(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106850
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】捲り装置
(51)【国際特許分類】
B42D 9/04 20060101AFI20240801BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B42D9/04 Z
B65H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011318
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 和哉
(72)【発明者】
【氏名】花谷 純次
(72)【発明者】
【氏名】勝田 修弘
(72)【発明者】
【氏名】藤村 茂長
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB04
3F048BA13
3F048BB05
3F048DA04
3F048DB11
3F048DC00
3F048DC13
3F048DC14
3F048DC20
3F048EB13
(57)【要約】
【課題】吸着部における最上の用紙の吸着不良を抑制しつつ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知可能とする。
【解決手段】捲り装置は、重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子の最上の用紙がその次の用紙から分離された状態で、前記最上の用紙を吸着する吸着部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙を捲る捲り部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙に対して信号を送信する送信部と、前記送信部から送信され前記最上の用紙を通過した信号を受信する受信部と、を有し、前記送信部及び前記受信部の一方が前記吸着部に取り付けられ、前記送信部及び前記受信部の他方が、前記最上の用紙が前記吸着部に吸着される際に前記吸着部に対して相対移動する前記最上の用紙に対して非接触となる位置に配置され、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する検知部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記冊子の最上の用紙がその次の用紙から分離された状態で、前記最上の用紙を吸着する吸着部と、
前記吸着部に吸着された最上の用紙を捲る捲り部と、
前記吸着部に吸着された最上の用紙に対して信号を送信する送信部と、前記送信部から送信され前記最上の用紙を通過した信号を受信する受信部と、を有し、前記送信部及び前記受信部の一方が前記吸着部に取り付けられ、前記送信部及び前記受信部の他方が、前記最上の用紙が前記吸着部に吸着される際に前記吸着部に対して相対移動する前記最上の用紙に対して非接触となる位置に配置され、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する検知部と、
を備える捲り装置。
【請求項2】
前記吸着部は、下方側へ向けて開口し前記最上の用紙を吸着する吸着口が形成された筐体、を有し、
前記一方は、前記受信部であり、
前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に対向する対向位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている
請求項1に記載の捲り装置。
【請求項3】
前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に接触する接触位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている
請求項2に記載の捲り装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記吸着口の内側に配置されている
請求項2に記載の捲り装置。
【請求項5】
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に取り付けられている
請求項4に記載の捲り装置。
【請求項6】
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に対して隙間を有して、前記筐体に取り付けられている
請求項4に記載の捲り装置。
【請求項7】
前記受信部は、前記吸着口の外側に配置されている
請求項2に記載の捲り装置。
【請求項8】
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の短手方向の端部であって前記小口側に配置された壁の外面に取り付けられている
請求項7に記載の捲り装置。
【請求項9】
前記一方は、前記受信部であり、
前記他方は、前記送信部であり、
前記送信部の送信方向が、前記受信部の受信感度範囲内において、前記受信部の受信面に対して傾斜している
請求項1に記載の捲り装置。
【請求項10】
前記検知部は、
前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知する吸着検知部、を有し、
前記吸着検知部が前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知すると、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着の検知を実行する
請求項1に記載の捲り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捲り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、重ね合わされた複数枚のページの一端が綴じ部で綴じられた冊子のページを、1ページずつめくるページめくり機構において、冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部で保持された最上ページの一部を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を、冊子の自由端から綴じ部方向又はこれと反対方向に移動させる移動手段と、前記最上ページの一部と接触する接触部材と、前記保持部で保持された冊子の最上ページの一部を前記押圧部材で押圧させた状態で、前記接触部材を前記最上ページの前記押圧部材で押圧している位置よりも自由端側に接触させて、前記最上ページを前記冊子の綴じ部方向に移動させて、前記最上ページを前記押圧部材と接触部材との間で上方に膨出させることで、前記最上ページと次ページとを分離するページ分離手段と、前記ページ分離手段が分離した最上ページをめくるページめくり手段と、前記ページ分離手段で上方に膨出させたページの状態を検知するページ状態検知手段と、前記ページ状態検知手段の検知結果に基づいて、前記押圧部材による最上ページの押圧位置を決定して、当該ページの押圧位置に基づいて前記移動手段を再び作動させ、且つ前記ページ分離手段を再び作動させる、或いは、前記ページめくり手段を作動させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とするページめくり機構が開示されている。
【0003】
特許文献2には、重ね合わされた複数枚のページの一端が綴じ部で綴じられた冊子のページを、1ページずつめくるページめくり装置において、冊子を見開き状態で保持する保持手段と、前記保持手段で保持された冊子の最上のページと次ページを分離するページ分離手段と、前記ページ分離手段が分離した最上のページをめくるページめくり手段と、前記ページ分離手段及び前記ページめくり手段の一方に取り付けられ、前記分離されたページの重送を検知する重送検知手段と、前記重送検知手段の検知結果に基づき、前記ページ分離手段及び前記ページめくり手段の制御を行う制御手段と、を有することを特徴とするページめくり装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-214614号公報
【特許文献2】特開2010-228351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
捲り装置としては、重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子の最上の用紙がその次の用紙から分離された状態で、前記最上の用紙を吸着する吸着部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙を捲る捲り部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙に対して信号を送信する送信部と、前記送信部から送信され前記最上の用紙を通過した信号を受信する受信部と、を有し、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する検知部と、を備える捲り装置が考えられる。
【0006】
当該捲り装置において、送信部及び受信部の一方が吸着部に取り付けられ、送信部及び受信部の他方が、最上の用紙が吸着部に吸着される際に吸着部に対して相対移動する最上の用紙に接触する接触位置に配置されている場合では、当該他方が最上の用紙と干渉し、吸着部における最上の用紙の吸着動作が妨げられる場合がある。
【0007】
本開示は、送信部及び受信部の一方が吸着部に取り付けられ、送信部及び受信部の他方が、最上の用紙が吸着部に吸着される際に吸着部に対して相対移動する最上の用紙に接触する接触位置に配置されている場合に比べ、吸着部における最上の用紙の吸着不良を抑制しつつ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様は、重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子の最上の用紙がその次の用紙から分離された状態で、前記最上の用紙を吸着する吸着部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙を捲る捲り部と、前記吸着部に吸着された最上の用紙に対して信号を送信する送信部と、前記送信部から送信され前記最上の用紙を通過した信号を受信する受信部と、を有し、前記送信部及び前記受信部の一方が前記吸着部に取り付けられ、前記送信部及び前記受信部の他方が、前記最上の用紙が前記吸着部に吸着される際に前記吸着部に対して相対移動する前記最上の用紙に対して非接触となる位置に配置され、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する検知部と、を備える。
【0009】
第2態様では、第1態様において、前記吸着部は、下方側へ向けて開口し前記最上の用紙を吸着する吸着口が形成された筐体、を有し、前記一方は、前記受信部であり、前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に対向する対向位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている。
【0010】
第3態様では、第2態様において、前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に接触する接触位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている。
【0011】
第4態様では、第2態様において、前記受信部は、前記吸着口の内側に配置されている。
【0012】
第5態様では、第4態様において、前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に取り付けられている。
【0013】
第6態様では、第4態様において、前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に対して隙間を有して、前記筐体に取り付けられている。
【0014】
第7態様では、第2態様において、前記受信部は、前記吸着口の外側に配置されている。
【0015】
第8態様では、第7態様において、前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の短手方向の端部であって前記小口側に配置された壁の外面に取り付けられている。
【0016】
第9態様では、第1態様において、前記一方は、前記受信部であり、前記他方は、前記送信部であり、前記送信部の送信方向が、前記受信部の受信感度範囲内において、前記受信部の受信面に対して傾斜している。
【0017】
第10態様では、第1態様において、前記検知部は、前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知する吸着検知部、を有し、前記吸着検知部が前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知すると、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着の検知を実行する。
【発明の効果】
【0018】
第1態様の構成によれば、送信部及び受信部の一方が吸着部に取り付けられ、送信部及び受信部の他方が、最上の用紙が吸着部に吸着される際に吸着部に対して相対移動する最上の用紙に接触する接触位置に配置されている場合に比べ、吸着部における最上の用紙の吸着不良を抑制しつつ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知可能となる。
【0019】
第2態様の構成によれば、受信部が筐体とは異なる箇所に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0020】
第3態様の構成によれば、受信部の受信面が、吸着口に吸着された最上の用紙に対して離隔する離隔位置で受信部が筐体に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0021】
第4態様の構成によれば、受信部が、吸着口の外側に配置されている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0022】
第5態様の構成によれば、受信部が、筐体における吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に対して隙間を有して筐体に取り付けられている場合に比べ、受信部を筐体に取り付ける際の取付点を増やすことができる。
【0023】
第6態様の構成によれば、受信部が、筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0024】
第7態様の構成によれば、受信部が、吸着口の内側に配置されている場合に比べ、受信部の筐体への取付位置の自由度が高くなる。
【0025】
第8態様の構成によれば、受信部が、筐体における吸着口の短手方向の端部であって小口側とは反対側に配置された壁の外面に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0026】
第9態様の構成によれば、送信部の送信方向が、受信部の受信面に対して直交する場合に比べ、送信部の配置の自由度が高い。
【0027】
第10態様の構成によれば、吸着部への最上の用紙の吸着を検知する吸着検知部の検知結果によらず、吸着部への用紙の複数枚の吸着の検知を実行する場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態に係る捲り装置を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る捲り装置において、吸着部が最上用紙を吸着した状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る吸着部を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る吸着部を下方側から見上げた場合を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る吸着部を示す概略図である。
【
図6】本実施形態に係る吸着部の筐体を示す底面図である。
【
図7】
図5に示される吸着部において、筒体の下端部における開口が最上用紙にて塞がれた状態を示す概略図である。
【
図8】
図7に示される吸着部において、筒体が上昇した状態を示す概略図である。
【
図9】本実施形態に係る捲り装置において、捲り部が最上用紙を捲った状態を示す斜視図である。
【
図10】本実施形態に係る捲り装置における送風領域及び上方側送風領域を示す概略図である。
【
図11】
図4に示される捲り装置において、吸着部が最上用紙を吸着した状態を示す概略図である。
【
図12】
図5に示される捲り装置において、最上用紙を吸着した吸着部を上方へ移動させた状態を示す概略図である。
【
図13】
図6に示される捲り装置において、最上用紙を捲った状態を示す概略図である。
【
図14】受信部の配置位置を変えた変形例を示す底面図である。
【
図15】受信部の配置位置を変えた変形例を示す底面図である。
【
図16】受信部の配置位置を変えた変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0030】
<捲り装置10>
まず、本実施形態に係る捲り装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る捲り装置10の構成を示す概略図である。
【0031】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方を示し、矢印DOは、装置の下方を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0032】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0033】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部分同士の上下方向、左右方向、前後方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0034】
図1に示される捲り装置10は、冊子90における用紙99を捲る装置である。冊子90は、重ね合わされた複数枚の用紙99の一端が綴じられたものである。冊子90としては、例えば、書籍、パンフレットなどが挙げられる。なお、用紙99は、後述の最上用紙94及び次用紙95を含む複数枚の用紙である。
【0035】
捲り装置10は、具体的には、
図1に示されるように、保持部20と、分離部30と、吸着部80と、移動機構44と、検知部70(
図3参照)と、捲り部50と、仕切部12と、撮像部60と、を備えている。以下、捲り装置10の各部(具体的には、保持部20、分離部30、吸着部80、移動機構44、検知部70、捲り部50、仕切部12、及び撮像部60)について説明する。
【0036】
<保持部20>
保持部20は、冊子90を見開き状態で保持する構成部である。具体的には、保持部20は、
図1に示されるように、冊子90の表紙91を保持する第一保持部21と、冊子90の裏表紙92を保持する第二保持部22と、冊子90の背表紙93を保持する第三保持部23と、を有している。
【0037】
冊子90は、見開き状態にて、表紙91が第一保持部21に載せられ、裏表紙92が第二保持部22に載せられ、背表紙93が第三保持部23に載せられる。このように、見開き状態にて第一保持部21、第二保持部22及び第三保持部23に載せられた冊子90は、例えば、第一保持部21に設けられたクリップ等の固定部(図示省略)によって、表紙91が第一保持部21に固定され、第二保持部22に設けられたクリップ等の固定部(図示省略)によって、裏表紙92が第二保持部22に固定される。
【0038】
<分離部30>
分離部30は、保持部20に保持された冊子90に対し、その側方側から送風して最上の用紙94(以下、最上用紙94という)とその次の用紙95(以下、次用紙95という)を分離する構成部である。
【0039】
分離部30は、具体的には、
図1に示されるように、第一送風部31と、第二送風部32と、第三送風部33と、を有している。なお、
図1では、第一送風部31と第二送風部32とは前後方向に重なって配置されている。
【0040】
第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33は、仕切部12に対する下方側に配置されている。第一送風部31は、保持部20に保持された冊子90の前方側に配置されている。第二送風部32は、保持部20に保持された冊子90の後方側に配置されている。第三送風部33は、保持部20に保持された冊子90の右方側に配置されている。
【0041】
第一送風部31は、仕切部12に対する下方側において冊子90へ送風する送風領域31Aを有しており、
図2の矢印31Sに示されるように、冊子90へ向かって後方側へ送風する。本実施形態では、第一送風部31は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、第一送風部31としては、遠心送風機(例えばシロッコファン)などの送風機であってもよく、冊子90へ送風する構成部であればよい。
【0042】
第二送風部32は、
図1に示されるように、仕切部12に対する下方側において冊子90へ送風する送風領域32Aを有しており、
図2の矢印32Sに示されるように、冊子90へ向かって前方側へ送風する。本実施形態では、第二送風部32は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、第二送風部32としては、遠心送風機(例えばシロッコファン)などの送風機であってもよく、冊子90へ送風する構成部であればよい。
【0043】
第三送風部33は、
図1に示されるように、仕切部12に対する下方側において冊子90へ送風する送風領域33Aを有しており、
図2の矢印33Sに示されるように、冊子90へ向かって左方側へ送風する。第三送風部33は、具体的には、
図1に示されるように、例えば、供給部331と、ノズル332と、を有している。
【0044】
供給部331としては、例えば、空気をノズル332へ供給する送風機が用いられる。送風機としては、例えば、軸流送風機、及び遠心送風機(例えばシロッコファン)などが用いられる。なお、供給部331としては、送風機に限られず、エアコンプレッサー等、他の供給部を用いてもよい。
【0045】
ノズル332は、供給部331から供給された空気を冊子90の小口90Aに向かって吐出する。ノズル332は、例えば、冊子90の小口90Aに沿って開口している。なお、小口90Aとは、冊子90の背表紙93とは反対側の端部である。
【0046】
<吸着部80及び移動機構44>
吸着部80は、
図1及び
図2に示されるように、保持部20に保持された冊子90の最上用紙94が次用紙95から分離された状態で、最上用紙94を吸着する構成部である。本実施形態では、吸着部80は、分離部30によって分離された最上用紙94を吸着する。
【0047】
吸着部80は、
図3、
図4及び
図5に示されるように、吸着口81が形成された筐体82と、筒体83と、を有している。
【0048】
吸着口81は、最上用紙94を吸着する口部であり、下方側へ向けて開口している。本実施形態では、吸着口81は、
図6に示されるように、前後方向に沿って長さを有している。具体的には、吸着口81は、前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする長方形状に形成されている。当該前後方向は、冊子90の小口90Aに沿った幅方向の一例である。吸着部80では、吸着口81を通じて空気を吸引する吸引力により、最上用紙94を吸着する。
【0049】
筒体83は、吸着口81の周囲を囲む筒状であって、上下方向を軸方向とすると共に上下が開放された筒状に形成されている。この筒体83は、上下方向へ移動可能に筐体82に取り付けられている。本実施形態では、筒体83は、下端部が吸着口81から下方へ張り出す下方位置(
図3、
図4、
図5及び
図7に示される位置)と、下端部が筐体82の吸着口81と揃う上方位置(
図8に示される位置)と、の間を移動可能とされている。筒体83は、無負荷状態において、自重により、下方位置に位置する。
【0050】
さらに、本実施形態では、
図7に示されるように、筒体83の下端部における開口84が最上用紙94にて塞がれて筒体83の内部が閉じられると、空気の吸引により内部空間が負圧になることで、
図8に示されるように、筒体83が下方位置から上方位置へ上昇する。これにより、最上用紙94が、開口84及び吸着口81に吸着される。
【0051】
移動機構44(
図1参照)は、吸着部80を移動させる機構である。移動機構44は、最上用紙94を吸着した吸着部80を上方へ移動させることで、最上用紙94を次用紙95から離隔すると共に、最上用紙94における小口90Aを捲り部50の後述の上方側送風領域59へ移動させる(
図12参照)。換言すれば、本実施形態では、最上用紙94を吸着した吸着部80を移動機構44が上方へ移動させることで、当該最上用紙94を後述の上方側送風領域59に位置させる。移動機構44としては、吸着部80を上下方向に移動させるシリンダーなどの機構を用いることが可能である。なお、移動機構44が、吸着部80を移動させる方向は、真上方向に限られず、左斜め上方向であってもよい。
【0052】
なお、筒体83は、前後左右の板(壁)が、一体で構成されたものであってもよいし、別体で形成されたものを組み付けて構成したものであってもよい。筒体83は、一例として、例えば、左方側及び前方側の板を有する平面視L字状の部材と、右方側及び後方側の板を有する平面視L字状の部材と、を組み付けることで筒体83が構成することが可能である(
図3参照)。
【0053】
<検知部70>
検知部70は、吸着部80への用紙99の複数枚の吸着(以下、複数枚吸着という)を検知する構成部である。検知部70は、
図4及び
図5に示されるように、一対の送信部71と、一対の受信部72と、一対の吸着検知部73と、を有している。送信部71は、
図8に示されるように、吸着部80に吸着された最上用紙94に対して信号を送信する。受信部72は、送信部71から送信され、最上用紙94を通過した信号を受信する。
【0054】
本実施形態では、当該信号の一例として、レーザ光が用いられる。すなわち、本実施形態では、送信部71と受信部72とで構成される透過型のレーザ式光センサが用いられる。検知部70では、送信部71として、例えば、半導体レーザ等の発光部が用いられ、受信部72として、例えば、フォトダイオード等の受光部が用いられる。
【0055】
検知部70では、
図4及び
図5に示されるように、一対の受信部72が、吸着部80に取り付けられている。具体的には、一対の受信部72は、吸着口81の内側に配置されている。さらに具体的には、
図8に示されるように、受信部72の受信面72Aが、吸着口81に吸着された最上用紙94に対向する対向位置(具体的には、最上用紙94に接触する接触位置)で、一対の受信部72が筐体82に取り付けられている。受信面72Aは、受信部72の下面を構成し、送信部71からのレーザ光を受光する。なお、受信部72の受信面72Aは、吸着口81に吸着された最上用紙94に対して必ずしも接触している必要はなく、受信面72Aは当該最上用紙94に対して隙間を有して対向していてもよい。
【0056】
本実施形態では、一対の受信部72の各々は、
図6に示されるように、筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の各々の内面85Aに取り付けられている。一対の受信部72の各々は、さらに、筐体82の左右の壁88、89の内面88A、89Aの各々に取り付けられている。
【0057】
一方、送信部71は、
図3、
図4及び
図5に示されるように、吸着口81の外側に配置されている。具体的には、送信部71は、筐体82に対する右方側であって、最上用紙94が吸着部80(具体的には、吸着口81)に吸着される際に、吸着部80に対して相対移動する最上用紙94に対して非接触となる位置に配置されている。
【0058】
本実施形態では、筐体82の上部から下方へ延び出た取付部材79に対して、送信部71が取り付けられている。以上のように、本実施形態では、受信部72と送信部71とが、筐体82に対して取り付けられ、筐体82と一体に移動する構成とされている。さらに、送信部71の送信方向(矢印S方向)は、
図5に示されるように、受信部72の受信感度範囲内において、受信部72の受信面72Aに対して傾斜している。なお、本実施形態では、送信部71からのレーザ光は、直線状に受信部72へ入射される。
【0059】
検知部70では、吸着部80へ吸着された用紙99が複数枚である場合に、送信部71からの信号(本実施形態では光量)が、用紙99で減衰することを利用して複数枚吸着を検知する。また、検知部70では、前述のように、受信部72及び送信部71が2組設けられ、最上用紙94における2か所で、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を行う。
【0060】
吸着検知部73は、吸着部80への最上用紙94の吸着を検知する構成部である。吸着検知部73としては、筒体83が上方位置へ位置することを検知することで、吸着部80への最上用紙94の吸着を検知する検知センサを用いることが可能である。
【0061】
当該検知センサでは、例えば、送信部と受信部を有し、送信部が、筒体83の上方位置へ信号を送信し、受信部が、筒体83の上方位置への上昇による当該信号の変化を検知することで、筒体83が上方位置へ位置することを検知する。当該検知センサとしては、例えば、反射型又は透過型の光センサ、超音波センサ、その他のセンサを用いることが可能である。
【0062】
本実施形態では、吸着検知部73は、例えば、筐体82の前部及び後部(側部ともいえる)の各々に取り付けられている。そして、検知部70では、吸着検知部73が吸着部80への最上用紙94の吸着を検知すると、送信部71及び受信部72による、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を実行する。
【0063】
なお、吸着検知部73としては、例えば、筐体82の内部の圧力によって、吸着部80への最上用紙94の吸着を検知する構成であってもよい。この場合では、筒体83を設けない構成としてもよい。
【0064】
<捲り部50>
捲り部50は、最上用紙94の小口90A側から送風して最上用紙94を捲る構成部である。この捲り部50は、
図1に示されるように、分離部30における送風領域(具体的には、第一送風部31の送風領域31A、第二送風部32の送風領域32A及び第三送風部33の送風領域33A)に対する上方側に配置された上方側送風領域59を有している。
【0065】
すなわち、本実施形態は、上方側送風領域59が、分離部30における送風領域(具体的には、第一送風部31の送風領域31A、第二送風部32の送風領域32A及び第三送風部33の送風領域33A)に積層された2層構造の送風領域を有している。
【0066】
そして、捲り部50は、移動機構44によって移動された最上用紙94に対し、上方側送風領域59において最上用紙94の小口90A側から送風して最上用紙94を捲る(
図9及び
図13参照)。
【0067】
捲り部50は、仕切部12に対する上方側に配置された複数の送風部52を有している(
図9参照)。複数の送風部52は、前後方向に沿って配置されており、冊子90における最上用紙94の小口90Aへ向かって左方側へ送風する。送風部52は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、送風部52としては、遠心送風機(例えばシロッコファン)などの送風機であってもよく、冊子90へ送風する構成部であればよい。
【0068】
<仕切部12>
仕切部12は、
図1に示されるように、分離部30における送風領域(具体的には、第三送風部33の送風領域33A)と、捲り部50における上方側送風領域59とを仕切る構成部である。この仕切部12は、上下方向が厚み方向とされた板状に形成された板体で構成されている。
【0069】
仕切部12は、捲り部50によって捲られる最上用紙94に対して非接触となる位置に配置されている。具体的には、仕切部12は、保持部20に対する右方側に配置されている。
【0070】
なお、仕切部12は、分離部30における送風領域の少なくとも一部と、捲り部50における上方側送風領域59の少なくとも一部とを仕切るものであればよい。
【0071】
また、仕切部12は、捲り部50からの風が下方側へ向かうことを制限し、当該風が冊子90へ向かって側方に沿って流れるように風を案内する。また、仕切部12は、分離部30(具体的には、第三送風部33)からの風が上方側へ向かうことを制限し、当該風が冊子90へ向かって側方に沿って流れるように風を案内する。
【0072】
<撮像部60>
撮像部60(
図1参照)は、保持部20に保持された冊子90の最上用紙94を撮像する構成部である。具体的には、撮像部60は、当該最上用紙94を撮像するカメラで構成されている。
【0073】
撮像部60は、最上用紙94が捲られたことを検知する検知部としても機能する。例えば、撮像部60が撮像した最上用紙94の形状(姿勢)に基づき、最上用紙94が捲られたことを検知する。
【0074】
なお、撮像部60は、冊子90における左右の最上用紙94の各々を撮像する一対のカメラで構成されていてもよい。
【0075】
<捲り装置10における各部の動作>
捲り装置10では、まず、分離部30(具体的には、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33)が、保持部20に保持された冊子90に送風して最上用紙94と次用紙95とを分離する(
図10参照)。
【0076】
本実施形態では、例えば、まず、第一送風部31及び第二送風部32が、保持部20に保持された冊子90に送風して最上用紙94と次用紙95とを分離する。次に、吸着部80が、吸着口81を通じて空気の吸引を開始する。これにより、筒体83の下端部における開口84が最上用紙94にて塞がれて筒体83の内部が閉じられることで、筒体83の内部空間が負圧になり、筒体83が下方位置から上方位置へ上昇する。これにより、最上用紙94が、開口84及び吸着口81に吸着される(
図11参照)。
【0077】
次に、吸着検知部73が吸着部80への最上用紙94の吸着を検知すると、第三送風部33が、冊子90へ送風して、最上用紙94に付着した場合の次用紙95を最上用紙94から分離する。すなわち、本実施形態では、第三送風部33が冊子90へ送風することで、第一送風部31及び第二送風部32による送風では最上用紙94から分離されなかった場合の次用紙95を最上用紙94から分離する。
【0078】
次に、検知部70において、送信部71及び受信部72による、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を実行する。この結果、検知部70が、吸着部80への吸着が1枚であることを検知すると、最上用紙94を吸着した状態の吸着部80を移動機構44が上方へ移動させることで、最上用紙94の小口90Aを捲り部50の上方側送風領域59へ移動させる(
図12参照)。これにより、最上用紙94が、捲り部50から送風を受ける上方側送風領域59に位置する。
【0079】
検知部70が、吸着部80への用紙99の複数枚吸着が検知された場合には、吸着部80が送風を停止した後、分離部30による分離動作を再度、実行する。なお、検知部70が、吸着部80への用紙99の複数枚吸着が検知された場合には、捲り装置10における動作を停止し、吸着部80への用紙99の複数枚吸着が検知されたことをユーザに通知してもよい。
【0080】
分離部30(具体的には、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33)は、吸着部80が最上用紙94の吸着を完了した後、捲り部50が送風を開始する前に送風を停止する。本実施形態では、具体的には、吸着検知部73が吸着部80への最上用紙94の吸着を検知した後、捲り部50による送風を開始する動作前に、分離部30が、送風を停止する。
【0081】
次に、吸着部80による吸着を解除した後に、捲り部50が、上方側送風領域59に位置する最上用紙94へ送風して、最上用紙94を捲る(
図13参照)。具体的には、吸着部80の空気の吸引を停止した後に、捲り部50が、上方側送風領域59に位置する最上用紙94への送風を開始する。このように、捲り部50は、吸着部80による吸着を解除した後に送風する。
【0082】
そして、撮像部60が、最上用紙94が捲られたことを検知すると、捲り部50が送風を停止し、撮像部60が次用紙95(捲られた後の最上用紙94)を撮像する。捲り装置10では、上記の一連の動作を繰り返すことで、冊子90のすべての用紙99を捲ると共に撮像する。
【0083】
本実施形態では、分離部30は、捲り部50による最上用紙94の捲りが完了した後であって、撮像部60による撮像の完了後に、送風を再開する。すなわち、捲り部50の送風は、分離部30における送風が停止した状態において、実行される。
【0084】
<本実施形態の作用>
本実施形態では、送信部71は、最上用紙94が吸着部80(具体的には、吸着口81)に吸着される際に、吸着部80に対して相対移動する最上用紙94に対して非接触となる位置に配置されている。
【0085】
送信部71が、最上用紙94が吸着部80(具体的には、吸着口81)に吸着される際に、吸着部80に対して相対移動する最上用紙94に対して接触する接触位置に配置されている場合(以下、形態Aという)では、送信部71が最上用紙94と干渉し、吸着部80の吸着動作が妨げられることで、吸着部80における最上用紙94の吸着不良が生じる場合がある。
【0086】
これに対して、本実施形態では、送信部71が、最上用紙94が吸着部80(具体的には、吸着口81)に吸着される際に、吸着部80に対して相対移動する最上用紙94に対して非接触となる位置に配置されているため、形態Aに比べ、吸着部80における最上用紙94の吸着不良を抑制しつつ、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知可能となる。
【0087】
また、本実施形態では、受信部72の受信面72Aが、吸着口81に吸着された最上用紙94に対向する対向位置で、受信部72が筐体82に取り付けられている。
【0088】
このため、受信部72が筐体82とは異なる箇所に取り付けられている場合に比べ、吸着部80に吸着された最上用紙94に受信部72が接近し、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0089】
また、本実施形態では、受信部72の受信面72Aが、吸着口81に吸着された最上用紙94に接触する接触位置で、受信部72が筐体82に取り付けられている。
【0090】
このため、受信部72の受信面72Aが、吸着口81に吸着された最上用紙94に対して離隔する離隔位置で、受信部72が筐体82に取り付けられている場合に比べ、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0091】
また、本実施形態では、受信部72は、吸着口81の内側に配置されている。このため、受信部72は、吸着口81の外側に配置されている場合に比べ、吸着部80に吸着された最上用紙94と受信部72の受信面72Aとの位置が接近し、且つ当該位置のばらつきが少なくなるため、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0092】
また、本実施形態では、受信部72は、
図6に示されるように、筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の内面85Aに取り付けられている。
【0093】
このため、受信部72が、筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の内面85Aに対して隙間を有して筐体82に取り付けられている場合に比べ、受信部72を筐体82に取り付ける際の取付点を増やすことが可能となる。
【0094】
また、本実施形態では、送信部71の送信方向(矢印S方向)は、
図5に示されるように、受信部72の受信感度範囲内において、受信部72の受信面72Aに対して傾斜している。
【0095】
このため、送信部71の送信方向が、受信部72の受信面72Aに対して直交する場合に比べ、送信部71の配置の自由度が高い。
【0096】
また、本実施形態では、受信部72及び送信部71が2組設けられ、最上用紙94における2か所で、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を行う。
【0097】
ここで、最上用紙94における1か所で、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を行う場合(以下、形態Bという)では、検知箇所である当該1か所に、例えばベタ画像が存在すると、ベタ画像によって光が透過しにくく、誤検知が発生しやすい。
【0098】
これに対して、本実施形態では、最上用紙94における2か所で、吸着部80への用紙99の複数枚吸着の検知を行うため、1か所にベタ画像が存在した場合でも、もう1か所の検知箇所にベタ画像が存在しなければ、適切に検知を行うことが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、検知部70において、吸着検知部73が吸着部80への最上用紙94の吸着を検知すると、吸着部80への用紙の複数枚吸着の検知を実行する。
【0100】
このため、吸着検知部73の検知結果によらず、吸着部80への用紙の複数枚吸着の検知を実行する場合に比べ、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0101】
<検知部70の変形例>
本実施形態では、送信部71が取付部材79を介して筐体82に取り付けられており、受信部72と送信部71とが、筐体82に対して取り付けられていたが、これに限られない。送信部71は、例えば、筐体82に対して離隔した部材、すなわち、筐体82とは別体とされた部材に対して取り付けられる構成であってもよい。これにより、送信部71の設置の自由度が高まる。
【0102】
また、本実施形態では、受信部72が吸着口81の内側に配置され、送信部71が吸着口81の外側に配置されていたが、これに限られない。受信部72が吸着口81の外側に配置され、送信部71が吸着口81の内側に配置されている構成であってもよい。すなわち、本実施形態において、受信部72と送信部71との位置を入れ替えて構成してもよい。この場合では、受信部72として、例えば、カメラが用いられる。
【0103】
また、本実施形態では、検知部70において、最上用紙94へ送信する信号の一例として、レーザ光を用いたが、これに限られない。当該信号としては、例えば、超音波であってもよく、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知可能な信号であればよい。
【0104】
また、本実施形態では、送信部71からのレーザ光は、直線状に受信部72へ入射されていたが、これに限られない。例えば、送信部71からのレーザ光を反射するミラー等の光学部品を含む光学系を、送信部71と受信部72との間に配置する構成であってもよい。これにより、レーザ光の経路の自由度を高まる。この結果、各部品の配置の最適化が図れ、装置の小型化に寄与する。
【0105】
さらに、送信部71からのレーザ光の一部を透過し、他の一部を反射するハーフミラー等の光学部品を含む光学系を、送信部71と受信部72との間に配置する構成であってもよい。この構成では、1つの送信部71からのレーザ光を複数の受信部72で受光可能となる。このため、電力を消費する送信部71の部品点数を低減可能となり、装置の小型化に寄与する。また、1つの送信部71により、複数の検知箇所にて複数枚吸着を検知可能となる。したがって、本構成により、装置の小型化を図りつつ、検知性能の向上が図れる。
【0106】
また、本実施形態では、受信部72として、フォトダイオード等の受光部が用いられたが、これに限られない。受信部72としては、例えば、予め定められた領域を画像として検知可能なカメラを用いてもよい。このようにカメラを用いることで、画像から光の強度変化を検出可能であるため、複数枚吸着の検知精度が向上する。また、また、カメラの場合では、レンズを用いるため、最上用紙94とセンサを接触させる必要が無く、設計の自由度も向上する。また、受光領域を広くすることが可能となるため、受光効率を高めやすい。
【0107】
また、本実施形態では、筒体83は、下方位置と上方位置との間を上下方向に沿って移動可能に筐体82に取り付けられていたが、これに限られない。筒体83は、例えば、ゴム等の柔軟性を有する材料で形成されると共に、上端部(軸方向の一端部)が筐体82に取り付けられ、下端側の部分が伸縮可能とされた構成であってもよい。この構成では、筒体83の下端部における開口が最上用紙94にて塞がれて筒体83の内部が閉じられると、空気の吸引により内部空間が負圧になることで、筒体83の下端側の部分が縮んで、最上用紙94が、当該開口及び吸着口81に吸着される構成とすることが可能である。本構成では、筒体83の下端側の部分は、上下方向に伸縮するように蛇腹状に形成してもよい。
【0108】
また、本実施形態では、受信部72は、
図6に示されるように、筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の内面85Aに取り付けられていたが、これに限られない。受信部72は、例えば、
図14に示されるように、筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の内面85Aに対して隙間87を有して筐体82に取り付けられている構成であってもよい。
【0109】
この構成によれば、吸着部80が受信部72における前後方向の両側において最上用紙94を吸着可能なため、受信部72が筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の内面85Aに取り付けられている場合に比べ、吸着部80に吸着された最上用紙94と受信部72の受信面72Aとの位置が接近し、且つ当該位置のばらつきが少なくなる。この結果、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0110】
また、本実施形態では、受信部72は、吸着口81の内側に配置されていたが、これに限られない。受信部72は、例えば、
図15に示されるように、吸着口81の外側に配置されている構成であってもよい。
図15に示される構成では、受信部72は、例えば、受信部72が筐体82における吸着口81の長手方向の端部に配置された壁85の外面85Bに取り付けられている。
【0111】
この構成によれば、受信部72は、吸着口81の内側に配置されている場合に比べ、受信部72の筐体82への取付位置の自由度が高くなる。
【0112】
さらに、受信部72は、筐体82における吸着口81の短手方向の端部であって小口90A側に配置された壁88の外面88Bに取り付けられている構成であってもよい。
【0113】
この構成によれば、受信部72が、筐体82における吸着口81の短手方向の端部であって小口90A側とは反対側に配置された壁89の外面89Bに取り付けられている場合に比べ、吸着部80に吸着された最上用紙94と受信部72の受信面72Aとの位置が接近し、且つ当該位置のばらつきが少なくなるため、吸着部80への用紙99の複数枚吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0114】
<他の変形例>
本実施形態では、保持部20は、
図1に示されるように、第一保持部21、第二保持部22及び第三保持部23を有していたが、これに限られない。保持部20は、例えば、第一保持部21及び第二保持部22のみを有する構成であってもよく、冊子90を見開き状態で保持する構成部であればよい。
【0115】
また、本実施形態では、分離部30は、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33を有していたが、これに限られない。分離部30は、例えば、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33のいずれか1つ又は2つを有する構成であってもよい。また、分離部30は、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33に加えて、送風部を有する構成であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、捲り部50は、複数の送風部52を有していたが、これに限られない。捲り部50は、単一の送風部52を有する構成であってもよく、最上用紙94の小口90A側から送風して最上用紙94を捲る構成部であればよい。
【0117】
また、本実施形態では、捲り装置10は、仕切部12を有していたが、仕切部12を有さない構成であってもよい。
【0118】
また、本実施形態では、分離部30における第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33は、仕切部12に対する下方側に配置されていたが、これに限られない。例えば、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33が、仕切部12に対する上方側に配置されている構成であってもよい。この場合では、例えば、第一送風部31、第二送風部32及び第三送風部33からの風を仕切部12の下方側へ導くために、仕切部12に対する上方側から下方側へ送風経路が形成される。
【0119】
また、本実施形態では、捲り部50における送風部52は、仕切部12に対する上方側に配置されていたが、これに限られない。例えば、送風部52が、仕切部12に対する下方側に配置されている構成であってもよい。この場合では、例えば、送風部52からの風を仕切部12の上方側へ導くために、仕切部12に対する下方側から上方側へ送風経路が形成される。
【0120】
また、本実施形態では、分離部30は、吸着部80が最上用紙94の吸着を完了した後、捲り部50が送風を開始する前に送風を停止していたが、これに限られない。例えば、分離部30が、吸着部80が最上用紙94の吸着を完了した後も、捲り部50が送風を開始するまで送風を継続してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、分離部30は、捲り部50による最上用紙94の捲りが完了した後に、送風を再開していたが、これに限られない。例えば、分離部30が、捲り部50による最上用紙94の捲りが完了する前に、送風を再開してもよい。
【0122】
また、本実施形態では、捲り部50は、吸着部80による吸着を解除した後に送風していたが、これに限られない。捲り部50が、吸着部80による吸着が行われている状態において送風してもよい。
【0123】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0124】
<付記>
(((1)))
重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記冊子の最上の用紙がその次の用紙から分離された状態で、前記最上の用紙を吸着する吸着部と、
前記吸着部に吸着された最上の用紙を捲る捲り部と、
前記吸着部に吸着された最上の用紙に対して信号を送信する送信部と、前記送信部から送信され前記最上の用紙を通過した信号を受信する受信部と、を有し、前記送信部及び前記受信部の一方が前記吸着部に取り付けられ、前記送信部及び前記受信部の他方が、前記最上の用紙が前記吸着部に吸着される際に前記吸着部に対して相対移動する前記最上の用紙に対して非接触となる位置に配置され、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する検知部と、
を備える捲り装置。
【0125】
(((2)))
前記吸着部は、下方側へ向けて開口し前記最上の用紙を吸着する吸着口が形成された筐体、を有し、
前記一方は、前記受信部であり、
前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に対向する対向位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている
(((1)))に記載の捲り装置。
【0126】
(((3)))
前記受信部の受信面が、前記吸着口に吸着された前記最上の用紙に接触する接触位置で前記受信部が前記筐体に取り付けられている
(((2)))に記載の捲り装置。
【0127】
(((4)))
前記受信部は、前記吸着口の内側に配置されている
(((2)))又は(((3)))に記載の捲り装置。
【0128】
(((5)))
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に取り付けられている
(((4)))に記載の捲り装置。
【0129】
(((6)))
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に対して隙間を有して、前記筐体に取り付けられている
(((4)))に記載の捲り装置。
【0130】
(((7)))
前記受信部は、前記吸着口の外側に配置されている
(((2)))又は(((3)))に記載の捲り装置。
【0131】
(((8)))
前記吸着口は、前記冊子の小口に沿った幅方向に沿って長さを有し、
前記受信部は、前記筐体における前記吸着口の短手方向の端部であって前記小口側に配置された壁の外面に取り付けられている
(((7)))に記載の捲り装置。
【0132】
(((9)))
前記一方は、前記受信部であり、
前記他方は、前記送信部であり、
前記送信部の送信方向が、前記受信部の受信感度範囲内において、前記受信部の受信面に対して傾斜している
(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載の捲り装置。
【0133】
(((10)))
前記検知部は、
前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知する吸着検知部、を有し、
前記吸着検知部が前記吸着部への前記最上の用紙の吸着を検知すると、前記吸着部への用紙の複数枚の吸着の検知を実行する
(((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載の捲り装置。
【0134】
(((1)))の構成によれば、送信部及び受信部の一方が吸着部に取り付けられ、送信部及び受信部の他方が、最上の用紙が吸着部に吸着される際に吸着部に対して相対移動する最上の用紙に接触する接触位置に配置されている場合に比べ、吸着部における最上の用紙の吸着不良を抑制しつつ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知可能となる。
【0135】
(((2)))の構成によれば、受信部が筐体とは異なる箇所に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0136】
(((3)))の構成によれば、受信部の受信面が、吸着口に吸着された最上の用紙に対して離隔する離隔位置で受信部が筐体に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0137】
(((4)))の構成によれば、受信部が、吸着口の外側に配置されている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0138】
(((5)))の構成によれば、受信部が、筐体における吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に対して隙間を有して筐体に取り付けられている場合に比べ、受信部を筐体に取り付ける際の取付点を増やすことができる。
【0139】
(((6)))の構成によれば、受信部が、筐体における前記吸着口の長手方向の端部に配置された壁の内面に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0140】
(((7)))の構成によれば、受信部が、吸着口の内側に配置されている場合に比べ、受信部の筐体への取付位置の自由度が高くなる。
【0141】
(((8)))の構成によれば、受信部が、筐体における吸着口の短手方向の端部であって小口側とは反対側に配置された壁の外面に取り付けられている場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【0142】
(((9)))の構成によれば、送信部の送信方向が、受信部の受信面に対して直交する場合に比べ、送信部の配置の自由度が高い。
【0143】
(((10)))の構成によれば、吸着部への最上の用紙の吸着を検知する吸着検知部の検知結果によらず、吸着部への用紙の複数枚の吸着の検知を実行する場合に比べ、吸着部への用紙の複数枚の吸着を検知する際における誤検知が抑制される。
【符号の説明】
【0144】
10 捲り装置
12 仕切部
20 保持部
21 第一保持部
22 第二保持部
23 第三保持部
30 分離部
31 第一送風部
31A 送風領域
32 第二送風部
32A 送風領域
33 第三送風部
33A 送風領域
44 移動機構
50 捲り部
52 送風部
59 上方側送風領域
60 撮像部
70 検知部
71 送信部
72 受信部
72A 受信面
73 吸着検知部
79 取付部材
80 吸着部
81 吸着口
82 筐体
83 筒体
84 開口
85 壁
85A 内面
85B 外面
87 隙間
88 壁
89 壁
90 冊子
90A 小口
91 表紙
92 裏表紙
93 背表紙
94 最上用紙
95 次用紙
99 用紙
331 供給部
332 ノズル