置4と通信を行い、患者によって入力された患者のPHR(Personal health record)に関する情報を中継装置4に送信する。例えば、端末装置3Aは、患者によって入力された患者の痛みの程度等を示す転帰情報を取得し、中継装置4に送信する。
【0108】
図17は、端末装置3Aの概観の一例を示す図である。図18は、図17に示す端末装置3Aの別の面を示す図である。図17に示すように、端末装置3Aは、患者が痛みを感じたときに痛みを記録する際に用いる専用のデバイスであってよい。図17に示すように、端末装置3Aは、VASスコアを入力するつまみ1701と記録ボタン1702とを備える。
【0109】
患者は痛みを感じた場合、感じた痛みの程度に応じた位置につまみ1701を合わせ、記録ボタン1702を押下する。記録ボタン1702が押下されると、端末装置3Aは、つまみ1701が示す値を中継装置4に送信する。これにより、中継装置4から管理装置2Aに患者が感じた痛みの程度を示す情報が提供され、管理装置2Aにおいて患者の報告情報として記録される。患者が痛みを感じたとき、該患者が端末装置3Aのつまみ1701と記録ボタン1702と、を操作するだけで管理装置2Aに該患者の痛みを示すVASスコアが記録される。
【0110】
以上のように、端末装置3Aは、外来間の患者の状態、例えば患者の痛みおよび不安の程度を示す情報を、中継装置4を介して管理装置2Aに送信することができる。また、端末装置3Aがつまみ1701と記録ボタン1702とを搭載した構成であることにより、患者に対して煩雑な操作が要求されることがないため、患者が気軽に自身の状況を報告することができる。
【0111】
また、端末装置3Aは、端末装置3Aが測定可能な加速度、気圧の情報、天候情報、日時およびその日の歩数等のうち少なくとも一つを特定可能であってよい。図18の符号1801に示すように、端末装置3Aは、取得している日時および歩数等の情報を表示してもよい。記録ボタン1702が押下されたとき、端末装置3Aは、痛みの程度を示す情報と共に、上述の各種情報を中継装置4に送信してもよい。
【0112】
図19は、端末装置3Aの別の例を示す図である。図19に示すように、端末装置3Aは、入力部と表示部とを兼ねたタッチパネルを供える装置、例えば患者のスマートフォンであってもよい。この場合、端末装置3Aは、VASスコアを入力するためのウィジェット機能を搭載しており、VASスコアを入力するための入力領域1901を表示部に表示させてもよい。図19に示すように、入力領域1901には、患者による入力を受付可能なつまみ1902と記録ボタン1903と、が表示される。端末装置3Aが図19に示すような構成である場合、患者が痛みを感じたときにつまみ1902および記録ボタン1903を操作することで、該患者の痛みの程度を示す情報が中継装置4に送信される。
【0113】
端末装置3Aは、医療機関が患者のために用意したタブレット端末等であってもよい。この場合、スマートフォン等を持っていない患者であっても、来院時に渡されるタブレット端末を用いて、VASスコアおよび痛みを感じた日時等を含む自身の病態を報告することができる。
【0114】
(入力装置5との通信)
また、端末装置3Aは、院内では入力装置5と近距離無線通信による通信を行うことが可能である。入力装置5との通信が確立された場合、外来時評価が必要な情報を取得し、入力装置5に送信する。
【0115】
例えば、端末装置3Aは、入力装置5との通信が確立された場合、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を評価するために用いられる質問を提示する。ADLは、例えばBIまたはFIM等の指標に基づき評価される。そのため、端末装置3Aは、BI(Barthel Index)またはFIM(Functional Independence Measure)の値を予測するための質問を提示してよい。例えば、端末装置3Aは、BIの値を予測するための質問を提示し、回答を取得し、当該回答を示す回答情報を入力装置5に送信する。BIは「できるか?」を問う、ADL評価のための指標である。端末装置3Aは、食事、移乗、および整容等、一般的にBIを予測するために用いられる質問項目を提示する。BIの値を予測するために用いられる質問項目は、BIの値を特定するため質問を、医療知識を持たない一般的な患者向けに書き変えた質問であってよい。端末装置3Aは、各項目で「健康なときと比べて出来ないことがあるか?」を患者に問う質問を提示し、「できない」と回答された項目のみ「~は自分で全部できますか?」と問う質問を提示し、想定されるBIの値を患者に入力させてもよい。
【0116】
端末装置3Aは、例えばリハビリのための来院時に医療者から質問に回答するよう促された患者によって回答が入力される。このとき、患者は来院しているため、端末装置3Aは、入力装置5との通信が確立しており、入力装置5に回答情報を送信する。
【0117】
ADL評価のためのBIやFIMの値は医療関係者が評価することが一般的だが、一人一人に対して評価をすることは医療関係者の負担が大きい。ここでBIやFIMの値を評価するための問いを一般人向けに書き変え、端末装置3Aにおいて提示させ、その質問回答を取得することで、回答情報の送信先である入力装置5においてBI・FIMの値を予測することができる。また、医療関係者が用いる入力装置5に回答情報を送信することで、医療関係者が患者の回答および回答に基づき予測されたBIを示す値を確認することができる。
【0118】
端末装置3Aは、入力装置5への1度の報告で、患者のADL評価を行うための全ての項目についての回答情報を取得し送信してもよい。端末装置3Aは、入力装置5への1度の報告で、患者のADL評価を行うための全ての項目についての回答情報を取得し送信しなくてもよい。例えば、端末装置3Aは、入力装置5への1度の報告で、一部の項目の回答情報のみを取得し送信してもよい。すなわち、端末装置は、所定期間中にADL評価を行うための評価項目に関する回答情報が全て揃うように、回答情報を分割して取得し、入力装置5へ送信してもよい。所定期間は、例えば1ヶ月程度であってよい。これにより、入力装置5はおよそ1ヶ月に一度ADL評価に必要な回答情報を取得し、回答を行った患者のADL評価を行うことができる。端末装置3Aが回答情報を分割して取得および送信することで、患者は毎回全ての項目についての回答を行う必要がなく、患者への負担を軽減することができる。
【0119】
端末装置3Aは、回答情報を分割して取得する場合、患者が回答するための質問項目を分割し、1回の入力時には一部の質問項目のみを患者に提示してもよい。患者から質問項目への回答が入力されるときには、端末装置3Aは、所定期間、例えば1ヶ月、の間に患者に対して提示されていない質問項目を提示してもよい。端末装置3Aは、患者に対して提示される質問項目の全体を複数の質問項目群に分割し、これら複数の質問項目群が予め設定された順番に従って提示してもよい。また、端末装置3Aは、患者に対して提示される質問項目を、患者の症状または回答情報に基づき変更してもよい。例えば、患者から取得した回答情報において、該患者の疾患部位が膝であることが示されている場合、端末装置3Aは、膝の痛みに関連する質問項目を提示してもよい。
【0120】
医師による診察と診察との間には、患者は外来でリハビリに来る場合がある。この外来リハビリ時にPT等の医療関係者から患者に回答情報の入力を促すことで、医師の診察以外のタイミングにおける患者の状態を記録することができる。また、端末装置3Aが入力装置に患者の回答を送信することにより、医療関係者は回答および結果だけを確認するだけでよく、患者一人一人に対して質問し、回答を記録する必要がない。これにより、医療関係者の負担を軽減することができる。
【0121】
<中継装置4>
中継装置4は、患者の端末装置3Aおよび入力装置5と通信可能に接続された装置である。中継装置4は、端末装置3Aから情報を取得し、管理装置2Aに送信する。例えば、中継装置4は、患者の身長体重等のPHR情報、および患者が感じた痛みまたは不安等を示すVASの値等の時系列の転帰情報を取得し、管理装置2Aに送信する。
【0122】
情報処理システム100Aは、中継装置4を備えることで、患者が院外にいるとき、すなわち端末装置3Aと入力装置5との間で通信が確立していないとき、端末装置3Aは中継装置4を介して情報を授受する。そのため、院外の患者が端末装置を用いて院内の入力装置5および情報処理装置1Aにアクセスすることはない。従って、院外の端末装置を用いて入力装置5のデータが勝手に閲覧されたり盗まれたり破壊されたりなど悪影響を受ける可能性を低減することができ、入力装置5および情報処理装置1Aのデータをより安全に保護することができる。
【0123】
<入力装置5>
入力装置5は、病院の院内に設けられ、看護師等、院内の医療関係者が操作する装置である。例えば、入力装置5は、リハビリ時などの患者の状態を示す情報等の入力を受け付け、入力された情報を管理装置2Aに送信する。
【0124】
また、入力装置5は、院内に存在する患者の端末装置3Aと近距離無線通信を行い、BI予測のための質問に対する回答を示す回答情報を取得し、患者のBIを示す値、およびADLを予測する。さらに、入力装置5は、患者の端末装置3Aに入力されたBI予測のための質問に対する回答および回答に基づき予測されたBIの値を確認したことを示す確認情報の入力を受け付ける。確認情報を取得すると、患者に関する情報にBIの値を示す情報を管理装置2Aに送信する。また、入力装置5は、BIの値に基づき評価されたADLを示す指標を取得し、管理装置2Aに送信してもよい。ADLを示す指標は、入力装置5によって特定されてもよいし、BIの値を確認した医療関係者がADLを示す指標を入力装置5に入力してもよい。
【0125】
また、入力装置5は、管理装置2Aからの要求に応じて、院内の記録装置6から医療情報の一部を取得し、管理装置2Aに送信する。入力装置5が取得および送信する情報は、例えば診療報酬の請求状況、診断結果、医療処置等を示す情報であってよい。入力装置5は、患者の状態を示す情報および診療報酬情報を医療関係者に提示し、提示した情報を元に医療関係者が作成した情報を取得し、取得した情報を管理装置2Aに送信してもよい。
【0126】
以上のように、情報処理システム100Aにおいて、院内で取得可能な情報は、入力装置5を介して管理装置2Aに提供される。これにより、患者の電子カルテデータおよび診療報酬に関わる情報など、秘匿性の高い情報を記録する院内の記録装置6と、院外の管理装置2Aとが直接データの授受を行うことがない。また、院内において患者の回答情報を取得した端末装置3Aも、入力装置5に情報を送信する。このように、院内で取得可能な情報が入力装置5を介して管理装置2Aに提供されることにより、医療関係者でない院外の者が不必要に患者に関する情報に接触したり、記録装置6にアクセスしたりする可能性を低減することができる。
【0127】
<情報処理装置1A>
情報処理装置1Aは、管理装置2Aから患者に関する情報、例えば報告情報231または統合情報236を受信して表示する。管理装置2Aから受信する情報には、患者の電子カルテデータの一部と、患者および医療関係者が記録した患者の状態に関する情報と、が含まれていてもよい。
【0128】
図20は、情報処理装置1Aの表示部に表示される情報の表示例を示す図である。図20に示すように、情報処理装置1Aは、患者ID、氏名および疾患名を示す患者の基本情報と、患者によって端末装置3Aを用いて報告された情報と、を表示してもよい。
【0129】
図20において、符号2001で示すグラフは、患者が情報処理装置1Aを用いて入力した痛みの程度を示す値と、患者が痛みを感じて報告を行った日付と、の関係を示す。また、患者が報告を行う際に備考が追記された場合、図20に示すように、情報処理装置1Aは、日付と備考の内容とを対応付けて表示してもよい。
【0130】
図20に示すように、備考には、痛みの変化、痛みが生じたときの状況、痛みが生じたときの運動量、疲労感の実感、および痛みが生じた後の対応を示す情報が含まれていてもよい。これにより、情報処理装置1Aを用いる医師は、患者が痛みを感じたときの詳細な情報を、診察のときの患者の説明を必要とせずに把握することができる。
【0131】
また、情報処理装置1Aは、痛み以外の症状についてもグラフ化して表示してもよい。例えば、図20において、符号2002で示すグラフは、患者が情報処理装置1Aを用いて入力した腫れの程度を示す値と、患者が腫れを感じて報告を行った日付と、の関係を示し、符号2003で示すグラフは、患者が情報処理装置1Aを用いて入力した熱感の程度を示す値と、患者が熱感を感じて報告を行った日付と、の関係を示す。
【0132】
さらに、患者の症状に対する対応が報告された場合、情報処理装置1Aは、当該報告の内容も表示してもよい。例えば、図20の符号2004に示すように、情報処理装置1Aは、患者が鎮痛剤、または湿布薬を服用したこと、およびその期間を示す情報を表示してもよい。その他、図20に示すように、情報処理装置1Aは、患者からの質問事項、およびKOOSスコアを示す情報を表示してもよい。
【0133】
以上のように、情報処理装置1Aは、患者、医療者、医師のそれぞれが入力した情報を統合した情報を管理装置2Aから取得し、表示する。従って、情報処理装置1Aは、患者に対する診察の結果と、患者によって報告された情報と、をまとめて把握することができる。特に、情報処理装置1Aは、患者によって報告された、診察時以外の患者の状態を示す情報を取得および表示し、医師に把握させることができる。これにより、情報処理装置1Aを用いる医師は、診察時には把握し切れない患者の状態をより正確に把握することができる。
【0134】
<記録装置6>
記録装置6は、診療に関する情報を記録する装置であり、患者の電子カルテデータおよび診療報酬に関する情報を記録している。記録装置6は、医師等医療関係者による入力を受付可能であり、当該入力に基づき患者の診療に関する情報を取得し、取得した情報を患者毎に記録する。記録装置6に記録される情報は、患者ごとの診断結果、医療処置、および診療報酬の請求状況等を示す情報であってよい。
【0135】
記録装置6は、入力装置5と通信可能に接続されていてもよい。記録装置6が入力装置5と通信可能に接続されている場合、必要に応じて記録している情報の一部を入力装置5に送信する。例えば、管理装置2Aが外部装置200に提出するために患者の診療報酬の請求に関わる情報を必要としている場合、管理装置2Aは入力装置5に当該情報を要求し、入力装置5は記録装置6に当該情報を要求する。これにより、記録装置6から入力装置5を介して管理装置2Aに患者の診療報酬の請求に関わる情報が提供される。記録装置6が入力装置5と通信可能に接続されていない場合、USBメモリ等の記録装置6とは別の記憶媒体に必要な情報を格納し、当該記憶媒体を入力装置5に接続することで入力装置56に当該情報を取得させる。
【0136】
<管理装置2A>
管理装置2Aは、情報処理システム100Aの各部から収集したデータを統合して患者毎に管理する装置である。図16に示すように、管理装置2Aは、制御部21A、通信部22、および記憶部23Aを備える。制御部21Aは、統合部217を備える点において制御部21と異なる。記憶部23Aは、報告情報231および統合情報236を患者毎に記憶している。統合情報236は、統合部217が作成する情報であり、管理装置2A外に送信するための情報である。統合情報236は、例えば患者に関する情報、例えば患者自身が報告した情報と、医療関係者が記録した患者に関する情報と、を統合した情報である。管理装置2Aは、作成した統合情報236を情報処理システム100A外の外部装置200または情報処理装置1Aに送信する。
【0137】
(統合部217)
統合部217は、情報処理システム100Aの各部から情報を収集する。また、統合部217は、収集したデータを統合し、患者毎の統合情報236を作成する。
【0138】
統合部217は、送信先において利用可能となるように所定のフォーマットに合わせた形式の統合情報236を作成する。統合情報236には、患者の診療の内容に関するデータが含まれていてよい。診療の内容に関するデータは、医療関係者および患者がそれぞれ情報処理装置1A、入力装置5、および端末装置3Aを用いて入力した情報である。
例えば、診療の内容に関するデータは、患者の報告情報231および医師が用いる情報処理装置1Aに記憶されている診断結果を示す情報、および医療関係者が入力装置5を用いて入力する患者に関する情報に基づき作成されてよい。
【0139】
例えば、統合部217は、医師が用いる情報処理装置1Aに表示させるための情報を作成してもよい。この場合、統合部217は、患者が端末装置3Aを用いて入力した報告情報231と、医療関係者が情報処理装置1Aおよび入力装置5を用いて入力した患者に関する情報と、を含む統合情報236を作成する。統合部217は、作成した統合情報236を情報処理装置1Aに送信する。これにより、医師は、端末装置3Aを用いて患者自身が報告した情報と、医療関係者が報告した患者に関する情報、例えば診察結果、処置の内容、およびリハビリの状況等と、をまとめて把握することができる。
【0140】
また、管理装置2Aは、リハビリテーションデータ提出加算を行うためのデータを作成してもよい。この場合、統合部217は、必要な項目、例えば診療報酬請求状況と、診療の内容に関するデータと、を含む統合情報236を作成する。診療の内容に関するデータには、リハビリテーションデータ提出加算に必要な各項目、例えば患者に対する診断結果、治療の内容、患者の身長、体重、および喫煙歴等を示す情報が含まれていてもよい。また、患者がリハビリを終了した場合、統合情報236にはその終了理由を示す情報が含まれていてもよい。管理装置2Aは、ユーザの指示に基づき、統合部217が作成した統合情報236を、通信部22を介して外部装置200に送信する。以上のように、統合部217が統合情報236を作成することで、医療関係者等のユーザが患者毎のデータをまとめる手間を低減することができる。
【0141】
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム100Aでは、管理装置2Aでデータを統合して管理することができる。また、端末装置3Aは簡単な操作で診察外における患者の状態を、中継装置4を介して管理装置2Aに報告することが可能である。さらに、端末装置3Aは、院内で入力装置5と通信が確立している間には、医療者による評価が必要な情報を入力装置5に送信することができる。これにより、管理装置2Aは、患者の状態を示す情報より高頻度かつ詳細に取得し、取得したデータを他の電子カルテのデータ等と統合して統合情報236を作成し、管理することができる。また、管理装置2Aは、統合情報236を作成するときに所定のフォーマットに応じた形式で作成することで、必要に応じて医師の情報処理装置1A、または情報処理システム100A外の外部装置200に統合情報236を提供することができる。
【0142】
また、情報処理システム100Aは、中継装置4および入力装置5を備えることで、患者の端末装置3Aが電子カルテ・診療報酬等の機密性の高い情報を管理している記録装置6を直接情報の授受を行う必要がない。また、院内で取得される情報は、入力装置5を介して管理装置2Aに送信されるため、院外の管理装置2Aが院内の記録装置6の情報に直接アクセスすることはない。従って、情報処理システム100Aは、より高いセキュリティ性のシステムを提供することができる。
【0143】
〔実施形態3〕
図21は、実施形態3に係る情報処理システム100Bの構成を示すブロック図である。図21に示すように、情報処理システム100Bは、情報処理装置1A、管理装置2B、端末装置3B、中継装置4B、入力装置5B、および記録装置6を備える。
【0144】
端末装置3Bは、入力装置5Bと遠距離無線通信による通信を行うことが可能である。端末装置3Bは、該端末装置3Bが病院の院外に位置しているときにも、医療関係者による評価が必要な患者情報、例えばBIの値を特定するための質問を提示し、質問に対する回答情報を取得することが可能である。回答情報を取得した場合、端末装置3Bは当該回答情報を入力装置5Bに送信する。また、端末装置3Bは、患者の痛みまたは不安等のVASの値を入力する操作が行われた場合、当該値と操作が行われた日時とを示す時系列の転帰情報を、中継装置4Bに送信する。
【0145】
中継装置4Bは、端末装置3Bから情報を受信すると、入力装置5Bに送信する。入力装置5Bは、端末装置3B、中継装置4B、および情報処理装置1Aから、患者に関する各種情報を収集し、管理装置2Bに送信する。入力装置5Bは、収集した情報を確認した医療者によって作成された情報も管理装置2Bに送信してもよい。また、入力装置は、収集した情報を情報処理装置1Aに送信し、サマリとして情報処理装置1Aを用いる医師に提示させてもよい。
【0146】
以上のように、端末装置3Bは、入力装置5Bと遠距離無線通信を行うことが可能である。これにより、患者は病院に来院していないときでも、日常的にBIまたはFIMの値を特定するための回答情報を入力できるため、患者にとっての利便性が向上する。
【0147】
また、端末装置3Bは、患者によって入力された報告情報を、中継装置4Bを介して入力装置5Bに送信する。院内の医療関係者が、入力装置5Bが取得した情報を確認し、外来時などに患者に対して不足している情報の入力を促すなど、患者からの報告を補佐することで、入力装置5Bは、より正確な患者に関する情報を取得し、管理装置2Bに送信することが可能となる。
【0148】
〔実施形態4〕
図22は、実施形態4に係る情報処理システム100Cの構成を示すブロック図である。図22に示すように、情報処理システム100Cは、情報処理装置1C、管理装置2C、端末装置3C、入力装置5C、記録装置6、医療者用端末装置7、および通信装置8を備える。情報処理システム100Cにおいて、情報処理装置1C、端末装置3C、および医療者用端末装置7の各々は、インターネット等の情報通信ネットワークを介して管理装置2Cと接続されている。医療者用端末装置7は、院外および院内のいずれにも存在可能な装置であるが、図22では、医療者用端末装置7が院内に存在する場合を例示している。
【0149】
(情報処理装置1C)
情報処理装置1Cは、管理装置2Cに対して、情報閲覧のリクエストを行うことができる。例えば、情報処理装置1Cは、管理装置2Cに対して、記録装置6に記録されている患者の診断結果、患者への処置、患者から報告された報告情報、および各情報を統合した統合情報の閲覧を要求する情報を管理装置2Cに送信することができる。情報処理装置1Cは、要求した情報を管理装置2Cから受信すると、当該情報を表示する。これにより、情報処理装置1Cを使用する医師は、必要な情報を閲覧することができる。
【0150】
(管理装置2C)
図22に示すように、管理装置2Cは、統合部217を備えておらず、統合情報236を記憶していない点において管理装置2と異なる。管理装置2Cは、情報処理装置1C、端末装置3C、および医療者用端末装置7の各々と、インターネット等の情報通信ネットワークを介して接続されており、これらの装置と情報の授受を行うことができる。
【0151】
例えば、管理装置2Cは、端末装置3Cから患者によって入力された患者に関する情報を取得し、報告情報231として記憶することができる。また、管理装置2Cは、端末装置3Cから、BIの値を予測するための質問に対する患者の回答を示す回答情報を取得することができる。管理装置2Cは、取得した各情報、および報告情報231を医療者用端末装置7に送信することができる。
【0152】
また、管理装置2Cは、情報処理装置1Cからの情報閲覧を要求する情報を取得することができる。要求された情報が記憶部22Aに記憶されている場合、管理装置2Cは、当該情報を情報処理装置1Cに送信する。要求された情報が記憶部22Aに記憶されていない場合、管理装置2Cは、当該要求を医療者用端末装置7に送信する。管理装置2Cは、要求された情報を医療者用端末装置7から受信すると、当該情報を情報処理装置1Cに送信する。
【0153】
(端末装置3C)
図22に示すように、端末装置3Cは、管理装置2Cと通信可能に接続されている。端末装置3Cは、患者によって報告された痛み、および痛みを感じた日時等を示す患者に関する情報、並びに患者によって入力されたBIの値を予測するための回答情報を管理装置2Cに送信する。
【0154】
(医療者用端末装置7)
医療者用端末装置7は、医師、看護師、または患者のリハビリ担当者等の医療関係者が用いる端末装置である。医療者用端末装置7は、管理装置2Cと、インターネット等の遠距離通信可能な情報通信ネットワークを介して接続されている。医療者用端末装置7は、端末装置3Cから管理装置2Cに送信された患者に関する情報を、管理装置2Cから取得することができる。
【0155】
また、医療者用端末装置7は、入力装置5Cと近距離無線通信を行うことが可能である。入力装置5Cとの通信が確立している間、医療者用端末装置7は、管理装置2Cから取得した情報、例えば患者に関する情報、回答情報、および報告情報等を、入力装置5Cに送信することができる。
【0156】
医療者用端末装置7は、情報処理装置1Cから管理装置2Cに送信された、情報閲覧のリクエストを、管理装置2Cから取得することができる。記録装置6に記録されている情報の閲覧のリクエストを取得した場合、医療者用端末装置7は、要求された情報を、入力装置5Cを介して記録装置6から取得し、管理装置2Cに送信する。これにより、情報処理装置1Cは、記録装置6に記録されている患者の電子カルテ等の情報を取得することができる。
【0157】
また、医療者用端末装置7は、医療関係者からの患者に関する情報の入力を受け付けることができる。例えば、医療者用端末装置7は、リハビリ時などの患者の状態を示す情報等の入力を受け付け、入力された情報を入力装置5Cに送信してもよい。
医療者用端末装置7は、管理装置2Cから回答情報を受信して医療関係者が閲覧可能なように表示してもよい。
【0158】
さらに、医療者用端末装置7には、医療関係者が回答情報に基づき予測したBIの値、BIの値に基づき評価したADLを示す指標を含む情報が入力されてもよい。医療者用端末装置7は、入力された情報を入力装置5Cに送信してもよい。
【0159】
(入力装置5C)
入力装置5Cは、院内に設けられ、医療関係者が操作可能な端末装置である。また、入力装置5Cは、医療者用端末装置7と近距離無線通信による情報の授受を行うことが可能である。
【0160】
入力装置5Cは、医療者用端末装置7から、患者によって報告された患者に関する情報、回答情報、回答情報に基づき予測されたBIの値、およびBIの値に基づき評価されたADLを示す指標を示す情報を取得してもよい。また、入力装置5Cは、医療者用端末装置7から、医療関係者によって医療者用端末装置7に入力されたリハビリ時などの患者の状態を示す情報等を取得してもよい。
【0161】
図22に示すように、入力装置5Cは、統合部51を備える。統合部51は、医療者用端末装置7および記録装置6から統合情報52を作成するために必要な情報を収集する。統合情報52は、患者自身が報告した患者の状態、看護師等医療関係者が判断した患者の状態、医師による診療の内容、および診療報酬の請求状況等の情報が統合された情報である。統合部51は、収集した情報を統合し、所定のフォーマットに合わせて患者毎の統合情報52を作成する。入力装置5Cは、必要に応じて、通信装置8を介して外部装置200に作成した統合情報52を送信してもよい。
【0162】
(通信装置8)
通信装置8は、院内で利用されるネットワークを介して入力装置5Cと通信可能な装置であり、入力装置5Cから取得した情報を、外部に送信することが可能である。例えば、通信装置8は、入力装置5Cから統合情報52を取得すると、取得した統合情報52を外部装置200に送信する。
【0163】
以上のように、情報処理システム100Cは、インターネット等の情報通信ネットワークを介して接続された情報処理装置1C、管理装置2C、端末装置3C、および医療者用端末装置7を備えている。また、医療者用端末装置7は、入力装置5Cと近距離無線通信による通信が確立している間のみ、情報の授受を行うことが可能である。
【0164】
このように、情報処理システム100Cでは、情報処理装置1C、管理装置2C、および端末装置3Cは、入力装置5Cと直接通信することなく、医療者用端末装置7を介して情報の授受を行うことが可能である。また、情報処理装置1C、管理装置2C、および端末装置3C、および医療者用端末装置7といった院外で用いられる装置は、記録装置6には直接アクセスしない。そのため、これらの装置が記録装置6に記録されている情報に影響を与える可能性を低減することができる。
【0165】
また、入力装置5Cは、作成した統合情報52を、通信装置8を介して外部装置200に送信可能である。これにより、院内の入力装置5Cが、直接外部の装置と通信することなく外部装置200へ必要な情報を送信することができる。
〔別の実施形態〕
上述の実施形態では、端末装置3の制御部33は、患者の事象情報をおよび行動情報の入力を促す通知を行う際、予め設定された条件に合致したことおよび各情報の入力を要求することを示すメッセージを通知していた。ここで、情報処理システム100において、端末装置3は、さらに他の情報を患者に通知してもよい。
【0166】
例えば、管理装置2の判定部211は、患者の端末装置3に各情報の入力を要求する通知を送信する際、既に作成された患者の報告情報を取得し、当該報告情報に応じたメッセージを含めて送信してもよい。例えば、判定部211は、報告情報に含まれるこれまでに記録された痛みの原因を示す情報に基づき、当該原因による痛みに対する回復または悪化の度合いを問う情報を送信し、端末装置3の制御部は当該情報に基づく質問項目を表示してもよい。
【0167】
図15は、端末装置3において表示される画面の一例を示す図である。前回記録された報告情報に、「ベッドから起きるときに痛みを感じる」旨の情報が含まれている場合、端末装置3の制御部33は、図15の符号Hに示すように、「前回は、「ベッドから起きるときに」痛いとのコメントでしたが、その後の様子はどうでしょうか?」とのメッセージを表示してもよい。また、制御部33は、メッセージに関連する質問項目、具体的には図15の符号Iに示すような痛みに関する質問項目を表示し、入力を受け付け、管理装置2に送信してもよい。管理装置2の関連付け部213は、当該情報を取得すると、前回記録された痛みを示す事象情報と、今回記録された痛みを示す事象情報とを関連付け、これらの痛みの差分を記録してもよい。
【0168】
以上のように、情報処理システム100において、患者自身の入力が反映されていることを確認できるメッセージを表示し、当該入力に基づく新たな情報の入力を要求することで、患者の入力へのモチベーションを維持することができる。また、複数回の入力に基づき、患者に生じた事象に対する患者の状態の変遷を記録することができる。
【0169】
〔別の実施形態〕
上述の実施形態では、指示者が医療関係者または医療機関であり、対象者が患者である場合を例に挙げて説明したが、指示者および対象者はこれらに限られない。例えば、指示者がスポーツの指導者であり、対象者が指導を受ける者であってもよいし、指示者が介護者であり、対象者が被介護者であってもよい。
【0170】
指示者がスポーツの指導者であり、対象者が指導を受ける者である場合、対象者は、端末装置3を用いて、指示者から指導を受けていない間における自身に生じた事象の事象情報と該事象に関連する行動を示す行動情報を管理装置2に送信する。この場合、対象者に生じる事象は、例えば疲労または筋肉痛といった事象であり、当該事象に関連する行動は、例えば指示者から指示されたトレーニングまたは自身の判断で行ったトレーニング等を示す行動であってよい。指示者は、情報処理装置1を用いて、対象者に生じた事象および該事象に関連する行動を把握し、該対象者に対してより適切な指導を行うことができる。
【0171】
また、指示者が介護者であり、対象者が被介護者である場合、対象者は、端末装置3を用いて、指示者から介護を受けていない間における自身に生じた事象の事象情報と該事象に関連する行動を示す行動情報を管理装置2に送信する。この場合、対象者に生じる事象は、例えば自身の体調の変化または誤嚥の発生といった事象であり、当該事象に関連する行動は、例えば外出または食事などの行動であってよい。指示者は、情報処理装置1を用いて、対象者に生じた事象および該事象に関連する行動を把握することができる。例えば、事象情報として誤嚥の発生、行動情報として食事を行ったことおよび食事の内容等が記録されている場合、指示者は、対象者が食事を行ったことで誤嚥を発生させたことを把握することができる。指示者は、報告情報を把握することで、該対象者に対してより適切な介護、例えば誤嚥が発生しないような食事の提供および指導等を行うことができる。
【0172】
〔別の実施形態〕
上述の実施形態では、情報処理装置1、管理装置2、および端末装置3が情報処理システム100の各機能を備える構成について説明したが、これに限られない。例えば、管理装置2の記憶部23に記憶される各情報は、例えばクラウドサーバ等の外部の記憶装置に記憶されていてもよい。この場合、管理装置2は、情報処理装置1および端末装置3から取得した情報に基づき患者の報告情報を作成し、当該記憶装置に送信する。また、管理装置2は、情報処理装置1からの閲覧要求を受け付けると、当該記憶装置から患者の報告情報を受信し、情報処理装置1に送信する。また、情報処理装置1における、設定された条件および患者の受けた診察に関する情報を管理装置2に送信する機能と、管理装置2から報告情報を受信し表示部14に表示させる機能とは、それぞれ別の装置によって実現されてもよい。
【0173】
また、情報処理システム100の各装置が備える各部は、他の装置に備えられていてもよい。例えば、情報処理装置1の制御部13が提示制御部215を備えていてもよい。この場合、情報処理装置1は、管理装置2から患者の報告情報を受信し、情報処理装置1の提示制御部215が報告情報から表示部14に表示させる情報を選択して表示させる。
【0174】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理システム100、100A、100B、100C(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部13、21、21A、21B、33に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0175】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0176】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0177】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0178】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0179】
〔まとめ〕
以上のように、本開示の態様1に係る情報処理システムは、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得部と、前記事象情報と、前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付け部と、前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御部と、を備える。
【0180】
指示者とは、例えば医者、看護師または医療機関等の医療者であり、対象者は例えば患者である。医療者が患者に治療等の処置を行った後、患者の状態が回復または維持されているか、あるいは悪化していないか等の情報を把握し、後の診療判断に反映するという要望がある。また、医療者が次回の診察時に患者にこれらの情報について質問した場合、情報不足により正確な判断が困難になる可能性の低減、情報をまとめる負担の低減、または情報保持者が多岐にわたる可能性の低減等の要望がある。
【0181】
例えば診察時に患者が医療者に対して「治療した部位がだんだん痛くなってきた」と報告したとしても、時間が経って治療の効果が切れたのか、治療方法が間違っていたのか、指示した自主トレーニングが不足しているのか、自主トレーニングを正しくできていないのか、禁止した動作を避けているか、または特定の動作が原因で痛みが発症しているのか、等の情報を正確に得ることができない場合がある。この場合、医療者は、患者から得られた断片的な情報で診断をすることになり、定型の処方にとどまる可能性がある。また、上述のような判断に必要を逐一患者がメモしたとしても、フォーマットに一貫性がないなど、医療者がこれらの情報を時系列の情報に落とし込み確認をするために大きな負担がかかる。加えて、例えば整形外科の診療に関わるのは、医師および患者に加えて理学療法士および看護師などのコメディカルも入ることもある。このような場合、診察と診察との間における関係各者の情報を現場で一元的にまとめて医師の次の判断に活用することは困難である。
【0182】
上記構成によると、予め設定された条件に基づき、治療を行った後に対象者に生じた事象および該事象に関わる行動等の情報を、対象者自身から得ることができる。また、取得した各情報を関連付けて指示者に提示することができる。これにより、指示者は、指示者が直接監視することが困難な、診察と診察との間における対象者の状態および当該状態の変遷を把握することができる。また、対象者の状態を示す情報を確認する指示者側の負担を低減することができる。
【0183】
本開示の態様2に係る情報処理システムでは、上記態様1において、前記事象は、前記所定期間内に複数回生じており、前記報告情報は、前記事象の各々が生じた順序を示す時系列情報を含み、前記提示制御部は、前記事象情報および前記行動情報と共に、前記時系列情報を提示してもよい。
【0184】
上記構成によると、事象情報に示される事象が生じた時系列を把握することができる。これにより、複数の事象と当該事象に関連する行動との因果関係をより正確に把握させることができる。
【0185】
本開示の態様3に係る情報処理システムでは、上記態様1または2において、前記事象の各々に対応する前記事象情報および前記行動情報の複数の組合せを統計的に解析した解析結果に基づいて、該事象の各々の発生との関連性が高い関連行動を特定する特定部をさらに備え、前記提示制御部は、前記関連行動を示す情報を提示してもよい。
【0186】
上記構成によると、指示者は、対象者に生じた事象および対象者が行った行動を把握するだけでなく、該事象に関連性の高い行動を把握することができる。例えば、指示者は、対象者に生じる「膝の痛み」が、「立ち上がる」、または「走る」という動作に関連することを把握し、その後の指示の参考とすることができる。
【0187】
本開示の態様4に係る情報処理システムでは、上記態様3において、前記特定部は、前記事象が発生する傾向に関する情報をさらに特定し、前記提示制御部は、前記傾向に関する情報を提示してもよい。
【0188】
上記構成によると、指示者は、対象者に生じた事象が発生する傾向を把握することができる。例えば、指示者は、対象者に生じる「膝の痛み」が、「立ち上がる」ときに生じる傾向にあるのか、または「走る」ときに生じる傾向にあるのかを把握し、その後の指示の参考とすることができる。
【0189】
本開示の態様5に係る情報処理システムでは、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記報告情報が前記指示者に提示され得る状態となったことを前記対象者に通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0190】
上記構成によると、対象者は、自身が提供した情報が指示者に提示され得る状態となったことを把握し、指示者に自身の状態を確認してもらえるという安心感を得ることができる。
【0191】
本開示の態様5に係る情報処理システムでは、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記事象は、前記対象者の身体的または精神的な自覚症状であってよい。
【0192】
上記構成によると、指示者は、対象者が感じた痛みなどの身体的な自覚症状、または不安感などの精神的な自覚症状を把握することができる。
【0193】
本開示の態様7に係る情報処理システムでは、上記態様1から6のいずれかにおいて、医療関係者または医療機関である前記指示者に用いられる情報処理装置と、前記医療関係者による診察を受けた、または前記医療機関において診察を受けた患者である前記対象者に用いられる端末装置と、を備えてもよい。
【0194】
上記構成によると、医療者は情報処理装置を用いることで、患者が端末装置を用いて入力した診察と診察との間における該患者の状態を適宜把握することが可能である。
【0195】
本開示の態様8に係る情報処理システムの制御方法は、対象者が指示者から指示または介入を与えられてから以降の所定期間において該対象者に生じた事象に関する事象情報と、前記事象が生じる前および該事象が生じた時点の少なくともいずれかにおける該対象者の行動を示す行動情報と、を関連付けて取得する取得ステップと、前記事象情報と前記対象者が前記指示または前記介入を与えられてから前記事象が生じるまでの経過期間の長さに関する時間情報と、を関連付ける関連付けステップと、前記行動情報および前記時間情報を含む報告情報を提示する提示制御ステップと、を含む。
【0196】
上記構成によると、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0197】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0198】
100、100A、100B、100C 情報処理システム
212 取得部
213 関連付け部
214 特定部
215 提示制御部
216 通知部
S13 取得ステップ
S14 関連付けステップ
S18 提示制御ステップ
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