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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116430
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240821BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240821BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240821BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 600
G06F3/01 560
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113095
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯牟礼 聖
(72)【発明者】
【氏名】竹内 龍志
(72)【発明者】
【氏名】六ケ所 洋平
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA11
5E555CB09
5E555CB59
5E555DA24
5E555DD06
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】タッチセンサのタッチ面に対する押圧操作が解除されたときに、適切なタイミングでタッチセンサのタッチ面に触感を呈示できるようにすること。
【解決手段】入力装置は、入力を受け付けるタッチ面を有するタッチセンサと、タッチ面に対する押圧量を検出する押圧検出部と、タッチ面を振動させる触感呈示部と、押圧検出部によって検出された押圧量に応じて、触感呈示部を駆動する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、押圧検出部によって検出された押圧量が所定の第1閾値を超えたとき、触感呈示部の第1の駆動を行い、押圧検出部によって検出された押圧量が増加から減少に転ずる変換点を基準として求められる第2閾値を、押圧量が変換点において増加から減少に転じた後に下回ったとき、触感呈示部の第2の駆動を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力を受け付けるタッチ面を有するタッチセンサと、
前記タッチ面に対する押圧量を検出する押圧検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記押圧検出部によって検出された前記押圧量に応じて、前記触感呈示部を駆動する駆動制御部と
を備え、
前記駆動制御部は、
前記押圧検出部によって検出された前記押圧量が所定の第1閾値を超えたとき、前記触感呈示部の第1の駆動を行い、
前記押圧検出部によって検出された前記押圧量が増加から減少に転ずる変換点を基準として求められる第2閾値を、前記押圧量が前記変換点において増加から減少に転じた後に下回ったとき、前記触感呈示部の第2の駆動を行う
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記変換点よりも所定量減少した値を、前記第2閾値として算出する算出部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記変換点よりも所定割合減少した値を、前記第2閾値として算出する算出部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記押圧検出部によって検出された前記押圧量が前記変換点において増加から減少に転じた後、前記第2閾値を下回っている状態までの時間を計測する計時部をさらに備え、
前記駆動制御部は、
前記計時部による計測時間が所定時間を超えたとき、前記触感呈示部の第2の駆動を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、
前記押圧検出部によって検出された前記押圧量が前記変換点において増加から減少に転じた後、当該押圧量が所定の第3閾値を下回った場合、次の押圧操作の受け付けを有効化する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記押圧検出部は、前記タッチ面の変位量を検出する変位センサを有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記押圧検出部は、前記タッチ面が押圧される押圧力を検出する圧力センサを有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タッチセンサを備える入力装置に関し、タッチ面に対する押圧荷重が、所定の荷重基準を満たす状態で所定期間継続した際に、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-48848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、タッチセンサのタッチ面に対する押圧操作が解除されたときに、適切なタイミングでタッチセンサのタッチ面に触感を呈示することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る入力装置は、入力を受け付けるタッチ面を有するタッチセンサと、タッチ面に対する押圧量を検出する押圧検出部と、タッチ面を振動させる触感呈示部と、押圧検出部によって検出された押圧量に応じて、触感呈示部を駆動する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、押圧検出部によって検出された押圧量が所定の第1閾値を超えたとき、触感呈示部の第1の駆動を行い、押圧検出部によって検出された押圧量が増加から減少に転ずる変換点を基準として求められる第2閾値を、押圧量が変換点において増加から減少に転じた後に下回ったとき、触感呈示部の第2の駆動を行う。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、タッチセンサのタッチ面に対する押圧操作が解除されたときに、適切なタイミングでタッチセンサのタッチ面に触感を呈示できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る入力装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る入力装置のA-A断面線による断面図
図3】一実施形態に係る入力装置による振動発生制御の概要を示す図
図4】一実施形態に係る制御装置の機能構成を示す図
図5】一実施形態に係る制御装置による押圧操作時の処理の手順の一例を示すフローチャート
図6】一実施形態に係る制御装置による押圧解除時の処理の手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向を、前後方向とし、図中Y軸方向を、左右方向とする。但し、X軸正方向を前方向とし、Y軸正方向を右方向とし、Z軸正方向を上方向とする。これらは、装置内の相対的な位置関係を示すものであり、装置の設置方向や操作方向を限定するものではなく、装置内の相対的な位置関係が同等なものは、設置方向や操作方向が異なっているものも全て、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0009】
(入力装置100の構成)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る入力装置100のA-A断面線(図1参照)による断面図である。図1および図2に示す入力装置100は、例えば、自動車等の車両の車室内に搭載され、車載装置等の操作に用いられる。入力装置100は、薄型の直方体形状を有する。図1および図2に示すように、入力装置100は、タッチセンサ120、基板140、押圧検出部150、ダンパー170、アクチュエータ180、および制御装置200を備える。
【0010】
タッチセンサ120は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成され、入力装置100の最上部に設けられている、樹脂製且つ平板状の部材である。タッチセンサ120は、入力を受け付けるタッチ面120Aを有する。タッチ面120Aは、上方(Z軸正方向)からの平面視において矩形状を呈する。但し、これに限らず、タッチ面120Aは、平面視において如何なる形状を呈していても良い。また、タッチセンサ120は、タッチ面120Aが平面状を有するものに限らず、タッチ面120Aが曲面状を有するものであってもよい。タッチセンサ120は、タッチ面120Aに対する入力を検出すると、当該入力を検出したことを示す検出信号を、配線等を介して入力装置100の外部(例えば、操作対象の車載装置)および制御装置200に出力する。
【0011】
基板140は、入力装置100の最下部に、タッチセンサ120から所定距離離間して設けられている、樹脂製且つ平板状の部材である。基板140には、例えば、PWB(Printed Wired Board)が用いられる。
【0012】
複数のダンパー170は、基板140とタッチセンサ120の間に設けられている。複数のダンパー170は、タッチセンサ120を上下方向に移動可能に支持する。例えば、ダンパー170は、弾性変形によって上下方向(Z軸方向)に伸縮可能な、バネ、ゴム等の弾性素材が用いられる。複数のダンパー170は、タッチセンサ120が押圧されていないとき、タッチセンサ120を上方(Z軸正方向)に均等に付勢することにより、タッチセンサ120を水平状態に保つ。複数のダンパー170は、タッチセンサ120が押圧されたとき、押圧量に応じてダンパー170が縮むことにより、タッチセンサ120を下方向に移動した状態で保持することができる。
【0013】
押圧検出部150は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧状態を検出する。本実施形態では、押圧検出部150として、圧力センサ151を用いている。圧力センサ151は、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成され、基板140の上面140Aにおいて、タッチセンサ120の裏面120Bから下方(Z軸負方向)に突出して設けられている押圧突起121と対向して設けられている。圧力センサ151は、「押圧検出部」の一例であり、押圧突起121から自身に加えられた荷重を、タッチセンサ120に対する押圧力として検出する。そして、圧力センサ151は、タッチセンサ120に対する押圧力の検出値を制御装置200へ出力する。
【0014】
アクチュエータ180は、タッチセンサ120の裏面120Bに設けられている。ソレノイドや圧電素子等のアクチュエータ180は、「触感呈示部」の一例であり、振動を発生して、ダンパー170に振動可能に保持されたタッチセンサ120を振動させることにより、操作者に触感を呈示する。
【0015】
制御装置200は、入力装置100において各種処理を実行する。例えば、制御装置200は、圧力センサ151から取得した情報に基づいて、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作の操作力を検出し、検出した操作力に応じて、アクチュエータ180を駆動する。制御装置200は、例えば、マイコンによって実現される。なお、制御装置200は、基板140の上面140A以外の場所に設けられてもよい。例えば、制御装置200は、基板140の外部に設けられ、配線等を介して基板140に接続されてもよい。
【0016】
(振動発生制御の概要)
図3は、一実施形態に係る入力装置100による押圧量と振動発生制御の概要を示す図である。図3に示すグラフにおいて、縦軸および横軸は、ともにタッチ面120Aの押圧量の一例であり、縦軸は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作の押圧力を示し、横軸は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作の変位量であるストロークを示す。なお、押圧力が弱くストローク量が比較的小さい押圧操作の状態を点線(Short)で示し、押圧力が強くストローク量が比較的大きい押圧操作の状態を実線(Long)で示している。
【0017】
図3に示すように、一実施形態に係る入力装置100は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作がなされたことによって、タッチ面120Aに対する押圧力が増加しているとき、タッチ面120Aに対する押圧力が所定の第1閾値TH1(図3に示す例では、点線(Short)操作、実線(Long)操作ともに、ストローク量S1に対応する押圧力F1)を超えたタイミングで、アクチュエータ180の第1の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に触感を呈示する。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作者に対して、押圧操作を受け付けたことを、触覚的に把握させることができる。
【0018】
また、図3に示すように、一実施形態に係る入力装置100は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作が解除されたことによって、タッチ面120Aに対する押圧力が減少してストローク量が減少しているとき、タッチ面120Aに対する押圧力が第2閾値TH2(図3に示す例では、点線(Short)操作では、ストローク量S2に対応する押圧力F2、また実線(Long)操作では、ストローク量S2'に対応する押圧力F2')を下回ったタイミングで、アクチュエータ180の第2の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に触感を呈示する。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作者に対して、押圧操作の解除を受け付けたことを、触覚的に把握させることができる。
【0019】
また、一実施形態に係る入力装置100は、タッチ面120Aに対する押圧力が所定の第3閾値TH3(図3に示す例では、点線(Short)操作では、ストローク量S3に対応する押圧力F3、また実線(Long)操作では、ストローク量S3に対応する押圧力F3')を下回った場合、次の押圧操作の受け付けを有効化する。また、図3に示す例では、押圧力F3, F3' (但し、F3, F3'<F1)、およびストローク量S3(但し、S3<S1)の条件で所定の第3閾値TH3が設定されている。この場合、入力装置100は、タッチ面120Aに対する押圧力が第3閾値TH3またはストローク量S3を下回った場合、次の押圧操作の受け付けを有効化する。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、タッチセンサ120に対する押圧操作の押圧力が第3閾値TH3を下回るまで、またはストローク量S3を下回るまでは、連続的な押圧操作を認識しないようにすることができる。
【0020】
ここで、一実施形態に係る入力装置100は、タッチセンサ120に対する押圧量の検出値が増加から減少に転じる変換点(P、P')を基準として、第2閾値TH2を算出する。
【0021】
例えば、一実施形態に係る入力装置100は、図3において点線で示すように、押圧力が弱くストローク量が比較的小さい変換点Pまでの押圧操作である場合、変換点Pに基づいて、第2閾値TH2を算出する。特に、図3に示す例では、入力装置100は、押圧力を直接検出して、変換点Pの押圧力よりも所定量ΔFだけ押圧力が弱い押圧力F2を、第2閾値TH2とするか、ストロークを検出する光学素子などによる変位センサ152を別に設けて当該変位センサ152によって一旦ストロークを検出して、変換点Pよりもストローク量が所定量ΔSだけ小さいストローク量S2に対応する押圧力F2を、第2閾値TH2として算出することができる。
【0022】
また、例えば、一実施形態に係る入力装置100は、図3において実線で示すように、押圧力が強くストローク量が比較的大きい変換点P'までの押圧操作である場合、変換点P'に基づいて、第2閾値TH2を算出する。特に、図3に示す例では、入力装置100は、変換点P'の押圧力よりも所定量ΔFだけ押圧力が弱い押圧力F2'を、第2閾値TH2とするか、一旦ストロークを検出して、変換点P'よりもストローク量が所定量ΔSだけ小さいストローク量S2'に対応する押圧力F2'を、第2閾値TH2として算出することができる。
【0023】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、常に固定された押圧操作の押圧力およびストローク量に依らずに、操作者の指によるタッチ面120Aの押圧力が変換点に到達してから(すなわち、押圧量を弱め始めてから)、操作者の指がタッチ面120Aから離れるまでの間の適切な状態にて、操作者に対して触感を呈示することができる。すなわち、一実施形態に係る入力装置100は、タイミングが早すぎて操作者の指が押圧力を弱めきっていない状態や、タイミングが遅すぎて操作者の指がタッチ面120Aから離れた後に、タッチ面120Aに触感を呈示してしまうことで、操作者に触感が呈示されないことを抑制することができる。したがって、一実施形態に係る入力装置100によれば、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作が解除されたときに、適切なタイミングでタッチセンサ120のタッチ面120Aに触感を呈示できる。
【0024】
(好適な値の一例)
第1閾値TH1として押圧力を用いた場合、好適な値の一例は、3.5[N]である。第1閾値TH1としてストローク量を用いた場合、好適な値の一例は、0.21[mm]である。
【0025】
第2閾値TH2として押圧力を用いた場合、好適な値の一例は、変換点(P、P')よりも所定量ΔFとして0.7[N]低い値である。第2閾値TH2としてストローク量を用いた場合、好適な値の一例は、変換点よりも所定量ΔSとして0.07[mm])だけ低い値である。
【0026】
第2閾値TH2の好適な値の他の一例は、所定量ΔF、所定量ΔSをともに変換点(P、P')の値の20%の値として算出し、変換点の値から引いた値である。
【0027】
第3閾値TH3として押圧力を用いた場合、好適な値の一例は、3.0[N]である。第3閾値TH3としてストローク量を用いた場合、好適な値の一例は、0.18[mm]である。
【0028】
(制御装置200の機能構成)
図4は、一実施形態に係る制御装置200の機能構成を示す図である。図4に示すように、制御装置200は、取得部201、駆動制御部202、算出部203、計時部204、および信号出力部205を備える。
【0029】
取得部201は、タッチセンサ120から、入力を検出したことを示す検出信号と、圧力センサ151から、タッチセンサ120に対する押圧力の検出値を取得する。具体的には、取得部201は、圧力センサ151が所定のサンプリング周期で連続的にタッチセンサ120に対する押圧力の検出値を出力するのに応じて、タッチセンサ120に対する押圧力の検出値を連続的に取得する。圧力センサ151の代わりに変位センサ152を用いて、ストローク量から圧力を算出する場合は、タッチセンサ120に対するストローク量の検出値を変位センサ152から連続的に取得する。
【0030】
駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する操作がなされたときに、取得部201によって取得されたタッチセンサ120に対する押圧力の検出値に基づいて、アクチュエータ180を駆動することにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する。
【0031】
例えば、駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する押圧力が増加している場合において、圧力センサ151で検出された、もしくは変位センサ152の検出結果から算出部203によって算出された当該押圧力が所定の第1閾値TH1を超えたとき、アクチュエータ180の第1の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する。
【0032】
例えば、駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する押圧力が増加から変換点(P、P')において減少に転じた後、タッチセンサ120に対する押圧力が減少している場合において、圧力センサ151で検出された、もしくは変位センサ152の検出結果から算出部203によって算出された当該押圧力が算出部203によって算出された第2閾値TH2を下回ったとき、アクチュエータ180の第2の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する。
【0033】
なお、駆動制御部202は、アクチュエータ180の第1の駆動と第2の駆動とで、アクチュエータ180の発生する振動の特性(例えば、振幅、周波数、振動時間、振動回数等)を、同一としてもよく、異ならせてもよい。
【0034】
また、駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する押圧力が減少している場合において、圧力センサ151で検出された、もしくは変位センサ152の検出結果から算出部203によって算出された当該押圧力が所定の第3閾値TH3(但し、TH3<TH1)を下回った場合、次の押圧操作の受け付けを有効化する。これにより、駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する押圧力が第3閾値TH3を下回るまでは、次の押圧操作として判断しないので、1連の連続的な押圧操作において多少押圧力が増減したとしても第3閾値TH3以下にならない限りは誤って再度触覚を付与する事など無い。また、第3閾値TH3を下回れば、完全に指を離さないでも次の連続的な押圧操作を認識することができる。
【0035】
算出部203は、取得部201によって取得されたタッチセンサ120に対する押圧力の検出値が増加から減少に転じる変換点(P、P')を基準として、第2閾値TH2を算出する。一例として、算出部203は、変換点(P、P')の押圧力よりも所定量(ΔF)減少した押圧力の値を、第2閾値TH2として算出する。他の一例として、算出部203は、変換点(P、P')よりも所定割合(20%)減少した値を、第2閾値TH2として算出する。
【0036】
計時部204は、圧力センサ151によって検出された、もしくは変位センサ152の検出結果から算出部203によって算出された押圧力が、変換点(P、P')から第2閾値TH2を下回っている状態までの時間を計測する。駆動制御部202は、押圧力が第2閾値TH2を下回り、かつ計時部204による計測時間が所定時間を超えた条件のとき、アクチュエータ180の第2の駆動を行う。一例として、計測時間の好適な値の一例は、30[ms]である。これにより、極端な高速で解除操作がなされ瞬時に押圧力が減少した場合にも、適切なタイミングでアクチュエータ180の第2の駆動を行うことができる。
【0037】
信号出力部205は、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作に応じた操作信号を出力する。
【0038】
例えば、信号出力部205は、駆動制御部202がアクチュエータ180の第1の駆動を行うとき(すなわち、タッチセンサ120に対する押圧力が所定の第1閾値TH1を超えたとき)、タッチ面120Aが押圧されたことを示す押圧操作信号を、外部(例えば、操作対象の車載装置)へ出力する。
【0039】
また、例えば、信号出力部205は、駆動制御部202がアクチュエータ180の第2の駆動を行うとき(すなわち、タッチセンサ120に対する押圧力が第2閾値TH2を下回ったとき)、タッチ面120Aの押圧が解除されたことを示す押圧解除信号を、外部(例えば、操作対象の車載装置)へ出力する。
【0040】
なお、制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。制御装置200の各機能は、例えば、制御装置200において、ROMに記憶されているプログラムを、CPUが実行することによって実現される。
【0041】
(制御装置200による押圧操作時の処理の手順)
図5は、一実施形態に係る制御装置200による押圧操作時の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、取得部201が、圧力センサ151から、タッチセンサ120に対する押圧力の検出値、もしくは変位センサ152により検出されたタッチセンサ120に対するストローク量から算出部203によって算出された押圧力の算出値を取得する(ステップS501)。
【0043】
次に、駆動制御部202が、ステップS501で取得された押圧力が所定の第1閾値TH1を超えたか否かを判断する(ステップS502)。
【0044】
ステップS502において、押圧力が所定の第1閾値TH1を超えていないと判断された場合(ステップS502:No)、制御装置200は、ステップS501へ処理を戻す。
【0045】
一方、ステップS502において、押圧力が所定の第1閾値TH1を超えたと判断された場合(ステップS502:Yes)、駆動制御部202が、押圧力が所定の第1閾値TH1を超えている状態の継続時間が所定時間(例えば30[ms])を超えたか否かを判断する(ステップS503)。
【0046】
ステップS503において、継続時間が所定時間を超えていないと判断された場合(ステップS503:No)、制御装置200は、ステップS501へ処理を戻す。
【0047】
一方、ステップS503において、継続時間が所定時間を超えたと判断された場合(ステップS503:Yes)、駆動制御部202が、アクチュエータ180の第1の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する(ステップS504)。このステップS503により、ノイズ等の影響を受けて押圧検出部150の検出値が一時的に増加してしまった場合、誤ってアクチュエータ180の第1の駆動を行ってしまうことを抑制することができる。
【0048】
そして、信号出力部205が、タッチ面120Aが押圧されたことを示す押圧操作信号を、外部(例えば、操作対象の車載装置)へ出力する(ステップS505)。
【0049】
その後、制御装置200は、図5に示す一連の処理(押圧操作時の処理)を終了し、続けて、図6に示す一連の処理(押圧解除時の処理)を実行する。
【0050】
(制御装置200による押圧解除時の処理の手順)
図6は、一実施形態に係る制御装置200による押圧解除時の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、制御装置200は、取得部201によって取得された変換点(P、P')の押圧力を最大押圧力として記憶する(ステップS601)。
【0052】
次に、制御装置200は、force(t)<force(t-1)を満たすか否かを判断する(ステップS602)。但し、force(t)は、取得部201によって取得された押圧力の最新値である。また、force(t-1)は、取得部201によって取得された押圧力の最新値よりも1つ前の値である。
【0053】
ステップS602において、force(t)<force(t-1)を満たさないと判断された場合(ステップS602:No)、押圧操作が続いているとして制御装置200は、ステップS601へ処理を戻す。
【0054】
一方、ステップS602において、force(t)<force(t-1)を満たすと判断された場合(ステップS602:Yes)、制御装置200は、force(t)≦TH2を満たす満たすか否かを判断する(ステップS603)。但し、TH2は、算出部203によって最大押圧力の値からΔFの値を引いて算出される第2の閾値である。
【0055】
ステップS603において、force(t)≦TH2を満たさないと判断された場合(ステップS603:No)、制御装置200は、後述するステップS608へ処理を進める。
【0056】
一方、ステップS603において、force(t)≦TH2を満たすと判断された場合(ステップS603:Yes)、制御装置200は、最大押圧力の値が記憶された時点の変換点(P、P')からforce(t)≦TH2を満たしている状態までの時間を計測した計測時間が所定時間(例えば30[ms])を超えたか否かを判断する(ステップS604)。
【0057】
ステップS604において、計測時間が所定時間を超えていないと判断された場合(ステップS604:No)、制御装置200は、ステップS602へ処理を戻す。
【0058】
一方、ステップS604において、計測時間が所定時間を超えたと判断された場合(ステップS604:Yes)、駆動制御部202が、アクチュエータ180の第2の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する(ステップS605)。このステップS604により、タイミングが早すぎて操作者の指が押圧力を弱めきっていない状態や、タイミングが遅すぎて操作者の指がタッチ面120Aから離れた後に、タッチ面120Aに触感を呈示してしまうことで、操作者に触感が呈示されないことを抑制することができる。
【0059】
そして、信号出力部205が、タッチ面120Aの押圧が解除されたことを示す押圧解除信号を、外部(例えば、操作対象の車載装置)へ出力する(ステップS606)。
【0060】
その後、制御装置200は、force(t)≦TH3を満たすか否かを判断する(ステップS607)。但し、TH3は、所定の第3の閾値である。
【0061】
ステップS607において、force(t)≦TH3を満たさないと判断された場合、(ステップS607:No)、制御装置200は、ステップS607を再度実行する。
【0062】
一方、ステップS607において、force(t)≦TH3を満たすと判断された場合、(ステップS607:Yes)、制御装置200は、図6に示す一連の処理(押圧解除時の処理)を終了する。
【0063】
上述のステップS603において、force(t)≦TH2を満たさないと判断された場合(ステップS603:No)、ステップS608で、制御装置200が、force(t)≦TH3を満たすか否かを判断する。操作者が、押圧力を低下に転じた後に押圧力を少し上昇させ、再度押圧力を低下するような操作を繰り返した場合、ステップS601で記憶される最大押圧力の値が小さくなっていく。その結果、例えば、図3で示すような一度の操作で押圧力が低下していく場合での変換点(P)の位置に比べて、変換点の位置(最大押圧力の値)がPの位置よりも下がることになり、結果としてΔFを引いて算出されるTH2の位置も、図3で示すような所定のTH3よりも上の位置ではなく、TH3の位置より低下することになる。
【0064】
このようなTH2とTH3の位置が逆転した場合でのアクチュエータ180の第2の駆動を判断するために、force(t)とTH3との関係をステップ608以下で判断するものである。なお、図6に示す例では、ステップS607とステップ608とで、ともにTH3(同じ値)を閾値として用いているが、この閾値の条件としてはTH1よりも小さい値であればよく、互いに異なる所定の値を閾値として用いてもよい。
【0065】
ステップS608において、force(t)≦TH3を満たさないと判断された場合、(ステップS608:No)、制御装置200は、ステップS602へ処理を戻す。
【0066】
一方、ステップS608において、force(t)≦TH3を満たすと判断された場合、(ステップS608:Yes)、制御装置200は、force(t)<TH3を満たしている状態の継続時間が所定時間(例えば30[ms])を超えたか否かを判断する(ステップS609)。
【0067】
ステップS609において、継続時間が所定時間を超えていないと判断された場合(ステップS609:No)、制御装置200は、ステップS608へ処理を戻す。
【0068】
一方、ステップS609において、継続時間が所定時間を超えたと判断された場合(ステップS609:Yes)、駆動制御部202が、アクチュエータ180の第2の駆動を行うことにより、タッチセンサ120に対して触感を付与する(ステップS610)。このステップS609により、ノイズ等の影響を受けて押圧検出部150の検出値が一時的に減少してしまった場合、誤ってアクチュエータ180の第2の駆動を行ってしまうことを抑制することができる。
【0069】
そして、信号出力部205が、タッチ面120Aの押圧が解除されたことを示す押圧解除信号を、外部(例えば、操作対象の車載装置)へ出力する(ステップS611)。
【0070】
その後、制御装置200は、図6に示す一連の処理(押圧解除時の処理)を終了する。
【0071】
以上説明したように、一実施形態に係る入力装置100は、入力を受け付けるタッチ面120Aを有するタッチセンサ120と、タッチ面120Aに対する押圧量を検出する押圧検出部150と、タッチ面120Aを振動させるアクチュエータ180と、押圧検出部150によって検出された押圧量に応じて、アクチュエータ180を駆動する駆動制御部202とを備え、駆動制御部202は、押圧検出部150によって検出された押圧量が所定の第1閾値TH1を超えたとき、アクチュエータ180の第1の駆動を行い、押圧検出部150によって検出された押圧量が変換点において増加から減少に転じた後、変換点を基準として求められる第2閾値TH2を下回ったとき、アクチュエータ180の第2の駆動を行う。
【0072】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、押圧操作の押圧力やストローク量に依らずに、操作者の指によるタッチ面120Aの押圧操作が変換点(P,P')に到達してから(すなわち、押圧操作を弱め始めてから)、操作者の指がタッチ面120Aから離れるまでの間に、操作者に対して触感を呈示することができる。すなわち、一実施形態に係る入力装置100は、タイミングが早すぎて操作者の指が押圧力を弱めきっていない状態や、タイミングが遅すぎて操作者の指がタッチ面120Aから離れた後に、タッチ面120Aに触感を呈示してしまうことで、操作者に触感が呈示されないことを抑制することができる。したがって、一実施形態に係る入力装置100によれば、タッチセンサ120のタッチ面120Aに対する押圧操作が解除されたときに、適切なタイミングでタッチセンサ120のタッチ面120Aに触感を呈示できる。
【0073】
また、一実施形態に係る入力装置100は、変換点(P,P')よりも所定量(ΔF,ΔS)減少した値を、第2閾値TH2として算出する算出部203を備える。
【0074】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、押圧操作の押圧力やストローク量に依らずに、操作者に対して確実に触感が呈示できるように、好適な第2閾値TH2を算出することができる。
【0075】
または、一実施形態に係る入力装置100は、変換点(P,P')よりも所定割合減少した値(20%)を、第2閾値TH2として算出する算出部203を備える。
【0076】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、押圧操作の押圧力やストローク量に依らずに、操作者に対して確実に触感が呈示できるように、好適な第2閾値TH2を算出することができる。
【0077】
また、一実施形態に係る入力装置100は、押圧検出部150によって検出された押圧量が変換点(P,P')から第2閾値TH2を下回っている状態までの時間を計測する計時部204をさらに備え、駆動制御部202は、計時部204による計測時間が所定時間を超えたとき、アクチュエータ180の第2の駆動を行う。
【0078】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、タイミングが早すぎて操作者の指が押圧力を弱めきっていない状態や、タイミングが遅すぎて操作者の指がタッチ面120Aから離れた後に、タッチ面120Aに触感を呈示してしまうことで、操作者に触感が呈示されないことを抑制することができる。
【0079】
また、一実施形態に係る入力装置100において、駆動制御部202は、タッチセンサ120に対する押圧量が変換点から減少している場合において、当該押圧力が所定の第3閾値TH3を下回った場合、次の押圧操作の受け付けを有効化する。
【0080】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、タッチセンサ120に対する押圧量力が第3閾値TH3を下回るまでは、次の押圧操作として判断しないので、1連の連続的な押圧操作において多少押圧力が増減したとしても第3閾値TH3以下にならない限りは誤って再度触覚を付与する事など無い。また、第3閾値TH3を下回れば、完全に指を離さないでも次の連続的な押圧操作を認識することができる。
【0081】
また、一実施形態に係る入力装置100において、押圧検出部150は、タッチ面120Aが押圧される押圧力を検出する圧力センサ151を有する。
【0082】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、比較的簡単な構成で、タッチ面120Aの押圧量を比較的高精度に検出できる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0084】
例えば、一実施形態では、「押圧検出部」の一例として圧力センサ151を用いているが、これに限らず、「押圧検出部」として、少なくともタッチセンサ120の押圧を検出可能なその他のセンサ(例えば、変位センサ152)を用いてもよい。
【0085】
一実施形態では、「押圧検出部」の一例として、荷重を検出する圧力センサ151を用いているために、「押圧量」として押圧力を用いて、当該押圧力に基づく制御を行っているが、これに限らない。例えば、「押圧検出部」の一例として、対象物の物理変化量を距離に演算することで対象物の移動距離を検出する光学式や磁気式等の変位センサを用いた場合には、「押圧量」として移動距離を用いて、当該距離に基づく閾値等の制御を行ってもよい。また、「押圧検出部」の一例として、移動距離を検出する変位センサを用いた場合には、検出された移動距離をさらに押圧力に変換したうえで、当該押圧力に基づく閾値等の制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0086】
100 入力装置
120 タッチセンサ
120A タッチ面
120B 裏面
121 押圧突起
140 基板
140A 上面
150 押圧検出部
151 圧力センサ
152 変位センサ
170 ダンパー
180 アクチュエータ
200 制御装置
201 取得部
202 駆動制御部
203 算出部
204 計時部
205 信号出力部
P,P' 変換点
F1,F2,F2' 押圧力
S1,S2,S2' ストローク量
TH1 第1閾値
TH2 第2閾値
TH3 第3閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6