特開 2024-106852 捲り装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024106852

(43)【公開日】2024-08-08

(54)【発明の名称】捲り装置

(51)【国際特許分類】

   B42D 9/04 20060101AFI20240801BHJP

【ＦＩ】

B42D9/04 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023011320

(22)【出願日】2023-01-27

(71)【出願人】

【識別番号】000005496

【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】花谷 純次

(72)【発明者】

【氏名】勝田 修弘

(57)【要約】

【課題】捲り装置において、重送の発生を抑制する。
【解決手段】捲り装置は、重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子に対し、その側方側から送風して最上の用紙とその次の用紙を分離する分離部と、前記分離部によって分離された前記最上の用紙を上方へ移動させる移動部と、前記分離部における送風領域に対する上方側に配置された上方側送風領域を有し、前記移動部によって移動された前記最上の用紙に対し、前記上方側送風領域において前記冊子の小口側から送風して前記最上の用紙を捲る捲り部と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記冊子に対し、その側方側から送風して最上の用紙とその次の用紙を分離する分離部と、
前記分離部によって分離された前記最上の用紙を上方へ移動させる移動部と、
前記分離部における送風領域に対する上方側に配置された上方側送風領域を有し、前記移動部によって移動された前記最上の用紙に対し、前記上方側送風領域において前記冊子の小口側から送風して前記最上の用紙を捲る捲り部と、
を備える捲り装置。

【請求項2】

前記分離部における前記送風領域と前記上方側送風領域とを仕切る仕切部
を備える
請求項１に記載の捲り装置。

【請求項3】

前記分離部は、
前記仕切部に対する下方側に配置された送風部を有する
請求項２に記載の捲り装置。

【請求項4】

前記捲り部は、
前記仕切部に対する上方側に配置された送風部を有する
請求項２に記載の捲り装置。

【請求項5】

前記移動部は、
前記分離部によって分離された前記最上の用紙を吸着する吸着部、を有し、
前記最上の用紙を吸着した状態の前記吸着部を上方へ移動させることで、前記最上の用紙における小口を前記上方側送風領域へ移動させる
請求項１に記載の捲り装置。

【請求項6】

前記分離部は、前記吸着部が前記最上の用紙の吸着を完了した後、前記捲り部が送風を開始する前に送風を停止する
請求項５に記載の捲り装置。

【請求項7】

前記分離部は、前記捲り部による前記最上の用紙の捲りが完了した後に、送風を再開する
請求項６に記載の捲り装置。

【請求項8】

前記捲り部は、前記吸着部による吸着を解除した後に送風する
請求項５に記載の捲り装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、捲り装置に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、冊子側面に対して送風し、紙間に空気層を形成することで用紙を捌き、吸着アームによって用紙を吸着し対面へ移動することで用紙を捲る捲り装置が開示されている。

【0003】

特許文献２には、書籍中のページをスキャンするために、前記書籍のページを自動的にめくるための装置であって、書籍保持部と、湾曲形成部と、ページ押さえ部と、送風部とを備えており、前記書籍保持部は、見開き状態における前記書籍を、前記書籍のページ部分が略上方を向く姿勢で保持する構成とされており、前記湾曲形成部は、前記書籍のページの下面を支持することによって、前記ページに、上方に凸となる湾曲を形成する構成となっており、前記ページ押さえ部は、前記ページの前小口側における前記ページの上面又は端面を支持しており、かつ、前記ページ押さえ部は、前記ページの前小口側において、前記ページに対して略下方に相対移動することによって、前記ページへの支持を、１ページごとに解放する構成となっており、前記送風部は、第１送風器を備えており、前記第１送風器は、前記ページ押さえ部による支持が解放された前記ページの下面に向けて、前記前小口側から空気を吹き付ける構成となっているページめくり装置が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】米国特許第７５５７９６５号明細書

【特許文献2】特許第６１２８７８３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

捲り装置としては、重ね合わされた複数の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子に対し、その側方側から送風して最上の用紙とその次の用紙を分離する分離部と、前記分離部によって分離された前記最上の用紙を上方へ移動させる移動部と、前記移動部によって移動された前記最上の用紙に対し、前記冊子の小口側から送風して前記最上の用紙を捲る捲り部と、を備える捲り装置が考えられる。

【0006】

当該捲り装置において、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と、上下方向において同じ位置に配置されている場合では、最上の用紙を捲る際に、その次の用紙に対しても送風され、重送が発生する場合がある。なお、重送とは、冊子の用紙が一度に複数枚、捲られることをいう。

【0007】

本開示は、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と、上下方向において同じ位置に配置されている場合に比べ、重送の発生を抑制することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

第１態様は、重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、前記保持部に保持された前記冊子に対し、その側方側から送風して最上の用紙とその次の用紙を分離する分離部と、前記分離部によって分離された前記最上の用紙を上方へ移動させる移動部と、前記分離部における送風領域に対する上方側に配置された上方側送風領域を有し、前記移動部によって移動された前記最上の用紙に対し、前記上方側送風領域において前記冊子の小口側から送風して前記最上の用紙を捲る捲り部と、を備える。

【0009】

第２態様は、第１態様において、前記分離部における前記送風領域と前記上方側送風領域とを仕切る仕切部を備える。

【0010】

第３態様では、第２態様において、前記分離部は、前記仕切部に対する下方側に配置された送風部を有する。

【0011】

第４態様は、第２態様において、前記捲り部は、前記仕切部に対する上方側に配置された送風部を有する。

【0012】

第５態様では、第１態様において、前記移動部は、前記分離部によって分離された前記最上の用紙を吸着する吸着部、を有し、前記最上の用紙を吸着した状態の前記吸着部を上方へ移動させることで、前記最上の用紙における小口を前記上方側送風領域へ移動させる。

【0013】

第６態様では、第５態様において、前記分離部は、前記吸着部が前記最上の用紙の吸着を完了した後、前記捲り部が送風を開始する前に送風を停止する。

【0014】

第７態様では、第６態様において、前記分離部は、前記捲り部による前記最上の用紙の捲りが完了した後に、送風を再開する。

【0015】

第８態様では、第５態様において、前記捲り部は、前記吸着部による吸着を解除した後に送風する。

【発明の効果】

【0016】

第１態様の構成によれば、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と、上下方向において同じ位置に配置されている場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0017】

第２態様の構成によれば、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と仕切部を介さずに連なって配置されている場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0018】

第３態様の構成によれば、分離部が、仕切部に対する上方側に配置された送風部を有する場合に比べ、分離部における送風経路の複雑化が抑制される。

【0019】

第４態様の構成によれば、捲り部が、仕切部に対する下方側に配置された送風部を有する場合に比べ、捲り部における送風経路の複雑化が抑制される。

【0020】

第５態様の構成によれば、移動部が、最上の用紙への送風により最上の用紙における小口を上方側送風領域へ移動させる場合に比べ、当該小口の移動不良が抑制される。

【0021】

第６態様の構成によれば、分離部が、吸着部が最上の用紙の吸着を完了した後も捲り部が送風を開始するまで送風を継続する場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0022】

第７態様の構成によれば、分離部が、捲り部による最上の用紙の捲りが完了する前に、送風を再開する場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0023】

第８態様の構成によれば、捲り部が、吸着部による吸着が行われている状態において送風する場合に比べ、最上の用紙の捲り不良の発生が抑制される。

【図面の簡単な説明】

【0024】

【図1】本実施形態に係る捲り装置の構成を示す概略図である。

【図2】本実施形態に係る捲り装置において、吸着部が最上用紙を吸着した状態を示す斜視図である。

【図3】本実施形態に係る捲り装置において、捲り部が最上用紙を捲った状態を示す斜視図である。

【図4】本実施形態に係る捲り装置における送風領域及び上方側送風領域を示す概略図である。

【図5】図４に示される捲り装置において、吸着部が最上用紙を吸着した状態を示す概略図である。

【図6】図５に示される捲り装置において、最上用紙を吸着した吸着部を上方へ移動させた状態を示す概略図である。

【図7】図６に示される捲り装置において、最上用紙を捲った状態を示す概略図である。

【発明を実施するための形態】

【0025】

以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
＜捲り装置１０＞
まず、本実施形態に係る捲り装置１０の構成を説明する。図１は、本実施形態に係る捲り装置１０の構成を示す概略図である。

【0026】

なお、図中に示す矢印ＵＰは、装置の上方を示し、矢印ＤＯは、装置の下方を示す。また、図中に示す矢印ＬＨは、装置の左方を示し、矢印ＲＨは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印ＦＲは、装置の前方を示し、矢印ＲＲは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。

【0027】

また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向（具体的には、直交する方向）である。

【0028】

また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部分同士の上下方向、左右方向、前後方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。

【0029】

図１に示される捲り装置１０は、冊子９０における用紙９９を捲る装置である。冊子９０は、重ね合わされた複数枚の用紙９９の一端が綴じられたものである。冊子９０としては、例えば、書籍、パンフレットなどが挙げられる。

【0030】

捲り装置１０は、具体的には、図１に示されるように、保持部２０と、分離部３０と、移動部４０と、捲り部５０と、仕切部１２と、を備えている。以下、捲り装置１０の各部（具体的には、保持部２０、分離部３０、移動部４０、捲り部５０、及び仕切部１２）について説明する。

【0031】

＜保持部２０＞
保持部２０は、冊子９０を見開き状態で保持する構成部である。具体的には、保持部２０は、図１に示されるように、冊子９０の表紙９１を保持する第一保持部２１と、冊子９０の裏表紙９２を保持する第二保持部２２と、冊子９０の背表紙９３を保持する第三保持部２３と、を有している。

【0032】

冊子９０は、見開き状態にて、表紙９１が第一保持部２１に載せられ、裏表紙９２が第二保持部２２に載せられ、背表紙９３が第三保持部２３に載せられる。このように、見開き状態にて第一保持部２１、第二保持部２２及び第三保持部２３に載せられた冊子９０は、例えば、第一保持部２１に設けられたクリップ等の固定部（図示省略）によって、表紙９１が第一保持部２１に固定され、第二保持部２２に設けられたクリップ等の固定部（図示省略）によって、裏表紙９２が第二保持部２２に固定される。

【0033】

＜分離部３０＞
分離部３０は、保持部２０に保持された冊子９０に対し、その側方側から送風して最上の用紙９４（以下、最上用紙９４という）とその次の用紙９５（以下、次用紙９５という）を分離する構成部である。

【0034】

分離部３０は、具体的には、図１に示されるように、第一送風部３１と、第二送風部３２と、第三送風部３３と、を有している。なお、図１では、第一送風部３１と第二送風部３２とは前後方向に重なって配置されている。

【0035】

第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３は、仕切部１２に対する下方側に配置されている。第一送風部３１は、保持部２０に保持された冊子９０の前方側に配置されている。第二送風部３２は、保持部２０に保持された冊子９０の後方側に配置されている。第三送風部３３は、保持部２０に保持された冊子９０の右方側に配置されている。

【0036】

第一送風部３１は、仕切部１２に対する下方側において冊子９０へ送風する送風領域３１Ａを有しており、図２の矢印３１Ｓに示されるように、冊子９０へ向かって後方側へ送風する。本実施形態では、第一送風部３１は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、第一送風部３１としては、遠心送風機（例えばシロッコファン）などの送風機であってもよく、冊子９０へ送風する構成部であればよい。

【0037】

第二送風部３２は、図１に示されるように、仕切部１２に対する下方側において冊子９０へ送風する送風領域３２Ａを有しており、図２の矢印３２Ｓに示されるように、冊子９０へ向かって前方側へ送風する。本実施形態では、第二送風部３２は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、第二送風部３２としては、遠心送風機（例えばシロッコファン）などの送風機であってもよく、冊子９０へ送風する構成部であればよい。

【0038】

第三送風部３３は、図１に示されるように、仕切部１２に対する下方側において冊子９０へ送風する送風領域３３Ａを有しており、図２の矢印３３Ｓに示されるように、冊子９０へ向かって左方側へ送風する。第三送風部３３は、具体的には、例えば、供給部３３１と、ノズル３３２と、を有している。

【0039】

供給部３３１としては、例えば、空気をノズル３３２へ供給する送風機が用いられる。送風機としては、例えば、軸流送風機、及び遠心送風機（例えばシロッコファン）などが用いられる。なお、供給部３３１としては、送風機に限られず、エアコンプレッサー等、他の供給部を用いてもよい。

【0040】

ノズル３３２は、供給部３３１から供給された空気を冊子９０の小口９０Ａに向かって吐出する。ノズル３３２は、例えば、冊子９０の小口９０Ａに沿って開口している。なお、小口９０Ａとは、冊子９０の背表紙９３とは反対側の端部である。

【0041】

＜移動部４０＞
移動部４０は、分離部３０によって分離された最上用紙９４を上方へ移動させる構成部である。移動部４０は、分離部３０によって分離された最上用紙９４を吸着する吸着部４２と、吸着部４２を移動させる移動機構４４と、吸着部４２への最上用紙９４の吸着を検知する検知部４６と、を有している。

【0042】

吸着部４２は、図１及び図２に示されるように、下方側へ向けて開口し最上用紙９４を吸着する吸着口４２Ａが形成された筐体４２Ｂを有し、吸着口４２Ａを通じて空気を吸引することにより最上用紙９４を吸着口４２Ａに吸着する（図５参照）。そして、移動部４０では、最上用紙９４を吸着した状態の吸着部４２を移動機構４４が上方へ移動させることで、最上用紙９４における小口９０Ａを捲り部５０の後述の上方側送風領域５９へ移動させる（図６参照）。換言すれば、本実施形態では、最上用紙９４を吸着した吸着部４２を移動機構４４が上方へ移動させることで、当該最上用紙９４を後述の上方側送風領域５９に位置させる。

【0043】

検知部４６（図１参照）としては、例えば、吸着部４２における最上用紙９４の吸着位置へ信号を送信し、吸着部４２への最上用紙９４の吸着による当該信号の変化を検知するセンサが用いられる。当該センサとしては、反射型又は透過型の光センサを用いることが可能である。

【0044】

なお、検知部４６は、例えば、筐体４２Ｂの内部の圧力によって、吸着部４２への最上用紙９４の吸着を検知してもよい。また、吸着口４２Ａの周囲を囲むと共に吸着口４２Ａから下方へ張り出し、内部が負圧になることで上昇する筒体を設けた構成において、筒体の上昇を検知することにより、吸着部４２への最上用紙９４の吸着を検知してもよい。

【0045】

＜捲り部５０＞
捲り部５０は、最上用紙９４の小口９０Ａ側から送風して最上用紙９４を捲る構成部である。この捲り部５０は、図１に示されるように、分離部３０における送風領域（具体的には、第一送風部３１の送風領域３１Ａ、第二送風部３２の送風領域３２Ａ及び第三送風部３３の送風領域３３Ａ）に対する上方側に配置された上方側送風領域５９を有している。

【0046】

すなわち、本実施形態は、上方側送風領域５９が、分離部３０における送風領域（具体的には、第一送風部３１の送風領域３１Ａ、第二送風部３２の送風領域３２Ａ及び第三送風部３３の送風領域３３Ａ）に積層された２層構造の送風領域を有している。

【0047】

そして、捲り部５０は、移動部４０によって移動された最上用紙９４に対し、上方側送風領域５９において最上用紙９４の小口９０Ａ側から送風して最上用紙９４を捲る（図３及び図７参照）。

【0048】

捲り部５０は、仕切部１２に対する上方側に配置された複数の送風部５２を有している（図３参照）。複数の送風部５２は、前後方向に沿って配置されており、冊子９０における最上用紙９４の小口９０Ａへ向かって左方側へ送風する。送風部５２は、例えば、軸流送風機により構成されている。なお、送風部５２としては、遠心送風機（例えばシロッコファン）などの送風機であってもよく、冊子９０へ送風する構成部であればよい。

【0049】

＜仕切部１２＞
仕切部１２は、図１に示されるように、分離部３０における送風領域（具体的には、第三送風部３３の送風領域３３Ａ）と、捲り部５０における上方側送風領域５９とを仕切る構成部である。この仕切部１２は、上下方向が厚み方向とされた板状に形成された板体で構成されている。

【0050】

仕切部１２は、捲り部５０によって捲られる最上用紙９４に対して非接触となる位置に配置されている。具体的には、仕切部１２は、保持部２０に対する右方側に配置されている。

【0051】

なお、仕切部１２は、分離部３０における送風領域の少なくとも一部と、捲り部５０における上方側送風領域５９の少なくとも一部とを仕切るものであればよい。

【0052】

また、仕切部１２は、捲り部５０からの風が下方側へ向かうことを制限し、当該風が冊子９０へ向かって側方に沿って流れるように風を案内する。また、仕切部１２は、分離部３０（具体的には、第三送風部３３）からの風が上方側へ向かうことを制限し、当該風が冊子９０へ向かって側方に沿って流れるように風を案内する。

【0053】

＜撮像部６０＞
撮像部６０（図１参照）は、保持部２０に保持された冊子９０の最上用紙９４を撮像する構成部である。具体的には、撮像部６０は、当該最上用紙９４を撮像するカメラで構成されている。

【0054】

撮像部６０は、最上用紙９４が捲られたことを検知する検知部としても機能する。例えば、撮像部６０が撮像した最上用紙９４の形状（姿勢）に基づき、最上用紙９４が捲られたことを検知する。

【0055】

なお、撮像部６０は、冊子９０における左右の最上用紙９４の各々を撮像する一対のカメラで構成されていてもよい。

【0056】

＜捲り装置１０における各部の動作＞
捲り装置１０では、まず、分離部３０（具体的には、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３）が、保持部２０に保持された冊子９０に送風して最上用紙９４と次用紙９５とを分離する（図４参照）。

【0057】

本実施形態では、例えば、まず、第一送風部３１及び第二送風部３２が、保持部２０に保持された冊子９０に送風して最上用紙９４と次用紙９５とを分離する。次に、移動部４０の吸着部４２が、最上用紙９４を吸着する（図５参照）。

【0058】

次に、第三送風部３３が、冊子９０へ送風して、最上用紙９４に付着した場合の次用紙９５を最上用紙９４から分離する。すなわち、本実施形態では、第三送風部３３が冊子９０へ送風することで、第一送風部３１及び第二送風部３２による送風では最上用紙９４から分離されなかった場合の次用紙９５を最上用紙９４から分離する。

【0059】

次に、移動部４０は、最上用紙９４を吸着した状態の吸着部４２を移動機構４４が上方へ移動させることで、最上用紙９４の小口９０Ａを捲り部５０の上方側送風領域５９へ移動させる（図６参照）。これにより、最上用紙９４が、捲り部５０から送風を受ける上方側送風領域５９に位置する。

【0060】

分離部３０（具体的には、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３）は、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後、捲り部５０が送風を開始する前に送風を停止する。なお、吸着部４２による最上用紙９４の吸着の完了は、検知部４６が、吸着部４２への最上用紙９４の吸着を検知することで、検出される。したがって、本実施形態では、具体的には、検知部４６が吸着部４２への最上用紙９４の吸着を検知した後、捲り部５０による送風を開始する動作前に、分離部３０が、送風を停止する。

【0061】

次に、吸着部４２による吸着を解除した後に、捲り部５０が、上方側送風領域５９に位置する最上用紙９４へ送風して、最上用紙９４を捲る（図７参照）。具体的には、吸着部４２の空気の吸引を停止した後に、捲り部５０が、上方側送風領域５９に位置する最上用紙９４への送風を開始する。このように、捲り部５０は、吸着部４２による吸着を解除した後に送風する。

【0062】

そして、撮像部６０が、最上用紙９４が捲られたことを検知すると、捲り部５０が送風を停止し、撮像部６０が次用紙９５（捲られた後の最上用紙９４）を撮像する。捲り装置１０では、上記の一連の動作を繰り返すことで、冊子９０のすべての用紙９９を捲ると共に撮像する。

【0063】

本実施形態では、分離部３０は、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了した後であって、撮像部６０による撮像の完了後に、送風を再開する。すなわち、捲り部５０の送風は、分離部３０における送風が停止した状態において、実行される。

【0064】

＜本実施形態の作用＞
本実施形態では、捲り部５０における上方側送風領域５９は、分離部３０における送風領域（具体的には、第一送風部３１の送風領域３１Ａ、第二送風部３２の送風領域３２Ａ及び第三送風部３３の送風領域３３Ａ）に対する上方側に配置されている。

【0065】

ここで、捲り部５０における送風領域が、分離部３０における送風領域と、上下方向において同じ位置に配置されている場合（以下、形態Ａという）では、最上用紙９４を捲る際に、次用紙９５に対しても送風され、重送が発生する場合がある。

【0066】

これに対して、本実施形態では、前述のように、捲り部５０における上方側送風領域５９は、分離部３０における送風領域に対する上方側に配置されているので、形態Ａに比べ、重送の発生が抑制される。

【0067】

また、本実施形態では、仕切部１２が、分離部３０における送風領域（具体的には、第三送風部３３の送風領域３３Ａ）と、捲り部５０における上方側送風領域５９とを仕切っている。

【0068】

このため、捲り部５０における上方側送風領域５９が、分離部３０における送風領域と仕切部１２を介さずに連なって配置されている場合に比べ、最上用紙９４を捲る際に、次用紙９５に対して送風されにくく、重送の発生が抑制される。

【0069】

また、本実施形態では、分離部３０における第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３は、仕切部１２に対する下方側に配置されている。

【0070】

ここで、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３が、仕切部１２に対する上方側に配置されている場合（以下、形態Ｂという）では、仕切部１２に対する上方側から下方側へ送風経路を形成する必要があるため、分離部３０における送風経路の複雑化する。

【0071】

これに対して、本実施形態では、前述のように、分離部３０における第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３は、仕切部１２に対する下方側に配置されているので、形態Ｂに比べ、分離部３０における送風経路の複雑化が抑制される。

【0072】

また、本実施形態では、捲り部５０における送風部５２は、仕切部１２に対する上方側に配置されている。

【0073】

ここで、送風部５２が、仕切部１２に対する下方側に配置されている場合（以下、形態Ｃという）では、仕切部１２に対する下方側から上方側へ送風経路を形成する必要があるため、捲り部５０における送風経路の複雑化する。

【0074】

これに対して、本実施形態では、前述のように、捲り部５０における送風部５２が、仕切部１２に対する上方側に配置されているので、形態Ｃに比べ、分離部３０における送風経路の複雑化が抑制される。

【0075】

また、本実施形態では、移動部４０が、最上用紙９４を吸着した状態の吸着部４２を移動機構４４が上方へ移動させることで、最上用紙９４の小口９０Ａを捲り部５０の上方側送風領域５９へ移動させる。

【0076】

このため、移動部４０が、最上用紙９４への送風により最上用紙９４の小口９０Ａを上方側送風領域５９へ移動させる場合に比べ、当該小口９０Ａの移動不良が抑制される。

【0077】

また、本実施形態では、分離部３０（具体的には、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３）は、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後、捲り部５０が送風を開始する前に送風を停止する。

【0078】

ここで、分離部３０が、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後も、捲り部５０が送風を開始するまで送風を継続する場合（以下、形態Ｄという）では、分離部３０からの送風によって次用紙９５が上方側送風領域５９に移動してしまうと、次用紙９５も捲られる場合がある。

【0079】

これに対して、本実施形態では、前述のように、分離部３０が、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後、捲り部５０が送風を開始する前に送風を停止するので、形態Ｄに比べ、重送の発生が抑制される。

【0080】

また、本実施形態では、分離部３０は、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了した後に、送風を再開する。

【0081】

ここで、分離部３０が、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了する前に、送風を再開する場合（以下、形態Ｅという）では、分離部３０からの送風によって次用紙９５が上方側送風領域５９に移動してしまうと、次用紙９５も捲られる場合がある。

【0082】

これに対して、本実施形態では、前述のように、分離部３０は、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了した後に、送風を再開するので、形態Ｅに比べ、重送の発生が抑制される。

【0083】

また、本実施形態では、捲り部５０は、吸着部４２による吸着を解除した後に送風する。

【0084】

このため、捲り部５０が、吸着部４２による吸着が行われている状態において送風する場合に比べ、最上用紙９４の捲り不良の発生が抑制される。

【0085】

＜変形例＞
本実施形態では、保持部２０は、図１に示されるように、第一保持部２１、第二保持部２２及び第三保持部２３を有していたが、これに限られない。保持部２０は、例えば、第一保持部２１及び第二保持部２２のみを有する構成であってもよく、冊子９０を見開き状態で保持する構成部であればよい。

【0086】

また、本実施形態では、分離部３０は、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３を有していたが、これに限られない。分離部３０は、例えば、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３のいずれか１つ又は２つを有する構成であってもよい。また、分離部３０は、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３に加えて、送風部を有する構成であってもよい。

【0087】

また、本実施形態では、移動部４０は、最上用紙９４を吸着した状態の吸着部４２を移動機構４４が上方へ移動させることで、最上用紙９４の小口９０Ａを捲り部５０の上方側送風領域５９へ移動させていたが、これに限られない。移動部４０は、例えば、最上用紙９４を挟んで保持する保持部を上方へ移動させることで、最上用紙９４の小口９０Ａを捲り部５０の上方側送風領域５９へ移動させる構成であってもよい。また、移動部４０が、最上用紙９４への送風により最上用紙９４の小口９０Ａを上方側送風領域５９へ移動させる構成であってもよく、分離部３０によって分離された最上用紙９４を上方へ移動させる構成部であればよい。

【0088】

また、本実施形態では、捲り部５０は、複数の送風部５２を有していたが、これに限られない。捲り部５０は、単一の送風部５２を有する構成であってもよく、最上用紙９４の小口９０Ａ側から送風して最上用紙９４を捲る構成部であればよい。

【0089】

また、本実施形態では、捲り装置１０は、仕切部１２を有していたが、仕切部１２を有さない構成であってもよい。

【0090】

また、本実施形態では、分離部３０における第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３は、仕切部１２に対する下方側に配置されていたが、これに限られない。例えば、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３が、仕切部１２に対する上方側に配置されている構成であってもよい。この場合では、例えば、第一送風部３１、第二送風部３２及び第三送風部３３からの風を仕切部１２の下方側へ導くために、仕切部１２に対する上方側から下方側へ送風経路が形成される。

【0091】

また、本実施形態では、捲り部５０における送風部５２は、仕切部１２に対する上方側に配置されていたが、これに限られない。例えば、送風部５２が、仕切部１２に対する下方側に配置されている構成であってもよい。この場合では、例えば、送風部５２からの風を仕切部１２の上方側へ導くために、仕切部１２に対する下方側から上方側へ送風経路が形成される。

【0092】

また、本実施形態では、分離部３０は、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後、捲り部５０が送風を開始する前に送風を停止していたが、これに限られない。例えば、分離部３０が、吸着部４２が最上用紙９４の吸着を完了した後も、捲り部５０が送風を開始するまで送風を継続してもよい。

【0093】

また、本実施形態では、分離部３０は、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了した後に、送風を再開していたが、これに限られない。例えば、分離部３０が、捲り部５０による最上用紙９４の捲りが完了する前に、送風を再開してもよい。

【0094】

また、本実施形態では、捲り部５０は、吸着部４２による吸着を解除した後に送風していたが、これに限られない。捲り部５０が、吸着部４２による吸着が行われている状態において送風してもよい。

【0095】

本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。

【0096】

＜付記＞
（（（１）））
重ね合わされた複数枚の用紙の一端が綴じられた冊子を見開き状態で保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記冊子に対し、その側方側から送風して最上の用紙とその次の用紙を分離する分離部と、
前記分離部によって分離された前記最上の用紙を上方へ移動させる移動部と、
前記分離部における送風領域に対する上方側に配置された上方側送風領域を有し、前記移動部によって移動された前記最上の用紙に対し、前記上方側送風領域において前記冊子の小口側から送風して前記最上の用紙を捲る捲り部と、
を備える捲り装置。

【0097】

（（（２）））
前記分離部における前記送風領域と前記上方側送風領域とを仕切る仕切部
を備える
（（（１）））に記載の捲り装置。

【0098】

（（（３）））
前記分離部は、
前記仕切部に対する下方側に配置された送風部を有する
（（（２）））に記載の捲り装置。

【0099】

（（（４）））
前記捲り部は、
前記仕切部に対する上方側に配置された送風部を有する
（（（２）））又は（（（３）））に記載の捲り装置。

【0100】

（（（５）））
前記移動部は、
前記分離部によって分離された前記最上の用紙を吸着する吸着部、を有し、
前記最上の用紙を吸着した状態の前記吸着部を上方へ移動させることで、前記最上の用紙における小口を前記上方側送風領域へ移動させる
（（（１）））～（（（４）））のいずれか１つに記載の捲り装置。

【0101】

（（（６）））
前記分離部は、前記吸着部が前記最上の用紙の吸着を完了した後、前記捲り部が送風を開始する前に送風を停止する
（（（５）））に記載の捲り装置。

【0102】

（（（７）））
前記分離部は、前記捲り部による前記最上の用紙の捲りが完了した後に、送風を再開する
（（（５）））又は（（（６）））に記載の捲り装置。

【0103】

（（（８）））
前記捲り部は、前記吸着部による吸着を解除した後に送風する
（（（５）））～（（（７）））のいずれか１つに記載の捲り装置。

【0104】

（（（１）））の構成によれば、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と、上下方向において同じ位置に配置されている場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0105】

（（（２）））の構成によれば、捲り部における送風領域が、分離部における送風領域と仕切部を介さずに連なって配置されている場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0106】

（（（３）））の構成によれば、分離部が、仕切部に対する上方側に配置された送風部を有する場合に比べ、分離部における送風経路の複雑化が抑制される。

【0107】

（（（４）））の構成によれば、捲り部が、仕切部に対する下方側に配置された送風部を有する場合に比べ、捲り部における送風経路の複雑化が抑制される。

【0108】

（（（５）））の構成によれば、移動部が、最上の用紙への送風により最上の用紙における小口を上方側送風領域へ移動させる場合に比べ、当該小口の移動不良が抑制される。

【0109】

（（（６）））の構成によれば、分離部が、吸着部が最上の用紙の吸着を完了した後も捲り部が送風を開始するまで送風を継続する場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0110】

（（（７）））の構成によれば、分離部が、捲り部による最上の用紙の捲りが完了する前に、送風を再開する場合に比べ、重送の発生が抑制される。

【0111】

（（（８）））の構成によれば、捲り部が、吸着部による吸着が行われている状態において送風する場合に比べ、最上の用紙の捲り不良の発生が抑制される。

【符号の説明】

【0112】

１０ 捲り装置
１２ 仕切部
２０ 保持部
２１ 第一保持部
２２ 第二保持部
２３ 第三保持部
３０ 分離部
３１ 第一送風部
３１Ａ 送風領域
３２ 第二送風部
３２Ａ 送風領域
３３ 第三送風部
３３Ａ 送風領域
４０ 移動部
４２ 吸着部
４２Ａ 吸着口
４４ 移動機構
４６ 検知部
５０ 捲り部
５２ 送風部
５９ 上方側送風領域
９０ 冊子
９０Ａ 小口
９１ 表紙
９２ 裏表紙
９３ 背表紙
９４ 最上用紙
９５ 次用紙
９９ 用紙
３３１ 供給部
３３２ ノズル

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】