IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118439
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】半導体素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240823BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240823BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L29/50 M
H01L29/44 S
H01L29/44 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017457
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0021999
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 ギョム
(72)【発明者】
【氏名】金 眞 範
(72)【発明者】
【氏名】李 商 文
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA02
4M104AA03
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB03
4M104BB16
4M104BB18
4M104BB26
4M104BB28
4M104BB30
4M104BB32
4M104BB33
4M104CC01
4M104CC05
4M104DD03
4M104DD04
4M104EE03
4M104EE12
4M104EE16
4M104FF02
4M104FF06
4M104FF26
4M104GG09
4M104HH15
4M104HH20
5F140AA00
5F140BA01
5F140BA03
5F140BA05
5F140BB05
5F140BB06
5F140BC15
5F140BD01
5F140BD11
5F140BD12
5F140BD13
5F140BF03
5F140BF05
5F140BF07
5F140BF10
5F140BF11
5F140BF42
5F140BH27
5F140BJ08
5F140BJ11
5F140BJ15
5F140BJ17
5F140BJ20
5F140BJ27
5F140BJ28
5F140BK18
5F140CA01
5F140CA03
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上させた半導体素子を提供する。
【解決手段】本発明の半導体素子は、基板絶縁層と、基板絶縁層上で、一方向に延長されるゲート構造物と、ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、ソース/ドレイン領域の下で、ソース/ドレイン領域の第1中心軸から水平方向にシフトされた第2中心軸を有するように配置されてソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、ソース/ドレイン領域は、第1濃度の第1非シリコン元素を含む第1エピタキシャル層、及び第1エピタキシャル層上に配置されて第1濃度よりも大きい第2濃度の第2非シリコン元素を含む第2エピタキシャル層を含み、バックサイドコンタクトプラグの上面は、少なくとも一部が第2エピタキシャル層に接触する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板絶縁層と、
前記基板絶縁層上で、一方向に延長されるゲート構造物と、
前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、
前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域の第1中心軸から水平方向にシフトされた第2中心軸を有するように配置されて前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、
前記ソース/ドレイン領域は、第1濃度の第1非シリコン元素を含む第1エピタキシャル層、及び前記第1エピタキシャル層上に配置されて前記第1濃度よりも大きい第2濃度の第2非シリコン元素を含む第2エピタキシャル層を含み、
前記バックサイドコンタクトプラグの上面は、少なくとも一部が前記第2エピタキシャル層に接触することを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記バックサイドコンタクトプラグは、前記ソース/ドレイン領域の下部で、前記第1エピタキシャル層を貫通して前記第1エピタキシャル層に接触することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記バックサイドコンタクトプラグは、垂直に延長されて第1幅を有する垂直領域、及び前記垂直領域上に配置されて前記第1幅よりも大きい第2幅を有する接触領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記第1中心軸と前記第2中心軸との間の水平距離は、0.5nm~20nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記第1非シリコン元素及び第2非シリコン元素のそれぞれは、ゲルマニウム(Ge)及びドーピング元素のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
【請求項6】
一方向に延長されるゲート構造物と、
前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、
前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域の第1中心軸から水平方向にシフトされた第2中心軸を有するように配置されて前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、
前記バックサイドコンタクトプラグは、垂直に延長されて第1幅を有する垂直領域、及び前記垂直領域上に配置されて前記第1幅よりも大きい第2幅を有する接触領域を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項7】
前記垂直領域は、前記ソース/ドレイン領域に向かって幅が狭くなるように傾斜した側面を有し、
前記接触領域は、前記垂直領域から拡張された形状を有することを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記バックサイドコンタクトプラグの上端のレベルは、前記ソース/ドレイン領域の下端のレベルよりも高いことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記接触領域の下端のレベルは、前記ソース/ドレイン領域の下端のレベルよりも高いことを特徴とする請求項6に記載の半導体素子。
【請求項10】
一方向に延長されるゲート構造物と、
前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、
前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、
前記バックサイドコンタクトプラグは、垂直に延長されて第1幅を有する垂直領域、及び前記垂直領域上に配置されて前記第1幅よりも大きい第2幅を有する接触領域を含み、
前記垂直領域の中心軸は、前記接触領域の中心軸から水平方向にシフトされることを特徴とする半導体素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子に対する高性能、高速化、多機能化等に対する要求が増加するにつれて、半導体素子の集積度が増加している。半導体素子の高集積化の傾向に伴い、パワーレールをウエハの裏面上に配置するバックサイドパワー伝達ネットワーク(BackSide Power Delivery Network:BSPDN)構造を有する半導体素子が開発されている。また、平面型(planar)MOSFET(metal oxide semiconductor FET)のサイズ縮小による動作特性の限界を克服するために、三次元構造のチャネルを備えるFinFETを含む半導体素子を開発するための努力が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、信頼性を向上させた半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するためになされ屋本発明の一態様による半導体素子は、基板絶縁層と、前記基板絶縁層上で、一方向に延長されるゲート構造物と、前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域の第1中心軸から水平方向にシフトされた第2中心軸を有するように配置されて前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、前記ソース/ドレイン領域は、第1濃度の第1非シリコン元素を含む第1エピタキシャル層、及び前記第1エピタキシャル層上に配置されて前記第1濃度よりも大きい第2濃度の第2非シリコン元素を含む第2エピタキシャル層を含み、前記バックサイドコンタクトプラグの上面は、少なくとも一部が前記第2エピタキシャル層に接触する。
【0005】
上記目的を達成するためになされ屋本発明の他の態様による半導体素子は、一方向に延長されるゲート構造物と、前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域の第1中心軸から水平方向にシフトされた第2中心軸を有するように配置されて前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、前記バックサイドコンタクトプラグは、垂直に延長されて第1幅を有する垂直領域、及び前記垂直領域上に配置されて前記第1幅よりも大きい第2幅を有する接触領域を含む。
【0006】
上記目的を達成するためになされ屋本発明の更に他の態様による半導体素子は、一方向に延長されるゲート構造物と、前記ゲート構造物の外側に配置されるソース/ドレイン領域と、前記ソース/ドレイン領域の下で、前記ソース/ドレイン領域に連結されるバックサイドコンタクトプラグと、を備え、前記バックサイドコンタクトプラグは、垂直に延長されて第1幅を有する垂直領域、及び前記垂直領域上に配置されて前記第1幅よりも大きい第2幅を有する接触領域を含み、前記垂直領域の中心軸は、前記接触領域の中心軸から水平方向にシフトされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、犠牲エピタキシャル層を用いてバックサイドコンタクトプラグをソース/ドレイン領域に整列(align)することにより、接触抵抗が最小化され、信頼性が向上した半導体素子を提供することができる。
【0008】
本発明の多様且つ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による半導体素子を示す概略的な平面図である。
図2】一実施形態による半導体素子の第1例を示す概略的な断面図である。
図3】一実施形態による半導体素子の第1例を示す概略的な部分拡大図である。
図4a】一実施形態による半導体素子の第2例を示す概略的な断面図である。
図4b】一実施形態による半導体素子の第2例を示す概略的な部分拡大図である。
図5a】一実施形態による半導体素子の第3例を示す概略的な断面図である。
図5b】一実施形態による半導体素子の第4例を示す概略的な断面図である。
図6a】一実施形態による半導体素子の第5例を示す概略的な断面図である。
図6b】一実施形態による半導体素子の第6例を示す概略的な断面図である。
図7】一実施形態による半導体素子の第7例を示す概略的な断面図である。
図8】一実施形態による半導体素子の第8例を示す概略的な断面図である。
図9a】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9b】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9c】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9d】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9e】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9f】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9g】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9h】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9i】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9j】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9k】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図9l】一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図10a】一実施形態による半導体素子の製造方法の他の例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図10b】一実施形態による半導体素子の製造方法の他の例を説明するために工程手順に従って示した図である。
図10c】一実施形態による半導体素子の製造方法の他の例を説明するために工程手順に従って示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下において、「上」、「上部」、「上面」、「下」、「下部」、「下面」、「側面」等の用語は、図面符号で表記して別途言及する場合を除き、図面に基づいて称するものと理解することができる。
【0011】
図1は、一実施形態による半導体素子を示す概略的な平面図である。
【0012】
図2は、一実施形態による半導体素子を示す概略的な断面図である。図2は、図1の半導体素子を切断線I-I’及びII-II’に沿って切断した断面を示す。説明の便宜上、図1では、半導体素子の一部の構成要素のみを示している。
【0013】
図3は、一実施形態による半導体素子を示す概略的な部分拡大図である。図3は、図2の「A」領域を拡大して示す。
【0014】
図1図3を参照すると、半導体素子100は、基板絶縁層194、基板絶縁層194上で、一方向に延長されてゲート電極165をそれぞれ含むゲート構造物160、基板絶縁層194上に互いに垂直に離隔して配置される第1~第4チャネル層(141、142、143、144)を含むチャネル構造物140、チャネル構造物140に接触するソース/ドレイン領域150、基板絶縁層194を貫通してソース/ドレイン領域150に連結されるバックサイドコンタクトプラグ180、及びバックサイドコンタクトプラグ180に連結されるバックサイド電力構造物195を含む。半導体素子100は、第1及び第2層間絶縁層(192、196)を更に含む。
【0015】
基板絶縁層194は、X方向及びY方向に延長される上面を有する。基板絶縁層194は、製造工程中に半導体物質からなる基板101(図9a参照)を除去及び/又は酸化して形成された層である。基板絶縁層194は絶縁物質からなり、例えば、酸化物、窒化物、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態によって、基板絶縁層194は複数の絶縁層を含む。
【0016】
ゲート構造物160は、基板絶縁層194上で、一方向、例えばY方向に延長されるように配置される。ゲート構造物160のゲート電極165に交差するチャネル構造物140には、トランジスタのチャネル領域が形成される。ゲート構造物160は、X方向に沿って互いに離隔して配置される。ゲート構造物160のそれぞれは、ゲート誘電層162、ゲートスペーサ層164、及びゲート電極165を含む。一実施形態において、ゲート構造物160のそれぞれは、ゲート電極165の上面上にキャッピング層を更に含む。
【0017】
ゲート誘電層162は、基板絶縁層194とゲート電極165との間、及びチャネル構造物140とゲート電極165との間に配置され、ゲート電極165の面のうちの少なくとも一部を覆うように配置される。例えば、ゲート誘電層162は、ゲート電極165の最上面を除く全ての面を囲むように配置される。ゲート誘電層162は、ゲート電極165とゲートスペーサ層164との間に延長されるが、これに限定されるものではない。ゲート誘電層162は、酸化物、窒化物、又は高誘電率(high-k)物質を含む。高誘電率物質は、シリコン酸化膜(SiO)よりも高い誘電定数(dielectric constant)を有する誘電物質を意味する。高誘電率物質は、例えばアルミニウム酸化物(Al)、タンタル酸化物(Ta)、チタン酸化物(TiO)、イットリウム酸化物(Y)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、ジルコニウムシリコン酸化物(ZrSi)、ハフニウム酸化物(HfO)、ハフニウムシリコン酸化物(HfSi)、ランタン酸化物(La)、ランタンアルミニウム酸化物(LaAl)、ランタンハフニウム酸化物(LaHf)、ハフニウムアルミニウム酸化物(HfAl)、及びプラセオジム酸化物(Pr)のうちのいずれか一つである。実施形態によって、ゲート誘電層162は多層構造からなる。
【0018】
ゲート電極165は、導電性物質を含み、例えばチタン窒化膜(TiN)、タンタル窒化膜(TaN)、又はタングステン窒化膜(WN)のような金属窒化物、及び/又はアルミニウム(Al)、タングステン(W)、又はモリブデン(Mo)などの金属物質、又はドープされた(doped)ポリシリコンのような半導体物質を含む。実施形態によって、ゲート電極165は多層構造からなる。図示していない領域で、ゲート電極165は上に配置された上部コンタクトプラグに連結される。
【0019】
ゲートスペーサ層164は、チャネル構造物140上で、ゲート電極165の両側面上に配置される。ゲートスペーサ層164は、ソース/ドレイン領域150とゲート電極165とを絶縁させる。実施形態によって、ゲートスペーサ層164の上端の形状は様々に変更され、ゲートスペーサ層164は多層構造からなる。ゲートスペーサ層164は、酸化物、窒化物、及び酸窒化物のうちの少なくとも一つを含み、例えば、低誘電率膜からなる。
【0020】
チャネル構造物140は、ゲート構造物160に交差するように基板絶縁層194上に配置される。チャネル構造物140のそれぞれは、Z方向に互いに離隔して配置される2つ以上の複数のチャネル層である第1~第4チャネル層(141、142、143、144)を含む。チャネル構造物140はソース/ドレイン領域150に連結される。チャネル構造物140は、X方向においてゲート構造物160と同一又は類似の幅を有する。Y方向に沿った断面において、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)のうちの下部に配置されたチャネル層は、上部に配置されたチャネル層と同じか又はそれよりも大きい幅を有する。一部の実施形態において、チャネル構造物140は、X方向においてゲート構造物160の下に側面が位置するように、ゲート構造物160に比べて減少した幅を有する。
【0021】
チャネル構造物140は半導体物質からなり、例えばシリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、及びゲルマニウム(Ge)のうちの少なくとも一つを含む。一つのチャネル構造物140をなすチャネル層の個数及び形状は、実施形態によって様々に変更される。
【0022】
半導体素子100では、ゲート電極165がチャネル構造物140の第1~第4チャネル層(141、142、143、144)の間及びチャネル構造物140上に配置される。これにより、半導体素子100は、ゲートオールアラウンド(Gate-All-Around)型の電界効果トランジスタであるMBCFETTM(Multi Bridge Channel FET)構造のトランジスタを含む。
【0023】
ソース/ドレイン領域150は、ゲート構造物160の両側で、チャネル構造物140に接触するようにそれぞれ配置される。ソース/ドレイン領域150は、チャネル構造物140の第1~第4チャネル層(141、142、143、144)のそれぞれのX方向に沿った側面を覆うように配置される。ソース/ドレイン領域150は、下面又は下端を介してバックサイドコンタクトプラグ180に連結される。ソース/ドレイン領域150の下部領域は、バックサイドコンタクトプラグ180によってリセスされた形状を有する。ソース/ドレイン領域150は、バックサイドコンタクトプラグ180を介してバックサイド電力構造物195に電気的に連結され、電力の印加を受ける。ソース/ドレイン領域150の上面はチャネル構造物140上のゲート電極165の下面と同一又は類似の高さに位置し、高さは実施形態によって様々に変更される。
【0024】
ソース/ドレイン領域150は、下から順次配置された第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)を含む。第1エピタキシャル層152は、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)のそれぞれのX方向に沿った側面を覆い、チャネル構造物140の下のゲート構造物160のX方向に沿った側面を覆う。第1エピタキシャル層152は、ソース/ドレイン領域150が配置されるリセス領域の内側面を覆い、一つのソース/ドレイン領域150内でバックサイドコンタクトプラグ180によってX方向に沿って離隔して配置される。第1エピタキシャル層152は、チャネル構造物140の下でゲート構造物160に向かって凸状に突出した外側面を有し、これによって、外側面に屈曲を有する。第1エピタキシャル層152の下部領域で、表面の一部はバックサイドコンタクトプラグ180に接触し、バックサイドコンタクトプラグ180の形状に沿った曲面形状を有する。
【0025】
第2エピタキシャル層154は第1エピタキシャル層152を覆い、リセス領域を充填する。第2エピタキシャル層156の下面は、バックサイドコンタクトプラグ180に接触し、バックサイドコンタクトプラグ180の形状に沿った曲面を有する。第1エピタキシャル層152の間における第2エピタキシャル層154のX方向に沿った幅は、第1エピタキシャル層152のチャネル構造物140の一側面における厚さよりも大きい。第3エピタキシャル層156は、第2エピタキシャル層154の上面上に配置される。第3エピタキシャル層156は、第1エピタキシャル層152よりも薄い厚さを有する。
【0026】
ソース/ドレイン領域150は、半導体物質、例えばシリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)のうちの少なくとも一つを含み、不純物を更に含む。第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)はそれぞれ異なる組成を有する。第2エピタキシャル層154の非シリコン元素の濃度は、第1エピタキシャル層152の非シリコン元素の濃度よりも高い。非シリコン元素は、例えばゲルマニウム(Ge)及び/又はドーピング元素である。
【0027】
第2エピタキシャル層154は、ドーピング元素、即ち不純物のドーピング濃度が第1エピタキシャル層152よりも高い。これにより、第2エピタキシャル層154の比抵抗は、第1エピタキシャル層152の比抵抗よりも小さい。半導体素子100がpFETの場合、不純物は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)のうちの少なくとも一つであり、nFETの場合、不純物は、リン(P)、ヒ素(As)、及びアンチモン(Sb)のうちの少なくとも一つである。例えば、第1エピタキシャル層152のホウ素(B)濃度は約1×1016/cm~約1×1021/cmの範囲であり、第2エピタキシャル層156のホウ素(B)濃度は約1×1019/cm~約1×1022/cmの範囲である。
【0028】
半導体素子100がpFETの場合、ソース/ドレイン領域150はシリコンゲルマニウム(SiGe)を含み、第2エピタキシャル層154のゲルマニウム(Ge)濃度は第1エピタキシャル層152のゲルマニウム(Ge)濃度よりも大きい。第3エピタキシャル層156のゲルマニウム(Ge)濃度は、第2エピタキシャル層154のゲルマニウム(Ge)濃度よりも小さいが、これに限定されるものではない。例えば、第1エピタキシャル層152のゲルマニウム(Ge)濃度は約1at%~約20at%の範囲であり、第2エピタキシャル層154のゲルマニウム(Ge)濃度は約30at%~約70at%の範囲であり、第3エピタキシャル層156のゲルマニウム(Ge)濃度は、約0at%~約40at%の範囲である。
【0029】
バックサイドコンタクトプラグ180はソース/ドレイン領域150の下に配置される。バックサイドコンタクトプラグ180は、基板絶縁層194を貫通してソース/ドレイン領域150に連結される。バックサイドコンタクトプラグ180は、ソース/ドレイン領域150の下部領域を一部リセスして、ソース/ドレイン領域150のリセスされた下面に接触するように配置される。バックサイドコンタクトプラグ180の上面は、ソース/ドレイン領域150の第1及び第2エピタキシャル層(152、154)の両方に接触する。バックサイドコンタクトプラグ180の上端のレベルは、ソース/ドレイン領域150の下端のレベルよりも高い。
【0030】
図3に示すように、バックサイドコンタクトプラグ180は、垂直に延長される垂直領域VR、及び垂直領域VR上に配置されて拡張された形状を有する接触領域CRを含む。垂直領域VRは、基板絶縁層194を貫通して垂直に延長され、ソース/ドレイン領域150に向かって幅が狭くなるように傾斜した側面を有する。垂直領域VRはソース/ドレイン領域150の下に位置する。接触領域CRは、第1エピタキシャル層152を貫通し、ソース/ドレイン領域150に接触する領域を含む。接触領域CRの表面の一部は第1エピタキシャル層152に接触し、一部は第2エピタキシャル層154に接触する。接触領域CRの下端のレベルは、ソース/ドレイン領域150の下端のレベルよりも低い。垂直領域VRは第1幅W1を有し、接触領域CRは第1幅W1よりも大きい第2幅W2を有する。垂直領域VRは上部に向かって幅が減少し、第1幅W1は接触領域CRに隣接する領域又は垂直領域VRの上端における幅である。
【0031】
図3に示すように、ソース/ドレイン領域150の第1中心軸C1とバックサイドコンタクトプラグ180の第2中心軸C2とは互いに一致せず、例えばX方向に沿って水平にシフトされて位置する。第1中心軸C1と第2中心軸C2との間の水平距離は、例えば約0.5nm~約20nmの範囲である。第2中心軸C2は垂直領域VRの中心軸である。垂直領域VRの中心軸は、接触領域CRの中心軸からX方向に沿って水平にシフトされて位置する。接触領域CRの中心軸は、第1中心軸C1と同じか又は異なり、垂直領域VRの中心軸よりも第1中心軸C1に近接する。
【0032】
バックサイドコンタクトプラグ180は、ライナー層182、金属-半導体化合物層184、及び導電層186を含む。ライナー層182は、垂直領域VRの外側面をなし、接触領域CRの表面の一部をなす。ライナー層182は、基板絶縁層194との界面に位置する。但し、ライナー層182の延長範囲は実施形態によって様々に変更され、一部の実施形態において、ライナー層182は接触領域CRに延長されない。ライナー層182は、例えばチタン窒化膜(TiN)、タンタル窒化膜(TaN)、又はタングステン窒化膜(WN)のような金属窒化物を含む。
【0033】
金属-半導体化合物層184は、バックサイドコンタクトプラグ180の上端に位置し、バックサイドコンタクトプラグ180の上面の少なくとも一部をなす。金属-半導体化合物層184は、接触領域CRでソース/ドレイン領域150に接触する表面に位置する。金属-半導体化合物層184は、少なくともバックサイドコンタクトプラグ180が第2エピタキシャル層154に接触する領域に配置する。但し、実施形態によって、金属-半導体化合物層184の範囲は、図示したものに限定されない。金属-半導体化合物層184は、例えば金属シリサイド層である。導電層186は、ライナー層182及び金属-半導体化合物層184で囲まれたコンタクトホールを充填するように配置される。導電層186は、例えばアルミニウム(Al)、タングステン(W)、又はモリブデン(Mo)などの金属物質を含む。一実施形態において、バックサイドコンタクトプラグ180を構成する導電層の個数及び配置形態は様々に変更される。一部の実施形態において、ライナー層182及び/又は金属-半導体化合物層184は省略される。
【0034】
本実施形態において、垂直領域VRがソース/ドレイン領域150に誤って配置された(misalign)場合、即ちシフトされて配置された場合にも、接触領域CRは、垂直領域VRよりも大きい幅を有し、第1中心軸C1と同じであるか又は第1中心軸C1に隣接する中心軸を有するように配置されることにより、ソース/ドレイン領域150に安定的に連結される。また、金属-半導体化合物層184とソース/ドレイン領域150の第2エピタキシャル層154との間の接触面積が確保され、接触抵抗を最小化することができる。
【0035】
バックサイド電力構造物195は、バックサイドコンタクトプラグ180の下端又は下面に連結される。バックサイド電力構造物195は、バックサイドコンタクトプラグ180と共に、パワー又はグランド電圧を印加するBSPDNをなし、裏面パワーレール又は埋め込みパワーレールと称される。例えば、バックサイド電力構造物195は、バックサイドコンタクトプラグ180の下で、一方向、例えばY方向に延長される埋め込み配線ラインであるが、バックサイド電力構造物195の形態はこれに限定されるものではない。例えば、一部の実施形態において、バックサイド電力構造物195はビア領域及び/又はライン領域を含む。バックサイド電力構造物195の幅は、下部に向かって連続的に増加するが、これに限定されるものではない。
【0036】
バックサイド電力構造物195の中心軸は、バックサイドコンタクトプラグ180の垂直領域VRとその中心軸である第2中心軸C2とが一致するように配置される。但し、一部の実施形態において、バックサイド電力構造物195の中心軸と第2中心軸C2とは一致しない。例えば、バックサイドコンタクトプラグ180の垂直領域VRを基準に、ソース/ドレイン領域150及びバックサイド電力構造物195は同じ方向にシフトされて配置される。
【0037】
バックサイド電力構造物195は、導電性物質、例えばタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも一つを含む。
【0038】
第1層間絶縁層192は、ソース/ドレイン領域150及びゲート構造物160の上面を覆うように配置される。第2層間絶縁層196は、基板絶縁層194の下面を覆い、バックサイド電力構造物195を囲むように配置される。
【0039】
第1及び第2層間絶縁層(192、196)は、酸化物、窒化物、及び酸窒化物のうちの少なくとも一つを含み、例えば低誘電率物質を含む。実施形態によって、第1及び第2層間絶縁層(192、196)のそれぞれは複数の絶縁層を含む。
【0040】
半導体素子100は、バックサイド電力構造物195が上部に位置するように、図2の構造が上下反転されてパッケージングされ得るが、半導体素子100のパッケージング形態はこれに限定されるものではない。ソース/ドレイン領域150は、バックサイドコンタクトプラグ180を介して下に配置されるバックサイド電力構造物195に連結されるため、集積度を向上させることができる。また、バックサイドコンタクトプラグ180の接触領域CRにより、バックサイドコンタクトプラグ180とソース/ドレイン領域150との間の接触領域が確保され、接触抵抗を最小化することができ、信頼性を向上させることができる。
【0041】
以下の実施形態に関する説明において、図1図3を参照して上述した説明と重複する説明は省略する。
【0042】
図4a及び図4bは、一実施形態による半導体素子の第2例を示す概略的な断面図及び部分拡大図である。図4aは図2に対応する領域を示し、図4bは図4aの「B」領域を拡大して示す。
【0043】
図4a及び図4bを参照すると、半導体素子100aは、バックサイドコンタクトプラグ180aの形状が図2及び図3の実施形態とは異なり、これによりソース/ドレイン領域150の形状が異なる。
【0044】
バックサイドコンタクトプラグ180aは、ソース/ドレイン領域150の下部領域で第1エピタキシャル層152を貫通するように配置される。具体的に、垂直領域VRは基板絶縁層194及び第1エピタキシャル層152を貫通して垂直に延長され、接触領域CRは上面を介して第2エピタキシャル層154に接触する。本実施形態においても、接触領域CRの幅は、垂直領域VRの少なくとも上部領域における幅よりも大きい。
【0045】
接触領域CRにおいて、上端を含む表面の一部は第2エピタキシャル層154に接触し、表面の一部は第1エピタキシャル層152に接触する。接触領域CRの下端のレベルは、ソース/ドレイン領域150の下端のレベルよりも高い。垂直領域VRにおいて、上部領域の側面の一部は第1エピタキシャル層152に接触する。図4bに示すように、金属-半導体化合物層184は垂直領域VRに延長されて、垂直領域VRがソース/ドレイン領域150に接触する表面に更に位置する。
【0046】
図5a及び図5bは、一実施形態による半導体素子の第3、4例を示す概略的な断面図である。図5a及び図5bは、それぞれ図2及び図4aの切断線I-I’に沿った断面に対応する領域を示す。
【0047】
図5aを参照すると、半導体素子100bにおいて、ソース/ドレイン領域150とバックサイドコンタクトプラグ180bとの配置関係は、図2及び図3の実施形態とは異なる。
【0048】
本実施形態において、バックサイドコンタクトプラグ180bの中心軸はソース/ドレイン領域150の中心軸に一致する。即ち、バックサイドコンタクトプラグ180bは、ソース/ドレイン領域150に正確に整列する。バックサイドコンタクトプラグ180bにおいて、垂直領域VRの中心軸と接触領域CRの中心軸とが互いに一致する。接触領域CRは、垂直領域VRよりも大きい幅を有するように拡張され、上面の一部を介してソース/ドレイン領域150に接触するため、接触抵抗を低くすることができる。
【0049】
図5bを参照すると、半導体素子100cにおいて、ソース/ドレイン領域150とバックサイドコンタクトプラグ180cとの配置関係は、図4a及び図4bの実施形態とは異なる。
【0050】
本実施形態において、バックサイドコンタクトプラグ180cの中心軸はソース/ドレイン領域150の中心軸に一致する。即ち、バックサイドコンタクトプラグ180cは、ソース/ドレイン領域150に正確に整列する。バックサイドコンタクトプラグ180cにおいて、垂直領域VRの中心軸と接触領域CRの中心軸とが互いに一致する。接触領域CRは、垂直領域VRの少なくとも上端よりも大きい幅を有するように拡張され、外表面を介してソース/ドレイン領域150に接触するため、接触抵抗を低くすることができる。
【0051】
図6a及び図6bは、一実施形態による半導体素子の第5、6例を示す概略的な断面図である。
【0052】
図6aを参照すると、半導体素子100dは、第1及び第2領域(R1、R2)を含む。第1領域R1には、図1図3を参照して上述した半導体素子が配置される。第2領域R2は、第1領域R1に隣接するか、又は第1領域R1から離隔する領域である。第2領域R2のソース/ドレイン領域150dは、第1領域R1のソース/ドレイン領域150とは異なり、犠牲エピタキシャル層151を更に含む。
【0053】
犠牲エピタキシャル層151は、ソース/ドレイン領域150dが配置されたリセス領域の底面上に配置され、基板絶縁層194と第1エピタキシャル層152との間に配置される。
【0054】
犠牲エピタキシャル層151は、第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)とは異なる組成を有する。犠牲エピタキシャル層151は、少なくとも第1及び第2エピタキシャル層(152、154)よりも高い濃度の非シリコン元素を含む。例えば、半導体素子100dがpFETである場合、犠牲エピタキシャル層151のゲルマニウム(Ge)濃度は、第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)のそれぞれのゲルマニウム(Ge)の濃度よりも高い。例えば、犠牲エピタキシャル層151のゲルマニウム(Ge)濃度は、約50at%~約100at%の範囲である。一部の実施形態において、犠牲エピタキシャル層151の不純物の濃度は、第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)のそれぞれの不純物の濃度よりも高い。
【0055】
一部の実施形態において、第2領域R2はダミー領域であり、この場合、第2領域R2のゲート構造物160及びソース/ドレイン領域150dはトランジスタを構成しない。一部の実施形態において、半導体素子100dは、ソース/ドレイン領域150d上に配置され、ソース/ドレイン領域150dの上部領域に連結されるコンタクトプラグを更に含む。
【0056】
図6bを参照すると、半導体素子100eは、図6aの説明のように、第1及び第2領域(R1、R2)を含む。第2領域R2のソース/ドレイン領域150eは、第1領域R1のソース/ドレイン領域150とは異なり、犠牲エピタキシャル層151を更に含む。
【0057】
本実施形態において、犠牲エピタキシャル層151は、第1エピタキシャル層152の中心領域上に配置され、第1エピタキシャル層152と第2エピタキシャル層154との間に配置される。その他に、犠牲エピタキシャル層151の物質に対する説明及び第2領域R2に対する説明は、図6aを参照した説明が同様に適用される。
【0058】
図7は、一実施形態による半導体素子の第7例を示す概略的な断面図である。図7は、図2の切断線I-I’に沿った断面に対応する領域を示す。
【0059】
図7を参照すると、半導体素子100fは、第4チャネル層144の下で、ゲート構造物160のX方向に沿って両側面上に配置される内部スペーサ層130を更に含む。
【0060】
内部スペーサ層130は、Z方向に沿って第1~第4チャネル層(141、142、143、144)の間でゲート電極165及びゲート誘電層162に並んで配置される。ゲート電極165は、内部スペーサ層130によってソース/ドレイン領域150から安定的に離隔されて、電気的に分離される。内部スペーサ層130は、ゲート電極165に対向する側面がゲート電極165に向かって内側に凸状に丸みを帯びた形状を有するが、これに限定されるものではない。内部スペーサ層130は、酸化物、窒化物、及び酸窒化物のうちの少なくとも一つを含み、例えば低誘電率膜からなる。一部の実施形態において、半導体素子100fは複数の素子を含み、そのうちの一部の素子にのみ内部スペーサ層130が適用される。
【0061】
図8は、一実施形態による半導体素子の第8例を示す概略的な断面図である。図8は、図2に示した領域に対応する領域を示す。
【0062】
図8を参照すると、半導体素子100gは、図1図3の実施形態とは異なり、チャネル構造物140を含まず、これによりゲート構造物160の配置が上記実施形態とは異なる。半導体素子100gは、別途のチャネル層を含まないFinFETを含む。
【0063】
半導体素子100gは、ゲート構造物160に交差して、一方向、例えばX方向に延長される活性領域105を更に含む。活性領域105は、半導体物質からなり、不純物を更に含む。ゲート構造物160の両側では、活性領域105が一部リセスされてリセス領域が形成され、リセス領域にソース/ドレイン領域150が配置される。
【0064】
半導体素子100gにおいて、トランジスタのチャネル領域は活性領域105に形成される。また、ゲート電極165内には別途のチャネル層が介在しない。これにより、ソース/ドレイン領域150において、第1エピタキシャル層152は、側面にゲート構造物160及びチャネル層に対応する屈曲を有さない。但し、ゲート電極165、ソース/ドレイン領域150、及びバックサイドコンタクトプラグ180に対するその他の説明は、図1図3の実施形態における説明が同様に適用される。このような半導体素子100gは、他の実施形態の半導体素子の一領域に更に配置される。
【0065】
図9a~図9lは、一実施形態による半導体素子の製造方法の一例を説明するために工程手順に従って示した図である。図9a~図9lは、図2に対応する断面を示す。
【0066】
図9aを参照すると、基板101上に犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)を交互に積層する。
【0067】
基板101は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、又はシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む。基板101は、バルクウエハ、エピタキシャル層、SOI(Silicon On Insulator)層、又はSeOI(Semiconductor On Insulator)層を含む。
【0068】
犠牲層120は、図2に示すように、後続工程を通じて第4チャネル層144の下のゲート誘電層162及びゲート電極165で交替される層である。犠牲層120は、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)に対してそれぞれエッチング選択性を有する物質からなる。第1~第4チャネル層(141、142、143、144)は犠牲層120とは異なる物質を含む。犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)は、例えばシリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、及びゲルマニウム(Ge)のうちの少なくとも一つを含む半導体物質を含むが、互いに異なる物質を含み、不純物を含むか又は含まない。例えば、犠牲層120はシリコンゲルマニウム(SiGe)を含み、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)はシリコン(Si)を含む。
【0069】
犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)は、上記積層構造からエピタキシャル成長工程を行うことによって形成される。犠牲層120と交互に積層されるチャネル層の層数は、実施形態によって様々に変更される。
【0070】
図9bを参照すると、犠牲層120、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)、及び基板101を一部除去して活性領域105を含む活性構造物を形成し、素子分離層110を形成する。
【0071】
活性構造物は、活性領域105、犠牲層120、及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)を含む。活性構造物は、一方向、例えばX方向に延長されるライン形態に形成されるか、又はY方向で隣接する活性構造物から互いに離隔されて形成される。活性構造物のY方向に沿った側面は、互いに共面をなし、一直線上に位置する。
【0072】
活性領域105、犠牲層120、及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)のそれぞれの一部が除去された領域には、絶縁物質を埋め込んだ後、活性領域105が突出するように絶縁物質を一部除去することによって素子分離層110が形成される。素子分離層110の上面は、活性領域105の上面よりも低く形成される。
【0073】
図9cを参照すると、活性構造物上に犠牲ゲート構造物200及びゲートスペーサ層164を形成する。
【0074】
犠牲ゲート構造物200は、図2に示すように、後続工程を通じてチャネル構造物140上でゲート誘電層162及びゲート電極165が配置される領域に形成される犠牲構造物である。犠牲ゲート構造物200は、活性構造物に交差して一方向に延長されるライン形態を有する。犠牲ゲート構造物200は、例えば、Y方向に延長され、X方向で互いに離隔して配置される。
【0075】
犠牲ゲート構造物200は、順次積層される第1及び第2犠牲ゲート層(202、205)、及びマスクパターン層206を含む。第1及び第2犠牲ゲート層(202、205)は、マスクパターン層206を用いてパターニングされる。第1及び第2犠牲ゲート層(202、205)は、それぞれ絶縁層及び導電層であるが、これらに限定されず、第1及び第2犠牲ゲート層(202、205)が一つの層からなってもよい。例えば、第1犠牲ゲート層202はシリコン酸化物を含み、第2犠牲ゲート層205はポリシリコンを含む。マスクパターン層206は、シリコン酸化物及び/又はシリコン窒化物を含む。
【0076】
ゲートスペーサ層164は、犠牲ゲート構造物200の両側壁上に形成される。ゲートスペーサ層164は低誘電率物質からなり、例えばSiO、SiN、SiCN、SiOC、SiON、及びSiOCNのうちの少なくとも一つを含む。
【0077】
図9dを参照すると、犠牲ゲート構造物200から露出した犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)を一部除去してリセス領域RCを形成し、犠牲層120を一部除去する。
【0078】
犠牲ゲート構造物200及びゲートスペーサ層164をマスクとして用いて、露出した犠牲層120の一部及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)の一部を除去し、リセス領域RCを形成する。これにより、第1~第4チャネル層(141、142、143、144)は、X方向に沿って限定された長さを有するチャネル構造物140をなす。
【0079】
犠牲層120は、例えば湿式エッチング工程によってチャネル構造物140に対して選択的にエッチングされ、X方向に沿った側面から所定の深さで除去される。犠牲層120は、上記のような側面エッチングによって内側に凹んだ側面を有する。但し、犠牲層120の側面の具体的な形状は、図9dに示したものに限定されない。
【0080】
図9eを参照すると、リセス領域RCに犠牲エピタキシャル層151を形成する。
【0081】
犠牲エピタキシャル層151は、リセス領域RCの底面を介して露出した活性領域105から、例えば選択的エピタキシャル工程によって成長させて形成される。犠牲エピタキシャル層151は、後続して形成されるソース/ドレイン領域150とは異なる組成を有する。例えば、犠牲エピタキシャル層151は、後続して形成されるソース/ドレイン領域150よりも相対的に高濃度のゲルマニウム(Ge)を含む。犠牲エピタキシャル層151は、犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)から離隔される。実施形態において、犠牲エピタキシャル層151の相対的な厚さは、犠牲エピタキシャル層151が犠牲層120及び第1~第4チャネル層(141、142、143、144)から離隔される範囲内で様々に変更される。
【0082】
図9fを参照すると、リセス領域RCを充填するようにソース/ドレイン領域150を形成する。
【0083】
ソース/ドレイン領域150は、活性領域105の上面、犠牲エピタキシャル層151の上面、及びチャネル構造物140の側面から、例えば選択的エピタキシャル工程によって成長させて形成される。ソース/ドレイン領域150をなす第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)は順次形成される。第1~第3エピタキシャル層(152、154、156)は、インサイチュー(in-situ)ドーピングによって不純物を含み、それぞれ異なる組成及び/又はドーピング濃度を有する。
【0084】
図9gを参照すると、第1層間絶縁層192を一部形成し、犠牲ゲート構造物200及び犠牲層120を除去する。
【0085】
第1層間絶縁層192は、犠牲ゲート構造物200及びソース/ドレイン領域150を覆う絶縁膜を形成して平坦化工程を行うことにより、形成される。
【0086】
犠牲ゲート構造物200及び犠牲層120は、ゲートスペーサ層164、第1層間絶縁層192、及びチャネル構造物140に対して選択的に除去される。先ず、犠牲ゲート構造物200を除去して上部ギャップ領域URを形成した後、上部ギャップ領域URを介して露出した犠牲層120を除去し、下部ギャップ領域LRを形成する。
【0087】
例えば、犠牲層120がシリコンゲルマニウム(SiGe)を含み、チャネル構造物140がシリコン(Si)を含む場合、犠牲層120は湿式エッチング工程を行ってチャネル構造物140に対して選択的に除去される。例えば、犠牲層120が相対的に高濃度である第1濃度のゲルマニウム(Ge)を含み、第1エピタキシャル層152が相対的に低濃度である第2濃度のゲルマニウム(Ge)を含む場合、犠牲層120は第1エピタキシャル層152に対して選択的に除去される。
【0088】
図9hを参照すると、ゲート誘電層162及びゲート電極165を形成してゲート構造物160を形成する。
【0089】
ゲート誘電層162及びゲート電極165は、上部ギャップ領域UR及び下部ギャップ領域LRを充填するように形成される。ゲート誘電層162は、上部ギャップ領域UR及び下部ギャップ領域LRの内面をコンフォーマルに覆うように形成される。ゲート電極165は、上部ギャップ領域UR及び下部ギャップ領域LRを完全に埋め込むように形成した後、ゲート誘電層162及びゲートスペーサ層164と共に、上部ギャップ領域URで上部から所定の深さで除去される。
【0090】
その後に、ゲート構造物160上に第1層間絶縁層192を更に形成する。
【0091】
図9iを参照すると、図9a~図9hを参照して形成された構造物全体をキャリア基板SUBに取り付け、基板101を除去して基板絶縁層194を形成する。
【0092】
先ず、具体的には図示していないが、ゲート構造物160上にゲート構造物160に連結されるコンタクトプラグ及び配線ラインを更に形成する。キャリア基板SUBは、図9hにおける基板101の下面上に工程を行うために、第1層間絶縁層192上に取り付ける。以下の図では、理解を容易にするために、構造物全体が図9hで示した構造のミラーイメージの形で回転又は反転するものとして示している。
【0093】
基板101の上面から基板101を除去する。基板101は、例えばラッピング(lapping)、グラインディング(grinding)、又はポリシング(polishing)工程によって除去されて薄型化(thinning)され、残存する領域もエッチング及び/又は酸化工程によって除去される。但し、基板101が除去される厚さは、実施形態によって様々に変更される。一部の実施形態において、基板101は完全に除去されず、一部が残存する。この場合、ゲート構造物160の最上面上に活性領域105が残存する。
【0094】
基板絶縁層194は、基板101が除去された領域に形成される。素子分離層110の一部が基板101と共に除去されずに残存する場合、基板絶縁層194は残存する素子分離層110を含む。
【0095】
図9jを参照すると、コンタクトホールCTHを形成し、犠牲エピタキシャル層151を除去する。
【0096】
コンタクトホールCTHは、図2及び図3のバックサイドコンタクトプラグ180の垂直領域VRに沿って、基板絶縁層194を貫通するように形成される。コンタクトホールCTHを介して犠牲エピタキシャル層151が露出する。露出した犠牲エピタキシャル層151は、エッチング工程によって選択的に除去される。これにより、コンタクトホールCTHの下に拡張部ESが形成される。
【0097】
本段階において、コンタクトホールCTHの形成時に、コンタクトホールCTHがソース/ドレイン領域150に正確に整列せずにシフトされて形成される。この場合にも、犠牲エピタキシャル層151が選択的に除去されることで、拡張部ESを介して露出するソース/ドレイン領域150の領域がソース/ドレイン領域150の中心により近接し、露出するソース/ドレイン領域150の表面積を確保することができる。
【0098】
図9kを参照すると、露出した第1エピタキシャル層152を一部除去する。
【0099】
コンタクトホールCTHの下で露出した第1エピタキシャル層152を一部除去して、第2エピタキシャル層154を露出させる。これにより、コンタクトホールCTHの下の拡張部ESが更に拡張され、図3の接触領域CRに対応する。本段階は、図9jを参照して上述した犠牲エピタキシャル層151の除去段階と連続的に行われるが、これに限定されるものではない。
【0100】
図9lを参照すると、金属-半導体化合物層184を形成する。
金属-半導体化合物層184は、拡張部ESを介して露出したソース/ドレイン領域150を用いて、例えばシリサイド(silicidation)工程などのような金属-半導体化工程を行うことにより形成される。
【0101】
次に、図2を併せて参照すると、ライナー層182及び導電層186を形成してバックサイドコンタクトプラグ180を形成した後、バックサイド電力構造物195を形成する。
【0102】
ライナー層182は基板絶縁層194の露出した表面上に形成され、導電層186はコンタクトホールCTH及び拡張部ESを充填するように形成される。これにより、ライナー層182、金属-半導体化合物層184、及び導電層186を含むバックサイドコンタクトプラグ180が形成される。
【0103】
次に、第2層間絶縁層196を形成した後、これを一部除去してバックサイド電力構造物195を形成し、キャリア基板SUBを除去する。
【0104】
これにより、図1図3の半導体素子100が製造される。半導体素子100は、バックサイド電力構造物195が上部に位置する状態でパッケージングされるが、これに限定されるものではない。
【0105】
図10a~図10cは、一実施形態による半導体素子の製造方法の他の例を説明するために工程手順に従って示した図である。図10a~図10cは、図4aに対応する断面を示す。
【0106】
図10aを参照すると、先ず図9a~図9dを参照して上述した工程が同様に行われた後、リセス領域RCに犠牲エピタキシャル層151及びソース/ドレイン領域150を形成する。
【0107】
犠牲エピタキシャル層151は、第1エピタキシャル層152を形成した後、第1エピタキシャル層152の中心領域上に形成される。第2及び第3エピタキシャル層(154、156)は、犠牲エピタキシャル層151上に順次形成される。
【0108】
図10bを参照すると、図9g~図9iを参照して上述した工程が同様に行われた後、コンタクトホールCTHを形成して、犠牲エピタキシャル層151を除去する。
【0109】
本実施形態のコンタクトホールCTHは、図4a及び図4bのバックサイドコンタクトプラグ180aの垂直領域VRに沿って、基板絶縁層194及び第1エピタキシャル層152を貫通するように形成される。コンタクトホールCTHを介して犠牲エピタキシャル層151が露出する。
【0110】
露出した犠牲エピタキシャル層151はエッチング工程によって除去される。これにより、コンタクトホールCTHの下に拡張部ESが形成され、拡張部ESを介して第2エピタキシャル層154が露出する。拡張部ESは、図4bの接触領域CRに対応する。犠牲エピタキシャル層151を除去する際に、第2エピタキシャル層154も一部が共に除去されるが、これに限定されるものではない。
【0111】
図10cを参照すると、金属-半導体化合物層184を形成する。金属-半導体化合物層184は、拡張部ESを介して露出したソース/ドレイン領域150を用いて金属-半導体化工程を行うことによって形成される。
【0112】
次に、図4aを共に参照すると、ライナー層182及び導電層186を形成してバックサイドコンタクトプラグ180aを形成した後、バックサイド電力構造195を形成する。これにより、図4a及び図4bの半導体素子100aが製造される。
【0113】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0114】
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g 半導体素子 101 基板
105 活性領域
110 素子分離層
120 犠牲層
130 内部スペーサ層
140 チャネル構造物
141~144 第1~第4チャネル層
150、150d、150e ソース/ドレイン領域
151 犠牲エピタキシャル層
152、154、156 第1~第3エピタキシャル層
160 ゲート構造物
162 ゲート誘電層
164 ゲートスペーサ層
165 ゲート電極
180、180a、180b、180c バックサイドコンタクトプラグ
182 ライナー層
184 金属-半導体化合物層
186 導電層
192、196 第1、第2層間絶縁層
194 基板絶縁層
195 バックサイド電力構造物
200 犠牲ゲート構造物
202、205 第1、第2犠牲ゲート層
206 マスクパターン層
CR 接触領域
CTH コンタクトホール
ES 拡張部
LR、UR 下部、上部ギャップ領域
RC リセス領域
R1、R2 第1、第2領域
SUB キャリア基板
VR 垂直領域

図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図9g
図9h
図9i
図9j
図9k
図9l
図10a
図10b
図10c