(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118948
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】報酬発行システム、報酬発行方法および、報酬発行プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20240826BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025568
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】516161242
【氏名又は名称】グリーンモンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】小川 亮
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB51
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】
新規の株主を創出すること。
【解決手段】
株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信し、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集し、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出し、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報酬発行システムであって、
配信部と、行動履歴収集部と、条件検出部と、発行部と、を備え、
前記配信部は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信し、
前記行動履歴収集部は、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集し、
前記条件検出部は、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出し、
前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する、報酬発行システム。
【請求項2】
前記行動履歴収集部は、利用者による仮想株式に対する行動履歴を収集する、請求項1に記載の報酬発行システム。
【請求項3】
前記発行部は、前記株式の発行企業に関連する優待を前記報酬として発行する、請求項1又は請求項2に記載の報酬発行システム。
【請求項4】
前記行動履歴収集部は、利用者による株式に対する行動履歴を収集し、
前記条件検出部は、前記行動履歴に含まれる第1発行条件を検出し、
前記配信部は、前記第1発行条件を満たす利用者に前記コンテンツを配信し、
前記発行部は、前記第1発行条件および前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する、請求項1又は請求項2に記載の報酬発行システム。
【請求項5】
前記コンテンツは、前記株式の発行企業に関連する学習コンテンツを含む、請求項1又は請求項2に記載の報酬発行システム。
【請求項6】
前記コンテンツは、前記株式の発行企業に関連するクイズコンテンツを含み、
前記条件検出部は、前記クイズコンテンツに対する回答結果を含む第2発行条件を検出する、請求項5に記載の報酬発行システム。
【請求項7】
前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者を抽選対象者として抽選処理を実行し、抽選された前記利用者に報酬を発行する、請求項1又は請求項2に記載の報酬発行システム。
【請求項8】
前記発行部は、株式に対する行動履歴と、株式を購入した利用者と、を含むデータセットにより機械学習された抽選モデルを有し、前記抽選対象者の行動履歴を前記抽選モデルに入力し、抽選された利用者を出力する、請求項7に記載の報酬発行システム。
【請求項9】
報酬発行方法であって、
株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信する工程と、
利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集する工程と、
前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出する工程と、
少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する工程と、をコンピュータが実行する報酬発行方法。
【請求項10】
報酬発行プログラムであって、
配信部と、行動履歴収集部と、条件検出部と、発行部と、としてコンピュータを機能させ、
前記配信部は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信し、
前記行動履歴収集部は、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集し、
前記条件検出部は、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出し、
前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する、報酬発行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の株主を創出する報酬発行システム、報酬発行方法および、報酬発行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
株式の発行会社では、マーケティングを通じて、自社への注目度を高め、新規の株主を獲得することが重要な活動である。
【0003】
特許文献1では、ユーザの株式取引に関する情報を利用し、特定のユーザに対してメッセージの配信を行うことが可能な技術を開示している。
特許文献1では、管理サーバ10は、株式の発行会社が利用する発行会社端末と、ユーザが利用するユーザ端末と通信すること、管理サーバ10は、ユーザごとに、ユーザに関する属性であって発行会社に対するユーザの愛好度を示す属性を含む属性が格納された属性情報を記憶する記憶部108と、発行会社端末から、ユーザに関する属性のうち少なくとも発行会社に対するユーザの愛好度を示す属性に対応づけられたメッセージの登録を受け付ける登録処理部103と、登録処理部により登録されたメッセージを、メッセージに対応づけられた属性を有するユーザが利用するユーザ端末に送信するメッセージ処理部104と、を有すること、を具体的な手段として開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新規の株主を獲得することは、容易ではない。新規株主の有力な候補は、元々多くの株式を取引する株式取引者や、株式発行会社の商品やサービスに関心を持つ株式取引者などが挙げられる。一方で、このような株式取引者は、人数として多くはなく、更に、その中から自社の株式に興味を持ってもらうことは難しい。
【0006】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであって、新規の株主を創出する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、報酬発行システムであって、配信部と、行動履歴収集部と、条件検出部と、発行部と、を備え、前記配信部は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信し、前記行動履歴収集部は、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集し、前記条件検出部は、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出し、前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
また、本発明は、報酬発行方法であって、前記配信部は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信する工程と、前記行動履歴収集部は、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集する工程と、前記条件検出部は、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出する工程と、前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する工程と、をコンピュータが実行する。
また、本発明は、報酬発行プログラムであって、配信部と、行動履歴収集部と、条件検出部と、発行部と、としてコンピュータを機能させ、前記配信部は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に配信し、前記行動履歴収集部は、利用者による前記コンテンツに対する行動履歴を収集し、前記条件検出部は、前記コンテンツに対する行動履歴である第2発行条件を検出し、前記発行部は、少なくとも前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
【0008】
このような構成とすることで、コンテンツに対する行動履歴のある利用者に対して報酬を発行し、利用者の株式に対する行動を活性化させることで、新規の株主を創出することを支援することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴収集部は、利用者による仮想株式に対する行動履歴を収集する。
このような構成とすることで、仮想株式の行動を活性化することで、実際の株式への興味関心を誘起することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記発行部は、前記株式の発行企業に関連する優待を前記報酬として発行する。
このような構成とすることで、利用者に株式に対する行動から株式の発行企業に関連する優待を発行し、実際の株式保有による優待を疑似体験してもらうことで、実際の株式への興味関心を誘起することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記行動履歴収集部は、利用者による株式に対する行動履歴を収集し、前記条件検出部は、前記行動履歴に含まれる第1発行条件を検出し、前記配信部は、前記第1発行条件を満たす利用者に前記コンテンツを配信し、前記発行部は、前記第1発行条件および前記第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
このような構成とすることで、株式に対する行動を行った利用者にコンテンツを配信し、株式に対する興味関心を徐々に活性化することで、新規の株主を創出することを支援することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記コンテンツは、前記株式の発行企業に関連する学習コンテンツを含む。
このような構成とすることで、一定の株式への行動を行った利用者に対して、発行企業のことをより深く知ってもらうためのコンテンツを提供することで、有力な株主の候補者を創出することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記コンテンツは、前記株式の発行企業に関連するクイズコンテンツを含み、前記条件検出部は、前記クイズコンテンツに対する回答結果を含む第2発行条件を検出する。
このような構成とすることで、利用者は、積極性を以て発行企業に関して学習するようになるため、より有力な株主の候補者を創出することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記発行部は、前記第1発行条件および前記第2発行条件を満たす利用者を抽選対象者として抽選処理を実行し、抽選された前記利用者に報酬を発行する。
本発明の好ましい形態では、前記発行部は、株式に対する行動履歴と、株式を購入した利用者と、を含むデータセットにより機械学習された抽選モデルを有し、前記抽選対象者の行動履歴を前記抽選モデルに入力し、抽選された利用者を出力する。
このような構成とすることで、利用者の株式に対する行動を更に活性化させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新規の株主を創出する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の報酬発行システムのブロック図。
【
図5】本実施形態のコンテンツに関連するデータの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関する報酬発行システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0018】
本実施形態では、報酬発行システム、報酬発行装置および、報酬発行プログラムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0019】
報酬発行システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納される報酬発行プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置を報酬発行装置として機能させることができる。報酬発行方法は、報酬発行装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0020】
本実施形態において、株式は、実際の証券取引所等で扱われる実際株式と、証券取引のシミュレーション等で用いられる仮想株式と、を含む。仮想株式は、実際株式の銘柄に対応し、実際のレート等を時間差によって反映している。本明細書において、両者を特に区別しない場合、単に「株式」と記載する。
【0021】
本実施形態において、利用者は、実際株式の取引を行っている者、仮想株式の取引を行っている者を含む。仮想株式の取引を行っている者は、実際株式の取引を行っていなくてもよい。
【0022】
図1は、報酬発行システム1のブロック図を示す。報酬発行システム1は、報酬発行装置2と、取引装置3と、利用者端末4と、記憶部DBと、を備え、これらの構成部は、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。
【0023】
報酬発行装置2は、機能構成要素として、利用者による株式に対する行動履歴を収集する行動履歴収集部21と、利用者の行動履歴に含まれる所定の条件を検出する条件検出部22と、利用者にコンテンツを配信する配信部23と、利用者に報酬を発行する発行部24と、を備える。
【0024】
行動履歴収集部21は、記憶部DBに格納される利用者の行動履歴を収集し、行動履歴DBに格納する。本実施形態において、行動履歴は、利用者による株式に対する行動に伴う履歴であって、取引履歴、閲覧履歴、回答履歴、利用履歴などを含む。
【0025】
取引装置3は、実際株式の取引処理を実行する装置であって、証券取引所等に設置される実際株式取引サーバとして構成される。取引装置3は、証券取引市場における各種株式銘柄の価格などを含む実際株式情報や、利用者の所有する証券取引口座の情報などを含む利用者アカウントを管理し、利用者アカウントによる証券取引市場における実際株式の売買などの取引履歴を管理する。利用者アカウントにより取引指示された実際株式の取引履歴は、利用者IDと関連付けられて記憶部DBに格納される。
【0026】
取引装置3は、仮想株式の取引処理を実行する装置であって、仮想株式取引サーバとして構成される。このとき、取引装置3は、実際株式取引サーバより株式情報を収集し、実際株式情報に基づき仮想株式情報を生成する。仮想株式情報は、実際株式情報と同様の株式銘柄、価格などの仮想株式に関する情報である。取引装置3は、仮想株式情報や利用者アカウントを管理し、利用者による仮想株式の売買などの取引履歴を管理する。利用者アカウントにより取引指示された仮想株式の取引履歴は、利用者IDと関連付けられて記憶部DBに格納される。
【0027】
利用者端末4は、利用者により操作される端末装置である。利用者端末4は、報酬発行装置2や取引装置3に対する指示操作を受け付け、その指示命令を報酬発行装置2や取引装置3に対して送信する。利用者端末4は、報酬発行装置2や取引装置3による処理結果を受信し、その結果を画面表示などとして出力する。
図1において、利用者端末4は、1つのみ示したが複数存在してもよい。
【0028】
発行企業端末5は、株式の発行企業により操作される端末装置である。発行企業端末5は、報酬発行装置2や取引装置3に対する指示操作を受け付け、その指示命令を報酬発行装置2や取引装置3に対して送信する。また、発行企業端末5は、報酬発行装置2や取引装置3による処理結果を受信し、その結果を画面表示などとして出力する。
図1において、発行企業端末5は、1つのみ示したが複数存在してもよい。
【0029】
図2(a)は、報酬発行装置2のハードウェア構成図を示す。報酬発行装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、報酬発行装置2は、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、報酬発行装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、全体として上述の機能構成要素(21-24)を実現できればよく、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0030】
制御部201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、報酬発行プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、報酬発行装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、報酬発行プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、取引装置3、利用者端末4および、記憶部DBとのデータ通信を実現する。
【0031】
取引装置3は、報酬発行装置2と同様のハードウェア構成を備えるものであってよい。また、取引装置3は、仮想株式取引サーバとして構成される場合、報酬発行装置2と同様のコンピュータ装置に実装されてもよい。
【0032】
図2(b)は、利用者端末4、発行企業端末5を含む端末装置9のハードウェア構成図を示す。利用者端末4は、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、表示部905と、を備える。本実施形態において、端末装置10は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0033】
制御部901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、利用者端末4における全体処理を制御する。記憶部902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、報酬発行装置2や取引装置3、記憶部DBとのデータ通信を実現する。入力部904は、利用者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。表示部905は、制御部901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0034】
本実施形態において、利用者端末4は、ウェブブラウザを介して報酬発行システム1にアクセスする態様を示すが、これに限定されない。例えば、利用者端末4は、端末用報酬発行プログラムを記憶部302に記憶し、制御部301により当該プログラムを実行することで、アプリケーションを起動し、報酬発行システム1にアクセスする態様としてもよい。また、利用者端末4は、報酬発行装置2の機能構成(21―24)の一部を実現する構成としてもよい。
【0035】
図3は、一実施形態にかかる報酬発行処理にかかるフローチャートを示す。利用者は、利用者端末4を介して、報酬発行システム1における利用者アカウントを登録済みであって、当該利用者アカウントを用いてログインを行い、株式の取引を行っている。
【0036】
配信部23は、株式の発行企業に関連するコンテンツを利用者に対して配信する(S11)。コンテンツは、発行企業の操作する発行企業端末5を介して登録指示を受け付けることで、コンテンツDBに格納されている。コンテンツは、株式の発行企業に関連する学習コンテンツであって、閲覧形式コンテンツと、回答形式コンテンツと、を含む。
【0037】
閲覧形式コンテンツは、発行企業の商品やサービス、企業理念や歴史、経営状況や経営方針、事業の展開予定などの紹介や解説であって、資料や画像、テキストデータ、映像などによって配信される。
【0038】
回答形式コンテンツは、発行企業の商品やサービス、企業理念や歴史、経営状況や経営方針、事業の展開予定などに関する問題がクイズ形式で配信されるクイズコンテンツを含む。回答形式コンテンツは、クイズの出題データと、クイズの回答データと、により構成される。回答データは、出題データに対する回答を選択する方式や、テキストデータにより入力する方式を採用できる。回答データは、正誤結果が紐づけられており、回答データが正解か不正解かについて判定される。
【0039】
回答形式コンテンツは、アンケートコンテンツを含んでもよい。アンケートコンテンツは、発行企業への関心や、株式取引への関心、株式の売買理由、取引の経験、興味のある銘柄などのアンケートデータと、アンケートへの回答データと、により構成される。回答データは、発行企業別に配信されるアンケートコンテンツであれば、当該発行企業に対する関心度が紐づけられており、利用者の関心度が判定されてもよい。
【0040】
行動履歴収集部21は、利用者のコンテンツに対する行動履歴を収集し、行動履歴DBに格納する(S12)。行動履歴収集部21は、利用者端末4を介してコンテンツへのアクセス要求を受け付け、閲覧形式コンテンツに対する閲覧回数、閲覧時間などの閲覧履歴を収集し、コンテンツに対応する発行企業の株式に対する行動履歴として行動履歴DBに格納する。行動履歴収集部21は、利用者端末4を介して回答データの入力を受け付け、回答形式コンテンツに対する回答数、回答時間、正解数または正解率などの回答履歴を収集し、コンテンツに対応する発行企業の株式に対する行動履歴として行動履歴DBに格納する。
【0041】
条件検出部22は、行動履歴DBを参照し、利用者の株式に対する行動履歴に含まれる発行条件を検出する(S13)。本実施形態において、発行条件は、報酬を発行するための所定条件を定義したものである。発行条件は、発行企業端末5を介して設定可能であってよい。発行条件は、例えば、コンテンツに対する閲覧履歴および/または回答履歴において、所定の閲覧回数や所定の正解数を設定できる。条件検出部22は、発行条件を満たす行動履歴を検出できない場合(S13でNO)、処理を完了する。
【0042】
条件検出部22は、発行条件を満たす行動履歴を検出できた場合(S13でYES)、発行部24は、少なくとも当該発行条件を満たす利用者に対して報酬を発行する(S14)。本実施形態において、報酬は、電子的な報酬データとして利用者端末4に対して発行される。発行部24は、報酬を発行するにあたり、抽選処理を実行してもよい。
【0043】
図4(a)は、利用者端末4に表示される閲覧形式コンテンツ画面W10の画面表示例を示す。閲覧形式コンテンツ画面W10は、コンテンツW11A~W11Cに対する選択操作を受け付けることで、発行企業の商品や開発に関する詳細情報画面(図示せず)へと遷移させる。行動履歴収集部21は、コンテンツW11A~W11Cへのそれぞれの行動履歴を収集することができる。
【0044】
図4(b)は、利用者端末4に表示される回答形式コンテンツ画面W20の画面表示例を示す。回答形式コンテンツ画面W20は、出題データに基づき表示される出題表示部W21と、回答データを受け付ける回答入力部W22と、を備える。回答入力部W22は、出題データの形式に応じて選択形式や入力形式を適宜変更可能である。行動履歴収集部21は、回答入力部W22を介して入力される回答データの回答結果、回答時間などの行動履歴を収集することができる。
【0045】
図5は、コンテンツに関連する各種データの構成例を示す。
【0046】
閲覧履歴情報は、利用者別の閲覧形式コンテンツに対する行動履歴(閲覧履歴)に関する情報を示す。閲覧履歴情報は、
図5(a)に示すように、利用者IDをキーとして、1または複数のコンテンツIDと、コンテンツに対する閲覧回数、閲覧時間などの閲覧履歴と、を含む。
【0047】
回答履歴情報は、利用者別の回答形式コンテンツに対する行動履歴(回答履歴)に関する情報を示す。回答履歴情報は、
図5(b)に示すように、利用者IDをキーとして、1または複数のコンテンツIDと、当該コンテンツに紐づく出題データIDと、当該出題データに対する利用者の回答データと、当該回答データの正誤結果および回答時間などの回答履歴と、を含む。
【0048】
コンテンツ情報は、発行企業別に配信するコンテンツの設定に関する情報を示す。コンテンツ情報は、
図5(c)に示すように、発行企業IDをキーとして、コンテンツIDと、コンテンツ内容と、を含む。コンテンツ内容は、テキストデータ、画像、映像などのファイルなどを含む。また、コンテンツ情報は、回答形式コンテンツであれば、出題データID、出題データ、正解データなどを含むことができる。
【0049】
発行条件は、発行企業別に設定可能である。発行条件は、コンテンツ別に設定可能であって、コンテンツに対する1または複数の行動履歴が設定される。発行条件は、例えば、閲覧形式コンテンツに対する閲覧の有無、閲覧回数、閲覧時間などが設定され、回答形式コンテンツに対する回答の有無、正解の有無、正答率などが設定される。
【0050】
発行条件は、複数のコンテンツに対する行動履歴を条件として設定されてもよい。発行条件は、例えば、2つ以上の異なるコンテンツに対する閲覧履歴および/または回答履歴を条件として設定される。また、発行条件は、閲覧形式コンテンツに対する閲覧履歴に応じて、回答形式コンテンツを配信する条件が含まれてもよい。
【0051】
発行部24は、閲覧履歴、回答履歴に含まれる1つ以上の所定の発行条件を満たす利用者に報酬を発行するように構成されてもよい。
一態様として、条件検出部22は、閲覧形式コンテンツに対する行動履歴である発行条件を検出し、発行部24は、少なくとも当該発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
一態様として、条件検出部22は、閲覧形式コンテンツに対する行動履歴である発行条件を検出すると、配信部23は、当該発行条件を満たす利用者に回答形式コンテンツを配信する。条件検出部22は、更に回答形式コンテンツに対する行動履歴である発行条件を検出し、発行部24は、当該発行条件を満たす利用者に報酬を発行する。
【0052】
図6は、一実施形態にかかる報酬発行処理にかかるフローチャートを示す。本実施形態において、発行条件は、株式に対する所定の行動履歴に設定される第1発行条件と、株式に関連するコンテンツに対する所定の行動履歴に設定される第2発行条件と、を含む。
【0053】
行動履歴収集部21は、利用者の株式に対する行動履歴を収集し、行動履歴DBに格納する(S21)。ここで、行動履歴は、取引履歴、閲覧履歴、回答履歴、利用履歴を含む。閲覧履歴および回答履歴は、
図5と同様である。
【0054】
取引履歴は、
図7(a)に示すように、株式の売買に関する履歴であって、利用者IDと、取引した株式の銘柄を特定する発行企業IDと、保有する株数と、保有期間と、などを有する。取引履歴は、過去の保有株数と、過去の保有期間と、損益額と、資産に占める当該銘柄の比率と、などを更に有してもよい。
【0055】
利用履歴は、
図7(b)に示すように、仮想株式取引サーバより取得される仮想株式取引による利用者の実績に関する履歴であって、利用者IDと、含み損益額と、クイックモードスコアと、利用期間と、平均ログイン日数、証券取引口座開設状況などを有する。クイックモードスコアは、ゲーム形式で仮想株式の売買を行い、最終的な損益額などに基づき算出されるスコアを示す。利用期間は、利用者アカウントを発行後の利用期間であり、平均ログイン日数は、当該利用者アカウントの月別のログイン日数の平均などを示す。
【0056】
条件検出部22は、行動履歴に含まれる第1発行条件を検出する(S22)。第1発行条件は、本実施形態において、第1発行条件は、発行企業への一定の関心を示す利用者に対してコンテンツを配信し、報酬を発行するための所定条件を定義したものである。第1発行条件は、発行企業端末5を介して設定可能であってよい。第1発行条件は、例えば、発行企業の株式について権利確定日に保有していること、発行企業の株式に関する現在または過去における取引履歴があること、所定数以上の株数を保有すること、所定期間以上の保有期間であること、などを設定できる。
【0057】
条件検出部22は、第1発行条件を満たす行動履歴を検出できた場合(S22でYES)、配信部23は、発行企業に関連するコンテンツを利用者に対して配信する(S23)。配信部23は、例えば、配信するコンテンツのリンクを含む通知を利用者端末4に送信することで、利用者にコンテンツを配信する。配信部23は、初めに閲覧形式コンテンツを配信し、当該コンテンツに対する閲覧履歴が検出された場合、更に回答形式コンテンツを配信する構成としてもよい。なお、ここで回答形式コンテンツは、クイズコンテンツであって、閲覧形式コンテンツの配信により発行企業に関して学習した利用者に対して、その理解度を図る目的で配信されることが好ましい。
【0058】
行動履歴収集部21は、コンテンツに対する行動履歴を含む利用者の情報を更に収集する(S24)。ここで、行動履歴収集部21は、利用者の年齢、性別、職業など利用者属性を更に収集してもよい。
【0059】
条件検出部22は、行動履歴に含まれる少なくとも第2発行条件を検出する(S25)。第2発行条件は、本実施形態において、報酬を発行するための所定条件を定義したものである。第2発行条件は、発行企業端末5を介して設定可能である。第2発行条件は、少なくともコンテンツに対する行動履歴を含むように設定される。
【0060】
条件検出部22は、第2発行条件を検出できた場合(S25でYES)、発行部24は、第1発行条件および第2発行条件を満たす利用者に報酬を発行する(S26)。
【0061】
S26において、発行部24は、少なくとも第2発行条件を満たす利用者を抽選対象者として抽選処理を実行し、抽選された利用者に対して報酬を発行する構成とすることができる。一態様として、発行部24は、発行企業端末5を介して設定された報酬発行上限数を抽選候補者が上回った場合、抽選処理を実行する。
【0062】
一態様として、発行部24は、抽選対象者の中からランダムに抽選処理を実行し、抽選された利用者に対して報酬を発行する。
【0063】
一態様として、発行部24は、発行企業端末5を介して設定された絞り込み条件を更に満たす利用者を抽選対象者として抽選処理を実行する。絞り込み条件は、行動履歴または利用者属性から選択される1つ以上の所定条件として設定される。
【0064】
一態様として、発行部24は、抽選モデルを用いて、抽選処理を実行する。抽選モデルは、所定のデータセットを用いた機械学習されたモデルであって、記憶部DBに格納されている。本実施形態において、モデルは、ニューラルネットワークや回帰モデルなどを用いることができるが、その種類は限定されない。また、モデルの機械学習は、報酬発行装置2または、外部のコンピュータ装置等により実行され、機械学習された抽選モデルが記憶部DBに格納される構成であればよい。
【0065】
データセットは、利用者の行動履歴および/または利用者属性に関する入力データと、当該利用者が購入した株式に関する出力データと、を含む。出力データは、例えば、利用者の行動履歴の取得日から所定期間内に購入された株式を示す。
【0066】
上述したデータセットを用いて機械学習された抽出モデルは、ある利用者の行動履歴および/または利用者属性の入力を受け付けると、行動履歴や利用者属性に基づき、購入推定株式を出力する。購入推定株式は、当該利用者が関心を持ち、購入する可能性のある株式を示す。
【0067】
発行部24は、抽選対象者の絞り込みを行う発行企業の発行企業IDと、抽選対象者の行動履歴および/または利用者属性と、を受け付ける。発行部24は、抽選対象者の行動履歴および/または利用者属性を抽選モデルに入力し、購入推定株式を抽選モデルから出力として取得する。発行部24は、購入推定株式が発行企業IDの発行企業の株式と一致する場合、当該抽選対象者を当選とし、報酬を発行する。なお、購入推定株式と発行企業の株式は、同じ業種である、グループ会社である、などの類似銘柄である場合、当該抽選対象者を当選としてもよい。
【0068】
図8は、発行企業端末5に表示される抽選設定画面W30の画面表示例を示す。抽選設定画面W30は、抽選項目設定部W31と、当選者設定部W32と、当選メッセージ設定部W33と、を備える。各設定部W31~W33は、それぞれ別画面として構成されてもよく、レイアウトなどにより限定されない。発行部24は、抽選設定画面W30を介して、自動抽選または絞り込み抽選に関する操作入力を受け付けることで、当選者を決定する。
【0069】
抽選項目設定部W31は、抽選候補者の絞り込み条件の入力を受け付ける。絞り込み条件は、発行企業の株式保有の有無、権利確定日の保有の有無、保有期間、利用者の年齢または年代、コンテンツの閲覧履歴、回答履歴、利用履歴などを含むその他条件、の項目の設定を受け付ける。なお、絞り込み条件は、
図8の表示例に限定されない。抽選項目設定部W31は、個別の当選者選定または、絞り込み条件による自動抽選の抽選方法の選択を受け付ける。
【0070】
当選者設定部W32は、絞り込み条件により抽出された抽選候補者の中から当選者とする者の選択操作を受け付ける。当選者設定部W32は、抽選候補者の絞り込み条件に該当する行動履歴や利用者属性を表示するとともに、保有銘柄の一覧などを表示可能に構成されている。発行企業の担当者は、これらの表示を参照しながら当選者とする者を選定することができる。
【0071】
当選メッセージ設定部W33は、当選者に送信するメッセージの編集操作と、送信指示操作を受け付ける。当選メッセージ設定部W33は、送信ボタンによる送信指示操作を受け付けることで、自動抽選された当選者または、個別に選定された当選者に対して、当選を知らせる当選メッセージを送信する。発行部24は、当選メッセージに報酬を付与して送信することで、報酬を発行してもよい。
【0072】
本実施形態において、報酬は、電子的な報酬データであって、株式の発行企業に関連するクーポンなどの優待として発行される。報酬は、実際の株主優待を疑似体験できるものであれば特に制限はなく、例えば、商品やサービスの電子クーポン、プレゼントとの引換券、金券、工場などの見学ツアーのチケット、各種イベント参加のチケット、新商品/サービスの事前予約/先行販売・利用のためのコード、ベータテストなどの参加コード、モニターアンケート、電子トークンなどを含むことができる。
【0073】
報酬は、ブロックチェーン・プラットフォームにおいて発行される電子トークンであってよい。このとき、利用者は、利用者端末4を介してウォレットアドレスを利用者アカウントに関連付けて登録しておく。発行部24は、報酬を発行する利用者のウォレットアドレスを特定し、ブロックチェーンネットワークにトランザクション要求を送信する。ここで、トランザクション要求は、報酬発行先となる利用者のウォレットアドレス、報酬発行元のウォレットアドレス、電子トークンの数量、などを含む。ブロックチェーンネットワークは、トランザクション要求を承認できた場合、電子トークンを報酬発行元のウォレットアドレスから報酬発行先の利用者のウォレットアドレスにスワップすることで、電子トークンが報酬として発行される。
【0074】
以上に示したように、本発明によれば、利用者の行動履歴に含まれる所定の発行条件を利用者の株式に対する関心度合に応じて設定することで、利用者の株式に対する興味関心を徐々に誘起し、有力な新規の株主を創出することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 報酬発行システム
2 報酬発行装置
21 行動履歴収集部
22 条件検出部
23 配信部
24 発行部
3 取引装置
4 利用者端末
5 発行企業端末
DB 記憶部