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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118146
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】検出装置および操作装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 9/047 20060101AFI20240823BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20240823BHJP
   G05G 1/02 20060101ALI20240823BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G05G9/047
G05G25/00 C
G05G1/02 B
H01H25/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024409
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 賢紀
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 隼祐
【テーマコード(参考)】
3J070
5G031
【Fターム(参考)】
3J070AA04
3J070AA07
3J070BA51
3J070BA71
3J070CC71
3J070CD12
3J070CD15
3J070DA17
3J070DA61
5G031AS10J
5G031HU33
5G031KS09
(57)【要約】
【課題】部品点数の削減または装置の小型化を実現し得る新たな構造の検出装置および操作装置を提供する。
【解決手段】検出装置2は、外部からの傾倒操作を受けて傾倒可能な傾倒軸を有する軸部材22と、傾倒軸と直交する第1の回転軸周りに軸部材22を揺動回転可能に支持するガイド部材24と、ガイド部材24を第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに揺動回転可能に支持するカバー21およびベース29と、軸部材22に固定される磁石224と、傾倒操作に伴う磁石224による磁界の変化を検出するホール素子261とを備える。軸部材22に対して傾倒操作が加えられていないデフォルト状態において、傾倒軸の延長線上に磁石224およびホール素子261が配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの傾倒操作を受けて傾倒可能な傾倒軸を有する軸部材と、
前記軸部材を、前記傾倒軸と直交する第1の回転軸周りに揺動回転可能に支持するガイド部材と、
前記ガイド部材を、前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに揺動回転可能に支持する筐体と、
前記軸部材に固定される磁石と、
前記傾倒操作に伴う前記磁石による磁界の変化を検出するホール素子とを備え、
前記軸部材に対して前記傾倒操作が加えられておらず、前記傾倒軸、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸が互いに直交するデフォルト状態において、前記傾倒軸の延長線上に前記磁石および前記ホール素子が配置されることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の交点に前記ホール素子が配置されることを特徴とする検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検出装置であって、
前記軸部材を傾倒軸方向に押し込む押込み操作が可能であり、
前記ガイド部材は、前記押込み操作がなされた場合に、前記第2の回転軸の少なくとも一端を、前記筐体に対して押し込み方向に相対的に変位させることが可能であり、
前記ホール素子に対して前記軸部材と反対側に配置されるタクタイルスイッチと、
前記押込み操作によって前記ガイド部材が変位したときに、その変位を一端側で受けて揺動回転し、他端側で前記タクタイルスイッチの押しボタンを押すレバーとを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の検出装置であって、
前記ホール素子は、当該ホール素子が実装される回路基板と共にホールICとして前記筐体内部に配置されることを特徴とする検出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の検出装置と、
前記検出装置が備える前記軸部材を動作させる操作を受け付ける操作部とを備えることを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの操作を検出する検出装置、およびそのような検出装置を備える操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータゲーム、各種玩具、産業用ロボット等の各種装置を操作する操作装置として、ジョイスティックと呼ばれる操作装置が普及している。ジョイスティックと呼ばれる形態の操作装置では、様々な方向にスティックを傾倒することにより、傾倒方向へ操作対象が動作するので、直感的な操作を可能としている。このような操作装置として、例えば、従来では、XY各軸に配置した可変抵抗で傾きを検知する可変抵抗式ポインティングデバイス(検出装置)が知られている。
【0003】
しかしながら、可変抵抗を用いた検出装置においては、接点の摩耗により、スティックを操作していない状態であっても操作対象に動作が生じる(ドリフト現象)といった課題がある。ドリフト現象を解決し得る検出装置としては、特許文献1に、ホールICを用いてスティックの傾き検知を行うものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第113421730号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなホールICを用いたポインティングデバイスにおいても、例えば、部品点数の削減や装置の小型化といった観点から、新たな構造を検討する余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、部品点数の削減または装置の小型化を実現し得る新たな構造の検出装置および操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である検出装置は、外部からの傾倒操作を受けて傾倒可能な傾倒軸を有する軸部材と、前記軸部材を、前記傾倒軸と直交する第1の回転軸周りに揺動回転可能に支持するガイド部材と、前記ガイド部材を、前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに揺動回転可能に支持する筐体と、前記軸部材に固定される磁石と、前記傾倒操作に伴う前記磁石による磁界の変化を検出するホール素子とを備え、前記軸部材に対して前記傾倒操作が加えられておらず、前記傾倒軸、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸が互いに直交するデフォルト状態において、前記傾倒軸の延長線上に前記磁石および前記ホール素子が配置されることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、1組のホール素子および磁石によって軸部材の全方位の傾倒を検出することができる。
【0009】
また、上記検出装置は、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の交点に前記ホール素子が配置される構成とすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、傾倒操作に伴う磁石の移動をホール素子を中心とした円周運動にすることができ、検出装置の入力に対してリニア出力が得られ、検出精度を向上させることができる。
【0011】
また、上記検出装置では、前記軸部材を傾倒軸方向に押し込む押込み操作が可能であり、前記ガイド部材は、前記押込み操作がなされた場合に、前記第2の回転軸の少なくとも一端を、前記筐体に対して押し込み方向に相対的に変位させることが可能であり、前記ホール素子に対して前記軸部材と反対側に配置されるタクタイルスイッチと、前記押込み操作によって前記ガイド部材が変位したときに、その変位を一端側で受けて揺動回転し、他端側で前記タクタイルスイッチの押しボタンを押すレバーとを備える構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、軸部材、ホール素子およびタクタイルスイッチをほぼ一直線上に配置することができ、検出装置の小型化(特に小面積化)を図ることができる。
【0013】
また、上記検出装置では、前記ホール素子は、当該ホール素子が実装される回路基板と共にホールICとして前記筐体内部に配置される構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、検出装置は、ホールICを筐体内部に配置したワンパッケージでの提供が可能となり、その取り扱いが容易となる。
【0015】
本発明の第2の態様である操作装置は、上記記載の検出装置と、前記検出装置が備える前記軸部材を動作させる操作を受け付ける操作部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の検出装置および操作装置は、1組のホール素子および磁石によって軸部材の全方位の傾倒を検出することができ、部品点数の削減または装置の小型化が図れるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の操作装置の外観の一例を示す概略斜視図である。
図2】本開示の検出装置の一例を示す概略斜視図である。
図3】検出装置の平面図である。
図4】検出装置の分解斜視図である。
図5】デフォルト状態の検出装置の断面図である。
図6】デフォルト状態の検出装置の断面図である。
図7】傾倒操作された状態の検出装置の断面図である
図8】傾倒操作された状態の検出装置の断面図である
図9】押込み操作された状態の検出装置の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本開示の操作装置は、例えば、操作対象を操作するジョイスティック型のコントローラとして用いられる。また、本開示の検出装置は、ジョイスティック型のコントローラである操作装置に組み込まれ、操作に基づく部材の動作を検出する。本開示の操作装置は、ジョイスティック型のコントローラ等の操作装置として用いることにより、コンピュータゲーム用の操作装置、その他、各種玩具、各種移動体、各種測定装置、産業用ロボット等の様々な操作対象の操作に用いることが可能である。以下では、図面を参照し、本開示の操作装置をジョイスティック型のコントローラに適用した操作装置1および操作装置1に組み込まれた検出装置2を例示して説明する。
【0019】
<操作装置1>
図1は、本開示の操作装置1の外観の一例を示す概略斜視図である。操作装置1は、筐体10を備え、筐体10には、右手および左手でそれぞれ把持する把持部11が両端に形成されている。両端の把持部11をそれぞれ把持した場合において、上面の指が当たる位置は、略円形状に開口しており、開口を通って、操作対象を操作するための操作部12が筐体10内から突出している。操作部12は、操作装置1の内部に組み込まれた検出装置2(図2等参照)が備える後述の軸部材22に取り付けられている。さらに、上面側には、操作者の指にて押下可能な位置に複数の操作ボタン13が配置されている。図1に例示する操作装置1内には、右手の操作に基づく動作を検出する検出装置2および左手の操作に基づく動作を検出する検出装置2の2台の検出装置2が、一つの筐体10内に組み込まれている。尚、本願では、説明の便宜上、操作者が、一般的な姿勢で操作する場合に上方に位置する側、即ち、操作ボタン13が配置され、操作部12が突出している側を上側として説明する。
【0020】
<検出装置2>
図2は本開示の検出装置2の一例を示す概略斜視図である。図3は検出装置2の分解斜視図である。図4は検出装置2の平面図である。図5および図6は検出装置2の断面図であり、図5図4のA-A断面図、図6図4のB-B断面図である。尚、図2,3,5,6の検出装置2は、操作者による操作が加えられていないデフォルト状態を示している。また、以下の説明では、デフォルト状態の検出装置2において、軸部材22の軸部221における長手軸(傾倒軸)が鉛直方向と平行になるように配置したときの水平面における直交2軸をX軸およびY軸(図2,3参照)とする。
【0021】
図2図6に示すように、検出装置2は、カバー21、軸部材22、プッシャー23、ガイド部材24、軸受25、ホールIC26、タクタイルスイッチ27、レバー28、ベース29、第1バネ30および第2バネ31を有している。
【0022】
検出装置2では、カバー21およびベース29が筐体を構成しており、他の部品はこの筐体内部に配される。但し、カバー21の上部には開口211が設けられており、軸部材22における軸部221は、開口211から筐体外部に突出している。
【0023】
軸部材22は、操作者が操作部12の傾倒操作を行ったときに、その操作を受けて傾倒変位する可動部材である。軸部材22は、操作部12が取り付けられる軸部221と、基部222とを有している。軸部221は、基部222から突出するように設けられた棒状の部分であり、ここでは軸部221における長手軸を傾倒軸と称する。基部222には、軸部材22をガイド部材24に対して揺動可能に取り付けるために、2つの突起223が形成されている。ここでは、デフォルト状態の検出装置2において、ガイド部材24に対する軸部材22の回転軸(突起223の中心軸:第1の回転軸)の方向をX軸方向とする。第1の回転軸は軸部材22の傾倒軸に対して直交する。また、軸部材22における軸中心の下端には磁石224が固定して取り付けられている。磁石224の分極方向は、軸部221の傾倒軸方向と平行とされている。
【0024】
プッシャー23は、軸部材22に対して摺動可能に配置される略円筒形状の部材である。具体的には、図5および図6に示すように、軸部材22の基部222において、下方に開口する円環状の収容空間が設けられており、プッシャー23はこの収容空間に嵌め込まれるようにして配置される。また、軸部材22とプッシャー23との間には第1バネ30が配置され、プッシャー23には第1バネ30による下方向への付勢力が与えられる。
【0025】
ガイド部材24は、軸部材22を第1の回転軸周りに揺動回転可能に支持するとともに、それ自身が筐体に対して揺動回転可能に取り付けられる略リング状の部材である。ガイド部材24には、軸部材22の突起223を軸支するための2つの孔241と、ガイド部材24を筐体に対して揺動回転可能に取り付けるための2つの突起242が形成されている。具体的には、ガイド部材24の突起242は、ベース29に形成された2つのU字形状の溝291のそれぞれに係合されるとともに、突起242の上方にカバー21の下端部が位置することで軸支されるようになっている。ここでは、デフォルト状態の検出装置2において、筐体に対するガイド部材24の回転軸(突起242の中心軸:第2の回転軸)の方向をY軸方向とする。このように、カバー21およびベース29からなる筐体は、ガイド部材24を第2の回転軸周りに揺動回転可能に支持することができ、第2の回転軸は第1の回転軸に対して直交する。
【0026】
軸受25、ホールIC26およびタクタイルスイッチ27は、検出装置2の筐体内部における軸部材22およびガイド部材24の下方にて、固定的に取り付けられている。ホールIC26は、回路基板上にホール素子261を実装したものであり、デフォルト状態の検出装置2において、ホール素子261を軸部材22の磁石224の直下に位置させるように配置されている。軸受25は、ホールIC26の上面でホール素子261を覆うように配置されている。タクタイルスイッチ27は、ホールIC26の下方に配置されている。
【0027】
第2バネ31は、軸部材22とホールIC26との間に配置され、軸部材22に上方向への付勢力を与える。尚、軸部材22に与えられた上方向への付勢力は第1の回転軸を介してガイド部材24にも伝達されるため、第2バネ31は、ガイド部材24にも上方向への付勢力を与えることとなる。
【0028】
レバー28は、ベース29に対して揺動回転可能に取り付けられる部材であり、操作者が操作部12の押込み操作を行ったときに、その押込み操作をタクタイルスイッチ27に伝達するものである。操作部12の押込み操作については後述する。
【0029】
続いて、操作部12の傾倒操作に伴う検出装置2の動作について、図7および図8を参照して説明する。図7は軸部材22をX軸方向に傾倒させた場合の検出装置2の断面図であり、図8は軸部材22をY軸方向に傾倒させた場合の検出装置2の断面図である。また、図7図4のA-A断面に対応し、図8図4のB-B断面に対応している。
【0030】
デフォルト状態の検出装置2では、軸部材22における傾倒軸、第1の回転軸および第2の回転軸は互いに直交する。軸部材22をX軸方向に傾倒させた場合には、図7に示すように、軸部材22はガイド部材24と一体的に筐体に対して第2の回転軸周りに揺動回転する。また、軸部材22をY軸方向に傾倒させた場合には、図8に示すように、軸部材22はガイド部材24に対して第1の回転軸周りに揺動回転する。上述した第2の回転軸周りの揺動回転および第1の回転軸周りの揺動回転は同時に発生させることが可能であり、これらが同時に発生することで、軸部材22はデフォルト状態から360°の全方位に傾倒が可能となる。
【0031】
デフォルト状態の検出装置2ではホール素子261は磁石224の直下に位置しており、デフォルト状態から操作部12の傾倒操作を行うと、磁石224の移動によってホール素子261に作用する磁界の変化(強度や向きの変化)が生じる。ホールIC26は、この磁界の変化に基づいて、操作部12の傾倒方向および傾倒量(デフォルト状態からの傾倒角度)を検出する。このようなホールIC26を用いた傾倒操作の検出は、操作部12の繰り返し操作による接点の摩耗を生じさせず、ドリフト現象の発生を防止できる。
【0032】
ここで、例えば特許文献1のポインティングデバイスでは、ホールICを使用者の傾倒操作によって回転変位する回転体に対して側方に配置した構成とされている。この場合、1つのホールICは回転体に対して1軸方向の傾倒量しか検出できず、回転体の全方位の傾倒を検出するためには2つのホールIC、さらにはこれに対応して2つの磁石が必要となる。
【0033】
これに対し、本開示の検出装置2は、デフォルト状態においてホール素子261を磁石224の直下に位置させている。言い換えれば、デフォルト状態の検出装置2において、軸部221の傾倒軸の延長線上に磁石224およびホール素子261が配置される。これにより、1組のホール素子261および磁石224によって軸部材22の全方位の傾倒を検出することができ、これによって部品点数の削減が図れるようになっている。
【0034】
また、特許文献1のポインティングデバイスでは、ホールICにおけるホール素子は、回転体の回転中心から外れた位置に配置される。この場合、回転体において保持される磁石は、ホール素子に対する距離が変化するように移動する(デフォルト状態から回転体の傾倒操作を行うと、磁石がホール素子から遠ざかる)。その結果、回転体に対する入力(傾倒角度)に対するホールICの出力がリニア(線形)出力とならず、検出精度が低くなる。あるいは、ホールICにおいてリニア出力を得るためには、ホールICの出力に対して補正演算を行うための変換チップ等が必要となる。
【0035】
これに対し、本開示の検出装置2では、回転体である軸部材22およびガイド部材24の回転中心にホール素子261が配置される。これにより、操作部12の傾倒操作によって、磁石224はホール素子261を中心とした円周運動を行うことになり、磁石224はホール素子261に対する距離を変化させることなく移動する。その結果、本開示の検出装置2では、操作部12の入力に対してホールIC26の出力がリニア出力となって、検出精度を向上させることができる。
【0036】
尚、検出装置2においては、第1の回転軸と第2の回転軸とが互いに直交する設計とされており、この場合、第1の回転軸と第2の回転軸との交点が回転体の回転中心となる。また、回転体の回転中心にホール素子261が配置されるとは、ホール素子261の体積内に回転中心が存在することを意味する。
【0037】
検出装置2におけるプッシャー23、軸受25および第1バネ30は、操作者による傾倒操作が解除されたときに検出装置2をデフォルト状態に戻す作用を生じさせる。図7および図8に示すように、軸部材22が傾倒している状態においては、プッシャー23は軸受25に対して傾いて接触しており、プッシャー23および軸受25は点接触となっている。このとき、プッシャー23は第1バネ30により軸受25に押し当てられるように付勢されている。
【0038】
プッシャー23および軸受25が点接触している状態は不安定であるため、操作者による傾倒操作が解除されると、第1バネ30の付勢力により、プッシャー23は軸受25に対して面接触する安定位置に移動する。すなわち、プッシャー23は、その下面を軸受25の上面に面接触させるように移動し、この移動に伴って検出装置2をデフォルト状態に戻すことができる。尚、上記例では、デフォルト状態において軸部材22を安定保持するために、プッシャー23の下面および軸受25の上面を共に平面とし、これらを面接触させているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、プッシャー23の下面および軸受25の上面は、傾倒状態においては軸部材22を安定させず、デフォルト状態においてのみ安定保持させることができれば、その形状は特に限定されない。
【0039】
検出装置2は、上述した操作部12の傾倒操作だけでなく、操作部12の押込み操作にも対応可能となっている。操作部12の押込み操作とは、操作部12を傾倒させずに上から(傾倒軸方向に)押し込む操作である。続いて、操作部12の押込み操作に伴う検出装置2の動作について、図6および図9を参照して説明する。図9は押込み操作が行われた場合の検出装置2の断面図であり、図4のB-B断面に対応している。
【0040】
上述したように、検出装置2におけるガイド部材24は、筐体(カバー21およびベース29)に対して第2の回転軸周りに揺動回転可能に取り付けられている。但し、第2の回転軸は、少なくとも一端において筐体に対する相対的な変位が許容されている。具体的には、ガイド部材24の突起242を支持する溝291の少なくとも一方は、突起242はこの溝291に沿って上下方向に変位可能となるような深さで形成されている。図6および図9では、図中右側の突起242が上下方向に変位可能とされている。
【0041】
操作部12に対する押込み操作がされていない場合、ガイド部材24は、第2バネ31によって(かつ軸部材22を介して)上方に付勢されており、上下方向に変位可能な突起242も、その変位可能範囲内で最上部に位置している(図6の状態)。操作部12に対する押込み操作がなされると、ガイド部材24は第2バネ31の付勢力に抗して下方に押し込まれる。図9の検出装置2は、押込み操作によって図中右側の突起242が下方に下がった状態を示している。
【0042】
さらに、検出装置2においては、ホールIC26の下方、好ましくはホール素子261のほぼ直下にタクタイルスイッチ27が配置され、タクタイルスイッチ27およびガイド部材24の下方にレバー28が配置されている。タクタイルスイッチ27は、下面側に押しボタン271を有している。レバー28は、回転軸となる2つの突起281を有しており、突起281がベース29に軸支されることで筐体に対して揺動回転可能に取り付けられている。
【0043】
レバー28の一端(図6および図9では右端)は、上下方向に変位可能な突起242の直下付近で、ガイド部材24の下面と接触している。また、レバー28の他端(図6および図9では左端)は、タクタイルスイッチ27における押しボタン271と接触している。
【0044】
図6に示す状態から押込み操作によって図9の状態に移行すると、ガイド部材24が下方に押し込まれることによって、ガイド部材24の下面と接触するレバー28の一端も押し下げられる。これに伴って、レバー28が突起281による回転軸周りに揺動回転し、レバー28の他端が持ち上がる。レバー28の他端が持ち上がると、これによって押しボタン271が押され、タクタイルスイッチ27がONとなる。
【0045】
すなわち、レバー28は、押込み操作によってガイド部材24が変位したときに、その変位を一端側で受けて揺動回転し、他端側でタクタイルスイッチ27の押しボタン271を押すことができる。操作者による押込み操作が解除されると、第2バネ31の付勢力およびタクタイルスイッチ27の押しボタン271の復元力によってガイド部材24およびレバー28が図6の状態に戻り、タクタイルスイッチ27はOFFとなる。
【0046】
このように、本開示の検出装置2では、タクタイルスイッチ27をホールIC26の下方に配置することで、タクタイルスイッチ27がホール素子261に対して軸部材22と反対側に配置され、軸部材22、ホール素子261およびタクタイルスイッチ27がほぼ一直線上(デフォルト状態の傾倒軸の延長線上)に並ぶように配置することができる。これにより、検出装置2の小型化(特に小面積化)を図ることが可能となる。
【0047】
また、本開示の検出装置2では、操作者の押込み操作によるガイド部材24の下方の動きは、レバー28の揺動回転によって上方の動きに変換されてタクタイルスイッチ27に伝えられる。すなわち、レバー28は、タクタイルスイッチ27の押しボタン271を下から押すことができる。これにより、ガイド部材24とタクタイルスイッチ27との間にホールIC26が存在していても、押込み操作によってタクタイルスイッチ27をONさせることが可能となる。
【0048】
さらに、本開示の検出装置2は、ホールIC26を筐体内部に配置したワンパッケージでの提供が可能となり、その取り扱いが容易となる。
【0049】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【0050】
(付記1)
外部からの傾倒操作を受けて傾倒可能な傾倒軸を有する軸部材と、
前記軸部材を、前記傾倒軸と直交する第1の回転軸周りに揺動回転可能に支持するガイド部材と、
前記ガイド部材を、前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに揺動回転可能に支持する筐体と、
前記軸部材に固定される磁石と、
前記傾倒操作に伴う前記磁石による磁界の変化を検出するホール素子とを備え、
前記軸部材に対して前記傾倒操作が加えられておらず、前記傾倒軸、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸が互いに直交するデフォルト状態において、前記傾倒軸の延長線上に前記磁石および前記ホール素子が配置されることを特徴とする検出装置。
【0051】
(付記2)
付記1に記載の検出装置であって、
前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の交点に前記ホール素子が配置されることを特徴とする検出装置。
【0052】
(付記3)
付記1または2に記載の検出装置であって、
前記軸部材を傾倒軸方向に押し込む押込み操作が可能であり、
前記ガイド部材は、前記押込み操作がなされた場合に、前記第2の回転軸の少なくとも一端を、前記筐体に対して押し込み方向に相対的に変位させることが可能であり、
前記ホール素子に対して前記軸部材と反対側に配置されるタクタイルスイッチと、
前記押込み操作によって前記ガイド部材が変位したときに、その変位を一端側で受けて揺動回転し、他端側で前記タクタイルスイッチの押しボタンを押すレバーとを備えることを特徴とする検出装置。
【0053】
(付記4)
付記1乃至3のいずれか一つに記載の検出装置であって、
前記ホール素子は、当該ホール素子が実装される回路基板と共にホールICとして前記筐体内部に配置されることを特徴とする検出装置。
【0054】
(付記5)
付記1乃至4のいずれか一つに記載の検出装置と、
前記検出装置が備える前記軸部材を動作させる操作を受け付ける操作部とを備えることを特徴とする操作装置。
【符号の説明】
【0055】
操作装置1
操作部12
検出装置2
カバー21
軸部材22
軸部221
基部222
突起223
磁石224
プッシャー23
ガイド部材24
孔241
突起242
軸受25
ホールIC26
ホール素子261
タクタイルスイッチ27
押しボタン271
レバー28
突起281
ベース29
溝291
第1バネ30
第2バネ31
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9