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特開2024-111377機器移動検出装置、機器移動検出方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111377
(43)【公開日】2024-08-19
(54)【発明の名称】機器移動検出装置、機器移動検出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/24 20060101AFI20240809BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G08B13/24
G08B25/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015814
(22)【出願日】2023-02-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭多
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 邦彦
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA09
5C084BB13
5C084CC16
5C084CC31
5C084DD09
5C084DD87
5C084GG65
5C084HH12
5C087DD05
5C087EE12
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG20
5C087GG35
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で機器の移動を検出できる機器移動検出装置等を提供する。
【解決手段】移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出し、検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する機器移動検出装置等とする。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動検出対象である機器の底部に設けられ、絶縁部分を介して互いに隣接する複数の導電部分を含む導通手段と、
複数の前記導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、
前記導通パターン検出手段の検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備える
ことを特徴とする機器移動検出装置。
【請求項2】
前記導通パターン検出手段は、前記機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態となった前記導電部分の組み合わせを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器移動検出装置。
【請求項3】
前記導通パターン検出手段は、前記機器が起動された場合、複数の前記導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の機器移動検出装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記機器の移動に関する情報として、前記機器が移動された時間に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の機器移動検出装置。
【請求項5】
前記導電体領域は、前記機器が設置される台の上面に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の機器移動検出装置。
【請求項6】
前記導電体領域は、前記導電体領域が表面に設けられたシールを前記台に張り付ける、または導電性を有する物質を前記台に塗装することにより設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の機器移動検出装置。
【請求項7】
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、
前記導通パターン検出手段の検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備える
ことを特徴とする機器移動検出装置。
【請求項8】
コンピュータが、
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出し、
検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する
機器移動検出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する処理と、
検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する処理とを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器の移動を検出する機器移動検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
重要な情報が記憶されている情報処理装置等には、物理的なセキュリティ対策が施される。例えば、情報処理装置の筐体を設置場所に固定したり、情報処理装置に保護カバーを設けて、保護カバーを設置場所に固定したりすれば、情報処理装置の持ち去り等を防止できる。
【0003】
特許文献1には、ボルトを用いて、情報処理装置を保護する保護カバー等をベースに固定することが開示されている。特許文献1の情報保護装置は、ボルトの回転を検出し、情報処理装置を移動させようとする不正がなされたか否かを判定する。この情報保護装置は、不正がなされたと判定した場合、情報処理装置のデータ消去等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/167798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、情報処理装置の移動等を検出するために、ボルトを用いて、情報処理装置をベースに固定する必要がある。情報処理装置の設置場所には、ボルトを用いることができない場合がある。そのような設置場所であっても、ボルトなどの治具を用いずに、簡易な構成で情報処理装置の移動を検出できれば、十分なセキュリティ対策を施すことができる。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、簡易な構成で機器の移動を検出する機器移動検出装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の機器移動検出装置は、移動検出対象である機器の底部に設けられ、絶縁部分を介して互いに隣接する複数の導電部分を含む導通手段と、複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、導通パターン検出手段の検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備える。
【0008】
本開示の一態様の機器移動検出装置は、移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、導通パターン検出手段の検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備える。
【0009】
本開示の一態様の機器移動検出方法においては、コンピュータが、移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出し、検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータに、移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する処理と、検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、簡易な構成で機器の移動を検出できる機器移動検出装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一の実施形態に係る機器移動検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2】第一の実施形態に係る機器移動検出装置の筐体の底面を斜め下方から見た外観を示す斜視図である。
図3】第一の実施形態に係る機器移動検出装置の導通部の拡大図である。
図4】第一の実施形態に係る機器移動検出装置の設置例を示す立体図である。
図5】第一の実施形態に係る導電パターン部分と導通部とを示す模式図である。
図6】第一の実施形態に係る導電パターン部分の拡大図である。
図7】第一の実施形態に係る導電パターン部分と導電部との接触の様子を示す模式図である。
図8】第一の実施形態に係る導電パターン部分と導電部との接触の様子を示す概念図である。
図9】第一の実施形態に係る機器移動検出装置に記憶される通電状態格納表の一例を示す図である。
図10】第一の実施形態に係る機器移動検出装置の動作例を示すフローチャートである。
図11】第二の実施形態に係る機器移動検出装置の構成例を示すブロック図である。
図12】各実施形態の処理を実行するハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本開示を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様の構成には、同一の符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成や動作に関しては、繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0014】
[第一の実施形態]
まず、図1から図8を参照して、第一の実施形態に係る機器移動検出装置1について説明する。図1は、機器移動検出装置1の構成例を示すブロック図である。機器移動検出装置1は、導通部11、導通パターン検出部12、出力部13、および記憶部14を含む。本実施形態においては、機器移動検出装置1そのものが、移動の検出対象の機器である。
【0015】
導通部11は、複数の導電部111-A、111-B、111-C、・・・、111-N(以降、導電部111-A~111-Nの各々を「導電部111」という。)と、絶縁部112とにより構成される。導電部111は、移動検出対象である機器の底部に設けられた導電部分である。複数の導電部111は、絶縁部112を介して互いに隣接する。導電部111は、導電部分の一例である。また、絶縁部112は、絶縁部分の一例である。
【0016】
図2は、機器移動検出装置1の筐体の底面を斜め下方から見た外観を示す斜視図である。図2に示されるように、検出対象の機器(本例では、機器移動検出装置1)の表面に、導通部11が設けられている。本実施形態では、機器移動検出装置1の筐体における底面に導通部11が設置される例について説明する。例えば、筐体の底面には、導通部11を設置するための開口部が設けられてもよい。図3の例の場合、筐体の底面には、四角形の開口部が設けられる。なお、開口部の形は四角形に限られない。開口部の形は、四角形以外の多角形であってもよいし、円形であってもよい。
【0017】
図3は、機器移動検出装置1の導通部11の拡大図である。図3に示されるように、複数の導電部111が、導通部11に設けられている。各導電部111の間には、絶縁部112が設けられている。
【0018】
なお、導電部111の数は、図3の例に限定されない。導通部11には、2以上の複数の導電部111が設けられればよい。導電部111の配置は、図3の例に限定されない。各導電部111は、縦横に互いに一定の間隔で、マトリクス状に配置されていてもよい。各導電部111は、ランダムに配置されていてもよい。導通部11には、任意の配置で導電部111を設けることができる。
【0019】
図4は、機器移動検出装置1の設置例を示す立体図である。机等の台2の上に検出対象の機器(本例では、機器移動検出装置1)が設置される。図4に示されるように、台2の上面には、導電パターン部分21が設けられる。図5は、導電パターン部分21と機器移動検出装置1の導通部11とを示す模式図である。図4および図5に示されるように、利用者は、導電パターン部分21と、検出対象の機器に設けられている導通部11とが対向する位置に、検出対象の機器を設置する。
【0020】
ここで、導電パターン部分21について詳細に説明する。図6は、導電パターン部分21の拡大図である。図6に示されるように、導電パターン部分21は、電気を通す導電体領域と、電気を通さない絶縁領域とから構成される。導電パターン部分21における各導電体領域は、絶縁領域を介して互いに隣接する。例えば、導電体領域の形は不規則な形である。
【0021】
例えば、導電体領域が表面に設けられたシールを台2に張り付けることにより、導電パターン部分21を台2の表面に形成できる。また、導電性を有するインクを用いて任意の形の導電体領域を紙や布等に印刷することにより、導電パターン部分21を台2の表面に形成できる。検出対象の機器(本例では、機器移動検出装置1)の導通部11は、紙や布に印刷された導電体領域の少なくとも一部に接する位置に設置される。紙や布において、導電体領域ではない部分、すなわち、導電性を有するインクを付けられていない部分が絶縁領域である。また、検出対象の機器を設置する台2の表面に導電性を有する物質を吹き付け塗装等によって塗装することにより、導電パターン部分21を台2の表面に形成できる。
【0022】
また、導電パターン部分21の形は、図4に示す角形等の多角形であってもよい。導電パターン部分21の形は、円形であってもよい。導電パターン部分21や導電体領域の形は、文字や線画等の任意の図柄であってもよい。導電パターン部分21の形は、不規則なものであってもよい。導電パターン部分21や各導電体領域の形状を図柄や不規則な線画にすることにより、隣同士だけではなく離れた位置の導電部111間が通電状態になったことが検出される。隣同士の導電部111間に限られずに、いずれかの導電部111間が通電状態になったことが検出されるので、機器移動検出装置1による検出結果の複雑性を高めることができる。
【0023】
図7は、導電パターン部分21と導電部111との接触の様子を示す模式図である。図7に示すように、各導電部111は、導電パターン部分21の導電体領域、または絶縁領域に接する。
【0024】
導通パターン検出部12は、所定のタイミングで、導電部111間の通電状態の検出を開始する。例えば、所定のタイミングは、所定の時間が経過したときである。または、所定のタイミングは、検出対象の機器(本例では、機器移動検出装置1)が起動されたときであってもよい。導通パターン検出部12は、複数の導電部111のうち、二つずつ、導電部111間に電流を流す。導通パターン検出部12は、複数の導電部111の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する。具体的には、導通パターン検出部12は、複数の導電部111のいずれの間が通電状態になったのかをON/OFF信号で把握する。導通パターン検出部12は、二つの導電部111間の通電状態を検出するときに、複数の導電部111のうちすべての組み合わせの導電部111間の通電状態を検出する。なお、導通パターン検出部12は、予め設定された特定の組み合わせの導電部111間の通電状態を検出してもよい。
【0025】
導通パターン検出部12は、一方の導電部111と他方の導電部111との間で通電状態になったことを検出した場合、通電状態になったことを示す通電状態情報を記憶部14に記憶させる。導通パターン検出部12は、一方の導電部111と他方の導電部111との間で通電状態にならなかったことを検出した場合、通電状態にならなかったことを示す通電状態情報を記憶部14に記憶させる。通電状態情報は、導通パターン検出部12による検出結果を示す。
【0026】
図8は、導電パターン部分21と導電部111(本例では、導電部111-A、111-B、および111-C)との接触の様子を示す概念図である。図8を参照して、導通パターン検出部12についてより詳細に説明する。
【0027】
図8に示すように、導電パターン部分21と導電部111-A~111-Cとが接しているとする。導電パターン部分21の導電体領域211-a、211-b、211-c、211-d、および211-eのそれぞれは、絶縁領域212により互いに区切られている。導電部111-Aは、導電体領域211-aと導電体領域211-bとに接する。導電部111-Bは、導電体領域211-bと導電体領域211-cとに接する。導電部111-Cは、導電体領域211-cと導電体領域211-dと導電体領域211-eとに接する。
【0028】
導通パターン検出部12は、機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態となった導電部111の組み合わせを検出する。具体的には、導電パターン部分21と導電部111-A~111-Cとが図8に示すように接している場合、導通パターン検出部12は、次のように通電状態を検出する。導通パターン検出部12は、導電部111-Aと導電部111-Bとが通電状態になったことを検出する。導電部111-Aと導電部111-Bとは、導電体領域211-bを介して電気的に接続されている。また、導通パターン検出部12は、導電部111-Bと導電部111-Cとが通電状態になったことを検出する。導電部111-Bと導電部111-Cとは、導電体領域211-cを介して電気的に接続されている。一方で、導電部111-Aと導電部111-Cとは電気的に接続されていない。そのため、導通パターン検出部12は、導電部111-Aと導電部111-Cとが通電状態にならなかったことを検出する。導通パターン検出部12は、検出結果を示す通電状態情報と検出日時を示す検出日時情報とを通電状態格納表に記憶させる。通電状態格納表は、機器移動検出装置1の記憶部14に記憶される。
【0029】
図9は、機器移動検出装置1の記憶部14に記憶される通電状態格納表の一例(通電状態格納表L1)を示す図である。通電状態格納表L1には、導通パターン検出部12による各導電部111間の通電状態の検出結果を示す通電状態情報が、検出された日時を示す検出日時情報と対応付けて記憶される。図9の通電状態格納表には、2022年12月1日の9時から11時まで、1時間おきに検出された通電状態が記憶されている。図9は、導電部111-Aと導電部111-Bの間の通電状態、導電部111-Aと導電部111-Cの間の通電状態、および導電部111-Bと導電部111-Cの間の通電状態が記憶されている場合の通電状態格納表の例である。例えば、図9において、「(A,B=1)」は、導電部111-Aと導電部111-Bとが通電状態になったことが検出されたことを示す。また、図9において、「(A,C=0)」は、導電部111-Aと導電部111-Cとが通電状態にならなかったことが検出されたことを示す。
【0030】
なお、導通パターン検出部12は、通電状態情報と検出日時情報とを暗号化して記憶部14に記憶させてもよい。通電状態情報と検出日時情報とが暗号化されている場合、不正に機器を移動させた人が、機器の移動前に検出された通電状態を把握することができない。そのため、機器が移動されたとき、不正に機器を移動させた人が、機器が移動していないように、通電状態格納表に記憶されている通電状態情報を偽装することが困難である。機器移動検出装置1は、通電状態情報と検出日時情報とを暗号化して記憶部14に記憶させることにより、検出対象の機器の移動に関するデータの改ざんに備えることができる。
【0031】
出力部13は、導通パターン検出部12の検出結果に応じて機器(本例では、機器移動検出装置1)の移動に関する情報を出力する。具体的には、出力部13は、通電状態格納表に記憶されている検出日時情報と通電状態情報を、記憶部14から読み出す。出力部13は、各検出日時における通電状態情報に示される通電状態を互いに比較する。例えば、出力部13は、最新の通電状態情報に示される通電状態と、その前の検出における通電状態情報に示される通電状態とを比較する。出力部13は、通電状態が一致しない通電状態情報があることに応じて、機器が移動されたことを示す通知を出力する。例えば、出力部13は、予め設定されている連絡先に電子メールを出力したり、警報を出力したりする。また、出力部13は、機器のデータを保護するための回路を作動させたり、機器のデータを消去したりしてもよい。
【0032】
機器(本例では、機器移動検出装置1)のわずかな位置ずれであっても、導電部111の少なくとも一部の通電状態が変わってしまう。これは、機器が移動された場合、各導電部111と導電パターン部分21の導電体領域や絶縁領域との配置が変化するためである。機器を移動させた人が、移動前と同一の通電状態を移動後に再現することは非常に困難である。各導電部111と導電パターン部分21の導電体領域や絶縁領域との配置が変化することにより、各導電部111の少なくとも一部の通電状態が機器の移動前と移動後とで変化する。このため、機器移動検出装置1は、各検出日時における通電状態情報に示される通電状態を互いに比較することにより、機器の移動を検出できる。
【0033】
例えば、出力部13は、機器の移動に関する情報として、機器が移動された時間に関する情報を出力してもよい。具体的に、出力部13は、通電状態が過去の通電状態情報に示される通電状態と異なったときの検出日時と当該検出日時の直前の検出日時との間の時間帯において機器が移動されたと推定してもよい。例えば、図9に示す検出日時情報と通電状態情報に加えて、2022年12月1日12時に検出された通電状態として、「(A,B=0)(A,C=0)(B,C=0)」が通電状態格納表に記憶されているとする。この場合、出力部13は、2022年12月1日の11時から12時の間の時間帯に機器が移動されたと推定する。例えば、出力部13は、機器が移動されたことと、移動が行われたと推定される時間帯とを知らせる電子メールを作成する。出力部13は、予め設定されている連絡先に、作成した電子メールを送信する。なお、出力部13は、過去の通電状態情報に示される通電状態と異なる通電状態が検出された日時を、機器が移動された日時であると推定してもよい。出力部13は、機器が移動された日時を電子メール等により通知してもよい。
【0034】
本実施形態では、機器移動検出装置1そのものが、移動を検出する対象の機器である場合を説明した。しかし、機器移動検出装置1は、機器移動検出装置1とは異なる検出対象の機器から通電状態情報を取得してもよい。この場合、機器移動検出装置1は、機器の移動に関する情報を出力するように構成される。検出対象の機器には、導電部111が設けられている。
【0035】
機器移動検出装置1は、機器の蓋に設けられた複数の導電部と蓋と接する部分に設けられた導電パターン部分との通電状態を検出してもよい。機器移動検出装置1は、機器の蓋が開閉されたこと、すなわち機器内部へのアクセスを検出してもよい。例えば、機器内部へのアクセスが検出されたときに、保守作業員が機器内部を確認したり、機器移動検出装置1がデータを消去したりする。これにより、機器内部へ設置されたロガーによる被害や、HDD(Hard Disk Drive)からのデータの抜き取りを防止できる。また、機器がパチンコ等の遊技機である場合、遊技機内部への不正機器の取付けの検出に機器移動検出装置1を用いることができる。
【0036】
また、機器移動検出装置1は、ドアや窓などの開口部に設けられた複数の導電部と、ドア枠や窓枠に設けられた導電パターン部分との通電状態を検出してもよい。複数の導電部は、ドアや窓が閉まっているときにのみ、導電パターン部分と接するように設けられればよい。建築物のドアや窓といった開口部の通電状態を検出することにより、機器移動検出装置1は、建築物の内部に侵入する者がいたことを推測できる。機器移動検出装置1は、建築物内部に進入された可能性があることを通知してもよい。
【0037】
次に、図10を参照して、本実施形態の機器移動検出装置1の動作例を説明する。図10は、機器移動検出装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0038】
機器移動検出装置1は、所定のタイミングで、導電部111の通電状態の検出を開始する(ステップS101、YES)。機器移動検出装置1は、通電状態を検出するタイミングではない場合(ステップS101、NO)、導電部111の通電状態の検出を開始せずに、所定のタイミングまで待機する。
【0039】
ステップS101でYESの場合、機器移動検出装置1は、複数の導電部111のいずれの間が通電状態になったのかを検出する(ステップS102)。
【0040】
機器移動検出装置1は、ステップS102における検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する(ステップS103)。
【0041】
以上で説明したように、本実施形態の機器移動検出装置1は、移動検出対象である機器(本例では、機器移動検出装置1)の底部に設けられた導通部11に含まれる複数の導電部分(導電部111)の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する。複数の導電部分(導電部111)は、絶縁部分(絶縁部112)を介して互いに隣接する。機器移動検出装置1は、検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する。本実施形態の機器移動検出装置1は、複数の導電部分(導電部111)の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出した結果に応じて、機器の移動に関する情報を出力する。そのため、本実施形態の機器移動検出装置1は、簡易な構成で機器の移動を検出できる。
【0042】
導電体領域は、導電体領域と絶縁領域とが表面に設けられたシールを台2に張り付けることや、吹き付け塗装等により、機器が設置される台の上面に設けられる。このように、機器の移動を監視するための装置や設備を追加することなく、機器移動検出装置1は、機器の移動を検出できる。
【0043】
機器移動検出装置1は、機器のわずかな位置ずれであっても、導電部111間の通電状態が変化することを利用して、機器の移動を検出する。不正の目的を持った人が、機器内のデータにアクセスするために機器の通信インタフェースの配線を変えた場合、その作業中に機器の位置がわずかにでも変化すれば、機器移動検出装置1は、機器の移動を検出できる。また、機器を移動させた人が、見かけ上同じ位置に機器を戻したとしても、機器移動検出装置1は、機器の移動を検出できる。単純な方法で突破されてしまうスイッチを用いた移動検出の方法や、監視カメラ等の外部機器を必要とする機器を撮影した画像を用いる監視方法と比べ、機器移動検出装置1は、高いセキュリティ性を簡易な構成で実現できる。
【0044】
機器移動検出装置1は、機器が起動された場合、複数の導電部111のいずれの間が通電状態になったのかを検出する。機器移動検出装置1は、機器の起動後に検出した各導電部111間の通電状態の検出結果と、電源が切られる前の各導電部111間の通電状態の検出結果とを比較する。このように、機器移動検出装置1は、機器の電源が切られている間に機器が移動されたか否かを検出する。これにより、機器の電源が切られている間に移動されて、見かけ上元の位置に戻されても、機器移動検出装置1は、機器の移動を検出できる。
【0045】
機器移動検出装置1は、機器が移動された時間に関する情報を出力する。これにより、利用者は、機器が移動された時間を把握できる。
【0046】
機器移動検出装置1は、通電状態が過去の通電状態情報に示される通電状態と異なったときに、機器の移動を検出する。機器移動検出装置1は、移動を検出したことに応じて、アラームを出力したり、通報したり、データを消去したりできる。このように、機器移動検出装置1は、機器の移動を検出したことに応じてセキュリティ措置を講じることができる。また、機器移動検出装置1は、セキュリティ措置を講じることにより、機器の耐タンパー性を高めることができる。
【0047】
なお、機器移動検出装置1は、セキュリティ要求事項であるFIPS(Federal Information Processing Standards)に規定されている要件を満たすために使用できる。
【0048】
[第二の実施形態]
第二の実施形態に係る機器移動検出装置3について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の機器移動検出装置3は、第一の実施形態の機器移動検出装置1を簡略化した構成である。
【0049】
図11は、本実施形態の機器移動検出装置3の構成例を示すブロック図である。本実施形態の機器移動検出装置3は、導通部31、導通パターン検出部32、および出力部33を含む。
【0050】
導通部31は、導通手段の一例である。導通部31は、移動検出対象である機器(本例では、機器移動検出装置3)の底部に設けられている。導通部31は、絶縁部分を介して互いに隣接する複数の導電部分を含む。
【0051】
導通パターン検出部32は、導通パターン検出手段の一例である。導通パターン検出部32は、複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する。
【0052】
出力部33は、出力手段の一例である。出力部33は、導通パターン検出部32の検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態の機器移動検出装置3は、移動検出対象である機器の底部に設けられた導通部31に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する。機器移動検出装置3は、検出結果に応じて機器の移動に関する情報を出力する。本実施形態の機器移動検出装置3は、複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出した結果に応じて、機器の移動に関する情報を出力する。そのため、機器移動検出装置3は、簡易な構成で機器の移動を検出できる。
【0054】
[ハードウェア構成例]
上記した各実施形態に示した手順は、汎用の情報処理装置(コンピュータ)に、各実施形態の機能を実現させるプログラムに従って処理を実行させることより実現可能である。以下、上述した各実施形態に係る処理を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実行するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、各実施形態に係る処理は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実行されてもよい。また、各実施形態に係る処理は、専用の装置を用いて実行されてもよい。また、各実施形態に係る処理の一部のみを情報処理装置を用いて実行してもよい。各実施形態に係る処理の一部またはすべては、一つの情報処理装置によって実行されてもよい。また、情報処理装置は、各実施形態に係る処理を実行するハードウェアが実装された専用の装置(サーバ)として提供されてもよい。
【0055】
図12は、各実施形態に係る処理を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置4は、通信インタフェース41、入出力インタフェース42、演算装置43、記憶装置44、不揮発性記憶装置45、およびドライブ装置46を含む。
【0056】
通信インタフェース41は、有線または無線で外部装置と通信するための通信手段である。各実施形態に係る処理が少なくとも二つの情報処理装置を用いて実行される場合、それらの装置の間を通信インタフェース41経由で相互に通信可能に接続してもよい。
【0057】
入出力インタフェース42は、マンマシンインタフェースである。入出力インタフェース42には、入力デバイスの一例であるキーボード等が接続される。また、入出力インタフェース42には、出力デバイスの一例であるディスプレイ等が接続される。
【0058】
演算装置43は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置43は、例えば、不揮発性記憶装置45に記憶された各種プログラムを記憶装置44に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行する。
【0059】
記憶装置44は、演算装置43から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置44は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0060】
不揮発性記憶装置45は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶する。
【0061】
ドライブ装置46は、後述する記録媒体47に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。記録媒体47にデータの読み込みや書き込みを行わない場合、ドライブ装置46が省略されてもよい。
【0062】
記録媒体47は、例えば、光ディスクや光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0063】
各実施形態において説明した機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムとして供給されてもよい。この場合、情報処理装置4に対して供給されたプログラムを、演算装置43が実行することによって、各実施形態の処理を実行できる。また、情報処理装置4は、各実施形態のすべての処理ではなく、各実施形態の一部の処理を実行してもよい。
【0064】
上記プログラムは、記録媒体47に記録させておいてもよい。例えば、出荷段階や運用段階等において、上記プログラムが不揮発性記憶装置45に格納されてもよい。この場合、上記プログラムは、出荷前の製造段階や運用段階等において、情報処理装置4にインストールされればよい。また、上記プログラムは、インターネット等の通信回線を介して、外部からダウンロードされてもよい。上記プログラムのインストールやダウンロードに関しては、一般的な方法を適用できる。
【0065】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1、3 機器移動検出装置
11、31 導通部
111、111-A~111-N 導電部
112 絶縁部
12、32 導通パターン検出部
13、33 出力部
14 記憶部
2 台
21 導電パターン部分
211-a~211-e 導電体領域
212 絶縁領域
4 情報処理装置
41 通信インタフェース
42 入出力インタフェース
43 演算装置
44 記憶装置
45 不揮発性記憶装置
46 ドライブ装置
47 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動検出対象である機器の底部に設けられ、絶縁部分を介して互いに隣接する複数の導電部分を含む導通手段と、
複数の前記導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、
前記導通パターン検出手段の検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備え、
前記導通パターン検出手段は、前記機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態となった前記導電部分の組み合わせを検出する
ことを特徴とする機器移動検出装置。
【請求項2】
前記導通パターン検出手段は、前記機器が起動された場合、複数の前記導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器移動検出装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記機器の移動に関する情報として、前記機器が移動された時間に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の機器移動検出装置。
【請求項4】
前記導電体領域は、前記機器が設置される台の上面に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の機器移動検出装置。
【請求項5】
前記導電体領域は、前記導電体領域が表面に設けられたシールを前記台に張り付ける、または導電性を有する物質を前記台に塗装することにより設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の機器移動検出装置。
【請求項6】
前記導電体領域は、不規則な形であり、絶縁領域を介して互いに隣接する
ことを特徴とする請求項1に記載の機器移動検出装置。
【請求項7】
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が通電状態になったのかを検出する導通パターン検出手段と、
前記導通パターン検出手段の検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する出力手段とを備え、
前記導通パターン検出手段は、前記機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態となった前記導電部分の組み合わせを検出する
ことを特徴とする機器移動検出装置。
【請求項8】
コンピュータが、
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が、前記機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態になったのかを検出し、
検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する
機器移動検出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動検出対象である機器の底部に設けられた導通手段に含まれる複数の導電部分の組み合わせのうちいずれの間が、前記機器の底部に対面して設けられた複数の導電体領域を介して互いに通電状態になったのかを検出する処理と、
検出結果に応じて前記機器の移動に関する情報を出力する処理とを実行させる
プログラム。