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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110301
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B67C3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014823
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高島 和己
(72)【発明者】
【氏名】辻田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】北山 太郎
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AA08
3E079CC11
3E079CD34
3E079DD04
3E079FF03
(57)【要約】
【課題】送液ポンプを用いた充填装置において、使用される充填ノズルの数に関わらず各充填ノズルから供給される単位時間当たりの流量を略一定に維持する。
【解決手段】充填装置10は、充填バルブ26Bを備える複数の充填ノズル26と、マニホールド部34と各充填ノズル26を連絡する分岐配管32と、充填液Fを貯留する貯留タンク40とマニホールド部34を連絡する供給配管38と、供給配管38を通して貯留タンク40の充填液Fをマニホールド部34に送液するロータリーポンプ42と、各分岐配管32に送液される充填液Fを貯留タンクへ還流させる分岐戻り配管46と、充填バルブ26Bに対応する各分岐戻り配管46に設けられる開閉バルブ46Aと、充填バルブ26Bと開閉バルブ46Aの動作を制御する制御装置50とを備える。制御装置50は充填バルブ26Bを開放するとともに対応する開閉バルブ46Aを閉鎖して充填を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数の充填ノズルと、
前記充填ノズル内に形成された液通路を開閉する充填バルブと、
前記充填ノズルの下方に容器を供給する容器供給装置と、
前記液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに供給配管を介して接続されるマニホールドと、
前記供給配管に設けられ前記貯留タンク内の液体を前記マニホールドに送液する送液ポンプと、
前記マニホールドに一端が接続されるとともに、他端が前記液通路の各々に接続される複数の分岐配管と、
前記分岐配管の各々に設けられ、前記マニホールドを介して前記分岐配管へ送液される液体を前記貯留タンクへ還流させるリターン通路と、
前記充填バルブの各々に対応する前記リターン通路を開閉する開閉バルブと、
前記充填バルブと前記開閉バルブの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記充填バルブを開放するとともに、対応する前記開閉バルブを閉鎖して送液される液体を前記充填ノズルから容器に充填可能である
ことを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記充填ノズル下方に容器が供給されたか否かを検出するための容器検出器を設け、
前記制御装置は、前記容器検出器から容器が供給されなかった信号を受けると、該当する充填ノズルの充填バルブを閉鎖するとともに、対応する前記開閉バルブを開放させることにより、前記充填バルブに送液される液体を前記貯留タンクに還流させることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記制御装置は、大流量充填と小流量充填とを切り替え可能であり、小流量充填を行う際には、前記充填バルブを開放した状態で前記開閉バルブを開放することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送液用のポンプを用いる充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
順次搬送される複数の容器に、複数の充填ノズルを用いて果物やナタデココなどの比較的大きな固形物を含む飲料(液体)を並列的に充填する充填装置が知られている(特許文献1)。このように固形物を含む充填液を取り扱う場合、固形物が詰まらないように配管を太くする必要がある。しかし、配管を太くすると加圧された貯留タンクの圧が低くても大量の充填液が流れてしまい流量制御が困難となる。そのため、このような充填装置では充填液を貯留するタンクから充填ノズルまでの配管経路にロータリーポンプを設け、ロータリーポンプにより充填液を一定流量で充填ノズルに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-169839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにポンプを送液に用いる場合、ポンプによる単位時間当たりの送液量が一定であるため、生産を開始/停止するときや容器供給に歯抜けが発生したときなどのように同時に使用される充填ノズルの数が減ると、充填ノズル当たりの流量が増大し、液はねが生じ易いと言う問題が発生する。また、容器重量や流量に基づき充填ノズルの作動を制御する場合、使用される充填ノズルの減少により充填ノズル当たり流量が一定値を超えると、ロードセルや流量計などの計測器の反応速度を超えてしまい、充填ノズルの適切な開閉制御ができず、充填量にばらつきが生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、送液ポンプを用いる充填装置において、使用される充填ノズルの数が増減する場合においても、使用中の充填ノズルを通して容器に供給される単位時間当たりの流量を略一定に維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である充填装置は、液体を吐出する複数の充填ノズルと、前記充填ノズル内に形成された液通路を開閉する充填バルブと、前記充填ノズルの下方に容器を供給する容器供給装置と、前記液体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに供給配管を介して接続されるマニホールドと、前記供給配管に設けられ前記貯留タンク内の液体を前記マニホールドに送液する送液ポンプと、前記マニホールドに一端が接続されるとともに、他端が前記液通路の各々に接続される複数の分岐配管と、前記分岐配管の各々に設けられ、前記マニホールドを介して前記分岐配管へ送液される液体を前記貯留タンクへ還流させるリターン通路と、前記充填バルブの各々に対応する前記リターン通路を開閉する開閉バルブと、前記充填バルブと前記開閉バルブの動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記充填バルブを開放するとともに、対応する前記開閉バルブを閉鎖して送液される液体を前記充填ノズルから容器に充填可能であることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である充填装置は、第1の発明において、前記充填ノズル下方に容器が供給されたか否かを検出するための容器検出器を設け、前記制御装置は、前記容器検出手器から容器が供給されなかった信号を受けると、該当する充填ノズルの充填バルブを閉鎖するとともに、対応する前記開閉バルブを開放させることにより、前記充填バルブに送液される液体を前記貯留タンクに還流させることを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である充填装置は、第1または第2の発明において、前記制御装置が、大流量充填と小流量充填とを切り替え可能であり、小流量充填を行う際には、前記充填バルブを開放した状態で前記開閉バルブを開放することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送液ポンプを用いる充填装置において、使用される充填ノズルの数が増減する場合においても、使用中の充填ノズルを通して容器に供給される単位時間当たりの流量を略一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態である充填装置を含む搬送システムの配置を示す平面図である。
図2】第1実施形態の充填装置の構成を示す模式的な縦断面図である。
図3】ロータリージョイント近傍の拡大断面図である。
図4】充填ノズルおよび開閉バルブを用いた各区間における制御の様子を模式的に示す図である。
図5】第2実施形態の充填装置の構成を示す模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態である充填装置を含む搬送システムの配置を示す平面図である。
【0012】
第1実施形態の充填装置10は、例えば野菜や果物などの比較的大きな固形物を含有する充填液(液体)Fを容器Vに充填するロータリー式充填装置である。容器Vは、供給コンベヤ12により1列で供給され、インフィードスクリュー13によって所定の間隔に広げられて供給ホイール(容器供給装置)14の外周に形成されたポケット(不図示)に収容され、容器受取位置P1において充填装置10へと供給される。また、インフィードスクリュー13の側方には容器Vを検出するセンサ(容器検出器)15が隣接して設けられており、制御装置50はセンサ15からの信号を受けてびん台28に容器Vが供給されたか否かを認識する。充填装置10において液体Fが充填されると、容器Vは容器受渡位置P2において排出ホイール16の外周に形成されたポケット(不図示)に受け渡され、排出ホイール16から排出コンベヤ18へと受け渡される。
【0013】
図2は充填装置10の構成を示す模式的な縦断面図である。充填装置10は垂直なシャフト20周りに一体的に回転する上部回転体22と下部回転体24を備える。上部回転体22の外周縁には、周方向に沿って所定間隔で充填ノズル26が複数配置される。充填ノズル26内に設けられた液通路26Aは充填バルブ(開閉バルブ)26Bによって開閉される。図示はされないが、充填バルブ26Bは液通路に形成された弁座に対して移動可能な弁体を備え、弁体が弁座から離れると液通路が開放して充填ノズル26から充填液Fが吐出される。なお、充填バルブ26Bについては液通路を変形可能な部材で構成して液通路を押圧することで閉鎖するピンチバルブ方式や、プラグに孔をあけてプラグを90度回転することによって液通路を全閉全開するコックバルブ方式など他の方式も採用可能である。
【0014】
下部回転体24の外周縁には、各充填ノズル26に対応する位置に周方向に沿って容器Vを支持する複数のびん台28が所定間隔で配置される。各びん台28はロードセル30を介して下部回転体24に支持される。なお、容器Vを支持する構成としては、容器Vの底面を支持するびん台28に限らず、容器Vを把持するグリッパであってもよい。
【0015】
各充填ノズル26は、各々分岐配管32を通して充填液Fが供給される。分岐配管32の上流端は各々上部回転体22の天面中心に配置されたマニホールド部34内に形成された供給側マニホールド34Aに接続され、下流端は各充填ノズル26の液通路26Aに接続される。供給側マニホールド34Aの上流側はロータリージョイント36を介して供給配管38の下流端に接続され、供給配管38の上流端は充填液Fを貯留する貯留タンク40の底部に接続される。供給配管38の途中にはロータリーポンプ(送液ポンプ)42が設けられ、ロータリーポンプ42は、常時一定の流量で貯留タンク40から充填装置10へと送液を行う。なお、貯留タンク40内には、不図示のレベルセンサが設けられ、貯留タンク40内の充填液Fのレベルが一定値以下に下がると給液管44を通して充填液Fが供給される。これにより貯留タンク40内の液レベルは常に一定の範囲に維持される。
【0016】
供給側マニホールド34Aから放射状に分岐した各分岐配管32の充填ノズル26の上流側には分岐戻り配管46の一端が接続される。各分岐戻り配管46の他端はマニホールド部34内に形成された戻り側マニホールド34Bにおいて1つにされ、ロータリージョイント36を介して下流端が貯留タンク40内に設置される戻り配管48の上流端に接続される。また、分岐戻り配管46の各々には開閉バルブ46Aが設けられ、各充填バルブ26Bと各開閉バルブ46Aの開閉は制御装置50によって制御される。
【0017】
図3はマニホールド部34およびロータリージョイント36近傍の拡大断面図である。図3を参照して本実施形態におけるマニホールド部34およびロータリージョイント36の構成についてより詳細に説明する。
【0018】
ロータリージョイント36は、上部回転体22と一体的に回転する回転部36Aと、回転部36Aの上方部の周囲を覆う固定部36Bとを備える。回転部36Aの上方部の外周は、ベアリング52を介して固定部36Bに回転自在に支持され、回転部36Aの下方部は上部回転体22に固定されているマニホールド部34に取り付けられている。
【0019】
回転部36Aの中心には回転軸に沿って供給側縦通路38Aが設けられる。固定部36Bの内周壁において、供給側縦通路38Aの上端に対応する高さには、全周に沿って溝54が設けられ、供給側縦通路38Aの上端部は、側方に延出する1つの横孔を通して溝54に連通される。溝54は固定部36Bに設けられた外周側へと連通する横孔を通して、貯留タンク40へと接続される供給配管38に接続される。すなわち供給側縦通路38Aの上端部は、回転部36Aが回転している間常に溝54を介して供給配管38に連通される。なお、供給側縦通路38Aの下端部、すなわち回転部36Aの下端部は、マニホールド部34内の戻り側マニホールド34Bを貫通して供給側マニホールド34Aに取り付けられ、供給側縦通路38Aの下端部は供給側マニホールド34Aに連通される。これにより供給配管38から供給される充填液Fは供給側縦通路38Aを通り供給側マニホールド34Aにおいて放射状に分岐され、各分岐配管32へ送られる。
【0020】
回転部36Aにおいて供給側縦通路38Aの外側には、軸方向に沿って戻り側縦通路48Aが設けられる。戻り側縦通路48Aの数は1本でも複数本でもよいが、本実施形態では2本の戻り側縦通路48Aが回転対称に設けられる。戻り側縦通路48Aの上端部は、供給側縦通路38Aの上端部よりも低い位置で回転部36Aの外周部の全周に沿って形成された溝56に各々連通される。また、固定部36Bには溝56に対応する高さに、戻り配管48に接続される横孔が形成され、溝56はこの横孔を通して例えば2本の戻り配管48に連通される。すなわち、戻り側縦通路48Aの上端部は、回転部36Aが回転している間常に溝56を介して戻り配管48に連通される。なお、戻り側縦通路48Aの下端部は、マニホールド部34の供給側マニホールド34Aの上方に形成されるとともに、各分岐戻り管46と接続している戻り側マニホールド34Bと連通されており、各分岐戻り管46から送られてくる充填液Fは戻り側マニホールド34Bに集められてから各戻り側縦通路48Aを通って2本の戻り配管48へ送られる。2本の戻り配管48は下流において1本に合流されており、充填液Fは合流された後に貯留タンク40へ戻される。
【0021】
なお、回転部36Aと固定部36Bの間において、溝54、56の上下には、それぞれ全周に亘ってシール部材58が介装される。
【0022】
次に、図1、2、4を参照して、制御装置50による本実施形態の充填装置10における充填処理について説明する。本実施形態では容器Vに1000mlの充填液Fを充填するものとする。供給コンベヤ12上を1列で供給されてくる容器Vはインフィードスクリュー13によって所定の間隔に広げられて供給ホイール14のポケットに収容されて充填装置10へ搬送される。インフィードスクリュー13の側方には容器Vの有無を検出するセンサ15が配置されており、制御装置50はセンサ15からの信号を受けてびん台28上に容器Vが供給されたか否かを認識し、容器Vが供給されないびん台28に対応する充填バルブ26Bを開放させないように制御する。
【0023】
充填装置10は、容器受取位置P1において供給ホイール14から空の容器Vをびん台28に受け取ると、制御装置50はロードセル30からの信号を受けて、容器Vの重量を計測して風袋や充填される充填液Fの重量を認識する。具体的には図1に示される風袋計量区間S1においてロードセル30により空の容器Vの計量が行われる。次に、第1小流量充填区間S2において後述する小流量充填を例えば0.5秒間行った後、大流量充填区間S3において大流量充填が行われ、充填液Fの重量が950mlに到達すると、再び小流量充填に切り替えられる。第2小流量充填区間S4では小流量充填が行われ、ロードセル30を通して容器Vが1000mlとなったことが確認されると充填バルブ26Bが閉じられ充填が終了する。その後充填装置10では、充填容器計量区間S5においてロードセル30により充填済みの容器Vの最終的な計量が行われ、容器Vは容器受渡位置P2において排出ホイール16へと受け渡される。容器Vが取り除かれたびん台28は、容器受渡位置P2から容器受取位置P1までの待機区間S6を経て、再び容器受取位置P1において空の容器Vを受け取り、同様の処理を繰り返す。なお、第1小流量充填区間S2から大流量充填区間S3への切り替えは充填時間では無く、ロードセル30によって所定重量、例えば30ml充填されたことを検出して切り替えてもよい。
【0024】
図4には、充填ノズル26および開閉バルブ46Aを用いた各区間S1~S6における制御の様子が模式的に示される。図4(a)には、充填が停止される風袋計量区間S1、充填容器計量区間S5、および待機区間S6における様子が示され、図4(b)には、第1、第2小流量充填区間S2、S4における様子が示される。図4(c)には、大流量充填区間S3における様子が示される。
【0025】
また、図2において充填装置10の右側の充填ノズル26は、大流量充填区間S3における状態(図4(c)の状態)を示し、左側の充填ノズル26は、待機区間S6における状態(図4(a)の状態)を示す。なお、図2図4において、閉鎖された開閉バルブ46Aは黒塗りで示され、開放された開閉バルブ46Aは白抜きで示される。また、各配管、充填ノズル26を流れる充填液Fの量は、各流路の線の太さで示され(太いほど流量大)、充填液Fが排出された通路は破線で示される。
【0026】
図4(a)に示される充填が停止されている風袋計量区間S1、充填容器計量区間S5、待機区間S6では、充填ノズル26が閉じられるとともに、開閉バルブ46Aが開放される。これにより当該充填ノズル26に接続される分岐配管32に供給される充填液Fは全て分岐戻り配管46、戻り配管48(リターン通路)を通して貯留タンク40へと還流される。
【0027】
図4(b)に示される第1、第2小流量充填区間S2、S4では、開閉バルブ46Aが開放された状態で、充填ノズル26が開放される。これにより当該充填ノズル26に接続される分岐配管32に供給される充填液Fの一部は、充填ノズル26から容器Vへと供給され、残りは分岐戻り配管46、戻り配管48(リターン通路)を通して貯留タンク40へと還流される。すなわち、容器Vに供給される充填液Fの単位時間当たりの流量は、単位時間当たりに当該充填ノズル26に接続される分岐配管32に供給される流量から分岐戻り配管46、戻り配管48(リターン通路)を通して貯留タンク40へと還流される充填液Fの単位時間当たりの流量を減算した流量となる。
【0028】
図4(c)に示される大流量充填区間S3では、充填ノズル26が開放された状態で、開閉バルブ46Aが閉鎖される。これにより当該充填ノズル26に接続される分岐配管32に供給される充填液Fは全て充填ノズル26から容器Vへと供給される。
【0029】
以上のように第1実施形態によれば、使用されていない充填ノズルの分岐配管に供給される充填液を、リターン通路を通して貯留タンクに還流させることができる。これにより、送液ポンプから充填装置へ供給される単位時間当たりの流量が一定で、かつ、使用される充填ノズルの数が増減する場合においても、使用中の充填ノズルを通して容器に供給される単位時間当たりの流量を略一定に維持することができる。このとき、使用される各充填ノズルから各容器に供給される充填液の単位時間当たりの充填量と、各リターン通路を通して貯留タンクへと還流される充填液の単位時間当たりの流量の総和は、送液ポンプの単位時間当たりの送液量に等しくなる。
【0030】
また、本実施形態では、開放されている充填ノズルの分岐戻り配管の開閉バルブを開放することにより、充填ノズルから容器に供給される単位時間当たりの充填流量を低減することができる。このような小流量充填を充填開始時に採用することにより、容器内における充填液の液はねを防止できる。また、小流量充填を充填終了時に採用することにより、各充填ノズルによる充填精度を高めることができる。なお、小流量充填の採用は任意である。
【0031】
次に図5を参照して第2実施形態の充填装置60について説明する。第1実施形態の充填装置10は、ロータリー式充填装置であったが、第2実施形態の充填装置60は、ライン式充填装置である。なお、第1実施形態と同様の構成については同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0032】
充填装置60では、容器Vは供給コンベヤ(容器供給装置)62に起立状態で支持され一列に搬送される。通常、容器Vは供給コンベヤ62上を一定の搬送ピッチで搬送され、供給コンベヤ62の上方には、供給コンベヤ62上の容器Vの搬送ピッチに対応して複数の充填ノズル26が1列に配置される。供給コンベヤ62へ容器Vが適正に供給されたか、すなわち歯抜け状態が発生しているか否かは、供給コンベヤ62の搬送路に隣接して配置されるセンサ64によって検知される。制御装置50はセンサ64からの信号に基づき、充填すべき容器Vが存在しない充填ノズル26を特定する。
【0033】
各充填ノズル26には、供給配管38、供給側マニホールド66、分岐配管32を介して貯留タンク40の充填液Fが送液ポンプ42により供給される。各分岐配管32において充填ノズル26の上流側には、開閉バルブ46Aを備える分岐戻り配管46がそれぞれ接続され、各分岐戻り配管46は戻り側マニホールド68、戻り配管48を介して貯留タンク40へと接続される。
【0034】
制御装置50は、充填すべき容器Vが存在する充填ノズル26に対応する開閉バルブ46Aを閉鎖するとともに、当該充填ノズル26の充填バルブ26Bを開放することで第1実施形態における大容量充填を行うことができる。また、充填すべき容器Vが存在しない充填ノズル26の充填バルブ26Bを閉鎖するとともに、当該充填ノズル26に対応する開閉バルブ46Aを開放することにより、当該充填ノズル26に供給される充填液Fを全て貯留タンク40へと還流することができる。また、充填バルブ26Bと、対応する開閉バルブ46Aを開放することで、第1実施形態と同様に小容量充填を行うこともできる。
【0035】
なお、第2実施形態の充填装置60では、各分岐配管32に流量計70が設けられ、各容器Vへの充填量は、流量計70からの信号に基づき制御装置50において判断される。すなわち、流量計70からの信号に基づき当該充填ノズル26に対応する容器Vの充填が完了したと判断されると、充填バルブ26Bが閉鎖され、対応する開閉バルブ46Aは開放される。
【0036】
なお、第1実施形態の充填装置では、容器重量の計測結果に基づき充填制御を行い、第2実施形態では流量計を用いて充填制御を行ったが、これらの構成は各々第1、第2実施形態の何れにおいても適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10、60 充填装置
14 供給ホイール(容器供給装置)
22 上部回転体
26 充填ノズル
26A 液通路
26B 充填バルブ
32 分岐配管
34 マニホールド部
34A、66 供給側マニホールド
34B、68 戻り側マニホールド
38 供給配管
40 貯留タンク
42 ロータリーポンプ(送液ポンプ)
46 分岐戻り配管(リターン通路)
46A 開閉バルブ
48 戻り配管(リターン通路)
50 制御装置
62 供給コンベヤ(容器供給装置)
S2、S4 小流量充填区間
S3 大流量充填区間
図1
図2
図3
図4
図5