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特開2024-120679情報処理装置、判定方法及び判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120679
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、判定方法及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027660
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 陽一郎
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223EB01
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH22
(57)【要約】
【課題】エネルギーのムダ使いの削減を支援することを課題とする。
【解決手段】情報処理装置は、原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから配管の温度を取得する第1の取得部と、第1の取得部により取得された配管の温度に基づいて、配管における流体の流れの有無を判定する第1の判定部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する第1の判定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記配管の外側に設置された振動センサから前記配管の振動レベルを取得する第2の取得部をさらに有し、
前記第1の判定部は、前記第1の取得部により取得された前記配管の温度および前記第2の取得部により取得された前記配管の振動レベルに基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記原材料を前記処理装置に搬送する搬送機構を駆動する駆動部で消費される電力、あるいは前記駆動部に供給される電力の指標値を取得する第3の取得部と、
前記第3の取得部により取得された前記電力の指標値に基づいて、前記原材料の投入中または非投入中を判定する第2の判定部と、
前記第1の判定部による判定結果が前記流体の流れ有りであり、かつ前記第2の判定部による判定結果が前記原材料の非投入中であるか否かを判定する第3の判定部と、
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3の判定部は、前記流体の流れが有りであり、かつ前記原材料の非投入中である場合、アラートを出力することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記配管の外側の表面に接触する状態で設置されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の判定部は、前記流体の流れの有無のクラスに分類する機械学習モデルに前記第1の取得部により取得された前記配管の温度の時系列データが入力された際の出力に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の判定部は、前記機械学習モデルが出力する前記流体の流れ有りのクラスの確信度が閾値以上であるか否かにより前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記機械学習モデルは、前記配管の温度の時系列データを前記機械学習モデルの説明変数とし、前記流体の流れの有無のラベルを前記機械学習モデルの目的変数とする機械学習を実行することにより訓練されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、
前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする判定方法。
【請求項10】
原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、
前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、判定方法及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造プロセスの中には、熱媒や冷媒などの熱媒体と呼ばれる流体を介して原材料の加熱または冷却を行うことにより、原材料の温度を制御するプロセスが含まれ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-80520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の製造プロセスでは、原材料が加熱装置や冷却装置などの処理装置に投入されていない場合等、生産活動の停止時にもかかわらず、熱媒や冷媒などの流体が供給される状態が継続することで、エネルギーのムダ使いが発生することを抑制するのが難しい側面がある。
【0005】
本発明は、エネルギーのムダ使いの削減を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面にかかる情報処理装置は、原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得する第1の取得部と、前記第1の取得部により取得された前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する第1の判定部と、を有する。
【0007】
本発明の一側面にかかる判定方法では、原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、処理をコンピュータが実行する。
【0008】
本発明の一側面にかかる判定プログラムは、原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、エネルギーのムダ使いの削減を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】生産設備の一例を示す模式図である。
図2】情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3】機械学習モデルの一例を示す模式図である。
図4】エネルギーの使用状況の判定事例を示す模式図である。
図5】第1の判定処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第2の判定処理の手順を示すフローチャートである。
図7】第3の判定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】ハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本願に係る情報処理装置、判定方法及び判定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載)について説明する。各実施形態には、あくまで例や側面を示すに過ぎず、このような例示により数値や機能の範囲、利用シーンなどは限定されない。そして、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適応的に組み合わせることが可能である。
【0012】
<生産設備の一例>
図1は、生産設備の一例を示す模式図である。図1には、ベルトコンベア3で搬送される原材料を加熱装置4で加熱する製造プロセスを実現する生産設備1が示されている。なお、図1には、熱媒体として「蒸気」が例示されると共に処理装置として「加熱装置」が例示される利用シーンを挙げるが、これに限定されない。加熱装置4は、原材料を加熱または冷却する処理装置の一例に過ぎず、当然のことながら、処理装置の他の一例である冷却装置により冷却水などの冷媒で冷却が行われる利用シーンも本実施形態の範疇に含まれる。
【0013】
図1に示すように、生産設備1は、ベルトコンベア3と、モータMと、加熱装置4と、配管5とを有する。例えば、ベルトコンベア3は、モータMの駆動により回転するベルトの進行方向(搬送方向)に当該ベルト上に載置された原材料を搬送する装置である。加熱装置4は、ベルトコンベア3により搬送される原材料を配管5から供給される蒸気を媒介として加熱する装置である。なお、ベルトコンベア3は、搬送機構の一例であり、また、モータMは、搬送機構を駆動させる駆動部の一例に過ぎず、他の機構や他の装置により同様の機能が実現されてよい。
【0014】
<課題の一側面>
上記の背景技術の欄で説明した通り、上記の製造プロセスでは、原材料が加熱装置や冷却装置などの処理装置に投入されていない場合等、生産活動の停止時にもかかわらず、熱媒や冷媒などの流体が供給される状態が継続することで、エネルギーのムダ使いが発生する側面がある。
【0015】
<課題解決アプローチの一側面>
上記の課題を解決するアプローチの1つとして、配管5を流れる蒸気の流量という物理量を直接観測するというアプローチが挙げられる。これにより、配管5に蒸気が流れている状態、すなわちエネルギーの使用状況のモニタリングを実現する。なお、ここに挙げる課題解決アプローチは、公知である特許文献や非特許文献を始め、その他の周知技術に該当する従来技術とは区別される。
【0016】
このような課題解決アプローチが採用される場合、流量を計測するセンサ、例えば蒸気流量計を設置する工数の増大や蒸気流量計のコストの増大などのデメリットが生じる。たとえば、配管5の内側に設置するタイプの蒸気流量計は、設置工事の工数が増大する。また、超音波流量計のように配管表面に設置するタイプの流量計は、蒸気流量計本体の価格が安価でないため、コストが増大する。
【0017】
これら工数やコストの増大は、モニタリング対象とする配管5の数に比例するので、蒸気流量計をエネルギーの使用状況のモニタリングという用途のみで設置するのは費用対効果の面から困難な現状がある。
【0018】
そこで、本実施形態では、流量を物理量として観測可能な蒸気流量計に依拠しない仕組みで、エネルギーの使用状況のモニタリングを実現する課題解決アプローチを採用する点に技術的意義がある。
【0019】
このような課題解決アプローチとして、本実施形態では、配管5を流れる蒸気の流量そのものではなく、流量と関連性を有する物理量として、配管5の外側に設置可能であるセンサから収集可能な物理量を取得するアプローチが採用される。
【0020】
あくまで一例として、情報処理装置10は、配管5の外側に設置された温度センサ5Aから配管5の表面温度を取得する。ここで、温度センサ5Aは、配管5の外側の表面に接触する状態で設置されてよいが、必ずしも接触状態で設置されずともよく、配管5の外側の表面とは非接触の状態で設置されてもよい。例えば、配管5の表面温度および配管5の流量は、配管5に蒸気が流れていない場合の表面温度に比べて配管5に蒸気が流れている場合の表面温度が高くなるという関連性を有する。
【0021】
他の一例として、情報処理装置10は、配管5の外側に設置された振動センサ5Bから配管5の振動レベルを取得する。例えば、配管5の振動レベルおよび配管5の流量は、配管5に蒸気が流れていない場合の振動レベルに比べて配管5に蒸気が流れている場合の振動レベルが高くなるという関連性を有する。
【0022】
これら配管5の表面温度および配管5の振動レベルに基づいて、情報処理装置10は、配管5に蒸気が流れているか否かを判定する。このような2クラス分類のタスクは、必ずしも配管5における蒸気の流量が入力として与えられずとも、流量に関連性がある物理量を入力とする場合でも十分かつ高精度に実現できる。なお、ここでは、配管5の表面温度および配管5の振動レベルの両方を用いる例を挙げたが、少なくともいずれか1つを用いることができる。
【0023】
これにより、情報処理装置10は、ベルトコンベア3で原材料が搬送されていないにもかかわらず、配管5に蒸気が流れている状態が検出された場合、アラートを出力することができる。
【0024】
このような出力先の例として、生産設備1で作業する作業者や生産設備1の現場を監督する現場監督などを含む作業関係者2が使用する情報処理端末(以下、「作業関係者端末」と記載)20が挙げられる。
【0025】
例えば、作業関係者端末20は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末装置、ウェアラブル端末、あるいはデスクトップ型またはラップトップ型のパーソナルコンピュータなどにより実現されてよい。この場合、情報処理装置10は、エネルギーのムダ使いの警告、あるいは配管5に対する蒸気の供給を停止する操作を促す警告に対応するアイコンやメッセージを表示させることができる。なお、アラートは、表示出力に限らず、音声出力や印字出力により実現されてもよい。
【0026】
このような作業関係者端末20の他、情報処理装置10は、図1に示す生産設備1に含まれる機器や図1では図示が省略された機器が有する出力部、例えば表示部や音声出力部、印字出力部などにアラートを出力させることもできる。
【0027】
なお、ここでは、アラートを出力することにより配管5に対する蒸気の供給を停止する操作を促す例を挙げたが、配管5に対する蒸気の供給を停止する制御を自動的に実行することとしてもよい。
【0028】
以上のことから、本実施形態にかかる情報処理装置10によれば、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いの削減を支援できる。さらに、流量を物理量として観測可能な蒸気流量計に依拠しない仕組みでエネルギーの使用状況のモニタリングを実現するので、センサの設置に関する工数およびコストの削減も実現できる。これら工数やコストの削減効果は、モニタリング対象とする配管5の数が増加するにしたがって増大する。
【0029】
<情報処理装置10の構成>
次に、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例について説明する。図2は、情報処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置10は、電力計3A、温度センサ5A、振動センサ5Bおよび作業関係者端末20と通信可能に接続される。
【0030】
これらのうち、電力計3A、温度センサ5Aおよび振動センサ5Bなどのセンサ群と、情報処理装置10との間では、工業用無線規格に対応する通信が実施されてよい。また、作業関係者端末20および情報処理装置10の間は、インターネットやLAN(Local Area Network)などの任意の種類の通信網を介して接続されてよい。
【0031】
なお、情報処理装置10およびセンサ群の間では、必ずしも双方向の通信が実施されずともよく、センサ群から情報処理装置10へのシリアル通信が実施されてもよい。また、情報処理装置10およびセンサ群の間で実施される通信は、工業用通信規格などの特定の通信規格に限定されず、また、有線または無線も限定されずともよい。
【0032】
図2には、情報処理装置10が有するエネルギーの使用状況のモニタリング機能に関連するブロックが模式化されている。図2に示すように、情報処理装置10は、通信制御部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図2には、上記のモニタリング機能に関連する機能部が抜粋して示されているに過ぎず、図示以外の機能部が情報処理装置10に備わることとしてもよい。
【0033】
通信制御部11は、電力計3A、温度センサ5Aおよび振動センサ5Bなどのセンサ群や作業関係者端末20などの他の装置との間の通信を制御する機能部である。あくまで一例として、通信制御部11は、ネットワークインタフェイスカードにより実現され得る。1つの側面として、通信制御部11は、電力計3AからモータMで消費される電力を受け付けたり、温度センサ5Aから配管5の表面温度を受け付けたり、あるいは振動センサ5Bから配管5の振動レベルを受け付けたりすることができる。他の側面として、通信制御部11は、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いのアラートを作業関係者端末20へ出力することができる。
【0034】
記憶部13は、各種のデータを記憶する機能部である。あくまで一例として、記憶部13は、情報処理装置10の内部、外部または補助のストレージにより実現される。例えば、記憶部13は、機械学習モデル13Mを記憶する。なお、機械学習モデル13Mの説明は、機械学習モデル13Mの参照、生成または登録が実行される場面で併せて説明することとする。
【0035】
制御部15は、情報処理装置10の全体制御を行う機能部である。例えば、制御部15は、ハードウェアプロセッサにより実現され得る。図2に示すように、制御部15は、第1の取得部15Aと、第2の取得部15Bと、第3の取得部15Cと、第1の判定部15Dと、第2の判定部15Eと、第3の判定部15Fとを有する。なお、制御部15は、ハードワイヤードロジックなどにより実現されてもよい。
【0036】
第1の取得部15Aは、温度センサ5Aから配管5の表面温度を取得する処理部である。第2の取得部15Bは、振動センサ5Bから配管5の振動レベルを取得する処理部である。第3の取得部15Cは、電力計3AからモータMで消費される電力を取得する処理部である。なお、ここでは、エネルギーの投入状況の判定に用いる電力の指標値の例として、モータMの消費電力を例を挙げたが、モータMの消費電力は一例に過ぎず、第3の取得部15CはモータMやモータMに類する駆動部に関する他の電力の指標値を取得できる。たとえば、第3の取得部15Cは、モータMで消費される電流や電圧、リアクタンスなどの他の項目の指標値を取得してよい。また、第3の取得部15Cは、モータMで消費される電力の指標値ではなく、モータMに供給される電力の指標値を取得してもよい。
【0037】
第1の取得部15A、第2の取得部15Bおよび第3の取得部15Cは、温度センサ5A、振動センサ5Bおよび電力計3Aの各々のセンサが出力するセンサ値をリアルタイムで取得したり、特定の時間長のセンサ値の時系列データを取得したりすることができる。
【0038】
第1の判定部15Dは、第1の取得部15Aにより取得される配管5の表面温度および第2の取得部15Bにより取得される配管5の振動レベルに基づいて、配管5に蒸気が流れているか否か、すなわちエネルギーの使用状況を判定する処理部である。
【0039】
このようなエネルギーの使用状況の判定は、あくまで一例として、配管5の表面温度および配管5の振動レベルを入力として蒸気の流れ「あり」または「なし」のクラス別の確信度を出力するクラス分類タスクを実行する機械学習モデル13Mにより実現され得る。
【0040】
以下、あくまで一例として、上記の機械学習モデルがニューラルネットワークにより実現される例を挙げるが、サポートベクタマシンや勾配ブースティング決定木などの他の機械学習モデルにより実現されることとしてもよい。
【0041】
図3は、機械学習モデル13Mの一例を示す模式図である。図3に示すように、エネルギーの使用状況の判定には、機械学習モデル13mがディープラーニングなどの機械学習アルゴリズムにしたがって訓練された訓練済みの機械学習モデル13Mが用いられる。
【0042】
機械学習モデル13mの訓練には、配管5の表面温度および配管5の振動レベルと、蒸気の流れ「あり」または「なし」の正解ラベルとが対応付けられた訓練データを含むデータセット13TRを用いることができる。
【0043】
例えば、図3には、データセット13TRの例として、蒸気の流れ「あり」および蒸気の流れ「なし」の2種類のうちいずれかの正解ラベルごとに温度の時系列データおよび振動レベルの時系列データが対応付けられた3つの訓練データが抜粋して例示されている。
【0044】
ここで、温度の時系列データおよび振動レベルの時系列データは、一定の時間長、例えば5秒間の温度または振動レベルのデータ値が時系列に配列されたデータ列であってよい。これら2つのデータ列の間では、始点となるデータ点の時刻、終点となるデータ点の時刻、データ点の数および各データ点の時刻を一致させることもできるが、許容範囲内の下でずれがあってもよい。つまり、温度センサ5Aおよび振動センサ5Bの間でサンプリング周期が必ずしも一致せずともよく、また、各センサが出力する信号から時系列データを切り出すウィンドウのサイズやウィンドウが信号に適用される時間の位置にずれがあってもよい。
【0045】
以下、配管5の表面温度の時系列データのことを指して「温度データ」と表記すると共に、配管5の振動レベルの時系列データのことを指して「振動データ」と表記する場合がある。
【0046】
例えば、訓練フェイズでは、温度データおよび振動データを機械学習モデル13mの説明変数とし、正解ラベルを機械学習モデル13mの目的変数とし、任意の機械学習のアルゴリズム、例えば深層学習にしたがって機械学習モデル13mが訓練される。これにより得られた訓練済みの機械学習モデル13Mが記憶部13に登録される。例えば、機械学習モデル13Mを形成する入力層、隠れ層及び出力層のニューロンやシナプスなどの層構造に関連するハイパーパラメータ、各層の重みやバイアスなどの目的関数に関するパラメータなどが記憶部13に保存される。
【0047】
推論フェイズでは、第1の取得部15Aにより取得される温度データおよび第2の取得部15Bにより取得される振動データを機械学習モデル13Mへ入力する。このように温度データおよび振動データが入力された機械学習モデル13Mは、蒸気の流れ「あり」または「なし」のクラス別の確信度を出力する。例えば、図3に示す例で言えば、蒸気の流れ「あり」の確信度として「90%」が出力される。さらに、蒸気の流れ「なし」の確信度として「10%」が出力される。なお、ここでは、温度や振動レベルの時系列データを機械学習モデル13Mへ入力される例を挙げたが、必ずしも温度や振動レベルの時系列データが入力されずともよい。例えば、温度や振動レベルの時系列データに対する特徴抽出により得られる特徴量、例えば平均や分散、中央値などが機械学習モデル13Mに入力されることとしてもよい。
【0048】
このように得られる蒸気の流れ「あり」の確信度に基づいて、第1の判定部15Dは、生産設備1におけるエネルギーの使用状況を判定する。例えば、第1の判定部15Dは、蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上であるか否かを判定する。このとき、蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上である場合、第1の判定部15Dは、蒸気の流れ「あり」をエネルギーの使用状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力する。一方、蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上でない場合、第1の判定部15Dは、蒸気の流れ「なし」をエネルギーの使用状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力する。
【0049】
図4は、エネルギーの使用状況の判定事例を示す模式図である。図4には、温度センサ5Aが出力する信号の波形が実線でプロットされると共に振動センサ5Bが出力する信号の波形が破線でプロットされたグラフG1が示されている。グラフG1の縦軸は、配管5の表面温度または配管5の振動レベルのセンサ値を指し、グラフG1の横軸は、また、時間を指す。このようなグラフG1上には、時刻t1~時刻t4の4つの時点で各センサの信号から温度データまたは振動データが切り出されるウィンドウW1~W4が模式化されている。さらに、図4には、機械学習モデル13Mが出力する蒸気の流れ「あり」の確信度の時系列データがプロットされたグラフG2が示されている。グラフG2の縦軸は、確信度を指し、グラフG2の横軸は、また、時間を指す。このようなグラフG2上には、蒸気の流れ「あり」と識別する確信度の下限値が閾値Th1として示されている。なお、図4には、ウィンドウW1~W4の窓幅、すなわち時間長を5秒間とする例が示されていることとする。
【0050】
例えば、時刻t1の時点では、時刻t1とウィンドウW1の終端(右端)とが一致する状態でウィンドウW1が設定される。この場合、温度センサ5Aおよび振動センサ5Bの各々の信号のうちウィンドウW1の窓幅に対応する部分の波形、すなわち時刻t1の5秒前から時刻t1までのセンサ値のデータ列が温度データおよび振動データとして切り出される。このように切り出された温度データおよび振動データが入力された機械学習モデル13Mは、蒸気の流れ「あり」の確信度を出力する。ここで得られた蒸気の流れ「あり」の確信度は、閾値Th1以上であるので、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「あり」であると判定される。
【0051】
さらに、時刻t2、時刻t3および時刻t4においても、時刻t1の場合と同様に、蒸気の流れ「あり」の確信度が得られる。例えば、時刻t2の時点では、蒸気の流れ「あり」の確信度は、閾値Th1以上であるので、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「あり」であると判定される。また、時刻t3の時点では、蒸気の流れ「あり」の確信度は、閾値Th1未満となるので、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「なし」であると判定される。さらに、時刻t4の時点においても、蒸気の流れ「あり」の確信度は、閾値Th1未満となるので、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「なし」であると判定される。
【0052】
ここでは、時刻t1~時刻t4の4つの時点における動作を断面的に説明したが、全期間を通じて言えば、次の通りとなる。すなわち、グラフG2の下部に示す通り、斜線ハッチングのバンドが実線で示された区間では蒸気の流れ「あり」と判定される一方で、斜線ハッチングのバンドが破線で示された区間では蒸気の流れ「なし」と判定される。
【0053】
なお、ここでは、温度データまたは振動データの2つのデータが機械学習モデル13Mに入力される例を挙げたが、機械学習モデル13Mに入力されるデータは、必ずしも2つのデータの両方でなくともよい。すなわち、機械学習モデル13Mは、温度データまたは振動データの2つのデータのうち片方のデータのみを入力として蒸気の流れ「あり」または蒸気の流れ「なし」のうちいずれかのクラスを出力することとしてもよい。
【0054】
また、ここでは、機械学習モデル13Mを用いてエネルギーの使用状況を判定する例を挙げたが、必ずしもエネルギーの使用状況の判定に機械学習モデルを用いずともよい。例えば、第1の判定部15Dは、温度データまたは振動データに回帰分析、例えば線形回帰などを適用することにより得られた近似直線の傾きや切片に基づいてエネルギーの使用状況を判定することもできる。具体的には、傾きの符号が「正」である場合、配管5に蒸気が流れている可能性が高まる。また、傾きがゼロから所定の範囲内である場合、蒸気の流れが安定している状態、あるいは蒸気の流れがない状態が継続している状態のいずれかである可能性が高まる。このとき、切片が正の値であり、かつ一定値以上である場合、蒸気の流れが安定している状態である可能性が高まる一方で、切片がゼロから所定の範囲内である場合、蒸気の流れがない状態が継続している状態である可能性が高まる。以上のことから、傾きの符号が「正」であり、かつ傾きがゼロから所定の範囲内でない場合、蒸気の流れ「あり」と判定できる。さらに、傾きがゼロから所定の範囲内であり、切片が正の値であり、かつ切片が閾値以上である場合、蒸気の流れ「あり」と判定できる。
【0055】
第2の判定部15Eは、第3の取得部15Cにより取得されるモータMの消費電力に基づいて、原材料がベルトコンベア3で搬送されているか否か、すなわち原材料の投入状況を判定する処理部である。
【0056】
あくまで一例として、第2の判定部15Eは、モータMの消費電力が閾値Th2以上であるか否かを判定する。このとき、モータMの消費電力が閾値Th2以上である場合、第2の判定部15Eは、原材料「投入中」を原材料の投入状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力する。一方、モータMの消費電力が閾値Th2以上でない場合、第2の判定部15Eは、原材料「非投入中」を原材料の投入状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力する。
【0057】
第3の判定部15Fは、第1の判定部15Dによるエネルギーの使用状況の判定結果および第2の判定部15Eによる原材料の投入状況の判定結果に基づいて、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いが発生しているか否かを判定する処理部である。
【0058】
あくまで一例として、第3の判定部15Fは、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「あり」であり、かつ原材料の投入状況が原材料「非投入中」であるか否かを判定する。このとき、エネルギーの使用状況が蒸気の流れ「あり」であり、かつ原材料の投入状況が原材料「非投入中」である場合、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いが発生していると識別できる。この場合、第3の判定部15Fは、エネルギーのムダ使いの警告、あるいは配管5に対する蒸気の供給を停止する操作を促す警告に関するアラートを作業関係者端末20を始めとする任意の出力先に出力する。
【0059】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る情報処理装置10の処理の流れについて説明する。ここでは、情報処理装置10により実行される(1)第1の判定処理、(2)第2の判定処理、(3)第3の判定処理を説明することとする。
【0060】
(1)第1の判定処理
図5は、第1の判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、温度センサ5Aや振動センサ5Bからセンサ値が取得された場合、あるいは一定の周期で実行することができる。
【0061】
図5に示すように、第1の取得部15Aは、温度センサ5Aから配管5の表面温度を取得すると共に、第2の取得部15Bは、振動センサ5Bから配管5の振動レベルを取得する(ステップS101およびステップS102)。
【0062】
続いて、第1の判定部15Dは、ステップS101で取得された表面温度を含む過去の所定期間の温度データおよびステップS101で取得された振動レベルを含む過去の所定期間の振動データを機械学習モデル13Mへ入力する(ステップS103)。その上で、第1の判定部15Dは、機械学習モデル13Mが出力する蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0063】
このとき、蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上である場合(ステップS104Yes)、第1の判定部15Dは、蒸気の流れ「あり」をエネルギーの使用状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力し(ステップS105)、処理を終了する。
【0064】
一方、蒸気の流れ「あり」の確信度が閾値Th1以上でない場合(ステップS104No)、第1の判定部15Dは、蒸気の流れ「なし」をエネルギーの使用状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力し(ステップS106)、処理を終了する。
【0065】
なお、図5に示すフローチャートにおけるステップS101およびステップS102の処理の実行順序は、図示のステップ番号の順序に拘束されず、順不同であってよいし、あるいは同時であってもよい。
【0066】
(2)第2の判定処理
図6は、第2の判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、電力計3AからモータMの消費電力が取得された場合、あるいは一定の周期で実行することができる。
【0067】
図6に示すように、第3の取得部15Cは、電力計3AからモータMの消費電力を取得する(ステップS301)。続いて、第2の判定部15Eは、ステップS301で取得されたモータMの消費電力が閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0068】
このとき、モータMの消費電力が閾値Th2以上である場合(ステップS302Yes)、第2の判定部15Eは、原材料「投入中」を原材料の投入状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力し(ステップS303)、処理を終了する。
【0069】
一方、モータMの消費電力が閾値Th2以上でない場合(ステップS302No)、第2の判定部15Eは、原材料「非投入中」を原材料の投入状況の判定結果として第3の判定部15Fへ出力し(ステップS304)、処理を終了する。
【0070】
(3)第3の判定処理
図7は、第3の判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、あくまで一例として、第1の判定部15Dによりエネルギーの使用状況が判定された場合並びに第2の判定部15Eにより原材料の投入状況が判定された場合、あるいは一定の周期で実行することができる。
【0071】
図7に示すように、第3の判定部15Fは、第1の判定部15Dによるエネルギーの使用状況の判定結果が蒸気の流れ「あり」であるか否か判定する(ステップS501)。なお、蒸気の流れ「なし」である場合(ステップS501No)、そのまま処理を終了する。
【0072】
このとき、蒸気の流れ「あり」である場合(ステップS501Yes)、第3の判定部15Fは、第2の判定部15Eによる原材料の投入状況の判定結果が原材料「非投入中」であるか否かをさらに判定する(ステップS502)。なお、原材料「投入中」である(ステップS502No)、そのまま処理を終了する。
【0073】
ここで、原材料「非投入中」である場合(ステップS502Yes)、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いが発生していると識別できる。この場合、第3の判定部15Fは、エネルギーのムダ使いの警告、あるいは配管5に対する蒸気の供給を停止する操作を促す警告に関するアラートを作業関係者端末20を始めとする任意の出力先に出力し(ステップS503)、処理を終了する。
【0074】
なお、図7に示すフローチャートにおけるステップS501およびステップS502の処理の実行順序は、図示のステップ番号の順序に拘束されず、順不同であってよいし、あるいは同時であってもよい。
【0075】
<効果の一側面>
上述してきたように、本実施形態にかかる情報処理装置10は、配管5の表面温度および配管5の振動レベルに基づいて、配管5に蒸気が流れているか否かを判定する。これにより、例えば、ベルトコンベア3で原材料が搬送されていないにもかかわらず、配管5に蒸気が流れている状態が検出された場合、アラートを出力することができる。したがって、本実施形態にかかる情報処理装置10によれば、生産活動の停止時におけるエネルギーのムダ使いの削減を支援できる。さらに、流量を物理量として観測可能な蒸気流量計に依拠しない仕組みでエネルギーの使用状況のモニタリングを実現するので、センサの設置に関する工数およびコストの削減も実現できる。これら工数やコストの削減効果は、モニタリング対象とする配管5の数が増加するにしたがって増大する。
【0076】
<数値等>
上記実施形態で説明した事項、例えばセンサの数、機械学習モデル13Mの訓練方法や推論方法などの具体例などは、あくまで一例であり、変更することができる。また、実施形態で説明したフローチャートも、矛盾のない範囲内で処理の順序を変更することができる。
【0077】
<システム>
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、第1の判定部15D、第2の判定部15Eおよび第3の判定部15Fのうちいずれか1つ以上の機能部は、別々の装置で構成されていてもよい。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散および統合して構成することができる。なお、各構成は、物理的な構成であってもよい。
【0079】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0080】
<ハードウェア>
次に、実施形態で説明したコンピュータのハードウェア構成例を説明する。図8は、ハードウェア構成例を説明する図である。図8に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図8に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0081】
通信装置10aは、ネットワークインタフェイスカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図2に示す機能を動作させるプログラムやDBなどを記憶する。
【0082】
プロセッサ10dは、図2に示された処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100b等から読み出してメモリ100cに展開することで、図2等で説明した機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報処理装置10が有する処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、第1の取得部15A、第2の取得部15B、第3の取得部15C、第1の判定部15D、第2の判定部15Eおよび第3の判定部15F等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、第1の取得部15A、第2の取得部15B、第3の取得部15C、第1の判定部15D、第2の判定部15Eおよび第3の判定部15F等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0083】
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで要因分析方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0084】
上記のプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、上記のプログラムは、任意の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。例えば、記録媒体は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などにより実現され得る。
【0085】
<その他>
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0086】
(1)原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する第1の判定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0087】
(2)前記配管の外側に設置された振動センサから前記配管の振動レベルを取得する第2の取得部をさらに有し、
前記第1の判定部は、前記第1の取得部により取得された前記配管の温度および前記第2の取得部により取得された前記配管の振動レベルに基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする(1)に記載の情報処理装置。
【0088】
(3)前記原材料を前記処理装置に搬送する搬送機構を駆動する駆動部で消費される電力、あるいは前記駆動部に供給される電力の指標値を取得する第3の取得部と、
前記第3の取得部により取得された前記電力の指標値に基づいて、前記原材料の投入中または非投入中を判定する第2の判定部と、
前記第1の判定部による判定結果が前記流体の流れ有りであり、かつ前記第2の判定部による判定結果が前記原材料の非投入中であるか否かを判定する第3の判定部と、
をさらに有することを特徴とする(2)に記載の情報処理装置。
【0089】
(4)前記第3の判定部は、前記流体の流れが有りであり、かつ前記原材料の非投入中である場合、アラートを出力することを特徴とする請求項(3)に記載の情報処理装置。
【0090】
(5)前記温度センサは、前記配管の外側の表面に接触する状態で設置されることを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0091】
(6)前記第1の判定部は、前記流体の流れの有無のクラスに分類する機械学習モデルに前記第1の取得部により取得された前記配管の温度の時系列データが入力された際の出力に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする(1)~(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0092】
(7)前記第1の判定部は、前記機械学習モデルが出力する前記流体の流れ有りのクラスの確信度が閾値以上であるか否かにより前記配管における前記流体の流れの有無を判定することを特徴とする(6)に記載の情報処理装置。
【0093】
(8)前記機械学習モデルは、前記配管の温度の時系列データを前記機械学習モデルの説明変数とし、前記流体の流れの有無のラベルを前記機械学習モデルの目的変数とする機械学習を実行することにより訓練されることを特徴とする(6)または(7)に記載の情報処理装置。
【0094】
(9)原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、
前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする判定方法。
【0095】
(10)原材料の加熱または冷却を行う処理装置に熱媒または冷媒のいずれかの流体を供給する配管の外側に設置された温度センサから前記配管の温度を取得し、
前記配管の温度に基づいて、前記配管における前記流体の流れの有無を判定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする判定プログラム。
【符号の説明】
【0096】
1 生産設備
2 作業関係者
3 ベルトコンベア
3A 電力計
4 加熱装置
5 配管
5A 温度センサ
5B 振動センサ
10 情報処理装置
11 通信制御部
13 記憶部
13M 機械学習モデル
15 制御部
15A 第1の取得部
15B 第2の取得部
15C 第3の取得部
15D 第1の判定部
15E 第2の判定部
15F 第3の判定部
20 作業関係者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8