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特開2024-125151プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
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  • 特開-プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125151
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 5/147 20060101AFI20240906BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20240906BHJP
   G03G 5/05 20060101ALI20240906BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G03G5/147 502
G03G5/06 312
G03G5/05 101
G03G15/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156331
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2023033061
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川畑 幸美
(72)【発明者】
【氏名】山腰 健太
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓弥
【テーマコード(参考)】
2H068
2H200
【Fターム(参考)】
2H068AA03
2H068AA08
2H068AA13
2H068AA20
2H068AA28
2H068BA12
2H068BB37
2H068FA11
2H068FA27
2H068FC03
2H200FA03
2H200FA16
2H200FA19
2H200GA16
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200GB12
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB43
2H200HB45
2H200HB46
2H200HB47
2H200JA02
2H200JC03
2H200MA03
2H200MA04
2H200MA11
2H200MA12
2H200MA14
2H200MA17
2H200MA20
2H200MB04
2H200MC15
2H200MC20
(57)【要約】
【課題】スジ状の画像欠陥を抑制しうるプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、を備え、前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、プロセスカートリッジ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、プロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、0.5質量%以上10.0質量%以下である、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、2.5質量%以上8.0質量%以下である、請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記帯電部材において、前記表面層が表面に海島構造を有する、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21以上0.72以下である、請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記島部の径が0.2μm以上1.5μm以下である、請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°以上である、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、3°以上である、請求項7に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記水接触角θ1が65°以上75°以下である、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、
導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、
且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、感光体表面に接触させた導電性ロールに対して電圧を印加することにより、前記感光体を帯電させる帯電装置において、前記導電性ロールが、下層側の導電層を被覆して前記感光体表面に接触するとともに前記感光体表面の接触角よりも大きい接触角を有する表面層を備えてなる接触帯電装置と、これを備える画像形成装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、電子写真感光体と該感光体に接触する位置に配設された接触帯電部材を有する電子写真装置において、接触帯電部材が、疎水性弾性体を用いて電子写真感光体との接触面を形成し、その表面の純水接触角を105度以上とすると共に、電子写真感光体の表面の純水接触角を95度以上とし、電子写真感光体表面の純水接触角Roと接触帯電部材表面の純水接触角Rcとが、式:0度≦|Ro-Rc|≦5度を満足する電子写真装置が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、導電性基板上に有機物質からなる電荷輸送層および有機物質からなる電荷発生層が積層され、ウレタン樹脂とけい酸テトラエチルとの混合物からなる表面保護層によって電荷発生層が覆われるものにおいて、表面保護層が表面において気中で測定された純水の接触角が70度ないし75度である電子写真用感光体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許平06-175466号公報
【特許文献2】特許第3747633号公報
【特許文献3】特許第2595635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の課題は、電子写真感光体における保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°未満又は80°以上である場合、また、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1≧θ2の関係を満たす場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、以下の手段が提供される。
<1> 導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、プロセスカートリッジ。
<2> 前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、0.5質量%以上10.0質量%以下である、<1>に記載のプロセスカートリッジ。
<3> 前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、2.5質量%以上8.0質量%以下である、<2>に記載のプロセスカートリッジ。
<4> 前記帯電部材において、前記表面層が表面に海島構造を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
<5> 前記海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21以上0.72以下である、<4>に記載のプロセスカートリッジ。
<6> 前記島部の径が0.2μm以上1.5μm以下である、<4>又は<5>に記載のプロセスカートリッジ。
<7> 前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°以上である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
<8> 前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、3°以上である、<7>に記載のプロセスカートリッジ。
<9> 前記水接触角θ1が65°以上75°以下である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
<10> 導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、
導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
<1>、<4>、又は<9>に係る発明によれば、電子写真感光体における保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°未満又は80°以上である場合、また、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1≧θ2の関係を満たす場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<2>に係る発明によれば、電子写真感光体において、硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、0.5質量%未満又は10.0質量%超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<3>に係る発明によれば、電子写真感光体において、硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、2.5質量%未満又は8.0質量%超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<5>に係る発明によれば、帯電部材において、表面に海島構造を有し、かかる海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21未満又は0.72超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<6>に係る発明によれば、帯電部材において、表面に海島構造を有し、島部の径が0.2μm未満又は1.5μm超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<7>に係る発明によれば、水接触角θ2と水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°未満である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<8>に係る発明によれば、水接触角θ2と水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°以上3°未満である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
<10>に係る発明によれば、電子写真感光体における保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°未満又は80°以上である場合、また、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1≧θ2の関係を満たす場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。
図2】本実施形態における帯電部材の構成の一例を示す概略斜視図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の別の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0011】
本開示にて段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示にて記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示にて「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示にて、実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。さらに、機能・作用が共通する機能を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
本開示にて、各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0012】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、導電性基体上に感光層と保護層とをこの順
に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、を備え、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす。
以下、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいい、「電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材」を、「接触型帯電部材」ともいう。
【0013】
例えば、特許文献2に記載のように、感光体の表面と、接触型帯電部材の表面の水接触角を高くし、それぞれの表面を疎水化することで、表面へのトナーの残留を防止し、長期仕様においても汚れの付着がなく安定した帯電特性が維持される画像形成装置が知られている。
しかしながら、こういった画像形成装置においても、使用環境(例えば、高温高湿環境、低温低湿環境等)によっては、感光体の表面を清掃するクリーニングブレードのエッジと感光体の表面との間をトナーが抜ける「すり抜け」が生じ、感光体及び接触帯電部材の表面が汚染されることがある。感光体及び接触帯電部材の表面が汚染されていると、出力した画像には、感光体の周方向に沿ってスジが伸びた状態の、スジ状の画像濃度ムラが生じる。
【0014】
本実施形態に係るプロセスカートリッジが備える感光体は、上記化合物Xと、上記電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜である保護層を有する。このような保護層を有する感光体は、電子写真プロセスにおいて感光体が受ける放電ストレス、機械的磨耗に対する耐久性が高い傾向にある。その上、感光体の表面の水接触角θ1を65°以上80°未満とすることで、クリーニングブレードのエッジとの関係で、トナーのすり抜け量を減少させることができるものと推測される。これにより、感光体の表面に残留するトナーの絶対量が減少することから、使用環境(例えば、高温高湿環境、低温低湿環境等)の影響を受けにくく、感光体のみならず、帯電部材の表面の汚染をも抑制しうる。
また、一般に、水接触角≒トナーの付着力である傾向にあることから、感光体の表面より帯電部材の表面の水接触角が高い(即ち、θ1<θ2の関係を満たす)ことで、感光体の表面から帯電部材の表面へトナー(トナーから遊離する外添剤を含む)が移行しにくくなり、帯電部材の表面においてさらに汚染が抑制される。その結果、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるものと推測される。
【0015】
以上のことから、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうる。
【0016】
[好ましい態様]
本実施形態において、水接触角θ2と水接触角θ1との差[θ2-θ1]は、1°以上であることが好ましく、3°以上であることがより好ましい。
また、差[θ2-θ1]の上限としては、例えば、25°が挙げられ、スジ状の画像欠陥の抑制の観点から、10°が好ましい。
つまり、差[θ2-θ1]は、1°以上10°以下が好ましく、3°以上10°以下がより好ましい。
また、水接触角θ1は、65°以上80°未満であり、硬化膜の硬化度による摩耗量とすり抜け量の環境差の観点から、65°以上75°以下であることが好ましい。
【0017】
ここで、水接触角の測定は、以下のようにして行う。
感光体の表面、及び帯電部材の表面は、いずれも、エタノールにて付着物等をふき取った後、乾拭きする。
その後、接触角計CA-X(商品名;協和界面株式会社製)を用いて、測定対象物としての感光体の表面又は帯電部材の表面の水接触角を測定する。具体的には、温度25℃相対湿度50%の環境下で、測定対象物の表面に、純水3μl滴下し、滴下してから20秒後の液滴を光学顕微鏡により撮影する。そして得られた撮像写真から、水接触角を求める。感光体の表面は、保護層の上端50mm/中央/下端50mmをそれぞれ3回ずつの9箇所を測定する。帯電部材の表面は、表面層の端部から各30mmと中央をそれぞれ3回ずつの9箇所を測定する。いずれも、測定値の算術平均値を求め、水接触角θ1、水接触角θ2とする。
【0018】
[電子写真感光体]
まず、本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける電子写真感光体について説明する。
まず、図面を参照して、電子写真感光体の層構成について説明する。ここで、図1は、電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成される。
電子写真感光体は、図1に示す層構成に限定されず、例えば、下引層1は無くてもよいし、下引層1と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、電子写真感光体の感光層は、図1に示すように、電荷発生層2及び電荷輸送層3の積層型に限定されず、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含まれる単層型感光層であってもよい。
なお、いずれの構成であっても、保護層が電子写真感光体の表面を形成する層であり、本実施形態においては、保護層の表面、すなわち、電子写真感光体の表面の水接触角θ1を65°以上80°未満とする。
【0019】
以下、本実施形態おける電子写真感光体の各層について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
【0020】
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
【0021】
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
【0022】
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
【0023】
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
【0024】
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
【0025】
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
【0026】
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
【0027】
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
【0028】
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
【0029】
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
【0030】
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
【0031】
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
【0032】
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
【0033】
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
【0034】
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
【0037】
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0038】
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
【0039】
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;ベンゾフェノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
【0040】
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
【0041】
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
【0042】
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
【0043】
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
【0044】
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
【0045】
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
【0046】
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
【0047】
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
【0048】
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
【0049】
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0050】
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
【0051】
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0052】
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0053】
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
【0054】
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
【0055】
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
【0056】
下引層用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
【0057】
下引層用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
【0058】
下引層用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
【0059】
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
【0060】
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
【0061】
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
【0062】
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
【0063】
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
【0064】
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
【0065】
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
【0066】
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン;クロロガリウムフタロシアニン;ジクロロスズフタロシアニン;チタニルフタロシアニンがより好ましい。
【0067】
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;ビスアゾ顔料等が好ましい。
【0068】
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、導電性基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
【0069】
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
【0070】
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0071】
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
【0072】
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
【0073】
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
【0074】
電荷発生層用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチロセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
【0075】
電荷発生層用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
【0076】
電荷発生層用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
【0077】
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
【0078】
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
【0079】
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
【0081】
【化1】
【0082】
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
【0083】
【化2】
【0084】
構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
【0085】
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
【0086】
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、ポリエステル系の高分子電荷輸送材料は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
【0087】
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
【0088】
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
【0089】
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
【0090】
電荷輸送層用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
【0091】
電荷輸送層用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
【0092】
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
【0093】
(保護層)
保護層は、グアナミン構造を有する化合物(以下、グアナミン化合物ともいう)及びメラミン構造を有する化合物(以下、メラミン化合物ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜である。
そして、表面層の表面、すなわち、電子写真感光体の表面の水接触角θ1が65°以上80°未満である。
水接触角θ1を上記範囲に調整する手段としては、化合物X及び電荷輸送材料Yそれぞれの種類、含有量の調整、乾燥条件の調整等が挙げられる。
【0094】
-化合物X-
・グアナミン化合物
まず、グアナミン化合物について説明する。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
【0095】
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが好ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(好ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
【0096】
【化3】
【0097】
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、-CH-OH、又は-CH-O-Rを示す。Rは、水素、又は炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。
【0098】
一般式(A)中、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、好ましくは炭素数が1以下8以下あり、より好ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
【0099】
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より好ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
【0100】
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より好ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
【0101】
一般式(A)中、R乃至Rを示す「-CH-O-R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、好ましくは炭素数が1以下8以下であり、より好ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。好ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0102】
一般式(A)で示される化合物としては、特に好ましくは、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R乃至Rがそれぞれ独立に-CH-O-Rを示される化合物である。また、Rは、メチル基又はn-ブチル基から選ばれることが好ましい。
【0103】
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
【0104】
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
【0105】
【化4】
【0106】
【化5】
【0107】
【化6】
【0108】
【化7】
【0109】
一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、DIC社製の、スーパーベッカミン(R)L-148-55、スーパーベッカミン(R)13-535、スーパーベッカミン(R)L-145-60、スーパーベッカミン(R)TD-126、日本カーバイド社製の、ニカラックBL-60、ニカラックBX-4000などが挙げられる。
【0110】
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0111】
・メラミン化合物
次に、メラミン化合物について説明する。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)を有する化合物であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが好ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(好ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
【0112】
【化8】
【0113】
一般式(B)中、R乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、-CH-OH、-CH-O-R12を示し、R12は炭素数1以上5以下のアルキル基を示す。当該アルキル基は、分岐していてもよく、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0114】
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
【0115】
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
【0116】
【化9】
【0117】
一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、日油社製のスーパーメラミNo.90、DIC社製のスーパーベッカミン(R)TD-139-60、三井化学社製のユーバン2020、住友化学工業社製のスミテックスレジンM-3、日本カーバイド社製のニカラックMW-30などが挙げられる。
【0118】
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
【0119】
-電荷輸送材料Y-
次に、電荷輸送材料Yについて説明する。
電荷輸送材料Yは、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHから選択される置換基(以下、反応性置換基ともいう)の少なくとも1つを有し、電荷輸送性を有する化合物である。特に、電荷輸送材料Yとしては、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHから選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つものが好適に挙げられる。このように、電荷輸送材料Y中の反応性官能基が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋物が得られることから、電子写真感光体における表面の磨耗が抑制される。
【0120】
電荷輸送材料Yとしては、下記一般式(I)で示される化合物であることが好ましい。
F-((-R-X)n1-Y)n2 (I)
【0121】
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は1以上4以下の整数を示す。Xは-O-、-NH-、又は-S-を示し、Yは-OH、-OCH、-NH、-SH、又は-COOHを示す。
【0122】
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が好適に挙げられる。
【0123】
そして、一般式(I)で示される化合物は、下記一般式(II)で示される化合物であることが好ましい。一般式(II)で示される化合物は、特に、電荷移動度、酸化などに対する安定性等に優れる。
【0124】
【化10】
【0125】
一般式(II)中、Ar乃至Arは、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは-(-R-X)n1-Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、Xは-O-、-NH-、又は-S-を示し、Yは-OH、-OCH、-NH、-SH、又は-COOHを示す。
【0126】
一般式(II)中、Dを示す「-(-R-X)n1-Y」は、一般式(I)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基である。また、n1として好ましくは、1である。また、Xとして好ましくは、-O-である。また、Yとして好ましくは-OHである。
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn2に相当し、好ましくは、2以上4以下であり、さらに好ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dを、好ましくは一分子中に2以上4以下、さらに好ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋物が得られることから、電子写真感光体における表面の磨耗が抑制される。
【0127】
一般式(II)中、Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが好ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、各Ar乃至Arに連結され得る「-(D)」と共に示す。
【0128】
【化11】
【0129】
式(1)乃至(7)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、D及びcは、一般式(II)におけるD及びcと同様であり、sはそれぞれ0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
【0130】
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが好ましい。
【化12】
【0131】
式(8)、(9)中、R13及びR14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
【0132】
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
【0133】
【化13】
【0134】
式(10)乃至(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
【0135】
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
【0136】
【化14】
【0137】
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr乃至Arの説明で例示された上記(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)乃至(7)のアリール基から水素原子を除いたアリーレン基である。
【0138】
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す例示化合物:I-1乃至例示化合物:I-31が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
【0139】
【化15】
【0140】
【化16】
【0141】
【化17】
【0142】
【化18】
【0143】
【化19】
【0144】
【化20】
【0145】
【化21】
【0146】
【化22】
【0147】
硬化膜(即ち、保護層)中の化合物Xの総含有量は、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%以上5.0質量%以下であることが特に好ましい。
硬化膜中の化合物Xの総含有量を0.5質量%以上とすることで、表面の水接触角θ1を65°以上80°未満の範囲に調整することが容易になる。また、硬化膜中の化合物Xの総含有量を10.0質量%以下とすることで、電子写真感光体の電気特性の低下を抑制しうる。
【0148】
一方、硬化膜(即ち、保護層)中の電荷輸送材料Yの総含有量は、85.0質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、90.0質量%以上99.0質量%以下であることがより好ましく、94.0質量%以上98.0質量%以下であることがさらに好ましい。
硬化膜中の電荷輸送材料Yを85.0質量%以上とすることで、高い電荷輸送能を発揮させうる。また、硬化膜中の電荷輸送材料Yを99.5質量%以下とすることで、表面の水接触角θ1を65°以上80°未満の範囲に調整することが容易になる。
【0149】
-その他の成分-
保護層は、レベリング剤として、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5-トリメチル-1.3.5-トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチル-1,3,5,7,9-ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
【0150】
保護層は、更に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの樹脂、樹脂粒子、導電性粒子などの各種粒子、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
【0151】
-保護層の形成-
保護層は、化合物Xと電荷輸送材料Yとを少なくとも含む組成物(保護層用塗布液)を用いて形成される。この保護層用塗布液は、必要に応じて、化合物X及び電荷輸送材料Y以外の上述した成分を含んでいてもよい。
【0152】
保護層用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用可能であるが、好ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
【0153】
保護層用塗布液中の溶剤量は任意に設定されるが、化合物Xが析出しやすくなるため、溶剤は、化合物Xの1質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下、好ましくは、1質量部以上20質量部以下で使用される。
【0154】
保護層用塗布液は、化合物Xと電荷輸送性化合物Yとの硬化を促進するために硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒として酸系の触媒を好ましく用いられる。酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸が挙げられる。中でも、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸などの含硫黄系材料を用いることが好ましい。
【0155】
硬化触媒として含硫黄系材料を用いることにより、硬化触媒として優れた機能を発揮し、硬化反応を促進して得られる保護層の機械的強度がより向上される。更に、電荷輸送材料Yとして上記一般式(I)(一般式(II)含む)で表される化合物を用いる場合、含硫黄系材料は、これら電荷輸送材料Yに対するドーパントとしても優れた機能を発揮し、得られる機能層の電気特性がより向上される。その結果、電子写真感光体を形成した場合に、機械強度、成膜性及び電気特性の全てが高水準で達成される。
【0156】
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、又は、加熱後に酸性を示すものが好ましく、接着性、ゴースト、電気特性の観点で有機スルホン酸及びその誘導体の少なくとも1種が最も好ましい。保護層中にこれら触媒の存在は、XPS等により容易に確認される。
【0157】
硬化触媒としての含硫黄系材料としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、触媒能、成膜性の観点から、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。また、保護層用塗布液中で、ある程度解離可能であれば、上記スルホン酸の塩を用いてもよい。
【0158】
また、硬化触媒として、一定以上の温度をかけたときに触媒能力が高くなる、所謂、熱潜在性触媒を用いることもできる。
【0159】
硬化触媒の市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p-トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p-トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p-トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p-トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p-トルエンスルホン酸解離、エチレングリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP-357」(p-トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP-386」(p-トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC―2211」(p-トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2-ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49-110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP-383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP-297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
【0160】
これらの硬化触媒は単独又は二種類以上組み合わせても使用される。
【0161】
ここで、硬化触媒の配合量は、化合物Xの量(保護層用塗布液における固形分濃度)に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、特に、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0162】
なお、保護層用塗布液を得るときには、上記した各成分を、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、室温(例えば25℃)以上100℃以下、好ましくは、30℃以上80℃以下で10分以上100時間以下、好ましくは1時間以上50時間以下で加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも好ましい。
【0163】
そして、保護層用塗布液を感光層(具体的には、例えば、電荷輸送層)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、硬化膜による保護層が得られる。
【0164】
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上25μm以下、より好ましくは18μm以上22μm以下の範囲内に設定される。
【0165】
[帯電部材]
本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける帯電部材について説明する。
本実施形態における帯電部材は、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材である。このような層構成を有していれば、帯電部材の形状は問わず、例えば、ロール状、ベルト状、チューブ状、ブレード状等が挙げられる。中でも、ロール状が好ましい。
【0166】
帯電部材の層構成について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、帯電部材121は、例えば、導電性基材32と、導電性基材32の外周面上に設けられた弾性層34と、弾性層34の外周面上に設けられた表面層36と、を有するロール部材である。なお、導電性基材32と弾性層34との間には、例えば、接着層(不図示)が設けられていてもよい。
【0167】
本実施形態における帯電部材は、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材である。そして、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす。
なお、帯電部材は、導電性基材と弾性層との間に接着層を有していてもよい。
【0168】
-導電性基材-
導電性基材は、帯電部材の電極及び支持部材として機能するものである。例えば、導電性基材の材質としては、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;等が挙げられる。支持体としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂、セラミック部材)等も挙げられる。支持体は、中空状の部材(筒状部材)であってもよいし、非中空状の部材であってもよい。
【0169】
-弾性層-
弾性層は、弾性材料と、導電剤と、を含む。弾性層は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。なお、弾性層は、抵抗調整層を兼ねていることがよい。
【0170】
弾性材料としては、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコ-ンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキサイド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエ-テル共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、これらを混合したゴム等が挙げられる。
これらの弾性材料の中でも、シリコ-ンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキサイド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、これらを混合したゴムが好ましい。
ゴム材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0171】
導電剤としては、電子導電性物質、イオン導電性物質が挙げられる。
電子導電性物質としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、熱分解カーボン、グラファイト、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO-Al、SnO-Sb、In-SnO、ZnO-TiO、MgO-Al、FeO-TiO、TiO、SnO、Sb、In、ZnO、MgO等の公知の金属酸化物が挙げられる。
イオン導電性物質としては、例えば、四級アンモニウム塩、アルカリ金属の過塩素酸塩、アルカリ土類金属の過塩素酸塩等の公知の塩が挙げられる。
【0172】
これらの導電剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0173】
導電剤の含有量は、弾性層の目的とする特性が得られる範囲内であれば、特に制限はない。
具体的には、電子導電性物質の場合、導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上90質量部以下であることが好ましい。
一方、イオン導電性物質の場合、導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0174】
弾性層におけるその他の添加剤としては、軟化剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の周知の添加剤が挙げられる。
【0175】
弾性層の体積抵抗率は、例えば、弾性層が抵抗調整層を兼ねる場合、例えば、10Ωcm以上1014Ωcm以下がよく、好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下、より好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下である。
【0176】
弾性層の体積抵抗率は、次に示す方法により測定された値である。
即ち、弾性層からシート状の測定試料を採取し、その測定試料に対し、JIS K 6911(1995)に従って、測定治具(R12702A/Bレジスティビティ・チェンバ:アドバンテスト社製)と高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)とを用い、電場(印加電圧/組成物シート厚)が1000V/cmになるよう調節した電圧を30秒印加した後、その流れる電流値より、下記式を用いて算出する。
体積抵抗率(Ωcm)=(19.63×印加電圧(V))/(電流値(A)×測定試料厚(cm))
【0177】
弾性層の厚みは、帯電部材を適用する装置によって異なるが、例えば、1mm以上10mm以下がよく、好ましくは2mm以上5mm以下である。
【0178】
弾性層の厚みは、次に示す方法により測定された値である。
即ち、弾性層(帯電部材)の軸方向両端20mm位置及び中央部の3か所を片刃ナイフで切り取り、切り取った試料の断面を5から50倍の厚みに応じて適切な倍率で観察して、膜厚を測定して、その平均値とする。測定装置は、キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX-200を用いる。
【0179】
-表面層-
表面層は、弾性層上に樹脂層を独立して設けた態様であってもよいし、発泡した弾性層の表層部の気泡に樹脂等を含浸させて設けた態様(つまり、気泡に樹脂等が含浸した弾性層の表層部を表面層とした態様)であってもよい。
なお、帯電部材における表面層が帯電部材の表面を形成することから、表面層の表面の水接触角θ2をθ1<θ2の関係を満たすようにする。
【0180】
表面層の表面の水接触角、すなわち、帯電部材の表面の水接触角θ2は、θ1<θ2の関係を満たせばよい。帯電部材の表面の水接触角θ2は、スジ状の画像欠陥の抑制の観点から、例えば、65°超90°以下であることが好ましい。
水接触角θ2を上記範囲に調整する手段としては、表面層に含まれる樹種、含有量の調整、表面層に形成される海島構造の調整等が挙げられる。
【0181】
帯電部材の表面の水接触角θ2の調整の観点、及び、スジ状の画像欠陥を抑制する観点から、表面層は表面に海島構造を有することが好ましい。
特に、帯電部材の表面の水接触角θ2の調整の観点、及び、スジ状の画像欠陥を抑制する観点から、海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21以上0.72以下であることが好ましい。
同様の理由から、海島構造において、島部の径が0.2μm以上1.5μm以下(より好ましくは0.3μm以上1.0μm以下)であることも好ましい。
【0182】
ここで、表面層の表面における海島構造の確認方法、並びに、海部の面積に対する島部の面積の割合及び島部の径の測定方法は、以下のとおりである。
まず、帯電部材の表面層から片刃ナイフで小片を切り出し、試料を作製する。
次に、小片試料に対して、走査電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM-6700F)により、加速電圧5kVの二次電子像、倍率5000倍で表面層の表面を撮影する。
この画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込む。そして、画像解析により、画像中の島部の最大径を計測し、その算術平均値を島部の径とする。
【0183】
表面層を形成するための材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂(共重合ナイロンを含む)、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂。ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン樹脂、4フッ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等)が挙げられる。また、樹脂は、硬化性樹脂を硬化剤若しくは触媒により硬化又は架橋したものが好ましい。
ここで、共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、及び12ナイロンの内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含む共重合体である。なお、共重合ナイロンには、6ナイロン、66ナイロン等の他の重合単位を含んでいてもよい。
【0184】
これらの中でも、樹脂としては、上述の海島構造を得る観点から、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂のうち2種以上を併用することが好ましく、特に、ポリアミド樹脂とポリビニルアルコール樹脂とを併用することが好ましい。
【0185】
特に、ポリアミド樹脂としては、表面層の耐摩耗性の点から、アルコキシメチル化ポリアミド(アルコキシメチル化ナイロン)が好ましく、より好ましくはメトキシメチル化ポリアミド(N-メトキシメチル化ナイロン)である。
【0186】
なお、樹脂は、表面層の機械的強度を向上させ、表面層の割れの発生を抑制する点から、架橋構造を有していてもよい。
【0187】
表面層を形成するためのその他の材料としては、例えば、カーボンブラックなどの導電剤、充填剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の通常表面層に添加され得る周知の添加剤が挙げられる。
【0188】
表面層の体積抵抗率は、例えば、10Ωcm以上1014Ωcm以下がよく、好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下、より好ましくは10Ωcm以上1012Ωcm以下がよい。
【0189】
表面層の体積抵抗率は、次に示す方法により測定された値である。
即ち、表面層をアルミやステンレス等の金属の平板又は体積抵抗が10Ωcm以下のシート状のゴム材等に塗布し、測定試料を得る。その測定試料に対し、JIS K 6911(1995)に従って、測定治具(R12702A/Bレジスティビティ・チェンバ:アドバンテスト社製)と高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)とを用い、電場(印加電圧/組成物シート厚)が1000V/cmになるよう調節した電圧を30秒印加した後、その流れる電流値より、下記式を用いて算出する。
体積抵抗率(Ωcm)=(19.63×印加電圧(V))/(電流値(A)×測定試料膜厚(cm))
【0190】
表面層の厚みは、弾性層からのブリード物(つまり、滲み出す液状物)及びブルーム物(つまり、析出する固形物)の帯電部材の表面への移動を抑制すると共に、表面層の抵抗安定性の点から、例えば、2μm以上25μm以下がよく、好ましくは3μm以上20μm以下であり、より好ましくは3μm以上15μm以下であり、更に好ましくは5μm以上15μm以下である。
【0191】
表面層の厚みは、次に示す方法により測定された値である。
即ち、表面層(帯電部材)の軸方向両端20mm位置及び中央部の3か所を片刃ナイフで切り取り、切り取った試料の断面を倍率1000倍で観察して膜厚を測定し、その平均値とする。測定装置は、キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX-200を用いる。
【0192】
表面層は、例えば、各成分を溶剤に分散させて塗布液を調製し、先立って形成した弾性層上に、この塗布液を塗布した後、加熱することで形成する。
塗布液の塗布方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、フロー塗布法、リング塗布法、ダイ塗布法、インクジェット塗布法等が挙げられる。
塗布液に用いる溶剤としては、特に限定されず一般的なものが使用され、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの溶媒を使用してもよい。また、これらの他、種々の溶媒を使用してもよいが、浸漬塗布法を適用するためには、アルコール溶剤若しくはケトン溶剤、又はそれらの混合溶剤が挙げられる。
【0193】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備え、前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置は、既述の、本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける電子写真感光体及び帯電部材を備える。
【0194】
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
【0195】
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0196】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体と帯電部材とを備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(本実施形態に係るプロセスカートリッジに該当)であってもよい。プロセスカートリッジには、電子写真感光体及び帯電部材以外に、例えば、静電潜像形成装置、現像装置、転写装置からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
【0197】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0198】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図3に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成装置の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
【0199】
図3におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
【0200】
なお、図3には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
【0201】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
【0202】
-帯電装置-
帯電装置8としては、既述の本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける帯電部材が適用される。
【0203】
-露光装置-
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
【0204】
-現像装置-
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
【0205】
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
【0206】
-クリーニング装置-
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
【0207】
-転写装置-
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
【0208】
-中間転写体-
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
【0209】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
【実施例0210】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は「質量部」を意味する。
【0211】
[感光体の作製]
-感光体1の作製-
(下引層の形成)
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学工業社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレック BM-1、積水化学工業社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部を混合し、混合液を得た。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)4.0質量部とを添加し、下引層用塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を得た。
【0212】
(電荷発生層の形成)
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜および28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部およびn-ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用塗布液を得た。
この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、120℃、5分間乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
【0213】
(電荷輸送層の形成)
続いて、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン42質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(TS2050:粘度平均分子量50,000:帝人化成社製)58質量部と、をテトロヒドロフラン280質量部およびトルエン120質量部に十分に溶解混合し、電荷輸送層用塗布液を得た。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層まで形成した前記アルミニウム支持体上に浸漬塗布し、135℃、40分で乾燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0214】
(保護層の形成)
次に、既述の電荷輸送材料Yである化合物I-16:45質量部と、化合物I-8:52質量部と、化合物Xであるメチル化メラミン樹脂(B-2:ニカラックMW-30HM、三和ケミカル社製)2質量部を、イソプロピルアルコール50質量部および2-ブタノール50質量部に溶解させ、レベリング剤であるジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄社化学(株)製)を0.1部、硬化触媒であるNACURE2500(キングインダストリー社製)を0.01部加え保護層用塗布液を調製した。
得られた保護層用塗布液を、電荷輸送層まで形成した前記アルミニウム基材上に浸漬方式により塗布し、150℃40分の条件にて加熱乾燥することにより、膜厚6μmの保護層を形成した。
【0215】
以上のようにして、表面の水接触角θ1が74°の感光体1を得た。
【0216】
-感光体2の作製-
表面層の形成に用いたメチル化メラミン樹脂を、化合物Xであるベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL-60、三和ケミカル社製)に変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が72°の感光体2を得た。
【0217】
-感光体3の作製-
表面層の形成に用いた、メチル化メラミン樹脂を、化合物Xであるベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL-60、三和ケミカル社製)2.5質量部に変更し、更に、化合物I-8:52質量部を、電荷輸送材料YであるI-10:50質量部へと変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が65°の感光体3を得た。
【0218】
-感光体4の作製-
表面層の形成に用いたメチル化メラミン樹脂を、化合物Xであるベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL-60、三和ケミカル社製)2.5質量部に変更し、更に、表面層の形成の際の150℃での加熱乾燥を、145℃での加熱乾燥に変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が65°の感光体4を得た。
【0219】
-感光体5の作製-
表面層の形成の際の145℃での加熱乾燥を、140℃での加熱乾燥に変更した以外は、感光体4の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が64°の感光体5を得た。
【0220】
-感光体6の作製-
表面層の形成に用いたメチル化メラミン樹脂を、化合物Xであるベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL-60、三和ケミカル社製)に変更し、更に、表面層の形成の際の150℃での加熱乾燥を、160℃での加熱乾燥に変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が80°の感光体6を得た。
【0221】
-感光体7の作製-
電荷発生層までを実施例1と同様の方法で作製した後、電荷輸送層を以下の方法で形成して、表面の水接触角θ1が95°の感光体7を得た。
なお、感光体7は、電荷輸送層を表面層としており、保護層は形成していない。
【0222】
(電荷輸送層の形成)
N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン42質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(TS2050:粘度平均分子量50,000:帝人化成社製)58質量部と、をテトロヒドロフラン280質量部およびトルエン120質量部に十分に溶解混合した液に、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亞合成化学(株)製)0.02質量部と、ポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)5質量部と、THF20質量部と、の混合液を混合し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行い、電荷輸送層用塗布液を得た。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層まで形成した前記アルミニウム支持体上に浸漬塗布し、135℃、40分で乾燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0223】
[帯電部材(帯電ロール)感光体の作製]
-帯電ロール1の作製-
(弾性層の形成)
・エピクロロヒドリンゴム(Gechron3106、日本ゼオン社製):100質量部・カーボンブラック(旭♯60、旭カーボン社製):6質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSB、白石カルシウム社製):20質量部
・イオン導電剤(BTEAC、ライオン社製):5質量部
・加硫促進剤:ステアリン酸(日油社製):1質量部
・加硫剤:硫黄(パルノックR、大内新興化学社製):1質量部
・加硫促進剤:酸化亜鉛:1.5質量部
上記に表した組成の混合物をオープンロールで混練りした。得られた混合物を用い、SUS303により形成された直径8mmの金属シャフト(導電性基材)の表面に、接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロール状の弾性層を形成した。その後、研磨により直径14mmの導電性弾性ロールAを得た。
【0224】
(表面層の形成)
・結着樹脂:N-メトキシメチル化ナイロン(商品名F30K、ナガセケムテックス(株)製)100質量部
・樹脂:ポリビニルブチラール(商品名エスレックBL-1、積水化学工業(株)製):15質量部
・粒子A:カーボンブラック(商品名:MONAHRCH1000、キャボット社製):15質量部
・粒子B:ポリアミド粒子(ポリアミド12、アルケマ社製):10質量部
・添加剤:ジメチルポリシロキサン(BYK-307、アルタナ社製):1質量部
上記組成の混合物をメタノール/1-プロパノールで希釈し、ビーズミルにて分散して得られた分散液を、室温24℃相対湿度45%の環境で導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、130℃で30分間加熱乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成した。
【0225】
以上のようにして、表面の水接触角θ2が75°の帯電部材(帯電ロール)1を得た。
【0226】
-帯電ロール2の作製-
表面層の形成に用いたポリビニルブチラールの量を15質量部から10質量部へと変更した以外は、帯電ロール1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が66°の帯電ロール2を得た。
【0227】
-帯電ロール3の作製-
表面層を形成する際の、浸漬塗布時の環境を室温28℃相対湿度40%へと変更した以外は、帯電ロール1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が66°の帯電ロール3を得た。
【0228】
-帯電ロール4の作製-
表面層の形成に用いたポリビニルブチラールの量を15質量部から30質量部へと変更した以外は、帯電ロール1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が76°の帯電ロール4を得た。
【0229】
-帯電ロール5の作製-
表面層の形成に用いたN-メトキシメチル化ナイロンをビスフェノールZポリカーボネート樹脂(下記(PC-1)で表されるポリカーボネート樹脂、pm:25、pn:75、粘度平均分子量1万)に変更し、更に、希釈液メタノール/1-プロパノールをテトラヒドロフラン(THF)へと変更した以外は、帯電ロール1の作製と同様にして、表面の水接触角θ1が85°の帯電ロール5を得た。
【0230】
【化23】
【0231】
[実施例1~6、比較例1~5]
下記表1に示す組み合わせの感光体及び帯電ロールを備えたプロセスカートリッジを作製し、これを画像形成装置(富士フイルムビジネスイノベーション社製、Apeos C2360)に装着した。
この画像形成装置を用い、以下の評価を行った。
【0232】
[画質評価1(画質全体の濃度ムラ)]
室温10℃湿度15%RH環境下で、画像濃度30%の黒色ハーフトーンの画像を6000枚出力した。画像形成初期(具体的には10枚目)の出力画像と6000枚目の出力画像とについて、印字部の反射濃度Dを、X-Rite 404A濃度計を用いて測定し、用紙端4箇所と中央1箇所の濃度差ΔDを求めた。得られたΔDをもとに、下記の基準に沿って、画質の評価を行った。
G0:ΔDが0.01以下である。
G1:ΔDが0.01超え0.25以下である。
G2:ΔDが0.25超え0.5以下である。
G3:ΔDが0.5超え0.75以下である。
G4:ΔDが0.75超えである。
【0233】
[画質評価2(周方向汚染スジ起因の濃度ムラ(画像欠陥))]
画像評価1と同様の方法で、画像を出力した。6000枚目の出力画像について、目視にて確認し、以下の基準に沿って、スジ状の濃度ムラ(画像欠陥)を評価した。
G1:スジ状の画像欠陥が発生していない。
G2:スジ状の画像欠陥が発生していた。
【0234】
【表1】
【0235】
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
(((1))) 導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、プロセスカートリッジ。
(((2))) 前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、0.5質量%以上10.0質量%以下である、(((1)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((3))) 前記電子写真感光体において、前記硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、2.5質量%以上8.0質量%以下である、(((2)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((4))) 前記帯電部材において、前記表面層が表面に海島構造を有する、(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
(((5))) 前記海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21以上0.72以下である、(((4)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((6))) 前記島部の径が0.2μm以上1.5μm以下である、(((4)))又は(((5)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((7))) 前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°以上である、(((1)))~(((6)))のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
(((8))) 前記水接触角θ2と前記水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、3°以上である、(((7)))に記載のプロセスカートリッジ。
(((9))) 前記水接触角θ1が65°以上75°以下である、(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジ。
(((10))) 導電性基体上に感光層と保護層とをこの順に有する電子写真感光体と、
導電性基材上に弾性層と表面層とをこの順に有し、前記電子写真感光体に接触して当該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備え、
前記電子写真感光体における前記保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°以上80°未満であり、
前記帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1<θ2の関係を満たす、画像形成装置。
【0236】
(((1)))、(((4)))、又は(((9)))に係る発明によれば、電子写真感光体における保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°未満
又は80°以上である場合、また、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1≧θ2の関係を満たす場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、電子写真感光体において、硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、0.5質量%未満又は10.0質量%超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、電子写真感光体において、硬化膜中の前記化合物Xの総含有量が、2.5質量%未満又は8.0質量%超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、帯電部材において、表面に海島構造を有し、かかる海島構造において、海部の面積に対する島部の面積の割合が0.21未満又は0.72超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((6)))に係る発明によれば、帯電部材において、表面に海島構造を有し、島部の径が0.2μm未満又は1.5μm超である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、水接触角θ2と水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°未満である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、水接触角θ2と水接触角θ1との差[θ2-θ1]が、1°以上3°未満である場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうるプロセスカートリッジが提供される。
(((10)))に係る発明によれば、電子写真感光体における保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、-OH、-OCH、-NH、-SH、及び-COOHからなる群より選択される少なくとも1つの基を持つ電荷輸送材料Yと、を含む組成物の架橋物を含んで構成される硬化膜であり、且つ、表面の水接触角θ1が65°未満又は80°以上である場合、また、帯電部材の表面の水接触角θ2がθ1≧θ2の関係を満たす場合に比べ、スジ状の画像濃度ムラを抑制しうる画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0237】
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、5 保護層、7A、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ
図1
図2
図3
図4