(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113573
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018655
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智也
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA04
5D107CC09
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】
【課題】所望の振動の大きさを実現できる振動発生装置を提供すること。
【解決手段】振動発生装置101は、固定体FBと、可動体MBと、固定体FBと可動体MBとの間に介在し可動体MBを固定体FBに対してZ軸方向に振動可能に支持する支持部材9と、可動体MBに含まれるとともにZ軸方向を着磁方向とする永久磁石6と、Z軸方向における永久磁石6の少なくとも一端側に取り付けられるとともにZ軸方向に垂直な第2方向に延びる磁界を発生させるポールピース7と、ポールピース7を囲むように固定体FBに取り付けられたコイル5と、を含む。ポールピース7は、Z軸方向における寸法が、Z軸方向におけるコイル5の寸法よりも大きくなるように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体と、
可動体と、
前記固定体と前記可動体との間に介在し前記可動体を前記固定体に対して第1方向に振動可能に支持する支持部材と、
前記可動体に含まれるとともに前記第1方向を着磁方向とする永久磁石と、
前記第1方向における前記永久磁石の少なくとも一端側に取り付けられるとともに前記第1方向に垂直な第2方向に延びる磁界を発生させるポールピースと、
前記ポールピースを囲むように前記固定体に取り付けられたコイルと、を備える振動発生装置であって、
前記ポールピースは、前記第1方向における寸法が、前記第1方向における前記コイルの寸法よりも大きくなるように構成されている、
ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記コイルは、断面の前記第2方向における寸法が前記断面の前記第1方向における寸法よりも大きい形状を有する、
請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記ポールピースは、前記第1方向における前記永久磁石の一端側に取り付けられた第1ポールピースと、前記第1方向における前記永久磁石の他端側に取り付けられた第2ポールピースとを含み、
前記コイルは、前記第2方向において、前記第1ポールピース及び前記第2ポールピースのうちの一方の外側に配置されることなく、前記第1ポールピース及び前記第2ポールピースのうちの他方の外側に配置される、
請求項1に記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マグネット(永久磁石)と二つの可動体コア(ポールピース)とを含む可動体を振動させる振動アクチュエータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、二つのポールピースのそれぞれは、永久磁石よりも薄くなるように構成されている。そのため、特許文献1に開示された構成では、可動体の重量が軽くなってしまい、所望の振動の大きさ(強さ)を実現できないおそれがある。
【0005】
そこで、所望の振動の大きさを実現できる振動発生装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係る振動発生装置は、固定体と、可動体と、前記固定体と前記可動体との間に介在し前記可動体を前記固定体に対して第1方向に振動可能に支持する支持部材と、前記可動体に含まれるとともに前記第1方向を着磁方向とする永久磁石と、前記第1方向における前記永久磁石の少なくとも一端側に取り付けられるとともに前記第1方向に垂直な第2方向に延びる磁界を発生させるポールピースと、前記ポールピースを囲むように前記固定体に取り付けられたコイルと、を備える振動発生装置であって、前記ポールピースは、前記第1方向における寸法が、前記第1方向における前記コイルの寸法よりも大きくなるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段は、所望の振動の大きさを実現できる振動発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】振動発生装置を構成する固定ケースの分解斜視図である。
【
図3】振動発生装置を構成する部材の分解斜視図である。
【
図5】振動発生装置を構成するコイル及び可動体の図である。
【
図6】振動発生装置を構成する駆動部の概略断面図である。
【
図7】振動発生装置を構成する駆動部の概略断面図である。
【
図8】振動発生装置を構成する部材の断面図である。
【
図9】振動発生装置を構成する部材の断面図である。
【
図10】振動発生装置を構成する部材の断面図である。
【
図11】振動発生装置を構成する部材の断面図である。
【
図12】振動発生装置を構成する部材の断面図である。
【
図13】振動発生装置を構成する可動ケースの別の構成例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態に係る振動発生装置101について説明する。
図1は、振動発生装置101の構成例を示す図である。具体的には、
図1の上図は、振動発生装置101の斜視図であり、
図1の下図は、振動発生装置101の分解斜視図である。
【0010】
図1におけるX1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2はX軸の他方向を表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2はY軸の他方向を表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2はZ軸の他方向を表す。本実施形態では、振動発生装置101のX1側は、振動発生装置101の前側(正面側)に相当し、振動発生装置101のX2側は、振動発生装置101の後側(背面側)に相当する。また、振動発生装置101のY1側は、振動発生装置101の左側に相当し、振動発生装置101のY2側は、振動発生装置101の右側に相当する。そして、振動発生装置101のZ1側は、振動発生装置101の上側に相当し、振動発生装置101のZ2側は、振動発生装置101の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0011】
振動装置VEは、制御部CTR及び振動発生装置101を有する。振動発生装置101は、例えば、ゲームコントローラ等の内部に取り付けられ、ゲームコントローラに振動を付与できるように構成されている。具体的には、振動発生装置101は、筒状ケースとしての固定ケースHSを含む固定体FBと、固定ケースHS内に収容される可動体MBと、可動体MBと固定体FBとの間に配置されて可動体MBを弾性的に支持する支持部材9と、を有する。固定体FBは、固定ケースHS、固定ケースHSに取り付けられる配線基板4、及び、固定ケースHSに巻き付けられるコイル5を含む。可動体MBは、振動軸VAに沿って振動できるように支持部材9によって支持される。
【0012】
制御部CTRは、両面テープによって固定ケースHSに固定される配線基板4上に設けられた導体パターンPD(第2導体パターンPD2)に接続されている。本実施形態では、配線基板4は、フレキシブルプリント配線基板である。接着剤は、熱硬化型接着剤である。以下の説明における接着剤についても同様である。但し、配線基板4は、リジッドフレキシブル基板等であってもよい。なお、
図1の上図における制御部CTRと配線基板4上に設けられた導体パターンPD(第2導体パターンPD2)とを繋ぐ破線は、制御部CTRと導体パターンPD(第2導体パターンPD2)とが電気的に接続されていることを模式的に示している。
【0013】
固定ケースHSは、
図1の上図に示すように、有蓋且つ有底の略円筒状の外形を有するケースである。なお、固定ケースHSは、略角筒状の外形等の他の外形を有していてもよい。
【0014】
ここで、
図1及び
図2を参照し、固定ケースHSの詳細について説明する。
図2は、固定ケースHSの分解斜視図である。本実施形態では、固定ケースHSは、互いに分離可能な三つの部材(第1固定ケース部材1、第2固定ケース部材2、及び第3固定ケース部材3)で構成されている。図示例では、第1固定ケース部材1、第2固定ケース部材2、及び第3固定ケース部材3は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を含んで形成されている。なお、第1固定ケース部材1、第2固定ケース部材2、及び第3固定ケース部材3は、他の材料を含んで形成されていてもよい。
【0015】
第1固定ケース部材1は、固定ケースHSの上部(略上半分)を構成するように形成されている。図示例では、第1固定ケース部材1は、第1外筒部1Aを有し、第1外筒部1Aの両端に開口縁部1Kを有するように構成されている。また、第1外筒部1Aは、
図2に示すように、その前面(X1側の面)が平坦面1APとなり、左面、後面、及び右面を含む残りの面が部分円筒面となるように形成されている。また、平坦面1APは、上下方向において段差を形成するように構成され、遠位面1AP1及び近位面1AP2を含む。なお、遠位面1AP1は、振動軸VAから遠い位置にある面を意味し、近位面1AP2は、振動軸VAから近い位置にある面を意味する。
【0016】
具体的には、第1固定ケース部材1は、第1外筒部1Aの上端に上側開口縁部1KUを有し、第1外筒部1Aの下端に下側開口縁部1KDを有するように構成されている。そして、略円環状の上側開口縁部1KUには、
図1に示すように、四つの切り欠き部1Cが90度間隔に形成され、且つ、三つの凹部1Rが90度間隔に形成されている。また、略円環状の下側開口縁部1KDには、
図2に示すように、三つの突出部1Pが90度間隔に形成されている。なお、上側開口縁部1KUにおける平坦面1APに対応する部分には凹部1Rは形成されておらず、下側開口縁部1KDにおける平坦面1APに対応する部分には突出部1Pは形成されていない。また、第1固定ケース部材1は、
図2に示すように、第1外筒部1Aの内側にあって上下方向に沿って延びる内筒部1Nを有する。内筒部1Nは、コイル5が巻き付けられるコイルボビンとして機能する。
【0017】
第2固定ケース部材2は、固定ケースHSの下部(略下半分)を構成するように形成されている。図示例では、第2固定ケース部材2は、第2外筒部2A及び底部2Bを有し、第2外筒部2Aの上端に開口縁部2Kを有するように形成されている。また、第2外筒部2Aは、
図2に示すように、その前面(X1側の面)が平坦面2APとなり、左面、後面、及び右面を含む残りの面が部分円筒面となるように形成されている。また、平坦面2APは、上方に突出して突出部2Pを形成している。そして、略円環状の開口縁部2Kには、
図1に示すように、四つの切り欠き部2Cが90度間隔に形成され、且つ、三つの凹部2Rが90度間隔に形成されている。四つの切り欠き部2Cは、
図1の上図に示すように、固定ケースHSが組み立てられたときに開口を形成できるように構成されている。組み立て後の振動発生装置101の全体を加熱する工程において、固定ケースHSの内部にある部材に塗布された熱硬化型接着剤に対して効率的に熱を供給できるようにするため、すなわち、熱硬化型接着剤を効率的に硬化させることができるようにするためである。なお、開口縁部2Kにおける平坦面2APに対応する部分には凹部2Rは形成されていない。三つの凹部2Rは、第1固定ケース部材1の下側開口縁部1KDに形成された三つの突出部1Pに対応するように構成されている。すなわち、三つの突出部1Pは、第1固定ケース部材1と第2固定ケース部材2とが組み合わされたときに、三つの凹部2Rと嵌合するように構成され、接着剤で固定される。
【0018】
第3固定ケース部材3は、固定ケースHSの蓋を構成するように形成されている。図示例では、第3固定ケース部材3は、天板部3Tと、天板部3Tの外縁から外方に突出する三つのフランジ部3Fと、天板部3Tの外縁から下方に延びる四つの突出部3Gとを有する。三つのフランジ部3Fは、第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUに形成された三つの凹部1Rに対応するように構成されている。すなわち、三つのフランジ部3Fは、第1固定ケース部材1と第3固定ケース部材3とが組み合わされたときに、三つの凹部1Rと嵌合するように構成されている。また、四つの突出部3Gは、第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUに形成された四つの切り欠き部1Cに対応するように構成されている。すなわち、四つの突出部3Gは、第1固定ケース部材1と第3固定ケース部材3とが組み合わされたときに、四つの切り欠き部1Cとかみ合うように構成されている。
【0019】
コイル5は、可動体MBを取り囲むように、固定ケースHSに固定されている。本実施形態では、コイル5は、絶縁材料で表面を被覆された導電線が巻回されて形成される円筒状の巻き線コイルであり、接着剤で第1固定ケース部材1に固定されている。なお、
図1では、明瞭化のため、導電線の詳細な巻回状態の図示を省略している。コイル5を図示する他の図においても同様である。図示例では、コイル5は、第1固定ケース部材1の内筒部1Nに巻回され、接着剤によって内筒部1Nに固定されている。そして、コイル5は、コイル5を構成する線材の両端が配線基板4に形成された導体パターンPD(第1導体パターンPD1)に接続されるように配置されている。第1固定ケース部材1の内筒部1Nは、線材を直接巻き付けることができるように、その外周面が
図2に示すように露出している。そのため、コイル5は、内筒部1Nに直接巻き付けられる。中空コイルを別途用意した上でその中空コイルを内筒部1Nに組み込むといった工程が必要になることはない。
【0020】
制御部CTRは、可動体MBの動きを制御できるように構成されている。本実施形態では、制御部CTRは、電子回路及び不揮発性記憶装置等を含む装置であり、少なくともコイル5を流れる電流の向きを制御できるように構成されている。制御部CTRは、コンピュータ等の外部装置からの制御指令に応じてコイル5を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよく、外部装置からの制御指令を受けずにコイル5を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよい。図示例では、制御部CTRは、交流電流をコイル5に供給できるように構成されている。なお、本実施形態では、制御部CTRは、固定ケースHSの外に設置されているが、固定ケースHSの内部に設置されていてもよい。
【0021】
可動体MBは、固定ケースHSを振動させることができるように構成されている。本実施形態では、可動体MBは、支持部材9を介して固定ケースHS内に取り付けられた状態で往復動することにより、固定ケースHSを振動させることができるように構成されている。
【0022】
ここで、
図3を参照し、可動体MBの詳細について説明する。
図3は、第1固定ケース部材1、配線基板4、コイル5、支持部材9、及び可動体MBの分解斜視図である。具体的には、可動体MBは、磁界発生部MT及び可動ケース8を含み、支持部材9によって弾性的に支持されるように構成されている。より具体的には、可動体MBは、所定の固有振動数を有するとともに、所定方向(Z軸方向)に延びる振動軸VAに沿って固定ケースHSに対して往復動(振動)できるように構成されている。
【0023】
磁界発生部MTは、固定ケースHSに対して往復動(振動)可能な状態で磁界を発生させることができるように構成されている。本実施形態では、磁界発生部MTは、永久磁石6及びポールピース7を含む。図示例では、永久磁石6は、Z軸方向に二極に着磁された円盤状の中実のネオジム磁石である。但し、永久磁石6は、円筒状又は円環状の永久磁石であってもよい。
【0024】
ポールピース7は、永久磁石6が発生させる磁界の磁力線の経路を制御できるように構成されている。本実施形態では、ポールピース7は、所定の重量を実現する錘として機能するようにサイズが決定されており、永久磁石6の上側(Z1側)に配置される第1ポールピース7Uと、永久磁石6の下側(Z2側)に配置される第2ポールピース7Dと、を含む。図示例では、ポールピース7は、円柱状の中実の磁性部材であり、冷間圧延鋼板で形成されている。なお、ポールピース7は、円筒状又は円環状の磁性部材であってもよい。そして、第1ポールピース7Uは永久磁石6の上面に吸着し、第2ポールピース7Dは永久磁石6の下面に吸着している。なお、永久磁石6とポールピース7とは接着剤によって互いに接合(固定)されていてもよい。また、図示例では、第1ポールピース7Uと第2ポールピース7Dとは同じ形状を有するように形成されている。すなわち、第1ポールピース7Uと第2ポールピース7Dとは同じ部品である。
【0025】
駆動部DMは、振動力発生器の一例であり、固定体FBに対して可動体MBを振動軸VAに沿って振動させることができるように構成されている。本実施形態では、駆動部DMは、電磁駆動機構であり、コイル5及び磁界発生部MTを含んで構成されている。具体的には、駆動部DMは、制御部CTRによる制御の下でコイル5に供給される電流の向き及び大きさに応じた電磁力を利用し、支持部材9によって弾性的に支持された可動体MB(磁界発生部MT)を振動軸VAに沿って振動させることができるように構成されている。
【0026】
可動ケース8は、磁界発生部MTを支持部材9に固定するための部材である。本実施形態では、可動ケース8は、アルミニウム又は亜鉛等の非磁性金属を含んで鋳造された部材であり、第1可動ケース部材8U及び第2可動ケース部材8Dを含む。図示例では、可動ケース8は、所定の重量を実現する錘として機能するように構成された亜鉛合金ダイカストである。
【0027】
具体的には、第1可動ケース部材8Uは、蓋部8ULと、蓋部8ULの上端部に設けられた突出部8UTとを有する。第2可動ケース部材8Dは、底部8DBと、底部8DBの外縁から振動軸VAに沿って延びる筒状部8DCと、筒状部8DCの端部に形成される開口縁部8DKと、底部8DBの下端部に設けられた突出部8DTとを有する。なお、図示例では、可動ケース8は、互いに分離可能な二つの部材(第1可動ケース部材8U及び第2可動ケース部材8D)で構成されているが、互いに分離可能な三つ以上の部品で構成されていてもよい。また、互いに分離可能な複数の可動ケース部材は、必ずしも互いに直接的に接触している必要はない。
【0028】
支持部材9は、固定体FBと可動体MBとの間に配置されて固定体FBに対して可動体MBを振動可能に弾性的に支持できるように構成されている。本実施形態では、支持部材9は、ステンレス等の金属で形成された板ばね部材であり、
図1に示すように、固定体FB(第1固定ケース部材1)に固定される外端部9Eと、可動体MB(可動ケース8)に固定される内端部9Iと、外端部9Eと内端部9Iとを弾性的に繋ぐ弾性腕部9Gと、を含む。内端部9Iには、可動ケース8との接合に利用される貫通孔9Tが形成されている。
【0029】
図示例では、支持部材9は、第1固定ケース部材1と第1可動ケース部材8Uとの間に配置される第1板ばね部材9Uと、第2固定ケース部材2と第2可動ケース部材8Dとの間に配置される第2板ばね部材9Dと、を含む。そして、第1板ばね部材9Uは、第1外端部9EU、第1内端部9IU、及び第1弾性腕部9GUを含み、第2板ばね部材9Dは、第2外端部9ED、第2内端部9ID、及び第2弾性腕部9GDを含む。また、図示例では、第1板ばね部材9Uと第2板ばね部材9Dとは同じ形状を有するように形成されている。すなわち、第1板ばね部材9Uと第2板ばね部材9Dとは同じ部品である。
【0030】
具体的には、第1板ばね部材9Uの第1外端部9EUは、第1固定ケース部材1の上端部に設けられた段差部ST(上側段差部1S)に載置された状態で接着剤により第1固定ケース部材1の上端部に接合される。同様に、第2板ばね部材9Dの第2外端部9EDは、第2固定ケース部材2の上端部に設けられた段差部ST(下側段差部2S)に載置された状態で接着剤により第2固定ケース部材2の下端部に接合される。
【0031】
また、第1板ばね部材9Uの第1内端部9IUは、第1可動ケース部材8Uの上端部に設けられた突出部8UTが第1内端部9IUに形成された第1貫通孔9TUに挿通された状態で接着剤により第1可動ケース部材8Uの上端部に接合される。同様に、第2板ばね部材9Dの第2内端部9IDは、第2可動ケース部材8Dの下端部に設けられた突出部8DTが第2内端部9IDに形成された第2貫通孔9TDに挿通された状態で接着剤により第2可動ケース部材8Dの下端部に接合される。
【0032】
次に、
図4を参照し、振動発生装置101の詳細について説明する。
図4は、振動発生装置101の断面図である。具体的には、
図4は、
図1の切断線L1を含むXZ平面に平行な仮想平面における振動発生装置101の断面を右側(Y2側)から見たときの状態を示す。
図4では、明瞭化のため、永久磁石6のN極部分にクロスパターンが付され、永久磁石6のS極部分にドットパターンが付されている。永久磁石6の極性を図示する他の図においても同様である。
【0033】
第1固定ケース部材1は、第1外筒部1Aの内側にあって上下方向に沿って延びる内筒部1Nを有する。具体的には、内筒部1Nは、第1外筒部1Aの外径D1よりも小さい外径D2を有する。第2固定ケース部材2の第2外筒部2Aは、内筒部1Nを覆うように第1外筒部1Aの下端部に取り付けられる。そして、内筒部1Nの周囲に巻回されるコイル5は、第2外筒部2Aによって覆われている。
図4に示すような右側面視における第2外筒部2Aの外径D3は、第1外筒部1Aの外径D1よりも大きい。第1外筒部1Aの平坦面1APは、第2外筒部2Aの平坦面2APよりも内側(振動軸VAに近い側)に位置するように構成されているためである。但し、例えばY軸方向に平行な方向では、第1外筒部1Aの外径と第2外筒部2Aの外径とは同じである。
【0034】
第1可動ケース部材8Uの蓋部8ULは、
図4に示すように、蓋部8ULの外径D4が第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKの内径D5よりも小さく、接着剤によって開口縁部8DKの内側に固着されるように構成されている。
【0035】
また、開口縁部8DKは、第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCの内径でもある内径D5が永久磁石6、第1ポールピース7U、及び第2ポールピース7Dのそれぞれの外径と略同じになるように構成されている。すなわち、永久磁石6、第1ポールピース7U、及び第2ポールピース7Dのそれぞれは、筒状部8DCに嵌合するように構成されている。この構成は、筒状部8DC内で永久磁石6、第1ポールピース7U、及び第2ポールピース7Dが振動軸VAを中心とする円の径方向に移動するのを抑制できるという効果をもたらす。すなわち、この構成は、第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCによって永久磁石6、第1ポールピース7U、及び第2ポールピース7Dの径方向における位置決めを実現できるという効果をもたらす。また、この構成は、第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCによって永久磁石6、第1ポールピース7U、及び第2ポールピース7Dの径方向におけるガタツキを抑制或いは防止できるという効果をもたらす。
【0036】
また、第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCは、可動体MBの最大外径となるその外径D6が、固定体FBの最小内径となる内筒部1Nの内径D7よりも小さくなるように構成されている。この構成は、可動体MBと固定体FBとを接触させることなく振動軸VAに沿って可動体MBを振動させることができるという効果をもたらす。
【0037】
次に、
図5を参照し、固定体FB内の可動体MBの動き(振動)について説明する。
図5は、コイル5及び可動体MBの図である。
図5では、説明を分かりやすくするため、コイル5及び可動体MB以外の部材の図示が省略されている。具体的には、
図5の上図は、コイル5及び可動体MBの上面図であり、
図5の下図は、コイル5及び可動体MBの断面図である。より具体的には、
図5の下図は、
図5の上図の切断線L2を含むXZ平面に平行な仮想平面におけるコイル5及び可動体MBの断面を右側(Y2側)から見たときの状態を示す。また、
図5の下図における太い点線矢印は、磁界発生部MTが発生させる磁界に関する磁力線を概略的に示している。
【0038】
図5の下図に示すように、永久磁石6は、上側部分がN極部分となり、下側部分がS極部分となるように、上下方向において第1ポールピース7Uと第2ポールピース7Dとの間に配置されている。そのため、永久磁石6のN極部分と接する第1ポールピース7Uは、N極に着磁され、永久磁石6のS極部分と接する第2ポールピース7DはS極に着磁される。その結果、磁界発生部MTが発生させる磁界を表す磁力線は、点線矢印で示すように、振動軸VAを中心とする円の径方向の内側にある第1ポールピース7Uから外側に向かって延び、その後、径方向の外側から内側に向かってコイル5を貫通し、更にその後、径方向の更に内側にある第2ポールピース7Dに入る。
【0039】
このような磁界内において、
図5の上図の実線矢印AR1で示すように(上面視で振動軸VAの回りに時計回りに)コイル5に電流が流れると、コイル5に作用するローレンツ力の反力により、可動体MBは、
図5の下図の実線矢印AR2で示すように上側(Z1側)に移動する。可動体MBが上側に移動すると、板ばね部材としての支持部材9は、弾性変形して可動体MBを下側(Z2側)に押し戻そうとする復元力を発生させる。そのため、コイル5を流れる電流が消失してローレンツ力の反力が消失すると、上側に移動した可動体MBは、支持部材9の復元力によって下側に移動して中立位置に戻ろうとする。可動体MBの中立位置は、支持部材9が弾性変形していないときの位置であり、
図5の下図は、可動体MBが中立位置にあるときの状態を示し、この状態では、コイル5には電流は流れていない。なお、
図4も可動体MBが中立位置にあるときの状態を示している。
【0040】
可動体MBが中立位置にあるときに、
図5の上図の破線矢印AR3で示すように(上面視で振動軸VAの回りに反時計回りに)コイル5に電流が流れると、コイル5に作用するローレンツ力の反力により、可動体MBは、
図5の下図の破線矢印AR4で示すように下側(Z2側)に移動する。可動体MBが下側に移動すると、板ばね部材としての支持部材9は、弾性変形して可動体MBを上側(Z1側)に押し戻そうとする復元力を発生させる。そのため、コイル5を流れる電流が消失してローレンツ力の反力が消失すると、下側に移動した可動体MBは、支持部材9の復元力によって上側に移動して中立位置に戻ろうとする。
【0041】
制御部CTRは、例えば、コイル5に流れる電流の向きを交互に反転させることにより、上述のように作用する力を利用して上下方向に繰り返し可動体MBを振動させることができる。
【0042】
また、図示例では、コイル5は、
図5の下図に示すように、振動軸VAに沿った方向である上下方向(Z軸方向)において、第2ポールピース7Dの寸法H1よりも小さい寸法H2を有するように構成されている。また、コイル5は、振動軸VAを中心とする円の径方向におけるコイル断面の寸法W1が、振動軸VAに沿った方向における寸法H2よりも大きくなるように構成されている。すなわち、コイル5は、第2ポールピース7Dよりも薄い横長断面形状を有するように構成されている。なお、永久磁石6は、振動軸VAに沿った方向における寸法がコイル5の寸法H2よりも小さくなるように構成されている。この構成により、コイル5及び磁界発生部MTを含んで構成される駆動部DMは、可動体MB(磁界発生部MT)の移動に伴う駆動力の変化を抑制できるという効果をもたらす。
【0043】
ここで、
図6を参照し、この効果について説明する。
図6は、振動発生装置101を構成する駆動部DM(コイル5及び磁界発生部MT)の概略断面図であり、
図5の下図に対応している。
図6における点線矢印は、
図5における点線矢印と同様に、磁界発生部MTが発生させる磁界に関する磁力線を概略的に示している。
【0044】
具体的には、
図6の上段にある三つの図は、コイル5と磁界発生部MTとを含む駆動部DM(
図5の下図参照)の概略断面図であり、
図6の中段にある三つの図は、コイル5の別の構成例であるコイル5aと磁界発生部MTとを含む、駆動部DMの別の構成例である駆動部DMaの概略断面図であり、
図6の下段にある三つの図は、コイル5の別の構成例であるコイル5aと磁界発生部MTの別の構成例である磁界発生部MTaとを含む、駆動部DMの更に別の構成例である駆動部DMbの概略断面図である。また、
図6の上段の左図は、可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したときの状態を示し、
図6の上段の中央図は、可動体MB(磁界発生部MT)が中立位置にあるときの状態を示し、
図6の上段の右図は、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したときの状態を示す。
図6の中段及び下段についても同様である。
【0045】
図6の中段に示す三つの図におけるコイル5aは、縦長断面形状を有する点で、コイル5と異なる。すなわち、コイル5aは、振動軸VAに沿った方向(上下方向)における寸法が第2ポールピース7Dの寸法と略同じであり、且つ、振動軸VAを中心とする円の径方向におけるコイル断面の寸法が上下方向における寸法よりも小さい。また、コイル5aは、コイル断面の面積が、コイル5のコイル断面の面積と同じになるように構成されている。なお、コイル断面の面積が同じであることは、線材の巻き数が同じであることを意味する。
【0046】
図6の中段に示す例では、コイル5aを貫通する磁力線の数は、可動体MB(磁界発生部MT)が中立位置にあるとき(中段の中央図参照)に比べ、可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したとき(中段の左図参照)、及び、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したとき(中段の右図参照)に少なくなっている。可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したとき(中段の左図参照)には、コイル5aの下端は、第2ポールピース7Dの下端よりも低い位置まで相対的に突出するためである。同様に、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したとき(中段の右図参照)には、コイル5aの上端は、第2ポールピース7Dの上端よりも高い位置まで相対的に突出するためである。その結果、
図6の中段に示す例では、駆動部DMaによる駆動力は、可動体MB(磁界発生部MT)が中立位置にあるとき(中段の中央図参照)に比べ、可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したとき、及び、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したときに小さくなる。
【0047】
これに対し、
図6の上段に示す例では、上下方向における可動体MB(磁界発生部MT)の位置にかかわらず、駆動部DMによる駆動力は変化しない。コイル5を貫通する磁力線の数は、可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したとき(上段の左図参照)、可動体MB(磁界発生部MT)が中立位置にあるとき(上段の中央図参照)、及び、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したとき(上段の右図参照)の何れにおいても同じであるためである。
【0048】
図6の下段に示す三つの図における磁界発生部MTaは、ポールピース7の別の構成例であるポールピース7aを有する点、すなわち、第1ポールピース7Uの別の構成例である第1ポールピース7Ua、及び、第2ポールピース7Dの別の構成例である第2ポールピース7Daを有する点で、磁界発生部MTと異なる。具体的には、第1ポールピース7Uaは、振動軸VAに沿った方向(上下方向)における寸法が第1ポールピース7Uの寸法より小さく、第2ポールピース7Daは、振動軸VAに沿った方向(上下方向)における寸法が第2ポールピース7Dの寸法より小さい。また、第1ポールピース7Ua及び第2ポールピース7Daは何れも、振動軸VAに沿った方向(上下方向)における寸法がコイル5aの寸法よりも小さい。そのため、
図6の下段に示す例では、
図6の上段に示す例と同様に、上下方向における可動体(磁界発生部MTa)の位置にかかわらず、駆動部DMbによる駆動力は変化しない。コイル5aを貫通する磁力線の数は、可動体(磁界発生部MTa)が最も上側に移動したとき(下段の左図参照)、可動体(磁界発生部MTa)が中立位置にあるとき(下段の中央図参照)、及び、可動体(磁界発生部MTa)が最も下側に移動したとき(下段の右図参照)の何れにおいても同じであるためである。但し、磁界発生部MTaの重量は磁界発生部MTの重量よりも小さいため、可動体(磁界発生部MTa)が発生させる振動の大きさ(強さ)は、可動体MB(磁界発生部MT)が発生させる振動の大きさ(強さ)よりも小さくなる。
【0049】
可動体(磁界発生部MTa)が発生させる振動の大きさを大きくするには、磁界発生部MTaの重量を大きくすればよく、例えば、上下方向における第1ポールピース7Ua及び第2ポールピース7Daのそれぞれの寸法を大きくすればよい。しかしながら、上下方向における第2ポールピース7Daの寸法がコイル5aの寸法に近づくと、
図6の中段に示す例のように、コイル5a及び磁界発生部MTaを含んで構成される駆動部DMbによる駆動力は、上下方向における可動体(磁界発生部MTa)の位置に応じて変化してしまう。
【0050】
これに対し、
図6の上段に示す例は、上下方向におけるコイル5の寸法を第2ポールピース7Dの寸法よりも小さくすることにより、上下方向におけるポールピース7の寸法を更に大きくした場合であっても、上下方向における可動体MB(磁界発生部MT)の位置に応じて駆動部DMによる駆動力が変化してしまうのを抑制できる。また、
図6の上段に示す例は、振動軸VAを中心とする円の径方向におけるコイル5のコイル断面の寸法を、コイル5aのコイル断面の寸法よりも大きくすることにより、上下方向におけるコイル5の寸法を小さくしたことによる駆動力の低下を相殺(抑制)できる。
【0051】
次に、
図7を参照し、駆動部DMの別の構成例について説明する。
図7は、振動発生装置101を構成する駆動部DM(コイル5及び磁界発生部MT)の概略断面図であり、
図5の下図及び
図6のそれぞれに対応している。
図7における点線矢印は、
図5及び
図6のそれぞれにおける点線矢印と同様に、磁界発生部MTが発生させる磁界に関する磁力線を概略的に示している。
【0052】
具体的には、
図7の上段にある三つの図は、コイル5の更に別の構成例であるコイル5bと磁界発生部MTとを含む、駆動部DMの更に別の構成例である駆動部DMcの概略断面図であり、
図7の下段にある三つの図は、コイル5と磁界発生部MTの更に別の構成例である磁界発生部MTbとを含む、駆動部DMの更に別の構成例である駆動部DMdの概略断面図である。また、
図7の上段の左図は、可動体MB(磁界発生部MT)が最も上側に移動したときの状態を示し、
図7の上段の中央図は、可動体MB(磁界発生部MT)が中立位置にあるときの状態を示し、
図7の上段の右図は、可動体MB(磁界発生部MT)が最も下側に移動したときの状態を示す。
図7の下段についても同様である。
【0053】
図7の上段に示す三つの図における駆動部DMcは、コイル5の代わりにコイル5bを有する点で駆動部DMと異なる。具体的には、コイル5bは、第2ポールピース7Dの外側に配置される(コイル5に相当する)第2コイル5Dbとは別に、第1ポールピース7Uの外側に配置される第1コイル5Ubを有する点でコイル5と異なる。図示例では、第1コイル5Ubと第2コイル5Dbとは直列に接続され、振動軸VAに沿って見た上面視で、巻回方向が互いに逆向きとなるように配置されている。また、第1コイル5Ub及び第2コイル5Dbのそれぞれは、振動軸VAに沿った方向(上下方向)における寸法がコイル5の寸法と同じになるように構成され、且つ、振動軸VAを中心とする円の径方向におけるコイル断面の寸法がコイル5のコイル断面の寸法と同じになるように構成されている。また、第1コイル5Ubは、第1固定ケース部材1に形成された内筒部1Nと同様の不図示の別の内筒部に巻回されている。
【0054】
この構成により、駆動部DMcは、可動体MB(磁界発生部MT)の移動に伴う駆動力の変化を抑制できるという駆動部DMによる効果と同じ効果を実現でき、その上で、駆動部DMが発生させる駆動力よりも大きな駆動力を発生させることができるという追加的な効果をもたらす。
【0055】
なお、第1ポールピース7Uの外側に第1コイル5Ubを配置し、且つ、第2ポールピース7Dの外側に第2コイル5Dbを配置する構成は、
図6の中段及び下段のそれぞれに示す構成に適用されてもよい。
【0056】
図7の下段に示す三つの図における駆動部DMdは、磁界発生部MTbを有する点で、駆動部DMと異なる。具体的には、磁界発生部MTbは、1つの中央ポールピース7Cと、上下方向において中央ポールピース7Cの両側に配置される永久磁石6aとを有する点で磁界発生部MTと異なる。より具体的には、永久磁石6aは、中央ポールピース7Cの上側に配置される第1永久磁石6Uaと、中央ポールピース7Cの下側に配置される第2永久磁石6Daとを含む。図示例では、第1永久磁石6Ua及び第2永久磁石6Daは、駆動部DMにおける永久磁石6と同じ部品(永久磁石)であり、中央ポールピース7Cは、駆動部DMにおける第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのそれぞれと同じ部品(ポールピース)である。
【0057】
この構成により、駆動部DMdは、可動体MB(磁界発生部MT)の移動に伴う駆動力の変化を抑制できるという駆動部DMによる効果と同じ効果を実現でき、その上で、駆動部DMが発生させる駆動力よりも大きな駆動力を発生させることができるという追加的な効果をもたらす。
【0058】
なお、1つの中央ポールピース7Cの両側に永久磁石6a(第1永久磁石6Ua及び第2永久磁石6Da)を配置する構成は、
図6の中段及び下段のそれぞれに示す構成に適用されてもよい。
【0059】
次に、
図8~
図12を参照し、振動発生装置101の製造方法(組み立て方法)について説明する。
図8~
図12は、振動発生装置101を構成する一つ又は複数の部材の断面図である。具体的には、
図8~
図12は、
図1の切断線L3を含むXZ平面に平行な仮想平面における、振動発生装置101を構成する一つ又は複数の部材の断面を右前側から見たときの状態を示し、
図8~
図12の順で、図示される部材の数が増加していく。そして、
図8~
図12では、説明を分かりやすくため、新たに追加された部材にドットパターンが付されている。より具体的には、
図8の上図は、第2固定ケース部材2の断面図であり、
図8の下図は、
図8の上図に第2板ばね部材9Dの断面図が追加された図である。また、
図9の上図は、
図8の下図に第1固定ケース部材1の断面図が追加された図であり、
図9の下図は、
図9の上図に第2可動ケース部材8Dの断面図が追加された図である。また、
図10の上図は、
図9の下図に第2ポールピース7Dの断面図が追加された図であり、
図10の下図は、
図10の上図に永久磁石6の断面図が追加された図である。また、
図11の上図は、
図10の下図に第1ポールピース7Uの断面図が追加された図であり、
図11の下図は、
図11の上図に第1可動ケース部材8Uの断面図が追加された図である。また、
図12の上図は、
図11の下図に第1板ばね部材9Uの断面図が追加された図であり、
図12の下図は、
図12の上図に第3固定ケース部材3の断面図が追加された図である。
【0060】
振動発生装置101の組み立てでは、最初に、第2固定ケース部材2が、
図8の上図に示すように、開口縁部2Kを上側に向けた状態で、作業台に設置される。
【0061】
その後、
図8の下図に示すように、第2板ばね部材9Dが上から第2固定ケース部材2の内部に取り付けられる。具体的には、第2板ばね部材9Dは、第2外端部9EDと第2固定ケース部材2の内側に形成された略円環状の段差部ST(下側段差部2S)とが接触するように第2固定ケース部材2の内部に取り付けられる。図示例では、第2板ばね部材9Dの第2外端部9EDは、接着剤によって第2固定ケース部材2の下側段差部2Sに接合される。
【0062】
その後、
図9の上図に示すように、第1固定ケース部材1が上から第2固定ケース部材2に取り付けられる。具体的には、第1固定ケース部材1は、第1固定ケース部材1の下側開口縁部1KDに形成された三つの突出部1P(
図2参照)と第2固定ケース部材2の開口縁部2Kに形成された三つの凹部2R(
図1参照)とが嵌合するように第2固定ケース部材2の開口縁部2Kに取り付けられる。なお、図示例では、第1固定ケース部材1は、内筒部1Nにコイル5が巻回され、且つ、第1外筒部1Aの平坦面1APに配線基板4が取り付けられた状態で第2固定ケース部材2に取り付けられる。また、第1固定ケース部材1は、接着剤によって第2固定ケース部材2に接合される。また、第1固定ケース部材1は、第1外筒部1Aの部分円筒面と第2外筒部2Aの部分円筒面とが略面一となるように第2固定ケース部材2に取り付けられる。
【0063】
その後、
図9の下図に示すように、第2可動ケース部材8Dが上から第2板ばね部材9Dに取り付けられる。具体的には、第2可動ケース部材8Dは、突出部8DTが第2板ばね部材9Dの第2内端部9IDに形成された第2貫通孔9TDに挿通されるように第2板ばね部材9Dの第2内端部9IDに取り付けられる。図示例では、第2可動ケース部材8Dの突出部8DTは、接着剤によって第2板ばね部材9Dの第2内端部9IDに接合される。
【0064】
その後、
図10の上図に示すように、第2ポールピース7Dが上から第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。具体的には、第2ポールピース7Dは、第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKの上から第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCの内部に嵌め込まれるように第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。なお、図示例では、第2ポールピース7Dは、下面(Z2側の面)が第2可動ケース部材8Dの底部8DBの上面(Z1側の面)と接するまで筒状部8DCの内部に嵌め込まれる。また、図示例では、第2ポールピース7Dの下面は、接着剤によって第2可動ケース部材8Dの底部8DBの上面に接合され、第2ポールピース7Dの外周面は、接着剤によって筒状部8DCの内周面に接合される。
【0065】
その後、
図10の下図に示すように、永久磁石6が上から第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。具体的には、永久磁石6は、第2ポールピース7Dと同様に、第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKの上から第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCの内部に嵌め込まれるように第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。なお、図示例では、永久磁石6は、下面(Z2側の面)が第2ポールピース7Dの上面(Z1側の面)と接するまで筒状部8DCの内部に嵌め込まれる。また、図示例では、永久磁石6は、その磁力によって第2ポールピース7Dに固定される。但し、永久磁石6の下面は、接着剤によって第2ポールピース7Dの上面に接合されてもよく、永久磁石6の外周面は、接着剤によって筒状部8DCの内周面に接合されてもよい。
【0066】
その後、
図11の上図に示すように、第1ポールピース7Uが上から第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。具体的には、第1ポールピース7Uは、第2ポールピース7D及び永久磁石6と同様に、第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKの上から第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCの内部に嵌め込まれるように第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。なお、図示例では、第1ポールピース7Uは、下面(Z2側の面)が永久磁石6の上面(Z1側の面)と接するまで筒状部8DCの内部に嵌め込まれる。また、図示例では、第1ポールピース7Uは、永久磁石6の磁力によって永久磁石6に固定される。但し、第1ポールピース7Uの下面は、接着剤によって永久磁石6の上面に接合されてもよく、第1ポールピース7Uの外周面は、接着剤によって筒状部8DCの内周面に接合されてもよい。
【0067】
その後、
図11の下図に示すように、第1可動ケース部材8Uが上から第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。具体的には、第1可動ケース部材8Uは、第2ポールピース7D、永久磁石6、及び第1ポールピース7Uと同様に、蓋部8ULが第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKの上から第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCの内部に嵌め込まれるように第2可動ケース部材8Dに取り付けられる。なお、図示例では、第1可動ケース部材8Uの蓋部8ULは、下面(Z2側の面)が第1ポールピース7Uの上面(Z1側の面)と接するまで筒状部8DCの内部に嵌め込まれる。また、図示例では、蓋部8ULの下面は、接着剤によって第1ポールピース7Uの上面に接合され、蓋部8ULの外周面は、接着剤によって筒状部8DCの内周面に接合される。
【0068】
その後、
図12の上図に示すように、第1板ばね部材9Uが上から第1固定ケース部材1及び第1可動ケース部材8Uに取り付けられる。具体的には、第1板ばね部材9Uは、第1可動ケース部材8Uの突出部8UTが第1内端部9IUに形成された第1貫通孔9TUに挿通されるように第1可動ケース部材8Uの突出部8UTに取り付けられる。また、第1板ばね部材9Uは、第1外端部9EUと第1固定ケース部材1の内側に形成された部分円環状の四つの段差部ST(上側段差部1S)とが接触するように第1固定ケース部材1の内部に取り付けられる。図示例では、第1板ばね部材9Uの第1内端部9IUは、接着剤によって第1可動ケース部材8Uの突出部8UTに接合され、第1板ばね部材9Uの第1外端部9EUは、接着剤によって第1固定ケース部材1の上側段差部1Sに接合される。
【0069】
その後、
図12の下図に示すように、第3固定ケース部材3が上から第1固定ケース部材1に取り付けられる。具体的には、第3固定ケース部材3は、第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUに形成された四つの切り欠き部1C(
図1参照)と第3固定ケース部材3の天板部3Tの外縁から下方に延びるように形成された四つの突出部3G(
図2参照)とが嵌合し、且つ、第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUに形成された三つの凹部1R(
図1参照)と第3固定ケース部材3の天板部3Tの外縁から外方に延びるように形成された三つのフランジ部3F(
図1参照)とが嵌合するように第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUに取り付けられる。なお、図示例では、第3固定ケース部材3のフランジ部3Fは、接着剤によって第1固定ケース部材1の上側開口縁部1KUの凹部1Rに接合される。
【0070】
上述のように、振動発生装置101は、第2固定ケース部材2、第2板ばね部材9D、第1固定ケース部材1、第2可動ケース部材8D、第2ポールピース7D、永久磁石6、第1ポールピース7U、第1可動ケース部材8U、第1板ばね部材9U、及び第3固定ケース部材3のそれぞれを下から順に積み上げることによって組み立てられる。そのため、振動発生装置101は、各部材の位置合わせのための治具等を用いることなく、比較的容易に組み立てられる。特に、第1可動ケース部材8U、第1ポールピース7U、永久磁石6、及び第2ポールピース7Dは、第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCに嵌め込まれるため、別工程において治具等によって径方向をガイドされた状態で組み立てられる必要はなく、組みズレ(各部材の中心が振動軸VAから逸脱してしまうこと)が発生することもない。そのため、この構成は、ポールピース及び永久磁石が別工程において治具等によって径方向をガイドされた状態で組み立てられる構成に比べ、振動発生装置101の製造コストを低減させることができる。組み立て工程費及び設備費等が低減されるためである。
【0071】
次に、
図13を参照し、可動ケース8の別の構成例について説明する。
図13は、可動ケース8の別の構成例の斜視図である。
【0072】
図13に示す可動ケース8は、第1可動ケース部材8Uが上側部分筒状部8UWを有する点、及び、第2可動ケース部材8Dが筒状部8DCの代わりに下側部分筒状部8DWを有する点で、
図3に示す可動ケース8と異なるが、その他の点において
図3に示す可動ケース8と同じである。
【0073】
具体的には、
図13に示す可動ケース8では、第1可動ケース部材8Uは、蓋部8ULと、蓋部8ULの上端部に設けられた突出部8UTと、蓋部8ULの外縁から下方に延びる上側部分筒状部8UWとを有する。上側部分筒状部8UWは、XY平面に平行な仮想平面における断面が部分円環状となる二つの外周部分(第1上側部分筒状部8UW1及び第2上側部分筒状部8UW2)を有する。第1上側部分筒状部8UW1及び第2上側部分筒状部8UW2は、それぞれの外周面の中心角が90度となるように構成され、且つ、振動軸VAを挟んで対向するように配置されている。第2可動ケース部材8Dは、底部8DBと、底部8DBの下端部に設けられた突出部8DTと、底部8DBの外縁から上方に延びる下側部分筒状部8DWとを有する。下側部分筒状部8DWは、XY平面に平行な仮想平面における断面が部分円環状となる二つの外周部分(第1下側部分筒状部8DW1及び第2下側部分筒状部8DW2)を有する。第1下側部分筒状部8DW1及び第2下側部分筒状部8DW2は、それぞれの外周面の中心角が90度となるように構成され、且つ、振動軸VAを挟んで対向するように配置されている。図示例では、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWとは、第1可動ケース部材8Uと第2可動ケース部材8Dとが組み合わされたときに完全な円筒を構成するように形成されている。但し、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWとは、第1可動ケース部材8Uと第2可動ケース部材8Dとが組み合わされたときに、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWとの間に隙間が形成されるように構成されていてもよい。すなわち、第1上側部分筒状部8UW1、第2上側部分筒状部8UW2、第1下側部分筒状部8DW1、及び第2下側部分筒状部8DW2のうちの少なくとも一つは、外周面の中心角が90度未満となるように構成されていてもよい。組み立て後の振動発生装置101の全体を加熱する工程において、可動ケース8の内部にある部材に塗布された熱硬化型接着剤に対して効率的に熱を供給できるようにするため、すなわち、熱硬化型接着剤を効率的に硬化させることができるようにするためである。
【0074】
また、上側部分筒状部8UW及び下側部分筒状部8DWのそれぞれは、一つ又は三つ以上の外周部分を有するように構成されていてもよい。また、図示例では、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWとは同じ形状を有するように形成されている。すなわち、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWとは同じ部品である。但し、上側部分筒状部8UWと下側部分筒状部8DWと互いに異なる形状を有する別々の部品であってもよい。
【0075】
上述のように、本開示の実施形態に係る振動発生装置101は、
図1に示すように、固定ケースHSと、固定ケースHSの内部に配置される可動体MBと、固定ケースHSに対して可動体MBを第1方向(振動軸VAの軸線方向(Z軸方向))に沿って振動可能に支持する支持部材9と、固定ケースHSに取り付けられたコイル5と、を備えていてもよい。なお、可動体MBは、
図3に示すように、第1方向に垂直な第2方向(振動軸VAを中心とする円の径方向)に沿う磁界を発生させる磁界発生部MTと、磁界発生部MTを収容する可動ケース8とを含んでいてもよい。また、磁界発生部MTは、永久磁石6を含む複数の磁性部材(永久磁石6及びポールピース7)で構成されていてもよい。また、複数の磁性部材(永久磁石6及びポールピース7)は、第1方向に積み重ねられて互いに相対移動不能となるように可動ケース8内に収容されていてもよい。そして、可動ケース8は、第1方向に分離可能な複数の可動ケース部材(第1可動ケース部材8U及び第2可動ケース部材8D)で構成されていてもよい。なお、複数の磁性部材のそれぞれは、望ましくは、可動ケース8の内部形状(図示例では円柱形状)に適合する外形(図示例では円柱形状)を有する。可動ケース8内に収容されたときに径方向に移動しないようにするためである。
【0076】
この構成は、低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供することができるという効果をもたらす。この構成では、治具を使わずに複数の磁性部材を含む磁界発生部MTの組み立てができるためである。
【0077】
また、
図3に示すように、振動発生装置101では、複数の磁性部材のうちの一つは、円柱状又は円盤状の中実の永久磁石6であってもよい。そして、可動ケース8は、第1可動ケース部材8U及び第2可動ケース部材8Dを含んでいてもよい。この場合、第2可動ケース部材8Dは、底部8DBと、底部8DBの外縁から第1方向に沿って延びる筒状部8DCと、筒状部8DCの端部に形成される開口縁部8DKとを有していてもよい。また、第1可動ケース部材8Uは、第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKに取り付けられる蓋部8ULを有していてもよい。なお、永久磁石6は、円筒状又は円環状の永久磁石であってもよい。
【0078】
この構成は、より低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供することができるという効果をもたらす。治具を使わずに複数の磁性部材を第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCに嵌め込むだけで磁界発生部MTを組み立てることができるためである。また、この構成は、永久磁石6の厚みを薄くすることで部品コストを更に低減させることができるという効果をもたらす。永久磁石6が相対移動不能に第2可動ケース部材8D内に嵌め込まれるため、可動体MBを組み立てる際に或いは振動発生装置101を使用する際に永久磁石6が損傷してしまうのを抑制できるためである。
【0079】
また、永久磁石6は、
図4に示すように、筒状部8DCの内壁によって可動ケース8内での第2方向における移動が規制され、且つ、底部8DBと蓋部8ULとによって可動ケース8内での第1方向における移動が規制されるように可動ケース8内に収容されてもよい。
【0080】
この構成は、更に低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供することができるという効果をもたらす。治具を使わずに複数の磁性部材と第1可動ケース部材8Uとを第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCに嵌め込むだけで可動体MBを組み立てることができるためである。
【0081】
また、磁界発生部MTを構成する複数の磁性部材は、
図3に示すように、ポールピース7を含んでいてもよい。図示例では、ポールピース7は、永久磁石6の上側に配置される第1ポールピース7Uと、永久磁石6の下側に配置される第2ポールピース7Dとを含んでいるが、可動体MBの重量を所望の重量とすることができるのであれば、第1ポールピース7Uは省略されてもよい。
【0082】
この構成は、更に低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供することができるという効果をもたらす。治具を使わずに永久磁石6とポールピース7とを第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCに嵌め込むだけで磁界発生部MTを組み立てることができるためである。
【0083】
また、ポールピース7は、
図4に示すように、筒状部8DCの内壁によって可動ケース8内での第2方向における移動が規制され、且つ、底部8DBと蓋部8ULとによって可動ケース8内での第1方向における移動が規制されるように可動ケース8内に収容されてもよい。
【0084】
この構成は、永久磁石6の厚みを更に薄くすることで部品コストを更に低減させることができるという効果をもたらす。永久磁石6とポールピース7とが積み重ねられた状態で相対移動不能に第2可動ケース部材8D内に嵌め込まれるため、可動体MBを組み立てる際に或いは振動発生装置101を使用する際に永久磁石6が損傷してしまうのを防止できるためである。
【0085】
また、可動ケース8は、磁界発生部MTによって発生させられる磁界が貫通可能な非磁性材料で形成されていてもよい。例えば、可動ケース8は、亜鉛ダイカスト又は亜鉛合金ダイカストであってもよい。但し、可動ケース8は、可動体MBの重量を所望の重量とすることができるのであれば、合成樹脂等の金属以外の材料で形成されていてもよい。
【0086】
この構成は、磁界発生部MTによって発生させられる磁界が可動ケース8による悪影響を受けてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。例えば、この構成は、磁界発生部MTによって発生させられる磁界が可動ケース8によって減衰され或いは遮られてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。また、可動ケース8が亜鉛ダイカスト又は亜鉛合金ダイカストである構成は、成形が容易になる、或いは、重量を大きくしやすいといった効果をもたらす。
【0087】
また、蓋部8ULは、
図4に示すように、蓋部8ULの外径D4が開口縁部8DKの内径D5よりも小さくなるように、望ましくは、蓋部8ULの外径D4と開口縁部8DKの内径D5とが略同じになるように構成され、接着剤によって開口縁部8DKの内側に固着されるように構成されていてもよい。
【0088】
この構成は、磁界発生部MTを含む可動体MBの組み立てを更に容易にできるという効果をもたらす。治具を使わずに永久磁石6とポールピース7と第1可動ケース部材8Uとを第2可動ケース部材8Dの筒状部8DCに嵌め込んで接着剤で接合するだけで磁界発生部MTを含む可動体MBを組み立てることができるためである。
【0089】
また、支持部材9は、
図1に示すように、外端部(第1外端部9EU)が固定ケースHSに固定されるとともに内端部(第1内端部9IU)が第1可動ケース部材8Uに固定される第1板ばね部材9Uと、外端部(第2外端部9ED)が固定ケースHSに固定されるとともに内端部(第2内端部9ID)が第2可動ケース部材8Dに固定される第2板ばね部材9Dと、を含んでいてもよい。
【0090】
この構成は、振動発生装置101の組み立てを容易にできるという効果をもたらす。治具を使わずに第2板ばね部材9Dを固定ケースHS(第2固定ケース部材2)に嵌め込み、且つ、治具を使わずに第1板ばね部材9Uを固定ケースHS(第1固定ケース部材1)に嵌め込むだけで、支持部材9を固定ケースHSに組み付けることができるためである。
【0091】
また、本開示の実施形態に係る振動発生装置101の製造方法は、固定ケースHSの内部に複数の可動ケース部材(第1可動ケース部材8U及び第2可動ケース部材8D)のうちの一つの可動ケース部材(第2可動ケース部材8D)を設置する工程(
図9の下図を参照)と、その後に複数の可動ケース部材のうちの一つの可動ケース部材(第2可動ケース部材8D)に磁界発生部MTを組み付ける工程(
図10と
図11の上図とを参照)と、その後に固定ケースHSの内部に複数の可動ケース部材のうちの残りの可動ケース部材(第1可動ケース部材8U)を設置する工程(
図11の下図を参照)と、を有していてもよい。
【0092】
この製造方法は、低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供できるという効果をもたらす。この製造方法では、治具を使わずに第1可動ケース部材8Uと第2可動ケース部材8Dと磁界発生部MTとを含む可動体MBの組み立てができるためである。
【0093】
また、本開示の実施形態に係る振動発生装置101の製造方法は、固定ケースHSの内部に第2可動ケース部材8Dを設置する工程(
図9の下図を参照)と、その後に第2可動ケース部材8Dの内部に永久磁石6を設置する工程(
図10の下図を参照)と、その後に第2可動ケース部材8Dの開口縁部8DKに第1可動ケース部材8Uを取り付ける工程(
図11の下図を参照)と、を有していてもよい。
【0094】
この製造方法は、より低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供できるという効果をもたらす。この製造方法では、治具を使わずに永久磁石6を第2可動ケース部材8D内に嵌め込むだけで永久磁石6を可動体MBに含めることができるためである。
【0095】
また、本開示の実施形態に係る振動発生装置101は、
図1に示すように、第1方向(振動軸VAの軸線方向)に延びる筒状部CPを有する固定ケースHSと、筒状部CP内に取り付けられたコイル5と、コイル5の内側に配置された可動体MBと、可動体MBを構成するとともにコイル5に向かう磁界を発生させる磁界発生部MT(
図3参照)と、固定ケースHSと可動体MBとの間に介在し可動体MBをコイル5の内側(振動軸VAに近い側)で第1方向に振動可能に支持する支持部材9と、を備えていてもよい。なお、固定ケースHSは、第1外筒部1A、及び、第1外筒部1Aより小径であって第1外筒部1Aから第1方向に沿って延びる内筒部1N(
図2参照)を有する第1固定ケース部材1と、内筒部1Nを覆うように第1外筒部1Aの端部に取り付けられる第2外筒部2Aを有する第2固定ケース部材2とを含んでいてもよい。そして、コイル5は、
図4に示すように、内筒部1Nの周囲に巻回されて第2外筒部2Aに覆われていてもよい。
【0096】
この構成は、コイルボビンとして機能する内筒部1Nを有する第1固定ケース部材1を備えるため、コイルボビンと固定ケースとを別々の部品として含む構成に比べ、パワーロス又は騒音等の不具合を抑制できるという効果をもたらす。この構成では、コイルボビンと固定ケースとの間のガタツキに起因するパワーロス又は騒音等の不具合が発生しないためである。なお、パワーロスは、例えば、駆動部DMが発生させた駆動力が可動体MBの移動(振動)に利用されずに失われることを意味する。また、この構成は、コイルカバーとして機能する第2外筒部2Aを有する第2固定ケース部材2を備えるため、コイルカバーと固定ケースとを別々の部品として含む構成に比べ、部品点数の増加を抑制できるという効果をもたらす。また、この構成は、コイルカバーとして機能する第2外筒部2Aによってコイル5が覆われるため、コイル5を保護することができ、コイル5が損傷するのを抑制できるという効果をもたらす。
【0097】
なお、支持部材9は、第1方向における可動体MBの端部に取り付けられる板ばね部材であってもよい。この場合、板ばね部材は、固定ケースHSの内側に設けられた段差部STによって支持されていてもよい。また、板ばね部材は、接着剤によって段差部STに接合されていてもよい。また、可動体MBは、接着剤によって板ばね部材に接合されていてもよい。
【0098】
図示例では、支持部材9は、第1板ばね部材9U及び第2板ばね部材9Dを含む。そして、第1板ばね部材9Uは、第1固定ケース部材1の内側に設けられた段差部ST(上側段差部1S)によって支持され、第2板ばね部材9Dは、第2固定ケース部材2の内側に設けられた段差部ST(下側段差部2S)によって支持されている。但し、第2板ばね部材9Dは、第1固定ケース部材1の内側に設けられた別の段差部によって支持されていてもよい。例えば、第2板ばね部材9Dは、第1固定ケース部材1の内筒部1Nの内側に設けられた段差部によって支持されていてもよい。
【0099】
この構成は、支持部材9の大径化を実現できるという効果をもたらす。振動発生装置101の最も外側(振動軸VAから遠い側)に位置する固定ケースHSに支持部材9の外端部が取り付けられるためである。また、この構成は、低コストで組み立てやすい振動発生装置101を提供できるという効果をもたらす。この製造方法では、治具を使わずに支持部材9としての板ばね部材の一部を固定ケースHSの内側に設けられた段差部STに載せて接着剤で接合するだけで支持部材9を固定ケースHSに取り付けることができるためである。具体的には、この製造方法では、治具を使わずに第2板ばね部材9Dの第2外端部9EDを第2固定ケース部材2の段差部ST(下側段差部2S)に載せて接着剤で接合するだけで第2板ばね部材9Dを第2固定ケース部材2に取り付けることができるためである。また、この製造方法では、治具を使わずに可動体MBを支持部材9としての板ばね部材の一部に載せて接着剤で接合するだけで可動体MBを支持部材9に取り付けることができるためである。具体的には、この製造方法では、治具を使わずに可動体MBを第2板ばね部材9Dの第2内端部9IDに載せて接着剤で接合するだけで可動体MBを第2板ばね部材9Dに取り付けることができるためである。また、この製造方法では、治具を使わずに第1板ばね部材9Uの第1内端部9IUを可動体MBに載せて接着剤で接合するだけで第1板ばね部材9Uを可動体MBに取り付けることができ、治具を使わずに第1板ばね部材9Uの第1外端部9EUを第1固定ケース部材1の段差部ST(上側段差部1S)に載せて接着剤で接合するだけで第1板ばね部材9Uを第1固定ケース部材1に取り付けることができる。
【0100】
また、第1固定ケース部材1には、
図3に示すように、第1外筒部1Aの外周面(平坦面1AP)で第1方向において段差を形成する遠位面1AP1から近位面1AP2にわたって配線基板4が貼り付けられていてもよい。そして、配線基板4は、第1固定ケース部材1と第2固定ケース部材2とが組み合わされたときに、
図4に示すように第2外筒部2Aの突出部2Pによって覆われる近位面1AP2上の位置にコイル5の端部が接続される第1導体パターンPD1を有し、第2外筒部2Aの突出部2Pによって覆われない遠位面1AP1上の位置に外部配線が接続される第2導体パターンPD2を有していてもよい。
【0101】
この構成は、制御部CTR等の固定ケースHSの外部にある機器とコイル5との間の電気的接続が容易になるという効果をもたらす。
【0102】
また、本開示の実施形態に係る振動発生装置101では、
図3に示すように、磁界発生部MTは、第1方向(振動軸VAの軸線方向)を着磁方向とする永久磁石6と、第1方向における永久磁石6の一端側に配置されるとともに第1方向に垂直な第2方向(振動軸VAを中心とする円の径方向)に延びる磁界を発生させる第1ポールピース7Uと、第1方向における永久磁石6の他端側に配置されるとともに第2方向に延びる磁界を発生させる第2ポールピース7Dとを含んでいてもよい。そして、コイル5は、
図4に示すように、第2方向において、第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのうちの一方(図示例では第1ポールピース7U)の外側に配置されることなく、第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのうちの他方(図示例では第2ポールピース7D)の外側に配置されていてもよい。すなわち、コイル5は、二つのポールピース7のうちの一方の外側にのみ配置されていてもよい。なお、「外側」は、振動軸VAから遠い側を意味する。また、図示例では、振動発生装置101は、コイル5が第2ポールピース7Dの外側にのみ配置されるように構成されているが、コイル5が第1ポールピース7Uの外側にのみ配置されるように構成されていてもよい。また、振動発生装置101は、第1ポールピース7Uの外側に配置されるコイルと、第2ポールピース7Dの外側に配置されるコイルとを含むように構成されていてもよい。また、コイル5が第2ポールピース7Dの外側にのみ配置される場合、第1ポールピース7Uは省略されてもよい。同様に、コイル5が第1ポールピース7Uの外側にのみ配置される場合、第2ポールピース7Dは省略されてもよい。コイルを一つだけ有する構成は、コイルを二つ有する構成に比べ、組み立てが容易になるという効果をもたらす。コイルを二つ有する構成では、一方のコイルの巻回方向と他方のコイルの巻回方向とが互いに逆向きとなるように線材が巻き付けられる必要があるためである。
【0103】
また、本開示の実施形態に係る振動発生装置101は、
図3に示すように、固定体FBと、可動体MBと、固定体FBと可動体MBとの間に介在し可動体MBを固定体FBに対して第1方向(振動軸VAの軸線方向)に振動可能に支持する支持部材9と、可動体MBに含まれるとともに第1方向を着磁方向とする永久磁石6と、第1方向における永久磁石6の少なくとも一端側に取り付けられるとともに第1方向に垂直な第2方向に延びる磁界を発生させるポールピース7と、ポールピース7を囲むように固定体FBに取り付けられたコイル5と、を含んでいてもよい。そして、ポールピース7(第2ポールピース7D)は、
図5に示すように、第1方向における寸法H1が、第1方向におけるコイル5の寸法H2よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0104】
この構成は、第1方向におけるポールピース7の寸法がコイル5の寸法よりも小さい場合に比べ、可動体MBの重量を大きくすることができるという効果をもたらす。また、この構成は、
図6を参照して説明したように、可動体MBの移動に伴う駆動力の変化(減少)を抑制できるという効果をもたらす。
【0105】
また、コイル5は、
図5に示すように、第2方向における寸法W1が第1方向における寸法H2よりも大きい形状を有していてもよい。すなわち、コイル5のコイル断面は、横長形状であってもよい。
【0106】
この構成は、コイル5の縦方向(上下方向)における寸法を抑えることによって上述のような可動体MBの移動に伴う駆動力の変化(減少)を抑制できるという効果を実現できる。また、この構成は、縦方向における寸法を小さくしたことによるコイル5の巻き数の減少を、横方向(径方向)における寸法を大きくすることによって相殺できるという効果をもたらす。
【0107】
また、ポールピース7は、
図4に示すように、第1方向における永久磁石6の一端側(Z1側)に取り付けられた第1ポールピース7Uと、第1方向における永久磁石6の他端側(Z2側)に取り付けられた第2ポールピース7Dとを含んでいてもよい。そして、コイル5は、第2方向において、第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのうちの一方(図示例では第1ポールピース7U)の外側に配置されることなく、第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのうちの他方(図示例では第2ポールピース7D)の外側に配置されていてもよい。
【0108】
この構成は、振動発生装置101の製造工程が複雑化するのを抑制できるという効果をもたらす。また、この構成は、振動発生装置101を製造するための製造装置の構成が複雑化するのを抑制できるという効果をもたらす。第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dのそれぞれの外側に別々のコイルが配置される構成では、振動軸VAに沿って見た上面視において各コイルの巻回方向が互いに逆向きとなるように、固定体FBに線材を巻き付ける際に巻回方向を途中で反転させる必要があるためである。換言すれば、第1ポールピース7U及び第2ポールピース7Dの何れか一方の外側にのみコイルが配置される構成では、固定体FBに線材を巻き付ける際に巻回方向を反転させる必要がないためである。なお、巻回方向を途中で反転させることは、巻き線工程に掛かる時間の増大、ひいては巻き線工程費の増加を引き起こす。また、巻回方向を途中で反転させるには反転機構等が必要となり、設備費の増大を引き起こす。コイルを一つだけ利用する構成は、このような巻き線工程費及び設備費等の増大を回避でき、製造コストを削減できるという効果をもたらす。
【0109】
以上、本開示の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1・・・第1固定ケース部材 1A・・・第1外筒部 1AP・・・平坦面 1AP1・・・遠位面 1AP2・・・近位面 1C・・・切り欠き部 1K・・・開口縁部 1KD・・・下側開口縁部 1KU・・・上側開口縁部 1N・・・内筒部 1P・・・突出部 1R・・・凹部 1S・・・上側段差部 2・・・第2固定ケース部材 2A・・・第2外筒部 2AP・・・平坦面 2B・・・底部 2C・・・切り欠き部 2K・・・開口縁部 2P・・・突出部 2R・・・凹部 2S・・・下側段差部 3・・・第3固定ケース部材 3F・・・フランジ部 3G・・・突出部 3T・・・天板部 4・・・配線基板 5、5a、5b・・・コイル 5Db・・・第2コイル 5Ub・・・第1コイル 6、6a・・・永久磁石 6Da・・・第2永久磁石 6Ua・・・第1永久磁石 7、7a・・・ポールピース 7C・・・中央ポールピース 7D、7Da・・・第2ポールピース 7U、7Ua・・・第1ポールピース 8・・・可動ケース 8D・・・第2可動ケース部材 8DB・・・底部 8DC・・・筒状部 8DK・・・開口縁部 8DT・・・突出部 8DW・・・下側部分筒状部 8DW1・・・第1下側部分筒状部 8DW2・・・第2下側部分筒状部 8U・・・第1可動ケース部材 8UL・・・蓋部 8UT・・・突出部 8UW・・・上側部分筒状部 8UW1・・・第1上側部分筒状部 8UW2・・・第2上側部分筒状部 9・・・支持部材 9D・・・第2板ばね部材 9E・・・外端部 9ED・・・第2外端部 9EU・・・第1外端部 9I・・・内端部 9ID・・・第2内端部 9IU・・・第1内端部 9G・・・弾性腕部 9GD・・・第2弾性腕部 9GU・・・第1弾性腕部 9U・・・第1板ばね部材 9T・・・貫通孔 9TD・・・第2貫通孔 9TU・・・第1貫通孔 101・・・振動発生装置 CP・・・筒状部 CTR・・・制御部 DM、DMa、DMb、DMc、DMd・・・駆動部 FB・・・固定体 HS・・・固定ケース MB・・・可動体 MT、MTa、MTb・・・磁界発生部 PD・・・導体パターン PD1・・・第1導体パターン PD2・・・第2導体パターン ST・・・段差部 VA・・・振動軸 VE・・・振動装置