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特開2024-1048フルオロフェニルベータ-ヒドロキシエチルアミンおよび高血糖症の治療におけるそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001048
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】フルオロフェニルベータ-ヒドロキシエチルアミンおよび高血糖症の治療におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 215/28 20060101AFI20231226BHJP
   C07C 233/43 20060101ALI20231226BHJP
   C07C 215/42 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C07C215/28 CSP
C07C233/43
C07C215/42
A61K31/137
A61K31/167
A61P3/10
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152519
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2020514746の分割
【原出願日】2018-09-13
(31)【優先権主張番号】1714734.9
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518320845
【氏名又は名称】アトロジー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルクマン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ベングトソン,トレ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】β2-アドレナリン作動性受容体にて作動薬として作用する、フッ素置換されたβ-ヒドロキシエチルアミンを提供する。
【解決手段】式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。

(Rは、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-12アルキル;R及びRは、各々独立に、H、又は1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキル等;各Xは、各々独立に、Cl、Br等;mは1~5;nは0~4;但し、mとnの合計は、5以下)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
は、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-12アルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換された
1-3アルキルを表し、
あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒に連結して、3~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、ハロ、および1つ以上のハロで任意に置換されたCアルキルから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
各Xは、独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、-ONO、-OR、-S(O)、または-S(O)N(R)Rを表し、Rは、独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
各R、R、R、R、RおよびRは、独立して、Hか、または独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、RおよびRならびに/またはRおよびRのうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Gは、ハロ、-CN、-N(Ra1)Rb1、-ORc1、-S(O)d1、-S(O)N(Re1)Rf1、または=Oを表し、
各Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1、およびRf1は、独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、Ra1およびRb1ならびに/またはRe1およびRf1のうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
mは1~5を表し、
nは0~4を表し、
但し、mとnの合計は、5以下であり、
各pは、独立して、0、1、または2を表し、
各qは、独立して、1または2を表す、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
は、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-10アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は表し、Rは、n-ブチル、tert-ブチル、または1-メチルブチルを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
はHを表し、RはHまたはメチルを表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
およびRはそれぞれHを表す、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
mは1、2、または3を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
mは3を表し、F原子は、2位、3位、および4位に位置するか、または3位、4位、および5位に位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
mは2を表し、F原子は、2位および3位に位置するか、または3位および4位に位置するか、または3位および5位に位置する、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
mは1を表し、F原子は2位または3位に位置する、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
各Xは、独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、またはORを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
各Xは、独立して、Cl、Br、R、-N(R)R、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
各Xは、独立して、Cl、-NH、-NHC(O)CH、-CF、または-OHを表す、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
nは0、1、または2を表す、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
nは2を表し、各Xは、独立して、Cl、-NH、-NHC(O)CH、-CF、または-OHを表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
nは2を表し、各Xは、独立して、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記X基が、2位および3位に位置するか、または2位および4位に位置するか、または3位および5位に位置する、請求項14または請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
nは1を表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Xは、Cl、R、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す、請求項17または請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Xは、3位、4位、または5位に位置する、請求項17~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、式IAの化合物であり、
【化2】
式中、
、R、およびRは、請求項1~20のいずれか一項で定義されたとおりであり、Y、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、またはXを表し、Xは、請求項1~20のいずれか一項で定義されたとおりであり、
但し、Y~Yのうちの少なくとも1つはFを表す、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、または-ORを表し、
は、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
但し、Y~Yのうちの少なくとも1つはFを表す、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、R、-CN、-N(R)R、または-OHを表し、
は、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
但し、Y~Yのうちの1つまたは2つはFを表す、請求項21または請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-N(R)R、-CN、または-OHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
但し、Y、Y、およびYのうちの1つまたは2つはFを表す、請求項21~23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
但し、Y、Y、およびYのうちの1つまたは2つはFを表す、請求項21~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、ハロ、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、または-ORを表し、
は、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す、請求項21に記載の化合物。
【請求項27】
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、Cl、-N(R)R、または-OHを表し、
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す、請求項26または請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
、Y、およびYは、それぞれ、Hを表し、
およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す、請求項26~請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記式Iまたは式IAの化合物が、式ICの化合物であり、
【化3】
式中、Y、Y、Y、Y、Y、R、R、およびRは、請求項1~29のいずれか一項で定義されたとおりである、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
、Y、およびYは、それぞれHを表し、
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
はC4-5アルキルを表し、
かつ/またはRおよびRは、両方ともHを表す、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、2-(ブチルアミノ)-1-(3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
N-(3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
医薬品で使用するための、請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物。
【請求項38】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療で使用するための、請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物の使用。
【請求項40】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項41】
請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、および/または担体を含む、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための、薬学的組成物。
【請求項42】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項36~41のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは組成物、方法、または使用。
【請求項43】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項36~42のいずれか一項に記載の、使用のための化合物もしくは組成物、方法、または使用。
【請求項44】
前記高血糖を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項36~41または43のいずれか一項に記載の使用のための化合物もしくは組成物、方法、または使用。
【請求項45】
組み合わせ製品であって、
(a)請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物と、
(b)高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
成分(a)および(b)の各々が、任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品。
【請求項46】
パーツキットであって、
(a)請求項1~35のいずれか一項で定義された化合物、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む薬学的組成物と、
(b)1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合した、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
前記成分(a)および(b)がそれぞれ、他方と一緒に投与するのに好適な形態で提供される、パーツキット。
【請求項47】
請求項1~35のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、(i)式IIの化合物
【化4】
(式中、X、X、X、X、R、およびRは、上記で定義したとおりである)と、式IIIの化合物
【化5】
(式中、Rは、請求項1~35のいずれか一項で定義されたとおりである)とを、任意に当業者に既知の好適な溶媒の存在下で反応させる工程、(iia)式IVの化合物
【化6】
(式中、m、n、X、R、R、およびRは、請求項1~35のいずれか一項で定義されたとおりであり、Yは、HまたはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基である)と、当業者に既知であるような好適な還元剤とを反応させる工程、(iib)式IBの化合物(および同様に、式ICの化合物)のための、好適な触媒(例えば、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニル、
エチレンジアミンと[RU(シメン)Cl)との錯体)の存在下、水素または好適な水素供与体(例えば、ギ酸)の存在下、および任意に塩基(例えば、EtN)の存在下、および好適な溶媒(例えば、CHCl)の存在下で、請求項1~35のいずれか一項で定義されたものであるが、式中、YはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基(例えば、-C(O)OtBu)である、式IVの化合物を反応させる工程、(iii)少なくとも1つのXが存在し、かつ、-OHを表す化合物について、式Vの化合物
【化7】
(式中、m、n、R、R、およびRは、請求項1~35のいずれか一項で定義されたとおりであり、Yは、HまたはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基を表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基を表す)を、当業者に既知の条件下で脱保護する工程、(iv)少なくとも1つのXが存在し、かつ、NHまたはNHC(O)CHを表す化合物について、式VIの化合物
【化8】
(式中、m、n、X、R、R、およびRは、請求項1~35のいずれか一項で定義されたとおりであり、Yは、HまたはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基を表し、Yは、H、-C(O)CH、またはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基を表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基を表す)を、当業者に既知の条件下で脱保護する工程、または(v)少なくとも1つのXが存在し、かつ、NHを表す化合物について、式VIIの化合物
【化9】
(式中、m、n、X、R、R、およびRは、請求項1~35のいずれか一項で定義されたとおりである)を、当業者に既知の条件下で還元する工程を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物および組成物、ならびに高血糖症および2型糖尿病などの高血糖症を特徴とする障害の治療におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、βアドレナリン作動性受容体の活性化を介する、2型糖尿病などの状態の治療のための、新規な化合物、組成物および方法に関する。重要なことに、このような化合物は、有意なcAMP放出を介するそれらの効果を発揮しないので、有益な副作用プロファイルを有すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは議論は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
高血糖症または高血糖は、過剰量のグルコースが血漿中を循環する状態である。治療されない場合、高血糖症は重大な問題となり得、潜在的にケトアシドーシスなどの生命を脅かす状態に発展する可能性がある。例えば、慢性的な高血糖症は、心臓への損傷を引き起こすこともあり、冠動脈性心疾患または心不全の病歴のない対象における心臓発作と死亡とに強く関連する。糖尿病および重度のインスリン抵抗性を含む高血糖症の原因は多岐にわたる。
【0004】
重度のインスリン抵抗性(SIR)は、患者が、非常に低いレベルの(または極端な場合には、有意でない)インスリンに対する応答を患っている状態である。ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症および脂肪異栄養症を含む、SIRを特徴とするいくつかの症候群がある。これらの状態の大部分は、インスリン受容体遺伝子の突然変異のような遺伝的原因を有する。ドナヒュー症候群、ラブソン・メンデンホール症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群の有病率は、100,000例中、約50例の報告事例から1例まで変動することが報告されている。しかしながら、いくつかの疾患は重度で非常にまれであるため、特に世界の途上地域では、多くの患者が死亡する前に診断されない可能性が高い。したがって、これらの症候群を有する患者の正確な数を評価することは困難である。
【0005】
SIRを有する患者における高血糖症治療のための現在の標準は、メトホルミンのようなインスリン受容体感受性に影響する薬物を補充した制御食またはインスリン補充である。しかしながら、特にインスリン受容体遺伝子の変異によって引き起こされる障害については、この治療は十分に効果的ではなく、最終的には不成功であることが判明する。
【0006】
糖尿病は、グルコース恒常性の機能不全を伴う2つの異なる疾患、すなわち1型(またはインスリン依存性糖尿病)および2型(インスリン非依存性糖尿病)を含む。2型糖尿病は世界の4億人以上の人々に影響を及ぼし、その数は急速に増加している。2型糖尿病の合併症には、重度の心血管障害、腎不全、末梢神経障害、失明が含まれ、かつ該疾患の後期には、さらには手足の喪失、最終的には死亡が含まれる。2型糖尿病は、骨格筋および脂肪組織におけるインスリン抵抗性を特徴とし、現在のところ決定的な治療法はない。今日使用されるほとんどの治療法は、機能不全のインスリンシグナル伝達を改善することか、または肝臓からのグルコース産出を阻害することに焦点を当てているが、それらの治療の多くはいくつかの欠点および副作用を有する。したがって、2型糖尿病を治療するためのインスリン非依存性の新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0007】
2型糖尿病では、インスリンシグナル伝達経路は、脂肪組織および骨格筋などの末梢組織で鈍くなる。2型糖尿病を治療するための方法には、典型的には、生活習慣の変更、ならびにグルコース恒常性を調節するためのインスリン注射または経口薬が含まれる。この疾患の後期段階の2型糖尿病を有する人々は、「ベータ細胞障害」、すなわち、高血糖値に応答して膵臓がインスリンを放出できないという障害を発症する。この疾患の後期段階では、患者はしばしば、糖尿病を管理するために経口薬と組み合わせてインスリン注射を必要とする。さらに、最も一般的な薬物は、インスリン経路のダウンレギュレーションまたは脱感作および/または脂肪組織、肝臓および骨格筋における脂質取り込みの促進を含む副作用を有する。したがって、これらの副作用を含まない2型糖尿病を含む代謝性疾患を治療するための新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0008】
食事後、血糖値の上昇は膵臓からのインスリン放出を刺激する。インスリンは、血糖値の正常化を媒介する。グルコース代謝に対するインスリンの重要な効果は、骨格筋および脂肪細胞へのグルコースの取り込みの促進、および肝臓におけるグリコーゲン貯蔵の増加を含む。骨格筋および脂肪細胞は、摂食状態でのインスリン媒介性のグルコース取り込みおよび利用に関与し、グルコース代謝にとって非常に重要な部位となる。
【0009】
インスリン受容体の下流のシグナル伝達経路は、詳細に理解することが困難であった。要約すると、インスリンによるグルコースの取り込みの制御は、インスリン受容体(IR)、インスリン受容体基質(IRS)、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の活性化を含み、したがってホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリホスフェート(PIP3)、ラパマイシンの哺乳動物標的(ラパマイシンの機序標的、mTORとも呼ばれる)、Akt/PKB(Akt)およびTBC1D4(AS160)の刺激を含み、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜への転位をもたらす。Akt活性化はGLUT4転位に必要と考えられる。
【0010】
骨格筋は哺乳動物の体重の大部分を構成し、全身グルコース処理の最大85%までを担う全身グルコース代謝の調節に重要な役割を果たすことに留意すべきである。骨格筋におけるグルコース取り込みは、いくつかの細胞内および細胞外シグナルによって調節される。インスリンは最もよく研究された介在物質であるが、他にも存在する。例えば、AMP活性化キナーゼ(AMPK)は細胞内のエネルギーセンサーとして機能し、グルコース取り込みおよび脂肪酸酸化を増加させることができる。骨格筋がグルコース恒常性に及ぼす大きな影響のために、さらなる機序が存在すると考えられる。2型糖尿病の罹患率の増加に照らして、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを増加させる新規なインスリン非依存性機序を見出し、特徴づけることは非常に興味深い。
【0011】
血糖値はインスリンとカテコールアミンの両方によって調節され得るが、それらは異なる刺激に応答して体内で放出される。インスリンは、血糖値の上昇(例えば、食事後)に応答して放出されるが、エピネフリンおよびノルエピネフリンは、運動、感情およびストレスなどの様々な内的および外的刺激に応答して、ならびに組織恒常性の維持のために、放出される。インスリンは、グルコース取り込み、グリコーゲンおよびトリグリセリド形成を含む成長に関与する多くのプロセスを刺激する同化ホルモンであり、一方、カテコールアミンは主に異化作用を有する。
【0012】
インスリンおよびカテコールアミンは、通常反対の効果を有するが、これらは骨格筋におけるグルコースの取り込みに関して同様の作用を有することが示されている(非特許文献1)。具体的には、カテコールアミンは、アドレナリン受容体を介してグルコースの取り込みを刺激して、筋肉細胞にエネルギーが豊富な基質を供給することが報告されている(非特許文献2;非特許文献3)。したがって、ヒトを含む哺乳動物では、アドレナリン系およびインスリン系は、異なる状況において骨格筋のエネルギー需要を調節するために独立して働き得る可能性がある。インスリンはまた、組織への脂質取り込みの刺激などの望ましくない効果を促進し、例えば肥満につながるいくつかのものを含む多くの同化プロセスを刺激するので、他の手段により、例えば、アドレナリン作動性受容体(AR)の刺激により、グルコース取り込みを刺激することが可能であれば有益であろう。
【0013】
全てのARは、細胞膜に位置するGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、細胞外N末端、それに続く7回膜貫通αヘリックス(TM-1~TM-7)、それに連結する3つの細胞内(IL-1~IL-3)および3つの細胞外ループ(EL-1~EL-3)、ならびに最終的な細胞内C末端を特徴とする。ARには、異なる発現パターンおよび薬理学的プロファイルを有する3つの異なるクラス、α-、α-およびβ-ARがある。α-ARは、α1A、α1B、およびα1Dサブタイプを含むが、α-ARは、α2A、α2B、およびα2Cに分類される。β-ARもまたサブタイプβ、β、およびβに分類されるが、そのうちのβ-ARは、骨格筋細胞における主要なアイソフォームである。ARは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)およびホスホリパーゼC(PLC)などの古典的な二次メッセンジャーを介してシグナル伝達するGタンパク質共役受容体(GPCR)である。
【0014】
骨格筋におけるARの下流に生じる多くの影響は、cAMPレベル、PLC活性およびカルシウムレベルの上昇などの古典的な二次メッセンジャーシグナル伝達に起因すると考えられる。古典的な二次メッセンジャーに関与する刺激は、異なる組織において多くの効果を有する。例えば、上記刺激は、心拍数、血流、肺における気流および肝臓からのグルコースの放出を増大させ、ARの刺激が2型糖尿病治療とみなされるべきである場合、それらは全てが有害であるか、または望ましくない副作用とみなされ得る。古典的なAR作動薬の有害作用は、例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越および血液中のグルコースレベル(肝臓からのグルコース産出)の増加である。したがって、cAMPなどのこれらの古典的な二次メッセンジャーを活性化せずにARを活性化して、望ましくない副作用を刺激することなく末梢組織におけるグルコース取り込みを増加することができれば、有益となるだろう。
【0015】
グルコース取り込みは、ほとんどの細胞へのグルコース取り込みを媒介する促進性グルコース輸送体(GLUT)を介して主に刺激される。GLUTは、濃度勾配下で細胞膜にわたってグルコースおよび/またはフルクトースの輸送を媒介する輸送体タンパク質である。GLUTファミリーには、それらの基質特異性および組織発現に依存して、3つのクラス(クラスI、クラスIIおよびクラスIII)に分類される、GLUT1~14と命名された14の既知のメンバーがある。GLUT1およびGLUT4は、最も集中的に研究されたアイソフォームであり、GLUT2およびGLUT3とともに、(フルクトースも輸送するクラスIIとは対照的に)主にグルコースを輸送するクラスIに属する。GLUT1は、遍在的に発現し、基礎的なグルコース輸送に関与する。GLUT4は、骨格筋、心筋および脂肪組織のような末梢組織においてのみ発現する。GLUT4はまた、例えば、脳、腎臓および肝臓において発現することが報告されている。GLUT4は、インスリン刺激グルコースの取り込みに関与する主要なアイソフォームである。インスリンシグナル伝達がグルコースの取り込みを増加させる機序は、主に細胞内貯蔵から細胞膜へのGLUT4転位を介して行われる。GLUT4転位はβアドレナリン作動性受容体の刺激によって誘導されることが知られている。
【0016】
したがって、2型糖尿病のような、哺乳動物におけるグルコース恒常性またはグルコース取り込みの調節不全を伴う状態の治療候補には、細胞膜へのGLUT4転位をもたらすβアドレナリン作動性受容体の活性化、ならびに全身のグルコース恒常性の正常化につながる骨格筋へのグルコース取り込みの促進が含まれ得る。さらに、治療がcAMPによるシグナル伝達を伴わない場合、好都合な副作用プロファイルにつながるので有利であろう。
【0017】
末梢血管障害の治療に使用されている血管拡張薬、4-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノールは、はじめ、血糖を上昇させることが判明し、糖尿病および前糖尿病において禁忌であった(非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,137,9,(2002)
【非特許文献2】Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,147,446,(2006)
【非特許文献3】;Hutchinson,Bengtsson Endocrinology 146,901,(2005)
【非特許文献4】Unger,H.,Zeitschrift fur die Gesamte Innere Medizin und Ihre Grenzgebiete,16,742(1961)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、β-アドレナリン作動性受容体にて作動薬として作用する特定のフッ素置換されたβ-ヒドロキシエチルアミンが、骨格筋におけるグルコース取り込みを増大させることを見出した。
【0020】
また、本発明者らは、この効果が有意なcAMP放出を介して媒介されず、伝統的なβアドレナリン作動薬で見られる一般的に記載されている副作用の多く(例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越など)が軽減され得ることを見出した。
【0021】
医薬におけるそのような化合物の使用は、2型糖尿病などの高血糖値を特徴とする状態(すなわち、高血糖症)の治療のための有望な戦略となる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の化合物
本発明の第1の態様では、式Iの化合物
【化1】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
は、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-12アルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキルを表し、
あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒に連結して、3~6員環を一緒に形成してもよく、この環は、ハロおよび1つ以上のハロで任意に置換されたCアルキルから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
各Xは独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、-ONO、-OR、-S(O)、または-S(O)N(R)Rを表し、
は、独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
各R、R、R、R、RおよびRは独立して、Hか、または独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、RおよびRならびに/またはRおよびRのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、この環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、この環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Gは、ハロ、-CN、-N(Ra1)Rb1、-ORc1、-S(O)d1、-S(O)N(Re1)Rf1、または=Oを表し、
各Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1、およびRf1は独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、Ra1およびRb1ならびに/またはRe1およびRf1のいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、この環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、この環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
mは1~5を表し、
nは0~4を表し、
但し、mとnの合計は、5以下であり、
各pは独立して、0、1、または2を表し、
各qは独立して、1または2を表し、
かかる化合物(薬学的に許容される塩を含む)は、本明細書において「本発明の化合物」として言及されてもよい。
【0023】
疑義を避けるために、当業者は、明細書中での本発明の特定の態様の化合物(例えば、本発明の第1の態様、例えば式Iの化合物)への言及は、その全ての実施形態および特定の特徴への言及を含み、その実施形態および特定の特徴を組み合わせて、さらなる実施形態が形成されてもよいことを理解するだろう。
【0024】
他に示されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。このような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意の溶媒中で、または塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥または濾過によって)、前記溶媒または前記媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
【0026】
言及され得る特定の酸付加塩としては、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオール酸塩、
アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハロゲン塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩またはヨウ化物塩)、スルホネート塩(例えば、ベンゼンスルホネート塩、メチル-、ブロモ-、またはクロロ-ベンゼンスルホネート塩、キシレンスルホネート塩、メタンスルホネート塩、エタンスルホネート塩、プロパンスルホネート塩、ヒドロキシエタンスルホネート塩、1-または2-ナフタレンスルホネート塩、または1、5-ナフタレンジスルホネート塩)、または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、または硝酸塩などが含まれる。
【0027】
言及され得る特定の塩基付加塩には、アルカリ金属(Na塩およびK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩およびCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびリジンなど)および無機塩基(例えば、アンモニアおよび水酸化アルミニウム)によって形成される塩が含まれる。より具体的には、言及され得る塩基付加塩には、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩およびNa塩が含まれる。
【0028】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は固体として存在してもよく、したがって、本発明の範囲は、その全ての非晶質、結晶および部分結晶形を含み、油として存在してもよい。本発明の第1の態様の化合物が結晶および部分結晶形で存在する場合、このような形態は溶媒和物を含んでもよく、これも本発明の範囲に含まれる。本発明の第1の態様の化合物はまた、溶液中に存在してもよい。
【0029】
本発明の第1の態様の化合物は、二重結合を含んでいてもよく、したがって、各個々の二重結合についてE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在してもよい。全てのそのような異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0030】
本発明の第1の態様の化合物は、互変異性を示してもよい。全ての互変異性形およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
本発明の第1の態様の化合物はまた、1個以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学異性および/またはジアステレオ異性を示してもよい。ジアステレオ異性体は、慣用的な技法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶化を用いて分離されてもよい。種々の立体異性体(すなわちエナンチオマー)は、慣用的な、例えば分別結晶化またはHPLCの技法を用いて、化合物のラセミ混合物または他の混合物を分離することによって単離されてもよい。代替的には、所望の光学異性体は、適切な光学活性をもつ出発物質から、ラセミ化またはエピマー化を引き起こさない条件下で(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発物質とその後適切な段階で除去され得る「キラル補助剤」とを反応させることにより得られてもよく、誘導体化(すなわち、動的分解を含む分解)により得られてもよく、例えば、ホモキラル酸で処理した後、ジアステレオマー誘導体をクロマトグラフィーなどの慣用的手段によって分離することにより得られてもよく、あるいは適切なキラル試薬またはキラル触媒と反応させることにより得られてもよく、これらの全ては当業者に知られた全ての条件下で行われる。全ての立体異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
本明細書で使用する場合、ハロおよび/またはハロゲン基への言及は、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード(例えば、フルオロ(F)およびクロロ(Cl))を意味する。
【0033】
別記されない限り、本明細書で定義されるC1-zアルキル基(zは範囲の上限である)は、直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち最低3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状であってもよい(したがって、C3-z-シクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち最低4個)の炭素原子が存在する場合、そのような基は部分的に環状であってもよい。言及され得る部分環状アルキル基には、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルエチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、そのような基は、多環式(例えば、二環式または三環式)またはスピロ環式であってもよい。そのようなアルキル基は、飽和されていてもよく、または十分な数(すなわち最低2個)の炭素原子が存在する場合、不飽和であってもよい(例えば、C2-ZアルケニルまたはC2-Zアルキニル基を形成する)。言及され得る特定のアルキル基には、飽和アルキル基が含まれる。
【0034】
疑義を回避するために、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子への言及は、当業者によって理解されるようにそれらの通常の意味をとるであろう。言及され得る特定のヘテロ原子には、リン、セレン、テルル、ケイ素、ホウ素、酸素、窒素および硫黄(例えば酸素、窒素および硫黄)が含まれる。
【0035】
疑義を避けるために、多環式(例えば、二環式または三環式)基(例えば、シクロアルキル基の文脈で使用する場合)への言及は、そのような環を直鎖に変換するために少なくとも2つの切断が必要とされ得る環系を意味し、そのような切断の最小数は定義された環の数に対応する(例えば、二環式という用語は、その環を直鎖に変換するために最低2つの切断が必要とされ得ることを示してもよい)。疑義を避けるために、二環式(例えば、アルキル基の文脈で使用される場合)という用語は、二環系の第2の環が第1の環の2つの隣接する原子の間に形成される基を意味してもよく、また2つの隣接していない原子がアルキレン基によって連結されている基を意味してもよく、後者の基は架橋されているものを意味してもよい。
【0036】
本発明はまた、1個以上の原子が、通常自然界で見られる原子量または質量数(または自然界に見られる最も豊富なもの)とは異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられているという事実はあるが、本明細書に列挙されたものと同一である、本発明の同位体的に標識された化合物も包含する。本明細書で特定される任意の特定の原子または元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。したがって、本発明の化合物はまた、重水素化化合物、すなわち、1個以上の水素原子が、水素同位体重水素で置き換えられている化合物も含む。
【0037】
疑義を避けるために、本発明の化合物中の2つ以上の置換基の同一性が同じであり得る場合、それぞれの置換基の実際の同一性は、決して相互依存しない。例えば、2個以上のX基が存在する状況では、それらのX基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、2個以上のX基が存在し、それぞれがハロを表す場合、問題となるハロ基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、複数のRが存在し、それぞれが独立して1個以上のG基で置換されたC1-6アルキルを表す場合、各Gの同一性は決して相互依存性ではない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
当業者は、本発明の主題である本発明の化合物が、安定であるものを含むことを認識するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば、反応混合物からの、有用な純度までの単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
【0039】
本発明の開示から逸脱することなく、本明細書で言及される本発明の全ての実施形態および特定の特徴を単独で、または本明細書で言及される他のいずれかの実施形態および/または特定の特徴と組み合わせて採用することができる(したがって、本明細書に開示されるように、より具体的な実施形態および具体的な特徴を記載する)。
【0040】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、Rは、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-10アルキルを表し、例えば、1つ以上のハロで任意に置換されたC4-8アルキルを表す。
【0041】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、Rは、1個以上のFで任意に置換されたC4-10アルキルを表し、例えば、1個以上のFで任意に置換されたC4-8アルキルを表す。
【0042】
より特定の実施形態では、Rは、C4-10アルキル、例えば、C4-8アルキルを表す。
【0043】
さらなる実施形態では、Rは、C4-7アルキル(例えば、C4-5アルキル)を表す。例えば、Rは、Cアルキル(例えば、直鎖Cアルキル)またはCアルキル(例えば、分岐状Cアルキル)を表してもよい。
【0044】
が、C4-12アルキル(例えば、C4-5アルキルなどのC4-7アルキル)を表す、ある特定の実施形態では、必須-NH-基に結合した炭素は非分枝状であり、例えば、-CH-部分で表される。
【0045】
が、C4-12アルキル(例えば、C4-5アルキルなどのC4-7アルキル)を表す代替的な実施形態では、必須-NH-基に結合した炭素は分岐状であり、例えば、-CH(CH)-部分で表される。
【0046】
言及され得る特定のR基には、アルキル基(例えば、C4-8アルキルなどのC4-10アルキル)が直鎖状(例えば、n-ブチル、n-ヘキシル、またはn-オクチル)であるものが挙げられる。
【0047】
言及され得るある特定のさらなるR基には、アルキル基(例えば、C4-8アルキル、または特にC4-6アルキルなどのC4-10アルキル)が直鎖であるもの(例えば、n-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチル(n-ブチルなど)、分岐状(例えば、t-ブチル、ネオペンチルまたは2-メチル-ペンタニル)、または環式/部分環式(例えば、メチルシクロブチルまたはメチルシクロプロピル)であるものが挙げられる。
【0048】
言及され得るさらにより特定のR基には、アルキル基がC4-12アルキル(例えば、C4-5アルキルなどのC4-7アルキル)を表すものが含まれ、ここで、必須-NH-基に結合した炭素は1つの置換基で置換されており、例えば、-CH(R)-部分によって表され、式中、RはC1-2アルキル(例えば、メチル)を表し、例えば、Rは2-ペンチルを表す。
【0049】
ある特定の実施形態では、Rは、n-ブチル、tert-ブチルまたは2-ペンチルを表す。
【0050】
ある特定の実施形態では、Rは、2-ペンチルを表す。
【0051】
言及され得るさらなる実施形態において、Rは、n-ブチル、tert-ブチル、2-ペンチル、2-メチル-ペンタ-2-イル、1-メチルシクロブチル、1-メチルシクロプロピルまたはネオペンチルを表す。
【0052】
特定の実施形態では、Rは、tert-ブチルを表さない。
【0053】
疑義を避けるために、ある特定の実施形態では、Rは、tert-ブチルを表す。
【0054】
特定の実施形態では、Rは、構造(すなわち、部分構造)の基を表し、
【化2】
式中、
、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-11アルキル(例えば、Cアルキル)を表し、
あるいは代替的に、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、この環は、1つ以上のFで任意に置換されている。
【0055】
本明細書で使用される場合、当業者は、
【化3】
で終わる結合が結合点(例えば、そのすべての実施形態を含む式Iの化合物の必須N原子への)を表すことを理解するであろう。
【0056】
疑義を避けるために、当業者であれば、Rが、R、R、およびR基を担持する部分構造によって表される場合、R、R、およびR基に存在する炭素の総数が、それらが結合している炭素と一緒に、本明細書で定義される対応するR基に存在する炭素を超えてはならない(そのすべての実施形態を含む)ことを理解するであろう。
【0057】
疑義を避けるために、R(例えば、R、R、およびR、およびそれらが結合する炭素)を表す構造の一部を形成する基は、Rについて本明細書で定義されるように任意に置換されてもよい。
【0058】
さらなる特定の実施形態では、Rは、下記を表すことができ、
【化4】
式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、HまたはC1-11アルキルを適宜表す。
【0059】
より特定の実施形態では、Rは、下記を表すことができ、
【化5】
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC1-11アルキル(例えば、n-プロピル)を適宜表す。特定の実施形態では、RおよびRがHでない場合、それらは同じであってもよい。
【0060】
代替的な実施形態では、RおよびRがHではない場合、それらは異なっていてもよい(例えば、Rがプロピルであってもよく、Rがメチルであってもよく、すなわち、Rが2-ペンチルであってもよい)。
【0061】
そのような場合、当業者は、RおよびRが立体中心であり、したがってRが、下記のように表示されてもよいことを理解するであろう。
【化6】
【0062】
当業者は、そのような立体中心が、RまたはRがより高い優先度を割り当てられているかどうかに応じて、(R)または(S)立体配置にあると呼ばれることを理解するであろう(当業者に理解されるように、カーン・インゴルド・プレローグシステムによる)。
【0063】
特定のこのような実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、C1-11アルキル基を表すことができ、ここでは、RがRより大きなアルキル基である(すなわち、該アルキル基を形成する炭素原子のより大きな数を有する)。例えば、このような実施形態では、Rは、C1-2アルキルを表してもよく、Rは、C3-10アルキルを表してもよい。
【0064】
このような特定の実施形態では、Rは、
【化7】
が、C1-2アルキルを表すことができ、Rが、C3-8アルキルを表すことができるような構造の基である。
【0065】
このような特定の実施形態では、
はメチルを表し、および/または(例えば、および)
はn-プロピルを表す。
【0066】
このような代替実施形態では、Rは、
【化8】
が、C1-2アルキルを表すことができ、Rが、C3-8アルキルを表すことができるような構造の基である。
【0067】
このような特定の代替的な実施形態では、
はメチルを表し、および/または(例えば、および)
はn-プロピルを表す。
【0068】
さらなる代替実的な施形態では、Rは、下記を表し、
【化9】
式中、Rは、HまたはC3-9アルキル、例えばn-プロピルを表す(すなわち、Rは、n-ブチルであってもよい)。
【0069】
当業者であれば、アルキル基に適用される場合、接頭辞「n-」、「sec-」、および「tert-」は、用語「ノルマル」、「二級」、および「三級」を示すことを理解するであろう。「ノルマル」という用語は、分子の残りへの基の結合点が、炭素鎖の末端の炭素原子を介しており、したがって、その炭素原子が他の1つの炭素原子に結合している、直鎖アルキル基を示す。「二級」という用語は、分子の残りのアルキル基への結合点が、炭素鎖の末端に隣接する炭素原子を介しており、したがって、その炭素自体が2つの他の炭素原子に結合していることを示す。「三級」という用語は、分子の残りの部分へのアルキル基の結合点が、3つの他の炭素原子に結合している炭素原子を介していることを示す。
【0070】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、各RおよびRは、独立して、HまたはC1-2アルキル(例えば、メチル)を表す。
【0071】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、メチル、またはエチル(例えば、メチル)を表す。
【0072】
より特定の実施形態では、RはHを表し、Rは、Hまたはメチルを表す。
【0073】
さらにより特定の実施形態では、RおよびRは、それぞれHを表す。
【0074】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、mは、1、2、または3を表す。例えば、mは、1または2を表し得る。
【0075】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、mが3を表す場合、F原子は、2位、3位、および4位に位置するか、または3位、4位、5位に位置する。
【0076】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、mが2を表す場合、F原子は、2位および4位に位置するか、または3位および4位に位置するか、または3位および5位に位置する(例えば、3位および4位に位置する)。
【0077】
さらなる実施形態では、mが2を表す場合、F原子は、2位および3位に位置するか、2位および4位に位置するか、または3位および4位に位置するか、または3位および5位に位置する。
【0078】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、mが1を表す場合、F原子は、3位または4位に位置する(例えば、3位に位置する)。
【0079】
例えば、当業者であれば、ある特定の実施形態では、mが2を表す場合、F原子は、3位および4位に位置し、mが1を表す場合、F原子は、3位または4位に位置する(例えば、3位に位置する)ことを理解するであろう。
【0080】
さらなる実施形態では、mが1を表す場合、F原子は、2位、3位、または4位に位置する(例えば、3位に位置する)。
【0081】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、nは、0、1、2、または3を表し、各Xは、独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、N(R)R、-NO、または-ORを表し、Rは、1個以上のFで任意に置換されたC1-4を表し、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0082】
例えば、各Xは、独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、またはORを表してもよく、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFまたは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0083】
さらなる実施形態では、各Xは、独立して、Cl、Br、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、または-ORを表してもよく、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rは、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0084】
より特定の実施形態では、各Xは、独立して、Cl、R、-N(R)R、-CN、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキル(例えばC1-2アルキル)を表し(例えば、Rは、-CH、-CHF、または-CF(例えば、-CF)を表し)、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す(例えば、Rは、-C(O)CHを表す)。
【0085】
さらにより特定の実施形態では、各Xは、独立して、Cl、R、-N(R)R、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し(例えば、Rは、-CHFまたは-CF(例えば、-CF)を表し)、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す(例えば、Rは、-C(O)CHを表す)。
【0086】
さらなる特定の実施形態では、各Xは、独立して、Cl、R、-NH、-NHC(O)CH、-CF、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す。
【0087】
なおさらなる特定の実施形態では、各Xは、独立して、Cl、-NH、-NHC(O)CH、-CF、または-OHを表す。さらなる実施形態では、各Xは、独立して、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、例えば、-NHまたは-NHC(O)CH(例えば、-NH)である。
【0088】
本発明の化合物のいくつかの実施形態では、nは、0、1、または2(例えば、1または2、例えば、1)を表す。
【0089】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、nは、0、1、または2(例えば、0または1)を表す。
【0090】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、nは1を表す。
【0091】
本発明の化合物の代替的な実施形態では、nは0を表す。
【0092】
nが2を表す、ある特定の実施形態では、各Xは、独立して、Cl、-NH、-NHC(O)CH、-CF、または-OHを表す。nが2を表す、さらなるある特定の実施形態では、各Xは、独立して、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す。このような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の2位および3位、または2位および4位、または3位および5位(例えば、2位および3位)に位置してもよい。
【0093】
nが1を表す、ある特定の実施形態では、Xは、Cl、R、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキル(例えば、CF)を表す。nが1を表す、さらなるある特定の実施形態では、Xは、Cl、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す。nが1を表す、特定の実施形態では、Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す。このような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位、4位、または5位に位置してもよい。さらなるこのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の2位に(または代えて)位置してもよい。
【0094】
nが1を表す、ある特定の実施形態では、Xは、-NHまたはNHC(O)CH(例えば、-NH)を表す。このような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位または4位に位置してもよい。さらなるこのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の2位または3位(例えば、2位)に位置してもよい。
【0095】
nが1を表す、ある特定の実施形態では、Xは、-OHを表す。このような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位、4位、または5位に位置してもよい。さらなるこのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の2位または3位(例えば、2位)に位置してもよい。
【0096】
言及され得る、ある特定の実施形態では、nが2以上を表す場合(すなわち、2つ以上のX置換基が存在する場合)、1つ以下のXが、-N(R)Rおよび-ORから選択される基を表してもよい(特に、R、R、およびRが、Hを表す場合)。
【0097】
さらなる実施形態では、mは、1または2(例えば、1)を表し、
nは1を表し、
Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
特に、F原子が必須ベンゼン環の2位、3位、4位、または5位にある場合にそうであり、かつ
特に、X基が、必須ベンゼン環の3位、4位、および5位にある場合にそうである。
【0098】
言及され得る特定の実施形態では、mとnの合計は、2を超えない。
【0099】
さらなる実施形態では、必須ベンゼン環が2位、3位、5位、および6位で置換されていない、式Iの化合物、またはその薬学的医許容される塩が提供される。例えば、ある特定の実施形態では、必須ベンゼン環は、5位および6位で非置換である。
【0100】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは1を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の3位または4位(例えば、3位)に位置し、
nは0を表す。
【0101】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは1を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の3位に位置し、
nは1を表し、
Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
X基は、必須ベンゼン環の4位または5位にある。
【0102】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは1を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の4位に位置し、
nは1を表し、
Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
X基は、必須ベンゼン環の3位にある。
【0103】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは2を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の3位および5位に位置し、
nは0を表す。
【0104】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは2を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の3位および4位に位置し、
nは0を表す。
【0105】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
mは2を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の2位および4位に位置し、
nは1を表し、
Xは、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
X基は、必須ベンゼン環の3位にある。
【0106】
例えば、本発明の第1の態様の特定の一実施形態では、
は、n-ブチルを表し、
およびRは、Hを表し、
mは1を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の4位に位置し、
nが1を表し、
Xは-NHを表し、かつ、それが結合しているフェニル基上の3位にある。
【0107】
同様に、特定の実施形態では、
は、tert-ブチルを表し、
およびRは、Hを表し、
mは1を表し、
F原子は、必須ベンゼン環の3位に位置する。
【0108】
疑義を避けるために、Rがn-ブチルを表し、RおよびRがHを表し、mが1を表し、F原子が必須ベンゼン環の4位にあり、nが1を表す場合、Xは、-NHを表し、かつ必須ベンゼン環の3位にあり、式Iの化合物は下記のように表示され得る。
【化10】
【0109】
本発明の化合物のさらなる特定の実施形態では、式Iの化合物は、式IAの化合物であり、
【化11】
式中、R、R、およびRは、本明細書で定義されるとおりであり(疑義を避けるために、その全ての実施形態を含む)、Y、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、またはXを表し、Xは、本明細書で定義されるとおりであり(疑義を避けるために、その全ての実施形態を含む)、
但し、Y~Yのうちの少なくとも1つはFを表す。
【0110】
ある特定の実施形態では、
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、または-ORを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
但し、Y~Yのうちの少なくとも1つはFを表す。
【0111】
特定の実施形態では、式中、YおよびYはFを表す(例えば、式中、Yは、例えば、-NHまたは-NHC(O)CHなどのXを表し、YおよびYはHを表す)式IAの化合物が提供される。
【0112】
さらなる実施形態では、式中、YはFを表す(例えば、式中、Yは、-NHなどのXを表し、Y、Y、およびYはHを表すか、またはY、Y、Y、およびYはHを表す)、式IAの化合物が提供される。
【0113】
さらなる実施形態では、式中、Y、Y、YおよびY、またはYおよびYのいずれかはFを表し、Y~Yの残りは、Hを表す式IAの化合物が提供される。
【0114】
ある特定の実施形態では、式中、YまたはYの一方または両方(例えば、一方)は、Cl、F、および-OHから選択される基(例えば、ClまたはF、例えばF)を表し、Y~Yの残りはHを表す、式IAの化合物が提供される。
【0115】
特定の実施形態では、
およびYは、それぞれ、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、R、-CN、-N(R)R、または-OHを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し(例えば、Rは-CH、-CF、または-CHF2を表す)、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し(例えば、Rは-C(O)CHを表し得る)、
但し、Y~Yのうちの1つまたは2つはFを表す。
【0116】
さらなる特定の実施形態では、
およびYは、それぞれHを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-N(R)R、-CN、または-OHを表し、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し(例えば、Rは、-C(O)CHを表し得る)、
但し、Y、Y、およびYのうちの1つまたは2つはFを表す。
【0117】
より特定の実施形態では、
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
但し、Y、Y、およびYのうちの1つまたは2つはFを表す。
【0118】
代替的な実施形態では、
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、F、R、-CN、-N、-N(R)R、-NO、または-ORを表し、Rは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す。
【0119】
さらなる代替的な実施形態では、
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、Cl、-N(R)R、または-OHを表し、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、Hか、または=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す。
【0120】
さらにより特定の実施形態では、
はHまたはFを表し、
、Y、およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
はHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す。
【0121】
さらにより特定の実施形態では、
、Y、およびYは、それぞれHを表し、
およびYは、それぞれ独立して、H、F、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
但し、Y~Yのうちの1つはFを表す。
【0122】
さらにより特定の実施形態では、
、Y、Y、およびYは、Hを表し、
はFを表す。
【0123】
さらにより特定の実施形態では、
、Y、Y、およびYは、Hを表し、
はFを表す。
【0124】
代替的な実施形態では、
、Y、Y、およびYは、Hを表し、
はFを表す。
【0125】
より代替的な実施形態では、
およびYは、それぞれHを表し、
およびYは、それぞれ独立して、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表し、
はFを表す。
【0126】
さらにより代替的な実施形態では、
およびYは、それぞれHを表し、
およびYは、それぞれ独立して、HまたはFを表し、
は、-NH、-NHC(O)CH、または-OHを表す。
【0127】
ある特定の実施形態では、
およびYは、それぞれFを表し、
は、-NHまたは-NHC(O)CHを表し、
およびYは、それぞれHを表す。
【0128】
さらなるある特定の実施形態では、
、Y、およびYは、Hを表し、
およびYは、それぞれFを表す。
【0129】
代替的なある特定の実施形態では、
、Y、およびYは、Hを表し、
およびYは、それぞれFを表す。
【0130】
当業者であれば、言及され得る特定のX基(ならびに、例えば、式IAの化合物中のY~Y基に対応し得るような、その位置および数)には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するだろう。
【0131】
同様に、当業者であれば、言及され得る特定のR、R、およびR基には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するであろう。
【0132】
例えば、本発明の第1の態様の特定の一実施形態では、
は、n-ブチルまたはシクロプロピルメチルを表し、
およびRは、Hを表し、
mは1を表し、
nは0を表し、
F原子は、それが結合しているフェニル基上の4位にある(すなわち、式IAの化合物において、Y、Y、Y、およびYは、Hを表し、YはFを表す)。
【0133】
本発明の第1の態様の特定の実施形態の代替例では、
は、n-ブチルまたはシクロプロピルメチルを表し、
およびRは、Hを表し、
mは1を表し、
nは0を表し、
F原子は、それが結合しているフェニル基上の3位にある(すなわち、式IAの化合物において、Y、Y、Y、およびYは、Hを表し、YはFを表す)。
【0134】
本発明の第1の態様の特定の実施形態のさらなる例では、
は、t-ブチルを表し、
およびRは、Hを表し、
mは1を表し、
nは0を表し、
F原子は、それが結合しているフェニル基上の3位にある(すなわち、式IAの化合物において、Y、Y、Y、およびYは、Hを表し、YはFを表す)。
【0135】
言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物には、本明細書で提供される実施例の化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。したがって、言及され得る式Iの化合物には、
2-(ブチルアミノ)-1-3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
2-(ブチルアミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
N-(3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド、
1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0136】
式Iのより特定の化合物には、
2-(ブチルアミノ)-1-3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0137】
式Iのある特定の化合物には、
1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
N-(3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド、
1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0138】
言及され得る式Iのある特定の化合物には、
2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
1-(4-フルオロフェニル)-2-((ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0139】
言及され得る式Iのさらなる化合物には、
1-(3-フルオロフェニル)-2-((2-メチルペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
2-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノール、
2-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノール、
1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロブチル)アミノ)エタン-1-オール、
1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール、
5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(3-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)エタン-1-オール、
1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール、
1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロ-2-メチルフェニル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0140】
本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学的および/またはジアステレオ異性を示してもよい。さらに、ある種のこのような光学異性体および/またはジアステレオ異性体は、本明細書に記載のような高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療において有用性の増大を示し得ることが見出された。
【0141】
本発明の第1の態様の特定の一実施形態では、式Iの化合物は、当業者に理解されるように、必須-OH基で置換された炭素が(R立体)配置であるようなものである。
【0142】
したがって、特定の一実施形態では、式Iの化合物は、式IBの化合物であり、
【化12】

式中、n、X、R、R、およびRは、本明細書に記載のとおりである(すなわち、
本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0143】
特定の実施形態では、
mは1を表し、
nは0を表し、
は、C4-8アルキル(例えば、n-ブチルなどのCアルキル)を表し、ならびに/または(例えば、ならびに)
およびRは、両方ともHを表す。
【0144】
より特定の実施形態では、
nは1を表し、F原子はフェニル基の4位にあり、
は、C4-8アルキル(例えば、n-ブチルなどのCアルキル)を表し、
およびRは、両方ともHを表す、式IBの化合物が提供される。
【0145】
言及され得る特定の実施形態では、式Iの化合物中の必須-OH基は(R立体)配置にある。
【0146】
さらにより特定の一実施形態では、式Iの化合物(あるいは式IAまたはIBの化合物)は、式ICの化合物であり、
【化13】
式中、Y、Y、Y、Y、Y、R、R、およびRは、本明細書に記載のとおりである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0147】
例えば、
、Y、およびYが、それぞれHを表し、
およびYの一方がFを表し、もう一方がHを表し、
がC4-5アルキルを表し、ならびに/または
およびRが、両方ともHを表す、式ICの化合物が提供される。
【0148】
本明細書に記載されているように、言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物に
は、本明細書で提供される実施例の化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
したがって、言及され得る式IBまたはICの化合物には、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0149】
式Iのより特定の化合物(例えば、式IBまたはICの化合物)には、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0150】
式Iのある特定の化合物には、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0151】
言及され得る式Iのさらなる化合物(例えば、式IBまたはICの化合物)には、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((2-メチルペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール、
(R)-2-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノール、
(R)-2-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロブチル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
(R)-5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
(R)-3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
(R)-3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール、
(R)-1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロ-2-メチルフェニル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0152】
言及され得るある特定の実施形態では、本発明の化合物は、以下からなるリストから選択される化合物ではない:
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、および
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-((-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール。
【0153】
言及され得るさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下からなるリストから選択される化合物ではない:
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール、および、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-((-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩。
【0154】
当業者であれば、式Iの化合物の特定の立体異性体への言及(例えば、式Iの化合物の場合、式IBおよび式ICの化合物により表されるように、必須-OH基で置換された炭素が(R)立体配置である場合)は、対応する反対の立体異性体の実質的に不在下で存在する特定の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(S)立体配置である場合)を意味し得ることを理解するだろう。
【0155】
例えば、対応する反対の立体異性体(すなわち、(S)立体配置)の実質的に不在下で存在する式ICの化合物への言及は、以下に示すような、対応する化合物の実質的な不在を意味し得る。
【化14】
【0156】
本明細書で使用される場合、他の立体異性体(例えば、対応する反対の立体異性体)の実質的な不在への言及は、所望の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)立体配置である場合)が、他の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(S)立体配置である場合)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%)の純度で存在することを意味し得る。あるいは、そのような例において、化合物は、他の構成では、化合物の実質的な不存在下で存在することが示されてもよい(すなわち、(S)立体配置)、これは、関連する立体配置の化合物が、少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、または特に少なくとも99%、例えば少なくとも99.9%)のエナンチオマー過剰率(e.e.)またはジアステレオマー率(d.e.)で適宜存在することを示し得る。
【0157】
疑義を避けるために、定義された位置に特定の立体化学を有するものとして言及された化合物(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)立体配置にある場合)は、1個以上の他の位置に立体化学を有してもよく、したがって、それらの位置での立体化学に関連するエナンチオマーまたはジアステレオ異性体の混合物として存在してもよい。
【0158】
医薬用途
本明細書で示すように、本発明の化合物、したがってそれを含む組成物およびキットは、医薬品として有用である。
【0159】
したがって、本発明の第2の態様によれば、医薬品として使用するための、上に定義された本発明の第1の態様の化合物(すなわち、全ての実施形態およびそれらの特定の特徴を含むが、本発明の第1の態様で定義された化合物)が提供される。
【0160】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様で定義された化合物への言及には、式Iの化合物(そのすべての実施形態を含む)およびその薬学的に許容される塩への言及が含まれる。
【0161】
本明細書に示されるように、本発明の化合物は、高血糖または高血糖を特徴とする障害の治療に特に有用であり得る。
【0162】
したがって、本発明の第3の態様では、高血糖または高血糖を特徴とする障害の治療で使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0163】
本発明の代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための医薬の製造における、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0164】
本発明のさらなる代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0165】
疑義を避けるために、本明細書で使用する「高血糖症」という用語は、過剰量のグルコースがその症状を患っている対象の血漿中を循環している状態を意味することが、当業者に理解されよう。特に、前記用語は、約10.0mmol/Lよりも高い(例えば、約11.1mmol/Lよりも高い、例えば、約15mmol/Lよりも高い)血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)を意味してもよいが、前記用語は、また、長期間(例えば、
24時間超、例えば、48時間超など)、約7mmol/Lよりも高い血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)も意味してもよい。
【0166】
当業者は、特定の状態の「治療」(または同様に、その状態を治療すること)についての言及は、医学分野におけるそれらの通常の意味であると理解するであろう。特に、この用語は、上記状態に関連する1つ以上の臨床症状の重篤度の低下を達成することを意味してもよい。例えば、2型糖尿病の場合、この用語は、血糖値の低下を達成することを意味してもよい。特定の実施形態では、高血糖症または高血糖症を特徴とする症状を治療する場合、この用語は、血糖値の低下を達成すること(例えば、約10.0mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/mL~約10.0mmol/mLの範囲のレベルに)、
例えば、約7.5mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約7.5mmol/Lの範囲のレベルに)、または約6mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約6.0mmol/Lの範囲のレベルに))を意味してもよい。
【0167】
本明細書で使用される場合、患者への言及は、哺乳動物(例えば、ヒト)患者を含む、
治療される生体を指す。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療は哺乳動物(例えば、ヒト)において行われる。
【0168】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、治療される患者に治療効果を与える化合物の量を意味し得る。その効果は、客観的(すなわち、ある試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の指標を与えるか、および/または効果を感じる)であってもよい。
【0169】
本発明の第1の態様の化合物は、それ自体で薬理学的活性を有してもよいが、かかる活性を有しないこともある、本発明の化合物のある種の薬学的に許容される(例えば、「保護された」)誘導体が、存在または調製されてもよく、それらは、非経口的にまたは経口的に投与され、その後、体内で代謝されて、本発明の化合物を形成してもよい。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性は該化合物が代謝される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載され得る。
【0170】
本明細書で使用される場合、プロドラッグについての言及は、経腸または非経口投与(例えば経口または非経口投与)後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含む。本発明の第1の態様の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0171】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は、薬理学的活性を有する、および/または経口もしくは非経口投与後に体内で代謝されて薬理学的活性を有する化合物を形成するので、有用である。特に、本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療に有用であり、この用語は、(本明細書に記載されているように)当業者によって容易に理解されよう。
【0172】
特定の一実施形態では、治療は、高血糖症を特徴とする障害(状態または疾患として言及されてもよい)の治療である。
【0173】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、2型糖尿病の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0174】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、障害は、2型糖尿病であり、例えば、若年発症成人型糖尿病(MODY)、成人型ケトーシス性(ketosis-prone)糖尿病、成人型潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、および妊娠糖尿病からなる群より選択されるサブタイプの2型糖尿病である。
【0175】
さらなる特定の実施形態では、2型糖尿病の治療は、非肥満患者で行われる。
【0176】
疑義を避けるために、当業者は、30を超える体格指数(BMI)を有する患者が肥満であると考えられることを理解するであろう。
【0177】
特定の実施形態では、治療は、2型糖尿病を発症する危険性のある患者における高血糖症の治療であってもよく、この状態は前糖尿病と定義され得る。したがって、本発明の化合物は、2型糖尿病の予防に(例えば、前糖尿病を患っている患者において)有用であり得る。
【0178】
本明細書で使用される場合、予防(および同様に、予防すること)という用語は、疾患または障害の予防への言及を含む(逆もまた同様である)。そのようなものとして、予防(prevention)への言及はまた、防止(prophylaxis)への言及であってもよく、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(または健康な対象)が状態を発症する可能性の低下(例えば、少なくとも10%の減少、少なくとも20%、30%、または40%の減少、例えば、少なくとも50%の減少)を達成することを意味してもよい。
【0179】
より特定の実施形態では、2型糖尿病は、重度のインスリン抵抗性(SIR)を示す患者を特徴とする。
【0180】
さらなる実施形態では、治療は、1型糖尿病を有する患者の高血糖症の治療であってもよい。したがって、本発明の化合物は、1型糖尿病の高血糖症の治療に有用であってもよい。
【0181】
当業者は、本発明の化合物が、嚢胞性線維症を有する患者のような、インスリン産生の障害を有する患者における高血糖症を治療するのに有用であってもよいことを理解するであろう。したがって、さらなる実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、嚢胞性線維症関連糖尿病である。
【0182】
言及され得る特定の実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、重篤なインスリン抵抗性(SIR)である(またはそれを特徴とする)が、典型的に対象が正常なインスリン産生を有するか、またはいくつかの場合には、増大したインスリン産生を有するが、インスリン感受性が有意に低下している障害を意味することが、当業者に理解され得る。特定の場合では、そのような患者は非肥満(例えば、健康的な体重であるもの)であってもよい。したがって、特定の実施形態では、このような治療は、肥満であると定義されていない患者(例えば、健康的な体重であると定義されている患者)において行われる。
【0183】
例えば、SIRは、患者において、該患者の絶食時インスリンが>150pmol/L、および/またはグルコース耐性試験におけるピークインスリンが>1,500pmol/Lであることに基づいて、特に、BMI<30kg/mを有する個人において(この患者はあるいは正常な耐糖能を有してもよい)、同定されてもよい。
【0184】
より具体的には、SIRは、インスリン受容体の機能における欠陥(例えば、遺伝子欠損)に起因してもよい、インスリンの存在に対して有意な応答を有しない患者を特徴とし得る。
【0185】
SIRを特徴とし得る特定の障害は、ラブソン・メンデンホール症群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、ならびに脂肪異栄養症を含む。
【0186】
SIRを特徴とし得るより具体的な障害には、ドナヒュー症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群が含まれ、さらにより具体的には、ラブソン・メンデンホール症候群が含まれる。
【0187】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、2型糖尿病の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている2型糖尿病の治療に有用な1個以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0188】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者において)、1つ以上の(例えば、1つの)さらなる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよく、この組み合わされる化合物は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強するものであり、
これらの全ては本明細書中、以下に記載されている。
【0189】
代替的な実施形態では、本発明の第1の態様の化合物(すなわち、本発明の化合物)は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療に有用であり得る。
【0190】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓におけるトリグリセリドの形での過度の脂肪蓄積(脂肪症)として定義される(組織学的に肝細胞の5%超の蓄積として指定される)状態である。これは、先進国において、最も一般的な肝障害であり(例えば、
米国の成人の約30%が罹患している)、ほとんどの患者は、無症候性である。未治療のまま放置すると、状態が次第に悪化し、最終的に肝硬変に至ることがある。NAFLDは、肥満患者において特に一般的であり、約80%がこの疾患を有すると考えられる。
【0191】
NAFLD患者のサブグループ(例えば、米国の成人の2~5%)は、過剰な脂肪の蓄積に加えて、肝細胞の損傷および炎症を示す。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として示されるこの状態は、実質的にアルコール性脂肪性肝炎と組織学的に区別できない。NAFLDで見られる単純な脂肪症は、短期の罹患率または死亡率の増加と直接相関していないが、この状態からNASHへの進行は、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌のリスクを劇的に増加させる。実際、NASHは現在、先進国の肝硬変(原因不明の肝硬変を含む)の主な原因の1つであると考えられている。
【0192】
NASHの正確な原因はまだ解明されておらず、全ての患者で同じとは限らない。インスリン抵抗性、肥満、およびメタボリックシンドローム(2型糖尿病、インスリン抵抗性、中枢性(トルン)肥満、高脂血症、低高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、高トリグリセリド血症、および高血圧に関連する疾患が含まれる)と最も密接に関連している。しかしながら、これらの状態の全ての患者がNASHを有しているわけではなく、NASHの全ての患者がこれらの状態の1つに罹患しているわけでもない。それにもかかわらず、NASHは肝硬変、肝不全、および肝細胞癌に繋がる潜在的に致命的な状態であることを考えると、効果的な治療が明らかに必要である。
【0193】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、非アルコール性脂肪性肝疾患の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0194】
トリグリセリド脂肪が肝細胞に蓄積するプロセスは、脂肪症(すなわち、肝臓脂肪症)と呼ばれる。当業者は、「脂肪変性」という用語が、細胞内の脂肪(すなわち脂質)の異常な保持を包含することを理解するであろう。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、脂肪変性を特徴とする脂肪性肝疾患の治療または予防である。
【0195】
脂肪変性の間、過剰な脂質が小胞に蓄積し、これが細胞の細胞質に置き換わる。時間が経つにつれて、小胞は核を歪めるほど大きく成長する可能性があり、その状態は大胞性脂肪変性として知られている。それ以外の場合には、状態は微小胞性脂肪症と呼ばれる場合がある。脂肪変性は、軽度の場合にはほとんど無害であるが、肝臓に脂肪が大量に蓄積すると、重大な健康上の問題を引き起こす可能性がある。脂肪変性に関連する危険因子には、真性糖尿病、タンパク質栄養不良、高血圧、肥満、無酸素症、睡眠時無呼吸症、および細胞内の毒素の存在が挙げられる。
【0196】
本明細書に記載されるように、脂肪性肝疾患は、アルコールまたはメタボリックシンドローム(例えば、糖尿病、高血圧、肥満、または脂質異常症)と最も一般的に関連している。したがって、根本的な原因に応じて、脂肪性肝疾患はアルコール関連脂肪性肝疾患または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断される場合がある。
【0197】
アルコールに関連しない脂肪性肝疾患に関連する特定の疾患または状態には、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、無ベータリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバークリスチャン病、妊娠の急性脂肪肝、および脂肪異栄養症などの代謝状態が挙げられる。脂肪性肝疾患に関連するその他の非アルコール関連因子には、栄養失調、完全非経口栄養、重度の体重減少、再摂食症候群、空腸バイパス、胃バイパス、多嚢胞性卵巣症候群、および憩室症が挙げられる。
【0198】
本発明の化合物は、アルコール関連ではない脂肪性肝疾患と呼ばれることがあるNAFLDの治療または予防に特に有用であることが判明した。「アルコール関連ではない」脂肪性肝疾患は、患者のアルコール消費が主要な原因因子とみなされない場合に診断され得る。脂肪性肝疾患を「アルコール関連ではない」と診断するための典型的な閾値は、女性被験者では20g未満、男性被験者では30g未満である。
【0199】
治療せずに放置した場合、脂肪肝疾患に罹患している対象は、肝臓の炎症(肝炎)を経験し始める可能性がある。この炎症の考えられる原因の1つは、肝臓細胞の膜への脂質過酸化損傷であり得ると仮定されている。脂肪肝の炎症は多くの重篤な状態を引き起こす可能性があるため、炎症が起こる前に脂肪性肝疾患を治療または予防することが望ましい。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、炎症に関連するNAFLDのものである。
【0200】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はNAFLDの最も攻撃的な形態であり、過剰な脂肪蓄積(脂肪変性)が肝臓の炎症を伴う状態である。進行すると、NASHは肝臓の瘢痕組織の発達(線維症)を引き起こし、最終的に肝硬変を引き起こす。上記のように、本発明の化合物は、特に肝臓の炎症を伴う場合、NAFLDの治療または予防に有用であることが判明した。したがって、本発明の化合物は、NASHの治療または予防にも有用である。したがって、本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、治療または予防は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のものである。
【0201】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、本明細書に記載される脂肪性肝疾患の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている脂肪性肝疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0202】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者において)、肝臓の脂肪(例えば、トリグリセリド)のレベルを減少させることができる1つ以上の(例えば、1つの)さらなる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよい。
【0203】
脂肪性肝疾患の治療への言及は、肝細胞の治療上有意な脂肪(例えば、トリグリセリドレベル)の減少の達成(例えば、少なくとも5重量%の減少、例えば、少なくとも10%、または少なくとも20%、またはさらには25%の減少)。
【0204】
薬学的組成物
本明細書に記載されるように、本発明の第1の態様の化合物(すなわち、本発明の化合物)は、医薬として有用である。そのような化合物は、単独で投与されてもよく、または既知の薬学的組成物/製剤を経由して投与されてもよい。
【0205】
本発明の第4の態様では、本発明の第2または第3の態様で定義された化合物、ならびに任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0206】
当業者であれば、特定の用途のためである本発明の第1の態様の化合物(ならびに同様に、本発明の化合物に関する使用および使用方法)への本明細書における言及は、本明細書に記載される本発明の化合物を含む薬学的組成物に適用されてもよいことを理解するであろう。
【0207】
本発明の第5の態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療に用いるための、本発明の第1の態様で定義した化合物、ならびに任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0208】
本発明の代替の第5の態様では、本明細書で定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療または予防で使用するための薬学的組成物が提供される。
【0209】
当業者は、本発明の第1の態様の化合物が、全身および/または局所的に(すなわち、特定の部位で)作用してもよいことを理解するであろう。
【0210】
当業者は、本発明の第1~第5の態様に記載された化合物および組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、頬側、直腸、皮膚、鼻腔、気管、気管支、舌下、鼻腔内、局所的、任意の他の非経口経路または吸入を介して、薬学的に許容される剤形で投与され得ることを理解するであろう。本明細書に記載の薬学的組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル、直腸投与のための坐剤、非経口または筋肉内投与のための滅菌溶液または懸濁液などの形態の組成物を含み得る。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、薬学的組成物は局所投与用に製剤化され得る。
【0211】
したがって、本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的製剤は、錠剤またはカプセル剤、経口的にまたは注射により摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、吸入剤(例えば、鼻腔内投与される)、または局所投与に好適な形態を含む、薬学的に許容される剤形で提供される。疑義を避けるために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、またはミセルの形態などの他の形態で存在してもよい。
【0212】
例えば、経口投与のための薬学的製剤の調製において、化合物は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチンまたは他の好適な成分などの固体粉末成分と、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスなどの崩壊剤および滑沢剤と、混合されてもよい。次いで、混合物は、顆粒に加工されるか、または錠剤に圧縮されてもよい。
【0213】
軟質ゼラチンカプセル剤は、例えば、植物油、脂肪、または軟質ゼラチンカプセルのための他の好適なビヒクルと一緒に、1種以上の活性化合物(例えば、本発明の第1の態様の化合物、したがって、ならびに第2および第3の態様の化合物、ならびに任意に追加の治療剤)を収容するカプセル剤で調製されてもよい。同様に、硬質ゼラチンカプセル剤は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせてそのような化合物(複数可)を含有してもよい。
【0214】
直腸投与のための投薬単位は、(i)中性脂肪基剤と混合された化合物(複数可)を収容する坐剤の形態で、(ii)植物油、パラフィン油、またはゼラチン直腸用カプセル用の他の好適なビヒクルとの混合物中に活性物質を収容するゼラチン直腸用カプセルの形態で、(iii)既製の微小浣腸剤の形態で、あるいは(iv)投与直前に好適な溶媒中で再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態で、調製されてもよい。
【0215】
経口投与のための液体製剤は、化合物(複数可)、ならびに砂糖または糖アルコールからなる製剤の残り、ならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物を収容する、シロップまたは懸濁液、例えば、溶液または懸濁液の形態で、調製されてもよい。所望であれば、そのような液体調製物は、着色剤、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有してもよい。経口投与のための液体製剤は、使用前に好適な溶媒で再構成する乾燥粉末の形態で調製されてもよい。
【0216】
非経口投与のための溶液は、薬学的に許容される溶媒中の化合物(複数可)の溶液として調製されてもよい。これらの溶液はまた、安定化成分および/または緩衝成分を含有してもよく、アンプルまたはバイアルの形態で単位用量に分配されてもよい。非経口投与のための溶液は、使用前に好適な溶媒で即座に再構成される乾燥調製物として調製されてもよい。
【0217】
当業者は、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を、様々な用量で(例えば、上記の製剤として)投与することができ、好適な用量は、当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口的、肺的および局所的投薬量(ならびに皮下投薬量、但し、これらの投薬量は相対的により低くてもよい)は、約0.01μg/kg体重/日(μg/kg/日)~約200μg/kg/日の範囲であってもよく、好ましくは、約0.01~約10μg/kg/日、より好ましくは、約0.1~約5.0μg/kg/日であってもよい。例えば、経口投与される場合、そのような化合物での治療は、約0.01μg~約2000mg、例えば、約0.1μg~約500mg、または1μg~約100mg(例えば約20μg~約80mg)の有効成分(複数可)を典型的に収容する製剤の投与を含んでいてもよい。静脈内投与される場合、最も好ましい用量は、定速注入の間、約0.001~約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、このような化合物および組成物の1日1回用量での投与を含んでいてもよく、または1日総投薬量を、1日2回、3回または4回の分割用量で(例えば、本明細書で記載の用量に関連して、1日2回、例えば、1日2回、10mg、20mg、30mgまたは40mgの用量で、または、1日2回、10μg、20μg、30μgまたは40μgの用量で)投与してもよい。
【0218】
いずれの場合でも、当業者(例えば、医師)は、個々の患者に最も好適な実際の投薬量を決定することができ、これは、投与経路、治療されるべき症状の種類および重篤度、ならびに治療されるべき特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能および応答によって様々である可能性が高い。上述の投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
【0219】
上記のように、当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療が、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加/他の)治療をさらに(すなわち、組み合わせて)含んでもよいことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるように、2型糖尿病など)の治療のための他の手段と、例えば、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるような、2型糖尿病など)の治療に有用な1種以上の他の治療薬での治療と、組み合わされてもよい。
【0220】
本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的組成物は、1種以上の追加の(すなわち、他の)治療薬をさらに含んでもよい。
【0221】
より具体的な実施形態では、1種以上のさらなる治療剤は、メトホルミン、スルホニル尿素(例えば、カルバタミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド.グリピジド(グルコトール)、グリクラジド、グリベンクラミド、グリブリド(Micronase)、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド、グリコピラミド、グリメプリド(Amaryl)、グリミプリム、JB253またはJB558)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン(Avandia)、ロベグリタゾン(Duvie)およびトログリタゾン(Rezulin))、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、ドゥトグリプチンおよびオマリグリプチン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、セルグリフロジンエタボナート、レモグリフロジンエタボナート、およびエルツグリフロジン)、ならびにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体などの、当業者に既知の2型糖尿病の治療のための薬剤である。
【0222】
当業者であれば、治療剤の組み合わせは、組み合わせ製品として記載されてもよく、および/またはパーツキットとして提供されてもよいことを理解するであろう。
【0223】
本発明の第6の一態様では、
(A)本発明の第1の態様で定義した化合物と、
(B)1種以上の追加の治療剤と、を含む、組み合わせ製品が提供され、
成分(A)および(B)の各々が、任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品が提供される。
【0224】
本発明の第7の一態様では、
(a)本発明の第1の態様で定義される化合物(またはそれを含む薬学的組成物)あるいは本発明の第4または第5の態様で定義される薬学的組成物と、
(b)1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合された1種以上の他の治療剤と、を含むパーツキットが提供され、
構成成分(a)および(b)が各々、他方と共に投与するのに好適な形態で提供される。
【0225】
特定の実施形態(例えば、本発明の第6および第7の態様の)において、さらなる治療剤は、当業者に知られているように(例えば、本明細書に記載されているもの)、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用な治療剤である。
【0226】
例えば、本発明の第4~第7の態様の特定の実施形態では、追加の治療剤は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強することができる、薬剤であり、
上記の薬剤は、当業者によって容易に同定され、特に、市販されているそのような治療剤(例えば、欧州または米国での販売許可のような1地域以上における販売許可の対象である薬剤)を含む。
【0227】
当業者であれば、血糖値を低下させることができる治療剤への言及は、関連する化合物での治療前の血糖値と比較して、その血液レベルを少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%、例えば、少なくとも90%)低下させることができる化合物を意味してもよいことを理解するであろう。
【0228】
本発明の第6および第7の態様の代替的な実施形態では、追加の治療剤は、当業者によって容易に特定され、特に、市販のそのような治療薬が含まれる、非アルコール性脂肪肝疾患(NASHなど)の治療または予防のための薬剤(例えば、欧州または米国の販売承認などの、1つ以上の地域での販売承認の対象となる薬剤)である。
【0229】
化合物/組成物の調製
本明細書で定義される薬学的組成物/製剤、組み合わせ製品、およびキットは、標準的および/または容認されている薬務に従って調製することができる。
【0230】
したがって、本発明のさらなる態様では、上に定義された薬学的組成物/製剤を調製するためのプロセスが提供され、該プロセスは、上に定義された本発明の化合物を1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と関連付けることを含む。
【0231】
本発明のさらなる態様では、本明細書にて上記で定義した組み合わせ製品またはパーツキットの調製方法であって、本明細書中にて上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、血糖症または血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用である他の治療剤、および少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体とを関連付けることを含む方法が、提供される。
【0232】
本明細書で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素が互いに組み合わせて投与するのに適格とすることを意味し得る。
【0233】
したがって、2つの成分を互いに「関連付ける」ことによって、上に定義されたパーツキットを調製するためのプロセスに関して、該パーツキットの2つの成分が、
(i)別々の製剤(すなわち、互いに独立して)として提供されてもよく、その後、併用療法において互いに組み合わせて併用されるか、または(ii)併用療法において互いに併用するための「コンビネーションパック」の別個の成分として一緒に包装され提示されてもよい、ということを含める。
【0234】
本発明の第1の態様で定義される化合物(すなわち、本発明の化合物)は、以下に提供される実施例に記載されるような、当業者に周知の技法に従って調製されてもよい。
【0235】
例えば、本発明の第1の態様において定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の調製方法が提供され(これは、例えば、本発明の第2の態様において定義される化合物の調製に利用されてもよい)、この方法は、以下を含む。(i)式IIの化合物
【化15】
(式中、X、X、X、X、R、およびRは、上記で定義したとおりである)と、式IIIの化合物
【化16】
III)(式中、Rは、本明細書中上記で定義したとおりである)との反応、
(iia)好適な触媒の存在下での、式IVの化合物
【化17】
(式中、m、n、X、R、R、およびRは、上記で定義したとおりであり、Y1はまたはPGを表し、PGは、当業者に既知であるような好適な保護基(例えば、
【0236】
-C(O)OtBuまたは-SOCH)である)を、当業者に既知であるような好適な還元剤(NaBHまたはLiAlH、もしくは好適なキラル還元剤など)との反応、または好適な触媒(キラル触媒または添加剤など)の存在下での水素化による反応、
(iib)式IBの化合物(および同様に、式ICの化合物)のための、好適な触媒(例えば、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンと[RU(シメン)Cl)との錯体)の存在下、水素または好適な水素供与体(ギ酸など)の存在下、および任意に塩基(例えば、EtN)の存在下、
および好適な溶媒(例えば、CHCl)の存在下での、本明細書に上記で定義したものであるが、式中、Yが、PGを表し、PGが、当業者に知られている好適な保護基(例えば、-C(O)OtBu)である、式IVの化合物の反応、
(iii)少なくとも1つのXが存在し、かつ、-OHを表す化合物のための、式Vの化合物
【化18】
(式中、m、n、R、R、およびRは、上記で定義されるとおりであり、Yは、
HまたはPGを表し、PGは、当業者に既知の好適な保護基を表し、PGは、当業者に既知の好適な保護基(例えば、ベンジルまたはアルキル、例えば、メチル)を表す)の当業者に周知の条件下(例えば、ベンジルの場合、水素および好適な触媒または好適な酸の存在下、メチルのようなアルキルの場合、BBr、HBr、またはアルキルスルフィドの存在下)での脱保護、
(iv)少なくとも1つのXが存在し、かつ、NHまたはNHC(O)CHを表す化合物のための、式VIの化合物
【化19】
(式中、N、X、R、R、およびRは、上記で定義されるとおりであり、Yは、
HまたはPGを表し、PGは、当業者に既知の好適な保護基を表し、Yは、H、C(O)CH、またはPGを表し、PGは、当業者に既知の好適な保護基を表し、PGは、当業者に既知の好適な保護基を表す(例えば、カルバメート保護基(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)およびカルボキシベンジル(Cbz)およびアミド保護基(例えば、アセチルおよびベンゾイル)))の当業者に既知の条件下(例えば、Bocの場合、好適な酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはHCl)での脱保護(PG、PG(存在する場合)およびPG(存在する場合)は、それぞれ同じ保護基を表してもよく、したがって、単一セットの条件下で脱保護されてもよい)、
(v)少なくとも1つのXが存在し、かつ、NHを表す化合物のための、式VIIの化合物
【化20】
(式中、m、n、X、R、R、およびRは、上記で定義したとおりである)の、当業者に既知の条件下(例えば、水素ガスおよび当業者に既知であるような好適な触媒(例えば、Pd-C、PtO、ラネーニッケル)、産生媒体(例えば、AcOH)中のFeまたはZn、ホウ化水素と共に好適な触媒(例えば、NaBHおよびラネーニッケル)、または例えば、SnCl、TiCl、SmIなどの薬剤を使用する水素化などの水素化による)還元。当業者であれば、必須-OHおよび/または-NHR基などの特定の官能基は、反応中に1回以上保護(および脱保護)する必要があってもよく、このような保護(および脱保護)は、当業者に既知の技法を用いて実施されてもよいことを理解するだろう。
【0237】
式II、III、IV、V、VIおよびVIIの化合物は、市販されているか、文献中にて知られているか、または本明細書に記載の方法と同様にしてか、または慣用的な合成法により、適切な試薬および反応条件を使用して、利用可能な出発材料(例えば、適切に置換されたベンズアルデヒド、スチレンまたは臭化フェナシル(または塩化フェナシルなど))から、標準的な技法に従って、得られてもよい。これに関して、当業者は、特に、
B.M.TrostおよびI.Flemingによる“Comprehensive Organic Synthesis”,Pergamon Press,1991を参照することができる。使用されてもよいさらなる参考文献には、”Science of Synthesis”,Volumes 9-17(Hetarenes and Related RingSystems),Georg Thieme Verlag,2006が含まれる。
【0238】
上記で定義された置換基X、R、R、およびRは、当業者に周知の方法により、
式Iの化合物の調製のための上記方法の間または後に、1回以上修飾されてもよい。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iで定義された基に変えることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth-CohnおよびC.W.Reesによる“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”,Pergamon Press,1995、および/またはR.C.Larockによる“Comprehensive Organic Transformations”,Wiley-VCH,1999を参照し得る。
【0239】
そのような化合物は、それらの反応混合物から単離されてもよく、必要であれば、当業者に周知の慣用的技法を用いて精製されてもよい。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物の調製方法は、最終工程として、本発明の化合物の単離および任意の精製(例えば、式IまたはIAの化合物の単離および任意の精製)を含んでもよい。
【0240】
当業者であれば、本明細書に記載の方法において、必要とされる立体化学を有する好適な出発物質を反応させることによって、特定の立体化学を有する式Iの化合物(例えば、
式IBおよびICの化合物)が提供されてもよいことを理解するであろう。
【0241】
例えば、式IBおよびICの化合物は、本明細書に記載の上記の工程において、工程(i)または工程(iii)に記載の方法において、必要とされる立体化学を有する化合物を反応させることによって、提供されてもよい。
【0242】
さらに、当業者であれば、必要な立体化学を有する好適な出発物質(例えば、式IIおよびVの好適な化合物、ここで、必須酸素で置換された炭素は、式IBの化合物およびICの調製に必要とされるように、(R)立体配置である)が、本明細書に記載の上記の工程(iib)に記載の方法と同様にして調製されてもよいことを理解するであろう。
【0243】
上記および下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることは当業者によって理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は、先に言及したスキームにおける反応の前または後に行ってもよい。
【0244】
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技法に従って適用および除去することができる。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類および合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、″Protective Groups in Organic Synthesis″,3rd edition,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(1999)に完全に記載されている。
【0245】
本明細書に記載の化合物(特に、本発明の第1の、ならびにしたがって、第2および第3の態様で定義された化合物)は、前述した症状において使用するためであるかに関わらず、先行技術において知られている化合物よりも、より有効であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効能があり、より副作用が少なく、より容易に吸収され、および/またはより優れた薬物動態プロファイル(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティおよび/またはより低いクリアランス)を有し、および/または他の有用な薬理学的、物理的または化学的特性を有する、という利点を有してもよい。特に、このような化合物は、
それらがより有効であり、および/またはインビボで有利な特性を示すという利点を有してもよい。
【0246】
理論に束縛される意図はないが、本明細書に記載の化合物は、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増大を可能にする、β-アドレナリン作動性受容体の強力な作動薬であると考えられる。
【0247】
加えて、本明細書に記載の化合物は、cAMP産生を誘導しない(または最小の効果だけを有する)、β-アドレナリン作動性受容体の作動薬であると考えられている。このことは、他の治療により生じ得るものより低いレベルの副作用を伴って、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増加を可能にする、と考えられている。さらに、本明細書に記載の化合物を、血糖値を低下させることができる治療剤(複数可)と組み合わせることは、有効な併用療法を提供すると考えられる。
【0248】
さらに、本発明の化合物は、代謝(例えば、初回通過代謝)、すなわち、排泄を助けるために薬剤が生体内変換されるプロセスに対して特に耐性があり得る。
【実施例0249】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0250】
別記しない限り、化学製品および試薬は、商業的供給元から入手し、受け取った状態で使用した。水分に敏感な試薬を含む全ての反応は、窒素またはアルゴンの正圧下で、オーブンまたはフレーム乾燥ガラス器具内で行った。
【0251】
略語
本明細書で使用される省略形は、当業者に知られているだろう。特に、以下の省略形が本明細書で使用されてもよい。
AcOH 酢酸
aq 水性
atm 気圧
BocO ジ-tert-ブチルジカーボネート
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq 等量
EtOAc 酢酸エチル
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
iPrOH イソプロパノール
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
Pd-C パラジウム炭素
rt 室温
sat 飽和
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0252】
実施例化合物
命名法とグラフで示される化合物の構造との間に食い違いがある場合には、後者が支配的である(与えられ得る実験的詳細と矛盾しない限りおよび/または文脈から明らかでない限り)。
【0253】
実施例2:2-(ブチルアミノ)-1-(3,5-クロロフェニル)エタン-1-オール
【化21】
(a)2-(3,5-ジフルオロフェニル)オキシラン
【化22】
DMSO(6mL)中のヨウ化トリメチルスルホニウム(413mg、2.02mmol)の溶液を、THF(6mL)中のNaH(2.1mmol、EtOによる洗浄によって、鉱油中84mgの60%NaHから調製した)の氷冷した懸濁液に滴加した。氷冷した混合物を30分間撹拌し、THF(2.45mL)中の3,5-メトキシベンズアルデヒド(250mg、1.76mmol)の溶液をゆっくり添加した。混合物を20分間撹拌し、冷却浴を取り外し、室温で2時間撹拌を続けた。混合物を氷に注ぎ、EtOで抽出した。混合物を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、副題化合物(257mg、1.65mmol、94%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0254】
(b)2-(ブチルアミノ)-1-(3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
2-(3,5-ジフルオロフェニル)オキシラン(100mg、0.64mmol)、
n-ブチルアミン(158μL、1.60mmol)およびMeOH(1mL)の混合物を、還流で6時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(98mg、0.43mmol、67%)を得た。
H NMR(300MHz、CDCl)δ6.97-6.84(m、2H)、6.69(tt、J=8.8、2.4Hz、1H)、4.64(dd、J=8.7、3.6Hz、1H)、2.92(dd、J=12.0、3.6Hz、1H)、2.72-2.55(m、3H)、1.52-1.27(m、4H)、0.92(t、J=7.2Hz、3H)。
【0255】
実施例2:2-(ブチルアミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化23】
(a)2-(ベンジル(ブチル)アミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化24】
実施例1、工程(a)および(b)の手順に従って、3,4-ジフルオロベンズアルデヒドおよびN-ベンジルブチルアミンから、副題化合物を調製した。
【0256】
(b)2-(ブチルアミノ)-1-(3,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
2-(ベンジル(ブチル)アミノ)-1-(3,4-(ジフルオロフェニル)エタン-1-オール(70mg、0.22mmol)、10%のPd-C(23.3mg、0.022mmol)、およびAcOH(2mL)の混合物を、室温で2時間6.5気圧にて水素化し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣にNaHCO(水性、飽和)を添加し、EtOで抽出した。合わせた抽出物を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(30mg、0.13mmol、60%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.24-7.19(m、1H)、7.15-7.04(m、2H)、4.67(dd、J=9.2、3.5Hz、1H)、2.89(dd、J=12.2、3.6Hz、1H)、2.86-2.69(br s、2H重複)、2.74-2.58(m、3H)、1.54~1.42(m、2H)、1.35(h、J=7.2Hz、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【0257】
実施例3:(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化25】
(a)tert-ブチルブチル(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)カルバメート
【化26】
CHCl(4mL)中の4-フルオロフェナシルブロミド(300mg、1.38mmol)の溶液を、n-ブチルアミン(205μL、2.07mmol)、DIPEA(239μL、1.38mmol)およびCHCl(1mL)の混合物に、0℃で10分かけて添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、BocO(3.4mL、15mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をHOおよびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(270mg、0.87mmol、63%)を得た。
【0258】
(b)tert-ブチル(R)-ブチル(2-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)カルバメート
【化27】
(S,S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタンジアミン(クロロ)(p-シメン)ルテニウム(II)(16.4mg、0.026mmol)(Kawamato,A.M.およびWills,M.,J.Chem.Soc.Perkin 1,1916(2001)に記載されているように調製)を、ギ酸/EtN(5:2、2mL)中のtert-ブチルブチル(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)カルバメート(200mg、0.65mmol)の混合物に添加した。混合物を室温で64時間撹拌し、HO(15mL)およびCHCl(15mL)を添加した。層を分離し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機相を、HO、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(164mg、0.53mmol、82%)を得た。
【0259】
(c)(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化28】
tert-ブチル(R)-ブチル(2-(4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)カルバメート(164mg、0.53mmol)のEtOH(1.5mL)中の溶液に、水(1.5mL)中のNaOH(421mg、10.5mmol)溶液を添加した。混合物を、密封バイアル瓶中で、120℃にて16時間加熱した。冷却後、HCl(1M、水溶液)でpHを6に調整し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(64mg、0.30mmol、58%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.41-7.36(m、2H)、7.04-6.98(m、2H)、5.40(dd、J=10.5、2.6Hz、1H)、3.19(dd、J=12.5、2.6Hz、1H)、3.09(dd、J=12.5、10.5Hz、1H)、3.06-3.01(m、2H)、1.90-1.82(m、2H)、1.45~1.36(m、2H)、0.91(t、J=7.4Hz、3H)。
【0260】
実施例4:(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化29】
実施例3の手順に従って、3-フルオロフェナンシルブロミドから、表題化合物を調製した。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.33-7.26(m、1H)、7.14-7.11(m、2H)、6.98-6.93(m、1H)、7.00-6.82(br s、3H)、4.93(dd、J=9.9、3.1Hz、1H)、2.99(dd、J=12.3、3.1Hz、1H)、2.88-2.72(m、3H)、1.98(s、3H)、1.63-1.56(m、2H)、1.40-1.31(m、2H)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【0261】
実施例5:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化30】
(a)(R)-2-ブロモ-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化31】
ボラン(THF中1M、0.68mL、0.68mmol)を、(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(トルエン中1M、0.85mL、0.85mmol)とTHF(0.8mL)との混合物に、室温で滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、THF(1.9mL)中の3-フルオロフェナシルブロミド(185mg、0.85mmol)の溶液を滴加した(0.09mL/分)。室温で6時間後、MeOH(10mL)を添加した。混合物を30分間撹拌し、濃縮した。クロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(150mg、0.68mmol、80%)を得た。
【0262】
(b)(R)-2-(3-フルオロフェニル)オキシラン
【化32】
CO(137mg、0.99mol)を(R)-2-ブロモ-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール(145mg、0.66mmol)のMeOH(6.8mL)の混合物に室温で添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、濾過し、濃縮した。残渣をCHClで抽出した。合わせた抽出物を濃縮して、副題化合物(70mg、0.51mmol、77%)を得て、これをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0263】
(c)(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化33】
(R)-2-(3-フルオロフェニル)オキシラン(30mg、0.22mmol)、tert-ブチルアミン(66mg、0.90mmol)およびMeOH(0.2mL)の混合物を還流で16時間撹拌し、冷却し、濃縮して、EtO中に溶解した。EtO/ペンタン(1:3)を添加し、溶液を-20℃で一晩保持した。形成した固形物を集め、表題化合物(25mg、0.12mmol、54%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.33-7.26(m、1H)、7.14-7.09(m、2H)、6.98-6.93(m、1H)、4.57(dd、J=8.4、3.6Hz、1H)、2.92(dd、J=12.0、4.0Hz、1H)、2.55(dd、J=12.0、8.4Hz、1H)、1.10(s、9H)。
【0264】
実施例6:1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化34】
(a)1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン
【化35】
PdCl(MeCN)(102mg、0.39mmol)を、3,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(2.00g、7.84mmol)、ZnO(830mg、10.2mol)、テトラブチルアンモニウムブロミド(3.79g、11.8mmol)、EtN(0.37mL、2.67mmol)およびDMSO(20mL)の混合物に、室温で添加した。混合物を周囲大気中100℃で16時間撹拌した。EtNの別の部分(0.37mL、2.67mmol)を添加し、加熱を3時間続けた。混合物を冷却し、EtOで希釈し、HOで洗浄した。相を分離し、水相をEtOで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、クロマトグラフィーにより精製し、副題化合物(270mg、1.58mmol、20%)を得た。
【0265】
(b)1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化36】
臭素(0.16mL、3.15mmol)とCHCl(10mL)との混合物を、1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン(270mg、1.58mmol)とCHCl(15mL)との混合物に還流した状態で30分かけて添加した。15分の還流後、混合物を冷却し、濃縮した。残渣をTHF(6mL)に溶解し、氷浴で冷却した。亜リン酸ジエチル(0.22mL、1.74mmol)およびEtN(0.24mL、1.74mmol)のTHF(9mL)溶液を、ゆっくりと添加した。混合物をゆっくりと室温に到達させ、室温で17時間撹拌し、濃縮した。氷/水を残渣に添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(250mg、1.00mmol、63%)を得た。
【0266】
(c)1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オン塩酸塩
【化37】
DIPEA(83μL、0.48mmol)、続いてn-ブチルアミン(47μL、0.48mmol)を、CHCl(1mL)中の1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン(100mg、0.40mmol)に、室温で添加した。混合物を75℃で1時間加熱し、HCl(EtO中1M、560μL、0.56mmol)を加えたときに40~50℃に冷却させた。混合物を室温に冷却し、固形物を集めて副題化合物(44mg、0.16mmol、40%)を得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0267】
(d)1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化38】
NaOH(1M、約0.15mL)を、1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オン塩酸塩(40mg、0.14mmol)、MeOH(0.2mL)およびHO(0.3mL)の混合物に添加し、pHを9に調整した。HO中のNaBH(10.9mg、0.29mmol)の溶液を滴加し、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮して、MeOHを除去した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をEtO(1mL)中に溶解した。ペンタン(5mL)を添加し、固形物を集めて、副題化合物(20mg、0.082mmol、57%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.89-6.80(m、2H)、4.54(dd、J=8.8、3.4Hz、1H)、3.75-3.60(br s、2H)、2.84(dd、J=12.1、3.4Hz、1H)、2.70-2.57(m、3H)、2.73-2.03(br s、2H、重複)、1.51-1.41(m、2H)、1.40-1.29(m、2H)、0.92(t、J=7.4Hz、3H)。
【0268】
実施例7:1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化39】
(a)N-(2,6-ジフルオロ-3-メチルフェニル)アセトアミド
【化40】
2,6-ジフルオロ-3-メチルアニリン(4g、27.9mmol)と無水酢酸(5.3mL)との混合物を60℃で2時間加熱した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。クロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(5.1g、27.5mmol、99%)を得た。
【0269】
(b)3-アセトアミド-2,4-ジフルオロ安息香酸
【化41】
KMnO(10.7g、67.7mmol)を、N-(2,6-ジフルオロ-3-メチルフェニル)アセトアミド(2.5g、13.5mmol)、ピリジン(20mL)、およびHO(70mL)の混合物に、70℃で慎重に添加した。混合物を10時間加熱還流し、熱いうちにセライトのパッドを通して濾過し、パッドを熱HOで洗浄した。濾液を室温に冷却し、濃縮し、HCl(水溶液、6M)で注意深く酸性化した。混合物を氷浴で冷却し、濾過した。固形物を冷HOで洗浄し、乾燥させ、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(2.1g、9.76mmol、72%)を得た。
【0270】
(c)N-(3-(2-ブロモアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化42】
3-アセトアミド-2,4-ジフルオロ安息香酸(1.1g、5.11mmol)、SOCl(8mL)およびCHCl(20mL)の混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮し、真空乾燥した。残渣をCHCl(60mL)中に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(5.1mL、10.2mmol)を0℃で滴加した。混合物を4時間かけて室温にし、0℃に冷却した。HBr(AcOH中33%、2.8mL)を滴加した。混合物を2.5時間かけて室温にし、CHClで希釈し、NaHCO(飽和水溶液)およびNHCl(飽和水溶液)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮して、副題化合物定量的収率を得て、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0271】
(d)1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化43】
HBr(水溶液、48%、0.05mL)をN-(3-(2-ブロモアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド(70mg、0.24mmol)に室温で添加した。混合物を100℃に加熱し、その温度で40分間撹拌し、冷却し、HOに注いだ。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をHO、NaHCO(飽和水溶液)、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。濃縮により、副題化合物(50mg、0.20mmol、83%)が得られた。
【0272】
(e)2,6-ジフルオロ-3-(オキシラン-2-イル)アニリン
【化44】
NaBH(3.78mg、0.10mmol)を、1-(3-ミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン(50mg、0.20mmol)の混合物に、0℃で添加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌した。MeOH(1mL)およびKCO(41.5mg、0.30mmol)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌し、濃縮した。残渣に水を添加し、混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物をHO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、中性アルミナを通して濾過した。濃縮により、副題化合物(20mg、0.12mmol、58%)が得られた。
【0273】
(f)1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化45】
2,6-ジフルオロ-3-(オキシラン-2-イル)アニリン(30mg、0.18mmol)、n-ブチルアミン(12.8mg、0.18mmol)およびEtOH(0.9mL)の混合物を、50℃で18時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(22mg、0.09mmol、51%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.90-6.72(m、2H)、4.97(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、3.70(s、2H)、2.94(dd、J=13.0、3.6Hz、1H)、2.72-2.58(m、3H)、1.52~1.30(m、4H)、0.92(t、J=7.2Hz、3H)。
【0274】
実施例8:N-(3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化46】
表題化合物を、実施例7、工程(e)および(f)の手順に従って、N-(3-(2-ブロモアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)-アセトアミドから調製した(実施例7、工程(c)を参照されたい)。
H NMR(400MHz、THF-d):δ8.69(br s、1H)、7.41(q、J=8.2Hz、1H)、6.92(t、J=8.8Hz、1H)、4.93(dd、J=8.6、3.2Hz、1H)、2.76(ddd、J=8.4、4.8、3.6Hz 1H)、2.66-2.56(m、3H)、2.04(s、3H)、1.48-1.29(m、4H)、0.90(t、J=7.2Hz、3H)。
【0275】
実施例9:1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化47】
(a)3-アミノ-2-フルオロアセトフェノン
【化48】
O(1.2mL)中のFe粉末(595mg、10.6mmol)、続いてNHCl(570mg、10.6mmol)を、55℃で2-フルオロ-3-ニトロアセトフェノンの溶液に添加した。混合物を、2.5時間加熱還流し、室温に冷却し、セライトで濾過した。NaHCO(飽和水溶液)を濾液に加え、次いでそれをEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をヘキサンで抽出し、抽出物を濃縮した。残渣を、ヘキサン/EtO(10:1)で抽出し、抽出物を濃縮して、副題化合物を得た(350mg、2.28mmol、84%)。
【0276】
(b)N-(3-アセチル-2-フルオロフェニル)アセトアミド
【化49】
副題化合物を、3-アミノ-2-フルオロアセトフェノンから実施例7、工程(a)の手順に従って調製した。
【0277】
(c)N-(3-(2-ブロモアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化50】
CuBr(652mg、2.92mmol)を、室温でEtOAc(4.8mL)中のN-(3-アセチル-2-フルオロフェニル)-アセトアミド(380mg、1.95mmol)の溶液に添加した。混合物を20時間加熱還流し、冷却し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、中性アルミナを通して濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(135mg、0.49mmol、25%)を得た。
【0278】
(d)1-(4-アミノ-3,5-ジフルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
実施例7の工程(d)、(e)および(f)の手順に従って、N-(3-(2-ブロモアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)-アセトアミドから表題化合物を調製した。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.93(dd、J=11.0、8.2Hz、1H)、6.82(dd、J=8.6、2.2Hz、1H)、6.67-6.64(m、1H)、4.58(dd、J=9.0、3.8Hz、1H)、3.71(s、2H)、2.86(dd、J=12.0、3.6Hz、1H)、2.70-2.60(m、3H)、1.51~1.30(m、4H)、0.92(t、J=7.4Hz、3H)。
【0279】
実施例10および11:(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール、
(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール
【化51】
(a)tert-ブチル(2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル)(ペンタン-2-イル)カルバメート
【化52】
CHCl(6.6mL)中の4-フルオロフェナシルブロミド(500mg、2.31mmol)の溶液を10分かけて2-アミノペンタン(301mg、3.46mmol)およびDIPEA(298mg、2.31mmol)のCHCl(1.6mL)中の溶液に、0℃で添加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で2時間撹拌した。CHCl(6mL)中のBoc(1.26g、5.76mmol)の溶液を添加し、混合物を室温で2時間撹拌し、HO、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させた。クロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(520mg、1.61mmol、70%)を得た。
【0280】
(b)(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オールおよび(R)-1-(4-フルオロフェニル)-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール
実施例3の工程(b)の手順を使用して、実施例3の工程(c)の手順に従って個々のBoc保護中間体のクロマトグラフィー分離および加水分解を行うことにより、表題化合物を得た。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.34(dd、J=8.4、5.6Hz、2H)、7.03(t、J=8.4Hz、2H)、4.61(dd、J=9.4、3.4Hz、1H)、2.91(dd、J=12.0、3.6Hz、1H)、2.69-2.59(m、2H)、1.47~1.28(m、4H)、1.06(d、J=6.0Hz、3H)、0.91(t、J=6.8Hz、3H)。および7.42(dd、J=8.4、5.6Hz、2H)、7.03(t、J=8.8Hz、2H)、5.40(dd、J=10.4、2.4Hz、1H)、3.28-3.21(m、2H)、2.99(t、J=11.2Hz、1H)、1.94-1.85(m、1H)、1.72-1.63(m、1H)、1.51~1.34(m、5H)、0.91(t、J=7.4Hz、3H)。
【0281】
実施例12および13:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(((R)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オールおよび(R)-1-(3-フルオロフェニル))-2-(((S)-ペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール
【化53】
表題化合物を、実施例10および11に従って、3-フルオロフェナシルブロミドから調製した。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.33-7.26(m、1H)、7.14-7.09(m、2H)、7.00-6.90(m、1H)、4.66(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、2.97-2.92(m、1H)、2.72-2.62(m、3H)、1.47~1.26(m、4H)、1.07(dd、J=6.4、1.2Hz、3H)、0.93~0.89(m、3H)。および7.33-7.27(m、1H)、7.21-7.18(m、2H)、7.00-6.96(m、1H)、5.40(dd、J=10.4、2.4Hz、1H)、3.31-3.20(m、2H)、2.98(t、J=11.4、Hz、1H)、1.93-1.85(m、1H)、1.72-1.62(m、1H)、1.50-1.33(m、5H)、0.91(t、J=7.4Hz、3H)。
【0282】
実施例14:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((2-メチルペンタン-2-イル)アミノ)エタン-1-オール
【化54】
(R)-2-(3-フルオロフェニル)オキシラン(40mg、0.29mmol)、2-メチルペンタン-2-アミン塩酸塩(80mg、0.58mmol)、DIPEA(0.1mL、0.58mmol)およびMeOH(0.3mL)の混合物を、還流で16時間撹拌し、冷却し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーおよびEtO/ヘキサン(1:4)から結晶化により精製して、表題化合物(10mg、0.042mmol、14%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl):δ7.32~7.27(m、1H)、7.19-7.09(m、2H)、6.98-6.93(m、1H)、4.85(dd、J=9.2、3.2Hz、1H)、4.07(br s、1H)、2.99(dd、J=11.8、3.4Hz、1H)、2.66(dd、J=12.2、9.4Hz、1H)、1.48-1.27(m、4H)、1.18(d、J=3.6Hz、6H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)。
【0283】
実施例15:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化55】
(a)2-ブロモ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン
【化56】
三臭化トリメチルフェニルアンモニウム(1.59g、4.22mmol)を、室温でCHCl(10mL)中の2,3-ジフルオロアセトフェノン(0.60g、3.84mmol)の撹拌溶液に少しずつ添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、CHClで希釈し、水に注いだ。層を分離し、水相をCHClで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.80g、3.40mmol、89%)を得た。
【0284】
(b)2-クロロ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン
【化57】
NaCl(飽和水溶液、4mL)を、室温でTHF(10mL)中の2-ブロモ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン(600mg、2.55mmol)の溶液に添加した。混合物を密封チューブ内で70℃で16時間加熱し、冷却させた。混合物をEtOAc(100mL)およびブラインで希釈し、層を分離した。水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(350mg、1.84mmol、72%)を得た。
【0285】
(c)(R)-2-クロロ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化58】
RhClCp*[(1S,2S)-p-TsNCH(C)CH(C)NH]/HCl.EtN(20.4mg、26μmol)(ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)二量体、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエン-スルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンおよびEtNからWO2008/054155に記載されているように調製)を、THF(10mL)中の2-クロロ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン(500mg、2.62mmol)の混合物に添加した。ギ酸/EtN(5:2、1mL)を添加し、混合物を室温で80分間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、HOで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーで精製して、副題化合物(420mg、2.18mmol、83%、ee=88%)を得た。
【0286】
(d)(R)-2-(2,3-ジフルオロフェニル)オキシラン
【化59】
NaOH(水溶液、1M、5.9mL、5.9mmol)を、iPrOH(4mL)中の(R)-2-クロロ-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール(380mg、1.97mmol)の溶液に、0℃で滴加した。混合物をEtOで希釈し、層を分離した。水相をEtOで抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、慎重に濃縮した。生成物は揮発性であり、材料は副題化合物とiPrOHとの約1:1の混合物であり、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0287】
(e)(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化60】
(R)-2-(2,3-ジフルオロフェニル)オキシラン(iPrOHを含有する200mg、1.28mmol)とtert-ブチルアミン(0.30mL、2.8mmol)との混合物を70℃で16時間撹拌し、冷却し、濃縮した。残渣を20℃でEtO/ペンタン(3+10mL)で処理し、固形物を集め、冷EtO/ペンタンで洗浄して、表題化合物(135mg、0.59mmol、46%、ee=88%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl3):δ7.35~7.28(m、1H)、7.12-7.00(m、2H)、4.91(dd、J=8.4、3.7Hz、1H)、3.00(ddd、J=12.0、3.7、1.1Hz、1H)、3.0-2.0(br s
2H)、2.55(ddd、J=12.1、8.4、0.7Hz、1H)、1.11(s、9H)。
【0288】
実施例16:(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(2,3-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール
【化61】
(R)-2-(2,3-ジフルオロフェニル)オキシラン(iPrOHを含有する、200mg、1.28mmol)とn-ブチルアミン(2.5mL、25.6mmol)との混合物をマイクロ波照射下で100℃で1時間加熱した。残渣を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(220mg、0.96mmol、75%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl3):δ7.34-7.27(m、1H)、7.12-7.00(m、2H)、5.01(dd、J=8.8、3.5Hz、1H)、3.03-2.92(m、1H)、2.90-2.40(br s、2H)、2.74-2.57(m、3H)、1.54-1.41(m、2H)、1.41-1.27(m、2H)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【0289】
実施例17:(R)--2-(tert-ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化62】
実施例15、工程(f)の手順に従って、(R)-2-(2-フルオロフェニル)オキシランおよびtert-ブチルアミンから、表題化合物を調製した。
H NMR(300MHz、CDCl):δ7.56(m、1H)、7.19-7.28(m、1H)、7.16(m、1H)、6.97-7.05(ddd、J=10.5、8.1、1.3Hz、1H)、4.92(dd、J=8.5、3.8Hz、1H)、3.00(ddd、J=11.9、3.8、0.9Hz、1H)、2.57(dd、J=11.7、8.5Hz、1H)、1.85-2.57(bs、2H)、1.12(s、9H)。
【0290】
実施例18:(R)-2-(ブチルアミノ)-1-(2-フルオロフェニル)エタン-1-オール
【化63】
表題化合物を、実施例16の手順に従って、(R)-2-(2-フルオロフェニル)オキシランおよびn-ブチルアミンおよびn-ブチルアミンから調製した。
H NMR(300MHz、CDCl):δ7.60-7.51(m、1H)、7.29-7.20(m、1H)、7.19-7.12(m、1H)、7.00(ddd、J=10.6、8.1、1.3Hz、1H)、5.02(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、2.99(ddd、J=12.2、3.6、1.1Hz、1H)、2.80-2.54(m、3H)、2.52-2.09(bs、2H)、1.54-1.42(m、2H)、1.42-1.30(m、2H)、0.92(t、J=7.2Hz、3H)。
【0291】
実施例19:(R)-2-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノールアセテート
【化64】
(a)1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)エタン-1-オン
【化65】
4-フルオロ-2-ヒドロキシアセトフェノン(319mg、2.07mmol)、臭化ベンジル(0.29mL、2.48mmol)、KCO(572mg、4.14mmol)およびアセトン(12mL)の混合物を、室温で24時間撹拌し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(501mg、2.05mmol、99%)を得た。
【0292】
(b)1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化66】
臭素(0.12mL、2.30mmol)を、EtO(20mL)中の1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)エタン-1-オン(562mg、2.30mmol)の混合物に、室温で少しずつ添加した。30分後、臭素の別の部分(0.06mL、1.15mmol)を添加し、混合物を室温で90分間撹拌した。混合物を濃縮し、THF(5mL)を添加した。混合物を氷浴で冷却し、亜リン酸ジエチル(0.30mL、2.30mmol)とEtN(0.32mL、2.30mmol)との混合物を添加した。氷浴を取り外し、混合物を室温で60分間撹拌した。混合物に氷を添加し、一晩撹拌した。混合物をCHCl2で希釈し、相を分離した。水相をCHClで抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(700mg、2.17mmol、94%)を得た。
【0293】
(c)(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オール
【化67】
副題化合物を、実施例5、工程(a)の手順に従って、1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オンから調製した。
【0294】
(d)(R)-2-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)オキシラン
【化68】
副題化合物を、実施例5、工程(b)の手順に従って、(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オールから調製した。
【0295】
(e)(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化69】
(R)-2-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)オキシラン(190mg、0.78mmol)、n-ブチルアミン(0.180mL、1.71mmol)およびMeOH(0.6mL)の混合物を、70℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(135mg、0.42mmol、55%)を得た。
【0296】
(f)(R)-2-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノールアセテート
【化70】
(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール(157mg、0.49mmol)、Pd-C(10%、52.6mg、0.05mmol)およびAcOH(4mL)の混合物を、6バールで2時間水素化した。混合物をセライトで濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製した。物質をMeOH中のAcOH(1%)に溶解し、EtOを添加した。混合物を-20℃で2日間維持し、固形物を集め、EtOで洗浄して、表題化合物(60mg、0.21mmol、42%)を得た。
H NMR(400MHz、DO):δ7.40(dd、J=8.6、6.7Hz、1H)、6.84-6.65(m、2H)、5.21(dd、J=9.4、3.2Hz、1H)、3.37(dd、J=12.8、3.2Hz、1H)、3.25(dd、J=12.7、9.4Hz、1H)、1.94(s、0H)、1.41(s、9H)。
【0297】
実施例20:(R)-2-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノールアセテート
【化71】
(a)(R)-(1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエトキシ)トリエチルシラン
【化72】
クロロトリエチルシラン(0.12mL、0.73mmol)を、(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オール(215mg、0.66mmol)(実施例19、工程(c)を参照されたい)、イミダゾール(58.5mg(0.86mmol)およびDMF(5mL)の混合物に、5℃で一度に添加した。温度を15℃に到達させ、混合物をその温度で1時間撹拌した。混合物を石油エーテルで希釈し、HOで3回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、副題化合物(270mg、0.61mmol、93%)を得た。
【0298】
(b)(R)-N-(2-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-((トリエチルシリル)オキシ)エチル)ブタン-1-アミン
【化73】
(R)-(1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-ブロモエトキシ)トリエチルシラン(270mg、0.61mmol)、n-ブチルアミン(0.30mL、3.07mmol)およびジオキサン(2mL)の混合物を、80℃で16時間加熱した。n-ブチルアミンの別の部分(0.30mL、3.07mmol)を添加し、混合物を105℃で48時間加熱した。混合物を冷却し、HOおよびEtOを添加した。有機層を集め、NHCl(水性、飽和)、NaHCO(水性、飽和)およびブラインで3回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をTHF(3mL)中に溶解し、フッ化トリブチルアンモニウム(THF中1M、0.74mL、0.74mmol)を、5℃で滴加した。混合物を50℃で20分間撹拌し、冷却させ、HOおよびEtOを添加した。有機層を集め、HO(飽和水溶液)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(94mg、0.30mmol、48%)を得た。
【0299】
(c)(R)-2-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-5-フルオロフェノールアセテート
【化74】
標題化合物を、実施例19、工程(f)の手順に従って、(R)-1-(2-(ベンジルオキシ)-4-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オールから表題化合物を調製した。
H NMR(400MHz、DO):δ7.40(dd、J=8.6、6.7Hz、1H)、6.80-6.68(m、2H)、5.26(dd、J=8.7、3.9Hz、1H)、3.38(dd、J=13.0、4.0Hz、1H)、3.32(dd、J=12.9、8.7Hz、1H)、3.17-3.09(m、2H)、1.94(s、3H)、1.71(tt、J=7.9、6.5Hz、2H)、1.41(h、J=7.4Hz、2H)、0.95(t、J=7.4Hz、3H)。
【0300】
実施例21:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロブチル)アミノ)エタン-1-オール
【化75】
(R)-2-(2-フルオロフェニル)オキシラン(130mg、0.94mmol)、(1-メチルシクロブチル)アミン塩酸塩(298mg、2.45mmol)、DIPEA(0.33mL、1.88mmol)およびiPrOH(0.5mL)を70℃で3時間撹拌し、冷却し、NaHCO(飽和水溶液)に注いだ。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaCO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(60mg、0.27mmol、29%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl):δ7.30(td、J=8.1、5.9Hz、1H)、7.15-7.09(m、2H)、6.99-6.92(m、1H)、4.66(dd、J=8.7、3.6Hz、1H)、2.90(dd、J=12.1、3.7Hz、1H)、2.56(dd、J=12.1、8.7Hz、1H)、2.5-2.0(br s、2H)、2.03-1.90(m、2H)、1.87-1.69(m、4H)、1.28(s、3H)。
【0301】
実施例22:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール
【化76】
表題化合物を、(R)-2-(2-フルオロフェニル)-オキシランおよび(1-メチルシクロプロピル)アミン塩酸塩から、実施例21に従って調製した。
H NMR(300MHz、CDCl):δ77.35-7.27(m、1H)、7.17-7.06(m、2H)、6.95(td、J=8.5、2.6Hz、1H)、4.60(dd、J=8.7、3.6Hz、1H)、3.08(dd、J=12.1、3.7Hz、1H)、2.67(dd、J=12.1、8.7Hz、1H)、2.6-2.0(br s、2H)、1.25(s、3H)、0.70-0.53(m、2H)、0.48-0.33(m、2H)。
【0302】
実施例23:(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノールアセテート
【化77】

H NMR(400MHz、DO):δ7.25-7.14(m、1H)、7.12-7.01(m、1H)、7.01-6.89(m、1H)、4.92(dd、J=3.2、9.8Hz、1H)、3.33-3.14(m、2H)、1.92(s、3H)、1.40(s、9H)。
【0303】
実施例24:(R)-5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノールアセテート
【化78】

H NMR(400MHz、DO):δ7.25-7.13(m、1H)、7.10-7.01(m、1H)、6.98-6.89(m、1H)、4.98(dd、J=4.0、9.0Hz、1H)、3.37-3.20(m、2H)、3.19-3.03(m、2H)、1.92(s、3H)、1.75-1.61(m、2H)、1.47-1.31(m、2H)、0.93(t、J=7.4Hz、3H)。
【0304】
実施例25:(R)-3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
【化79】
(a)1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)エタン-1-オン
【化80】
副題化合物を、実施例20、工程(a)の手順に従って、4-フルオロ-2-ヒドロキシアセトフェノンおよび臭化ベンジルから調製した。
【0305】
(b)1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化81】
臭素(0.13mL、2.45mmol)とEtO(2mL)との混合物を、1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)エタン-1-オン(599mg、2.45mmol)およびEtO(18mL)との混合物に、室温で滴加した。10分後、混合物をNaHSO(飽和水溶液)およびブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(600mg、1.86mmol、76%)を得た。
【0306】
(c)(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オール
【化82】
副題化合物を、実施例5、工程(a)の手順に従って、1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オンから調製した。
【0307】
(d)(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化83】
NaOH(18.45mg、0.46mmol)を、(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オール(150mg、0.46mmol)、tert-ブチルアミン(0.49mL、4.61mmol)およびMeOH(0.2mL)の混合物に、室温で添加した。混合物を70℃で16時間加熱し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(120mg、0.38mmol、82%)を得た。
【0308】
(e)(R)-3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
【化84】
EtSiH(0.60mL、3.78mmol)を、(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール(120mg、0.38mmol)、Pd-C(10%、80.5mg、0.08mmol)およびMeOH(1mL)の混合物に、室温で滴加した。混合物を室温で10分間撹拌し、セライトを通して濾過し、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製した。物質をEtOで粉砕して、表題化合物(56mg、0.25mmol、65%)を得た。
H NMR(400MHz、CDOD):δ7.04-6.95(m、2H)、6.91-6.84(m、1H)、5.14(dd、J=9.7、3.3Hz、1H)、3.00(ddd、J=12.0、3.3、0.6Hz、1H)、2.91(dd、J=12.0、9.7Hz、1H)、1.28(s、9H)。
【0309】
実施例26:(R)-3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
【化85】
(a)(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化86】
副題化合物を、実施例25、工程(d)の手順に従って、(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-ブロモエタン-1-オールから調製した。
【0310】
(b)(R)-3-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェノール
【化87】
標題化合物を、実施例25、工程(e)の手順に従って、(R)-1-(3-(ベンジルオキシ)-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オールから表題化合物を調製した。
H NMR(400MHz、CDCl):δ6.96-6.88(m、2H)、6.86-6.81(m、1H)、5.07(dd、J=8.9、3.6Hz、1H)、4.43(br s、3H)、2.92(dd、J=12.1、3.6Hz、1H)、2.78(dd、J=12.1、8.8Hz、1H)、2.72-7.59(m、2H)、1.54-1.40(m、2H)、1.36-1.27(m、2H)、0.88(t、J=7.3Hz、3H)。
【0311】
実施例27:(R)-1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化88】
(a)2-フルオロ-3-イソブチルアミド安息香酸
【化89】

3-アミノ-2-フルオロ安息香酸(2.00g、12.9mmol)、無水イソ酪酸(4.3mL、25.8mmol)およびCHClの混合物を、50℃で2時間加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。残渣のクロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(1.24g、5.51mmol、43%)を得た。
【0312】
(b)N-(3-(2-ブロモアセチル)-2-フルオロフェニル)イソブチルアミド
【化90】

2-フルオロ-3-イソブチルアミド安息香酸(300mg、1.33mmol)、SOCl(1.9mL)およびジオキサン(3mL)の混合物を、50℃で12時間加熱し、濃縮し、真空乾燥した。残渣をCHCl(15mL)中に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(1.33mL、2.66mmol)を0℃で滴加した。混合物を室温で2時間撹拌し、0℃に冷却した。HBr(AcOH中33%、0.91mL)を滴加した。混合物を0℃で30分間、および室温で2時間撹拌した。NaHCO(飽和水溶液)を、pHが約7になるまで添加した。残渣のクロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(0.22mg、0.73mmol、55%)を得た。
【0313】
(c)(R)-N-(3-(2-ブロモ-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)イソブチルアミド
【化91】

副題化合物は、実施例5、ステップ(a)の手順に従って、N-(3-(2-ブロモアセチル)-2-フルオロフェニル)-イソブチルアミドから調製した。
【0314】
(d)(R)-N-(3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)イソブチルアミド
【化92】

(R)-N-(3-(2-ブロモ-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)イソブチルアミド(240mg、0.79mmol)、tert-ブチルアミン(0.83mL、7.89mmol)、NaOH(31.6mg、0.79mmol)、およびiPrOH(0.60mL、7.89mmol)の混合物を、65℃で3時間加熱し、室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(180mg、0.61mmol、77%)を得た。
【0315】
(e)(R)-1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール二塩酸塩
(R)-N-(3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-フルオロフェニル)イソブチルアミド(55mg、0.19mmol)とHCl(1M水溶液、1mL)との混合物を、85℃で3時間加熱し、濃縮し、乾燥させて、表題化合物(50mg、0.17mmol、90%)を得た。ee=94%。
H NMR(400MHz、CDOD):δ6.94(td、J=7.8、1.0Hz、1H)、6.81(dddd、J=14.7、9.4、7.2、1.8Hz、2H)、5.05(t、J=6.4Hz、1H)、2.78(d、J=6.4Hz、2H)、1.17(s、9H)。
【0316】
実施例28:(R)-1-(3-アミノ-2-フルオロフェニル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール二塩酸塩
【化93】

表題化合物を、実施例27の手順に従って、工程(d)でn-ブチルアミンおよびMeOHを使用して調製した。
H NMR(400MHz、DO):δ7.62(td、J=7.4、6.7、1.7Hz、1H)、7.49(td、J=7.8、1.7Hz、1H)、7.40(t、J=7.9Hz、1H)、5.39(dd、J=9.4、3.6Hz、1H)、3.42(dd、J=13.2、3.8Hz、1H)、3.36(dd、J=13.2、9.5Hz、1H)、3.21-3.12(m、2H)、1.72(tt、J=7.9、6.5Hz、2H)、1.42(h、J=7.4Hz、2H)、0.95(t、J=7.4Hz、3H)。
【0317】
実施例29:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-(ネオペンチルアミノ)エタン-1-オール塩酸塩
【化94】

(R)-2-(3-フルオロフェニル)オキシラン(60mg、0.43mmol)とネオペンチルアミン(379mg、4.34mmol)との混合物を、75℃で一晩加熱し、濃縮した。残渣をEtO(5mL)中に溶解し、HCl(EtO中2M、0.17mL、0.35mmol)を添加した。固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(92mg、0.35mmol、81%)を得た。
H NMR(400MHz、DO):δ7.50-7.44(m、1H)、7.28-7.20(m、2H)、7.19-7.12(m、1H)、5.16(dd、J=10.0、3.7Hz、1H)、3.38(dd、J=13.2、3.8Hz、1H)、3.32(dd、J=13.2、10.0Hz、1H)、3.05、3.00(ABq、JAB=12.5Hz、2H)、1.08(s、9H)。
【0318】
実施例30:(R)-1-(3-フルオロフェニル)-2-((1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)アミノ)エタン-1-オール塩酸塩
【化95】

(R)-2-(3-フルオロフェニル)オキシラン(60mg、0.43mmol)と1-トリフルオロメチル-1-シクロプロピルアミン(54mg、0.43mmol)との混合物を、75℃で一晩加熱した。1-トリフルオロメチル-1-シクロプロピルアミンの別の部分(54mg、0.43mmol)およびDMF(0.33mL)を添加し、加熱を続けた。HO(77μL、4.3mmol)および1-トリフルオロメチル-1-シクロプロピルアミン(54mg、0.43mmol)を添加し、1-トリフルオロメチル-1-シクロプロピルアミンの部分(54mg、0.43mmol)を毎日添加しながら、加熱を3日間続けた。[1-トリフルオロメチル-1-シクロプロピルアミンの総量は、(326mg、2.60mmol)であった]。混合物を濃縮し、EtO(2mL)中に溶解した。HCl(EtO中2M、0.21mL、0.43mmol)を添加し、固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(20mg、67μmol、15%)を得た。
H NMR(400MHz、CDOD):δ7.45-7.39(m、1H)、7.28-7.20(m、2H)、7.12-7.05(m、1H)、4.99(dd、J=10.4、3.1Hz、1H)、3.47(dd、J=12.7、3.4Hz、1H)、3.33-3.25(m、1H、CDODと重複)、1.65-1.44(m、4H)。
【0319】
実施例31:(R)-1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール塩酸塩
【化96】
(a)N-(2,6-ジフルオロ-3-メチルフェニル)アセトアミド
【化97】
副題化合物を、実施例6、工程(a)の手順に従って、2,6-ジフルオロ-3-メチルアニリンから調製した。
【0320】
(b)3-アセトアミド-2,4-ジフルオロ安息香酸
【化98】
副題化合物を、実施例7、工程(b)の手順に従って、N-(2,6-ジフルオロ-3-メチルフェニル)アセトアミドから調製した。
【0321】
(c)N-(3-(2-クロロアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化99】
3-アセトアミド-2,4-ジフルオロ安息香酸(250mg、1.16mmol)とSOCl(2.6mL)との混合物を、60℃で4時間加熱し、冷却させた。トルエンを添加し、混合物を濃縮した。トルエンを添加し、続いて濃縮する手順を、3回繰り返した。残渣をCHCl中に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(1.16mL、2.32mmol)を0℃で滴加した。混合物を18時間かけて室温にし、0℃に冷却した。HCl(ジオキサン中4M、1.45mL、5.81mmol)を滴加した。混合物を1時間かけて室温にし、EtOAcで希釈し、NaCO (飽和水溶液)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(198mg、0.80mmol、69%)を得た。
【0322】
(d)(R)-N-(3-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化100】
RhClCp*[(1S,2S)-p-TsNCH(C)CH(C)NH]/HCl.EtN(5.02mg、0.0065mmol)(ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)二量体、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンおよびEtNからWO2008/054155に記載されているように調製)を、DMF(2.7mL)中のN-(3-(2-クロロアセチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド(160mg、0.65mmol)の混合物に添加した。ギ酸/EtN(5:2、0.90mL)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をCHCl/ヘキサンから結晶化して、副題化合物を得た(101mg、0.41mmol、63%、ee=97%)。
【0323】
(e)(R)-N-(3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化101】
副題化合物を、実施例25、工程(d)の手順に従って、(R)-N-(3-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミドから調製した。
【0324】
(f)(R)-1-(3-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール塩酸塩
【化102】
NaOH(水溶液、10%、0.52mL)を、EtOH(0.52mL)中の(R)-N-(3-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2,6-ジフルオロフェニル)アセトアミド(52mg、0.18mmol)に添加し、混合物を75℃で20時間加熱した。EtOHを真空で除去し、残渣をCHClで抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をEtO中に溶解した。HCl(EtO中2M、0.13mL、0.27mmol)を添加した。固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(32mg、0.11mmol、63%)を得た。
H NMR(400MHz、DO):δ7.11-7.01(m、2H)、5.29-5.15(dd、J=9.6、3.2Hz、1H)、3.36-3.23(m、2H)、1.40(s、9H)。
【0325】
実施例32:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロ-2-メチルフェニル)エタン-1-オール
【化103】
N、N’-ビス[(11bS)-3,5-ジヒドロ-3,5-ジメチル-4-オキシド-4H-ジナフト[2,1-d:1’、2’-f]-[1,3,2]ジアザホスフェピン-4-イル]-N,N’-ジメチル-1,5-ペンタンジアミン(15mg、18μmol)および蒸留したばかりのSiCl(45.6μL、0.40mmol)を、CHCl(0.34mL)中の3-フルオロ-2-メチルベンズアルデヒド(50mg、0.36mmol)に-78℃で添加した。tert-ブチルイソシアニド(49.1μL、0.43mmol)のCHCl(0.34mL)溶液を、-78℃で4時間かけて加え、混合物を-78℃で2時間撹拌した。BHNH(22.3mg、0.72mmol)を添加し、冷却浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌し、CHCl(2.5mL)で希釈した。混合物を慎重に[ガス発生]NaCO(水溶液、10%、5mL)に添加し、室温で30分間撹拌し、セライトを通して濾過した。固形物をCHCl(5mL)で洗浄し、水相を集め、CHClで抽出した。合わせた有機相を、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(53mg、0.24mmol、65%)を得た。
H NMR(400MHz、CDCl3):δ7.32(d、J=7.6Hz、1H)、7.23-7.13(m、1H)、6.96-6.91(m、1H)、4.79(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、2.88(dd、J=12.4、3.6Hz、1H)、2.49(dd、J=12.0、8.8Hz、1H)、2.22(d、J=1.6Hz、3H)、1.11(s、9H)。
【0326】
生物学的実施例
L6-筋芽細胞を、10% ウシ胎仔血清、2mM L-グルタミン、50U/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンおよび10mM HEPESを補充した、4.5g/l グルコースを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)にて、増殖させた。細胞を、24ウェルプレートに、1×10細胞/mlで播種した。90%コンフルエンスに達した後、細胞を2%FBSを含む培地中で7日間増殖させ、そこで細胞を筋管に分化させた。
【0327】
生物学的実施例1:グルコース取り込み
分化したL6-筋管を、0,5%の脂肪酸不含BSAを含む培地中で一晩血清飢餓状態にし、作動薬で刺激し、最終濃度を1×10-5にした。1時間40分後、細胞を、温かいグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、追加部分の作動薬をグルコース不含培地に加えた。20分後、細胞を、50nMのH-2-デオキシ-グルコースにさらに10分間暴露した後、氷冷のグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、次いで、60℃で1時間、0.2MのNaOHで溶解した。細胞溶解物をシンチレーション緩衝液(Emulsifier Safe、Perkin Elmer)と混合し、放射能をβ-カウンター(Tri-Carb 2800TR、Perkin Elmer)で検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプレナリンの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。 50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0328】
生物学的実施例2:細胞内cAMPレベルの測定
分化した細胞を、一晩血清不足状態にし、刺激緩衝液(1%のBSA、5mMのHEPES、および1mMのIBMX、pH7.4を補充したHBSS)中、最終濃度1x10-の作動薬で15分間刺激した。次いで、培地を吸引し、反応を終了させるために、100μLの95%EtOHを24ウェルプレートの各ウェルに添加し、細胞を-20℃で一晩維持した。EtOHを蒸発させておき、500μLの溶解バッファ(1% BSA、5mM HEPESおよび0,3% Tween-20、pH7.4)を各ウェルに加え、その後、80℃で30分間放置し、次いで-20℃で保持した。アルファスクリーンcAMPキット(Perkin Elmer、6760635D)を用いて、細胞内cAMPレベルを検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプレナリンの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0329】
生物学的実施例1および2に記載のアッセイを用いて、以下の結果を得た。
【表1】