(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106731
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】水田除草機
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011145
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】507087007
【氏名又は名称】株式会社 ごはん
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】大島 知美
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA07
2B034BB01
2B034BC05
2B034HA11
2B034HB02
2B034HB23
2B034HB27
(57)【要約】
【課題】常に走行による土壌抵抗によって転動回転する回転速度よりもやや速い掻き出し回転速度で回転させて除草することができるなど極めて画期的な水田除草機を提供すること。
【解決手段】水田に条植えされている苗2周辺の雑草を掻き出し除草する回転掻き出し除草部3を回転させる回転駆動機構7は、走行基体1が走行することで回転する走行回転輪9の回転力を回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構8で構成し、この走行回転輪回転伝達機構8は、前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数より早い回転数となるように構成したことを特徴とする水田除草機。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田を走行する走行基体に、水田に条植えされている苗周辺の雑草を掻き出し除草する回転掻き出し除草部と、この掻き出された雑草に土壌を被せてまたは土壌に埋めて雑草を枯れさせる回転土壌被せ除草部とが備えられていて、
前記回転掻き出し除草部は、傾斜した回転軸を軸に回転する雑草掻き出し回転部で構成されているとともに、この雑草掻き出し回転部の回転面は回転軸の傾斜により前記苗の根本に向かって下がり傾斜していて、この雑草掻き出し回転部がこの回転面の下方に位置する際に前記苗周辺の土壌に潜り込み掻き上げてこの苗周辺の雑草を掻き出す構成とされていて、
前記回転土壌被せ除草部は、前記回転掻き出し除草部の後方に位置していて、左右方向の回転軸を軸に回転する土壌掻き上げ回転部で構成されているとともに、この土壌掻き上げ回転部の回転面は上下方向でこの土壌掻き上げ回転部がこの回転面の下方に位置する際に土壌に潜り込み土壌を掻き上げて、前記回転掻き出し除草部により掻き出された雑草にこの掻き上げた土壌を被せまたは土壌に埋めて枯れさせる構成とされている水田除草機であって、
前記回転掻き出し除草部には、前記雑草掻き出し回転部を回転させる回転駆動機構が設けられていて、この回転駆動機構は、前記走行基体が走行することで回転する走行回転輪の回転力を前記雑草掻き出し回転部の回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構で構成されていて、
この走行回転輪回転伝達機構は、前記雑草掻き出し回転部の回転数が、前記走行回転輪の回転数より早い回転数となる回転伝達機構で構成されていることを特徴とする水田除草機。
【請求項2】
前記回転掻き出し除草部の前記回転駆動機構は、前記走行基体の走行車輪とは別に前記走行基体が走行することで回転する前記走行回転輪が前記走行基体に設けられていて、この走行回転輪は土壌底面に接地していて走行に伴って転動回転する構成とされていて、この走行回転輪の回転力を前記雑草掻き出し回転部の回転駆動力として伝達させる前記走行回転輪回転伝達機構で構成されていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機。
【請求項3】
前記回転掻き出し除草部の前記回転駆動機構を構成している前記走行回転輪回転伝達機構は、前記走行回転輪の回転軸と前記雑草掻き出し回転部の前記回転軸との間に設けられるプーリー間に掛け回される伝達ベルトまたは伝達歯車で構成されていて、この伝達ベルトを掛け回す前記プーリーの径または前記伝達歯車の歯数の設定による回転伝達比率の設定により、前記雑草掻き出し回転部の回転数が、前記走行回転輪の回転数より早い回転数となる構成の前記回転伝達機構で構成されていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機。
【請求項4】
土壌底部である水田底部または水田水面を滑走して前記回転掻き出し除草部を所定高さに保持するそり部が左右に設けられていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田を走行させて水面や水中の雑草を掻き出して、引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめて、さらに土壌を被せて枯れさせ、除草する(抑草する)水田除草機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで様々な除草機が開発されてきたが、たとえば出願人が開発した特許文献1のように、水田を走行させる乗用型の走行基体の後方に、抑草用あるいは除草用の棒状の垂下部を横方向に多数櫛状に並設した除草部を設け、これをけん引することで水面や水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめて、除草または抑草する水田除草機が好評である。
【0003】
また、たとえば特許文献2のように、水田を走行する走行基体に、除草用の棒状の垂下部を横方向に並設した線状除草部(タイン)を設けるとともに、さらに水田に条植えされている苗周辺の雑草を掻き出し除草する回転掻き出し除草部と、この掻き出された雑草に土壌を被せて枯れさせる回転土壌被せ除草部とを備えた構成の除草機も開発されている。
【0004】
すなわちこの除草機の前記回転掻き出し除草部は、傾斜した回転軸を軸に回転する雑草掻き出し回転部で構成するとともに、この雑草掻き出し回転部の回転面は回転軸の傾斜により前記苗の根本に向かって下がり傾斜していて、この雑草掻き出し回転部がこの回転面の下方に位置する際に前記苗周辺の土壌に潜り込みこの苗周辺の雑草を掻き出す構成とし、また前記回転土壌被せ除草部は、前記回転掻き出し除草部の後方に位置していて、左右方向の回転軸を軸に回転する土壌掻き上げ回転部で構成するとともに、この土壌掻き上げ回転部の回転面は上下方向でこの土壌掻き上げ回転部がこの回転面の下方に位置する際に土壌に潜り込み土壌を掻き上げて、前記回転掻き出し除草部により掻き出された雑草をさらに掻き上げるとともにこの雑草に掻き上げた土壌を被せるなどして枯れさせる構成とした水田抑草除草機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5449519号公報
【特許文献2】特開2006-340652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような除草機の前記回転掻き出し除草部は、単に走行基体が走行することで土壌の抵抗を受け雑草掻き出し回転部が転動して雑草を掻き出し除草する構成であるため、水田を走行する走行基体の走行速度が遅いとその掻き出し回転速度も遅くなるから、雑草掻き出し除草能力が劣ることになる。また土壌が固く抵抗が大きかったり、泥の付着などで回転がスムーズにいかないと走行に際して雑草掻き出し回転部が転動せずに引きずられるだけとなってしまい雑草を掻き出さないおそれもある。
【0007】
一方エンジンなどから動力を取得して強制的に雑草掻き出し回転部を高速回転させるように構成することも可能ではあるが、製作コストがかかるだけでなく、走行速度に比して回転がかなり速くなると苗までを損傷させるおそれがあるし、この掻き出し速度を逆に低速に設定してしまうと水田を高速で走行させたい場合には雑草掻き出し除草能力が不十分となる。そのため、走行基体の走行速度に応じて回転速度を調整できる構成にしなければならず、一層製作コストがかかるし、またその調整操作も厄介となる。
【0008】
本発明は、このような技術課題を見出し、これを解決するもので、常に走行基体の走行速度に応じて雑草を掻き出し除草する雑草掻き出し回転部の掻き出し回転速度が自動調整されて、常に走行による土壌抵抗によって転動回転する回転速度よりもやや速い掻き出し回転速度で回転させることができ、そのため常に自動的に走行速度に応じた適正な雑草掻き出し除草能力を保持でき、また簡易な構成と調整設定(回転伝達機構の設計)により実現できるなど極めて画期的な水田除草機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
本発明は、水田を走行する走行基体1に、水田に条植えされている苗2周辺の雑草を掻き出し除草する回転掻き出し除草部3と、この掻き出された雑草に土壌を被せてまたは土壌に埋めて雑草を枯れさせる回転土壌被せ除草部4とが備えられていて、前記回転掻き出し除草部3は、傾斜した回転軸を軸に回転する雑草掻き出し回転部5で構成されているとともに、この雑草掻き出し回転部5の回転面は回転軸の傾斜により前記苗2の根本に向かって下がり傾斜していて、この雑草掻き出し回転部5がこの回転面の下方に位置する際に前記苗2周辺の土壌に潜り込み掻き上げてこの苗2周辺の雑草を掻き出す構成とされていて、前記回転土壌被せ除草部4は、前記回転掻き出し除草部3の後方に位置していて、左右方向の回転軸を軸に回転する土壌掻き上げ回転部6で構成されているとともに、この土壌掻き上げ回転部6の回転面は上下方向でこの土壌掻き上げ回転部6がこの回転面の下方に位置する際に土壌に潜り込み土壌を掻き上げて、前記回転掻き出し除草部3により掻き出された雑草にこの掻き上げた土壌を被せまたは土壌に埋めて枯れさせる構成とされている水田除草機であって、前記回転掻き出し除草部3には、前記雑草掻き出し回転部5を回転させる回転駆動機構7が設けられていて、この回転駆動機構7は、前記走行基体1が走行することで回転する走行回転輪9の回転力を前記雑草掻き出し回転部5の回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構8で構成されていて、この走行回転輪回転伝達機構8は、前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数より早い回転数となる回転伝達機構で構成されていることを特徴とする水田除草機に係るものである。
【0011】
また前記回転掻き出し除草部3の前記回転駆動機構7は、前記走行基体1の走行車輪10とは別に前記走行基体1が走行することで回転する前記走行回転輪9が前記走行基体1に設けられていて、この走行回転輪9は土壌底面に接地していて走行に伴って転動回転する構成とされていて、この走行回転輪9の回転力を前記雑草掻き出し回転部5の回転駆動力として伝達させる前記走行回転輪回転伝達機構8で構成されていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機に係るものである。
【0012】
また前記回転掻き出し除草部3の前記回転駆動機構7を構成している前記走行回転輪回転伝達機構8は、前記走行回転輪9の回転軸と前記雑草掻き出し回転部5の前記回転軸との間に設けられるプーリー13間に掛け回される伝達ベルト11または伝達歯車12で構成されていて、この伝達ベルト11を掛け回す前記プーリー13の径または前記伝達歯車11の歯数の設定による回転伝達比率の設定により、前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数より早い回転数となる構成の前記回転伝達機構で構成されていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機に係るものである。
【0013】
また土壌底部である水田底部または水田水面を滑走して前記回転掻き出し除草部3を所定高さに保持するそり部14が左右に設けられていることを特徴とする請求項1記載の水田除草機に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、常に走行基体の走行速度に応じて雑草を掻き出し除草する雑草掻き出し回転部の掻き出し回転速度が自動調整されて、常に走行による土壌抵抗によって転動回転する回転速度よりもやや速い掻き出し回転速度で回転させることができ、そのため常に自動的に走行速度に応じた適正な雑草掻き出し除草能力を保持でき、また簡易な構成と調整設定(回転伝達機構の設計)により実現できるなど極めて画期的な水田除草機となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】本実施例の走行回転輪回転伝達機構を示す概略説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
水田を走行しながら走行基体1に設けた回転掻き出し除草部3を回転させて、水田に条植えされている苗2周辺の雑草を掻き出し除草する。
【0018】
この回転掻き出し除草部3は、傾斜した回転軸を軸に雑草掻き出し回転部5が回転する構成で回転面はこの回転軸の傾斜により苗2の根本に向かって下がり傾斜しているため、この雑草掻き出し回転部5の先端部がこの回転面の下方に位置する際に苗2周辺の土壌に潜り込み掻き上げてこの苗2周辺の雑草を掻き出すことになる。
【0019】
さらに走行基体1の後方には、この回転掻き出し除草部3よりこの掻き出された雑草に土壌を被せてまたは土壌に埋めて雑草を枯れさせる回転土壌被せ除草部4が備えられていて、左右方向の回転軸を軸に土壌掻き上げ回転部6が回転し回転面は上下方向であるため、この土壌掻き上げ回転部6の周端部がこの回転面の下方に位置する際に土壌に潜り込み土壌を掻き上げて、雑草をさらに掻き出したり、前記回転掻き出し除草部3により掻き出された雑草にこの掻き上げた土壌を被せたり、混ぜて埋もれさせたりして、雑草を枯れさせることができる。
【0020】
本発明は、このような水田除草機において、前記回転掻き出し除草部3の前記雑草掻き出し回転部5を回転させる回転駆動機構7を、走行基体1が走行することで回転する走行回転輪9、すなわち走行車輪10またはこれとは別に走行基体1に設けた走行回転輪9の回転力を前記雑草掻き出し回転部5の回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構8で構成している。そのため、走行にともなって走行回転輪9が回転することでこの回転力が伝達されて自動的に前記雑草掻き出し回転部5が強制回転することとなる。
【0021】
さらに本発明は、この走行回転輪回転伝達機構8は、前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数より早い回転数となるように設計された回転伝達機構で構成している。そのため、走行にともなって走行回転輪9が回転することで常に自動的にこの回転数よりたとえば適度に早い回転数(回転速度)で前記雑草掻き出し回転部5が回転することとなる。
【0022】
したがって、前記回転掻き出し除草部3の雑草掻き出し回転部5は、単に走行基体1が走行することで土壌の抵抗を受け転動するのではなく、常にこれよりやや早く強制的に回転して雑草を掻き出し除草する構成であるため、走行基体1の走行速度が遅いとその掻き出し回転速度も遅くなって雑草掻き出し除草能力が劣ってしまうことはなく、また土壌が固く抵抗が大きかったり、泥の付着などで回転がスムーズにいかないと走行に際して雑草掻き出し回転部5が転動せずに引きずられるだけとなって掻き出さないおそれもほとんどない。
【0023】
ゆえに、本発明は、走行基体1の走行速度に応じて常にこれより早い回転速度で雑草掻き出し回転部5が回転する、すなわち常に自動的に掻き出し回転速度が適正な速度に自動調整されることとなる。言い換えると、走行速度による土壌抵抗による転動回転よりやや速い掻き出し回転速度で常に雑草掻き出し回転部5を回転させることができるから、常に走行速度に応じた適正な雑草掻き出し除草能力を保持でき、また簡易な構成でこれを実現できる極めて画期的な水田除草機となるものである。
【実施例0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、乗座部15と走行操作部16を備えた走行基体1の走行方向前部と後部左右に水田走行用の走行車輪10を設け、この乗座部15に乗座し走行操作部16を操作して走行車輪10の全部または一部をエンジンやモーターなどの動力原により駆動し、また走行速度、走行方向、除草部の昇降などを制御して、水田の苗2植え条間の雑草を除草、抑草する乗用型の水田除草機に本発明を適用したものである。
【0026】
具体的には、走行基体1に、水田に条植えされている苗2植え条間の雑草を掻き出し除草する回転掻き出し除草部3を、苗2位置をはさんで横方向に対向状態に設け、この一対の回転掻き出し除草部3を横方向に複数対設けた構成とし、さらにこの後方に苗2植え条間の雑草を掻き出し除草したり、これら掻き出された雑草に土壌を被せたり、土壌中に埋め込んだりかき混ぜたりして、雑草を枯れさせることとなる回転土壌被せ除草部4を、苗2位置を避けるように横方向に複数並設状態に設けた構成としている。
【0027】
本実施例の前記回転掻き出し除草部3は、傾斜した回転軸を軸に回転する回転中心部に特殊掻き出し形状に設計された掻き出し羽部を放射方向に多数突設した構成の雑草掻き出し回転部5で構成し、この雑草掻き出し回転部5の回転面は回転軸の傾斜により前記苗2の根本に向かって下がり傾斜していて、この雑草掻き出し回転部5がこの回転面の下方に位置する際に掻き出し羽部の先端部あるいは下部が回転により前記苗2周辺の土壌に潜り込み浮上することを次々と繰り返すことで、この苗2周辺の土壌の雑草を掻き出す構成としている。
【0028】
また本実施例では、この苗2をはさんで対向する一対の雑草掻き出し回転部5の回転軸が逆ハ字状に傾き苗2根本近辺を左右から掻き出し除草できるように構成している。すなわち、この雑草掻き出し回転部5(回転掻き出し除草部3)をその回転軸を傾けて横方向に対向状態に並設した構成とし、さらにこの一対の雑草掻き出し回転部5が、苗2植え付け条数に対応するようにして複数対設けた構成としている。
【0029】
また前記回転土壌被せ除草部4は、前記回転掻き出し除草部3の後方であって苗2植え付け条間に位置し、苗2位置を避けるように横方向に複数並設している。具体的には左右方向の回転軸を軸に回転する土壌掻き上げ回転部6で構成し、この土壌掻き上げ回転部6の回転面は上下方向でこの土壌掻き上げ回転部6がこの回転面の下方に位置する際に、回転により下方に位置する周端部が土壌に潜り込み土壌を掻き上げて、前記回転掻き出し除草部3により掻き出された雑草にこの掻き上げた土壌を被せたり、土壌に埋めるなどして雑草を枯れさせる構成としている。
【0030】
さらに説明すると、この回転土壌被せ除草部4を構成している土壌掻き上げ回転部6は垂下牽引され土壌の抵抗を受けて転動する籠車状回転部に構成したものであって、走行基体1後方に吊り下げ垂下した取付基体19に籠車状回転部を回転自在に垂下した構成、すなわち横設した取付基体19に対して対向状態にして回転自在に保持された左右部20間に、籠を形成するようにそれぞれが周端部となる多数の土壌掻き上げ棒状部21を間隔をおいて架設した構成とし、この各土壌掻き上げ棒状部21が走行基体1の走行により土壌の抵抗を受けて前後方向に籠が回るように回転する構成としている。
【0031】
すなわち、回転軸は左右方向で回転面は上下方向となるこの籠車状回転部である土壌掻き上げ回転部6が土壌の抵抗を受けて回転することで、この土壌掻き上げ回転部6である多数の土壌掻き上げ棒状部21が順次土壌の中に潜り込み浮上するように回転することとなり、苗2植え付け条間の雑草をさらに掻き出したり、前記回転掻き出し除草部3により掻き出された雑草にこの掻き上げた土壌を被せたり、混ぜて埋もれさせたりして、雑草を枯れさせることができるように構成している。
【0032】
また本実施例では、前記回転掻き出し除草部3には、前記雑草掻き出し回転部5を回転させる回転駆動機構7を設け、この回転駆動機構7は、前記走行基体1が走行することで回転する走行回転輪9の回転力を前記雑草掻き出し回転部5の回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構8で構成している。
【0033】
そして本実施例では、この走行回転輪回転伝達機構8を、前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数よりやや早い回転数となる回転伝達機構で構成している。
【0034】
具体的には、前記回転掻き出し除草部3の前記回転駆動機構7は、前記走行基体1の走行車輪10を前記走行回転輪9としてもよいが、本実施例では走行車輪10とは別に前部左右に設けた接地輪を回転動力取得専用の前記走行回転輪9とし、走行基体1が走行することで走行車輪10ともにこの専用の接地輪である前記走行回転輪9が回転し、すなわちこの走行回転輪9が土壌底面に接地していて走行に伴って転動回転し、この走行回転輪9の回転力を前記雑草掻き出し回転部5の回転駆動力として伝達させる走行回転輪回転伝達機構8を設け、この前部左右の走行回転輪9を回転駆動原とした構成としている。
【0035】
さらに説明すれば、本実施例では前記回転掻き出し除草部3の前記回転駆動機構7を構成している前記走行回転輪伝達機構8は、前記走行回転輪9の回転軸と前記雑草掻き出し回転部5の前記回転軸との間に設けられるプーリー13間に掛け回される伝達ベルト11または伝達歯車12で構成し、この伝達ベルト11を掛け回す前記プーリー13の径や伝達歯車12の径や歯数の設定による回転伝達比率の設定により、前記前記雑草掻き出し回転部5の回転数が、前記走行回転輪9の回転数より早い回転数となる構成の前記回転伝達機構としている。
【0036】
具体的には、本実施例では前部に設けた走行回転輪9の回転軸に大径のプーリー13を設け、その後方に横架設した伝達横架回転軸18に小径のプーリー13を設け、このプーリー13間に伝達ベルト11を掛け回して回転力を伝達する構成とし、本実施例ではこのプーリー13の径比の設定により伝達する回転数を簡単に機械的に設定することで、走行回転輪9の回転速度よりやや早い速度に調整設定できるように構成している。
【0037】
また本実施例では、この走行回転輪9の走行転動により伝達ベルト11を介して所定の伝達回転数で回転する前記伝達横架回転軸18の前記回転掻き出し除草部3を構成する雑草掻き出し回転部5にそれぞれ対応する位置に、伝達歯車12を設け、この上下方向に回転する伝達歯車12に、前記伝達歯として周方向に間隔を置いて板状の伝達板22を複数設け、この各伝達板22間に、雑草掻き出し回転部5の各掻き出し羽部の先端部が介存するように構成し、この伝達横架回転軸18に設けた各伝達歯車12が上下方向に回転することで各伝達板22が回転し、これにより各雑草掻き出し回転部5が伝達回転するように構成している。
【0038】
したがって、本実施例ではこのように回転掻き出し除草部3の回転駆動機構7を構成する走行回転輪回転伝達機構8を構成したことで、走行することで単に土壌の抵抗を受けて転動する回転速度よりもやや速い適正な回転速度で、回転掻き出し除草部3を常に強制回転でき、しかも走行回転輪9の回転を駆動原とし、また簡易な回転伝達機構で走行回転輪9の回転速度よりやや早い回転速度で回転するように構成できるため、製作容易で量産性に優れコスト高ともならず、しかもこのような常にこのような適正な回転速度で回転させることができ、さらにはこの回転速度の調整設定もたとえば各プーリー13の径比の設定で行えるため設計製作も容易となるなど極めて実用性に優れた水田除草機となるものである。
【0039】
また本実施例では、土壌底部である水田底部または水田水面を滑走して前記回転掻き出し部3を所定高さに保持するそり部14を左右に設けた構成としている。そのため常に回転掻き出し部3の高さ、すなわち土壌に潜り込ませる深さを適正に保つことができ、苗2の根に損傷を与えることなくこれより浅いところの雑草を効果的に掻き出すことができるように構成している。
【0040】
また本実施例では、引きずることで雑草を引き抜いたり掻き出したり損傷を与える線体状の除草線部17をそり部14の左右に付設し、さらに除草効果を高めるとともに、雑草を回転掻き出し部3の掻き出し位置や回転土壌被せ除草部4の土壌被せ位置に、雑草を誘導させるなどの作用効果も果たすように構成している。
【0041】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成などは適宜設計し得るものである。