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  • 特開-吊り装置および吊り方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114400
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】吊り装置および吊り方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/14 20060101AFI20240816BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E04G21/14
E04B2/56 601D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020150
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅司
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】日村 みのり
【テーマコード(参考)】
2E002
2E174
【Fターム(参考)】
2E002EA04
2E002FB08
2E002FB16
2E174AA01
2E174BA01
2E174CA03
2E174CA12
2E174CA38
2E174DA07
2E174DA14
2E174DA21
(57)【要約】
【課題】建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを揚重機で吊り上げて建物の躯体である隅柱に近づけることができる吊り装置を提供する。
【解決手段】吊り装置6は、互いに離間した一端側61aが吊り対象物の吊り位置となり、他端側61bがカウンターウェイトの配置位置となるバランサー61と、このカウンターウェイトの全部または一部として上記他端側61bに配置された吊り対象物旋回制御装置63と、略L字状を有し、当該略L字状における隅角部62aがバランサー61の上記離間の箇所の下方に位置するように上記一端側61aに連結されており、上記吊り対象物として、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネル5を吊り下げる天秤62と、上記一端側61aと上記他端側61bとの間の上方に位置する吊元64と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間した一端側が吊り対象物の吊り位置となり、他端側がカウンターウェイトの配置位置となるバランサーと、
略L字状を有し、当該略L字状における隅角部が上記バランサーの上記離間の箇所の下方に位置するように上記一端側に連結されており、上記吊り対象物として、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを吊り下げる天秤と、
上記一端側と上記他端側との間の上方に位置する吊元と、
を備えることを特徴とする吊り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吊り装置において、上記カウンターウェイトの全部または一部として上記他端側に吊り対象物旋回制御装置を備えることを特徴とする吊り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の吊り装置において、上記天秤は、上記バランサーの上記の互いに離間した各々の一端側に、第1の吊り索によって連結されていることを特徴とする吊り装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の吊り装置において、上記天秤は、上記出隅用外壁パネルの各辺部を、それぞれ複数の第2の吊り索によって吊ることを特徴とする吊り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吊り装置において、上記第2の吊り索は、長さ調整機構を有することを特徴とする吊り装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の吊り装置において、上記天秤は、互いに長さの異なる第1辺部と第2辺部とを着脱可能に接合させることで上記の略L字状をなすことを特徴とする吊り装置。
【請求項7】
建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを、地組架台を用いて作製した後、請求項5に記載の吊り装置の上記第2の吊り索を、上記地組架台上の上記出隅用外壁パネルの上端部側に連結し、上記出隅用外壁パネルが鉛直に吊られるように、上記出隅用外壁パネルが上記地組架台に係合されている状態で、上記第2の吊り索の長さを調整することを特徴とする吊り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吊り対象物として建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを吊る吊り装置および出隅用外壁パネルを吊る吊り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一端側が吊り対象物の吊り位置となり、他端側がカウンターウェイトの配置位置となるバランサーと、上記カウンターウェイトの全部または一部として上記他端側に配置された吊り対象物旋回制御装置と、を備えており、吊元が上記一端側と上記他端側との間に設定される吊り装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-55309号公報
【特許文献2】特開2020-105754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の吊り装置では、上記出隅用外壁パネルを吊り上げて建物の躯体である隅柱に近づけていくことができない。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを揚重機で吊り上げて建物の躯体である隅柱に近づけることができる吊り装置および吊り方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の吊り装置は、上記の課題を解決するために、互いに離間した一端側が吊り対象物の吊り位置となり、他端側がカウンターウェイトの配置位置となるバランサーと、
略L字状を有し、当該略L字状における隅角部が上記バランサーの上記離間の箇所の下方に位置するように上記一端側に連結されており、上記吊り対象物として、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを吊り下げる天秤と、
上記一端側と上記他端側との間の上方に位置する吊元と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記バランサーは、互いに離間した一端側において吊り対象物の吊り位置を有しており、上記天秤は、略L字状における隅角部が上記バランサーの上記離間の箇所の下方に位置するように、上記一端側に連結されているので、上記吊り対象物として、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを吊り上げて、この出隅用外壁パネルを建物の躯体である隅柱に近づけることができる。
【0009】
上記カウンターウェイトの全部または一部として上記他端側に吊り対象物旋回制御装置を備えてもよい。
【0010】
上記天秤は、上記バランサーの上記の互いに離間した各々の一端側に、第1の吊り索によって連結されていてもよい。ここで、上記天秤が上記バランサーの上記一端側に直付けされていると、上記天秤が上記出隅用外壁パネルが吊り下げていない状況では、上記バランサーは、上記吊り対象物旋回制御装置の側を下にして傾くことになり、この傾きとともに上記の直付けされた天秤も傾くことになる。上記のように、第1の吊り索が用いられると、上記バランサーが上記吊り対象物旋回制御装置の側を下にして傾いても、上記天秤は略水平な姿勢を保持することができる。
【0011】
上記天秤は、上記出隅用外壁パネルの各辺部を、それぞれ複数の第2の吊り索によって吊ることとしてもよい。これによれば、上記出隅用外壁パネルを安定的に吊ることができる。
【0012】
上記第2の吊り索は、長さ調整機構を有してもよい。これによれば、上記複数の第2の吊り索による上記出隅用外壁パネルの吊り重心にずれが在り、上記複数の第2の吊り索が互いに同じ長さの状態で上記出隅用外壁パネルを鉛直(上記出隅用外壁パネルの上端部が水平になる姿勢)に吊れない場合、上記第2の吊り索の長さを調整して、上記出隅用外壁パネルを鉛直に吊ることができ、当該出隅用外壁パネルを隅柱に沿って取り付ける作業が容易になる。
【0013】
上記天秤は、互いに長さの異なる第1辺部と第2辺部とを着脱可能に接合させることで上記の略L字状をなしてもよい。これによれば、吊り対象として両辺の長さが異なる右用と左用の出隅用外壁パネルを扱う場合に、この扱う出隅用外壁パネルに応じて上記第1辺部と第2辺部とを入れ替えて接続することで対応可能となる。
【0014】
また、この発明の吊り方法は、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを、地組架台を用いて作製した後、上記第2の吊り索が上記長さ調整機構を備える吊り装置の当該第2の吊り索を、上記地組架台上の上記出隅用外壁パネルの上端部側に連結し、上記出隅用外壁パネルが鉛直に吊られるように、上記出隅用外壁パネルが上記地組架台に係合されている状態で、上記第2の吊り索の長さを調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明であれば、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネルを、揚重機で吊り上げて建物の躯体である隅柱に近づけ、的確に上記躯体に取り付けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】吊り対象物である出隅用外壁パネルの一例を示した斜視図である。
図2図1の出隅用外壁パネルの躯体への取り付け例を示した説明図である。
図3】同図(A)は図1の出隅用外壁パネルにおける外壁面材の上部および下部の断面を示した説明図であり、同図(B)は図1の上下に並ぶ外壁面材の嵌め込み箇所を示した説明図である。
図4】実施形態にかかる吊り装置の平面視による説明図である。
図5】実施形態にかかる吊り装置の側面視による説明図である。
図6】実施形態にかかる吊り装置および吊り方法の斜視による説明図である。
図7】実施形態にかかる吊り装置および吊り方法の斜視による説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、建物の出隅コーナーに取り付けられる出隅用外壁パネル5は、一例として、上下に接合された複数の出隅用外壁面材50Aと、上下に接合された複数の平板外壁面材50Bと、を備える。平板外壁面材50Bの一方の横縁は、出隅用外壁面材50Aの直交する各面の横縁に接続される。また、出隅用外壁パネル5の各辺部の長さは、隅柱70の幅よりも長くされている。
【0018】
出隅用外壁面材50Aおよび平板外壁面材50B(以下、これらを区別しないときには、外壁面材50と記す。)は、例えば、図3(A)および図3(B)に示すように、不燃断熱材50aを鋼板50b、50cで挟み込んだ金属サンドイッチパネルである。2枚の外壁面材50を上下に並べた場合、上段に位置する外壁面材50の下端面に形成された横幅方向に長い2か所の凹部50dに、下段に位置する外壁面材50の上端面に形成された横幅方向に長い2か所の凸部50eが嵌まり込むことにより、上下の外壁面材50が互いに面外方向に位置ずれしないように組み合わされる。
【0019】
また、出隅用外壁パネル5は、例えば、出隅用外壁面材50Aの屋内側隅部Rに位置し、当該出隅用外壁面材50Aの角部がビス固定される縦胴縁51の他、各辺部にそれぞれ3本の縦胴縁52を有する。一例として、出隅用外壁パネル5における上記3本の縦胴縁52のうちの内側の2本の縦胴縁52に吊り索を引っ掛けた状態で、この出隅用外壁パネル5を揚重機で吊り上げることができる。
【0020】
また、出隅用外壁パネル5は、建物の躯体7の床部のファスナー7A等に係止される。ファスナー7Aは、例えば、特許文献2(特開2020-105754号公報)に開示されている高さ調整機能を有するもの等を用いることができる。
【0021】
また、図示しない地組架台を用いることによって、上記複数の外壁面材50を上下に並べて縦胴縁52等の下地材で連結した出隅用外壁パネル5を、当該出隅用外壁パネル5が取り付けられる建物の躯体7の外壁取付箇所とは異なる場所で組み立てることができる。
【0022】
図4および図5に示すように、実施形態の吊り装置6は、バランサー61と、天秤62と、吊り対象物旋回制御装置63と、吊元64と、第1の吊り索65と、第2の吊り索66と、を備える。
【0023】
バランサー61は、例えば、互いに離間し平行に位置する2本の長尺の鋼材611と、これら2本の鋼材611を、その中間側と端側においてそれぞれ連結する2本の短尺の鋼材612、613とを備えており、これにより、当該バランサー61は、一方の側において互いに離間した2本の一端側61aを有することになり、これら一端側61aが吊り対象物の吊り位置となる。そして、バランサー61の他端側61bがカウンターウェイトの配置位置となる。なお、この実施形態では、2本の一端側61aの離間距離は、隅柱70の対角距離よりも長くなっており、一端側61aから垂下される第1の吊り索65が隅柱70から離れたところに位置できるので、第1の吊り索65が隅柱70に接触するのを抑止できる。
【0024】
ただし、2本の一端側61aの離間距離を、隅柱70の対角距離よりも短くし、一端側61aに天秤62をボルトとで直付けすることも可能である。或いは、2本の一端側61aの離間距離を、隅柱70の対角距離よりも短くするとともに、一端側61aと天秤62との平面視の重なり位置に第1の吊り索65を設け、天秤62の重心位置が上記重なり位置に来るように天秤62の角部側に重量物を設ける構成としてもよい。
【0025】
吊り対象物旋回制御装置63は、上記カウンターウェイトとして、バランサー61の他端側61bの下面側に直付けされている。吊り対象物旋回制御装置63は、上記カウンターウェイトの重量の全部または一部となる重量を有する。なお、吊り対象物旋回制御装置63ではなくカウンターウェイトのみを設ける構成でもよい。
【0026】
吊り対象物旋回制御装置63は、例えば、その方形筐体内に設けられた図示しないジャイロ機構(水平軸回りに高速回転されるフライホイールの回転面をジンバルで傾ける機構)によって吊り対象物の姿勢(回転)を制御するものであり、地上からの遠隔操作によって動作されるようになっている。
【0027】
天秤62は、鋼材からなる第1辺部621と第2辺部622とを直角に配置して山形の板部材623によって着脱可能に接合させることで略L字状をなし、当該略L字状における隅角部62aを、バランサー61の上記離間の箇所(上記2本の鋼材611間)の下方に位置させている。また、上記第1辺部621および第2辺部622の各々の略中央位置(各々の重心位置)の上面を、上記一端側61aの下面から垂下された第1の吊り索65に連結させている。第1の吊り索65は、ワイヤ、チェーン、ナイロンスリング等からなる。この実施形態では、第1の吊り索65として吊り索長さの調整が可能なチェーンブロックを用いている。
【0028】
なお、バランサー61と天秤62の位置関係については、第1の吊り索65が連結される上記第1辺部621と第2辺部622との各々の連結箇所を結ぶ仮想の直線よりも、当該直線に対して引かれる水平面上の法線方向側に離れてバランサー61を位置させているといえる。
【0029】
天秤62は、上記吊り対象物として、上記の出隅用外壁パネル5を、当該出隅用外壁パネル5を複数本の第2の吊り索66によって吊り下げる。第2の吊り索66は、ワイヤ、チェーン、ナイロンスリング等からなる。この実施形態では、第2の吊り索66として吊り索長さの調整が可能なチェーンブロックを用いている。また、例えば、出隅用外壁パネル5の各辺部の上端部には、それぞれ2本の第2の吊り索66が引っ掛けられ、これら2本の第2の吊り索66は、当該各辺部の重心点から等距離離れている。また、出隅用外壁パネル5の各辺部の重心点は、天秤62の第1辺部621および第2辺部622の各々の略中央位置(各々の重心位置)と平面視で重なるようにするのがよい。なお、出隅用外壁パネル5において、各辺部の重心点から等距離の2点に縦胴縁52が存在しない場合、例えば、最上位置の横胴縁の上記等距離の2点となる位置に、係止部を設けておいてもよい。
【0030】
吊元64は、上記バランサー61の上記一端側61aと上記他端側61bとの間の上方であって、天秤62の隅角部62aに対してバランサー61の他端側61bの方向に離れたところに位置する。なお、建込みの際に出隅用外壁パネル5が鉛直姿勢であることが望ましいので、吊り対象物である出隅外壁パネル5及び天秤62の合計重量と吊り対象物旋回制御装置63の重量の釣合い、バランサー61を構成する各部材の釣合いを勘案した位置の鉛直上方に吊元64を配置することが望ましい。また、この実施形態では、吊元64は、バランサー61の長尺の各鋼材611の中間側で互いに離れて位置する2個のワイヤ固定箇所64aを有している。そして、吊元64は、各ワイヤ固定箇所64aに連結された同長さの4本のワイヤ64bをバランサー61の上方で束ねた箇所に係止部を備えている。なお、長尺の各鋼材611上における天秤62側のワイヤ固定箇所64a同士を結ぶ仮想の線が隅角部62aに平面視で近接または重なっても構わないものであり、このように上記仮想の線が重なる方が、吊り装置6をコンパクトにできる。また、吊元64は、中間側の短尺の鋼材612に対して、平面視で隅柱70に干渉しない範囲で重ならない位置に存在するが、重なる位置に存在しても構わない。
【0031】
そして、吊り装置6は、その吊元64が揚重機で吊り上げられ、天秤62で出隅用外壁パネル5を完全に吊った状態において、図5に示したように、バランサー61および天秤62が水平に位置して、出隅用外壁パネル5を鉛直に吊り下げるように設計されている。
【0032】
上記吊り装置6であれば、バランサー61は、互いに離間した一端側61aにおいて出隅用外壁パネル5の吊り位置を有しており、天秤62における略L字状の隅角部62aが上記バランサー61の上記離間の箇所の下方に位置するので、吊り上げた出隅用外壁パネル5を、建物の躯体である隅柱70に近づけて、的確に建物の躯体である床部等に取り付けることができる。
【0033】
ここで、天秤62がバランサー61の上記一端側61aに直付けされた構造であると、天秤62が出隅用外壁パネル5を吊り下げていない状況では、バランサー61は、吊り対象物旋回制御装置63の側を下にして傾き、この傾きとともに上記天秤62も傾くことになる。
【0034】
この吊り装置6であれば、天秤62は、バランサー61の上記の互いに離間した各々の一端側61aに、第1の吊り索65によって連結されているので、図6に示すように、バランサー61が吊り対象物旋回制御装置63の側を下にして傾いても、天秤62は略水平な姿勢を保持することができる。このため、地組架台上で作製された出隅用外壁パネル5の上方に吊り装置6を近づけて、この出隅用外壁パネル5の上端部側に第2の吊り索66の下端のフックを係止させる際に、天秤62が略水平な姿勢を保持できているので、フックの係止作業等が迅速に行えることになる。なお、第1の吊り索65の長さは、バランサー61が吊り対象物旋回制御装置63の側を下にして傾いた際に、バランサー61と天秤62とが接触しない長さよりも長くされている。また、第1の吊り索65が、その吊り長さを可変とする長さ調整機構を有するチェーンブロック等であれば、第1の吊り索65の吊り長さを変えて、上記係止作業等を行い易くすることもできる。
【0035】
また、天秤62は、出隅用外壁パネル5の各辺部を、それぞれ2本の第2の吊り索66によって吊るので、出隅用外壁パネル5を安定的に吊ることができる。
【0036】
ここで、上記複数の第2の吊り索66による出隅用外壁パネル5の吊り重心にずれが在ると、上記複数の第2の吊り索66が互いに同じ長さの状態で、出隅用外壁パネル5を鉛直(出隅用外壁パネル5の上端部が水平になる姿勢)に吊れないことが生じるおそれが有る。図6に示したように、第2の吊り索66が、その吊り長さを可変とする長さ調整機構を有するチェーンブロック等であると、複数の第2の吊り索66の長さを個別に調整して、図7に示すように、出隅用外壁パネル5を鉛直に吊ることができる。これにより、当該出隅用外壁パネル5を隅柱70に沿って鉛直に近づけていく作業が容易になる。
【0037】
なお、出隅用外壁パネル5の吊り作業では、先ず、揚重機で吊り上げた吊り装置6を、地組架台上の出隅用外壁パネル5に近づけていき、第2の吊り索66を、上記地組架台上の出隅用外壁パネル5の上端部側に連結する。次に、吊り装置6を揚重機で上方に引き上げて、バランサー61が略水平な姿勢になったら、上記地組架台における出隅用外壁パネル5を上記地組架台から取り外すことになるが、この取り外しの前に、上記4本の第2の吊り索66の張り具合が略均等となるように、長さ調整機構を有するチェーンブロック等を用いて第2の吊り索66の長さを個別に調整する。
【0038】
すなわち、上記複数の第2の吊り索66の長さを個別に調整する作業は、出隅用外壁パネル5を、地組架台を用いて作製した後、長さ調整機構を有する第2の吊り索66のフックを、上記地組架台上の出隅用外壁パネル5の上端部側に連結し、出隅用外壁パネル5が鉛直に吊られるように、出隅用外壁パネル5が上記地組架台に係合されている状態、換言すれば、出隅用外壁パネル5が上記地組架台から完全に離脱してはいないが、第2の吊り索66に出隅用外壁パネル5の重量がかかっている状態)で、上記チェーンブロック等で第2の吊り索66の長さを調整する。その後に、吊り装置6で出隅用外壁パネル5を吊った状態で、この出隅用外壁パネル5を、例えば、水平方向に移動させて上記地組架台から完全に離脱させる。
【0039】
また、吊り装置6において、天秤62は、第1辺部621と第2辺部622とを直角に配置して山形の板部材623で着脱可能に接合させてなるので、吊り対象として辺長が異なる右用と左用の出隅用外壁パネル5を扱う場合に、この扱う出隅用外壁パネル5に応じて第1辺部621と第2辺部622とを入れ替えて簡単に対応することができる。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
5 :出隅用外壁パネル
6 :吊り装置
7 :躯体
7A :ファスナー
50 :外壁面材
50A :出隅用外壁面材
50B :平板外壁面材
50a :不燃断熱材
50b :鋼板
50c :鋼板
50d :凹部
50e :凸部
51 :縦胴縁
52 :縦胴縁
61 :バランサー
61a :一端側
61b :他端側
62 :天秤
62a :隅角部
63 :吊り対象物旋回制御装置
64 :吊元
64a :ワイヤ固定箇所
64b :ワイヤ
65 :第1の吊り索
66 :第2の吊り索
70 :隅柱
611 :鋼材
612 :鋼材
613 :鋼材
621 :第1辺部
622 :第2辺部
623 :板部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7