(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116684
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】伝票印字システム、伝票印字方法、及び伝票印字プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G07G1/12 351Z
G07G1/12 361C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022428
(22)【出願日】2023-02-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA07
3E142BA11
3E142EA02
3E142FA39
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる伝票印字システム、伝票印字方法、及び伝票印字プログラムを提供する。
【解決手段】本開示に係る伝票印字システム10は、複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字システムである。伝票印字システム10は、受け取り時間記憶部11と印字装置選択部12とを備える。受け取り時間記憶部11は、複数の印字装置のそれぞれによって伝票が出力されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する。印字装置選択部12は、新たに伝票を印字する場合に、履歴情報における受け取り時間に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字システムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する受け取り時間記憶部と、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する印字装置選択部と、
を備えた、
伝票印字システム。
【請求項2】
前記印字装置選択部は、前記複数の印字装置のうち、前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置から優先して選択する、
請求項1に記載の伝票印字システム。
【請求項3】
新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の前記履歴情報を参照し、当該履歴情報における前記受け取り時間が所定時間以上の場合に、
前記複数の印字装置から前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する、
請求項2に記載の伝票印字システム。
【請求項4】
前記印字装置選択部は、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第1モードと、
新たに伝票を印字する場合に、前記伝票に含まれる内容に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第2モードと、を有する、
請求項1又は2に記載の伝票印字システム。
【請求項5】
前記履歴情報と前記印字装置の位置情報とに基づいて、前記伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する、マッピング生成部をさらに備えた、
請求項1又は2に記載の伝票印字システム。
【請求項6】
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字方法であって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータが実行する、
伝票印字方法。
【請求項7】
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字プログラムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータに実行させる、
伝票印字プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝票印字システム、伝票印字方法、及び伝票印字プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店では、利用客が注文を行うと、料理の種類に応じて、その料理の調理担当者の近くに設置された印字装置によって印字される。
ここで、飲食店では時間帯によって来客数が変動し、来客数が少ない時間帯も存在する
。来客数が少ない時間帯では、少ない従業員で飲食店等を運営するのが一般的である。このような場合に、従業員数が多い場合と同様に、注文情報を複数の印字装置のいずれかに振り分け、伝票を印字させると、従業員は、離れた場所に設置されたいくつかの印字装置を確認しなければならず、作業負担が大きいという問題点がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の印字装置のうちから伝票を印字する印字装置を選択できる注文管理システムが開示されている。注文管理システムでは、伝票の出力を休止したい印字装置の番号と、休止したい印字装置の代わりに伝票を出力する印字装置の番号と、が入力される。注文管理システムでは、入力された印字装置の番号に基づいて、伝票の出力先が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された注文管理システムでは、来客数の少ない時間帯になる前に従業員が予め新たに伝票を出力したい印字装置を選択しておく必要がある。そのため、来客数の少ない時間帯において、従業員が予め選択した印字装置が従業員の近くには設置されているとは限らず、適切でない場合がある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる伝票印字システム、伝票印字方法、及び伝票印字プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る伝票印字システムは、
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字システムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する受け取り時間記憶部と、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する印字装置選択部と、
を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る伝票印字方法は、
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字方法であって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータが実行する。
【0009】
本開示の一態様に係る伝票印字プログラムは、
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字プログラムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる伝票印字システム、伝票印字方法、及び伝票印字プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る伝票印字方法を例示したフローチャートである。
【
図3】実施形態2に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態2に係る伝票印字方法を例示したフローチャートである。
【
図6】実施形態3に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】伝票処理者の移動範囲を示すマッピングの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、特許請求の範囲に係る開示を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
飲食店では、複数の印字装置が設置されている。それぞれの印字装置は、例えば、ドリンクや揚げ物、デザート調理場などの各調理場、会計を行うレジに設置されている。各従業員が各持ち場を担当して飲食店を運営している場合、利用客が注文を行うと、伝票に含まれる内容に応じて、担当者の近くに設置された印字装置によって伝票が印字される。例えば、利用客がビールの注文を行うと、ドリンク担当者の近くに設置された印字装置から伝票が印字される。以下では、夜間営業などの少ない従業員で飲食店等を運営している場合を例にして、複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる伝票印字システムについて説明する。
【0014】
<実施形態1>
<伝票印字システム>
以下、図面を参照して本開示の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。実施形態1に係る伝票印字システム10は、受け取り時間記憶部11、印字装置選択部12を備える。
【0015】
受け取り時間記憶部11は、複数の印字装置のそれぞれによって伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する。伝票処理者とは、印字装置から印字された伝票を受け取り、その伝票に基づいて、例えば、料理の提供等に関する作業を実行する人のことである。伝票処理者は、例えば、料理をする調理担当者、料理を配膳する配膳担当者、会計を担当する会計担当者である。
【0016】
ここで、印字装置は、印字された伝票を伝票処理者が受け取る時間を測定する測定部を備えている。測定部は、例えば、従業員が受け取ったことを認識できるカメラ、センサである。測定部は、印字装置が伝票を印字し終えた時点を開始時刻とし、伝票処理者が印字装置から印字された伝票の切り取りを完了した時点を終了時刻として、終了時刻から開始時刻を差し引いた時間を受け取り時間として測定する。より具体的には、測定部は、伝票が印字装置にぶら下がっている状態を検出することによって開始時刻を測定する。また、測定部は、伝票が印字装置から切り取られる状態を検出することによって終了時刻を測定する。受け取り時間記憶部11は、測定部が測定した受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する。
【0017】
表1を参照しながら、履歴情報について説明する。表1は、伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間の履歴情報の一例である。表1に示した履歴情報には、伝票番号、注文番号、印字装置、受け取り時間が示されている。伝票番号は印字された伝票の識別番号であり、注文番号は特定の注文内容を示す番号である。なお、表1では、各印字装置101~104について、直近の1回分の受け取り時間が示されているが、複数回の受け取り時間の平均値を受け取り時間として記憶してもよい。
【0018】
【0019】
【0020】
表2は、注文番号に対応付けられた注文内容の一例である。例えば、表1に示すように、伝票番号1に対応付けられた注文番号は1011である。また、表2に示すように、注文番号1011に対応する注文内容はラーメンである。すなわち、伝票番号1の伝票が示す注文内容は、ラーメンである。表1に示すように、伝票番号1の伝票を印字した印字装置は印字装置101である。表1に示すように、伝票番号1の伝票を伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間は、30秒である。
【0021】
印字装置選択部12は、新たに伝票を印字する場合に、履歴情報における受け取り時間に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択する。受け取り時間記憶部11が表1に示した履歴情報を記憶している場合を例にして、印字装置選択部12について説明する。
【0022】
表1に示すように、伝票処理者の受け取り時間が最も短いのは、印字装置103から印字された伝票番号3の伝票を受け取った場合である。すなわち、伝票処理者は、印字装置103の周辺に頻繁にいる可能性がある。印字装置選択部12は、新たに伝票を印字する場合に、表1に示した複数の印字装置101~104から印字する印字装置を印字装置103として選択する。これにより、夜間営業などの少ない従業員で飲食店等を運営している場合、伝票処理者の近い場所に設置された印字装置から新たな伝票が印字されるため、伝票処理者が伝票を取りに行くまでの距離が短くなる。よって、伝票処理者の作業負担を軽減することができる。
<伝票印字方法>
【0023】
次に、実施形態1に係る伝票印字方法について説明する。
図2は、実施形態1に係る伝票印字方法を例示したフローチャートである。
【0024】
まず、複数の印字装置のそれぞれによって伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する(ステップST1)。より具体的には、表1に示すように、各印字装置のそれぞれから印字された伝票を伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間が記載された履歴情報を記憶する。次に、新たに伝票を印字する場合に、履歴情報における受け取り時間に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択する(ステップST2)。より具体的には、表1に示した履歴情報に基づいて、複数の印字装置101~104から新たに伝票を印字する印字装置を、印字装置103として選択する。
【0025】
このように、実施形態1に係る伝票印字システム10は、複数の印字装置のそれぞれによって印字された伝票を伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間に基づき、新たに伝票を印字する印字装置を選択する。これにより、夜間営業などの少ない従業員で飲食店等を運営している場合、伝票処理者の近い場所に設置された適切な印字装置から新たな伝票が印字される。すなわち、複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる。そのため、伝票処理者の作業負担を軽減することができる。
【0026】
<実施形態2>
<伝票印字システム>
以下、図面を参照して本開示の実施形態2について説明する。
図3は、実施形態2に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。実施形態2に係る伝票印字システム20は、注文入力端末21、サーバー22、及び印字装置100を備える。注文入力端末21、サーバー22、及び印字装置100は、有線又は無線ネットワークを通じて接続されている。
【0027】
注文入力端末21は、飲食店における利用客が操作する端末であっても、飲食店における従業員が操作する端末でもよい。注文入力端末21が飲食店における利用客が操作する端末である場合、利用客は注文入力端末21に表示された料理の中から、料理を選択して注文を行う。また、注文入力端末21が飲食店における従業員が操作する端末である場合、従業員は利用客の注文内容を受け付けて、その内容を注文入力端末21に入力することによって注文が行われる。注文入力端末21は、利用客の注文情報をサーバー22に対して送信する。
【0028】
図4を参照しながら、印字装置100について説明する。
図4は、印字装置の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、印字装置100は、通信部110、印字部120、測定部130、及び制御部140を備えている。
【0029】
通信部110は、
図3に示すように、サーバー22と通信を行う。印字装置100は、通信部110によってサーバー22からの利用客の注文情報を受信する。また、印字装置100では、印字部120がサーバー22から受信した利用客の注文情報を伝票に印字する。
【0030】
測定部130は、印字部120が印字した伝票を伝票処理者が受け取る時間を測定する。測定部130は、例えば、カメラ、センサである。より具体的には、測定部130は、伝票が印字装置から印字され終わった時点を開始時刻とし、伝票処理者が印字装置から印字された伝票の切り取りを完了した時点を終了時刻として、終了時刻から開始時刻を差し引いた時間を受け取り時間として測定する。通信部110は、測定部130が測定した受け取り時刻をサーバー22に対して送信する。
【0031】
制御部140は、通信部110がサーバー22からの利用客の注文情報を受信して、印字部120が利用客の注文情報を伝票に印字し、通信部110が測定部130の測定した受け取り時刻をサーバー22に対して送信する、一連の動作を制御する。
【0032】
サーバー22における各機能ブロックは、
図1に示した受け取り時間記憶部、印字装置選択部と同様である。サーバー22における受け取り時間記憶部は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。ここでは、印字装置選択部について詳細に説明する。
【0033】
<優先選択>
印字装置選択部は、複数の印字装置のうち、履歴情報における受け取り時間がより短い印字装置から優先して選択する。表1を参照しながら、詳細に説明する。
【0034】
表1に示すように、印字装置103、101、102、104の順に伝票処理者の受け取り時間が短い。新たに伝票を印字する場合、印字装置選択部は、複数の印字装置の101~104のうち、印字装置103、101、102、104の順に優先して選択する。
【0035】
例えば、印字装置103及び101が故障中である場合、印字装置選択部は、新たに伝票を印字する印字装置として印字装置102を選択する。このように、伝票処理者が伝票を受け取る時間を測定して、その受け取り時間に基づいて適切な印字装置を選択する。そのため、伝票処理者は離れた場所に設置された印字装置を確認する必要がなく、伝票処理者の作業負担を軽減することができる。また、利用客一人あたりの対応時間が短くなるので、サービス向上もできる。
【0036】
また、印字装置選択部は、新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の履歴情報を参照し、当該履歴情報における受け取り時間が所定時間以上の場合に、複数の印字装置から履歴情報における受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択してもよい。表1~表3を参照しながら、詳細に説明する。表3は、新たに伝票を印字する場合に、表1の履歴情報を参照して印字装置の変更先を示した表である。表3に示した例では、伝票番号、注文番号、変更前の印字装置、変更後の印字装置が示されている。
【0037】
【0038】
変更前の印字装置とは、伝票に含まれる内容に応じて、本来であれば、伝票を印字するはずの印字装置を示している。また、変更後の印字装置とは、印字装置選択部が、表1の履歴情報を参照して、履歴情報における受け取り時間が所定時間以上の場合に、選択する印字装置を示している。以下では、表1~表3を参照しながら、印字装置選択部が履歴情報における受け取り時間が120秒以上の場合に、複数の印字装置から履歴情報における受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択することを例にして説明する。
【0039】
例えば、表3に示した伝票番号7の伝票は、表2よりチャーハンであるため、本来であれば、チャーハンを料理する担当者の近くに配置されている印字装置103から印字される。すなわち、変更前の印字装置は、印字装置103となる。
【0040】
また、表1の履歴情報を参照すると、印字装置103から印字された伝票番号3の伝票の受け取り時間は、10秒である。この場合、表1に示す履歴情報における、印字装置103から印字された伝票番号3の伝票の受け取り時間が120秒未満であるため、印字装置選択部は他の印字装置101、102、104を選択しない。すなわち、変更後の印字装置も、印字装置103となる。
【0041】
表3に示した伝票番号8の伝票は、表2より餃子であるため、本来であれば、餃子を料理する担当者の近くに配置されている印字装置104から印字される。すなわち、変更前の印字装置は、印字装置104となる。
【0042】
また、表1の履歴情報を参照すると、印字装置104から印字された伝票番号4の伝票の受け取り時間は、180秒である。この場合、表1に示す履歴情報における、印字装置104から印字された伝票番号4の伝票の受け取り時間が120秒以上であるため、印字装置選択部は他の印字装置101、102、103を選択する。
【0043】
表3に示した例では、印字装置選択部は、表1に示した履歴情報を参照して、受け取り時間が最も短い印字装置103を選択している。すなわち、変更後の印字装置は、印字装置103となる。印字装置選択部は、表1に示した履歴情報を参照して、受け取り時間が120秒以内である印字装置101、102、103の中から、より短い印字装置を優先して選択する。そのため、表3に示した例では、印字装置選択部は、伝票番号8の伝票を印字する印字装置として印字装置103を選択している。例えば、印字装置103が故障中である場合、印字装置選択部は、伝票番号8の伝票を印字する印字装置として、印字装置103の次に受け取り時間が短い印字装置101を選択してもよい。
【0044】
換言すれば、表1に示した履歴情報を参照すると、印字装置104は伝票処理者から離れた場所に設置されている可能性が高く、伝票処理者の作業負担が大きいという問題点がある。一方で、表1に示した履歴情報を参照すると、印字装置101~103は、伝票処理者が120秒以内に受け取れる。そのため、印字装置101~103は、比較的近くに設置されている可能性が高く、伝票処理者の作業負担が印字装置104に比べて小さい。このような場合に、印字装置選択部が履歴情報を参照して、適切な印字装置を選択することにより、本来であれば、印字装置104から印字される伝票を他の印字装置101~103から印字することができる。そのため、伝票処理者は離れた場所に設置された印字装置を確認する必要がなく、伝票処理者の作業負担を軽減することができる。また、利用客一人あたりの対応時間が短くなるので、サービス向上もできる。
【0045】
<優先選択方法>
続いて、
図5を参照しながら、実施形態2に係る伝票印字方法について説明する。
図5は、実施形態2に係る伝票印字方法を例示したフローチャートである。
図5に示した例では、印字装置の履歴情報を参照し、当該履歴情報における受け取り時間が所定時間以上の場合に、複数の印字装置から履歴情報における受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する方法を説明する。
【0046】
まず、複数の印字装置のそれぞれによって伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する(ステップST1)。より具体的には、表3に示すように、複数の印字装置のそれぞれから印字された伝票を伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間が記載された履歴情報を記憶する。
【0047】
次に、履歴情報における受け取り時間が所定時間以上の印字装置があるか否かを判定する(ステップST02)。例えば、受け取り時間の所定時間が120秒である場合、表3に示した履歴情報から120秒以上の印字装置があるか否かを判定する。
【0048】
表3に示した履歴情報において、印字装置104が、受け取り時間が120秒以上の印字装置に該当するため(ステップST02YES)、複数の印字装置から履歴情報における受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する(ステップST03)。より具体的には、表3の履歴情報を参照すると、伝票処理者が受け取る時間は、印字装置103から印字された伝票を受け取った場合が最も短いため、印字装置103を選択する。
【0049】
一方で、例えば、受け取り時間の所定時間が180秒である場合、表3に示した履歴情報において、受け取り時間が180秒以上の印字装置がないため(ステップST02NO)、履歴情報と同じ印字装置を選択する(ステップST04)。より具体的には、表4に示すように、変更前の印字装置と変更後の印字装置とが同じとなる。表4は、新たに伝票を印字する場合に、表1の履歴情報を参照して印字装置の変更先を示した表である。表4に示した例では、伝票番号、注文番号、変更前の印字装置、変更後の印字装置が示されている。
【0050】
【0051】
このように、実施形態2に係る伝票印字方法は、新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の履歴情報を参照し、当該履歴情報における受け取り時間が所定時間以上の場合、印字装置選択部は従業員が近くにいる可能性が高いと推定される印字装置を選択する。すなわち、複数の印字装置の中から適切な印字装置を選択できる。そのため、伝票処理者は離れた場所に設置された印字装置を確認する必要がなく、伝票処理者の作業負担を軽減することができる。また、利用客一人あたりの対応時間が短くなるので、サービス向上もできる。
【0052】
<モード選択>
さらに、印字装置選択部は、第1モードと第2モードとを有し、どちらのモードとするかを選択できる。第1モードとは、新たに伝票を印字する場合に、履歴情報における受け取り時間に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択するモードである。一方で、第2モードとは、新たに伝票を印字する場合に、伝票に含まれる内容に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択するモードである。
【0053】
第1モードは、実施形態1及び上述した実施形態2に係る印字装置選択部の機能と同様であるため、説明を省略する。ここでは、第2モードについて説明する。
【0054】
伝票に含まれる内容とは、例えば、利用客が注文した料理名である。表1及び表2に示した例では、利用客が注文した料理がラーメンの場合、印字装置101から印字され、利用客が注文した料理がカレーの場合、印字装置102から印字される。よって、新たに伝票を印字する場合、その伝票にラーメンが含まれている場合、印字装置101から印字され、その伝票にカレーが含まれている場合、印字装置102から印字される。
【0055】
伝票に含まれる内容は、利用客が注文した料理名に限定されることはなく、その他にも、利用客が注文した料理の料金であってもよい。例えば、新たに伝票を印字する場合、その伝票に利用客が注文した料理の料金が含まれている場合、会計レジに設置されている印字装置から印字される。
【0056】
すなわち、第2モードでは、伝票内容に基づいて、予め決められた印字装置から伝票が印字されるため、各従業員が各持ち場を担当して飲食店を運営している場合に効果的である。
一方で、第1モードでは、新たに伝票を印字する場合に、履歴情報における受け取り時間に基づいて、複数の印字装置から印字する印字装置を選択するため、一人が複数の持ち場を担当しなければならない、例えば、夜間営業などの場合に効果的である。
【0057】
このように、店舗は時間帯によって来客する利用客の人数が異なるため、印字装置選択部は、所定の時間を基準時間として、基準時間を経過後、第1モードと第2モードとの切替を行う構成であってもよい。また、基準時間は、1日に複数設けられてよい。基準時間とは、例えば、午前2時などの時間である。
【0058】
印字装置選択部は、所定の時間帯を基準時間帯として、基準時間帯を経過後、第1モードと第2モードとの切替を行う構成であってもよい。また、基準時間帯は、1日に複数設けられてよい。基準時間帯とは、例えば、午前2時~午前6時などの時間帯である。
さらに、印字装置選択部における第1モードと第2モードとの切替を伝票処理者が行ってもよい。
【0059】
このように、実施形態2に係る伝票印字システム20は、第1モードと第2モードとを有し、どちらのモードとするかを選択できる。これにより、飲食店の営業人数に合わせて、新たに伝票を印字する適切な印字装置を選択できる。
【0060】
上述した実施形態2に係る伝票印字システム20では、測定部130によって印字部120が最初に伝票を印字する場合に受け取り時刻を測定し、受け取り時間記憶部が測定部130の測定時間を履歴情報として記憶している。新たに伝票を印字する場合、受け取り時間記憶部の履歴情報に基づいて、印字装置選択部は適切な印字装置を選択する。受け取り時間記憶部は、履歴情報を削除して、新たに測定部130の測定時間を履歴情報として記憶しなおしてもよい。このような構成にすることによって、急な営業人数の変更がされても、印字装置選択部は適切な印字装置を選択できる。
【0061】
<実施形態3>
<伝票印字システム>
以下、図面を参照して本開示の実施形態3について説明する。
図6は、実施形態3に係る伝票印字システムの構成を示すブロック図である。実施形態3に係る伝票印字システム30は、受け取り時間記憶部11、印字装置選択部12、及びマッピング生成部33を備える。受け取り時間記憶部11、印字装置選択部12は、実施形態1及び2に係る伝票印字システム10と同様であるため、説明を省略する。ここでは、マッピング生成部33について説明する。
【0062】
マッピング生成部33は、履歴情報と印字装置の位置情報に基づいて、伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する。表5及び
図7を参照しながら、より具体的に説明する。表5は、伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間の履歴情報の一例である。
図7は、伝票処理者の移動範囲を示すマッピングの一例である。
【0063】
【0064】
表5に示すように、伝票処理者の受け取り時間は、印字装置203、201、202、204の順に短い。伝票処理者は、印字装置203から印字された伝票を10秒で受け取れるため、印字装置203の周辺に位置する時間が長いと推定される。一方で、伝票処理者は、印字装置204から印字された伝票を180秒で受けとるため、印字装置204の周辺に位置する時間が短いと推定される。
【0065】
このように、表5に示した履歴情報に基づいて、伝票処理者がそれぞれの印字装置周辺に位置する時間を推定することができる。また、印字装置201~204の位置は予め決められているため、
図7に示すように、マッピング生成部33は、履歴情報と印字装置の位置情報に基づいて、伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する。
【0066】
図7に示した例では、マッピング生成部33は、伝票処理者が印字装置周辺に位置する時間が印字装置203、201、202、204の順に長くなるように移動範囲を生成している。
【0067】
ここで、実施形態3に係る伝票印字システム30は、表示部を備えてもよい。この場合、マッピング生成部33は、表示信号を生成して、表示部に対して送信する。表示部は、マッピング生成部33からの信号を受信して表示する。表示部は、例えば、モニタ(不図示)、スピーカ(不図示)である。
【0068】
このように、実施形態3に係る伝票印字システム30は、履歴情報と印字装置の位置情報に基づいて、伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する。マッピング生成部33が生成したマッピングを表示部に表示することによって、飲食店の利用客は、座る位置の参考にすることができる。例えば、表示部を飲食店の外に設置することにより、飲食店に入店する利用客は、飲食店のどのあたりに座ると、店員を呼びやすいかの指標とすることができる。
【0069】
また、上述した実施形態1~3に係る伝票印字システムにおける処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0070】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字システムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶する受け取り時間記憶部と、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する印字装置選択部と、
を備えた、
伝票印字システム。
(付記2)
前記印字装置選択部は、前記複数の印字装置のうち、前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置から優先して選択する、
付記1に記載の伝票印字システム。
(付記3)
新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の前記履歴情報を参照し、当該履歴情報における前記受け取り時間が所定時間以上の場合に、
前記複数の印字装置から前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する、
付記2に記載の伝票印字システム。
(付記4)
前記印字装置選択部は、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第1モードと、
新たに伝票を印字する場合に、前記伝票に含まれる内容に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第2モードと、を有する、
付記1又は2に記載の伝票印字システム。
(付記5)
前記履歴情報と前記印字装置の位置情報とに基づいて、前記伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する、マッピング生成部をさらに備えた、
付記1又は2に記載の伝票印字システム。
(付記6)
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字方法であって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータが実行する、
伝票印字方法。
(付記7)
前記複数の印字装置のうち、前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置から優先して選択する、
付記6に記載の伝票印字方法。
(付記8)
新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の前記履歴情報を参照し、当該履歴情報における前記受け取り時間が所定時間以上の場合に、
前記複数の印字装置から前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する、
付記7に記載の伝票印字方法。
(付記9)
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第1モードと、
新たに伝票を印字する場合に、前記伝票に含まれる内容に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第2モードと、切り替える、
付記6又は7に記載の伝票印字方法。
(付記10)
前記履歴情報と前記印字装置の位置情報とに基づいて、前記伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する、
付記6又は7に記載の伝票印字方法。
(付記11)
複数の印字装置のいずれかから伝票を印字する伝票印字プログラムであって、
複数の印字装置のそれぞれによって前記伝票が印字されてから伝票処理者が受け取るまでの受け取り時間を取得し、履歴情報として記憶し、
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する、
処理をコンピュータに実行させる、
伝票印字プログラム。
(付記12)
前記複数の印字装置のうち、前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置から優先して選択する、
付記11に記載の伝票印字プログラム。
(付記13)
新たに印字する伝票に対応付けられた印字装置の前記履歴情報を参照し、当該履歴情報における前記受け取り時間が所定時間以上の場合に、
前記複数の印字装置から前記履歴情報における前記受け取り時間がより短い印字装置を優先して選択する、
付記12に記載の伝票印字プログラム。
(付記14)
新たに伝票を印字する場合に、前記履歴情報における前記受け取り時間に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第1モードと、
新たに伝票を印字する場合に、前記伝票に含まれる内容に基づいて、前記複数の印字装置から印字する印字装置を選択する第2モードと、切り替える、
付記11又は12に記載の伝票印字プログラム。
(付記15)
前記履歴情報と前記印字装置の位置情報とに基づいて、前記伝票処理者の移動範囲を示すマッピングを生成する、
付記11又は12に記載の伝票印字プログラム。
【符号の説明】
【0071】
10、20、30 伝票印字システム
11 受け取り時間記憶部
12 印字装置選択部
21 注文入力端末
22 サーバー
33 マッピング生成部
100、201、202、203、204 印字装置
110 通信部
120 印字部
130 測定部
140 制御部