(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122704
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】試験用カバー及び温度試験方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240902BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H05K5/03 A
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030384
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】松村 和華
(72)【発明者】
【氏名】箱守 宏治
【テーマコード(参考)】
2G050
4E360
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050BA10
2G050EA01
4E360AB02
4E360BA01
4E360BD02
4E360GA24
4E360GA25
4E360GA60
4E360GB99
(57)【要約】
【課題】恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において、恒温槽内で電子機器から生じる熱を逃がし易く且つ循環風の影響を抑制し易い温度試験用カバー及び温度試験方法を提供する。
【解決手段】恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において恒温槽内で電子機器を覆う温度試験用カバー1であって、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4を有し、上面壁部2は、複数の上部開口5aからなる上部開口群5を有し、下面壁部3は、複数の下部開口6aからなる下部開口群6を有する、温度試験用カバー1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において前記恒温槽内で前記電子機器を覆う温度試験用カバーであって、
上面壁部、下面壁部及び外周側面壁部を有し、
前記上面壁部は、複数の上部開口からなる上部開口群を有し、
前記下面壁部は、複数の下部開口からなる下部開口群を有する、温度試験用カバー。
【請求項2】
前記上部開口群は、第1方向に第1ピッチの第1繰り返しパターンを有し、前記第1方向に直交する第2方向に第2ピッチの第2繰り返しパターンを有し、
前記下部開口群は、第3方向に第3ピッチの第3繰り返しパターンを有し、前記第3方向に直交する第4方向に第4ピッチの第4繰り返しパターンを有する、請求項1に記載の温度試験用カバー。
【請求項3】
前記上部開口は、前記第1方向に細長い長孔からなり、前記第1ピッチは前記第2ピッチよりも大きく、
前記下部開口は、前記第3方向に細長い長孔からなり、前記第3ピッチは前記第4ピッチよりも大きい、請求項2に記載の温度試験用カバー。
【請求項4】
前記上部開口と前記下部開口とはそれぞれ、長方形の2つの短辺をそれぞれ円弧に置き換えたトラック形状である、請求項3に記載の温度試験用カバー。
【請求項5】
前記上部開口は、前記第1方向の第1幅が10~20mmであり、前記第1ピッチが前記第1幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、前記第2方向の第2幅が3~7mmであり、前記第2ピッチが前記第2幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、
前記下部開口は、前記第3方向の第3幅が10~20mmであり、前記第3ピッチが前記第3幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、前記第4方向の第4幅が3~7mmであり、前記第4ピッチが前記第4幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさである、請求項3に記載の温度試験用カバー。
【請求項6】
前記上面壁部は、前記第1方向に伸びる短辺と、前記第2方向に伸びる長辺とを有する長方形状をなし、前記下面壁部は、前記第3方向に伸びる短辺と、前記第4方向に伸びる長辺とを有する長方形状をなす、請求項2に記載の温度試験用カバー。
【請求項7】
前記外周側面壁部は、それぞれ四角形状をなす第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部を有し、
前記第1壁部と前記第2壁部とは、互いに前記第1方向及び前記第3方向に対向し、
前記第3壁部と前記第4壁部とは、互いに前記第2方向及び前記第4方向に対向する、請求項6に記載の温度試験用カバー。
【請求項8】
前記第1壁部又は前記第2壁部は、前記電子機器の出入り口を開閉する開閉部として構成される、請求項7に記載の温度試験用カバー。
【請求項9】
前記外周側面壁部の内側に設けられ且つ前記電子機器が取り付けられる取り付け部を有し、
前記取り付け部は、19インチラックとして構成され、
前記取り付け部は、前記開閉部に対向する前記第1壁部又は前記第2壁部と前記第3壁部との第1角部に設けられる第1柱状取り付け部と、前記開閉部に対向する前記第1壁部又は前記第2壁部と前記第4壁部との第2角部に設けられる第2柱状取り付け部とを有する、請求項8に記載の温度試験用カバー。
【請求項10】
通風経路を前記下面壁部の直下に形成する脚部を有する、請求項1に記載の温度試験用カバー。
【請求項11】
前記脚部は、水平面に対する前記下面壁部の傾斜角度を調節できるように伸縮可能である、請求項10に記載の温度試験用カバー。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の温度試験用カバーを用いる温度試験方法であって、
前記恒温槽内で前記温度試験用カバーの前記上面壁部、前記下面壁部及び前記外周側面壁部によって前記電子機器を覆った状態で前記電子機器の前記温度試験を行う試験ステップを有する、温度試験方法。
【請求項13】
前記電子機器はプラント機器である、請求項12に記載の温度試験方法。
【請求項14】
前記電子機器は電源部を有し、
前記試験ステップは、前記電子機器の電源部が稼働した状態で行われる、請求項13に記載の温度試験方法。
【請求項15】
前記電子機器の消費電力は100W以下である、請求項13に記載の温度試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は試験用カバー及び温度試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験が知られている(例えば特許文献1の段落[0002]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような温度試験を汎用的な大きさの恒温槽を用いて行う場合、恒温槽内では加熱によって生じる対流に起因する循環風が発生し、電子機器に当たることにより、電子機器の温度が局所的に低下するため、試験結果、すなわち電子機器の性能の測定結果に誤差が生じる虞がある。循環風を遮断するために恒温槽内で電子機器を完全に覆うカバーを用いる場合、電子機器から生じる熱がカバー内部に籠り、電子機器の温度が上昇することになる。循環風が無視できるだけの十分大きな恒温槽を用いると、コスト面、環境面等での負担が大きい。
【0005】
そこで本開示の目的は、恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において、恒温槽内で電子機器から生じる熱を逃がし易く且つ循環風の影響を抑制し易い温度試験用カバー及び温度試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において前記恒温槽内で前記電子機器を覆う温度試験用カバーであって、
上面壁部、下面壁部及び外周側面壁部を有し、
前記上面壁部は、複数の上部開口からなる上部開口群を有し、
前記下面壁部は、複数の下部開口からなる下部開口群を有する、温度試験用カバー。
【0008】
[2]
前記上部開口群は、第1方向に第1ピッチの第1繰り返しパターンを有し、前記第1方向に直交する第2方向に第2ピッチの第2繰り返しパターンを有し、
前記下部開口群は、第3方向に第3ピッチの第3繰り返しパターンを有し、前記第3方向に直交する第4方向に第4ピッチの第4繰り返しパターンを有する、[1]に記載の温度試験用カバー。
【0009】
[3]
前記上部開口は、前記第1方向に細長い長孔からなり、前記第1ピッチは前記第2ピッチよりも大きく、
前記下部開口は、前記第3方向に細長い長孔からなり、前記第3ピッチは前記第4ピッチよりも大きい、[2]に記載の温度試験用カバー。
【0010】
[4]
前記上部開口と前記下部開口とはそれぞれ、長方形の2つの短辺をそれぞれ円弧に置き換えたトラック形状である、[3]に記載の温度試験用カバー。
【0011】
[5]
前記上部開口は、前記第1方向の第1幅が10~20mmであり、前記第1ピッチが前記第1幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、前記第2方向の第2幅が3~7mmであり、前記第2ピッチが前記第2幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、
前記下部開口は、前記第3方向の第3幅が10~20mmであり、前記第3ピッチが前記第3幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、前記第4方向の第4幅が3~7mmであり、前記第4ピッチが前記第4幅に2mm~8mmの幅を加えた大きさである、[3]又は[4]に記載の温度試験用カバー。
【0012】
[6]
前記上面壁部は、前記第1方向に伸びる短辺と、前記第2方向に伸びる長辺とを有する長方形状をなし、前記下面壁部は、前記第3方向に伸びる短辺と、前記第4方向に伸びる長辺とを有する長方形状をなす、[2]~[5]の何れか1項に記載の温度試験用カバー。
【0013】
[7]
前記外周側面壁部は、それぞれ四角形状をなす第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部を有し、
前記第1壁部と前記第2壁部とは、互いに前記第1方向及び前記第3方向に対向し、
前記第3壁部と前記第4壁部とは、互いに前記第2方向及び前記第4方向に対向する、[6]に記載の温度試験用カバー。
【0014】
[8]
前記第1壁部又は前記第2壁部は、前記電子機器の出入り口を開閉する開閉部として構成される、[7]に記載の温度試験用カバー。
【0015】
[9]
前記開閉部は、前記電子機器の出入り口を回動によって開閉する、[8]に記載の温度試験用カバー。
【0016】
[10]
前記外周側面壁部の内側に設けられ且つ前記電子機器が取り付けられる取り付け部を有し、
前記取り付け部は、19インチラックとして構成され、
前記取り付け部は、前記開閉部に対向する前記第1壁部又は前記第2壁部と前記第3壁部との第1角部に設けられる第1柱状取り付け部と、前記開閉部に対向する前記第1壁部又は前記第2壁部と前記第4壁部との第2角部に設けられる第2柱状取り付け部とを有する、[8]又は[9]に記載の温度試験用カバー。
【0017】
[11]
通風経路を前記下面壁部の直下に形成する脚部を有する、[1]~[10]の何れか1項に記載の温度試験用カバー。
【0018】
[12]
前記脚部は、水平面に対する前記下面壁部の傾斜角度を調節できるように伸縮可能である、[11]に記載の温度試験用カバー。
【0019】
[13]
[1]~[12]の何れか1項に記載の温度試験用カバーを用いる温度試験方法であって、
前記恒温槽内で前記温度試験用カバーの前記上面壁部、前記下面壁部及び前記外周側面壁部によって前記電子機器を覆った状態で前記電子機器の前記温度試験を行う試験ステップを有する、温度試験方法。
【0020】
[14]
前記電子機器はプラント機器である、[13]に記載の温度試験方法。
【0021】
[15]
前記電子機器はプラント制御機器である、[13]又は[14]に記載の温度試験方法。
【0022】
[16]
前記電子機器は電源部を有し、
前記試験ステップは、前記電子機器の電源部が稼働した状態で行われる、[13]~[15]の何れか1項に記載の温度試験方法。
【0023】
[17]
前記電子機器の消費電力は100W以下である、[13]~[16]の何れか1項に記載の温度試験方法。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において、恒温槽内で電子機器から生じる熱を逃がし易く且つ循環風の影響を抑制し易い温度試験用カバー及び温度試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態に係る温度試験用カバーを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す温度試験用カバーの正面図である。
【
図3】
図1に示す温度試験用カバーの上面図である。
【
図4】
図1に示す温度試験用カバーの底面図である。
【
図5】
図1に示す温度試験用カバーの右側面図である。
【
図6】
図1に示す温度試験用カバーの左側面図である。
【
図7】
図1に示す温度試験用カバーの背面図である。
【
図8】
図1に示す温度試験用カバーの上部開口群の第1繰り返しパターン及び第2繰り返しパターンを説明するための説明図である。
【
図9】
図1に示す温度試験用カバーの下部開口群の第3繰り返しパターン及び第4繰り返しパターンを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0027】
図1~
図9に示すように、一実施形態に係る温度試験用カバー1は、恒温槽を用いて行う電子機器(不図示)の温度試験において恒温槽内で電子機器を覆う温度試験用カバー1であって、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4を有する。上面壁部2は、複数の上部開口5aからなる上部開口群5を有する。下面壁部3は、複数の下部開口6aからなる下部開口群6を有する。上記構成によれば、上面壁部2が電子機器の上面に対向し、下面壁部3が電子機器の下面に対向し、外周側面壁部4が電子機器の外周側面に対向するように、電子機器が上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4の内部に配置される。温度試験用カバー1が恒温槽内に配置された状態で、電子機器に対する温度試験を行うことができる。その際、上部開口群5及び下部開口群6により、恒温槽内で電子機器から生じる熱を逃がし易く且つ循環風の影響を抑制し易くできる。したがって、想定(つまり、循環風が無視できるだけの十分大きな恒温槽を用いる場合)に近い試験結果を得ることができるという効果がある。
【0028】
上部開口群5は、第1方向D1に第1ピッチP1の第1繰り返しパターンを有し、第1方向D1に直交する第2方向D2に第2ピッチP2の第2繰り返しパターンを有する。下部開口群6は、第3方向D3に第3ピッチP3の第3繰り返しパターンを有し、第3方向D3に直交する第4方向D4に第4ピッチP4の第4繰り返しパターンを有する。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0029】
上部開口5aは、第1方向D1に細長い長孔からなり、第1ピッチP1は第2ピッチP2よりも大きく、下部開口6aは、第3方向D3に細長い長孔からなり、第3ピッチP3は第4ピッチP4よりも大きい。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0030】
上部開口5aと下部開口6aとはそれぞれ、長方形の2つの短辺をそれぞれ円弧に置き換えたトラック形状である。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0031】
上部開口5aは、第1方向D1の第1幅W1が10~20mmであり、第1ピッチP1が第1幅W1に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、第2方向D2の第2幅W2が3~7mmであり、第2ピッチP2が第2幅W2に2mm~8mmの幅を加えた大きさである。下部開口6aは、第3方向D3の第3幅W3が10~20mmであり、第3ピッチP3が第3幅W3に2mm~8mmの幅を加えた大きさであり、第4方向D4の第4幅W4が3~7mmであり、第4ピッチP4が第4幅W4に2mm~8mmの幅を加えた大きさである。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0032】
上面壁部2は、第1方向D1に伸びる短辺と、第2方向D2に伸びる長辺とを有する長方形状をなす。下面壁部3は、第3方向D3に伸びる短辺と、第4方向D4に伸びる長辺とを有する長方形状をなす。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0033】
外周側面壁部4は、それぞれ四角形状をなす第1壁部4a、第2壁部4b、第3壁部4c及び第4壁部4dを有する。第1壁部4aと第2壁部4bとは、互いに第1方向D1及び第3方向D3に対向し、第3壁部4cと第4壁部4dとは、互いに第2方向D2及び第4方向D4に対向する。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0034】
第1壁部4aは、電子機器の出入り口を開閉する開閉部7として構成される。上記構成によれば、電子機器の容易な出し入れを実現できる。
【0035】
本実施形態では、開閉部7として構成される第1壁部4a側を正面と称し、その反対側である第2壁部4b側を背面と称する。
【0036】
開閉部7は、電子機器の出入り口を回動によって開閉する。上記構成によれば、電子機器の出し入れの容易性を高めることができる。
【0037】
開閉部7は、電子機器の出入り口を閉じた位置に開閉部7を固定可能且つ固定を解除可能なロック部8を有する。上記構成によれば、開閉部7の不意の開閉動作を抑制できるので、安全性等を高めることができる。
【0038】
開閉部7は、開閉部7の上端部を回動中心として上下方向に回動可能である。上記構成によれば、電子機器の出し入れの容易性を高めることができる。
【0039】
取り付け部9は、外周側面壁部4の内側に設けられ且つ電子機器が取り付けられる。取り付け部9は、たとえば19インチラックとして構成される。取り付け部9は、開閉部7に対向する第2壁部4bと第3壁部4cとの第1角部に設けられる第1柱状取り付け部9aと、開閉部7に対向する第2壁部4bと第4壁部4dとの第2角部に設けられる第2柱状取り付け部9bとを有する。上記構成によれば、19インチ規格(EIA規格:Electronic Industries Alliance規格)に適合する19インチラックに対応する電子機器を外周側面壁部4の内側に取り付け部9によって容易に配置できる。
【0040】
第1壁部4aに代えて、第2壁部4bが開閉部7として構成される構成としてもよい。この場合、取り付け部9は、開閉部7に対向する第1壁部4aと第3壁部4cとの第1角部に設けられる第1柱状取り付け部9aと、開閉部7に対向する第1壁部4aと第4壁部4dとの第2角部に設けられる第2柱状取り付け部9bとを有する構成としてもよい。
【0041】
上部開口群5は、上面壁部2の上部所定領域に実質的に全体に亘って設けられ、上部所定領域は、上面壁部2全体の1/2以上の面積を有し、下部開口群6は、下面壁部3の下部所定領域に実質的に全体に亘って設けられ、下部所定領域は、下面壁部3全体の1/2以上の面積を有する。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0042】
上部所定領域は、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4の内側に配置された電子機器の真上に位置するように設けられ、下部所定領域は、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4の内側に配置された電子機器の真下に位置するように設けられる。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0043】
上下方向に見た時に、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4の内側に配置された電子機器が上部所定領域と下部所定領域とのそれぞれに包含されるように重なるように、上部所定領域と下部所定領域とが設けられる。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0044】
脚部10は、通風経路を下面壁部3の直下に形成される。上記構成によれば、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を高めることができる。
【0045】
脚部10は、水平面に対する下面壁部3の傾斜角度を調節できるように伸縮可能である。上記構成によれば、傾斜した設置部に対しても脚部10によって温度試験用カバー1を水平に設置できるので、上部開口群5及び下部開口群6による上記効果を容易に高めることができる。
【0046】
脚部10は、下面壁部3の第1角部から下方に伸びる第1脚10aと、下面壁部3の第2角部から下方に伸びる第2脚10bと、下面壁部3の第3角部から下方に伸びる第3脚10cと、下面壁部3の第4角部から下方に伸びる第4脚10dとを有する。上記構成によれば、温度試験用カバー1の姿勢を安定させることができる。
【0047】
第1脚10a、第2脚10b及び第3脚10cはそれぞれ、上下方向に伸縮可能である。上記構成によれば、温度試験用カバー1の姿勢を容易に安定させることができる。
【0048】
一実施形態に係る温度試験方法は、温度試験用カバー1を用いる。本実施形態に係る温度試験方法は、恒温槽内で温度試験用カバー1の上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4によって電子機器を覆った状態で電子機器の温度試験を行う試験ステップを有する。上記構成によれば、想定に近い試験結果を得ることができる。
【0049】
電子機器は、産業プラントで使用されるプラント機器である。上記構成によれば、想定に近い試験結果を得易くできる。
【0050】
電子機器はプラント制御機器である。上記構成によれば、想定に近い試験結果を得易くできる。
【0051】
電子機器は電源部を有し、試験ステップは、電子機器の電源部が稼働した状態で行われる。上記構成によれば、想定に近い試験結果を得易くできる。
【0052】
電子機器の消費電力は100W以下である。上記構成によれば、想定に近い試験結果を得易くできる。
【0053】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0054】
したがって、前述した実施形態に係る温度試験用カバー1は、恒温槽を用いて行う電子機器の温度試験において恒温槽内で電子機器を覆う温度試験用カバー1であって、上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4を有し、上面壁部2は、複数の上部開口5aからなる上部開口群5を有し、下面壁部3は、複数の下部開口6aからなる下部開口群6を有する、温度試験用カバー1である限り、種々変更可能である。
【0055】
また、前述した実施形態に係る温度試験方法は、温度試験用カバー1を用いる温度試験方法であって、恒温槽内で温度試験用カバー1の上面壁部2、下面壁部3及び外周側面壁部4によって電子機器を覆った状態で電子機器の温度試験を行う試験ステップを有する、温度試験方法である限り、種々変更可能である。
【実施例0056】
実施例として、前述した実施形態の温度試験用カバー1を製作し、前述した実施形態の温度試験を行った。実施例では、第1ピッチP1は20mm、第1幅W1は15mm、第2ピッチP2は10mm、第2幅W2は5mm、第3ピッチP3は20mm、第3幅W3は15mm、第4ピッチP4は10mm、第2幅W2は5mmとした。また比較例として、上部開口群5と下部開口群6とをそれぞれ、開口率(開口を含めた壁面全体の面積に対する開口の面積の比率)は変えずに、格子状に並ぶ直径3mmの丸穴で構成した点のみにおいて実施例と異なる温度試験用カバー1を製作し、実施例と同一条件で温度試験を行った。電子機器として、電源部を有し、消費電力が100W以下であるプラント制御機器を使用し、電源部が稼働した状態で試験ステップを行った。
【0057】
その結果、循環風が当たる電子機器の下面での温度の低下は、比較例と比べて実施例で0.2℃減少(改善)し、温度試験用カバー1の内部雰囲気温度の上昇は、比較例と比べ実施例で0.2℃減少(改善)した。