IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116184
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20240820BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20240820BHJP
   H10B 99/00 20230101ALI20240820BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240820BHJP
   G11C 11/405 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B12/00 821
H10B41/70
H10B99/00 441
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
G11C11/405
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086102
(22)【出願日】2024-05-28
(62)【分割の表示】P 2022154767の分割
【原出願日】2016-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2015106761
(32)【優先日】2015-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】熱海 知昭
(72)【発明者】
【氏名】菅尾 惇平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1のメモリセルと、その上に設けられた第2のメモリセルと、を有し、各メモリセル10は、トランジスタ11と、第2のトランジスタ12と、容量素子14と、を有し、トランジスタ11のゲートは、トランジスタ12のソース又はドレインの一方と、容量素子の電極の一方と接続され、第1のメモリセルのトランジスタ11のソース又はドレインの一方は、第2のメモリセルのトランジスタ11のソース又はドレインの一方と接続される。トランジスタ12は酸化物半導体を有し、トランジスタ11のチャネル長方向と、トランジスタ12のチャネル長方向と、が略垂直である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方にメモリセルを有し、
前記メモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタは、前記基板の上面に垂直な方向に高さを有する円筒状の半導体の一部にチャネル形成領域を有し、
前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層は、前記容量素子の電極の一方として機能する領域と、前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方として機能する領域と、を有し、
前記第2のトランジスタは、チャネル形成領域を有する酸化物半導体層を有し、
前記酸化物半導体層の上方に配置される領域を有する絶縁層は、前記第2のトランジスタのゲート絶縁層としての機能する領域を有し、
前記絶縁層の上方に配置される第2の導電層は、前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能する領域を有し、
前記絶縁層と前記第2の導電層とは、絶縁体に埋め込まれるように配置されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁層の上面と、前記第2の導電層の上面とは、前記絶縁体の上面と高さがそろう領域を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置に関する。または、本発明は、例え
ば、トランジスタおよび半導体装置の製造方法に関する。または、本発明は、例えば、表
示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、プロセッサ、電子機器に関する。ま
たは、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の製造方法に関する。ま
たは、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発
明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション
・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、記憶装置、半導体回路お
よび電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
シリコン(Si)を半導体層に用いたトランジスタと、酸化物半導体(Oxide S
emiconductor:OS)を半導体層に用いたトランジスタと、を組み合わせて
データの読み出しと書き込みを可能にした半導体装置が注目されている(特許文献1参照
)。
【0005】
また、近年、扱われるデータ量の増大に伴って、より大きな記憶容量を有する半導体装
置が求められている。単位面積あたりの記憶容量を増加させるためには、メモリセルを積
層して形成することが有効である(特許文献2参照)。メモリセルを積層して設けること
により、単位面積当たりの記憶容量をメモリセルの積層数に応じて増加させることができ
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-119674
【特許文献2】特開2011-66417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することを課題の一とする。また
は、メモリセルを積層した新規な構造の半導体装置を提供することを課題の一とする。ま
たは、新規な構造の半導体装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。
【0008】
または、該半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、
該半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。
または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規なモジュール
を提供することを課題の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一と
する。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、第1のメモリセルと、第1のメモリセル上に設けられた第2のメモ
リセルと、を有し、第1のメモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと
、第1の容量素子と、を有し、第2のメモリセルは、第3のトランジスタと、第4のトラ
ンジスタと、第2の容量素子と、を有し、第1のトランジスタのゲートは、第2のトラン
ジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され、第2のトランジスタのソース
又はドレインの一方は、第1の容量素子の電極の一方と、電気的に接続され、第3のトラ
ンジスタのゲートは、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続
され、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2の容量素子の電極の一方
と、電気的に接続され、第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のトラ
ンジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され、第2のトランジスタ及び第
4のトランジスタは酸化物半導体を有し、第1のトランジスタ及び第3のトランジスタの
チャネル長方向と、第2のトランジスタ及び第4のトランジスタのチャネル長方向と、が
略垂直であることを特徴とする半導体装置である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、基板上に設けられた第1のメモリセルと、第1のメモリ
セル上に設けられた第2のメモリセルと、を有し、第1のメモリセルは、第1のトランジ
スタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、第2のメモリセルは、第3
のトランジスタと、第4のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、第1のトランジ
スタのゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され
、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の容量素子の電極の一方と、
電気的に接続され、第3のトランジスタのゲートは、第4のトランジスタのソース又はド
レインの一方と、電気的に接続され、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は
、第2の容量素子の電極の一方と、電気的に接続され、第1のトランジスタのソース又は
ドレインの一方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続さ
れ、第2のトランジスタ及び第4のトランジスタは酸化物半導体を有し、第1のトランジ
スタ及び第3のトランジスタはチャネル長方向が基板の上面に略垂直であることを特徴と
する半導体装置である。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、基板上に設けられた第1のメモリセルと、第1のメモリ
セル上に設けられた第2のメモリセルと、を有し、第1のメモリセルは、第1のトランジ
スタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、第2のメモリセルは、第3
のトランジスタと、第4のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、第1のトランジ
スタのゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され
、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の容量素子の電極の一方と、
電気的に接続され、第3のトランジスタのゲートは、第4のトランジスタのソース又はド
レインの一方と、電気的に接続され、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は
、第2の容量素子の電極の一方と、電気的に接続され、第1のトランジスタのソース又は
ドレインの一方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続さ
れ、第2のトランジスタ及び第4のトランジスタは酸化物半導体を有し、第1のトランジ
スタ及び第3のトランジスタは、基板の上面に略垂直に伸長して設けられた半導体の一部
を有することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、基板の上面に略垂直に伸長して設けられた半導体は多結
晶シリコンであることが好ましい。また、本発明の他の一態様は、基板の上面に略垂直に
伸長して設けられた半導体は、円筒状であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、第1の方向に配列して設けられた複数のメモリセルアレ
イと、複数の第1の配線及び複数の第2の配線と、を有し、複数の第1の配線及び複数の
第2の配線は、第1の方向と略垂直な第2の方向に伸長して設けられ、メモリセルアレイ
は、第2の方向に配列して設けられた複数のメモリセルストリングを有し、複数のメモリ
セルストリングは、第1の方向及び第2の方向に略垂直な第3の方向に伸長して設けられ
、メモリセルストリングは複数のメモリセルと、第3の方向に伸長して設けられた第3乃
至第5の配線と、を有し、メモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと
、容量素子と、を有し、第1のトランジスタのチャネル長方向は第3の方向と略平行であ
り、第2のトランジスタは酸化物半導体を有し、第1のトランジスタのゲートは、第2の
トランジスタのソース又はドレインの一方と、電気的に接続され、第2のトランジスタの
ソース又はドレインの一方は、容量素子の電極の一方と、電気的に接続され、複数のメモ
リセルストリングの一において、複数のメモリセルは互いに、第1のトランジスタのソー
ス又はドレインの一方と、第1のトランジスタのソース又はドレインの他方が電気的に接
続され、メモリセルストリングの一端のメモリセルの第1のトランジスタのソース又はド
レインの一方は、第3の配線と電気的に接続され、メモリセルストリングの他端のメモリ
セルの第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4の配線と電気的に接続さ
れ、複数のメモリセルの第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第5の配線
と電気的に接続され、複数のメモリセルアレイの一において、同じ行のメモリセルの容量
素子の電極の他方は、複数の第1の配線の一と電気的に接続され、同じ行のメモリセルの
第2のトランジスタのゲートは、複数の第2の配線の一と電気的に接続されることを特徴
とする半導体装置である。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記の半導体装置において、書き込み動作において、複
数のメモリセルアレイの一を選択して複数の第2の配線の一を介して第2のトランジスタ
をオン状態とし、複数の第5の配線に書き込み電位を与え、複数の第2の配線の一を介し
て第2のトランジスタをオフ状態とし、書き込み電位に対応するデータを保持し、読み出
し動作において、複数のメモリセルアレイの一を選択して複数の第1の配線の一を介して
容量素子の電極の他方に第1の電位を与え、複数の第1の配線の一と異なる行の第1の配
線を介して容量素子の電極の他方に第1の電位と異なる第2の電位を与えて第1のトラン
ジスタをオン状態とし、第3の配線に読み出し電位を与え、読み出し電位の変化からデー
タを読み出すことを特徴とする半導体装置の駆動方法である。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上述の半導体装置を有する記憶装置である。
【発明の効果】
【0017】
単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することができる。または、メモ
リセルを積層した新規な構造の半導体装置を提供することができる。または、新規な構造
の半導体装置の駆動方法を提供することができる。
【0018】
または、該半導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、該半導体
装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することができる。または、新規な半
導体装置を提供することができる。または、新規なモジュールを提供することができる。
または、新規な電子機器を提供することができる。
【0019】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図3】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図4】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図5】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の駆動方法を説明するタイミングチャート。
図8】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図および断面図。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する模式図。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図。
図11】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
図12】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
図13】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
図14】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
図15】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図16】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図17】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図19】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図20】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図。
図21】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、ならびにCAAC-OSの制限視野電子回折パターンを示す図。
図22】CAAC-OSの断面TEM像、ならびに平面TEM像およびその画像解析像。
図23】nc-OSの電子回折パターンを示す図、およびnc-OSの断面TEM像。
図24】a-like OSの断面TEM像。
図25】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図26】本発明の一態様に係る記憶装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の
説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易
に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるも
のではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は
異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じ
くし、特に符号を付さない場合がある。
【0022】
以下の実施の形態に示す構成は、実施の形態に示す他の構成に対して適宜、適用、組み
合わせ、又は置き換えなどを行って、本発明の一態様とすることができる。
【0023】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張され
ている場合がある。
【0024】
なお、本明細書において、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ替
えることが可能である。
【0025】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位
)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能であ
る。一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさ
によって決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、
電位が0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場
合もある。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場
合には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
【0026】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積
層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」
などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数
詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0027】
本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されている
ものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に
接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在すると
き、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0028】
なお、本明細書において、トランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体膜
の一部であるソース領域、或いは上記半導体膜に接続されたソース電極を意味する。同様
に、トランジスタのドレインとは、上記半導体膜の一部であるドレイン領域、或いは上記
半導体膜に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
【0029】
トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えら
れる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジス
タでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレ
インと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がド
レインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上
、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明
する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替
わる。
【0030】
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあ
るときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トラン
ジスタでは、ゲートとソースの間の電位差(VGS)がしきい値電圧(Vth)よりも低
い状態、pチャネル型トランジスタでは、VGSがVthよりも高い状態をいう。例えば
、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VGSがVthよりも低いときのドレイ
ン電流を言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、VGSに依存する場合がある。従
って、トランジスタのオフ電流が10-21A以下である、とは、トランジスタのオフ電
流が10-21A以下となるVGSの値が存在することを言う場合がある。
【0031】
また、トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電位差(VDS)に依存す
る場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合VDSの絶対値が0
.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、1
2V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジ
スタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVDS、または、当該トランジスタが
含まれる半導体装置等において使用されるVDSにおけるオフ電流、を表す場合がある。
【0032】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」と
しての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳
密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」
と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導
体」と言い換えることができる場合がある。
【0033】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」と
しての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳
密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」
と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導
体」と言い換えることができる場合がある。
【0034】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半
導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動
度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半
導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2
族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり
、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、
リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によ
って酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性
を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第1
3族元素、第15族元素などがある。
【0035】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重
なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース
電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、
一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0036】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中
で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される
領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、
一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0037】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示され
るチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば
、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面
図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくな
る場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面
に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において
示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅
の方が大きくなる。
【0038】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実
測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見
積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形
状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である
【0039】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互い
に重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ
上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Chann
el Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載し
た場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または
、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合が
ある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲
い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどに
よって、値を決定することができる。
【0040】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求
める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチ
ャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0041】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置
されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略
平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態
をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、
二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0042】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0043】
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置の回路構成および動作につ
いて、図1乃至図7を参照して説明する。
【0044】
〈メモリセル〉
はじめに、後述する半導体装置のメモリセルの回路構成およびその動作について、図1
(A)及び図1(B)を参照して説明する。ここで、図1(A)はメモリセル10の回路
構成を平面的に示した回路図の一例であり、図1(B)は、後述する半導体装置の立体的
な構成に対応させて、メモリセル10の回路構成を立体的に示した回路図の一例である。
【0045】
図1(A)及び図1(B)に示すメモリセル10において、配線SLとトランジスタ1
1のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線RBLとトランジスタ
11のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接続されている。また、配線WBL
とトランジスタ12のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線WW
Lとトランジスタ12のゲート電極は電気的に接続されている。そして、トランジスタ1
1のゲート電極とトランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)は、容量素子1
4の電極の一方と電気的に接続され、配線RWLと容量素子14の電極の他方は電気的に
接続されている。
【0046】
ここで、トランジスタ12には、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いる
ことが好ましい。詳しくは後述するが、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流
が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ12をオフ状態とする
ことで、トランジスタ11のゲート電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが
可能である。そして、容量素子14を有することにより、トランジスタ11のゲート電極
に与えられた電荷の保持が容易になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
【0047】
なお、トランジスタ11については特に限定されない。情報の読み出し速度を向上させ
るという観点からは、例えば、多結晶シリコンまたは単結晶シリコンなどを用いたトラン
ジスタなど、スイッチング速度の高いトランジスタを適用するのが好適である。
【0048】
図1(A)及び図1(B)に示すメモリセル10では、トランジスタ11のゲート電極
の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み
出しが可能である。
【0049】
はじめに、情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線WWLの電位を、
トランジスタ12がオン状態となる電位にして、トランジスタ12をオン状態とする。こ
れにより、配線WBLの電位が、トランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)
と、トランジスタ11のゲート電極と、容量素子14の一方の電極が電気的に接続された
ノード(ノードFNとも表記する)に与えられる。すなわち、トランジスタ11のゲート
電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位を与える
電荷(以下、低電位を与える電荷を電荷Q、高電位を与える電荷を電荷Qという)の
いずれかが与えられるものとする。なお、異なる三つまたはそれ以上の電位を与える電荷
を適用して、記憶容量を向上させても良い。その後、配線WWLの電位を、トランジスタ
12がオフ状態となる電位にして、トランジスタ12をオフ状態とすることにより、トラ
ンジスタ11のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0050】
トランジスタ12のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ11のゲート電極の電
荷は長時間にわたって保持される。
【0051】
次に、情報の読み出しについて説明する。配線SLに所定の電位(定電位)を与えた状
態で、配線RWLに適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ11のゲート
電極に保持された電荷量に応じて、配線RBLは異なる電位をとる。一般に、トランジス
タ11をnチャネル型とすると、トランジスタ11のゲート電極にQが与えられている
場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ11のゲート電極にQが与え
られている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見
かけのしきい値電圧とは、トランジスタ11を「オフ状態」から「オン状態」または「オ
ン状態」から「オフ状態」とするために必要な配線RWLの電位をいうものとする。した
がって、配線RWLの電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、
トランジスタ11のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおい
てQが与えられた場合には、配線RWLの電位がV(>Vth_H)となれば、トラ
ンジスタ11は「オン状態」となる。Qが与えられた場合には、配線RWLの電位がV
(<Vth_L)となっても、トランジスタ11は「オフ状態」のままである。なお、
トランジスタ11がpチャネル型の場合には、Qが与えられている場合は「オン状態」
となり、Qが与えられている場合は「オフ状態」のままとなる。このため、配線RBL
の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0052】
なお、メモリセルをマトリクス状に配置して用いる場合には、所望のメモリセルの情報
のみを読み出せることが必要になる。このように、所定のメモリセルの情報を読み出し、
それ以外のメモリセルの情報を読み出さないようにするには、各メモリセル間でトランジ
スタ11がそれぞれ直列に接続されている場合には、読み出しの対象ではないメモリセル
の配線RWLに対して、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ11が「オン状態」
となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を与えればよい。この際、配線R
WLにVth_Lより大きい電位を与えると、容量素子14を介して、トランジスタ11
のゲート電極にトランジスタ11が「オン状態」となるような電位が加わり、トランジス
タ11をノードFNに保存されたデータに依存せずにオン状態とすることができる。
【0053】
次に、情報の書き換えについて説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みおよ
び保持と同様に行われる。つまり、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオン状態と
なる電位にして、トランジスタ12をオン状態とする。これにより、配線WBLの電位(
新たな情報に係る電位)が、トランジスタ11のゲート電極および容量素子14に与えら
れる。その後、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオフ状態となる電位にして、ト
ランジスタ12をオフ状態とすることにより、トランジスタ11のゲート電極は、新たな
情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0054】
このように、開示する発明に係る半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的
に情報を書き換えることが可能である。このためフラッシュメモリの消去動作などにおい
て必要とされる高電圧を用いてのフローティングゲートからの電荷の引き抜きが不要であ
り、動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現され
る。
【0055】
なお、トランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)と、トランジスタ11の
ゲート電極と、容量素子14の一方の電極が電気的に接続されたノードFNは、不揮発性
メモリ素子として用いられるフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲー
トと同等の作用を奏する。トランジスタ12がオフの場合、当該ノードFNは絶縁体中に
埋設されていると見ることができ、ノードFNには電荷が保持される。酸化物半導体を用
いたトランジスタ12のオフ電流は、シリコン半導体で形成されるトランジスタの10万
分の1以下であるため、ノードFNに蓄積された電荷を長期間保持することが可能である
。つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタ12により、電力の供給が無くても情報の
長期間保持が可能な記憶装置を実現することが可能である。
【0056】
例えば、トランジスタ12の室温(25℃)でのオフ電流が10zA(1zA(ゼプト
アンペア)は1×10-21A)以下であり、容量素子14の容量値が10fF程度であ
る場合には、少なくとも10秒以上のデータ保持が可能である。なお、当該保持時間が
、トランジスタ特性や容量値によって変動することはいうまでもない。
【0057】
また、本実施の形態に示すメモリセル10においては、従来のフローティングゲート型
トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題
が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する
際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み
回数の制限が存在しないことを意味するものである。また、従来のフローティングゲート
型トランジスタにおいて書き込みや消去の際に必要であった高電圧も不要である。
【0058】
メモリセル10においては、ノードFNが、フラッシュメモリ等のフローティングゲー
ト型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用をするが、本実施の形態のノード
FNは、フラッシュメモリ等のフローティングゲートと本質的に異なる特徴を有している
。フラッシュメモリでは、コントロールゲートに印加される電位が高いため、その電位が
、隣接するセルのフローティングゲートに影響を与えないように、セルとセルとの間隔を
ある程度保つ必要が生じる。このことは、半導体装置の高集積化を阻害する要因の一つで
ある。そして、当該要因は、高電界をかけてトンネル電流を発生させるというフラッシュ
メモリの根本的な原理に起因するものである。
【0059】
一方、本実施の形態に係る半導体装置は、酸化物半導体を用いたトランジスタのスイッ
チングによって動作し、上述のようなトンネル電流による電荷注入の原理を用いない。す
なわち、フラッシュメモリのような、電荷を注入するための高電界が不要である。これに
より、隣接セルに対する、コントロールゲートによる高電界の影響を考慮する必要がない
ため、高集積化が容易になる。
【0060】
なお、半導体装置の記憶容量を大きくするためには、高集積化以外に、多値化の手法を
採ることもできる。例えば、メモリセルの一に3段階以上の情報を書き込む構成とするこ
とで、2値(1ビット)の情報を書き込む場合と比較して記憶容量を増大させることがで
きる。例えば、上述のような、低電位を与える電荷Q、高電位を与える電荷Qに加え
、他の電位を与える電荷Qをトランジスタ11のゲート電極に与えることで、多値化を実
現することができる。多値のデータとしては、例えば、4値(2ビット)、8値(3ビッ
ト)、16値(4ビット)などのデータを保持できるようにすればよい。
【0061】
なお、上記説明は、電子をキャリアとするn型トランジスタ(nチャネル型トランジス
タ)を用いる場合についてのものであるが、n型トランジスタに代えて、正孔をキャリア
とするp型トランジスタを用いてもよい。
【0062】
後述するメモリセルアレイにおいて、メモリセル10は図1(B)に示すように、トラ
ンジスタ11のチャネル長方向、トランジスタ12のチャネル長方向、配線SL、配線R
BL、配線WBL、配線RWL及び配線WWLが立体的に交差して設けられることが好ま
しい。
【0063】
トランジスタ11のチャネル長方向とトランジスタ12のチャネル長方向が略垂直であ
ることが好ましい。また、メモリセル10が設けられる基板の上面に対して、トランジス
タ11のチャネル長方向は略垂直であり、トランジスタ12のチャネル長方向は略平行で
あることが好ましい。
【0064】
また、配線RBL、配線SL及び配線WBLに対して、配線WWL及び配線RWLは略
垂直であることが好ましい。また、メモリセル10が設けられる基板の上面に対して配線
RBL、配線SL及び配線WBLは略垂直であり、配線WWL及び配線RWLは略平行で
あることが好ましい。
【0065】
このようにメモリセル10を構成することにより、後述するように複数のメモリセル1
0は、それぞれのトランジスタ11において直列に接続するように積層させることができ
る。これにより、メモリセル10の積層数に応じて、単位面積あたりの記憶容量を増加さ
せることができる半導体装置を提供することができる。
【0066】
また、上述のようにトランジスタ11をチャネル長方向が基板の上面に垂直になるよう
に設ける回路構成とすることで、ゲート電極が半導体の周囲を囲み、ソースとドレインが
トランジスタの上下に設けられる構造の縦型トランジスタ(SGT:Surroundi
ng Gate Transistor)を容易に用いることができる。最小加工寸法を
Fとして、標準的なプレーナー型のトランジスタの占有面積が8Fであるのに対して、
SGTの占有面積は4Fと非常に小さい。これにより、さらに単位面積当たりの記憶容
量を増加させることができる。
【0067】
〈メモリセルアレイ〉
次に、図1に示す回路を応用した、より具体的な回路構成および動作について、図2
図7を参照して説明する。
【0068】
3次元メモリセルアレイ40と、選択トランジスタアレイ50と、駆動回路51と、読
み出し回路52と、駆動回路53と、駆動回路54と、を有する半導体装置のブロック回
路図の一例を図2に示す。なお、以下においては、図2に示すように、x軸、y軸、z軸
からなる直交座標系を便宜上設定して説明する。
【0069】
また、図2では図面が煩雑になっている部分があるので、図3に3次元メモリセルアレ
イ40のみのブロック回路図の一例を示す。また、図4に3次元メモリセルアレイ40に
含まれる2次元メモリセルアレイ30[1]のブロック回路図の一例を示す。ただし、図
4は2次元メモリセルアレイ30[1]のブロック回路図の一例を平面的に表しており、
一部のz軸方向の構成については疑似的にxy平面上に表現している。また、図5に選択
トランジスタアレイ50、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53および駆動回
路54のブロック回路図の一例を示す。
【0070】
選択トランジスタアレイ50、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53および
駆動回路54は、xz平面に略平行な基板面上に形成されており、選択トランジスタアレ
イ50の上に3次元メモリセルアレイ40が形成されている。
【0071】
3次元メモリセルアレイ40は、m×m×m個(m、m、mは自然数)の
メモリセル10を有しており、x軸方向にm個、y軸方向にm個、z軸方向にm
のメモリセル10が直方体状に配列している。以下、図2に示すように、メモリセル10
に座標を付して、メモリセル10(1,1,1)乃至(m,m,m)のように示す
場合がある。
【0072】
また、図3に示すように、3次元メモリセルアレイ40は、y軸方向に伸長して設けら
れた、m×m本の配線SL、配線RBL及び配線WBLと、x軸方向に伸長して設け
られた、m×m本の配線RWL及び配線WWLと、を有する。以下、図3に示すよう
に配線SLにx軸方向、z軸方向の座標を付して、配線SL[1,1]乃至[m,m
]のように示す場合がある。同様に、配線RBL[1,1]乃至[m,m]、配線W
BL[1,1]乃至[m,m]のように示す場合がある。また、図3に示すように配
線RWLにy軸方向、z軸方向の座標を付して、配線RWL[1,1]乃至[m,m
]のように示す場合がある。同様に、配線WWL[1,1]乃至[m,m]のように
示す場合がある。
【0073】
3次元メモリセルアレイ40は、z軸方向に配列して設けられた、m個の2次元メモ
リセルアレイ30から構成される。以下、図2に示すように2次元メモリセルアレイ30
にz軸方向の座標を付して、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m]のように示
す場合がある。
【0074】
各2次元メモリセルアレイ30は、x軸方向に配列して設けられた、m個のメモリセ
ルストリング20から構成される。以下、図2に示すようにメモリセルストリング20に
x軸方向、z軸方向の座標を付して、メモリセルストリング20[1,1]乃至[m
]のように示す場合がある。各メモリセルストリング20は、y軸方向に配列して設
けられた、m個のメモリセル10を有している。ここで、各2次元メモリセルアレイ3
0はm個のメモリセルストリング20から構成されるので、2次元メモリセルアレイ3
0では、x軸方向にm個、y軸方向にm個のメモリセル10がマトリクス状に配列し
ていることになる。
【0075】
メモリセル10は、図1(B)に示すように、トランジスタ11、トランジスタ12及
び容量素子14を有し、配線SL、配線RBL、配線WBL、配線RWL及び配線WWL
と電気的に接続される。ただし、図2乃至4に示す通り、各メモリセルストリング20を
構成するメモリセル10は、トランジスタ11においてy軸方向に直列に接続されている
。よって、メモリセル(i,1,i)(iは1以上m以下の自然数、iは1以
上m以下の自然数を示す。)のみが他のメモリセル10を介することなく配線RBL[
,i]と接続される。また、メモリセル(i,m,i)のみが他のメモリセ
ル10を介することなく配線SL[i,i]と接続される。他のメモリセル10は、
同じメモリセルストリング20の他のメモリセル10を介して配線RBLおよび配線SL
と電気的に接続される。
【0076】
ここで、図4に示す2次元メモリセルアレイ30[1]を例に、2次元メモリセルアレ
イ30の構造について説明する。図4に示す2次元メモリセルアレイ30[1]は、m
本の配線SL[1,1]乃至[m,1]と、m本の配線RBL[1,1]乃至[m
,1]と、m本の配線WBL[1,1]乃至[m,1]と、m本の配線RWL[1
,1]乃至[m,1]と、m本の配線WWL[1,1]乃至[m,1]と、m×
個のマトリクス状に配列されたメモリセル10(1,1,1)乃至(m,m,1
)と、を有する。
【0077】
なお、以下において、2次元メモリセルアレイ30のマトリクス状の配線及びメモリセ
ル10を行列にならって表現する場合がある。例えば、同じ2次元メモリセルアレイ30
において、y座標が同じである複数のメモリセル10を同じ行のメモリセル10と表現す
ることができる。また、同じ2次元メモリセルアレイ30において、x座標が同じである
(同じメモリセルストリング20を構成するということもできる)複数のメモリセル10
を同じ列のメモリセル10と表現することができる。また、x軸方向を行方向、y軸方向
を列方向と表現することができる。なお、以下において、図4などに示す2次元メモリセ
ルアレイ30では下の行から順に1行目、2行目、……m行目とよび、左の列から順に
1列目、2列目、……m列目とよぶ。
【0078】
配線SL[i,1]はそれぞれ、メモリセル10(i,m,1)の対応するトラ
ンジスタ11のソース電極と電気的に接続され、配線RBL[i,1]はそれぞれ、メ
モリセル10(i,1,1)の対応するトランジスタ11のドレイン電極と電気的に接
続される。
【0079】
また、配線WBL[i,1]はそれぞれ、メモリセル10(i,1,1)乃至(i
,m,1)の対応するトランジスタ12のソース電極と電気的に接続される。言い換
えると、同じ列のメモリセル10のトランジスタ12のソース電極は、同じ列の配線WB
Lと電気的に接続される。
【0080】
配線RWL[i,1](iは1以上m以下の自然数を示す。)はそれぞれ、メモ
リセル10(1,i,1)乃至(m,i,1)の対応する容量素子14の電極の他
方と電気的に接続される。言い換えると、同じ行のメモリセル10の容量素子14の電極
の他方は、同じ行の配線RWLと電気的に接続される。
【0081】
また、配線WWL[i,1]はそれぞれ、メモリセル10(1,i,1)乃至(m
,i,1)の対応するトランジスタ12のゲート電極と電気的に接続される。言い換
えると、同じ行のメモリセル10のトランジスタ12のゲート電極は、同じ行の配線WW
Lと電気的に接続される。
【0082】
メモリセル10(i,i2A,1)(i2Aは1以上m-1以下の自然数を示す。
)のトランジスタ11のソース電極は、メモリセル10(i,i2A+1,1)のトラ
ンジスタ11のドレイン電極と電気的に接続される。言い換えると、同じ列において、複
数のメモリセル10は互いに、トランジスタ11のソース電極とトランジスタ11のドレ
イン電極とが電気的に接続される。
【0083】
このように、配線SL[i,1]と配線RBL[i,1]の間で、トランジスタ1
1において直列に接続されたメモリセル10(i,1,1)乃至(i,m,1)に
よってメモリセルストリング20[i,1]が構成される。
【0084】
このようにメモリセルストリング20には複数のメモリセル10が含まれており、それ
ぞれのトランジスタ11が直列接続するように積層させることができる。メモリセルスト
リング20は、メモリセル10の積層数に応じて、メモリセルストリング20の記憶容量
を増加させることができる。よって、複数のメモリセルストリング20から構成される3
次元メモリセルアレイ40は、メモリセル10の積層数に応じて、単位面積あたりの記憶
容量を増加させることができる。
【0085】
ここで、図5に示す選択トランジスタアレイ50の構造について説明する。選択トラン
ジスタアレイ50は、m×m個のマトリクス状に配列された選択トランジスタセル6
0と、z軸方向に伸長して設けられた、m本の配線RBL及び配線WBLと、x軸方向
に伸長して設けられた、m本の配線SG1及び配線SG2と、を有する。以下、選択ト
ランジスタセル60にxz平面の座標を付して、選択トランジスタセル60(1,1)乃
至(m,m)のように示す場合がある。また、配線RBL及び配線WBLにx軸方向
の座標を付して、配線RBL[1]乃至[m]、配線WBL[1]乃至[m]のよう
に示す場合がある。また、配線SG1及び配線SG2にz軸方向の座標を付して、配線S
G1[1]乃至[m]、配線SG2[1]乃至[m]のように示す場合がある。
【0086】
各選択トランジスタセル60はトランジスタ61及びトランジスタ62を有している。
選択トランジスタセル60(i,i)において、配線RBL[i]とトランジスタ
61のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接続され、メモリセルストリング[
,i]の配線RBL[i,i]とトランジスタ61のソース電極(またはドレ
イン電極)は電気的に接続され、配線SG1[i]とトランジスタ61のゲート電極は
電気的に接続されている。また、選択トランジスタセル60(i,i)において、配
線WBL[i]とトランジスタ62のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接
続され、メモリセルストリング[i,i]の配線WBL[i,i]とトランジス
タ62のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線SG2[i]と
トランジスタ62のゲート電極は電気的に接続されている。
【0087】
このように、各選択トランジスタセル60は各メモリセルストリング20に対応して設
けられており、配線RBL[i]と配線RBL[i,1]乃至[i,m]との導
通状態を各選択トランジスタセル60のトランジスタ61で選択し、配線WBL[i
と配線WBL[i,1]乃至[i,m]との導通状態を各選択トランジスタセル6
0のトランジスタ62で選択することができる。
【0088】
また、図5に示すように、選択トランジスタアレイ50の周りには駆動回路51、読み
出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54が設けられている。駆動回路51には配線
RBL[1]乃至[m]と配線WBL[1]乃至[m]とが接続されている。また、
配線RBL[1]乃至[m]は、読み出し回路52にも接続されている。また、図示さ
れていないが、駆動回路53には、配線RWL[1,1]乃至[m,m]と配線WW
L[1,1]乃至[m,m]とが接続されている。また、駆動回路54には配線SG
1[1]乃至[m]と配線SG2[1]乃至[m]とが接続されている。
【0089】
以下に、読み出し回路52に用いることができる読み出し回路の一例について図6を用
いて説明する。図6(A)には、読み出し回路の概略を示す。当該読み出し回路は、トラ
ンジスタとセンスアンプ回路を有する。
【0090】
読み出し時には、端子Aは読み出しを行うメモリセルが接続された配線RBLに接続さ
れる。また、トランジスタのゲート電極にはバイアス電位Vbiasが印加され、端子A
の電位が制御される。
【0091】
メモリセル10は、格納されるデータに応じて、異なる電気抵抗を示す。具体的には、
選択したメモリセル10のトランジスタ11がオン状態の場合には低抵抗状態となり、選
択したメモリセル10のトランジスタ11がオフ状態の場合には高抵抗状態となる。
【0092】
メモリセルが高抵抗状態の場合、端子Aの電位が参照電位Vrefより高くなり、セン
スアンプは端子Aの電位に対応する電位(データ”0”)を出力する。一方、メモリセル
が低抵抗状態の場合、端子Aの電位が参照電位Vrefより低くなり、センスアンプ回路
は端子Aの電位に対応する電位(データ”1”)を出力する。
【0093】
このように、読み出し回路を用いることで、メモリセルからデータを読み出すことがで
きる。なお、本実施の形態に示す読み出し回路は一例である。他の公知の回路を用いても
良い。また、読み出し回路は、プリチャージ回路を有しても良い。参照電位Vrefの代
わりに参照用メモリセルに接続される構成としても良い。
【0094】
図6(B)に、センスアンプ回路の一例である差動型センスアンプを示す。差動型セン
スアンプは、入力端子Vin(+)とVin(-)と出力端子Voutを有し、Vin(
+)とVin(-)の差を増幅する。Vin(+)>Vin(-)であればVoutは、
概ねHigh出力、Vin(+)<Vin(-)であればVoutは、概ねLow出力と
なる。
【0095】
図6(C)に、センスアンプ回路の一例であるラッチ型センスアンプを示す。ラッチ型
センスアンプは、入出力端子V1およびV2と、制御用信号Sp、Snの入力端子を有す
る。まず、信号SpをHigh、信号SnをLowとして、電源電位(Vdd)を遮断す
る。そして、比較を行う電位をV1とV2に与える。その後、信号SpをLow、信号S
nをHighとして、電源電位(Vdd)を供給すると、比較を行う電位V1inとV2
inがV1in>V2inの関係にあれば、V1の出力はHigh、V2の出力はLow
となり、V1in<V2inの関係にあれば、V1の出力はLow、V2の出力はHig
hとなる。このような関係を利用して、V1inとV2inの差を増幅することができる
【0096】
なお、上記においては、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路
54をそれぞれ機能ごとに独立して設けているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれ
に限られるものではなく、複数の回路を一つの回路にまとめて設けてもよい。また、駆動
回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54、並びに各回路に接続され
る配線の配置は、図5に示す構成に限定されず、半導体装置に合わせて適宜設定すればよ
い。
【0097】
また、配線SL[1,1]乃至[m,m]は図3ではそれぞれ分割して設けられて
いるが、この構成に限られるものではなく、例えば複数の配線SLを電気的に接続しても
よいし、全部の配線SLを電気的に接続してもよい。また、配線SL[1,1]乃至[m
,m]は、例えば、接地電位GNDまたは0Vなどを供給する低電源電位と接続して
おけばよい。
【0098】
また、図2に示す半導体装置においては、選択トランジスタアレイ50の上に3次元メ
モリセルアレイ40を設ける構成としているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに
限られるものではない。例えば、3次元メモリセルアレイ40の上に選択トランジスタア
レイ50を設ける構成としてもよい。その場合、選択トランジスタセル60のトランジス
タ61とトランジスタ62は、例えば、トランジスタ12と同じように酸化物半導体を用
いて設ければよい。
【0099】
また、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54などの周辺回
路の一部を3次元メモリセルアレイ40の下に設けてもよい。例えば、各メモリセルスト
リング20に対応させてマトリクス状に読み出し回路を設ける構成としてもよく、この場
合、マトリクス状に設けられた読み出し回路と選択トランジスタセル60を積層して設け
ればよい。
【0100】
データの書き込み、保持、および読み出しは、基本的に図1の場合と同様である。ただ
し、3次元メモリセルアレイ40においては、まず、2次元メモリセルアレイ30[1]
乃至[m]のいずれか一を選択してからデータの書き込みまたは読み出しを行う。また
、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m]におけるデータの書き込み及び読み出
しは少なくとも行単位で行われる。つまり、具体的な書き込みの動作は以下のようになる
。なお、ここでは一例として、ノードFNに電位V2(電源電位VDDより低い電位)ま
たは基準電位GND(0Vと表す場合がある)のいずれかを与える場合について説明する
が、ノードFNに与える電位の関係はこれに限られない。また、ノードFNに電位V2を
与えた場合に保持されるデータをデータ”1”、ノードFNに基準電位GNDを与えた場
合に保持されるデータをデータ”0”とする。また、配線SLには基準電位GNDを与え
るものとする。
【0101】
データの書き込みでは、まず、複数の2次元メモリセルアレイ30のいずれか一を選択
する。2次元メモリセルアレイ30の選択では、対応する配線SG2の電位をV1(例え
ば、VDD)として当該配線と電気的に接続されるトランジスタ62をオン状態とし、配
線WBL[1]乃至[m]と選択した2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線WB
Lとを導通状態にする。このとき、非選択の配線SG2の電位はGND(0V)とし、配
線WBL[1]乃至[m]と非選択の2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線WB
Lとは非導通状態とする。
【0102】
次に、選択した2次元メモリセルアレイ30において、書き込み対象の行のメモリセル
10に接続される配線WWLの電位をV3(V2より高い電位、例えばVDD)として当
該メモリセル10のトランジスタ12をオン状態とする。メモリセル10にデータ”0”
を書き込む場合には、配線WBLに書き込み電位としてGNDを与え、メモリセル10に
データ”1”を書き込む場合には、配線WBLに書き込み電位として電位V2を与える。
ここでは配線WWLの電位をV3としているため、ノードFNに電位V2を与えることが
可能である。
【0103】
データの保持は、保持対象のメモリセル10に接続される配線WWLの電位をGNDと
して当該メモリセル10のトランジスタ12をオフ状態とすることにより行われる。配線
WWLの電位をGNDに固定すると、ノードFNの電位は書き込み時の電位に固定される
。つまり、ノードFNにデータ”1”である電位V2が与えられている場合、ノードFN
の電位はV2となり、ノードFNにデータ”0”であるGNDが与えられていれば、ノー
ドFNの電位はGNDとなる。
【0104】
また、配線WWLにはGNDが与えられているため、データ”1”とデータ”0”のい
ずれが書き込まれた場合でも、トランジスタ12はオフ状態となる。トランジスタ12の
オフ電流は極めて小さいから、トランジスタ11のゲート電極の電荷は長時間にわたって
保持される。このようにして保持対象のメモリセル10のノードFNに、書き込み電位に
対応するデータを保持することができる。
【0105】
データの読み出しでは、まず、複数の2次元メモリセルアレイ30のいずれか一を選択
する。2次元メモリセルアレイ30の選択では、対応する配線SG1の電位をV1(例え
ば、VDD)として当該配線と電気的に接続されるトランジスタ61をオン状態とし、配
線RBL[1]乃至[m]と選択した2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線RB
Lとを導通状態にする。このとき、非選択の配線SG1の電位はGND(0V)とし、配
線RBL[1]乃至[m]と非選択の2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線RB
Lとは非導通状態とする。
【0106】
次に、選択した2次元メモリセルアレイ30において、読み出し対象の行のメモリセル
10に接続される配線RWLの電位をGNDとし、接続される容量素子14の電極の他方
の電位をGNDとする。また、読み出し対象ではない行のメモリセル10に接続される配
線RWLの電位をV5(例えばVDD)とし、接続される容量素子14の電極の他方の電
位をV5とする。
【0107】
読み出し対象の行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をGNDとすると、
読み出し対象のメモリセル10のノードFNにデータ”1”である電位V2が与えられて
いる場合、トランジスタ11はオン状態となる。一方で、ノードFNにデータ”0”であ
るGNDが与えられていれば、トランジスタ11はオフ状態となる。
【0108】
また、読み出し対象ではない行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をV5
とすると、読み出し対象ではないメモリセル10にデータ”1”が書き込まれている場合
、および、データ”0”が書き込まれている場合のいずれにおいても、トランジスタ11
はオン状態となる。
【0109】
また、配線RBLには読み出し電位(例えばVDD)を与える。読み出し対象のメモリ
セル10のトランジスタ11がオン状態になっていると、配線RBLと配線SLが導通し
て配線RBLの電位が下がる。これに対して、読み出し対象のメモリセル10のトランジ
スタ11がオフ状態になっていると、配線RBLと配線SLが導通しないので配線RBL
の読み出し電位が維持される。このように、配線RBLの読み出し電位の変化から読み出
し対象のメモリセルのデータを読み出すことができる。
【0110】
また、駆動方法として、ブロック毎のデータの一括消去動作を設けることが好ましい。
例えば、2次元メモリセルアレイ30を1ブロックとすればよい。この場合、データを一
括消去する2次元メモリセルアレイ30の選択は、データの書き込みと同様の方法で選択
すればよい。当該2次元メモリセルアレイ30に接続される配線WWLをオン状態とする
ことにより、1ブロックのデータを一括消去することができる。
【0111】
図7に、図2に係る半導体装置の詳細な動作に係るタイミングチャートの一例を示す。
図7に示されるタイミングチャートは、2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去、
2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書込み、および2次元メモリセルアレイ30
[1]の1行目読み出しについて各配線の電位の関係を示すものである。2次元メモリセ
ルアレイ30[1]の一括消去は、2次元メモリセルアレイ30[1]が有するメモリセ
ル10(1,1,1)乃至(m,m,1)に書き込まれたデータを消去する動作であ
る。2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書込みは、2次元メモリセルアレイ30
[1]の第1行第1列のメモリセルにデータ”1”を書き込むと共に、第1行の他の列(
第2列乃至第m列)のメモリセルにデータ”0”を書き込む動作である。2次元メモリ
セルアレイ30[1]の1行目読み出しは、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行
目に書き込まれたデータを読み出す動作である。なお、当該読み出しでは、第1行第1列
のメモリセルにデータ”1”が、第1行の他の列(第2列乃至第m列)のメモリセルに
データ”0”が格納されているとした。
【0112】
なお、読み出し回路52には図6(A)に示す読み出し回路が設けられているものとす
る。
【0113】
2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去においては、まず、配線SG2[1]に
電位V1を与えて、選択トランジスタセル60(1,1)乃至(m,1)のトランジス
タ62をオン状態にし、配線WBL[1]乃至[m]を、対応する配線WBL[1,1
]乃至[m,1]と導通状態にする。また、配線SG2[2]乃至[m]をGNDと
して、選択トランジスタセル60(1,2)乃至(m,m)のトランジスタ62をオ
フ状態にし、配線WBL[1]乃至[m]を、対応する配線WBL[1,2]乃至[m
,m]と非導通状態にしておく。このようにして一括消去動作の対象として2次元メ
モリセルアレイ30[1]を選択する。
【0114】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、配線WWL[1,1]乃至配線WWL[
,1]に電位V3を与えて、第1行乃至第m行のトランジスタ12をオン状態とす
ると共に、配線WBL[1]乃至[m]をGNDとして第1行乃至第m行のノードF
Nの電位をGNDにする。
【0115】
なお、2次元メモリセルアレイ30[2]乃至[m]と電気的に接続される配線WW
L[1,2]乃至[m,m]をGNDとして、メモリセル10(1,1,2)乃至(
,m,m)のノードFNの電位を保持する。
【0116】
2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書込みにおいては、まず、2次元メモリセ
ルアレイ30[1]の一括消去と同様の動作で書き込み動作の対象として2次元メモリセ
ルアレイ30[1]を選択する。
【0117】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、配線WWL[1,1]に電位V3を与え
て第1行のトランジスタ12をオン状態とし、配線WWL[2,1]乃至[m,1]を
GNDとして第2行乃至第m行のトランジスタ12をオフ状態とする。このとき、配線
WBL[1]に電位V2を与えて、配線WBL[2]乃至[m]をGNDとする。また
、配線RWL[1,1]乃至[m,1]はGNDとしておけばよい。
【0118】
その結果、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行第1列のメモリセル10のノー
ドFNには電位V2が与えられ、すなわちデータ”1”が書き込まれたこととなる。また
、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行第2列乃至第m列のノードFNには0V
が与えられ、すなわちデータ”0”が書き込まれたこととなる。
【0119】
なお、2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去と同様に、2次元メモリセルアレ
イ30[2]乃至[m]と電気的に接続される配線WWL[1,2]乃至[m,m
]をGNDとして、メモリセル10(1,1,2)乃至(m,m,m)のノードF
Nの電位を保持する。
【0120】
2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目読み出しにおいては、まず、配線SG1[
1]に電位V1を与えて、選択トランジスタセル60(1,1)乃至(m,1)のトラ
ンジスタ61をオン状態にし、配線RBL[1]乃至[m]を、対応する配線RBL[
1,1]乃至[m,1]と導通状態にする。また、配線SG1[2]乃至[m]をG
NDとして、選択トランジスタセル60(1,2)乃至(m,m)のトランジスタ6
1をオフ状態にし、配線RBL[1]乃至[m]を、対応する配線RBL[1,2]乃
至[m,m]と非導通状態にしておく。このようにして読み出し動作の対象として2
次元メモリセルアレイ30[1]を選択する。
【0121】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、読み出し対象の1行目のメモリセル10
に接続される配線RWL[1,1]をGNDとする。また、読み出し対象ではないメモリ
セル10に接続される配線RWL[2,1]乃至[m,1]に電位V4を与え、当該メ
モリセル10のトランジスタ11をオン状態とする。
【0122】
ここで、図6(A)に示す読み出し回路のバイアス電位Vbiasを電位VddからG
NDとして電源電位Vddが供給される配線と配線RBLを接続する。
【0123】
その結果、メモリセル10にデータ”1”が書き込まれたメモリセル10(1,1,1
)と接続される配線RBL[1]は、配線SL[1,1]と導通して電位が下がる。また
、メモリセル10にデータ”0”が書き込まれたメモリセル10(2,1,1)乃至(m
,1,1)と接続される配線RBL[2]乃至[m]は、配線SL[2,1]乃至[
,1]と非導通なので電位Vddとなる。
【0124】
なお、配線WWL[1,1]乃至[m,m]をGNDとして、メモリセル10(1
,1,1)乃至(m,m,m)のノードFNの電位を保持する。
【0125】
なお、上記説明は、電子をキャリアとするn型トランジスタを用いる場合についてのも
のであるが、n型トランジスタに代えて、正孔をキャリアとするp型トランジスタを用い
てもよい。この場合、トランジスタの動作が反転するため、与える電位を適宜設定してや
ればよい。
【0126】
なお、上記の半導体装置の駆動方法においては、メモリセルに2値(1ビット)のデー
タを書き込む場合について説明したが、メモリセルの一に3段階以上の情報を書き込む、
多値化の手法をとってもよい。例えば、メモリセルに4値(2ビット)、8値(3ビット
)、16値(4ビット)などのデータを保持できるようにしてもよい。
【0127】
本実施の形態に示す半導体装置では、酸化物半導体を用いたトランジスタはオフ電流が
極めて小さいため、これを用いることにより極めて長期にわたり記憶内容を保持すること
が可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の
頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であって
も、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0128】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、
素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲー
トへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため
、電子の引き抜きによるゲート絶縁層の劣化といった問題が生じない。すなわち、開示す
る発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回
数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状
態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0129】
また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である
ため、これを、酸化物半導体を用いたトランジスタと組み合わせて用いることにより、半
導体装置の動作(例えば、情報の読み出し動作)の高速性を十分に確保することができる
。また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタにより、高速動作が要求される各
種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
【0130】
このように、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタ(より広義には、十分な高
速動作が可能なトランジスタ)と、酸化物半導体を用いたトランジスタ(より広義には、
十分にオフ電流が小さいトランジスタ)とを一体に備えることで、これまでにない特徴を
有する半導体装置を実現することができる。
【0131】
さらに、本実施の形態に示す半導体装置では、メモリセルを積層して設けることにより
、積層数に応じて単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。よって、当該メ
モリセルにおいて上記のような良好な特性を得ることができ、さらに、従来のメモリと同
等、またはそれ以上に単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することがで
きる。また、本実施の形態に示す半導体装置では、このようにメモリセルを積層して単位
面積当たりの記憶容量を増加させることにより、1TByte以上、5TByte以上、
10TByte以上の記憶容量を持つ記憶装置を提供することも可能になる。
【0132】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0133】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成について、図8乃至図14
を用いて説明する。
【0134】
<メモリセルの構成>
まず、先の実施の形態に示すメモリセル10の構成について図8(A)乃至(C)を用
いて説明する。
【0135】
図8(A)乃至図8(C)に示すメモリセル10は、トランジスタ11、トランジスタ
12及び容量素子14を有する。図8(A)はメモリセル10の上面図である。図8(B
)は図8(A)の一点鎖線A1-A2に対応する断面図であり、図8(C)は図8(A)
の一点鎖線A3-A4に対応する断面図である。なお、一点鎖線A1-A2で示す領域で
は、トランジスタ12のチャネル長方向における構造を含んで示しており、一点鎖線A3
-A4で示す領域では、トランジスタ12のチャネル幅方向における構造を示している。
なお、トランジスタ12のチャネル長方向とは、ソース(ソース領域またはソース電極)
及びドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)間において、キャリアが移動する方向
を意味し、トランジスタ12のチャネル幅方向は、基板と水平な面内において、チャネル
長方向に対して垂直の方向を意味する。
【0136】
ここで、トランジスタ11の半導体材料とトランジスタ12の半導体材料とは異なる材
料とすることが望ましい。例えば、トランジスタ11の半導体材料を酸化物半導体以外の
半導体材料(シリコンなど)とし、トランジスタ12の半導体材料を酸化物半導体とする
ことができる。多結晶シリコンなどの酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、
高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により
長時間の電荷保持を可能とする。
【0137】
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明
するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、開
示する発明の技術的な本質は、情報を保持するために酸化物半導体のようなオフ電流を十
分に低減することが可能な半導体材料をトランジスタ12に用いる点にあるから、半導体
装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示す
ものに限定する必要はない。
【0138】
トランジスタ11は、導電体108bと、絶縁体132と、半導体134と、絶縁体1
36と、を有する。絶縁体132、半導体134及び絶縁体136は、絶縁体104、導
電体108b、絶縁体116及び絶縁体118に設けられた円柱状の開口の中に形成され
る。絶縁体132は当該開口の内壁に接して円筒状に形成されており、半導体134は絶
縁体132の内側に円筒状に形成されており、絶縁体136は半導体134の内側に円筒
状に形成されている。絶縁体132、半導体134及び絶縁体136は、メモリセル10
が設けられる基板の上面に対して略垂直に伸長して形成されている。なお、半導体134
の内側に絶縁体136を設けず、絶縁体132の内側に柱状の半導体134を設ける構成
としてもよい。
【0139】
ここで、導電体108bはトランジスタ11のゲートとしての機能を有し、絶縁体13
2はトランジスタ11のゲート絶縁膜としての機能を有し、半導体134はトランジスタ
11の活性層、ソース及びドレインとしての機能を有する。半導体134において、導電
体108bと重なる領域134aがトランジスタ11のチャネル形成領域として機能し、
導電体108bと重ならない領域134bがトランジスタ11のソース又はドレインとし
て機能する。
【0140】
このように、トランジスタ11は、半導体134の領域134aの周囲を絶縁体132
を介して囲むように、ゲート電極として機能する導電体108bが形成されるSGTであ
る。トランジスタ11の半導体134においては、導電体108bと同じ高さにチャネル
形成領域として機能する領域134aが位置し、導電体108bより上と下にソース又は
ドレインとして機能する領域134bが位置する。よって、トランジスタ11のチャネル
長は導電体108bの膜厚と概略同じ長さになる。また、トランジスタ11のチャネル長
方向は、メモリセル10が設けられる基板の上面に対して略垂直な方向になる。また、図
8(B)に示すように、トランジスタ11のチャネル長方向は、トランジスタ12のチャ
ネル長方向と略垂直である。また、トランジスタ11のチャネル幅は円筒状の半導体13
4の円周の長さと概略同じ長さになる。
【0141】
標準的なプレーナー型のトランジスタでは、上面から見てゲート電極、ソース電極及び
ドレイン電極が形成されており、専有面積が8F程度であるのに対し、SGT型のトラ
ンジスタ11では、上面から見て、ゲート電極の内側に他の構成が形成されており、占有
面積が4F程度と非常に小さくなっている。このように、トランジスタ11は占有面積
を非常に小さくすることができる。これにより、メモリセル10の占有面積を縮小し、半
導体装置の単位面積当たりにおける記憶容量の増加を図ることができる。
【0142】
なお、図8などのトランジスタ11のように、明示的にはソース電極やドレイン電極を
有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある
【0143】
なお、トランジスタ11が設けられる開口は図8(A)において、上面を円形状として
いるがこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四
角形などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている
形状としてもよい。また、当該開口の上面形状に合わせて、絶縁体132、半導体134
及び絶縁体136の上面形状も変化することがある。また、当該開口は、上方(絶縁体1
70側)の開口のy軸に垂直な断面積に比較して下方(半導体基板150側)の開口のy
軸に垂直な断面積が狭くなる形状としてもよい。
【0144】
トランジスタ12は、絶縁体104の上に形成された絶縁体106aと、絶縁体106
aの上面の少なくとも一部に接して形成された半導体106bと、半導体106bの上面
の少なくとも一部に接して形成された絶縁体106cと、半導体106bと電気的に接続
された導電体108a及び導電体108bと、絶縁体106cの上に形成された絶縁体1
12と、絶縁体112の上に形成され、少なくとも一部が導電体108aと導電体108
bの間に位置するように形成された導電体114と、を有する。また、絶縁体106a、
半導体106b、導電体108a及び導電体108bの上に絶縁体116が形成され、絶
縁体116の上に絶縁体118が形成される。
【0145】
トランジスタ12は、絶縁体118に半導体106bに達する開口が設けられ、当該開
口に絶縁体106c、絶縁体112、導電体114が埋め込まれるように設けられている
。また、当該開口によって、導電体108aと導電体108bは、離間させられている。
トランジスタ12は、ゲート電極として機能する導電体114が、絶縁体118などによ
って形成される開口部を埋めるように自己整合(self align)的に形成される
ので、TGSA s-channel FET(Trench Gate Self A
lign s-channel FET)と呼ぶこともできる。
【0146】
トランジスタ12では、絶縁体118、絶縁体106c、絶縁体112及び導電体11
4の上面が概略一致しており、平坦に設けられている。これは、絶縁体117、絶縁体1
06c、絶縁体112及び導電体114の上面をCMP法などによって平坦化したためで
ある。これにより、導電体114と導電体108a及び導電体108bが重なる領域がほ
ぼ形成されなくなるので、トランジスタ24のゲート―ソース間、及びゲート―ドレイン
間に発生する寄生容量を低減することができる。
【0147】
また、図8(C)に示すように、絶縁体106cは、絶縁体106a及び半導体106
bのチャネル幅方向の側面を覆うように設けることが好ましい。これにより、半導体10
6bのチャネル幅方向の側面端部近傍において、絶縁体106a又は絶縁体106cとの
間に連続接合が形成され、欠陥準位密度が低減される。よって、低抵抗領域109a及び
低抵抗領域109bを設けることによりオン電流が流れやすくなっても、半導体106b
のチャネル幅方向の側面端部が寄生チャネルとならず、安定した電気特性を得ることがで
きる。
【0148】
ここで、導電体108aはトランジスタ12のソース又はドレインの一方としての機能
を有し、導電体108bはトランジスタ12のソース又はドレインの他方としての機能を
有し、絶縁体112はトランジスタ12のゲート絶縁膜としての機能を有し、導電体11
4はトランジスタ12のゲートとしての機能を有する。
【0149】
なお、図8(B)(C)においては、絶縁体106a及び半導体106bの端部が概略
一致するように絶縁体106a及び半導体106bが形成されているが、本実施の形態に
示す半導体装置の構成はこれに限られるものではない。
【0150】
また、絶縁体104、導電体108a、絶縁体116及び絶縁体118に設けられた円
柱状の開口の中に、円柱状の導電体120が形成される。つまり、導電体120は導電体
108aと電気的に接続されている。導電体120は、メモリセル10が設けられる基板
の上面に対して略垂直に伸長して形成されている。なお、導電体120を円筒状に形成し
、当該導電体120の開口を絶縁体で埋め込む構成としてもよい。
【0151】
なお、導電体120が設けられる開口は図8(A)において、上面を円形状としている
がこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四角形
などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている形状
としてもよい。また、当該開口の上面形状に合わせて、導電体120の上面形状も変化す
ることがある。また、当該開口は、上方(絶縁体170側)の開口の断面積に比較して下
方(半導体基板150側)の開口の断面積が狭くなる形状としてもよい。
【0152】
容量素子14は、導電体108bと、絶縁体116と、導電体122と、を有する。導
電体108bは容量素子14の電極の一方としての機能を有し、導電体122は容量素子
14の電極の他方としての機能を有する。絶縁体116は容量素子14の誘電体として機
能すればよく、少なくとも導電体108bと導電体122とが重なる領域に形成されてい
ればよい。
【0153】
上記のように導電体108bは、トランジスタ11ではゲートとして機能し、トランジ
スタ12ではソース又はドレインの一方として機能し、容量素子14では電極の一方とし
て機能する。つまり、導電体108bが図1(A)(B)に示すノードFNとして機能し
ている。また、図1(A)(B)に示す配線WBLは導電体120と、配線WWLは導電
体114と、配線RWLは導電体122と対応する。また、半導体134は伸長して設け
られ、配線SLに対応する導電体及び配線RBLに対応する導電体と電気的に接続される
【0154】
ここで、絶縁体104、絶縁体106a、絶縁体106c、絶縁体112、絶縁体11
6、絶縁体118、絶縁体132及び絶縁体136は、絶縁膜又は絶縁層ということもで
きる。また、導電体108a、導電体108b、導電体114、導電体120及び導電体
122は、導電膜又は導電層ということもできる。また、半導体106b及び半導体13
4は、半導体膜又は半導体層ということもできる。
【0155】
なお、詳細は後述するが、絶縁体106aおよび絶縁体106cは、単独で用いる場合
、導電体、半導体または絶縁体として機能させることができる物質を用いる場合がある。
しかしながら、半導体106bと積層させてトランジスタを形成する場合、電子は半導体
106b、半導体106bと絶縁体106aの界面近傍、および半導体106bと絶縁体
106cの界面近傍を流れ、絶縁体106aおよび絶縁体106cは当該トランジスタの
チャネルとして機能しない領域を有する。このため、本明細書などにおいては、絶縁体1
06aおよび絶縁体106cを導電体及び半導体と記載せず、絶縁体と記載するものとす
る。
【0156】
<トランジスタ11の半導体>
以下、半導体134の詳細な構成について説明する。
【0157】
半導体134としては、例えば、多結晶シリコン又は単結晶シリコンなどの結晶性シリ
コンを用いることができる。ただしこれに限られず、微結晶シリコンやアモルファスシリ
コンなどを用いてもよいし、シリコンに限られず、ゲルマニウム、炭化シリコン、シリコ
ンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどを用い
てもよい。また、後述する半導体106bに用いることができる半導体を用いてもよい。
【0158】
半導体134として多結晶シリコンを用いる場合、半導体134の膜厚を薄くすること
が好ましく、例えば、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下にすること
が好ましい。これにより、トランジスタ11の特性ばらつきを抑制することができる。
【0159】
また、半導体134として多結晶シリコンなどを用いる場合、半導体134に水素を供
給して半導体134中のダングリングボンドを終端する構成としてもよい。
【0160】
また、半導体134にp型の導電型を付与する不純物またはn型の導電型を付与する不
純物が含まれるようにしてもよい。p型の導電型を付与する不純物としては、例えば、硼
素(B)やアルミニウム(Al)などを用いればよい。n型の導電型を付与する不純物と
しては、例えば、リンやヒ素などを用いればよい。
【0161】
<トランジスタ11の絶縁体>
以下、絶縁体132及び絶縁体136の詳細な構成について説明する。
【0162】
絶縁体132としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、
アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単
層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体112としては、酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン
、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタ
ン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。なお、本明細書
等において、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いも
のを指し、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多いものを
指す。
【0163】
絶縁体132は、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロックする効果を
有することが好ましい。このような絶縁体としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いること
ができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウ
ム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等
のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化
アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリ
ウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0164】
特に半導体134のダングリングボンドを水素で終端する場合、絶縁体132が水素、
水をブロックする効果を有していると、当該水素が拡散して半導体106bに取り込まれ
るのを抑制することができる。詳しくは後述するが、半導体106bに用いられる酸化物
半導体に水素が取り込まれると、トランジスタ12の電気特性が劣化する恐れがある。つ
まり、絶縁体132として水素、水をブロックする効果を有しているものとすることによ
り、トランジスタ12の電気特性を安定させることができる。
【0165】
絶縁体136としては、基本的に絶縁体132として用いることができる絶縁体を用い
ればよい。ただし、半導体134のダングリングボンドを水素で終端する場合は、絶縁体
136に水素を含ませて半導体134に水素を供給すればよい。この場合、絶縁体136
としては例えば、水素を含む窒化シリコンなどを用いればよい。
【0166】
<トランジスタ12の半導体>
以下、半導体106bの詳細な構成について説明する。なお、本項目においては、半導
体106bとともに絶縁体106a、絶縁体106cの詳細な構成についても説明する。
【0167】
半導体106bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体106bは
、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導
体106bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、Ti、Ga、Y、Zr
、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表すとする。ただし、元素Mとして、前述の元素
を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギー
が高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である
。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機能を有
する元素である。また、半導体106bは、亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜
鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0168】
ただし、半導体106bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体1
06bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、
亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などで
あっても構わない。
【0169】
例えば、絶縁体106aおよび絶縁体106cは、半導体106bを構成する酸素以外
の元素一種以上から構成される酸化物半導体である。半導体106bを構成する酸素以外
の元素一種以上から絶縁体106aおよび絶縁体106cが構成されるため、絶縁体10
6aと半導体106bとの界面、および半導体106bと絶縁体106cとの界面におい
て、欠陥準位が形成されにくい。
【0170】
絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cは、少なくともインジウムを含む
と好ましい。なお、絶縁体106aがIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を
100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50
atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75a
tomic%より高いとする。また、半導体106bがIn-M-Zn酸化物のとき、I
nおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic
%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%
より高く、Mが66atomic%未満とする。また、絶縁体106cがIn-M-Zn
酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが
50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが2
5atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。なお、絶縁体106cは
、絶縁体106aと同種の酸化物を用いても構わない。ただし、絶縁体106aまたは/
および絶縁体106cがインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、絶縁体
106aまたは/および絶縁体106cが酸化ガリウムまたはGa-Zn酸化物であって
も構わない。なお、絶縁体106a、半導体106bおよび絶縁体106cに含まれる各
元素の原子数が、簡単な整数比にならなくても構わない。
【0171】
例えば、スパッタリング法を用いて成膜する場合、絶縁体106aまたは絶縁体106
cに用いるターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:2
:4、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1
:3:6、In:M:Zn=1:3:8、In:M:Zn=1:4:3、In:M:Zn
=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:
Zn=1:6:3、In:M:Zn=1:6:4、In:M:Zn=1:6:5、In:
M:Zn=1:6:6、In:M:Zn=1:6:7、In:M:Zn=1:6:8、I
n:M:Zn=1:6:9、In:M:Zn=1:10:1等がある。また、絶縁体10
6aまたは絶縁体106cに用いるターゲットの金属元素の原子数比をM:Zn=10:
1としてもよい。
【0172】
また、例えば、スパッタリング法を用いて成膜する場合、半導体106bに用いるター
ゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M
:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:
2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=
4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7等がある。
特に、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1
を用いる場合、成膜される半導体106bの原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3
近傍となる場合がある。
【0173】
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有す
る。そのため、絶縁体106cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム
原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さ
らに好ましくは90%以上とする。
【0174】
半導体106bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体10
6bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.
8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。ここで
、絶縁体106aのエネルギーギャップは、半導体106bのエネルギーギャップより大
きい。また、絶縁体106cのエネルギーギャップは、半導体106bのエネルギーギャ
ップより大きい。
【0175】
半導体106bは、絶縁体106aまたは絶縁体106cよりも電子親和力の大きい酸
化物を用いる。例えば、半導体106bとして、絶縁体106aおよび絶縁体106cよ
りも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7e
V以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお
、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。言い換えると、絶縁
体106aまたは絶縁体106cの伝導帯下端のエネルギー準位は、半導体106bの伝
導帯下端のエネルギー準位より真空準位に近い。
【0176】
このとき、ゲート電圧を印加すると、絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体10
6cのうち、電子親和力の大きい半導体106bにチャネルが形成される。なお、高いゲ
ート電圧を印加すると、絶縁体106aの半導体106bとの界面近傍、及び絶縁体10
6cの半導体106bとの界面近傍においても電流が流れる場合がある。
【0177】
上記の通り、絶縁体106aおよび絶縁体106cは、単独で用いる場合、導電体、半
導体または絶縁体として機能させることができる物質からなる。しかしながら、半導体1
06bと積層させてトランジスタを形成する場合、電子は半導体106b、半導体106
bと絶縁体106aの界面近傍、および半導体106bと絶縁体106cの界面近傍を流
れ、絶縁体106aおよび絶縁体106cは当該トランジスタのチャネルとして機能しな
い領域を有する。このため、本明細書などにおいては、絶縁体106aおよび絶縁体10
6cを半導体と記載せず、絶縁体と記載するものとする。なお、絶縁体106aおよび絶
縁体106cを絶縁体と記載するのは、あくまで半導体106bと比較してトランジスタ
の機能上絶縁体に近い機能を有するためなので、絶縁体106aまたは絶縁体106cと
して、半導体106bに用いることができる物質を用いる場合もある。
【0178】
ここで、絶縁体106aと半導体106bとの間には、絶縁体106aと半導体106
bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体106bと絶縁体106cとの間には
、半導体106bと絶縁体106cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、欠陥
準位密度が低くなる。そのため、絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cの
積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合とも
いう。)バンド図となる。なお、絶縁体106aと半導体106b、または絶縁体106
cと半導体106bは、それぞれの界面を明確に判別できない場合がある。
【0179】
このとき、電子は、絶縁体106a中及び絶縁体106c中ではなく、半導体106b
中を主として移動する。上述したように、絶縁体106aと半導体106bとの界面にお
ける欠陥準位密度、および半導体106bと絶縁体106cとの界面における欠陥準位密
度を低くすることによって、半導体106b中で電子の移動が阻害されることが少なく、
トランジスタのオン電流を高くすることができる。
【0180】
また、トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くす
ることができる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動す
ると推定される。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合
にも阻害される。
【0181】
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体106bの上面または下
面(被形成面、ここでは絶縁体106aの上面)の、1μm×1μmの範囲における二乗
平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましく
は0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満と
すればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1n
m未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは
0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P-V
ともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、よ
り好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、エスアイアイ
・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-500などを用い
て測定することができる。
【0182】
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、絶縁体106cの厚さは小さいほ
ど好ましい。絶縁体106cの厚さは、絶縁体106aの厚さより小さく、半導体106
bの厚さより小さいことが好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さ
らに好ましくは3nm以下の領域を有する絶縁体106cとすればよい。一方、絶縁体1
06cは、チャネルの形成される半導体106bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外
の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため
、絶縁体106cは、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上
、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する絶縁体10
6cとすればよい。
【0183】
また、信頼性を高くするためには、絶縁体106aは厚いことが好ましい。例えば、1
0nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは
60nm以上の厚さの領域を有する絶縁体106aとすればよい。絶縁体106aの厚さ
を厚くすることで、隣接する絶縁体と絶縁体106aとの界面からチャネルの形成される
半導体106bまでの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する
場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましく
は80nm以下の厚さの領域を有する絶縁体106aとすればよい。
【0184】
酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
したがって、半導体106bのシリコン濃度は低いほど好ましい。例えば、半導体106
bと絶縁体106aとの間に、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Second
ary Ion Mass Spectrometry)において、1×1016ato
ms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1016ato
ms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016
atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下のシリコン濃度となる領域
を有する。また、半導体106bと絶縁体106cとの間に、SIMSにおいて、1×1
16atoms/cm以上1×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1
16atoms/cm以上5×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは
1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/cm以下のシリコン濃
度となる領域を有する。
【0185】
また、半導体106bの水素濃度を低減するために、絶縁体106aおよび絶縁体10
6cの水素濃度を低減すると好ましい。絶縁体106aおよび絶縁体106cは、SIM
Sにおいて、1×1016atoms/cm以上2×1020atoms/cm以下
、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1019atoms/cm以下
、より好ましくは1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm
以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/
cm以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体106bの窒素濃度を低減する
ために、絶縁体106aおよび絶縁体106cの窒素濃度を低減すると好ましい。絶縁体
106aおよび絶縁体106cは、SIMSにおいて、1×1015atoms/cm
以上5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1015atoms/cm
以上5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/c
以上1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1015atom
s/cm以上5×1017atoms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0186】
本実施の形態に示す絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106c、特に半導体
106bは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)酸化物半導体
であり、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶことができる。高純
度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、
キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体にチャネル領域が形成さ
れるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう
。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導
体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度
真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、オフ電流が著しく小さく、チャネ
ル幅Wが1×10μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレ
イン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導
体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下という特性を得
ることができる。
【0187】
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体にチャネル領
域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタと
することができる。なお、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するま
でに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラ
ップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性
が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカ
リ土類金属等がある。
【0188】
絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cに含まれる水素は、金属原子と結
合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分
)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成さ
れる場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアであ
る電子を生成することがある。特に酸素欠損にトラップされた水素は、半導体のバンド構
造に対して浅いドナー準位を形成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半
導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、絶縁体106
a、半導体106b及び絶縁体106cは水素ができる限り低減されていることが好まし
い。具体的には、絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cにおいて、SIM
S分析により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5
×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm
下、5×1018atoms/cm以下、好ましくは1×1018atoms/cm
以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×10
16atoms/cm以下とする。
【0189】
また、絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cにおいて、SIMS分析に
より得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/
cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。アルカリ金属及び
アルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トラン
ジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、絶縁体106a、半導体10
6b及び絶縁体106cのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが
好ましい。
【0190】
また、絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cに窒素が含まれていると、
キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が
含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
従って、該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、
例えば、SIMS分析により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下
にすることが好ましい。
【0191】
ここで、図8(B)に示すように、半導体106bなどの導電体108a又は導電体1
08bと接する領域(図8(B)では点線で表示)に低抵抗領域109a及び低抵抗領域
109bが形成されることがある。低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bは、主に
、半導体106bが接した導電体108a又は導電体108bに酸素を引き抜かれる、ま
たは導電体108a又は導電体108bに含まれる導電材料が半導体106b中の元素と
結合することにより形成される。このような低抵抗領域109a及び低抵抗領域109b
が形成されることにより、導電体108a又は導電体108bと半導体106bとの接触
抵抗を低減することが可能となるのでトランジスタ12のオン電流を増大させることがで
きる。
【0192】
また、図8(B)に示すように、半導体106bは、導電体108aと導電体108b
の間に導電体108a及び導電体108bと重なった領域より膜厚の薄い領域を有するこ
とがある。これは、導電体108a及び導電体108bを形成する際に、半導体106b
の上面の一部を除去することにより形成される。半導体106bの上面には、導電体10
8a及び導電体108bとなる導電体を成膜した際に、低抵抗領域109a及び低抵抗領
域109bと同様の抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、半導体106
bの上面の導電体108aと導電体108bの間に位置する領域を除去することにより、
半導体106bの上面の抵抗が低い領域にチャネルが形成されることを防ぐことができる
。また、以降の図面において、拡大図などで膜厚の薄い領域を示さない場合でも、同様の
膜厚の薄い領域が形成されている場合がある。
【0193】
なお、上述の絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cの3層構造は一例で
ある。例えば、絶縁体106aまたは絶縁体106cのいずれか一方を設けない2層構造
としてもよい。また、絶縁体106aまたは絶縁体106cの両方を設けない単層構造と
してもよい。または、絶縁体106a、半導体106bまたは絶縁体106cとして例示
した絶縁体、半導体又は導電体のいずれかを有するn層構造(nは4以上の整数)として
も構わない。
【0194】
<トランジスタ12の絶縁体、導電体>
以下に、トランジスタ12の半導体以外の各構成要素について詳細な説明を行う。
【0195】
絶縁体104は、膜中に含まれる水または水素の量が少ないことが好ましい。また、絶
縁体104は過剰酸素を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、絶縁体104とし
ては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリ
コン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、
ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、絶縁体104としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸
化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、
酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。好ましくは、酸化シリコンまたは酸
化窒化シリコンを用いる。
【0196】
絶縁体104は過剰酸素を有する絶縁体であることが好ましい。このような絶縁体10
4を設けることにより、絶縁体104から絶縁体106a、半導体106b、絶縁体10
6cに酸素を供給することができる。当該酸素により、酸化物半導体である絶縁体106
a、半導体106b、絶縁体106cの欠陥となる酸素欠損を低減することができる。こ
れにより、絶縁体106a、半導体106b、絶縁体106cを欠陥準位密度が低い、安
定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。
【0197】
なお、本明細書などにおいて、過剰酸素とは、例えば、化学量論的組成を超えて含まれ
る酸素をいう。または、過剰酸素とは、例えば、加熱することで当該過剰酸素が含まれる
膜又は層から放出される酸素をいう。過剰酸素は、例えば、膜や層の内部を移動すること
ができる。過剰酸素の移動は、膜や層の原子間を移動する場合や、膜や層を構成する酸素
と置き換わりながら玉突き的に移動する場合などがある。
【0198】
過剰酸素を有する絶縁体104は、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、10
0℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、酸素分子の
脱離量が1.0×1014molecules/cm以上1.0×1016molec
ules/cm以下となることが好ましく、1.0×1015molecules/c
以上5.0×1015molecules/cm以下となることがより好ましい。
【0199】
TDS分析を用いた分子の放出量の測定方法について、酸素の放出量を例として、以下
に説明する。
【0200】
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に
比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
【0201】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、およ
び測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す
式で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガ
スの全てが酸素分子由来と仮定する。例えば、CHOHの質量電荷比は32であるが、
存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質
量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界にお
ける存在比率が極微量であるため考慮しない。
【0202】
O2=NH2/SH2×SO2×α
【0203】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準
試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、
H2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値
である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細
に関しては、特開平6-275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子
科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD-WA1000S/Wを用い、標準試料として
一定量の水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
【0204】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素
原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素
分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量に
ついても見積もることができる。
【0205】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分
子の放出量の2倍となる。
【0206】
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある
。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm
以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、電子スピン共鳴法(E
SR:Electron Spin Resonance)にて、g値が2.01近傍に
非対称の信号を有することもある。
【0207】
絶縁体104中に含まれる水または水素の量は、少ないことが好ましい。例えば、絶縁
体104は、TDS分析にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以
下の表面温度の範囲で、水分子の脱離量が1.0×1013molecules/cm
以上1.4×1016molecules/cm以下、さらに1.0×1013mol
ecules/cm以上4.0×1015molecules/cm以下、さらに1
.0×1013molecules/cm以上2.0×1015molecules/
cm以下となることが好ましい。また、TDS分析にて、100℃以上700℃以下ま
たは100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、水素分子の脱離量が1.0×10
molecules/cm以上1.2×1015molecules/cm以下、
さらに1.0×1013molecules/cm以上9.0×1014molecu
les/cm以下となることが好ましい。
【0208】
また、上述の通り半導体106bの上面又は下面は平坦性が高いことが好ましい。この
ため、絶縁体104の上面に化学機械研磨(CMP:Chemical Mechani
cal Polishing)法などによって平坦化処理を行って平坦性の向上を図って
もよい。
【0209】
導電体108a及び導電体108bは、それぞれトランジスタ12のソース電極または
ドレイン電極のいずれかとして機能する。
【0210】
導電体108a及び導電体108bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、
シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、
亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウ
ム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で
用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅お
よびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素
を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0211】
絶縁体112は、トランジスタ12のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体112は、
絶縁体104と同様に過剰酸素を有する絶縁体としてもよい。このような絶縁体112を
設けることにより、絶縁体112から絶縁体106a、半導体106b、絶縁体106c
に酸素を供給することができる。
【0212】
絶縁体112としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、
アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単
層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体112としては、酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン
、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタ
ン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0213】
導電体114はトランジスタ12のゲート電極として機能する。導電体114としては
、導電体108a及び導電体108bとして用いることができる導電体を用いればよい。
【0214】
ここで、図8(C)に示すように、導電体114などの電界によって、半導体106b
を電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的に取
り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s-chann
el)構造とよぶ。)。そのため、半導体106bの全体(上面、下面および側面)にチ
ャネルが形成される。s-channel構造では、トランジスタのソース-ドレイン間
に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
【0215】
なお、トランジスタがs-channel構造を有する場合、半導体106bの側面に
もチャネルが形成される。したがって、半導体106bが厚いほどチャネル領域は大きく
なる。即ち、半導体106bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができ
る。また、半導体106bが厚いほど、キャリアの制御性の高い領域の割合が増えるため
、サブスレッショルドスイング値を小さくすることができる。例えば、10nm以上、好
ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上の
厚さの領域を有する半導体106bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下す
る場合があるため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好まし
くは150nm以下の厚さの領域を有する半導体106bとすればよい。
【0216】
高いオン電流が得られるため、s-channel構造は、微細化されたトランジスタ
に適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導
体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、
トランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下
、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好ま
しくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領
域を有する。
【0217】
絶縁体116は、容量素子14の誘電体としてだけでなく、トランジスタ12の保護絶
縁膜としても機能することが好ましい。ここで絶縁体116の膜厚としては、例えば5n
m以上、又は20nm以上とすることができる。また、絶縁体116は少なくとも一部が
絶縁体104の上面と接して形成されることが好ましい。
【0218】
絶縁体116としては、例えば、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニ
ウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジル
コニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、ま
たは積層で用いればよい。絶縁体116は酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類
金属等をブロックする効果を有することが好ましい。このような絶縁体としては、例えば
、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸
化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の
代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。
酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化
窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハ
フニウム等がある。
【0219】
ここで絶縁体116の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましく、酸素を
含む雰囲気下でスパッタリング法を用いて行うことがより好ましい。スパッタリング法で
絶縁体116の成膜をおこなうことにより、成膜と同時に絶縁体104の表面(絶縁体1
16成膜後は絶縁体104と絶縁体116の界面)近傍に酸素が添加される。
【0220】
絶縁体116は、絶縁体104より酸素を透過させにくい絶縁体であり、酸素をブロッ
クする機能を有することが好ましい。このような絶縁体116を設けることにより、絶縁
体104から絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cに酸素を供給する際に
、当該酸素が絶縁体116の上方に外部放出されてしまうことを防ぐことができる。
【0221】
なお、酸化アルミニウムは、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を
透過させない遮断効果が高いので絶縁体116に適用するのに好ましい。
【0222】
絶縁体118は、層間絶縁膜として機能する。絶縁体118としては、絶縁体104と
して用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0223】
導電体120は、トランジスタ12のソース電極またはドレイン電極に電気的に接続さ
れた配線として機能する。導電体120としては、導電体108a及び導電体108bと
して用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体120としては、リン等の
不純物がドーピングされた多結晶シリコンなどの半導体を用いてもよい。
【0224】
また、導電体122は、容量素子の電極の他方として機能する。導電体122としては
、導電体108a及び導電体108bとして用いることができる導電体を用いればよい。
【0225】
以上のような構成とすることにより、安定した電気特性を有するトランジスタ12を提
供することができる。または、非導通時のリーク電流の小さいトランジスタ12を提供す
ることができる。または、高い周波数特性を有するトランジスタ12を提供することがで
きる。または、ノーマリーオフの電気特性を有するトランジスタ12を提供することがで
きる。または、サブスレッショルドスイング値の小さいトランジスタ12を提供すること
ができる。または、信頼性の高いトランジスタを提供することができる。このようなトラ
ンジスタ12をメモリセル10に用いることにより、より長期にわたり記憶内容の保持が
可能な半導体装置を提供することができる。
【0226】
<メモリセルアレイの構成>
次に、先の実施の形態に示す3次元メモリセルアレイの構成の一例について図9乃至図
11を用いて説明する。
【0227】
3次元メモリセルアレイの一部として、2次元メモリセルアレイ30[1]のメモリセ
ル10(1,1,1)乃至(1,4,4)の構造を例にして、図9乃至図11に示す。図
9は、メモリセル10(1,1,1)乃至(1,4,4)の立体的な模式図である。なお
図9においては、図2と同様に、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系を便宜上設定し
て説明する。ここで、3次元メモリセルアレイが設けられる基板の上面は概略xz平面に
平行であり、y軸は当該基板の上面に略垂直である。なお、図9においては、メモリセル
10の一部の構成(例えば、絶縁体106c、絶縁体112など)を省略して表現してい
る。
【0228】
図10はメモリセル10(1,4,1)乃至(1,4,4)の上面図である。図11
A)は図10の一点鎖線B1-B2に対応する断面図であり、メモリセル10(1,1,
1)乃至(1,4,1)に対応している。図11(B)は図10の一点鎖線B3-B4に
対応する断面図であり、メモリセル10(1,4,1)乃至(1,4,4)に対応してい
る。なお、一点鎖線B1-B2で示す領域では、トランジスタ12のチャネル長方向にお
ける構造を含んで示しており、一点鎖線B3-B4で示す領域では、メモリセル10(1
,4,1)乃至(1,4,4)のトランジスタ12のチャネル幅方向における構造を示し
ている。
【0229】
個々のメモリセル10の構造は同様であり、上述したメモリセル10の構造の記載を参
酌することができる。ただし、同一平面上に形成されるメモリセル10((例えば、図2
に示すメモリセル10(1,1,1)乃至(m,1,m)など)では、絶縁体104
、絶縁体116及び絶縁体118などは一体となっていてもよい。
【0230】
図11(A)に示すように、絶縁体132、半導体134及び絶縁体136は、y軸に
略平行な方向に伸長して形成されており、メモリセル10(1,1,1)乃至(1,4,
1)において共有されている。つまり、y軸方向に配列したメモリセル10において、絶
縁体132、半導体134及び絶縁体136が共有されている。よって、半導体134に
おいてトランジスタ11のソースまたはドレインとして機能する領域134bは、y軸方
向に隣接するメモリセル10の領域134bと接している。つまりy軸方向に互いに隣接
するメモリセル10において、それぞれのトランジスタ11が直列に電気的に接続されて
いる。
【0231】
このように、絶縁体132、半導体134及び絶縁体136によって、一つのメモリセ
ルストリング20に含まれる複数のトランジスタ11がまとめて形成される。例えば、ト
ランジスタ11を標準的なプレーナー型のトランジスタで形成していた場合、階層ごとに
プラグや配線を形成しなければならない構造となっていた。しかしながら、トランジスタ
11としてSGTを用いることにより、自己整合的に、複数のトランジスタ11のソース
とドレインが直列に接続された構造を形成することができる。
【0232】
なお、最上段のメモリセル10の半導体134においては、当該半導体134の上面と
接するように、配線SLとして機能する、低電源電位線と電気的に接続された導電体を形
成すればよい。また、最下段のメモリセル10の半導体134における、トランジスタ6
1との接続については後述する。
【0233】
また、図11(A)に示すように、導電体120は、y軸に略平行な方向に伸長して形
成されており、メモリセル10(1,1,1)乃至(1,4,1)において共有されてい
る。つまり、y軸方向に配列したメモリセル10において、導電体120が共有されてい
る。導電体120は、メモリセル10においてトランジスタ12のソース又はドレインの
他方と電気的に接続されており、図2などに示す配線WBLとしての機能を有する。
【0234】
なお、最上段のメモリセル10の導電体120においては、導電体120の上面が配線
SLとして機能する導電体などと接しないように、絶縁体などで覆うことが好ましい。ま
た、最下段のメモリセル10の導電体120における、トランジスタ62との接続につい
ては後述する。
【0235】
また、図10及び図11(B)に示すように、導電体114は、x軸に略平行な方向に
伸長して形成されており、メモリセル10(1,4,1)乃至(1,4,4)において共
有されている。つまり、x軸方向に配列したメモリセル10において、導電体114が共
有されている。導電体114は、メモリセル10においてトランジスタ11のゲートとし
ても機能しており、図2などに示す配線WWLとしての機能を有する。なお、図9乃至図
11に示す3次元メモリセルアレイ40においては、絶縁体106c及び絶縁体112も
導電体114と同じようにパターン形成される。よって、x軸方向に配列したメモリセル
10において、絶縁体106c及び絶縁体112も共有されている。ただしこれに限られ
ず、例えば、導電体114及び絶縁体112はx軸方向に配列したメモリセル10におい
て共有されるが、絶縁体106cはx軸方向に配列したメモリセル10において共有され
ず、各メモリセル10において島状にパターン形成される構成としてもよい。
【0236】
また、図10に示すように、導電体122は、x軸に略平行な方向に伸長して形成され
ており、メモリセル10(1,4,1)乃至(1,4,4)において共有されている。つ
まり、x軸方向に配列したメモリセル10において、導電体122が共有されている。導
電体122は、メモリセル10において容量素子14の電極の他方としても機能しており
図2などに示す配線RWLとしての機能を有する。
【0237】
以上のような構成とすることにより、メモリセル10を基板の上面に垂直な方向に積層
した3次元メモリセルアレイを提供することができる。このように、メモリセルを積層し
て設けることにより、積層数に応じて単位面積当たりの記憶容量を増加させることができ
る。当該メモリセルにおいては、2個のトランジスタと1個の容量素子が含まれており、
比較的素子数が多いため、単位面積当たりの記憶容量は従来のメモリと比較して小さくな
りがちであった。これに対して本実施の形態に示す半導体装置を用いることにより、上記
のような良好な特性に加えて、従来のメモリと同等、またはそれ以上に単位面積あたりの
記憶容量の大きい半導体装置を提供することができる。また、本実施の形態に示す半導体
装置では、このようにメモリセルを積層して単位面積当たりの記憶容量を増加させること
により、1TByte以上、5TByte以上、10TByte以上の記憶容量を持つ記
憶装置を提供することも可能になる。
【0238】
<選択トランジスタアレイの構成>
次に、先の実施の形態に示す選択トランジスタアレイが有するトランジスタの構成の一
例について図12及び図13を用いて説明する。
【0239】
図12(A)(B)は、図5に示す選択トランジスタアレイ50に設けられたトランジ
スタ61の断面図である。図12(A)に示す断面C1-C2はトランジスタ61のチャ
ネル長方向の断面図を表し、図12(B)に示す断面C3-C4はトランジスタ61のチ
ャネル幅方向の断面を表している。
【0240】
図12(A)(B)に示すトランジスタ61は、半導体基板150を用いたトランジス
タである。トランジスタ61は、半導体基板150中の領域172aと、半導体基板15
0中の領域172bと、絶縁体162aと、導電体154aと、を有する。なお、図示し
てはいないが、導電体154aの側面に接してサイドウォール絶縁体を設ける構成として
もよい。また、導電体154aの側面に接してサイドウォール絶縁体を設ける場合、領域
172a及び領域172bにおいて、当該サイドウォール絶縁体と重なる領域に、当該サ
イドウォール絶縁体と重ならない領域より不純物濃度が低い領域が形成される場合がある
【0241】
トランジスタ61において、領域172aおよび領域172bは、ソース領域およびド
レイン領域としての機能を有する。また、絶縁体162aは、ゲート絶縁体としての機能
を有する。また、導電体154aは、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導
電体154aに印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる
。即ち、導電体154aに印加する電位によって、領域172aと領域172bとの間の
導通・非導通を制御することができる。
【0242】
半導体基板150としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、
または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜
鉛、酸化ガリウムなどの半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基板150
として単結晶シリコン基板を用いる。
【0243】
半導体基板150は、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。た
だし、半導体基板150として、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用
いても構わない。その場合、トランジスタ61となる領域には、p型の導電型を付与する
不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板150がi型であっても構
わない。
【0244】
なお、本実施の形態に示す半導体装置に用いる基板は半導体基板に限られるものではな
い。例えば、トランジスタ61などの活性層を成膜などにより形成する場合、絶縁体基板
または導電体基板などを用いることもできる。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板
、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板
など)、樹脂基板などがある。また、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体
基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などを用いても
よい。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある
。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには
、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体
が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。また
は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子として
は、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0245】
また、基板として、トランジスタ作製時の加熱処理に耐えうる可とう性基板を用いても
よい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上
にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板に転置する方法もあ
る。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお
、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、
基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形
状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板の
厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、
さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板を薄くすると、半導体装置を
軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸
縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場
合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和する
ことができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0246】
領域172aおよび領域172bは、n型の導電型を付与する不純物を有する領域であ
る。このようにして、トランジスタ61はnチャネル型トランジスタを構成する。
【0247】
なお、トランジスタ61は、領域160などによって隣接するトランジスタと分離され
る。領域160は、絶縁性を有する領域である。
【0248】
図12(A)(B)に示す半導体装置は、絶縁体132と、半導体134と、絶縁体1
36と、絶縁体164と、絶縁体166と、絶縁体168と、絶縁体170と、導電体1
80aと、導電体180bと、導電体178aと、導電体178bと、導電体176aと
、導電体174aと、を有する。ここで、絶縁体132、半導体134及び絶縁体136
は、上述した3次元メモリセルアレイ40に形成されていたものである。
【0249】
絶縁体164は、トランジスタ61上に形成される。また、絶縁体166は、絶縁体1
64上に形成される。また、絶縁体168は、絶縁体166上に形成される。また、絶縁
体170は、絶縁体168上に形成される。
【0250】
絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170は、領域172aに達す
る円柱状の開口を有しており、当該開口の中に絶縁体132、半導体134及び絶縁体1
36を有する。絶縁体132は当該開口の内壁に接して円筒状に形成されており、半導体
134は絶縁体132の内側に円筒状に形成されており、絶縁体136は半導体134の
内側に円柱状に形成されている。絶縁体132、半導体134及び絶縁体136は、半導
体基板150の上面に対して略垂直に伸長して形成されている。
【0251】
絶縁体132の底面の少なくとも一部に開口が形成されており、当該開口を介して半導
体134が領域172aと接している。ここで、図12(A)(B)に示す半導体134
は、図3などに示す配線RBL[1,1]乃至[m,m]のいずれか一に対応してお
り、領域172aはトランジスタ61のソース領域またはドレイン領域としての機能を有
している。以上のような構成とすることにより、メモリセルストリング底部の配線RBL
を選択トランジスタセル60のトランジスタ61のソース領域またはドレイン領域と電気
的に接続することができる。
【0252】
さらに、絶縁体164は、領域172bに達する開口と、導電体154aに達する開口
と、を有する。当該開口には、それぞれ導電体180aと、導電体180bと、が埋め込
まれている。さらに、絶縁体166は、導電体180aに達する開口と、導電体180b
に達する開口と、を有する。当該開口には、それぞれ導電体178aと、導電体178b
と、が埋め込まれている。また、絶縁体168は、導電体178aに達する開口を有する
。当該開口には導電体176aが埋め込まれている。また、絶縁体170は、導電体17
6aに達する開口を有する。当該開口には、導電体174aが埋め込まれている。
【0253】
ここで、導電体174aは、トランジスタ61のソース領域又はドレイン領域として機
能する領域172bと電気的に接しており、図5などに示す配線RBL[1]乃至[m
]のいずれかとして機能する。また、導電体178bはトランジスタ61のゲートとして
機能する導電体154aと電気的に接続しており、図5などに示す配線SG1として機能
する。このように形成された配線SG1とトランジスタ61を介してデータの読み出しに
おいて、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m]のいずれかを選択することがで
きる。
【0254】
絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170としては、例えば、ホウ
素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、
アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム
、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0255】
絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170の一以上は、水素などの
不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を有することが好ましい。3次元メ
モリセルアレイ40に含まれるトランジスタ12より下層に、水素などの不純物および酸
素をブロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ12の電気
特性を安定にすることができる。
【0256】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0257】
導電体180a、導電体180b、導電体178a、導電体178b、導電体176a
及び導電体174aとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、
アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、
イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタ
ルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例
えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む
導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チ
タンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0258】
また、図12(C)(D)は、図5に示す選択トランジスタアレイ50に設けられたト
ランジスタ62の断面図である。図12(C)に示す断面C5-C6はトランジスタ62
のチャネル長方向の断面図を表し、図12(D)に示す断面C7-C8はトランジスタ6
2のチャネル幅方向の断面を表している。
【0259】
図12(C)(D)に示す半導体装置の構成は、絶縁体132、半導体134及び絶縁
体136が形成されている代わりに導電体120が形成されていることを除いて、図12
(A)(B)に示す半導体装置の構成と同様である。トランジスタ62は、半導体基板1
50中の領域172cと、半導体基板150中の領域172dと、絶縁体162bと、導
電体154bと、を有するが、領域172c及び領域172dは、領域172a及び領域
172bの構成を、絶縁体162bは、絶縁体162aの構成を、導電体154bは、導
電体154aの構成を、参酌することができる。
【0260】
また、導電体180c、導電体180d、導電体178c、導電体178d、導電体1
76b及び導電体174bは、導電体180a、導電体180b、導電体178a、導電
体178b、導電体176a及び導電体174aの構成を参酌することができる。
【0261】
絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170は、領域172cに達す
る円柱状の開口を有しており、当該開口の中に導電体120を有する。導電体120は当
該開口の内壁に接して円柱状に形成されている。導電体120は、半導体基板150の上
面に対して略垂直に伸長して形成されている。ここで、図12(C)(D)に示す導電体
120は、図3などに示す配線WBL[1,1]乃至[m,m]のいずれか一に対応
しており、領域172cはトランジスタ62のソース領域またはドレイン領域としての機
能を有している。以上のような構成とすることにより、メモリセル10のトランジスタ1
2と電気的に接続される配線WBLを選択トランジスタセル60のトランジスタ62のソ
ース領域またはドレイン領域と電気的に接続することができる。
【0262】
また、導電体174bは、トランジスタ62のソース領域又はドレイン領域として機能
する領域172dと電気的に接しており、図5などに示す配線WBL[1]乃至[m
のいずれかとして機能する。また、導電体178dはトランジスタ62のゲートとして機
能する導電体154bと電気的に接続しており、図5などに示す配線SG2として機能す
る。このように形成された配線SG2とトランジスタ62を介してデータの書き込みにお
いて、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m]のいずれかを選択することができ
る。
【0263】
なお、図13(A)(B)及び図13(C)(D)に示す半導体装置は、図12(A)
(B)及び図12(C)(D)に示した半導体装置のトランジスタ61またはトランジス
タ62の構造が異なるのみである。よって、図13(A)(B)及び図13(C)(D)
に示す半導体装置については、図12(A)(B)及び図12(C)(D)に示した半導
体装置の記載を参酌することができる。具体的には、図13(A)(B)及び図13(C
)(D)に示す半導体装置は、トランジスタ61またはトランジスタ62がFin型であ
る場合を示している。トランジスタ61またはトランジスタ62をFin型とすることに
より、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ61またはトランジスタ6
2のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすること
ができるため、トランジスタ61またはトランジスタ62のオフ特性を向上させることが
できる。
【0264】
<メモリセルの変形例>
以下、トランジスタ12の変形例について図14を用いて説明する。なお、図14は、
図8(B)及び図8(C)と同様に、トランジスタ12のチャネル長方向の断面図とトラ
ンジスタ12のチャネル幅方向の断面図になる。
【0265】
図14(A)(B)に示すメモリセル10aは、主にトランジスタ12aの構成がトラ
ンジスタ12と異なる。トランジスタ12aは、絶縁体104の下に、絶縁体119、絶
縁体101、絶縁体107、導電体102、絶縁体103及び絶縁体105が形成されて
いる点においてトランジスタ12と異なる。絶縁体119の上に絶縁体101が形成され
、絶縁体101の上に絶縁体107が形成され、絶縁体107の開口の中に導電体102
が埋め込まれるように形成され、絶縁体107及び導電体102上に絶縁体105が形成
され、絶縁体105の上に絶縁体103が形成され、絶縁体103の上に絶縁体104が
形成されている。
【0266】
絶縁体119としては、絶縁体104として用いることができる絶縁体を用いればよい
【0267】
絶縁体101は、水素又は水をブロックする機能を有する絶縁体を用いる。絶縁体10
6a、半導体106b、絶縁体106c近傍に設けられる絶縁体中の水素や水は、酸化物
半導体としても機能する絶縁体106a、半導体106b、絶縁体106c中にキャリア
を生成する要因の一つとなる。これによりトランジスタ12の信頼性が低下するおそれが
ある。特に3次元メモリセルアレイ40の最下段に設けるメモリセル10(1,1,1)
乃至(m,1、m)は、選択トランジスタアレイ50との距離がもっとも近いため絶
縁体101を設けることがより効果的である。選択トランジスタアレイ50にシリコン系
半導体素子を設ける場合、当該半導体素子のダングリングボンドを終端するために水素が
用いられ、当該水素がトランジスタ12まで拡散するおそれがある。これに対して水素又
は水をブロックする機能を有する絶縁体101を設けることによりトランジスタ12の下
層から水素又は水が拡散するのを抑制し、トランジスタ12の信頼性を向上させることが
できる。
【0268】
また、絶縁体101は酸素をブロックする機能も有することが好ましい。絶縁体101
が絶縁体104から拡散する酸素をブロックすることにより、絶縁体104から絶縁体1
06a、半導体106b、絶縁体106cに効果的に酸素を供給することができる。
【0269】
絶縁体101としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリ
ウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、
酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。これらを絶縁体101として用いることに
より、酸素、水素又は水の拡散をブロックする効果を示す絶縁膜として機能することがで
きる。また、絶縁体101としては、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用い
ることができる。これらを絶縁体101として用いることにより、水素、水の拡散をブロ
ックする効果を示す絶縁膜として機能することができる。
【0270】
導電体102は、少なくとも一部が導電体108aと導電体108bに挟まれる領域に
おいて半導体106bと重なることが好ましい。導電体102は、トランジスタ12のバ
ックゲートとして機能する。このような導電体102を設けることにより、トランジスタ
12のしきい値電圧の制御を行うことができる。しきい値電圧の制御を行うことによって
、トランジスタ12のゲート(導電体114)に印加された電圧が低い、例えば印加され
た電圧が0V以下のときに、トランジスタ12が導通状態となることを防ぐことができる
。つまり、トランジスタ12の電気特性を、よりノーマリーオフの方向にシフトさせるこ
とが容易になる。なお、導電体102としては、導電体114として用いることができる
導電体を用いればよい。
【0271】
また、導電体102のチャネル長方向の長さを半導体106bのチャネル長方向の長さ
より大きくし、導電体102が半導体106bの下面を覆うことが好ましい。このように
、導電体102を設けることにより、下に設けられたメモリセルで発生する電界が導電体
102で遮蔽され、当該電界が半導体106bに影響を与えるのを抑制することができる
【0272】
絶縁体107としては、絶縁体104として用いることができる絶縁体を用いればよい
。また、絶縁体107及び導電体102の上面は、CMP法などによって平坦化処理を行
って平坦性の向上を図ることが好ましい。これにより、バックゲートとして機能する導電
体102を設けても、半導体106bを形成する面の平坦性が損なわれないため、キャリ
アの移動度を向上させ、トランジスタ12のオン電流を増大させることができる。また、
導電体102の形状に起因する絶縁体104表面の段差がなくなることにより、導電体1
08a、108bのうちドレインとして機能するものと導電体102との間で、絶縁体1
04の段差部を介して発生するリーク電流を低減することができる。これによりトランジ
スタ12のオフ電流を低減することができる。
【0273】
絶縁体105としては、絶縁体104として用いることができる絶縁体を用いればよい
【0274】
絶縁体103は、酸素をブロックする機能を有することが好ましい。このような絶縁体
103を設けることにより絶縁体104から導電体102が酸素を引き抜くことを防ぐこ
とができる。これにより、絶縁体104から絶縁体106a、半導体106b、絶縁体1
06cに効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体103の被覆性を高くする
ことにより、より絶縁体104から引き抜かれる酸素をより低減し、絶縁体104から絶
縁体106a、半導体106b、絶縁体106cに、より効果的に酸素を供給することが
できる。
【0275】
絶縁体103としては、ホウ素、アルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタン、ガ
リウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ハ
フニウムまたはタリウムを有する酸化物または窒化物を用いる。好ましくは、酸化ハフニ
ウムまたは酸化アルミニウムを用いる。
【0276】
なお、絶縁体105、絶縁体103及び絶縁体104において、絶縁体103が電子捕
獲領域を有すると好ましい。絶縁体105および絶縁体104が電子の放出を抑制する機
能を有するとき、絶縁体103に捕獲された電子は、負の固定電荷のように振舞う。した
がって、絶縁体103はフローティングゲートとしての機能を有する。
【0277】
ただし、メモリセル10aは図14(A)(B)に示す構成に限定されるものではない
。例えば、絶縁体107、絶縁体105、絶縁体104を設けず、絶縁体104が導電体
102の形状に合わせて突出するような構成としてもよいし、絶縁体101を設けない構
成としてもよい。
【0278】
図14(C)(D)に示すメモリセル10bは、主にトランジスタ12bの構成がトラ
ンジスタ12と異なる。トランジスタ12bは、絶縁体106c及び絶縁体112が半導
体106b、導電体108a及び導電体108bなどを覆うように形成され、絶縁体11
7が絶縁体112及び導電体114などの上に形成され、絶縁体117の上に絶縁体11
8が形成されている点において、トランジスタ12と異なる。
【0279】
また、容量素子14bは、誘電体として絶縁体112及び絶縁体106cが用いられて
いる点において、容量素子14と異なる。
【0280】
絶縁体117としては、絶縁体116に用いることができる絶縁体を用いればよい。こ
こで絶縁体117の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましく、酸素を含む
雰囲気下でスパッタリング法を用いて行うことがより好ましい。スパッタリング法で絶縁
体117の成膜をおこなうことにより、成膜と同時に絶縁体112の表面(絶縁体117
成膜後は絶縁体112と絶縁体117の界面)近傍に酸素が添加される。
【0281】
絶縁体117は、絶縁体112より酸素を透過させにくい絶縁体であり、酸素をブロッ
クする機能を有することが好ましい。このような絶縁体117を設けることにより、絶縁
体112から絶縁体106a、半導体106b及び絶縁体106cに酸素を供給する際に
、当該酸素が絶縁体112の上方に外部放出されてしまうことを防ぐことができる。なお
、酸化アルミニウムは、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過さ
せない遮断効果が高いので絶縁体117に適用するのに好ましい。
【0282】
ただし、メモリセル10bは図14(C)(D)に示す構成に限定されるものではない
。例えば、絶縁体106又は絶縁体112の一部をパターン形成する構成としてもよい。
【0283】
図14(E)(F)に示すメモリセル10cは、主にトランジスタ12cの構成がトラ
ンジスタ12と異なる。トランジスタ12cは、導電体108a及び導電体108bが絶
縁体118上に形成され、絶縁体118に形成された開口を介して半導体106bと接し
ている点、導電体108a及び導電体108b上に絶縁体137が形成され、絶縁体13
7上に導電体122が形成され、絶縁体137及び導電体122上に絶縁体138が形成
されている点、絶縁体117が絶縁体106cなどを覆って形成されている点、及び導電
体114及び絶縁体112の側面端部が概略一致して設けられている点において、トラン
ジスタ12と異なる。上記のトランジスタ12などはトランジスタ製造工程において、ソ
ース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域109a、109bをゲートとして
機能する導電体114の形成前に形成する、gate last方式である。これに対し
て、トランジスタ12cはトランジスタ製造工程において、ソース領域又はドレイン領域
として機能する低抵抗領域109a、109bをゲートとして機能する導電体114の形
成後に形成する、gate first方式である。
【0284】
トランジスタ12cにおいて、低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bは、絶縁体
117に含まれる元素の少なくとも一が含まれる。低抵抗領域109a及び低抵抗領域1
09bの一部が、半導体106bの導電体114と重なる領域(チャネル形成領域)と概
略接するか、当該領域の一部と重なることが好ましい。
【0285】
また、低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bは、絶縁体117に含まれる元素が
添加されているため、半導体106bの低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bを除
く領域(例えば、半導体106bの導電体114と重なる領域)よりも、SIMS分析に
より得られる当該元素の濃度が高くなる。
【0286】
低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bに添加される元素としては、例えば、ホウ
素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、
亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、イ
ンジウム、スズ、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタルまたはタングス
テンなどが好ましい。これらの元素は、比較的酸化物を形成しやすく、当該酸化物は半導
体または絶縁体として機能しうるため、絶縁体106a、半導体106bまたは絶縁体1
06cに添加元素として好適である。例えば、低抵抗領域109a及び低抵抗領域109
bに上記の元素が1×1014/cm以上2×1016/cm以下含まれることが好
ましい。また、絶縁体106cにおける低抵抗領域109aと低抵抗領域109bは、絶
縁体106cの低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bではない領域(例えば、絶縁
体106cの導電体114と重なる領域)より、上述の元素の濃度が高い。
【0287】
また、低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bは、窒素を含ませることによりn型
化させることができるので、半導体106bの低抵抗領域109a及び低抵抗領域109
bを除く領域(例えば、半導体106bの導電体114と重なる領域)よりも、SIMS
分析により得られる窒素濃度が高くなる。
【0288】
このような低抵抗領域109a及び低抵抗領域109bが形成されることにより、導電
体108a又は導電体108bと絶縁体106a、半導体106b又は絶縁体106cと
の接触抵抗を低減することが可能となるのでトランジスタ12cのオン電流を増大させる
ことができる。
【0289】
また、トランジスタ12cでは、半導体106bが絶縁体106a及び絶縁体106c
によって包み込まれるように設けられている。よって、半導体106bの側面端部、特に
チャネル幅方向の側面端部近傍が、絶縁体106a及び絶縁体106cと接して設けられ
ている。これにより、半導体106bの側面端部近傍において、絶縁体106a又は絶縁
体106cとの間に連続接合が形成され、欠陥準位密度が低減される。よって、低抵抗領
域109a及び低抵抗領域109bを設けることによりオン電流が流れやすくなっても、
半導体106bのチャネル幅方向の側面端部が寄生チャネルとならず、安定した電気特性
を得ることができる。
【0290】
また、容量素子14cは、誘電体として絶縁体137が用いられている点において、容
量素子14と異なる。なお、絶縁体137及び絶縁体138としては、絶縁体118に用
いることができる絶縁体を用いればよい。
【0291】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み
合わせて用いることができる。
【0292】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法について、図15乃至
図20を用いて説明する。
【0293】
以下において、3次元メモリセルアレイ40を構成するメモリセル10のA1-A2断
面とA3-A4断面に注目して3次元メモリセルアレイ40の作製方法を説明する。なお
、図中では1個のメモリセル10しか図示しないが、同一平面上に形成されるメモリセル
10(例えば、図2に示すメモリセル10(1,1,1)乃至(m,1,m)など)
は同時に作製することができる。
【0294】
まずは、選択トランジスタアレイ50が形成された基板を準備する。なお、当該選択ト
ランジスタアレイ50は、図12(A)(B)及び図12(C)(D)に示す、絶縁体1
32、半導体134、絶縁体136、及び導電体120が形成される前のものである。選
択トランジスタアレイ50の作製には、公知の方法を適宜用いればよい。
【0295】
まず、絶縁体104を成膜する。絶縁体104としては上述の絶縁体を用いればよい。
【0296】
絶縁体104の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical
Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecu
lar Beam Epitaxy)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed
Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Lay
er Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0297】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma
Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal C
VD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用
いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD
(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0298】
なお、絶縁体104中に含まれる水、または水素を低減するために基板を加熱しながら
成膜を行うことが好ましい。
【0299】
また、後で形成する半導体106bの上面又は下面は平坦性が高いことが好ましい。こ
のため、絶縁体104の上面にCMP処理などの平坦化処理を行って平坦性の向上を図っ
てもよい。
【0300】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、絶縁体104中の水、
または水素をさらに低減させることができる。また、絶縁体104に過剰酸素を有せしめ
ることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは450
℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。加熱処
理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%
以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不活
性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以
上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理によって
、絶縁体126a及び半導体126bの結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を
除去することなどができる。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもで
きる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるため
に有効である。
【0301】
なお、選択トランジスタアレイ50の構成などに合わせて、比較的低い温度範囲(例え
ば、350℃以上445℃以下程度の温度範囲)で加熱することが好ましい場合がある。
【0302】
次に後の工程で絶縁体106aとなる絶縁体を成膜する。当該絶縁体としては上述の絶
縁体106aとして用いることができる絶縁体または半導体などを用いればよい。当該絶
縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを
用いて行うことができる。
【0303】
次に、後の工程で半導体106bとなる半導体を成膜する。当該半導体としては上述の
半導体106bとして用いることができる半導体を用いればよい。当該半導体の成膜は、
スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うこと
ができる。なお、絶縁体106aになる絶縁体の成膜と、半導体106bになる半導体の
成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界面への不純物の混入
を低減することができる。
【0304】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、絶縁体106a、半導
体106bの水素濃度を低減させることができる場合がある。また、絶縁体106a及び
半導体106bの酸素欠損を低減させることができる場合がある。加熱処理は、250℃
以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以
上570℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10
ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行っ
てもよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を
補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処
理を行ってもよい。加熱処理によって、絶縁体106a及び半導体106bの結晶性を高
めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。加熱処理は、ランプ加
熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短
時間で済むため、生産性を高めるために有効である。絶縁体106a及び半導体106b
としてCAAC-OSを用いる場合、加熱処理を行うことで、ピーク強度が高くなり、半
値全幅が小さくなる。即ち、加熱処理によってCAAC-OSの結晶性が高くなる。
【0305】
なお、選択トランジスタアレイ50の構成などに合わせて、比較的低い温度範囲(例え
ば、350℃以上445℃以下程度の温度範囲)で加熱することが好ましい場合がある。
【0306】
当該加熱処理により、絶縁体104から絶縁体106aになる絶縁体と、半導体106
bになる半導体に酸素を供給することができる。このように絶縁体106aになる絶縁体
と、半導体106bになる半導体に酸素を供給し、酸素欠損を低減させることにより、欠
陥準位密度の低い、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体とすることがで
きる。
【0307】
また、高密度プラズマ処理などを行ってもよい。高密度プラズマは、マイクロ波を用い
て生成すればよい。高密度プラズマ処理では、例えば、酸素、亜酸化窒素などの酸化性ガ
スを用いればよい。または、酸化性ガスと、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、の
混合ガスを用いてもよい。高密度プラズマ処理において、基板にバイアスを印加してもよ
い。これにより、プラズマ中の酸素イオンなどを基板側に引き込むことができる。高密度
プラズマ処理は基板を加熱しながら行ってもよい。例えば、上記加熱処理の代わりに高密
度プラズマ処理を行う場合、上記加熱処理の温度より低温で同様の効果を得ることができ
る。高密度プラズマ処理は絶縁体106aになる絶縁体の成膜前に行ってもよいし、絶縁
体116の成膜前に行ってもよいし、絶縁体106cの成膜前などに行ってもよい。
【0308】
次に、絶縁体106aになる絶縁体と、半導体106bになる半導体上にレジストなど
を形成し、該レジストなどを用いて加工し、絶縁体106a及び半導体106bを形成す
る(図15(A)(B)参照。)。なお、単にレジストを形成するという場合、レジスト
の下に反射防止層を形成する場合も含まれる。
【0309】
レジストは、対象物をエッチングなどによって加工した後で除去する。レジストの除去
には、プラズマ処理または/およびウェットエッチングを用いる。なお、プラズマ処理と
しては、プラズマアッシングが好適である。レジストなどの除去が不十分な場合、0.0
01volume%以上1volume%以下の濃度のフッ化水素酸または/およびオゾ
ン水などによって取り残したレジストなどを除去しても構わない。
【0310】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、絶縁体104中の水、
または水素をさらに低減させることができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、
好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行
えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、酸化性ガスを含
む雰囲気で行ってもよい。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不
活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm
以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、ラ
ンプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比
べて短時間で済むため、生産性を高めるために有効である。
【0311】
なお、選択トランジスタアレイ50の構成などに合わせて、比較的低い温度範囲(例え
ば、350℃以上445℃以下程度の温度範囲)で加熱することが好ましい場合がある。
【0312】
次に、導電体を成膜し、当該導電体上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用い
て加工し、導電体108を形成する(図15(C)(D)参照。)。導電体108に用い
る導電体としては上述の導電体108a及び導電体108bとして用いることができる導
電体を用いればよい。導電体108に用いる導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD
法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0313】
次に、絶縁体116を成膜する。絶縁体116としては上述の絶縁体を用いればよい。
絶縁体116の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD
法などを用いて行うことができる。
【0314】
なお、絶縁体116の成膜は、プラズマを用いて行うことが好ましく、スパッタリング
法を用いて行うことがより好ましく、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法を用いて行
うことがさらに好ましい。
【0315】
スパッタリング法としては、スパッタ用電源に直流電源を用いるDC(Direct
Current)スパッタリング法、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパ
ッタ法、スパッタ用電源に高周波電源を用いるRF(Radio Frequency)
スパッタリング法を用いてもよい。また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロ
ンスパッタリング法、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法、反応性
ガス雰囲気で行う反応性スパッタリング法などを用いてもよい。また、上述のPESP又
はVDSPを用いてもよい。なお、スパッタリングの酸素ガス流量や成膜電力は、酸素の
添加量などに応じて適宜決定すればよい。
【0316】
スパッタリング法で絶縁体116の成膜をおこなうことにより、成膜と同時に絶縁体1
04の表面(絶縁体116成膜後は絶縁体104と絶縁体116の界面)近傍に酸素が添
加される。ここで、酸素は、例えば、酸素ラジカルとして絶縁体104に添加されるが、
酸素が添加されるときの状態はこれに限定されない。酸素は、酸素原子、又は酸素イオン
などの状態で絶縁体104に添加されてもよい。なお、酸素の添加に伴い、絶縁体104
中に酸素が化学量論的組成を超えて含まれる場合があり、このときの酸素を過剰酸素と呼
ぶこともできる。
【0317】
次に、導電体を成膜し、当該導電体上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用い
て加工し、導電体122を形成する(図15(E)(F)参照。)。導電体122に用い
る導電体としては上述の導電体122として用いることができる導電体を用いればよい。
導電体122に用いる導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはP
LD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0318】
次に、導電体128上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて加工し、導電
体108a及び導電体108bを形成する。
【0319】
次に、絶縁体118となる絶縁体を成膜する。絶縁体118となる絶縁体としては上述
の絶縁体を用いればよい。絶縁体118となる絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CV
D法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
【0320】
次に、絶縁体118となる絶縁体上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて
加工し、絶縁体118a、導電体108aおよび導電体108bを形成する(図16(A
)(B)参照。)。
【0321】
また、半導体106bの導電体108a及び導電体108bと接する領域において、低
抵抗領域109a及び低抵抗領域109bが形成されることがある。また、半導体106
bは、導電体108aと導電体108bの間に導電体108a及び導電体108bと重な
った領域より膜厚の薄い領域を有することがある。これは、導電体108a及び導電体1
08bを形成する際に、半導体106bの上面の一部を除去することにより形成される。
【0322】
ここで、導電体108b、絶縁体116及び導電体122を有する容量素子14が形成
される。
【0323】
次に、後の工程で絶縁体106cとなる絶縁体106dを成膜する。絶縁体106dと
しては上述の絶縁体106cとして用いることができる絶縁体または半導体などを用いれ
ばよい。絶縁体106dの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD
法、ALD法などを用いて行うことができる。絶縁体106dの成膜の前に、半導体10
6bなどの表面をエッチングしても構わない。例えば、希ガスを含むプラズマを用いてエ
ッチングすることができる。その後、大気に暴露することなく連続で絶縁体106dを成
膜することにより、半導体106bと絶縁体106cとの界面への不純物の混入を低減す
ることができる。膜と膜との界面などに存在する不純物は、膜中の不純物よりも拡散しや
すい場合がある。そのため、該不純物の混入を低減することにより、トランジスタに安定
した電気特性を付与することができる。
【0324】
次に、後の工程で絶縁体112となる絶縁体112aを成膜する。絶縁体112aとし
ては上述の絶縁体112として用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体112
aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用
いて行うことができる。なお、絶縁体106dの成膜と、絶縁体112aの成膜と、を大
気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界面への不純物の混入を低減するこ
とができる。
【0325】
次に、後の工程で導電体114となる導電体114aを成膜する(図16(C)(D)
参照。)。導電体114aとしては、上述の導電体114として用いることができる導電
体を用いればよい。導電体114aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法ま
たはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、絶縁体112aの成膜と
、導電体114aの成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界
面への不純物の混入を低減することができる。
【0326】
次に、導電体114a上から絶縁体118aが露出するまで研磨をすることで、導電体
114、絶縁体112、絶縁体106cおよび絶縁体118を形成する(図16(E)(
F)参照。)。導電体114および絶縁体112は、それぞれトランジスタ12のゲート
電極およびゲート絶縁体としての機能を有する。上述した方法によって、導電体114お
よび絶縁体112を自己整合的に形成することができる。
【0327】
なお、上記絶縁体116と同様の絶縁体を絶縁体118、絶縁体106c、絶縁体11
2及び導電体114上に成膜して、絶縁体118に酸素を添加してもよい。
【0328】
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことにより、絶縁体104(ま
たは絶縁体118)に添加した酸素を拡散させ、絶縁体106a、半導体106b、絶縁
体106cに供給することができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましく
は350℃以上450℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化
性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減
圧状態で行ってもよい。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる
【0329】
また、当該加熱処理は、半導体126b成膜後の加熱処理よりも低い温度が好ましい。
半導体126b成膜後の加熱処理との温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは4
0℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁体104などから余分に過剰酸素(酸素
)が放出することを抑えることができる。なお、絶縁体118成膜後の加熱処理は、同等
の加熱処理を各層の成膜時の加熱によって兼ねることができる場合(例えば絶縁体118
の成膜で同等の加熱が行われる場合)、行わなくてもよい場合がある。
【0330】
当該加熱処理により、絶縁体104(または絶縁体118)中に添加された酸素を絶縁
体104又は絶縁体112中に拡散させる。絶縁体116は、絶縁体104より酸素を透
過させにくい絶縁体であり、酸素をブロックするバリア膜として機能する。このような絶
縁体116が絶縁体104上に形成されているので、絶縁体104中を拡散する酸素が絶
縁体104の上方に拡散せず、絶縁体104を主に横方向又は下方向に拡散していく。
【0331】
絶縁体104中を拡散する酸素は、絶縁体106a、絶縁体106c及び半導体106
bに供給される。このとき、酸素をブロックする機能を有する絶縁体が絶縁体104の下
に設けられていることにより、絶縁体104中に拡散した酸素が絶縁体104より下層に
拡散することを防ぐことができる。なお、絶縁体118上に絶縁体116と同様の絶縁体
を成膜する場合は、絶縁体118中でも同様に酸素が絶縁体106a、絶縁体106c及
び半導体106bに供給される。
【0332】
このようにして、絶縁体106a、絶縁体106c及び半導体106b、特に半導体1
06bでチャネルが形成される領域に酸素を効果的に供給することができる。このように
絶縁体106a、絶縁体106c及び半導体106bに酸素を供給し、酸素欠損を低減さ
せることにより、欠陥準位密度の低い、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半
導体とすることができる。
【0333】
このようにして、メモリセル10のトランジスタ12と容量素子14を形成することが
できる。上述の工程を繰り返すことで、トランジスタ12と容量素子14が形成されたメ
モリセル10を積層して形成することができる。トランジスタ12と容量素子14が形成
されたメモリセル10を積層した後、3次元メモリセルアレイ40の導電体120とトラ
ンジスタ11を一括して形成する。
【0334】
以下において、導電体120とトランジスタ11の作製方法を図17乃至図20を用い
て説明する。以下の説明では、メモリセル10を2段積層したD1-D2断面と、図12
(C)(D)の導電体120近傍に対応するD3-D4断面と、図12(A)(B)のト
ランジスタ11近傍に対応するD5-D6断面に注目する。
【0335】
まず、導電体120を形成する方法について、図17を用いて説明する。
【0336】
まず、最上段のメモリセル10上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて、
最上段のメモリセル10から選択トランジスタセル60の領域172cに達する開口17
1を形成する(図17(A)(B)参照。)。開口171は、3次元メモリセルアレイ4
0においては、少なくとも絶縁体104、導電体108a、絶縁体116及び絶縁体11
8に形成され、選択トランジスタアレイ50においては、少なくとも半導体基板150の
領域172a、絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170に形成され
る。
【0337】
開口171は基板の上面に略垂直な方向に伸長して形成されており、非常にアスペクト
比が高い。このため、開口171の形成は、基板の上面に略垂直な方向に対するエッチン
グの進行速度が速い異方性エッチングを用いることが好ましい。例えば、ドライエッチン
グなどを用いればよい。なお、開口171を形成する際に半導体基板150の領域172
cの一部がオーバーエッチされて半導体基板150の表面に凹部が形成される場合がある
【0338】
次に、開口171の中に導電体120を形成する(図17(C)(D)参照。)。導電
体120としては、上述の導電体120として用いることができる導電体を用いればよい
。上記の通り、開口171は非常にアスペクト比が高いため、ALD法またはCVD法な
どを用いて導電体120の成膜を行うことが好ましい。また、CVD法を用いる場合はM
OCVD法またはMCVD法を用いて成膜することが好ましい。
【0339】
なお、最上段のメモリセル10において、導電体120の上面が露出しないように絶縁
体などで覆うことが好ましい。
【0340】
次に、トランジスタ11を形成する方法について、図18乃至図20を用いて説明する
【0341】
まず、最上段のメモリセル10上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて、
最上段のメモリセル10から選択トランジスタセル60の領域172aに達する開口18
1aを形成する(図18(A)(B)参照。)。開口181aも開口171と同様に、3
次元メモリセルアレイ40においては、少なくとも絶縁体104、導電体108a、絶縁
体116及び絶縁体118に形成され、選択トランジスタアレイ50においては、少なく
とも半導体基板150の領域172a、絶縁体164、絶縁体166、絶縁体168及び
絶縁体170に形成される。
【0342】
開口181aは基板の上面に略垂直な方向に伸長して形成されており、非常にアスペク
ト比が高い。このため、開口181aの形成も開口171の形成と同様に、基板の上面に
略垂直な方向に対するエッチングの進行速度が速い異方性エッチングを用いることが好ま
しい。例えば、ドライエッチングなどを用いればよい。なお、開口181aを形成する際
に半導体基板150の領域172aの一部がオーバーエッチされて半導体基板150の表
面に凹部が形成される場合がある。
【0343】
次に、開口181aの内壁に接して絶縁体132形成する(図18(C)(D)参照。
)。絶縁体132としては、上述の絶縁体132として用いることができる絶縁体を用い
ればよい。上記の通り、開口181aは非常にアスペクト比が高いため、ALD法または
CVD法などを用いて絶縁体132の成膜を行うことが好ましい。絶縁体132はトラン
ジスタ11のゲート絶縁膜として機能するため、膜厚均一性が高いことが好ましい。この
ため、膜厚制御性が高いという点でALD法は好ましい。
【0344】
次に、絶縁体132の底部に領域172aに達する開口181bを形成する(図19
A)(B)参照)。開口181bは絶縁体132の底面の少なくとも一部に形成されれば
よいので、開口181bは開口181aより径が小さい場合が多い。
【0345】
ここで、開口181bの形成は開口181aの側壁に形成された絶縁体132を除去す
ることなく、絶縁体132の底面の少なくとも一部を除去する必要がある。このため、開
口181bの形成も開口181aの形成と同様に、基板の上面に略垂直な方向に対するエ
ッチングの進行速度が速い異方性エッチングを用いることが好ましい。例えば、ドライエ
ッチングなどを用いればよい。なお、開口181bを形成する際に半導体基板150の領
域172aの一部がオーバーエッチされて半導体基板150の表面にさらに凹部が形成さ
れる場合がある。
【0346】
次に、絶縁体132の内側に半導体134を形成する(図19(C)(D)参照。)。
半導体134としては、上述の半導体134として用いることができる半導体を用いれば
よい。ここで、半導体134は領域172aと接して設けられる。
【0347】
上記の通り、開口181aは非常にアスペクト比が高いため、ALD法、CVD法また
はエピタキシャル法などを用いて半導体134の成膜を行うことが好ましい。このような
方法を用いることで半導体134として、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン
を成膜することができる。また、アモルファスシリコンを成膜した後で、熱処理などによ
って結晶化させて多結晶シリコンの半導体134としてもよい。
【0348】
半導体134を多結晶シリコンとする場合、半導体134の膜厚を薄くすることが好ま
しく、例えば、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下にすることが好ま
しい。半導体134をこのような膜厚にすることにより、トランジスタ11の特性ばらつ
きを低減させることができる。
【0349】
また、半導体134を成膜する際に、p型の導電型を付与する不純物またはn型の導電
型を付与する不純物が、半導体134に含まれるように半導体134を成膜してもよい。
【0350】
次に、半導体134の内側に絶縁体136を形成する(図20(A)(B)参照。)。
絶縁体136としては、上述の絶縁体136として用いることができる半導体を用いれば
よい。絶縁体136の成膜は、ALD法またはCVD法などを用いて行うことが好ましい
【0351】
また、半導体134に多結晶シリコンなどを用いる場合、絶縁体136に水素を含ませ
て熱処理などを行って半導体134中のダングリングボンドを終端するようにしてもよい
。このとき、絶縁体132として水素、水などにブロックする効果を有する絶縁体を用い
ることで、熱処理時に水素が外方拡散されるのを防ぎ、より効果的に半導体134のダン
グリングボンドを終端することができる。
【0352】
また、図19(A)(B)に示す工程の後で、絶縁体132の開口を埋めるように円柱
状の半導体134を形成してもよい(図20(C)(D)参照。)。
【0353】
なお、最上段のメモリセル10において、半導体134の上面と接するように導電体を
成膜し、当該導電体と低電源電位が電気的に接続されるようにすることが好ましい。
【0354】
このようにして、導電体108b、絶縁体132、半導体134及び絶縁体136を有
する、縦型のトランジスタ11を形成することができる。上記の方法を用いてトランジス
タ11を作製することにより、3次元メモリセルアレイ40に含まれる複数のトランジス
タ11を一括で作製することができる。よって、非常に簡略な工程でトランジスタ11を
作製できるので、タクトタイムの短縮を図り生産性を向上させることができる。
【0355】
以上の工程により、本発明の一態様に係る半導体装置を作製することができる。
【0356】
以上の作製方法を用いることにより、単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を
提供することができる。または、メモリセルを積層した新規な構造の半導体装置を提供す
ることができる。
【0357】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0358】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に含まれる酸化物半導体の詳細につい
て、以下説明する。
【0359】
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0360】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分け
られる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligne
d crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化
物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semicon
ductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-
like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などが
ある。
【0361】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC
-OS、多結晶酸化物半導体およびnc-OSなどがある。
【0362】
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配
置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さ
ない、などといわれている。
【0363】
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphou
s)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期
構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-l
ike OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である
。不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近
い。
【0364】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0365】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一種である。
【0366】
CAAC-OSをX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって
解析した場合について説明する。例えば、空間群R-3mに分類されるInGaZnO
の結晶を有するCAAC-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行
うと、図21(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピ
ークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OS
では、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面とも
いう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31
°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°
近傍のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAA
C-OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
【0367】
一方、CAAC-OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin-pl
ane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、
InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定
し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)
を行っても、図21(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGa
ZnOに対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図21(C)に示す
ように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、
XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、a軸およびb軸の配向が不規則である
ことが確認できる。
【0368】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnOの結晶を有するCAAC-OSに対し、CAAC-OSの被形成面に平行にプロ
ーブ径が300nmの電子線を入射させると、図21(D)に示すような回折パターン(
制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、I
nGaZnOの結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子
回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成
面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面
に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図21(E
)に示す。図21(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プロ
ーブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC-OSに含まれるペ
レットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図21(E)における
第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面および(100)面などに起因す
ると考えられる。また、図21(E)における第2リングは(110)面などに起因する
と考えられる。
【0369】
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron M
icroscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析
像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができ
る。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAA
C-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0370】
図22(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能
TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical A
berration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高
分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は
、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどに
よって観察することができる。
【0371】
図22(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認すること
ができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることが
わかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこ
ともできる。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned na
nocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAA
C-OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または
上面と平行となる。
【0372】
また、図22(B)および図22(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAA
C-OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図22(D)および図22(E)は
、それぞれ図22(B)および図22(C)を画像処理した像である。以下では、画像処
理の方法について説明する。まず、図22(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast
Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取
得したFFT像において原点を基準に、2.8nm-1から5.0nm-1の間の範囲を
残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT
:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画
像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFT
フィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格
子配列を示している。
【0373】
図22(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が
、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部で
ある。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペ
レットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
【0374】
図22(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点
線で示し、格子配列の向きを破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を
確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角
形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることに
よって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b
面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距
離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0375】
以上に示すように、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において
複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、C
AAC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-p
lane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもで
きる。
【0376】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の
混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥
(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0377】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0378】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合が
ある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャ
リア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップ
となる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0379】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体で
ある。具体的には、8×1011個/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満
、さらに好ましくは1×1010個/cm未満であり、1×10-9個/cm以上の
キャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真
性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低
く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0380】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0381】
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対
し、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れな
い。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
【0382】
また、例えば、InGaZnOの結晶を有するnc-OSを薄片化し、厚さが34n
mの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図2
3(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測さ
れる。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(
ナノビーム電子回折パターン)を図23(B)に示す。図23(B)より、リング状の領
域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc-OSは、プローブ径が50nm
の電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を
入射させることでは秩序性が確認される。
【0383】
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると
図23(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観
測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc-OSが秩
序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いている
ため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
【0384】
図23(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc-OSの断面のCs補正高
分解能TEM像を示す。nc-OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所な
どのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできな
い領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさ
であり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが
10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micr
ocrystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがあ
る。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合
がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性
がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0385】
このように、nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特
に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS
は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見
られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶
質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0386】
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc-OSを
、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化
物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0387】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くな
る。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのた
め、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0388】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物
半導体である。
【0389】
図24に、a-like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図24(A)
は電子照射開始時におけるa-like OSの高分解能断面TEM像である。図24
B)は4.3×10/nmの電子(e)照射後におけるa-like OSの
高分解能断面TEM像である。図24(A)および図24(B)より、a-like O
Sは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。ま
た、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低
密度領域と推測される。
【0390】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0391】
試料として、a-like OS、nc-OSおよびCAAC-OSを準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0392】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有する。
【0393】
なお、InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn
-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られてい
る。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と
同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、
以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZ
nOの結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応
する。
【0394】
図25は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図25より、a-lik
e OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなって
いくことがわかる。図25より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大き
さだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e)の累積照射量が4.2×10
/nmにおいては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、n
c-OSおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図25
より、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよびCAAC-OSの結晶部の大きさは
、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射
およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H-9000NARを用いた。電子線照射条
件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×10/(nm・s)、照射領
域の直径を230nmとした。
【0395】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られない。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて
、不安定な構造であることがわかる。
【0396】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結
晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0397】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmである。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満である。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満である。
【0398】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合
わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。
所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて見積もることが好ましい。
【0399】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS
、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0400】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み
合わせて用いることができる。
【0401】
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例につい
て説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報
端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも
含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、
ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや
、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含
むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、S
Dカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムー
バブル記憶装置に適用される。図26にリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的
に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチッ
プに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
【0402】
図26(A)はUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101
、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板110
4は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ110
5、コントローラチップ1106が取り付けられている。基板1104のメモリチップ1
105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0403】
図26(B)はSDカードの外観の模式図であり、図26(C)は、SDカードの内部
構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基
板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板11
13には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。
基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の
容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設
けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メ
モリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。基板1113のメモリ
チップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0404】
図26(D)はSSDの外観の模式図であり、図26(E)は、SSDの内部構造の模
式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を
有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メ
モリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けら
れている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、
例えばDRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154
を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。基板1153のメモリチ
ップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【符号の説明】
【0405】
10 メモリセル
10a メモリセル
10b メモリセル
10c メモリセル
11 トランジスタ
12 トランジスタ
12a トランジスタ
12b トランジスタ
12c トランジスタ
14 容量素子
14b 容量素子
14c 容量素子
20 メモリセルストリング
24 トランジスタ
30 2次元メモリセルアレイ
40 3次元メモリセルアレイ
50 選択トランジスタアレイ
51 駆動回路
52 回路
53 駆動回路
54 駆動回路
60 選択トランジスタセル
61 トランジスタ
62 トランジスタ
101 絶縁体
102 導電体
103 絶縁体
104 絶縁体
105 絶縁体
106 絶縁体
106a 絶縁体
106b 半導体
106c 絶縁体
106d 絶縁体
107 絶縁体
108 導電体
108a 導電体
108b 導電体
109a 低抵抗領域
109b 低抵抗領域
112 絶縁体
112a 絶縁体
114 導電体
114a 導電体
116 絶縁体
117 絶縁体
118 絶縁体
118a 絶縁体
119 絶縁体
120 導電体
122 導電体
126a 絶縁体
126b 半導体
128 導電体
132 絶縁体
134 半導体
134a 領域
134b 領域
136 絶縁体
137 絶縁体
138 絶縁体
150 半導体基板
154a 導電体
154b 導電体
160 領域
162a 絶縁体
162b 絶縁体
164 絶縁体
166 絶縁体
168 絶縁体
170 絶縁体
171 開口
172a 領域
172b 領域
172c 領域
172d 領域
174a 導電体
174b 導電体
176a 導電体
176b 導電体
178a 導電体
178b 導電体
178c 導電体
178d 導電体
180a 導電体
180b 導電体
180c 導電体
180d 導電体
181a 開口
181b 開口
1100 USBメモリ
1101 筐体
1102 キャップ
1103 USBコネクタ
1104 基板
1105 メモリチップ
1106 コントローラチップ
1110 SDカード
1111 筐体
1112 コネクタ
1113 基板
1114 メモリチップ
1115 コントローラチップ
1150 SSD
1151 筐体
1152 コネクタ
1153 基板
1154 メモリチップ
1155 メモリチップ
1156 コントローラチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26