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特開2024-118151状態特定装置、状態特定方法および状態特定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118151
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】状態特定装置、状態特定方法および状態特定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20240823BHJP
   G06T 7/13 20170101ALI20240823BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240823BHJP
   G01N 21/952 20060101ALI20240823BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G01F23/292 Z
G06T7/13
G01N21/27 A
G01N21/952
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024416
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 長迪
(72)【発明者】
【氏名】御供 頌弘
【テーマコード(参考)】
2F014
2G051
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2F014FA04
2F014GA01
2G051AB03
2G051AB15
2G051EA08
2G051EA16
2G051EA17
2G051EB01
2G051EC03
2G051ED01
2G051ED04
2G059AA05
2G059EE13
2G059FF01
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM03
2G059MM05
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096CA24
5L096DA02
5L096EA06
5L096EA35
5L096FA09
5L096FA24
5L096FA32
5L096FA69
5L096GA03
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】対象物の状態を効率的に特定すること。
【解決手段】状態特定装置10は、プラントに用いられる配管やレール等の対象物が撮像された画像データを取得し、当該画像データの各画素値に基づいて画像データに含まれる色差を検出し、当該色差に基づいて、配管内の液体界面の位置やレールのひび割れの位置等の対象物の状態を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が撮像された画像データを取得する取得部と、
前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出する検出部と、
前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する特定部と、
を備える状態特定装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記画像データとして、RGB画像データを取得し、
前記検出部は、
前記RGB画像データをグレースケール画像データに変換し、前記グレースケール画像データの各画素値に基づいて、前記色差を検出する、
請求項1に記載の状態特定装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記グレースケール画像データの各画素値のうち、行方向または列方向のうちの一方向の画素値の平均値を算出して前記平均値を平滑化し、
平滑化された前記平均値について他方向の二回差分値を算出することによって、前記色差を検出する、
請求項2に記載の状態特定装置。
【請求項4】
前記取得部は、
液体を収容する配管が撮像された前記画像データを取得し、
前記特定部は、
前記画像データに含まれる前記色差が最大となる位置を前記配管における液体界面の位置として特定する、
請求項1に記載の状態特定装置。
【請求項5】
前記取得部は、
固体表面が撮像された前記画像データを取得し、
前記特定部は、
前記画像データに含まれる前記色差が最大となる位置を前記固体表面におけるひび割れの位置として特定する、
請求項1に記載の状態特定装置。
【請求項6】
前記色差が最大となる位置に基づいて算出された前記対象物の前記状態を示す数値が所定値を超過した場合に、前記対象物の異常を判定する判定部、
をさらに備える請求項1に記載の状態特定装置。
【請求項7】
前記特定部は、
配管における液体界面の位置を特定するとともに、前記配管における前記液体界面の液位を示す数値を算出し、
前記判定部は、
前記液位を示す数値が所定値を超過した場合に、前記配管の異常を判定する、
請求項6に記載の状態特定装置。
【請求項8】
前記特定部は、
固体表面におけるひび割れの位置を特定するとともに、前記固体表面における前記ひび割れの大きさを示す数値を算出し、
前記判定部は、
前記大きさを示す数値が所定値を超過した場合に、前記固体表面の異常を判定する、
請求項6に記載の状態特定装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象物が撮像された画像データを取得し、
前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、
前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、
処理を実行する状態特定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
対象物が撮像された画像データを取得し、
前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、
前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、
処理を実行させる状態特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態特定装置、状態特定方法および状態特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントにおいて、配管内の液体界面の位置やレールのひび割れの位置等の設備の状態を特定する技術が知られている。例えば、配管内の液体界面の位置を特定する技術として、プローブによる静電容量変化を検出する技術、複数のレベルセンサを用いる技術、ディープラーニング等の機械学習モデルを用いた画像認識等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-057096号公報
【特許文献2】特表2019-529095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配管やレール等を含む対象物の状態を効率的に特定することは難しい。例えば、上記技術では、複数の測定機器を準備したり、学習データの用意や機械学習モデルの訓練を行ったりする等、対象物の状態を検知するための事前準備に時間がかかる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントに用いられる配管内の液体界面の位置やレールのひび割れの位置等の対象物の状態を、効率的に特定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象物が撮像された画像データを取得する取得部と、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出する検出部と、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する特定部と、を備える状態特定装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、対象物が撮像された画像データを取得し、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、処理を実行する状態特定方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、対象物が撮像された画像データを取得し、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、処理を実行させる状態特定プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象物の状態を効率的に特定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る状態特定システムの構成例および処理例を示す図である。
図2】実施形態に係る状態特定システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る状態特定装置の画像データ記憶部の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る状態特定装置の算出データ記憶部の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る画像切取処理の実行例を示す図である。
図6】実施形態に係る画像変換処理の実行例を示す図である。
図7】実施形態に係る平均値算出処理の実行例を示す図である。
図8】実施形態に係る輝度平均値データの具体例を示す図である。
図9】実施形態に係る平滑化データの具体例を示す図である。
図10】実施形態に係る二回差分値データの具体例を示す図である。
図11】実施形態に係る表示画面の具体例を示す図である。
図12】実施形態に係る状態特定処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】実施形態に係るハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る状態特定装置、状態特定方法および状態特定プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る状態特定システムの構成および処理、状態特定装置等の構成および処理、各処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.状態特定システム100の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態に係る状態特定システム100の構成および処理を詳細に説明する。図1は、実施形態に係る状態特定システム100の構成例および処理例を示す図である。以下では、状態特定システム100全体の構成例、状態特定システム100の処理例、状態特定システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、配管P内の液体界面Sの位置や、レールR表面のひび割れCの位置を特定する状態特定装置10を一例にして説明するが、対象物や利用分野を限定するものではない。
【0014】
(1-1.状態特定システム100全体の構成例)
状態特定システム100は、状態特定装置10および撮像装置20を有する。ここで、状態特定装置10と撮像装置20とは、図示しない所定の通信網を介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、状態特定装置10は、液体界面Sの位置やひび割れCの位置を特定する情報処理装置の一例である。また、撮像装置20は、配管PやレールRを撮像するカメラの一例である。なお、図1に示した状態特定システム100には、複数台の状態特定装置10または複数台の撮像装置20が含まれてもよい。また、図1の例では、状態特定装置10がデスクトップPC(Personal Computer)によって実現される場合を示したが、サーバ装置やクラウドシステム等により実現されてもよい。
【0015】
(1-2.状態特定システム100の処理例1:配管Pの液体界面特定処理)
上記のような状態特定システム100の処理例として、プラントに設置される配管P内の液体界面Sを特定する処理について説明する。以下では、対象物撮像処理、画像取得処理、画像変換処理、平均値算出処理、対象物状態特定処理、特定結果表示処理の順に説明する。なお、下記の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0016】
(1-2-1.対象物撮像処理)
撮像装置20は、状態を特定する対象物である配管Pを撮像する(ステップS1)。例えば、撮像装置20は、流体のうち液体が収容される配管Pを撮像し、液体界面Sが含まれるRGB画像データを生成する。
【0017】
(1-2-2.画像取得処理)
状態特定装置10は、撮像装置20により撮像された画像データを撮像装置20から取得する(ステップS2)。このとき、状態特定装置10は、画像データを取得して、保存する。また、状態特定装置10は、取得した画像データのうち配管Pが含まれる部分を切り取る。
【0018】
(1-2-3.画像変換処理)
状態特定装置10は、撮像装置20から取得し、切り取った画像データをグレースケール画像データに変換する(ステップS3)。例えば、状態特定装置10は、配管Pのみを切り取ったRGB画像データをグレースケール画像データに変換し、保存する。
【0019】
(1-2-4.平均値算出処理)
状態特定装置10は、グレースケール画像データの画素値として輝度を用いて、平均値を算出する(ステップS4)。例えば、状態特定装置10は、グレースケール画像データの行方向の輝度の平均値を算出し、保存する。なお、状態特定装置10は、グレースケール画像データの列方向の輝度の平均値を算出してもよい。
【0020】
(1-2-5.対象物状態特定処理)
状態特定装置10は、輝度の平均値を用いて画像データの色差を検出し、対象物の状態を特定する(ステップS5)。例えば、状態特定装置10は、輝度の平均値を平滑化した上で列方向の二回差分値を算出し、二回差分値が最大となる行を液体界面Sの位置として特定する。なお、状態特定装置10は、上記のステップS4の処理で列方向の輝度の平均値を算出していた場合には、輝度の平均値を平滑化した上で行方向の二回差分値を算出し、二回差分値が最大となる列を液体界面Sの位置として特定する。
【0021】
(1-2-6.特定結果表示処理)
状態特定装置10は、特定結果を表示する(ステップS6)。例えば、状態特定装置10は、特定した液体界面Sの位置や、当該位置から推定される配管Pにおける液体の水位をモニタに表示する。このとき、状態特定装置10は、配管Pにおける液体の水位が所定値以上であった場合には、配管Pの異常を判定する。
【0022】
(1-3.状態特定システム100の処理例2:レールRのひび割れ特定処理)
また、上記のような状態特定システム100の処理例として、プラントに設置される金属製のレールR表面のひび割れCを特定する処理について説明する。なお、上記の配管Pの液体界面特定処理と共通する処理については説明を省略する。また、下記の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0023】
上記のステップS1~S6の処理では、配管Pの液体界面Sの特定処理について説明したが、状態特定システム100は、プラントに設置される金属製のレールRのひび割れCの特定処理についても適用することができる。
【0024】
すなわち、上記のステップS5において、状態特定装置10は、輝度の平均値を平滑化した上で列方向に二回差分値を算出し、二回差分値が最大となる行をひび割れCの位置として特定する。また、上記のステップS6において、状態特定装置10は、状態特定装置10は、特定したひび割れCの位置や大きさをモニタに表示する。このとき、状態特定装置10は、レールRにおけるひび割れCの大きさが所定値以上であった場合には、レールRの異常を判定する。
【0025】
(1-4.状態特定システム100の効果)
以下では、参考技術1~3の問題点を説明した上で、状態特定システム100の効果について説明する。
【0026】
(1-4-1.参考技術1の問題点)
例えば、プローブを用いる参考技術1では、プローブによる物体界面接触時の静電容量変化を検出して、検出信号に基づいて物体界面位置を判別する。参考技術1では、液体界面の水位レベルを測定する際に、プローブを液体と接触させる必要があるという問題点がある。
【0027】
(1-4-2.参考技術2の問題点)
また、複数のレベルセンサを用いる参考技術2では、複数のレベルセンサのセンシング結果から液体界面の位置を判別する。参考技術2では、液体界面の水位レベルを測定する際に、複数のレベルセンサが必要となるという問題点がある。
【0028】
(1-4-3.参考技術3の問題点)
また、機械学習モデルを用いる参考技術3では、機械学習モデルを構築し、ディープラーニング画像認識によって液体界面の位置を検出する。参考技術3では、液体界面の水位レベルを測定する際に、学習データセットと学習済みの機械学習モデルを用意する必要があるとともに、使用場面によって再トレーニングする必要があるという問題点がある。
【0029】
(1-4-4.状態特定システム100の概要)
状態特定システム100では、撮像装置20は、状態を特定する対象物である配管Pを撮像し、画像データを状態特定装置10に送信する。状態特定装置10は、撮像装置20から取得し、配管P部分を切り取った画像データをグレースケール画像データに変換し、グレースケール画像データの輝度を用いて平均値を算出し、平滑化処理後の輝度の平均値を用いて画像データの二回差分値をもとに色差を検出し、液体界面Sの位置を対象物の状態として特定する。また、状態特定装置10は、特定結果を表示したり、特定結果に基づき配管Pの異常等を判定したりすることもできる。
【0030】
また、状態特定システム100では、撮像装置20は、状態を特定する対象物であるレールRを撮像し、画像データを状態特定装置10に送信する。状態特定装置10は、撮像装置20から取得し、レールR部分を切り取った画像データをグレースケール画像データに変換し、グレースケール画像データの輝度を用いて平均値を算出し、平滑化処理後の輝度の平均値を用いて画像データの二回差分値をもとに色差を検出し、レールR表面のひび割れCの位置を対象物の状態として特定する。また、状態特定装置10は、特定結果を表示したり、特定結果に基づきレールRの異常等を判定したりすることもできる。
【0031】
(1-4-5.状態特定システム100の効果)
上述してきたように、状態特定システム100では、対象物の状態を効率的に特定することができる。例えば、第1に、状態特定システム100は、液体界面Sの水位レベルを測定する際に、液体と接触させるセンサ等の機器を必要としないので、簡便かつ安全な測定処理を実行することができる。第2に、状態特定システム100は、液体界面Sの水位レベルを測定する際に、複数のセンサ等の機器を必要としないので、簡便かつ安価な測定処理を実行することができる。第3に、状態特定システム100は、液体界面Sの水位レベルを測定する際に、トレーニング用の教師データを用意する必要がなく、また追加データがあっても再トレーニングする必要がないので、簡便かつ迅速な測定処理を実行することができる。第4に、状態特定システム100は、液体界面Sを点検する必要な設備に対して、リアルタイムの測定処理が可能となるので、点検工数を削減することができる。
【0032】
また、状態特定システム100は、プラントに設置される金属製のレールRのひび割れCの特定処理についても、配管Pの液体界面Sの特定処理と同様の効果を得ることができる。
【0033】
〔2.状態特定システム100の各装置の構成および処理〕
図2を用いて、図1に示した状態特定システム100が有する各装置の構成および処理について説明する。図2は、実施形態に係る状態特定システム100の各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係る状態特定システム100全体の構成例を説明した上で、実施形態に係る状態特定装置10の構成例および処理例、ならびに撮像装置20の構成例および処理例について詳細に説明する。
【0034】
(2-1.状態特定システム100全体の構成例)
図2に示すように、状態特定システム100は、状態特定装置10および撮像装置20を有する。状態特定装置10は、撮像装置20と所定の通信網によって通信可能に接続されている。なお、所定の通信網には、インターネットや専用線等の各種通信網を採用することができる。
【0035】
(2-2.状態特定装置10の構成例および処理例)
まず、図2を用いて、状態特定装置10の構成例および処理例について説明する。状態特定装置10は、入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14および制御部15を有する。
【0036】
(2-2-1.入力部11)
入力部11は、当該状態特定装置10への各種情報の入力を司る。例えば、入力部11は、マウスやキーボード等で実現され、当該状態特定装置10への設定情報等の入力を受け付ける。
【0037】
(2-2-2.出力部12)
出力部12は、当該状態特定装置10からの各種情報の出力を司る。例えば、出力部12は、ディスプレイ等で実現され、当該状態特定装置10に記憶された設定情報等を表示する。
【0038】
(2-2-3.通信部13)
通信部13は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部13は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部13は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0039】
(2-2-4.記憶部14)
記憶部14は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14は、画像データ記憶部14aおよび算出データ記憶部14bを有する。ここで、記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図2の例では、記憶部14は、状態特定装置10の内部に設置されているが、状態特定装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0040】
(2-2-4-1.画像データ記憶部14a)
画像データ記憶部14aは、後述する制御部15の取得部15aによって取得された画像データ、後述する制御部15の検出部15bによって変換された画像データ等を記憶する。ここで、図3を用いて、画像データ記憶部14aが記憶するデータの一例を説明する。図3は、実施形態に係る状態特定装置10の画像データ記憶部14aの一例を示す図である。図3の例において、画像データ記憶部14aは、「プラント」、「全体画像データ」、「配管画像データ」、「変換画像データ」、「表示画像データ」といった項目を有する。
【0041】
「プラント」は、対象物である配管PやレールR等が設置されるプラントを識別するための識別情報を示し、例えばプラントの識別番号や識別記号である。「全体画像データ」は、撮像装置20から取得した配管PやレールR等を含む全体画像データを示し、例えば全体画像データのRGB画像データの他、識別情報、撮像時刻、撮像装置20の識別情報等を含む。「配管画像データ」は、全体画像データから配管PやレールR等の対象物のみをトリミングした対象画像データを示し、例えば対象画像データのRGB画像データの他、識別情報、撮像時刻、配管PやレールRの識別情報を含む。「変換画像データ」は、全体画像データや対象画像データをグレースケール画像に変換した変換画像データを示し、例えば変換画像データのグレースケール画像データの他、識別情報、撮像時刻、配管PやレールRの識別情報等を含む。「表示画像データ」は、配管PやレールR等の特定結果を表示した表示画像データを示し、例えば全体画像データ上に液体界面Sの位置や配管Pの水位レベルを表示した画像データ、全体画像データ上にひび割れCの位置や大きさを表示した画像データである。
【0042】
すなわち、図3では、「プラントPS001」によって識別されるプラントについて、{「全体画像データOI001」,「配管画像データPI001」,「変換画像データCI001」,「表示画像データDI001」,・・・}、{「全体画像データOI002」,「配管画像データPI002」,「変換画像データCI002」,「表示画像データDI002」,・・・}、{「全体画像データOI003」,「配管画像データPI003」,「変換画像データCI003」,「表示画像データDI003」,・・・}等が、画像データ記憶部14aに記憶されている例が示されている。
【0043】
(2-2-4-2.算出データ記憶部14b)
算出データ記憶部14bは、後述する制御部15の検出部15bによって算出された算出データ、後述する制御部15の特定部15cによって算出された算出データ等を記憶する。ここで、図4を用いて、算出データ記憶部14bが記憶するデータの一例を説明する。図4は、実施形態に係る状態特定装置10の算出データ記憶部14bの一例を示す図である。図4の例において、算出データ記憶部14bは、「プラント」、「配管」、「輝度平均値データ」、「平滑化データ」、「二回差分値データ」、「界面位置データ」といった項目を有する。
【0044】
「プラント」は、対象物である配管PやレールR等が設置されるプラントを識別するための識別情報を示し、例えばプラントの識別番号や識別記号である。「輝度平均値データ」は、行方向または列方向の輝度を相加平均した数値を示す。「平滑化データ」は、輝度平均値データをLOWESS(locally weighted scatter plot smooth)平滑化処理した数値を示す。「二回差分値データ」は、平滑化データの二回差分値を示す。「界面位置データ」は、配管PやレールR等の対象物の特定結果を示し、例えば液体界面Sの位置や配管Pの水位レベルを表わす数値、ひび割れCの位置や大きさを表わす数値である。
【0045】
すなわち、図4では、「プラントPS001」によって識別されるプラントについて、{「配管PID001」,「輝度平均値データBM001」,「平滑化データLS001」,「二回差分値データTD001」,「界面位置データSL001」,・・・}、{「配管PID002」,「輝度平均値データBM002」,「平滑化データLS002」,「二回差分値データTD002」,「界面位置データSL002」,・・・}、{「配管PID003」,「輝度平均値データBM003」,「平滑化データLS003」,「二回差分値データTD003」,「界面位置データSL003」,・・・}等が、算出データ記憶部14bに記憶されている例が示されている。
【0046】
(2-2-5.制御部15)
制御部15は、当該状態特定装置10全体の制御を司る。制御部15は、取得部15a、検出部15b、特定部15cおよび判定部15dを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0047】
(2-2-5-1.取得部15a)
取得部15aは、対象物が撮像された画像データを取得する。このとき、取得部15aは、撮像装置20によって撮像された画像データをリアルタイムに取得することもでき、外部のデータベースや記憶部14等の蓄積された画像データを取得することもできる。なお、取得部15aは、取得した画像データを画像データ記憶部14aに格納する。
【0048】
対象物について説明すると、例えば、取得部15aは、液体を収容する配管Pが、サイトグラスを通じて撮像装置20によって撮像された画像データを取得する。また、取得部15aは、金属製のレールR等の固体表面が、撮像装置20によって撮像された画像データを取得する。このとき、取得部15aは、配管PやレールR以外の対象物を含む全体画像データを取得してもよいし、配管PやレールRのみを対象物として含む対象画像データを取得してもよい。
【0049】
画像データの種類について説明すると、例えば、取得部15aは、画像データとして、RGB画像データを取得する。ここで、RGB画像データとは、R(Red)、G(Green)およびB(Blue)の三原色を用いたRGBカラーモデルによって表現された画像データである。また、取得部15aは、画像データとして、グレースケール画像データを取得してもよい。ここで、グレースケール画像データとは、RGB画像データから変換された白と黒とその中間の何段階かの灰色とのみで表現された画像データであって、画素値として輝度を含む画像データである。また、取得部15aは、画像データとして、各画素の色相、彩度、明度を特定するための数値を取得してもよいし、各画素の輝度を取得してもよい。
【0050】
配管Pについて具体的な例を説明すると、取得部15aは、「プラントPS001」によって識別されるプラントの配管PのRGB画像データを取得し、{「全体画像データOI001」,「全体画像データOI002」,「全体画像データOI003」}として、画像データ記憶部14aに格納する。
【0051】
レールRについて具体的な例を説明すると、取得部15aは、「プラントPS011」によって識別されるプラントのレールRのRGB画像データを取得し、{「全体画像データOI011」,「全体画像データOI012」,「全体画像データOI013」}として、画像データ記憶部14aに格納する。
【0052】
(2-2-5-2.検出部15b)
検出部15bは、画像データに基づいて色差を検出する。ここで、色差とは、対象物の特徴を特定するために用いられる各画素(ピクセル)の色相、彩度、明度の差異である。例えば、検出部15bは、取得部15aによって取得された画像データの各画素値に基づいて、画像データに含まれる色差を検出する。以下では、検出部15bの処理について、画像切取処理、画像変換処理、平均値算出処理、平滑化処理、二回差分値算出処理の順に説明する。
【0053】
(画像切取処理)
第1に、画像データが全体画像データであった場合には、検出部15bは、画像切取処理を実行する。例えば、検出部15bは、全体画像データのうち対象物部分の切取(トリミング)を実行することで、対象物部分以外を除去した対象画像データを生成する。なお、画像データが対象画像データであった場合には、検出部15bは、画像切取処理の実行を省略する。
【0054】
配管Pについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、「全体画像データOI001」から「配管画像データPI001」を生成し、「全体画像データOI002」から「配管画像データPI002」を生成し、「全体画像データOI003」から「配管画像データPI003」}を生成し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0055】
レールRについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、「全体画像データOI011」から「レール画像データRI011」を生成し、「全体画像データOI012」から「レール画像データRI012」を生成し、「全体画像データOI013」から「レール画像データRI013」を生成し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0056】
(画像切取処理の実行例)
ここで、図5を用いて、検出部15bによって実行される画像切取処理の実行例について説明する。図5は、実施形態に係る画像切取処理の実行例を示す図である。
【0057】
図5の例では、検出部15bは、配管Pを含む全体画像データからサイトグラス部分、すなわち配管P部分をトリミングすることによって、対象画像データを生成する。このとき、検出部15bは、配管P部分を画像認識することによってトリミングしてもよいし、オペレータの操作に基づいてトリミングしてもよい。
【0058】
(画像変換処理)
第2に、画像データがRGB画像データであった場合には、検出部15bは、画像変換処理を実行する。例えば、検出部15bは、RGB画像データをグレースケール画像データに変換する。なお、画像データがグレースケール画像データであった場合には、検出部15bは、画像変更処理の実行を省略する。
【0059】
配管Pについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、RGB画像データである「配管画像データPI001」をグレースケール画像データである「変換画像データCI001」に変換し、RGB画像データである「配管画像データPI002」をグレースケール画像データである「変換画像データCI002」に変換し、RGB画像データである「配管画像データPI003」をグレースケール画像データである「変換画像データCI003」に変換し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0060】
レールRについて具体的な例について説明すると、検出部15bは、RGB画像データである「レール画像データRI011」をグレースケール画像データである「変換画像データCI011」に変換し、RGB画像データである「レール画像データRI012」をグレースケール画像データである「変換画像データCI012」に変換し、RGB画像データである「レール画像データRI013」をグレースケール画像データである「変換画像データCI013」に変換し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0061】
(画像変換処理の実行例)
ここで、図6を用いて、検出部15bによって実行される画像変換処理の実行例について説明する。図6は、実施形態に係る画像変換処理の実行例を示す図である。
【0062】
図6の例では、検出部15bは、図6(1)に示すRBG画像データから、図6(2)に示すグレースケール画像データに変換する。このとき、検出部15bは、各画素の輝度として、{第1行,第1列:「93」}、{第1行,第2列:「92」}、{第1行,第3列:「85」}、{第1行,第4列:「86」}、{第2行,第1列:「73」}、{第2行,第2列:「77」}、{第2行,第3列:「75」}、{第2行,第4列:「76」}、{第3行,第1列:「120」}、{第3行,第2列:「117」}、{第3行,第3列:「125」}、{第3行,第4列:「120」}、{第4行,第1列:「124」}、{第4行,第2列:「134」}、{第4行,第3列:「140」}、{第4行,第4列:「138」}、{第5行,第1列:「134」}、{第5行,第2列:「135」}、{第5行,第3列:「136」}、{第5行,第4列:「140」}、{第6行,第1列:「136」}、{第6行,第2列:「134」}、{第6行,第3列:「138」}、{第6行,第4列:「140」}、{第7行,第1列:「139」}、{第7行,第2列:「140」}、{第7行,第3列:「142」}、{第7行,第4列:「141」}、{第8行,第1列:「140」}、{第8行,第2列:「143」}、{第8行,第3列:「144」}、{第8行,第4列:「146」}、・・・のように、輝度データを取得する。
【0063】
(平均値算出処理)
第3に、検出部15bは、平均値算出処理を実行する。例えば、検出部15bは、グレースケール画像データの各画素値のうち、行方向または列方向のうちの一方向の画素値の平均値を算出する。なお、検出部15bは、生成した輝度平均値データを算出データ記憶部14bに格納する。
【0064】
配管Pについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、グレースケール画像データの各画素値である輝度を行方向に相加平均した数値として、「変換画像データCI001」から「輝度平均値データBM001」を算出し、「変換画像データCI002」から「輝度平均値データBM002」を算出し、「変換画像データCI003」から「輝度平均値データBM003」を算出し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0065】
レールRについて具体的な例について説明すると、検出部15bは、グレースケール画像データの各画素値である輝度を行方向に相加平均した数値として、「変換画像データCI011」から「輝度平均値データBM011」を算出し、「変換画像データCI012」から「輝度平均値データBM012」を算出し、「変換画像データCI013」から「輝度平均値データBM013」を算出し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0066】
(平均値算出処理の実行例)
ここで、図7を用いて、検出部15bによって実行される平均値算出処理の実行例について説明する。図7は、実施形態に係る平均値算出処理の実行例を示す図である。
【0067】
図7の例では、検出部15bは、図7(1)に示すグレースケール画像データの輝度データから行方向で平均を計算し、図7(2)に示す輝度平均値データを算出する。このとき、検出部15bは、各行の輝度の平均値として、{第1行:「89」}、{第2行:「75.25」}、{第3行:「120.5」}、{第4行:「134」}、{第5行:「136.25」}、{第6行:「137」}、{第7行:「140.5」}、{第8行:「143.25」}、・・・のように、各行の輝度平均値データを算出する。
【0068】
(輝度平均値データの具体例)
また、図8を用いて、検出部15bによって算出される輝度平均値データの具体例について説明する。図8は、実施形態に係る輝度平均値データの具体例を示す図である。
【0069】
図8のグラフで示す輝度平均値データは、第1行の輝度平均値データB_R1(Ave)=Σ(B_R1)/N、第2行の輝度平均値データB_R2(Ave)=Σ(B_R2)/N、第3行の輝度平均値データB_R3(Ave)=Σ(B_R3)/N、第4行の輝度平均値データB_R4(Ave)=Σ(B_R4)/N、第5行の輝度平均値データB_R5(Ave)=Σ(B_R5)/N、第6行の輝度平均値データB_R6(Ave)=Σ(B_R6)/N、第7行の輝度平均値データB_R7(Ave)=Σ(B_R7)/N、第8行の輝度平均値データB_R8(Ave)=Σ(B-R8)/N、・・・のように算出される。なお、「B_R1」、「B_R2」、・・・は、第1行の輝度データ、第2行の輝度データ、・・・であり、「N」は、列数であり、「Σ」は、総和を示す。
【0070】
(平滑化処理)
第4に、検出部15bは、平滑化処理を実行する。例えば、検出部15bは、行方向または列方向のうちの一方向の画素値の平均値をLOWESS平滑化する。ここで、LOWESS平滑化は、局所的に重み付けされた散布図平滑化によるデータ処理を実行して円滑化したものであるが、平滑化処理に用いるデータ処理は特に限定されない。なお、検出部15bは、平滑化した平滑化データを算出データ記憶部14bに格納する。
【0071】
配管Pについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、行方向の輝度の平均値を平滑化した数値として、「輝度平均値データBM001」から「平滑化データLS001」を生成し、「輝度平均値データBM002」から「平滑化データLS002」を生成し、「輝度平均値データBM003」から「平滑化データLS003」を生成し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0072】
レールRについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、行方向の輝度の平均値を平滑化した数値として、「輝度平均値データBM011」から「平滑化データLS011」を生成し、「輝度平均値データBM012」から「平滑化データLS012」を生成し、「輝度平均値データBM013」から「平滑化データLS013」を生成し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0073】
(輝度平均値データの具体例)
ここで、図9を用いて、検出部15bによって算出される平滑化データの具体例について説明する。図9は、実施形態に係る平滑化データの具体例を示す図である。
【0074】
図9のグラフで示す平滑化データは、第1行の輝度平均値データB_R1(Ave)→第1行の平滑化データB_R1(Ave)’、第2行の輝度平均値データB_R2(Ave)→第2行の平滑化データB_R2(Ave)’、第3行の輝度平均値データB_R3(Ave)→第3行の平滑化データB_R3(Ave)’、第4行の輝度平均値データB_R4(Ave)→第4行の平滑化データB_R4(Ave)’、第5行の輝度平均値データB_R5(Ave)→第5行の平滑化データB_R5(Ave)’、第6行の輝度平均値データB_R6(Ave)→第6行の平滑化データB_R6(Ave)’、第7行の輝度平均値データB_R7(Ave)→第7行の平滑化データB_R7(Ave)’、第8行の輝度平均値データB_R8(Ave)→第8行の平滑化データB_R8(Ave)’、・・・のようにデータが円滑化される。なお、「B_R1(Ave)」、「B_R1(Ave)」、・・・は、第1行の輝度平均値データ、第2行の輝度平均値データ、・・・であり、「’」は、平滑化されていることを示す。
【0075】
図9の例では、第2行の輝度平均値データB_R2(Ave)が特に平滑化され、円滑化された線形に近似されている。なお、上記の平滑化処理を実行する際に、末端に対応する輝度平均値データを追加してもよい。上記の平滑化処理を実行することによって、画像ノイズの影響を受けにくい状態特定処理を実現することができる。
【0076】
(二回差分値算出処理)
第5に、検出部15bは、二回差分値算出処理を実行する。例えば、検出部15bは、平滑化された輝度の平均値について、行方向または列方向のうちの平均値が算出された方向とは他方向の二回差分値を算出することによって、画像データに含まれる色差を検出する。ここで、検出部15bは、平滑化した平均値の一回差分値を算出し、画像データに含まれる色差を検出してもよい。なお、検出部15bは、算出した二回差分値データを算出データ記憶部14bに格納する。
【0077】
配管Pについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、行方向の二回差分値として、「平滑化データLS001」から「二回差分値データTD001」を算出し、「平滑化データLS002」から「二回差分値データTD002」を算出し、「平滑化データLS003」から「二回差分値データTD003」を算出し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0078】
レールRについて具体的な例を説明すると、検出部15bは、行方向の二回差分値として、「平滑化データLS011」から「二回差分値データTD011」を算出し、「平滑化データLS012」から「二回差分値データTD012」を算出し、「平滑化データLS013」から「二回差分値データTD013」を算出し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0079】
(二回差分値データの具体例)
ここで、図10を用いて、検出部15bによって算出される二回差分値データの具体例について説明する。図10は、実施形態に係る二回差分値データの具体例を示す図である。
【0080】
図10のグラフで示す二回差分値データは、以下のように算出される。まず、第1行の一回差分値データTD_R1_0=B_R2(Ave)’-B_R1(Ave)’、第2行の一回差分値データTD_R2_0={B_R3(Ave)’-B_R1(Ave)’}/2、第3行の一回差分値データTD_R3_0={B_R4(Ave)’-B_R2(Ave)’}/2、第4行の一回差分値データTD_R4_0={B_R5(Ave)’-B_R3(Ave)’}/2、第5行の一回差分値データTD_R5_0={B_R6(Ave)’-B_R4(Ave)’}/2、第6行の一回差分値データTD_R6_0={B_R7(Ave)’-B_R5(Ave)’}/2、第7行の一回差分値データTD_R7_0={B_R8(Ave)’-B_R6(Ave)’}/2、第8行の一回差分値データTD_R8_0=B_R8(Ave)’-B_R7(Ave)’のように、一回差分値データが算出される。なお、「B_R1(Ave)’」、「B_R2(Ave)’」、・・・は、第1行の平滑化データ、第2行の平滑化データ、・・・であり、「TD_R1_0」、「TD_R2_0」、・・・は、第1行の一回差分値データ、第2行の一回差分値データ、・・・であることを示す。ここで、開始末端である第1行については、1つ後の行(すなわち第2行)との平滑化データの差分を求める。また、終了末端である第8行については、1つ前の行(すなわち第7行)との平滑化データの差分を求める。それ以外の第2行から第7行までは、前後の行との平滑化データの差分を幅の2倍(すなわち2行分)で除算した中央差分を求める。
【0081】
そして、第1行の二回差分値データTD_R1=TD_R2_0-TD_R1_0、第2行の二回差分値データTD_R2=(TD_R3_0-TD_R1_0)/2、第3行の二回差分値データTD_R3=(TD_R4_0-TD_R2_0)/2、第4行の二回差分値データTD_R4=(TD_R5_0-TD_R3_0)/2、第5行の二回差分値データTD_R5=(TD_R6_0-TD_R4_0)/2、第6行の二回差分値データTD_R6=(TD_R7_0-TD_R5_0)/2、第7行の二回差分値データTD_R7=(TD_R8_0-TD_R6_0)/2、第8行の二回差分値データTD_R8=TD_R8_0-TD_R7_0のように、二回差分値データが算出される。なお、「TD_R1」、「TD_R2」、・・・は、第1行の二回差分値データ、第2行の二回差分値データ、・・・であることを示す。ここで、開始末端である第1行については、1つ後の行(すなわち第2行)との一回差分データの差分を求める。また、終了末端である第8行については、1つ前の行(すなわち第7行)との一回差分データの差分を求める。それ以外の第2行から第7行までは、前後の行との一回差分データの差分を幅の2倍(すなわち2行分)で除算した中央差分を求める。
【0082】
図10の例では、第3行の二回差分値データTD_R3が最大値を示し、第3行に色差、すなわち液体界面Sが存在することがわかる。なお、上記の二回差分値処理を実行する際に、末端に対応する平滑化データや輝度平均値データを追加してもよい。
【0083】
(その他の色差検出処理)
なお、上記の二回差分値算出処理は、輝度の変化率最大の位置が対象物の状態を示すという前提のもとに実行する処理であって、画像データにおいて最も色差の大きい位置を検出する色差検出処理の一例に過ぎない。例えば、上記の二回差分値算出処理に代えて、HoG(Histogram of Gradients)、ハフ変換、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)等の処理によって、画像データから色差を検出することもできる。
【0084】
(2-2-5-3.特定部15c)
特定部15cは、対象物の状態を特定する。例えば、特定部15cは、画像データに含まれる色差に基づいて、対象物の状態を特定する。
【0085】
特定する状態について説明すると、例えば、特定部15cは、配管P内の液体の色差に基づいて、配管Pにおける液体界面Sの位置を特定する。また、特定部15cは、金属製のレールR等の固体表面の色差に基づいて、固体表面におけるひび割れCの位置を特定する。
【0086】
特定の流れについて説明すると、特定部15cは、画像データに含まれる色差が最大となる位置を配管Pにおける液体界面Sの位置として特定する。このとき、特定部15cは、配管Pにおける色差が所定値以上となる位置を、配管Pにおける複数の液体界面Sの位置として特定してもよい。また、特定部15cは、画像データに含まれる色差が最大となる位置をレールR等の固体表面におけるひび割れCの位置として特定する。このとき、特定部15cは、レールR等の固体表面における色差が所定値以上となる位置を、レールR等の固体表面における複数のひび割れCの位置として特定してもよい。
【0087】
色差について説明すると、特定部15cは、画像データに含まれる色差として、検出部15bによって算出された二回差分値データが最大値を示す行または列に、対象物の状態を示す液体界面Sやひび割れC等が存在することを特定する。
【0088】
また、特定部15cは、画像データに含まれる色差に基づいて、対象物の状態を示す数値を算出する。なお、特定部15cは、算出した界面位置データ等の特定結果を算出データ記憶部14bに格納する。
【0089】
算出する特定結果である状態の数値について説明すると、例えば、特定部15cは、配管Pにおける液体界面Sの位置を示す数値として、水位レベルを高さ〔m〕、体積〔L〕、容積比〔%〕等で算出する。また、特定部15cは、金属製のレールR等の固体表面におけるひび割れCの大きさを示す数値として、ひび割れCの位置、範囲、深さ等を座標や長さ〔cm〕で算出する。
【0090】
配管Pについて具体的な例を説明すると、特定部15cは、「二回差分値データTD001」を用いて二回差分値が最大値を示す行を特定し、「配管PID001」の液体界面Sの位置を特定し、液体界面Sの水位レベルを容積比〔%〕で算出し、液体界面Sの位置の座標と液体界面Sの水位レベルを容積比〔%〕とを含む「界面位置データSL001」を生成し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0091】
レールRについて具体的な例を説明すると、特定部15cは、「二回差分値データTD011」を用いて二回差分値が最大値を示す行を特定し、「レールRID011」のひび割れCの位置を特定し、ひび割れCの大きさを範囲の長さ〔cm〕で算出し、ひび割れCの位置の座標とひび割れCの大きさを範囲の長さ〔cm〕とを含む「ひび割れ位置データCL011」を生成し、算出データ記憶部14bに格納する。
【0092】
また、特定部15cは、画像データに含まれる色差に基づいて、対象物の状態や状態を示す数値が表示される画像データを生成する。なお、特定部15cは、生成した画像データ等の特定結果を画像データ記憶部14aに格納する。
【0093】
生成する特定結果である画像データについて説明すると、例えば、特定部15cは、配管Pにおける液体界面Sの位置を示す数値として、水位レベルを高さ〔m〕、体積〔L〕、容積比〔%〕等を、配管Pを含む全体画像データに重畳した画像データを生成する。また、特定部15cは、金属製のレールR等の固体表面におけるひび割れCの大きさを示す数値として、ひび割れCの位置、範囲、深さを示す座標や長さ〔cm〕等を、レールRを含む全体画像データに重畳した画像データを生成する。
【0094】
配管Pについて具体的な例を説明すると、特定部15cは、液体界面Sの位置の座標と液体界面Sの水位レベルを容積比〔%〕とを含む「界面位置データSL001」を参照し、「全体画像データOI001」の画像データ上に液体界面Sの位置の座標と液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕とを重畳して表示した「表示画像データDI001」を生成し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0095】
レールRについて具体的な例を説明すると、特定部15cは、ひび割れCの位置の座標とひび割れCの大きさを範囲の長さ〔cm〕とを含む「ひび割れ位置データCL011」を参照し、「全体画像データOI011」の画像データ上にひび割れCの位置の座標とひび割れCの大きさである範囲の長さ〔cm〕とを重畳して表示した「表示画像データDI011」を生成し、画像データ記憶部14aに格納する。
【0096】
(対象物状態特定処理の実行例)
ここで、特定部15cによって実行される対象物状態特定処理の実行例について説明する。以下では、後述する判定部15dによって実行される異常判定処理の前提となる、位置を示す座標から状態を示す数値への変換処理について説明する。
【0097】
第1に、特定部15cは、画像データ上の液体界面Sの座標を特定する。第2に、特定部15cは、液体界面Sの座標を、液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕へ変換する。このとき、特定部15cは、容積比が100%となる座標と容積比が0%となる座標を用いて変換関数を生成する。例えば、特定部15cは、変換関数として、あらかじめ設定した座標値と容積比〔%〕の各数値を対応付けたテーブルや、座標値を容積比〔%〕に変換する変換式を生成する。
【0098】
(表示画像データの具体例)
ここで、図11を用いて、特定部15cによって生成される表示画像データの具体例について説明する。図11は、実施形態に係る表示画像データの具体例を示す図である。
【0099】
図11(1)に示すように、検出部15bは、特定した液体界面Sの座標をもとに、「配管PID001」で識別される配管Pについて、液体界面Sの位置を示す青色破線を画像データに重畳して表示する表示画像データを生成する。
【0100】
また、図11(2)に示すように、検出部15bは、特定した液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕をもとに、「配管PID001」で識別される配管Pについて、液体界面Sの容積比〔%〕を緑色の数字「54.28」を画像データに重畳して表示する表示画像データを生成する。
【0101】
(2-2-5-4.判定部15d)
判定部15dは、対象物の異常を判定する。例えば、判定部15dは、対象物の状態を示す数値に基づいて、対象物の異常を判定する。このとき、判定部15dは、対象物の異常を通知するアラームを対象物の管理者に送信してもよい。
【0102】
判定する異常について説明すると、例えば、判定部15dは、配管Pにおける液体界面Sの位置を示す数値が所定値を超過した場合に、配管Pの異常を判定する。また、判定部15dは、金属製のレールR等の固体表面におけるひび割れの大きさを示す数値が所定値を超過した場合に、固体表面の異常を判定する。
【0103】
配管Pについて具体的な例を説明すると、判定部15dは、液体界面Sの位置の座標と液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕とを含む「界面位置データSL001」を参照し、液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕が所定値を超過した場合には、「配管PID001」における異常の発生を判定し、「プラントPS001」の管理者に異常を知らせるアラームを通知する。
【0104】
レールRについて具体的な例を説明すると、判定部15dは、ひび割れCの位置の座標とひび割れCの大きさである範囲の長さ〔cm〕とを含む「ひび割れ位置データCL011」を参照し、ひび割れCの大きさである範囲の長さ〔cm〕が所定値を超過した場合には、「レールRID011」における異常の発生を判定し、「プラントPS011」の管理者に異常を知らせるアラームを通知する。
【0105】
(異常判定処理の実行例)
ここで、判定部15dによって実行される異常判定処理の実行例について説明する。以下では、異常判定処理の必要性を説明した上で、アラーム通知処理、プロセス制御処理について説明する。
【0106】
(異常判定処理の必要性)
例えば、プラントにおいて、タンクの中に収容される液体の容量が上限値以上になる場合には、他の機器への付着することにより危険な状態になることがある。一方で、タンクの中に収容される液体の容量が下限値以下になる場合には、過熱や空焚きの恐れがある。上記のように、判定部15dは、画像データを用いた液体界面Sの特定結果に基づき、配管P内の液体の異常を判定することができる。
【0107】
(アラーム通知処理)
判定部15dは、特定部15cが生成した変換関数によって変換された液体界面Sの水位レベルである容積比〔%〕を用いてif該当判定を実行する。このとき、判定部15dは、所定値を超過しない場合は、プラントの稼働を容認する。一方、判定部15dは、所定値を超過する場合は、プラントの管理者の要求に応じたプラントの稼働停止やアラーム次数の記録等の異常に対する処理を実行する。
【0108】
すなわち、上記の画像データを用いた異常判定処理は、生産性向上のプロセスに向けての液体に関するアラームシステムを実現することができる。
【0109】
(プロセス制御処理)
判定部15dは、画像データを用いた状態の特定結果による水位をPID(Proportional-Integral-Differential)で自動制御することもできる。すなわち、参考技術等において水位制御システムが物理的なハードウェアセンサ(差圧伝送器等)で水位位置を検出し、PIDアルゴリズムでバルブへの操作量を計算し水位制御を実現しているところ、判定部15dは、ハードウェアセンサではなく、画像データを用いた状態の特定結果を用いてPID制御を実現することもできる。
【0110】
すなわち、上記の画像データを用いた異常判定処理は、プラント設備への制御機能と監視機能を一体化することができるという利点がある。
【0111】
(2-3.撮像装置20の構成例)
図2を用いて、撮像装置20の構成例および処理例について説明する。例えば、撮像装置20は、プラントに設置されるカメラによって実現される。
【0112】
撮像装置20は、画像データを生成する。例えば、撮像装置20は、対象物を撮像し、画像データを生成する。また、撮像装置20は、生成した画像データを保存する。
【0113】
対象物について説明すると、例えば、撮像装置20は、液体を収容する配管Pを、サイトグラスを通じて撮像し、画像データを生成する。また、撮像装置20は、金属製のレールR等の固体表面を撮像し、画像データを生成する。このとき、撮像装置20は、配管PやレールR以外の対象物を含む全体画像データを生成してもよいし、配管PやレールRのみを対象物として含む対象画像データを生成してもよい。
【0114】
画像データの種類について説明すると、例えば、撮像装置20は、画像データとして、RGB画像データを生成する。また、撮像装置20は、画像データとして、グレースケール画像データを生成してもよい。
【0115】
配管Pについて具体的な例を説明すると、撮像装置20は、「プラントPS001」によって識別されるプラントの配管Pについて、RGB画像データである{「全体画像データOI001」,「全体画像データOI002」,「全体画像データOI003」}を生成する。
【0116】
レールRについて具体的な例を説明すると、撮像装置20は、「プラントPS011」によって識別されるプラントのレールRについて、RGB画像データである{「全体画像データOI011」,「全体画像データOI012」,「全体画像データOI013」}を生成する。
【0117】
〔3.状態特定システム100の処理の流れ〕
図12を用いて、実施形態に係る状態特定システム100の処理の流れについて説明する。図12は、実施形態に係る状態特定処理全体の流れを示すフローチャートである。以下では、画像取得処理、画像切取処理、画像変換処理、平均値算出処理、二回差分値算出処理、対象物状態特定処理、特定結果表示処理、異常判定処理の順に説明する。なお、下記のステップS101~S109の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S109の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0118】
(3-1.画像取得処理)
第1に、状態特定装置10は、画像取得処理を実行する(ステップS101)。例えば、状態特定装置10は、撮像装置20から配管Pが撮像された画像データを取得し、保存する。また、状態特定装置10は、撮像装置20からレールRが撮像された画像データを取得し、保存する。
【0119】
(3-2.画像切取処理)
第2に、状態特定装置10は、画像切取処理を実行する(ステップS102)。例えば、状態特定装置10は、取得した画像データのうち、配管Pが含まれる部分を切り取る。また、状態特定装置10は、取得した画像データのうち、レールRが含まれる部分を切り取る。
【0120】
(3-3.画像変換処理)
第3に、状態特定装置10は、画像変換処理を実行する(ステップS103)。例えば、状態特定装置10は、配管Pのみを切り取ったRGB画像データをグレースケール画像データに変換し、保存する。また、状態特定装置10は、レールRのみを切り取ったRGB画像データをグレースケール画像データに変換し、保存する。
【0121】
(3-4.平均値算出処理)
第4に、状態特定装置10は、平均値算出処理を実行する(ステップS104)。例えば、状態特定装置10は、配管Pのグレースケール画像データの行方向の輝度の平均値を算出し、保存する。例えば、状態特定装置10は、レールRのグレースケール画像データの行方向の輝度の平均値を算出し、保存する。
【0122】
(3-5.平滑化処理)
第5に、状態特定装置10は、平滑化処理を実行する(ステップS105)。例えば、状態特定装置10は、配管Pの行方向の輝度の平均値をLOWESS平滑化する。また、状態特定装置10は、レールRの行方向の輝度の平均値をLOWESS平滑化する。
【0123】
(3-6.二回差分値算出処理)
第6に、状態特定装置10は、二回差分値算出処理を実行する(ステップS106)。例えば、状態特定装置10は、配管Pの行方向の輝度の平滑化された平均値について、列方向の二回差分値を算出し、配管Pの色差を示す数値とする。また、状態特定装置10は、レールRの行方向の輝度の平滑化された平均値について、列方向の二回差分値を算出し、レールRの色差を示す数値とする。
【0124】
(3-7.対象物状態特定処理)
第7に、状態特定装置10は、対象物状態特定処理を実行する(ステップS107)。例えば、状態特定装置10は、配管Pについて算出した二回差分値が最大となる行を液体界面Sの位置として特定する。また、状態特定装置10は、レールRについて算出した二回差分値が最大となる行をひび割れCの位置として特定する。
【0125】
(3-8.特定結果表示処理)
第8に、状態特定装置10は、特定結果表示処理を実行する(ステップS108)。例えば、状態特定装置10は、特定した液体界面Sの位置や、当該位置から算出される配管Pにおける液体の水位レベルをモニタに表示する。また、状態特定装置10は、特定したひび割れCの位置や、当該位置から算出されるレールRにおけるひび割れCの大きさをモニタに表示する。
【0126】
(3-9.異常判定処理)
第9に、状態特定装置10は、異常判定処理を実行する(ステップS109)。例えば、状態特定装置10は、配管Pにおける液体の水位レベルが所定値以上であった場合には、配管Pの異常を判定する。また、状態特定装置10は、レールRにおけるひび割れCの大きさが所定値以上であった場合には、レールRの異常を判定する。
【0127】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~8について説明する。
【0128】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、対象物が撮像された画像データを取得し、画像データの各画素値に基づいて画像データに含まれる色差を検出し、当該色差に基づいて対象物の状態を特定する。このため、本処理では、対象物の状態を効率的に特定することができる。
【0129】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、画像データとして、RGB画像データを取得し、RGB画像データをグレースケール画像データに変換し、グレースケール画像データの各画素値に基づいて色差を検出する。このため、本処理では、グレースケール画像データの輝度を用いて、対象物の状態を効率的に特定することができる。
【0130】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、グレースケール画像データの各画素値のうち、行方向または列方向のうちの一方向の画素値の平均値を算出して平均値を平滑化し、平滑化した平均値について他方向の二回差分値を算出することによって、色差を検出する。このため、本処理では、画像ノイズを除去した上で、対象物の状態を効率的に特定することができる。
【0131】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、液体を収容する配管Pが撮像された画像データを取得し、画像データに含まれる色差が最大となる位置を配管Pにおける液体界面Sの位置として特定する。このため、本処理では、対象物の状態として配管Pにおける液体界面Sの位置を、効率的に特定することができる。
【0132】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、レールR等の固体表面が撮像された画像データを取得し、画像データに含まれる色差が最大となる位置をレールR等の固体表面におけるひび割れCの位置として特定する。このため、本処理では、対象物の状態としてレールR等の固体表面おけるひび割れCの位置を、効率的に特定することができる。
【0133】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、色差が最大となる位置に基づいて算出された対象物の状態を示す数値が所定値を超過した場合に、対象物の異常を判定する。このため、本処理では、対象物の状態を効率的に特定するとともに、定量的な数値を出力することができる。
【0134】
(4-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、配管Pにおける液体界面Sの位置を特定するとともに、配管Pにおける液体界面Sの液位を示す数値を算出する。このため、本処理では、対象物の状態を効率的に特定するとともに、定量的な数値を出力し、配管Pの異常判定に利用することができる。
【0135】
(4-8.効果8)
第8に、上述した実施形態に係る処理では、状態特定装置10は、レールR等の固体表面におけるひび割れCの位置を特定するとともに、レールR等の固体表面におけるひび割れの大きさCを示す数値を算出する。このため、本処理では、対象物の状態を効率的に特定するとともに、定量的な数値を出力し、レールR等の異常判定に利用することができる。
【0136】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0137】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0138】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0139】
〔ハードウェア〕
次に、情報処理装置である状態特定装置10のハードウェア構成例を説明する。なお、その他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。図13は、ハードウェア構成例を説明する図である。図13に示すように、状態特定装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図13に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0140】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0141】
プロセッサ10dは、図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、状態特定装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部15a、検出部15b、特定部15c、判定部15d等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部15a、検出部15b、特定部15c、判定部15d等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0142】
このように、状態特定装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、状態特定装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、状態特定装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0143】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0144】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0145】
(1)対象物が撮像された画像データを取得する取得部と、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出する検出部と、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する特定部と、を備える状態特定装置。
【0146】
(2)前記取得部は、前記画像データとして、RGB画像データを取得し、前記検出部は、前記RGB画像データをグレースケール画像データに変換し、前記グレースケール画像データの各画素値に基づいて、前記色差を検出する、(1)に記載の状態特定装置。
【0147】
(3)前記検出部は、前記グレースケール画像データの各画素値のうち、行方向または列方向のうちの一方向の画素値の平均値を算出して前記平均値を平滑化し、平滑化された前記平均値について他方向の二回差分値を算出することによって、前記色差を検出する、(2)に記載の状態特定装置。
【0148】
(4)前記取得部は、液体を収容する配管が撮像された前記画像データを取得し、前記特定部は、前記画像データに含まれる前記色差が最大となる位置を前記配管における液体界面の位置として特定する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の状態特定装置。
【0149】
(5)前記取得部は、固体表面が撮像された前記画像データを取得し、前記特定部は、前記画像データに含まれる前記色差が最大となる位置を前記固体表面におけるひび割れの位置として特定する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の状態特定装置。
【0150】
(6)前記色差が最大となる位置に基づいて算出された前記対象物の前記状態を示す数値が所定値を超過した場合に、前記対象物の異常を判定する判定部、をさらに備える(1)~(5)のいずれか1つに記載の状態特定装置。
【0151】
(7)前記特定部は、配管における液体界面の位置を特定するとともに、前記配管における前記液体界面の液位を示す数値を算出し、前記判定部は、前記液位を示す数値が所定値を超過した場合に、前記配管の異常を判定する、(6)に記載の状態特定装置。
【0152】
(8)前記特定部は、固体表面におけるひび割れの位置を特定するとともに、前記固体表面における前記ひび割れの大きさを示す数値を算出し、前記判定部は、前記大きさを示す数値が所定値を超過した場合に、前記固体表面の異常を判定する、(6)に記載の状態特定装置。
【0153】
(9)コンピュータが、対象物が撮像された画像データを取得し、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、処理を実行する状態特定方法。
【0154】
(10)コンピュータに、対象物が撮像された画像データを取得し、前記画像データの各画素値に基づいて、前記画像データに含まれる色差を検出し、前記色差に基づいて、前記対象物の状態を特定する、処理を実行させる状態特定プログラム。
【符号の説明】
【0155】
10 状態特定装置
11 入力部
12 出力部
13 通信部
14 記憶部
14a 画像データ記憶部
14b 算出データ記憶部
15 制御部
15a 取得部
15b 検出部
15c 特定部
15d 判定部
20 撮像装置
100 状態特定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13